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1982-04-16 第96回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十六日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 村田敬次郎君    理事 稲村 利幸君 理事 大塚 雄司君    理事 住  栄作君 理事 竹中 修一君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 薮仲 義彦君 理事 渡辺 武三君       足立 篤郎君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    國場 幸昌君       桜井  新君    田村 良平君       登坂重次郎君    東家 嘉幸君       松本 十郎君    前川  旦君       山花 貞夫君    伏木 和雄君       林  保夫君    瀬崎 博義君  出席国務大臣         建 設 大 臣 始関 伊平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 松野 幸泰君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       福島 量一君         国土庁土地局長 小笠原正男君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 吉田 公二君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         農林水産省構造         改善局農政部管         理課長     合馬  敬君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   横山 利秋君     矢山 有作君 同日  辞任         補欠選任   矢山 有作君     横山 利秋君     ————————————— 四月十二日  住宅関係予算大幅拡充等に関する請願外一件  (土井たか子紹介)(第一九四七号)  同(瀬崎博義紹介)(第二〇〇七号)  同(中島武敏紹介)(第二〇〇八号)  地方住宅供給公社家賃制度改悪反対等に関す  る請願岩佐恵美紹介)(第一九六三号)  同(中島武敏紹介)(第一九六四号)  同(松本善明紹介)(第一九六五号)  同(甘利正紹介)(第二〇五三号)  同外二件(伊藤公介紹介)(第二〇五四号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (石橋政嗣君紹介)(第二〇三〇号) 同月十五日  公共的施設における身体障害者施設整備に関  する請願小沢一郎紹介)(第二一二二号)  地方住宅供給公社家賃制度改悪反対等に関す  る請願中島武敏紹介)(第二一四六号)  同(井上普方紹介)(第二二四七号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (中路雅弘紹介)(第二一五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣  提出第五七号)      ————◇—————
  2. 村田敬次郎

    ○村田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出土地区画整理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前川旦君。
  3. 前川旦

    前川委員 初めに大臣にお伺いをいたしますが、この前の閣議でも大臣は、公共事業前倒しをしますから、下半期の対策で何らかの措置をとってもらいたいということを御発言になったということが新聞に出ておりました。そのことは、大臣もこの委員会でそういう発言をしたとお答えになりました。きのう参議院決算委員会ですか、大臣が、これは九日の総務会あるいはその前の閣議で、同じように補正予算を含めて対策を講じられたいという強いことを言われたというふうに御自身お答えになっておられました。前はまだ予算参議院でかかっておるときでございまして、そのときには、まだ参議院予算がかかっているときに補正予算の話はできないというふうな立場でございましたが、もう予算も通りまして、その後のことでございますので、どの程度突っ込んで大臣補正予算を組んでもらいたいという御発言をなさったのか、そのいきさつをもう一度聞かせていただきたい、このように思います。
  4. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えを申し上げます。  公共事業前倒しの問題につきましては、三月十六日でございましたが、最初の打ち合わせがございまして、そのときはまだ予算案の審議中でございますから、前倒しにつきましても一応予算が成立したらはっきり決めようということでございました。したがいまして、下期の問題につきましても補正予算云々言葉は使いませんで、下期に息切れがしまして、前倒しの結果下期には非常に穴があくというようなことでは困りますので、下期において事業量不足にならないように適宜適切な措置を講じてもらいたいという話をするにとどめておいたわけでございます。  九日になりまして、前倒し、これは七五%以上でございますが、なるべく七七%台ということを大蔵大臣から発言がございまして、私どもとしてはその執行体制を急速に整えるように前から準備を進めておったわけでございますが、いま設計その他発注の準備等、鋭意努力をしておるわけでございます。と同時に、下期の問題につきましても、いまお話がございましたように予算も通ったことでございますから、今度は補正予算という言葉をはっきり使いまして、補正予算等で、時期におくれないように、しかるべき時期にひとつ措置を講じてもらいたいということを申しました。それに対しまして反論はということでございますけれども経企庁長官からは、建設大臣の言うとおりこれはそういう措置をおくれないように、しかるべき時期にやる必要があるということを繰り返してお話がございました。それ以上突っ込んだ話にはなりませんでしたが、大体そういう空気で推移した、かように存じております。
  5. 前川旦

    前川委員 その問題について大臣質問というか、対話したいのですけれども、そのときの雰囲気ですが、いまおっしゃった経企庁長官補正予算賛成新聞の報道によりますと、大蔵省は「来年度予算編成の歳入、歳出の大枠にめどをつけたうえで今年度の補正予算案の骨組みを固めたい考え。」という言葉新聞には使われています。それから、「通産省は時期については大蔵省に同調しながらも、対策の内容は多彩なものにしたい意向。」これは十日の朝日の記事です。ですから、ほかの省庁からもっと積極的に大臣に同調して、この際補正予算を組むことを早くやらなければいかぬという意見がもっと出たのじゃありませんか。その辺のいきさつはどうですか。
  6. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいまお述べになりました、大蔵省がほかの問題と一緒に前倒しに関連する補正予算措置考えなければいかぬというような発言は、当日はなかったと記憶をいたしております。     〔委員長退席住委員長代理着席〕 非常にはっきりと賛成意思表示をされましたのは経企庁長官だけでございますけれども、全体の雰囲気はそうせざるを得ないなということでございます。したがいまして、時期などにつきましてもいつごろというような話にはまだ入っておりません。
  7. 前川旦

    前川委員 大臣、これは時期がいつになるかはともかくとして、補正予算を組むんだということはもう確定的だというふうに判断してよろしゅうございますか。大臣の御判断としてどうですか。私はそう判断していいと思いますが、お考え伺いたいと思います。
  8. 始関伊平

    始関国務大臣 諸般の状況から申し上げまして、下期に残された事業量は、五十六年度も前倒しをいたしましたのですが、そのときに比べまして二五%も減っておるというようなことでもございますし、私はそうせざるを得ないものと思っておりますし、まあこの予測が間違うことはあるまい。また、私自身といたしましても、直接関係を持つ立場でございますから、今後時期を見まして積極的に推進をいたしたい、かように決意をいたしておるような次第でございます。
  9. 前川旦

    前川委員 そこで、これは大臣守備範囲を離れるかもしれませんけれども大臣対話のつもりでお答えいただきたいと思います。  たとえば五十七年度予算では、五十六年度の当初予算に比べて四兆三千四百億円ぐらいの税収の増を見込んだ予算を組んでいます。ところが、五十六年度でいまはっきりしておりますのは、税収不足が二兆円から三兆円だと言われて、二兆二千億から二兆六千億、間をとっても天体二兆四、五千億の税収不足が出るだろうということは確定していますね。そうすると、五十七年度で四兆三千四百億円くらいの税収増を見込んでいた。五十六年で二兆四、五千億の減が出る。合わせると七兆円ぐらいの金のやりくりをしないと五十七年度の予算執行できませんね。これはいわば大変な破綻になります。経済、それから予算破綻。私は野党ですけれども、これは国民の立場からいって、そんなに国の経済破綻をしてむちゃくちゃになるということは望みません。これは非常に心配になります。  そうすると、これはどう考えても建設国債の増発だけではとてもこなせない。赤字国債を出さないと、とてもじゃないけれどもこれはやれないというふうに思いますが、これは大臣守備範囲外でありますけれども対話のつもりで大臣のお考え判断をここで伺っておきたいと思います。
  10. 始関伊平

    始関国務大臣 建設公債だけを二兆か三兆か、あるいは一兆かふやすということにつきましては、それほどめんどうな問題はないと言えばないと思いますけれどもお話しのとおり税収の減というようなことがございますと、これは一般経費にかかる問題もかなりあるのでございましょうから、赤字公債の問題にも触れざるを得ないことになりまして、政府としては大変な困難な状況に立ち至ることかと思いますが、やはりそういう状況になってまいりましたので、これはやむを得ないわけですから、極力善処するという方向でやってまいるはかなかろう、かように存じております。
  11. 前川旦

    前川委員 もうそれ以上は大臣守備範囲を超えていますから、それではそれで置いておきます。  それじゃ本題に返ります。これは政府委員の方で結構です。  市街地の総合的な整備及び宅地供給推進観点から見て、土地区画整理事業のこれまで果たしてきた役割りをどう評価するか、あるいは将来この事業をどういうふうに位置づけていくのか、その辺のことをまず伺いたいと思います。
  12. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 お答え申し上げます。  土地区画整理事業は、昭和五十五年度末までに全国で約二十八万一千ヘクタールについて着工されまして、うち十九万九千ヘクタールが完了しております。全国既成市街地面積が約八十三万ヘクタールございますが、これと比較いたしますと、その三分の一に匹敵する面積でございまして、区画整理事業市街地整備に対しまして指導的な役割りを果たしてきたと私ども考えております。  それから、宅地供給の面から見ましても、土地区画整理事業による宅地供給は近年安定的に推移しておりまして、昭和五十五年度におきます数字を申し上げますと、年間約三千七百ヘクタール土地区画整理事業によりまして宅地供給がなされております。これは、新市街地におきます全宅地供給量八千二百ヘクタールの約四五%に相当するわけでございまして、宅地供給の面からも大きな役割りを果たしていると考えております。  今後でございますが、土地区画整理事業は、市街地整備あるいは宅地供給に対しまして重要な役割りを担う事業として私どもとしては位置づけておりまして、事業の一層の推進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  13. 前川旦

    前川委員 そこで、私が住んでいるところは高松市でありますが、高松市の区画整理事業について少し歩いてみまして、足でいろいろな意見を聞いてみました。  一番最初高松市が手がけましたのは松島地区というところの区画整理であります。これは四十七年に完工しております。ここは沼地であって、悪水がたまって、農地としては利用できない地域であった。これを完全に宅地化をいたしまして、結果として宅地供給にも非常に役立ちましたし、かつ工事費も少なく済んで住民から喜ばれております。これは非常に成功した例で、非常に効果的であった。  ただ、そこで聞いてみると、それを施行するのに非常に困ったことが一つあった。農家がかなりありまして、その農家の主張は、道路が広がっても農業生産は大きくならない、農地という面があって初めて農業はできるのであって、減歩されたら農業生産は落ちるのですからということで、非常な反対意見がありまして、それを説明するのに非常にてこずった。現実にはそういうことはあり得ないかもしれないけれども、もし、土地区画整理区域外農地交換ができるという制度があれば、あなた減歩が不満であればそれをこちらで換地してあげますよ、外で換地してあげますよ、こういう説得ができるのだ、したがって、そういう制度ができないものだろうか、これが一つの教訓として挙がりました。その点、何か方法考えられるのかどうか、いかがでしょうか。
  14. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 土地区画整理事業実施に当たりまして、地区内の地権者、とりわけ営農継続を希望する方々の取り扱いにつきましては、従来から三大都市圏におきましては、大都市法によります特定土地区画整理事業において、集合農地区を設けることとする等の施策を講じてきているわけでございます。今年度から、こういった三大都市圏だけでなくて、全国対象といたしまして、既存の農業的土地利用との調整を図りながら、土地区画整理事業実施する段階土地区画整理事業制度というものを創設いたしまして、円滑な調整が図られるように努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、土地区画整理事業は、事業実施の手段として土地交換分合を行うものでございますが、これは施行地区内の土地について行うということでございますので、地区内の土地地区外土地交換するということを土地区画整理事業として行うことはできないこととなっております。しかしながら、地区内から転出を希望する地権者がおられまして、施行地区内の土地地区外代替地を私法上の契約で交換するということが事業の円滑な推進に資する場合もございます。そういう場合は、施行者におきまして代替地あっせん等に努めるよう指導してまいりたいと思っております。
  15. 前川旦

    前川委員 そうすると、実際の運営としてはそれはやってもいいし、やれるということですね。そういうわけですね。  いま段階土地区画整理事業というのが出てきましたけれども、これは具体的にはどういうことを言っているのか、いままでとどう違うのか、あるいはこれは新法を起こしてやるのか、それとも行政指導か何かでやるのか、その辺のところはいかがなんですか。
  16. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 段階土地区画整理事業は、施行地区内に区画街路等整備の全部または一部を当面留保する地区を設けまして、ここに営農継続地を集約するという手法を講ずるわけでございます。整備を留保した区画街路等につきましては、換地処分の後、一定期間内に整備される場合には再びこれを補助対象とするということで、そういう農地を残しながら区画整理が行われるという効果をねらっているわけでございます。  現在の宅地供給の逼迫の改善とか、計画的な市街地整備推進を図るためには、土地区画整理事業の一層の推進が必要でございますが、新市街地におきましては、当面営農を希望する地権者も多いわけでございます。このような方々農業的土地利用との調整を図る必要がございまして、それと、公共投資効率化観点から、段階的に区画整理事業実施されたらという声が前々からございましたので、こういう制度採択をお願いしておるわけでございます。  この制度は、新市街地における土地区画整理事業を、市街化の進展に応じまして段階的に施行することによりまして、当面の農業的土地利用との調和を図るということで、事業の円滑な執行公共投資効率化が図られることを期待しておるわけでございますが、法律を改正しないで予算措置あるいは行政上の運用ということで可能だろうと考えて、本年度から実施をしたいと思っておるわけでございます。
  17. 前川旦

    前川委員 大変わかりにくい御説明でしたが、これはどういうことですか。具体的に言うと、いま土地区画整理をやりますと、その中に農地が残る場合がありますね。私は農業を続けます、こういう希望者がある。これは農地のまま置いておきますね。これはいま自由にやられているわけでしょう。今度の新しい制度は、農業をやりたいという人を、土地交換して農地をできるだけ一カ所に集めるのですか、私は農業をやりたいという人をばらばらに置いておくのじゃなくて、農業をやりたいという人を全部、土地交換か何かをしてどこか一カ所に集める、こういうことですか。一カ所に集めて、そして十年間という期間を切って、十年間はそのまま、十年以内にその農地区画整理対象になる場合にはこれは国庫補助対象にする。十年たってもならない場合はどうするのか。十年たってもならない場合は、その地域市街化調整区域にしてしまって制限していくようにするのか。その辺の考え方はいかがなんですか。
  18. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 従来のやり方と違いますのは、農地を集合的に換地をいたしまして一カ所にまとめるわけでございますが、それ以外の、これは大体三割ぐらいをめど考えておりますが、七割の地区につきましては良好な市街地整備される。ばらばらに虫食い的に農地をそのまま残すのではなくて、ある程度まとめて残しまして、従来の手法ですと、事業が終わればそれはもうそれきりで補助対象にならないわけでございますが、今回の考え方では、農地として残した部分について将来の区画街路分等土地を留保しておきまして、当面営農しておりますが、将来区画整理事業を再び興す場合にはそういうものが生き返ってきて、経済的に区画整理がもう一遍行われるという形になることを考えているわけでございます。
  19. 前川旦

    前川委員 そうすると、十年以内であれば区画整理対象として補助対象とする。十年を超えたらどうなるのですか。十年超えた場合には、もうこれは区画整理対象としては許さない、もう調整区域にしてしまうのだ、こういうふうに考えているのでしょうか。
  20. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 調整区域にすることはいたしませんで、ずっと先に、十年以上もたって先にまだ事業見込みがないというようなところでございまして、さらに将来事業をしようという場合には、これは単独であるいは事業を起こす方法もございますし、区画街路等土地は留保されているわけでございますから、調整区域ということじゃなくて、そういった形でさらに市街化が促進されることを期待しているわけでございます。
  21. 前川旦

    前川委員 期待をしているという言葉ですけれども、懲罰的にというわけじゃないのでしょうけれども、十年たてばこれは市街化調整区域にしてしまって開発はやらさぬぞ、これがちょっとこわいんですよね。その一点だけはっきりお返事いただきたいのです。
  22. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 私どもとしては、当面十年間程度留保じまして、その先でもう一遍補助事業として採択する余地を残しているわけでございますが、その先で、さらにしばらく営農した先どうなるかということについては将来の検討課題かと思いますが、絶対に補助していけないというわけじゃございませんけれども、十年以内くらいに再び区画整理事業を起こそうというときには補助対象として採択しようということをいまの時点ではっきりさせて、事業の掘り起こしが可能なようにしたいと考えているわけでございます。
  23. 前川旦

    前川委員 私、一番聞きたいのは、十年までは待ってやろう、十年以内だったら補助対象にしよう。しかし、十年を超えた場合にはどうなるのかということがちょっと心配なんですよ、農業をやっている人にとっては。そこのところをはっきり伺いたいのです。
  24. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 率直に申し上げまして、これは財政当局との話し合いの段階では、十年後の補助採択についてはよろしいという感触を得ているわけでございますが、さらにその先になりまして、仮に、一遍事業が完結してしまった後で、もう一遍補助事業採択するということについての保証というのは、いまの時点で何とも申し上げかねるわけでございますけれども、私どもとしては、またその時点で真剣に検討しなければいけない検討課題というふうに現在では理解しております。  なお、調整区域に逆線引きするということは考えておりませんので、そういう点の御懸念は不要かと思います。
  25. 前川旦

    前川委員 それで結構です。  それから、高松で、同じ区画整理弦打地区というのがありまして、それも私行ってきました。これも成功している例です。大体私が見たところ、初めはみんな文句言っていますけれども、でき上がったらよかったと、区画整理事業というのはそういうふうに受けとめられているようですね。この弦打地区では、当初は七〇%以上は農地であった。そこで用排水路等農業用もとり、農業もできるようにしておいたのですが、これは昭和四十一年から昭和五十三年までの事業でしたが、いまもう完全に一〇〇%宅地になりました。ところが、残念ながら下水がないのですね。下水整備されてない。各地でちゃんと区画整理できたけれども下水ができてないというところ、いろいろあると私思うのです。  そこで、下水道整備五カ年計画についてお伺いをしておきますが、これは、昭和五十六年度から第五次下水道整備五カ年計画、終了時には普及率四四%を目標に、十一兆八千億円の費用をかけるという計画になっておりますけれども、この五カ年計画は果たして実現できるのかどうか。というのは、五十六年度が第一年度、五十七年度が第二年度です。これは、予算を見てみますと、五カ年計画でやるには、第二年度には進捗率が大体三五%から三七、八%までいっていないと五カ年ではおさまらない。これはいままでの経験を見るとわかりますね。第五次の治水事業五カ年計画、これは五十二年から五十六年まで、それから第八次道路整備五カ年計画、これは五十三年から五十七年まで、この実績を見ると、二年目は進捗率が三五・二%、あるいは三七・七%、こういうふうになっています。ところが第五次下水道整備五カ年計画では、五十七年の予算案を見ますと、進捗率が三一・三%、残り三年で十一兆八千億円消化をするとしたら、来年は、三年で平均してみますと二兆七千億円以上も組んでいかないととても消化できませんね。これは不可能だと思うのです。この点どう考えていらっしゃるのか。非常に地方下水道整備を早くしてもらいたい。ところが、いまのままいくと五カ年計画はとても不可能。過去の状況をちょっと調べてみますと、かつては、下水道整備五カ年計画、これは第一次は昭和三十八年から四十二年まででしたけれども、四カ年でやめてしまって、また新しい五カ年計画に切りかえているんですね。その次の昭和四十二年から四十六年度の第二次五カ年計画、これも予算が足りなくて、四年目からまた切りかえて新しい五カ年計画をつくり直している。この第一次も第二次も、当初予定した予算までいってないのですよ。いってなくてできなくて、また途中で切りかえて新しい五カ年計画、新しい五カ年計画、これじゃ五カ年計画をやる意味が余りありませんね、切りかえ切りかえしていくのでは。今度のこの第五次の下水道計画も、いまのままいったらそういう危険性があるんじゃないか。その点はどう見通していらっしゃるのか、どう考えていらっしゃるのか。この前の一般質問でも私ほかの問題で伺いましたら、予算を獲得するためできるだけ努力しますと、その努力目標みたいなものを御答弁いただきましたけれども、そんな努力目標みたいなものでは一つ説得力がありませんね。現実にどうするんですか。この五カ年計画はできませんよ、いまのままでいったら。どう考えていらっしゃいますか。これは大臣もよく考えていただきたいと思うのですけれども、できない五カ年計画の二年目にいっているのです。どう対処されますか。
  26. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 御指摘のように、今回の五カ年計画は総投資額十一兆八千億円でございますが、五十七年度予算による計画進捗見込みは三一・三%、こういう数字になっております。私どもとしては、厳しい財政状況下ではございますが、立ちおくれた下水道整備の現状にかんがみまして、生活環境の改善、あるいは公共用水域の水質の保全を図るために、所要財源の確保に努めまして、計画推進を図るとしか申し上げようがないわけでございますが、ちなみに、第四次計画の二年目が終わりました時点での進捗率が二七%になっております。それで最終は九六・七という、わずかに達しておりませんが、三次計画の場合には、二年目で三六%、最終一〇四・四%ということになっておりまして、私ども見込みでは、現在の進捗で今後予算が二二、三%の伸びを確保できれば五カ年計画の達成は可能でございますが、現在の財政状況から非常に厳しい状況であるという認識は持っております。ただ、何分にもせっかく御決定いただいた計画でございますので、達成に向かって最大限の努力をしたいと考えております。
  27. 前川旦

    前川委員 非常に厳しいという御判断はよくわかりますし、達成に努力します、これはだれでもできる答えなんですね。そうじゃなくて、これはどうでしょうか、新経済社会七カ年計画ですと、これは五十四年八月の閣議決定ですが、ここでは六十年の処理人口の普及率はおおむね五五%と見積もっていたように私記憶しておりますが、それが今度新第五次五カ年計画では四四%、大分落ちましたね。しかも、この第四次の実績を見ますと、なるほど金額的には当初計算した予算に近くなっていますけれども、実際に事業の量は計画したよりも下回っているはずです。そうでしょう。そうすると、下水道というのはずいぶん急がれますし、それからこれは去年でしょう、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案、このときの資料でも、昭和五十四年八月に都市計画中央審議会が建設大臣に対して「今後の下水道整備のあり方についての答申」というのを行っていますが、その内容を見ると、これからは地方下水道を非常に重要視する必要がある、こういうような答申も出ております。ですから、地方は待っているわけですね、下水整備してもらいたい、区画整理できたけれども下水ができない。現実の問題として努力しますというのはよくわかりますけれども、もっと具体的に建設省としてはどういうふうに対処するつもりなんだという、もう少しはっきりした線が出てもしかるべきじゃないかと思うのですけれども、それ以上のことは言えませんか。予算を獲得するように努力します、だっていま予算を獲得できる状態じゃないでしょう。ゼロシーリング、また、臨調からいったらゼロかマイナスシーリングだと言っていますね。どうなんですか。何かもう少しはっきりしたお答えがあってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  28. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 まず、当初五五%と予測しましたのを四〇に下げたことにつきましては、その間におきますいろいろ工法上の環境対策あるいはシールド工法の採用とか物価のスライドとか、私どもが当初予測した以上に経費がかさむという要因があったことが一つの原因ではあるわけでございます。  それからもう一つ事業が非常に大事で、努力するだけじゃなくてもうちょっと具体的に何か考えはないのかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、現在、たとえばことしの下水道予算につきましては、国費が非常に足りないものですから、ことしの場合には地方の単独事業、起債を起こしていただきまして、その起債によります単独事業千百億ほどの起債を自治省にもお願いしておりまして、これは恐らく実現は可能かと思いますが、単独事業の場合には進捗率が先取りといいますか、上がってくるわけでございます。それから、事業の進め方につきましても、いままで国費が先行いたしまして、例の特別の地方債によります処理場の整備というものが先行して、管渠の整備というものはおくれておるわけでございますが、そのバランスをとるということもございまして、ことしは管渠につきましては予算上相当の配慮をしております。  そういうことで、実質普及率の向上につながるような手だては事業の中では打っておるつもりではございますが、さらに私どもとして予算の獲得に努力をするということが今後の下水道を進めていく上での最大の責務かと考えておりますので、大変行き届かない答弁でございますが、御理解いただきたいと思います。
  29. 前川旦

    前川委員 これ以上は平行線で具体的なお答えが出ないようですが、それじゃ、いま地方の単独事業という話が出ました。大臣にもちょっと聞いておっていただきたいのですけれども下水をやる場合、終末処理場の建設には御承知のとおり住民の反対が非常に強いのです。やはり下水の終末処理場があるというのは町のイメージが悪くなるのですね。屎尿が入りますから、まずにおいがするでしょう、それから何となく不潔感が伴う、地価にも影響してくる、そうすると皆嫌がりますね。ところが、そういう地域への見返りが考えられてないのです。たとえばその見返りに、その地域道路整備を十分にやりますとかあるいは文化施設をやりますとか、スポーツ施設をやりますとか、防臭の緑地帯をやりますとか、公園をやりますとか、そういう十分な見返りがあればまたある程度説得力もあるのですけれども、そういうことが考えられてない。  私はこの間、安保の方もやっていますから、ある基地の方をちょっと調べていましたら、これは防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律というのがありまして、たとえば第四条では住宅の防音工事の助成とかあるいは第五条で移転の補償とか、第六条では緑地帯の整備とか、そのほか第八条で民生安定施設の助成とか、あるいは特定防衛施設周辺整備調整交付金とか、いろんなことをメニュー方式で手厚い援助をしているのです。医療施設とか社会福祉施設とか教育文化施設、環境衛生施設、たとえば体育館とか公民館とかいうものをこの防衛関係法律で非常に手厚くなされている。私はそれをやめろという議論じゃないのですよ。こういう下水の終末処理場みたいなものを押しつけられるところにとっては、これぐらいの手厚い援助、国の援助を考えないとなかなかできないだろう。その点もう少し突っ込んでこういうことも考える必要はないのか。それをやらないと、なかなか実効が上がらないでしょう。このことを実はついでに申し上げておきたいのですが、その点いかがでしょうか。
  30. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 おっしゃいますように、終末処理場の建設につきましては周辺住民の十分な御理解が必要でございます。私どもとしましても、周辺の環境問題に十分配意いたしておるつもりでございます。五十一年度から処理場内の緑化等、処理場自体の環境対策施設の整備事業を国庫補助対象とするなどの対応は図っております。ただ、おっしゃいますようなスポーツ施設、公園等につきまして、これを下水道事業としての補助とすることはできないわけでございますが、たとえば公園等につきましては、これは同じ都市局の事業でございます。     〔住委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、こういった公園の事業を、処理場のたとえばふたかけをした上で実施するということは可能なわけでございまして、一部そういう事業補助事業としてやっておる例もあるわけでございますが、今後とも地方公共団体と相談しながら、おっしゃるような周辺の御理解が得やすいような施策とあわせて、処理場の整備を進めていく必要があろうかと考えております。
  31. 前川旦

    前川委員 国庫補助対象にしたというのは、上を覆ってそこを緑地帯にするというだけでしょう。そういうことでしょう。そうではなくて、その町全体にやはりいろんな施設をきちっとしてあげるようにしないと、なかなかこれはうまくできませんよ。ですから、いま御答弁がありましたように、地方自治体の方へそういうことができるように十分に配慮をして、本気でそれに取り組んでいただきたいと思います。よろしゅうございますね。  いま公園の話が出てまいりましたので、ついでに公園の話をいたしますが、これは同じ高松で私調べてきました。ここも成功した例です。  南部第一という区画整理ですが、ここは国道十一号のバイパスができますので、それに面した地域区画整理をやりました。ここで問題になりましたのは、ここに大きな墓場があったんです。その墓場がちょうどバイパスに面するようになりまして、バイパスに面するところにお墓があったのでは、これは土地の利用上好ましくないということで、お墓を移転させようと思ったところが、これが大問題になりました。というのは、そのお墓は高松市の市有地なんです。したがって、お墓を持っている人はいわば借地のような関係ですね。そこで、高松市はそのお墓を、別のところに墓地公園というのをつくっていますから、そこへごっそり移転しようとしたわけです。ところが、そこにお墓を持っている人は、その区画整理の区域内の人が四割、区域外の人が六割、区域内の人は、それはお墓がなくなればよくなりますから賛成した。残りの六割の人は、自分は何もメリットはないのですから猛反対になりまして、お墓をいじったら先祖のたたりがある。これは大変てこずったのです。結果として、説得説得を重ねて、お墓一つ一つ面積減歩しないで、ぐるりを公園で取り囲んで、長い間かかってやっと了解を得た。こんなことはたくさんあると思いますよ。何かいい方法はないものかというので当局者が非常に頭を悩まして、何かいい方法があれば教えてもらいたい、こう言っておりましたが、建設省どうですか。ほかにもあると思いますけれども、そういう場合どういうふうに対応されますか。区域外の人がお墓を持っているのですよ。区域内の人はオーケーと言っても、区域外の人はお墓をいろうことに絶対反対なんですね。それが邪魔でなかなかできなかった。何か方法考えられますか。
  32. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 そのような場合に、必要に応じまして、たとえば周辺を緑地で取り囲むとかいろいろな工夫があり得るかと思いますので、なるべく工夫をいたしまして、事業が円滑に進むような配慮を、周辺の事業でも考えていく必要があるかと思います。
  33. 前川旦

    前川委員 余りはっきりしないお答えで、当事者は非常に頭を痛めて困り切ったのですけれども、結局それじゃ特に特効薬はないということですか。説得していくしか手がないということですか。区域外の人でも何かそこに強制力が持てませんかということなんですよ。区域外の人が権利者なんですね。区域内であればいろいろな権利はそのまま維持されるわけでしょう。区域外の人のそういう権利はどういうふうに扱ったらいいのか。区域外の人にとっては減歩もくそもないのですよ。何のメリットもないのです。そういう場合、何か方法はないかというのは非常な悩みでございましたが、何かありますか。
  34. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 墓地を持っておられる方には何がしかの借地権あるいはそれに類するような権利があるかと思います。そういったような権利は、区画整理事業を行いましても換地計画の中で取り込まれるはずでございますので、工夫をすれば、工夫をするというのはいろいろな方法があるかと思いますが、周辺の御理解がいただけるような方法が見出せるのではないかと思いますが、具体の事案についてちょっと私もわかりませんので、勉強させていただきたいと思います。
  35. 前川旦

    前川委員 これは宿題にしておきますから、こういう細かいことで非常にいろいろ悩みがあるのです。宿題にしておきますから、一遍よく考えてみていただきたいと思います。  さて、そこでも同じこと、第三次都市公園等整備五カ年計画、この進捗率が非常に悪い。これは五十六年から始まってことしは二カ年目です。この第二カ年目の五十七年度の進捗率が二八・七%。これも五カ年計画とてもできませんね。やはりさっきと同じ悩みになりますね。これもどうされますか。やはりさっきと同じですか、何とか努力しますということしか言えないということでしょうか。
  36. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 公園の計画につきましてもいま二年目になるわけでございますが、累計で約三〇%という進捗率でございます。これにつきましても現状の数字で申し上げますと、五十六年度を前提といたしまして五カ年計画を達成するための残伸率といいますか、これが二九・七%という非常に高い数字になりますので、このまま完全に達成するということについては相当な困難を伴うわけでございますが、最大限の努力をして予算の獲得に努めるということしか申し上げようがないわけでございます。
  37. 前川旦

    前川委員 それじゃ今度は、もう一カ所見てきました。これは太田第一という区画整理地域です。これは四十五年から五十八年。ここは実を言うと、市長が来ると半鐘を鳴らして竹やりで武装して大騒ぎ、区画整理に猛反対になった地域なんです。そのために五年おくれましたけれども、市長が乗り込んでいきまして、ひざ詰め談判で何回も何回も地域の住民と話し合って、やっといま着工になって進んでいるところなんです。ところが、私はそれを悪いと言っているのじゃないのですけれども、何回も市長が乗り込んでいって交捗する過程でだんだん条件が上乗せされていくわけです。たとえば、当初は減歩率が二〇%の市の計画です。これが話し合いの中で一八%になっていった。それから当初は道路は全部舗装する計画はなかった。ところが細い道路を全部完全に舗装するということになってしまった。水道も全部やる。下水もやる。これは市が単独事業費をぶち込んだわけですね。そうしないと納得がしてもらえない。単独事業費をぶち込まなければいけないというのは、補助の出ないことをいっぱいやらざるを得なくなってきた。たとえば農業をやっておる人に国が認めている以上の休業補償を市がやれ、やります、話し合いの結果ですが、これは言わざるを得ません。私が市長だってだんだんそういうふうに下がってきますね。それから水道管の新規布設、それから汚水処理の三百ミリ以下の管というのは補助対象にならないのだそうですね。私はよく知りませんが。そういうもの全部市が単独でやる。至れり尽くせりでだんだんだんだんよくなっていく。それはそれでいいのですが、批判としては、この地域だけをどうしてこんなによくしなければいけないのだ、市全体の、ほかの地域と比べて均衡を失するではないかという批判が可能だと思うのです。しかも、市は大変な持ち出しにならざるを得ない。これに対する対応は何か考えられないか。あるいは、さっき言うのをもう一つつけ加えますが、休業補償のほかに、たとえばたんぼのあぜ道を全部コンクリートでやってくれ。コンクリートでやりますと、一メートル大体五千円から七千円かかります。こんなのは全然補助対象になりません。この条件をのまないとオーケーしてもらえない。市の持ち出しが非常にふえていって、しかも一部が非常に手厚くなってくる。これから各地でこういうことは起こってくると思うのです。  これは発想法なんですけれども、たとえば区画整理——都市計画そのものが百年、二百年の大事業であると考えたらそれはそれでいいと思うのです。しかし十年、二十年、三十年、短期で考えれば、どうしてここだけが手厚くなって、均衡を失するではないかという批判が出てくるだろうと思うのです。その辺は都市計画に対する哲学の問題かもしれませんけれども、それにしても市町村の負担が大きくなり過ぎている。ここをどう対処されますか。何か手を打たないと市町村の負担が非常に大きくなるばかりで、それが阻害要因にならないとも限らないと思いますが、その辺どうお考えですか。
  38. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 一般的に申し上げまして、公共団体施行地区は組合等の施行地区に比べまして、市街化が進展しているところで事業実施されるわけでございますが、このような地区では建築物の移転等が多いために施行単価が高いとか、宅地価格の増進が新市街地に比べて低いということで、保留地による財源確保が困難な場合が多いわけでございます。しかも、小規模の宅地が多い等の問題がございます。さらに、おっしゃいますような区域内の住民の御要望もございますので、それにどのように対処していくかということで、かなり単独費の持ち出しも多くなろうかと思います。やはり事業実施する場合に、公共団体の側といたしましても、周辺で類似の事業を行っているわけでございますから、類似の事業に比べて異常に持ち出しが多くなるようなことは極力避けるような努力が必要かと思いますが、ただ私どもといたしましても、当然その負担しなければいけない金につきまして助成する必要があるという場合には、その助成の拡充ということに努力してまいりたいと思います。
  39. 前川旦

    前川委員 何か努力してまいりたい努力してまいりたいというお返事ばかりでどうも釈然といたしませんけれども、そういういろいろな矛盾点があるということを、現実をよく注視していただいて的確な対策考えていただきたいということを私は強く要望しておきます。そしてこれは宿題にしておきたいというふうに思います。  それから県の方へ聞いてみましたら、担当者に聞いてみると、区画整理ができるとみんなああよかった、こう言うのですね。ところが最初に説明するのにもう四苦八苦する。市長さん、町長さんでも知らない人がたくさんいる。議長さん、もちろん知らない人がたくさんいる。市町村の職員でも知らない人がたくさんいる。そのPRにまず非常に困るんだという悩みを伺いました。イロハのイから説得することが必要だと思うのですよ。ところが、こういうことを言うと担当者がかわいそうかもしれませんけれども、こういう「区画整理」といって、言っちゃ悪いけど余りできがよくありませんね。こんなパンフで区画整理の必要性がよくわかるのでしょうかね。似たような仕事をしているこの土地改良の方のパンフレットは非常に細かくやっていますが、こんな簡単なもので、私はこれはPRとして不十分だと思います。  それからスライドなんかもあるそうですけれども、現地の人に聞きますと、中央が貸してくれる、これは土地区画整理協会かどこかでつくっているのじゃないかと思いますけれども、非常に抽象的で説得力がない、したがって本当は地方地方で、自治体自治体で実例を挙げてのスライドのようなものをつくるのが一番説得力があるんだ、そういうのをつくるのにちゃんと補助金みたいなのをつけてくれるだろうか、それがあれば本当に説得力のある具体的なものをつくりたいのだがという意見がありました。この点どうでしょうか。
  40. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 区画整理事業一般について申し上げますと、国から補助金が出ている場合と貸付金だけの場合といろいろございますが、補助事業につきましては、現在周辺住民の御理解あるいは積極的な御協力を得るということが大変重要でございますので、準備中あるいは事業化後においてパンフレットや模型の作成あるいは説明会の開催等、積極的なPR活動を行うように指導しておりますし、こういった事柄につきましては補助対象としているわけでございます。
  41. 前川旦

    前川委員 それでは、PRに適切なものをつくっていただきたいという現地の要望が非常に強くありますので、十分ないまのような御配慮をいただきたいと思います。  次に、税金の問題でちょっと伺いますが、区画整理をしまして換地をしますと自分の住む場所がかわりますね。その場合に、昔僕ら子供のときによくころでよいしょよいしょと家を引っ張っていくのを見ましたが、このごろああいうのを見ませんね。大抵の人が土地がかわりましたら建てかえるだろうと思うのですよ。建てかえれば不動産取得税、これは地方税ですけれども、かかってきますね。私は、地方自治体などがやるのは強制力のある区画整理なので、それで家を建てかえるというのは自然の姿だろうと思うのですが、それに一々不動産取得税がかかってきて減税がないというのはちょっと酷じゃないかというふうに思います。これは税金の問題ですから皆さんの守備範囲外かもしれませんけれども、ちょっと御意見を伺っておきたいと思います。
  42. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 土地区画整理事業におきましては、従前の土地の上にあった家を換地上にそのまま移転することが原則であるわけでございますが、おっしゃるように実際にはそれを機会に家を建てかえるという例が多いわけでございます。このような場合には、現在の税法上は当然に不動産取得税の課税の対象となっているわけでございます。確かに事業の性質上、従来の建物にかえて新しい建物を取得したというような場合は、取得が土地区画整理事業によりいわば半ば強制的に行われるということでございますので、御質問の御趣旨は私どもも十分理解できるわけでございます。今後ともそういう観点から税務担当部局とも協議しまして、妥当な取り扱いにしていただけるよう、税制改正の要望等でがんばってまいりたいと思います。
  43. 前川旦

    前川委員 それから区画整理の区域内で公共団体に土地等を売った場合に基礎控除制度がありますね。二千万の基礎控除と三千万の基礎控除、これは個人にも法人にもあると思いますが、あるいは清算金には三千万円の基礎控除があります。減価補償金の先買いにも三千万円の控除があります。この控除の枠を拡大してほしいという要望があります。この点についてはいかがでしょうか。
  44. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 減価補償金が交付されることとなる土地区画整理事業施行地区内の土地等を、公共施設の用地としまして譲渡した場合あるいは地方公共団体、住宅・都市整備公団等が土地区画整理事業として行う公共施設の整備改善あるいは宅地供給、造成のために土地等を譲渡した場合においては、それぞれ三千万円または二千万円の特別控除が認められているわけでございます。これは昭和五十年に改められて以来現在まで据え置かれたままでございます。そういった関係で、その後の地価等の上昇を考えますと、相当の引き上げが必要であるというふうに考えておるわけでございまして、こういった見地から引き続き適正な引き上げについて要望していきたい、そういう努力を続けたいと思っております。
  45. 前川旦

    前川委員 これはことしの予算要求で、二千万円の控除については三千五百万円にしてほしい、三千万円の控除については五千万円にしてほしいという要望を出されて大蔵省に断られたという話を聞いていますが、これはもっと努力をしてもらいたい。これは現地の人の非常に強い要望です。お願いをしておきます。  それから、じゃちょっと時間がないから税金のことははしょりましょう。  それじゃ法案そのもの、中身についてお伺いしていきますが、今度区画整理事業施行者地方住宅供給公社を加えることにした理由、現実的な話なぜこれを加えたのか御説明いただきたいし、むしろこれは遅きに失したのではないかという気もいたしますので、その辺を御説明いただきたいと思います。
  46. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 今後とも居住環境の改善、持ち家志向の高まり等による新規あるいは住みかえ住宅の需要が根強い、こういう傾向が続くものと考えられますが、既成市街地の再開発あるいは高度利用等によります住宅宅地供給とあわせまして、新市街地で新しい宅地を造成し、住宅供給推進する必要があるわけでございます。このような観点から、地方住宅供給公社地方における宅地供給実施機関の一つとして重要な役割りを現在果たしているわけでございますが、近年の宅地供給の停滞に対処して、事業を一層充実し推進する必要があるわけでございます。こういった理由で土地区画整理事業の施行機能を地方住宅供給公社にも与えまして、良好な宅地供給を強力に進めることとしたわけでございます。  従来、地方公社は宅地供給の直接的な手法である全面買収方式で住宅宅地供給を行い、使命を果たしてきたところでございますが、近年相当規模のまとまった土地の取得が必ずしも容易でなくなってきたことによりまして、同公社によります今後の円滑な宅地供給がむずかしくなってくることが懸念されているわけでございます。したがいまして、御指摘のようにやや遅きに失する感はございますが、今回地方公社を土地区画整理事業施行者に加えることといたしまして、公社所有地と公社以外のものの所有地とを一体的に開発整備する手法、こういった手法を新たに与えることによりまして、地方公社によります宅地供給をより強力に推進することとしたわけでございます。
  47. 前川旦

    前川委員 これによって宅地供給の増加が具体的にどのように見込めますか。これは計画局ですか。
  48. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 ただいま都市局長から御答弁申し上げましたように、最近では相当規模のまとまった土地につきまして、全面買収で土地を取得するということが困難になってきているという事情があるわけでございますが、こういった場合に自分の取得した土地と、それに関連して必要な範囲の土地をまとめた区画整理方式で施行することによって、その土地を取得する段階にあるいは土地を取得してからというようなところで、宅地開発についていろいろ困難に直面しているものが改善される面が相当考えられるわけでございます。そういった意味で、公社はこういった区画整理方式についてかねてから要望していたわけでございますが、こうしたことが導入されることによって、確実に事業の施行にプラスになるというふうに考えられるわけでございます。  私ども地方住宅供給公社の団体でございます連合会というのがございますが、そこを通じまして、大体どういうことであろうかということでいま深く聞いているところでございます。けれども、もちろん公社自体区画整理施行をする技術的能力等を現在欠いておりますので、準備し陣容を整えていくというような期間が必要でございますが、区画整理方式を用いることによって、当面宅地造成に寄与し得るというふうにいま私どもが伺っておりますのは、概数でございますが、全国で四十地区、千二百ヘクタールぐらいに上るようなものがそういう対象地として候補に挙がっておりますので、こういったものを鋭意進めていくことにいたしたいと思っております。
  49. 前川旦

    前川委員 地方の住宅供給公社が区画整理をやれるということになりますね。それから住宅・都市整備公団、これもやれますね。同じ県内で住宅・都市整備公団も区画整理がやれる、地方住宅供給公社区画整理がやれる、こうなりますね。ところがこの二つの間にパイプが通じているのでしょうかどうでしょうか。これは住宅局でしょうか。この二つの間に組織的、有機的に横のパイプがつながっているようには思えない。これは同じ建設省でしょう。これはパイプがつながるようになっているのですかどうなんですか。
  50. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 おっしゃいますとおり、都市計画というのは一つの町の中で都市を整備していくわけでございますので、事業をやる場合に同じものについてだれがやるかというような問題は、たとえば道路のように管理主体がはっきりしているものは別でございますけれども、こういった面的開発を行うものについては常につきまとう問題でございます。大体私どもは、これは主として県の段階あるいは市町村の段階、こういったようなところと調整いたしまして、一つのたとえば公共団体の内部における閉鎖的なといいますか、一つの地元対策的なものであるとすれば公社に、あるいはもうちょっと広い意味で、都市圏的な意味での開発ということでございますと公団にというようなことで、それぞれ主として県というパイプ、調整機能、それと私どもも関与いたしまして一つ一つ調整していくということは可能でございますので、比較的末端におきましてはパイプというのはわりあいとよく、中央で思っているよりももっとよく通じている面もございますので、今後とも円滑に進めていくようにわれわれも努力してまいりたいと思います。
  51. 前川旦

    前川委員 住宅は、いま建設省関係の住宅・都市整備公団の建てる建物、地方住宅供給公社の建てる建物、そのほかに公務員住宅、これは大蔵省ですか、地方公務員住宅、これは各都道府県でしょうか、そのほか三公社の住宅、厚生年金の還元融資を使う住宅、雇用促進事業団の住宅、これは厚生省、労働省、その上に県営住宅、市営住宅、みんなてんでんばらばらに建てているのじゃありませんか。たとえば毎年年度初めに関係者が集まって、ことしはたとえば香川県なら香川県でどこでどう建てようとか、横の省庁の連絡はとれていますか。私はとれているように思わない。みんなばらばらに、てんで勝手にやっているように思いますが、それはやはり建設省がちゃんとまとめなければいけないのではないですか。どうですか。
  52. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 いまお話がありました一般的な公的な資金によります住宅の建設につきましては、私どもの方で策定いたしております住宅建設五カ年計画の中にあらかじめ計画として取り入れまして調整を行っております。また、各年度におきましても関係の深いものにつきましては、関係省庁との間で協議をさせていただいて、年次計画を立てるようにいたしてはおります。しかしながら、公的資金住宅全般につきまして、御指摘のように必ずしも十分にいっているとは思えません。まだまだ私どもといたしましては計画の策定段階あるいは各地域におきますところの需給の動向を反映した実施、そういったものにつきましては本省段階あるいはまた各公共団体の段階等におきまして、より一層連携を密にする必要があると考えております。
  53. 前川旦

    前川委員 私は実例を一つ指摘をしておきます。  これは私の周辺の話ですが、高松市に屋島という有名なところがあります。そのふもとの塩田を土地区画整理をした。これは組合でやりました。そして住宅地にいたしました。大変環境のいいところです。そこで香川県の住宅公社は一戸建ての分譲住宅をつくりました。この土地は一戸建ての分譲住宅の適地だと判断をしたのです。これはすぐ、あっという間に売れました。県は同じところに、これは一戸建てではありませんが、県営住宅の賃貸のアパートを建てました。高層住宅の賃貸です。これもあっという間に全部ふさがりました。それからその横に住宅公団が都会から田舎まで出てきて、屋島第一団地というのをつくりました。ここに宣伝文書があります。この住宅公団の屋島第一団地は高層の分譲住宅です。一戸建てではありません。しかも五階ですからエレベーターはありません。いま五階までエレベーターなしで認めるのですか、五階ですからエレベーターはありません。五十一年にできまして、これは二百戸つくりましたけれども、売れません。売れ残ってしまって、仕方がないから途中で二百戸のうち百四十戸を賃貸住宅に切りかえました。賃貸住宅に切りかえたらほとんど全部満杯になりました。残り六十戸はいまだに分譲住宅でがんばっています。それで見ると、分譲住宅のうち三DKの三十戸は現在十四戸は売れたけれども、依然として十六戸はあいています。入りません。三LDKの方はかなり売れて、三十戸のうち二十五戸は売れたけれども、五つあいている。五階全部あいています。入りませんね。これはすぐ隣に小学校が建ちます。それから保育所もあります。幼稚園も二カ所あります。近くに大きな総合病院があります。スーパーもあれば銀行もあります。都市ガスが通っておりますし、交通の便も非常によろしい。大変住宅に適したところなんです。したがって県の住宅公社に言わせたら、もし相談があったら、私たちだったら一戸建ての分譲住宅を勧めておりました。全然横の連絡がなくて勝手にこういうことをしたから人が入らないのです。私は実際に行ってみました。非常に環境のいいところです。この売れ残っている高層住宅の隣には民間の労住協が同じように一戸建ての分譲住宅をつくった。隣ですよ。住宅公団の分譲の三LDKの価格は六十六・六三平米、千二百四十八万円です。すぐ隣の労住協、民間の一戸建て住宅は、敷地が百十二・二平米、建て坪が七十九・二平米、かなり大きいのですよ。一戸建て、土地はありますよ。それで千五百万円。あなたどっちを買いますか。あたりまえでしょう。土地つきでしかも家も坪数が広くて千五百万円。一方は五階までエレベーターなしで千二百四十八万円。だれが見たって一戸建ての分譲住宅の適地だとわかっている。相談があればこんなばかなことはさせなかったですよと言って切歯扼腕しているのが地方の住宅公社の人の考え方。ですから、こんなばらばらなことはしないで、これは両方とも建設省の管轄ですから、せめてこのチャンスに、地方住宅供給公社施行者になった機会に、せめて横の連絡をきちっとして、意見交換をしてむだのないように私はやるべきだと思いますが、この実例から言っていかがですか。
  54. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 御指摘のとおりでございまして、第一には、住宅・都市整備公団が昨年の暮れに会計検査院から特記事項として挙げられました未入居住宅が相当数存在することにつきまして、原因等を分析をいたしましてその対策を私ども指示をいたしておりますが、その原因の一つ考えられます中には、その地域におきます住宅の需給動向というものを見定めて、その地域にふさわしい住宅供給考えるべきであるという点があろうかと思います。そういった点につきましては、現在早急に対策を立てるように、具体的な地域ごとに検討を進めております。  第二点は、そういったような住宅建設あるいは住宅団地の建設に当たりましては、関係の公共団体と協議をして実施しているところでありますが、具体的な、相当詳細な調整というものが必ずしも十分でなかったと思われます。そういった点につきましても、今後関係事業主体同士でより綿密な調整及び協力をするように指導してまいりたいと考えております。
  55. 前川旦

    前川委員 私は、済んだことですから非難するつもりはありませんが、これからのこととしてどうかこういうむだ遣いがないように最大の努力をしていただきたい。これは地域住民の目の前で現実に見えることですから、何やってるんだという批判が出ないようにお願いをしておきます。  大分時間がたちましたので、引き続きまして法案の内容を、今度新しくできる、区画整理士という言葉を建設省の皆さんお使いになりますが、この制度について伺います。  こういう検定試験をすることがいまなぜ必要になったのか、なぜいまこれを入れようとしているのか、その理由についてまずお伺いをいたします。
  56. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 市街地におきます都市基盤施設整備の立ちおくれあるいは昨今の住宅地供給の停滞等の状況に対処するため、今後とも土地区画整理事業を積極的に進めていく必要があるわけでございます。しかしながら、土地区画整理事業減歩換地という複雑な権利の調整手法をとっておりまして、近年換地計画に係る権利者間の調整に手間取って年々施行期間が長期化し、その結果事業費の増大とか事業運営の困難化を招く傾向がございます。  そこで、事業の一層円滑な施行を図るためには、特に換地計画に関する専門的技術者を養成し、確保することが必要だというふうに考えております。このため今回の改正によりまして、建設大臣土地区画整理事業に関する専門的知識の維持向上に努めるものといたしまして、また、換地計画に関する専門的技術を有する者の養成確保を図るため、必要な技術検定を行うことができることとしたわけであります。この改正で換地計画に関する専門的技術者の養成が図られることによりまして、私どもとしては三つほどの効用があるかと考えております。  その一つは紛争の未然防止、事業の円滑化による施行期間の短縮、事業費の節減でございます。  その二つは、組合事業等民間エネルギーによる土地区画整理事業推進等の効果が期待され、土地区画整理事業による市街地整備が一層推進されるということでございます。  三つ目は、組合事業等の指導助言を行っている地方公共団体の負担が軽減されるというメリットがあろうかと考えておるわけでございます。
  57. 前川旦

    前川委員 細かいことを伺いますから、簡潔にお答えいただきたいと思いますが、まずこの試験はだれがするのですか。建設省が直轄でやるのですか、それともほかの外郭団体、たとえば土地区画整理協会とか土地区画整理組合連合会とかいろいろありますね、こういうような団体に委嘱するのか、直轄でやるのですか、まずその一点。
  58. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 私どもといたしましては団体に委嘱することは考えておりません。
  59. 前川旦

    前川委員 「建設省は当初、区画整理センターを創設し、あっせんなどの業務をしてもらう考えでいたが、結局、社団法人・日本土地区画整理協会と社団法人・全国土地区画整理組合連合会に業務委託することになった。」という記事が、これは新聞ではありませんけれども、こういうのが載っておるのがありますが、それじゃそういうことではなくて、区画整理センターを創設したり、いまのような日本土地区画整理協会とか全国土地区画整理組合連合会とかに委嘱するのじゃなくて、建設省の直轄の試験をやるということですか。
  60. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 そのように考えております。
  61. 前川旦

    前川委員 それから、この試験は毎年定員を決めて合格者を決めるのですか。それとも一定の実力がある者は全部合格させるのですか。まずこの点が一つですね。  もう一つは、受験の資格はどう考えているのか。だれでも受験できるのか、公務員も受験できるのか。普通の素人でも受けられるのか、あるいは経験年数を前提にするのか。というのは、これと似た制度土地改良換地士というのがありますが、これは経験三年以上というのが条件になっているようですが、その点はいかがですか。
  62. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 まず第一点の定員を決めるか能力試験かということでございますが、これは人数の枠を決めずに、一定の水準以上の者は全部合格とするということを考えております。  それから試験の受験資格でございますが、これは学歴と土地区画整理事業に関する実務経験年数、こういったものの相関関係で、たとえば新制大学卒業の者であれば実務経験三年とか、短大の場合には実務経験五年とか、そういうようなことで受験資格を考えたいと思っております。そういうことでございますので、公務員でも受験することは可能であるというふうに考えております。
  63. 前川旦

    前川委員 試験の内容ですけれども、具体的な試験問題のことを聞いているんじゃないのですが、たとえば土地改良換地士の場合は、現地で伺いますと、実務試験であって実技試験ではない。実務試験と実技試験との区別は私もちょっとよくわかりませんが、したがって事務屋でも机の上で本を読めば合格するんですよという話を聞いたことがあるのです。土地改良換地士の場合は実務試験です、実技試験ではありません。今度の場合は本を読めばわかるような実務試験になるのですか、それとも実技試験を入れるのですか。
  64. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 試験の中身は、学科試験の場合にはたとえば土地区画整理事業事業計画、資金計画事業運営等に関する知識とか、土地の評価に関する知識とか、区画整理法、都市計画法、建築基準法等の関係法令に関する知識というのを学科試験で考えております。それから実地試験では換地計画の実務に関する論文、換地設計等の実技、それから実務経験の有無を考えておりまして、実務経験を何年かされておれば、ある程度勉強することにより当然受験し得るものと考えております。
  65. 前川旦

    前川委員 何かよくわかりませんが、時間がありませんので、次へ参りましょう。  これと類似の制度土地改良換地士というのがありますね。ところで、区画整理法というのはもともとが耕地整理法が母体ですね。耕地整理法から土地改良法と区画整理法に分かれたというふうに聞いております。そうなりますと、土地改良法が区画整理法にとっては兄貴分になるのでしょうが、この土地改良法の中に土地改良換地士の制度がある。今回は、建設省も、まねというと言葉は正しくないかもしれませんね、これを見習っていくんだというふうに基本的に考えておられるのかどうか、これは全然別個のものとして考えておられるのかどうか、基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  66. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 土地改良換地士の場合には、たとえば土地改良事業を行う場合に土地改良換地士の意見を聞かなければいかぬというような義務規定がございますし、私どもといたしましては全然別個に、区画整理事業を円滑に推進するという観点からそういう専門技術者を確保したい、養成したいという観点からの技能検定を考えておるわけでございまして、全然別個のものと御理解いただきたいと思います。
  67. 前川旦

    前川委員 それでは、土地改良法の第五十二条だったと思いますが、「政令で定める資格を有するものの意見をきかなければならない。」という条項がありまして、土地改良換地士には排他的、独占的な強制力を持たしておりますね。今度の建設省の新しい制度にはそういった独占的、排他的な強制力を持たす考えがあるのかどうか、これは一番大事な点でありますので、伺います。
  68. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 本技術検定の合格者は、専門的知識と高度な応用能力を生かして適正な換地業務の円滑な遂行と、換地をめぐるトラブルの未然防止のほかに、新規地区の掘り起こし、事業化後の事業運営、事業指導を行う専門家として活躍することを期待しておるわけでございまして、おっしゃいますような排他的、独占的な権能を付与するということについては全く考えておりません。
  69. 前川旦

    前川委員 それは法的に強制力を持たすということを考えていないのかどうか。法的には持たさないでも、行政指導で持たすということにするのではないか、そういう行政指導も法的も一切含めて排他的な、独占的なものを持たすものでないとお答えいただけますか。
  70. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 そのように考えております。
  71. 前川旦

    前川委員 それでは名称ですが、土地区画整理士という士がつきますね。この名称を使うのかどうか。この試験の名前は区画整理士検定試験とするというふうに伺っておりますけれども、政令か何かで士という言葉を使うのかどうか、これは事実だけちょっと伺っておきます。
  72. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 試験の名称に区画整理士の技術検定という名前が出るかもしれませんが、法律あるいは政令で区画整理士という称号を設けることは考えておりません。
  73. 前川旦

    前川委員 それではこの土地区画整理士の仮に認定を受けた人はどういう部分の仕事をするのですか。たとえば土地区画整理には——いま皆さんの持っているパンフレットをごらんいただきたい。この七ページに「事業の進め方」としていろいろなことが書いてありますね。どの部分を担当するのですか。たとえば「換地の設計」、「仮換地の指定」、「建物等の移転、道路等の工事」、「町界・町名・地番の変更、整理」、「換地処分」、「土地・建物の登記」、いろいろありますね。どの部分を今度の資格のある人が仕事としてやりますか。
  74. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 法律的には合格者の権限を何ら規定しないわけでございますが、合格者は換地計画に関し資質の高い専門的技術を有する者でございますから、専門的知識と高度の応用能力を生かしまして、換地業務を中心として土地区画整理業務の円滑な施行といったことに活躍することを期待しているわけでございます。
  75. 前川旦

    前川委員 ちょっと漠然としてわかりませんが、いま私は「換地の設計」とか「仮換地の指定」とか「土地・建物の登記」までいろいろ申し上げましたが、時間がだんだんなくなってきますのでもうちょっと申し上げますと、たとえば測量士とか不動産鑑定士とか司法書士とか、いろいろありますね、そういう人々の分野を侵していくのでしょうか。たとえば登記なんかも全部やるのでしょうか。測量や不動産の鑑定なんかもこの人たちが全部やられるのでしょうか。既成の人の範囲を侵していくということになるのでしょうか、どうでしょうか。ですからどの部分をするのですかと聞いているのです。
  76. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 お手元のパンフレットで言いますと、恐らく五から七ぐらいの業務が中心になると思います。登記等の業務あるいは不動産の鑑定というようなことはできないと考えております。
  77. 前川旦

    前川委員 登記業務はやらないといまおっしゃったのですか。——やりませんね——そうですか。  そこで、独占的、排他的にはしないとおっしゃいましたけれども現実の運営として私はやはりそうなるだろうと思うのです。というのは、県には換地設計まできちっとやれるだけの人が配置されているところはほとんどないでしょう。県ではないでしょう。それから小さい市町村もないでしょう、市町村の職員では。ですからその場合には、こういうことをやりたいと県の方へ市町村が相談に来る、あるいは区画整理組合が相談に行く。そうすると、その資格を持っている人はどこに配置されるのでしょうか。公務員になる人もいるでしょうけれども、コンサルタントに配置されるのでしょうね、常識的に言うと。そうすると県の行政指導としては、県には換地設計なんかやれる人はいないからコンサルタントに行きなさい、自然にこういう指導になるだろうと思うのですよ。それから、たとえば県庁所在地のような大きな市は換地設計のできるような技術者を持っております。持っているけれども、その市の悩みは何かというと、これは非常に高度な技術が必要なのですよ。ですから、一度区画整理課という課へ配置してこういう事業をやらせ出したらもう配置転換できないのです。しかも、一回の事業は十年ぐらい長いでしょう。ですから一度そこに配置されてこの専門をやり出したら、自分は出世したくてもよそに行けない、動かせない、そうなる。人事行政上まずいですね。ですからたとえ大きな市でそういう能力を持った職員を抱えていても、その職員は配置転換自由にさして、自分の市のやる区画整理換地設計はコンサルタントに任すということに実際はなるだろうと思うのです。現にあなた方は、最初に私のところに説明に来た文書の中にははっきりこう書いてありますよ。「公共団体の組合に対する指導助言に係る負担が軽減され、組合等の指導にたずさわる職員数を増加することなくより広い市街地整備ができることとなり、さらには職員の削減も可能となる。」こういうふうに書いてありましたが、これは本音でしょう。つまり地方自治体でそんな職員を抱えておったのでは大変でしょう。動かせない。ですから、そういう資格を持った人をつくってコンサルタントかどこか配置して、そちらへ外注しなさい、それが行政整理にもなりますよというのが隠された、最初のときにおっしゃらなかった、最初三つおっしゃったその中には入っていなかったけれども、私はそれが皆さんの本音だろうと思うし、実を言うと、地方自治体も実際問題としてそれは歓迎するかもしれません。  しかし、そのことは現実の問題として非常に排他的な権限を持たすことになります。結局、コンサルタントのところへ行って区画整理士なるものに相談しなければ区画整理をやれないということになります。いままでは法律で、これは法の七十五条ですか、区画整理をやる場合、公共団体等に技術的援助を請求できる。つまり、市や町や県の職員なり公団なりの職員に援助を求めることができる。ここで指導していた。これが、さあ後はコンサルタントに行きなさい、こうなる。すると七十五条は無意味になります。法百二十三条は、今度は逆に市町村、県、公団、事業団なんかが必要な勧告、助言、援助ができる、これも死文になりそうですね。結局全部コンサルタントに持っていく。実を言うと、それだけ負担がふえるということになりませんか。土地区画整理組合あるいは個人でも、あるいはだれが施行するにしても、自分のところでやるのからコンサルタントへずっと回すことによって、結局その分だけ負担がふえる。しかも実質は排他的、独占的になる、こういう弊害が出てきませんか。それが一番心配なんですが、その点いかがですか。
  78. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 御懸念のような方向でなくて、地方公共団体の区画整理担当職員もおっしゃるような傾向がございますから、余りなり手がない向きもあるわけです。そこで、こういう検定試験ができますとむしろ励みになりまして、地方公共団体の職員の中から技術検定を受ける者も相当出てくるかと思います。そういう場合、地方公共団体自体に技術能力が高い水準で維持される結果となるというふうに考えられますので、そういう意味から地方公共団体の技術的な指導とか援助とかいう面が非常にうまくいく方向に行くように、私どもとしても十分注意して運用してまいりたいと思います。
  79. 前川旦

    前川委員 私は疑問だと思いますが、時間がもうなくなりましたので、これはこれから先の宿題にしておきたいと思います。  最後に、大臣に一問だけ伺っておきたいと思いますが、最近の人口の動きを見てみますと、都市人口の爆発的な増加の時代から、今度は巨大都市の人口増加率に停滞傾向が出てきている。そして都市人口三十万程度の地方都市が人口の増加傾向を示しているように最近の統計が出ています。特に実例を挙げてみると、いわゆる三大都市圏の人口の上昇率、増加率がずっと落ちてきている。逆に地方の、札幌、広島、福岡、仙台、岡山、鹿児島、新潟、松山とかいった地方の都市の増加率が高くなっていっている。つまり、日本全体が都市化していっているというふうに見ていいんじゃないだろうか。いままでの都市計画、都市政策というものがえてして三大都市、大都市中心に偏ってきた。それもやむを得ないことがあったでしょう、いままで爆発的な集中がありましたからね。これからの傾向として、大都市をほっておけと言うんじゃありませんが、地方都市をもっと大事にするように大きな転換をすべき時期ではないかというふうに私は思いますが、大臣も同じように考えていらっしゃるかどうか、その方向へ向けていっていただけるものかどうか、そのことを最後にお伺いして終わりたいと思います。
  80. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えをいたします。  二十一世紀初頭には、国民の七割以上が都市に住むと予測されておるのでございます。これは都市計画中央審議会の推計でございますが、その場合に都市の中で、三大都市というようなところの人口増加率あるいは居住地の動向は伸び率がだんだん減っておる。いま御指摘のような地方都市の方が都市化が急速に進むであろう、これは統計上の推測からもはっきりしておるようでございます。  私どもは高度成長時代における大都市の轍を踏まないためには、小都市を先行的にいま整備する必要があるだろうということでございますから、今後は地方都市、地方中堅都市を中心に都市政策を進めていくという点につきましては、御意見と全く同意見を持っております。大都市につきましても、居住環境の改善とか防災性の向上というようなことに今後も力を注いでまいらなければならない点がございますけれども、傾向としては地方都市中心に対策を立ててまいりたい、かように考えております。
  81. 前川旦

    前川委員 終わります。
  82. 村田敬次郎

    ○村田委員長 これにて前川旦君の質疑は終了いたしました。  午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  83. 村田敬次郎

    ○村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村茂君。
  84. 中村茂

    ○中村(茂)委員 最初に松野国土庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、私は、長官は人格、識見ともに非常に尊敬してきたわけですけれども、四月十三日の夕刊を見たところが、いま公労協の賃上げの問題が大変問題になっていまして、十三日の閣議でそれをどうするか、こういうことが論議になったということが新聞に出ているわけでありますが、その基本賃金について国鉄は差をつけるべきだ、こういうふうに長官が御主張されたということが出ているわけであります。新聞だけではその本意がなかなかわかりません。長官の真意をお聞きいたしたいと思います。
  85. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 お答えいたします。  生活給の問題は、これは重要な問題でありますから、これについてとかく申し上げたつもりはありませんけれども、いわゆる優良企業と倒産寸前の企業とが同率に給与が扱われるということになりますと、これは一生懸命励んで努力しておる人たちにやる気を失わせる。国鉄の批判を申し上げるわけではありませんが、閣議で申し上げたことは、実は毎日のように新聞で出ておりますことをちょっと私簡単にメモしてきましたので、詳しくは説明を省略しますが、要するに酔っぱらって名古屋駅でブルートレインの事故を起こした。寝坊をやって運転に間に合わなかった。やみ給与、やみ手当。または勤務中に賭博をやって警察に検挙された。現場協議によるところのやみ協定、俗にこれは、われわれが聞いておるのは分会長がやみ駅長なんとまで言っております。組合発行の無料パスでアルバイトをやる。助役がもう数人自殺をするというようなことは、異常な職場だとしか私は考えていない。暴力をふるって免職になった職員が再雇用され、そして暴力をふるわれた人が村八分のような形でさびしく職場を去っていった。また、上野駅では女子高校生を誘拐して暴行をした。また、これは新聞でも写真が出ておりましたが、無料パスを使って担ぎ屋、いわゆる運び屋をやっておる。やみ休暇をやる。違法ストは続出する。こういうようなことや、また地方議員が休職なしで十二年勤めますと、年金も給与も国鉄の方と二重取りになる。それから、この場では名前は省略しますが、ある有力な人たちとの会合の席上で、私の家へタクシーの運転手が来るが、とにかく一昼夜勤めると二日休みだから、会社と予約しておいてタクシーの運転手をやっておる。また、庭師が来まして、その現場でいろいろと作業をやる中心の人は庭師だけれども、国鉄職員が多い。これは私の知っておるだけでもずいぶんありますが、しかも一日一種類の仕事しかしないという現場協定がある。こういうことで、私は人民管理といいますが、職場が非常に乱れておる。こういう職場でも、同じ三公社五現業でも一生懸命働いて成績を上げておるところでも、とにかく同じ給与、ボーナスも出すということは不公平じゃないか。これは慎重に扱ってもらいたいということを発言したのでありまして、決して生活を脅かすというような考え方で言ったのではないことを御了承いただきたいと思います。
  86. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私は、この席は閣議ですから、大臣は何を言うのも自由ですし、いいと思うのですけれども、しかし、ベースアップというのは基本給がどうなるかということが問題になっている閣議だというふうに思うのです。その数日前に年度末手当がどうなるかということについても問題になりました。これは御存じのように、期末手当という年度末手当は業績手当も含まれております。業績手当というのは、業績が上がる上がらないによって差をつけることができる制度になっているわけです。これは業務の成績や経営がうまくいっているかいっていないかということに当然関係してくる問題なんです。ところが、今回の場合には基本給です。そういう中で、いま言われたことを取り上げて当然差をつけるべきだ。これは、出ているいろいろなことについてお互いに直していこうという考え方は私はかわりないと思う。そういう問題が起きたらそれは厳重に処分し、直していく、そういう全体的なものを大臣は人民管理というふうに言われましたけれども、それも私は間違いだというふうに思うのです。人民管理というのは人民が管理するので、経営者も要らなければ何も要らないはずなんです。大臣という重職にある人が、そういうことだけで基本給、そういうものに差をつけるべきだ、そして、それは鈴木内閣の基本の姿勢にかかわる問題だというふうに取り上げている。そのけじめというか、そこのところが私は納得できないのです。しかも、いまは管理社会ですから、さまざまの問題が起きてまいります。しかし、管理社会というのはそれぞれの規定と筋道があるはずなんです。ですから、そういうけじめというものが一つあって、その中でいろいろされていくのが筋道である。それが国鉄の経営全体の問題を絡めて、そして基本給という問題が論議になった閣議でこのことが特に長官から発言になった、こういう新聞記事を見、いま真意をお聞きしたわけでありますけれども、国鉄のいろいろなことを、新聞を見てそこへ羅列したかどうか知りませんけれども、それを私は全部聞いて、それに反論するという意味で聞いたわけではありません。こういう席で何でこういう問題をそういう角度で取り上げているかというあなたの真意がわからないのです。ですから聞いたわけですけれども、もう一度その真意を、項目はいいのです。何で基本給までそんなことで差をつけなければいけないのか、その真意をお聞きしたい。
  87. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 民間企業といわゆる国鉄などとは違うというお考えもまたあるかと思いますが、やはり非常に成績のいい企業と非常に苦しい企業というのは同じように扱われていかないというのが、これはいずれの社会におきましても同じように考えられると思います。したがって、要するに血みどろになって努力をして成績を上げておるところも、こういうようなことがどんどんたるみの中に出ておるところも同じように扱うということになりますると、国民がどうもこれには納得しかねるというふうに私は考えておりましてそういう発言をしたのでありまして、生活を脅かすというようなことについては毛頭考えていないということをよくひとつ御理解いただきたいと思います。
  88. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これでやめますけれども大臣、そういう問題があったならこれは直していかなければいけないですよ。こういう問題は私も賛成です。そして、生産に支障が出てくる問題があれば、やはりその点も直していかなければいけないでしょう。しかし、先ほど言いましたように管理社会ですから、ベースアップが、そういう一つの問題が出たからそれが全部に適用される、賃金を上げる、いけない、下げる、いけないということにはなかなかならないのですよ。その人はその人なりに処分も受けているでしょう、まかり間違えばその規定に基づいて免職になっている人もあるでしょう。それで職場の規律というものを正していかなければいけないでしょう。しかし本俸を上げるか下げるかということは、国鉄の三十五万人の人たちが全部そうじゃないのですよ。ほんの氷山の一角みたいに出てきている問題なんですよ。そういうまじめに働き、一生懸命やっている人たちにまで規律できちっと賃金というものは決まっていくわけなんです。ですからその点のけじめというものを、これは国の権威ある閣議ですから、発言していいのいけないのということはないけれども、私は長官を人格的にも識見的にも尊敬している立場で申し上げているわけですから、御理解をいただきたいというふうに思うのです。  それは本題ではありませんから、一応御注意を申し上げておいて、次の本題に入っていきたいというふうに思います。  「国土行政の基本施策に関する国土庁長官の所信表明」、その三ページの、「また、最近の地価動向をみると上昇率は鈍化しておりますが、引き続き投機的土地取引の抑制を図りつつ、宅地供給の促進による地価の安定を図ることが重要であると考えております。このため、国土利用計画法の土地取引規制制度について法施行後七年の成果をふまえ一層の浸透と定着を図るとともに、市街化区域内農地宅地化の促進、我が国の土地住宅事情にそった長期安定的な税制の確立及びその活用等の対策を総合的に講じてまいりたいと考えております。」こういう所信表明をいただきました。特に土地問題を中心に長官の所信だというふうに思います。  そこで私は、いまの所信表明された点を四つに分けてお聞きしたいというふうに思うのです。  まず最初に、土地というものに対しての基本的な理念、考え方、これを長官からお聞きいたしたいと思います。
  89. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 お答えいたします。  土地は国民の生活と生産を通ずる共通の基盤であって、国民生活のすべてが土地と深いかかわりを有しております。特にわが国の国土面積は狭小であり、かつ土地利用が高密度となっているため、この限られたる国土の有効利用を図っていくことが最も重要な課題であります。  このような観点から、土地は私権の対象であることは言うまでもありませんが、その利用に当っては公共の福祉を優先させ、国民生活と地域社会の発展に役立っていかなければならないものと考えております。
  90. 中村茂

    ○中村(茂)委員 憲法から始まっていろいろな法律がありますが、その中で国土利用計画法の第二条というのが、利用的な立場からですけれども、国土というものについてある程度法的にきちっとさせている項目ではないかというふうに私は理解しているのです。いま長官が言われた考え方も大体それに沿っているというふうに思います。この第二条で言っているのは、国土の利用というのは現在及び将来、国民のための限られた資源であるから、生産活動においても生活の面においても共通の基盤になっている、したがって、公共福祉を優先させる、自然環境の保全を図る、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的な諸条件を配慮していくんだ、そして健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡的な発展を図るのを基本理念にするんだ、こういうふうに言っているわけであります。  そこで私は、問題にしたいと思いますのは、福祉、そのために土地というものについて規制し、または抑制していくということが行われなければ、土地の問題について、地価を安定させることもなかなかむずかしいし、それから均衡的な利用というものもなかなか図ることができないのではないか、こういう立場に立っているわけであります。そういう意味で、この基本的な考え方をお聞きして、二番目の問題に入ります。  先ほどの所信表明の冒頭にも、「最近の地価動向をみると上昇率は鈍化しており」、こういうふうに言っているわけですけれども、一月一日現在の公示を四月一日付で最近発表になったわけでありますけれども、それを含めて最近の地価動向について国土庁はどのように考えているか、明らかにしていただきたいと思います。
  91. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 四月一日に土地鑑定委員会が発表した地価公示によりますと、昨年一月一日から本年一月一日までの地価変動率は全国で七・四%の上昇となっており、昨年の地価公示の変動率九・六%及び一昨年の地価公示の変動率一〇%を下回っております。これを地域別に見ますと、三大圏の変動率七・三%が一昨年の一三・九%と昨年の一一・六%に比べて大幅に鈍化しており、三大圏の中でも東京圏の変動率六・八%が最低となっております。また、これを用途別に見ますと、すべての用途で変動率が鈍化している中で、三大圏、特に東京圏の住宅地の変動率が鈍化が著しくなっております。
  92. 中村茂

    ○中村(茂)委員 地価というものを上昇率だけで見るということは、私は過ちを犯すというふうに思うのです。地価の高いところは、わずかな上昇率でも金にすれば膨大な額の値上がりになるわけです。それから地価の低いところは、上昇率が相当高くても、お金にすれば大したことはないと言えば申しわけないけれども、他のところと比べて低い。ですから、上昇率だけで、鈍化してきたから地価が安定に向かっているのだぞ、こういう理解は私は偏った解釈じゃないか、こういうふうに思うのです。  いままでの上昇を調べてみますと、昭和三十年を一〇〇にして昭和五十年、これは二十年たっていますね。全国市街化宅地の価格の指数で三十年を一〇〇にして二十年たった後で見ますと、二九・六九倍です。六大都市圏の平均が三八・三六倍なんです。ですから、全国市街化区域のところの平均、これはしたがって六大都市は含まれているのですよ、そこの平均で見るわけですね。そして六大都市だけ抜き出してみると、その差というものが歴然としているわけですね。これをもう五年延ばして五十五年、三十年を一〇〇にして見ますと、この五年間で三九・七九倍になっている。六大都市圏は五八・四四倍なんです。ですからこの倍率だけで見ていっても、六大都市圏というものは非常に高くなっているわけですね。ですから、いまになって率が少しぐらい下がってきたといっても、これは上がるときに何倍という速度で上がっているわけですから、どんなに上昇率が鈍化してきたといっても、一般の消費者の立場に立ってみれば土地はさっぱり下がらない、安定しない、こういう感覚になるのは私は当然だというふうに思うのですね。  それでは、こういう状態を卸売物価で見ますと、二十五年目のものはないのですが、先ほどの五十年の、二十年たったところで見ますと、卸売物価は一・七九倍なんです。消費者物価指数は三・一七倍なんです。先ほど申し上げましたように、六大都市圏は三八・三六倍なんです。もうその倍率からいっても都市というのは話にならない。それでは、勤労者の可処分所得というのがあるのですけれども、いわゆる手取りの所得ですね。やはり三十年を一〇〇にして五十五年、二十五年たったところで見ると一一・八〇倍なんです。ところが、先ほど申し上げましたように六大都市圏宅地の価格指数は五八・四四倍、こういうことですから、倍率においてもこれだけ可処分所得から土地が上がってきているから、最近宅地が落ち込んでいるというふうに言っても、勤労者ではなかなか高い住宅になっているために手が届かないというのが数字的にも明らかになっているわけなんです。  ですから、このところで長官にもう一つお聞きしたいのは、どうも先ほどの所信表明を見ても、先ほどの説明を聞いても、特に東京などについては大幅に上昇率が鈍化した、こう言っているわけですよ。これは確かに数字上は前のと比べれば鈍化しているでしょう。しかし、地価安定という面から見ると、私はそれへすぐ結びつけるというのは、そういう結びつけ方をしてもらっては困る。やはり地価安定というのはもっともっと努力していくべきであるし、本当の意味の地価の安定というのは、それでは上昇率という面から見れば、消費者物価の上がるくらいになるのが本当に安定した上昇率になるのか。それとも卸売物価あたりが本当になるのか。それとも定期預金程度でとどまるのが本当なのか。物価の安定というものはそういう数字的に見た場合にどの程度というふうにお考えになっているのですか。
  93. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 先生御指摘のように、昭和三十年代と四十年代にわが国の地価は大変な勢いで上昇をいたしたわけでありまして、この当時地価そのものに対して国の介入、関与というのが全くと言っていいほどなかったということからこういう結果になっておりますが、言いわけではありませんが、昭和五十年代に入りましてから、三十年代、四十年代のような大変な上昇の勢いはとまってきたのではないかというふうに思っております。  ただ、地価公示で申し上げますと、五十五年地価公示、五十六年地価公示、これが全地目平均で二けた上昇という特異な事態になったわけでありますが、それに比べますとことしの地価公示は鈍化傾向が見えてきたということでございまして、一概に消費者物価あるいは卸売物価と比べるべきか、あるいは民間住宅ローン金利あるいは定期預金金利、そういったようなものを総合勘案しながら妥当な水準というものを決めていかなければいけないと思いますが、少なくとも国土庁も発足し、国土利用計画法ができましてからの地価公示で見ますと、たとえば今日までの五十年代の年平均上昇率は五、六%程度でありまして、そういうことからいきますと、われわれはもう一段、地価の安定に向かって努力を要するというふうに自覚をしているところでございます。
  94. 中村茂

    ○中村(茂)委員 ですから、確かに現象的にはそういう鈍化の傾向は上昇率で見ればありますけれども、地価の安定という面から見るとまだまだ数段の努力が必要だということを私は指摘したわけですから、その点を理解してください。  そこで、今度行われた中で、調査地点の入れかえというのが行われていますが、それはどういう趣旨で行ったのか、その結果いままでと違った現象が出たのか、その点についてお聞きします。
  95. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 公示価格を広範な土地取引の指標として一層活用をしていきますためには、実は現在一万七千地点ほどあります標準地、これを相当大幅に増設をしないときめの細かい取引の指標としては不十分であるというふうに認識をいたしておりますが、最近の財政事情のもとで、大幅な増設が困難になってきたというようなこともありまして、二、三年前から標準地として適当でないような事態になった地点につきまして、いろいろな方法でいわゆる選定がえといいますか、ある標準地をやめまして新しい標準地を設定するというようなことをやっておったわけでありますが、そういったようなことをいたします場合のルールをつくってやりませんと、いろいろと誤解を招くということで、実は昨年、土地鑑定委員会に地価公示制度委員会というものを設けまして、標準地の配分ルールあるいは選定がえをやる場合のルール、そういったようなルールづくりについて検討をお願いしておるわけでありますが、その中で、昨年の七月に中間報告というものがまとまりまして、それに基づいて従来の地域状況に変化が生じた場合、あるいは土地取引件数が相対的に多い地域、あるいは開発の進展の激しいところ、そういったところに標準地を重点的に配分をする、あるいは価格形成要因が複雑で近隣地域面積がわりと小さい、そういう中で、それぞれの近隣地域一つずつ標準地を配分できるほど数がないというようなところに、いまの標準地の枠内でこれを有効に使っていくということでありますとか、さらに従来の標準地というのはとかく中庸中庸ということで、価格あるいは利用状況の面からいいますと中ぐらいのところばかりに偏っていたわけでありまして、これが多様な土地取引の指標として必ずしも十分使われにくい面があるということで、最近では上位の標準地というようなものもかなり織り込んできているわけであります。いろいろと現地で鑑定をしていただく方々意見を聞きますと、大幅に古い標準地をやめて新しい標準地を設定したいという申し入れもあったわけでありますが、少なくとも四分の三は残さないと統計としての継続性が疑われるということで、それ以下に選定がえをとめるということにしていただいたわけでございます。
  96. 中村茂

    ○中村(茂)委員 一口に言えば実情に合わしたということなんですか。その結果出てきたものは上がったのですか、下がったのですか。
  97. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 実情と申しますよりは、たとえばある標準地につきまして利用状況が変わった、したがって、その当該地域の標準地としての代表性を欠くというような場合には、当然従来の標準地をやめて、別の新しい近隣地域の代表性を有するところに選定がえをするというようなものもございますし、それから従来の標準地、先ほど申し上げましたように、たとえば一本の道路が走っているところの真ん中辺を選ぶ、つまり角地で二つの面に道路が接したような条件のいい住宅地あるいは高級住宅地などは標準地としてはなるべく選定しないというようなことでやっておったわけでありまして、それで全取引の指標とするにはやや足りないのではないか。したがって、上位の価格あるいは中位の代表、下位の代表いろいろ取りまぜた標準地を設定すべきじゃないかということでやってきた関係がありまして、たとえば新しく入ってまいりました上位の標準地と申しますのは、従来そういう標準地はなかったものですから、それとアップ率という関係では比較がなかなかできにくいということでございまして、標準地の中身につきましていろいろなバラエティーを持たせる努力をいたしたということでございます。
  98. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私の言っていることとどうも合ってこないのですね。公示価格というのは日本の全体的な国土を点数をとってできるだけ多くやって、公示価格なら価格というものでこの地点はこうだということを実際の姿としてよくわかるようにする制度でしょう。いままでそういうふうになっていれば、やる点数のところを別に入れかえする必要はないわけだ。ところが、実情に合っていないからいろいろなところを直して、点数を四分の一入れかえた、こういうふうに理解していいかと聞いていると、細かいこといろいろ言うけれども、何で入れかえやったのか、こういうふうに言っているのです。総体的な言い方でいいんです。それと出てきた結果、前のものでやったのと今度入れかえてやったのと変わっているのか変わっていないのか、こういうふうに聞いている。
  99. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 従来の一万七千地点の標準地のほとんどはいわゆる中庸のところばかりでありまして、多様な取引の指標、たとえば利用状況が大変変わりつつあるところの地域の代表というのがないというようなことで、そういうようなものも新しい標準地の中へかなり取り込んできたということでございます。
  100. 中村茂

    ○中村(茂)委員 わかりました。大きい意味では実情に合わしたということですね、取引とかいろいろな面からいけば。  それで、結果はどういうふうに判断しているんですか、入れかえた結果は。
  101. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 結果と申しますか、かなりいろいろな取引形態に対応した標準地、たとえば具体的な例で申しわけありませんけれども、従来入っていなかった角地が標準地として取り上げられるということで、角地の取引の指標になるような地点もふえてきたということでございまして、従来よりも取引の指標として使われる度合いが高くなっていきつつあるのではないかというふうに考えております。
  102. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それから公示価格と適正価格の関係についてお聞きしますけれども、いま公示価格と適正価格の開きは大体どのくらいですか。
  103. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 適正価格という言葉は存在するかどうか、私どもは公示価格といたしまして、自由な市場のもとで形成されるであろう売り手にも買い手にも偏らない正常価格をある標準地の公示価格として発表をしているわけでありまして、制度といたしましてはそれ以外に適正価格と言えるものはないのではないか。ただし、よく民間の店頭価格ですとか実勢価格ですとかいろいろなものがございますが、取引事例から比準した比準価格に比べますと、地域によって違いますが大体七、八割くらいの水準であろうというふうに考えております。
  104. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いま言ったことはよくわからないけれども、私の適正価格というのは、公示価格があるでしょう、それで、諸官庁でも建設省でも地方自治体でも土地を取得したいということで値段を折衝するでしょう、公示価格のどのくらいの範囲まで大体認められているんですか。建設省はどのくらい認められていますか。
  105. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 上下二〇%程度ならよろしいということで運用いたしております。
  106. 中村茂

    ○中村(茂)委員 大体それぞれの官庁はいま言われた程度というふうに把握しているんですか、国土庁、どういうふうに把握していますか。
  107. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 個々の土地取引を判定いたします場合に、まず直接公示価格と比べるというよりは、標準地に設定されました公示価格とそれから当該土地との条件等を比較いたしまして、当該公示価格から規準した価格を出すわけでございます。それに比べてやはり一五%ないし二〇%くらいが現在の運用上の大体の目安ではなかろうかというふうに把握をいたしております。
  108. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこのところが、翌年公示価格のときに細かい数字とか、鑑定士がどういうふうにするか私は内容の細かいことはわかりませんけれども、実際に今度査定していく場合に二〇%なら二〇%という枠内で公示価格というものを指標にして取引が行われる、そうすると二〇%上がっている、その次の公示価格のときに調査していく、こういうふうなかっこうになっていくから、公示価格というものはその土地の値上がりを追認していく、そういう制度になっている。だから、いろいろ言ってみたところで公示価格というものは追認制度で、土地の安定とかそういうものになかなか役立つことができない。ですから、私は実際の取引、まあ適正価格という言い方がいいかどうかわかりませんけれども、そういうものをもっと諸官庁全体が枠を縮めて、公示価格もせいぜい五%かそのぐらいを指標にして、標準にして動かさぬでやりなさいというぐらいな強いものを出して、公示価格の追認をできれば抑えていく、こういうふうにしていかなければ土地の上昇をなかなか抑えることはできぬじゃないかと思うのです。それならそういうふうにすれば果たして土地が手に入るかどうかという、いろいろな政策手段が出てくると思うけれども、出し方として、またはそれぞれ土地を手に入れるやり方として、ここのところへひとつメスを入れる必要があるのじゃないか、私はこういうふうに思うのですけれども、国土庁はどういうふうにお考えでしょうか。
  109. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 過去十数年の公示価格の歴史を振り返ってみますと、いろいろな取引事例に追随するということには制度の性格上なっていない、むしろ逆のような感じを受けております。たとえば原価法、取引事例比較法、収益還元法などの手法で正常価格を算定するわけですが、取引事例の場合にも、国のこういう制度上の価格であるという関係もございまして、仮に非常に高い取引事例がかなりふえてきたといたしましても、なかなか公示価格上それを追随して織り込むということにはなっていない。むしろ公示価格は非常に保守的で、過去の歴史から見て、追随するような結果にはなっていない、相当高い新しい取引事例を捨象する形で、むしろ低目に算定されているケースが多いというふうに従来の実績はなっております。
  110. 中村茂

    ○中村(茂)委員 しかし制度上そうなっているんだよ。必ず取引されたのを実情調査して鑑定士がやっていくから、実際の取引をこの公示価格を指標にできるだけ接近するように抑えていけば、次に算定するときにその公示価格もしたがって低く抑えられる、こういうシステムだもの、あなたそう言ったって。それは突発的に物すごく高く取引されたのありますよ、ぽつんと。そういうのはそれなりにまた鑑定士が違うのをあわせて鑑定するから、それから見れば上がっただけ上がっているということにはならない。しかし、平均的に見てその上がったところを追認していくような制度になっているのだから、あなたがどう言ったって。だから私の言っているのは、指標と言うけれども、指標よりも離れて取引されて順に高くなっていく、その次の年はまたその実際に取引されたのを調査してやっていくから順に上がっていく。指標は指標としてその接近した値段で、できればそれよりも安い値段で取引されるようになってくればこの公示価格の上昇率というものも下がっていくのじゃないか、指標も下がってくるのじゃないか、こういうことを言っているわけだから。そこの僕の言っている趣旨、わからないかな、わかるかな。
  111. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 そういう意味で実際の取引に対して価格審査などいたします場合に、必ずしも一律に二割ということではございませんで、土地利用の変換の状況の多いところ、そうでないところ、これによってシビアな審査をして、そこまでのアローアンスを認める必要のない地域におきましてはおっしゃるような運用をして価格審査に当たっているという状況でございます。
  112. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これは国土利用法等の改正とも関係してくるのですけれども、知恵を働かしてそういうところにも規制を高めていく、私はいまはこういう方向が必要だというふうに思うのですよ。だから、必ずそこのところ検討しますとかということをあなたから言ってもらわなくもいいけれども、やはり全体的に地価を安定させるために広範に規制を強めていく、こういう方向転換を皆さんのところでしてもらいたいということを強く言っているわけなんだ、私の言っている趣旨は。そのことを頭の中に入れておいてもらえればいいです。  それともう一つ、公示価格というものがあるわけですけれども、あと税制上で相続税の評価がありますね。それから固定資産税、譲渡税がありますね。これは制度によって土地の評価がさまざまなのですよ。これをできるだけ一本化していくということを私は前々から主張しているわけだ。一〇〇%正確かどうかわかりませんけれども、私がいろいろ調べたところでは、公示価格を一〇〇と見た場合に、相続税評価は六〇、固定資産税は四〇、それから譲渡税は実際の取引価格です。この実際の取引価格というのは先ほど言った適正価格というか、そういう見方を私はするのです。では適正価格というのはどうかというと、取引されている価格は公示価格の一四〇ぐらいというふうに私は見るわけなんです。ですから、同じ土地で税金の方で見る場合も、相続税と固定資産税と譲渡税でそれぞれ見方が違う。しかも公示価格というものは皆さんのところで毎年発表になる。それも指標だということで、取引する場合、しかも官庁が取引する場合に幅を持たして取引させる。ですからこの公示価格、これは全国的に網を張って、最近そう間違いないような価格が出るシステムになってきているのですから、こういうものを中心にしていろいろな土地の評価の制度を見直していく時期に来ているじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。これは大臣ひとつ、方向ですから。
  113. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 現在の実情を申し上げたいと思います。  御案内のように地価公示、それから自治省の固定資産税評価と国税庁の相続税評価がありまして、将来これを一元化できればなあという希望を私ども持っておりますが、ただ、たとえば現在の標準地の数が約一万七千、固定資産税の評価で約三十万地点、相続税の評価で約十万地点ということになっておりまして、一応それぞれの目的に応ずる基準地点の評価として機能しておるということから、いま直ちに一元化ができるかどうかにつきましては自信がございません。そこで、経過的に自治省、大蔵省と話し合いをいたして、できるだけその均衡化を図っていただくということで、相続税評価額は地価公示価格の七割水準を目標調整をとっていただいております。固定資産税の方につきましてはまだそこまで進んでおりませんが、当面、できるだけ均衡化を図っていただきたいということで、三省間で事務の取り進めをいたしております。  それから完全に一元化をする場合に、取引の指標たる地価公示と、相続の基準になるものと、保有の基準になるものと、税率構造も同じで完全に一元化していいかどうか、ちょっと自信がない面がございまして、一元化する場合にはやはり税率等の見直しも必要になろうかという感じがいたしておりますが、三省でいろいろと従来から研究を進めております。
  114. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 ただいま局長からお答えいたしましたが、これは売り手と買い手によって相場も相当開きますし、相続する場合、贈与する場合というものは、いま局長が申し上げましたように売り手、買い手の極端な開きのあるようなところで調整することは非常に困難だと思いますので、やはり公示価格の何割程度ということが適当でないかと考えております。
  115. 中村茂

    ○中村(茂)委員 ですから、評価が一定になれば、あと税率の問題はその評価したやつのどのくらいとやっていけばいいわけです。しかし、もとになる土地に対する評価がみんなずれているから問題なんですよ。だから、一本のやつで一つの評価が出てくれば、税金をかける場合にはその評価の何割だというふうに決めていけばいいわけです。ですから、土地の評価の問題は私は統一できると思うのです。同じ税でも、相続税と固定資産税は税の性格が違うのですから、その評価に対してどういうふうに税率をやっていくかということは、またそれは適当につくればいいわけです。ただ、その場合に譲渡税というものが実際の取引価格だ。実際の取引価格が公示価格とどうか、そこのところは先ほど言ったとおり、できるだけ実際の取引も公示価格に近づけて取引されるようなある程度の強制力を持った措置が必要だ、こういうことを私は言っているわけです、先ほどのやつで一貫して言うと。  次に、先ほど言いました長官の所信表明でも「国土利用計画法の土地取引規制制度について」、ここで言っているのは規制制度ですね。「法施行後七年の成果を踏まえ」、こう言っていますが、七年の成果はどんな成果があったか、ひとつ明らかにしてください。
  116. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 規制制度の中で私どもが、手前みそかもしれませんが、こういう成果があったのではないかと思っておりますことは、一つは、投機的取引が横行すれば規制区域の指定がいつでも行われるというようなことから、最近では投機的な取引が影をひそめるようになってきたということがございます。それから、大規模土地取引につきましては、事前に届け出をする必要がございまして、届け出に際していろいろな審査を受けるということになってきておりますが、当初こういう制度の存在を知らないで、そういう手続をとらない者も多うございましたが、最近その手続が励行されるようになったこと、それから、当初は届け出によっていろいろな意味で価格なり利用目的について指導をしなければならないケースが非常に多かったわけでございますが、最近だんだん定着をしてまいりまして、特段の指導を必要とするケースの比率が下がってきたというようなことで、この二つの面で成果が上がり、法律が定着をしてきたかと思っておりますが、まだ若干不徹底な面もございまして、毎年こういう法律の存在につきましてPRを重ねている状況でございます。
  117. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いま言われた投機的取引、これによって土地が高騰する、この面については表向きは確かに私はなくなってきているというふうに思います。しかし、まだ潜在的にはそういう要素が含まれている。大規模じゃないにしても、特に土地というものを考えてみた場合に、これからこの法案で審議する土地区画整理事業についてもそうなんですけれども、やはり土地は持っていた方がいいという気持ちはあるのですよ、いまの土地の状態では。ところが、この法の、その当時でいけば私は無理だったと思いますけれども土地投機による高騰とそれから一般の土地投機によらないでじわじわ上がってくる土地の値上がり、または場所によっては高騰というふうに言われるところは、土地投機によって上がってきたものでなければ規制することができない仕組みになっているのですね。しかし、行政指導上は二つ合わさらなくても、後段の方の土地投機だけでも、相当これは値上がりしているというところは、ある程度の規制措置行政力でできると私は思うのです。そういう解釈は成り立ちますか。
  118. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 現在の法律の運用といたしまして、土地投機がない。けれども、たとえば土地区画整理事業を行ってでき上がったばかりの土地が効用増で値上がりをする、あるいは宅地需要に対して供給が大変逼迫しているために実需で値上がりした、それに仮に知事が規制区域を発動いたしました場合に、まず土地利用審査会で否認される可能性が大きいのではないか。それから、仮に規制区域になりますと、取引がすべて許可を受けなければならないことになりますが、その場合訴訟になりました場合に、法定要件を満たさない法律の発動というのが訴訟を十分維持できるかどうか、その辺も疑問ではなかろうかというふうに思っております。
  119. 中村茂

    ○中村(茂)委員 どういうふうに認定するかということですけれども、それは土地投機があって上がったから、またはここのところが上がっているから、こういう立場ではなしに、これからどうやって土地の高騰を防ぐかという、土地が値上がらない予防措置の拡大というものをこの計画法の中で考えていく必要があるんじゃないか。どうもこの法律全体を眺めていくと、上がったから規制する、こういうところに重点があるような法律に、その当時の状況から見れば無理はないと思うのです。しかし、これからは土地が上がっていくのを防止していく、こういう施策を先手先手と打っていく、こういうことが必要だと思うのです。  そういう意味からすると、この法律の二十三条の「土地に関する権利の移転等の届出」、この免責要件、現行は市街化区域内二千平米、調整区域五千平米、その他一万平米、こういうふうになっているのですけれども、これができた当時のいろいろないきさつはあります。しかし、予防という意味でこの要件をもっと引き下げていく必要があるんじゃないか。私どもは、市街化区域の場合に三百平米ぐらいにしたらどうだ、そうすればほとんど網がかぶさる。こうなっていけばミニ開発などもある程度防止できるし、土地の売買も届け出制によって全部チェックできるわけですから、土地の値上がりの事前防止という意味でこの要件をもっと下げていったらどうだろう、こういう意見を持っているのですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  120. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 最初の規制区域の方は、現行法は制定の経緯からいたしまして、やはり土地は利用するためにあるもので土地転がしのためにあるものではない、いわば投機は社会悪という見地からできたという経過があるようでありまして、その面を補強いたしますために、実は私ども予算措置といたしまして、規制区域指定事前調査という仕組みをつくる、それから三年ほど前になりますが、さらに特別詳細調査という仕組みもつくりまして、予防的な監視システムを確立しているつもりでございまして、これによって、一つはいつでも要件を満たせば規制区域を発動できる体制にあるよということをやっているわけでありますが、そういうことが投機の再発防止にかなり役立っているのではないかというふうに思っております。  それから、届け出の免責要件、これにつきましても、当時の審議過程でいろいろあったようでございますが、実際の事務処理能力なり、あるいは大規模土地取引をコントロールしておけば、それがかなり波及効果を及ぼすのではないかということから決まったようでございます。ごく最近の地価動向から、いま直ちにこれを下げるべきかどうか、私どもはいろいろと思い煩いながら検討を続けている次第でございますが、たとえば、そういうことになりますとかなり人手なり経費なりがかかるという問題がございますし、それから大規模取引でありますと、当事者が比較的信用をとうとぶ業者の方々が多いので、われわれの行政指導なりあるいは勧告なりがわりと守られるということもございますが、この面積が下がってまいりますと、必ずしも信用にこだわらない、中小なり個人の方々も大変取引として多くなってくるわけでありまして、この届け出、勧告制の実効性が確保できるだろうかどうかという問題、あるいはそういうことが他の供給促進策と相当並行して行われませんと、取り締まりの強化だけで、取引を阻害するおそれはないのだろうかというようないろいろな見地から、これは多面的に検討を続けていきたいというふうに思っております。ことしから、三年間限りでありますが、三大都市圏市街化区域の中で取引された土地が、二年たっても利用されていない場合には特別土地保有税をかける、こういう仕組みもつくったわけでありますが、その成果なども見守りながら、もう少し突っ込んだ検討を多面的にさせていただきたいというふうに思っております。
  121. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私が申し上げるまでもないと思いますが、この国土利用計画法というのは、政府が国会に提出したときは開発法だったのです。土地の高騰が起きてきて大変な事情になってきたということで、途中から議員立法に切りかえられて、言えば利用法という規制法に変わったのですね。それで議員立法になった。どうも議員立法というのは皆さんの方で手をつけたがらない。ですから、この中身、七年の成果はあったのでしょうが、いまの土地事情なりこういうものとあわせて、私は全般的に見直ししていく時期に来ているのではないか、こういう立場に立っているのですけれども、皆さんの方が議員立法だから手をつけないというのなら私の方で手をつけますが、議員立法だから手をつけないということはないんだね。
  122. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 私どもも、常に内部では法の執行、運用に当たっておる見地から、さらに補強すべき部分はあるのかないのか、その辺の検討は常時やっているつもりでございまして、委員会、小委員会等におきますいろいろな御論議も参考にしながら、私どもも勉強はし、検討を深めていきたいというふうに思っております。
  123. 中村茂

    ○中村(茂)委員 次に、やはり先ほどの所信表明と関係してくるわけですけれども、一口に言って宅地供給対策、これだけでも、項目はそうですけれども大変な問題ですが、その一環として今回の土地区画整理事業についての改正も出ているというふうに思うのです。私は、宅地供給というもの、確かにこれがスムーズに行われていれば地価も安定してくるということははっきりするのですけれども、果たして長期需給見通しに見合って宅地供給対策上きちっとしていて、その需要を満たすように供給されてくるかということになると、まだ幾つかの懸念もありますし問題点も多いというふうに考えているのです。  そこで、大きい柱としてこの宅地供給対策というものについてどういうふうにいまお考えになっているか。これは建設省の方がいいのかな。
  124. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  住宅建設の中で一番大きな問題がやはり土地問題であるという御指摘を常々受けているところでございます。土地につきましては、いままで中村委員いろいろ御指摘ございましたように、いろいろ多面的な問題を持っているということを私ども十分認識しているわけでございます。ただ、現在におきます土地の大きな問題は、昭和四十七、八年、高度成長期におきます地価の騰貴というものが、スペキュレーションのような形がかなり大きく作用したというような状況から見た場合、むしろ現在においては実際の需給の不均衡によるところが非常に大きいのではないかという見方をしているところでございます。  それで、需給の不均衡はどういうところから出てきているか。これは私ども大きく分けますと、一つは先ほど先生御指摘ございましたが、素地がなかなかデベロッパーの手に渡らない、あるいは言いかえれば土地を手放さないということになるかと思いますが、そういった点が一つあるかと思います。素地の流動が余り円滑でない。もう一つは、宅地の造成コストが非常にかかっている。造成コストは土地そのものの造成費もございますし、関連公共公益施設等の整備に要する費用もございます。また、自治体の行政指導の問題あるいは開発期間に伴う問題、いろいろございますが、こうしたものが複合されまして、宅地の価格形成、こういったものが非常に高くなりがちである。そうしたものが経済成長期におきましては処分価格の中で吸収され得たわけでございますが、現在のような状況のもとではなかなか処分の中で回収しにくい。それが供給マインドを阻害する。こういう循環になってきているのではないかと思うわけでございます。  私ども宅地供給の基本的立場から申しますと、まず素地の流動を円滑にしていく。素地というものをどうやって手に入れていくかということを一つの課題と考えております。その一つは、たとえば土地税制の改正というような問題でございます。と申しますのは、従来の土地税制自体が、昭和四十七、八年当時の土地の異常な投機というものを前提にいたしまして、投機抑制という立場から非常にしっかりした論理構成をされたわけでございますが、逆に、そういうことになりますと、土地を流動させることによりまして非常に大きな税負担がかかってくる。そういった意味から、土地の流動性について抑止的な効果を持ってきたというような面が見られるわけでございます。それで、今回諮りました土地税制というものは、そういった点から流動性の円滑化を図りたい、これが一点でございます。  それからもう一つ、素地の供給されるべき対象地域、これが現在市街化区域の中におきましては、先ほど申し上げましたとおりなかなか農家の経営者等が土地を手放さない、土地を手放すことに不安を持っているという方が多うございます。こういった方々につきましては、そういう方々が参加しながら有効な宅地供給を図る。と申しますのは、いろいろの調査によりますと、土地を手放さなくとも、その土地の一部を宅地的に転換して、自分で生活再建に充て得るということならばそういう利用の仕方をしたいとか、あるいは営農全部を放棄するのでないにしても、一部については宅地に処分してもいいとかいう考え方もございます。でございますから、そうした市街化区域内の農地につきましては、一方におきまして、税制の中におきますいわゆる宅地並み課税というような問題で、長期営農を選ぶかあるいは宅地的転換を選ぶかというようなことを選んでいただくこともございますし、また、素地所有者の参加によりまして土地区画整理を行いますとか、あるいは農住組合というような制度を活用いたしますとか、あるいは私ども今度提案しております借地方式というようなものを考えますとか、そういったことで市街化区域内の素地所有者も参加した土地供給。  それからまたもう一つ、現在調整区域土地については、原則的に利用が非常に不可能と申しますか、利用を非常にきつく抑制している点がございますが、こういった点につきまして、都市計画上支障がないもので周辺との関係で妥当なものについて、そうした対象地域を拡大していくというような意味から、線引きの見直しでございますとか、あるいは開発許可の有効な活用でございますとか、そういうような点を考慮いたしまして、対象地域を拡大して有効な供給に資し得るというような点、これが第一の素地関係の問題かと思います。  また、コストの問題につきましては、一つには、造成に要します民間、公的供給主体があるわけでございますが、これの資金手当てをいたしますとか、関連公共公益施設の整備というものに対します対策について十分配慮してまいりますとか、あるいはいろいろ自治体の指導の過程におきまして、宅地の処分価格を高騰させる要素もございますので、こういったものについての指導を的確に行うといったようなことを行ってまいりたいということでございまして、今回の点におきましても、土地税制の改正の問題、それから公社に対します今回お諮りしております区画整理の施行権限を土地区画整理法の中に入れていただくとか、あるいは公庫融資の対象として土地区画整理事業費を融資するとかいうような問題、それから開発に要します融資でございますとかあるいは借地方式等、公庫融資の円滑な活用といったものを総合的に予算ないし制度として要求したわけでございます。  また、さらに大きな観点から申しますと、市街地の高度利用を促進してまいりまして、土地の高度利用を図ってそこに有効な人口の吸収を図る、あるいはさらに大きな観点から申しますと、国土の均衡ある発展を図るという意味において、特定の地域への過度の集中を防止していくというようなことも本質的な問題としてあるかと思うわけでございますが、こういった点についてもそれぞれの総合的施策が講じられて、最近におきましては、大都市地域におきます集中もほとんど社会移動としてはバランスするというような状態になってきているわけでございます。  そういった意味で、私ども昨年宅地需給長期見通しというものをつくったわけでございますが、その中で、五十六年度から六十年度にわたります五カ年間におきます宅地の需給量、こういうものについて想定をしたわけでございます。これにつきましてはかなり綿密な計算をしているわけでございますが、この長期見通しの中で期待推計量という言葉を使っておりますが、ある程度政策努力を重ねまして、そうした努力によります推計量を得られますれば、達成することは可能であろうというふうに考えているところでございます。
  125. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いままでの考え方と余り変わりないですな。積極的にという手法が取り入れられている面は別に感じないのですが、原理的にいくと、土地税制について、確かに四十七、八年のあの土地の高騰のときにつくった保有税などというのについて、今度情勢が変わるからそれを外してというふうに言いますけれども、やはり片方でそういう保有税をかけておいて、あと譲渡税なら譲渡税というので、譲渡税の扱い方については、私は、小出しにするのではなしに十年区切りぐらいにする、これはいままで主張してきたのですが、いままでの譲渡税のやり方は、年々下げていったって、次の年になればまたよくなるわいといって土地は出てこないんだから、少なくも譲渡税の緩和をやるとすれば十年単位、保有税というのはそのままかけていく、そして土地供給を図っていく。ところが、今度事情が変わったからといって、保有税も両方まけるというやり方はどうも納得できない。これは私の気持ちだから、答弁はいいですよ。  それからもう一つ、長期見通しでこうやっていくわけですけれども、何といっても土地が本当に出てくるかどうかということを考えていくと、私は総合的に十年興り十年の時限立法をつくって、集中的に十年の宅地の放出を考えていけというふうに言っているわけですけれども行政的にいくとどうもばらばらだ。そこのところが非常に気がかりになるわけですけれども、時間がありませんから、私のそれぞれの意見を言うところはまた別に求めるとして、今度の全体的なやり方で長期見通しに見合った土地が出てくるかというと、私はまだまだ数段の努力といろいろな施策をかみ合わせていかなければむずかしいだろう、こういう理解に立っているということだけつけ加えておきます。  それから、次の土地区画整理事業について、もう時間がありませんから要点をお聞きしますが、まず、農水省が来ていると思いますけれども、皆さんの方の所管の土地改良事業と、いま改正で出ております土地区画整理事業、片方は市街化宅地供給、片方は農地区画整理事業と、言い方は違いますけれどもそういう類似した事業だというふうに思うのです。  そこでお聞きしたいのですけれども、時間がありませんから要点を言ってもらえば結構ですが、土地改良事業の方は農地について区画整理をする、しかし、したものを宅地に変更したいという事情が出てきた場合にはそういうことが許されるのか、政策上、法律上、その点がどういうふうになっているのか、要点をよく御説明いただきたいというふうに思います。
  126. 合馬敬

    ○合馬説明員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃいます農地についての区画整理事業は、われわれの土地改良事業の概念から申し上げますと圃場整備事業に当たるというように解釈いたしますが、圃場整備事業につきましては、農業振興の基盤となるべき農業用地の確保だとか、あるいは農業基盤整備計画的な実施だとか、さらにはその効果の保全、農業構造の改善、こういったようなものをやるという特別な地域として定められました農用地区域を対象として実施するということになっております。  そこで、農振計画におきましては、農用地区域として定められました区域の農用地につきましては、一般に農地転用は厳格に抑制しております。これは農振法でそのように定められておりますが、このほか、圃場整備事業実施されましたいわゆる受益地、その区画整理事業を行ったところでございますが、これにつきましては、農地転用の許可基準上ほとんど第一種農地というようなことにされておりまして、公共の用途それから農業経営の合理化といったような一定の用途に供するものでございまして、ほかに立地することが困難と認められた特別な場合を除きましては、農地転用は許可しないということにしております。それからさらに、圃場事業実施しました後、八年以内にこの受益地と申しますか、事業実施しましたところの転用が行われました場合には、原則として補助金の返還を行ってもらうということになっております。  このようなことで、事業受益地の農地転用につきましては、優良農用地の確保という観点から厳密な、厳格な制限を行っているわけでございまして、このような措置を続けることによって今後とも事業実施地域における優良農用地の確保に努めてまいる、こういうことになっております。
  127. 中村茂

    ○中村(茂)委員 ところが、土地区画整理事業の場合には、農地をやった場合に、農地を今後何年続けていても構わないわけですね。私がいままで調べたところでは、これが創立以来、区画整理をやって、それでいまも農地でいるところがあるわけです。それから、相変わらず草がぼうぼう生えているところもある。未利用地は、この区画整理をきちっとしたところで、換地をしたところで三十数%でしょう。まだ未利用地のところが三十何%ですね。それで、聞くところによると、補助金が出ているところと出ていないところがある。補助金といっても道路道路特会から出て道路をつくっている。全然補助金なしでやっている組合が半数ぐらいある。だから非常にむずかしいのですけれども、いずれにしても道路なりその他で公的な資金がそのところ全体の中で出ているところについては、少なくも十年ぐらいたったら宅地に出してもらわなければこの制度の意味はなくなってくるのじゃないか、私はこういう考え方があるものですから、制度上の問題としてこの点をお聞きしたいと思うのです。
  128. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 土地区画整理事業済み地の未利用地がかなりあるということについては、事業の性質上御指摘のとおりかと思います。  ただ、土地区画整理事業というのは公共施設の改善及び宅地の利用増進を図るもので、宅地化を前提として公共施設を整備するものでございますので、私どもといたしましても宅地への転換が望ましいと考えておるわけでございますが、土地所有者、地権者減歩によります事業でもございますので、所有者の意図によりまして営農を継続することを拒むこともできないという制度でございます。ただ、営農を行いながらも、一部農地を残してもらえば大部分については宅地化をする、あるいは場合によっては賃貸住宅の経営をしたいという御意向のある方もあるわけでございますので、そういった方に対しては積極的に住宅経営のノーハウを提供するというようなことも宅地化を促進する上で一つの便法かと思っております。  それから、もう一つの先生の御指摘でございますが、補助金が出ておるのだから、たとえば宅地化を義務づけるというようなことをあるいは考えられないかということかと思いますが、これにつきましては、私どもの認識では、土地区画整理事業というのは良好な市街地整備の一番枢要な手段でございますが、義務づけを非常に多くする場合には、土地区画整理事業そのものの実施の阻害要因ともなりかねないということもございまして、その辺は慎重に検討する必要があろうかと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、未利用地の宅地化につきましては引き続き努力をしなければいけない問題というふうに認識しております。
  129. 中村茂

    ○中村(茂)委員 未利用地がいま大都市圏で全部放出されればここのところ二年ぐらいはもういいでしょう。それだけの未利用地をせっかく金をかけてやって、農業をやっている人でやったから農業ならまだ話もわかるけれども、草がどんどん生えて、せっかく家を建てるのにいいふうに区画整理ができたところに草が生えている。しかし、これはやはり土地が上がっているから、神話ではありませんけれども土地をそうやって持っていた方が金にかえてしまうよりもまだ得だ、この悪循環があるわけですね。そうかと思うと、せっかく区画整理をやってくれたわけですから、そのやらない周りのところの方がなお困るわけで、そこのところを規制をかけるわけにはいかないという非常に苦しいことも私はわかるのです。ですから、何らか知恵をしぼって未利用地をできるだけ少なくしていく、優良な宅地に転換していく、ひとつこういう努力をしていただきたいと思うのです。その面が非常に甘いですね。  それからもう一つ、確かに道路、公園、保留地、これは約三割が減歩だそうですけれども、保留地などについては、それを売買してそこで使った金などについて埋め合わせていく、こういうシステムになっているようですが、組合が自主的にやるわけですから、この保留地をできるだけ取って区画整理で値が上がった、金がえらくもうかったからといって、この間の新聞ではありませんけれども、百五十万円のべっこうの船をみんなで配ったとか、ダイヤのカフスボタンを配ったとか、ホステス二十名も連れて旅行に行った。まだ十億も貯金してあって、こんなに使ったってその利息でやっているのだから何を言うのだと……。しかし私は、みんなの減歩から出てきたものですから、これは公平に分配しなければ詐欺だと思うのです。役員だけ詐欺、詐欺でもありませんけれども、十名や二十名くらいで同数のホステス連れて旅行に行ったなんて、これは監視できないと言えばそれまでだけれども、やはりこういうものが法律としてあって、しかも、全部ではありませんけれども道路等については道路特会から金が出てりっぱな道路をつくってやる。そのほか、融資が必要なら金も出してやる、今度の改正で金融公庫から安い利子で金も貸し付ける、こういう制度法律上ある以上、こういうところの監視というかモラルというか、こういうものについてもきちっとさせていかなければいけないと思うのです。この減歩等を含めて——減歩のところは、減歩かあるから、これはなかなかいい事業だと思うけれども、と言って首をかしげる面もあるのです。ですから、減歩の面についてはできるだけ何か補助をして、この事業推進に役立たせるというような措置も必要ではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  130. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 区画整理事業を行います場合に、まず減歩をいたしまして、減歩で公共用地を生み出すための公共減歩、それから保留地を処分して事業費を浮かすための保留地減歩という二つの種類の減歩をやっておるわけでございます。この減歩が非常に多いのではないかという御指摘もないわけではございませんが、最近、平均的な減歩率三〇%ということでございますが、私ども考えでは、土地利用増進の一応の範囲内で、一概に高過ぎるとは言えないのではないかという気もいたすわけでございます。ただ、なるべく公共減歩の部分を少しでも減らすという観点から、いわゆる道路特会の補助金でございますか、この部分をふやしたらどうかということについては、たとえばいま補助対象としております街路の幅員等の要件の緩和ということについても、御指摘を踏まえて引き続き検討する余地があろうと考えております。  それから、なお、新聞報道にございました足立区の花畑組合の問題につきましては、現在私ども東京都から事情を聴取中でございますが、一般的に言いまして処分金というものは事業に要する費用に充てるというわけでございまして、事業の中には一応事務費的なものもございますし、地権者相互の理解を深めたりあるいは知識、技術を吸収するための視察をしたりということがいけないとまで言い切らぬ向きもあるかと思いますが、報道されているようなことが仮に事実であるとすれば、事務費の使い方として非常に行き過ぎた面があると思います。いずれにしましても、事情を聴取いたしまして対処したい、かように考えております。
  131. 中村茂

    ○中村(茂)委員 最後にまとめて答弁いただきたいのですが、技術検定を行うということで試験をやる。その試験の名前は区画整理士ということで試験をやりたい。それから法的強制力はない。先ほどの土地改良は土地改良換地士という、その人が換地に携わらなければその換地事業は許可にならないわけですから強制力があるわけですが、今度のこちらの方の土地区画整理事業における区画整理士というものは、試験を行って、その試験の名前を区画整理士というふうに言うというのですけれども、下の方に武士の士がついたのを建設省で調べてもらったら、建設省だけでもこのごろ何々士、何々士と士がついたのがいっぱい、二十件ぐらいあるのですね。これは、建設業経理士という制度をつくったときに、税理士会、会計士会から、どうも仕事もそうだけれども、名前も自分の名前の分野まで進出してきたと言って大変おしかりを受けて、建設省も理解をしていただいて、そこに事務を入れて経理事務士、実際の仕事と合った名前にしてもらったのですが、これは士をつけるというのは全般的にいま問題になっているのです。法律上名前はなくて、試験の名前が区画整理士試験、こういうふうに言うのですけれども法律上名称がなくて試験にそういう名前をつけるから、その免許をもらうから区画整理士になるのだという仕組みは、どうも私納得できないですね。ですから、そこのところはどういうふうに理解していいのか。できたら区画整理士試験なんと言わないで、技術検定と言うのでしょう、だから何とかの技術検定、こういうふうに言えばいいと思うのだが、そこら辺の一工夫をお願いしたいということ。  それから、試験を行う場合に、建設省、大臣が行うのだと思うのですけれども、例を見ると方々へ委託して行っていますけれども、委託などしないで建設省が行うということなら建設省はきちっと行う、こういうふうになるのかどうか。そのほかの問題については先ほどの前川委員から質問がありましたから、いまの点。  それと、項目は違いますけれども、官房長が来ておりますから、あわせてお聞きしておきたいわけですが、「公共工事に係る入札結果等の公表について」というのが中央建設業審議会から出ておりますが、建設省としてはこれを受けてどういう作業順序で、いつごろからこれを実施するという考え方に立っているか。  以上お答えいただいて最後にしたいと思います。
  132. 加瀬正蔵

    加瀬政府委員 先ほどもお答え申し上げたのでございますが、技術検定の試験につきましては、私どもとして見れば、できますれば土地区画整理士の技術検定試験という名前ができればということをいま検討中でございますが、御指摘もございますので、その辺はさらに十分に検討させていただきたいと思います。  ただ、この試験に合格した者につきまして、いわば排他的に仕事ができるとか、特別の権能を付与するとかということについては全然考えておりませんし、それからまた、試験を実施するに際しましても、一部の団体にこれを委託して行うというようなことは考えておりませんので、試験の行い方、あるいは合格者の取り扱いにつきましては、御指摘を踏まえまして慎重に対処させていただきたい、かように考えております。
  133. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 公共工事に係る入札結果等の公表につきましては、去る三月三十日中央建設業審議会の会長から各省大臣並びに全国の知事に建議がなされたわけでございます。  建設省といたしましてはこれを受けまして、この建議で言っておられますことをすべて実施いたしたい、こういう考えでございます。  その内容としましては、指名業者名につきましては指名通知後なるべく早期に公表する。最終入札結果につきましては、全入札者名及びその入札金額を公表する。入札経緯につきましては、全入札者名及びその入札金額を公表する。ただし、建議におきましては落札者以外については記号化すること、記号化でもよろしいということになっておりますが、建設省といたしましては実名をもって公表する考えでございます。「ただし、最終入札結果及び入札経緯については、事務量を考慮して、当面は、小規模な工事を除外してさしつかえない」、こういうことになっておりますが、建設省といたしましては、小規模工事まで全部公表するということになりますと非常に事務量がふえるわけでございますから、現在のところは三千万円以上の工事について公表する考えでございます。  なお、公表の方法といたしましては、閲覧方式をとりたいと思っております。  それから実施の時期でございますが、現在準備中でございまして、できますれば六月から実施いたしたいと考えております。
  134. 村田敬次郎

    ○村田委員長 これにて中村茂君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会