○山花委員 いま基本的な姿勢についてお伺いしたわけでありますけれ
ども、金融
公庫法三十五条の
改正はいまの
大臣の御見解に反するのではないかというように
考えざるを得ません。
実は、今回の法
改正の直接的なきっかけとなりましたのは、間違いなく昨年八月六日付の
住宅宅地審議会の答申であると
考えます。「
現行家賃
制度の改善についての答申」が昨年出されまして、そこでは「新しい
住宅政策体系にふさわしい家賃
制度の確立」を
政府に希望する、こういう前文となっておりまして、もちろん金融
公庫法三十五条がかかわる公社
住宅などだけではなく、民営の借家の家賃及び全体としての公共賃貸
住宅の家賃につき、問題点を
指摘しまして改善の方向を提起しております。われわれはこの答申それ自体につきましては、全体として
住宅関連大資本、
デベロッパーの
立場、あるいは家主側の
立場によって貫かれているのではないだろうか、現実に大変高い家賃に苦しんでいる、これは民営を含めてでありますけれ
ども、それゆえに
建設省の
住宅の実態
調査の中でも高家賃を理由とした
住宅困窮を訴える世帯というものが大変ふえている、一方においてローン地獄の問題がありますが、そういうことに対応した勤労者の今日の
住宅政策要求というものを裏切るものではなかろうか、このように基本的には
考えております。
また、答申全体を貫く基本的な理念でありますけれ
ども、われわれは、何といっても
住宅政策は、根本のところは、すべての
国民が健康で文化的な最低
限度の生活を確保されなければならないという憲法二十五条の生存権、そこによるものでなければならないと
考えます。その観点から
国民の住生活をどのように守って健康で文化的な生活を
国民に確保したらいいのか、これが特に公共賃貸
住宅の基礎にある理念でなければならないと
考えておりますけれ
ども、そうした
考え方などはこの
住宅宅地審議会の答申には、強く言えば一かけらもないと言ってよろしいのではないかと思うのであります。そうした私の主張したような問題点、
考え方というものは、公社法の第一条とかあるいは公営
住宅法の第一条とかに大変的確に表現されているところであります。そうした問題認識を持ちましてこの答申を拝見いたしますと、要するにここで言わんとしておるところは、
民間についても公営、公団、公社につきましても、いかにして家賃値上げを実現するか、いわば家主の側に立った
立場で、そのことの手続、ルールをどうやってつくっていこうか、そのことに腐心しているというのが特に
指摘いたしましたこの昨年の答申の全体の基調ではなかろうかと
考えます。
全般的な批判ということになりますとその他にもたくさんあるわけでありますけれ
ども、きょうの法案、金融
公庫法三十五条の観点で問題を整理していきたいと思いますが、これまでの議論の中でも明らかになっておりますとおり、今回の法
改正、三十五条にかかわる部分といたしましては、答申の私のいただいているのでは一ページということになりますが、公共賃貸
住宅の家賃の問題点といたしまして、「既存公共賃貸
住宅の家賃が、物価の上昇等経済情勢の変化に対応して、賃貸
住宅相互に均衡のとれた家賃に円滑かつ的確に変更されているとはいいがたい状況にある。また、地方
住宅供給公社の賃貸
住宅については、家賃変更の規定が
整備されていない。」、こう問題点を
指摘しております。こうして、三ページから四ページにかけてのところでありますけれ
ども、既存の家賃の変更のあり方につきまして、「公営
住宅及び公団
住宅の家賃については、1物価その他経済情勢の変動に伴う場合、2
住宅相互間の家賃均衡上必要ある場合等において、変更することができることとなっている。」けれ
ども、「これに対し、公社賃貸
住宅については、一般的な変更規定がなく、
住宅の維持管理上必要あるときに、維持修繕費のみ物価スライドすることができることとなっている。」、こういうようにあり方についての問題を
指摘した後、結論的には、最後の段階でありますけれ
ども、「公社賃貸
住宅の既存家賃の変更については、公団賃貸
住宅の場合に準じた家賃変更規定を設け、同様の
方式で的確に行う必要がある。」、こういうように
指摘をしているわけであります。全体としていま申し上げましたのは家賃の改善についての
指摘ということになるわけなので、いま引用したような部分での問題提起ということになるわけでありますけれ
ども、ここでも家賃問題を
考えるということは、その上台にある公共賃貸
住宅についての政策を
考えた中でということでなければならないと思います。ところがそういった観点については全体として完全に抜けているのではなかろうか、こういうように思うわけであります。
本論に入る前にもう一点だけちょっと伺っておきたいと思うのですけれ
ども、いかに勤労大衆が公共賃貸
住宅を希望しているか、必要性があるかという観点について、話がちょっと横に行きますけれ
ども、これからの議論の前提としてお伺いしておきたいと思います。
建設省に対して、個人持ち家
住宅資金に占める
住宅ローン借入の割合についての実情がどうなっているか、この点を伺いたいと思います。