○小
粥政府委員 お
手元に
資料といたしまして、一から十三までの十三種類の表を用意いたしておりますが、順次第一表から御
説明いたしたいと思います。
第一表は、「
年齢階級別労働力人口の
推移と
見通し」でございまして、これは
労働省の
雇用政策調査研究会の方で
推計をしていただいたものでございます。特に、今後の長期的な
労働力需給の展望ということで
推計をしていただいたわけでございまして、
昭和六十五年、さらに七十五年に
労働力の動向がどうなるかということを
年齢階層別に見たものでございます。この
推計は実は日大の
黒田先生の
人口の
推計をもとにいたしておりまして、その
人口の
推計をベースにして
性別、さらに
年齢別に
労働力率をそれぞれ
推計いたしまして、その
労働力率を
人口に掛け合わせることによって
労働力人口の
見通しを出した、こういう
推計の仕方をとっております。
ここで一番
特徴的なことは、四十五年、五十五年、六十五年、七十五年と出ておりますが、特に五十五歳以上の
年齢層の
構成比が、
昭和五十五年では全体の
労働力人口のうちで一六・一%、約六分の一を占めておるわけでございますが、十年後の六十五年には二〇・三%、約五分の一、さらに十年後の七十五年には二三%ですから、おおむね四分の一弱というふうに、五十五歳以上の
高齢者の
割合が急速にふえていくという
見通しになっております。
それから、下の第二表、「
年齢階級別労働力率の
推移と
見通し」でございますが、いま御
説明いたしました第一表の
推計に使いました
性別、
年齢別の
労働力率がどういう変化を示すと見通されるかということをそれぞれ示したものでございます。
その中で
特徴的なことは、全体的に
労働力率は年を経るごとに下がっていくということが、これは世界的な
傾向でもございます。わが国の場合もそのような
傾向を全体としてはたどるというふうに見ているわけでございますが、
男女に分けますとそこに
一つの非常に
特徴的な
動きがございまして、特に
女子の場合、二十五歳から三十四歳ぐらいの層の
労働力率が、
昭和五十五年にはそれぞれ四九・二、四八・二というような率でございますが、これが六十五年には五二・九、四九・四、さらに七十五年には五五・七、五〇・四というふうにむしろふえていく
傾向にあるというところが、
男子の場合あるいはほかの
年齢層と比べて逆の
動きをしております。これは、いわゆる
女子の職場への
就業意欲というものが年々高まっておりますと同時に、家事にとられる時間も少なくなるといったような
傾向等も加わりまして、今後この
年齢層の
労働市場への参入がふえてくるということでございます。
それから次をめくりまして、第三表が、
労働力率を国際比較したものでございます。
総じて言いますと、
日本の
労働力率は
外国に比べて高い、特に
高齢者の
労働力率が高いという結果になっております。
労働力率といいますのは、
人口の中で、現に
就業しているかまたは
就業の
意欲を持ちながら職についていないいわゆる
失業者、その
就業者プラス失業者を
人口で割った率でございますが、その
労働力率は、
ごらんのように
日本の場合は、六十歳ないし六十五歳以上のところが五五・九あるいは二六・三%という率を示しておりますが、同じ
年齢層の
外国を見ますと、いずれも
日本の場合よりも非常に低い
数字が出ております。
逆に
若年層、十五歳から十九歳層を
ごらんいただきますと、
日本の場合一七・九で、
外国に比べて
若年層では
労働力率が低くなっているという
傾向にございます。これは、
若年層の場合は特に教育、
進学率の関係がございますので、
外国に比べて
進学率が高いといったことが大きく響いていると言われております。
他方、
高齢者の方の
労働力率が
外国より高いのは、
一つには、
農家のような
自営業世帯の場合には
労働力率が非常に高く出るわけでございますけれども、
日本の場合は、ここに並んでおります
外国に比べますとまだ第一次
産業の
ウエートが高い、
農家の
割合が高いということもございまして、それが
労働力率を高くする
一つの
原因にもなっておりますが、勤勉さというものも一方であろうかと見られております。
それから第四表が「
就業者の
産業別年齢構成」でございまして、左に計として、全
産業の中で各
産業の
就業者の占める
割合を率として出してございます。つまりこれが
平均的な
割合になるわけでございますが、それに比べて五十五歳ないし六十五歳以上層の各
産業の
割合を見てまいりますと、特に農業の場合が、全体では全
産業の中で九・七%の
割合を占めるにすぎないのが、五十五歳以上になりますと、それぞれ二二・四あるいは三二・九%と、非常に高い
ウエートで高
年齢層の中に高い
割合が出てきているというところが一番
特徴的なことでございます。それ以外に
高齢者の
割合が比較的多いと思われますのは、
卸売・
小売業のところが、たとえば六十五歳以上層ですと二三%ですから、計の方の二二・七を上回っているということでございます。
その辺が
業種別に見た
一つの
特徴であろうかと思っております。
それから第五表が、「
産業別雇用者数の
推移」でございます。
国勢
調査でもって五年ごとに見たものでございますが、特に五十年から五十五年にかけましての
増減を一番右の欄「
年平均増減率」で
ごらんいただくとわかりやすいかと思います。
そこで、まず
大分類で見てみますと、
製造業においては△〇・一%と、この五年間で、わずかでございますがむしろマイナスが立っているわけでございます。それに対して、ふえている
産業といたしましては、その下の
卸売・
小売業の二・五%、それから
金融・
保険・
不動産業の二・八%、それからその
三つ下に
サービス業の三・五%、この辺が絶対数の上でもまた率の上でも非常に高い
増加を示しているわけでございます。
製造業をさらに中分類で見たものがその下にございますが、その中では、いわゆる
不況業種と呼ばれる
業種については、それぞれ△が立っておりまして、繊維の△四%、木材・木製品の△三・二%あたりが目立つものでございますが、
他方ふえている方では、一番下から四番目の
電気機械の三・二%、それから
精密機械の二・七%といったところは
増加の顕著なものでございます。
なお、自動車はその下から三番目の
輸送用機械に含まれているわけでございますが、これは〇%と
増減ございませんのは、
他方で造船がこの
輸送用機械のところに同じように含まれておりますので、相殺されてゼロというふうに出ているものと見ております。
それから第六表が、「
年齢階級別就業者数及び
雇用者の
推移」でございます。
上半分に
就業者数、それから下半分に
雇用者数を表にしてございますので、両方を比べていただきますと
特徴がわかるのでございますが、
就業者は、
雇用者のほかに
自営業者、
家族従業者を含んだ
数字でございます。したがって、上の
就業者数の
構成比の五十六年のところを
ごらんいただきますと、十五−十九歳層は二・五、二十−二十九歳層は二〇・六というようにそれぞれ
数字が出ております。それに対して、
雇用者数の方の一番下の欄の五十六年の
構成比を
ごらんいただきますと、十五−十九歳層が三・二%ということで、
就業者の
構成比よりも
雇用者の
構成比の方が高くなっております。それから二十−二十九歳層も、
就業者は二〇・六%ですが、
雇用者数は二五・二と、いずれも
雇用者の
割合が
就業者の
割合よりも高くなっている。
それに対して、
高齢者の方になりますと、五十五歳から六十四歳層は、
就業者数で一一・四%ですが、
雇用者数では八・七%と、
就業者の
割合よりも低く出ており、六十五歳以上層では、五・一に対して二・六というふうに、いずれも
高齢者の方では
雇用者の
割合が低くあらわれております。これは、それだけ
雇用者以外の
自営業者あるいは
家族従業者といった
人たちが
高齢者層に多いということを意味するものであろうと思います。
それから第七表が、「
年齢階級別完全失業者数及び
完全失業率の
推移」でございます。
まず(1)の方で実数を出してございます。
昭和五十六年の
年平均では百二十六万人ということでございまして、それを
年齢階層別に数が示してございますが、
失業率の方を
ごらんいただいた方がむしろわかりやすいかと思います。
(2)に
失業率の方を表にしてございまして、五十六年で申しますと、
平均では二・二%の
失業率になっておりますが、
年齢階層別に見た場合に、二十四歳未満では四・〇%、それから
他方、五十五歳以上では二・八と、
平均よりもいずれも高くなっております。むしろ若いところで四・〇という高い
失業率が出ている点が意外に思われるわけでございますが、
若年者は
転職の頻度が高いものですから、
転職をする場合に、若干なりともタイムラグがあって、
失業としてあらわれるケースが多いということが
一つきいておりまして、それで高くあらわれるというふうに言われております。ですから、その場合はちょっと特殊な事情があるわけですが、それ以外は、特に
高齢者について高く
失業率があらわれているのは、それだけ再
就職がむずかしいということをあらわしているものというふうに理解をいたしております。
それから第八表が、「
年齢階級別職業紹介状況」でございまして、これは
公共職業安定所の窓口に申し込まれました
求人求職の
状況をあらわしたものでございます。
まず
有効求人倍率を
年齢階層別に見ましたものが(1)の表でございます。これは年一回ですが、毎年十月時点で
年齢階層別に見ております。
昭和五十六年の
数字で申し上げますと、全部の
年齢階層を通じた
平均は〇・七二倍の
求人倍率でございますが、
年齢階層別に見ますと、
若年層ほど
求人倍率が高くて、
高齢者になるほど
求人倍率が落ちていく。それだけ高
年齢層の
求人が少ないということで、再
就職のむずかしさをあらわしているわけでございます。
右半分には
就職率をあらわしております。
就職率といいますのは、
有効求職者の中で
就職したものの
割合ですから、率としては低くあらわれるわけでございますが、やはり
就職率も
年齢が高くなるほど、どちらかといえば下がる
傾向がはっきりと出ております。
それから(2)が百人単位になっておりますのでわかりにくいかと思うのでございますが、上の表で、
就職率はたとえば四十五歳以上層が
平均三・九%と出ておりますが、それを
男女別に見ますと、
就職件数は、一番下の右の欄にございますように、男が一万五千六百、
女子が八千三百。これはちょっと率を出してございませんけれども、率にいたしますと
男子が四・一%、
女子が三・五%、若干
女子の方が低くあらわれております。
それから次が第九表でございまして、「
高年齢者の
就業の
実態」でございます。これは五十五年に
労働省で
調査いたしました
高年齢者の
就業等実態調査の結果でございます。非常に細かい表で見にくいかと存じますが、
むしろ下の(2)の表を
ごらんいただいた方がわかりやすいかと思います。
これは、
年齢階層別に五十五歳−五十九歳、それから六十歳−六十四歳、六十五歳−六十九歳まで、そういう
三つの
年齢階層別に、それぞれの
階層の
労働者の
就業意識、
希望というものを調べたわけでございますが、そこで
特徴的なことは、
年齢階層が高くなるほど
就業希望の形が多様化してくるということが出ていようかと思います。
その
一つは、たとえば
任意就業が、
年齢階層が高くなるほどだんだん
割合としてふえてまいりますが、この
任意就業といいますのは、上の(1)の表の注にございますように、「「近所の人や事務所などに頼まれたりして、随意に行う
仕事をした」者をいう。」こういうことになっております。つまり
一つの拘束された形で
フルタイムの
労働をするということじゃなくて、頼まれたらそのときにやるというような比較的自由な形での
就業ということでございます。そういう
任意就業が
年齢階層が高くなるほどふえてくるということ。もう
一つは、同じ
雇用労働でも短時間
勤務、
フルタイムではなくてパートタイムのような短時間
勤務につきたいという人がふえてくる。それだけ、反面、
フルタイムの
普通勤務の
希望者が減ってくるというような点が、
就業希望の形態の
特徴であろうかと思います。
それから第十表が、
定年制の
数字でございまして、(1)の表は一律
定年制における
定年年齢別の
企業数を見たものでございます。これは毎年
労働省で
雇用管理調査として一月現在での
調査をいたしておりまして、ここに注には書いてございませんが、この
数字は五十六年一月の
数字でございます。括弧内の
数字はその一年前の五十五年一月の
数字でございます。
まず、
調査産業計で見ますと、五十五歳の
定年制をしいている
企業の
割合は三八%ということになります。その一年前の五十五年には三九・五%でしたから、三八%まで
割合が低下したということになります。一方、六十歳以上の
定年制をしいている
企業の
割合は四二・六%でございまして、前年が三九・七%ですから、四二・六%まで六十歳以上の
企業の
割合がふえたということになるわけでございます。
その下の欄に
企業の
規模別に見た
数字が出ております。その中で
一つ特徴的なことは、五千人以上は、たとえば五十五歳が三〇%であるというふうに五十五歳が比較的少なくなっているのですが、三百人から九百九十九人、あるいは百人から二百九十九人、この辺のところがまだ五十五歳
定年の
企業の
割合が高く出ております。ただ、百人から二百九十九人の方は六十歳以上の方も三四・九%くらい出ていますが、三百人から九百九十九人の
階層では六十歳以上もまだ二八・四%、一番低く出ているというところで、
企業の
規模別に見ますと、この辺が比較的
定年の
延長がおくれているグループであるというふうに見られるわけでございます。
産業別に見ました
数字がその下の欄にございまして、五十五歳
定年の
割合の多い
産業としては、ここに
ごらんのように
卸売・
小売業、あるいは
金融・
保険業といったところが、特にまだ五十五歳の
割合が高いという
数字になっております。
同じ
雇用管理調査の中で、現在まだ五十五歳
定年だけれども、近い将来
定年年齢を改定することをすでに決定しているかあるいはまた予定している
企業、そうしたものもあわせ
調査しておりまして、それを合わせた
数字が下の表に載せてございます。
それでいきますと、一番上の
合計欄を
ごらんいただきますと、五十五歳
定年の
企業の
割合は二八・四%となっております。先ほどの上の表では三八%でしたから、それが近い将来の分まで見込んで
数字を計上しますと、二八・四というふうに低下するということでございます。それに対して、六十歳以上の
企業の
割合は五三・七%でございます。上の表では四二・六%ですから、近い将来見込めば約半分ちょっとの
企業が六十歳以上の
定年を近い将来実施されるということになるわけでございます。
これを
企業の
規模別に下にそれぞれ欄を設けて示しておりまして、特に顕著なのは、五千人以上の
マンモス企業では六十歳以上の
割合が七三・五%で、約四分の三が近い将来六十歳以上の
定年制を予定する、こういう形になっております。その前の三百人から九百九十九人の層が、六十歳以上の
割合を見ましても五〇・九というようなところで、その辺はまだ取り組みが比較的おくれているというふうに見ることができようかと思います。
次の十ページには、「一律
定年制の
定年年齢の
推移」を年別にずっと並べてございます。これはわかりやすく表にしたものでございます。
数字そのものはいま御
説明したような
数字でございます。
その次に第十一表が、
定年ではないのですが、
定年に達した人を引き続き
雇用するとか、あるいは一たん退職して改めて再
雇用するという、いわゆる再
雇用ないしは
勤務延長制度をとっている
企業がどのくらいあるかというのを見たものでございます。
一番上の欄を
ごらんいただきますと、そういう再
雇用あるいは
勤務延長といったような
制度がある
企業が八一・六%、ないところが一八・四%。
定年制を持っている
企業の中で八割方が再
雇用あるいは
勤務延長制度を持っているわけでございますが、その再
雇用と
勤務延長の中では、右の欄にございますように、再
雇用制度のみ持っているところが六〇・五、
勤務延長制度のみのところが二六・四、両
制度併用は一三・一。どちらかといえば再
雇用制度の方が
ウエートが相当高い、こういうふうになっております。
業種別数字では、その下の欄に掲げてあるようなことでございまして、その中で
金融・
保険業あるいは運輸・
通信業、
サービス業といったようなところが、ほかの
業種に比べますと率としては低いということでございます。
それから第十二表が、「高
年齢者雇用率の
状況」でございます。これは
中高年齢者の
雇用促進の
法律に基づきまして、毎年六月一日現在で各
企業から
職業安定機関に
高齢者の
雇用状況を報告いただいたものをまとめたものでございます。
それで、五十六年六月現在の
状況を
数字にいたしてございますが、
法律では六%の
努力義務が
高齢者の
雇用率として規定されております。昨年六月一日現在の
雇用率の
状況は、その表の真ん中にございますように六・六%ということで、全体としては
法定の
雇用率六%を上回っているのですが、これは
企業によって非常にでこぼこがございまして、
雇用率以上に相当
雇用している
企業と、そうじゃない
企業とございます。
法定雇用率に達していない
企業の
割合が、その右の方の欄にございますように、昨年六月一日現在で四九・四%。まだ半分近くが未
達成ということになっております。ただ前年が未
達成企業の
割合五一・八%でございましたので、それから見ますと、わずかながらではございますが、
低下傾向にあるということでございます。
で、
企業の
規模別に
雇用率の
状況を見たものが第二表でございまして、これは
規模が小さくなるほど
雇用率が高くなっている、同時に未
達成企業の
割合も
規模が小さいほど低くなっている、こういう
傾向にございます。
それから、第三表は
産業別に見たものでございまして、
雇用率の高いものは
農林漁業、それから
建設業、それと一番下の
サービス業あたりが非常に高くなっておりまして、
製造業あるいは
卸売・
小売業あたりはまだまだ低いという姿になっております。
次の十三ページの(2)の表は、その実
雇用率の時系列的な
推移をわかりやすく表にしたものでございます。
第十三の表は、これは現在
高年齢者の
雇用対策として行っております施策をわかりやすくまとめたものでございまして、
対策の柱としては、「
定年延長の
促進」、それから「六十歳
台前半層の
雇用対策」、それから「
高年齢者の再
就職の
促進」、次のページヘめくっていただきまして、「
中高年齢者の
職業能力の開発」、こういった四本柱で
対策を進めてきているところでございまして、それぞれについて、右の方に書いてございますような
対策を従来からとっておりますし、さらに新年度五十七年度からもそうした面の充実を図ってやるということで進めているところでございます。
以上であります。