○永井
委員 いまの御答弁を聞いておりますと、こういう不当労働行為が起きやすいのは主として中小
企業に多い、だからこの中小
企業に対して教育や啓蒙を行っているということが触れられているわけですね。必ずしもこういう不当労働行為は中小
企業に限られるということにはなっていない。
そこで、私は
一つの例を挙げて具体的に
労働省の
対策をお伺いしていきたいと思うのでありますが、この間も衆議院と参議院で通過いたしました総合甘味
対策の法案、砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律というのが成立をいたしましたね。これはもちろん国産糖の保護育成とか国内の価格安定という大きな
行政面からの必要性からこういう法律が生まれてきているわけでありますが、この甘味
対策を進める上で過去何回か砂糖産業界にかかわる不当労働行為の問題が国会で実は取り上げられてきているわけです。もちろんいま私が
指摘しましたようにたくさんの不当労働行為が地労委や中労委にかかっていく、こういう
現実にはあるわけです。その中で、具体的に何回かこの衆議院の社労あるいは参議院の社労においても取り上げられたこの砂糖産業界の不当労働行為問題、これが実は一向に改善をされていない。国会という国権の最高機関で取り上げられて、
労働省もそれなりにその
対策については措置をするというふうに答弁をされてき、対処されてきたはずなのに、この問題については一向に改善が見られない、これは私は大変なことだと思うのです。いま初めて取り上げる問題ではないだけに、継続的な問題であるだけに、私は大切な問題だと思うのです。
〔今井
委員長代理退席、
委員長着席〕
そこで、今回のこの法律が成立をする際に、衆議院の段階でも参議院の段階でも附帯決議がつけられているわけでありますが、この産業界の特質を考えて附帯決議の中に、「
雇用の安定、
労働条件の改善等についての業界段階における
労使の話合いが円滑に行われるよう指導すること。」これが衆議院の附帯決議であります。参議院の附帯決議では、産業界の「体質改善を進めるに際しては、業界段階における
労使の話合いが円滑に行われ、
労働者の
雇用の安定、
労働条件の改善等が図られるよう万全の指導を行うこと。」こういう附帯決議がつい先ほど可決されているわけであります。
ここにこういうことを書かなくてはいけないほどこの産業界の
関係について問題が生じてきておったわけでありますが、たとえば神戸精糖問題、これは
昭和五十五年の三月に衆議院、参議院でそれぞれこの不当労働行為問題が取り上げられているわけであります。しかも、いまの答弁では、簡単に言うと、不当労働行為が主として中小
企業に偏りがちだ、だから中小
企業に特に集中して教育、啓蒙を行うのだと言っているわけでありますが、この神戸精糖の問題について言えば、日本で屈指の大商社が結果的に不当労働行為をリモコン操作をしている。このことはこの当時から明らかにされてきているわけであります。
その当時のやりとりについてはいまさらあえて繰り返して申し上げませんけれ
ども、そういう衆参両院で取り上げられたことを受けて五十五年の十二月に、
労働省の指導もあったのでありましょうが、ようやく
労使間で合意書ができました。
その合意書はここに私は持ってきていますが、「双方の諸権利を相互に尊重し、相互信頼を高め、円満な
労使関係の確立することを認め合い別記事項を確認し、」こうなっているのでありますが、この別記事項の中に、たとえば地労委へ提訴している事案については組合としてはこれを取り下げる、そして「労働協約・協定については双方の人格尊重が
基本でなければ信頼も
労使の安定化もなく、現在までの紛争の経過から相互に強い不信感があり、共通の理解と信頼を回復するまで
労使協議会を設置し」当たっていくということが、この確認事項の中に盛り込まれているわけであります。
ところが、それから一年ちょっとたっているわけでありますが、いまだにこの合意書に基づく
労使協約ができていないのですよ、
大臣。国会でまで取り上げられて
労働省に指導いただいたのでありますが、この協約ができていないのです。
ところが、ここで大きな問題は、この合意書をつくるときにこの合意書の調印の当事者であった——当時は商社の丸紅相手に
労使紛争が結果的に起きたわけですが、この丸紅でそのとき担当部長をしておった鈴木さんという方が調印に立ち会っているわけです。ここに鈴木さんの署名と判が押してあります。この鈴木さんが、合意書ができた後で、この系列下の問題の起きている神戸精糖の社長に就任されているのです。そうすると、常識的に考えると、合意書に調印をした張本人が社長に就任したんだから、まず何はさておいてもこの合意書を忠実に実践するという態度をとるのが普通ではないんでしょうか。ところが、その社長が、ここにもたくさんの
労使間の議事録を持ってきていますが、全く労働組合を認めようとしない。私も現地へ
調査に入りました。労働組合そのものを形の上では認めているんだが、実体的には認めようとしない。とりわけ現在この神戸精糖では去年の九月に、合意書ができた後ですね、去年の九月に三百六十六名中の百九十九名について首切りの提案をしてきた。
雇用を
確保しということでお互いに相互信頼を持って交渉に当たろうと合意書を取り交わしたその後で、ぬけぬけと百九十九名の首切りを提案してきたわけです。これでは合意書に基づく話などできるわけがない。そうでしょう、
大臣。そう思いませんか。
さらに、この首切りに出る前には、夏期一時金も一部の仮払い、去年のベースアップは未解決、いまだに未解決、年末手当はゼロ回答、こういう
状況なんですね、賃金上から見ても。
そして、時間が制約されておりますのではしょって恐縮でありますが、団体交渉の席上では組合が首切りを認めない限り一切の協約は締結しないというのですよ。合意書に基づく協約は締結しない、これで
大臣、正常な
労使関係と言えますか。あるいは、いま審
議官がお答えになりましたけれ
ども、言葉じりをとらえて悪いようでありますが、中小
企業に対して主として教育啓蒙を行うと言っておられるのですが、相手は神戸精糖でありますが、神戸精糖は丸紅の系列下の
企業であります。すべて丸紅が操作をしているわけであります。だから、この前の
労使紛争では直接丸紅とやりとりがあった。だから、合意書にも丸紅の砂糖部長としてこの鈴木敏通という方が署名調印をされている。それが、その人がいま社長なんですから。これは
労働省、一体どう受けとめられますか。
これはきょう初めての問題じゃなくて、いままで何回も国会で取り上げられてこの場で議論されてきた問題だけに、そのことの経緯が踏みにじられておるということは、
労働省の
行政指導が軽んぜられている。言いかえれば労働
大臣が無視をされたことになってくる。ひとつこれは黙っておれぬという立場で指導してもらわなくてはいけないと思うのでありますが、どうでございましょうか。