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堀委員 いま
提案者がお答えになりましたことは、六年先からは実現可能ではなかろうか、こんなふうに思いますね。ところが、実はこれから、十三回、十四回通常
選挙の
名簿登載者は、
皆さんを含めてどちらかといいますと
個人本位の
選挙で出ておいでになった方が、今度はからっと変わるわけですね。ですからどうも、私もそういう違和感がないことを望んでおるわけであります。決して違和感ができればいいなんて思っておりませんが、なかなかこの問題は人間の気持ちの上では整理しきれないものが残るのではないだろうか。それが結果的にはさっき申し上げた
個人本位
選挙から
政党本位
選挙への切りかえというシステムの転換に伴って起こってくるものでございますから、お互いの
個人個人の問題ということを超えて、この問題は私
どもはシステムとして
考え直していかなければならない問題ではなかろうか、実はこういう気がしておるわけであります。
それをどういうふうにしていくかということは私
どももまだ、今度の
参考人の
お話を聞いて初めてそういう問題があるだろうな、それは単に汗をかくかかないという問題ではなくて、
個人本位の
選挙と
政党本位の
選挙という基本的な問題から生まれてくる重要な課題であるということに実は気がついたわけであります。当然のことなんでありますが、私
どももまず
全国区という方に非常に比重をかけてこの問題の改正案を、
全国区のいろいろな
問題点を整理をするために一番望ましい方法は何かということで
考えてきたものですから、ついそういう地方区とのバランスとかいろいろな問題については、私自身も
参考人の
お話を聞くまでは余り
感じていなかったのであります。それを伺うにつけても、なるほどそうするとこの
制度上の問題というのは、これから私
どももう少し真剣に検討しなければならぬ課題を含んでおるということを
感じたわけでありまして、その限りでは当
委員会で同僚である
参議院全国区の
皆さんに
参考人として来ていただいて
お話を承ったことは、私
どもにとって大変
意味の深い、貴重な御
意見を承る
機会ができたと大変富んでおるわけであります。
そういう
意味では、やはり私
どもはこれから
衆議院においても何とかひとつ
政党本位の
選挙にしたい。特にここで誤解があるといけませんが、私はいまのいわゆる金権と言われる問題は、本
会議でも、またこの間もちょっと申し上げましたけれ
ども、まさに同じ党の方が競い合うということは、どうしても後援会組織を拡充をして安定した支持バックをつくりたい、これにはどうしてもお金がかかるわけでありまして、この競争となればやはり資金競争ということになるのは、これはシステムとして避けられない、こう見ているわけであります。
そうすると、そういうシステムを変えるということは、
政党本位の
選挙ならどういう
選挙法でもいいというのではないのでありまして、いまから
政党本位の
選挙で小
選挙区に仮に変えるということになりますと、同じ現象が起こると思うのです。小
選挙区というのは確かに
政党本位の
選挙でありますけれ
ども、しかしそこで
政党から
候補者になる方はやはり一人でありまして、そうするとその
政党で公認にならない方は無
所属で、何らかのグループをつくるなりして出られる
可能性が出てくる。そういう小
選挙区のときは、かつて奄美大島で、
皆さんの
自民党の中で、無
所属が当選をして
自民党公認が落選をする、無
所属で当選した方が今度は
自民党になって、その次の
選挙にはこの
自民党公認が落選をして、
前回自民党公認で落ちた方が無
所属でまた出てくるという、まことに奇妙な問題が
政党本位の
選挙でも起こるわけであります。
そこで、そういうことを防ぐためには、やはりいまの
選挙民が、
個人本位
選挙で培われてできておる
選挙意識、この
個人と
政治家を結ぶ
政治意識を
改革をして、そうしてそういうものがなくなった時点でそういう小
選挙区になるのならまた別だろうと私は思うのですが、いまここで連続で小
選挙区をやりますと、ますます金権の問題というのは強くなるおそれがある。これでは
政党本位の
選挙にする
意味がないというのが私の
考えでございまして、西ドイツ式の、私は提起をしましたが、
個人的な見解でありますけれ
ども、せめて十年間
比例代表でやりますと、もう
選挙民と
候補者のつながりがなくなるわけです。そうなるともう後援会もなくなりますし、自然に
有権者は
政党との関係で政策本位で物を見る、あるいはそれは多少
個人も評価の中に入るでありましょうが、それは
個人の評価であって、
個人のつながりで
選挙をするというかっこうは
比例代表が行われている限りあり得ないわけでありますので、そういう
意味では私は、
衆議院に新たな
政党本位の
選挙を導入する場合には、この前もちょっと申し上げましたが、どこかの国が実際に行っておることによって、初めて
制度としてのある
程度の安定性をわれわれも確認できるわけでありまして、頭の中で
考えて、
選挙制度審議会で私もずいぶん長いこと御
一緒に
審議をしておりまして、いろいろな工夫をなさるのでありますが、これはやってみないとわかりません。ところが、いまの西ドイツのやり方はすでにやっておられるわけで、それで一応の成果がちゃんとできておる。おまけに総枠は
比例代表制、ただし拘束
名簿に対して
有権者が選択権を持つというのが邦における小
選挙区でありますから、そこらはきわめて合理的な
選挙法だなと私は
感じておるのでありまして、それを十年やったらその先は私小
選挙区でちっとも構わない。ただ、小
選挙区の場合には、イギリスは御承知のように多数当選式であります。フランスは、要するに
最初に過半数を超えれば当選、過半数の当選者がなければ二回
選挙によって上位の三者で争いますから、必ず過半数の
投票を得た者が小
選挙区といえ
ども当選者になる。これはフランスは多党化しておりまして、イギリスは大体が二大
政党ですからああいうシステムでよかったので、フランスのような多党化の小
選挙区は当然、
日本の場合もそうでありましょうけれ
ども、やはり三回
選挙というのが小
選挙区としては合理的な
考え方になるだろうと思うのであります。それを十年先からはそういう
制度でやられても私はちっとも構わないと思うのでありますが、当面は、いまの
個人本位
選挙、後援会システム、
個人と
有権者の
個人的つながり、これを遮断することが
日本の
政治の近代化に非常に重要な問題である、こう私は
考えておるわけであります。
ですから、そういう
意味では私
どもは今後、
衆議院、
参議院を問わず、いまの
個人本位という
選挙のシステムを、今回初めて
参議院全国区で導入されることになるわけでありますけれ
ども、
政党本位の
選挙にすることによって、政策による争いによってお互いが切磋琢磨する、そのことが
国民に私
どもの任務を果たす非常に重要な問題になり、同時に、突然
選挙のときだけ政策をというわけにいきませんから、日常の政策活動と
選挙の政策活動が
一つになって、それは私は、
国権の
最高機関であるこの
国会の権威を高めることの基本的な問題として
考えなければならぬことではないのか、こう
考えておりますので、その限りでは私
ども、いま少し提起さしていただきました問題を含めて、現在の案がベストだと思っておりませんから、この法案には
反対の立場でありますけれ
ども、しかし
方向としては、
日本の将来を左右する重要な
国会議員の
選挙でありますので、そういう全体の展望の中でこの問題を処理し、さらには
参議院の地方区、
全国区の問題を含めて、今後も
個人本位の
選挙で地方区があっていいのかどうかという問題を含めて、これから私
どもは新しい
選挙制度改革の出発点に立つ、こういう気持ちで私
ども勉強してまいりたい、こう
考えておりますので、
提案者の御感想を承って私の
質問を終わりたいと思います。