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安倍国務大臣 いま御指摘がございましたように、
貿易摩擦を解消するためには、やはりお互いに言うべきことはちゃんと言い合うということが大事であろうと思うわけでございます。そういう
意味で、いまの
アメリカの高金利
政策につきましても、これは
EC諸国からも非常に強い批判が出ておりますが、
わが国としても、しばしばいろいろなルートを通じまして
アメリカ側にも指摘をいたしておるわけでありますし、まあ
アメリカ政府としても、いわゆる
インフレを抑えるための高金利
政策をとっておるわけでありますけれども、しかし物価の上昇率も一けた台にいまなりつつある。こういうことで、私はいつまでも高金利
政策を続けておるような
状況ではないと思っております。最近、多少金利も下がり始めておる。金利が下がれば、ストレートに
日本の為替市場に影響が出てきて、円が直ちに高くなる。こういうふうな
状況になっておりますから、この
アメリカの高金利
政策というのは、
日本の為替市場にストレートにつながりがあるというのははっきりわかるわけでございますから、そういう
意味におきましても、
アメリカの高金利
政策に対しては、
アメリカがインバランスを大きく主張する以上は、やはりこれからもこの根本
原因は高金利
政策にあるということは、事あるごとに主張をし、修正を求めることは、私は大事なことであろうと思うわけでございます。
同時に、いま御指摘がございました、その他のいま残っておる
日本の残存輸入制限品目、あるいはまた非関税障壁の問題でございますが、私自身が
通産大臣として発言をしたわけではありませんで、これに対しては、実は十二月十六日に
経済対策閣僚
会議を開きまして、
総理大臣も
出席をしまして、そして各閣僚も出まして、
わが国としてのこれからの
貿易摩擦に対する五項目の対策を打ち出したわけでありますが、その一項目に、いわゆる残存輸入制限品目についてのレビューをして検討を進める、こういうことで合意をしておるわけですから、私はその線に従って物を言っておるわけですから、これは
政府全体の決定としていいのじゃないかと私は思っております。
そうして同時に、おっしゃるように、確かに
わが国はさんざんな
努力をして、残存輸入制限品目については二十七品目まで——農産物が二十二、通産
関係が五品目というふうに二十七品目まで落としたわけでありますから、ヨーロッパ等に比べれば、われわれとしてはそれだけ
努力の
成果を上げてきておるわけでございますが、しかし、対米
関係ということになりますと、
アメリカと比較をすれば、
アメリカが
わが国に対してその残存輸入制限品目が大きな壁であるということを主張するのは、それはそれなりの理屈はあるわけで、
アメリカで
相互主義を主張する議員は、やはりそういう残存品目があってそれだけの壁をつくっておるから、われわれはそれに
対応する壁をつくろう、こういうことを言っておるわけでございます。私たちはそうした
相互主義を否定し、
相互主義が
アメリカ全体を覆うことのないようにするためには、やはりわれわれとしてもできるだけの
努力は重ねる必要はあるのではないか。
自由貿易を主張する以上は、また
自由貿易をどうしても守っていこうという以上は、やはり苦しい中でも、それなりの
努力は必要であると思っております。
私は、農業問題までここで発言をするのはいかがかと思いますけれども、しかし、農業については確かにむずかしい問題があることも事実であります。いまの農業の実態からいうと、二十二品目、特にビーフであるとかあるいはオレンジであるとかいうものが自由化になれば、これは農村に対して相当な打撃が起こってくることも事実であろうと思うわけでございます。
〔野田
委員長代理退席、
委員長着席〕
しかし、そういう中で、ただ自由化ということでなくて、たとえば枠についての
話し合いをするとか、そういう道はないわけではないと私は思っております。
アメリカが農産物に対して要求しているのは、私は
アメリカでも聞いたわけでありますが、とにかく一九八四年三月三十一日までは協定ができておるわけであります。
アメリカはその協定の改定の交渉をもっと早目にやろうじゃないか、ことしじゅうにでもやろうじゃないかという要求で、何をどうしてくれということは言ってないわけでございますが、そういう
アメリカ側の提案に対しては、やはり
自由貿易を守るという見地から一応検討をする必要はあるのじゃないだろうか、こういうふうに私は思っております。何が何でも全部残存輸入制限品目も自由化しろということを私は言っておるわけではないので、それにはやはりあくまでも国内産業の調整を図っていかなければなりませんし、そういう
体制ができないで自由化に走るということは非常に危険でありますし、また、おっしゃるように、これを取っ払ったからといって、それじゃどれだけの
貿易量がふえるかといっても、いまお話しのように、あるいは六億ドルだとか七億ドルだとか言われる
程度でありますから——そんなものじゃないと思いますけれども、しかし、
アメリカがそういうことに対して何といいますか非常に象徴的に
考えておるということも、またこれは事実である。そうした象徴的に
考えておることを
一つの理屈にして
相互主義法案をどんどん進めておるということも事実でございますので、この辺のところはわれわれとしても冷静に
判断をしながら対処する必要がある、こういうふうに思っておるわけでございます。