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1982-04-22 第96回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二十二日(木曜日)     午後一時十四分開議  出席委員    委員長 西中  清君    理事 三枝 三郎君 理事 浜野  剛君    理事 林  大幹君 理事 安田 貴六君    理事 竹内  猛君 理事 永井 孝信君    理事 斎藤  実君       浦野 烋興君    太田 誠一君       北川 石松君    左藤  恵君       佐藤 守良君    関谷 勝嗣君       中西 啓介君    丹羽 兵助君       井上  泉君    沢田  広君       三浦  隆君    辻  第一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 始関 伊平君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田邉 國男君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      滝田 一成君         青少年対策本部         次長      浦山 太郎君         警察庁交通局長 久本 禮一君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         運輸省航空局長 松井 和治君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省道路局長 渡辺 修自君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       松田 篤之君         中小企業庁指導         部組織課長   川田 洋輝君         運輸大臣官房審         議官      棚橋  泰君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      中村  哲君         日本国有鉄道常         務理事     坪内 亨嗣君         日本国有鉄道貨         物局総務課長  林  宏之君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   新盛 辰雄君     井上  泉君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     新盛 辰雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 西中清

    西中委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  3. 北川石松

    北川委員 きょうまた再び質問の機会を与えられまして、深く感謝をいたします。また、始関建設大臣田邉総務長官には、政務御多端の中を御出席を願い、ありがとうございます。  私はかねて、政治は断片であってはならない、継承でなければならない、受け継いでいかなければならぬ、こういう考えを持っておるのでございますが、交通安全については、交通安全対策基本法の十五条の五項に、交通安全の総括をしなければならぬのが総理府ということになっております。過日の長官所信表明も、また、国民の安全のために総理府としては全力を挙げるという、大変熱意のある所信表明交通安全委員会でわれわれは受けたのであります。長官として、この所信に対する今後の御活躍を期待するのでございますが、もう一度所信を聞きたいと思います。
  4. 田邉國男

    田邉国務大臣 交通安全対策につきましては、私ども鋭意関係省庁連絡をとり、その対応をいたしておる次第であります。しかし、昭和五十六年の交通事故死傷者等を見ますと、前年に比較しましてわずかながら減少いたしておるわけでございます。しかし、その発生件数あるいは負傷者数等につきましては、昭和五十三年以来増加を続けておりまして、自動車保有台数あるいはまた運転免許保有者数増加する中で死者数減少を図っていくには、今後、次のような交通安全対策を強力に推進する必要があると考えております。  このためには、昭和五十六年度を初年度といたします第三次の交通安全基本計画に基づきまして、もろもろ対応をしていこう。一つは、歩行者あるいは自転車利用者、それから幼児、そしてまた老人等が安心して通行できる道路、それから交通環境整備、こういうことをやらなければならない。また二つには、交通道徳に基づく交通安全意識高揚ということを図らなければならない。これはやはり生涯を通じた交通安全教育推進であろうと思います。第三には、やはり交通事故被害最小限度に食いとめる、そのためには迅速かつ効果的な救助体制というものを行わなければならない。そのための整備をいたし、そして、各般の交通安全対策を総合的にかつ強力に実施をいたしておるわけでございます。  総理府といたしましては、関係省庁と密接な連携をとりますとともに、地方公共団体指導し、そして、その積極的な推進を図っていくことに努力をいたしておるわけであります。また、交通事故防止につきましては、国民の各層の積極的な参加体制というものを確立をしなければならないと思う次第であります。交通事故防止というものは、国や地方公共団体施策だけで達成するものではございません。やはり官民一体となってこの問題に取り組んで、そして交通安全対策というものを強力に推進をする、そこで初めて私は成果が上がるものであろうと考えるものでございます。全国の交通安全運動の強力な推進だとか、また民間の自主的な交通安全活動育成等、こういうものを一つの軸といたしまして、交通事故防止というものに対して、やはり全国民協力とそして積極的な御参加をいただくことによって、初めて私は交通安全対策というものの体制確立をできるものだと思っております。  大変困難な問題ではございますけれども、私どもは、関係省庁と強力な密接な連携をとりながら、この体制維持強化をし、そして少しでも交通に対する被害最小限度に食いとめていく、そういう決意で進めております。
  5. 北川石松

    北川委員 総務長官からいま大変熱意ある御答弁をちょうだいして、ありがたいのでございます。交通事故減少の形が一つあるということを言われたのは大変いいと思うのでありますが、年間やはり六十万人を超す死傷者ということを考えますと、いま御答弁くださいました、国民協力を得なくちゃならないということは必要でございます。第三次計画もいまおっしゃっていただきました。大変ありがたいと思うのですが、やはり政治は形をつけていかなければならない、形づけをすることが政治の大切なことだと思うのであります。そういう点において、五十六年度予算執行の形の中でどのような、特に総理府としては、国民の前に、交通安全対策でこういう形づけをしたから国民は喜んでおる、こういうことと、五十七年度予算に提示されました予算のトータル、総予算の中の一つでもいいですから、こういう形づけを国民の中に示すのだというその一つをお聞きをしたいと思います。
  6. 滝田一成

    滝田政府委員 お答えいたします。  先ほど総務長官がお答えいたしましたとおり、総理府といたしましては、いわゆる総合調整連絡というのが非常に大きな仕事でございます。直接総理府自身で具体的にやります仕事というのは、率直に申しまして金額的にもそう大きなものではございません。五十七年度にいたしますると二十二億程度のものでございます。昨年に比べまして二・一%の増加というぐらいなところでございますが、ちょっと簡単に御説明を申し上げますと、大体従来から継続しておるような問題が多いわけでございますが、交通事故相談所に対しまする指導と同時にその経費補助などをいたす、これは各都道府県などにございまする交通事故相談所の問題でございます。あるいはダンプカーの過積載防止というようなことに関連いたしまして、ダンプカー事業者が行いまするダンプカー協会育成をいたしまして、ダンプカー事業者の行いまする交通安全指導についての経費補助をするというようなこと、あるいは交通安全思想普及につきましても、いわゆる普通のテレビあるいはマスコミを通じましての広報活動どもいたしておりますが、そのほかに、交通安全母親活動推進事業というようなものに対しましても、これは金銭的に委託をして実施をする、あるいは、非常に細かくなりますけれども交通安全教育指導者養成講座を開くとか、あるいは、先ほど長官も申し上げましたとおり、国民一般の特に家庭におきまする交通安全意識高揚というのが非常に大事でございますので、交通安全家族会議というものを提唱するというようなことを前々から進めているわけでございますが、こういうものの作文を募集するというような事業を行いましてそういうものを進める、またさらに、沖繩県交通方法変更に伴う特別事業というようなもの、こんなようなものが従来から継続して行われているのでございますが、そのほかに、最近の交通事故は、先ほどから長官の御説明したとおりでございますが、交通事故がふえておりますけれども地域によって相当差がございます。そういう地域間の差をなくすといいますか、いい方に合わせるということで交通事故がずいぶん減ってくるわけでございますので、そういう意味地域格差を是正するというようなことについての研究、これも各地域でそれぞれやっているわけでございますけれども、もう少し具体的に、特に交通安全教育関係につきまして、どういうようなことをやればどれくらい効果が上がるかというようなことについては、必ずしもいままではっきりしたデータがないわけでございます。そういうようなことについての調査研究というのを五十六年度、五十七年度、ある特定の地域、特に交通事故の多いようなところを選びまして実施をする、それを実際の行政の上に反映してまいる、こんなようなことも五十六、五十七年度で進めることとしてございます。  それと、自転車の問題なんかが非常に近年問題になってきております。そういう自転車あり方あるいは道路自転車道あり方利用の仕方、そういうようなことにつきましても余り研究が進んでおりませんでしたので、これも五十六年度におきまして、学者先生方にもお願いいたしまして、そういうものについての検討をする。それから、五十七年度におきましては、今度は自転車駐車対策についてさらにもう少し突っ込んだ研究をしてまいる、それでこれを行政に反映をいたしたいというようなことも考えております。  また、単年度の五十七年度事業といたしましては、交通安全教育につきまして文部省なりそれぞれの機関でいろいろやっていただいておるわけでございますけれども、必ずしも総合的、計画的な推進、特に生涯教育ということでいろいろ力を入れておられるわけでございますが、その間を一貫したものにするのに何かまだ問題がある、こういうような気がするわけでございますので、そういう点につきましても今年度調査研究を進めてまいるということにいたしております。  それとまた、救急救護関係交通事故を直接減らすということにはなりませんけれども、少なくとも死亡者を減らすということにつきましては、救急救護整備ということがまだまだ大事だというふうに考えておりますので、そういうような問題につきましても今年度は特に調査研究をしていくというような、余り大きなものもございませんけれども、そんなようなものを今年度実施をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  7. 北川石松

    北川委員 限られた時間の中でございますので、質問もつい、答弁をいただきながら核心に触れていきたい時間がありませんが、二十二億、二・一%増というのは、本年度予算の形から見てやむを得ないにいたしましても、この予算執行が、総理府陸上交通安全ということに重点を置いておるようであります。しかし、海も空もこれは交通安全の中になさなくちゃならぬ問題だと思いますし、総合的なことをやるところは総理府でございましょうが、いろんなことを手がける総理府内閣総理大臣官房というのは、僕は大臣は大変だと思うのですね。恐らく大臣の頭の中に、交通安全というものよりも、もっとほかのことがいっぱい、内閣官房としてやらなくちゃならぬことがあるのじゃないか、そういう思いをしますが、八十四国会、九十一国会でも指摘いたしましたように、総括的になぜ総理府がこれをやるかということが法にうたわれておるということは、交通安全というものは運輸省もそうならばあるいは自治省も警察建設省もあらゆるものに関係がありますから、そういう点について私はやはり、総理府責任指導重要性を痛感する一人でありますから、大臣所信を簡潔に、賢者は一言にして足ると言われますから、簡潔に聞かしていただいて、次の質問に移りたいと思います。
  8. 田邉國男

    田邉国務大臣 御指摘趣旨につきまして、私も十分理解をしておるつもりではございますが、実は、交通安全対策に関する総合調整につきましては、総理府本府の組織令の第六条第三号によりまして陸上交通の安全に関する施策及び事務に限られており、その他については、すなわち海上及び航空交通安全対策については、同条の第一号に「各行政機関交通の安全に関する事務連絡に関すること。」として措置するものと理解しているわけであります。  このように規定をされている趣旨というものは、海上交通及び航空交通等の安全に関する行政事務につきましては、従来から、大部分を運輸省所管をしてきているためだと考えられるわけでありまして、このような考え方を前提として、実は中央交通安全対策会議の庶務につきましても、海上交通及び航空交通の安全に関する事項に係るものは、いわば総理府運輸省とが共同して処理するという形になっているわけでございます。  いずれにいたしましても、陸海空の全般の交通安全というものは国民福祉の根幹でもございますし、所管省庁とのさらに緊密な連絡を必要とするものでございます。したがって十分な連絡をとりまして、総合的かつ効果的なもろもろ対策推進努力をしてまいらなければならない、こう考えておる次第であります。
  9. 北川石松

    北川委員 どうもありがとうございました。  次に、建設省関係についてお伺いをいたしたいと思います。  現在の高速道路は、長年の努力によりまして非常に効果的に利用者の利便を図っておる点もありますと同時に、どうにもならないというほどの繁雑停滞を来しておるところもある、それは場所によってそういう形を呈しておるのでありますが、これに対して建設省は、そのどうにもならない停滞渋滞を防がなくちゃならない、あるいは解決しなくちゃならないために、建設省予算の中で、この解決をしなくては交通事故が多発するおそれがあるという考えから計画しておられると思いますが、たとえば厚木、三車線になっておってもあそこの停滞はマンネリ化しておる、こういう点はどう考えておられるか。あるいは京都大阪間の高速、こういう点についてのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  10. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  高速道路等におきまして渋滞が日常のように生じている区間、方々で見受けられるわけでございますが、基本的にはやはり、全体の計画がまだ十分なところまで、進度まで進んでいないということにあろうかと思うわけでございます。  厚木お話がございましたが、ここも日曜祭日等には行楽の車がインターから出入するというようなことで問題になっておりますが、これを直ちに解消するということもなかなかむずかしい点も多いわけでございますが、いろいろ高速道路の運用の問題等も含めまして、積極的に対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。  それからなお、長期的には、こういった東京周辺道路につきましては、一本の高速道路で足りるということではとてもございませんので、これにかわる道をつくっていくということも必要かと存じます。大阪京都、神戸といったところにつきましても同様かと思うわけでございます。  たまたま京都大阪間のお話がございましたが、これにつきましては、先生の地元でございますけれども、最近大変都市化が進展をしておりまして、そういったことで例の京阪電車萱島駅から複々線高架化が終わったわけでございますが、こういったことも人口増対応する一つの手段だと思いますが、そういう人口がふえてまいりますと、やはり必要な生活物資を含めました物資の移動であるとか人の動きというようなことで、道路も当然幹線が必要になるわけでございます。  御案内のように昔の国道一号線は堤防の上を淀川左岸を通っておりましたが、枚方バイパス寝屋川バイパスをつくりまして当時はよかったわけでございますが、いまではもうとても足りないわけでございますので、この次の第三の道というようなものが必要になってくるわけでございます。そういう意味におきましては、いま、私どもとしては第二京阪道路調査を進めている、こういうような次第でございます。
  11. 北川石松

    北川委員 いま御答弁をいただいたのでありますが、首都圏近畿圏は非常にいろいろの要素を加味されてすばらしい高速道路をつくっていただいて、阪神高速とか、近畿圏高速とか、あるいは首都圏高速とか、いろいろつくっていただいたのでありますが、車が年々ふえることを形の上で示してくるのは事実の問題でございますので、計画を上回ってどんどん車がふえるということで二車線では用を足さないというところがあるんで、こういうようなものを三車線にする御用意があるかどうか、あるいは三車線計画を持っておられるかどうか、現在持ってないけれども、それはぜひともやらなくちゃならぬというようなことも考えておられるかどうか、ちょっとお聞きしたい。
  12. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいまお話しのございました二車線、三車線というのは片側という意味に解してお答えさせていただきたいと思いますが、片側のいわゆる高速道路車線で足りない区間が確かにもう多々ございます。現在五千八百四十九キロメートルの整備計画を決めておるわけでございますが、その中で十九区間五百三キロメートル、これはいまの東京厚木間等も含んでおりますけれども、これを六車線計画をいたしておるわけでございます。そのうち、この東京厚木間等を含めまして九区間百四十三キロメートルがすでに六車線になって使われております。したがいまして、残りが約三百六十キロメートル、計画に対してあるわけでございますが、これを、そのうち約半数以上は一応の四車線にはなっておりまして、将来六車に拡幅する計画でございますが、交通量であるとか、交通事故であるとか、渋滞状況等々勘案しながら、優先度を勘案して逐次六車化を進めてまいりたいと思います。  なお、去る一月二十日に第二十六回の国土開発幹線自動車道建設審議会を開催をいたしまして、いままで整備計画として六車が決まっていなかった区間でございますが、東名の大井松田・御殿場間、それから名神の京都南・吹田間を六車化をするというような、新設でなくて改築の整備計画を先日決めさせていただいたところでございます。
  13. 北川石松

    北川委員 私はあえて片側を言ったのは、たとえば六車線というとこれは対面で六車線でしょう。そうすると実用は六車線もあるのかなと思ったって、片方は、有効は三車線ですから、そういう意味片側の二車線ということを申し上げた。二車線では大変な繁雑を呈していると言って、いま御説明を願ったので、早急に各自治体の中で、あるいは公団でこれを行って、これを管轄しておる阪神高速道路公団とかあるいは近畿圏高速とかいろいろございますが、やはり三車線、俗に言う六車線の方が、これはもう完全に交通渋滞をさばけると思いますから、そういう点で鋭意御努力を願いたいと思います。  それからいま一つは、災害時ですね。いざ地震が起きたとか、いざ災害が起きたときの高速の上にある車の避難ということについては考えておられたかどうか、こういうような疑念を私は持たざるを得ない。緊急避難のときにおりる場所がないところが多々あると思うのですが、こういう点どうですか。
  14. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 地震時の問題でございますが、確かに、高速道路から車をおろすというところは、比較的どこにもかしこにもあるというわけではないわけでございます。ただ、高速道路と申しますものは、いわゆる交通の容量、キャパシティーが非常に大きいわけでございまして、これを一般道路の狭い街路等におろしますとたちまちはんらんしてしまう、つまり渋滞が起きてしまうということもございますので、その辺は十分慎重にやらなければいけないかと思うわけでございます。  ただ、大地震発生のような場合は、これは緊急的にそういう対策を常々考えておかなければいけないわけでございまして、特に例の東海地区を中心といたしました地区につきましては特別の法律もできておるわけでございまして、こういったところは地震防災強化計画といったようなことで、地震が起きたときにどうするかという計画をいろいろつくってございます。そこで、場合によりましては、利用者の安全を考えまして、警察等で行われます交通規制道路管理者協力する。それから、高速道路におられる方をまず排除することも必要でございますが、中に入ってこないようにして、緊急な物資輸送等高速道路を有効に使うということも必要でございますので、これは比較的容易にできるわけでございます。流入制限等につきましても、地震防災強化計画等の中でだんだんの手はずを考え、かつ、常に事故発生の場合に即対応ができるように努力したいというふうに考えております。
  15. 北川石松

    北川委員 日本坂トンネルのああいう惨事がありましたのですが、私は、一朝有事の際というものの高速道路上の自動車、あるいはこれに乗っておる運転者を初め同乗者人たちの混乱というものは非常なものだ。ちょっとこれは想像できないと思うんですよ、一朝有事の際の災害という場合には。だから、常々そういうことにはやはり対処してもらいたいと思います。  また、先ほど冒頭に御答弁がございました連続立体交差につきましては、これは大変繁雑を呈する首都圏近畿圏を初めとする高速軌道普通道路の中の連続立体交差というのは、市民、府民、国民の中にありがたい形をつくっていただいた、これは感謝いたしておきたいと思います。なお、まだやらなくちゃならぬものがございますから、建運協定の引き続き実施をお願いしておきたい、こう思います。  そういう点で、私は、交通安全ということは、よい道路、よい施設という点から、建設大臣に今後また御努力願わなければいかぬと思いますが、所信だけちょっと聞かしていただきたい、こう思います。
  16. 始関伊平

    始関国務大臣 お答え申し上げます。  交通安全に対する建設省責任は、ただいま御指摘のように道路整備が根本でございまして、二車線を四車線にするとか、あるいはバイパスをつくるとか、その他いろいろな道路に付随する、横断歩道橋などの設備もございますが、設備面におきまして万全を期することが交通安全における建設省の立場、責任である、かように存じております。
  17. 北川石松

    北川委員 ありがとうございました。  次に、去る四月十四日に当委員会質問いたしました国鉄の新幹線の、昨年八月十五日のパンタグラフが全車両飛んでしまうという事故を起こしましたあの件について、私はもう一度、二百キロ以上出ていないという当局者説明であり、鋭意これを調査するということでございましたので、調査結果を一応御報告願いたい、こう思います。
  18. 坪内亨嗣

    坪内説明員 せんだっての委員会で、先生の御質問に対しまして、大変言葉足らずのお答えを申し上げましたことをおわび申し上げます。  当日のスピードでございますが、三つの点から私ども調査をいたしました。  第一は、当該の列車一五九Aでございますが、その列車事故点から停止点までどれだけ走ったかということははっきりしております。これに基づきまして、逆に非常ブレーキがかかっておりますので、そのブレーキ力も全部わかっておりますので、逆算いたしまして、当該地点を通過したときのスピードは何キロだったかということを計算いたしております。その結果、二百六キロ・パー・アワーという結果が出ております。これが第一点でございます。  それから第二点は、先生も御存じだと思いますが、新幹線は、ATCと申します自動列車制御装置を装備しております。これは二百十キロ以上につきましては、仮にスピードを出そうといたしましても自動的にブレーキがかかって、二百十キロ以上には出ないという仕組みになってございます。これの動作につきましては、車上に記録装置がございまして、これを記録するようになっております。この記録部の印字状態を分析いたしますと、ATCは正確に動作をしておるということがわかっております。  それから第三点でございますが、しからばATCの信頼性あるいは正確度、こういったものは一体どうなっているかということでありますが、ATCにつきましては、これも御存じのとおり三重系構成になっておりまして、この三つの系が一致をするということで初めて動作するということでございます。そしてまた、それぞれの系は、故障が起こるとすぐ自動的に切り離す。しかも、その故障状態はすぐ表示をされるということになっております。そういう意味で見ますと、この当時のATCの状態は三系とも正常に動作しておるということであります。  それからまた、それではそれぞれの系が正確な数値で動作しているかということにつきましては、事故前、そしてまた事故後のデータを持っております。これにつきまして調査いたしましたところ、これも正常な状態になっているということを確認をいたしております。  そしてまた、以上の背景の中で、機関士あるいは車掌の証言というのもこれに合っておりまして、二百十キロ以下、二百キロ以上という間で走行していたということを申し上げられると思います。ただし、このときは地震がございまして、回復運転をいたしております。そういった意味で、二百十キロ近い速度というふうに考えております。  以上でございます。
  19. 北川石松

    北川委員 いまのスピードについては、三時間おくれておった新幹線であって、回復運転をしておったことは私は認めます。そのために最高スピードAで走っておる。そのAが九つもずっと続いておる。大抵Aが三つぐらいのときにZがかかるのに、九つも続いておる。それを言うと時間がないので申し上げないが、あのときは架線の故障でパンタグラフが皆飛んだと言われる。あれは、会社は日本電設でしたね。  それから、あの日の払い戻しその他の損害は幾らぐらいかかっておりますか。
  20. 坪内亨嗣

    坪内説明員 施工会社は日本電設工業でございます。それから、損害額は概算二十億の払い戻しだということでございます。
  21. 北川石松

    北川委員 それだけの損害が一回で出ておる、電設にも何らその後究明もしなければ何もしていない、そのまま放置しておる、こういうことではやはり国鉄再建は大変だと思います。以後注意してやっていただきたいということにきょうはとどめておきたいと思いますけれども、それで事足れりということではよくない。やはり真実を追求しながら信賞必罰をやっていかなければならない。「上正しからざれば下必ず乱る」という言葉があります。そういう点を申し上げておきまして、まだ十分な答弁とは言えませんが、本日は時間がありませんので、次に航空問題に移りたいと思います。  実はこれは、過日の交通安全特別委あるいは運輸委員会でも質問した問題ではございますが、全日空ボーイング727が、昭和四十一年二月四日に千歳空港を飛び立ちまして、まさに羽田に着陸しようとする寸前に、東京湾に墜落した。この事故について、私は、まことに遺憾であるという考えを当時強く抱きました。この点について、詳細なる説明は要らないが、ポイントの説明を承りたいと思います。
  22. 中村哲

    ○中村説明員 ただいまの先生お話事故でございますが、四十一年二月四日に起こりまして、直ちに運輸省航空局の中に、学識経験者十八名から成ります事故調査団が設けられまして、鋭意原因の究明に努めまして、四十五年九月に報告書をまとめたわけでございます。  この報告書の結論は、当該機が「夜間有視界飛行方式としては異常な低高度で東京湾上空に進入し、「現在ロング・ベース」と通報した後、接水するに至った事由は不明である。」つまり、事故原因は不明であるという結論を出しております。
  23. 北川石松

    北川委員 ボイスレコーダーというのがこの間の事故では大きな決め手になっておるが、当時その727にそういうものはあったのですか。
  24. 中村哲

    ○中村説明員 当該機にはボイスレコーダーは搭載いたしておりませんでした。
  25. 北川石松

    北川委員 「ロング・ベース」という機長の声があったようにいまおっしゃいましたが、あるいはオーバーワークとかいうのが交信されていなかったですか。
  26. 中村哲

    ○中村説明員 公表されました事故調査報告書には管制の交信記録がついてございません。また、ただいま先生お話のとおり、ボイスレコーダーも積んでいなかったわけでございます。何分にも古いことでございまして、ただいま先生がおっしゃいましたようなオーバーワークという交信があったかどうかにつきましては、いまの時点ではちょっと明確にいたしかねる、こういうことでございます。
  27. 北川石松

    北川委員 私がなぜ、過ぎ去りしこの航空事故を、いまもってこの交通安全特別委員会で取り上げて、当局にその説明を求めるかということは、当時の千歳空港を出発した727は、雪まつりで大変ふくれ上がった人たちで満載を呈し、しかも大変な重量オーバーであったと推理できると思うからです。ですから、離陸するときはジェットを全開にしまして離陸でき得ても、まさに空港に着陸しようとエンジンを停止したときは、大変な重量オーバーではなかったかなという推理を私はするのです。それを会社側が、一機長のミスであるということで片づけて、百何十名という方があの東京湾で亡くなられたというのに、真実を曲げて発表しそのように処理していくならば、東京湾で亡くなられた方たちの魂は永久に浮かばれないであろうし、機長はその恨みを持って東京湾で眠っておられるのじゃないか。こういうことが放置されるならば私は許されないと思う。  あの当時は、直ちに検察庁が千歳空港へ飛んで、乗客が何キロの物を持っておったかというチェックをしておらぬ。それを全日空がそのような形で機長のミスだということで済ますことは、まことに悲しいことであるし、そういうことをまた惹起しないとは限らない。だから、私は過日の交通安全対策特別委員会で運輸大臣に、機長のみに責任を転嫁するのじゃない、会社にも責任があるのじゃないですかということを質問申し上げたのですが、時間がなかったのでやめました。きょうもまた時間が参りましたので終わらざるを得ませんが、どうか為政者の皆さんは、大変繁雑な世の中になってまいりましても、その政治姿勢また行政姿勢において、あるいはそのことにタッチする皆さんも、やはり真実と真理の上に立った行政をやっていただきたい。両大臣を初め行政機関の皆さんに、御健勝と御自愛を祈り、御精進をお願いいたしまして終わりたいと思いますが、この問題については、いつの日にか全日空の関係者にこの席にお越し願って、質問をいたしたいことを留保いたしまして、終わります。ありがとうございました。
  28. 西中清

    西中委員長 次に、沢田広君。
  29. 沢田広

    ○沢田委員 最初に、建設大臣がおいでになっておりますから、建設大臣の見解を承っておきたいと思います。  いま特定財源ということで道路財源がいろいろと話題になり、あるいは一般財源にしたらどうだ、大蔵省関係等もそう言っておりますし、私もその一部の言を認めるのであります。しかも、この間内閣委に出されました、私の方の関係で百四十四本の法律があったわけですが、いわゆる法律の廃止の法案であります。その中には道路債券を発行することができるという法律もあったわけであります。それを今度廃止するということで内閣委に提出されているわけであります。それらを考えました場合に、道路財源を一般財源にするしないの議論はさておいても、少なくとも建設省の中だけぐらいにはお互いに利用できるという道が開かれなければならぬのではないか。後で御質問いたしますが、たとえば共同溝などについても道路財源を利用して、電柱とか水道、水道管はもちろん入っていますが、電話柱とかそういうものをケーブル化するということも一つでしょうし、下水道等の問題もその一つでおくれておりますし、あるいは公園等もその一つだと思うのです。これらは今度地方交付税の算定基礎の中に、今日に至ってようやく基準財政需要額の中に入るようになったわけでありますが、少なくとも建設大臣としては、河川の改修とか下水道とか、いわゆるナショナルミニマムとして立ちおくれている分野を補強していくという立場に立ってみたら、いつまでも道路財源という安易な発想に立っているのではなくて、やはり建設省の中で総合的な立場で判断して使用していく、そのぐらいの権限が建設大臣にはあるのだろうと私は思うのです。道路の官僚だけに縛り抜かれている建設大臣ではない、日本の建設をながめている大臣である、そういう誇りを持っておられる大臣だと私は思っております。  そういう意味において、道路財源と言われているものをせめて建設省全般にわたってのレベルアップという方向に使っていくように一歩前進していただきたい、こういう願いを持ちながら大臣の御見解を承りたいと思うのです。  最後にちょっとつけ加えますが、余り官僚に縛られた答弁をしない方がよろしいのではないかというふうに思いますので、念のため申し添えておきたいと思います。
  30. 始関伊平

    始関国務大臣 官僚に縛られない、私自身の信念でもある答弁を申し上げます。  道路特定財源は、御承知のようにガソリン税、それから自動車重量税でございますが、元来申しますと、ガソリンは非常に重要な基礎物資でございますし、また自動車は最も根幹的な輸送手段でございますから、こういうものには税金をかけるのは本来よろしくない、もし一般財源としてこれを取ろうというのなら私なども初めから反対せざるを得ない、こういう立場のものでございます。  しかしながら、道路の建設が非常な急務でございますから、だから、そういう特定財源ということで、道路整備によって利益を受ける者に負担してもらうということで二つの税制というものが初めて成り立っておる、かように思うのでございまして、ただいまのお話は、一般財源にすることはよろしくないにしても、せめて建設省の中だけでも融通したらどうか、そういうことをおっしゃる方もちょいちょいいらっしゃるのでございますけれども、ややこしくなるだけでございまして、やはり道路整備が非常におくれておる、至るところに参りましても、特に地方に参りますと、住民の皆さん、自治体の皆さんはあこがれのようなものを持っていらっしゃるのでございます。そういうような立場で申しますと、大変おくれておりますので、これはこれといたしましてやってまいりたい。なお、共同溝は道路事業の一部でございまして、現在一緒にやっておるわけでございますが、下水道につきましても、下水道のパイプを敷設するためには道路の下を使いますので、間接には非常に役に立っておるわけでございますが、建設省の中だけでやりくりをするということはいろいろな関係をややこしくするだけでございますし、また特定財源の特定財源たる意味がなくなると思いますので、官僚の答弁というようなものじゃなくて、私自身の考えといたしまして、ちょっとにわかに沢田先生の御所見に賛成いたしかねるということを申し上げたいと思います。
  31. 沢田広

    ○沢田委員 いま道路の舗装というようなものの点が触れられましたが、いま下水道は市街化区域内だけでも三〇%程度の進捗率、道路の舗装率は国道と主要県道を含めまして約七四、五%の進捗率、市町村道に至っては若干落ちてますけれども、下水道の中には——なぜ私かそういうことを言うかというと、前にも質問したとおり、道路の排水それ自身ですらみずから処理できない状態にあるわけですね。自分の流した水すら自分で処理できない現状にあるのだから、その辺は、整合性をとる施設として、せめて下水道等は、共同溝もいま言われましたけれども、公園とかそういうものも含めて、道路になれば騒音が起きるわけですし公害も生まれるわけですから、そういう緑地というものを当然付随的なものとして、総合的にこれは検討すべきではないか。いまは突然の質問ですから、十分に冷静に御判断できる時間がなかったんだろうと思うのですけれども、私はそういう時期に来ていると思うのです。だから、道路のレベルアップも必要ですが、まだ吸い込み方式をやっている徳川時代の地域もあるわけですからね。吸い込み方式というのを建設大臣は御存じですか。穴を掘って、ひしゃくで水をくみ出しながらそこへ吸い込ましていくというものですね。昔は道路が舗装されていないから、そこで水をまいて一生懸命水を吐き出してまた吸い込ませる、こういう地域もあるわけですよ。これは徳川時代の生活様式なんですね。道路だけができたからといって、いわゆる整合性といいますか調和がとれているかというとそうではない。だからその辺の調和をとるということが、建設大臣としては、やはり日本の国土をよくしていくという立場に立って見れば、もう一回考えてみる必要があるのではないか。どう考えてみてもバランスがとれてないのですね。だからその意味においてひとつ御検討をいただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  32. 始関伊平

    始関国務大臣 下水道の普及率が大変おくれておるというところに着眼されまして、ただいま御高見を拝聴いたしました。  確かに下水道はこのごろ田舎へ行っても家庭の奥さんが下水道を整備してくれぬと困るというようなことを申すようになりまして、これはこれで非常な急務だと思っております。しかし、どうも理屈を言うようですが、下水道の整備は、これは住宅建設あるいは都市整備の一環として考えるべきものでございまして、道路は非常に進んでおるじゃないかという前提のもとに御所見をお述べのようでございますが、道路はそんなに進んでいないという前提が一つございますけれども、そういう点はしばらく抜きにいたしまして、建設省に河川があり、道路あり、都市整備あり、住宅あり、都市問題としては下水道がございますし、公園緑地もございます、街路もございますが、そういったようなものの全体のバランスをとらなければいかぬという点は全く同感でございますが、ただ、道路特定財源をいわば建設省の特定財源にしてその操作だけやっていこうということでは、範囲が小さ過ぎまして必ずしも御期待にこたえるような結果にならないだろう、しかし検討はいたしますが、そう申し上げてお答えといたします。
  33. 沢田広

    ○沢田委員 総務長官、いらっしゃいますね。今度地域改善対策という立場で、同和対策の問題が一応そういう形で発足をすることになりました。これに当たって、交通安全の問題あるいは交通環境整備問題等については従前どおりの形で進められると解釈をしてよろしいのかどうか、その点、交通安全の委員会としての立場からひとつお答えをいただきたい、このように考えます。
  34. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  私は従前どおりの考え方でやっていく予定でございます。
  35. 沢田広

    ○沢田委員 あとは事務当局の方に聞く方が多いですから、ひとつよく聞いておいていただく程度で進めていきます。  まず警察の方にお伺いいたしますが、横断等の禁止という条項がございます。横断、渡りかけという言葉がよく使われているのでありますが、自動車が、歩行者が渡りかけている間に、一時停止はしても横断をすればそれは違反であるということで、罰則、減点一点を付しているというのが現状でございます。それで、警察官に取り締まりの権限が果たしてあるのかどうか、その渡りかけの解釈とはどういうものなのか、一応お答えをいただきたいと思うのです。
  36. 久本禮一

    ○久本政府委員 お答え申し上げます。  先生のお尋ねになりました渡りかけということの定義の問題でございますが、これは道交法の三十八条一項後段の、横断しようとする歩行者などがあるときということの解釈ということではあるまいかというふうに考えますので、この点につきましてお答えを申し上げたいと思います。  この解釈は、法の趣旨からいたしまして、車両などがそのまま進行いたしました場合に、横断をしておる歩行者との間に必要な安全間隔を保てなくなるおそれがあるような場合を言うのである、というふうに私どもは解しているのでございます。
  37. 沢田広

    ○沢田委員 同じく、横断等の禁止が第二十五条の二にあります。「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、」と、こうなっております。この「おそれがあるときは、」という判断ですね、その判断はだれがするのか。これは最終的には裁判所だと思うのですが、いわゆる警察官だけの認識なり見解だけによって、それはおそれがあるのだ、おれはそう思うのだ、そういうことで減点をすることが果たして法解釈上妥当なのかどうか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  38. 久本禮一

    ○久本政府委員 ただいまの御質問、いわゆる歩行者がある場合の左右折の関係だと思いますが、警察官が具体的な違反を認定する場合のあり方ということでのお尋ねだと思うのでございますが、確かに具体的に何メートルではどうということを申しているわけではございません。しかし、現実にそういった人の横断と車の通行が競合いたしました場合に、それが歩行者の横断を妨げ、脅かすことになるかどうかという点につきましては、具体的な通行の現場におきまして、これは警察官の次心意ということでなく、ほぼ客観的に認定はできるものというふうに考えるわけでございます。したがいまして最終的に、一時的には警察官がそこで認定いたしますけれども、そういう認定を客観的、合理的にするような指導をいたしまして、取り締まり、指導等に当たらしているところでございますので、この点につきまして勝手に警察官が判断をするということではないと考えております。
  39. 沢田広

    ○沢田委員 たとえば十六メートル道路でも結構です。順番に聞いていきますが、分離帯があります。一方はなしとしましょう。その分離帯がある向こう側から半歩踏み出したら渡りかけですか。もっと具体的に言いますと、左折なら左折をいたします。左折する方の歩道には渡る人がいない、右側の方に分離帯がある、その向こう側を半歩踏み出した、これは渡りかけというのですか。一歩踏み出したら渡りかけというのですか、半歩なら渡りかけなのですか、次の車帯に入ったら渡りかけなのですか、どれが渡りかけというのですか。
  40. 久本禮一

    ○久本政府委員 一歩踏み出した場合、半歩踏み出した場合どうかという形は、実は具体的な認定に直接かかわり合いはないのではないかと思うのでございます。と申しますのは、最初に申し上げましたように、横断歩道を通行しようとする歩行者の「正常な交通を妨害するおそれ」と申しますのは、具体的にはその間に安全の距離がどの程度保たれておるかということでございますので、おっしゃったように広い道路の場合に、たまたま反対側の歩道に一歩踏み出したからということで、それが直ちに本条の違反になるものだというふうには考えていないところでございます。
  41. 沢田広

    ○沢田委員 だから、その認定を、それでは次の通行帯まではいい、分離帯があるわけですから。一方の分離帯を歩いている、一方の分離帯には人がいない、そのときに左折するのは渡りかけなのですか。歩行者妨害になるのですか、ならないのですか。
  42. 久本禮一

    ○久本政府委員 それは道路の付近等の事情も考えまして、横断歩道を横断しようとする歩行者とそれを通過しようとする車の間に安全な距離が保てるかどうかということによって決まると思いますので、分離帯があるという道路は通常御指摘のように非常に幅の広い道路でございますから、それが結果的にかなり歩行者との間に広い距離を保てているという場合には、こういう違反が成立するというふうには考えていないところでございます。
  43. 沢田広

    ○沢田委員 いまのは、そういう例でも減点になって、抗弁をする機会も与えられない。それは切符を切られて、あなたは歩行者妨害ですよ、警察官からそう言われれば、一般の人はそれでやむなく反則金を払い、切符をもらってくる。そういまあなたがおっしゃっている解釈がそのとおり現場では適用されていない。あなた、その点はどういうふうに考えますか。そういう権限が警察官には与えられているという法律上の根拠はどこにあるのですか。
  44. 久本禮一

    ○久本政府委員 これはすべての違反について同様でございますが、ただいま先生指摘の左右折、あるいは横断歩道を横断する場合における歩行者の保護という点につきましては、ただいま申し上げたような解釈がこの法の趣旨であり、それに従って取り締まり、指導は行われるべきものであるということを一線に指導しているところでございまして、一線はそういった解釈のもとに立ちまして、個々の取り締まり警察官に指導、取り締まりの指導をするということでございます。  したがいまして、現実の指導、取り締まりはそういった考え方に沿って行われていると考えておりますが、もしそういった点に著しく反するような指導、取り締まりが行われるという点がございましたら、これは厳密にその点につきましての指導を強め、そういったことがないように適正な指導、取り締まりが行われるように今後努力するつもりでございます。
  45. 沢田広

    ○沢田委員 その適切な指導が行われてないから、私がここで質問をするわけだ。ここに、いま言った渡りかけという解釈は、歩行者が安全であることをお互いに確認し合って、これは社会の一つの常識上の解釈でいま申し上げているわけですが、それが一方的に警察官に、おまえは歩行者妨害だ、それで切符を渡されて、いわば弁解の余地が与えられないシステムというのに問題があるのではないのか。それほどの法律上の権限は果たしてあるのだろうか。  もう一つの言い方は、半歩踏み出して、自動車が曲がりかけたら、まだ十メートルくらい間がある、六メートル道路でもいいです、四メートルくらい間がある、歩行者がとまった。とまったならば、あなたの車は違反です、それは歩行者が脅威を感じたからだ、そういう解釈もしているようですね。そういうふうに渡りかけについて、歩行者が一時停止をして次に入っていくという場合に対して、警察官のそれぞれが見解が違ってくる、こういうことでは困るのでありまして、その点は、あなたがここで答弁しているようなきれいごとでは実際が行われていない。どれだけ多くの国民がそれで反則金を払っているか、はかり知れない。そういうことに対して適切な指導をされるというけれども、じゃ、この内容は各都道府県へお伝えいただけるのですか、渡りかけの解釈はこういうものだというのを。どうですか。
  46. 久本禮一

    ○久本政府委員 現実の取り締まりにつきましてそういった御指摘、おしかりがありますのはまことに残念で遺憾でございます。そういう点に取り締まりは、そういう法の解釈に基づきますところにつきましては、取り締まりの警察官あるいは府県によって著しい差があるということでは、御指摘のとおりもちろんいけないと思うわけでございまして、そういう点につきましては、御指摘趣旨を踏まえて、今後も、この条文についてはこういう解釈であるので、その趣旨に沿った指導、取り締まりをするようにということは厳密に指導してまいるつもりでございます。
  47. 沢田広

    ○沢田委員 これは私もおまわりさんと激論を闘わしたんだ。これで一時間損した。一時間損して激論を闘わした。では、渡りかけの解釈はいずれ機会を改めてはっきりさせましょうと言って、免許証まで取られた。私は国会議員だなんて言いませんよ。言いませんけれども、理論闘争をやりました。しかし最後には、じゃ免許証を取るんだ、取るなら取るで結構です、私は忙しいから帰ります、こう言ったわけです。最後はよこしましたけれども、私はそういうことで理論闘争をやりました。裁判にかけても結構です、裁判で争いましょう、こう言いましたが、一般の人はそうでなくみんなやられている。これは言うならば、きわめて警察権の乱用に近い。完全に安全を確認して通っていっても、一方が一方の車帯を歩いていれば渡りかけだと勝手に解釈をして、それで反則金の切符を切る。しかももう一人のおまわりさんは、ぼくは乗ったままでしゃべっていたからですが、ぐずぐず言うなら引っ張って行っちゃうべえや、こういう調子だ。こういうことが果たして許されていいのか。私だったからこれはこれでまかり通ったと思う。しかし、立場、任務、職務は言いませんでしたが、一般の市民としての立場で私は言ったのでありますが、一般の市民がそうやって泣かされているという現状は許しがたい。これは少なくとも、警察官の教育なり内容なりがよほど間違って指導されているというふうに私は解釈するし、あるいは反則金稼ぎにやっているのではないかとさえ思える点もなしとしないのであります。もう一回この点、私自身が被害者でもあるわけでありますから、明快にお答えいただきたいと思います。
  48. 久本禮一

    ○久本政府委員 取り締まりの現場において先生に大変不愉快な思いをさせたということは、同じ交通を担当する者といたしまして、大変申しわけなく思うわけでございます。もちろん一般の市民の皆さんに対しても同じように、差別をつけてどうこうということではないわけでございまして、この点につきましては、一般的な交通警察官の取り締まりの態度としましても、今後十分にそういう御指摘をいただかないように指導を強める所存でございます。
  49. 沢田広

    ○沢田委員 ですから、渡りかけの解釈というものは一つの基準、六メートルの道路の場合はどう、四メートル程度の道路の場合はどう、八メートルの場合はどう、十二メートルの場合はどう、分離帯がある場合はどう、せめてそれぐらいの解釈例規はつくって、そしてどこまでを渡りかけと言うか、しかもなおかつ、それでも駆けてくる子供がいる場合はまた別の解釈が必要になってくるわけです。あるいは犬が駆けてくるという場合も別な解釈が生まれると思うのです。ですから、それはそれなりで別な解釈が、駆けてくる子供がいる場合は向こうの分離帯であっても必ずしもそれで正しいとは言えないのですから、そのことはそのことでこれは特例の場合として扱っていくべきであって、通常の場合の渡りかけはどういうものをもって渡りかけと言うか、あるいは歩行者妨害はどういうものをもって歩行者妨害と言うか、少なくともこの解釈例規ぐらいは末端の警察官に徹底をしておいていただきたい、こういうふうに思いますが、重ねてお答えをいただきたいと思います。
  50. 久本禮一

    ○久本政府委員 取り締まりは客観的に行われる必要がございますので、できるだけそういった疑いのないような物差しを設けた方がいいことはおっしゃるとおりでございます。  ただ、御指摘のように、道路の幅員のいかん、あるいは分離帯のあるなし、あるいは車の速度、あるいは大きさ等いろいろな条件がございますので、すぱっと割り切るということが必ずしも実情に沿わないという点もございますのでいまの形になっておりますが、できるだけ解釈の趣旨は明白にいたしまして、無礼を生じさせないような指導を末端の警察官まで十分に徹底するようにいたさせるつもりでございます。
  51. 沢田広

    ○沢田委員 もう一つお願いしたいのは、こういう法律上の解釈の問題で、これは裁判の判例等が必要になってくる問題にもなるわけですが、警察官がこういうおそれのある場合の認定によって出した場合は、少なくとも苦情処理的なもの、これは本人に不利な証言は行わないことができるという、憲法でも保障されている国民の権利があるわけですから、たとえ反則金であろうとも、一応は本人が警察なり公安委員会なりに自分で申し出て、その解釈を明確にさせるという手続ぐらいはつくってやる必要があるのではないかというふうに思いますが、これはいかがでしょうか。
  52. 久本禮一

    ○久本政府委員 交通の取り締まりは警察官限りで終わるわけではございませんので、それが場合によっては検察官あるいは裁判所に行くというコースを経るものもございます。したがいまして、現実の取り締まりの場におきましても、それは若干の個人差はあるかと思いますけれども、やはり違反をドライバーが認めるという場合にはそれなりの議論のやりとりはございますので、いまの制度はそれなりに、ドライバーの立場というものが違反に対して主張されるというふうに考えておるわけでございますが、なお勉強はいたしたいと思います。
  53. 沢田広

    ○沢田委員 そのことをもって、当事者であるお巡りさんが気力を失って何にもならなくなったのでは仕方がないのでありますから、そういう意味で私は申し上げているのではなくて、公平という原則が守られる、そういう含みの立場でひとつ御教育もいただきたいし、また士気の高揚にも当たっていただきたい、こういうふうに思います。  次の問題に入らせていただきますが、先般、車検の問題は過料の方式で法案が通過をいたしました。その際、運輸委員会質問したのですが、時間の関係で若干確認ができておりませんでしたので、もう一回確認をさせていただきたいと思います。  これは参議院の方にいま回っておる問題でありますから、この法案がどういうふうになるかわからぬが、運輸省としては、もしこれが廃案になったらもう出さないというのなら、質問しないでこれで私も終わりたいと思うのでありますが、もしこれが廃案になるならば、これはこれだけ国民の批判を受けているものなのだから、二度とこの過ちはいたしません、むしろ運輸省の方で逆に過料を払ってもらうという式に御理解をいただいて、これはもうこういう形はとらぬのだというふうにお考えなのか。いまの段階では、まだ参議院の段階が不明ですから、所期の目的どおりだとお答えにはなるのでしょうけれども、もし廃案になった場合は十分反省をする気持ちはあるのかどうか、それだけひとつお答えをいただきたいと思います。
  54. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように、道路運送車両法の一部改正案は衆議院の本会議を一昨日通過をいたしたわけでございます。これから参議院において審議をいただくという段階になっておりますので、ただいま先生から御質問がございましたようなことにつきましては、現在国会に審議をおゆだねしておるということで御答弁を申し上げたい、こういうふうに考えております。
  55. 沢田広

    ○沢田委員 役人としては、もう少し勇気があれば答えられるでしょうけれども、いかに定年に近いといいながら、なかなかそこまでは勇気はないのだろうと思いますから、それは立場は了とするものであります。  そこで、過料を納める場合の答えもこの間若干違っていたようですが、記録簿に六カ月の点検のあれがなければ勧告をするということは、間違いないですか。
  56. 宇野則義

    ○宇野政府委員 定期点検を実施しているかどうかということにつきましては、主として街頭検査のとき等でチェックするわけでございますが、その際一番主となるものは定期点検記録簿の確認ということになろうかと思います。
  57. 沢田広

    ○沢田委員 いまは主としてというふうに言われましたけれども、この間の答弁では記録簿でしてなければと、こういう答えだったのですが、記録簿以外は何をやるのですか。
  58. 宇野則義

    ○宇野政府委員 街頭等で車のチェックをいたしますので、その際に記録簿の備えつけがあるかどうかということが一番基本になるわけでございますが、記録簿を途中で自宅に置いてきたとかというような、いろいろなケースが街頭で出てこようかと思います。その場でどういう形で最終確認がどこまでできるかというのは、具体的な事例が発生いたしませんとここで一概に申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういういろいろなケースが出てこようかと思います。したがいまして、一義的には定期点検整備記録簿の確認によって行う、こういうことになろうかと思います。
  59. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、たとえば自動車の点検簿の中に示されております中身で申し上げると、オイルの量であるとか油漏れや何かは現実に見られるかもしれませんが、緩みとか、損傷とか、ブレーキのききぐあいとか、その他ナックルの問題であるとか、こういうようなことはもう記録簿だけによるのであって、事実がたとえばそれにそごしていようといまいと、その内容には関係なく記録簿によるんだ、記録簿でやってあってもその後緩む場合も当然あると思うのですが、それはあくまでも記録簿が主体である、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  60. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま先生が御指摘になったような状態が現実に発生すると思います。街頭検査のとき等でチェックいたしますのは、一つは、現在町を走ってまいりました車が保安基準に適合しているかどうかというチェックをすることにもなろうかと思います。これは現在も、整備不良車の運行の排除ということから、警察の方の御協力もいただきながら実施をいたしておるわけでございます。それとあわせまして、定期点検が十分実施されているかどうかということとをチェックするという、二つの面があろうかと思います。したがいまして、定期点検が実施されているかどうかというチェックと、現在その場でその車がどういう状態にあるかというチェックと、二つのチェックの面があると思います。もう一度申し上げますが、いま言いました後の方、町を走っている車が現に保安基準に抵触しているかどうか、違反していないかどうかというチェックは、現在も行っておるわけでございます。
  61. 沢田広

    ○沢田委員 先般の質問でも、タクシー、バスは、現実は除いているが、除いていないという答弁でしたが、これも除かない、やるんだ、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  62. 宇野則義

    ○宇野政府委員 街頭検査という性格からいたしますと、すべての車を対象にするということに答えがなろうかと思います。ただ、街頭で車をチェックいたしますにつきましては、たとえばバスが営業でお客さんを乗せたまま運行の途中で、そういう状態の車をとめてチェックをする、あるいはタクシーのお客さんが乗っている状態で、お客さんに迷惑をかけつつ街頭検査をするという実態は、これまでもございませんし、今後もそういうことはなかろうかというふうに考えております。
  63. 沢田広

    ○沢田委員 なかろうかということは、乗っている場合はやらないという意味ですか、やるという意味ですか、どっちなんですか。
  64. 宇野則義

    ○宇野政府委員 車をとめるに際しましては、近づいてくる車の様子を見ながら、車を警察官にとめていただいているわけでございますので、原則的にはやらないことになろうかと思いますが、特異なケースが何かございますれば、それはそのときに行うということもあり得ると思います。
  65. 沢田広

    ○沢田委員 この間の答弁と違うじゃないですか。それは含むという答弁じゃなかったですか、この間は。きょうになったら除くという御答弁をしている。これは法のもとの平等に反するじゃないですか。個人だったら用がないというのですか。バスだったら迷惑がかかるというのですか。個人の車であったら迷惑がかからないというのですか。そんな暴言は許せませんよ。冗談じゃないですよ。なぜタクシーやバスは迷惑がかかって、普通の自動車は迷惑がかからないか、それを証明してくださいよ。
  66. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたけれども、街頭検査の対象とする車につきましては、先ほど申し上げましたように、法律的にはすべてが対象であり、また平等で取り扱うべきであるというふうに考えております。バス、ハイタクといったような旅客を運送する公共性の強い事業の車につきましては、別途運輸省の方で事業監督の対象にもなっておるわけでございまして、そういう面からのチェックも別にできるということを考慮して、実際の街頭におけるチェックの際にいろいろな考慮をすることになるのではないかと考えております。
  67. 沢田広

    ○沢田委員 だから、そこで時間を浪費し、むだになる場合が出てくる。どんな用事で行くかわからぬけれども、今日のマイカーなり自動車の普及状況からいって、そのものだけを除く理由には根拠は薄いと私は思う。どんな用事で片っ方だって動いているのかわかりませんよ。商売で動いている人もあるでしょう。あるいは、その時間に間に合わせなければならない品物を届けようとする人もいるでしょう。あるいは、葬式に行く人もいるでしょうし、結婚式に行く人もいるでしょう。それぞれ今日の社会生活を営んでいく中の必要性に基づいて行動しているわけですよね。そのために、こういう点検だの何かをあなた方にしつこくやられて時間をむだにする。そういうことでいくならば、すべて平等にやらなければ、一方だけ素通りされて、一方だけとめられている、その心境にあなた方はなってみたことがありますか。そういう心境をあなた方は考えてみましたか。一方はどんどんとめられて、一方はどんどん素通りをしていく、そういう状況が不平等の感を受けないとあなたは思いますか。いかがですか。
  68. 宇野則義

    ○宇野政府委員 先生のおっしゃられますように、自家用乗用車等につきましても、それぞれの目的を持ち、それぞれの理由があって町を運行しておるわけでございまして、そういう面におきましては、自家用の車であろうと事業用の車であろうと、町を運行する一つの目的には変わりがないと思います。街頭等でチェックをいたします際に、限られた人数で、限られた車両ということで、自家用車のすべてをとめてチェックするということもできません。したがいまして、車が近づいてきたときに、私も街頭検査等に立ち会ったことがございますけれども、車が近づいてきたときに、その車の状況、走ってくる状況だとかあるいは積み荷の状況だとかいったものを直感的に目で見ながら、街頭検査をする場所の広さ等も勘案して逐次ストップしていただいておる、こういう実情でございまして、先ほどの繰り返しになりますけれども、法律的な面から見ますと取り扱いとしては平等であるべきだというふうに考えております。
  69. 沢田広

    ○沢田委員 きわめて不満な答弁なんでありますが、やはり法のもとに平等であるということは、いかなる立場にある者にせよ、すべてそれは同じ条件のもとでされなければならない。このことを申し上げて、まだ残っておるのですが、簡単にお答えいただきたい。  それで、記録簿を見て点検をしていなければ、あなたの方では、点検をしなさいという勧告といいますか、指示といいますか、アドバイスをする。そのときから十五日なら十五日以内にしなさいという勧告をする、こういうことですね。これはイエスかノーか、それだけ答えてください。
  70. 宇野則義

    ○宇野政府委員 定期点検が実施できないということが確認できた時点で、勧告をするなり指示をするなりということになろうかと思います。
  71. 沢田広

    ○沢田委員 それで、あと時間がなくなりましたから残念ですが、最後に、後でこれは他の委員の方からもしていただきますが、先般の質問で、たとえば本人が忙しいからとかいった場合には、文書で警告を出す、あるいは点検したかしないか、報告の義務に違反した場合には過料を取るのだ、こういうことでしたね。これは報告の義務に違反した場合に取るのだということだけですね。——首を縦に振っておるから、これはそうだということでいきます。  じゃ、あと二つだけなんですが、一分間ぐらいで勘弁していただきます。  自転車の安全に対して、道路構造令の変更ということをこの委員会で確認をしてきているわけでありますが、その進捗状況はどうか。それが一つ。それから、自転車置き場に関する申請状況、設置したいという申請はどの程度集まっておるか。それから、都市計画は決定したけれども事業認定をしない都市計画については、自転車置き場を設置させるということを考えるべきではないか、こういうふうに思いますが、その点のお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 構造令関係についてお答えいたします。  昨年の二月二十七日に先生から御指摘をいただいたところでございますが、その後検討を進めまして、ただいま各省協議を、それから法制局で内容の御審査をいただいているところでございます。
  73. 滝田一成

    滝田政府委員 お答えいたします。  自転車の駐車場の設置申請状況ということでございますが、駐車場の整備につきましては、都市計画街路事業とか、あるいは交通安全施設等整備事業とか、あるいは地方単独事業でございますとか、いろいろあるわけでございますけれども、そういうものについての申請状況というものは、総理府としては把握はしてございません。  なお、昨年十一月に駅周辺の放置自転車の情勢などを調査いたしましたが、その後あわせまして、駐車場の整備状況なども見ております。その調査によりますると、全国で市制の施行されている場所、それと三大都市圏の中の町村部を合わせまして、自転車の駐車場の整備状況というのは、六百七十の市、町におきまして六千九十二カ所の駐車場ができている、収容台数は約百三十三万台となっている、こういう実情は把握してございます。
  74. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 都市計画決定をいたしました駐車場というのは、五十六年三月末現在で全国で百十六カ所、計画台数七万八千八百台、計画面積八・三〇ヘクタール、うち七十五カ所、四・八八ヘクタール、四万五千台分が現在供用中でございます。  あと、先生質問意味は、計画決定をしても、事業認可を受けてない段階でこういう事業ができるか、できないかということでございましょうか。
  75. 沢田広

    ○沢田委員 いや、変更して、自転車置き場を置くように変更させるべきだということです。
  76. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 御質問の御趣旨は、恐らく、自転車駐車場の整備に関する例の法律の七条でございますが、これで都市計画上の配慮をしろ、こういうことに基づく御質問かと思いますが、計画決定をすることは、地元の都道府県知事が市町村と相談しながら計画決定をするわけでございまして、その段階で自転車利用状況を配慮して適切な措置を講ずるように、私どもとしては通達で指導しているわけでございます。周辺の状況に応じまして積極的に、都市計画自転車駐車場を取り込んだり、あるいは高架下、駅前広場等に自転車置き場を確保することについては、今後も十分指導してまいりたいと思いますが、そういう形での計画変更等が地元から持ち上がった場合には、当然のことでございますが、その要望に沿うような方向で対処してまいりたいと思います。
  77. 西中清

    西中委員長 次に、井上泉君。
  78. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、まず総務長官にお尋ねするわけです。総務長官所信表明、まことに結構な所信表明をしていただいておるわけですが、問題は、この所信表明がいかに実行されるかということであります。所信表明の中で、前文はいろいろ情勢報告のようなことであって、本当に総務長官としての交通安全対策に取り組む姿勢というのは、「昭和五十七年度予算編成に当たり、」云々の項が総務長官としての交通安全に取り組む姿勢だと思うわけですが、いままでの交通安全対策を参考に置いて、総務長官としては特に自分としてはこういう点に力点を置いたというのがあれば、そのことをお示し願いたいと思います。
  79. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  交通安全対策の私の所信表明の中で、特に新しい五十七年度予算の中で何を重点に考えているか、こういうことでございますが、私といたしましては、やはり被害者の救済対策というものは、第三次の交通安全基本計画におきまして、自動車損害賠償保障制度の充実と、そしてまた損害賠償の請求についての援助活動の強化という二つの柱を中心として、一つ自動車損害賠償保障制度の充実、この問題については、自動車損害賠償責任保険の充実ということと、そしてもう一つは無保険車両対策の徹底ということと、それから三番目は任意の自動車保険についての指導の強化ということに重点を置くということ、こういうことでございます。  また、第二としては、損害賠償の請求については、援助活動の強化に関して、一つは、地方公共団体による交通事故相談活動を初めといたしまして各機関の援助業務の充実強化ということを図っていきたい。二つには、交通遺児に対する就学援助措置の充実等を重点に対策を進めてまいりたい。この方針に沿いまして、各省庁所管をしております施策と密接な連携をとって、そしてこの推進に邁進をしてまいりたい、こういう考え方であります。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕
  80. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたがそういうふうなお考えであることは結構ですが、しかし、実際仕事をするのは各省庁でありますので、各省庁に対するあなたの長官としての指導というものが大事であるわけでありますから、それについてはやはり問題点の認識というものがなければならないと思うわけです。あなたは知事もやられておったのでありまするから、その辺の認識は十分あろうと思うわけですが、被害対策の中で、私は救済対策の重点施策というものについていろいろお尋ねをしたいわけです。  時間の制約もありますが、たとえば交通事故による被害者は頭を打つケースが非常に多い。脳外科の受診というものが非常に大事であり、それが都市部は別といたしまして農村部ではこの事故は多発をしておるわけですが、そういう中で、地域の住民に密着した自治体病院というものが脳外科を設置をされておるところが非常に少ない。また設置をしても非常に金が要る。そういうふうなことで、この地方自治体の病院等についても脳外科の診療科目を設置し、そうしてその地域被害者救済をぜひやりたい、こういう願いが数多くあるわけですが、こういう地域の自治体病院の被害対策、特に脳損傷による被害者に対する対策としては、その地域の医療体制整備するという御指導をなさっておるでしょうか。
  81. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  交通事故によります被害者の迅速な救護、そしてまた救命を図るということは、交通安全対策の上で最も重要な課題であろうと考えております。私もいま御指摘がございましたように地方の知事をやりまして、最もこの点においては急速かつ敏速に、最も近い地点の救急医療の対応をしなければならないということを実は考えておりまして、私の場合には、甲府の県立の中央病院、そしてまた、富士吉田地域においては富士吉田の市立病院というものを救急医療センターという形で配慮をいたしました。しかし、国全体から見ましても同じようなことが言えるのではないか。したがって、この問題は、厚生省の所管の救命救急センターの整備、また、文部省所管の実は脳神経外科医師の養成、こういうようないろいろの施策が必要である。また同時に、救急患者の輸送体制整備、こういうことになりますと、それぞれの地域の医師会との緊密な連携、また同時に救急輸送の整備、こういうことが多角的に検討をされなければならないと私は考えております。  今日、全国におきましても大変に苦心をしておるところでございまして、たとえば一つ高速道路事故が起きますと、高速道路の起きた地点の市町村がこれに対応しなければならぬというような問題まで起きております。私は、そういうことを考えましたときに、これは、高速道路の中に一つの救急医療センターというものがどこかに配置をされるべきではないかということを実は痛感をいたしておりました。御指摘の点についてはいろいろの問題があり、多角的な検討が必要であろうと思いますので、今後関係省庁とも十分連絡をとって対応してまいる考えでございます。     〔安田委員長代理退席、委員長着席〕
  82. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたの考えを実際に実行していく上に、現在の自賠責の運用益その他のなににでも、こういう審議会の答申で、滞留資金の運用益については救急医療体制整備に活用すべきである、こういうことであるから、だからそのことの目的に沿うた運用益の活用をすべきであるし、あなたもそのことを考えておるというわけですが、ところが、運輸省が現在県単位で一千万円、それで、それを扱うておる大蔵省は大学病院のみを補助しておるという、こういう現状であるということについては御認識をしておるのであるか。そうしてまた、認識しておるとするならば、そういうことはどうも答申の趣旨から言うて問題がありはせぬか。もっと広く活用すべきであるとお考えになるのかどうか。その点ひとつ。
  83. 田邉國男

    田邉国務大臣 いま御指摘の問題でございますが、この点につきましては、実は自賠責の運用益でこれをやることができるか、私自身はそういう方法をとり得るんではないか、またとるべきではないかとも考えておりますけれども、この運用益の使途、限度額を抑えられておるというのが現状でございます。したがいまして、この点につきましてはさらに十分、厚生省とも打ち合わせをして、検討させていただきたいと思います。
  84. 井上泉

    井上(泉)委員 それは厚生省と打ち合わせするのではなしに、あなたが総理府総務長官としてこれの指導をする、関係省庁交通安全対策関係予算の調整を行う云々という任務を持っておるんですから、厚生省と相談する前に、この運用益の使い方というものは、自賠責の審議会の答申に救急医療体制整備に活用すべきである、こう言われておるんだから。その救急医療体制に活用しておるのが一部に限られておる。この一番の大蔵省の関係等については、昭和五十六年度に四十一億一千八百万。しかしこの四十一億一千八百万円はほとんど赤十字社、済生会、あるいは大学、こういうふうに限られておるんですから、いま言うたような地域の医療体制整備する。地域には脳外科がいない、だから脳外科を設ける、設けるためには金が要る、しかし地域人たちは脳損傷が非常に多い、そういう実態に応じて脳外科を設置したいというなら、やはりこれを広げなければいかぬ。それは全部へはいけないでしょう。全部へはいけないけれども、特定の機関に限定をするということではなしに、地方自治体のいわゆる市町村立の病院にまで、その必要に応じては門戸を広げるのが、あなたの言う被害者救済対策である、こうなるんでしょう。だから私は、当然それは門戸を広げるべきで、聞くということではなく、門戸を広げるようにあなたは指導すべきだ、こう言うのです。
  85. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 先生指摘のように、自賠責審議会の答申の中で、自賠責の運用益を活用して救急医療体制整備に充てるべきであるというふうな御指摘をいただいております。これに基づきまして、自賠責特会におきましても、昭和四十二年から、公的医療機関に対しまして緊急医療施設の整備補助を出しております。  その対象は、自賠責の保険から支出をいたしております限りにおきましては、単に赤十字とか国立病院のみではございませんで、都道府県、市町村立の病院等も含めました公的医療機関に対して補助金を交付をいたしておるわけでございます。  その実績は、五十五年度で五億六千七百万、五十六年度で五億七千六百万円でございまして、そのうち都道府県立とか市町村立にはそれぞれ四億七千万、四億五千万ということで、大部分の補助金を都道府県立または市町村立の病院に対する補助に充てておるわけでございます。  今後も、こういうものにつきましては極力御趣旨の線に沿って拡大をしていきたいというふうに考えております。
  86. 井上泉

    井上(泉)委員 ついでに大蔵省。
  87. 松田篤之

    松田説明員 先生指摘のように、脳神経外科医療を中心とする救急医療体制整備というのは非常に大事なことだと私ども考えておりまして、自賠責の運用益のうちいわゆる民間会社の所有分と申しますか、国に再保険を出した残りの分から生ずる運用益につきまして、救急医療体制整備に充てております。特に脳神経外科につきましては、まず脳神経外科の医者を育てることが大事だということで、費用も非常にかさみますCTスキャナーというものを中心に大学病院に配分する事業を始めまして、昭和五十年ごろにはほとんどなかったCTスキャナーというものが、医者を育てる各大学病院にほぼ行き渡るまで補助をいたしております。  また、救急医療体制そのものといたしましては、日赤、済生会といった民間病院を中心にこの体制整備に充てているところでございまして、自賠責審議会の答申に従いまして、こういった形での救急医療体制整備というものにこれからも費用が充てられると思います。  なお、先生指摘の審議会の答申でございますけれども昭和五十三年の答申でございますが、この答申は、実は「保険収支の動向をも勘案し、将来の収支改善のための財源として留保しておくことを考慮するほか、」と申しまして、主な使い道というのを保険収支のバッファーとしてこの運用益を考えるべきであるということでございまして、この分の一部を使ってこういうことを整備をするということも答申の中身にございますので、そういった意味で、先生のおっしゃいます救急医療体制整備につきましても、今後とも進めてまいりたいと考えております。
  88. 井上泉

    井上(泉)委員 大蔵省の方、非常に多いわけですけれども、医者をつくるということもずいぶん交特でも論議をされた経過があるわけです。私はよく承知をしておるわけですが、その経過の中から、脳外科の医者を育てる、そして脳神経外科の診療科目を設けるようにするというようなことで、これは僻地におきましては、市町村立の病院でもその周辺に脳外科の先生が一人もいない。その科目がない。ないところは少々無理がいっても自治体としては当然つくらなければならぬという要求の中で、病院をつくって脳外科の診療科目を設けている。そうすれば、それにも補助の対象を大蔵省としても広げるべきであって、これをいまのような固定したものに限定をせずに、必要度に応じて門戸を広げるべきである。このことを私は前の予算委員会の分科会でも指摘をしたわけでありますが、五十七年あるいは五十八年、門戸を広げるところの用意はあるのですか。
  89. 松田篤之

    松田説明員 先生指摘のように、この整備費を市町村立の病院といったところまで広げるのも一つのお考えかとは思いますが、まずこの資金でございますけれども、この資金自体が、損保会社が所有しております運用益というものは税金を払った残りでございまして、その残りの分を民間の会社としてどういうところに寄附をしようかという問題の性質のものでございますので、役所の方でどういうところに支出をするということを決めるという性質ではございませんで、その会社の方が委嘱しております自賠責の運用益の運営委員会という場所で決定がされるというものでございます。  もう一つ、運用益というのは、先ほどから申し上げましたように、運用益の使い道として、基本的には保険収支の動向の収支改善のバッファーで使うということでございますので、非常に財源が限られております。したがいまして、限られた財源を有効に使うということからいたしますと、四千以上にわたりますいわゆる公立病院にまで援助して薄まきにするのはいかがかな、むしろ民間会社としての役割りとして、そういった補助に、あるいは民間の寄附金に頼っている大きな病院等を中心に援助をしていく方が効率的なのではないか、こういう基本的な考え方のもとにこれまでやっているわけでございまして、そういった面で、市町村立病院にまで範囲を拡大するのはなかなかむずかしいのではないかと考えております。
  90. 井上泉

    井上(泉)委員 少々困難があってもその困難を乗り越えていくのが仕事でしょう。それはあなたの金でもないでしょう。そして、大学病院でも大きな経済力があるわけで、市町村立、公立病院が四千幾らあるといったところで、脳神経外科を設置している病院なんかそうないですよ。それから、その地域の必要性から考えて、全部のところが必要というわけではない。どこそこをやれというのではない。その枠を特定のものに限定するのが悪いのだから、そんなことはすべきではないのです。それは保険審議会で保険会社の意を受けてやらなければできないからといったところで、そんなことは大蔵省が指導できるでしょう。だから、そういうことを指導することによって、救急医療体制整備するために必要なところに運用益の金を回すことはできるのじゃないか、このことです。総務長官、どうですか。あなた、これはやるべきと思わないですか。
  91. 田邉國男

    田邉国務大臣 私の所管としてこれは答えられるかどうかわかりませんが、私のいままでの自分の経験からいきましたら、公的病院がこういう問題の医療の充実を図って、そして四六時中対応できるような体制にするには非常に大きな予算が要る。したがって、この問題については、いわば自賠責の運用益の中からできるだけ配慮をしてもらうべきであると思うけれども、それでもできない場合には何らかの別途の処置を講ずるのが非常に好ましい姿ではないか、私はそう判断をいたしております。
  92. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣のその見解は私は前向きの見解として評価をするわけですが、これは官庁の権限でこの枠を広げるということは言えない、こう思うわけです。しかし考え方としては、そういう運用益というものは広く審査の対象の中に入れて、特定のものに限定するようなやり方というものは私は間違っておると思うのです。あなたは間違っておるとは思ってないかもしれないけれども地域の救急医療体制整備するためにはできるだけ援助の枠を拡大する、これは当然行政として指導すべきだ。大蔵省の方としては、いまむずかしいとかいうことでなしに、やはりそういうふうに前向きに検討すべきだと思うわけですけれども、それもできぬですか。
  93. 松田篤之

    松田説明員 先ほど説明しましたように、運用益につきましては運用益の運営委員会というところで議論をしているわけでございます。そこでの議論の内容を申し上げますと、本来この運用益というものは、いわば自賠責の保険料を支払った者に還元されるのが当然であって、もし余裕があるならば自賠責の保険料を下げていくという形で使うのが本来でございます。しかし、それが、ある場合には将来の引き上げを抑制するとか、特別会計として保険料率を計算していく上でのバッファーとしてそれをするのが基本である。したがって、長期的にはそれが基本なのだ。ですから、むしろ、こういった運用益をいろいろな形で使っていくこと自体縮小するべきだというのが基本的な考え方でございまして、その縮小していく中にあって、有効な使い方として救急医療体制整備に回すのであれば、これは民間会社の所有物でもあるし、民間会社が寄附する対象として、そういう寄附に頼って運営を行っている病院を中心にやっていくのがいいのじゃないか、しかもこれは将来縮小していく方がいいのじゃないか、これが運営委員会の方々の基本的な御意見でございまして、先生のお考えも大変よくわかるわけでございますけれども、なかなかその調整はむずかしいのではないかと考えております。
  94. 井上泉

    井上(泉)委員 あなた、保険金はだれが掛けておるのですか。運用益はどこで生ずるのですか。だから、こういう救急医療体制整備に資金を回すということは、やはり保険加入者に対する還元じゃないですか。自動車損害保険の中でそういうふうに金を工面して、そして不特定多数の被害者に対して救急体制整備するということは、保険の目的に合致しておることじゃないですか。あなたは、国民のための保険行政をやってもらわなければ、保険会社のための保険行政をやられては困る。あなたの考え方は全く保険会社のための保険行政であって、国民のための保険行政じゃないじゃないですか。国民のための保険行政なら、もっと運用益の活用方法については、これは何も恩恵的に与えるものじゃないのですから、被保険者が掛けた保険料の中から出ておるわけですからね。
  95. 棚橋泰

    ○棚橋説明員 自賠責の運用益の話でございますので、私からちょっとお答えをさせていただきます。  先生も御存じのように、自賠責は六割を国が再保険いたしておりますので、先生のおっしゃる運用益というのは、国の方と保険会社の方と両方に生ずるわけでございまして、六割、四割でございますし、さらに保険会社の方は、税金その他の関係もございまして、運用益としましては国の特別会計の方に出る運用益の方が多いわけでございます。  先ほど申し上げましたように、国の方といたしましては、その運用益の中から、自賠責審議会の御答申の趣旨にも沿いまして、極力公的病院の救急医療の方の医療器具に対して補助をしてきておるわけでございます。先生指摘の市町村とか都道府県立の病院の救急医療器具に対しましては、主として国の方の運用益の方から、先ほどお答え申し上げましたように、従来重点的に補助をやってきておるわけでございます。ただ、全国非常に数多く公立病院がございますし、運用益も額が限られております関係上、重点的にやっておりますけれども、やはり一府県とかそういう形になりますと、行き渡るのになかなか時間がかかる、こういうことでございますけれども、そういう意味で、国の方の特別会計の方からの補助につきましては、おっしゃるように都道府県、市町村立の病院の救急医療体制という方の充実に今後とも力をいたしていきたい。そういう意味先生のおっしゃる御趣旨の線に沿ってやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  96. 井上泉

    井上(泉)委員 私は総務長官に、運用益の使途等についていま論議を交わされたわけでありますが、これは実際のところ、長官もこういうふうに所信表明で言われておっても、それがどういうふうになっておるのか、事実は余り承知をしていないと思うのです、万能でない限りは。だから、そういう実態というものをよく検討していただいて、そうして各関係省庁に対して、たとえ大蔵省が予算を握っているからといって偉そうにしようとも、やはり交通安全の指導の立場から、大蔵省に言うべきことはきちんと言い、運輸省に言うべきことはきちんと言って、そして、あなたの所信とする交通安全の十分なる安全対策の実効ある措置をとるべきだ、こう思うわけなので、その点についてのあなたの御意見を承って、これに対する質問は終わります。
  97. 田邉國男

    田邉国務大臣 交通安全対策の、いわば交通事故を受けた方々に対する救済措置につきましては、あらゆる角度からこの問題を検討しなければなりません。  いま御指摘がございました自賠責の運用益の問題、私は、これはたしか昭和三十九年でございますか、農協等に自賠責の仕事をさせるという法案を通した一人でございます。したがいまして、この内容については、当時、その運用益が出た場合には、自動車事故による障害者の機能回復訓練にこの余剰金を充てるという一つの条件を私はつけた記憶がございます。したがいまして、いま御指摘がございました、いわば事故を起こした救急の対応という場合にも、私はでき得ればこういう金を使ってあげたい。もうすでに国民全体が自動車へ乗っておる時代でございますから、こういう問題についてはさらに幅広く、そして弾力性を持ったいわば対応をしてまいらなければならない、私はこう考えております。
  98. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、総務長官のその答弁を信頼をして、そうしてこれがどういうふうに推移をするのか見守っていきたい、かように考えるわけでありますが、大蔵省の保険課長、あなたは将来のエリートだろうが、そういう考えじゃ困りますよ。国民のために保険行政というものはあるべきであって、業者、保険会社のために保険行政があると考えられたら、これはとんでもない間違いだ。保険会社の御意向だけ伺って保険行政をやられたら、国民はたまったものじゃないですから、その辺のことは十分注意しておいてください。  そこで、これも総務長官にお尋ねするわけですが、いろいろな共済制度があるわけですが、この実態調査というもの、自動車共済制度の実態を調査されたことがあるのかどうか、その点をひとつ総務長官にお伺いしたい。
  99. 滝田一成

    滝田政府委員 お答えいたします。  自動車共済事業というのはいろいろ各種のものがあるようでございまして、それぞれ監督官庁も若干異なっております。制度運営についてそれぞれ違った監督官庁が指導監督をしているところでございまして、ただいま要求のあったものにつきまして現在の時点では把握しておりません。そこで、資料をもってこの関係省庁から報告するのが適当だとは思いますけれども、私の方から、それぞれ御要求の趣旨連絡をいたしまして、提出をするようにいたしたいというふうに考えております。
  100. 井上泉

    井上(泉)委員 ぜひそういうふうな共済を、私は全部とは言いませんから、せめて主な共済、二十くらいの資料を出すようにしていただきたいと思うわけです。  共済の中に、私も非常に不可解に思うような共済があるわけですが、それは中小企業庁の関係で見舞い共済というのがあるわけです。これは総務長官、御存じでしょうか。
  101. 田邉國男

    田邉国務大臣 承知いたしております。
  102. 井上泉

    井上(泉)委員 こういう制度はいい制度だと思いますか。
  103. 田邉國男

    田邉国務大臣 余り好ましい制度であるとは私は思っておりません。
  104. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたは非常に正直ですね。大体どこへ行っても、大臣は当たりさわりのないようなことを言うて困るけれども。  そこで中小企業庁、これは中小企業庁のなにですが、こんな見舞い共済というようなことで、一つ事故で十万以上、つまりその事故を起こした者に見舞金をやるというのは、私は、こんなばかなことはないと思う。死亡事故を起こしたら、たとえば私が交通事故で死亡事故を起こした、起こすと私が三百万円もらう。被害者がもらうのではなしに私がもらう。通産省は、そんな制度をつくって、こんな制度こそ行革の対象ではないかと私は思う。これはいつから生まれて、それでどういうふうな実績を示しておるのですか。
  105. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答えいたします。  私ども、御承知のように中小企業者の立場を守る省庁でございますが、御指摘自動車事故見舞金共済制度といいますものは、中小企業の協同組合、相互扶助組織で進めます協同組合が実施いたしておりますもので、その中身は、事故を起こしました場合に社会的に当然負担をすべきもの、すなわち経済的負担につきまして、保険などによりまして救済されない部分を相互扶助という形でやろうというものでございまして、被害者救済あるいは中小企業者の経営の破綻を防ぐという意味では、考え方としては、私どもそうおかしいものであるとは決して思っておりません。  ただ、漏れ聞くところによりますと、加害者が不当に利得をするというようなことがあってはならないことはもう申すまでもないことでございまして、そういった指導は前からやってきておるわけでございますが、私どもとしては、そういう指導は今後とも強くやっていかないといけないというふうに考えておるところでございます。
  106. 井上泉

    井上(泉)委員 加害者が見舞金をもらったり、結局見舞金ですが、これは三百万、こういうふうなことにすると、悪質な者はむしろ加害をするんですよ。加害をしても、被害者の方は自動車の賠償保険でやる、あるいは死亡したら死亡保険でやる。しかし、これはやはり、今日保険制度というものは万全じゃないのですから、被害者救済と言っても、死亡事故は二千万でしょう。二千万で今日、命にかえられますか。だからそれに対して、やはりもっと被害者の救済のためには一銭でも多く、いま一銭というお金はないですけれども、これは少しでも被害者に対して救済の資金というものはいくのがあたりまえであって、そういう心配があるような、いわば不正に悪用するおそれのあるようなそういう制度をするのが中小企業者を救済する道だと考えるのは、中小企業者を救済する本末転倒もはなはだしいですよ、中小企業庁。今日の中小企業者はそんなものじゃないですよ。本当にまじめに苦労しておる、中小企業者は。それにこういう共済制度を設けて加害者が保険を受けるような、被害者に対してもっと少しでもやるということならともかくも、加害者が受けるようなこんな制度というものは、私は、全く時代逆行もはなはだしい。もっといい方法はないですか。
  107. 川田洋輝

    ○川田説明員 先生のおっしゃる点はまことにもっともでございまして、この制度の趣旨というのは先ほど申し上げたようなことでございます。それが悪い方向へ使われるようなことについてはその指導を十分強化する必要があるだろう、きょうもこういう御指摘をいただきましたので、指導を強化させていただきたいと思っておりますが、制度そのものとして、中小企業者の相互扶助の精神で、お互いに偶然の事故に備えるというような考え方そのものは、そうおかしいとは考えていないことは先ほど申し上げたとおりでございまして、運用の問題につきましては十分指導を強化していく必要があるというふうにわれわれ考えておるところでございます。
  108. 井上泉

    井上(泉)委員 考え方が悪いのじゃといって制度をつくる人がどこにありますか。制度をつくった以上は、みんな、これはこういう考え方でやった、こういうために中小企業者にやった、それはもう盗人にも三分の理というようなもので、これは何も物をつくってそれを悪いとみずから言う人はいないですよ。問題点が指摘をされておるから、総務長官でも、総務長官でもと言ったら失礼ですけれども総務長官の個人的な見解としても、むしろ好ましい制度じゃないと言っておる。私は、恐らく常識ある政治家なら、常識ある交通安全の仕事に携わっておる人は、みんなこういう制度はいいとは思わないと考える。だから、これについてはもっと改善をすべきであるし、その運用の実態というものも承知をしたいので、これがどういうふうな運用状態にあるのか、その辺についての資料を提供していただいて、また後日、これはあなたではなしに、政府委員の方からもっとしっかりした答弁をいただきたいと私は思います。  そこで、いろいろと申し上げたいわけでありますけれども、つい時間がたってしまって、私のきょうのもう一つ質問である、建設大臣に対する質問を一点だけ最後にいたしたい。  本四架橋という世紀の大事業と言われる工事が行われておるわけですが、この大事業が仕上がってきますと、さらでだに交通事情の悪い、道路事情の悪い四国島内は大変なことになる、ましてや四国島内の一番南の端のわが愛する高知県なんかはもうめちゃくちゃじゃわ。そういうふうなことで、できれば高知県の道路事情も整備をして、過疎県と言われておる高知県、しかも気候的には恵まれておるところであるから、何とかして後進県を脱却するために、この本四架橋には大きな期待をかけておる。わが党の間には本四架橋は要らぬと言う者もおるわけです。しかし、私どもはこの本四架橋に非常な期待をかけておる。期待をかけておると同時に、それに並行して、四国横断自動車道あるいはそれに関連する島内の道路整備というものについて、いま一段と積極的な対応の仕方をしてもらいたいと思うわけですが、それについて道路局長から一応の状況の説明を受けて、そして大臣の方針を承りたいと私は思います。
  109. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  本四架橋につきましては、臨調におきましても、当面一ルート四橋に限定をするということになっておりまして、これはいろいろの特殊工事でもございますので、予定どおり架橋を完成していきたいということで進めておるわけでございます。  先生の御指摘にございましたように、その橋ができましたときの四国島内の交通問題は非常に重要な問題であることは、私どもも十分認識をいたしております。したがいまして、四国横断自動車道等用地買収中あるいは工事中の区間がございますが、こういったものは何とか本四架橋と同時に完成をさせるべく、最大限の努力をいまいたしておるというふうに申し上げたいわけでございます。  そのほかいろいろございますが、四国の道路は一般に、どちらかと言えばややおくれておると申し上げる方が正しいかと思います。私どもも、その点におきましては、道路がよくできた、できたということで、いまのところ三年連続で横ばいでございますけれども、基盤整備でございますので、今後とも、その辺を訴えまして進めさせていただきたいというふうに考えております。
  110. 始関伊平

    始関国務大臣 本四架橋の開通を数年後に控えまして、それとの関連もございまして四国における横断道あるいは縦断道等の竣工が急がれておる、また、それに関連する道路整備も急がれておるという事情は、私どもも承知をいたしておるところでございまして、ただいまその大要を道路局長から申し上げましたが、今後一層努力をいたします。
  111. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうふうに道路整備をということですが、これは国道だけということではなしに、これに関連する地方道や、四国は山岳地帯が多いのですから、落石事故というものは後を絶たないわけでありますので、そういう面における安全対策、そして建設省の方としても、予算の厳しい中であるけれども、地方道においても十分な整備をするように、各自治体に対して行政的な指導をしてもらいたい。それと同時に、本四架橋が六十二年にできるということと、いまの横断自動車道の計画でいきますとまだ十年以上かかるわけで、私も六十五歳ですから、十年たてば七十五歳だ。大臣は幾つか知りませんけれども、私より上だと思う。お互いが元気なうちに、本四架橋を渡って、四国横断自動車道で太平洋まで道路網が整備された姿を見ることができるように、私はぜひ促進をお願いしたいということを要望して、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
  112. 西中清

    西中委員長 次に、斎藤実君。
  113. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 まず、建設大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  大臣所信表明の中で、「わが国の経済、社会の発展に伴い、道路交通需要は、ますます増大かつ多様化しており、これに対処するため、政府としては、」「道路事業の積極的な推進を図っている」というふうに述べられておるわけですが、最近の道路建設をめぐって世論ではいろいろなことが言われておるわけです。自動車交通規制論あるいは騒音の問題、いろいろなことが言われておる中で、大臣も御承知のように、来年から第九次道路整備五カ年計画の策定を控えております。建設大臣は今後の道路整備についてどのような考えを持っておられるのか、まず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  114. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えを申し上げます。  今後道路についてどういう考え方でやっていくかというお尋ねは、つまり、ただいま作成中でございます第九次の道路整備計画の策定をどんなふうにやっていくかということにつながると思います。  道路は、もう改めて申し上げるまでもございませんが、国民の日常生活と経済活動を支える最も基本的な社会資本であり、その整備は、国土の均衡ある発展と豊かな地域社会の形成にとって必要不可欠であると考えております。  一方、わが国の道路は、本格的な整備が始まってから約四半世紀を経たにすぎないのでありまして、その整備の現状は量、質ともにいまだきわめて不十分な水準にある、道路整備を望む国民の要望は依然として強いものがある、これが基本的な認識でございます。  したがいまして、今後とも、長期的な視点に立って、新たな経済社会情勢の変化を踏まえながら、昭和五十八年度を初年度とする第九次道路整備五カ年計画を策定し、生活基盤を支える市町村道から、国土構造の骨格を形成する高速自動車国道に至る道路網の整備を、計画的に推進してまいる所存でございます。
  115. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣のおっしゃるように、確かに道路整備は、過疎化の防止だとかあるいは道路輸送の効率化、生活環境の改善等に果たすべき役割りはきわめて大きいと思います。ただ、最近の道路整備状況を見ますと、都道府県道また市町村道の地方道の整備がきわめておくれておるわけでございます。また、これと同じように交通事故も多発をいたしております。  これは五十六年六月の総理府のデータでございますけれども一般道路整備率と舗装率を見ますと、国道の整備率は六〇・二%、舗装率は八五・七%ときわめて高いですね。それから、都道府県道の整備率は四六・五%と、五〇%に満たない。舗装率は三九・四%、こういう状況になっている。それから市町村道でございますが、整備率が二八・六%というふうに、一般国道の整備率の半分以下、舗装率に至っては一一・六%というように、お話にならないくらいおくれておるわけでございます。  それと並行しまして、道路種別交通事故発生状況を見ますと、これは五十五年の警察庁のデータでございますが、一般都道府県道で起きた交通事故発生件数は七万二十一件、構成比は一四・七%というふうに一番低いですが、その次に多いのが一般国道ですね。国道で起きた発生件数は十一万四千百六十九件で、構成比は二四%。それから一番大きいのが市町村道でございまして、二十一万二十九件の交通事故が起きているのですね。交通事故の構成比は四五・七%。  大臣、いま申し上げましたように、データではっきりしておりますように、市町村道が整備率も悪いし舗装率も悪い、しかもそれと同じように、交通事故発生件数が全体の四五・七%ときわめて高いわけですね。したがいまして、交通事故発生と地方道のおくれというのはきわめて深い関係があるようにこのデータが物語っておるわけですが、大臣、今後の地方道の整備についてどういう取り組みをされるのか、お答えいただきたいと思います。
  116. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えを申し上げます。  詳細の点は道路局長から申し上げた方がよろしかろうかと思いますが、ただいま道路整備率あるいは舗装率等から申しまして、地方道の方がおくれておるのではないか、こういう御指摘でございまして、これは国民生活に直結いたしておりますので、そういう状況が続いたのではぐあいが悪い、こういう御趣旨と存じます。  さっきも申し上げましたように、国道、特に国土開発幹線自動車道、これは国土開発の根幹をなすもの、骨格をなすものでありますから、そちらの方からだんだん整備を進めまして末端にいくというような考え方もございましょうけれども、しかし一方におきまして、国民生活に直結をいたしますのが地方道でございますから、これと幹線道、幹線自動車道などとのバランスがとられなければならないという御主張があるのも当然かと思います。  もう御承知のとおり、都道府県道並びに市町村道のうちのいわゆる幹線自動車道につきましては、これは地方自治体である都道府県と、それから市町村の責任において推進すべき道路ではございますが、国において適当な助成あるいは技術援助などをいたしておるわけでございますが、整備の状況が悪いということでございますので、今後とも地方道の整備については一層の推進を図ってまいりたい、かように存じております。
  117. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いま大臣から答弁ございましたように、特に交通事故の多発しているのが市町村道でございますし、整備もおくれているということで、これは大臣、これから重要な政策課題として取り組んでいただきたいと思うのです。  それから、最近の陸上交通事故状況を状態別死者数で見ますと、昨年は運転をしている以外の同乗している方、オートバイでも後ろに乗るとか、この同乗者中の死者の増加がきわめて多いわけです。本年二月末の事故発生状況では、歩行者死者数は三百九十六人でございまして、対前年比で十八人、四・八%増加をいたしております。しかも依然として全交通事故死者数の三二・七%を占めておりまして、中でも子供さん、老人の死者数が合わせて二百五十九人、全歩行者死者数の六五・四%というきわめて高い率を占めておりまして、きわめて憂慮すべき状況にあるわけでございます。  特に、私は北海道でございますが、残念ながら全国一になりまして五百人を突破した。北海道の例をとってみましても死者数の三分の一が老人と子供さん、こういう実態でございます。したがいまして、私は、生活道路の安全対策を本気になってやらなければ、ますますふえると思うのです。この生活道路の安全対策についてどういう形で、いままでどおり同じようにやるのか、あるいは新しい対策をとられるのか、ぜひお尋ねをいたしたいと思います。
  118. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えをいたします。  事故の状況につきましては、先生ただいま御指摘がありましたとおりかと思います。私ども、五十六年度から発足いたしました第三次の五カ年計画を決めていただきました際に、当委員会で附帯決議をいただいたわけでございますが、この決議によりましても、ただいまお話のありましたように「老人が安心して通行できる道路交通環境の確保に努めること。」「児童、生徒の通学路や自転車利用の多い道路等に係る交通安全施設等の整備について、特段の配慮をすること。」こういう附帯決議があるわけでございますので、私どもこの趣旨に沿いまして努力をしているところでございます。  いまの老人とか子供の問題は、お話しのありましたようにまさに生活道路の問題であろうかと思うわけでございますが、基本的には、私どもは施設整備の立場でございますので、生活道路、そこに用のない車がむやみに入り込まないということが一つの基本的な問題かと思うわけでございまして、その意味合いにおきましては、生活道路を取り囲む幹線道路整備は進めなければいけない。それから生活道路につきましては、むしろ用のない車がなかなか入り込めないような対策をするとか、あるいはスピードが出せないようなことを考えるということを合わせまして、歩道等の整備とあわせて推進する必要があろうと考えているわけでございます。  ちなみに、ただいま決めております第三次交通安全施設等整備事業五カ年計画におきまして、歩道等の事業量の七四%は通学路分でございますし、また立体横断施設につきましては、さらにこの率が上がりまして通学路関係が約九割強を占める、こういったことで、その辺に重点を置いてやっているところでございます。  今後とも、さらにまた注意深く進めてまいりたいと思います。
  119. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先般もこの委員会で私は申し上げたわけでございますが、人口十万人当たりの死者数の最も少ない東京に比べまして、同じ十万人当たりの死者数の多い山梨等では、交通安全施設等の整備事業費が非常に少ないですね。私も先ほど指摘を申し上げましたように、北海道が全国一死亡者が高いわけでございまして、あの広い北海道の中で整備事業がきわめておくれておるという、いろいろな状況の中でそれが指摘をされているわけでございます。毎年日本一というありがたくない数字が出ているわけですが、いま申し上げたような事故の状況から見て、もっと精極的に整備をすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  120. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいまのおただしは、交通安全事業費等の地域に対する配慮をどうしているのか、こういうおただしかと考えるわけでございます。  もちろん、交通安全事業等につきましては、道路延長であるとか、歩道の必要な延長、あるいは人口交通量交通事故発生件数といったものを要素にして考えるわけでございますけれども、幸いなことに五カ年計画が地方からの積み上げで出てきておりますので、これの都道府県別の五カ年計画計画の配分シェアと申しますか、これをまず基本にすることができるわけでございます。そういった率を基本にしながら、ただいま申し上げましたようなもろもろの要素を勘案して配分をする、こういうことになろうかと存じます。  北海道の場合も、そういった点では、五十六年度の場合九・二%の交通安全施設等整備事業費を投入しておるわけでございまして、これはほぼ北海道の道路延長のシェアに見合うと申しますかそれを若干上回る、それから、人口シェアで申せばこれはかなり上回る配分率ということは言えようかと思います。
  121. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは北海道だけではなくて、新潟あるいは東北、積雪寒冷地帯ではいつも問題になるのですが、一般的に除雪をする場合には幹線道路が優先して除雪をされるわけですね。したがって、歩道と車道との区別がなくなってしまうのです。したがって区別がつきませんから、どうしても除雪をされた車道を歩くことになる。歩行者交通事故を防ぐためには車道と歩道を一緒に除雪するような対策はとれないものか、われわれ実感としてそういうふうに感ずるのですが、いかがでしょう。
  122. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 雪の最中に行ってみますと、先生のおただしのように、歩車道の境界にも山と雪を積み上げまして、歩行者が非常に歩きにくいという例を私どもしょっちゅう見ているわけでございます。したがいまして、歩道も除雪ができればいいわけでございますけれども、通常歩道にはいろいろのものがございます。街路樹もございますし、いろいろの占用物件もあるというようなことで、なかなかやりにくいわけでございまして、そういった意味では、私ども、除雪の中におきます歩道除雪のやり方、これを試験的に施行を行いまして、どういった機械がいいのか、それからそれの経費はどれくらいかかるのかといったことを、試験的に調査を継続的にやっておるわけでございます。五十二年度から始めておりまして、五十七年度の予定しております歩道の試験除雪の延長は約二千キロという予定でございまして、内地と北海道に延長がございます。  いままでに、五十二年からやってまいりましてわかったことでございますが、実は車道と一緒にやるためには、同じような速度で除雪機械が動かせなければいけないわけでございますけれども先ほどのような歩道の特殊性にかんがみまして、細かいところまでやろうとすればするほど、歩道除雪の場合は機械の運転速度が遅くならざるを得ないわけでございます。除雪速度で申し上げますと、車道をかく場合と歩道をかく場合で大体一対六くらいの速度差がどうしてもあるというわけでございます。したがいまして、車道と歩道と同時にというのはなかなかむずかしい問題でございますが、歩道除雪用のきわめて能率の高い機械もそういったことで逐次開発されておりますので、同時じゃなくとも安全な交通確保ができるという方向に今後はやっていくように努力をいたしたいと思っておるわけでございます。もちろん歩道の場合は屋根雪をおろすとかそういった問題もございますので、地域の方々と密接な連絡をとり合いながらやる必要はあろうかと思いますが、その方向で努力をさしていただきたいと思います。
  123. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつそういう形で、積極的に取り組んでいただきたいことを御要望申し上げるわけでございます。  総務長官にお尋ねをいたします。  四月の六日から十五日まで春の交通安全週間が行われましたですね。この統計を見ますと、昨年の春の交通安全週間よりも発生件数もふえておりますし、死者数もふえておる、それから負傷者数もふえておる。これは依然として事故発生件数が減らない。私は、総理府長官警察もいろいろな形でおやりになったと思うのですが、これだけ力を入れて全国的にやって、なおかつ減らぬというのは一体どういうことなんですか。総務長官、いかがですか。お答えいただきたい。
  124. 滝田一成

    滝田政府委員 お答えいたします。  まことに先生のおっしゃるとおりに私ども非常に残念に思っているわけでございます。ことしの運動におきましても三本の重点の施策を立てまして、それぞれ民間の方々も大量に動員いたしまして、警察官にもたくさん街頭に立っていただきまして指導、取り締まりもやったわけでございますけれども、結果的には確かに全体で三%ばかりの増加、死者につきましては二〇%近い増加ということで、まことに残念な結果になったわけでございますが、しかし重点にいたしました歩行者自転車事故、こういうものにつきましては、死者の中身を見ますると、子供の事故につきましては若干でございますけれども減っております。お年寄りは昨年と同じ数でございます。また歩行者事故も昨年と同数ということで、それでは何がふえたかということでございますけれども、昨年と同じ傾向でございますが、自動車に乗車中の事故がふえた、こういうことでございまして、特に自損行為みたいなものも相当多いわけでございまして、そういうものにつきましては、さらに青少年を中心にいたしましてきめの細かい指導教育、取り締まりというものをやっていかなければいけない、こういうふうに考えております。
  125. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 総合調整機関としてのお立場で、総務長官だけが力を入れて解決する問題ではないと私は思うのですね。あらゆる関連の各省庁と全国的な事故防止対策にかかわる諸団体が協力して、これはひとつ閣議で総務長官は御発言をされて、こういう状況を内閣として放置しておくべきではないと私は思うのですね。国民の生命、財産が失われていくわけでございますから、もちろんそれはドライバーの関係もあるし、それから運転の未熟さあるいは心構えの問題もあるかもしれませんけれども、それも踏まえて、こういう実態を前提にしてひとつ確固たる具体的な方針を私は打ち出すべきではないかと思うのですが、総務長官、いかがですか。
  126. 田邉國男

    田邉国務大臣 ただいま御指摘がございました交通事故の問題、昨年と今年を比較いたしましてもやや増加の傾向をたどっております。それはただいま室長から説明を申し上げたとおりでありますが、この日本の交通事故減少させるということには、私がこの交通安全対策特別委員会の当初におきまして所信の表明をいたしましたとおり、あらゆる関係省庁と十分連絡をとりまして、そして、これをいろいろの角度から、いかにすればこの交通事故減少をしていくか、そしてまた、国民全体がどのようにして交通に対する恐怖を取り除くことができるか、こういう点につきましては十分各関係省庁連絡をとり、いま始めております第三次交通安全基本計画のもとで積極的に対応をしてまいりたいと考えております。先般、私も総理にこの実態状況を御報告申し上げ、この対応に積極的に取り組むことを総理府としてはしたい、こういうことをお話しいたしておきました。  御指摘のとおり、この点は十分配慮をしてまいる考えであります。
  127. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 安全対策のために、総理府には毎年各種の調査研究費がついておるわけでございますが、本年度分といたしまして七千八百万円の予算措置がされておるわけでございます。この中の交通事故発生地域差是正対策に関する調査研究項目では、地域格差の実態調査を初め資料の分析等科学的な調査研究が行われておるわけでございまして、地域に応じた安全対策の政策決定が行われていると私は理解をしておるわけでございます。私が先般の委員会等でも御指摘申し上げましたように、地域別にきわめて格差がある。こういう研究総理府はされておるわけでございますが、その調査研究の成果が具体的にどういう形であらわれたのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  128. 滝田一成

    滝田政府委員 お答えいたします。  先ほど先生のおっしゃっているとおり、人口比あるいは車の台数当たりあるいは免許人口当たり、いろいろなものをとりましても、各地域におきまして交通事故発生する比率の差は非常に大きいものがあるわけでございます。こういうことにつきましては前からもちろんわかっていることでございまして、第三次の交通安全基本計画におきましても、この地域格差の是正といいますか、悪い方をいい方に引き上げる、こういう対策を重要なものの一つとして取り上げてきているわけでございます。  各県あるいは各市町村の現場におきましても、それぞれ一応、先ほどお話のありました交通安全施設の整備でございますとか、いろいろな問題が考えられ、それぞれ対策が立てられております。たとえば設備のほかに、四国などの例を取り上げますと、四国はわりに死亡率が高いわけでございますけれども、車の保有率が高いとか、自転車の保有率が高いとか、老人の人口の比率が高いとか、いろいろそれぞれの理由というのは一応わかるわけでございますけれども、それがそれぞれどれくらいのウエートを持って交通事故と関連をしているかというようなことにつきましては、必ずしもはっきりしていないわけでございます。特に交通安全教育が非常に大事でございますけれども交通安全教育の仕方、それをどの程度、どういうことをやれば、どういうふうに効果が上がるかというようなことについては、また特にわかりにくい点があるわけでございます。     〔委員長退席、永井委員長代理着席〕  そういうことでございまして、総理府では、五十六年度から、この問題について先ほどお話しのございましたとおり調査研究を続けてきております。五十六、五十七の二カ年にわたりまして交通事故発生率の高い五つの県の中から特定の地域を選びまして、その地域におきまする交通事故の特性を調査する、分析をする、あるいはアンケートの調査をする、それに応じまして一応考えられまする交通安全思想の普及事業というものをテスト的に行いまして、その結果がどういうふうに変わってくるか、意識的にどういうふうに変わってくるか、また交通事故の結果がどういうふうに変わってくるか、というようなことにつきまして検討しているわけでございます。まだ結論を出すところまでいっておりませんが、五十七年度も引き続きこの調査研究を続けまして、その結果を具体的な対策として取り上げてまいりたい、こういうことをやっている最中でございます。
  129. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 交通事故対策については、いろいろな対策があると私は思うのですね。では、一体交通事故減少させるためには決め手があるかというと、私はなかなかむずかしいと思うのです。それでは、死亡者減少させるためには、これは一つの問題点として、交通事故発生時における救急救護を充実させることもきわめて大事だろうと私は思うのですね。事故発生時にその対策が行われれば——病院で適切な処置ができなくて亡くなる方もきわめて多いと思うのですね。しかも、わが国の救急救護の実情を見ますと、警察庁を初めとして多くの省庁が複雑に関与しているわけでございます。したがって、各省庁が機能的に行動しないと被害者救済にならないと私は思うのですね。  政府は、第三次交通安全基本計画において、敏速かつ効果的な救急救助体制整備、充実を図るということをうたわれているわけでございますが、今後どういうような具体的な対策を進めていくのか、伺いたいと思います。
  130. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  交通事故から人命を守るためには、やはり交通事故を防止するための対策推進するほかに、不幸にして交通事故に遭遇した者について、その生命を救い、被害最小限度にとどめるための救急救護対策を一層充実強化する必要があろうかと考えております。政府といたしましては、救急救助業務体制整備及び救急医療の整備を第三次交通安全基本計画の重点目標として掲げまして、関係各省においてもこの施策推進いたしておるところでございます。  昭和五十六年の五月に、総理府が主催をいたしました交通安全シンポジウムにおきまして、内外の学識経験者によりましてこの問題が大きく取り上げられ、また同年の八月には、社団法人日本交通科学協議会及び日本救急医学会からそれぞれ、交通事故救護のシステムに関する提言、また救急法の市民教育に関する提言というようなものが、総理府を初め関係各省に対してなされたのであります。  これらの状況を踏まえまして、総理府では、五十六年の八月に、交通事故に係る救急救護関係省庁連絡会議を発足させまして、今後の対策あり方について所要の連絡調整を図りますと同時に、五十七年度において、総理府から専門機関に委託をいたしまして、欧米諸国における交通事故救急救護の制度、運用の実情等について調査研究を行い、それをもってわが国の救急救護体制整備に資してまいりたい、こういうことを実は考え、こういう体制をもって臨んでおる次第でございます。
  131. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 総務長官、いま御答弁がありました救急救助体制の強化については、ひとつ万遺憾なきを期していただきますように御要望申し上げて、私の質問を終わります。
  132. 永井孝信

    ○永井委員長代理 次に、三浦隆君。
  133. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 暴走族の取り締まりに関しまして、総務長官の方から御意見をお尋ねしたいと思います。  昭和五十六年の暴走族の動向を見ると、集団暴走回数は前年と比べてやや鎮静化の傾向も見られるのですけれども、グループ数や構成員数ではいままでの最高を示して、行動面においても共同危険行為、一般市民を巻き添えにした暴行傷害事犯、取り締まり警察官等に対する公務執行妨害事犯など、一段と悪質粗暴化の傾向を強めております。  政府は、暴走族に対する総合対策推進についての関係省庁会議での申し合わせに基づいて、暴走をしない、させない、見に行かないといった運動を初め取り締まりの強化など、各種の対策推進しているわけですけれども、暴走族への新たな加入が見られます。このような暴走族の凶悪事犯や新規加入者の増加傾向の原因を、どのように認識しておられるのでしょうか。  また、暴走族の撲滅には、一時的現象面の対策だけではなくて、もっと幅広い対策、たとえば暴走族青少年に車を売る業者、改造車両に仕立てる整備業者等も含めた対策が必要であると思います。総理府は、暴走族の構成員である青少年の指導育成などに関する基本的かつ総合的な施策を樹立する任にあるわけですけれども、青少年の非行を防止し、暴走族の撲滅のため、どのような対策を講じられようとしているのか、長官の御所見を承りたいと思います。
  134. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  暴走族は最近急速な増加を見ておりまして、まことに憂うべきものがあると思います。暴走族の多くは、検挙や補導を契機といたしまして暴走族から離脱しておるのでありますが、これにかわって、また新規の参入者が後を絶たないという状況であります。     〔永井委員長代理退席、委員長着席〕  その原因は、各種の要因が複雑にかかわり合っておると思うわけでございまして、一概にこれをとらえることは困難ではございますけれども、暴走族に加入する若者には、学校の中退者や転職の多い者が見られるように、若者の中に忍耐力だとか自立心の欠如というものが多く見られるわけでございます。また、社会にある若者を甘やかす風潮、こういう社会的背景というものが若者の集団としての反社会的傾向を強めることにもなっておる、それが暴走族を生む原因になっておるのではないか、私はこう考えます。  若者を甘やかすという問題でございますが、この表現は、一つは、オートバイを買ってくれなければ学校へ行かない、あるいはまた仕事につかない、こういうようなことを父親あるいは母親に言うことによって、学校へ行かせよう、就職をさせようということでつい子供の甘えに負けてしまう、こういうものが一つの要因でもあると実は考えておりまして、まことに憂慮にたえないと私は考えております。  したがいまして、暴走族に対する対策というものは、家庭や地域社会を通じまして組織的な、総合的な対策が必要であり、また私ども関係省庁におきましても、昭和五十五年の九月に申し合わせいたしました「暴走族に対する総合対策推進について」に基づきまして、各般の施策の展開を図っておるところであります。今後さらにこれを推進してまいりたいと考えておるわけであります。  御指摘のございましたいわば販売業者、そしてまた、整備業者による対策もこの申し合わせに含まれておりまして、関係省庁は、車両の不法改造の防止の徹底等について関係業界にも強く指導をいたしておるところでございます。なお、これら業界団体には、実は地域ごとに組織されております暴走族対策会議参加してもらうなど、暴走族の追放の活動にも協力をしていただいておる現状でございます。  いずれにいたしましても、御指摘がございましたように、この現状に対しまして、あらゆる面から各関係省庁一丸となって対応をし、この暴走族の撲滅に努力をしてまいりたい、こう考えております。
  135. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 ただいま大変懇切御丁寧な御答弁をちょうだいしたわけですが、暴走族に対しては今後ともこのような姿勢でよろしくお願いをしたいと思います。  きょう、たまたま食事をしながら昼の十二時のニュースを見ておりましたところが、もと暴走族にかかわった者の殺人事件のニュースがあったわけです。そうしたスピードに酔い、あるいはスリルに酔っていて、いわゆる何をやっても大丈夫だというか、法規に違反しながらでも人に迷惑かける行為を公然とやる、そういう習慣をつけているということ自体に問題があると私は思います。そして、その本人の甘えはもちろん許されないけれども、その甘えを助長させるようないわゆる悪徳業者という者は、なお許しがたい存在なんじゃないかというふうに思います。  それから、次回にまた改めて御質問したいのですが、若者と私たち大人といいましょうか、よい、悪いの価値観がどうも食い違っているような気がしてなりません。学生が、たとえば中学生でも、詰め襟のところをちゃんとボタンをはめていた方がかっこうがいいと思うのですが、逆にだらしなく外しているのをよく見るし、暴走族のスタイルというのもわれわれはかっこういいとは思わないけれども、あの人たちはかっこういいと思うのでしょうし、そうしたような単なる服装の違いとだけ言い切れないようなものが、暴力団的な服装を持ってみたりあるいは右翼の特別な若い人たちの服装にも出ておりますし、そうしたいいこと、悪いことというけじめですね、そうしたものをはっきりとして、暴走族の仲間に入るなんということはむしろかっこ悪いことだ、恥ずかしいことだというふうなことが筋をもって通るような、そうした施策をぜひともお立ていただきたいと思っております。  次に、国鉄の方にひとつ質問をさせていただきます。  四月十七日に各紙に一斉に報じられたのでありますけれども、業績不振の国鉄の貨物部門の合理化についてでございます。国鉄貨物が五十五年度六千四百七十五億円の赤字で、全営業赤字の三分の二を占めるなど、文字どおり国鉄のお荷物になっているというふうに伝えておりますが、そうしたことから国鉄は貨物部門の減量化計画を発表したんだ、こう思いますが、その計画の概要についてお尋ねをしたいと思います。
  136. 林宏之

    ○林説明員 お答えいたします。  先週末発表いたしましたのは貨物駅集約に関してでございます。現在、国鉄は全国に約千百七十駅の貨物駅を配置いたしておりますが、ことしの十一月に、上越新幹線に絡みまして全国的なダイヤ改正を予定いたしておりますが、この十一月までに千百七十貨物駅を八百駅に持っていこう、統廃合をし、駅体制を簡素化しようということで発表したものでございます。このほか、輸送の量がだんだん減少いたしておりますので、貨物輸送の生産力と申します列車の設定キロというものを、ただいま一日に四十一万キロ計画いたしておりますが、これを三十七万キロに約一割削減しようという計画でございます。そのほか、操車場と称しますヤードが現在百四十五ほどございますが、これを百ヤード体制にし、また貨車も約十万両ございますけれども、これを八万五千両に縮減しよう、あわせて貨物関係機関車の縮減等も行いまして、全体としての貨物関係の要員の合理化に資しようということで、現在準備を進めている段階でございます。
  137. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 最近の輸送機関別の貨物輸送の動向を見ますと、鉄道輸送の減少、逆に自動車輸送の伸長、内航海運の安定がその特徴となっているわけですが、そこで、鉄道輸送の減少の理由についてお尋ねをしたいと思うのです。  たまたま、たとえば五十三年度でありますが、国内輸送量に占める貨物輸送は、国鉄九・九%、自家用トラックが一六・九%、営業用トラックが二一・二%、内航海運五一・八%というふうな数値を見ますと、本当に鉄道の落ち込みというのはひどいものだなというふうに思います。また、今回の合理化が発表されまして廃止される予定の横浜港駅の取扱量の推移などを見ますと、輸送量におきまして、昭和四十五年の発送をたとえばトン数で十八万六千四百八十六トンとしますと、五十六年度はわずかの二万八千六百三十四トンへの落ち込み、到着貨物にしても九万五千九百五トンが六万五千五百五十三トン、トータルしまして二十八万二千三百九十一トンがわずか九万四千百八十七トンと、三三%くらいにダウンであります。ですから、指数的に言っても一〇〇のものが三三ということです。車の一日平均の車数も、昭和四十五年が使用三十四、五十六年度が六です。到着十六が十二と、使用、到着ともどもに落ち込みまして、計、昭和四十五年を五十としますと五十六年度は十八、指数的には一〇〇が三六という、大変ひどい落ち込みになってきているわけです。  そうした、その減少の理由についてお尋ねしたいと思います。
  138. 林宏之

    ○林説明員 国鉄の貨物輸送量につきましてはただいま先生から御指摘のあったとおりでございまして、過去四十五年当時が国鉄の貨物輸送量、ピークを迎えたころでございます。このころは全国で年間二億トン程度の輸送を行っておりましたが、現在、五十五年度の実績で見てみますと一億二千万トンちょっとということで、四割程度落ち込んでおります。  その減少の理由でございますが、一つには、まずエネルギー転換に伴います石炭の輸送量の落ち込み、これは非常に大きなものがございまして、ピークには三千ないし四千万トン程度運んでおりましたのですが、現在では、北海道の一部で五百万トン程度ということで、これが非常に大きく落ち込んでいる。そのほか、木材の輸送シェアというのが非常に高かったわけでございますけれども、最近は外材、海外依存ということで、これも国内輸送が減ってしまっているといったような状況であります。そのほか、この十数年間に、港湾の整備に伴いまして工場の臨海部立地、こういったものが進んでまいりまして、内航海運が発達してまいりました。また、道路整備に伴いまして、内陸工場向けの輸送につきましては逆にトラック輸送というものが大変伸長しております。こういう二つの輸送機関の挾撃に遭いまして、基本的に国鉄の場合輸送量が減少してきたわけでありますけれども、加えて、国鉄の輸送サービスというものが果たして時代にマッチしたものであったかどうかという点の反省もあるわけでございまして、特に営業制度につきましては他運輸機関で見られるような弾力性がなかったのではないか、そういった問題、さらには、特にストライキ等によります輸送の不安定、こういったさまざまな要因が重なりまして、この十年間で四割の減少を見るに至ったというふうに考えておる次第であります。  また、五十三年、五十四年には八年ぶりに輸送量が反転してふえたわけでございますけれども、これは公共投資が非常に盛んになりまして、その影響で、まあ基礎産業資材物資については国鉄のシェアは非常に高いわけでございますが、それで八年ぶりに輸送量がふえましたけれども、その後、第二次オイルショックを契機といたしまして経済が低迷し、また二年続きの冷夏冷害、こういった状況から、引き続き五十五年、五十六年と減少するに至っているという次第でございます。
  139. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 国鉄が落ち込んでいるときに、逆に、たとえば郵政省の郵便小包の扱いを見ますと、全く国鉄の対応と違った逆の方向をいま歩もうとしているわけです。まことに国鉄には本当に皮肉なようなせりふですが、従来の国鉄コンテナの利用をやめて高速道路のトラック利用推進する、いわゆる郵政省の普通小包郵便の輸送の扱い方で、国鉄を使ったのをやめてしまう、トラックに切りかえるというのです。しかもまた、サービス的にはいままで別途徴収していた航空料金は廃止する、いわゆる実質的に値下げする。と同時に、東京大阪間については速やかにスピードアップできるように二十四時間勤務体制を行う、あるいはまた従来禁止されていた小包の手紙添付を認める。言うならば、料金的には安く、スピード的にも速く、サービスの改善ということによって、小包輸送というものをよりよく上げていこうと言っているわけです。これに対して、伝えられる国鉄では、値段は上がっていく、サービスは悪い、これじゃもう減少化してあたりまえなんじゃないかというふうな気がいたします。  さらにもう一つには、構造的にも問題があるようです。昔の時代は、ちょっと問題かと思うのですが、たとえば徳川時代の一つの基本的な政策として、三代家光のときには、国内に全国封鎖政策をとっておりましたから、道路をつくるな、川に橋をかけるなということで、御承知のように、川には荷物を担いで上がれるようにするというふうな政策をとっていた名残でしょうか、道路はわが国は大変におくれておりました。そしてまた、それが明治維新後になっても道路というものが大変整備がおくれていたのですが、このところへ来て、道路整備状況が、努力の成果も上がって大変によくなってまいりました。あるいはまた、港湾の整備がされるに従って内航海運の利用もふえてきたということなんですね。そういう意味で、いままで道路が全然と言っていいくらい完備されない、港湾の施設もお粗末だったときには、国鉄王国というか、国鉄貨物の万能という時代はあったのだと思うのですが、時代が切りかわってきたんだという認識をまず国鉄は持つべきだと思うし、その新しい時代に即応するためには、本当に郵政省の扱っているようにサービス一途に、いわゆる利用者本位の立場に立って考えなければだめであって、従来のおくれた構造体質を守るためにしわ寄せだけを国民に持っていこうとする姿勢は、基本的に改めてもらわなければだめなんじゃないかというふうに考えます。  その次は、国鉄貨物部門を全廃化してしまったらどうなのか。もし御検討されていたとするならば、その検討した結果のメリット、デメリットについてお答えをいただきたいと思います。
  140. 林宏之

    ○林説明員 いろいろ御指摘をいただいたわけでありますが、現在、国鉄は貨物輸送が現状のままであっては決してよくないということで、いろいろ勉強いたしております。  その一端をちょっと御紹介させていただきたいのでありますが、国鉄の五十五年度の決算を見ますと、貨物の収入は約三千三百億でございます。そうしまして、経費のうち、貨物固有経費というのがございます。これは貨物を輸送するがために発生する経費でございまして、したがって貨物がなければ存在しない経費、専属の経費でございますが、これが約四千八百億ということで、千五百億の固有経費における収支赤字を出しております。現在国鉄が取り組んでおります経営改善計画の中の貨物部門につきましては、この固有経費において昭和六十年までに収支の均衡を図る、六十年度以降はその他の共通費につきましても回収を図っていくという目標を立てまして、現在計画を策定中であります。  貨物輸送の実態についてちょっと時間をちょうだいいたしますが、国鉄の貨物輸送は、大別いたしまして二つのパターンを持っております。  一つは、東京大阪のような非常に物流の多いところでは、汐留から梅田へ、発駅も一つ、着駅も一つということで、直行体制で輸送が行われております。コンテナあるいは混載、こういったものにつきましては、途中の入れかえを必要としませんので時間も非常に速い、八時間ぐらいでこれは十分トラックに対抗できる輸送時間で、かつ、入れかえを必要としないためにコストも安いという輸送がございます。  それからもう一つのパターンは、現在千百七十の貨物駅がございますが、これから出てまいります行き先のきわめてばらばらな貨車を、一たんヤードに集めまして大まかな行き先方向別の列車に振り分けをいたしまして、あるところまで行きまして次のヤードにかけまして、そこでまた大体の方向別に分けまして、もう一度ぐらいヤードにかけて最終の終着駅に着くというような、これをヤード系の集結輸送と称しておりますが、これは非常にコストが高く、時間もかかるということでございます。東京大阪でありますと二十七時間ぐらいを現在要しておりまして、直行体制の三倍以上ということでございます。国鉄の貨物輸送に従事している職員は現在五万七、八千人ほどございますが、実はその五〇%以上が入れかえに要する人員でございます。  したがいまして、今後、国鉄の貨物輸送を改善計画の目標に向かいまして収支の改善を図るためには、このヤード系の輸送をいかにして直行系の輸送に切りかえていくか、それによって要員の合理化を図り、かつまた、利用者からも魅力のある輸送体系に改めていくかというのが、現在私ども考えている計画でございます。  そういうことで、特に先般運輸省の運輸政策審議会の、今後の総合交通体系のあり方について御提言があったわけでございますが、この中でも、国鉄は自分の市場標的というものを十分見きわめて、鉄道特性の発揮できる部分について重点的に営業を行うべきであるという御指摘をいただいております。  そういうことで、私どもただいま勉強いたしておりますが、それによりまして、国鉄の貨物というのは、必ずや、経営的にもまた利用者のサイドから見ましても、期待され得る輸送体系に直し得るというふうに考えております。  そこで、昨今、全廃論等も新聞等で拝見するわけでございますけれども、私どもは、経営的に見れば、現在これをやめれば先ほど申しました固有経費における千五百億円の赤字は解消するわけでありますけれども、やりようによっては、むしろ経営に稗益する営業形態もあるというふうに自負はいたしておるわけでございます。  また逆に、これが全廃されますと、どういう影響が出るかということでございますが、なかなか私どもの方で計量化することは困難でありますけれども、東名高速等が非常に混雑をする、あるいは大都市においては道路混雑あるいは交通公害、騒音、振動、こういったいろいろな問題が生じてくるのではないかということで、まず私ども利用される輸送機関に立ち直ることによって、今後とも陸上輸送機関の一翼を担ってまいることができるのではないかというふうに考えて、現在計画を策定中でございます。
  141. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いまの話ですと、国鉄貨物は全廃しても大したことないような気がいたしてきました。五万七、八千人からの人がいま現に働いておる、なければ五万七、八千人の方は要らなくなってしまうのではないかということですね。しかも、国鉄貨物の占めているのはすでに一〇%を割っているわけですね。ほかの輸送量に比べてそれだけしかない。ですから、なくなったところで交通状況がうんと緊迫化するぐらいに込み合うということでもないわけでして、それだけ、より内航海運を充実していくような港湾施設の整備を図るなり、あるいは今日進めている道路整備をよりやっていくとかやれば、それなりに補いがつくのではないかというふうなことですので、もう少し御検討を深くしていただきたいというふうに思います。  次に、建設大臣にお尋ねをいたします。道路整備状況について、特に幹線道路網についてでございます。  貨物輸送の中で自動車輸送は、迅速かつ確実に戸口から戸口まで一貫輸送ができるということなどから、欠くことのできないものとなっており、その輸送は著しく増大してきたわけです。一方では、道路整備の立ちおくれから、交通混雑や沿道環境の悪化などを引き起こしてもおります。最近の財政事情の厳しい折ではございますが、今後の道路整備に臨みます大臣の御決意のほどを承りたいと思います。
  142. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほどお話がございましたように、時勢の急激な変転によってと申しますか、産業、経済の進展、それから国民生活の多様化、高度化とともに、自動車輸送への依存度というものはますます大きくなっておりまして、これをもとに返すということはとうてい不可能な勢いであろうと存じます。  そこで、問題は、道路整備が旅客、貨物両方を通じまして、自動車交通自動車輸送の需要にたえ得るかということでございます。現在道路整備を一生懸命にやっておるわけでございますが、現在のテンポで進みましても増大する自動車交通需要に追いつくのはなかなかむずかしい、厳しい情勢にあるものと認識をいたしております。一方、申し上げるまでもございませんが、道路整備は生産力の拡大、ひいては税収の増加をもたらし、将来における経済活動の活力を生み出す公共投資として、また一方において、地域社会の健全な発展を支える社会資本として、計画的に推進すべきものであると考えております。このような現状と道路整備重要性にかんがみまして、厳しい財政事情のもとではございますが、今後ともその整備を先行的に推進すべく努力してまいりたい。  ちょっと具体的に申し上げますと、道路整備はすでに八回の五カ年計画が本年をもって終了するわけでございまして、ただいま第九次の道路整備五カ年計画の作成に鋭意努力しておるわけでございますが、私どもは、第九次道路整備五カ年計画の持つ重要性にかんがみまして、国力の許す限り、また建設省の全力を挙げまして整備計画を作成し、またその実現を図ってまいりたい、かように決意をいたしている次第でございます。
  143. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 最近の幹線道路網の整備状況を見ますと、国土の骨格を形成する高速自動車国道は供用延長が三千キロメートル、予定路線の四〇%にすぎず、ネットワークとして機能し得ていないという状況にあります。一方、交通量の大部分を受け持つ一般国道、都道府県道のうち整備済みの道路は四七%、また大型車がすれ違い可能な道路は一般国道の八四%、都道府県の四五%にすぎないと聞いているわけですが、今後の幹線道路網の整備の方針についてお尋ねをしたいと思います。
  144. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  幹線道路網の状況につきましては、先生がいま整備率等につきまして御指摘がございましたが、なおそのほかにも、たとえば都市計画街路につきましても予定の三分の一くらいしかできていないというような事情とか、あるいは混雑延長が国道、都道府県道で約三分の一程度に及ぶとか、いろいろ指標的にはまだ悪いわけでございます。  そういった意味合いで、先生先ほど来御指摘になっております物資の輸送等に関しましてはまだまだ不十分でございますので、幹線道路につきましては、私ども二次改築と申しておりますが、通過交通地域交通の分離を図り、かつ、能率をアップするという意味におきますバイパス整備、それから都市におきましては交通を分散する等のための環状道路整備、それから交通不能区間の解消、あるいは必要な区間の四車線化等を進めてまいりたいというふうに考えております。こういったものを組み込みました五カ年計画を、先ほど大臣からお話がございましたようにいま原案を作成中でございます。
  145. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 警察庁にお尋ねをいたします。  仮に一生懸命努力して道路を幾らつくりましても、その道路の方々に車がとまっておったのでは道路の役をなさないということなんです。たとえば横浜市内の方を私なんか日ごろ歩いているわけですけれども、歩道等に駐車している自動車には本当に目に余るものがあります。歩行者がこのために見通しが悪くなるばかりではなくて、狭い道路が占有されているために、いざといったときの消防車や救急車の進入が妨げられる事態が起こってはと、大変に不安を感じてもいるわけであります。  先日も、うちの近所に保育園があるのですが、そこの前の細い道路だというのに道路の両側に駐車しているものですから、保育園の子が飛び出してきまして、私もやっとの思いでその小さい子を突き飛ばしまして、小さい子は泣きましたけれども、それでどうやら助かった。とにかく狭い道のところに両方とも車がとまってしまっているものですから、見通しが全く悪いわけであります。大変危ないことだと思うのですが、こうした歩道等に駐車している自動車に対する対策は、警察庁、どのようにお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。
  146. 久本禮一

    ○久本政府委員 先生指摘になりましたように、違法駐車は、交通の円滑、安全、さらには災害対応という面から見まして、放置できないものであるということを強く考えておるわけでございます。したがいまして、警察といたしましては、交通への妨害性、危険性を勘案いたしまして、重点的に取り締まりを実施しているところでございます。特に都市部の問題の多い地域におきましては、大体各県警とも重点地域というものを実務上定めることが多いわけでございまして、そういった方針の中で、商店会あるいは町内会等の協力をも得まして、違法駐車防止の広報活動等もかなり密にしているところではございますが、あわせまして、必要な指導、取り締まり等につきましては、駐車規制あるいは車庫法の重視という着眼から、できるだけ効果的に実施していきたいという考えで、そのような推進を図っているところであります。
  147. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 引き続いて、警察庁の方にお尋ねをしたいと思うのです。  東京都内での交通事故死というのがことしに入ってからふえて、昨年に比べてすでに五〇%を上回るハイペースだと言われております。また、そうしたことも、あって春の交通安全運動を一生懸命やられたと思うのですが、神奈川なり大阪なり、結果は大変よくないということでして、神奈川に至りましては愛知県に次いで交通事故の多いワーストツー、春の運動週間のときはワーストワン、いずれにころんでもよくありません。交通安全運動だとかその他はいろいろやっているにもかかわらず、こうした結果しか出ないということは、道路整備状況が悪いからだと思いますし、また、せっかく整備した道路の両サイドに車がとまったりして見通しの悪さなどもやはりあるだろう、こう考えるわけです。  たまたまけさの朝日新聞を見ておったわけですが、特に連休が間もなくやってくるわけですが、この連休のときに交通事故の数が大変多いというふうに報じているのです。としますならば、連休向けの対策というか、そうしたものをどのようにお考えになっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  148. 久本禮一

    ○久本政府委員 先生指摘のとおり、本年に入っての交通事故死者の増加状況は大変憂慮すべきものがございます。この傾向は、安全運動期間中も若干のかげりはございましたが、やはり引き続いて同じような状況にあると考えております。また、御指摘のとおり東京、神奈川、愛知、大阪といった大都市を含みます大きな県で、いままでの、大都市には比較的対策が進んでおるという考え方を覆すような、死亡事故の増発傾向が続いておるということも事実でございます。こういったような情勢は、最近における交通安全上の大きな問題時期としてとらえるべきであると考えておりまして、先生ごらんになったとおりでございますが、かつてはゴールデンウィークというのは、特に行楽交通等を中心にして事故が非常に多く発生する可能性があるという形で、特別の指導あるいは規制措置、取り締まり等を推進しておるところでございます。諸般の状況もございまして最近はこういった取り組みを行っていなかったところでございますが、こういう情勢下にございますので、ことしは四年ぶりにゴールデンウィークにおける事故防止対策を復活いたしまして、特別に、交通警察を中心にいたしまして府県警察を督励して、ゴールデンウィーク中の交通事故、特に死亡事故を中心とした事故が拡大していくという傾向にいささかでも歯どめをかけたいという考えで、現在一斉に通達をいたしまして、その準備をいたしておるところでございます。  具体的にはそう特に目新しいものはございませんけれども、いままで取り上げられて効果の高かった施策を中、心に、効果的な事故防止対策を進めてまいりたいということでございまして、特に行楽地等におきましては、勝手の知らないドライバーが入り込んでくるというようなことも勘案いたしまして、交通安全あるいは案内等の広報を十分に密にやってまいりたいと考えております。また、行楽地等におきましては、余り勝手のわからないドライバー等の便宜も十分に考えまして、必要な規制を行い、なお、街頭における指導、取り締まりも平生を上回る十分な体制で取り組んでまいりたいということは考えております。
  149. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 この取り締まりの体制というのを強化していただくということはいいことなんですが、私の考えているのは、別にびしびしと取り締まって、点数を盾にとって反則金をふやすということではないのでありまして、いわゆる取り締まりのための取り締まりというか、悪評高いネズミ取りを強化してほしいと言っていることではないのです。ゴールデンウィークは事故が多そうだ、もしそうであるならば、もう方々に、むしろわかるように、そうした交通違反というのを厳しく取り締まっていますということを、公にはっきりしてもらいたいのです。陰に隠れて取り締まるという方法ではなくて、はっきりとわかるようにしてもらいたい。そうすると運転している方も、これはいま厳しい、注意をしなければならないということで、趣旨がより徹底して、交通事故を防ぐという点ではかえってその方が効果的じゃないかと思います。  いずれにしましても交通事故減少化していきますように、よりまたがんばっていただくことを期待いたしまして、時間ですので、質問を終わらせていただきます。
  150. 西中清

    西中委員長 次に、辻第一君。
  151. 辻第一

    ○辻(第)委員 住宅地における通過交通の問題について質問いたします。  住宅地域交通事故交通公害を除いて、安全で快適な居住地区にするためには、通過交通の流入を防ぐということが大変重要な問題と考えるわけでありますが、建設省のお考えをお尋ねいたします。
  152. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 住宅地等に通過交通が入ることは好ましくないので、都市計画街路等整備に当たりましては、そういう配慮は必要だろうと考えます。
  153. 辻第一

    ○辻(第)委員 通過交通の流入を防ぐのは大変重要な問題だ、私はこのように考えるわけであります。  ところで、新住宅市街地開発法というのがございます。これをもとにした住宅地域というのがたくさんできているわけでありますが、その目的として第一条に「この法律は、人口の集中の著しい市街地の周辺の地域における住宅市街地の開発に関し、新住宅市街地開発事業の施行その他必要な事項について規定することにより、健全な住宅市街地の開発及び住宅に困窮する国民のための居住環境の良好な住宅地の大規模な供給を図り、もって国民生活の安定に寄与することを目的とする。」このようにあるわけであります。そして、このいわゆる新住法の施行規則十一条三号の中には「住区内の道路にあっては、できる限り通過交通の用に供され難いように定めなければならない。」こうなっております。この施行規則は、住宅地の交通安全を守る上でも、快適な居住環境を守る上でも、大きな役割りを果たしてきた施行規則であり、将来も大きな役割りを果たす施行規則だろう、このように思うわけでありますが、建設省の御見解を聞きたいと思います。
  154. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 御指摘のとおりと考えております。
  155. 辻第一

    ○辻(第)委員 ところで、奈良県の橿原市に橿原ニュータウンというのがございます。これは、いわゆる新住法に基づいて県の住宅供給公社がつくった住宅地域であります。すでに八割方完成をいたしまして、約四千五百戸、一万二千人の方が居住をされておるわけでございます。あの明日香村に接したところにございまして、本当に緑がありますし、自然がありますし、文化財がありますし、空気は澄んでおりますし、まことに良好な環境の、奈良県の中でも一、二を争うようなりっぱな住宅地域だ、私はこういうふうに思うわけであります。ところが、ここに県道久米−見瀬線というのが計画変更されてこの団地を縦断する、こういう計画ができたわけであります。そして、これは去年の六月十六日に地域の住民に知らされた。本当に知らされたというような形の後、もうすぐさま、七月十三日には橿原市の都市計画審議会で決定をされ、さらに、十二月二十五日には奈良県の都市計画地方審議会で決定をされるということになったわけであります。住民にとってはまさに青天のへきれきというような状態でございました。この道路がもし全通をいたしますと、県当局は、この道路というのは団地住民のための道路だ、このように言っているわけでありますが、とんでもない。いまの橿原市を中心とした道路の状況を見ましても、国道百六十九号線の状況を見ましても、そしてこの道路の道筋を見てみましても、これは国道百六十九号線のバイパス的な役割りを果たすということが十分考えられる道路であります。当然そこには通過交通というものが相当考えられるということでありますが、このような、新住法の趣旨や目的に沿ったすばらしい住宅地です。そして、先ほどお尋ねをいたしましたこの新住法の施行規則の十一条三項、「住区内の道路にあっては、できる限り通過交通の用に供され難いように定めなければならない。」という施行規則、これに本当に大きく背反するような問題ではなかろうか、このように考えるのですけれども建設省はどのようにお考えになっているのですか。
  156. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 新住宅市街地開発法の施行規則には御指摘のような条文がございまして、私どもといたしましても、できる限り住区内の通過交通を排除するような道路の構造が望ましいと考えておるわけでございます。しかし、新住宅地をつくっていく場合にはいつもそういう問題に遭遇するわけでございますが、新しい区域ができることによって、逆にもとの市街の環境というものがかえって悪くなるということがありますと、新住宅市街地というものの建設そのものも阻害されるわけでございます。したがいまして、私どもが町づくりを考えていく場合には、もとからおられる住民の方々の居住する区域も新しい住宅地区も、バランスのとれた形で、ともに望ましく、安全な道路整備されていくという形が一番いいのではないかと考えるわけでございます。  御指摘場所につきましては、当初、四十年ごろに都市計画決定をいたした段階では、旧市街地の真ん中に都市計画街路が入り込むような形の線形でございましたが、文化財等の関係がございまして、それをさらに南の方に都市計画街路を延伸して、市街地を外れたところで取りつくという構造にしたために、よけい御心配が多くなったかと思います。しかしながら、先ほども申し上げましたように、新住宅市街地ももとの町並みもともに安全であるような配慮をしながら、新住宅市街地内における都市計画街路というものの構造上の安全性を十分考えることによりまして、関係住民の御了解が得られるならば、それが最も望ましいということも考えられますので、ベストではないかもしれませんが、ベターな案として都市計画決定したということでございます。
  157. 辻第一

    ○辻(第)委員 とても納得できるような話ではありません。この新住法の趣旨から見てみても、先ほど申しました施行規則から見てみましても、本当にりっぱな環境の住宅地域に、白地に墨を投げつけたようなそういう感じがするものであります。もちろん古くからの市街地との関連というものも否定できませんけれども、もっともっと考えるべきものがあるということであります。ことに、この住宅地域へ来られた方は奈良県の方もたくさんおられるわけでありますが、大阪あたりから、本当に空気のきれいな、静かな、よい住宅環境をということで住宅を求めてこられたという方がたくさんおられるわけであります。局長も御理解いただけると思いますけれども、今日、働く人が住宅を一軒求めるということは大変なことです。しかも、本当にすばらしい住宅環境ということを願ってやっと求めた。しかしまだまだ苦労が続くわけですね。恐らくローンでやっている方もたくさんあると思うのですね。そういう本当にすばらしいところに来たなと思っておった、しかも、この住宅供給公社から、そういう住宅地へそのような大量の通過交通が予測されるような県道が通るということは知らされていなかったのですね。ですから、ほとんどの人、全部と言っていいくらいの人がびっくりしているわけです。だまされたという感じなんですね。中には大阪から、子供さんがぜんそくで、空気のきれいな奈良へということで来られたという方もおられるわけです。そういうところへ、このような相当の通過交通考えられる道路を団地のど真ん中を縦断させるということは、どのようにおっしゃろうと、それはきわめて不合理なものと言わざるを得ないというのが現状だと思います。  しかも、この道路は、先ほど局長が言われましたように、昭和四十年ごろですか計画決定をされまして、それから丸山古墳が史跡に指定されたというような関係で、変更案がつくられたということです。  それから先ほど、市街地の真ん中の方に入るのを市街地をうんと外れたと言うけれども、そんな感覚を私は持ちません。市街地の真ん中ではありません。かなり外れたところへ、丸山古墳のところでもこれがつくということです。そんなに変わりはありません。その辺はちょっと訂正していただきたいと思うのです。  そういうところへ変更をされて、そして、六月十六日に住民に通知をされた。それがすぐ、七月十三日には橿原市の都市計画審議会が開かれて決定をされる。この間二回ほど事務的な説明があった。住民の意見は十分聞かれないような状態のまま、橿原市の都市計画審議会が開かれて決定をされ、そして十月十九日には奈良県の都市計画地方審議会が開かれた。このときには、住民との話し合いということも含めて継続をして審議をするということになったわけであります。ところが、この地元住民の意見をよく聞くということは、県当局と地元住民の間で合意が取りつけられていたのでありますが、県当局は住民に科学的なデータも示さない、また、住民との話し合いを続けている最中に、合意を取りつけないまま、十二月二十五日に、言うならば強行審議、決定というような形になったわけであります。  しかも、先ほど申しましたように、住宅供給公社は、去年の三月に入居した新しい居住者にも、こんな道路がつく予定だというようなことは一言も言っていない。もっと古いことを言えば、十年ほど前の案内書には、この地図に袋小路になっているように、こういう道路が将来通るだろうというような感じのことは全然書いていないのが実態だったのですね。しかもさらに、この道路が貫通しないかということを確認した住民に対しては、貫通しません、こういうことも言っていたというのが現状であります。しかも、このように住民の話し合いを十分していない、住民の合意というものを踏みにじって強行しようとしている状況であります。まるで、そこのけそこのけ道路が通るというような感じの問題であります。  最近、私、奈良の建設省関係のお役所で、これまでの、そこのけそこのけお馬が通る、車が通るという感覚じゃなしに、非常に話し合いをしていただくというような姿勢を感じて喜んでおるのですが、まさにこの県、市の対応というのは住民合意というようなことを本当に踏みにじっているという現状だと思うのです。どうでしょうか、局長。このような都市計画を進めるに当たっては住民との合意というのは本当に重要な問題だと思うのですが、御見解を聞きたいと思います。
  158. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 一般的に申し上げまして、都市計画を決定あるいは変更する場合に、関係住民に地元説明等を行いまして、都市計画の案を作成してから二週間、公衆の縦覧に供するという手続がございます。これより前にも、通常の場合は地元の説明会等が行われるわけでございます。関係住民あるいは利害関係人はこの縦覧の後に意見書を出すことができるようになっておりまして、この意見書は都市計画地方審議会に付議されまして、意見書を採択したというときには、手続の中で都市計画の変更を命じなければならない規定もございます。こういう形で、一応法制上は都市計画の決め方につきまして住民参加が決められているわけでございます。  本件の場合に、まだ私、詳細はよく調べておりませんが、地元の説明も行われておるようでございますし、県の審議会において継続案件にしようということが決められた後も、五度ほどの話し合いが行われたということも聞いております。  いずれにしましても、先生指摘のように、関係住民の御意向というものは十分反映するような形で都市計画が決定されることが望ましいというのは、おっしゃるとおりでございます。
  159. 辻第一

    ○辻(第)委員 さらに申しますと、この道路は、ニュータウンの北の方に久米の仙人で有名な久米寺というのがございます。この文化的価値の非常に高い久米寺の旧境内、遺跡を分断をして通るということもあるわけであります。一方では丸山古墳にひっかからないようにということがやられながら、一方では久米寺を分断するという問題もあるわけですね。このように、県道久米−見瀬線の計画変更という問題は重大な問題をたくさん抱えておる、どうしてもこれは白紙撤回し、既存計画の抜本的な見直しを行うべき問題であろうと思うわけであります。住民と十分話し合いを行って、住民の納得のいく形で問題が解決されるように、建設省としては県などに対して一層十分な指導をされたい、このことを強く強く要望するわけでありますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  160. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 いまの都市計画街路が仮に白紙撤回するようなことをいたしますと、当該新住宅市街地にお住みになる方の足もなくなってしまうわけです。したがいまして、旧市街地にお住みのもとからの市民の方、それから新しくお住まいになる方、双方が共存できるような形で、新しい街路につきましては、構造上も歩道を広くし、あるいは植樹帯を設け、幅員的には四車線確保できる街路ですが、走行車線を二車線にする等のことも配慮しながら、関係住民の御納得がいただけるような方向で今後も努力を続け、そういう形で街路を整備するという方向が私どもは正しいのではないかと考えておりますが、先生指摘のように、いずれにしましても住民と十分話し合いを図っていくように、私どもとしては県、市を指導してまいりたい、かように考えております。
  161. 辻第一

    ○辻(第)委員 この久米−見瀬線というのは、そのようなことではなしに、本当に白紙撤回すべき問題である、こういうふうに重ねて要望をしておきます。  それから、これができなければ、いまの橿原ニュータウンの方々が交通問題で非常に御不自由になるというようなことはないのですよ。広いりっぱな道がそれに並行して二本ちゃんとありますしね。それから、南側はもう少し別な形で一本、これまでどおりのような形のをおつくりになれば十分やっていけるわけです。こんなところを縦断しなくてもやっていけますので、その点は改めて指摘をしておきます。とにかく一層の指導を強く要望して、この問題はこれで終わります。  次に、警察庁にお尋ねをいたします。身体障害者の電動車いすの問題についてお尋ねをするわけであります。  電動車いすを御利用の方が非常にふえて、いま二万台ぐらい使われているのではないかと聞いておるわけでありますが、現在認められている速度四キロ、これを必要な場合は六キロ程度まで認めてほしいという声がございます。これは、夕立が急に降ったときだとか信号の変わり目など、いわば健常者が小走りをするときなどのように、電動車いすにおいても小走り程度の六キロという速度を認めてほしいということでございます。少しは速度を選択する、そのような権利も認めてほしいということでございますが、警察庁の御見解はいかがでございますか。
  162. 久本禮一

    ○久本政府委員 御指摘の電動車いすでございますが、これは現在歩行者として扱いたいというのが私ども考え方でございます。したがいまして、歩行者の中にまじって、歩道等を通行するということでございます。  そういうことで、歩行者の通常の歩行速度というものは、いろいろな形の、いろいろな年齢その他の状態の人が混合するというようなことを考えますと、おおむね時速四キロメートルというのが実態から見て妥当なところであろうと思うわけでございます。したがいまして、歩行者の中に混在をさせて電動車いすを利用していただくということでございますれば、やはり四キロメートルを超えないというのが適当だということで指導しているわけでございます。  確かにいまおっしゃったような形を考えて、できるだけ身障者の方の利便を図るということも一つの必要性ではあると思いますが、電動車いすは、先生御承知のとおり、通常は金属製でございましてかなり重量もございます。したがいまして、機械の機能がそういうことであるという形で、それが歩行者の中で利用されるということを考えますと、一般の歩行者の安全の絡み合いの中で、この程度の速度というものがやはりトータル的には妥当ではないかというふうに考えておりまして、現在のところこういう方向で今後も進めてまいりたいという考えでございます。
  163. 辻第一

    ○辻(第)委員 身障者の要求は、いつも六キロで走りたいということではないわけです。通常は四キロ程度で走り、場合によっては、室内などでは二キロ程度でも走る、こういうことですね。このような自主性というのですか、そういうようなものを認めてもらいたい、そして、先ほど申しました横断歩道を渡るときとか、あるいは夕立が降ったとき、そういうときには六キロ程度で走らしてほしいということですね。もともと人通りの多い歩道は、どこでも当然人の流れに沿ってしか走れないわけですね。四キロで歩いておられるところを六キロでといっても無理ですから、そういうところは当然四キロで行かれるということだろうと思いますし、交通安全上問題が起きるということはそう考えられないというふうに思いますね。障害者の要求というのは当然だというふうに私は思うわけです。人の歩行速度も足の速い人なら六キロくらいということもあり得るわけですね。ですから、ぜひ制限の緩和をしていただきたい。  それからもう一点、自転車通行が認められている歩道があるのですね。歩道で自転車の通行が認められているところ、ここでは自転車の速度は具体的に制限をしていませんね。徐行してということになっているようであります。ですから、電動車いすでもこのような規制の方向、自転車と同じような方向で処理をすれば、最高六キロにしても問題はない、このように考えるわけでございます。ぜひ、この身障者の電動車いすの速度制限を六キロにしてほしいという要望にこたえられるように、積極的に検討していただきたい、再度御要望するわけでございますが、御見解をもう一度お聞きしたいと思います。
  164. 久本禮一

    ○久本政府委員 確かに自転車に歩道を通行させているという実態はあるわけでございますが、これは車道を自転車自動車と一緒に走るということでは、自転車交通弱者でございまして、そういった意味事故に遭いやすい自転車を保護するという意味から、妥協的な措置として歩道上を通行さしているという点がございます。しかし、歩道上の自転車の通行は一転して歩行者に対してはかなり脅威になるという面がございます。したがいまして、歩道上を自転車を通すということは現在の状況からいってやむを得ない施策ではございますが、好ましい施策であるかどうかという点についてはかなり議論の余地はあることでございます。したがいまして、都市交通自転車をいかに位置づけるかというような点とは別にいたしまして、歩道上で歩行者に脅威を与えるような通行をするおそれがあるという点では、歩道上の自転車通行はやはり、かなり自転車の方にも相当な自粛自制を求めて指導するというのが、私どもの立場でございます。そういったようなことは、やはりいずれも、歩道を歩行者の安全の場として大事にするという思想の延長に立っておるわけでございまして、電動車いすも身障者にとってかけがえのない足であるという点はよく承知をしておりますけれども、やはり他の車いすとの兼ね合いあるいは歩道上における歩行者の措置という点から考えまして、現在の制度を変えるということにはかなりむずかしい問題があるというのが現在の認識でございます。  なお、いろいろ今後状況に応じまして勉強はしていきたいとは存じております。
  165. 辻第一

    ○辻(第)委員 それと、電動車いすは道交法上は原付自転車で、一定の条件を満たすものについては人として扱う、歩道の通行を認める、このような道交法の運用を行っていられるというふうに聞いているわけでありますが、運用というような形の例外的なものではなく、道交法上に明記をされるべきではないかというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。簡単にお答えをいただきたい。
  166. 久本禮一

    ○久本政府委員 これは先生も御承知であろうと思いますが、現在道交法の二条三項一号によりまして、身体障害者用の車いすを通行させている者は歩行者であるという規定がございます。したがいまして、電動車いすは、おおむね四キロを超えない場合にはいわゆる運動形式が歩行者と同じでございますので、したがって、同号の身体障害者用の車いすとして取り扱っても実務上不都合はないということで、そのように扱っているわけでございます。したがいまして、全くそういうよりどころがないわけではございませんので、現在の運用で特に不都合はないのではないかというふうに考えております。
  167. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、運輸省にお尋ねをいたします。  いわゆる鈴木自動車の逆発進という問題に関連してでありますが、現在まで運輸省へどれほどの苦情が参っておるのか、件数だけでもお答えをいただきたい。
  168. 宇野則義

    ○宇野政府委員 先週の土曜日以来、この鈴木自動車のエンジンの逆転問題が報道記事等に出まして以来、私どもの方で調査をいたしました状況を御報告申し上げますと、昨日の昼の時点になりますけれども、四月二十一日の時点で言いますと、二十八件の情報が入手されております。
  169. 辻第一

    ○辻(第)委員 この問題の真相あるいは原因の解明にどのような措置をとっておられるのか、お尋ねをいたします。
  170. 宇野則義

    ○宇野政府委員 先週の末でございますが、福岡におきまして、当初この逆回転の情報を提供された方の車と、もう一つは、メーカーの提供によりますところの車とを比較しつつ試験をしたわけでございますが、その結果は私どもの方に福岡の陸運局の方から入ってきておるわけでございます。  ただ、福岡で行いました試験が非常に特殊な条件のもとで行われておりまして、そういう状況のもとでは、内燃機関でありますところのツーサイクルエンジンというものが、特殊な条件のもとでは逆転することはあり得るということは、私ども承知をいたしておるわけでございますが、この実際情報提供をされた方の車はともかくといたしまして、工学的な面から、どういう条件が整うと逆転するのかというようなことを技術的に解明する必要があるということで、先週の土曜日でございますけれども、当該メーカーに対しまして、市場での情報を調査すると同時に、同じ型のエンジンについて技術的な面から、逆回転発生の原因究明を行って至急運輸省に報告しろという指示を出して、現在作業をしておる段階でございます。
  171. 辻第一

    ○辻(第)委員 運輸省に寄せられております苦情ですね、これについても公表をされたいと思いますし、いわゆる実験結果あるいは調査結果、そのようなものもそのつど速やかに公表していただきたいということを要請しておきたいと思います。  それから、同車種の車がいまたくさん走っていると思うわけでありますが、そのような車にいろいろ注意を喚起するとか、あるいは点検だとか整備だとかいうような注意といいましょうか、そのような対策もすぐ必要にして十分なものをとっていただきたい、このように要望いたします。その点について簡単にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  172. 宇野則義

    ○宇野政府委員 私、ただいま答弁いたしました日付が間違っておりましたので、訂正させていただきたいと思います。  当該メーカーに調査、原因究明の指示をいたしましたのは、十九日の月曜日でございます。  それから、情報等につきましても、第一次は私どもも報道関係に発表しておりますが、ただいま申し上げました二十八件の内容につきまして、実は古い話がかなり入っておりまして、そのときの状況というものが、電話だとかそういう状況報告だけでは解明しにくいものもございます。したがいまして、それを個別に追究するのは非常に困難であろうかと思いますが、これからの問題として、先ほど言いましたように、逆回転発生のメカニズム、原因の究明を急がせたいというふうに考えております。  当面の措置といたしましては、こういう現象が起こるという一つの理由の中に、特にエンジンの整備状況の問題がございます。したがいまして、鈴木自動車工業に対しましては、各販売店あるいは整備工場で点検整備をする際に、十分徹底した点検整備をするように指導してまいりたいと思っております。
  173. 西中清

    西中委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会