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薮仲委員 いまお聞きのように、市の
災害対策本部は警報発令後二時間です。これは早いとか遅いとかいうのでなく、事実関係として大臣に知っておいていただきたい事案なのです。消防庁に対しても何点か
指摘させていただきましたけれ
ども、これは今後の検討としていただきたいという意味で申し上げたことでございますので、きょうはこのぐらいにしておきますが、大臣、ここからいよいよあなたの出番でございます。
なぜ私が大臣の一番わかりやすい例を出したかといいますと、先ほどの
岐阜の
災害で言いますとこういうことなのです。まず、警報の段階ですが、「村長の集中
豪雨による事故
防止の呼びかけ、ならびに区長・消防団員による危険
住宅への警戒・避難の呼びかけが行なわれた。
岐阜県下に大雨洪水雷雨警報が発令されたのは、役場に
災害対策本部が設置されてから一時間三十分後であった。」これは完全に
災害対策本部ができてから警報が出ましたよということです。ということは、もう警報が出る前に
災害対策の対応をつくっておるということで、私はここに一番大事な事柄があるのじゃないかと思うのです。
そこで、なぜ警報が出る前にこんな
災害の準備ができたのか、これについて私は幾つかの経験的なことで大臣に
お願いしたいのは、大臣は
岐阜ですが、これは国全体の問題として
お願いしたいのですけれ
ども、ここに「非難勧告の指示者とその理由」というのがある。いま私が読んでいるのは
建設省のアンケートをとった資料なのですけれ
ども、「避難に際しては、誰が・いつ・どのような理由により避難の勧告をするか」というのが一番大事です。この
岐阜の場合に人的
被害が起こらなかったのは、こういうことなのです。この方々は
昭和三十四年の伊勢湾
台風のときの洪水を経験していたから、雨の降り方から、伊勢湾
台風のときよりも大洪水になるぞと、この
地域の人はみんな思った、これが
一つ。二つ目は、川の増水の仕方が異常であり、なかなか水位が下がらないので危険だなと思った。それから、ことしの冬の豪雪で山崩れが起きて、その崩れた土砂が
山間部にたまっているし、木の根も緩んでいるから危ないと思った。ガラガラという音がした。こういうように、水位が下がらないとか、あるいは大雨が出たぞというときに、もう皆さんは警戒態勢に入っているわけです。
こういうことは、私はこの間から
建設省の方あるいは
国土庁、気象庁、いろいろな方々の御意見を伺っておりますけれ
ども、一番大事なのは、逃げるときの判断
基準というものをここできちんとしておきませんと、先ほど消防庁にお伺いしたように、抽象的な答えしか返ってこない。市長が一体どの段階で逃げろと言っていいのかわからない。また、それを待っていたのでは危ないから、
住民の方は先に逃げなければならない。こういう点を踏まえまして、生きたとは言いませんけれ
ども、
長官のところで、本当に人命尊重に役に立つ
地域防災のあり方というものを、
国土庁が中心になって、国全体の問題として検討していただかねばいかぬ。
消防庁は消防庁でいろいろ御努力なさって、
地域防災計画を一生懸命つくってくださっている。でも、いま育ったように、専門的な部分ではこういう
指摘があるのですよ。
住民だけではなく砂防関係の
専門家も一緒にならないとだめだとか、たとえば水害には安全でも
土石流災害では危険である、だから総合的な
対策が必要ですと、その
地域の人は教訓として言っているのです。ということはやはり、その
地域には急傾斜もあります。
土石流もあります。川の溢水もあります。そうすると、
建設省の持っている技術や豊富な資料、情報も必要でしょう。また、避難した後の警戒誘導は警察庁に
お願いしなければならぬでしょう。気象庁の持っている力によってある
程度の、雨量の予報も必要でしょう。あるいは消防庁の持っている力によって、水防団、消防団の応援も必要でしょう。
総合的なものは各
地域において
市町村でやっているのですけれ
ども、今度
建設省が
土石流の危険
地域を事務次官通達で出しました。遅まきと言うと怒るかもしれません、時を得たと言った方が喜ぶのかどうか知りませんが、私はそのどちらでもあろうかと思うのですけれ
ども、いずれにせよ、あれは
建設省でなければできない資料であり、
指摘だと思うのです。急傾斜地、
土石流の危険がありますよ、標識を立てなさい。そういうものを総合して、
国土庁に今後の
災害防除のためにしっかりとした検討機関をつくっていただいて、この
地域の知恵というものを生かしつつ、人命だけは何とか守っていただきたいな、こう私は思うのです。
長官、この中にもっといいことが書いてあるのです。情報伝達、地区間の情報は消防団の無線を通じて円滑に行われた、
豪雨の音や
土石流のゴーゴーという音で、サイレンでの危険の周知は徹底を欠く、やはり無線や何かでやっていただくのが結構だ、電気が切れたら大変ですということも、ここに書いてあるのです。
こういう問題を見てまいりますと、この
地域防災のあり方については、
河川について、
土石流の危険のある
地域について、急傾斜地について、
一つ一つそのマニュアルは違うと思うのです。長崎市でも、あのすり鉢の底のところとがけ崩れのあったところでは全部対応が違うと思います。こういうものについて
一つ一つ、人命尊重の立場から、安全な避難の手引書、マニュアルを各省庁に協力いただいておつくりいただきたいと私は思うのでございますが、大臣が
長官のときに、人命の損傷といいますか、
被害が最小限に食いとめられる
方法を何とかつくっていただきたい。この
岐阜の例、このペーパーの中に多くの教訓を私は学び取っておりますので、大臣にこの点を
お願いしたいと思いますが、いかがでございますか。