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1982-03-19 第96回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月十九日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 渡部 恒三君    理事 梶山 静六君 理事 森   清君    理事 渡辺 秀央君 理事 清水  勇君    理事 北側 義一君 理事 宮田 早苗君       天野 公義君   稻村左近四郎君       植竹 繁雄君    浦野 烋興君       奥田 幹生君    亀井 静香君       島村 宜伸君    泰道 三八君       中川 秀直君    野中 英二君       橋口  隆君    松永  光君       宮下 創平君    粟山  明君       上田  哲君    上坂  昇君       城地 豊司君    中村 重光君       水田  稔君    渡辺 三郎君       長田 武士君    小林 政子君       渡辺  貢君    石原健太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 佐藤徳太郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 相場 照美君         公正取引委員会         事務局審査部長 伊従  寛君         通商産業政務次         官       原田昇左右君         通商産業大臣官         房審議官    植田 守昭君         通商産業省通商         政策局長    若杉 和夫君         通商産業省産業         政策局長    杉山 和男君         通商産業省立地         公害局長    神谷 和男君         通商産業省機械         情報産業局長  豊島  格君         通商産業省生活         産業局長    志賀  学君         資源エネルギー         庁長官     小松 国男君         資源エネルギー         庁石油部長   野々内 隆君         中小企業庁長官 勝谷  保君         中小企業庁小規         模企業部長   篠島 義明君  委員外出席者         国税庁間税部消         費税課長    岩井 和雄君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   水田  稔君     岡田 利春君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     水田  稔君 同月二十七日  辞任         補欠選任   水田  稔君     武藤 山治君 同日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     水田  稔君 三月一日  辞任         補欠選任   水田  稔君     山田 耻目君 同日  辞任         補欠選任   山田 耻目君     水田  稔君 同月八日  辞任         補欠選任   水田  稔君     野坂 浩賢君 同日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     水田  稔君 同月十七日  辞任         補欠選任   水田  稔君     串原 義直君 同日  辞任         補欠選任   串原 義直君     水田  稔君     ――――――――――――― 三月六日  アルコール製造事業の新エネルギー総合開発機  構への移管のためのアルコール専売法等の一部  を改正する法律案内閣提出第四一号) 同月十二日  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五五号)  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五六号) 同月十五日  小売大資本店進出規制等に関する請願(小林  政子君紹介)(第一三一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡部委員長(渡部恒三)

    渡部委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。
  3. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 初めに、金取引の問題について質問をしますが、東京金取引所商品取引員許可申請者は四十社というふうに決まったと聞いておりまして、昨日通産省がこれを承認したというふうに聞いておりますが、当初、通産省の方針では二十社から三十社ぐらいというような話だったのですが、審議段階ではどういう答申があったのか、あるいはその場合、既存商品取引員をどうするか、入れるか入れないかということも審議会では審議されたと聞いておりますが、その辺の事情をお聞かせいただきたいと思います。
  4. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 商品取引員につきましては、今回の金の先物市場一般の方にも大変関心の強い物資でございますから、紛議等につきましては十分気をつけなければいけない、そういうことでいろいろと検討してきたところでございます。  それで、それにつきましては、たとえば純資産額等について十分なものである必要がある、あるいはまた社会的信用の点から十分なチェックがなされるべきであるとか、さらにまた受託収支等について見込みが十分あるというふうな観点等々から見まして、りっぱな取引所をつくるにふさわしい取引員を選ばなければいけない、こういうふうな線で検討されてきたわけでございます。そういったものを経まして、今回定款に定められました四十名の商品取引員許可したというのがいままでの経緯でございます。
  5. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 質問したことにちゃんと答えてください。審議段階では、商品取引員を入れるとか入れないとかということで非常に問題になったと聞いておりますが、その辺は、事実そうだったのかどうか。
  6. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 先物市場開設いたしますと、商品取引員というのはどうしても必要になります。したがいまして、商品取引員を入れないという議論があったというふうには私は聞いていないわけでございます。(上坂委員既存の」と呼ぶ)既存商品取引員といいますのは、この商品取引といいますのはいろいろと経験等も必要でございますから、既存商品取引員を全部排除いたしますと、今度は逆に商品取引員というものの資格のある人というのが非常に限定されるわけでございまして、そういうふうな既存商品取引員はすべて排するというふうな議論はなかったというふうに私は聞いております。
  7. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 いま四十名に一応許可をしたということでありますが、将来、この四十名をふやすという意思があるかどうか。
  8. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 この四十社につきましては、定款で定められているわけでございますが、今回、当面四十社といたしましたのは、他のたくさんございます商品取引所定数等状況も見まして定めたものでございます。しかしながら、商品取引員定数は、元来取引状況とか商品取引員の有資格者状況等も踏まえて、また現実に合わせて見ていかなければならないということでございますので、私どもといたしましては、今後そういった取引所のこれからどういうふうな推移を経るか等も見まして、将来の定数につきましては、さらに考えていきたいというふうに考えております。
  9. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 従来、四年ごと取引員更新がほかの商品取引においては行われてきましたね。これは踏襲するのだと私は思いますが、もしいままでの状況でいきますと、過去にどんなに悪徳商法をやってトラブルを起こした取引員であっても、四年ごと更新のときは必ずこれは許可をされた、一件も取り消しをされたことがないというふうに私は前の委員会で報告を受けたわけであります。そうなりますと、どんなことをやっても、一たん取引員になってしまえば、倒産をしない限りは取引員としての資格を持つことができるというふうに、取引員になった者は解釈すると思うのです。そういうことでは、私たちが考えている金を取り巻くところの悪徳商法というものはなくならない、こういうふうに私は思いますが、今度の金の取引については、紛議を起こした者は今後一切資格を取り消す、こういう強い姿勢で臨むかどうかということをお伺いいたします。
  10. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 商品取引員につきましては、それが法律あるいは定款等基準から外れるようなことになれば、当然その資格は取り消すことになるわけでございます。従来の更新許可につきまして御指摘がございましたけれども、そういった点につきましても十分配慮してきているわけでございまして、たとえば営業譲渡とか構造改善等が行われた企業もあるというふうに記憶しておりますし、そういうことで、今後ももちろん商品取引員に課せられるべき資格、それが喪失されれば、これは当然厳正な取り扱いをするということになるわけでございます。
  11. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 審議官、いいですか。ここに資料がありますが、日経新聞にこういうのが出ているんです。「金の公設先物市場設立に当初からかかわってきた国会議員の元に、「投資家からの注文を中継ぎできる取引員会員にどうしてもなりたい。どうかよろしく」といった推薦依頼商品先物取引業者十数社から舞い込んだという。この議員業界紙主催のパーティーで「頼まれなかったのは首相ぐらいだろう」と冗談まじりに話したが、周囲からは笑いは起きなかった。」こうなっているのです。  この間、私は予算委員会分科会指摘をしたように、政治家が中に介在をして、そして過去に悪徳商法をやった連中を入れている、間違いなく入れている。私はちゃんと名前を上げて指摘している。そういうことをやって、こういう状況があるのに、いま言ったことが本当にできるのかどうか。それから今度一たんそういうトラブルを起こしたら、もう取り消してしまうといまあなたがはっきり言えるかどうか。そういうことをきちんと言ってください。
  12. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 その新聞記事については、私読んでおりませんが、商品取引員に関しましては、いろいろと問い合わせとかあるいは照会等があったことは事実でございます。しかし、私どもはそれにつきましては、許可基準等を御説明いたしましていろいろと御理解を願ったことはございますが、あくまでもこの商品取引員許可につきましては、先ほど申しましたような観点から厳正に行った。それで、私どもに出てくる前に、これは法律によって手続が決められているわけでございますが、まず金の取引所審査委員会というものが自治的につくられまして、その審査委員会チェックを受け、理事会で承認されたもの、これが私どものところへ出てくるわけでございます。  そういうことでございまして、今回はその点は十分チェックしたつもりでございますし、今後ももちろん厳正なチェックをしていくということは変わりございません。一件でも紛議を起こしたら、直ちにすべてを取り消すということは、そこまでは断言できないわけでございますが、もちろん紛議の多発とか、そういったことは今後の取り扱いに重大な項目といいますか、チェックポイントになるということは御指摘のとおりでございます。
  13. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 きょうの読売新聞社会面にこういうふうに出ているのです。「金市場札つき業者客殺しトラブルなぜ認可、民間団体怒る」こうなっている。この中にちゃんと名前を挙げている。一つは、「これまで大豆、繊維などの公設市場でも素人投資家を食い物にする“客殺し”や“ノミ行為”によるトラブル仲買業者によって引き起こされており、新市場では、どの業者取引員資格を得るか注目されていた。」これは読売新聞です。そこに今度はエース交易が出ている。エース交易というのは、「七〇年代以降だけでも紛議が二十七件に上っている。」それからもう一つは、この会社は「トラブル続出国際商品取引の“先導役”をしていた。」はっきり指摘している。それから西王商事というのがまたこれに載っかっている。これは「東京金属地金市場というブラック市場に参加していた「西日本商工」が名称変更したもので、同社から一億円近い被害を受けた人も出ている。」こう指摘されている。こういう人たちを平気で入れているわけだ。だから私は、あなた方の言うことは信用ができないんです。そこで、こういうものを入れた理由というものをちゃんと言ってください。
  14. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 先ほど申しましたように、今回の許可基準といたしましては、一つは、純資五億一千百万と従来の例に比べますと大変高額になっているわけでございますが、そういった点が一つ。それから、御指摘のような社会的な信用という点から、従来のことも含めまして、そういった点のチェック。それからまた、受託収支見込みがどうであるかというふうなこともチェックのポイントに入れたわけでございます。そういうふうなことから選ばれた四十社でございます。四十社と申しますが、その中には十社ばかり、いわゆる従来の商品取引員でない社もございます。したがいまして、従来の商品取引員は三十社でございますが、それにつきまして、ただいま申しましたような基準に基づきまして審査してきたわけでございます。いま御指摘の点につきましては、私いま手元に詳しい資料は持っておりませんが、やはりそういった点から検討チェックしてきたわけでございまして、私どもとしては、この三十社あるいは四十社、定員の四十社につきましては十分審査もし、四十社を選んだというふうに考えているわけでございます。
  15. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 この前の予算委員会でも指摘したように、百数社の会員を認めたのですね。その中から四十社選んだわけですね。そうすると、四十社の中に取引員というのがこういうかっこうで入っているということは、これはやはり重大な問題。したがって、私がさっき言ったように、いわゆる純資産であるとかあるいは受託収支見込みであるとかということよりも、もっともっとやはり社会的な信用というのですか、過去においてそういう変な商法はやらなかったということで消費者を保護するのでなければ、本当に金の先物取引所を開いてもますますトラブルが起こるおそれがあるということを指摘しておきたいと思うのです。  そこで、いわゆる商品取引をやる者に対して、これは現物取引ができないようにした方がいいのではないかというふうに私は思うのです。特に、今度取引員の中で登録外務員が出てくると思うのです。この外務員一般消費者勧誘するような形が出てくると思うのですね、あるいは委託を受けるというのか。そういう場合に、現物をネタにして、そして入り込んでいくということが多い。したがって、現物取り扱いはさせない、こういうふうにすべきではないかというふうに思うのですが、その点はいかがですか。
  16. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 商品取引員は、御承知のように金の当業者から選ぶことになっています。つまり当業者でございますから、現物取引があわせ行われるということが全くないかと言えば、それはそういうケースがないわけではないと思われます。  ただ、その先物取引勧誘に際しまして、現物取引を何らか、いまえさにとおっしゃいましたが、そういったことで特別に委託者関心を引くような先物取引勧誘の仕方をする。たとえば、私どもは今回、金の先物取引につきましては、特にその点注意しまして、危険性の開示、つまり先物取引というのはいつももうかるとは限りませんよ、危険なこともあるんです、ということを太字でわかりやすく書かせる。それで必ずそれを提示義務を課するということまでやっているわけでございますが、そういったようなことを免れるために、現物取引をためにする手段として使うということは好ましくないことは当然でございますので、そういうふうなビヘービアにならないよう厳に慎むべく指導していきたい。具体的には、たとえば講習会等をすでに始めつつございますが、そういったところでも、そのような御指摘の点なども十分指導していくということでやっているわけでございます。
  17. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 三月の十日に私の知人のところへ電話がかかってきた。金を買いませんかという電話なんです。まあ私の友人は金のことについては非常に詳しい。それから、じゃ、いらっしゃいということになって、呼んだ。そうしたら、最初は、金を買いませんか――名前を言いますと北辰商品というのだが、これから電話がかかってきた。そしてだんだん話しているうちに先物取引に入っていくのです。この手でやられると、素人はみんなひっかかっちゃう。だから、非常に危険なんです。みんなこれをやるわけです。しかも、女の人のところへ来る場合なんかには、大体六時間粘る。最初、女の人が電話をかけてくるのですね。だから、女の人だと思って油断をしていると、来るときにはたくましい青年が来るわけです。そしてその青年が始めるわけですね、まず金を買いませんかと。これは現物もない商法になっちゃうけどね。それで金を、これは一〇%必ずもうかるから、もし三百万円預けてもらえば三十万円先に上げますよ、あと三カ月たつと、後でそれは決済しますからと、こういうやり方でくるわけです。それで先物市場へ引き込んでいっちゃう。これがやり方なんです。北辰商品だって、会員の中に入っているでしょう。こういうのがいまどんどん――昨年の九月の二十四日に政令指定上場指定が行われた後で、これらのものがたくさん出てきているということは非常に問題であると私は思うのです。ですから、巧妙な手段をもって勧誘しますから、素人はとても太刀打ちができないわけですよ。  そこで私は、金市場が公認になったら、その政府のお墨つきをもらってどんどん勧誘をやるから、被害は絶対にふえるとも減らないということを前々から指摘しているわけです。だから、先物市場はいま開くべきではない、こう言っているわけなんです。こういう実例を知っていますか。
  18. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 いま御指摘実例そのものは私聞いておりませんが、商品取引に関しましては、従来からいろいろとトラブルが起こりがちだということは私どもも承知しております。そういうこともございますので、今回の金の取引所開設に当たりましては、従来の商品取引所の場合のやり方以外に、新たにいろいろな規制を設けているわけでございます。たとえば商品取引員外務員につきましても、これは外務員登録試験に合格しなければいけないとか、そういうふうなことは従来もやっているわけでございますが、特に今度の金の取引所の場合につきましては、たとえばその外務員が過去三年間に紛議を起こしていないかどうかとか、あるいはまた過去二年間その会社に在籍しているかどうかとかというふうなことまで要件に入れまして、かなりシビアな選考といいますか規制を加えることにしたわけでございます。これは、たとえば二年間同じ会社に在籍したということについて言いましても、一般外務員というものは、商品取引のみでなく一般保険などでもそう聞いておりますが、大変出入りの多い職業でございまして、そういった意味では、やはり一つ会社にある年限定着しているということはかなり一つ要件であるわけでございます。そういった点も十分勘案しまして今度やっておりますので、御指摘のようなことはできるだけこれを回避するように強力に指導していきたいというふうに思っております。
  19. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 二つお聞きします。  一つは、いま現物まがい商法が非常に横行しているわけでありますが、今度の先物市場開設でこれを完全に防ぐことができるかどうかということ。もう一つは、海外市場を利用した不当商品取引の防止について有効な手段があるかどうかということ。この二点。  これはついでにお聞きしますが、大蔵省は、証券業者が金の先物市場に参加することをやめた方がいいということで認めなかったというふうに聞いておりますが、その理由について、通産省はどういうふうに考えておられるか。
  20. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 現物まがい商法といまおっしゃいましたのは、最近新聞等にも出ておったものかと思いますが、これにつきましては、私ども資源エネルギー庁の方でも、流通協会等を通じましていろいろと指導しておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、そういった手を変え品を変えということになりますといけませんので、先ほど申しましたように、その点は厳しく指導していくというふうに考えております。私どもといたしましては、先ほどから申しておりますように、金を政令指定することでいわゆるブラックマーケットをなくそうということでやっているわけでございますから、その点は今後とも資源エネルギー庁の方とも連携をとりながら十分指導してまいりたいと思います。  それから、いわゆる海外商品取引所への受託勧誘についての規制の問題でございますが、これにつきましては、現在、商品取引所審議会に対しまして通産大臣から諮問いたしまして、どういうふうに規制するのがいいかということを御審議願っております。私どもといたしましては、できるだけ早い機会に答申をいただきまして、その線に沿って対応策を考えようとしておりまして、現在、その細部につきまして詰めているところでございますが、本日ただいまの段階では、まだ成案ができるに至っておりません。これは国内の取引所でなく海外取引所に関係することでございますから、いろいろとまた法律技術上にも特別の問題がございます。むずかしい問題もございますが、できるだけ何とか案をつくりたいということで現在検討中でございます。  それから、大蔵省の指導につきましては、私も十分その考え方等について聞いているわけではございませんから、いまここで軽々に申し上げるのもいかがかと思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  21. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 最後にお聞きしますが、五十三年ごろに、非常に大きく紛議が頻繁に起こった時期につくられたのが商品取引員受託業務に関する取引所指示事項、これは取引所指示事項ですね。もう一つは、新規委託者保護管理規則、これは業者間の管理規則である。これを遵守しているならば、本当はいままで紛議は起こらなかったわけなんです。ところが年々歳々多くなってきて、取引所自身信用がなくなって取引の枚数が年々減ってきている。そこに金の登場というものにやはり期待をした感がある。したがって、金の取り扱いをしていた当業者が参加をするのではなくて、いままで繭であるとか小豆であるとかいったような上場商品取引していたそういう人たちが泡を食って金の取引に飛び込んで、そして金の取引業者だというような形の中から現在の会員にもなり取引業者になるような申請をしてきた、これは間違いのない過程だと私は思っているわけであります。  そこで、現在、こうした規定がある場合、この規定について、たとえば新規委託者顧客カードをつくれというふうになっておるのですね。一般消費者から委託を受けた場合には、必ずそのカードの写しを通産省に届け出る、こういうふうなことをやって通産省がいつでもこれについてチェックのできるシステムをつくっておく必要があるのではないかと私は思うのです。そういうことについてはどういうふうにお考えになるか、お聞かせをいただきたいと思うのです。  そうすれば、勧誘をされた一般消費者側の方が、六項目か七項目の不適格者条項がある、その不適格者条項の中に入っている、たとえば年金生活をしているとか生活保護を受けているとかあるいは不具廃疾の者であるとかいうような人たち、そういう人たちには絶対勧誘をしないという規定があるわけでありますから、もうそのカードを見ればすぐわかる。そういうかっこうチェックをしていけば、私はトラブルを未然に防ぐことができるのではないかというふうに思うのです。そういうことをやる意思はないかどうか、お聞きしておきます。
  22. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 いまお話がございましたように、業界の自主規制を別途私どもとしても指導しているわけでございます。その中の一つといたしまして、いわゆる顧客カードの作製を義務づけているわけでございます。こういったことはもちろん自主規制の中の一環でございまして、そのほか新規委託玉の建て玉制限とか、それからいま申されましたように、未成年者等には勧誘しないとか年金生活者あるいは母子家族等々には行かないというふうなことを自主的にやらせているわけでございます。  そこで、ただいま御指摘の点は、そういった顧客カード通産省一つ一つ届けさせたらどうかということでございますが、私どもといたしましては、これはあくまでも自主規制ということで、自主的な、自律的なチェックの中で行わせるように指導しているわけでございまして、役所が一人一人の顧客カードをそろえるということは、技術的にも大変むずかしい点かと思いますし、またそういうことでなしに、自由なる営業の中において、なおかつ厳しく自主的にみずからを規制していくということが、やはり基本的なあり方ではなかろうかということで、今後とも自主基準を設けさせた上で厳しく指導していきたい、そういう考え方でいくのが適当ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  23. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 その自主規制自主規制といってやらせてきたのがうまくいかなかったから、私はこう言っているのでね。自主規制一つもうまくいってないじゃないですか。トラブルが年じゅうあって、何十億、何百億というトラブルが起こってきている、損害を与えている。もう何百件ものトラブルが起きているわけですよ。幾ら自主規制をつくったってちっともできない。そこで信用ができないから通産省はタッチすべきだと言っているわけです。  それから、技術的に何がむずかしいのですか。業者の方が届けを出すのです。それを重ねておけばいい。問題が起きたら調べればいい。ときどき抽出的に調べて、これはまずいということになれば、指摘して、そういうことをやめさせるようにやればいいのだから、そんなのはちっとも技術的にむずかしいことはないじゃないですか。通産省はそういうめんどうくさいことはやりたくないという考え方の上に立って答えているのじゃないかと私は思うのです。どうですか、めんどうくさがらないで、消費者保護のためには、国民を守るためには、やはりやらなければいけない。これは行政の姿勢だと思うけれども、もう一回回答を求めます。
  24. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 この自主規制につきましては、取引所を通じて今後とも指導を厳しくしていこうというふうに思っておりますが、従来これで成果が上がらなかったではないかという御指摘でございます。確かにすべての点において十分であったということは言えないわけでございまして、事実いろいろとトラブルがあったことも承知しております。そういう反省の上に立ちまして、今回、先ほどから申しましたようなことを、従来の取引所には課さなかった規制を課しているわけでございまして、いまの自主規制カードの問題は、規制の中のあるいは自主規制の中の一環でございますが、私どもといたしましては、当面は取引所をさらに督励いたしまして、御指摘のようなことを十分踏まえまして、厳しい指導をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。私どもも従来以上に厳しくやるつもりでございますし、それからまた金の商品取引所というのは、近くロンドンでも開設されるというふうに聞いておりますが、国際的な性格を持ったものでもございますので、私どもといたしましても、国際的に見ても恥ずかしくないようなものをつくりたい、そういう気持ちでやっておりますので、その辺はひとつ十分御理解をいただきたいと思います。今後とも厳しく指導していきたいと思います。
  25. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 理解したいんだけれども、なかなか理解できないところに問題があるので、これはまたこの次にやりますから、この辺にしておきます。  次は、金を取り上げたから、今度は宝石の問題をひとつ。  国税庁の方に聞きますが、宝石類は、その販売方法あるいは外国からの持ち込みなどがあって、かなり脱税のにおいが濃いというふうに考えておりますが、その辺のところは、税収の問題と脱税しやすいというような現状についてどう把握されているか、御説明をいただきたい。
  26. 岩井説明員(岩井和雄)

    ○岩井説明員 お答えいたします。  脱税の実態についての御質問でございますが、私どもといたしましては、調査実績でお答えをさしていただきたいと思うのでございますが、昭和五十五事務年度、昭和五十五年七月から五十六年六月までの期間でございますが、第一種の物品税の課税物品、これはいまお話しの宝石等が約七、八割を行ってございますが、第一種の課税物品販売業者の約一四%、一万五千四百場に対して調査を実施いたしました。その結果、七五%程度のものから申告漏れが発見をされております。ただ、これは申告漏れでございまして、いわゆる脱税事件として調査をいたしましたもの、犯則調査をやりましたものは、この一万五千四百場のうちの約八百件でございます。  なお、宝石等だけを取り上げて申し上げることはちょっと困難でございますけれども、第一種の課税物品、これは宝石のほかにじゅうたん、毛皮のたぐいが入っておりますが、その税額は、五十五年度の場合千二百四億でございます。  以上でございます。
  27. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 物品税ですと、一番税収の多いのが自動車類ですね。その次が電気用品類。クーラーが非常に多いわけでありますが、その次がテレビ。四番目に貴石、半貴石あるいは製品、こういうふうになっていると思うのですね。五番目は写真機類。こういう順序でありますが、いま物品税ですと一兆円からになるというふうになっておりますが、自動車類には脱税というのはないわけですね。これは車検がついているから脱税はできない。ところが宝石にはなかなか一品一品できない。持ち込む場合には石で持ってきます。石で持ってきて、内地で加工させて指輪にしてしまえばわからぬ。そういう点で非常に問題が出てくると思っているのです。  それから、宝石の場合にはにせものか本物かというのは鑑別が非常にむずかしいですね。私は、鑑別というのはにせものか本物かを識別することだと思うのですが、これがなかなかむずかしい。私はこの間ひすいを見たのですが、すばらしいひすいだなと思ったら、それは色をつけたひすいだということなんで、これは色をつけることができるというふうになっているわけであります。したがって、問題なのは、こうしたいわゆる脱税というのか申告漏れというのか、そういうもののできるような体制をとっておくのでは、これはまずいのじゃないか。そしてまた、そのことはやはり消費者保護にもならないのじゃないか。というのは、素人にわからないようなものですと、値段のつけ方が結局まちまちになって、どんなに高いものを買わされてもわからないという状況が出てくるのじゃないかと思うのです。そこで、何とか正式な手続のもとにこの宝石類が売買できるような制度というものをつくっていく必要があるのではないか、こういうふうに考えますが、その点、国税庁の方としてはどういうふうにお考えになっておるか、お伺いいたしたいと思います。
  28. 岩井説明員(岩井和雄)

    ○岩井説明員 先生御指摘のような状況が若干あるわけでございますが、税法の面から申し上げますと、昭和四十八年に販売業者証明制度というものが設けられまして、脱税を防止する。さらに具体的に申し上げますと、もぐり業者等によって裏商品化された品物が流通するということを防止いたしますために、あらかじめ税務署長から販売業者証明書の交付を受けまして、販売業者の間で取引をされる場合、たとえば卸売業者と小売業者との間で取引がされるような場合には、その販売業者証明書の確認をしておいていただきます。記帳等をしておいていただきますが、それを義務づけておりまして、その確認がない場合は、たとえ仲間同士で売った場合においても、消費者に小売りをしたものとみなして課税をさしていただく、こういう制度を四十八年から設けております。それによりまして、逐次脱税の防止なり取引の正常化が図られつつあるものと考えております。
  29. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 通産省にお聞きしますが、ダイヤモンドの場合には、私の手元にある資料で言いますと、一番品質の悪いものと言ってはおかしいけれども、下のものについては一カラット五十五万円ですね。それから一番いいもの、純度が九五%ぐらいのものになりますと一千万円以上、一千六十八万円という国際的な価格になっております。これだけ問題があるわけです。どうしてこんなに差があるのかと聞きますと、たとえば光、色のよしあしであるとか、あるいはきずがあるかどうか、それから硬度、純度がどうだとか、いろいろな要素があるようであります。そこで色とか浄度、形とかいうものについて等級のようなものがつけられていて、それによっていま言った大変な価格の差が出てくるというふうに言われておるわけですね。ところが素人から見ると、これはなかなかわかりませんね。したがって、素人が買わせられる場合には、自分の買おうとしているものが一体どの辺の等級にあるかということを把握することができない。したがって、何をつかませられるかもなかなかわからない、こういう形になってくると思うのです。  そこで、私はこれは鑑定の基準というものがどうしても必要になってくるのじゃないかと思います。それでないと、これから財産形成にも役立つということになりますと、これは宝石類に対する魅力というものが出てくるわけでありますから、そういう点で問題が出てくるのじゃないか。ところが、現在は鑑定の基準というのは実際ありません。それから鑑定人がまた問題になりますね。いまは国家的に鑑定人として認められる人はいない。任意団体をつくって、そこで講習なりなんなりを受けて、一応鑑定人という証明書を出して、それをもらっているけれども、これはたとえばその鑑定人のいわゆる考え方一つによって変わってしまうのですね。それからもう一つは、販売する方がもし鑑定人に依頼するとすれば、それは販売者の意向というものが強く反映をせざるを得ない。そうなりますと、消費者は本当にいいものをつかませられるという形にならない。その辺のところの制度的なものを確立すべきではないかというふうに私は思っているわけです。その点についてどういうお考えかをお答えをいただきたい。
  30. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から鑑別の問題あるいは鑑定の問題あるいは宝石の取引上のいろいろな問題について御指摘があったわけでございます。  御案内のことだと思いますけれども、若干御説明をいたしますと、この宝石がダイヤモンドであるのかあるいはオパールであるのかあるいはルビーであるのかといった識別につきまして、これを識別することを鑑別と言っておりますけれども、これにつきましては屈折率であるとか比重、宝石も鉱石でございますけれども、そういった鉱石が持っております自然の性質に基づきまして、科学的に、客観的に識別するという技術はかなり確立しているというふうに思います。ただ、たとえばこれがダイヤモンドであるというふうに鑑別された上で、しからばそのダイヤモンドがどのくらいの品質の価値のあるものであるかという点の評価が次の問題になります。これを鑑定というふうに申しておりますけれども、宝石の鑑定基準につきましては、率直に申しまして、余り一般的にははっきりしたものがないというのが現状だと思いますが、ダイヤモンドにつきましては、鑑定基準が最も宝石の中で整備されているという分野でございます。ただ、ダイヤモンドにつきましても、先生からいま御指摘がございましたように、これは国際的にもいろいろな基準がございます。一例を申し上げますと、アメリカ宝石学会でやっておりますGIA方式というようなもの、あるいは英国宝石学協会でやっておりますイギリス方式であるとか、あるいは国際貴金属宝飾品連盟、CIBJO言っておりますけれども、CIBJOの方式であるとか、あるいはそのほかスカンジナビア方式とかドイツ方式とかいろいろございます。いろいろ国際的に方式がございまして、現在のところ国際的にもダイヤモンドの鑑定基準は統一されていないという状況でございます。  なお、これらの方式はカラット、カット、カラー、クラリティーといったいわゆる四Cをベースにして基本要素にいたしまして鑑定をするわけでございますけれども、その四Cのグレーディングにつきまして、その基準ごとにいろいろ微妙な差があり、かつ実際にそれを鑑定する場合に、どうしてもその鑑定人の主観が入ってくるということで、非常にむずかしい問題がございます。  おっしゃいますように、基本的にはできるだけそういったいろいろな鑑定基準を統一化していく方がいいではないか、消費者保護のためにいいではないか、これは私どもも基本的にはそう思っております。ただ、実際問題としては、長い歴史の中で積み上げられたいろいろな鑑定基準が現に国際的に通用しているということで、すぐに統一を図るということはなかなかむずかしいという状況でございます。ただ、最近、業界の中におきまして、消費者信用を失うということは、業界にとっても死活の問題になるわけでございますから、そういうような自覚のもとに、できるだけ各鑑定基準の間の総合的な調整を図っていこうとか、表示の統一をできるだけ図っていこうとか、用語の統一を図っていこうとか、いろいろなそういう動きが出てまいっておりまして、私どもとしては、そういう業界の動きに対応しながら、そういう方向を支援してまいりたいというふうに思っております。
  31. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 基準をつくるということは非常にむずかしいことは私もよく知っておりますし、たくさん方式もあるという形でありますが、日本に一番適したようなものを研究する必要がある。一昨年の三月か五月の商工委員会で、佐々木通産大臣のときでしたかね、前向きにそういう問題について検討する、あるいは鑑定人の登録等についても検討するというようなお答えがあったのを私は覚えているわけでありますが、そういう点についてもひとつ研究をしていただきたいと思うのです。  いまのお話のように、鑑定士の問題は、いまのところ登録もできていない、任意団体の認定のもとに鑑定が行われておるというような状況でありますが、私の知っている人で、鑑別の仕方あるいは鑑定の仕方について特許を取っている人がいるわけです。特許を取るということは、これはそういうことについて国が認定をしたというふうに思うのです。そうしますと、たとえばその人が一人だとすれば、国が鑑定士としてきちんと認めているというのはその人一人になってしまうのじゃないか、こんなふうに思いますが、その辺のところは、もしこうした特許を取るというような形でそれの認可がおりているとすればどうなりますか。
  32. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 ただいまの先生のお話、私は具体的に余り正確に聞いておりませんけれども、ちょっと私が耳にしたところでは、鑑定書のフォームについて特許というようなことではなかったかというふうに聞いております。いずれにいたしましても、通産省が仮にこういう鑑定書のフォームについて特許を認めたとしても、一つの鑑定方法を公認したということとは別問題というふうに思っております。
  33. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 鑑定のフォームというのは何ですか。鑑定の仕方という意味ですか。
  34. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 鑑定書でございます。鑑定しますと、鑑定書を発行いたしますので。
  35. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 この人は自分で鑑定書をつくり出して、こういう方式にすれば、確実な鑑定のもとにある程度脱税も防げるであろう、宝石についても信用度が増すであろう、そこで消費者の保護にもつながるであろうというような形から、それだけのものを発明をして、そして特許を幾つか取ったという形になれば、このこと自体はすばらしいことであるというふうに思うのですね。ほかの人はそういうことをやらないで、任意に、恣意的に鑑定をしていくという形のフォームが強いということになるわけでありますから、こうした国家的な資格のもとに鑑定ができるあるいは鑑別ができるということになれば、それはかなり権威のあるものとして私は位置づけて差し支えないのじゃないかというふうに思いますが、その点はいかがでしょうか。
  36. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、鑑定書のフォームについて特許を受けたというふうに私は耳にしているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、業界の中で現在いろいろな動きがございます。その中で、たとえば鑑別、鑑定書の基本的な記載表示規定の作成というものを業界の中でやっていこうという動きも出ているわけでございまして、業界の中にそういう動きが現に出てきておりますので、私どもとしては、そういう動きに対応しながら、そういった面でも消費者保護という観点からの体制というものを整えていくように努力してまいりたいというふうに思っております。
  37. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 この人は小林さんという人ですが、小林式というようなフォームを実際つくったのですね。そして宝石の小型台帳というものをつくって、それが卸売業者からまず鑑別所に行って識別してもらう。そしてその宝石について今度はいろいろ鑑定をして、そしてある程度等級なり何なりができる。それから仕入れ価格もあれば、それをちゃんと記入して、そして卸業者のところへ戻す。そうすると、卸業者はそれを小売業者に売るときには、そのカードをつけて小売業者に売る。そしてそのカードの一部は国税庁の方へ届けておく。それから今度は、小売業者はそのカードをもとにしてそこに販売価格を入れる。そして消費者に売る。売る場合には、売った写し、コピーを今度は最寄りの税務署へ納める。そうすると、ここではもう脱税ができない。どんなものが売れたか、どんなものであるかということはきちんとわかるようになる。それから消費者の方も、ちゃんと証明書つきの宝石を買うことができる。こういう形のものをやっていく必要があるのではないか。そのことがいわゆる脱税防止にもなるし、あるいは盗難防止にもなるし、一面、もちろん消費者保護になる。したがって、いままで何かわけのわからない、値段のまちまちな、何をつかませられるかわからないというようなものが、きちんとした証明書つきの宝石を買うことができるということによって、販売店についても信用度が増大をして、そういう非常に大きなメリットが出てくるということであるならば、これについては研究をしていく必要があるのではないか、こういうふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。
  38. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 お答えいたします。  先ほどから申し上げておりますように、現在の宝石の取引の実態については、鑑別、鑑定の問題を含めていろいろ問題がございます。私どもとしては、そういった問題を含めていろいろ勉強してまいりたいと思っておりますけれども、そういった中で、先ほど先生からお話がございましたような問題も含めて検討してまいりたいと思います。
  39. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 いま宝石が一番よく売れるのは、何といってもデパートなんですね。これはデパートの信用ということが一番だと思うのですが、たとえば小売価格が百万円のものですと、税金が大体一三%から一五%ですね。一五%とすれば、百万円のものは十五万円。それからデパートの手数料というのは大体二〇%だというふうに言われておる。そうすると、これが二十万円。そこで原価が三十三万円とすれば利益が三十二万円、こういう形になってくると思うのですね。この倍の利益が実際はあるわけでありますが、これを三倍にもあるいは五倍にも売っているというのが実情なんですね。そうなりますと、税金の方は少なくする、あるいはデパートの手数料もなくすというかっこうで売る。したがって、ある商品によりますと、五百万円の六割引きだなんというのが出てくる。それでもちゃんと採算がとれているということになりますと、一体その宝石は価値があるものかどうかということ、全く不可解な現象が出てくるわけです。そういうことをなくしていくことが必要じゃないかと思うのです。  外国の場合、特にヨーロッパの場合には、国が攻められたり攻めたりして年じゅう他国民が入ってきたり何かして、支配政権がかわったりするから、土地とか建物などの不動産については財産としての魅力というものがなかなかない。したがって、金であるとか宝石が実は財産になる。日本の場合にはそうした経験が余りないから、どうしても日本の財産形成というのは不動産になってしまう。金であるとか宝石であるとかいうものの蓄積あるいは財産としての蓄積というようなものをやらないという傾向があるのじゃないか、そういう国民性があるのじゃないかと思うのです。金の取引所が開かれたりなんかしますと、そういう考え方が少しずつ変わってくると思うのです。  そういう意味で、これからこうした宝石を持つ人、それは単なる好みだけではなくて、本当にりっぱなものを持ってもらうというようなところへ行政というものを進めていくべきではないか、こういう観点から質問をしたわけであります。こんな観点について感想があれば、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  40. 志賀政府委員(志賀学)

    ○志賀政府委員 先生から貴重な御意見をいろいろ承りました。最近、宝石の需要がかなり伸びてきているわけでございまして、やはり一つの資産保全という観点からの動きというのがその中にあると思っております。そういう面から申しまして、適正な取引の確保ということは、私どもとしても大変重要なことだというふうに思っておりまして、さらに、そういう面で努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  41. 上坂委員(上坂昇)

    上坂委員 終わります。
  42. 渡部委員長(渡部恒三)

    渡部委員長 清水勇君。
  43. 清水委員(清水勇)

    ○清水委員 実は、きょう私、質問を予定をしていたわけではないのですが、たまたまさきの大臣の所信に対する質問の際に、いずれにしても、現在、政府としては、五十七年度をもって日航製の廃止という閣議了解がある、そのことについては、いずれ機会を得て、航空機工業振興法の規定に基づく国産化を中心としたわが国の航空機工業政策の展開をどうするか、そうした基本問題等を踏まえながらこの委員会で十分議論を尽くしてもらい、そういうこととの兼ね合いで日航製廃止にまつわる閣議了解というものの処理について万遺憾なきを期していきたい、こういう大臣なり機情局長からの御答弁がございました。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕 ですから、四月に入って、わが党としては、いま申し上げたような点について集中的に質疑をし、審議を行いたい、こういう予定でいるわけなんでありますが、たまたまそのやさきに、実は日航製からYX協会に職員が出向している。この職員はもともと、通産省でも御存じのように、YXへの出向に当たっては、まあ極端に言えば片道切符で行くようなものであって、原会社復帰というようなことはおよそ想定されないという雰囲気の中で行っているわけですね。ですから、たとえばYX協会の中における労使間の協約等を見ても、日航製における労働協約の解雇条項とほぼ同じ原会社復帰条項というものがあるわけだと私は見ているわけですが、そういう意味で言うと、原会社への復帰というものはいわば人員整理、解雇への前提みたいな理解が相当であろうという受け取られ方をこれまでYX労使間では行ってきているのだろうと思います。ところが御承知のように、組合との協議がまだ始まらない前に原会社復帰を予告をする、三十日たてば効力を生ずるので、いやおうなしに原会社へ復帰せざるを得ない、復帰をすれば人員整理につながっていくというような新しい人事問題がそこから派生をしてくる、こういうようなことが具体的に言われているものですから、僕は、基本問題をこれから審議をしようというときに、そのやさきに、何か人事の問題あるいは人員整理につながるような人事をもっぱら先行させるというような、そういうYX協会なりあるいは日航製の会社当局のあり方というものは理解ができないので、その辺監督指導に当たっている通産としてはどのように見ているのか、まずお尋ねをしておきたいと思います。
  44. 豊島政府委員(豊島格)

    ○豊島政府委員 いま先生御質問の件に関しましては、財団法人民間輸送機開発協会に出向しておる職員の日航製への復帰の問題だと思いますが、これまでこの協会はYXの開発を推進してきておったわけでございますが、YXも一応順調に開発が最終段階を迎えるということで、ことしの夏には型式承認を取得するということで大体作業は終わるということになっております。したがいまして、協会におきましては、各社から出向しておる者に対しましては、作業が終わるということで、その減少に対応いたしまして逐次出向職員は各社へ戻っていただくというふうな態勢をとっておるものと聞いておるわけでございますが、日本航空機製造からの出向職員についても、そういうことで原会社への復帰ということが行われる。その手順としまして、二月二十六日に組合に対して提案が行われ、あるいは各自にも三月一日には通知が出たわけでございますが、協会は、原会社復帰提案については、労使間の過去の経緯から実質交渉についてのあっせんを都労委に申請しておるということでございまして、そういう都労委のあっせんによって今後団体交渉が行われる、こういうふうに聞いておりますが、私どもとしましては、協会から日航製への原会社復帰問題につきましては、この立ち会い団交の推移を見守っていきたい、このように考えております。
  45. 清水委員(清水勇)

    ○清水委員 私は重ねて局長に問いたいのですけれども、確かにいま言われるように、YX協会としての開発の業務は七月をもって完了する。だがしかし、YXの量産体制をどうするのか、あるいは新しい課題であるYXXの開発をどうするのか、これはまだ結論が出てないのじゃないですか。ですから、たとえばYX協会における労使交渉の過程で、五十七年度の事業計画を策定するに当たっては、人員計画その他について、その枠組みを組合と協議をしようということを一たん確認をし合った経過もあるわけですね。その後どういう意味でこれをほごにしたのか私はわかりませんが、いずれにせよ、現実にはYXの量産体制あるいはYXXの開発をどうするかという問題、これは先月の私どもとの議論の中でもはっきりしているように、通産は通産で、ひとつ具体的に検討を積み重ねる、この委員会におけるしかるべき時期に一定の方向づけを得たいと思う、そういう中で今日問題になる日航製の廃止にまつわる課題をどうしていくかというようなことも遺憾のないように進めさせてもらいたい、こういうことであったと思うのです。ところがその本来の基本問題に取り組む姿勢にやや欠ける嫌いがあるかどうか、これは見方の問題ですけれども、そういうものが感じられるときに、何か人事だけを日航製廃止という前提に立ってどんどん進めていく。これは非常に遺憾なことじゃないか。だからこの辺のところは、いま立ち会い団交があるから成り行きをもうちょっと見たい、そういう見方も一つあっていいと思いますよ。いいと思いますが、まず基本問題をきちっとして、それから日航製の問題についてどうするかということを考えていく、こういう姿勢を基本的に持ってもらわないとちょっとぐあいが悪いのじゃないか、こう思いますが、その点だけ答えてください。
  46. 豊島政府委員(豊島格)

    ○豊島政府委員 いま御指摘の、YXもいよいよ開発段階が終わって量産体制に入る、あるいはYXXに対して新たな開発を進める、こういう問題との関連でどう考えておるのかという御質問だと存じますが、まず今後の日本の航空機工業のあり方に関しましては、一昨年中間答申も出ておる、昨年本答申が出たわけでございますが、民間の企業のバイタリティーといいますか、それを活用して今後の日本の航空機工業は育成していきたい、こういうことでございます。  ただ、開発段階につきましては確かにリスクも非常に高いということでございまして、しかも相当巨額の金が長年にわたって使用される、こういうことでございますので、その開発段階につきましては、政府が一定のリスクといいますか、負担を負うということでございまして、したがいまして、その点は政府も援助する。しかし、量産といいますか、生産ないしは販売については民間の手で独自に行う、こういう方向を一応定めておりまして、われわれもその答申の線で今後進めていきたい。そういうものの一環として日航製の処理も考えておるわけでございまして、これが閣議決定へつながっておる、このように感じております。したがいまして、そういう背景といいますか、考え方をもとにいたしますと、YXの量産につきましては、第三者が中心でやるわけでございますが、そのほか、下にはいろいろな関係企業がつくということでございますが、いずれにしましても、そういう各社でやる。したがって、仮に窓口会社としての共同生産会社をつくるとしても、それは非常に小規模なというか必要最小限度で、主体は各社でやる、こういうことでございます。  それから、YXXの新しい開発についてはどうやるか。これは国際的な共同開発ということになりますから、相手方をどこを選び、どういうタイミングでやるかということがこれからの問題になるわけでございますが、いずれにいたしましても、開発段階における人といいますのは、前回も御説明申し上げたかと思いますが、最初のいわゆる予備設計という段階から本格的な基本設計に入っていく、それから最終段階ということで、そこに必要な人、これは量、数、それから質も異なってくるわけでございまして、それをいわゆる財団法人のかっこうで仮にやるとしましても、どういう人がどのくらいどういう年次別に要るか、こういうふうに計画を立て、あるいはそういうふうに人を配置するわけですが、その協会、新しい協会、いまある協会でやるか、その辺はまだ決まっておりませんが、いずれにしても、その人は各民間会社からといいますか、各社からの出向によって賄うということが最も効率的であるというふうに考えておるわけでございまして、そういう前提におきましてこの問題を考えますときに、現在の民間輸送機開発協会に出向しておられる方々が、民間及び日航製を含めて、その開発の終了に応じて原会社に復帰するということは、われわれのいままで考えております、また推し進めております航空機工業政策と矛盾するものではない、むしろその考え方にのっとってやっている、このように考えておる次第でございます。
  47. 清水委員(清水勇)

    ○清水委員 どうも僕は話の前後が逆になっているのじゃないかというような気がしてならないのですね。たとえばYXの量産体制についても、具体的な計画を鋭意検討している、あるいは関発体制についても、答申を踏まえて、今後はまあ民間のバイタリティーというか活力を活用しながらやっていきたい、しかし具体的にどうやるかというようなことは、これから検討しようというわけでしょう。ところがそういうときに、日航製の廃止という前提に立って人員整理の方だけはどんどんと推し進めていくという感じがしてならないわけですね。たとえば早い話、こういうことがあるのじゃないですか。技術者を中心に日航製の組合の組合員である諸君を十一人、原会社復帰という予告通知を出しているわけですね、YX協会の方が。同時に、たとえば管理職についても原会社に復帰をさせる、あるいは現に日航製にいる管理職もトータルをして、たとえば八名なら八名を最近他の法人に転出をさせる、こういうことをやっているわけですね。その結果どうなるかといいますと、さて先行き一体どうなるのかという、ただでさえ不安のある職員の諸君にとってみれば、管理職を中心にどんどんと他の法人に転出をさせる、つまり日航製をやめさせていく、あるいは十一人を原会社に復帰をさせるということは、前提として、これをやがて整理をしていく、こういうことにつながるという意味で、日航製の組合の諸君にとってみれば大変な不安が起こり、あるいは動揺が起こる、こういう人事だけが優先をしているように見えてならないわけですね。だから、私はせめて、まあ来月の九日という予定でいるのですけれども、私どもの方で少し集中的に航空機工業のあり方等についてひとつ審議を尽くしてみよう、その結果どうなるかということはわかりませんが、そういう将来展望というものをまず前提に踏まえて考えるということが基本にならなければならない。だから、私は、基本問題が現実に検討中というときに、人事だけを先行させるなんというようなやり方は、この際、監督官庁の立場で一時ストップをさせる、こういうことにしないと、円滑な労使間の交渉も進まないし、またそれを通じて実りある成果を生み出すこともできないのじゃないか、こういうふうに思いますから、その辺を聞かしてください。
  48. 豊島政府委員(豊島格)

    ○豊島政府委員 日本航空機製造の問題につきましては、昨年の閣議の了解によりまして、五十七年度末までに業務を民間に移管する、そして解散する、こういう方針がわれわれとしては出ておるわけでございまして、そういう方針で仮に考えるといたしますと、やはり最大の問題は、現在日航製で働いておられる方々、あるいは日航製からCTDC、民間輸送機開発協会に出向しておられる方々の職を十分確保する、そういう問題が最大の問題だと思います。もちろんこれにつきましては、当事者であります日航製自身が十分努力をし、また責任を持って対処すべきことだと思いますが、われわれ通産省としましても、それにつきましては最大限の支援をしていきたい、このように考えておるわけです。  しかし、いずれにしましても、人々の就職になりますと、その人の適任、適材あるいは受け入れ側の事情ということもございますので、そういう基本的な方向のもとにおいて、希望される方、受け入れる側とあるいは出る方との考え方が一致すれば、そういう段階でお世話を申し上げるということは現実的な解決の方法ではないか。いま人が要る、しかも適当な人が欲しい企業あるいは団体、それからそういうところへ就職したい人がいるときに、これはしばらく待てということになりますと、そういう口も失われ、御本人のためにとっても非常に遺憾なことになるのではないか、これが現実的な考え方。ただ、組合員である方につきましては、そういうことにはなかなか応じないという現実がございますので、たまたま管理職だけが行っておる、こういうことだと思います。いずれにしましても、CTDCの仕事が減るということになりますと、当然日航製への復帰ということになる、その上で最終的に雇用問題をどう解決するかということでございます。  ただ、先生、ここで審議しておるときにということでございますが、われわれも、この方針につきましては、国会の場で御審議いただき、十分の御理解をいただきたいという気持ちはいまでも変わっておりません。しかし、いずれにしましても、そういう基本的な背景があるわけでございますが、現在の段階で申しますと、いわゆる組合、労使間の問題につきましては、都労委にあっせんを依頼し、その立ち会いのもとに団交するということでございまして、その団交を見守りつつやりたいということで、その団交なくして一方的にということにはならないということでございますので、その辺御理解いただきたいと思います。
  49. 清水委員(清水勇)

    ○清水委員 時間もありませんから、あれこれと言いたいことは割愛をいたしますが、たとえば、今度の管理職を動かすという中で、プロダクトサポート業務に欠くべからざる補用品の供給という部署を担っている補給課長をやめさせるわけでしょう。これは昨今の日航事故にまつまでもなく、YS11の安全運航は国の責任でもあるわけですね。そういうときに担当課長をやめさして他に転出させる、そういう点は、局長がりっぱなことを言われても、大変な誤解、たとえば安全運航を軽視していると見られたって仕方のないような見方だって生まれるだろうし、それから何か都労委の立ち会い団交待ちみたいなことを言われていますけれども、これはこれで当該YX協会の労使の間で行うことですから、それはそれで見守るということでいいかもしれません。だがしかし、いずれにしても、今後の航空機工業をどうするのか、YXをどうするのかということを踏まえて、この問題を円滑に処理できないとすれば、これは大変な問題を残すことになるわけです。だから、何か相手があって、相手の必要なときに人をやらなければ後でどうこうというような御議論もございますが、そうではなしに、百年河清を待てと言っているのじゃないですから、われわれも四月九日に集中的にこの問題をここでやろうじゃないかと言っているのですから、そういう点も考察をしながら、ひとまず一定の基本問題が明らかにされるまでは、監督官庁として、たとえば日航製の労使間、YX協会の労使間などで人員整理ということを前提にした人事問題を先行させるということのないような、そういう指導をこの際きちっとさせた方がいいんじゃないか、その方がベターじゃないか、こういうことを私は言っているのですから、その点ひとつ、時間がありませんからこれ以上申しませんが、局長の方からきちっと答えておいてください。
  50. 豊島政府委員(豊島格)

    ○豊島政府委員 ただいま先生御指摘ございましたプロダクトサポートの補給課長が就職をする、そんなことでYS11の安全が保障されるのか、こういうことでございますが、私たちも、もちろん就職先があればどんどん行っていいということで、無責任なことを申し上げておるわけでございませんし、またそのように先生受け取っていただきましたら、私どもの申し上げ方が足らなかった、こういうことだと思います。いずれにしても、そういう具体的なケースにつきましては、当然のことながら、現在、日航製が現実に負っております責務を果たすことにおいて問題があるというようなことはない、少なくともそういう前提で進められておるということは申し上げておきたいと思います。  なお、航空機工業の今後の育成についての基本方針、ここでも御審議いただくわけでございますが、それにつきましてわれわれの考え方も再三申し上げておるわけでございまして、それを御理解いただかなければいけないし、またそのような御支援もいただかなければいけないわけで、十分この場で御審議いただくことについては承知しておりますし、また、先ほど来先生のおっしゃいましたお考えというものについても、私どもとしては十分尊重して考えていきたいと思っております。  いずれにしましても、現実の問題は、そういう政府の考えておられる方針あるいは先生方が御指摘の問題点をよく踏まえまして、この問題は進めていくということにいたしたいと思います。
  51. 清水委員(清水勇)

    ○清水委員 時間が来ましたから終わります。
  52. 渡辺(秀)委員長代理(渡辺秀央)

    渡辺(秀)委員長代理 中村重光君。
  53. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 機情局長にいまの件で申し上げておきますが、答弁を聞いていると誠意を持って対処していこうという姿勢は非常に感じられるのですが、この問題は、長い間働いている労働者の人たちも不安の中に毎日を過ごしておるということは御承知のとおりです。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕 私もこの問題では質疑もしましたし、また直接いろいろと考え方も御説明をいただいてきたわけです。あなたの方では、同種の航空機会社、さらには特殊法人あるいは新しくYXXの製作ということになったならば、そこへまた復帰をしてもらうといったようなことで、不利益な扱いをすることがないように責任を持って対処していくというのがいままでの説明でもあったし、いま清水委員の質疑に対しての答弁も、その線上の答弁ではあるのだけれども、何かしら労働者を早く処理してしまって、散らしてしまって身軽くなりたいという気持ちが先行しているのではないかというような感じも受けないではないのです。そうではなくて、やはり働いている労働者の問題等が最大の重要な問題点であるという認識の上に立つならば、その考え方のとおり具体的な面で労働者の人たちが安心して、そして一時的に同種類の会社に行くこともありましょうし、あるいは特殊法人の方に行くこともありましょうし、あるいはその他のことで合意をすることがあるだろうと思います。納得ずくでこの問題が処理されるようなことでなければいけない、そのように思います。  清水委員の質問に対するあなたの最後の答弁が同じような形で返ってくるのかもしれませんけれども、もう一度その点に対して労働者に納得してもらう、その上でこの問題を処理するということでひとつお答えをいただきたいと思います。いかがですか。
  54. 豊島政府委員(豊島格)

    ○豊島政府委員 日航製の解散を前提としまして、どうも先駆けて早々と人を散らしてしまおうという考え方があるのじゃないかという御懸念ないし御質問であったかと思いますが、もしそういうことであれば、日航製の職員で民間輸送機開発協会に出ております方々をもとへ復帰させるということよりは、むしろそこへ出ておられる方が仕事がなくなればどんどん何かしていくというようなことになってしまうと思うのです。そういうことを考えておるわけではなくて、現実問題として、一応御復帰いただいて基本的に考えていくということが筋じゃなかろうかと考えておるわけでございます。ただ、そうは言いましても、具体的な御希望がある方でいい就職先があれば、それは将来のことも考えてある程度勧めざるを得ない、こういうことだと思います。  それから基本的に、先生のおっしゃいましたように、長年日本航空機製造で日本の航空機工業、国産航空機の開発、生産ということで夢を持っておられた方々が、仮に日航製が解散されても、将来どのようにやっていくかということにつきましては、われわれも十分配慮すべきだ、そういう方々の気持ちは考えるべきだと思います。したがいまして、そういう方々がいままでやってきた職場と同じような航空機工業の面で、仮に解散になってもできるだけそういう職場で働いていただけるような配慮というのが必要だと思います。さらに、開発段階ごとにまた人が要るというときも、そういう機関に出向していただいて、従来と同じような考え方の仕事をしていただくということも必要だと思います。いずれにいたしましても、人は解散すればどこでもいいのだということではなくて、皆さんの希望が最大限かなえられるような努力だけはわれわれも十分していきたい、こういうふうに考えております。
  55. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 いまの答弁のとおり責任を持ってこの問題には当たる、そういうことで期待をいたしておきます。  きょう私は、橋口公取委員長、さらに河本経企庁長官に、この前三時間ぐらい時間をとれるようにと、委員長、あなたに――そういうようなことであったので期待をしたのですが、参議院の方に経企庁長官が行っているらしいので、時間が重なってしまったということですから、改めて経済問題について、重要な問題ですから十分審議ができるような時間がとれるように、委員長の方で配慮をしていただくように要請しておきます。
  56. 渡部委員長(渡部恒三)

    渡部委員長 はい、わかりました。
  57. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 公取委員長にお尋ねをいたします。  つい数日前もセメント業界に対する立入検査をおやりになった。現在のような経済不況、まさに輸出は頭打ちになり内需は伸びないということで、日本経済はこのままいったら失速するのではないかという中において、どうも企業者の不公正な営業姿勢というのが改まらない。いまのセメントにいたしましても、私はこれは悪質だと言わなければならぬというように思うのです。出荷停止の問題にいたしましても、数年前も出荷停止をするという態度に出まして、これは大変な事態になるということから、ちょうど年度末でございましたので、急遽商工委員会理事会を開きまして、日本セメント協会の方にも接触し、関係各省とも話し合いをいたしまして、その際は出荷停止を最小限度にとどめることができたということなんですが、そのときも、当商工委員会の方で積極的な対応をしなかったならば、恐らく全国的な出荷停止が行われて大混乱に陥ったであろう、そう私は考えるのです。前にも価格の問題でありましたか審決が行われるということがあったわけでありますし、性こりもなくそういう不当な商行為を行っているということであるわけですから、今後この問題についてはひとつ勇断を持って対処してもらいたいということを強く要請し、公取といたしまして、そうした不正不当な行為に対して強い姿勢をもって立ち向かっておるということを高く評価いたしたいと思います。  そこで、やみカルテルの問題に対しまして異議申し立ての棄却がなされたわけでございますが、私は当然であるというように思うのです。ところが通産省は、産政局お見えですね。「従来通り行政指導」「価格カルテルに関する石油連盟の「審決」取り消し請求が最高裁で棄却されたことについて通産省首脳は九日、「裁判所の判断は行政指導のあり方について特別に指摘しているわけではなく、関係はない。そもそも裁判所が行政指導についてあれこれいうはずはなく、これまで通り行政指導は続ける」といっている。」しこれは新聞記事であるわけでありますし、また、「首脳」というだけで固有名詞が出ていないということで、後で産政局長から考え方をお尋ねをするわけでございますが、公取委員長といたしましては、通産省のこの考え方というものが事実であったとしますと、どのような見解をお持ちになるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  58. 橋口政府委員(橋口收)

    橋口政府委員 去る三月九日の最高裁判所の判決は、一昨年の九月の東京高裁の判決に加えての画期的な内容のものでございまして、違法なカルテルを行っている場合に、仮に行政指導がありましても、それによってカルテルの違法性はなくならないという趣旨でございます。  行政指導と独禁法との関係につきましては、先生御承知のように、昭和五十六年三月に「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」というものを取りまとめまして、関係省庁に通知をし、その配慮方を要請し、各省の御理解を得ているところでございます。通産省御当局も、この考え方に沿って行政指導をやっておられるものというふうに考えておるわけでございまして、御指摘のございました新聞の記事を私も見たのでございますが、考え方としましては、法に触れない範囲で、石油業法の許す範囲内での行政指導は従来どおり続けていかれる、そういう御趣旨であるというふうに理解をいたしておるわけでございまして、万に一つもそういうことはないと存じますし、またあってはならないと思います。仮に事業者なり事業者団体に対しまして共同行為を誘発するような行政指導をなさるということがあるとすれば、それは「考え方」にも触れるわけでございますし、独禁法に触れた事業者または事業者団体に対して多大な迷惑が及ぶわけでございますから、そういう違法な行政指導をなさるはずはないというふうに考えておるわけでございます。
  59. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 この判決直後に、新聞記者の取材に対しての通産省首脳としての考え方が示されている。いま公取委員長がお答えになりました、法に触れない範囲においての行政指導ということになってまいりますと、各省設置法ということによる行政指導は、法に触れるおそれ十分であり好ましくない、標準価格等の特別法によるところの行政指導というのは、法に触れる場合というのが比較的少ないというようなことになることは、私も理解をいたしておりますけれども、申し上げたように、この判決直後に、このような談話を発表するというようなことになってまいりますと、行政指導があっても違法であるということをはっきり判決は示しているということ、私はこれが大きな問題点であり、問題点であるということよりも重要な点であるというように思うわけでございます。そうすると、石油連盟側は、通産省の行政指導によってやったんだから、われわれはこれによって罪を問われることは納得できないということで争ってきたわけであります。ところが、行政指導があっても違法であるという判決がなされた。これに対して通産省首脳が従来どおりやるんだという意思を表明したことは、法に触れることであったにしても、従来どおり行政指導をやっていくんだということになると、違法行為を手助けするということにつながっていくと私は思う。全然別な場合においてこのような談話を発表をしたわけではないわけです。一面、この判決に対する反論とも受け取られかねないわけであります。この点に対して、この記事をお読みになって公取委員長はどのような感触をお持ちになったのか。法に触れない範囲で行政指導をするのだというように受け取られたのでしょうか。いかがですか。
  60. 橋口政府委員(橋口收)

    橋口政府委員 私も新聞の記事を拝見いたしましたが、発言の内容につきまして論評するのは適当でないかと思いますが、必ずしも適当な発言ではなかったというふうに考えております。判決の中でも行政指導はどういうものであるかということを明確に定義をいたしておるわけでございまして、いわゆる行政指導なるものは、「通商産業大臣が法律上の強制権限に基づいて行うものではなく、通商産業省当局の単なる指導にとどまるものであるとともに、」というふうに明確に言っておるわけでございます。つまり「単なる指導にとどまるもの」と法律とどちらが優先するかといえば、これは当然法律が優先せざるを得ないわけでありますから、したがって、法律をじゅうりんするような行政指導、その結果として、先ほどもちょっと申しましたように、民をあみすることとなるような行政指導が条理上行われるはずがないというふうに思うわけでございます。したがいまして、新聞の記事に関しましては、私は適当ではないというふうに考えております。
  61. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 産政局長、あなたもこの新聞記事をお読みになっただろうし、首脳ですから、私はあなたがこのような考え方を示されたとは思ってはいないのだけれども、あなたが担当局長であるわけでございますので、この判決に対してどのような考え方をお持ちになっているのか、今後どのような態度でもって対応しようとお考えになっているのか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  62. 杉山(和)政府委員(杉山和男)

    ○杉山(和)政府委員 ただいまの御指摘の新聞の表現ですが、どこでだれがどういう発言をしましたか、それは私は現在確認をいたしておりません。  先般の最高裁の判決は、四十六年四月の行政指導とは別のところで行われました二月の価格協定自体の存否を問題としておりまして、その後特段の破棄行為がないので上告を退けたというふうに承知をいたしております。本件の判決は、四十六年四月の行政指導を受けて行いました業者の行為を問題にしておるのではなくて、行政指導自体に対する判断を示したものでもないというふうに私どもは考えております。当省は、従来から競争原理を尊重しながら、これを基幹といたしまして産業政策を展開してきておりまして、今後もその方向を変更するつもりはございません。  ただ同時に、市場機構にゆだねたままで放置すれば、雇用の不安定でございますとかあるいは通商問題等種々の社会的な摩擦を生ずるというふうな市場メカニズムが適切に作動しない分野におきまして、所要の政策的な補完措置が必要であります場合には、それに適時対応するのが行政庁の任務であるというふうに考えておるわけでございます。当省としては、こういう考え方に立ちながら、非常に変動しております経済情勢に適切に対応していくため、相手方の十分な了解を得ながら、今後とも適切な行政指導を行っていく考えでございます。ただし、行政指導を行うに当たりまして、事業者間で独禁法上問題を生ずることがないように十分な注意を払ってこれを行っていく所存でございます。
  63. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 どうも日ごろのあなたの答弁からすると、歯切れが若干よくないのだけれども、最高裁が行政指導についていろいろと判断を示したのではないというふうにおっしゃった。この裁判では、行政指導があったかなかったか、その業界としてはどういう行政指導があったということまで被告側は裁判所で述べて争っているわけなのです。だから、裁判所はそれを知っている。しかし、行政指導の内容をいろいろと判決の中に述べていないのだけれども、行政指導はなかったとは言っていない。ここが問題ですよ。行政指導はあっても違法であるという判断が示されたということ、ここを重視されないといけないと私は思うのです。そうしないと、私が指摘をしたように、どうも犯罪行為を助長するという形になりかねない。そこをひとつ十分肝に銘じておかなければいけないのではないかというように思います。  それから、時間的な制約もありますから、根掘り葉掘りという形でお尋ねしようとは思いませんが、この判決が出た当時のことでございますけれども、事業者団体に対しては行政指導はしてはいけないということだからされないけれども、個々の業者に行政指導をしていかなければならぬという考え方を通産省の当時の責任者が述べられた事実があるわけです。ところが、個々の業者に対するところの行政指導であっても、その業者が同調することを前提とした個々の業者に対する行政指導は、私は違法であるというように考えているわけです。再びこのような事件を起こしてくる、いわゆるやみカルテルになるということになるのだろうと私は思っています。この点に対する公取委員長の見解をお尋ねし、続いてあなたの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  64. 橋口政府委員(橋口收)

    橋口政府委員 個々の事業者に対して、当該個々の事業者の個別事業に関する行政指導というものが仮にあるとすれば、その違法性というものは大変少ないというふうに思います。ただ、個々の事業者に対する指導でありましても、たとえば生産量を一割減らすとかあるいは価格について何らかの発言をするということになりますと、他の事業者も同様の内容のものを行うことが期待されるわけでございますから、その結果として事業者間に共同の意思が形成されるという可能性は大変強いわけでございます。したがいまして、個々の事業者に対する行政指導と一言で申しましても、内容が幾つもあるわけでございまして、個々の事業者に対する個別的な事業に基づく行政指導と、個々の事業者に対する指導と申しましても、他の事業者への影響を伴うような指導とは、同じ行政指導でも内容が違って、後者の方が違法性が強いということが言えるのではないかと思います。
  65. 杉山(和)政府委員(杉山和男)

    ○杉山(和)政府委員 先ほどの判決でございますが、判決の中で、行政指導とはいっても、ある幅の価格引き上げもやむを得ないといった程度のものであって、販売価格の引き上げを指導したものではなくて、本件の価格決定とは内容を異にするものであるということを言っているわけでございます。それから、行政指導があったからといって、それが本件の協定が破棄されたということも認められないということで、行政指導以前にこれとは別のところで行われました価格協定自体を問題にしておるということで、破棄行為もないということで原告の主張を退けたものというふうに考えるわけでございます。  それから、ただいまの御質問につきましては、先ほど申し上げましたような内外の経済情勢の大きな変動というものに応じまして、個々の企業を個別に指導するということは従来も私どもはやってまいりましたし、また今後もやらざるを得ないというふうに考えるわけでございますが、その際に、業界を一括して行いましたりあるいは相互の連携で独禁法違反の疑いを生ずるような行為が生じないように十分注意をしてやってまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕
  66. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 いずれにしても、この行政指導というものを全くやらないということは、通産行政をやる上において不可能ということよりも、やることの方が適当という場合があり得るということは私も考えます。しかし、行政指導の問題にいたしましても、石油の上限価格を今度撤廃するということを言っているわけですけれども、いまはその石油の需給が緩んだ、緩んだからもう上限というものを抑えておく必要はないんだ、終わったんだという言い方、これはカルテルの独禁法上の問題として申し上げているわけではないのです。ところが、これを撤廃されることをだれが望んでいるのかということをお考えにならぬといかぬですね。消費者は反対をしている。日石は値上げをしたい。したいけれども、抑えられているから値上げをすることができないでいる。そうすると、これを撤廃した。値上げをする可能性があります。他のメーカーもこれに同調をして値上げをするおそれが多分にある。ですから、いま言ったように、この行政指導というような問題の及ぼす影響というものがいかに大きいものであるか。現在のような失速状態の中にある経済を安定させるためにどうあらねばならないのか。日本経済の健全な運営のために、国民経済の安定という観点から対処していくのでなければ、業者が、石油業界が何とかこれを撤廃してほしい、そういう働きかけによって、適当な大義名分をつくって、通産省がこれに行政指導等で対処していくということは適当ではない、私はそのように思います。カルテルの問題に対する産政局長の、独禁法に触れないような行政指導は今後もやらざるを得ないということは理解しながらも、独禁法には触れないけれども、日本経済の安定の上に重大な支障を生ずるというような考え方というもの、この観点に立ってどう対処していくのかということは大変大切なものであると私は考えます。したがって、この上限価格を撤廃する問題についても、新聞報道のとおりに、すでに任務は終わったんだという考え方で対処しようとお考えになっておられるのか、その点もお聞かせいただきたい。
  67. 小松政府委員(小松国男)

    ○小松政府委員 お答え申し上げます。  先生お話がございましたように、価格シーリング制度というのは、ある意味ではまた行政指導そのものでございまして、実際に各社が値を上げますときに、それがコストの範囲内におさまっているかどうかというのを事前に価格をチェックするという制度でございます。これができましたのは、昭和五十三年末のイラン革命、政変以後原油価格が非常に上がりましたときに、こういうことで便乗値上げが起こったり、また石油の価格が非常に急騰する、これが国民生活、また他産業にいろいろな影響を与えるということで、この制度が発足したわけでございますが、その当時と現在というのは非常に状況が変わっております。  先生からもお話がございましたように、現在石油需給は非常に緩和をいたしておりまして、原油価格についても、今後急騰するというような事態がないわけでございます。こういうときに通産省が行政指導という形で業界の価格決定に介入していくことが適当かどうか。この点につきましては、昨年十二月の石油審議会の小委員会の報告の中にもございますけれども、できるだけ価格面についての通産省の行政介入というのは避けるべきである。ですから、これは緊急事態、国民生活に非常に重大な影響を与える、こういうときは、先ほど産政局長からも答弁申し上げましたように、通産省の責任において、またその任務の一環として行政指導をいたしますけれども、現段階はまさにそういう事態ではなくなったのではないかという感じを持っております。むしろ非常に需給が緩和している時期に、一方で実は石油需給が緩和し、原油価格は下がっておりますけれども、石油業界自身は現在赤字でございます。     〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕  これはなぜ赤字かということでございますが、一つは、石油業界が買っております石油価格というのは、長期契約で買っておりますので、現在スポット価格が二十九ドルとか二十八ドルとか言っていますが、石油業界が買っております値段は三十六ドルをちょっと割ったぐらいという状況でございまして、その上最近の円安、二百四十円に近づこうというような形で円安がずっと続いておりますので、その結果として石油業界は完全に水面下にある。そうすると、そのコストをできるだけ消費者に転嫁したい、またそういうことにいたしませんと、石油業界の経営が成り立たない、こういうことでございますので、こういう時期に価格シーリング制というのを今後ずっと続けておりますと、通産省は各社の申請を受けまして事前に価格をチェックしまして、コストが上がっておる、円安でコストが上がったということであれば、その分は価格を引き上げることを認めざるを得ないわけでございます。認めるということになりますと、その価格が市場に通るということもまた考えられるわけでございまして、こういう時期にそういう行政指導を今後とも続けていくのが必要であるかどうか、こういう観点に立ちまして、むしろ非常に石油需給が緩和し、原油価格についても急騰のおそれがない時期は、そういう意味での行政介入はできるだけ避けた方がいい、そういう方向でございますので、五十三年以降実施をしてまいりました価格シーリング制度でございますが、これはできるだけ早い機会にやめたいと考えておるわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、確かにいろいろの議論がございます。ですから、どういう時期に、どういうタイミングで廃止したらいいのかという点については、現在検討いたしておるわけでございます。ただ、こういう需給緩和がいつまで続くか、それはわかりませんので、今後そういうむずかしい事態が起こりましたときには、仮にシーリング制を廃止いたしましても、今後の石油の価格については、私どもはその動向を十分注視して、便乗値上げとか、特殊なことがあった場合には、必要な行政指導は今後ともやらざるを得ないと思いますが、常時こういう形でシーリング価格をチェックしていくという制度を続行していくのは、もう適当な時期でなくなってきたという判断をいたしまして、その廃止の方向で現在検討しているわけでございます。ただ、時期とかそのやり方については、まだ最終決定をいたしておりません。そういう段階でございます。
  68. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 このシーリングは、あなたがお答えのように、非常に石油の需給が逼迫をして、そして価格が非常に上がった、これを抑制するというような考え方でこのシーリングを設定したことは承知しているわけです。ところが、その政府の考え方を素直に受け取りかねるのは、私どもが日曜祭日、夜昼を問わず、あの逼迫状態のときに石油に標準価格制度という立法措置を講ずることに実は協力をしまして、そして一応抑えました。その後、この標準価格はどういうときに発動したのか。石油が値下がりをして、業界がその競争状態でどうしても値上げをすることができない、何とか値上げに手をかしたいというので、高価格を抑えるためではなくて、低価格を突き上げるために、高価格での安定を図るために標準価格制度を発動したという事実をお忘れになってはいけない。  いまのあなたの答弁の中にも、非常にいま円安になっている、コストが非常に上がっている、そういう際に価格を抑えることはいかがであろうかということが一つ出たわけです。いま一つは、需給が非常に緩んでいる、だからして、この状態のときに価格を抑えておくというようなことはいかがであろうか、二つ問題がいま出たわけです。  だから、この行政指導が誤ったならば、日本経済のこの失速状態の中に大変大きな問題を醸し出す、影響を与えるということを私はおもんぱかっているわけですから申し上げている。私が申し上げたように、このシーリングが撤廃をされることによって、値上げをしたいというメーカーがあることは事実なんです。必ずそれに追随をして他のメーカーも上げていくでしょう。だから、この撤廃に対して、消費者が反対をしておるということも、十分お考えになって対処していかれる必要があるということを私は指摘をしているわけであります。その時期、方法等については慎重に対処していくということでございますから、ただいま私が申し上げましたこと、消費者の意見、ただ、石油需給が緩んだということだけ、石油業界がこれを撤廃することを望んでおる――石油業界の中も二つに分かれておるようでありますが、撤廃をすることに反対、あるいは撤廃をしてもらいたいという両方に分かれているようでありますから、もろもろの意見を聞きながら、誤らないで対処をしてもらいたいということを強く求めておきます。  次に、公取委員長にまたお尋ねをいたします。  きのう参議院における答弁の中で、私はテレビを見ていたのですが、けさの新聞にも載っているわけですけれども、土工協に対し資料を入手しているので、いま調査をしておるというお答えであったわけでありますが、この点については、私も関心を持っているわけですけれども、地方におきましては、中小の業者が多いわけですね。業者の数に比較してどうも事業が少ない。だから、入札には参加するけれども、落札の機会はなかなか与えられないというような業者が非常に多いわけです。中小の中でも特定の業者のみが工事をとっていくということになってまいりますと、比較的零細な業者に工事が回ることができないということで、お互いに、均等ということではないにしましても、工事ができるだけ多くの業者に回るようにというような話し合いがなされていることも事実なんです。また独禁法上、これはカルテル――談合にはいい談合と悪い談合があるということでありますけれども、競争制限という面においては、いい談合も悪い談合もないというように私は考えるわけであります。  ところが、大手の場合におきましてはどうかといいますと、実に発注者の当事者能力まで失わさせるといったようなやり方が行われていることも事実なんです。たとえば何十億という工事をジョイントでやる場合があります。その場合に、Aの業者に対しても、Bの業者に対しても五〇%ずつということでやるのか、ところが、いろいろな関係からAの業者には七〇%、Bの業者には三〇%といったような比率の決定は、発注者の意思によって行われるのではなくて、その工事の指名の中に入っていなかった幹事業者がその比率を決める。全く当事者能力を失わせしめるといったようなやり方が実は公然と行われておるということを指摘をしておきたいというように思います。  このような行為が進められてまいりますとどういうことになるのだろうか。私は、予算におきましてもあるいは予定価格の決定に対しましても、そうしたいろいろな不正行為が介入してくるおそれなしとしない、そういうように思います。だから、この問題に対しましては、十分に調査をして、実態把握の中において対処してもらわなければいけないというように思うわけでありますが、国会の中におきましても非常に議論をされている。また政府といたしましても、入札参加業者というものをできるだけ多くふやして競争状態をつくり上げていこう、談合というものをできるだけなされないように対処していかなければならぬという考え方もあるようでありますけれども、これらの点に対する公取委員長のお考え方を、もう少し前進したと申しましょうか、調査の詳しい中身についてお答えはできないでありましょうけれども、考え方なりをお聞かせいただきたいと思います。
  69. 橋口政府委員(橋口收)

    橋口政府委員 いわゆる入札談合問題を取り扱いまして痛感されますことは、普通のカルテルの場合にはユーザーである相手方からいろいろ情報が入るわけでございます。つまり関係事業者がカルテルをやって価格を上げているとか、あるいはたとえばセメントでお話がございましたように、出荷の制限があるとかというユーザーの方からニュースが入るのが普通でございますが、入札談合問題につきましては、ユーザーである発注官公庁の方からはほとんどニュースが入らないというのが通例でございまして、私どもの方に情報として提供されますのは、主として談合と目される団体のメンバーの中からいろいろ情報が提供されるわけでございます。したがいまして、こういう特徴を持っておる事案でございますから、私どもとしましても、審査的な事件としての取り扱いにはかなり慎重にならざるを得ないという点がございます。  それから、土工協の問題につきまして、私が申し上げましたのがちょっと正確に伝わっておらないわけでございますが、衆議院の予算委員会で公明党の矢野委員から御指摘になりました幾つかの事案がございますが、これはかなり古い時代の事案もございますので、一体そういう事実があったかどうかの事実関係の実態の究明をまず行うべきだということでございまして、その点につきましては、いま進行中でございます。それに関連をいたしまして、土工協の組織なり運営なり機能あるいは土工協の内部の各種委員会の活動の状況、こういう問題について関心を持っておるというふうに申し上げたわけでございまして、若干の資料を入手しておると申しましたのは、先ほど申しました矢野委員の提供されました資料についての情報でございます。  入札談合の問題につきましては、いま後半の問題について御指摘がございましたが、私どもとしましては、個々の談合行為よりは、個々の談合行為の行われる背景としてのルールなりあるいは約束事の所在を突きとめて、これを破棄するなりあるいはそういう団体を解散させるというのが最大の目的でございます。ただ、そういうふうに申し上げますと、個々の談合は独禁法違反にならないのかという疑念が生じますが、これは個々の談合でありましても、たとえば規模の大きさとか地域経済の影響の程度等から見まして、やはり一定の取引分野を実質的に制限するという場合もあるわけでございますから、したがいまして、個々の談合でありましても、ケースによっては法律に触れるということでございますから、まさに先生が御指摘になりましたように、独禁法の立場で申しますと、いい談合、許容される談合と悪い談合、許容されない談合という観念はないわけでございますから、したがいまして、いやしくも一定の取引分野で競争が失われるような状況があれば、それを未然に防止する必要がございますし、それからそういう行為が現存しておれば、将来に向かってそういう状態をなくすというのが私どもの使命であるというふうに考えております。
  70. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 どうも私はこの業界の実態というものをある程度承知しておりますものですから、どこまで申し上げて質疑をしたらいいのか、慎重に事を整理しながら申し上げているわけですが、必要悪というものもなきにしもあらずということがあるのですね。これは中小の場合に言えるのです。申し上げたように、A、B、Cとありますから、特定の業者のみに偏ってまいりますと、何年待っても役所の工事の指名は受けるけれども落札ということにはならないということがあるわけです。だから、輪番制ということに完全にできないにしても、何とか多くの業者に工事が回るようにしてもらいたいという祈るような思いをしている、そして苦しんでいる中小の業者がいるんだ。しかし、そうなってくると、やはり話し合いをしないと回ってこないという実態も実はあります。  そこで、比較的中小の業者は数が多いものですから、仲間割れみたいなことでいろいろな情報提供ということもあるんだろうと思います。しかし、大手はそこらはなかなか巧妙ですから、もう本当に不正な行為を、先ほど申し上げたように、発注者の当事者能力まで奪ってしまうというようなやり方をやりながら、これらは問題として浮かんでこないわけです。それらの点も十分見きわめながら対処してもらいたいということを強く要請をしておきたいというように思います。  その他お尋ねしたいことがありますけれども、もう時間がございませんから、公取委員長には以上の程度で質問をとどめたいと思います。  エネルギー庁長官にお尋ねをするわけですが、先ほど来質疑の中で、石油の需給が非常に緩んでいるということで、五十七年度の上期の供給計画を当初計画の見通しから一〇%程度下方修正をするという報道がなされているわけでございます。昨年の八月も、たしか修正計画がつくられた際に、当初計画に対して五十六年度の分として八%下方修正をしたというように記憶をいたしているわけでございます。これらの点に対してどのようなお考えをお持ちになっているのか。  臨調の方でも、エネルギーの安全保障という点から石油の備蓄を強めていかなければならぬという考え方も示されているわけです。私も必要であろうというように考えているわけでございますが、それらとの関連というものはどういうことだろうか。これは全くその枠の中でやるんだということでありますと、備蓄を強めていくことと下方修正をするということとは直接矛盾するものではないというように考えるわけでありますけれども、IEAの方で認められた量、これを緩んだからということで緩めていくということになってまいりますと、日本が認められた権利というものを失うということにもつながってこないとも言えないわけでありましょうし、これらの点を十分配慮しながら対処していこうとしておられるのだろうと思いますけれども、この点いかがでしょう。
  71. 小松政府委員(小松国男)

    ○小松政府委員 お答え申し上げます。  まず、五十七年度の石油の供給計画でございますが、これは現段階ではまだ検討中でございまして、数字その他決めておりません。  ただ、お話ございましたように、五十六年度、五十五年以降でございますが、石油の需要が低迷しておりますので、五十六年度分についての石油供給計画の変更というのを行いますし、その供給案に基づく減産指導というのも行ってきているわけでございますが、五十七年度も、そういう意味では石油の需要が非常に低迷いたしておりますので、現在ございます五十七年度の供給計画はかなり縮小せざるを得ないのではないかというふうに思っております。ただ、現在まだその数字については検討中でございます。  特に現在、先ほどお話がございましたように、石油需給が非常に緩和しているのを踏まえまして、長期エネルギー需給見通しの改定作業をやっておりまして、これが実際にでき上がりますのは四月か、場合によっては五月、そのころになると思いますので、それができるまでの間、石油供給計画につきましても、五十七年度の上期とかそういう決め方はいろいろございますが、そういうものについて暫定的な計画をつくる必要がございます。これについては、そういうことで検討しておるわけでございます。数字としては、先ほど先生からお話がございましたように、現在ございます五十七年度計画よりは数字が小さくなるのではないかというふうに思っております。  ただ、そういう中にございましても、石油備蓄を増強するという必要は、先生御指摘のとおりでございまして、私どもとしても、一般民間の場合には九十日備蓄というのが義務づけられておりますが、それ以外に国家備蓄をできるだけふやしていこうということで、現在三千万キロリットルを目標に国家備蓄の積み増しを行っているわけでございます。これのためには今後相当石油の輸入も要るわけでございますが、石油供給計画の数字ないしは今後需給暫定見通しを行いますものについては、まだ検討中でございますが、供給計画の数字の中には備蓄の数字を入れるということにはいたしておりません。ですから、供給計画の数字が仮に減りましても、現在増強を進めている備蓄路線を変えるというつもりは全然ございません。
  72. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 石油の需給が緩んだということから、新エネルギーの研究開発というものも何か後退をしていることが民間の動き等から判断されるわけですね。丸紅も、石油値下がりのため石炭液化や一般炭の開発投資を見送るという報道もなされているわけであります。これは大変なことだというふうに私は思っています。また新エネルギー機構に対して民間企業から技術者が出向しているのだろうと思うのですが、それも一流クラスではなくて二流、三流と申し上げたらいかがでしょうか、研究という点について若干、これからまだ研究をして技術を高めていかなければならぬという、そういったような者が出向しないで、二級クラスのところで出向していくというようなこともあるようであります。もっと新エネルギー機構というものを強化をしていく、積極的に研究開発を進めていくというような態度が好ましいということよりも、積極的にそういうことで対応をしていかなければならないと思うのでありますが、この点に対してどのようにお考えになるのか、お答えをいただきたいと思います。  それから、時間の関係がございますから申し上げますが、LPガスの件であります。これは立地公害局長にお答えをいただきますが、保安センターの中から認定機関に移行させるための立法措置というものがなされたわけでありますが、この状況はどういうことになっているであろうか。それから認定調査機関の設置によって評価できる点はどういうことなのか。それからこの認定機関に対して全員加入を期待をする協会、LPG協会というものがあるわけですが、これらに対して行政指導等を行ってできるだけ保安センターから認定機関に移行するということが好ましいのではないかと思いますが、それらの点に対してどのようにお考えになっているのか、それぞれひとつお答えをいただきます。
  73. 小松政府委員(小松国男)

    ○小松政府委員 お答えを申し上げます。  最近の石油需給が緩和しているので、そのために代替エネルギーの開発導入が後退しているのではないか、また、そのおそれがあるのではないかというお話でございますけれども、ちまた間にそういう話があることは私も知っているわけですが、日本といたしましては、まさに石油に対する依存度が非常に高いわけですので、これからいかに脱却していくかということがエネルギー政策の基本でございますし、そういうことによって日本のエネルギー構造の脆弱性を脱却していく必要がございますので、私ども資源エネルギー庁のエネルギー政策に関する限りは、そういう点は全然ございません。現在石油の需給が非常に緩和している状態ができましたのも、ある意味では、一面で代替エネルギーの開発導入が進んだということが原因でございますし、今後とも、こういう時期にこそ代替エネルギーの開発導入を積極的に進める必要があると考えております。そういう意味で、代替エネルギーの開発政策は、今後とも従来以上に積極的かつ重点的にやっていきたい、そういうふうに思っております。  そういう観点から、総合エネルギー開発機構、これは中核体として非常に大事な機関ということでできたわけでございまして、これを中心に、今後とも代替エネルギーの開発導入を進めるわけでございますけれども、この機関は、官民といいますか、民間の活力も十分活用し、政府もこれに十分の助成をしながら、代替エネルギーの開発導入の中核体として、今後その機能が期待されているわけでございますので、その機能の強化、それから今後の新エネルギー開発機構の業務運営につきましては、さらにあらゆる面での改善を考えておりますし、それから代替エネルギーの開発の予算、それからそれに対する政策と、この点についてはさらに重点的に考えて、できるだけ石油依存の強い日本のエネルギー構造を今後とも改善していく方向で努力していきたいというふうに考えております。
  74. 神谷政府委員(神谷和男)

    ○神谷政府委員 保安センターから認定調査機関に認定されたもの、要するに消費設備の認定調査機関として認定されておりますものは、この五十六年三月末の数字で、若干古うございますけれども、十八都県で五十九の認定調査機関が県知事等に認定をされております。まだ多数の保安センター、三百余のものが新しい認定機関という形に移行しないで残っておるという実情にございます。  しからば、この前法律改正をしていただきまして、こういう認定調査機関というものを設けたことによって、LPガス事故減少にどういう効果があったか、こういう点についての御質問がございますけれども、御承知のように、五十五年の二月に認定が始まりまして、先ほど申し上げましたような数字に現在至っておる、こういう状況で、誕生してまだ間もない状況でございますので、事故との関係が明確な数字となってあらわれてきてはおりません。五十五年、五十六年の数字等、大局的に見ますと、五十五年より五十六年の事故件数の方が若干減っておりますが、やはり横ばいというふうにみなした方がよかろうかと思っております。しかし、認定調査機関を法律上明確に位置づけていただき、適正な調査能力の維持を法律的に担保する、こういう措置を講ずるほか、都府県の監督を受けるような機関が調査に当たる、こういうことになっておりますので、私どもとしては、調査の実効が徐々に上がっていくものと期待をいたしております。  先ほど申し上げましたような認定機関の設立状況でございますが、従来の保安センターをどういうふうに認定機関に移行させていくか、あるいは新しい認定機関をどういうふうに組織化していくかということについては、府県ごとでやはり指導の方針等も変わっておるようでございます。府県の状況等いろいろ異なっておりますので、一概には申せませんが、一部では、協同組合方式ということで、事業者が集まりながら幾つかの認定機関を認めておる機関、さらには、場合によっては、それらからさらに公益法人に移行を期待しておる県もございますし、あるいは公益法人をまとめて設立させておるという府県もございます。国会の附帯決議等を踏まえて勘案いたしますと、このいずれがいいということは、私ども言えないと思いますので、地域の実情に沿って、やはり技術的な能力を十分備えたりっぱな認定機関ができるよう県に指導をしてもらうよう考えております。  ただ、これらの認定機関にすべてのLP販売業者が加入したらいいのではないかあるいは加入させるべきではないかという意見も一部確かにございますが、先生御承知のように、本来、これらの消費設備の調査といったものは販売業者みずからが行うというのがやはり原則であり、これらの調査機関に委託するというのは、技術力等が不足している零細なLPガス業者、これらがやはり自分の力では十分のことができないということで認定機関に委託する、こういうたてまえになっておりますので、すべてのものをここに持っていくということはいまのところ考えておりません。しかし、保安センター等はできるだけりっぱなものに組織化されていくということを期待しておるところでございます。
  75. 中村(重)委員(中村重光)

    ○中村(重)委員 いずれにしても、局長、保安センターが三百六十幾つあって、われわれは、これを認定機関に移行させることについての改正法案が出て、爆発事故等を防止する保安の確保上必要なんだという説明に対して質疑もし、この改正に対して賛成をしたという経緯があります。にもかかわらず、まだ今日まで五十九の移行しかなされていないということについては、この改正法案の提案というものはどういうことであったのか。ひとつこういうものをやってみようかという初物食いみたいなことで提案をしたのだろうか。これが保安の確保上非常に大切なことなんだという積極的な意図のもとに提案したのであるならば、そのことがもっと積極的に推進されなければいけないと私は思う。だから、その点に対して通産省の姿勢がどういうものか私は理解に苦しみます。  いずれにしましても、個々の業者は零細業者でありますから、保安センターをつくる、そして保安センターを認定機関に移していく。これに対しては、電気の保安協会のように、一般会計から助成措置等も講じているわけでありますから、助成措置等も十分検討をしていくというような積極的な姿勢をもって爆発事故等を防止するというようなことでなければいけないと私は思います。その点に対して注意を喚起をして、時間がありませんからこれで質問を終わります。
  76. 渡部委員長(渡部恒三)

    渡部委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十二分開議
  77. 渡部委員長(渡部恒三)

    渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林政子君。
  78. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 五十七年の一月二十九日、大型店問題懇談会が報告書を出しました。これに基づいて、昨年十月以来大型店の届け出制あるいは抑制をしてきたということが四カ月ぶりで具体的な対策を打ち出すことになりました。その内容については、大店法そのものには何ら手をつけることをせず、当面の紛争抑制策として、通産省の行政指導で大型店の出店を抑制し、これを実現するという内容でございます。  まず、地元小売商と大型店との間の紛争の多発について、この原因とその背景をどのように受けとめていらっしゃるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  79. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 大型店と中小小売商とのいわゆる紛争事例が最近相当深刻化しておりまして、商業環境も大変厳しいと私たち受けとめているわけでございますが、その辺の事情につきましては、やはり大型店がかなりの程度、この数年あるいは十年来進出しておりまして、その数がかなりふえてきているということが一つあると思います。  それからもう一つは、そういった数もかなりふえてきておりますけれども、一カ所にかなり集中的に、あるいは非常に速いスピードで出るケースも出てきている。すべての個所がそうではございませんが、そういう個所も見られてきている。そういう点が二つ目。  それから三つ目といたしましては、やはり最近の日本経済状況あるいは消費経済の伸び悩みといいますか、そういったようなことが全般的にやはり商業者の経営をかなり圧迫している、そういうふうなことも背景としてあるのではないかというふうに思います。  いろいろと細かい点も挙げればたくさんあろうかと思いますけれども、大体そのようなことが一つの基本的な背景となってこういった問題が起こってきているのではないかというふうに考えます。
  80. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 いま御答弁ございましたように、今回の事態を招いたのは、私はやはり大手スーパー側が力任せに集中的な出店を行ったということにあったのではないか、このように思っております。さらにまた、今回の特定の大型小売業者について通産省が個別出店計画というものを提出をさせて、そして抑制を図っていく。あるいはまた、大型店の出店が相当水準に達していると認められる地域や小規模町村への出店抑制措置がうたわれているところでございますけれども、具体的なその措置の中身あるいはまたその対象企業、さらにはまた期間、今後の見通し等についてお伺いをいたしたいと思います。
  81. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 このたびの措置の中身でございますが、かいつまんで申しますと、一つは、抑制措置といたしまして、特定の大手企業につきましては、個別に出店計画を聴取いたしまして指導をしていくというのが一つございます。  それから、いまも御指摘ございました、すでに相当水準に達しているというふうな市町村、あるいはまたいわゆる小規模な市町村につきましては、いろいろとインパクトも大きい、あるいは紛争にもなりやすいということも勘案しまして、そういったところにつきましては、できるだけ自粛の指導をしていくというふうな点。  さらにまた、商調協のあり方が大変問題になってきておりましたところでございますので、商調協につきまして、これを省令に位置づけるとか、あるいはまた市町村や都道府県という地方の行政の役割りを一層従来以上に強めるとかいうふうなことを通じまして、商調協の運営を効率的かつ公正たらしめるということに力を置いたわけでございます。  それで、特定大手企業というのは、具体的にはどういうものかという第二の御質問でございますが、これにつきましては、おおむね量販店十社程度を中心にいたしまして指導していきたいと思っております。量販店十社程度はとりわけ出店の数も多いグループでございますので、この辺につきましては個別にヒヤリングをいたしまして、抑制的な指導をしていきたい。  なお、それ以外にも必ずしもそう毎年毎年何店も出すわけではないけれども、やはり売り上げもかなり大きく、存在も大きい企業につきましては、これは十数社につきましてやはり同じくヒヤリングをいたします。ヒヤリングをいたしまして、その後はケース・バイ・ケースでウォッチしていくということになるかと思いますが、そういったことで、存在の大きい特定の企業につきましては、個別にヒヤリングをして指導をしていくという方式をとっているわけでございます。  なお、期間でございますが、これにつきましては、特別に何年何月までとか、何年間とかいうふうに明確に線は引いておりません。非常に変転きわまりない流通の問題でございますので、私どもは、とにかく当面この政策に全力を注ぎまして、そうしていままで起こりましたような問題を起こらないようにしていこうということで、当面の対策ということで打ち出したわけでございまして、明確に何年何月までというふうな規定はしないで発足したというのが現状でございます。
  82. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 期間につきましては、いま言明を避けましたけれども、新聞などではおおむね二年間ということが書かれておりますし、私どもも二年間だろうというように受け取っておりましたけれども、これで大して間違いがないのかどうなのか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。  それから、抑制措置の内容でございますけれども、これは入り口の段階といいますか、三条届け出の前の段階と受けとめて行政指導がやられるというように受けとめてよろしゅうございますか。  それから、企業の数はいま十社、さらにまたもう十社ほどということでございましたけれども、これは何を対象に、たとえばいろいろとございますね、面積の大きなものとか、あるいは売り上げが大きいものとか、資本が大きいものとか。さまざまな点がございますけれども、その中で何を基準にして言われていらっしゃるのか、この点についてもお伺いをいたしておきたいと思います。
  83. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 期間につきましては、先ほどのようなことでございまして、私どもの要綱その他には明確な期間は設けておらないわけでございます。今後とも非常に激動きわまりないこの流通問題に対して、機動的に対応していくということでございます。新聞等に二年程度というふうに伝えられたわけでございますが、私どもの気持ちといたしましては、こういったことでその程度やっていくということも当然考えられるわけでございますが、何せ非常に激動する流通問題でございますので、あらかじめ期間を明確に区切るということはしていないわけでございます。  それからまた、いわゆる抑制地域と申しますか相対的過剰地域と申しましょうか……(小林(政)委員「抑制の措置です」と呼ぶ)抑制の措置につきましては、先ほど申しました過剰地域とか小規模地域とかいうものにつきましては、市町村長等とも相談をしながら、地域の実情に応じた指導をするわけでございますが、そういったものにつきましては、実情に応じつつ三条の届け出の段階で指導をしたいと思っております。ただ、それ以外の地域もあるわけでございまして、それにつきましては、通常の届け出、そしてまた商調協で審議ということは当然あるわけでございまして、今回、商調協を従来以上に位置づけたということにもございますように、商調協の審議がなくなるわけではございません。そういった意味では、従来の方法を踏襲しているわけでございます。  それから、十社程度とかあるいは二十社程度につきましての、どういう基準で選んだかということでございますが、私どもは一応売上高一千億というところで一つ線を引きましてヒヤリングをしたわけでございます。先ほども申しましたように、そういった企業の中でも、店舗の展開という意味では、非常に多店舗展開をするところとそうでないところと、これまた企業によりましていろいろ実情が違います。したがいまして、今回のこの措置、主として店舗の展開に伴う問題の措置でございますから、売上高だけですべてのものを同様に取り扱うということはかえって目的的でございませんので、一応そういうヒヤリングはいたしますが、その中におきまして、この抑制措置の目的に照らした取り扱いは個々の企業によっておのずからまた変わってくる、そういうことでございます。
  84. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 大店懇の報告を見てみますと、「当面大型店に係る届出・調整については、」抑制的運用を図る、このように書かれているのでございますけれども、今度出された新しい通達を見てみますと、第一種店舗のみと限定をされております。一体、この違いをどう見たらいいのか御説明を願いたいと思います。
  85. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 御承知のとおり、現在の大店舗法では一種と二種に分かれておりまして、二種につきましては都道府県知事に権限が移譲されているわけでございます。私どもといたしましては、第一種を直接の所掌としているわけでございますが、この第一種につきましていろいろ検討いたしまして、その施行を行っているわけでございます。二種につきましては、一種とはまたおのずから店舗の性格も異なるということもございますので、一種と全く同じような扱いにすることが必ずしも適当でない場合も考えられるわけでございまして、この辺につきましては、権限のあります都道府県知事に対しまして、いろいろと実情に応じた措置をお願いするということで、地方には通達でお願いしているわけでございます。
  86. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 通達三十五号で、知事あてに「今後各地域の実情に応じて所要の指導を行われたい。」ということが出ておりますので、この二種店舗の場合については、知事の判断で地域の実情に沿ってそれに即した抑制指導を行ってよいというふうに言われているわけだと思います。  次に、私がお伺いしたいのは、特定大型小売業の場合には、今回、出店計画を個別に出してもらって、平均出店面積といいますか一定枠を設けて、そしていろいろと決めていくのだということが新聞でも報道されておりますけれども、その際、どのような基準に基づいてだれが判断してその基準というものを決め、また判断を下すのか、これが第一点です。  それから第二点は、抑制指導の対象というのは、店舗面積の削減であるのか、それとも出店件数を中心に据えているのか、このどちらかであろうと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  87. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 いわゆる大手に対しまして、それぞれの企業に面積なり何なりの割り当てを行うという記事が一部新聞に報道されたようでございますが、私どもといたしましては、各企業にリジッドな枠を配分するというふうな形は必ずしも考えておりません。私どもといたしましては、各企業からヒヤリングをいたしまして、企業によっていろいろ実情も違いますし、また出店計画にある店舗の出す地域の実情も違いますから、あらかじめ一年間なら一年間のものにつきまして、A社は何平米、B社は何平米というふうにリジッドに決めてしまうことはかえって実際的ではないと思います。そういう意味で、私どもは特定の社につきましては、常時その動きを把握いたしまして、いまの時勢からいたしまして余りにスピードが早過ぎるとかあるいはビヘービアが問題ではないかというふうなときには、適時注意をするということで、全体として大手の届け出が結果的に相当程度削減されるようなことで、強く抑制的に指導していきたいというふうに考えております。     〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕  それから、面積で考えるのか、あるいは件数で考えるのかということでございますが、私ども、考え方といたしましては、まず第一義的には、やはり面積というものを考えるのが適当ではないかと思っておりますが、しかし、さればといって件数を全く無視するとかいうことではございません。件数と面積との相関関係というものは、おのずからなるものが各社ごとに常識的なものがあるはずでございますので、余りにそれが常識からかけ離れたような動きになるということは、それ自体異常と思わなければならない場合もあり得るわけでございますから、その辺は、片方だけで片方は全然考えないとか、そういう関係にはないというふうに考えております。
  88. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 ただいまの御答弁ですと、通産省がスピードを緩めたり速めたりというようなことも勘案してというようなことをおっしゃっていらっしゃいますけれども、この基準とか判断ですね、これは行政指導でやられるのですけれども、一体どこがどのような責任でやられるのかということについてはお答えがございませんでしたし、いまだにそれはやはりわかりません。私自身だけじゃなくて、これはだれにもわからないのですね。結局は、直接影響を受ける周辺小売商の人たちにも地域住民にも消費者にもわからない。こういうようなことが許されていいのでしょうか。いわゆる民主的な行政として国民の前にやはり明らかにすべきではありませんか。私は、こういう点が非常に不明朗である、このように思いますけれども、これでは水面下の密室による通産行政だ、通産指導だと言われても、これはもう仕方がないのじゃないでしょうか。私は、こういう点についてしっかりとした考え方を持って明らかにすべきであるというふうに思います。  時間の関係で、面積の削減ということでございますけれども、これは結局、いままでも大店懇報告では、大型店の届け出の抑制ということが書かれているのですね。これはもういままで、この大型店が、面積が当然このくらいは見込みよりも削減されるだろうということを見込んで、たとえば一万八千平米で出しておいて一万平米というところでいけば、これはもう上々というような、こういう水増し申請というようなことが往々にしてやられていたと聞いています。私はこうした中で、水増し申請をこれでは、チェックはするのだろうけれども、今日の紛争の原因になっているこの集中出店という点については、これを抑えることはできないのじゃないか、このように思いますけれども、以上の二点についてお答えをいただきたいと思います。
  89. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 届け出についての面積のいわゆる水増しでございますが、私どもといたしましては、届け出段階で大手につきましては、従来と比べてかなりそれが圧縮されるように指導したいと思っております。それで大手について、そういった申請の面積を相当圧縮するということにいたしますと、その中で最も効率的な店舗展開を考えるのは、これは企業として当然でございます。そういうことになりますと、必ずしも何でもかんでも水増ししていく――水増しすれば、それだけ届け出の面積はふえるわけでございますから、全体として抑制的にやろうという場合には、面積を余り水増しすれば件数がどうせ減ってきますから、その辺のことは出店者側、届け出者側としても、今後はかなりセーブされる方向に行くのではないかというふうに私は考えているわけでございます。  もちろんでき上がった出店の面積と届け出の面積が初めから同じということは、これはこういった調整を伴う問題でございますから、あり得ないといいますか、そうでない場合が多いわけでございまして、私どもがアプリオリに何割くらいならいいとか、そういう数字的に決めることはできませんけれども、全体としての届け出の面積を相当しぼっていくということは、そのことがひいては各企業の届け出におけるビヘービアをある程度規制していくというふうに考えますので、そういった点から、この水増しの問題もかなり制約されてくるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  90. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 面積の点については、そのようなことがあるいは言えるのかもしれませんけれども、しかし基準の問題、あるいは判断の問題、だれがどこでどのような基準でということについては、具体的に何らお答えがなかったわけです。私は、こういう点ではやはり国民の前に明朗に明らかにしていく、ガラス張りでやっていくというようなことが必要なのではないかということを強く主張をいたしておきたいと思います。  次に、相当水準地域あるいはまた小規模市町村に該当すると通産省が判断した場合には、これについては都道府県知事が出店の自粛指導をやる。その場合には、いろいろ市町村の意向を聞いたり、その他の自治体の意見なども聞きながらこれをやっていくということになっておりますけれども、しかし、現行大店法では、第一種大型小売店舗の場合には、これは通産大臣の権限ですね。つまり知事にはこの大型店に対する指導権限は具体的にはないのだというふうに思いますけれども、権限のない知事が、出店者に対して、あなたのところは通産省で聞いたらあるいは通産局で聞いたら自粛の地域になっているからやっぱり自粛してくださいよ、こう言って指導しても、その実効が上がるのかどうか。この点はきわめて疑わしいところだと思いますけれども、いかがですか。
  91. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 この大型店の届け出は、法律に基づきまして都道府県知事に行うことになっております。したがいまして、知事が窓口になっていることは御承知のとおりでございます。  この届け出における指導でございますが、御指摘のように、いまの法律は届け出制でございます。あるいはこれが許可制になっても同じでございますが、許可制にせよ、届け出制にせよ、届け出の受理ということでございますから、なかなかそこは強権をもって受理を拒否するということは、法律的にはむずかしい面があることは事実でございます。しかしながら、私どもといたしましては、現在の大変厳しい商業環境におきまして、非常に過剰なところ、あるいはまた非常に小さな町等で、そこに申請を出すことが無用の混乱を招くことがあり得るわけでございまして、そういった場合には、かえって調整機能が働かなくなりますので、届け出段階で自粛をお願いするということでございます。もとよりこれは行政指導でございますから、届け出者の理解と協力を得て行う指導でございまして、県と市あるいは通産局一体になって理解と協力を得て、その地域はこういう状況であるから、むしろ自粛をお願いしたいということで行政指導をしていく、こういうことでございます。私は、現在のこの厳しい環境から見まして、特に過密なところとかそういったところにつきましては、そういうことで、出店者につきましても御理解が願えるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  92. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 現行の大店法は、御承知のとおり原則出店自由というものでございますので、大店法そのものの原則というのは変わらないのですね。ですから、三条届けを出す前に、前段階で行政指導で自粛やあるいは抑制策を図ったというものにすぎない。こういう中で具体的に、だとすれば権限を持たない知事が自粛指導したからといって、出店者がうちはどうしても三条届けを出すんだ、法律でこうなっているんだから、いわゆる原則出店自由という法律なんだから、あなたが何と言ったって私は出しますよと言って出した場合に、一体これはどういうことになるのでしょうか。  それからまた、知事の場合も、社会常識からいって、その地域の中で出店者が受け入れられないような範囲のものについては、これはやはりちょっと指導がしにくいというようなことで、いろいろと行政指導の中ではっきりした立場がとれないというような結果を招きかねないし、こういった点からも、私はこの問題は非常に効果が期待できないのではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
  93. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 いわゆる抑制的な指導あるいはまた相対的な高水準の地域からの届け出につきましては、市町村長と十分連絡をとりながら取り扱いを決めるわけでございますが、市町村長の見解等からいたしまして、この地域はまだこういう事情でやはり商調協に付議していただいた方がいい、いただくべきだという場合もあろうと思います。そういう場合には、当然そういったことで県や市や通産局、相談いたしまして、市町村長の意向も十分尊重いたしまして、届け出を受けて商調協に回付するということは当然ございます。  それから、お尋ねの点は、むしろ自粛を指導し、お願いしても、どうしても自分は出すんだという場合があり得るのではないか。そういった場合には、先ほどから申しておりますように、届け出というものは法律的には受理を拒否できませんから、これは一般の場合、あらゆる法律の場合そうだと思いますが、この法律の場合もそういうことになると思いますので、どうしても出すというものについて、絶対にこれを強権をもって拒否できるかと言われれば、法律的にはできないということでございます。  そういうことでございますので、いわゆる行政指導、これはあらゆる行政指導がそうでございますが、説得と理解でお願いしていこうということでございます。  ちなみに、昨年の十月から一月までのいわゆる通達によりまして、大手に自粛を願ったのも、あれも行政指導でございまして、行政指導はそういった意味でのぎりぎり法律的な強制力はございませんけれども、しかし、こういった状況でございますので、大方の出店者にはできるだけ御理解を願うということでございまして、私は、そういうことで出店者の最近の情勢を判断した自粛と自覚によりまして、相当の効果を上げ得るというふうに考えているわけでございます。
  94. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 先ほど来から行政指導、行政指導という言葉が大分出ておりますけれども、やはりこの行政指導という中身が、自粛の場合には店舗面積ですね、これを削減するということでございますから、もし仮定の問題で、行政指導に従っておたくこれだけ削りなさいよと言われて、そしてその三条届けが出された場合、これは一体どうなるんでしょうか。その届け出は、通産省や知事がこの地域に出店しても大してさしたる影響がないということを公認して認めたことになるわけですね。こういうことはいわゆるお墨つきが与えられたというようなことも想定できるわけです。こういった場合に、そうすると、通産大臣がいままで行っていた勧告だとか変更命令だとか、こういったものはもう必要なくなるのじゃないか。いわゆる事前確認制という問題が前面にぐっと出てきて、こういうことになると、実際にはすうっとスムーズにはいくのかもしれません。だがしかし、法律等の関係で、行政指導と法律という関係で新たな矛盾が出てくるのではありませんか。
  95. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 いわゆる過剰地域と申しますか、そういったところでの扱いにつきましては、市町村長とよく相談するわけでございますが、市町村長は当然のことながら当該市町村の商業者の意向等も踏まえて判断することになろうと思います。その場合に、市町村長あるいは都道府県、また通産局、いろいろ相談してみまして、やはりこの地域は御遠慮願った方がいい地域ではないかという地域、あるいはそういう判断にもかかわらず出店者がどうしても強引に出したい、そしてそれは私が先ほど申しましたように、強引な届け出につきましては、法律的にはこれを拒否できない。そういった場合にどうなるかということでございますけれども、そういった場合には、当然手続的には商調協にかけられることになります。しかしながら、商調協におきましては、地元の人たちが皆さんとてももう過密で出てもらっては困るというふうな地域の場合には、当然のことながら商調協でも厳しい判断が下されることになろうと思いますし、それからまた、もしそういうことであるとすれば、通産大臣の勧告等も厳しくなるという可能性は十分あるわけでございまして、そういったことで、理解と説得がどうしてもできないという場合が、私は皆無だとは申し上げておりませんけれども、しかしながら、できるだけそういうことで全体としてはこの措置がスムーズにいくように努力したいということでございます。
  96. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 いま逆なことをおっしゃっておるのですよ。私がいま申し上げたのは、行政指導に従って面積を減らして、それですうっといく場合がある。いわゆる事前確認制といいますか、新聞なんかで報道されているような、ここまでの面積ならいいですよということを知事あるいは通産省が言った場合には、それがかえってそのまますっといくわけですから、そういうことになった場合に、公認のお墨つきが出たことになるのじゃありませんか。これは新たな行政指導と法律との矛盾が出てくるのじゃないか、こういうことを言っているわけです。お答え結構です。時間がもうなくなってきました。  こういうことでずっと見てまいりまして、地元の小売商の意見というのは、この大店法の中で一体どこで反映されるのだろうかということで大変疑問を持ちます。大型店の出店の自粛指導ということを言いますと、その内容についてはやれ通産局だ、都道府県だ、市町村だ及び商工会議所だというようなところから意見を聞いて判断をいたしておりますということがずっと図式でもわかるんですけれども、一体大店法という法律の中で、この地元小売店の意向というものがどこで反映されているのかというと、実は何もないんですね。
  97. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 ただいまのお答えの前に、先ほどの点でございますが、いわゆるお墨つきになるんではないかというお尋ねでございますが、私どもが三条届け出のところで自粛をお願いし、指導するといいますのは、そこで面積を確定するわけではございません。あくまでも商調協に付議するかどうかについての判断でございまして、面積を削るとか少なくするとかいうことは商調協の場で調整がなされるわけでございまして、三条に出る前に、これは五千平米がいいとか七千平米がいいとか、そういった意味での面積の確認を行うわけではございません。したがいまして、商調協に付議することについてどうかということの判断がまずありまして、付議することが適当であるということになれば、そこから今度は商調協の調整が始まる、こういうことでございますので、三条をクリアすれば、すべて確認もしくはお墨つきがもらえるというものではないということでございます。  それから、もう一つのお尋ねでございますが、地元小売商の意見はどう反映されるかということでございますが、今度は、この届け出に際しましては、まず都道府県に出店者から相談に参りました段階で、通産局あるいは市町村長と相談いたしましてその取り扱いを決めていくわけでございますが、いまお尋ねの、法律の中でどうかということにつきましては、たとえば法律では七条の二項でございましたか、いわゆる事前商調協が終わった段階におきましても意見を申し述べる機会が七条の二項には規定がございます。あるいはまた法律には、大店審が商工会議所会頭の意見を聞くというところがございますが、それがこのたび省令によりまして、そういった場合には商調協を設けて行えという、商調協を省令で規定したわけでございまして、商調協におきましては、御承知のように、地元の商業者あるいは消費者あるいは学識経験者が参加して行うわけでございます。そうしてまた、その商調協には地元の市町村の方も出席いたしますし、そういったようなことを通じて地元の意見は反映していくというふうな仕組みになっているわけでございます。
  98. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 いま、大変問題の発言がちょっとあったのですけれども、時間がありませんので、これは次回にさせてもらいたいというふうに私は思います。  たとえば今回の措置の場合、特定大手小売業とか相当水準地域だとか小規模市町村だとかに該当する場合、出店の自粛指導ということがやられますけれども通産省、その抑制地域に該当しないという地域は、これはもう公表しないと言われているのですからわかりませんけれども基準いっぱいで出店可能ということになるのだろうと思います。だとすると、出店ラッシュに逆に拍車がかかる地域が出てくるんじゃないだろうか、このように思うわけですけれども、具体的には東京二十三区、大阪市などの大都市で相当水準地域に該当するところというのがあるんでしょうか。その点をまずひとつお伺いをいたしたいと思います。
  99. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 いま具体的な案件としてまだ出てきておりませんので、ここで個別の具体的なものにつきましてはお答えすることは私できませんが、二十三区につきましては、やはり商調協がございまして、そこでいろいろと審議していくことになりますが、個別具体的な案件が出てきたときにいろいろとそこで相談して決めていきたいというふうに考えております。  なお、東京都、これは政令指定都市の中でもまた特別な地区でございますが、この東京都につきましては、各区ごとに様子を見ましても、いろいろと違った状況もございますので、これはかなり複雑な、通常の町とはまた違った様相を呈しております。この辺は、私どもといたしましては、東京都とも十分連絡をとりまして、状況に応じた取り扱いをしていきたいというふうに考えております。
  100. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 いま東京都が複雑だというお話がございましたけれども、東京二十三区の場合は、これは人口が八百十八万です。第一種大型店が百二十四店舗で面積が百五十万四百九十六平米、第二種店舗は六百十二店舗で七十九万四千三百三十六平米になっております。第一種、第二種合計で、大型店の面積シェアは四〇・九%と大変な過密です。こういうところに、一つの商圏ということで、この東京商調協一つで対応をしているということは、だれが見てもやはり無理だと思われるのではないかというふうに思います。また、相当水準地域の判断に当たって、第一種店舗の面積しか考慮されておりませんが、その基準を仮に四〇%と見て東京二十三区の場合を見ますと、一種大型店舗の面積は今後約百万平米近く出店が可能という数字が計算してみますと出てくるのです。ですから、店舗数で、現在の第一種店舗の八二%ぐらいまでは出店可能だ、あるいはまた、面積では百万平米以上というような数字が出てまいりますので、こうなると、これは機械的に計算してもこうなるのですから、大変な事態だというふうに言わなければならないと思うのです。したがって、大都市対策というのは、別途やはり地域の実情に合わせて具体的に問題にしていかなければならないのじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
  101. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 政令指定都市のような都市につきましては、一つの考え方といたしまして、区を市町村並みに考えてみるという考え方も議論の途中では私ども議論したわけでございます。そういった考え方もあるのでございますが、たとえば東京都の場合でいいますと、新宿とか渋谷とか銀座とか、こういったところは大型店が大変たくさん出ております。数値的にも非常に出ております。ところが一方、文京区などは、第一種大型店は一店もございません。そういうことがございます。大阪などでも、数区につきましては第一種大型店舗が一店もないというところがあるわけでございまして、そういった非常にイレギュラーな状況になっております。それからまた、東京都の各区で申しますと、平均いたしますと四、五年に一店というふうなペースでの出店でございまして、必ずしも毎年出ているわけではございません。こういったような非常にイレギュラーな状況を持っております東京都のようなマンモス都市につきましては、必ずしもしゃくし定規的にやることがどうであろうかというのを私感じておりまして、その点につきましては、東京都というりっぱな事務局もお持ちのところでもございますので、よく私どもとも相談し、それからまた東京都にも十分勉強していただきまして、実情に応じた取り扱いをしたいというふうに考えております。
  102. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 だんだん時間がなくなってまいりましたが、そういう複雑な区の職員がいままで商調協のオブザーバーということで、いわゆる地域の実情というようなことを十分反映することがやはりできないというような実態に置かれていましたけれども、これは特別委員にしなければ実態は解決しないのじゃないかというふうに私は思いますけれども、この点についてひとつお伺いをいたしておきます。
  103. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 東京都の場合は、現在商調協の中が三つの分科会に分かれておりましてやっております。それからまた、区からも特別委員が参加するというふうなことで、できるだけ区なり地元なりの意見が反映するような形でやっているというふうに承知しております。  今回まとめました私どもの措置、これは東京都に限りませんが、全体を流れる思想といたしましては、市町村とか地方公共団体の役割りを従来より一層強化しようということできたわけでございますので、個別の具体的な問題につきましては、あるいは小林先生ともう少しお話ししないとわからない点があるかと思いますが、方向としては、地方公共団体の役割りを従来以上に前面に出すということでやっているわけでございまして、御趣旨のことは、基本的にはその方向に行っているのではなかろうかというふうに私は考えているわけでございます。
  104. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 ますます時間がなくなってきたのですけれども、最後に、先ほどお話が出ました大店法七条の変更勧告に対する周辺小売商に対する救済措置について。これは御承知のとおり、三月十六日に東京地裁で江釣子ショッピングセンター、この問題に対する変更勧告の取り消しを求める北上市の中小小売商の訴えに対して、変更勧告は行政処分に当たらない、周辺小売商は大店法に基づいて訴えを起こせる資格がない、こういうことで門前払いを受けたわけでございます。このことは、大店法では現在の紛争の法的解決ができないいわゆる欠陥法であるということを示したものだ、私はこのように解釈をいたしておりますけれども、こうした大店法の欠陥について、具体的にどのように対応をされていこうとしているのかということが第一点です。  第二点は、この問題については、もう古いことでございますけれども、四十八年の七月十一日商工委員会において、日本共産党の野間委員が質問に立ちまして、当時の中曽根通産大臣は「行政処分としての勧告、変更命令があった場合にはもちろん訴訟の対象になりますけれども、届け出の段階ではまだならないのは、行政処分に対する異議申し立て、そのほかの法令の指示するところであると思います。」と答弁をいたしております。御承知だと思います。さらにまた橋本企業局次長は、調整行為について、訴訟法の当事者適格はあると言明していますが、今回のこの訴訟は、通産省側が全面的に認められたということですけれども、こうした立法の趣旨と違う内容が、どのような判断や手続を経て現在やられてきたのかということは、依然として私は大きな疑問を持っております。  三番目は、通産省内部による解釈だけで変更されたのでは、国会の審議というものは一体どうなってしまうのだろうか。これはいままでも立法のときに、立法の趣旨に基づいて運用されるようという、こういう法律ということを考えますときに、やはり改正を行政の上では促進を図っていくということが大事ではないか、このように思うわけでございます。  以上の点を、これは司法の判断が出ている以上、行政の立場から早急に是正すべきだということを私は要求したいと思いますけれども、いかがでしょう。
  105. 植田政府委員(植田守昭)

    植田政府委員 第一のこの判決でございますが、私どもといたしましては、司法の判断がああいう形で出たわけでございまして、これからも一層地元のあるいは商業者の意見の反映するような運用をしていくということに尽きると思います。  御承知のように、あの法律ができた後の法改正時には、市町村長が意見を申し述べる規定も新たに入りましたし、それからまた今回、私どもの抑制策の中でも、委員の人選とか委嘱の工夫をこらしてございますし、それからまた直接のあの江釣子でも問題になりました広域商調協のあり方の改善あるいはまた商調協の委員の規範の設定等を指導していくような措置を講じたわけでございますが、そういったことを通じまして紛争の防止に努めていくということが今後の道であろうと考えております。  それから、第二の点でございますが、第二と第三は関連しているかと思いますが、いわゆる原告適格なり行政の処分性ありやなしやという点につきましては、御指摘のように、当委員会におきまして原告適格については存在するのではないかというふうな答弁があったことは承知をしております。しかしながら、その後いわゆるジュースに関する最高裁の判例等も出まして、この種の法律におきましては、周辺の中小小売商につきましては、個別具体的な個々の小売商に権限を付与したものではございませんので、それが原告適格を有するということはなかなかむずかしいというのが最高裁の判例にもあったわけでございます。  したがいまして、第三の御質問、国会で答弁したことを通産省の内部だけで変更するのはおかしいではないかというふうな御指摘でございますが、これは私ども内部だけと申しますか、先ほど申しました最高裁の判例をもとといたしまして解釈しているわけでございまして、決して内部だけで適宜、便宜的に変えるということではございません。その点は御理解いただきたいと思います。  そういうことで、今後は一層この法律の運用に努めまして、無用な混乱が起こらないように努力したいというふうに考えております。
  106. 小林(政)委員(小林政子)

    小林(政)委員 法的な点については一方的に変えたのではないというふうにおっしゃいましたけれども、具体的な手続は、裁判所でこういう判決が出たのだ、判例が出たのだ、それでいいのだというたてまえですか。私は非常に不満に思います。そういうことではなくて、立法の趣旨が変わったのならば、それはやはりはっきりと行政の上でその旨を公表し、あるいは発言を求め、何らかの措置をとって改めていく、あるいはまたきちっとした措置をとるということが必要ではなかったか。これでなかったら国会の権威なんというものは何にもならないと私は思います。  以上だけ申し述べて、私の質問は終わります。
  107. 森(清)委員長代理(森清)

    ○森(清)委員長代理 次回は、来る二十四日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会