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1982-03-24 第96回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月二十四日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 村田敬次郎君    理事 稲村 利幸君 理事 大塚 雄司君    理事 住  栄作君 理事 竹中 修一君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 薮仲 義彦君 理事 渡辺 武三君       足立 篤郎君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    瓦   力君       古賀  誠君    國場 幸昌君       田村 良平君    塚原 俊平君       松本 十郎君    粟山  明君       保岡 興治君    山下 元利君       小野 信一君    野口 幸一君       山花 貞夫君    横山 利秋君       竹内 勝彦君    西田 八郎君       林  保夫君    瀬崎 博義君       中島 武敏君    四ツ谷光子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 原 文兵衛君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 松野 幸泰君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       山崎  圭君         環境庁自然保護         局長      正田 泰央君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君         国土庁長官官房         長       福島 量一君         国土庁水資源局         長       高秀 秀信君         国土庁大都市圏         整備局長    宮繁  護君         国土庁地方振興         局長      柴田 啓次君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君  委員外出席者         環境庁長官官房         参事官     片山  徹君         環境庁自然保護         局計画課長   中島 良吾君         環境庁水質保全         局企画課長    杉本 康人君         環境庁水質保全         局水質管理課長 長谷川 正君         環境庁水質保全         局水質規制課長 渡辺 一志君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     田中 富也君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   田中  収君         農林水産省構造         改善局計画部事         業計画課長   北村 純一君         農林水産省構造         改善局建設部水         利課長     長野 孝夫君         農林水産省構造         改善局建設部整         備課総合整備事         業推進室長   内山 則夫君         林野庁林政部企         画課長     川合 淳二君         通商産業省立地         公害局公害防止         企画課長    川口  融君         建設省計画局参         事官      吉沢 奎介君         建設省都市局下         水道部長    玉木  勉君         自治省財政局調         整室長     亀田  博君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    田中 和夫君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    栂野 康行君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   金丸  信君     塚原 俊平君   桜井  新君     古賀  誠君   登坂重次郎君     粟山  明君   東家 嘉幸君     山下 元利君   前川  旦君     野口 幸一君   伏木 和雄君     竹内 勝彦君   林  保夫君     西田 八郎君   中島 武敏君     四ツ谷光子君   甘利  正君     中馬 弘毅君 同日  辞任         補欠選任   古賀  誠君     桜井  新君   塚原 俊平君     金丸  信君   粟山  明君     登坂重次郎君   山下 元利君     東家 嘉幸君   野口 幸一君     前川  旦君   竹内 勝彦君     伏木 和雄君   西田 八郎君     林  保夫君   四ツ谷光子君     中島 武敏君   中馬 弘毅君     甘利  正君     ————————————— 三月二十三日  離島振興法期限延長に関する請願内海英男  君紹介)(第一四四一号)  同(小沢辰男紹介)(第一四四二号)  同(岡本富夫紹介)(第一四四三号)  同(加藤六月紹介)(第一四四四号)  同(倉成正紹介)(第一四四五号)  同(近藤元次紹介)(第一四四六号)  同(佐藤守良紹介)(第一四四七号)  同(塩崎潤紹介)(第一四四八号)  同(白浜仁吉紹介)(第一四四九号)  同(鈴切康雄紹介)(第一四五〇号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第一四五一号)  同(田村元紹介)(第一四五二号)  同(竹下登紹介)(第一四五三号)  同(西岡武夫紹介)(第一四五四号)  同(橋口隆紹介)(第一四五五号)  同(松本十郎紹介)(第一四五六号)  同(村田敬次郎紹介)(第一四五七号)  同(山中貞則紹介)(第一四五八号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (池端清一紹介)(第一五三一号)  同(岡田利春紹介)(第一五三二号)  同(北山愛郎紹介)(第一五三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第二一号)  特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法  の一部を改正する法律案起草の件  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復  興特別措置法の一部を改正する法律の一部を改  正する法律案起草の件      ————◇—————
  2. 村田敬次郎

    村田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本員参考人として水資源開発公団理事田中和夫君及び同理事栂野康行君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村田敬次郎

    村田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 村田敬次郎

    村田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。
  5. 野口幸一

    野口委員 最近わが国では、社会的自然、社会的資源という問題意識が非常に高まってまいりまして、古い町並み保存や野鳥の保護、あるいはまた自然景観を保存しようという社会的認識が非常に高く用いられようとしておるところであります。ある学者は、今日の時代社会的自然化時代だという呼び方をしておりますが、水も自然科学で言う水ではなくて、一定の金銭を投入し、人工化した社会的な水、つまり用水排水治水はそのまま単なる水資源とは言えない、こういう時代ではないかと思います。その考え方によれば、水はそれぞれの地域希少性を持っている、また用水の取得、また排水に莫大なる費用が必要となってきた。三つ目には水質汚濁が拡大して水の希少性が非常に高まっている。こういったことを考えてまいりますと、今日の水資源課題は、取水用水排水をいかに合理的に運用するかというところに問題点があろうと思うのでございます。  そこで、まずお聞きをいたしますが、水資源開発という問題はいかなる見解のもとに今日取り組まれておるかということをまずお聞きをいたしたいと存じます。
  6. 高秀秀信

    高秀政府委員 いま先生からお話しのごとく、社会的ないろいろな制約がございますが、私どもは、水資源は健康で文化的な国民生活維持向上工業発展並びに農業生産性向上及び食糧の安定供給を図る上で必要な、基本的な国土資源であるという認識でございます。  ただし、先生お話しのように、いろいろそれぞれ地域において降水量によって基本的な制約がございます。しかしながら、私どもとしては基本を長期的に安定した水需給関係の確保を図るということに置いていきたいというふうに考えております。しかしながらそのためには、水源地域対策であるとか自然環境保全との調整等に配意しつつ円滑に推進していきたい。また、一方ではいまお話しのように、限りある資源でございますので、水資源開発とあわせて、使用するサイドにおいても水使用合理化を図るという節水型社会の形成も推進してまいりたいというふうに考えております。
  7. 野口幸一

    野口委員 御答弁はそういうような形でされると思いますが、具体的に申し上げますならば、琵琶湖総合開発特別措置法が十年前にできまして、この十年間、近畿の水がめと言われる琵琶湖を初めといたしまして、淀川水系におけるところのこの資源開発という問題は、どうも水資源という問題を非常に狭視しておられるのではないだろうか。琵琶湖に非常に大きな負担をかけようというような感じで今日まで進んできておられるのではないだろうかという気がしてなりません。つまり、一番最後におっしゃった、節水型社会への移行という今日の水に対する認識が非常におくれていて、もっと上手に水を使おうではないかという考え方に基づくところの水資源というものに対するお考えが、この十年間の動きを見てまいりますと、私どもとしてはそういったものに十分に手だてがあったとは思えないのであります。  特に近畿の場合の、大阪中心とする水需要の今日の現況、これは後でお尋ねをいたしますが、恐らく皆様方数字と私ども調査いたしました数字といささか違うかもわかりませんが、過般私も環境委員会でこの問題をお尋ねしたことがございますが、どうも琵琶湖というものの水資源をある意味では過大評価されて、そしていまたまたま問題になっております一・五メートル低下、毎秒四十トンというのを最高といいますか、最大の、いまの取水量に合わせてプラスできるようにという開発をと、こういうことでありますが、それ以外のいわゆる水資源に頼ろうとする姿というのは、実はそれぞれの小さなダム開発しておられますけれども、この需給用水量というのは非常に少ない。そうしますと、勢い琵琶湖だけが頼みの綱というような形になっているわけでありますが、こういったことを考えるならば、淀川水系以外にも、たとえば近畿中心であります大阪あるいは神戸の一部といいまするか、そういう中心地帯に対する水の需給計画というものを進めなければならぬと思うのでありますが、そういった点はどのような形で今日まで進められておりまするか、この際ちょっとお伺いいたしたいと存じます。
  8. 高秀秀信

    高秀政府委員 いま先生からお話しのように、私どもも広域的な、近畿全体というようなことで水問題をとらえていきたいというようなことで、関係各省あるいは関係府県と協力いたしまして、加古川であるとか紀ノ川であるとか、あるいは泉南の小河川であるとか、そういったもろもろのものにつきましても従来も調査をしておりますし、今後とも調査を継続していきたいというふうに考えております。あるいは一部の河川等については、先生承知のとおり、すでに小規模ではございますが、ダム開発等もなされております。それから淀川琵琶湖以外につきましても、いろいろな問題でダム等が難航はいたしておりますけれども、具体的な計画を立ててやっているという段階でございます。
  9. 野口幸一

    野口委員 それでは、角度を変えまして、わが国の水の総需要量と総供給量相関関係はどのような傾向を示しているか。この点について、非常に大ざっぱな話でありまするが、まずはお答えをいただきたい。その中で特に近畿地方、中でも淀川水系水源地としている地域における供給実績はどのような傾向を示しているか、これは大体戦後といいまするか、この三十年前後を年度別にひとつお示しをいただきたい。
  10. 高秀秀信

    高秀政府委員 一点は、わが国水需要水供給現状というようなものがどうなっているか、もう一点は、淀川水系供給実績及び将来における水需要供給計画というようなお話かと思います。  わが国の全体のお話をまず概括的に申し上げます。  御承知のとおり、わが国水需要の推移につきましては、生活用水工業用水を合わせまして都市用水というふうに言っておりますけれども人口増加水道の普及、都市化進展生活水準向上及び工業発展に伴いまして昭和四十年代には急増をいたしました。生活用水工業用水、私ども淡水補給水量というふうに海水を除いて言っておりますが、そういうものを合わせた都市用水需要は、五十年におきまして二百六十九億トン、四十年に比べまして一・六倍というふうになっております。また、五十年における農業用水需要量は五百七十億トンというふうに推計をされております。  五十年以降の都市用水需要の動向は、わが国経済安定成長基調に推移していること、及び先ほど申し上げましたような節水水使用合理化進展が見られたこと等により、その増加傾向鈍化をいたしております。生活用水については、一部大都市において節水意識浸透安定経済への移行というようなことで需要の停滞が見られるものの、多少増加はいたしております。それから工業用水につきましては、使用水量増加傾向にありますけれども水使用合理化等でやや減少傾向にあります。したがいまして、都市用水全体といたしましては、五十年以降は微増ということになっております。  今後の全国の問題でございますが、私どもとしては、都市用水については、今後の人口増加生活水準向上産業経済活動発展が見込まれる一方で、工業用水等回収率向上がございますが、水使用合理化も限度があるだろうというような観点もございますので、なお水需要量は増大するであろう。それから農業用水につきましては、水田面積減少農業用水合理化事業実施等により、需要減少が見込まれておりますけれども水田整備であるとか畑地灌漑施設整備畜産用水増加というようなことで、これまたやや増加するのではないかというふうに考えております。  これらの需要に対する水供給源としては、昭和五十年において河川水約六百五十億トン、地下水約百四十億トン、その他湧水であるとかいろいろなものを含めて約九十億トンというふうになっております。このうち、河川水供給量の中には、水資源開発等措置需要増加に追いつかないことなどにより、渇水時には安定した取水が困難となる河川水暫定取水等に依存している水量が含まれており、この水量都市用水については約三十億トンくらいであろうというふうに推定をいたしております。また、地下水の問題がございますが、今後は地盤沈下等の問題がございますので、河川水源への転換が図られなければいけない、こういう量が二十四億トンくらいあるのではなかろうかというふうに思っております。  それから、いま先生お話しの第二点、淀川水系でございますが、淀川水系に依存する地域における最近の供給実績は、水道用水につきましては、人口増加鈍化節水意識浸透等により、増加率鈍化傾向にございます。また、工業用水は、水利用合理化産業構造変化等により逓減傾向にございます。  水道用水及び工業用水を合わせた都市用水供給実績は、昭和四十五年から五十三年にかけまして、半旬、五日平均でございますが、最大で約七十四トンから七十九トン毎秒、平均で申し上げますと、六十二立方メーター毎秒から六十五立方メーター毎秒くらいになるというふうに見ております。またそのうち阪神では、最大が約七十三立方メーター毎秒から七十五立方メーター毎秒、平均では約六十一立方メーター毎秒から六十二立方メーター毎秒というふうに微増をいたしております。なお、手当てをされている水量は約五十七立方メーター毎秒、阪神地域では約五十四立方メーター毎秒でございまして、この供給実績には約二十立方メーター毎秒余の不安定取水が含まれているというふうに考えております。  以上が現状でございまして、将来における問題につきましては、関係各省庁といろいろな議論をいまいたしている段階でございます。
  11. 野口幸一

    野口委員 いま御報告をいただいたように、水資源といいますか、水の需要は全体として鈍化傾向にあるということでございますが、十年前にこの琵琶湖総合開発を開始されるに当たりまして、いわゆる水の需給見込みというものをお立てになった時点から今日のこの状況考えてみますと、当時はもちろん経済的にも成長時代にありましたし、また今日ではそれが鈍化をしているという状況でありますから、おのずと水の需給の問題についても変化があるものと思われますが、この需給計画の見直しというか、そういうものをおやりになっていると思いますが、いかがなものでしょうか。
  12. 高秀秀信

    高秀政府委員 現在、淀川水系につきましては水資源開発促進法に基づいて指定水系に指定いたしまして、昭和四十七年に昭和五十五年までの水資源開発基本計画を策定いたしております。それはいま先生の御指摘のあった点でございますが、これの改定につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、現在関係府県からいろいろな要望を聞いております。それから関係省庁とも協議を続けているわけでございまして、今後正式に関係府県意見、あるいは法律の定めによりまして水資源開発審議会意見等も聞いて、閣議で改定をするという段取りになろうと思いますが、先生お話でございますので、現在まで私ども作業をいたしておりますいわゆる素案、たたき台みたいなものでございまして、今後またいま申し上げましたような手続の段階でいろいろ変化があるという前提で御報告をさせていただきたいというふうに思っております。  私どもいま考えている計画は、昭和五十一年度から最終的には六十五年度までの新規水需要がどうなるであろうかというような作業をいたしておりまして、いままでのいろいろな折衝の過程では、水道用水については、淀川全体といたしまして約四十六立方メーター毎秒、工業用水については約十五立方メーター毎秒、農業用水については約九立方メーター毎秒、合計いたしまして約七十立方メーター毎秒が五十一年度から六十五年度までの新規水需要として出てくるのではないかと考えております。  これに対する供給計画の方は、またいろいろ御議論があろうと思いますが、琵琶湖開発中心に、先ほどお話がございましたような琵琶湖以外の水系であるとか、あるいは琵琶湖以外の淀川の他の河川等々で手当てをしていきたいというふうに思っておりますが、約六十トンが建設または調査中でございます。
  13. 野口幸一

    野口委員 それによって、恐らくそのままだとおっしゃるだろうと思いますが、総合開発基本的な課題であります一・五メートル、毎秒四十トンというこの問題を変更する気はございませんか。
  14. 高秀秀信

    高秀政府委員 先ほど申し上げましたような数字の中には、年によって違いますけれども、二十トンから二十一トンというような、いわゆる不安定取水というふうに私ども申しておりますが、要するに河川維持用水を食っているというような取水量もございます。残りの水需要の増大につきましても、先生からいろいろお話しのように、概括的に申し上げますと、いまのフルプラン昭和五十五年に想定した水量が、ややそれより減りますけれども、六十五年に移行するであろうというふうに、内容によっては異なりますが、そんなことで、いろいろな節水合理化等前提も織り込んでもなお淀川水系に頼る水が要るというようなことから、ぜひ四十トンは琵琶湖開発で対応したいというふうに考えております。
  15. 野口幸一

    野口委員 この問題は、恐らく私どもの計算をさせていただいた段階では少しく差があるように思うのですけれども、今日の段階でこの四十トン問題というのは、いま現在の想定だけで考えるのではなくて、仮に十年、二十年という長い月日を想定いたしますると、その需要というのはわからぬわけでもないわけです。ただ、それまでに、移行するまでに考えなければならないのは、先ほどからも言っておりますように、琵琶湖だけではなくて、あらゆる対策、対応を織り込んだ上の需給計画でなくてはならない。ましてやその琵琶湖というものを、後でまたいろいろとお尋ねをいたしますが、非常に過大評価というか、まだまだたくさん水があるというような形でお考えになって、それを取ればいいというような形だけで計画が進められていくとするならば、私は大変なことだと思うわけでございます。決して私は毎秒四十トンがいまの段階でいいということは申し上げませんが、この毎秒四十トンというのは、非常に渇水期のときに、最低限それを確保するということにいたしました場合、仮にそういうことを想定してみた場合におけるところの琵琶湖周辺、特に滋賀県におけるところの県民が受ける損害は、今日の段階ではまだ十分に把握されていないと思うわけでございます。後ほどこの問題については議論をしてみたいと思うのであります。  そこで、今日まで琵琶湖総合開発が進められまして、経費は総額でいかほどかという問題と、さらにそれは当初の予算に換算すれば大体何%に当たるのかということをお聞きしたいわけであります。私どもの方で換算勘定いたしますと、約六六%お使いになっているということになっておりますが、それに間違いはないかということと、さらに金の面では六六%でありまするが、事業全体は四〇%しか進んでいないということであります。これはどういう理由でお金の方は六六%使って、事業が四〇%しか進んでいないのか。これは事業別内容にもいろいろあるかと思いますが、少しく御説明をいただきたい。
  16. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  御案内のとおり、琵琶湖総合開発計画に基づきます事業は、琵琶湖治水及び水資源開発事業河川事業下水道事業土地改良事業など十八の事業を実施いたしております。これは一部見込みも入っておりますけれども昭和五十六年度末までにやりました事業費合計額は約五千六百十九億円となる見込みでございます。計画策定時の総事業費見込み額は四千二百六十六億円でございました。これは昭和四十六年度価格でございます。先ほど申し上げました実績見込み額は、年度のそれぞれの価格累計でございます。したがいまして、単純に比較するのは無理がございますけれども、一応この当初の見込み額といままでの累計額を比較いたしますと一・三二倍ということになります。名目投資額では三二%多くなった。ただ、御指摘がございましたように、これは計画当初は四十六年度価格でございますので、この価格に引き直しまして比較いたしますと、先生が御指摘ございましたように実質では約六六%ということになっております。  ただし、これは単に二次にわたりますオイルショック等によりまして、工事費あるいは用地費が高騰したというだけではございませんでして、その間それぞれの公共施設等につきまして構造基準等改定がございました。そういうわけで施工基準等改定がなされたわけでございます。あるいはまた、道路等につきましても、いままで以上に環境に留意するというようなことで、のり面の処理でございますとかあるいは分離帯に植樹するとか、そういう環境面の配慮がかなりなされております。また、下水道事業等につきましても、シールド工法を採用して周囲に迷惑のかからないような工法をやる、こういうことでかなり費用が増高いたしまして、当初計画に予定しておりました目的の事業を実施するにしましても、かなり大きな経費を要するといったような実情にございます。  そういうことを勘案いたしますと、事業量ベースの進捗率で見ますと、事業費ベースの先ほどお話に出ました六六%を下回ることになって大体五割程度かな、こんなふうに見込んでおるわけでございます。
  17. 野口幸一

    野口委員 今回の提案によりまする予算総額は九千六百二十八億と聞いております。そういたしました場合、残りの事業量全体、十八事業プラス新事業四つでありまするが、これが今日の段階では完成する、こういうことであろうと思うわけであります。そういう考え方でまいりますると、たとえば今日までの事業で、先ほどちょっとお触れになりましたが、増加額というのは、そういった物価の変動によって上がっていった、オイルショックとかいろいろなことがございましたということでございます。そのほかに、環境面を勘案して、いろいろな工事の中にあって当初予定をしていなかった工法を用いたり、あるいはまた手当てをしたために金額がふえたのだ、こういう御説明がありましたが、そういうためにお使いになった金額というのは、大体全体の工費の中でどのくらいを占めているかおわかりになりますか。いわゆる環境保全のためにいかほど既定経費の中でお使いになったか。
  18. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほど事業費がふくらんだ理由でいろいろ申し上げましたけれども、実は複雑な要素が絡み合っておりまして、ある一つの事業につきましても、工法の変更に伴う施設単価の増高とかあるいは環境対策の実施に伴う費用であるとか、あるいはまた下水道、屎尿処理でございますと、水質保全のためにさらに一層の充実を図るというようなことで、高度処理の採用に伴う増高等もございますし、そういったいろいろな複雑な原因が絡み合って、一応全体の工事費が増高したというようなかっこうになっておりまして、それを一々いま御指摘のような原因別に分析をいたした資料が実は手元にございません。
  19. 野口幸一

    野口委員 余りはっきりしないわけですけれども、今回提案されるに当たって新たな四事業を加えられまして、環境面あるいはまた水質保全面を少しく考えよう、そういったお考えは非常に結構なことであると思います。ただ残念なことに、中の予算額は非常に少なくて、微々たるものでございます。果たしてそのようなことで、今後この開発もさることながら、水質の保全が保たれていくのだろうか、非常に危惧するわけでございます。  そこで、ちょっとこの際琵琶湖の汚染状況を明らかにしておきたいと思うのでありまするが、環境庁お越しでございますか。——琵琶湖の今日時点におけるところの汚染の現況をちょっと簡単にお伝えをいただきたい。
  20. 長谷川正

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  琵琶湖の水質の汚濁の現状をCODで見てみますと、五十五年度において北湖で二・二ppm、南湖で三・一ppmでございます。窒素、燐につきましては、県の調査によれば、五十五年において北湖で窒素で〇・二九ppm、燐で〇・〇一〇ppm、南湖で窒素につきましては〇・四一PPm、燐につきまして〇・〇二七ppmとなっております。  なお溶存酸素につきましては、五十五年度において北湖で九・八ppm、南湖で一〇ppmでございます。  大体ここ十年程度の経年変化で見てみますと、北湖の窒素については若干悪化の傾向が見られますが、その他の項目については、南湖、北湖ともにほぼ横ばいの程度で推移しております。
  21. 野口幸一

    野口委員 そこで先ほどに戻りますが、こういった汚染の状況でありまして、悪化をしていく状況にあるということは間違いないようでありますし、また最近、ここ数年は赤潮も発生をいたしております。もちろんこの原因究明もいろいろとやっておりまするが、いまだに判然としたものがないということでありまするけれども、いずれにしましてもよくはなっていないわけであります。そうしますと、この十年間のこれから先のこの開発計画の中で、少なくとも現状を維持し、さらにまた水質をよくしていこうという水質面におけるところの配慮というのは、この予算額の中で明らかに保持できる、あるいはまた向上できるということを言明できますか。
  22. 宮繁護

    宮繁政府委員 今回の改定によります開発事業のうち、水質あるいは自然環境保全対策関係事業といたしましては、下水道事業その他都市公園事業等やるわけでございますが、それに先ほどお話がございましたように、農業集落排水処理施設整備事業等、新しく四つの事業を追加することにいたしております。これらの事業費は今後十年間で約三千百二十三億円でございまして、全事業費、今後十年間九千六百二十八億円でございますので、約三二%程度になっております。  なお、特にこのうち水質関連事業といたしましては、下水道、屎尿処理あるいはこの新規の四事業合計で約三千十六億円になっておりまして、全事業費の総額に対しまして約三一・三%になっております。これらの事業につきましては、今回の改定に当たりまして、各省庁にお願いいたしまして、目いっぱいの事業費見込みをお願いしたわけでございます。  それで、これらの事業を実施することによって、琵琶湖の水質が今後どうなるかということでございますけれども、大ざっぱに申し上げますと、大体昭和四十年の当初ぐらいの水質に改善できるのではないか。御承知のとおり、琵琶湖は三十年代にはわりあいきれいでございましたけれども、三十九年から四十年の初めにかけまして汚濁が進行してまいった。四十年の後半にはかなり顕著になりまして、異臭その他の問題が出てきました。五十年に入りましてから赤潮の問題まで出てきたというような状況でございます。それで、いま申し上げましたように、琵琶湖総合開発計画ではいわゆる事業を実施するわけでございますけれども、このほかやはり工場の排水の規制であるとか、あるいは今度滋賀県で燐を含む洗剤の使用の規制をされておりますとか、なお農業関係でも肥料の使い方の合理化を図るとか、そういうあらゆる他の施策も必要でございますけれども、いま申し上げましたように、四十年代当初ぐらいの水質に何とか今後十年間努力をして持っていきたいと考えております。
  23. 野口幸一

    野口委員 そこで、もう一つ突っ込んで申し上げますが、仮に今後工事を遂行していくといたしましたときに、水質の悪化が非常に顕著に出てきた、あるいはまた赤潮の発生がより激しくなってきたというような現状が起こってきた場合、本計画を変更して水質保全のためにさらに一層拍車をかけた事業といいますか、手だてといいますか、そういうものをやるということは今日時点でお考えですか。
  24. 宮繁護

    宮繁政府委員 今回お願いしている法律の中でも、この琵琶湖総合開発計画は、滋賀県の知事さんが案をおつくりになりまして、総理大臣がこれを決定する、この間、関係各省庁と十分協議してこの計画をつくり上げていくわけでございますけれども、いろいろな情勢の変化があった場合にはこれを変更するという規定もございますので、必要があればそういう方向に持っていきたいと考えております。
  25. 野口幸一

    野口委員 それでは具体的な問題について少しくお尋ねをいたします。  まず、水位低下による影響問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。  水位低下に伴うところの影響は、当初から言われておりますように、いつもマイナス一・五メートルにするんじゃない、十年に一回かあるいはまた十五年に一回か知らないけれども、そんな程度の、およそ考えても十年に一回程度のものであろう、そういうときに影響をするのであるからというようなことで今日まで過ごされてきておるわけでありますが、渇水年において水位一・五メートルを下げた場合、ゼロメートルに復する期間はおよそ何日と考えておられますか。
  26. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  四十トンの水開発を行いました場合に、マイナス一・五メートルまで水位を下げまして、そういった水量開発するわけでございますが、過去におきまして、昭和十四年に大渇水の年がございましたが、その十四年から十六年ぐらいにかけてのときのような気象状況が再現されたということにした場合に、いまお話がございました水位を回復するにどのぐらいの日数が要るかということでございます。これは試算をしてみますと、マイナス一・五メートルからマイナス〇・五メートルまで回復いたしますに、計算上は六十日という計算になっております。
  27. 野口幸一

    野口委員 マイナス一・五でしたときに、マイナス〇・五までが六十日ですか。
  28. 川本正知

    ○川本政府委員 マイナス一・五メートルからマイナス〇・五メートル、いわゆるマイナス五十センチまで回復するのに約六十日でございます。
  29. 野口幸一

    野口委員 これは私も持っておりまするが、たまたま一・五メートルに下げた時点というのがいつになるかわかりませんけれども昭和十四年から十六年にかけて異常渇水時期があるわけでありますが、その間、マイナス〇・五以下になっているのが八百二日、それからマイナス一・〇以下になっているのが七百六十四日、それから勘定いたしますと、さらにその時点で一・五メートルまで下げるということになりますと、下げる時点をいつにするかということはわかりませんが、仮にこの法律が施行されて実行されたという場合、直ちに、一番減ってきたその時期というときに毎秒四十トン、一・五メートル下げてくれということで下げたといたしますと、その日数は年を越えまして、たとえば昭和十四年の八月なら八月の時点で一・五メートル下げますと、十五年、十六年と、一年間ずっと渇水が続いて、十六年の九月にならないとマイナス〇・五メートルまでにはいかないわけですね。一番最終日ではないのでしょう。始めたときから勘定いたしますと、仮にそれが一回やったとして、それは異常渇水時期ですから常に下がっているわけなんです。そのときに、いつの時点で一・五メートル下げるかということが問題なんですけれども、いまのこのやり方でいきますと、下がったときにはとにかくくれというのですから、一番初めのときにそれをとったといたしますと、これは、その日一日だけで明くる日からまたもとへ戻すわけではないでしょうし、御案内のように、この表を見ますと、この時期はずっと渇水期であるわけですから、仮にいまここまで、マイナス〇・五メートルから始まりまして一・〇下がって、そのときに仮に一・五下げるとここまで下がってくるわけですね。この日数というのは六百七十何日というものになるわけですね。六十日で戻るというのは、戻る時期のところにこれを当てはめればなるほど六十日で戻るかもわからない。その前に渇水状況はあるわけなんですから、これは六十日で戻りませんね。ましてや、一・五メートル下がったというのをゼロメートルまで回復するには、およそ七カ月から八カ月かかる計算になるんですが、どうですか。
  30. 川本正知

    ○川本政府委員 いま、先生いろいろとデータをお示しになりましたけれども、私どもの方も、昭和十四年の渇水のときの水位の関係水量関係、そういったものから四十トンの水開発をしたということを仮定いたしまして、そして水位の変動を追跡して計算をいたしました。そういった結果が大体六十日ということでございますので、先生がただいまおっしゃいましたように六百日ですか、そういうような長期間の回復日数が要るということは考えられないと思っております。
  31. 野口幸一

    野口委員 考えられないってね、この異常渇水昭和十四年から十六年の間に、水位は一番最低でマイナス三メートルまでいっているわけですね。これは一・五メートル以上のものですが、一・五メートル下げる時期をいつにするかということによってもとへ戻る時期というのはあるわけです。そのままいった場合でも、マイナス〇・五メートル以下というのは全部で八百二日間続いたわけなんです。そして、マイナス一・〇メートルは七百六十四日続いたのです。それをさらに、どの時点で一・五メートル下げるのか知らないけれども、当初の一番減ってきた時点で一・五メートル仮に下げたとするならば、これは物すごいですよ。そんなものとても六十日では戻りませんよ。どんな勘定をされるか知りませんが、それは誤りですよ。
  32. 川本正知

    ○川本政府委員 昭和十四年、十五年の渇水のときでございますが、その当時はマイナス一・〇三メートルというのが最低水位でございました。そういったことから、そのときの流況を考えまして、四十トンの水開発をするということで計算してみますと、最低水位は約二メートル近いところまで下がるということにはなります。そういうデータをもとにして先ほど申し上げた計算をして、回復日数を計算してみたわけでございますので、私どもの計算に間違いはないと思っております。
  33. 野口幸一

    野口委員 これを突き合わせてここで議論しても時間がかかってしようがないと思いますが、少なくともあなた方の勘定しておられる、いわゆる一・五メートル下げた時点でゼロメートルに回復する時期六十日というのは、およそ考えられないと私は思いますよ。私はこれは提案申し上げるのだけれども、一遍異常渇水年でもいいから、渇水年にそういうことをやったら大変だと思いますけれども、一・五メートル下げてみて、ゼロに戻るまで何日かかるのかやってみたっていいと私は思うのですよ。これはこの間も県の方に言ったら、そんなことをしてもらったら大変だと言いますけれども、全然仮空で一・五メートル下がったらどうなるだろうだけで話をしていたんでは、これはどうしようもないと思うのですよ。過去の実績の、いわゆる異常渇水年であった年の一メートル以下に下がった日数だけがずっと続いて七百何日あるのですから、約二年ですね。そういう時期に、それをさらに前半の時期において一・五メートル下げるのだということになりますと、これは状況としては変わってくるわけですから、おっしゃっておられる取水の時期というのは、いつの時期で一・五メートル下げるのか。この時期で下げるのか初めの時期で下げるのかで回復期がずいぶん違います。これは少しあなた方のお考えが間違っていると思います。取水の時期によって違う。渇水期に入ってきていつの時期に一・五メートル下げるか、その時期によって違ってくる。回復日数というのは、最後のところの回復期に戻りつつあるところで一・五メートル下げたらそれは早いでしょうけれども、異常渇水がいつまで続くかということは想定できませんけれども、仮にずっと異常渇水が続く、このような状況にあった場合に、前半の年にこれが一・五メートル下げられますと、これは復するのに六百日以上時間がかかるということになるわけです。いかがです。
  34. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  当時の水位の状況は二つぐらいに谷底が分かれておりまして、そういったことから、先ほど来御説明して重ねての答弁で恐縮でございますけれども、水位の状況、それから琵琶湖に入ってくる水の状況といったものを全部その当時のものを復元いたしまして、そうして計算した結果が、いま申し上げたような約六十日という数字になっておるわけでございまして、その辺、先生の御説明の実態の話との差がどこにあるかということはございますけれども、私どもとしては、その当時の水位その他の記録を忠実に再現してみたという結果でございます。
  35. 野口幸一

    野口委員 余りにも差があり過ぎますから、もうちょっと時間をかけて言わなければならぬと思いますが、たとえばもう一つの資料があります。  昭和五十三年七月から昭和五十四年三月にかけて八、九カ月程度の水位、これは最近で一番水位が落ちた年なんですが、昭和五十三年十一月でございますか、これがマイナス七十三センチまで下がっておるときです。これがマイナス七十三センチからゼロメートルに復しますまでに約三カ月かかっております。一・五メートル下げない。もちろん操作はやっていませんが、現在で昭和五十三年のデータを見ましても、マイナス七十三センチからゼロメートルに戻るのに三カ月、マイナス五十センチまでに戻るのに約二カ月かかっております。だから、あなたのおっしゃる六十日でもとへ戻るなんということは、この表を見たってうそですよ。だから、ちょっとその辺はもう少し御検討いただかなければならぬと思うのでありますけれども、話を進めるために、一・五メートル仮に下がった状況で、一体琵琶湖の全体の水辺はどのような状況になるのですか。
  36. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  マイナス一・五メートルまで水位が下がるということを当然私ども考えに入れて、いろいろと計画を立てておるわけでございますが、さらに非常の渇水時の場合も考慮いたしまして、琵琶湖開発事業におきます補償の対象水位といたしましては、琵琶湖の基準水位からマイナス二・〇メートルと定めて対策を講じておるところでございます。  まず、マイナス一・五メートルまで下がるといたしましても、湖水位が低下いたしますので、湖水から水を取っておる施設、たとえば農業用水の施設であるとか上水の施設であるとか工業用水の施設とかといったものに支障が生ずるというふうなこともございますし、また港湾関係、水産施設といったものに対して支障が生ずるということが予測されます。また、漁業に対する影響といたしましても、いわゆる浅瀬部分が出てまいります。干陸化ということになりますが、そういったことによりまして魚類の産卵あるいは生育の地域が減るということ、あるいは魚類や真珠の養殖施設の機能の障害が起こるということ、あるいは内湖の水位低下ということが伴って生じますので、そういったものによります水産施設の機能障害といったものが出ることも予想されます。また、湖水位が低下いたしますと、それに伴いまして地下水位も低下するということが考えられますが、いわゆる井戸の枯渇あるいは水位の低下、それから水田が地下水位の低下によって減水深が増加するといったようなことが考えられます。
  37. 野口幸一

    野口委員 それも後で聞こうと思いましたけれども、私の聞いておったのはそうではなくて、水位の低下によってなぎさが岸から何メートル下がっていくような状況になってくるかということを聞いたわけです。
  38. 川本正知

    ○川本政府委員 水位が低下いたしました場合に干陸化する幅がどのぐらいかというお尋ねでございました。  現在の湖面積が琵琶湖の基準水位で、ゼロメートルの場合で約六百七十四平方キロメートルでございます。マイナス一・五メートルに下がりますと約六百六十二平方キロメートルになりまして、湖面積が約十二平方キロ減少することになりますけれども、一部でしゅんせつを行うことにいたしておりますので、その分を差し引きますと約十一平方キロメートルが干陸化することになります。  それで、いまお尋ねの干陸化する部分の幅でございますが、全湖の平均にいたしまして約五十五メートルぐらいになりまして、そのぐらいが水から出てくるということになろうかと思っております。
  39. 野口幸一

    野口委員 私の調査によりますならば、平均して五十メートル前後ということかもしれませんが、一番ひどいのは湖北町延勝寺で、五百メートル沖合いにまで水際が下がる。これは最大でございます。  御案内のように、琵琶湖は国定公園でございます。国定公園の景観というのは水がなくては意味がありません。先ほども言いましたように、マイナス一・五メートルまで下げて、回復がゼロメートルということを仮にマイナス五十センチまで、皆さん方の御意見に合わせてマイナス五十センチというのを一つの基準に考えてみても、これは六十日や八十日で戻るわけではない。ましてや、いまお答えになったように、井戸水が枯渇するとかたんぼの水が枯れるとか港が使えなくなるとかという現実的なものはもちろんのことでありますけれども琵琶湖そのものの景観は全くゼロになりまして、国定公園としての価値が、まさかそういうのが六カ月も続く、七カ月も続くということは想定したくはないのですけれども、過去のデータから考えまするとそういうこともあり得るということになりますならば、これは国定公園としての価値は全くなくなってしまうわけであります。この辺については一体どういうふうにお考えですか。
  40. 川本正知

    ○川本政府委員 琵琶湖は、北湖の方は水深がわりあい深うございますから干陸化する面積は少ないかと思いますけれども、南湖は遠浅でございますので干陸化する影響が出てまいります。南湖につきましては、水資源開発公団の方でも水生植物の保全あるいは景観の確保といった面から、干陸化する、しかも人家に近いといった区域を取り出しましてしゅんせつをして、その景観の維持等にも資するように、南湖しゅんせつというものを計画をしておるところでございます。
  41. 野口幸一

    野口委員 いま私が申し上げましたのは湖北町延勝寺、これは琵琶湖の北に当たるところでありまして、琵琶湖国定公園の中で一番景勝の地と言われているところの湖北のここにあるわけです。ここが五百メートル以上沖合いに出てしまうのです。ここは特別指定地域の特二に指定されているところなのです。あなたは南湖はどうの北湖はどうのと言われましたけれども、北湖の一番北の外れにあるこの延勝寺地域においてなぎさが五百メートル下がるのですよ。琵琶湖でももちろん一番大切な、大切ではないところはないですけれども、一応湖北の一番景観のいいところで五百メートル水際が下がっていくという状況があるわけです。国定公園の値打ちはまさにそこで全くなくなってしまうのじゃないか。こういったことについての対応措置といいまするか、一体どういうように思っておられるのでしょうか。
  42. 川本正知

    ○川本政府委員 いま先生指摘の場所等につきましても、個々の琵琶湖の個所個所につきましていろんな状態が考えられると思います。そういった個所別の対策といったことはそれぞれの実態に応じたものが必要になってこようかと思いますけれども、地元の市町村あるいは滋賀県、そういったものとの折衝の中で、いろいろとそういった御要望もあればそういったものを受けて対応を考えてまいりたい、そう思うわけでございます。
  43. 野口幸一

    野口委員 そうしますと、今度のこの十年プラスまた十年ですが、計画の中には国定公園の損傷にかかわる対応策というのは入ってないのですか。
  44. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  琵琶湖の湖岸には、治水上の対策といたしまして、湖岸堤を設けるといったようなことも考えております。その湖岸堤を設ける場合に、いろいろと景観上の問題も考えてやるわけでございますけれども、いまおっしゃるような個々の個所について、そういった景観上の問題からしゅんせつが必要だといったようなことがありますれば、そういったところを対象にしゅんせつをして湖岸堤を建設する材料に使いたいというふうなことも考えておりまして、個所個所によってそういう対応を考えてまいりたい、そう思っておるところでございます。
  45. 野口幸一

    野口委員 環境庁の自然保護局の計画課長、お越しですね。——国定公園は琵琶湖の何%が占められているのか、あるいはまた特別地域はなぜ普通地域と分けられているのか、それから特別地域は法によって確立されていると思われますが、そういった意味で特に琵琶湖の指定地域の特別地域がどのような状況にあるか、ということは、知事としての権限としてどのような対応があるのか、自然公園法の立場から見てお答えをいただきたい。
  46. 中島良吾

    中島説明員 御説明申し上げます。  琵琶湖はその全域が琵琶湖国定公園の区域に含まれておりまして、一部が普通地域となっておりますほかは、大部分が特別地域に指定してございます。この特別地域と普通地域の違いでございますが、一般的に申し上げれば、地形、植生などにあわせまして、史跡などの文化財から成ります自然景観がその公園の特質を形成しておりまして、さらにその状況が非常に良好な状態で維持されている地域、こういうものを特別地域に指定しているわけでございます。それ以外は普通地域と指定するという仕組みにしてございます。  さて、琵琶湖国定公園でございますが、これはわが国最大の湖であります琵琶湖中心とした水域の自然景観が主力でございまして、それを取り巻く山々や文化財等の存する地域を特別地域といたしまして、水域の中で港湾区域等、人工施設がすでに設置されている部分ですとか、陸域の人工林ですとか農耕地などを含めまして、景観保護上必要な地域につきましては普通地域にしているというのが現状でございます。  それから、琵琶湖の水域に指定されております特別地域は六万七千ヘクタールでございまして、湖全体の約九八%が特別地域になってございます。それから、普通地域は一千五百四十一ヘクタールでございまして、二%でございます。  それから、水位の問題でございますが、自然公園法十七条第三項四号に、湖沼、河川の水位、水量に増減を及ぼさせる行為につきましては、通常であれば国定公園は知事の許可が必要でございます。国立公園であれば環境庁長官の許可が必要ということで、自然景観保護を図っているわけでございます。
  47. 野口幸一

    野口委員 そこでお尋ねをいたしますが、この前の琵琶湖総合開発特別措置法ができまする際に、昭和四十七年三月二十七日付で、政調会長小坂善太郎、建設大臣西村英一、大蔵大臣水田三喜男等々の関係大臣並びに大阪府知事、兵庫県知事、滋賀県知事が協定をいたしました申し合わせ事項の中で、瀬田川洗堰の操作権の問題、「非常渇水時における操作については、関係府県知事の意見を徴し、建設大臣がこれを決定する。」こういうくだりがございます。これは生きておりますか。
  48. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  ただいま先生お話しがございました申し合わせ事項の中にもそういうふうに書いてございますし、水資源開発公団の事業の実施方針が出ておりますが、その中にも、いまおっしゃいましたように、非常渇水時におきましては、洗いぜきの操作については、関係府県知事の意見を徴して、建設大臣が決定するというふうに書いてございます。
  49. 野口幸一

    野口委員 「非常渇水時における操作」という非常渇水時というのはいつですか。
  50. 川本正知

    ○川本政府委員 琵琶湖の基準水位のマイナス一・五メートルが利用低水位でございますが、それをさらに下回るようなときが非常渇水時であるというふうに解しております。
  51. 野口幸一

    野口委員 そうすると、いつもはだれがこれを動かすのですか。
  52. 川本正知

    ○川本政府委員 そういった時期も含めまして、洗いぜきの操作は建設省、建設大臣が操作をすることになっております。
  53. 野口幸一

    野口委員 おかしいじゃないですか。いま環境庁の方からも御説明がありましたように、自然公園法の十七条によりますならば、この特別地域、つまり琵琶湖の水位を上げたり下げたりすることは、県知事の許可がなくてはできないのだということになっています。そうしますと、変えて言うならば、琵琶湖の水位の上げ下げをする権限は、当該県知事が持っているというふうに法律で決められているわけですが、これを無視して建設大臣が操作していらっしゃるという現状は、どういう理由なんですか。
  54. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  琵琶湖の水位操作につきましては、琵琶湖の国定公園にかかわる特別地域の指定が昭和四十九年二月十五日にされておりますが、その以前から、琵琶湖並びに下流河川の適正な河川管理を図るために、その水位、水量等を把握しながら行っていたところでございますし、その操作の内容が仮にマイナス一・五メートルあるいはそれを下回るということになろうとも、当該操作行為そのものにつきましては、従前から行われております瀬田川洗堰の操作の一環として考えられるわけでございます。といいますのは、瀬田川洗堰の敷高がマイナス三・五七メートルになっておりますし、そういったことから考えましても、従来からの操作の一環ということで自然公園法、いま先生おっしゃいました十七条第三項ただし書きに定めます既着手行為というふうに解せられるのじゃないかというふうに考えておりまして、そういう解釈で私どもは対応いたしておるところでございます。
  55. 野口幸一

    野口委員 恐らくそうおっしゃるだろうと思っておりました。  しかし、考えてごらんなさいよ。琵琶湖の水の上げ下げをするということで洗いぜきは操作されているわけですけれども、洗いぜき自身の個所も、実はそこは琵琶湖国定公園なんです、あるところも。河川法を盾にとってといいますか、そういう形の中で、国定公園に指定される前にすでに洗いぜきがあったんだからということで、既得権といいますか、そういうものだからといって、この法律を犯してもいいということに解釈上なりますか。少なくとも今日、この自然公園法の十七条の中に、明らかに、法律によって自然公園にかかわるその水位の操作権は知事にあるということが明確にされている以上、既得権だからといって、いままでそのままに水の上げ下げは建設大臣が持っているということはおかしいじゃないですか。これはどう考えてみても納得がいかない問題なんですが、その辺を明らかにしてください。
  56. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  瀬田川の洗いぜきは、河川法に定められております河川管理施設でございますから、河川管理者である者が操作権を有するというのは当然のことだろうと思います。  先生指摘のことは、自然公園法に基づきまして、「河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせる」行為がある場合には、府県知事の許可が要るということでございまして、操作あるいは管理権といったものとは別物だと私は思っております。それにいたしましても、先ほど御説明いたしましたようなことで従来から洗いぜきの操作というものはやっておることでございますし、それの延長であるという解釈をしておりまして、既着手行為というふうに先ほど申し上げましたように、その範疇に入るのではないかというふうに考えておるところでございまして、今後、環境庁、関係省庁関係府県ともそういった点については十分相談はしなければいけないとは思っておりますけれども、私どもとしては、いま申し上げたような解釈をして対処したい、そう考えているところでございます。
  57. 野口幸一

    野口委員 全くそれは建設省の勝手な解釈でして、それは河川法による考え方あるいは既着手行為ということでのお考え方、それは一つの考え方でありましょう。しかし別の方の法律、少なくとも自然公園法という一つの法律の中で、その水位の操作権というものは知事に存在するということが明確に書いてある以上、少なくとも先ほど言いました申し合わせ事項は、異常渇水時における操作については建設大臣が決定するということもさることながら、異常渇水時ということは一・五メートル以上のときだとおっしゃいまするからこれは別に置いといても、平常時の場合の操作権が滋賀県知事にないというのはおかしい話じゃないですか。それは河川法の解釈いろいろとございますが、自然公園法の解釈からいってこれは無視されてしまう、これが優先されるのだということはどこにも書いてないはずだと思いますがね。環境庁、一遍……。
  58. 中島良吾

    中島説明員 概しては建設省の答弁にあったとおりでございまして、この水面の特別地域指定が四十九年二月十五日でございます。その時点におきまして、すでに河川法等に基づく権限を有した河川管理の水の利用状況が特定されておりますれば、その件については自然公園法十七条第三項ただし書きに基づきまして、既着手行為として許可を要しない行為というふうに規定されているわけでございます。
  59. 野口幸一

    野口委員 これは工事でしょう。あなたの解釈もおかしいんじゃないの。既着手問題というのは、工事を行うときはいわゆるいろいろな工事を、建造物とかそういうことをやって、そのことによって水位が変化をする、そういうことについては云々ということであって、何にもしないのですよ。ただ景観を保持するために水位の上げ下げという問題は、このただし書きに入らない、どうですか。
  60. 中島良吾

    中島説明員 既着手行為につきましては、括弧で「第四号の二に掲げる行為を除く。」ということでございますので、水位、水量に増減を及ぼさす行為そのものは入らないということになろうかと思いますが、しかしこのただし書き事項と申しますのは、全体にすでに権限等がありまして、もしくは慣習等によりまして、すでにその行為が行われていた時点で特別地域に指定して公用制限を課す、こういう時点では当然としまして、過去の権限なりというものが新たな法律の規制を要しないということがこのただし書きの精神でございまして、そういう意味合いで、そこで特定されているすでに持っている権限、自然公園法以外の法律により付与されている権限につきましては、当然に許可を要しない、つまり既着手行為という規定になっているわけでございます。
  61. 野口幸一

    野口委員 それはあなたの解釈間違っている。それはあくまでも既着手行為というのは、一つの建造物あるいはまた河川においてはしゅんせつだとか土手をこしらえるとか、いろいろなことをやることによって、水位に変化を及ぼすような行為がなされていたということについては、既得権があるということについては私も認めましょう。しかし平常時の水位を保つということは、平常時の水位を保つあるいは上げたり下げたりするということは、その権限はあくまでも知事にある、これは法律のただし書きには入らない。それは絶対入らない。それはいろんな行為をするときは、あるいは行為をされたいわゆる一つの建造物があった、そのことを操作することによってできる云々ということを言われるわけですけれども、平常時におけるところの水位の上下というものの権限はあくまでも知事が持っているはずなんです。だからあなたの言うようなただし書きはここには該当しない、こう思いますが、いかがですか。
  62. 川本正知

    ○川本政府委員 洗いぜきの操作によりまして琵琶湖の水位を上下するわけでございまして、その琵琶湖の水位を操作する権限は滋賀県知事にあるということにつきましては、先ほどお話し申し上げましたけれども、あくまでも河川法に定めました河川管理施設でございますし、その河川管理者たる建設大臣の権限であるというふうに解しております。ただ、その操作規則を定めるにつきましては、あるいはそれを変更するにつきましては、河川法に基づきまして関係都道府県知事の意見を聞くこととされておりまして、当然そういった操作規則を今後また定めていくわけでございますが、その時点におきましては、滋賀県知事の御意見も十分尊重して考えていきたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  63. 野口幸一

    野口委員 河川法というのは字のとおり川ですが、琵琶湖も川ですか。
  64. 川本正知

    ○川本政府委員 河川法、法解釈の上から琵琶湖は完全に川でございまして、一級水系淀川になっております。
  65. 野口幸一

    野口委員 そうすると、仮に河川法というのが優先される場合は、たとえば湖沼法という法律が仮にできるとします。そうするとその法律は、琵琶湖の場合は両方かかるわけですか。川の方にもひっかかる、湖沼という立場にもひっかかるわけですか。そうすると、琵琶湖は二面性を持っているわけですね。
  66. 川本正知

    ○川本政府委員 河川法は琵琶湖も含めまして河川が公共の福祉のために適正に利用され、また災害を防除し、そういったことの目的を持って行使されるものでございまして、湖沼法がどういう内容になりますか、これからの問題でございますが、これは湖沼の環境を保全するといった立場からの法律と聞いておりますし、そういった面で区域は重なりますが、おのずからその対象とする行為、目的、そういったものはダブるところもございますけれども、それは差し支えないんじゃないかと思います。
  67. 野口幸一

    野口委員 禅問答してもしようがないけれども、少なくとも私の考えから言うならば、この自然公園法の十七条から考えてみても、平常時の琵琶湖の水位を上げたり下げたりするというこの操作権は当然知事に存在をしていて、それと河川法によるところの操作権という問題とが競合する形になっていると少なくとも解釈すべきだ。そうすると、当該府県知事の意見を徴さないで現在のところ操作が行われているわけなんですが、こういうことはあり得ぬことなんですね、本当ならば。先ほどもおっしゃったように、いままだこの洗いぜきの操作についての取り決めができてないんですね。なぜできてないかと言うと、いままでは建設省が河川法に基づくところの既得権だと言って勝手に動かしていた。琵琶湖の所在する滋賀県知事は、諮問されるような形で、どうですかと聞かれるような立場にだけしか置かれていない。そうじゃなくて、その中に入っていく権限はこの自然公園法から考えてみても、少なくとも平等以上の権限がそこに存在すると考えて当然だと思うのですが、いかがですか。仮に一歩下がってあなたのおっしゃるように河川法がある、既得権がある、こう考えてみても、一つは自然公園法十七条によるところの水位権というものは知事が持っているとするならば、その基本権というのは当然いままで以上の強さというものがあってしかるべきだと思いますが、この辺の解釈はいかがですか。
  68. 川本正知

    ○川本政府委員 河川法に基づきます河川管理施設を河川管理者が管理をするということは、これはいわば当然のことでございまして、そういった管理をいたします際に、他の法律関係をするところが出てまいりますれば、当然その法律に対する対処をしなければいけないということも当然であろうかと思います。ただ、いま重ねていろいろ御指摘がございました自然公園法の規定によりますと、そういった内容を判断いたしましても、その琵琶湖の瀬田川の洗いぜきの操作につきましては、既着手行為と解するべきであるというふうに考えておりまして、したがって、先ほど環境庁からもお話がございましたように、法律第四十条に基づきます協議は必要ないと考えております。
  69. 野口幸一

    野口委員 私は、あくまでもそれは間違っている、既着手行為の中に入らない。工事そのものによって水位が変更する場合はあり得るかもわからないけれども、平常の場合の水位の操作権というのはあくまでも県知事に存在する、こういうことを明確に申し上げておきたいと思います。少なくとも河川法によるところの操作権というのは、河川法に基づくところの権限があるということは承知いたしますが、一方、自然公園法によるところの水位決定権が知事に存在するということだけは明らかでありまするから、少なくとも協議体にすべきであるし、また、その意見が徴されなければ、その意見によって操作というものが行われるということが最低限保障されなければ意味がない。何のために自然公園法の十七条が存在するか意味がないということになりますし、先ほど来申し上げておりますように、水位が一・五メートル下がって、なぎさが五百メートルも突き出るというような事態が六カ月も七カ月も続く。自然公園法から考えた場合には、まさに国定公園を解消しなければならぬ状態が起こり得る可能性がある。そんなことを一方想定し得る状況の中にあって、琵琶湖の水位の操作権が滋賀県知事に一片のかけらもないというような御答弁は、私は納得しかねる。その点については、これはあなたと私は意見が違うようですからあえてここでもう少し詰めようとは思いませんが、しかしそういった点については、今後の洗いぜき操作については重大な影響を及ぼす課題ですから、十分検討をしていただかなければならぬ。滋賀県側の意見も十分尊重をしてもらわなければならないし、そのことによって今後問題化される一・五メートル、毎秒四十トンという問題についても、給水開始時期の問題についてもいろいろな課題が今日存在するわけでありますけれども、そのことが明らかにされない限り、滋賀県側は簡単に、よろしゅうございますとは言わないだろうと思いますし、私ども、私も滋賀県の出身でありまするから、滋賀県民の感情としましても、そんな建設省の一方的な操作でやられるのなら御免だということだけは明らかになってくるだろうと思います。その点についてもう一言だけあなたの方の釈明を聞きたい。
  70. 川本正知

    ○川本政府委員 法律上の解釈につきましては、私も先ほど来何度か御答弁したようなことであろうかと思いますけれども、実際問題の洗いぜきの操作規則の制定、それにつきましては、当然のことながら関係の府県知事の意見を聞いてその操作のルールを定めていかなければいけないということでございますし、前回の法律の場合の附帯決議の中にも「非常渇水時および洪水時における洗堰の操作については、滋賀県知事の意向を尊重しつつ、関係府県知事との調整を図ること。」というふうに書いてございます。当然のことながらわれわれはそれを十分わきまえて、今後の操作規則の制定に当たりたいと思っております。  また、先生おっしゃいましたように、琵琶湖の中でのいろいろな自然景観が損ずるというふうなことにつきましては、その個所個所によっての対応ということを十分考えていかなければなりませんし、私どもといたしましても、琵琶湖は国定公園、日本一の美しい湖でございます。そういったところの景観が損なわれないようにできるだけの努力はしていきたい、そう思っておるところでございます。
  71. 野口幸一

    野口委員 言葉を返すようですが、十年前にこの附帯決議ができて、そしてこの附帯決議の中で操作の問題についても触れられておるわけですけれども、今日、まだその操作規定といいまするか、そういうようなものができ上がっていないんですね、十年間かかって。そうでしょう。まだでき上がっていないんでしょう。洗いぜきの操作の問題については、十年かかってまだできていないんでしょう。それは一体何が原因しているのかということは、あなた方一番御存じなはずです。いままで私どもが旧聞をいたしておるところによりますならば、滋賀県側の意向というものが余りにも無視されてきているということだけは明らかなようでありまするから、あえてその問題については、もっと前向きに御検討いただかなければならぬということだけを申し添えておきたいと思います。  次に、この工事の完成以前に給水を、つまりそういう時点があった場合、いわゆる異常渇水といいますか、そういうことがあった場合には一・五メートル下げて毎秒四十トンを確保しろというようなことがささやかれておりまするが、その点についてはどのようなお考えをお持ちですか。
  72. 宮繁護

    宮繁政府委員 この琵琶湖の利水をめぐる問題、また治水も含めまして、先生承知のとおり、近くを見ましても、明治、大正、昭和と大変いろいろな複雑な経緯もございますし、利害関係も錯綜いたしております。  そういう中で、昭和三十年に入りまして、下流から水が欲しいというようなことで、関係府県でいろいろ御相談されまして、十数年目の昭和四十七年に至りまして、毎秒四十トンの水を下流に分けてやるというようなことが決まったわけでございます。そういう経緯を十分頭に入れまして、この水供給の時期につきまして、私どもはやはり関係府県で十分協議が調った上で、その上に立って決められるうきものであるというふうに考えております。現在、関係府県におきまして、この点につきまして鋭意御相談をされておるわけでございまして、できるだけ早い時期にこの関係府県の合意、協議が得られるようにということを見守っているような状況でございます。
  73. 野口幸一

    野口委員 それと、先ほど来懸命に御主張になっておる洗いぜきの操作権との問題の関連はいかがなものですか。
  74. 川本正知

    ○川本政府委員 洗いぜきの操作規定そのものは、先生指摘のように、現在は案というもので運用をしているわけでございまして、正式に制定されておるものではございません。でございますから、先ほど申し上げましたように、私どもとしても操作規則を正式に制定するということをできるだけ早くやりたい、そう思っております。今後の水資源琵琶湖総合開発事業の進捗をにらみながら、できるだけ早い時期にそういう制定を図りたいということで努力してまいりたいと思います。
  75. 野口幸一

    野口委員 いや、ちょっと質問がわからなかったかと思いますが、給水開始ですね、法によるところの毎秒四十トン、一・五メートル下げるというものですね。この開始時期を各関係府県の協議によって決められるということですね。そうすると、それは関係府県の協議によって決められる。それと瀬田川洗堰操作権は建設省が仮に持っているということになるならば、それとは関係なく上げたり下げたりできるのじゃないですか。そういうものじゃないの。あなたの先ほどからの意見によれば、そういうものは一切関係なくやれるのだというふうに解されますが、そうじゃないんですか。そうじゃないんですね。なければそれでいいんです。
  76. 川本正知

    ○川本政府委員 ちょっと御質問の御趣旨がよくわからないのですけれども水供給を始める時期と、それからせきの操作を決める時期ということの関連でございますか。
  77. 野口幸一

    野口委員 水供給を開始する時期というのはいつからやるかということについては、関係府県が決めるんだとおっしゃったでしょう。そうでしょう。そうしたら、その関係府県が決めたら、動かすのは建設省でしょう。その時期によって、動かす権限は持っているんでしょう。そうすると、仮にそれを決めたら、そのことを決めるということは、その瀬田川の洗いぜきの操作権との関係はどうなるんですか、こう申し上げている。
  78. 川本正知

    ○川本政府委員 大変失礼しました。水供給の時期につきましては、関係府県知事が決めるということではございませんで、先ほど国土庁の大都市局長が御答弁されましたように、上流県、下流県でいま協議を進めておるところでございまして、その調整の結果を踏まえて決定したいということでございまして、四十トンの水供給ということは、水利権の付与でございますので、そういったことは河川管理者である建設大臣がやることになっております。
  79. 野口幸一

    野口委員 そうでしょう、最終的には。  そういたしますと、その十年間の総合開発事業が完成しなくとも、いわゆる供給開始ということはあり得るのですか。
  80. 川本正知

    ○川本政府委員 先ほど来いろいろと申し上げておりますように、上下流の県におきまして調整が進められておるところでございますので、私どもといたしましては琵琶湖開発事業の完了予定が昭和六十三年と聞いておりますし、また、琵琶湖総合開発事業そのものは十年延長して昭和六十六年までということになっております。そういったものもありますので、上下流各県の調整の結果を待って今後の対応を考えていきたい、そう思うわけでございます。
  81. 野口幸一

    野口委員 これは大事なところですからきちっとしていただかなくてはならぬと思うのですけれども、県側といたしましては、滋賀県側の考え方というのを総合して聞いておりますると、琵琶湖総合開発事業が完成をして、そしてマイナス一・五メートル下げても県民に重要な被害を及ぼさない、あるいはまた、そのことについて仮にあるとするならば、補償関係が明確になったときに初めて給水を開始するのだ、こういうことをたびたび言われておりますし、知事もまたその時期が相当な時期であるということを県議会でも述べております。これは当然だと思うのでありますが、建設省はそのことについてどのような御見解をお持ちですか。そういう見解は正しいと思いますが、いかがでしょう。
  82. 川本正知

    ○川本政府委員 滋賀県知事さんの方がそういう御見解であるということは私も聞いてはおります。また、下流府県にとりましてはやはり先ほど国土庁の方からお話しございましたように、渇水期には不安定取水を強いられているという現実を踏まえまして、できるだけ早く水供給をしてほしいという要望もあることを承知しておりまして、そういったことを踏まえて上下流県でいろいろと努力をして調整作業をしておられますので、その結果を十分見守ってまいりたいと思うわけでございます。
  83. 野口幸一

    野口委員 差しさわりのないというか、傍観的な感じで御答弁がありましたけれども、少なくともこの問題は、事琵琶湖の水の問題については県民すべてが注目をしておるわけでありますし、特に一・五メートル下がった場合のゼロメートルに復する時期というものは、先ほど来私とあなたの間で意見が違うように相当な開きがございますが、少なくとも私どもから想定いたしますと、異常渇水時においてそういうことを一たんやった場合には六百日、七百日だってあり得るということを考えますと、先の心配だからということになるかもわかりませんけれども、ちょっとやそっとでその問題はよろしゅうございますと言うわけにはいかない問題をまだまだ含んでおるわけであります。  一方、琵琶湖総合開発そのものについての県民の感情というのは、必ずしも絶対反対という形で進んでいるわけではありませんけれども、ただ、一・五メートル下がったときに一体どうなるのであろうかということについては、県民全体が不安に思っていることは確かであります。したがって、知事が再三にわたってこの給水開始の時期については、全事業が完了して、マイナス一・五メートル下がっても県民の生活に影響がない、もしくは影響があってもその補償が明らかにされるという時期が開始の時期であるということを求めて県民の合意を得てきたところであります。したがって、その点については建設省もしかと受けとめてお考えをいただきたいということをさらに申し伝えておきます。  そこで、私の時間が来ましたのでもう一点だけにとどめますが、下流負担金の問題でございます。この問題は、実は予定をいたしておりませんのであるいはちょっとむずかしい課題になるかもわかりませんが、現在のところ難航していると聞いておるわけであります。仮にこれが合意に達しないような場合は、国としては一体どのような対応を具体的にお考えですか。
  84. 宮繁護

    宮繁政府委員 下流負担金の問題につきましては、前回の改定のときに、当時の金で約百五十億下流府県が上流県に差し上げるというようなことで話が決まりました。その後実際には名目の費用がふえましたものですから、約二百三十億円程度になるのではないかと考えております。今回の改定に当たりましても、上流県はかなりの下流負担金額を御希望しておられますし、下流の方は下流の方で余り多くを出したくないというようなことで、現在関係府県で折衝を重ねておるわけでございます。私どもといたしましてはできるだけ早く合意に達していただきたい。それで、いま関係府県知事が建設省の近畿地方建設局長に仲立ちをお願いするようなかっこうでいろいろな話し合いを進めております。ただし私どももいろいろそれぞれの上流県、下流県の担当者等から言い分等もお伺いしたり、また、私どもの多少の考えもそこで述べたりしながら、できるだけ早い機会にこの問題がまとまってもらいたいと考えております。  仮にこの話が決まりませんとそれではどうなるかと言いますと、上流県の方で事業をやる場合に、すべて公共団体負担分は御自分でお出しにならなければならないという結果になりますけれども、単にこの問題は負担の問題だけではなくて、先ほど指摘ございました取水の時期の問題とか、そういったような問題とも絡み合っておりますので、私どももできるだけ早い機会に、関係府県で互譲の精神、協調の精神でいまやっていただいておりますので、まとめていただきたいし、また、まとまると期待いたしておるわけでございます。
  85. 野口幸一

    野口委員 進めていただいておるとは思いますが、県民が受け持ちますところの負担は、いま現在試算されている金額だけは表向きのものでありますが、たとえばこれから先行き水質を保全していかなければならないということになりますと、これは大きな話になりますけれども人口の抑制からいわゆる工業の誘致問題まで含めて、あらゆる面から検討しなければ琵琶湖の水質というものは守っていけないだろう。たとえば人口は現在百十万ばかりでありますけれども、仮に二百万になり二百五十万になっていった場合には、とてもじゃないが生活用排水の問題だけではなくて、いろいろな意味で琵琶湖を汚染する、飲料水としてはもう間に合わなくなってくる時代が来るのではないか。そういった意味から考えますと、県民の負担は、下水道施設におけるところの三次処理等の費用も含めまして異常なものになるわけでありまして、下流負担金が今日難航しておるというのは、私どもの出身県の立場から見ますと全く歯がゆい思いでいるわけであります。どうか建設省の方におかれましてもこの問題を早期に解決して、今日まで上流県が異常な熱意を持って、あるいは燐対策にいたしましても、県民こぞって協力してあのような条例をつくり、かつ水質の保全についても一歩も二歩も前進しようとして考えているときでありますので、ぜひともそういった面における御助言を下流府県に対して十分なされることを心から期待して、私の質問を終わります。
  86. 中島良吾

    中島説明員 先ほどの答えの中で若干舌足らずのところがございましたので補足させていただきます。  それは自然公園法に基づきます水位、水量の増減の及ぼす行為の既着手問題でございますが、環境庁といたしましては、洗いぜきの操作について概して既着手行為に属する問題であろうという理解をしているわけでございます。ただし水位一・五メートルの利用水深問題につきましては、これが当時、特別地域が指定された時点で特定されていたかにつきましては、目下のところ環境庁としては確認をしてございません。したがいまして、今後県等と事情を聞きましてその辺については見解を明らかにしていきたい、こんなふうに思っている次第でございます。
  87. 野口幸一

    野口委員 終わります。
  88. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて野口幸一君の質疑は終了いたしました。  木間章君。
  89. 木間章

    ○木間委員 この琵琶湖総合開発法の持つ大変重要な部分の質疑先ほどから取り交わされておったわけであります。特にわが党の野口委員は、滋賀県民の声といいましょうか、現地の声を反映されて慎重な論議が取り交わされておったところであります。したがいまして、後期十カ年間を達成するためには、より一層の困難があるだろうし、しかし、それを乗り切っていかなければならない、そういう決意でこれからしばらく質疑を取り交わしていきたいと私どもも思うのであります。  まず、琵琶総のできた背景について論議をお願いしたいと思いますが、私も先ほど議論を聞いておりまして、行政当局の取り組みの姿勢に疑問をさらに深めてきたわけであります。そういった点で、愚問かもしれませんけれども、やはり法制定の時期に戻りまして議論をする必要があるのじゃなかろうか、こう実は感じているわけであります。  琵琶湖は、申すまでもなく古くから滋賀県民はもとより、京阪神地域発展に大きな役割りを果たしてまいりました。その琵琶湖が最近特に周辺の都市化工業化、そして県民の生活様式の進展といいましょうか、変化で大変汚れてきた、自然破壊もどんどん進んできた、こういう状況下にあったわけです。したがって、いまのうちに何とか手を打たなければならない、琵琶湖をもとの琵琶湖によみがえらせて、後々に引き継いでいかなければならない、こういうことでこの琵琶湖総合開発法が制定されたのだろうと私は思っておりますが、まず大臣のそのあたりのお考えなり、あるいはこれからさらに十カ年の事業を引き続いてやっていこうという御決意等をお聞かせいただきたいと思います。
  90. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 お答えいたします。  琵琶湖は、豊富な水資源と自然環境に恵まれ、近畿圏の住民にとっていわば母なる湖であります。琵琶湖にかかわる永年にわたる上下流の治水、利水上の利害を調整し、豊かな環境を保全、増進しつつ、下流への水の供給を図ることが近畿圏の健全な発展のためきわめて重要な課題でありました。そこで、これに必要な事業を総合的に推進するため本法が制定されました。
  91. 木間章

    ○木間委員 先ほど議論からもうかがい知れるのでありますが、この十カ年間の事業を振り返ってみたときにも、また、これから十カ年間やっていかれようとする姿勢の中にも、琵琶湖はもとの琵琶湖でなければならないというよりも、むしろ最近の京阪神水需要に使っていきたい、つまり利水のための事業を急ぐ余りにこれらの事業が成り立ったのじゃなかろうか。ですから、私は水質の回復といいましょうか、自然を守る事業がおざなりになっておるのじゃなかろうか、このように受けとめられて仕方がないわけです。  確かにいま大臣から答弁されましたように、一つは水位変動から起こる洪水や渇水の被害を防ごう、そのための治水事業があったと思います。また、京阪神地域水需要にこたえるための利水事業、そして琵琶湖本来の姿を取り戻すための水の汚れや自然破壊を防ぐための保安事業、こういったことから成り立っておるだろう、そして十カ年間進めてまいったところであります。これらの基本的な事業考えたときに、水質の保全、回復というのにきわめて重要なウエートを置かなければならなかったのではなかろうか。それは幾つかの手法の中にもあらわれておるのでありますが、たとえば汚水回復のための下水道事業やあるいは屎尿処理の事業ども進められております。当初計画を見たときに、これらの事業は全体に対する割合は一四・五一%でしたが、十カ年間の実績では一九・三七%、約五%程度割合は高くなっております。しかし、残念ながら結果的には水質は悪くなっておると私は言わざるを得ません。また、地元でも言われておるのでありますが、きれいにするための事業であった流域下水道あるいは保全のための湖岸堤や河川改修、ダム建設、漁港整備事業などは新たな自然破壊をもたらしておるという県民の声も聞かれるわけです。  こういったことで要約してみますと、先ほど議論にもありましたように、琵琶湖というのは長い間上流と下流のトラブルが絶えなかった、それを法律によってコントロールしていこう、こういうことで琵琶総ができてきたのじゃなかろうか、こう判断するわけですが、私の考え方は余りにも極論でしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  92. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいまいろいろ御指摘ございましたけれども、私どもも、この琵琶湖総合開発計画におきましては、琵琶湖の自然環境の保全、汚濁した水質の回復を図りながら、下流の水資源の利用あるいはまた関係住民の福祉を増進すること、これを目的といたしまして、保全と開発を総合的、一体的に進める、こういう基本的な方針で取り組んでまいりました。ただいまも環境対策について若干の評価をいただきましたけれども、たとえば名目で先ほど来御説明いたしておりますように、全体約一三〇%の事業費を実施したわけでございますけれども、下水道でございますと一七〇%くらい、屎尿処理につきましては三一五%、かなり重点的に各省で予算の配分をしていただいておるような状況でございます。  しかしながら、まだいろいろな問題点を抱えております。ただ、この総合開発事業あるいは公共事業といいますか、下水道事業中心にいたします一連の事業だけではなかなか琵琶湖の水質保全ということはむずかしかろうと思います。そこで、県におきましても先般すでに排水につきましての上乗せ条例はかなり前にやっていただいておりますし、また、最近では合成洗剤の使用につきますいろいろな規制もやっていただいております。こういうあらゆる対策を総合的にここに集中いたしまして、先ほども大臣からお話がありました母なる湖の琵琶湖の自然環境あるいは水質保全に今後も一生懸命に取り組んでまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
  93. 木間章

    ○木間委員 局長はそのようにおっしゃるわけですが、確かに当初計画よりも実績は、下水道事業にいたしましても屎尿処理事業にいたしましても、一七〇%あるいは三〇〇%を超えておるのでありますが、私はまだまだそれらの姿勢については評価ができないのです。それはなぜかといいますと、現実の問題といたしまして、京阪神の皆さんは琵琶湖の水を生活水に使用されております。一方、琵琶湖の周辺の現状はどうかと申し上げてみますと、産業排水なり生活汚水なりがそのまま琵琶湖に流れ込んでおる。確かに下水道事業は取り組まれてはおりますが、すでに十カ年経過した中でもまだ供用開始がされていない、つまり、おしっこの水を京阪神の皆さんが飲む仕組みになっておるということからも、大変これらの問題については、むしろ当初計画のときに大々的に取り組む姿勢があってほしかった、私はこう申し上げざるを得ないのです。そのことは、制定当時の法案の中身にもうかがい知れるところです。  私なりに調べてみますと、四十七年四月に閣法として提案されておるのでありますが、その提案のときに、目的の中に残念ながら水質の保全回復というのはなかったのです。そして五月に入りまして衆議院の建設委員会で追加修正をされた経過を持っておるのです。つまり、先ほどの論議を聞いておりましてでも、琵琶湖総合開発は水質や自然環境の保全を抜きではあり得ない。そういうことが国会論議の中でもありましたし、今日も現実の問題としてなお残っておるということでありましょう。  いま一つ、私は、皮肉かもしれませんけれども、国会に出て二年半ほどの経験の中でございますが、どうも行政当局は議員立法に対する取り組みの姿勢がやや緩慢といいましょうか、怠慢ではないんですが、緩慢、そういう姿勢が残っておるように受けとめられて仕方がありません。ですから、この目的の追加修正にいたしましても、やはりもとに戻ってそれらの事業、施策をやっていただかなければならなかったんじゃなかろうか、こう私は考えておるところです。もちろんこれは御答弁を求めない、私の意見として申し上げておきたいことでありますが、先ほども言いましたように、現実は生活用水として使われておるということをお互いに忘れないでこれからやっていかなければならない大きな課題だろうと思うのです。  で、次の問題で、それだけ大切な事業であるだけに、やはり地元の世論といいますか、県民の事業計画時点からの参加が必要だろうと私は思うわけです。そういった点でこの琵琶湖総合開発法はどのような方途で住民参加が保証されておるのか、あるいは事業の公開がなされておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  94. 宮繁護

    宮繁政府委員 琵琶湖総合開発計画の策定に際しましては、先生も御指摘のように、地域の住民の方々の理解と御協力を得なければ進められないわけでございます。実は先ほど議員立法のお話が出ましたけれども、十年前にこの法律、議員立法をいただいたわけですけれども、いまお話しの目的の件と、もう一つは、滋賀県知事が開発計画の案をつくる場合に、公聴会を開催するとかあるいは関係市町村の意見を聞く、あるいは県議会の議決を経る、こういうようなことは、実は議員立法でなされたわけでございます。現在、当然のことでございますけれども、この案をつくります場合には、知事はそれに基づいて十分手厚く関係住民の御意向あるいは関係市町村の御意見あるいは県議会の御意向を受けながらつくりまして、それを総理大臣が決定する、こういう仕組みになっておるわけでございます。  それから、それぞれの開発計画に基づきます事業の実施に当たりましても、環境アセスメントを実施するとか、実はこのために下水道の終末処理施設の工事が一時中止いたしまして、かなりおくれまして、アセスメントを行って事業に着手したというようなことで、事業のおくれも実は目立っておりますけれども、しかし環境アセスメントの実施をいたしておりますし、また、補償問題あるいは用地取得につきましても、地元の御意向を十分伺いながら事業を進めております。  なお、湖岸堤の位置等につきましても地元との協議を進めておりまして、そのためにかなり事業はおくれているというような一面もございますけれども、そういうことで進めております。  また、今度の計画案の改定過程におきましても、滋賀県の方で十分関係住民の方々とか議会あるいは関係市町村の意向を踏まえておつくりになり、私どもと相談がありましてまとめていったような状況でございます。したがいまして、計画段階におきましても事業の執行の段階におきましても、当然のことでございますけれども、地元の住民の方々の御協力と御理解を得た上で事業を進めていっておるような状況でございます。
  95. 木間章

    ○木間委員 十分な了解を事前にとってきたと、確かに公聴会やあるいは県内の市町村長の御意見、さらに県議会の意見等もとられておることは私も認めるわけであります。しかし、先ほどからも言っておりますように、水質の回復あるいは保全というのはきわめて大切なことであるわけですが、後期十カ年事業を発足するに当たりまして、ようやくそれらのポイントを持っております四事業が加わってまいりました。私は、そうではなくて、出発して二、三年後にそれらのことにお気づきになれば、もっと早くこれらの事業を組み入れてやっていかれてしかるべきじゃなかったのか、それらのことを考えますと必ずしも十分なっていなかった、こう申し上げざるを得ないのであります。  次の質問に移らしていただきますが、水質の問題で若干お尋ねをいたします。  先ほども論議になったところでありますが、しかし、この十カ年間を見たときに、確かにこの事業が始まった直後には若干の低下を見たようでありますが、しかし、最近またその汚染の度合いが上昇してきておるのです。こういったことを踏まえて、環境庁では琵琶湖の水質をどのようにいま分析され、評価をされておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  96. 長谷川正

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  琵琶湖の水質の汚濁の現状をCODで見ますと、五十五年度において、北湖で二・二ppm、南湖で三・一ppmでございます。窒素、燐につきましては、県の調査によれば、五十五年において、北湖で窒素が〇・二九ppm、燐が〇・〇一〇ppm、南湖で窒素〇・四一ppm、燐が〇・〇二七ppmとなっております。溶存酸素につきましても、五十五年度において北湖で九・八ppm、南湖で一〇ppmでございます。  ここ十年程度の経年変化で見ますと、北湖の窒素については若干悪化の傾向が見られますが、その他の項目については南湖、北湖ともにほぼ横ばいの程度で推移しているところでございます。
  97. 木間章

    ○木間委員 環境基準内での横ばいならいいのでありますが、環境基準をはみ出した中での横ばいでありますから、この十カ年間一体何をやってきたのか、私はある意味では大変残念に思うわけです。  まあそれはそれといたしまして、それじゃこれから十カ年間事業を進められるわけでありますが、その十カ年間を達成した暁にはどんな水質になるのか、環境基準内に当てはまるのかどうか、その見通し等を含めて答弁をお願いしたいと思います。
  98. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えします。  十カ年後どの程度水質が回復するかという問題でございますけれども、今回の改定に当たりましては、先ほども申し上げましたけれども、水質保全に寄与する事業の追加を四事業いたしましたり、また、高度処理を下水道事業等でも実施する、あるいは下水道事業等の事業量も建設省にお願いいたしましてかなり無理をしていただいたような状況でもございます。これらの事業の推進によりまして、相当程度改善されるものとは考えますけれども、いまの見通しでは昭和四十年代の前半ぐらいの程度ではなかろうか、そういう意味では環境基準の達成はまださらに一段の努力が要るかと思います。
  99. 木間章

    ○木間委員 次に、環境庁にお尋ねをしたいのでありますが、四十七年四月に琵琶湖についてAA型と告示をされております。同時に、達成する期間として、北湖は直ちにやりなさい、あるいは南湖は五年を超える期間で可及的速やかに達成をしなさい、このようになっておるところであります。その告示からすでに今日十カ年たったのでありますが、環境庁のサイドとして環境基準を達成できなかったもろもろの要因はあると思いますが、どのように見ておいでになるのか、お尋ねをしたいと思います。
  100. 長谷川正

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  いま先生もおっしゃいましたが、琵琶湖につきましてはAA基準ということになっておりますが、これは、琵琶湖近畿千三百万人の水がめと言われるように、きわめて重要な水道水源となっていること、それから、周辺の地域も含めて、自然公園、まあ国定公園でございますが、として指定されたすぐれた風景地であるというようなことから決められているということがございます。現在琵琶湖については環境基準を達成していない状況でございますが、環境基準の達成に向けて今後とも排水の規制の強化を初めとして、下水道整備の促進等、各種の対策を一層強力に講じていく必要があるということを考えておるわけでございます。
  101. 木間章

    ○木間委員 そのときに総量規制というものを考えておられるかどうか、これについてお尋ねをしたいと思います。
  102. 長谷川正

    ○長谷川説明員 琵琶湖への総量規制の導入については昭和五十五年夏季から五十六年夏までの各季に必要な調査を実施いたしました。この調査内容は、琵琶湖の湖流、水温、風向、風速、水質、底質からの溶出状況、湖内沈でん性物質の組成及び量、琵琶湖へ流入する河川の流量、水質等についてでございます。現在これらの調査データの整理が終了し、琵琶湖の汚濁機構の解明のために、電算機によるデータ解析を実施しているところでございますので、この結果を待って検討したいという状況でございます。
  103. 木間章

    ○木間委員 次の質問に移らしていただきます。  地元滋賀県も何とか回復のために努力をしようと血みどろな努力がされておるのであります。その一つの例に、例の合成洗剤追放の県条例といいましょうか、昭和五十五年七月から制定をされておるところです。そのときもいろいろ業界その他からの圧力もあったわけですが、曲がりなりにも今日その趣旨を生かして回復のために努力をされておりますが、この県条例についてどのように評価ができるのか、環境庁から答弁をお願いできればと思います。国土庁でもいいですよ。
  104. 長谷川正

    ○長谷川説明員 琵琶湖富栄養化防止条例につきましては、五十四年十月滋賀県議会において可決成立し、五十五年七月から全面的に施行されているものでございますが、工場、事業場に対する窒素、燐の排水規制や、有燐洗剤の使用、販売等の禁止については順調に施行されていると聞いております。また、条例の施行後の効果については、琵琶湖のような大きな湖では滞留時間が長いこともありますので、一年程度の短時日で的確に評価することは困難であると考えられます。しかしながら、滋賀県の調査によれば、条例施行前と施行後では、南湖、瀬田川への流入河川における全燐の濃度が相当程度低下しているという事実もございますので、今後徐々に琵琶湖の水質の改善効果があらわれるものとして期待しているところでございます。
  105. 木間章

    ○木間委員 次に、第三次処理といいますか、下水道の高度処理の現状についてお尋ねをしたいと思いますが、瀬戸内にいたしましても、東京湾にいたしましても、また琵琶湖などの閉鎖性水域は特に最近栄養塩類の蓄積で赤潮などが頻繁に発生をしておりまして、つまり富栄養化が進んでおるという現状であります。昨年度の下水道法改正のときにも論議になった問題ではありましたが、いまの時点でこの三次処理といいますか、高度処理がどの程度進んでおるのか、そしてまた、今期十カ年改定の中ではこれらの事業も積極的に取り入れていく姿勢が見受けられるのでありますが、それらの現状等についてお尋ねをしたいと思います。
  106. 玉木勉

    ○玉木説明員 お答えいたします。  三次処理、いわゆる高度処理の現状でございますが、高度処理技術につきましては建設省等におきまして鋭意開発を進めてまいったところでございまして、富栄養化防止のための燐を対象といたします高度処理につきましては、いわゆる凝集沈でん法といった方法も実用化の段階になっております。また、窒素につきましても、二次処理施設を利用したいわゆる活性汚泥循環法と申しておりますが、そういった方法がおおむね実用化の見通しがついた段階に至っておるところでございます。  この改定琵琶湖総合開発におきましては、そういった状況を踏まえまして、琵琶湖流域下水道の中におきまして、窒素、燐の除去を目的とした高度処理の建設、あるいは公共下水道におきましてもそういった高度処理の導入を図ってまいりたいと考えておるところでございます。この当初計画、現行計画においてそういった三次処理は見込んでいなかったわけでございますが、これは技術開発がまだそういった段階に達していなかったということ、それから昭和四十七年当時の時点におきましては、窒素、燐の流入によりまして内部生産という現象が起こるわけでございます。いわゆるプランクトンの発生によりまして、有機物が流入をしないけれども有機物の量がふえる、そういった現象がその時点では十分解明されていなかったこと、そういった状況によりまして、現計画には三次処理、高度処理を入れていなかったわけでございますが、下水中の窒素、燐を除去するための高度処理技術が実用化の段階に達した現状におきまして、高度処理を今回の改定計画の中に盛り込んで、琵琶湖の水質の保全を図ることとしているところでございます。     〔委員長退席、住委員長代理着席〕
  107. 木間章

    ○木間委員 下水道事業は大変資金もかかる。特に三次処理といいますか、高度処理は地方の自治体ではなかなか手に負えない事業でもあります。この琵琶総は国の事業としてすでに進められておりますから、ぜひ国の資金面なりあるいは技術面を最大限に投入していただきまして、この水質の回復といいますか、きれいな水を下流の皆さんにも提供する、そういうことが一日も早く待たれますので、ぜひお願いをしたいと思うのであります。  次に、今次十カ年間の延長の提案がなされたわけでありますが、まず延長をされようとした考え方といいますか、その問題について、どのような決意からこの十カ年延長を提案されたのか、お尋ねをしたいと思います。
  108. 宮繁護

    宮繁政府委員 琵琶湖総合開発計画計画期間は現行法では十年ということでございまして、本年度末で終了することになるわけでございますけれども、なお残事業が相当量に上っておりまして、こういうことからさらに琵琶湖総合開発事業を引き続き推進いたしまして、法律の所期の目的の達成を図る必要がある、こういうことで法律の有効期限の十カ年廷長をお願いしたような次第でございます。私どもは、延長していただきまして新しい総合開発計画改定作業にすぐ取り組みまして、先ほど来問題になっております琵琶湖の水質保全を含めまして、この法律が目的とするところを実現できるべく最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  109. 木間章

    ○木間委員 冒頭、琵琶総に取り組まれたときの姿勢についても若干申し上げたのでありますが、私はこの十カ年間を振り返って総括をするときに、行政当局の姿勢は緩かったのじゃなかろうか、こう思われて実は仕方がないわけです。いまほどの答弁にもそのことがあらわれておると思いますが、何が何でもきれいにしなければならない、きれいな水を京阪神の皆さんに提供しよう、こういうことであれば、当然十カ年間で達成すべき事業であったはずなんです。道路整備五カ年計画あるいは何々五カ年計画と性格を異にしておる、こういう中身ではなかろうかと私は思うわけです。ですから、その間に別の手法があればどんどん取り入れていく、あるいは財政的にもいろいろありましょうけれども、この事業だけは別枠の決意で臨んでいくべきではなかったろうか。したがいまして、十カ年たてばまた次十カ年やればいい、こういうのんびりとした姿勢は残念で仕方がないわけです。ですから、いま仮にこれから六十七年度まで十カ年間延長しても、その時期に問題が残っておればまたまた十年間再延長、再々延長、こういうことになってはむしろ大変な責任問題さえ出てくるのじゃなかろうか、こう思われて私は仕方がないわけです。ですから、そういったことが万々ないように、いまこれから十カ年を取り組まれて完全に達成するのだ、そういう決意のほどをお示しいただきたいと思います。
  110. 宮繁護

    宮繁政府委員 現行の計画につきまして厳しい批判をいただいたわけでございますが、やや言いわけがましいことになるかもしれませんけれども、何と申しましても石油ショックが非常に大きい影響がございまして、かつてないようなインフレに見舞われたわけでございます。そのようなことで、かなり事業規模が圧縮された結果になってしまったわけでございまして、意欲は十分ございます。  それから今後におきましては、九千六百億円の事業量でございますけれども、これは実は滋賀県の方でおまとめになりまして御要望のありました事業の九九%と、各省庁に御理解願い、また財政当局にも御理解をいただいてそういう結果になったわけでございます。  先ほどお話が出ておりますように、琵琶湖の水質保全、また、京阪神の人々の生活に絶対に必要な、生きていくために必要な良質の水を供給する事業、これを国家的な事業として位置づけられて私ども推進しておるわけでございます。しかし、また反面そういった重要な事業の一つであろうかとも思いますので、私どもとしましては何としてもこれに最重点を置きたいと考えますけれども、またそれぞれのお立場で事業の重要性はいろいろ御議論もあろうかと思います。  それはそれといたしまして、私どもはこの十年間の事業量は絶対完全に達成し得る事業量だと考えておりますし、また、各省庁ともいろいろ御相談しまして、完全に実施できるように最大限の努力を尽くしていきたいと考えております。
  111. 木間章

    ○木間委員 ぜひその御決意でお願いをしたいと思います。昨今はやりではありませんけれども、天の声とか神の声とかいうことも聞くわけでありますが、特にこの琵琶総につきましては国民の一五%にも及ぶ皆さんの生活用水でありますから、そのような決意で臨んでいただきたいことを要望しておきたいと思います。  それで、先ほども若干議論になったところでありますが、この琵琶総の完成は十カ年でぜひ達成をしたい、そういう決意がうかがわれたわけでありますが、いま一遍この十カ年間経た現状についてお聞かせをいただきたいと思います。それは基本計画に比較して進捗率はどのようなものであるのか、事業費においてあるいは事業量においてお示しをいただきたいと思います。
  112. 宮繁護

    宮繁政府委員 琵琶湖のこの総合開発計画に基づく事業は、御承知のように治水水資源開発、下水道、土地改良等十八の事業にわたっております。それで昭和五十六年度末の見込みでは、当然名目でございますが、累計約五千六百十九億円になる見込みでございます。計画を策定いたしましたときの総事業費見込み額昭和四十六年の価格で四千二百六十六億円でございましたので、その進捗率は一〇〇%を超えまして一三二%となっております。しかしながら、先ほどお話ししましたように、その間工事費の増高あるいは土地代の高騰というようなことで、これを実質に修正いたしますと約六六%程度になろうかと思います。これは工事費の比較でございますけれども、それでは実質の事業量の進捗率はどうかということになりますと、事業量で比較するのは大変むずかしゅうございまして、技術的にもちょっと困難がございます。しかし、そういう正確な推計はできませんけれども事業量で言えばおおむね五割程度は達成できたのかな、こんなふうに考えておる次第でございます。
  113. 木間章

    ○木間委員 五割程度十カ年間でやってきたから、残り十年間でも達成できる。先ほどの決意の中にもそのことの表現はあったと私は伺うわけでありますが、いま滋賀県では富栄養化防止条例が制定されておるところであります。この県の姿勢は、何とか昭和六十年までにこれを達成したい。六十年度までに工場、事業所の排水をきれいにし、あるいは一般住宅汚水などもきれいにしてやっていこう、そういう決意があるわけであります。そうしてまいりますと、滋賀県では昭和六十年度を目指して昭和四十年代の水質に回復をさせたい、あるいは今度お示しいただいた法案では、最終は昭和六十七年度になるわけでありますが、そこにかなりの期間のずれがあると私は判断をするわけです。この後期十カ年事業が滋賀県条例と整合性を持つのかどうか疑問に思うわけでありますが、この点についてのお考えお尋ねしておきたいと思います。
  114. 宮繁護

    宮繁政府委員 滋賀県におきましていまお話しのように非常に意欲的にお取り組みいただいていることは大変私ども評価するわけでありますが、私どものこの十カ年計画事業量あるいは今後の事業の実施のために、関係方面との御相談あるいは住民の皆さん方の御理解を得るということを考えてみますと、大体十八の事業のうち十二事業はやはり六十七年度いっぱいくらいまでかかりそうだ。これはもちろんそういう手続もございますし、それから投資量の問題もあります。そういうことを考えますと、ほとんどの事業は六十七年度までかかるわけでございますので、私どもはそこらを目標にいろいろなことを考えていくべきだというふうに考えるような次第でございます。
  115. 木間章

    ○木間委員 滋賀県の努力を評価もいただいたわけでありますが、県民の立場に立った場合に、さらに下流域の皆さんの立場に立った場合でも、一日も早くこれらの事業を達成するのが私どもの使命でもありますし、建設省、国土庁の任務でもあろうと思いますので、ぜひ短期に完成をいただくように私は要望しておきたいと思うわけであります。  次に、水位の問題について若干お願いをしたいと思います。  先ほども論議をされたところでありますが、昭和四十七年三月に、建設大臣は滋賀県を初め大阪府や兵庫県の知事と申し合わせをされておるのです。この利用水位はマイナス一・五メートルとなっておるのでありますが、これはいまの基準水位からマイナス一・五なのかどうかお尋ねしておきたいと思います。
  116. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  先生おただしのマイナス一・五メートルというのは、琵琶湖の基準水位が標高で八十四メートル何がしかということでございますが、それがゼロ点となっております。それを基準水位、ゼロ点といたしまして、それからマイナス一・五メートルということでございます。
  117. 木間章

    ○木間委員 マイナス一・五メートルは基準水位からの計算であるということがわかったわけでありますが、それでは、いま行われておりますいろいろの事業は水位とどういう関係を持つものだろうか、お尋ねをしたいのです。  たとえば上水道や井戸、工業用水農業用水、防火用水などは取水口がどこに求められて工事が行われておるのか。水位が下がりますとそれによって県民生活はまさに大変な混乱を起こすわけであります。また港湾事業、漁港事業にいたしましても、船だまりが全く使えなくなってしまうということも想定されます。護岸にいたしましても堤防その他にいたしましても、その位置によっては根元が干上がってしまう、こういうこと等も考えられるわけでありますが、これらの各種事業が水位とどういう関係で工事が進められておるのか、実情をお尋ねしておきたいと思います。
  118. 川本正知

    ○川本政府委員 琵琶湖開発事業におきましては、いま申し上げた琵琶湖の基準水位プラス〇・三メートルからマイナス一・五メートルまでの容量、約十二億トンの容量がございますが、それを利用いたしまして新しい都市用水毎秒四十トンを開発することになっておるわけでございます。こういった開発のために琵琶湖の水位が渇水時にはマイナス一・五メートルまで低下することになるわけでございますが、非常渇水時の場合もございますので、そういった場合を考慮いたしまして、補償の対象といたしましてはマイナス二・〇メートルまでということで考えております。二・〇メートルまで水位が低下した場合におきましては、いま先生指摘のように、一部の農業用水の施設あるいは上水道の施設、工業用水の施設、そういったものの取水困難ということが惹起されます。また、港湾施設、水産施設等に障害が起こるということが予測される。で、水位低下によりまして支障が生ずるおそれのある施設につきましては、たとえば揚水ポンプの移設であるとか、あるいは揚水ポンプの揚程の増加とか、また、港湾施設、水産施設等につきましては航路のしゅんせつであるとか港の施設の統合等、そういった機能回復のための補償工事を鋭意実施しているところでございます。  それから、まことに申しわけございませんが、先ほど野口幸一先生の御質問に対してちょっと訂正をさせていただきたいと思うわけでございます。  先ほど先生おただしの水位の回復の日数でございますが、資料を再チェックいたしましたが、私どもの方で先生の御質問の趣旨を取り違えておったかと思います。マイナス一・五メートルからマイナス五十センチまで回復する日数を六十日と申し上げましたけれども、これは昭和十四年の最渇水の年のときにおきます最低の水位マイナス一・九八まで水資源開発によって下がるであろうという予測をしておりましたけれども、そういった昭和十四年のデータをもとにして推測いたしましたときの水位の回復の日数ということで、水位が最低水位から回復してくる時期におきまして、マイナス一・五メートルからマイナス五十センチまで回復するのが六十日、そういうふうに申し上げたわけでございまして、先生はマイナス一・五メートル以下の日数をおっしゃったわけでございます。そういった意味から申し上げますと、昭和十四年、十五年のときには、先ほど申し上げましたように二つの谷がございまして、その一つの谷で申し上げますと、マイナス一・五メートル以下の水位の継続日数が約二百日ないし二百四十日ということでございます。謹んで訂正をさせていただきます。
  119. 木間章

    ○木間委員 建設大臣と関係知事との利用水位はマイナス一・五メートルである、そしていま答弁があったように補償工事はマイナス二メートルを基準にして行っておるということです。  そこで、私は先ほど野口委員との質疑応答にまた懸念を持つわけであります。異常渇水時に瀬田川洗堰の操作が一体どうなっていくのだろうか、地元県民あるいは滋賀県知事との合意が十分保証されておるのかどうか、こういう心配が出てくるわけであります。そこでこの洗いぜきの操作についてお尋ねをしたいと思います。  先ほど議論の中でもこの新法による操作の規定はまだ決めてない、こういうことでありました。この洗いぜきというのは琵琶湖の利水関係に今日使われておるのでありますが、私どもの地方でも湖をたくさん持っておりますが、もともと水門と同じだろう、こう判断をするわけです。水門ということになれば、水門は本来湖周辺の洪水や渇水のための安全弁であるわけですが、この洗いぜきも、近年は別といたしましても発足当時は水門であったのではないだろうか、琵琶湖周辺の影響等を考えてつくられたものではないだろうか、こう判断するわけですが、建設省のお考えお尋ねしたいと思います。
  120. 川本正知

    ○川本政府委員 先生おっしゃいますように、瀬田川洗堰は可動ゲートを有しますいわゆる水門でございまして、琵琶湖から瀬田川、ひいては下流淀川への水の量を調節するという効能を持っておるわけでございまして、この洗いぜきの操作につきましては、琵琶湖の水位のプラス〇・三メートルあるいはマイナス〇・三メートル、そういったものを基準の水位といたしまして平生操作をしておるわけでございますが、淀川の洪水の状態、そういったものも一つの判断要素にもなりますし、あるいは琵琶湖流域の気象条件、そういったものも一つの判断要素になります。また、当然のことながら琵琶湖あるいは下流淀川の水位、流量、そういった水門の状況等を総合的に判断して操作するわけでございまして、上流にもプラスになる、当然でございますが下流の問題に対しましてもプラスになるというような操作をしておるところでございます。
  121. 木間章

    ○木間委員 わからなくなったのですが、本来水門というのは湖、そしてその周辺の水量の調節のために設けられたものだ、こう思っておるところです。となれば、この洗いぜきの操作にいたしましても、あるいは毎秒四十トンの新規水量の開拓にいたしましても、先ほど野口委員の質問の中で疑問に思ったのでありますが、やはり滋賀県民の意向が反映されなければならないだろう、こう思うのです。確かに河川法の関係等々の実情もお伺いをいたしましたが、私は本来水門というのはそういう歴史過程の中でできてきたものだろうと思っておるわけです。そういった点でもう一遍くどいようでありますが、水門としての位置づけ。となれば、やはり琵琶湖流域の皆さんの意見を十分に酌み取っていく必要があろうと思いますが、お尋ねしたいと思います。
  122. 川本正知

    ○川本政府委員 瀬田川洗堰につきましては、上流につきましては琵琶湖の水位が上がり過ぎたりあるいは下がり過ぎたり、そういったことの影響ができるだけ小さくなるような操作もいたしますし、また、下流に対しましては淀川の洪水あるいは淀川渇水、そういったものに対して水を調節しあるいは供給するといったような機能も有しておるわけでございます。  洗いぜきの操作の規定は、先ほど先生おっしゃいましたように今後定めることにしておるわけでございますが、そういったものにつきましては琵琶湖の流域であります滋賀県の知事さんの御意見を当然尊重して、また下流の府県との調整、そういったものを十分図って決めていくということは当然考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  123. 木間章

    ○木間委員 確かに洗いぜきの操作につきましては、下流の影響も大変大きな問題としてあるわけです。ですからこの問題、そしてまた琵琶湖総合開発全体をめぐって上流、下流の論争も長い間続いてきたという歴史を持っておると思います。  そこでもう一点お尋ねをしておきたいのでありますが、この洗いぜきの操作について、できるだけ早い時期にということでありますが、やはりこの事業が完成をしてからでないとこの操作はできないだろう、また、先ほど水門の問題について申し上げたのでありますが、完成をしないと滋賀県の県民世論というのもしっくりいかないだろう、こう私は思うわけです。ですからこの洗いぜきの操作方法については大変慎重にお願いしなければなりませんが、しかし災害はいつ訪れるか知れません、いつひでりが続くやも知れないわけでありますから、いますでに建設省では素案をお持ちだろうと思いますが、そういった素案があればお示しをいただきたいと思いますが、お尋ねしたいと思います。
  124. 川本正知

    ○川本政府委員 洗いぜきの操作規定に素案があるかというおただしでございますが、洗いぜきは現在操作規則の案ということで現実には操作をさせていただいておるわけでございますが、これにつきましても当然正式に今後操作規則をつくりまして、そして制定しなければいけないというかっこうでおるわけでございまして、先ほどお話しのように、琵琶湖総合開発そのものにつきましても、滋賀県並びに下流の大阪府あるいは兵庫県あるいは京都府等も含みますが、そういった下流の流域府県の協調の精神ということが一つの大前提で進んできておるわけでございまして、操作規則の問題につきましても、現在のところではまだ具体的なまとめはしておりませんけれども総合開発事業の進捗をにらみながら、できるだけ早く上下流のコンセンサスを得て策定するように努力したいと思っております。
  125. 木間章

    ○木間委員 次に、この事業と行革との関係お尋ねをしたいと思いますが、昨年秋の臨時国会で行革法が成立をいたしました。そしてそれぞれ公共事業も聖域ではなかったようであります。そういった点で、これから新しい十カ年事業を取り組まれるところでありますが、このかさ上げ分に対する行革法の影響がどのようにあらわれておるのか、お尋ねをしたいと思います。
  126. 宮繁護

    宮繁政府委員 琵琶湖総合開発特別措置法に基づきまして、一応一定の事業につきましてかさ上げ補助の特例が認められておったわけでございますけれども、臨時行政調査会の第一次答申におきまして、こういった法律は、終期が到来するときには廃止を含め、抜本的な見直しを行うという答申がありまして、政府はこれらの答申を最大限に尊重するということで、いろいろ予算の時期に折衝があったわけでございます。そういたしまして見直しを行いました結果、現行の措置は継続することとはいたしましたけれども、やはり国の財政事情等にかんがみまして、いろいろなそれぞれの事業の具体的事情を考慮した上で、一部の事業につきまして行革特例法の取り扱いに準じた同程度の、すなわち六分の一の縮減措置を講ずることにいたしたわけでございます。この削減額は五十七年、八年、九年の財政再建期間中の三カ年でございまして、三カ年に縮減されます金額が一億一千万円程度と見込まれるわけでございます。
  127. 木間章

    ○木間委員 琵琶湖も例外ではなかった、こういうことでありますが、先ほどから議論を申し上げておりますように、本来琵琶湖総合開発法の一連の事業というのは、他の公共事業と全く性格を異にしておる。したがいまして、この琵琶総は単に滋賀県民あるいは滋賀県の県財政への影響はもとよりでございますが、近畿圏全体の問題でもあるわけです。したがいまして、この立法の精神というのは、琵琶湖周辺もきれいにしよう、下流の皆さんにもきれいな水を供給しよう、そういうことで始まったものでありますから、やはりこの行革法の除外があってしかるべきじゃないだろうか。     〔住委員長代理退席、委員長着席〕 つまり、下流に水資源を供給するための保障法じゃないだろうか、私はこう思っておるところです。したがって、この行革法の適用は外されて、というのは、このかさ上げにつきましても政令で決まっておるわけでありますから、私は、少なくとも国土庁は保障法だという精神を貫いていかなければならなかった、こう考えるわけですが、重ねてお尋ねをしておきたいと思います。
  128. 宮繁護

    宮繁政府委員 私ども先生のただいまの御意見と全く同じ意見を持っております。それで、実はこのかさ上げ対象事業河川、砂防、土地改良、治山、都市公園、自然公園、こういう種類のものにかさ上げが行われておるわけでございますけれども、最終的には治山と都市公園と自然公園が縮減の対象になったようなわけでございまして、残念でございますけれども、諸般の事情もございましてこれでやむを得ないかなということになったわけでございます。ただ、行革の特例法と同じように、財政関係当局にもお願いいたしまして、事業の執行とかあるいは財政に支障のないような措置をお願いしておるところでございます。
  129. 木間章

    ○木間委員 私は先日大蔵省にこの点をただしたのでありますが、保障法的な性格を持っております琵琶総については、大蔵省の所管から外れておるということをお聞きしたわけです。つまり、行革の中で国土庁が自前でこれらの制度を引用しておいでるといいましょうか、そういう考え方が私には見受けられて仕方がないわけです。本当に聖域ならやはり聖域のように扱っていただきたいし、また、大蔵省その他の財政当局についてもそれらの姿勢で臨むべきだった、こう考えるわけですが、いかがでしょうか。
  130. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほどお話ししましたように、御意見としては私も先生と全く同意見でございます。ただ、今回の行革には聖域はないのだそうでございまして、そういう関係でいろいろ財政当局、また、地方の御意見等も承りながらこういう結果になったわけでございまして、これは私の微力のいたすところでございます。
  131. 木間章

    ○木間委員 私は少なくとも琵琶総についてはそういう考え方でこれから乗り切るべきだ、こう申し上げて、これはとどめおきたいと思います。  いま一つ、そうなってまいりますと、六分の一カットの影響は一億一千万というお話も出たわけですが、これが地方財政に及ぼす影響、ひいては琵琶総全体の事業達成に並み並みならぬ影響が出てくるだろう、こう考えておりますが、自治省お見えになっておると思いますが、そこの手だてがどうなっておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  132. 亀田博

    ○亀田説明員 琵琶湖総合開発特別措置法が延長されまして、国の財政再建期間中と言われます五十七年度から五十九年度までの三カ年間に限りまして、対象事業の国庫補助負担率のかさ上げの縮減が行われることとなる場合におきましては、私どもといたしましては、滋賀県の事業執行並びに財政運営に支障を生ずることのないよう、いわゆる行革関連特例法で講ぜられましたような財政金融上の特別措置を滋賀県に対して講じてまいりたいというふうに現在考えております。
  133. 木間章

    ○木間委員 具体的には交付税等々で考えていくということでありましょうが、交付税は伸縮するものではありません。国税三税できちっと枠はめがされておるわけでありますから、これらの特殊事業についてもそれらのことが発動されるということになりますと、行革関連で減った部分についての保障はできてはおるものの、特別交付税あるいは交付税を各地方はそれぞれ重要な事業に使っておるわけでありますから、それらのパイが小さくなるという懸念を持っておる一人であります。いまこの論議をここで行っておってもしようがありませんけれども、そういったことがないように、やはり国土庁はこの琵琶総についての対応をきちっとやっていくべきだ、これは私の意見として残しておきたいと思います。  最後になりましたが、特に琵琶総との直接の関連は持っておりませんけれども、一点ただしておきたいと思うのです。  それは、東京都が昭和五十七年度から屎尿の処理方法について方向転換が出されておるわけです。確かに東京都も全国自治体の中で下水道の普及率は高位にランクされておるわけでありますが、現実はまだ進捗率は七六%前後と聞いております。残り二十数%の皆さんは屎尿のくみ取りで処理をされておるのです。従来国の方針といたしましても、陸上で屎尿の処理をすることを法体系でも示しておるところでありますし、また、昨年の年末に閣議決定がなされまして、これらの事業についての推進を確認されておるところでもありますが、東京都は、今度は全面的に陸上処理から洋上処理に変更をするやに聞くわけであります。海洋は屎尿投棄の場所ではないと私は考えておりますが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。環境庁、来ておいでだと思いますが。
  134. 杉本康人

    ○杉本説明員 屎尿の海洋投入処分に関しましては、先生おっしゃいましたように、海洋環境保全の観点から、海洋汚染防止法におきまして投棄海域あるいは船舶からの排出方法を定めているところでございますけれども、この基準にのっとりまして適正に処分が行われているものでありますれば、法的には問題はないというふうに考えます。しかしながら、廃棄物処理法に規定されておりますように、屎尿等の廃棄物は陸上処理が原則であるというふうに考えております。この観点から、厚生省におきましては、東京都に対しまして海洋投入の計画を見直すように指示をされておるところでございまして、環境庁といたしましては、その成り行きを注意深く見守ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  135. 木間章

    ○木間委員 建設省も、これら河川の汚染や、あるいは湖沼、海洋の汚染についても大変努力をされてきたところです。その事業の一端として下水道法が制定をされまして、年々、年次計画を立てての取り組みがなされておるところです。また、廃棄物処理施設整備緊急措置法も昭和四十七年に制度化されまして、今日陸上処理の精神で貫かれておるところですが、この変更等につきましては、第三条第三項によりまして厚生大臣は建設大臣と協議をする仕組みにもなっておるところでありますが、これらの変更について建設省へ相談があったかどうか、協議がなされたかどうか。あれば、その結果についてお示しをいただきたいと思います。
  136. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先生指摘のように、廃棄物処理施設整備緊急措置法ですか、この法律に基づきます協議というのがございますが、屎尿処理の問題は厚生省が所管しているところでございまして、建設省としては衛生的で快適な生活環境を確保する、こういった観点から、屎尿処理行政と下水道整備の推進とが整合性のとれるように、鋭意努力しなければいけないと考えてはおります。そういった観点から、厚生省の屎尿処理行政との調整を十分図りながら、下水道普及の拡大とか処理区域の水洗化の促進ということにつきましては東京都を指導してまいりたいと思っております。  具体的に御指摘のございました協議についてでございますが、これは、廃棄物処理施設整備五カ年計画につきましては、先ほど申し上げましたように、両方の行政の整合性を保つという観点から協議をちょうだいすることになっておりまして、そういう意味での協議は受けておるわけでございますが、個別の東京都の砂町屎尿処理場の閉鎖をする云々という関係の問題につきましては、私ども協議を受けておりません。
  137. 木間章

    ○木間委員 協議を受けていないということがわかったわけでありますが、私は、この東京都の生屎尿の処理方法の転換について大変重大な関心を持っておるのであります。厚生省も建設省も、自治体の問題ではありましょうけれども、ぜひ今後指導を強めてもらいたいと思います。  そして、いま一つ意見として申し上げておきたいと思いますが、東京都といえども、下水道の進捗率はまだ七六%前後である。つまり、三百万人余りの生屎尿が海洋投棄で処理をされようとしておるわけでありますから、ぜひ今後も関心を強めていただきまして、これ以上環境汚染をしないようにがんばっていただくことを意見として申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
  138. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて木間章君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  139. 村田敬次郎

    村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  140. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、ただいま議題となりました琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案、この件に関して何点か御質問をさせていただきます。  この法案が日切れということ、そして審議時間の関係で連合審査が困難だということで、きょうは、この建設委員会環境庁長官においでいただいております。大変に御苦労さまでございます。  私は建設委員でございますので、きょうはこの琵琶湖総合開発に関しまして、やはり環境庁長官の見解をお伺いすることが非常に重要でございますので、私としては環境庁を中心に質問を何点かさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  冒頭まず何点かは長官にお伺いしたいと思います。  環境庁といいますと、歴代の長官のお考えといいますか、政治姿勢、行政に対する取り組みの仕方というものは、われわれ国民にとっては、余り表現はよくございませんけれども、長官の対応については、われわれ非常に深い関心を持っておるところでございます。特に環境庁が、今日まで先人がいろいろな形で築き上げた文化遺産初め自然環境というものを、今日の経済社会の発展の中でどうするか、こういう非常に厳しい判断を迫られる場合が出てまいります。いわゆる産業優先、産業基盤を守るためというような考え方と先祖伝来のこの自然をどう調和させるか、これに対する長官の考え方が大きく日本の国のこれから百年先、二百年先を変えていくわけでございまして、私はまず冒頭に、長官の基本的な政治姿勢をお伺いしたいと思うのでございます。  考え方の一つに、産業基盤の発展及びその開発のためにはある程度自然環境の破壊はやむを得ない、一言で言えば産業優先という物の考え方がございます。二番目には、自然は大事だ、自然も大事だけれども、やはり国民経済という産業基盤というものもないがしろにできない。産業の発展と自然環境というものは調和した中で共存共栄というか、調和させるということが大事だ、こういう考えも第二番目にございます。第三番目には、一度自然というものを破壊したらなかなかもとには戻らない、自然は壊すべきではない、自然は断固守るべきだという考えで、多少開発行為とかそういうものは抑制しても自然環境保全ということを重点にすべきだ。大きく分けてこの三つ、あるいはもっとあるかもしれません。しかし私は大きな流れの中で、産業を優先するのか、二番目は自然との調和の中で産業を規制するのか、三番目は自然が大事だから産業は少し抑えなければならない、この三つの条件を与えるとして、三つの条件の中で、長官は今後日本の環境行政の中でどの辺のスタンスで行政に取り組まれるのか、その辺をまずお伺いしたいのです。
  141. 原文兵衛

    ○原国務大臣 お答え申し上げます。  健康との関係でございますと、これは健康が優先する、もう当然でございますが、自然の環境というものも、一たん破壊されますともとに戻すということはきわめて困難なことでございます。したがいまして、産業の発展というものも国民の、人間の幸福のためには必要なことではございますけれども、やはり一たん破壊されたらもとへ戻らない自然を守るということを中心考えていかなければならない、私はそういうふうに思っております。
  142. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、私がいま条件として挙げた二番目もしくは三番目に近いという感じで受けとめてよろしゅうございますか。——では、そういうことで理解をして質問を続けさせていただきます。  それでは、きょうは琵琶湖法でございますが、原長官の前の鯨岡長官の当時、湖沼法の問題もいろいろ論議されました。それで、いま長官がいみじくもおっしゃいました。私もやはり長官と考えを同じくするところはございます。私たちも自然の中に生きている。自然の中以外に生きる場所がない。自然を破壊するということは、そこに生物が生存できないということは、言うなれば人間みずからがみずからの生存を否定することになりかねない。自然を破壊することはみずからの生存も否定することになりかねない、そういうことを、私も長官と意見は同じくするわけでございます。かといって、長官がおっしゃられたように、国民経済、国民生活を守るためにどうするか、これが現在に生きるわれわれの重要な選択の課題だと思うのです。  そこで、われわれはいま生きる者としていま何ができるのか、いま何をしなければならないのか、そして先人からもらったものを後世に一体どういう形で残そうとするのか、この重要な選択といいますか、判断を私たちはいま迫られているわけでございまして、この琵琶湖の問題もやはりそれに関連する点が多々あろうかと思うのでございます。  なぜそう申し上げるかと言いますと、さきの鯨岡長官のときに、鯨岡長官はいわゆる湖沼サミットを開かれました。その中で、一つは、琵琶湖の西暦二〇〇〇年の姿はどうなるだろうかということを予測した内容報告がそこでなされました。その報告は、琵琶湖の北湖はほぼ南湖の現状に近づくと見られる。透明度が下がって濁った状態になり、赤潮が多発する。ときどき魚類が浮く。アオコがふえ、湖底でいやなにおいがする。いわゆるこのままほっておきますと琵琶湖は西暦二〇〇〇年には水道水としては使えませんよというような報告がそこでなされたわけでございますが、それをどうするかということで、いま琵琶湖総合開発がここで論議されておるわけでございます。  そこで、この琵琶湖の湖沼を守るために一つの提言として、昨年の一月二十七日、中央公害対策審議会から湖沼環境保全のための制度のあり方として環境庁に答申がなされました。申すまでもなく、長官先刻御承知のように、国は湖沼環境保全の基本方針を示しなさい、都道府県の申請により国は対象湖沼を指定しなさい、基本方針に沿って都道府県は利用目的などに応じた保全計画を策定、下水道整備、水質総量規制の導入、家庭、農業排水対策の強化、周辺の開発行為規制などを推進、国は財政援助を行うというような答申がなされております。  まず、新しいお立場でこの湖沼法を論ずるに当たりまして、この中央公害対策審議会の答申に対し、原長官はどのようなお気持ちでこれを受けとめ、行政に反映なさるか、その点をお伺いしたいのです。
  143. 原文兵衛

    ○原国務大臣 薮仲委員指摘のように、湖沼の水質の汚濁がむしろ非常に進みつつある。一般的に言いまして、河川とか海の方は環境基準達成状況はややよくなってきているわけでございますが、湖沼の方はさっぱりよくならないし、むしろ悪くなってきているというところがあるわけでございます。私どもも中公審の答申に沿いまして、何とか早く湖沼水質保全特別措置法、いわゆる湖沼法というものを成立させていただきたいと思いまして、そういうことからいろいろと昨年来やってきて、ネックもあるわけでございますけれども、精力的に関係省庁と協議を進めて、できればこの国会に提案させていただきたいと思っていま努力をしているところでございます。
  144. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま長官がおっしゃいましたこと全くそのとおりでございまして、環境庁が発表しました五十五年度公共用水域水質測定結果、これは五十六年の十二月十日、昨年の暮れでございますね、これをお出しになりました。そこの中で、いわゆるワーストファイブと言われる湖沼は、千葉の手賀沼、静岡県の佐鳴湖、新潟の鳥屋野潟、愛知県の油ケ淵、千葉県の印旛沼等々がワーストファイブ。そこで、いま挙げた湖沼というものは、いま長官のおっしゃったとおり、CODの年間平均値でも前年度よりも湖沼の汚濁は進んでおる、こういう現状がここにあるわけでございます。しかも湖沼の汚れの原因は、正確にこれだという原因がまだまだはっきりしない面もございますけれども、閉鎖性の水域では汚濁物質がたまりやすい。それから宅地化、工場、事業場の建設が進んで、家庭用の雑排水、工場排水あるいは畜産関係排水等も非常に湖沼を汚しておる。いまこのように琵琶湖総合開発計画が十年間進んで、現実は湖の汚れが進んでおるということは非常に深刻です。  なぜ私がこれを言いたいかというと、いま長官がいみじくもおっしゃったように、昨年も環境庁は湖沼法を出そうとした。そうしたら、ずばり言えば、通産省、建設省の意見調整ができなくて法案提出に至らなかった。これは周知の事実です。先ほど来私が申し上げたように、いま各省庁が縄張りとかあつれきだとか、そんなことを言っていられる時代ではないと思うのです。われわれ政治家が、政府が後世の国民のためにいま何をすべきか。年々湖沼が汚れ、水道水にも使えない。赤潮どころかアオコもわかないというような汚濁する湖沼を目の前にしながら、各省庁が縄張り争いをしているといったらば、これは後世に笑われるし、こんなことは行政の場、またわれわれ政治の場にある者は断じて恥ずべきことであって、やってはならないと私は思うのです。  きょうは、そういう意味で昨年来問題になっておる点を何点かお伺いしつつ、重ねて長官にこの湖沼法の必要性の上から、ぜひとも湖沼法成立に御尽力をいただきたいと思うわけでございます。  長官は、重ねてお伺いしますけれども、今国会においてこの湖沼法を何とか提出し、成立させようという御決意がおありになるかどうか、もう一度お伺いしたいと思います。
  145. 原文兵衛

    ○原国務大臣 先ほども申し上げましたように、湖沼の汚濁がどんどん進むというような現状を何とかして食いとめて、これをだんだんときれいな方向に持っていかなければいかぬ。そのためには湖沼法というのは大事なもので、ぜひ今国会に提出したいと思って、いま関係の機関と精力的に折衝させている、協議をさせているところでございます。ただ、湖沼法という法律が仮に提案されましても、その中身が本当にゼロみたいなことで実効が上がらないようなものであったらば、これは意味のないことでございます。そういう点で、実効の上がる中身ということで、いま実は関係機関との協議もちょっとなかなか進まないむずかしい問題があることは事実でございます。しかし、私どもは何とか提出したいと思って一生懸命努力をしておるところでございます。
  146. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは通産省にもおいでいただいておりますので、どうか通産省は通産省を代表してしかと御答弁をいただきたいと思います。  まず最初に、建設省と環境庁の間で、この新規立法でどういうことが問題点として指摘されたか。これはわれわれが仄聞する程度でございますので、ここではっきり環境庁の考え、次いで建設省の見解をお伺いするわけでございますが、建設省はいっでも聞けますので、最初に環境庁からお伺いしたい。  いわゆる湖沼の水質並びに環境の保全ということで新規立法しよう、こうしたときに建設省としては現行の河川法、都市計画法、自然公園法、環境庁の持っている水質汚濁防止法もありますし、建設省所管の下水道法、これらの既存の法律で十分水質、環境開発については規制ができる、こういう建設省の考えがあるやに伺っておりますけれども、こういう問題に対して、環境庁は環境庁として、新しい法案を既存の法律のほかにつくろうとする考えはなぜなのかという点をここでひとつ明確にお伺いしたいのです。
  147. 小野重和

    小野(重)政府委員 湖沼の実態については御案内のとおりでございます。湖沼がこういうふうに汚れつつあるのは、現在ある法制度のもとで汚れているわけでございますから、そういう意味で足らざる点は補強しなければいけないというのが基本的な私ども考え方でございます。  湖沼の実態を考えてみますと、たとえば水質、排水規制につきましては水濁法がございまして、それですでに規制が行われているわけでございますが、たとえば生活系排水あるいは畜産、養殖関係等、特に生活系のウエートが高いわけでございますが、また湖沼によっては養殖なりあるいは畜舎、畜産関係の割合が高いところもございます。そういうところにつきましては、たとえば下水道整備でございますが、これについては湖沼ごとに計画をつくりまして、計画的に事業を推進していく、あるいは畜舎なり養殖施設につきましてはいままで一定の規制がほとんど行われておらないわけでございますが、その規制をするというような新たな措置を盛り込んで、湖沼の汚濁の実態に即した対策を立てたい。  さらに加えて申し上げますと、いままで規制の対象となっているいわゆる特定施設と申しておりますが、それについても新たにつくるあるいは増設する、そういう場合に一定の規制もするというようなことも含めまして、総合的に水質保全対策を進めていきたいというのが私どものねらいでございます。
  148. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは局長にもう一点お伺いしますけれども、いま挙げられたような問題は建設省ともう調整がついているのですか、それともまだこういう点で残っている点があるというのでしたら、ここでお話ししていただきたいのです。
  149. 小野重和

    小野(重)政府委員 建設省との関係におきましては、一番問題になりましたのが、私どもの当初原案にございましたけれども、湖の周辺、湖辺と申しますか、その環境と申しましても、自然環境の保全のために新しく地区制度、ゾーニングといいますか、そういうものを設けたいというのが原案にありまして、この点についていろいろ議論がございました。私どものいまの案におきましては、建設省などとの調整の結果、これは自然公園あるいは都市計画関係もあるかと思いますが、既存の法制度を活用して、湖辺の自然環境を保全するということで調整をしておりまして、それ以外の点についても、いまの案におきましては建設省との関係におきましては調整済みでございます。
  150. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは通産省との問題について環境庁にお伺いしますけれども、通産省と環境庁の間で調整のつかなかった問題として、一つは、新設工場、事業場の許可制の導入、もう一つは、一日の排水量を何トンにするか、いわゆる総量規制を持ち込もうとした点について意見の調整がつかなかった、こういうことをわれわれ聞いております。確かに行政指導の中で許可制というのは原則禁止ですから、禁止の上に特別の条件を付して事業を許可しますということで、規制措置の中では非常に厳しい。自由主義経済といいますか、産業を発展させようという通産省の立場から言えば、これは非常にたえがたい問題であるかもしれません。しかし私は、湖沼という限られた閉鎖性水域の中で水質を保全するためにはどうすればいいのか、これは許可制の導入ということが一番厳しければ、それに準ずる、あるいはそこで環境庁とどうしても調整がつかないのかどうか、この点一つございます。  またもう一点、やはりこれもわれわれの仄聞でございますので、きょうはっきりさせたいのは排水量を何トンにするか、総量規制でございますけれども、これで一日何トンということで意見が合わない。確かに、これは環境庁もすでに御承知のように、瀬戸内海の環境保全特別措置法、これによって瀬戸内海に対する総量規制をかけました。また、水質汚濁防止法の一部改正で東京湾と伊勢湾に総量規制をかけております。これを下回るような総量規制では、さっきの長官のお話のように、法律ができたけれども中身が何にもならないのじゃやらない方がいいという環境庁のお考えはわかります。  この二点、いわゆる一番のネックになっている許可制反対という問題、それから排水量の問題、いわゆる総量規制の問題で通産省と意見が合わないと私たちは聞いておりますけれども、これについて環境庁はどう考え、また、現在も通産省との間でこの意見調整ができないのかどうか、その経過をちょっとここでお伺いしたいのです。
  151. 小野重和

    小野(重)政府委員 通産省との間で問題になっておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、工場、事業場等、水質汚濁防止法で申しますと特定施設と言っておりますが、これを新設ないし増設する場合に一定の規制をしたいという点でございます。その趣旨は、先ほど申し上げましたように、生活系あるいは農畜水産系、これについては汚濁負荷削減対策を進めるわけでございますが、一方、水質汚濁防止法でいままで規制してはおりますけれども、新しく施設がつくられまして、著しくその湖沼の水質に影響を及ぼすというようなおそれのある場合には、これは一定の規制をしたいという趣旨でございます。  問題は、そもそもそういう規制が必要であるかどうかというのがまずありまして、その次に、その手法として許可制をとるのか、あるいは何らか別途の措置をとるのかという問題もございますし、それからまた、いずれにしてもどういう基準で規制するのかということがございます。そういうもろもろの点につきましていま折衝を続けている、こういうことでございます。
  152. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここのところが一番大変なところじゃないかと思って、これ以上私が聞くことが将来ためになるのかどうか、ちょっと私もいま心の中でどうしようかと思っておるわけでございまして、確かにいま局長おっしゃられたように、許可制の導入、届け出制と許可制の差というものは非常に問題点がある。  もう一つは、通産の立場に立てば、工場だけが何か諸悪の根源のように言われるけれども琵琶湖水質汚濁をしている原因者として、私の聞いている範囲ですよ、工場が汚濁に与える影響は四〇%程度じゃないか、こういう意見もございます。生活雑排水とかあるいは畜産の汚水の方もひどいですよ、じゃ同じように厳しい規制を当然かけてくれるのでしょうね、生活雑排水建設省が所管する下水道が完備して琵琶湖の水がどの程度になった、なおかつ工場が悪いと言うならばわかるけれども、下水道が遅々として進んでいないじゃないか、それを事業所だけにかけるのは納得いかないよ、こういう意見のあること、私、そういうことを重々知っておるといいますか、仄聞しておる程度でございますけれども、そういう問題を含みながら、やはり意見の調整を図っていただいて、総量規制あるいはこの許可制と届け出制の間で何か好ましい、また、公平なやり方があるのかどうか、その辺は環境庁に御努力いただきたいと思いますが、いかがでございますか。     〔委員長退席、竹中委員長代理着席〕
  153. 小野重和

    小野(重)政府委員 折衝中のことでございますので、余り具体的なことを申し上げられないわけでございますが、先ほど申し上げたように大きな点は三点でございますが、何とか調整したいということで努力しているわけでございます。
  154. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、ここで環境庁さんのお考えもあらあら伺ったわけでございまして、私は、どうか日本という大事な、山紫水明のこの狭い国土をみんなできれいに守ってほしい、そういうことを心から願っている一人の人間として、建設省と通産省に、優秀な皆さん方でございますので、水質がどうすればきれいになるのか。通産省は、もっと言えば、CODだとかBODだとか水質基準そのものをもう少し考えてくれ、どういう水になればいいのか、それははっきりしないじゃないかという言い分も私はわかっています。NやP、CODだけやBODだけではだめだよ、その通産省の気持ちも十分わかった上で何とか調整してもらいたいという願いを込めて、これから建設省と通産省の御意見を伺いますけれども環境庁から法案が出て調整になった場合に建設省は反対するのか、それとも極力成立に努力するのか、通産省にも同じことをお伺いしますから、建設省、通産省、お答えください。
  155. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えいたします。  湖沼水質保全特別措置法案でございますが、先ほど環境庁の方から御答弁がございましたように、前国会の段階におきまして大筋の調整を終えております。したがいまして、今後大きな変化がない限り、建設省としてはこの基本について全く異存がございません。
  156. 川口融

    ○川口説明員 私ども通産省といたしましては、湖沼の水質を保全をするということについては非常に重要な問題であるという認識を持っているわけでございます。したがいまして、この湖沼の水質の保全のために特別の方策を講ずるということにつきましては、私ども、趣旨において理解できるところがあるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今後は湖沼の水質の保全のためにどういう方策が有効であり、かつ適切かということにつきまして、環境庁を初めとしまして、関係省庁と十分検討し、調整を図ってまいりたいというふうに考えております。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 通産省にもう一言聞いておきますけれども、法案が環境庁から出されたら、通産省は前向きに、真剣に努力して調整に応じて、成立に賛成なんですね。
  158. 川口融

    ○川口説明員 私ども、問題の重要性について十分認識をいたしておりますので、誠意を持って真剣に検討してまいるということでございます。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 あなたにそれ以上聞いても大変でしょうから、そのぐらいにしておきますよ。  私の持ち時間があれですが、もっとたくさん問題を持ってきたのですけれども、あとのことは同僚議員がさらに詳しくこの湖沼法について専門的な見地からなお進めてまいりますが、私、最後にもう一問だけお伺いしたいと思うのです。  滋賀県がいわゆる有燐洗剤を廃止しようということと同時に、さしあたってといいますか、それより一年おくれで工場の排水規制、それにも窒素と燐の規制をかぶせられたようでございます。きょうは時間がございませんので、その現状はどうなっているかお伺いしたいのでございますが、それはさておきまして、やはり水質保全の新しい湖沼法ができ上がるまでは、環境庁として琵琶湖の水質、もちろん他の湖沼もそうでございますけれども、当面の措置として、窒素、燐の環境基準、排水基準というのはやはり湖沼の汚濁をストップさせる上で重要なものではないか、こう私は思いますが、環境庁としては、環境基準の中に窒素と燐の環境基準を導入するお考えがあるかどうか、それをお伺いしたいことと、重ねて、これは最後は大臣にでございますが、大臣にお伺いしたいのは、いま建設並びに通産、通産はちょっと歯切れがいいとは言いがたい部分があって、それはそれで大臣もよく御理解いただいているところだろうと思いますが、関係省庁意見を聞きました。その上で重ねて大臣に、私は、何とか大臣の時代にこの湖沼法が少しでも前進できるように御尽力いただきたいと思うのでございますが、それをお伺いしたいと思うのでございます。  以上二点を伺って私の質問を終わります。     〔竹中委員長代理退席、委員長着席〕
  160. 小野重和

    小野(重)政府委員 燐、窒素の問題でございますが、五十四年十二月に窒素、燐等水質目標検討会を設置しまして、五十五年七月に、湖沼の燐に係る水質目標を明らかにしたわけでありますが、その後湖沼の窒素の水質目標についても検討を行っております。こういう成果を踏まえまして、燐、窒素の環境基準の設定につきまして、近く中公審に諮問いたしたい、かように存じております。
  161. 原文兵衛

    ○原国務大臣 先ほども申し上げましたように、いわゆる湖沼法を何とかしてこの国会に提案したいと思って真剣になって努力をしておるところでございます。ただ、率直に言いまして、そうスムーズに運んでいるわけではございません。しかし、私どもは最後まで努力を続けていきたいと思っておるわけでございます。
  162. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  163. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。  竹内勝彦君。
  164. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 琵琶湖総合開発特別措置法は本年の三月三十一日までの時限立法として、琵琶湖の自然環境の保全と汚濁した水質の回復を図りつつ、水資源の利用と関係住民の福祉、こういったものをあわせて増進するために琵琶湖総合開発計画を策定して、四十七年六月に制定されたものでございます。  最初に、いままでの進捗状況を、概略で結構でございますが御説明いただきたいと思います。
  165. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  琵琶湖総合開発計画に基づきます事業は、琵琶湖治水及び水資源開発事業河川、下水道土地改良事業等十八の事業を実施いたしております。昭和五十六年度末までの事業費累計で申し上げまして、名目で約五千六百十九億円となる見込みでございます。
  166. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この私の手元にある資料におきましては、実績事業費ということで六六・一%、これは四十六年度価格にした場合ですけれども、非常に大幅に実績が計画事業費よりも落ち込んでおる、こういった理由は一体何でしょうか。
  167. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいま御指摘がございましたように、当初予定しました事業見込み額が四千二百六十六億円でございまして、これに対しまして、先ほど申し上げましたように五十六年度末までの見込み事業費が約五千六百十九億円になります。これは、名目で見ますと一三二%という実施率になっておりますけれども、実質に引き直しますと、ただいま御指摘がございましたように約六六%の実績ということになります。  この一番大きい原因は、四十八年と五十二年でございましたか、二度にわたる石油価格の引き上げによります工事費の増高、それに経済の変動に伴います用地費の高騰、こういったことが非常に大きな影響になっておりますけれども、また一方、当初の計画以降、それぞれの事業におきまして構造基準が改定されたとか、あるいは環境問題がやかましくなりまして、同じ機能を発揮する、たとえば道路につきましてものり面の被覆をやるとか、環境帯を設置するとか、下水道事業におきましてもシールド工法で実施するとか、実施面におきましてもまた出来高におきましてもいろいろ環境面への配慮をした、こういうことで事業量がかなり低くなっておるということでございます。
  168. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 十年前に四千二百六十億の予算を計上したということ、何回もの物価上昇、インフレ、こういったものに問題があったという御答弁でございますけれども、その物価上昇やインフレというのは、十年前に検討したわけでございますから、それなりに検討はされたものであると思うわけですが、この時点で物価上昇やインフレ率というものはどの程度まで見込んで本特別措置法を策定したのか、御説明いただきたいと思います。
  169. 宮繁護

    宮繁政府委員 この琵琶湖総合開発計画は十カ年計画でございますけれども、そのほか各省庁では公共事業の長期計画を、大体五カ年ぐらいでございますけれども持っております。これらはいずれも、法律に基づいて定められるものでございましても、実は事業費ではなくて事業の量で決めております。事業の量を十カ年分決めまして、その計画策定年次の価格でもって一応どの程度の事業費になるかという見込みを立てておるわけでございます。そういう意味合いでは、金額で決めておりませんので、インフレ率がどうなるかということも見込んでおらない、このような決め方をいたしまして、毎年毎年その年の価格でもって事業費をはじいて実施する、こういう段取りでやっておるわけでございます。
  170. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、いまその事業量の面でお伺いしておきたいのですけれども、滋賀県としては、この琵琶湖総合開発に関して、事業費の面ではいまの御説明のとおり六六・一%、約六割は使った。ところが、事業量の面では四割少々しかできないのではないかという厳しい見方をしているやに伺っておりますけれども、そういった点は間違いございませんか。
  171. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほどちょっと御説明しましたように、事業費の実質ベースでは六六%程度の投資が行われたわけでございますけれども、実際の出来形といいますか出来高といいますか、それで見ますと、滋賀県の方は大体四割ぐらいではなかろうかと推定されております。しかし、どの程度の実績の事業量かというのは、実は大変むずかしいわけでございまして、技術的にすっきりした数字が出せないわけでございます。ただ、私どもは、全体でほぼ五割程度は実現できておるのじゃないかと考えておりますけれども、これは滋賀県の見込み事業の種類が、県の事業あるいは市町村で実施いたしております事業のみを推定したわけでございまして、私どもは全体でございますし、国の直轄とか公団の事業等も考えておりますので、若干のずれがあるのではなかろうか。しかし、私ども考えでも五割程度であろうかと考えております。
  172. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このように十年間で事業費面では六割、事業量の面に関しても五割程度ではないか、滋賀県の方の見方としても四割少々というような進捗状況では、これは非常に効率の悪い事態ですね。  そこで、大幅におくれた理由、これはいろいろございますが、特にその中で何の事業がおくれたのか、それはいかなる理由なのか、御説明いただきたいと思います。
  173. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほども申し上げましたように、計画の実施の途中におきまして、かつて例がないようなオイルショックによりまして物価の上昇、あるいはまた、一方財政事情の悪化等によりまして公共事業が抑えられた、こういうようないろいろな事情がございまして、全般的に先ほども申し上げましたような進捗率でございました。  事業がおくれました原因といたしましては、事業ごとにそれぞれ異なる理由があるわけでございますけれども、大ざっぱに申し上げますと、やはり環境保全対策のためにかなり時間を要した。終末処理場をつくる計画がございましたけれども、これを一時中止いたしましてアセスメントをやったとか、あるいは用地の補償について地元の皆様方とのお話し合いがおくれたとか、湖岸堤でございますと現在もまだちょっといろいろ御相談しておる、こういうふうに地元対策にも時間を要したというような点がございます。  なお、多少細かく申し上げますと、おくれました事情は、一つは先ほど申し上げました財政事情が悪化した。二つ目は、事業実施の段階において環境保全対策に日時を要した。三つ目が用地補償等地元対策に時間を要した。それから四番目には、関連する他の事業の進捗のおくれに伴っておくれた。たとえば、湖岸道路の位置が決まらないために、それに関連する港湾あるいは自然公園等の事業がおくれる、こういういろいろな事情がございます。  それから特におくれておる事業につきまして申し上げますと、港湾の整備につきましては、その利用形態から背後地の整備事業との一体性が要請されておるわけでございますけれども地域計画との整合性並びに地元の住民の方々との調整に日時を要した。たとえば、大津港については南湖のしゅんせつ土を活用した湖中島計画が、地元との調整の不調によりまして、その後の話し合いにかなり時間がかかったというようなことでございます。また、自然公園施設のうち湖岸緑地、集団施設地区及び周遊基地につきましては、一つは滋賀県におきます整備用地の確保が非常に困難であったとか、二つ目は湖岸堤等の関連事業がおくれたこと等によるものであります。なお、上記の事項が解決した地区につきましては、その事業費については県の要望に沿って対応いたしております。  それから、自然保護地域の公有化事業というのがございますけれども、これもいろいろ経済情勢の変化によりまして、それほど開発のテンポが高くなくて乱開発の危惧が低下してきたこと、また、直接買収をしなくても法律の規制によりまして保全が可能である、こういうことから、必要限の公有化にとどまったものであるというようなことでございます。ただし、計画改定に当たりましては、琵琶湖の水質の保全上、内湖とその周辺の自然環境保護しまして自然の浄化機能を確保するため、新たに五つの内湖を公有化する予定にいたしております。  また、都市公園事業につきましては、湖の周辺に緑地を整備する湖岸緑地整備でございますので、湖岸で行われます他の関連事業がおくれますとどうしてもそれに伴っておくれる、こういうようなわけでございまして、他の事業としましては、湖岸堤の問題、しゅんせつ土砂の処分場等の位置の決定、これらの整備等がおくれたために都市公園の方も足を引っ張られた、こんないろいろな理由があるわけでございます。
  174. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで十年間さらに延長しよう、こういう本特別措置法の一部改正に関して、特に総合開発と水質保全、そういった両面で重要な面を抱えているわけですね。そういう大事な琵琶湖でございます。  そこで、今回新規事業として大きく四点ございますけれども、その新規事業内容について概略御説明いただきたいと思います。
  175. 宮繁護

    宮繁政府委員 今回の琵琶湖総合開発計画改定に当たりましては、閉鎖性の水域であります琵琶湖の水質の現状並びに水質保全に対する必要性、緊急性を考慮いたしまして、一方でまた琵琶湖総合開発特別措置法の目的、また、法律制定当時におきます国会審議の経緯等にかんがみまして、水質の保全、回復に資する事業といたしまして特に必要のあるものを新たに追加することになったわけでございます。このような観点から、農業集落排水処理施設、畜産環境整備施設、ごみ処理施設、水質観測施設の四つの事業を新しく追加することにいたしました。  これらの四事業内容でございますけれども、第一番目の農業集落排水処理施設は、農業集落から排出される汚水による農業用用排水への水質汚濁を抑制し、農業生産の支障を食いとめること等を目的として整備される事業でございますけれども、これはまたひいては琵琶湖水質汚濁を抑制する効果を有するものでございます。  二つ目の畜産環境整備施設は、畜産農家の家畜ふん尿を発酵堆肥、乾燥堆肥及び液肥として適切に処理し、土壌へ有機質の肥料として還元するとともに、畜産経営に起因する公害の防止を図るものでありまして、これも琵琶湖への汚水の流入を抑制する効果を持つものでございます。  三番目はごみ処理施設でございまして、流域内に生ごみの形で堆積しますことはこれを極力抑制すべきものでありまして、流域内に堆積しますごみからの浸出水は、琵琶湖水質汚濁の一つの要因でもございます。そういう意味で、この事業の効果は琵琶湖の水質保全に役立つわけでございます。  四番目に水質観測施設でございますが、これは琵琶湖とその主要な流入河川の水質等の連続観測データを収集するため、常時観測を行うものでありまして、科学的裏づけを持った的確な水質保全対策の推進に資する事業でございます。
  176. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この新規事業のねらい、水質保全ということを大きな目的として組まれたと解釈いたします。そこで、この新規事業のねらいに関してはよくわかりました。琵琶湖の水質並びに環境回復、保全、自然景観の保全等、こういったものに重点を置いて、いまの御説明のとおり農業集落排水処理や畜産環境整備あるいは水質観測施設などを事業に織り込んでおるわけでございます。  そこで、むしろ大幅におくれておる下水道事業、こういったものが、これは先ほど同僚委員からも話がありましたとおり、非常に重要な問題でございます。いま何しろ滋賀県の下水道の実態というものは非常に大きくおくれておる中で、どんどん琵琶湖へは河川が流れ込む、あるいは排水が流れ込んでいく中で、むしろいま水質がとまっておるかあるいは少しよくなっておるかというような錯覚を起こしてはならないと思うのです。私はずっと長い間この琵琶湖問題に取り組んでまいりましたけれども、決していい方向になっておりません。滋賀県としても富栄養化防止条例等を施行して、そうして非常に努力をしておるわけでございますが、肝心の下水道事業というものが大幅におくれておる。いま盛んにこの促進のために全力でがんばっておるわけでございますけれども、ここで建設省にお伺いいたしますが、下水道事業をあわせて促進させるということが非常に重要でございます。下水道事業に対する今後の取り組み方を述べていただきたいと思います。
  177. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先生指摘のように下水道事業につきましても、実質で八二・四%程度の進捗率でございましたわけですが、今後の取り組みにつきましては、琵琶湖の水質保全あるいは周辺地域の生活環境の改善を図るために、改定計画におきましては、下水道事業に対し五十七年度から六十六年度までの十カ年間に二千五百七十九億四千万円を投資することとしております。ぜひ事業の推進を図りたいと思っております。実施に当たりましては、先ほど大都市整備局長からいろいろ御説明がございました問題点等も踏まえまして、計画的かつ効率的な執行に努める所存でございます。
  178. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 下水道事業が特におくれた理由は何ですか。
  179. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 琵琶湖総合開発計画におきましては、四地域の流域下水道と大津市の公共下水道、それから近江八幡市の特定環境保全公共下水道、これが計画されたわけでございます。昭和四十七年度以降事業の進捗に努力してきたところでございますが、流域下水道につきましては、処理場設置に伴う環境アセスメントの実施あるいは地元調整等に年月を要し、処理場着工がおくれまして、供用開始時期が予定より遅延したということがございます。それから幹線管渠が、これまで処理場に接続する下流部の比較的大口径の部分を、しかも深い位置に埋設してきたことから、そのほとんどをシールド工法等の特殊工法で実施してきたこと等によりまして、事業進捗が図られなかったという状況でございます。関連の公共下水道につきましては、流域下水道整備と整合性を図る必要があるわけでございますが、流域下水道の供用開始が予定よりおくれてきた、こういうことに伴いまして、これまで六市四町についてだけ事業を実施することとしたために進捗がおくれたわけでございます。  なお、大津市の単独公共下水道、近江八幡市の特定環境保全公共下水道については順調に実施されております。
  180. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 滋賀県は御承知のとおり琵琶湖の周辺に集落が点在しておる、そういう意味では都市型というよりもむしろ農村集落型のものが五〇%以上ございます。  そこで、公共下水道の管渠一つを取り上げてみましても、本来都市ならば三百ミリ管、三百ミリ以上の管渠が使われ、これが補助の対象になっております。三分の二が国庫補助になっておるわけですね。ところが、このように点在する農村集落は三百ミリ以上の管渠は必要ではなくて二百五十ミリ以下、二百五十ミリのや二百ミリのやそういうものが使われておって、国庫補助にはなっておりません。したがって、琵琶湖の周辺においての下水道の管渠の補助対象は、都市型の約五割、農村型の約五割が国庫補助の対象外になっておるので、命の水がめである琵琶湖の水を守るという意味から、公共下水道の管渠にかかわる補助対象範囲を拡大してもらいたい、こういう要望がございますし、ぜひそういった面で補助対象範囲というものを、琵琶湖浄化のための特別措置というものをつくって、二百五十ミリ管も含め、つまり二百五十ミリ管以上を補助対象にすれば、滋賀県の約八〇%の公共下水道の管渠に関しては補助対象になるわけですよ。この二百五十ミリ管以上に補助の対象を拡大するという考え方を実現するお考えはないかどうか、御答弁をお願いしたいと思います。
  181. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 水質保全等のために緊急に下水道整備を促進しなければならない琵琶湖等につきまして、これに関連します公共下水道の国庫補助対象範囲の拡大につきましては、五十六年度からの五カ年計画策定に当たりましても、私どもその改善につきましていろいろ検討したところでございます。しかし下水道整備の立ちおくれた現状と現下の財政事情等を勘案いたしますと、限られた国費の範囲内で普及率の向上を図るということがまず先決でございまして、そのためには当面事業費の確保を優先するということを判断いたしたために、制度改善につきましては見送らざるを得なかった、こういう状況でございます。なお、今後とも財政事情の推移を見ながら、事業が円滑に進められるよう必要な検討はしてまいりたいと存じております。
  182. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この水質保全及び水源涵養にかかわる問題として、さらに琵琶湖流域における下水道について、高度処理の導入及び屎尿処理施設における高度処理、その他琵琶湖の富栄養化防止のために特別に必要とする維持管理費用、こういったものについて国としてどう援助をするつもりなのか、建設省及び厚生省来ていただいておりますので、両省から御答弁をお願いしたいと思います。
  183. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 下水道の維持管理費につきましては、一般に汚水は私費それから雨水は公費という原則がございます。こういった原則が確立しているわけでございます。したがいまして、汚水の処理費は使用者が負担するという原則でございます。高度処理経費に対する国の補助は現在考えられないわけでございますが、高度処理経費の負担のあり方、これは下水道の使用料の全国的なバランスの問題とかあるいは琵琶湖の置かれている特殊な状況とか、そういったことにつきましていろいろ御意見もおありかと思いますが、そういうことも踏まえまして、これから関係機関の御意見等もいろいろ伺いながら慎重に検討さしていただきたいと考えております。
  184. 田中富也

    田中(富)説明員 琵琶湖の水質保全の重要性にかんがみまして、屎尿処理にかかる高度処理施設の導入をすでに図ってございますが、その整備に当たりましては国庫補助の対象としております。  次に維持管理でございますが、屎尿処理施設整備事業につきましては、計画的にその整備を進めているところでございますけれども、現行の補助制度は施設整備に多額の費用を要するために、施設整備の促進を奨励するという観点から、施設整備に限ってこれを行っておるものでございまして、維持管理に対します国庫補助を行うことは困難であろうかと思います。しかしながら、高度処理のためには多少経費がかさむことは十分理解できますので、高度処理に要する維持管理の実態を踏まえまして、どのような措置が可能であるかを厚生省としましても勉強さしていただきたい、こう考えております。
  185. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 御承知のとおり昨年滋賀県におきまして国体が行われました。そのときに全国から選手、関係者集まってまいりました。そのときに、かび臭くて水道の水を飲むにも飲めないという事態、新聞でも報道がございました。ちょっとうがいするのもできないというような人まで出てきたというような、非常に厳しい状況であるというのは皆さん御承知のとおりです。  そこで、この琵琶湖に関して、これは近畿一千三百万の人たちが毎日飲んだりそれを使用して、生活のためになくてはならない重要な水資源でございます。滋賀県としてもこれは努力しておる。富栄養化防止条例やいろんなもので努力しておることも周知の事実です。しかし、何しろ高度処理をしていく、維持管理をしていく、非常に多くの費用がかかっていくわけです。そこで、水質保全基金というような構想があるように伺っておりますけれども、こういったものを国としてどうバックアップしていくのか、お考えを明らかにしていただきたいと思います。
  186. 宮繁護

    宮繁政府委員 下水道等の高度処理にいままで以上の費用がかかる、この費用をだれが負担するか、ただいま建設省、厚生省の方から基本的なお考えが述べられたわけでございます。  琵琶湖の今度の総合開発改定に伴いまして、上流県と下流県でいろいろな相談をしなければならない点がございます。それは、一つは下流負担金制度がございまして、この金額をどの程度下流県に御負担していただくかという問題。それから二つ目は、毎秒四十トンの水の取水時期をいつに決めるかという問題がございます。  それから、今回の改定に伴いまして、滋賀県の方から新しく下流県に対しまして、高度処理に伴います費用を賄うために、下流県の方からもある程度の拠出をしていただいて、基金をつくって賄っていきたいという提案があったわけでございます。この点につきましては、新しい提案でもございますし、建設省、厚生省からもお話がございましたように検討中の模様でもございますし、直ちにこれをどうこうするというようなことを私どもから両県に申し上げるほど実は検討が進んでおりません。しかし、上流、下流県におきましては、琵琶湖のみならず、淀川水系の水質問題をどういうふうに処理していくかという問題の一環として、そういった基金のあり方について検討を始めようではないかという点の合意に達しつつあるやに聞いております。私どももこの点につきましては十分関心を持ちまして事柄の推移を見守り、また、いろいろ御相談がありました場合には、私どもなりの御意見も申し上げてまいりたいと考えております。
  187. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 下水処理の別の角度として若干お伺いしておきます。  農水省、来ていただいておると思いますが、農業集落施設の対策として、下水、屎尿等の処理あるいは団地等にも適しておるいわゆる土壌浄化法を使った処理法が各地で注目され、効果を上げておる例がございます。そのような実態をどう把握しているか、効果例があれば一例を挙げて御説明いただきたいと思います。
  188. 内山則夫

    ○内山説明員 お答えいたします。  農林水産省といたしましては、農村におきます農業用の用排水の水質保全及び農村集落の生活環境の改善を図る目的といたしまして、現在、農村総合整備モデル事業及び農村基盤総合整備事業を実施しておりまして、この中で農業集落排水の処理施設の事業も行っております。すでに現在全国の七十七地区で実施しておりまして、そのうちすでに十七地区が供用を開始しておる、こういう現状になっております。  それから、先生の質問の接触循環曝気方式の件に関してでございますが、農業集落排水処理施設は、一つは優良農用地や優良な農業用用排水の保全を目的としてその整備を図っておるところでございまして、その処理方式につきましては、一つは農村という特殊性から居住の密度が低い、それから集落を単位として分散しているといったことのために、小規模の分散処理が合理的でかつ効果的であるというふうに私ども考えております。もう一点は、処理水、処理汚泥の農地への還元、いわゆる資源のリサイクルといったことにも着目をして実施しております。  現在、そういったことを踏まえまして、末端の処理施設の方式につきましては各種の方式がございまして、私どもが実施しておることを申し上げますと、標準活性汚泥方式あるいは長時間曝気方式、回転円板方式、接触循環曝気方式、これがいわゆる土壌被覆型のものというふうに言われておりますが、こういった形式のものを採用してございます。  なお、先生がおっしゃったどこかの優良事例ということでございますが、一例を申し上げますと、兵庫県の和田山町の久世田ですでに完了した地区がございます。この地区は、事業名は農村基盤総合整備事業ということで実施しまして、総事業費が一億二千四百万、工期が五十二年から五十四年度、こういうことで完了しておりまして、現在供用を開始しております。対象の集落戸数が五十二戸ということで、三百六十人を対象に実施いたしました。現在、その後の供用の水質の状況を見てみましても、一応計画水質に十分達しておるというような状況に相なっております。  以上でございます。
  189. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 いまの農村における土壌浄化法の御説明以外にも、たとえばすでに琵琶湖のある場所ですが、ホテルの高級処理装置に土壌浄化システムを使用することによって、この装置の上部に芝生庭園をつくることができますので、そこでバーベキューを行ったり修学旅行の生徒が弁当を広げる光景さえもあるような、いわゆる下水の処理といった暗いイメージのない、それの上部が非常に有効に利用できる、こういった面がございますね。たとえば団地におきましても、神奈川県のある団地でございますけれども、この土壌浄化法の装置を設けることによって、そこの場所に同じく庭園の形あるいはそこでスポーツができるような状況をつくったり、装置としては全部中へ入ってしまうという意味でこの土壌浄化法というものが注目されております。  いま御説明ございましたけれども、この土壌浄化法を私もいろいろなところへ行って見てまいりました。地表面一メートルぐらいの土壌に生息しておる土壌微生物あるいは植物根などを活用し、また土壌そのものが持っておる物理的化学的性質を利用して汚水、汚泥を浄化しようという工法です。また、琵琶湖のように赤潮の原因である窒素や燐の除去も可能で、格段に水質がよい、こういった面がございます。維持管理の面も容易で安価です。そしてまた悪臭あるいは大腸菌、洗剤の泡が周囲に飛散していくというようなことがなく、非常に衛生的である。二次公害がない。そういう意味で、たとえば食堂の真横でもできる、こういったものがございます。私自身も見てまいりました。ぜひ研究していただきたいと思います。  そこで、今後下水道事業に全部というようなことではございません。そういった特色を生かしていかなければならないと思いますけれども、この土壌浄化法というものを取り入れていくというのも一つの解決策になるのではないか。そういう意味で、建設省と環境庁にお伺いしておきますけれども、土壌浄化法に対してどんな評価をお持ちでございましょうか。
  190. 玉木勉

    ○玉木説明員 土壌浄化法に対する評価ということでございますが、土壌浄化法は一般に土壌中の微生物の働きによりまして、土壌の吸着作用あるいは土壌が持っております有機物を分解する作用等を活用いたしまして下水処理を行う方式でございます。この方式の多くは、先ほど先生もおっしゃいましたように、土壌によって被覆をいたしまして、いわゆる接触瞬間曝気方式というのが多く採用されておるわけでございますが、土壌の分解作用を利用するわけでございますので非常に広い土地を必要といたします。したがいまして、都市地域の下水道では採用されておりませんが、農山漁村における処理方式として、農水省の方から御説明ありましたようなモデル事業等に採用されておるわけでございます。今後わが国の下水道大都市から地方都市に移行するに伴いまして、小規模な下水道整備を進める必要が出てまいるわけでございますが、こういった方式につきましても今後検討してまいりたいと考えております。  なお、この方式につきまして窒素、燐を除去する効果があるということをおっしゃいましたが、この点につきましてはまだ解明されていない点もございますので、今後の調査が必要であろうかと考えております。
  191. 渡辺一志

    渡辺説明員 土壌式の生活排水の処理につきましては、私も長野県の佐久市に行きまして現地を視察したことがございますが、こういった雑排水なりあるいは生活排水全般についての処理方式の一つとしてかなり評価できるんじゃないかというふうに考えております。
  192. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 次の問題に移りますが、水源涵養機能の維持増進のため造林事業にかかわる費用、こういったものは非常に莫大なものがございます。したがって、現在農林漁業金融公庫から融資を受けておるわけですね。この返済条件というのは二十年据え置き、二十年目から十年間で支払う形になっております。いわゆる三十年ですね。造林事業というのは緑のダムとも言われ、水源涵養にとっては欠かすことのできない事業でございます。ところが、この造林事業は、御承知のとおり植樹してから五十年はかかるという息の長い事業でございます。それが融資の面では返済期間が三十年。経営が成り立っていかない。こういう意味から、植樹より大体五十年はかかる長い事業でございますから、返済期間も五十年という単位で考慮する必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  193. 川合淳二

    ○川合説明員 造林事業につきましては、御指摘のように水源涵養に非常に重要な役割りを果たしております。したがいまして、融資制度といたしましても農林漁業金融公庫の中で最も長いかつ低利な制度となっておるわけでございます。先生指摘のように現在原則として三十年、据え置き期間二十年という制度がございますし、特定の場合には四十五年、それから据え置き期間二十五年という制度がございます。融資条件等につきまして年々改善を重ねてきておりますけれども、現在の状況から申しますと、この程度が精いっぱいではないかというふうに考えております。  ただ、融資制度だけではなかなか十分でないという面もございます。と申しますのは、昨今の小径木、特に間伐材の需要が十分でないという面がございまして、ある程度の時期に収入が得られないという林業経営の現状でございますので、私どもといたしましては、融資制度の検討とともに、この間伐材等の小径木の需要開発ということにも力を入れていかなければならないのではないかというふうに現在考えております。
  194. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 次に湖沼法の問題に関して若干お伺いをしておきます。  先ほど同僚委員から質問がございましたので、重複は省いてそれ以外の問題で少しお伺いしておきたいと思いますけれども、公明党が昨年、湖沼水質環境保全法案でございますが、これを国会に提出いたしました。湖沼環境整備保全、湖沼機能の維持増進に不可欠な条件であるということからかんがみ、公益上重要な湖沼について環境整備保全に関する計画を策定したわけでございますけれども、公明党が出したこの湖沼水質環境保全法案に対してどのような評価をお持ちでしょうか。
  195. 長谷川正

    ○長谷川説明員 産業排水、生活排水、農畜産排水等、各種の汚濁源に対する規制等の措置を拡充するとともに、下水道及び屎尿処理施設の整備等の水質保全に資する事業計画的に総合的に推進するため、法制度の確立を図るという点において、五十六年一月の中央公害対策審議会答申と軌を一にしており、同法案を受けて環境庁が用意した湖沼法案と基本的には同じ考えに立つものと評価しているところでございます。
  196. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、政府が考えておる湖沼水質保全、公明党は環境水質保全、こういう環境まで含めて総合的に水質及び環境を保っていかなければならない。よい条件にしていかなければならないという意味でこういった案で出したわけでございますが、政府としては、仮称でございますが、湖沼水質保全法というような考え方であるやに伺っております。  先ほどもるる質問がございましたので、特にその中でどんな点が特色があって、どんな点がいま問題になっておるのか、その点だけ御答弁ください。
  197. 長谷川正

    ○長谷川説明員 環境庁が準備いたしております湖沼法案の概要といたしましては、都道府県知事の策定する計画のもとに、排水規制の強化、養殖施設等の施設管理基準の設定、下水道整備、しゅんせつ等の事業の推進、一部湖沼についての総量規制を導入すること等により、湖沼の水質改善のための幅広い水質保全対策を講ずるということが概要でございまして、現在問題になっておりますのは、新増設の事業場に対する排水規制、これについて政府部内の合意が得られていないというのが現状でございます。
  198. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 琵琶湖の特に浄化という意味でかねてより問題になっております総量規制の導入でございます。これに関しては環境委員会でも問題になりまして、そして前々長官が、総量規制を五十六年度中には実施していきたい、こういう考え方を持っておりました。私の質問に対してもそういった答弁をしておりました。その経過として、五十五年度、五十六年度二年間にわたって調査費を予算に計上して調査を実施してまいりました。水質あるいはヘドロまたは雨の状況等々、いろんな問題があるわけですが、その調査結果がいま整理されておる段階である、こういうように述べておりましたが、現在どういう状況まで進んでおり、そしてこの総量規制の実施というものはどうなのか、その実施面に関してどうしていくのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  199. 渡辺一志

    渡辺説明員 琵琶湖の総量規制の導入につきましては、これを検討しますために、いま先生から御指摘がございましたように、昭和五十五年の夏から昭和五十六年夏までの各季に必要な調査をいたしました。現在、これらの調査データの整理が終了しまして、それで琵琶湖の汚濁機構解明のため電算機によるデータ解析を実施しておるところでございます。ただ、この琵琶湖というところは非常に複雑な機構を有しておりまして、たとえば琵琶湖における水質汚濁というのは、流入する汚濁物質によるもののほか、プランクトン等の増殖に伴ういわゆる内部生産によるものがございます。また、夏季と冬季とでは水温の影響で湖流の流動状況が一変するなど、非常に複雑な汚濁機構を有しておりますために、当初想定以上に調査結果の解析に時間を費やしているところでございます。しかし、極力その取りまとめを急ぎまして、その結果を踏まえて総量規制導入をどうするかということを検討してまいりたい、さように考えております。
  200. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この前も、データ、調査結果をいま出しておりますとずっと答弁しておりますが、これは見通しだけでもはっきりさせてください。データ、調査結果は本年なら本年どういうふうに出ます。それを踏まえて総量規制を実施するということを委員会で長官が答弁しておるのですから、それは責任を持ってもらわなければならぬですよ。そういう意味で、実施面に関してどういうふうにやりますと、もう一度答弁ください。
  201. 渡辺一志

    渡辺説明員 先ほどの繰り返しになるかと思いますが、調査しましたデータは全部整理されております。ただ、このデータだけから琵琶湖に総量規制を導入するかどうかということはちょっと検討できません。したがいまして、たとえば河川等を通して流入した汚濁負荷量が琵琶湖に入りまして、それがどのように拡散し、集積するかというようなこと、あるいは一方ではプランクトン等による内部生産があるわけでございますが、その量がどのくらい発生するかとか、あるいは琵琶湖の中には相当底質等に汚泥がたまっておりますが、それが溶出してくるというような問題もございます。だから、それらのいろいろな問題点をコンピューターではじきまして、そこで琵琶湖全体としての水質汚濁機構というのが解明できるわけでございます。したがいまして、その結果を待って、どういう総量規制を導入したらいいかとか、あるいは総量規制よりもほかの方が効果があるのじゃないかといった、いろいろな検討がそれによって出てくるわけでございます。そんなことからちょっとおくれているわけでございますけれども、近いうちにそういった検討結果が得られると思いますので、それを待ちまして総量規制を導入するかどうかというようなことを検討してまいりたいと考えております。
  202. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 余り時間がないのでもう一回だけ。  私聞いていることはそんなことを聞いているのじゃないですよ。一生懸命やっているというのはわかっている。そうじゃなくして、前々長官が約束しているのです。五十六年度中には実施しますとちゃんと約束しておることを、これをほごにするというようなことになったらちょっと問題になるから、したがって、見通しだけでも、本年度は無理でした、ところが調査結果がいまこういうふうに出てきておって、あと検討段階がいまコンピューターに入れてこうですけれども、本年度内なのか、あるいは来年度にまたがるのか、本年中なのか、その辺の大体の見通しは言えないのかということを聞いているのですよ。それも言えないなら言えないでいいです。はっきりとどれぐらいということを言ってください。
  203. 渡辺一志

    渡辺説明員 導入時期につきましては、五十六年度中ということは、現実にもうあと一週間しかございませんのでむずかしいかと思います。それで、あとにつきましてはできるだけ早く検討をしていきたいと考えております。
  204. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 まあちょっと無理でしょう。  そこで、もう時間ですので最後にお伺いしておきますが、この琵琶湖総合開発特別措置法の十年延長ができた場合、総合開発に関してこの期間内に完成する見通しがあるのか。あればその根拠は何なのか。この前のように四割だとか五割だとかというような事態ではこれは問題でございますから、ぜひこの完成の見通し、その根拠を述べていただきたいと思います。
  205. 宮繁護

    宮繁政府委員 名目と実質の乖離の問題につきましては、これは物価の上昇がどうなるかということにかかわるわけでございまして、今後の国民経済のあり方が問題になってまいります。そういう意味ではやはり若干の物価の上昇があるのではないかというふうに考えられますけれども、そういったギャップが生じることはともかくといたしまして、その場合におきましても、この十年の期間内に全部の事業を完成できるよう、必要な事業費の確保につきまして各事業を担当しております各省庁にも御協力をお願いして、何とか実現したいと考えております。  なお、その根拠でございますけれども、実は今後十年間約九千六百億円程度の事業費を見込んでおりますが、昭和五十六年度におきましてもこの関係事業費は大体九百億程度実施いたしております。そういうものから考えますと、十年間にこの事業量は実現できるものであると考えておるわけでございます。
  206. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 最後に長官にお伺いして終わりたいと思います。  この琵琶湖総合開発という面で、実績が、費用面でも六六%というような、過去十年間、そういった面での落ち込みであって、事業面におきましても四割あるいは五割というような事態であってはならないと思いますし、この総合開発に関してどう全力で取り組んでいくのか。琵琶湖、これは一滋賀県だけの問題ではございません。近畿全国の人たちが恩恵を受けておる重要なものであるがゆえに、全力で取り組んでいただきたいと思いますので、その御決意のほどをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  207. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 お答えいたします。  宮繁局長からただいま答弁しましたように、琵琶湖総合開発特別措置法を十年間延長して、引き続き琵琶湖総合開発事業を推進するに当たっては、関係各省庁に対しても積極的に協力を求めつつ、必ず期限内に事業を完成するよう努めてまいりたいと考えております。
  208. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  209. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  西田八郎君。
  210. 西田八郎

    西田委員 最初に国土庁長官に、今回この琵琶湖総合開発特別措置法の延長に対して提案をいただきましたことと、今後十年間の計画案が承認されまして、そのことが具案化されましたことについて、御努力に対してお礼を申し上げたいと思います。  そこで、これから十年間この法律が延長されまして、開発事業がさらに進められていくわけでありますが、水を管理するに当たりましてはやはり治水ということ、それからその水を利用する利水、水利といいますか、そしてその水をきれいに使おうという保全、いわゆる治水、利水、保全という三つの要素があると思うのですが、その中でどうも今度の十年間を私ども県民として眺めてまいりました場合、あるいはひがみかもわかりませんが、大阪の下流に対する水需要に協力をするという、いわゆる利水に重点が置かれておるのではないだろうか、そういうような声が県民の中にも聞かれるわけでありますが、この十年間の計画をずっと進められてきた上に立って、現時点でどういう評価をしておられるのか、国土庁としての見解をまず承りたいと思います。
  211. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  琵琶湖総合開発計画は、琵琶湖の自然環境の保全と汚濁した水質の回復を図りながら、水資源の利用と関係住民の福祉をあわせて増進することを目的としたものでございます。それで、この保全と開発を総合的、一体的に進める計画をつくりまして、これに基づきまして事業を実施しておるわけでございまして、大変大きな意味を持っておるものだと私ども考えておるわけでございます。  現在の計画事業は、その目的、内容から見まして、いまいろいろ御指摘ございましたように、環境保全、治水、利水、この三つに大別されますけれども計画は、この三本の柱のおのおのの目的を達成するために、あの時点におきまして必要と考えられる事業量を計上したものでございまして、また、計画の推進に当たっては、各事業が円滑かつ整合性を持って進捗するように私どもも努力してきたわけでございます。いろいろ御批判もあろうかと思いますけれども、以上のような観点に立ちまして総合的、一体的にこの計画の実施に当たってきたわけでございます。
  212. 西田八郎

    西田委員 そうしたことからずっと進められて、総合的に一体的に関係を持って進めていきたいということでありますが、それでは具体的にまず水質の保全についてでありますが、現在富栄養化が非常に進行しておるということで、夏になると臭い水を飲むということも間々あることでございまして、昨年御承知のとおり、滋賀県は国体をやったわけでございますが、全国から、琵琶湖はもうとにかくでっかい湖だから水には不自由しないだろうということでお見えになったところが、大津周辺地域で非常に臭い水を飲んでもらわなければならぬということが起こったわけですよ。  そこで、その富栄養化防止について、まずどれほど研究を進めておられるのか、これは環境庁のお仕事かはわかりませんが、研究がどれくらい進んでおるのかということと、それからもう一つ、富栄養化に対してどういう対策があるのか、あわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  213. 長谷川正

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  富栄養化の研究につきましては、いろいろメカニズムもむずかしい状況でございまして、各方面からいろいろの湖沼その他を対象にいたしましてただいま鋭意研究を行っているところでございます。それで、対策の方でございますが、富栄養化の進行に伴い、湖沼においては藻類の増殖、繁茂により透明度の低下や水色の変化による美観の劣化、水道におけるろ過障害や異味臭問題等、各種の障害が生じているところでございます。このため、現行水質汚濁防止法によって各種の施策を進めているわけでございますが、そのほか富栄養化の要因である窒素、燐について早急に環境基準を設定し、排水規制の実施、三次処理を含めました下水道整備の促進等々、各種の対策を講ずることにより、その削減を図っていく必要があると考えているところでございます。
  214. 西田八郎

    西田委員 研究をしておりますと言っても、これは富栄養化という問題が出てからずいぶんになるわけですが、もう少し進んでやってもらえないんですかね。  それと、対策につきましても、私は、いままでおっしゃった程度では非常に足りないと思うのですね。ですから、文句を言うわけじゃありませんが、もうちょっと進んで、これだけ科学技術の進んだときですから私は可能ではないかと思うので、早く研究を進めて抜本的な対策というものを樹立していただきたい、特にお願いをしておきたいと思います。  そこで、滋賀県では、主婦の方々等も一生懸命になって、数年前から便利な洗剤を使うのをやめて、洗濯石けんを粉石けんにかえておるわけなんですね。粉石けんで化学洗剤と同じぐらいの効果を上げようとすると、洗濯するのに大体十分ないし十五分水の空回しをしなければならない。それだけ滋賀県民は電気代もよけい要るわけですよ、正直言って。主婦の時間もそれだけ普通の主婦よりもたくさんかけなければならぬということでありますけれども琵琶湖を美しゅうするためにはひとつごしんぼういただきたいということで、一昨年富栄養化防止条例というものができて、私は、それはそれなりにかなりの効果があったように思うわけですが、これに対して環境庁として効果、評価をどうしておられるか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  215. 長谷川正

    ○長谷川説明員 琵琶湖富栄養化防止条例は、五十四年の十月、滋賀県議会において可決成立し、五十五年七月から全面的に施行されているところでございますが、工場、事業場に対する窒素、燐の排水規制や、有燐洗剤の使用、販売等の禁止については順調に施行されていると聞いております。また、条例施行後の効果については、琵琶湖のような大きな湖では滞留時間が長いこともあり、一年程度の短時間では的確に評価することは困難であると考えてはおります。しかしながら、滋賀県の調査によれば、条例の施行前と施行後では、南湖、瀬田川への流入河川における全燐の濃度が相当程度低下しているという事実もございますので、今後、徐々に琵琶湖の水質の改善効果があらわれてくるものと、われわれの方も期待しているところでございます。
  216. 西田八郎

    西田委員 そこで、先ほど環境基準の中に、窒素、燐の排水基準というのを言われたわけでありますが、この滋賀県のような富栄養化防止条例、こういうものをとらまえて、全国的に富栄養化防止について何か方法を考えておられますか。
  217. 長谷川正

    ○長谷川説明員 富栄養化防止につきましては、現在排水基準でいろいろ対策していることのほかにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたのですが、富栄養化の原因の大きなものである窒素、燐につきまして環境基準を設定して、排水基準を設定し、対策をしていきたいということで、現在その検討を行っているところでございまして、できるだけ早い機会に中公審の方に環境基準の設定についての諮問をいたしたいと考えておるところでございます。
  218. 西田八郎

    西田委員 いささか手おくれの感じがありますから、ひとつ急いでください。これは琵琶湖だけでなしに、全国の河川、湖沼、富栄養化で非常に汚濁しておる事実もありますし、そのために、水源地帯としての適性化という問題も問われておるときですから、ひとつ努力をお願いしておきたいと思います。  次いで、琵琶湖の水の保全上重要なのが農業用水なんですね。家庭で脱燐の洗剤を使うあるいは粉石けん等を使うようになってから、家庭用排水の汚濁寄与度というのはかなり低下しておる。ところが、いま問題はやはり農業排水だと思うのですね。したがって、この農業排水について今度新しく集落処理方法等をお考えになっておるようでありますが、農林省の方お見えになっていますね。——この集落処理方法というものについてどの程度の効果を考えておられるのか。これは非常にむずかしい問題であろうと私は思うのです。集落別に言ったって、滋賀県で勘定しましても七市四十二町一村、その四十二町一村の中に集落が十ずつあったって、ざっと四百三十あるわけですね。市の中にも農村部はありますから、合わせますと六、七、八百の集落ができる。その集落を処理するというのは非常にむずかしい問題ではないかと思うのですけれども、それについての効果その他について、ひとつお考えを聞かしておいてほしいと思います。
  219. 北村純一

    ○北村説明員 お答えいたします。  今回の改定計画に盛り込まれました農業集落排水処理施設事業は、私どもの農村総合整備モデル事業及び農村基盤総合整備事業のメニュー、すなわちその工種の一つといたしまして、農業集落の生活環境改善とあわせまして、農業用の用水排水の水質の保全を図りますために従来から実施してきているものでございます。したがいまして、農業集落排水処理施設事業そのものを、具体的にこの琵琶湖の問題につきましてその効果を示すことは非常にむずかしゅうございますけれども、本事業は、農業集落の生活環境改善とあわせまして、農業用の用水排水の水質保全等を図ることを通じまして琵琶湖の水質の保全に資するものと期待しております。  以上でございます。
  220. 西田八郎

    西田委員 わかったようなわからないような御答弁ですが、いわゆる期待しているということですね。それが積極的に進めるということに理解してよろしゅうございますな。——それじゃ、ひとつこの点、まあ他府県でも非常に注目するところであろうと思う。今度の新しい予算では百六十集落とりあえずということになっておるようでありますが、精力的にひとつ早くお願いをしたいと思います。  そこで、あわせて家畜のふん尿処理ですね。これはもう十頭か二十頭程度の乳牛を飼っている、そういうところで特別にふん尿処理場をつくるというわけにはまいらぬと思うのです。これをやっておったのでは、そうでなくてさえいま採算が合わぬといっててんやわんやなんですから、こういう設備まですると大変ということになるわけですが、それに対してどういうようなことを考えておられるか。これも新規事業の中で家畜ふん尿処理施設ということになっておるわけですが、これについての多少の見込みといいますか、計画等をお聞かせいただきたいのと、それに対する効果、これはやはり水質保全上必要なことでありますから、効果がなければ何にもならぬわけでして、その辺の効果等についてひとつお伺いいたしたいと思います。
  221. 北村純一

    ○北村説明員 お答えいたします。  畜産の排水の処理につきましては、一般的には、畜産排水、その汚水量、汚濁負荷が、この農業集落排水考えております屎尿、これは人間の屎尿でございますが、屎尿及び家庭雑排水と比べまして非常に大きな汚水量であり、負荷がかかるということでございまして、技術上、またその負担の公平の見地からいたしましても、原則的にはこの集落排水事業とは別途事業で対応すべきものというのが原則でございます。しかし、御指摘のように、庭先飼育程度の小規模の家畜排水でございまして、集落に介在しておりますといったような場合に、この農業の集落の排水処理施設、この事業でもちまして実施することが適当な場合には、前処理をいたしました後、この屎尿、家庭雑排水と合わせまして本事業の中で対処することは可能でございます。  その効果につきましては、私自身専門ではございませんけれども、たとえば牛、豚の場合、人間と比べますと、平均して三十人分ぐらいのふん尿を出すようでございますが、それが処理されるわけでございますので、その効果は非常に絶大なものであるというふうに考えております。
  222. 西田八郎

    西田委員 いずれにしても、それではそういう零細農家、家畜を飼育している農家に余り負担がかからない方法でお考えいただく、こういうことですか。
  223. 北村純一

    ○北村説明員 ただいまのお話のとおりでございまして、別途事業事業を起こしてやるということになりますとかなりの費用がかかりますし、したがいましてその地元の負担も大きくなるわけでございますが、この事業の中で取り込めるものでやっていきます場合には非常に効果的にいくものだというふうに考えております。
  224. 西田八郎

    西田委員 それと、もう一つ農業排水についてお伺いしたいのですが、集落的に排水を処理されましても、やはり窒素とか燐とかあるいは汚物が幾分残留すると思うのですよ。そういうものを直接流してしまうということになると、多少はきれいになっても根本的な解決にはならない。そこで、農業用水というのは、いま化学肥料を使いますね、ですから一定量は吸収しても、ある一定量はそのまま水の中へ残留して流れてしまうのではないか、したがって、こういう農業用水は還元利用をする方法を考えてみたらどうだろうか。非常にむずかしい問題であるかもわかりません。日本の場合は水平農業ですし、滋賀県の場合は、だんだんに丘の方から水面に向かってたんぼが段がついておりますから、それをもとに戻すというのはむずかしいことかもわかりませんけれども、何かそういうような方法で、ただ排水と言わずに、十分肥料分を含んだ水でありますから、そういうものを還元利用するような方法は考えられないか、これは私の一つの提言でありますけれども、どういうふうにお考えになるか。
  225. 北村純一

    ○北村説明員 農地排水の再利用につきましては二つの場合がございまして、一つは、用水の不足に対処いたしますために、その農地排水を循環灌漑を行うという場合が一つございます。もう一つは、ただいま先生指摘のように、農地排水自体が湖水を汚濁するおそれがあり、その浄化のために再利用を行わなければならない場合があるというふうに考えられます。  それで、前者につきましては、これはもうすでに行われておりますように、土地改良事業の中で実施することが可能でございますが、先生指摘の後者の場合は、これは本来的に農業生産上の利益を伴わないという問題がございまして、農家の意識及びその事業の負担といった面から考えますと、これを土地改良事業として実施することが非常にむずかしい現状にございます。先ほどお話がございますように、富栄養化に伴う問題につきましては、営農面におきましても、その対策といたしまして施肥の方法、時期、その量、またその用水排水の水管理といったものを、県あるいは市町村等の技術担当者がさらに一層農民に対して指導を徹底いたしまして、極力窒素、燐を流亡させることを防止する、その防止に努めるということがまず一義的に必要であろうかと思います。  さらには農地排水の、ただいま御提言がございました再利用につきましては、今後関係機関とも打ち合わせをいたしまして、試験研究の対象とする方向で検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  226. 西田八郎

    西田委員 現状では農業排水は非常に貴重な水だと思うんですよ。したがって、こういうものの環元利用というものも十分考えられていいのではないか。それはペイはしないでしょう、農村自体、農家自体から考えてみれば。しかし、国自体の水資源あるいは食糧生産という面からは大きな効果があるように私は思いますので、ひとつ一層の努力をしてもらいたいと思います。  続きまして、重要な問題の一つとして、琵琶湖に赤潮が最近また出るようになった。琵琶湖の赤潮は瀬戸内海なんかに出る赤潮と違って、植物性プランクトンだと言われておるわけでありますが、これはやはり害がないとはいうものの、環境保全上は非常に重要な問題の一つでありますが、これに対してどの程度研究をお進めになっておるか。また、その対策についてひとつ伺っておきたいと思います。
  227. 長谷川正

    ○長谷川説明員 琵琶湖の淡水赤潮は昭和五十二年から発生しているところでございますが、このプランクトンの異常発生現象についてはいまだ究明されていないことも多く、有効な防止対策を検討するためには、その発生の原因、機構等について多角的に有機的な調査検討を行う必要があると考えております。そのため環境庁としては、五十四年度から赤潮発生のメカニズム解明のための調査を実施するとともに、淡水赤潮研究会、これは座長に京都大学教授の門田先生をお願いしておりますが、これを設置いたしまして、淡水赤潮の機構解明を進めているところでございます。対策につきましては、先ほど富栄養化のところでも申し上げましたが、窒素、燐の防止というか、除去ということを中心にいたしましてやる必要があると考えますので、環境基準の設定その他について考えていきたいと考えておるところでございます。
  228. 西田八郎

    西田委員 そのメカニズムについてはただいま研究中だ対策は富栄養化防止を進めるということになると、研究はまだだけれども、大体その辺に原因があるというふうに置いておられるということでいいわけですね。  それでは次に、環境保全関係について多少お伺いしたいのですが、一番困るのは空き缶とビニールのくずなんですね。これは、私ども県内にある組合の組織だとか、私どもの党が中心になって年に一回ずつぐらい、夏の琵琶湖周辺での遊ばれる期間が済みますと大掃除をやるのですが、これは琵琶湖一周二百六十キロにわたってはできませんけれども、主なところをやりましても、琵琶湖の野洲川の河口付近にマイアミというところがあるのですが、そこだけで四トントラックに二杯ぐらいのごみがあるわけです。そのうち約三分の一ぐらいが空き缶なんですね。これは本当に危険もあるし、大変邪魔になる。琵琶湖にぽかぽか浮く。中にいろいろなものが入っている。そういうものも水と一緒になって出てくるということで、空き缶というのは本当に厄介者の一つですが、最近、京都府等を中心にして空き缶の条例なんかつくっておられるようでありますが、これの処置についてどう考えておられるかということが一つ。  もう一つ、ビニールのことをついでに言いますが、このビニールは、中に物が入っていると、その物と一緒になって重みで沈んでしまう。ところが、ビニールだけですと底まで沈まずに中途で浮きよるというわけですね。それが漁船のスクリューに巻きついたり、魚の保育、養成に非常に害を与えるというようなことがあるわけです。こういうことはモラルの問題でもあるけれども、これに対する対策をどう考えておられるか、あわせてひとつ答弁してください。
  229. 片山徹

    ○片山説明員 いま先生指摘の空き缶問題についてでございますが、昨年の一月に関係十一省庁から成ります空カン問題連絡協議会を発足させまして、その中で空き缶の投げ捨て防止のための普及啓発活動の重要性、これを認識いたしまして、協議会が発足して間もない四月十三日に、「空き缶散乱防止等のための普及啓発活動の充実について」という協議会での申し合わせを行いました。それによりまして、散乱防止のための普及啓発活動を強化充実するために、昨年の夏場におきまして各種のPR、キャンペーン活動を実施したわけでございます。  その主たる内容といたしまして、第一点が、政府広報及び関係機関団体等が発行しております機関紙による広報並びにポスター、ステッカーの印刷、配布及びマスコミを通じた呼びかけの強化でございます。第二点が統一美化マークの缶への印刷及び自動販売機への貼付、第三点が地方公共団体への啓発活動の呼びかけ等々でございます。  この結果、どういう効果があったかということでございますが、環境庁が昨年八月に実施した空き缶散乱状況調査結果によりますと、この普及啓発活動の充実強化についてはきわめて日が浅いわけでございますが、それなりの効果があったと考えております。また、連絡協議会での申し合わせ等が地方公共団体に浸透いたしまして、この空き缶問題についての取り組みが活発化いたしまして、各種の対策の検討、強化を打ち出す自治体が増加してきていると承知しておりまして、こういう面でもこの協議会の効果があったのではないかと考えております。
  230. 西田八郎

    西田委員 ビニールについては。
  231. 片山徹

    ○片山説明員 ビニールについては、厚生省の廃棄物の処理及び清掃に関する法律によりまして、市町村あるいは管理者で対策がとられておると聞いておりますが、具体的には厚生省の方でお聞きしていただきたいと思います。
  232. 西田八郎

    西田委員 厚生省の方は。——厚生省が来ておられぬようですが、きのう、こういう質問をしますよとちゃんと言うてあるものですから、答弁もできておるはずですが、どういうことですかな。  それでは次に、河川改修と自然浄化作用についてお伺いしたいのですが、河川改修をされるということは防災上も必要でしょうし、流量等をよくするためにも必要なことだと思いますけれども、土手をコンクリで固めてしまうということは、自然の浄化作用を著しく妨害しておると私は思うのですね。半減どころか全くなくしてしまっているのではないか。  そこで、金のかかることですけれども、昔蛇かごというのがありましたね。かごの中へ石を詰めて、堤防のところへ一緒に並べて置く。そうすると、だあっと流れてきた水が運んできた土がそこで混入して、そこへ草の根あるいは藻が生える、木が生えるというようなことで、自然浄化作用の上で非常に効果があった。ところが、最近はコンクリートで固めてあるものですから、汚れた水はそのままばあっと琵琶湖へ入ってしまうというなにがあるわけです。金がかかるだろうけれども、十年、二十年のことを考えてみますと、この自然浄化作用をもう一回考え直すということも重要ではないかと思うのですが、河川改修についてその点どのように考えておられるか、また、それをすることによって費用はどうなるのか、お伺いしておきたいと思います。
  233. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  河川の改修を進めるということは、河川によって生じます洪水等の災害を防ぐことに一つの大きな意味があるわけでございまして、そういうことから治水的に十分な安全度を有するということが目標になるわけでございます。そういうことで、先生いま御指摘のようなコンクリートによります護岸等もやむを得ずやっているというようなケースも多いわけでございますが、特に芝を植えまして緑の、水のきれいな河川にするということは、私どもも極力そういうことを望んでやりたいと思っておるわけでございます。ただ、いま申し上げたように、そういう治水の安全度を高めるためには、危険な状態に置いておくわけにはいかないというようなところにおきましては、どうしてもそういった護岸なり何なりの補強が必要であるということになります。  それで、いま先生おっしゃいました蛇かご方式ということもおっしゃるとおりきわめていい方法でございます。といいますのは、蛇かごといいますのは非常にフレキシブルな構造でもございまして、少々堤防が変形いたしましてもそれなりになじんで、いつまでも堤防を保護するという効能があるということもございまして、そういう治水上の目標からいきましてもなかなかいい工法でございます。ただ、その蛇かごがだんだん使われなくなったということは、端的に申し上げますと、蛇かごを編んだり施工したりする技能者がまずいないということがございます。それから、蛇かごに入れるぐり石と言いますが、玉石がなかなかとれなくなったということもございまして、そういうものが非常にいいとわかりながらやむを得ず使わないでおる、使えないでおるというのが現状でございます。  それで、画一的な河川改修ということは確かにおっしゃるとおりおかしい、場所的にはそういうところもございます。ですから、本当は護岸がない方が経済的にもいいわけでございまして、河川改修の促進のためにはむしろなしで済めばそれはいいわけでございますが、いま申し上げたように、護岸が必要だということになりますと蛇かごもなかなか現実には手に入らない、やりにくいということもございまして、やむを得ずコンクリート護岸ということも考えてやっておるわけでございます。しかし、自然浄化機能というものもおっしゃるとおり大事なものでございますから、そういったものを考慮した改修方式というものも当然考えていかなければいかぬと思っております。
  234. 西田八郎

    西田委員 確かにいろいろ産業構造変化であるとか生産工程の変革あるいは労働条件の変化等によって、昔は一番安いと思っていたものがいま一番高うなってきたりしておる時代でありますから、むずかしいことであろうと思いますけれども、われわれはやはり自然の中に生きていくということが一番大事なことであって、しかも先人の考えた知恵は一〇〇%いいものは取り入れるという姿勢があっていいのではないか。したがって、そのために単価が多少高くついたとしてもいいものは残していく方法というものを将来考えていただきたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。  次に、先ほども公明党の竹内先生から御質問のありました下水道整備についてであります。これは非常に難事業であります。特に滋賀県の場合はいま琵琶湖総合開発に絡みまして、通常なら公共下水までやらなくてもいい町で公共下水をやらなければならぬ。これは流域下水があるからという先ほどの答弁でありましたけれども、流域下水へ入るまでのその町自体の下水は公共下水で整備しなければならぬわけですね。そうするとわずか四十戸足らずで、人口は四人としても百四、五十人のところの集落から汚水を運んできて、そして一カ所にマンホールをつくって、それから流域下水へほうり込むわけなんですが、その間はどうしたって三百ミリなんという太い管は要らぬわけなんですね。したがって、二百ミリなり二百五十ミリなりの細いものにする。そうすると補助対象にしてもらえない、こういうことが起こってくるわけなんです。したがって、先ほど竹内先生と同じように、こういう特別な事業をしているところに対して特別な措置考えられないのかどうか。きょうまでやってきた大津等の下水につきましては、住居の密集地でありますね、したがって比較的太いパイプを使わなければならぬということになるわけです。しかし、これから十年間にやっていく下水道整備の各市町の事業というのは、市でもこれから村落へ入っていきますとそういう問題が出てくるわけです。したがって、いままでは大体八〇%近く補助していただいているということなんですけれども、これからはそれが五〇%以下に下がっていく心配がある。そうすると、一番肝心の下水処理ができなければ琵琶湖の浄化はなかなかむずかしい、こういうことになるわけなんです。  そこで、この法律ができますときに、私はたまたままだ特別委員会でありました公害対策並びに環境保全特別委員会におりまして、連合審査をいたしました。そこでこれが議決されましたとき衆参両院で附帯決議がなされておりますね。しかもその第一項に「下水道事業等水質保全上有効な事業については、これを早期かつ優先的に実施すること。」というのが一つある。これは衆議院の方です。参議院の方は、「水質の保全上、最も有効な下水道事業等について、早期かつ優先的に実施すること。」こういうふうにうたわれておるわけなんです。したがって、これは特別に配慮せよという附帯条件がついておるわけなんですが、この公共下水事業についてどのように対処されるのか、今後一体どういうふうに考えでおられるか、ひとつ聞かしていただきたい。
  235. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 御質問のうちの、法制定時の附帯決議の方から先に申し上げたいと思います。  法制定時の附帯決議、いまおっしゃいました下水道事業に係るものにつきましては、早期かつ優先的な実施、それから高度処理技術の開発の促進、それから淀川中下流地域におきます下水道整備事業の促進、この三つございました。このうち早期かっ優先的な実施につきましては、その趣旨に従いまして四十七年度から五十六年度までの十カ年間に総額九百九十六億円、これは名目計画額に対しまして一六九%の進捗になっておりまして、私どもとしてはそれなりの努力をしているというふうに考えておるわけでございます。  それから高度処理技術の開発の促進につきましては、建設省の土木研究所等におきまして調査研究を進め、特に琵琶湖におきましてはパイロットプラントを設け、その開発を促進しておりまして、その結果、富栄養化防止のために燐除去を対象といたします高度処理についてはほぼ実用化の段階に来ております。たま、窒素につきましても、おおむね実用化の見通しがついたという段階に達しているわけでございます。  それから淀川の中下流地域におきます下水道整備事業の促進につきましては、京都府、大阪府において六つの流域下水道事業と、十二市三町の単独公共下水道事業を実施しているところでございまして、五十五年度末の普及率は京都府が三九%、大阪府が五七%という状況でございます。  それから次に、特に琵琶湖関連での補対率なり補助対象の管渠の口径につきましての御指摘でございますが、まず補対率について申し上げますと、琵琶湖地域の公共下水道の四十七年度から五十六年度までの実績につきましては、総事業費二百六十億円、補対事業費が二百八億円でございまして、補対率が先生指摘のように八〇%でございます。五次五カ年の地元要望におきましては補対率が六三%となっております。これは、全国の平均的な補対率を下回っておるわけでございますが、過年度八〇%というのは、全体で見ますと全国の補対率を五%ほど上回っておるということでございますので、そういう補対率の高い事業が先行された結果と御理解いただきたいと思います。  次に、管渠の関係でございます。管渠の補助対象の範囲の拡大でございますが、これにつきましては、私どもといたしましても、改善につきましていろいろ検討したわけでございます。しかしながら、下水道整備が全般に立ちおくれておるという状況でございまして、現下の財政事情を勘案いたしますと、限られた国費の範囲内でなるべく普及率を上げたいという考え方が先行いたしまして、当面、事業費を確保する必要があるということで、残念ながら制度の改善を見送ったわけでございますが、今後とも財政事情の推移等を勘案しながら、事業が円滑に進められるよう、必要な検討を重ねてまいりたいと考えております。
  236. 西田八郎

    西田委員 非常に御丁寧な御答弁で、私が聞いていない部分まで御親切に御説明をいただきましたから、次の質問をしなくてもいいようになりましたが、ただ、やはり下水道整備というのはその国の文明度をはかる一つの尺度にもなっておる。今日、経済大国と言われる日本でまだまだ下水道の普及率が非常に低いということは恥ずかしいことであるし、特に今度の総合開発特別措置法という特措法をつくってまで水をきれいにしよう、そして十分利用しようということになったわけですから、そういう事業をやっておるこの琵琶湖総合開発等に対しては特別の配慮があってしかるべきではないかということでありますので、私はこのことをここで強く訴えておきたいと思います。  いま八〇%の補対率だとおっしゃいましたが、それはなるほどいまは密集地域であります。しかし、これからやろうとするのは市を離れて町に入るわけです。町は、全体が、いま言う補助対象基準から外されるところがほとんど出てくるということでありますから、そういうところに対しての特別な配慮を言うておるわけです。その辺のところは間違いのないようにしっかりと記憶しておいていただきたいと思います。  続きまして、水源涵養に必要な造林でありますが、先ほど竹内先生もお伺いになっておった。私も竹内先生と同じように、ひとつ融資制度を変えたらどうかということなんです。  実は、植樹をして二十年なり二十五年たつとある程度木が育ってくるわけです。それで、木の間隔を広げてやらないといい木に育たないということで、間伐といって途中で間引きをします。その間伐した木が丸太とかくいの材料になって、昔はかなり利用度が高かった。したがって、それを売ってある程度中間資金を稼ぐことができた。ところが、いまはもう建設現場へ行ったって丸太を使っているところはどこもない、全部パイプでやっておる。これは田舎の建築屋さんでもそうです。農家の家を建てているのを見ておりますと、起重機を持ってきて棟を上げる、そして壁を塗ったりするときにはちゃんと組み立て式の足場を組み立てて壁塗りをやっておられるということで、間伐材の利用が全くなくなってきておるわけなんですけれども、そのために造林業というのはますます困っておるわけです。したがって、融資というものについても一考あってしかるべきではないかというのが先ほどの質問でもあるし、私の質問でもあるわけなんです。これについてもう一度お答えをいただきたいと思います。特別に考える意思があるのかどうか。
  237. 川合淳二

    ○川合説明員 造林事業は、単に植えて切っていくということだけではございませんので、その中間に、いま先生の御指摘のような間伐ということで収入を得る道が従来あったわけでございます。これがいろいろな代替材の進出によりまして、十分収入として入らないということが一つ今日の問題でございます。ただ、そういう問題から、需要に対しまして各地でかなりいろいろな働きかけが行われております。一方需要側からも、間伐材につきまして御理解をいただいておるところでは、いろいろな形で需要を掘り起こしていただいているわけでございますが、上と下と申しますか、供給側と需要側がどうもうまく結びつかないという面がございます。そういうこともございまして、私どもは私どもなりに、情報銀行というようなことも申しておりますけれども、間伐材の需要をうまく供給側に伝えることが非常に大事ではないかということで、本年度からそうした試みも始めております。融資の面で償還期間あるいは据え置き期間を延ばすということももちろん検討しなければいけませんけれども、御指摘のような間伐材などの需要開発につきまして、各方面の御理解をもう少しいただくように私どもも努力しなければいけないというふうに考えております。
  238. 西田八郎

    西田委員 これも植林というか、造林をやる人の非常に大きな問題の一つになってきておるので、それは確かに代替材というものも必要でありましょうが、また新しい間伐材を使うという方法も考えられると思うので、ひとつ研究を進めてもらいたいと思います。  次に淀川改修、これは滋賀県から言わせますと、琵琶湖琵琶湖と言うておるけれども、一体淀川はどうなっておるのだ、実際に淀川工事実施基本計画というものがあって、それを進めるようになっておるのに、一体淀川は本当にやる気になってやっておるのか、琵琶湖から水をとることばかり考えておるのと違うか、これはそうとは言いませんが、そういうような考え方がやはり県民の意識の中には非常に強いわけです。したがって、淀川について一体どの程度基本計画が進められておるのか、また将来どのようにされるのか、そこのところをひとつ聞かしていただきたい。
  239. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  淀川は、先生承知のように琵琶湖を含めて日本で有数の大河川でございまして、従来から大変歴史を持って河川改修を進めてきておるところでございまして、決していままでその改修の促進をおろそかにしておったということはないはずでございます。先生からいまお話がございました淀川水系の工事実施基本計画、これは昭和四十六年に定めたものでございまして、淀川の下流部分におきましては、枚方を基準地点にしておりますけれども、そこで計画高水流量毎秒一万二千トンということでしておりまして、そういうことで改修を進めておるわけでございます。淀川の下流部につきましては、淀川大堰あるいはその周辺が、洪水の流下能力の点におきまして最も不足しておる区域でございますので、そこに重点を置きまして、淀川大堰並びにそれの関連事業というものを重点的に従来行ってきたところでございます。その上流の宇治川についてもまた流下能力が不足している区域がございますので、宇治市周辺を重点に河川改修を進めているところでございます。  河川の改修というものは、いまさら申し上げるまでもございませんが、全川の治水上のバランスをとりながら進めていかなければいかぬということでございまして、全川を見詰めましてその改修のバランスをとりながら進めておるというところでございます。淀川の下流周辺につきましては、淀川大堰の改築というものも五十七年度には概成するということでございまして、それに関連いたしますいろいろな橋梁が川を狭めておるというところがたくさんございます。そういった橋の対策について重点的にこれから取り組んでまいりたいということでございます。それと同時に、下流部では堤防からの漏水という現象が多いところがあるわけでございまして、そういう漏水対策を含めまして、掘削とか淀川に流入します支川の改修、そういったものを含めて促進をしてまいりたい、そう思っておるところでございます。
  240. 西田八郎

    西田委員 淀川の改修等を含めて大阪水利用というのをもう少し合理的に考えてもらえば、琵琶湖から流れ出る水の二四%というものが捨てられておる。約半分が捨てられておるわけですね、四八%ぐらいになりますから。五十三億トンのうちの利用量は二十九億トン、無効量が二十四億トンというのですから、この水をうまく利用すれば一メートル五十も水位を下げることを防ぐ方法も一つあるわけなんですね。ですから、大阪水利用については建設省としてもひとつ積極的に取り組んでもらって、琵琶湖に水があるんだからということだけでなしに、貴重な水資源をどう使うかということについて今後一層研究を進めてもらいたいと思います。これは還元利用ということもありましょうし、家庭排水を浄化したものを工業用水に使うとか、大阪でも進められておるようでありますが、ひとつ一層努力してもらい、貴重な水資源を大切に使う、水みたいなものは流れっ放しなんだからという物の考え方、そういう考え方じゃないと思いますが、一般的にまだそういう考え方ですから、そういうことがないように配慮してもらいたいと思います。  次に、今度の県が提言しております琵琶湖の保全基金について、国としてこれをどう考えておられるか。治水につきましては木曽水系、利根水系淀川水系等についていろいろ基金制度があるし、五億円ですか何ぼか基金をこしらえて対策を推し進めてきておられますし、法十一条、十二条でも下流水域等の分担金等があるわけですが、これに参画するのはほとんど治水なんですね。今度滋賀県が考えておりますのは、冒頭に申し上げましたように水の管理については治水、水利、保全と三つあるわけなんですが、この保全に関してどう取り組んでいくかということが重要な課題の一つになってきておるわけなんです。  そこで、建設大臣の私的諮問機関だと聞いておりますが、第四次下水道財政研究委員会というのが設置されて、そこから出されました答申の中に、広域的な水源としての閉鎖性水域においては、第三次処理を含めてその保全のための費用の公費負担の導入ということも検討すべきではないかという提言が行われておるように聞いておるわけなんですが、これについて一体どのようにお考えになっておるのか、滋賀県が提言しておるこの基金に対する評価と、これに関連して保全基金についてどう考えるか、そしてまた、これに対して治水関係の基金と同様に国がこれに参画する意思があるかどうか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  241. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 第四次下水道財政研究委員会の提言の中に、先生指摘のような内容のものがございます。  そこで、滋賀県でいま御提案になっております琵琶湖淀川水質保全基金でございますが、これについて建設省の考え方はどうかという御質問かと思いますが、私どもといたしましては、基金制度につきましては、地元の意見を聞いた上で国土庁等の関係官庁とよく協議いたしまして、遺憾のないように措置してまいりたいと考えております。御質問の中にもございましたが、下水道の維持管理費が高度処理のために多額になるという問題もございますが、今後高度処理の実態等につきまして、関係機関の意見も十分に聴取いたしまして、慎重に検討したいと考えております。
  242. 西田八郎

    西田委員 ぜひひとつ考えてもらいたいのは、二十七日に人工島湖南流域下水道の水処理場の通水式が行われるようになるわけですが、そこでは何か滋賀方式ということで、富栄養化防止高度処理をする、そのために普通の水処理よりも単価が一トン二十六円ぐらいたくさんかかるという話も聞いておるわけなんです。そういう処理をしなければならぬ、これは琵琶湖を持つ者の宿命と言われればそれまでですが、そういうことに非常な費用がかかる。そのために大阪では毎月の家庭の水道料金が平均二十トンで八百四十円ぐらい。それに対して大津で琵琶湖の水をくんでおる者が千百円も払わなければならない。次に今度湖南水道計画ですか、あれによると守山あたりは一立方メートル百四十円近い水道料金を払わなければならないということで、大変な問題になってきておるわけなんです。したがって、そういう水の保全措置についての、異常に高くつく部分について、下流というか流域全域の何らかの協力も必要だし、国としても必要ではなかろうかと思いますので、このことを重ねて強く要望しておきたいと思います。  最後に長官、先ほど竹内先生の御質問に答えて、今後十年間で完成させるとおっしゃったわけなんです。確かに完成はさせてもらわなければ困るが、これがまたもう十年も延期ということになれば、琵琶湖はいつまでたってもきれいにならぬ。それこそ百年河清を待つということになりますから、ぜひひとつ馬力をかけてもらいたいと思うのです。その場合、予算措置が重点的、優先的に行われないとこれはとても完成できない。ゼロシーリングでいきますと、ゼロシーリングはイコールマイナスシーリングということになるわけです、物価が上がっておる、基本材等が上がってくるわけですから。したがって、現在の九千六百億円今度国庫負担行為として認められた金も、十年先にはもっと、一兆円を超すかもわからぬ、あるいは二兆円になるかもわからぬ。したがって物価変動に合わせてそれに相当した予算措置をしてもらわないと、十年間ではとてもできがたいというふうに思うわけですが、その辺についてどうお考えになっておるか、お伺いをしたい。  それと、もう時間があとわずかしかありませんから重ねてお伺いしておきますが、南郷洗堰の操作。これは、昔から滋賀県の知事は知事になりたての人が来る、京都府は御所があるから一番偉い人がおる、大阪府は府だから府の知事さん、こういうことで、官選知事のときは滋賀県の知事なんて全然相手にしてもらえぬほど低い地位の人が来ておったわけです、同じ知事でも。その当時、明治から大正にかけてあるいは昭和の初期にかけての官選知事のくせがいまだに残っているわけです。いまは公選になりましたから対等に物を言うているものの、大阪府と滋賀県とで利害対立しておる。そうするとやはりでかいところの知事の方が発言力が強いというようなことで、どうも琵琶湖の水調整、特に洗いぜきの調整の問題がある。日本ではこれは建設大臣がいま握っておられるわけですけれども、滋賀県民としては非常に不安な材料なんです。だあっと洪水してきたけれども建設省が南郷洗堰を全開してくれなければどんどんと水のかさがふえていくというようなこと、そのために二メートル六十の湖周辺道路をつくって、堰堤をつくってもらっているわけですが、これもまだなかなかいつのことかわからないという状況、こういうときに洗いぜきの開閉についてある程度の基準というか、規定というものがあるのかどうか。仮にあったとしたら、それに滋賀県はどのような関与ができるのか、その辺のところをお答えいただきたいと思います。
  243. 川本正知

    ○川本政府委員 洗いぜきの操作の件についてまずお答えいたしたいと思います。  洗いぜきの操作は、現在では琵琶湖の基準水位のプラス〇・三メートルとかあるいはマイナス〇・三メートルとか、そういったものを基準にいたしまして、下流の気象状態、あるいは流量、河川の水位の状態、そういったものの状況を勘案しながら総合的に判断をして操作しておるのが現状でございまして、先ほどお話がありましたけれども、これは操作規則というものじゃなくて、操作規則の案というものによって操作をさせていただいているところでございまして、今後の琵琶湖総合開発事業の進捗に伴いまして、四十トンの水供給ということも含めまして、新しくといいますか、洗いぜきの操作規則を制定する必要がございます。それにつきましては、当然のことながら滋賀県知事さんを初めといたしまして、関係府県知事さんの意見を聞いてその操作のルールを定めるということが河川法上も明定されておりますので、十分各方面の御意見を勘案しながら操作の規定の策定に努めてまいりたいと思っております。
  244. 西田八郎

    西田委員 これで私は質問を終わりますが、やはり経済環境変化をしておることでありますし、毎秒四十トン、一日二十四時間ということは三百四十五万トンになる。これは琵琶湖の水に計算すれば、表流水量から計算しますと五センチくらいになるわけですね。ですから、そういうような水でありますし、五センチ下がればどうなるか、一メートルも下がればどうなるかということは十分承知の上で進めていっておるわけですし、また進められておるだろうと思いますが、やはり県民としては水位の低下はできるだけない方がいいわけですから、そういう意味ではひとつ水利用についての基本的な計画というものも、経済環境変化等に伴い、あるいは水の再利用等を考えながら、できるだけそういう四十トンでなくてもいいように努力をしてもらいたいということを申し上げまして、最後に、せっかく提案されました、私どもも期待をいたしておりました法案でありますから、一応賛成の意思を表示して私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  245. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて西田八郎君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬崎博義君。
  246. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まず、琵琶湖総合開発特別措置法の前史といいますか、同法が成立に至るまでの歴史的経緯について質問をしたいと思います。  建設省は、昭和三十五年に堅田−守山締め切り案を発表しておるわけであります。これは、北湖と南湖を堤防で締め切って、北湖の水をポンプでくみ上げて南湖の方へ移していく、その北湖のポンプのくみ上げは基準水位からマイナス三メートルまでだ、簡単に言えばこういう案だったと思うのですね。この堅田−守山締め切り案の中心的な目的というか、ねらいは何だったのですか。
  247. 川本正知

    ○川本政府委員 ただいまの先生の堅田−守山の締め切り案というものは、昭和三十五年に琵琶湖総合開発協議会が発表したものでございまして、いまおっしゃいましたような内容で、北湖をマイナス三メートルまで利用するということで、阪神地区の水需要に対処するということでございましたが、それは特に滋賀県の方で、やはり湖を分断する、二分するということは滋賀県自体を県内を二分するというふうなことに直結するということでございまして、そういう意思で立ち消えになったというふうに承知しております。
  248. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこで今度は四十年になって湖中ダム案、別の名前では琵琶湖総合開発構想とも呼ばれているものですが、これもやはり建設省が中心になってつくった案ですよね。これは堅田−守山間に基準水位からマイナス一・四メートルまでの堤防をつくる、だから普通の状態に水があるときにはその堤防は見えないけれども、水位が一・四メートルまで下がってくるとその堤防が姿をあらわしてきて、そこから今度は北湖の水をポンプでくみ上げて南湖へ移していく、北湖のポンプくみ上げの限度は同じくマイナス三メートルまで、大体こういうことですね。最初の締め切り案がこういう湖中ダム案に切りかわった中心的な理由、これを説明してください。
  249. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  湖中ダム案の内容は、いま先生お話があったとおりでございまして、昭和三十九年に建設省が県の意向を反映して、改善案としてこういう湖中ダム案を出したということでございまして、いわば堅田−守山の締め切り案の堤防を低くするということを一つの特徴として出したものだと思っております。
  250. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、それも結局滋賀県が反対していますね。その反対の主な理由は何でしたか。
  251. 川本正知

    ○川本政府委員 この案につきましては滋賀県の方から反対がございまして、四十三年に至りまして撤回をしたというふうに聞いておりますけれども、その理由は、先ほどと同じように、やはり水中の堤防にいたしましても湖を分断するということには違いございませんので、そういった意味から滋賀県内を二分するということから反対があったというふうに聞いております。
  252. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それ以後建設近畿地建とかあるいは近畿整備本部が中心になって、滋賀県や関係府県と調整をとって、四十七年三月二十七日に申し合わせ事項がつくられるわけですね。その内容というのが、「1 開発水量は、水利権量毎秒四十立方メートルとする。2 利用低水位は、マイナス一・五メートルとする。3 非常渇水時における操作については、関係府県知事の意見を徴し、建設大臣がこれを決定する。」という内容であったわけですね。  この申し合わせ事項に滋賀県が合意した理由については、すでに昨年の二月二十七日の本委員会で質問をいたしました。そのとき当時の伊藤大都市整備局長は、滋賀県が特に要望しておりました琵琶湖及び周辺地域の総合的な地域開発というものを一体的に推進する方向が煮詰まったからと、こう答えているわけですね。つまり、従来の、先ほど来御説明があった下流に対する利水拡大一本やりから、滋賀県の地域開発セット案になったということが滋賀県を合意に導き入れた、これがこの前史といいますか、歴史的経緯の大きな流れを一言で言った場合そういうことになるのじゃないでしょうか。
  253. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいまこの琵琶湖総合開発計画、法制定までの前史につきましていろいろお話ございましたけれども、いまお話しのように、長い歴史を持っておりましたけれども昭和四十年の初めに至りまして滋賀県の方から琵琶湖総合開発特別立法についての試案というような形でいろいろ御意見がございまして、そういうものが契機となって、その後さらにまたかなり長い年月を費やしまして、四十七年新しい立法ができたものと承知いたしております。
  254. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この申し合わせ事項、先ほど言いました三点、これが今日まで十年間進められてきた琵琶湖総合開発事業並びに今回の法改正によって今後十年間続けられようとしている同事業の大前提をなしているのではないのですか。
  255. 宮繁護

    宮繁政府委員 ただいま申し上げましたように、琵琶湖淀川をめぐる治水、利水の問題はかなり長い歴史がございます。藩政時代から明治、大正、昭和というような、そういう長い歴史の中でいろいろな問題がございまして、治水、利水につきましてそれぞれ利害も相反するというようなことで、かなり混乱もあったわけでございますけれども昭和三十年代に入りまして下流の阪神地区の……(瀬崎委員「質問にだけ答えればいいので、申し合わせがこの事業前提じゃないかと言っているのです」と呼ぶ)いや、前提ではございません。それはいま申し上げましたように昭和四十六年の二月に近畿圏の整備長官が関係各省庁を集めまして、琵琶湖総合開発について相談する場を持ちました。そういったいきさつの中で、昭和四十七年三月二十七日に、与党の政調会長、関係大臣、三府県知事が集まりまして水利用基本的方針について事柄を決めたわけでございます。したがいまして、私は、これは総合開発の中の水利用についての基本的方向が決まったものと理解いたしております。
  256. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 つまり水資源開発というか、水利用についての大前提ではないかと私は聞いているわけなんです。それについての答えです。
  257. 宮繁護

    宮繁政府委員 琵琶湖総合開発計画は単に水利用だけを決めたものではございませんで、水質保全の問題あるいは治水の問題、その他の問題も決めた総合的な計画でございます。
  258. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それは私は百も承知の上です。しかし、その総合開発の中の、下流に対する利水問題についての基本方針というものがこの申し合わせによって決められたのではないか、この質問をしているわけです。
  259. 宮繁護

    宮繁政府委員 それはそのとおりでございます。
  260. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それで、この申し合わせに加わっているのが、いま言われたとおり政府側では建設大臣、大蔵大臣、経企庁長官、自治大臣、それから自治体では大阪府、兵庫県、滋賀県、そして自民党の政調会長、こういうメンバーですね。当然のことながら、水利用は保全と一体のものであるはずなんですが、その前の年に環境庁が発足していたにもかかわらず、この申し合わせには加わっていなかったわけです。この点についても昨年の二月の委員会で、環境庁が参加していないことについて、参加を呼びかけられたけれども行かなかったのか、それとももともと参加の呼びかけがなかったのかということを聞いたところ、当時出席しておりました大塩水質管理課長は、「その辺の事情をつまびらかにいたしておりません」と答えておるわけですね。そこで、改めてその事情を、これは環境庁長官の方からつまびらかにしていただきたいと思うのです。
  261. 原文兵衛

    ○原国務大臣 ただいま御質問の昭和四十七年三月のこの申し合わせでございますが、その当時の事情をつまびらかにしたいと思いましていろいろと調査をさせたのでございますが、どうも当時の関係者もおりませんし、残念ながらどういう事情であったのか、いまだにつまびらかにできておらないわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  262. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 琵琶湖総合開発事業水利用についての基本方針は、少なくともこれが大前提になっていることはただいま局長の答弁のとおりであります。しかも、こういう利水が保全と密接な関係を持つことも先ほど言われたとおりでありますし、特別措置法そのものもそういう組み立てになっています。そうなりますと、こういうものを決めた申し合わせに、いわゆる開発事業を所管する建設省が加わっている、調整官庁であった経企庁が加わっている、財政を担当する大蔵省が加わっている、地方行政を担当する自治省が加わっている、保全を担当する環境庁が、事情はつまびらかにならないにしても加わっていないということは、きわめて片手落ちだとは長官はお思いになりませんか。
  263. 原文兵衛

    ○原国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおり、当時の事情がどうもつまびらかにはなっていないのでございますけれども、私は、いま瀬崎委員がおっしゃるように、やはり環境庁が加わっていた方がよかったのじゃないかなと思っているわけでございます。
  264. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 実は、この三月二十七日の調印の行われました翌日に、この琵琶湖総合開発特別措置法の国会提出が閣議決定され、四月一日に衆議院に提出される、こういう運びになっているわけですよね。  そこで、この申し合わせが琵琶湖総合開発事業の一つの大きな柱である水利用前提になっているわけなんですが、それでは、この申し合わせと琵琶湖総合開発特別措置法との関係はどういうふうに位置づけられているのですか。
  265. 宮繁護

    宮繁政府委員 また既往に返っておしかりを受けるかもしれませんけれども、かなり長い歴史的ないきさつがございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、三十年代からいろいろな動きがあったわけでございます。四十四年に、滋賀県の方では琵琶湖総合開発特別立法化試案というのを公表されました。その後、さらに四十五年十二月には、滋賀県が琵琶湖総合開発に対する基本的態度というようなものを発表されたわけでございます。そういう一方で、先ほどちょっと申し上げましたように、昭和四十六年二月に関係行政機関が集まりまして、当時の近畿整備長官が会長になりまして、当時は関係各省としまして厚生省官房長、厚生省環境衛生局長等も入っていただきまして、この問題についての調整を図っておったわけでございます。そして利水に関する基本的事項につきまして、先ほど指摘がございました四十七年三月二十七日に至りまして関係七者の申し合わせがあった、そして国会にこの法案を提出した、こういういきさつでございます。
  266. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、そのいきさつを私は聞いているのではなくて、少なくとも特別措置法のできる前に、法律の全部ではないけれども、重要な部分を占めている利水の基本方針がこういう申し合わせという形で決定される。前提になっているとおっしゃるのでしょう。本来なら、普通は法律があって、法律の手続に基づいて申し合わせ等が行われると思うのだけれども、これは逆であって、申し合わせが先にあって後から法律ができてくる。法律が申し合わせに部分的に拘束されているような感じがするのですね。そこで改めてこの申し合わせと特別措置法との関係はどうなのか、こう私はお尋ねしているのです。
  267. 宮繁護

    宮繁政府委員 立法作業をやりまして、最終的には国会が最高機関の立法府としてお決めいただくわけでございますけれども、それまでの間に実はいろいろな問題を詰めるわけでございます。たとえば今度の総合開発法にいたしましても、この新しい法案が改正されましてそれから新しい計画をつくるのかといいますと、ある程度の話し合いで全体の事業計画を各省庁と詰める、それからやや形式的になりますけれども、下流県の負担につきましても、新しい法案が改正されましてから始まるわけでございますけれども、しかし、それはもう準備期間としてすでにそういう交渉も始まっているというわけでございまして、法律ができます前に合意が得られるものにつきましては、直ちに実施できるようにいろいろ水面下といいますか、そういうところで交渉をし、話を詰めておるのが実情でございます。
  268. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ということは、これはまさに法律の準備作業の一環というふうな説明なんですね。  そうしますと、この申し合わせも法律内容の一構成部分と見るべきなんですか。それとも法律とは別の問題だ、準備作業としてはあったけれども、しかし一応法律ができた以上、法律と申し合わせとの関係はないのだ、別段法律はこの申し合わせに拘束されるわけではない、こういうふうに考えたらいいのですか。どちらでしょう。
  269. 宮繁護

    宮繁政府委員 法律ができました場合に、法律を施行する場合の準備的な作業であったとお考えいただいたらいいと思います。したがいまして、たとえばこの法律によりまして、目的が議員修正されましたといたしますと、当然それに拘束されまして、つくり上げていきます総合計画もそれまで考えておったのとは、目的が変わりましたから当然いろいろ考え方も変わってくるべきものというふうになろうかと思います。
  270. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 目的が変わったというのは、保全が加わったということなんだと思いますが、それじゃ、それに合わせてその準備段階作業も変わらなければいかぬのだったら、その段階ででも、申し合わせに保全を所管する環境庁が入ってなかった、これは大きな欠陥ですから、改めてそういう申し合わせの、準備のやり直しをするということがあってしかるべきだと思います。そういう手続をとられているのですか。
  271. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほどからお話し申し上げておりますように、この三月二十七日の申し合わせは、利水に関する基本的事項三つを決めたわけでございます。
  272. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらに、今度これは法律の方ですよ。この琵琶湖総合開発計画の策定に当たっては、ちゃんと第三条で、知事は公聴会を開催して住民の意見を聞き、市町村長の意見を聞くとともに、議会の議を経る、これだけの手続を決めておるわけですね。もしこれだけの手続が必要だというなら、本来ならば、いまおっしゃったような、いわばこの総合開発計画の一構成部分に当たるはずの利水計画の申し合わせについても、申し合わせの決定事項とする前に住民の意見を聞き、市町村長の意見を聞き、議会の議を経る、こういうことがなされなければならないと思うのですが、こっちの方はまさに三知事と、それから先ほど言った関係省庁だけで決めてしまって、住民の意見を聞くとか、市町村長の意見を聞くとか、議会の議を経るという手続をやってないでしょう。これはきわめて矛盾した話だと思うのですが、この点はどういうふうな説明をしますか。
  273. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほど少し申し上げましたけれども法律ができまして、その法律の手続に基づきまして滋賀県知事は公聴会を開き、関係市町村長の意見を聞きあるいは県議会の議決を経て総合開発の案をつくりまして、それを国土庁長官を経て総理大臣に提出する。総理大臣は関係各省庁、当然環境庁も入りますが、これの意見を聞いて総合開発計画を決定する、こういうふうになっておりますので、いまお示しの民主的な手法、これは当然経た上で決めたものでございます。
  274. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ところが、いわゆるその申し合わせ事項になっている水の利用の方は、こういう民主的な手続なしに三知事と関係大臣で決めてしまっているじゃないか、このことを聞いているのですよ。これは矛盾するではないか。やってないことは事実だ。
  275. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほど来申し上げておりますけれども、これはかなり長い時間をかけまして、関係方面での御検討、御審議あるいはいろいろな御意見を受けた上で、最終的にこういう申し合わせをしたわけでございまして、これに基づきましてつくられております総合開発計画そのものは民主的な手続、法律に基づきます手続を経て決めたものでございます。当然そのバックグラウンドといいますか、基本になるものにはこの利水計画の三方針が入っておる、こういうことになろうかと思います。
  276. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 総合開発計画の方は民主的なルールが決められていますからまだいいですよ。ところが、バックになっている利水の三方針は、では果たして住民の意見を聞く公聴会とか、市町村長の意見を聞くとかあるいは議会の議を経るということをやっていますか。
  277. 宮繁護

    宮繁政府委員 水利問題につきましては、現在の制度ではそういうふうになっておりませんので、そういう制度がございません上は、いろいろな意味で住民あるいは関係団体等の意見を吸い上げるようなかっこうで行ってきたわけでございます。
  278. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それはどんな長い歴史があったかは知りませんけれども、少なくともこの利水の三方針については琵琶湖総合開発特別措置法が定めているような民主的な手続は経られていなかった、このことだけは事実なのですね。しかし、それにかわるようないろいろな意見の吸い上げをした、こうおっしゃるわけでしょう。  そこで、この申し合わせには自民党のみ、政審会長が参加されていますね。これは一体どういう根拠で参加されたのか。これは国土庁長官に伺う話だと思いますね。
  279. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 この経過、私も環境庁長官の言われたように十分承知しておりませんけれども、もちろんこれは政府与党ということで立案に参加したと考えております。
  280. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど来住民に意見を聞くとか、議会の議を経るとかいうふうな手続が水の利用については定められていないから、それにかわるような方法で意見を吸い上げたというのですよ。そのときに与党だけが参加して、ほかの野党を支持した国民も住民もたくさんいらっしゃるのにこれをほったらかしていて、これはまんべんなく意見を吸い上げた、公正に意見を吸い上げたということになるのでしょうか。
  281. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 これは一つの政治の行き方でありまして、地方議会でもよく知事が与党野党分けておるところもありまして、与党の意見中心にやるところもあれば、超党派でやるところもあればということで、そのときの情勢で、滋賀県との関連でそれはそれでいいというような考え方で行われたと私は思っております。
  282. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これが国会とか県議会にかかっているならきちっとそれぞれ議会のルールがありますから、最終的には意見が全体一致しなければ多数決というルールに従うでしょう。これは憲法とかあるいはそれぞれ国会法その他の法律がちゃんとあるからそれでいいんですよ。これはどんな法律にも従ってないわけなんですね。しかも全住民を律するようなきわめて大きな利水計画がここで決まる。そしてそれが琵琶湖総合開発特別措置法の、利水についてはいわば一つの前提になっている、こういう重大なものなんです。ですから、たとえば憲法にはこういう定めがあるでしょう。「内閣は、行政権の行使について、國會に對し連帶して責任を負ふ。」そういうふうに国会が連帯する場合は大いにあると思うのです。それならそれで議会制民主主義の立場を貫くなら、国会を構成している会派が参加する、こういうのがあるべき姿であって、こういう重大な問題を自民党だけが参加して決める、これは議会制民主主義の立場から言っても大きな片手落ちではないかと思うのです。いかがでしょう。
  283. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 御指摘のような点も私もわからぬごとありませんけれども、現実にはこの法案は皆さんの全員賛成でできておる法案でございますから、過渡期においてはいろいろないきさつはあったかもわかりませんけれども、結果的には、これは滋賀県の知事も陣頭に立って、私の方へももう十年延長してもらうように熱心に来ておられますし、大阪の知事も来ておられますので、過程はそういうような手落ちがなかったとは言えないかもわかりませんけれども、現実は皆さんが御理解していただいておるから、私はそれが最善の方法だと考えております。
  284. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 環境庁長官に伺います。  昨年七月、琵琶湖サミットというわけで、前長官が政府代表ただ一人出ていって、琵琶湖関係する府県知事と懇談されていますね。私は、せっかくそこまでされるのなら、この四十七年三月の申し合わせの再検討ということも含めて、関係する省庁とともども行かれるべきではなかったかと思うのです。環境庁だけが行っていろいろ意見を言っても、実際に事業をやるのは環境庁だけじゃないということになってきますと、その効果たるやきわめて薄かったのじゃないかと思うのです。いかがでしょう。
  285. 原文兵衛

    ○原国務大臣 どうも残念でございますが、私当時の事情よく存じませんので、局長からお答えさせます。
  286. 小野重和

    小野(重)政府委員 確かにそういう御意見もわかりますけれども、当面私ども問題にしておりますのは水質保全ということでございますので、そういう意味で環境庁長官だけが政府の一大臣として参った、こういうことでございます。
  287. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、いかほどの具体的なことを環境庁が琵琶湖に対してやっているか、こういうこともこの後ずっと聞いていきたいと思いますがね。  次いで、淀川水系における下流の水需要の問題に移りたいと思うのです。  淀川水系における水資源開発基本計画では、昭和四十六年から五十五年までの間に新たに必要となる水の量、毎秒六十八トン、約五百九十万トン・パー・デー、こういうふうに予測しておったのではないのですか。
  288. 高秀秀信

    高秀政府委員 先生お話のとおりでございます。
  289. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さて、この予測が一体どうなっているかということなんですね。淀川にいたしております下流の水需要の実績でありますが、関係自治体に問い合わせをしたのですが、五十三年度は現在集計中であるために五十二年度しか確定数字が出てまいりませんでした。  大阪、兵庫十二団体で、上水を見ますと、日量で申し上げますが、四十五年四百八十五万トンだったものが五十二年五百四十一万トン、ここでは一二%ふえております。ところが工水の方を見ますと、四十五年二百九万トンだったものが五十二年百五十六万トン、実に二五%マイナス、四分の一も減っているわけですね。両方合わせますと六百九十五万トンだったものが六百九十八万トン、プラス・マイナス・ゼロ、つまり横ばいですね。その中に含まれるのでありますが、大阪を取り出してみますと、大阪府営水道の場合四十五年百四十五万トンが五十二年二百十五万トン、これは四八%ふえますが、市営水道の場合は二百五十六万トンが二百十八万トンと、実に一五%も上水で減っています。さらに工業用水になりますと、百五十三万トンだったものが百十五万トンと、実に二五%、四分の一減っているわけです。大阪全体では五百五十四万トンが五百四十九万トンと一%減っている。こういう事実はお認めになりますね。
  290. 高秀秀信

    高秀政府委員 私どもの方も途中の経過をつかんでおりますが、私どもの方は五十三年についても調べておりまして、先生お話しのように、水道用水につきましては平均で約五十立方メーター毎秒、最大で約六十三・九立方メーター毎秒、工業用水につきましても先生お話しのようなことで約十五立方メーター毎秒、淀川水系に係る滋賀県分以外はそういうふうに減っております。
  291. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、当初水需要準見込んだとき、この四十六年−五十五年の間の経済成長率等はどのくらいに見ておったのですか。どのくらいの経済成長率を背景にはじき出しておったのですか。
  292. 高秀秀信

    高秀政府委員 私ども工業用水につきましては、工業出荷額をベースにいたしております。これにつきましては、予想いたしましたのは年率にして五・二%、四十五年から見ておりました。
  293. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 実はそういう数字が非常に過大であったことは、今日の経済情勢で十分おわかりになっていると思うのです。ですから、日量で約五百九十万トン新規水需要があると思っていたのが逆に減ってきたわけなんですが、当然こういう事情になるならば淀川水系水資源開発基本計画を見直すのが私は至当だと思うのでありますが、いかがですか。
  294. 高秀秀信

    高秀政府委員 私どもも、御存じのようにフルプランは五十五年度目標の計画でございますので、いまフルプラン改定作業につきまして関係府県あるいは関係省庁と協議中でございます。早急に改正をしたいというふうに考えております。
  295. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、当然その琵琶湖総合開発計画の上位計画改定されれば、琵琶湖総合開発計画水利用の方針についても見直しということになりますね。
  296. 高秀秀信

    高秀政府委員 現在まだたたき台という段階でございますが、私ども昭和六十五年度水需要を予測いたしておりまして、この中では、けさ以来御議論もいろいろございましたけれども琵琶湖の四十立方メーター毎秒は必要であるというふうに考えております。
  297. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あなたの話を聞いておると、経済状態がどうであれ、とにもかくにも一たん水需要の予測を立てたから、早くそのとおりにじゃかすか使ってもらいたいんだ、そういう態度なんですか。
  298. 高秀秀信

    高秀政府委員 そういう意味合いではございませんで、五十五年を六十五年という十年先に延ばすわけでございますが、先生お話しのように、たとえば工業出荷額等についても三%くらいの伸びに今後はなるであろうというようなことを、五十年をベースにあるいは五十三年までのデータ、先ほど申し上げたようなものを考え、あるいは人口につきましてもいろいろな推定をいたしたりあるいは工業用水については回収率等を考えますと淀川水系全体の必要水量が出てまいりまして、その中で琵琶湖の四十立方メートルは必要だ、こういう意味でございます。
  299. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは、予測が狂ったということは、国民全体にとってみればあるいは国全体にとってみればまさに幸せなことだったと思うのです。だからこの機会に、いま行き過ぎた利水拡大が問題になっているのですから、できるだけこれは縮小するにこしたことはない、真剣にそこを見直すのが私は正しい態度だと思うのです。このように、琵琶湖総合開発特別措置法発足当時に見込んだ水需要には大きな水増しがあった、このことだけは紛れもない事実としていまあらわれているのですね。  次いで、では下水道計画はどうであったか。現在、五十二年以降、五年連続琵琶湖に赤潮が発生していることは御承知のとおりなんですね。こういう現象を環境庁長官はどう受けとめていらっしゃるのか、琵琶湖の水質について政府を代表してどういう認識を持っていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
  300. 小野重和

    小野(重)政府委員 琵琶湖に限りませんが、湖沼一般について外部からの汚濁負荷に弱いということ、それからまた、燐、窒素等の栄養塩類、これによる赤潮あるいはアオコ等、いわゆる内部生産と申しますが、その二つの原因によって汚濁が横ばいないし進んでいる、よくはなっていないという状態でございまして、琵琶湖もそういう、いままではそうでございますが、これから富栄養化対策も進めておりますので、その状況をよく見守っているところでございます。
  301. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 琵琶湖総合開発事業は、たてまえとしては琵琶湖環境保全と水質の回復を図りつつ諸事業を進めることになっているわけですね。十年やったわけです。当然のことながら水質が回復してくれてよさそうなものなのに、いまのお話のとおり横ばいか悪化して、よくはなっていない、こういうことなんです。その原因は主としてどこにあるとお考えですか。
  302. 小野重和

    小野(重)政府委員 汚濁負荷にはいろいろ原因はございますけれども、やはり生活系の問題が一番大きな問題かなと思います。いずれにしましても富栄養化問題が一番大きな問題かと思います。
  303. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題は、そういうことも考え琵琶湖総合開発事業というのは組まれているはずなんです。その事業が十年間やったにかかわらず悪くなっている、つまり事業との関係で何が原因とお考えか、こういうことなんです。これは国土庁かな。
  304. 宮繁護

    宮繁政府委員 御承知のとおり滋賀県は下水道の普及率が大変低うございます。日本で四つの県が五%以下でございまして、和歌山県、島根県、高知県、それと滋賀県でございます。ところが三つの県は海洋に面しておりますけれども、滋賀県だけは海に面していないで、大きな湖を抱えておりながら下水道普及率が非常に低い。そういうわけで、総合開発計画においても下水道にかなり力を入れましたけれども、財政事情あるいはアセスメントをやるというような事情もございましておくれてまいった、これがかなり大きな原因であろうかと思っております。
  305. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その下水道については、湖南中部流域下水道の第一期工事分が間もなく運転を開始することになっているのですね。ところが、これは、第一期工事は全体計画のわずか十六分の一にすぎないのです。一日千トン程度であります。これが一年後に六千トンから七千トン、五年後には二万三千トン、七年後に三万三千トン、十年後が十七万八千トンという計画になっている。今後急速に伸びることになっているのですね。果たしてこういう急速な伸びが実際に実現されるのだろうか、どういうふうにお考えですか。できるかできないかだけお答えください。
  306. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 十年以内にできると考えております。
  307. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 十年間で滋賀県四つの流域下水道を完備しなければいかぬのですよ。ところが今日、全く手のついていないのが高島流域下水道、それから、用地買収に手がついているというのが彦根長浜流域下水道という状況なんですよ。先ほどの湖南中部に加えて、あとの二つはこういう状況。  ちなみに大津市の公共下水道をちょっと見ますと、現在日量四万六千トンの処理をしているのです。これを八年後の六十五年には九万五千トン・パー・デーにしようとしているのですね。これでもなかなか大津市は大変なんですよ。こういう現状から見て、あなたはいとも簡単にやれますという話だったけれども、現実にこういうものと対比してどうですか。やれますか。
  308. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 現在大津市は八〇%程度できておりますので、十カ年以内にする必要もありますし、計画どおり事業は進捗するものと考えております。
  309. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 石油ショック後の経済事情などが云々されておりますけれども、私どものように地元の事情を特によく承知している者の目から見れば、これは決して工事のテンポが遅いのではなくて、もともとの下水道工事の計画がばかでか過ぎたのだ、こういうふうに考えるのがやはり科学的な見方ではないかと思うのですよ。  現在の湖南中部の場合で見ますと、琵琶湖総合開発計画期間中で人口が七十万人、一日最大百二万トンの処理です。このうち工場排水四五%を受け入れる、こういうことなんです。これは湖南中部だけですよ。こういう計画の背景になった経済社会状態が果たしてこのとおりになるのでしょうか。——時間の関係がありますからいいです。私の方で説明していきましょう。  工場排水の場合を考えますと、滋賀県は富栄養化防止条例を実施しているでしょう。そのために窒素で二〇ないし一〇ppm、燐で二ないし〇・八ppmまでは企業独自で除去するように義務づけられているわけなんですよ。下水に流す場合でも、企業の除去施設で窒素三〇、それから燐八ppmまでは除去しておかなければならないことになっておるのですね。湖南中部の場合ですと、滋賀県の試算では、この受け入れた窒素三〇ppm、それから燐八ppmをそれぞれ一〇及び〇・三ppmとする、こういうことになっておるのですね。ですから、企業の方でもう少し除去を強めれば、別に下水を使わなくても直接河川排水できるような状況になるわけなんですね。だから、流域下水道の側から見れば、富栄養化防止条例をやってくれたことによって、それの適用を受けている企業の独自処理によって非常に負担が軽くなっているという現状が生まれてきているわけですね。昨年県が発表しております工場、事業排水検査結果によって見ましても、富栄養化防止条例による基準値を守れなかったのはわずかに二%にすぎないという数字が発表されてます。非常に成績はいいわけですね。そうなりますと、湖南中部下水道が運転に入った場合、一日処理排水に占める工場排水の割合というのは、当初四五%と思っていたけれども、わずかに一〇・三%しかこの受け入ればない、こういうことになってきているわけなんですよ。こういう点から見ても、高度成長時代につくったこういう下水道計画は大変オーバーにできている。だから、現在の実態に合わせてもう一遍その規模というものを考えてみる必要があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  310. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 今回の改定計画におきましては、いま先生指摘の工場排水量見込みにつきましては、琵琶湖に係る四地区の流域下水道全体を合わせまして、工場排水量は約二三%に当たる七万七千トン・パー・デーという見込みを立てておるわけでございます。
  311. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は湖南中部を例に挙げておる。湖南中部というのは御承知のように工場の非常に多いところですね。たとえばあなたの言われるこの四下水道平均で見ても二三%は受け入れるという予定なんでしょう。それに対して実際には一〇%ちょっとしか工場排水の流入はないという現実が生まれてきたわけなんですよ。この計画はどこからどう見ても過大過ぎるのですね。そういう点が一点。  それから、この湖南中部流域下水道が運転に入ることによって、では地元負担、住民負担がどうなってくるか、これがまた大変な問題なんですね。これは三次処理まで行いますので、それに要する処理費はトン当たり九十九円。この内訳は、全額使用者負担となります二次処理費が七十三円、それに加えて三次処理費が二十六円、合計九十九円です。三次処理費の二十六円分の負担割合は、県が半分の十三円、市町村が四〇%の十一円、住民が一〇%の二円、こういうふうにいま県の方ではしているわけなんです。そのために住民負担はどうなるかといいますと、先ほど言いました二次処理費七十三円プラス三次処理費の二円で合わせて七十五円、一方市町村は十一円、こういうことになってくるわけであります。これにさらに公共下水道の維持管理費の住民負担が加わってくる。ざっと約三十円であります。そうしますと、住民負担が総計はトン当たり百五円、こういう数字が出てくるわけであります。これで月額を計算すると、大体それぞれ水道の使用量にリンクするわけでありますが、二千五百円から三千円ぐらいになってくるのです。これはもうその他のあるいは東京周辺の市町村と比べていただいたらわかりますが、きわめて高い金額になってまいります。ちなみに下水道の使用料金をトン当たりで比較してみますと、いま言いましたように湖南中部流域下水道の場合は九十九円でしょう。東京が六十六円二十六銭、川崎が二十五円六十一銭、大阪が三十九円五銭、京都が四十二円八十二銭、神戸が四十八円二十一銭で、倍から三倍ぐらいなんですね。こういうふうな状況が生まれてくるわけでありますが、こういう状況のままで、琵琶湖を抱えている滋賀県民にのみ負担を負わせて政府は知らぬ顔、こういうことが果たして許されるだろうか。いかがです。
  312. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 下水道の使用料金につきましては、下水道整備された時期によりましてかなりの高低差があるのは事実でございます。それからまた、高度処理あるいは通常の二次処理までということの仕分けによりましても料金が変わってくるかと思います。そういった全国的なバランスを一方では考える必要がありますし、一方では琵琶湖の置かれました先生のおっしゃるような特殊な状況、事情というものも考える必要があるわけでございますが、一般に維持管理費につきましては、汚水につきましては私費負担、雨水につきましては公費負担という原則が確立しているわけでございまして、現在まで通常そういう負担の原則にのっとってやっておるわけでございます。ただ、今後こういった実態等につきまして関係機関とも相談しながら、御意見も聴取し、慎重に検討していきたいと考えております。
  313. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 かけがえのない琵琶湖を守るためにどうしても三次処理をしなければならない、しかも現在の国の制度がそうなっているということの矛盾は絶対に解決してもらう必要があると思いますね。そうでなければ、環境庁がいろいろさっきやるとかなんとか言うが、何をやっているんだというふうに言わざるを得ないわけなんですね。いまやはり一番悩みの種はここへ来ているんです、下水道の運転を開始するためには。これは環境庁としても国土庁としても力を入れてもらいたい問題だと思います。  それから、自治体の方の負担も大変なんですね。たとえば守山市を例にとりますと、これは湖南中部下水道に入っているんですが、五十五年度の公共下水道の起債額は十五億なんです。五十六年度になるとこれが二十億になります。返済額は五十五年で一億三千万、ところが今後大体五億から六億くらいに上ってまいります。市の年間予算が九十二億ですから、これの約五%から一〇%を下水の起債の償還で占めてくる、こんな事態になるんですね。これはまさに大変なんです。  それから、その隣に中主町があります。琵琶湖に面しています。ここは下水道の対象戸数が全部で五十戸しかないんですよ。現在契約をしているのはわずかに二戸なんです。この二戸は三千円の負担をされるわけでありますが、先ほど言った月額三千円程度というのは、この五十戸が全部入ってくれた場合の話なんですが、この中主町のように、うちは嫌だと皆言い出してたった二戸しか入らなかったらこれは一体どうなるのか。残りの負担は、まさかそれを全部二戸の住民にかぶせるわけにいかぬから、自治体がかぶらざるを得なくなる、こういうことになるんですね。中主町などはもう圧倒的な農村地帯なんです。そこへ流域下水道が入っているわけです。こういう計画であるために、こういう過重な、むだなと言ってもいいぐらいの負担が出てくるんですね。こういう事態も私はやはり今後具体的に解決を迫られる問題だと思います。  このように琵琶湖総合開発事業の中の下水道だけをとっても大きな矛盾があります。この点はひとつ国土庁長官並びに環境庁長官、まさに琵琶湖を守るためにやってきてこういう矛盾にぶつかっているんですから、ひとつ政府を挙げて解決に努力していただきたいと思います。ひとつ御答弁をいただきたい。
  314. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 御意見よく承りましたので、環境庁とよく検討いたします。
  315. 原文兵衛

    ○原国務大臣 琵琶湖の水質の汚濁の問題、先ほどからいろいろ論議されておりますが、私ども琵琶湖はもちろん、日本じゅうの湖沼について実は非常に心配しておるわけで、こういう点につきまして関係省庁と連絡をとりながら、十分に水質を守っていく努力を重ねていきたいと思っております。
  316. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど琵琶湖サミットをやられるのなら他の省庁と一緒にと申し上げたのは、下水道の直接所管は建設省でしょう。そこがうんと言わないとこれは前に進まないわけです。だから、やはりそういう直接所管している省庁を交えてやってもらいたいと申し上げた理由はわかっていただけると思います。  さらに、こういう矛盾もあるのですね。  実は、彦根長浜流域下水道は二市十二町がこれに加わることになっておったのですが、そのうち湖東町と愛東町は脱退をしたわけなんですよ。なぜかといいますと、十年も先にしか供用できないような流域下水道の巨額の工事にいまから先行投資する能力がない。そこでかわりに農村下水道予算を町は組んできたわけなんですね。これは愛東町も湖東町も同じ理由であります。愛東町の場合が三千百五十万円、これは国が五〇%県が二五%で、湖東町の場合が二千百万円、こういうものをすでに計上してきているわけであります。恐らくこういう傾向はこの二町にとどまらず、広がっていくと思うのです。そうしますと、その分だけ今度は流域下水道の方の能力が余ってくる、また、こういう事態にぶつかるんですね。つまり、人口集中地帯の非常に少ない滋賀県で、この大仕掛けな流域下水道、しかも一カ所で集中処理する大規模な処理場を計画している、こういうことの矛盾が出てきていると私思うのですが、こういう点もやはり見直しの対象になるんじゃないでしょうか。
  317. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 ただいまの先生お話は一部の新聞報道によることかと思いますが、(瀬崎委員「いや違います」と呼ぶ)琵琶湖の流域下水道の彦根長浜処理区は、湖東町、愛東町も含めまして五十五年三月に都市計画決定を経た後、都市計画事業認可、下水道事業認可等の手続を終了しまして、五十七年度から事業着手することといたしております。
  318. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題は、それはあくまで事務的にそうなっているんですが、事実別途農村下水道の予算を組んできているわけですね。だから、ダブりてくるわけなんですね。こういう点の調整をするべきだと言っているんですよ。むだなことをいつまでもやるつもりですか。しかも、先ほど言っているように、一方で富栄養化防止条例が実施されてきて、それぞれの企業である程度まで三次処理することになっているわけです。その分当然流域下水道の負担は軽くなってあたりまえなんですよ。また一方、流域下水道方式にかわる農村下水道方式の導入ということが始まっている。これに適するんなら、この部分は流域下水道の方を縮小していくのは当然なんですよ。あくまで一遍決めたことをやれと押しつけるのはファッショ的ですね。そういう態度がこれは問題なんだと思いますね。  さらに、こういう流域下水道の網のかぶっていないところについては、これは農林省の方で農村総合モデル事業等に組み入れて排水事業などを積極的にやろうとしていらっしゃるんじゃないでしょうか。
  319. 内山則夫

    ○内山説明員 お答えいたします。  農林水産省といたしましては、農業用の用排水の水質保全及び農業集落の生活環境整備を図る観点から、農業集落排水処理施設整備事業を、一つは農村総合整備モデル事業、もう一つは農村基盤総合整備事業という中で対応さしていただいております。  五十七年度におきましては、琵琶湖周辺地域で農村総合整備モデル事業で四地区、それから農村基盤総合整備事業で五地区の事業の実施を予定しておりまして、そのうち六地区について事業にかかることになっております。今後農林水産省といたしましては、計画期間内に所要の事業が消化できるよう、既存のこれらの事業で対応してまいりたいというふうに考えております。  なお、事業実施が予定されている九地区につきましては、十七集落を対象としておりまして、琵琶湖総合開発計画では、十カ年間に百六十集落、総事業費約二百億円を予定しております。
  320. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 お聞きのように、十年前流域下水道方式が万能薬のように思われたときとはずいぶん変わってまいりました。下水道も多面的にいろんな方式を組み合わして、地域の実情に合ったようにやっていこうというふうに変わっているのです。そういう点を十分認識してもらいたいと思います。  それから、同じような意味で、南湖瀬田川しゅんせつも非常に大きな計画ではなかったかと思うのです。  昨年、私が質問主意書を出して、六月五日に政府答弁書をもらいました。この中で、「現在、しゅんせつ量を約八十万立方メートルにすることについて調整を行っている」と報告しているんですね。ところが、琵琶総が発足した当初の四十八年二月における水資公団の琵琶湖開発事業に関する事業実施計画では、何としゅんせつ量を五倍以上の四百四十万立米と見込んでおったわけなんです。この八十万立米でも問題があると思いますが、とにもかくにも八十万立米で現在済むとしているものを、何で当初五倍以上の四百四十万立米も見込んだのか、また、そんな莫大なしゅんせつ土をどこに持っていくつもりだったのか、答えていただきたいと思います。
  321. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  水資源開発公団が行います南湖しゅんせつにつきましては、北湖に比べまして、先生御存じのように水位低下により干陸化いたします面積の割合が大きくて、環境に影響を及ぼすおそれがあります南湖そのものにおきまして、遠浅の部分をあらかじめ一定の深さまでしゅんせついたしまして、湖水面を維持することによりまして生活環境や景観の保全を図るということとともに、特定の入り江、湾がございますが、その湾央部に堆積しております泥を除去することによりまして、その水域近傍の生活環境の改善に寄与するということを目的といたしまして、しゅんせつの規模につきましては、当初水位低下に伴いまして干陸部が生じる、先ほど申し上げましたが、その干陸化しない部分でも船の航行に支障を来すというふうなことも考えられまして、干陸化が大規模に起こります東岸の赤野井、津田江、志那、こういった地区を中心にいたしまして、基準水位からマイナス二・五メートルまでしゅんせつするということで概算をはじきまして、四百四十万立方メートルのしゅんせつを計画したということでございます。その後南湖のしゅんせつにつきましては、公団が南湖の環境保全、特に水生生物の生育条件の保全という立場を重視いたしまして、水生植物帯への影響をできるだけ少なくいたしますとともに、しゅんせつ後も水生植物帯が回復できるように、そういった配慮からしゅんせつ量を縮小いたしまして、約八十万立方メートルとしたところでございます。
  322. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、いまの答弁でもわかりますように、八十万立米、それ自体私はいいと言っているわけではないのだが、それで済むものを、当初四百四十万立米も見込んでおった。これは結局そういう湖底の水生植物等、環境に与える影響を無視しておったということがいまはっきりしてくるでしょう。ですから、結局今回こういう法改正をするのなら、これはまことにいい機会なんで、先ほど来問題になりました、つまり琵琶湖水利用の方針を決めた四十七年申し合わせば、手続においても構成においても非常に疑問がある。そして、その背景になった下流の水需要予測が完全にいま狂ってきている。こういう点からも、やはりこれは見直すべきである。しゅんせつとか湖岸堤、湖周道路など、そういう水資源開発に伴って必要となってきているこういう事業、これも思い切って見直しが必要だ。水質にプラスになる事業、下水道についてさえ十年前といまとでは大きく需要が異なっている。そういう点からいって、こういう総合開発計画全般についての抜本的な見直しが必要であったことを強調しておきたいと思うのです。  時間がありませんのであと二点ほど質問して終わりたいと思うのですが、一つは先ほども質問があった湖沼法との関係です。これは通産省が反対しているからなかなかできないようですが、なお通産省は反対し続けるのですか。
  323. 川口融

    ○川口説明員 私ども通産省といたしましては、湖沼の水質保全というのは非常に重要な問題であるという認識を持っております。したがいまして、湖沼の水質の保全のために特別の措置を講ずるということにつきましては理解し得る点があると考えておるわけでございます。現実の湖沼の汚濁の原因……(瀬崎委員「いつまで反対しているのかと聞いている」と呼ぶ)私ども湖沼の水質保全のために、法律によりまして措置を講ずるということ自体に反対であると考えているわけではございません。内容につきまして真剣に関係省庁と検討しているわけでございます。
  324. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 環境庁長官に伺っておきたいのですが、いわゆる許可制にこだわるわけなんですね。そこで、環境庁としてはあくまで通産省を説得して、許可制を織り込んだ現在の準備された法案内容で早く成立を図ろうとするのか、逆に内容を薄めて何とか妥協を図ろうという方針なんですか、いかがですか。
  325. 原文兵衛

    ○原国務大臣 湖沼の汚濁につきましてはいろいろ論議をされておるとおり、御承知のとおりでございまして、私どもといたしましては何とかいわゆる湖沼法案を今国会に提案したいと思っていま最大限の努力をしているところでございます。ただ内容が伴わなければ、形だけできたって意味がないわけでございますので、実効の上がる内容の法案を提出したいと思って、いま精力的に協議をしているところでございます。
  326. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最後に、先ほど来問題になっております琵琶湖淀川水質保全基金構想を武村知事が打ち出している。しかし、一方に琵琶湖総合開発事業に伴う下流負担金問題もあるというわけで、必ずしも滋賀県知事の希望は下流側府県の支持するところとは現在なっていないわけですね。これについて特に私が申し上げたいのは、滋賀県も精いっぱいの努力はしておる。たとえば富栄養化防止条例実施に伴って、五十五年度で県は年間二十億、それから五十六年度十七億出しておる。これに対する国の補助というのはわずか約二千万円程度なんです。本当になきに等しい現状なんです。県単独の努力でと言っても言い過ぎでないと思うのです。しかも窒素、燐の排水処理を義務づけられた中小企業の場合非常に苦境に立つわけです。県は無利子で窒素、燐除去施設整備資金の貸し付けを行っておりますが、その総額が三十三件、十億二千万円に現在上っております。一件当たり大体三千万円ぐらいになるのですね。利子はかかりませんが、元金は返済しなければいかぬ。つまりこういう除去施設の償却費と維持費は製品コストにかかってくる。これは他府県の同業種企業と比べれば競争力が大変苦しいでしょう。おわかりいただけると思います。  こういうふうに見てまいりますと、滋賀県知事が今後琵琶湖を守るのに下流でお願いしたいという気持ちは重々私はわかるのです。しかし、下流には下流の事情があってなかなか受け入れにくいでしょう。その最大の原因はどこか。世界に誇るべき日本の代表的な湖、琵琶湖を守る第一義的な使命は国にあるのだ。国にその自覚が不足しており、なすべき責任を金額の面でも行動の面でも果たしていない。そういう点が結局琵琶湖関係上下流四府県の間へ矛盾としてしわ寄せが来る。こういう事実ももう一遍十分御認識をいただきまして、政府として真剣に国として果たすべき責任を果たしてもらいたい、こう思います。長官の答弁を求めて終わります。
  327. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 よく検討いたします。
  328. 村田敬次郎

    村田委員長 次に、四ツ谷光子君。
  329. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 私は琵琶湖から水をいただいている大阪、下流の立場から幾つか質問をさせていただきたいと思います。  大阪府民といたしましても、先ほどから大変問題になっております琵琶湖の水質の汚濁がどんどん進んでいっておるということについては、重要な関心を持っているわけですけれども、ここ数年来だんだんと気温が上がってまいりますと、水道の水が異臭を放つということで大変問題になっています。昨年は大阪府、兵庫県等で水道の水がカビ臭いということでそれぞれの地方自治体の水道局に対しまして苦情が殺到した。私も枚方に住んでおりますので、この臭い水はもう大変困るわけであります。飲み水、お茶がまずくなる。それからおふろに入っても体じゅうがカビ臭くなるんじゃないかと思うようなほどひどくなるわけでございます。これは琵琶湖に藍藻が発生するということが言われておるわけです。それだけ水道の原水が非常に悪くなってきているということだと思うのですけれども、においを取るのには活性炭を使用しているようですけれども、殺菌を行うのに塩素を使う。その塩素の量がふえて、塩素と原水中に含まれている有機物質のフミン酸が化合していわゆる発がん性を持つトリハロメタンという物質が発生してきている。これが非常に大きな社会問題になっています。このトリハロメタンにつきまして厚生省は昨年の三月の二十五日に通達を出しておられるようですけれども、その制御目標値と低減対策をどういうふうにしておられるのか。通達の中身までお聞きしますと時間がございませんので、簡単に、いまお聞きしたことについてのみお答え願いたいと思います。
  330. 田中収

    田中(収)説明員 先生いまおっしゃいましたような事態がそのとおり起こっているわけでございます。トリハロメタンに関しましては、御承知のように昨年三月に生活環境審議会水質専門委員会報告いたしまして、そこで目標値を決めていただいたわけでございます。この数値に基づきまして水道事業体におきますトリハロメタンの測定を現在行って、調査中でございます。幸いなことには、淀川関係水道のトリハロメタンにつきましては、目標値を下回っているということがわかっております。今後、測定の回数をふやして常時監視をいたしまして、トリハロメタンの動向を十分観測していきたいと思っておりますが、トリハロメタンが目標値を超えるような事態になります場合には、塩素の注入方法を調整する等によってトリハロメタンの発生を下げることが可能でございますが、そういったこともあわせまして十分に検討してまいりたいというふうに考えております。
  331. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ただいまの御答弁で、いわゆる目標値が抜けておりますのでお答えください。
  332. 田中収

    田中(収)説明員 トリハロメタンの目標値は〇・一ppmということにしてございますが、これはわが国の専門の先生方の御意見をお聞きいたしまして、生活環境審議会の水質専門委員会にお諮りして決めた数値でございます。
  333. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 一応トリハロメタンが危険物質であるということで厚生省が通達を出しておられるわけですけれども、その制御目標値というのは恐らくアメリカの環境保護局が出した数値と同じに合わせていらっしゃるのだろうと思うのですが、アメリカの環境保護局が出しているトリハロメタンの制御目標値というのは非常にきめが細かいわけですね。給水人口が七千五百人以上では二年以内とか、給水人口が一万人以上では四年以内にトリハロメタンを一〇〇ppm以下に抑えるというふうに、非常にきめの細かい規制をしているわけですけれども、厚生省としても、わが国でもそのようなきめの細かい規制のやり方をぜひやっていただきたい、このように思うわけです。  次に、先ほどトリハロメタンの規制値が危険になってくると、塩素の注入量を減らすというふうなことでしたけれども、塩素の注入量を減らすには、原水の中のアンモニア性窒素の量を減少させることが一つの条件だ、こういうふうに言われています。そういたしますと、琵琶湖の水質の中のアンモニア性窒素というふうなもの、窒素、燐というふうなものの含有量が問題になってくると思うのです。  そこで、琵琶湖の水質についてお伺いしたいと思うのですけれども昭和四十七年から昭和五十五年に至る間のCODの変化、それから窒素、燐の含有量の変化、これを南湖と北湖に分けて御報告をいただきたいと思います。
  334. 長谷川正

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  琵琶湖の水質をCOD、窒素、燐について、琵総法制定当時の昭和四十七年ごろから昭和五十五年までしか現在データはございませんが、前の経年変化を見ますと、北湖の窒素については若干悪化の傾向が見られますが、その他の項目については、南湖、北湖ともにほぼ横ばいの程度で推移しております。  ちなみに五十五年度数字を申し上げますと、CODにつきましては、北湖の場合は二・二ppm、南湖の場合は三・一ppm、それから窒素については、北湖の場合が〇・二九ppm、南湖の場合は〇・四一ppm、燐の場合につきましては、北湖の場合が〇・〇一〇ppm、南湖の場合は〇・〇二七ppmでございます。
  335. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、先ほどおっしゃいましたが、特別措置法は利水の問題だけでなくて水質の保全ということをうたっている、瀬崎議員の質問のときにそういうお答えがございましたけれども、この数値を見てみますと、せっかく十年やってこられたけれども決してよくなっていない。むしろ赤潮の発生等が連続であるという点では非常に大きな問題があると思うのです。今回、この特別措置法を十年延長されるわけですけれども、その昭和六十六年にいま御報告のございましたCODとか窒素、燐、こういうふうなものを含めて、水質をどのようにしようとしていらっしゃるのか、目標があればそれをお答え願いたいし、また、十年たって赤潮が発生しなくなるように目標を定めていらっしゃるのかどうか、その辺をお答え願いたいと思います。
  336. 宮繁護

    宮繁政府委員 いままで十年間琵琶湖総合開発事業をやってまいりましたけれども先ほど来お答えいたしておりますように、当初の目標に対しまして、実質事業費で申し上げますと、全体では約六六%程度の事業しかできなかった、事業量でいいますと半分程度というふうな状況でございまして、先ほど環境庁からお話がございましたように、全般的に横ばいのような水質状況でございます。  それで、今後の十年間事業をやりまして、これは御案内のように下水道事業等におきましても高度処理を導入いたしますし、それから新しく水質保全のために四つの事業も追加いたします。そういうふうにいたしますと、大体昭和四十年代の初めごろの水質に回復するのではないかと考えております。  それで、琵琶湖は、先ほどお話が出ました異臭の発生が四十六年ごろからだったかと思いますし、赤潮は五十二年ごろからだったかと思います。ですから、そういうふうに急激に水の質が悪くなったその前ぐらいの段階を目標に、実は考えておるわけでございます。
  337. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 先ほども湖沼法の問題が出ておりましたけれども、いわゆる「湖沼環境保全のための制度のあり方について」ということで、中央公害対策審議会が答申を出しておられますけれども、とりわけその湖沼の水質環境保全は重要であるということで指摘をされているわけですが、いまのお答えですと、大体水質を昭和四十年ぐらいに戻したい、こういうことなんですけれども、それでは琵琶湖につきまして、その中央公害対策審議会の答申にありますような、自然科学的あるいは社会的な、科学的な総合調査を行われたことがあるのでしょうか、いかがですか。
  338. 長谷川正

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  湖辺周辺の自然環境調査につきましては、琵琶湖の湖岸及び湖岸陸域の改変状況を把握するため、第二回の自然環境保全基礎調査の一環として昭和五十四年度環境庁で調査したことがございます。  なお、現在、滋賀県におきましても、県土修景美化保全対策の一環として各種の調査検討が行われていると聞いております。
  339. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 重ねて水質の問題でお聞きしたいのですが、その昭和四十年ぐらいのところに水質を戻したい、こういうふうなことでございましたが、これも公害対策審議会の答申の中で述べられていますように、水質の総量規制というのが必要ではなかろうかというふうに思いますけれども琵琶湖について水質の総量規制、これを考えておられるのか。どうでしょうか。
  340. 渡辺一志

    渡辺説明員 琵琶湖への総量規制の導入につきましては、これを検討するために昭和五十五年の夏から昭和五十六年の夏までの間、各季に必要な調査を行ってございます。その調査内容は、琵琶湖の湖流、水温、風向、風速、水質、底質からの溶出状況、それから湖内沈でん物質の組成及び量、それから降雨の水質及び量、それから琵琶湖へ流入する河川の流量、水質等多方面にわたってございます。現在、これらの調査のデータの整理が終了しまして、琵琶湖水質汚濁機構解明のため、電算機によるデータ解析を実施しているところでございます。したがいまして、この琵琶湖へ総量規制を導入するかどうかにつきましては、この解析結果を踏まえまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  341. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 総量規制を導入するかどうかについては検討していきたいということでしたけれども先ほどおっしゃったように、昭和四十年のまだきれいだったころの琵琶湖の水質に戻すためにこっちはやりたいと言っているのに、片方の方で検討していったのでは、まだこれから検討していくのでしょう、こんなことをやっておって、あと十年でそんなことできるのですか。これは、私が先ほどから質問していますとずっと大体大変いいようなお答えがあるわけですけれども、決してそういうふうに私は信用ができないわけです。いままで十年たって一つも水がきれいにならないのに、そして特に具体的にどういうふうにしようというふうな、いわゆる総量規制も導入しようともしていないのに、ただ四十年に戻します、それだけで琵琶湖がきれいになるなどというふうに私はとても思えないのです。  そこで、長官にちょっとお聞きしたいのですけれども先ほどお話が出ましたけれども、昨年の七月琵琶湖サミットが行われまして、当時の長官の「「こうして会議している間にも琵琶湖の汚れはひどくなっていく。先祖から預かった大切な湖を死の湖にしてはならない」という訴えは緊迫性があり、説得力を持っていた。」こういうふうに新聞報道しているわけです。長官の訴えが緊迫性があって説得力が仮にあったとしても、実際にこれを具体的にどういうふうにきれいにしていくのかというふうなことがなければ、昭和四十年に戻すといったってまさに絵にかいたもちみたいになってしまうわけです。この琵琶総の目的は、確かに水質保全ということをうたっていますけれども先ほどもいろいろ論議がありましたように、またわが党がかつて指摘をしてきましたように、水資源開発に重点が置かれている、こういうふうに思わざるを得ないのです。実際に私は長官に、琵琶湖を一千三百万人の水がめとして本当に水をきれいなままに、みんなが安心して使えるような湖にするために、いま十年の延長というのは非常に重大な意味を持っていると思うのですけれども、長官はその辺を行政的にどういうふうにさせようとしていらっしゃるのか、御決意をお聞きしたいと思います。
  342. 宮繁護

    宮繁政府委員 長官の御答弁の前に私から……。  先ほどの話でございますけれども、四十年の初めの方の水質を回復したいというのは、琵琶湖総合開発計画事業の中で、下水道事業とかその他水質保全のための事業を実施するわけでございますけれども、そのほかにいろんな規制が行われるはずだと思います。私どもは、現況のままの規制で私どもが今度計画いたしました総合開発計画に基づく事業を実施しました場合に四十年代初頭の水質に回復するだろう、こういう見通しでございます。
  343. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 お答えいたします。  琵琶湖の水質保全、自然環境の保全は、琵琶湖総合開発計画上の重要な課題でありますので、下水道事業を初め必要な事業の推進に格段の努力を払ってまいる所存であります。なお、各事業の具体的な実施面でも水質や自然環境の保全に十分に留意してまいる所存であります。
  344. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いま長官がお答えになりましたようにぜひ進めていただきたいと心から願う次第でございます。  それでは、下流としましていろいろ負担の問題があり、昔から水争いというのは非常に深刻だそうですけれども、負担の問題についてちょっと御質問をしたいと思いますけれども昭和四十七年から昭和五十六年までのいわゆる十八事業の実施総事業費と、それからその中での下流負担、これはどうなっておりますでしょうか。それから、延長をされる十年間の十八事業計画事業費と、新しくつくられます四つの事業それぞれの事業費、そして延長されたときの総事業費は合計幾らになるのでしょうか、それをちょっとお願いしたいと思います。
  345. 宮繁護

    宮繁政府委員 現在までに実施いたしました十八事業の総計の事業費は、五十六年度分はまだ見込みでございますが、約五千六百十九億円となります。この事業に見合う下流の負担金、これも五十六年度見込みが入っておりますけれども、総額二百二十八億円を下流に負担していただきました。  それから今後の十カ年の事業の量でございますけれども新規事業事業が合計で三百九十四億円でございまして、これと十八事業を合計いたしまして九千六百二十八億円になります。
  346. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 これは大阪市の例なんですけれども、これまでの下流負担金の割合で計算すると、大阪市の負担が約三倍強になるのではないかというふうに大阪市で言っているわけなんですね。私たちは、確かに先ほども申し上げましたように下流の者といたしましては、琵琶湖の水質を保全していただくということについては決して人ごとではございません。滋賀県の方がみずから富栄養化防止条例等で一生懸命に水をきれいにしていただいておりますので、大阪府民としましてもその御努力に対しても心から敬意も払いますし、決して人ごとではないのですけれども新規事業がつくられるとそれだけ下流に負担がふえる、機械的にふえてくるということでは下流の住民といたしましてもなかなか納得がしにくい、こういうことなんです。それで、下流の住民がそういうふうな問題に納得のできるような御説明をしていただきたいのですけれども、下流負担は今度の新規事業がふえることで一体どうなるのか、その辺を御説明願いたいと思います。
  347. 宮繁護

    宮繁政府委員 下流の負担金につきましては、上下流の県でそれぞれ互譲の精神、協調の精神でこの前の十カ年では二百二十八億円を負担していただいたわけでございます。今後十カ年の下流負担の金額につきましてはいま関係府県でいろいろ話を進めております。それで、先生がいまおっしゃいましたように、下流には下流の言い分、意見がございますし、上流にはまた上流の意見、言い分もございますけれども、現在のところ関係府県で何とか接点を見つけるというようなことで一生懸命お話し合いをしていただいております。いまお話し新規の四事業が追加されたことによりまして、これに連動いたしまして直接下流の負担金がふえるというような仕組みにはなってはおりません。
  348. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 新規の四事業がふえたということでこれは簡単に連動しないということですね。そうしますと、新しく事業が延長されるということで、いま滋賀県と下流府県が話し合いを始めているということだそうでございますけれども、ぜひともこの話し合いが滋賀県の方にも、それから下流の府県民も納得のいくように円満に話がつきますように、ぜひともこれは国としても御助力を願いたい、このように思うわけです。  もう時間がなくなってきましたけれども琵琶湖の水質を保全をしていただきましても、琵琶湖から淀川へ流れておりますので、淀川の水質というのは非常に重要な問題になってまいります。淀川河川の改修が進みませんと、琵琶湖が幾ら改修されてもうまくならないわけですけれども淀川河川改修につきましては、先ほどちょっと御答弁がありましたので、詳しいことはまた後で直接伺うことにしまして、流域下水道について一言質問をさせていただきたいと思います。  四條畷というところがあるのですが、ここはいわゆる流域下水道に対する分担金を払っているのですけれども、流域下水道が進みませんためにいわゆる公共下水のめどが立っていないのです。こういうふうなことになりますと、これは単に四條畷の公共下水が進まないということよりも、先ほどお話がありましたように、流域下水がおくれているということは、せっかく琵琶湖で水をきれいにしていただいても、淀川に流れてきたときに流域下水道が完備をしていないということで水が汚れてくるということでは、琵琶湖の住民の皆さん方の御努力に対しても下流としては大変申しわけないと思うのですけれども、そのためには流域下水道をどのように完備をしていく計画があるのか、現在どのようになっているのか、そのことについて簡単に御答弁を願いたいと思います。
  349. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 淀川下流部の流域下水道として現在大阪府の淀川左岸、淀川右岸、安威川それから寝屋川の四流域下水道と、これに関連する枚方市、寝屋川市等十六市一町の関連公共下水道及び大阪市、東大阪市等八市の単独公共下水道が実施されております。このうち、淀川左岸を除く三流域下水道と八市の単独公共下水道で処理開始がされております。昭和五十五年度末の大阪府の下水道普及率は五七%となっております。淀川左岸流域下水道は枚方市、交野市を対象としまして、四十六年に計画決定されたものの、放流先の地元調整等が難航したためにこれまで事業着手がおくれていたものでございますが、五十六年度には協議も整いまして、処理場の建設に着手したところでございます。今後、処理場及び幹線管渠の建設を推進するとともに、関連公共下水道の面整備との整合を図りまして、早期に供用開始が図られるよう努力したいと思います。
  350. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 琵琶湖の水をきれいにすること、それから淀川の水をきれいにするということでいま御答弁がございました点、留意をしていただきまして、環境保全、水質保全にぜひ努めていただきたいと御要望しまして、私の質問を終わります。
  351. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  352. 村田敬次郎

    村田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。瀬崎博義君。
  353. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、日本共産党を代表して、琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、今回の改正法案が、大企業本位、開発優先の琵琶湖総合開発事業の根本的な性格をいささかも変えていないことであります。  政府は、本改正法案提出に当たり、琵琶湖総合開発計画に政令改正によって新たに農業集落排水処理施設整備事業、畜産環境施設整備事業、ごみ処理施設整備事業、水質観測施設整備事業の保全四事業を追加することとしていますが、これは部分的な改善として評価できるものであります。  しかし、琵琶湖総合開発事業の根幹をなす、利用水位をプラス・マイナス一・五メートルとし、下流に対し新たに毎秒四十トンの水を供給するという計画には一切の見直しが行われませんでした。  この琵琶湖の利用水位プラス・マイナス一・五メートル、新規利水毎秒四十トン拡大は、昭和四十七年、経企、建設、大蔵、自治各大臣、滋賀、大阪、兵庫各府県知事、自民党政調会長間の申し合わせ事項として決定を見たものであります。この考え方基本は、安い水の大量供給を求める大企業の要請にこたえて、下流に限度を超えた大幅な利水拡大を行う一方、それと引きかえに、琵琶湖を抱える滋賀県には補償的な意味で大規模な開発事業を実施するということでした。そこには水質、環境保全の見地はみじんもなく、その証拠に、この申し合わせには環境庁長官は含まれていなかったのであります。また、この申し合わせには、政府答弁によっても法的根拠はなく、行政的にのみ意味を持つものとされているのであります。  こうしたことから、わが党は、原点に立ち返り、保全の見地を含め、環境庁も参加の上、四十七年申し合わせの見直しを実施するよう強く主張してきましたが、それが行われないまま法改正案の提出となったのであります。したがって、琵琶湖総合開発事業の大企業本位、開発優先の性格は根本的に変わっていないと断ぜざるを得ません。  反対理由の第二は、琵琶湖総合開発事業が実施されたこの十年間に、赤潮の発生など琵琶湖の水質悪化が進み、今回の改正法案によって、その水質悪化がさらに促進される危険の強いことであります。  琵琶湖の水質は、この十年間、あらゆる指標において測定結果が示すとおり、横ばいないし悪化の傾向を示しているのであります。特に昭和五十二年以降は、毎年大規模な赤潮の発生を見るというきわめて深刻な事態となっているのであります。琵琶湖環境保全と水質の回復を目的としているはずの琵琶湖総合開発事業の実施にもかかわらず、こうした水質悪化を示している原因は、肝心の下水道建設の大幅なおくれ、湖周辺や水源地帯における乱開発、森林荒廃、工場等の有害排水たれ流し等であります。  そもそも本法は、こうした原因を取り除く規制面の手段は何一つ定めていなかったのでありますが、今回の改正法案はこの点に何らの改善を行っておらず、また、実情に合わない大規模流域下水道中心下水道事業計画の見直しも見送られているのであります。  こうした状況のもとで、今後さらに琵琶湖総合開発事業中心事業である水位プラス・マイナス一・五メートルを可能にするための湖岸堤や湖中堤、その上を利用する湖周道路、南湖、瀬田川の大規模しゅんせつ等の工事が進んで、自然浄化作用の最も重要な場所である湖辺、なぎさが破壊され、加えて、現実に一・五メートルもの水位低下が起こった場合の琵琶湖の水質は、取り返しのつかない深刻な事態に直面することが予想されるのであります。  赤潮発生という深刻な事態に直面した滋賀県と県民は、昭和五十四年琵琶湖富栄養化防止条例を制定し、有燐洗剤の追放と工場排水の窒素、燐の規制に踏み切ったのであります。これに伴う県、市町村の財政負担や中小企業の排水処理負担、県民の努力に対して、政府は見るべき援助を何一つ行っていないのであります。  反対理由の第三は、高度成長政策の破綻に伴い、淀川水系に関する水需要予測と実態との間に大きなずれが生じてきているにもかかわらず、政府は淀川水系水資源開発基本計画の見直しを実施しようとしていないことであります。  琵琶湖総合開発計画の上位計画である淀川水系水資源開発基本計画の将来水需要予測は、四十六年−五十五年までに毎秒六十八トンの不足を予測し、これを琵琶湖から毎秒四十トン、淀川水系ダム開発で毎秒十一トン、不足毎秒十七トンとしていました。しかし、これを実績で見ると、全体では四十五年日量六百九十四万五千トンであったものが、五十二年日量六百九十八万三千トンとほとんど横ばい状態であり、特にそのうちの工業用水については、四十五年日量二百九万二千トンであったものが五十二年には日量百五十六万六千トンと激減しているのであります。  政府は、水需要現状に基づき、琵琶湖環境保全と水質の回復を図るという課題をも含めて、淀川水系水資源開発計画の見直しを実施すべきであるにもかかわらず、これに手をつけようとしていないのであります。  最後に、琵琶湖近畿千三百万住民の命の水がめであると同時に、日本を代表する最大の湖でもあります。この琵琶湖を守ることは国の重大な使命であることを特に強調しておきたいのであります。かけがえのない琵琶湖を守るために、滋賀県民を初め関係府県住民が犠牲を払い、協力し合って努力をしているときに、政府は国の使命の重大さについてもっともっと自覚すべきです。特に私は、貴重な水資源開発について、琵琶湖環境と水質が厳に保全される範囲に限るよう、政府に対し強く要求するものであります。  以上で政府提案の琵琶湖総合開発特別措置法改正案に対する私の反対討論を終わります。
  354. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  355. 村田敬次郎

    村田委員長 これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  356. 村田敬次郎

    村田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  357. 村田敬次郎

    村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、大塚雄司君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。大塚雄司君。
  358. 大塚雄司

    ○大塚委員 ただいま議題となりました琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、すでに質疑の過程におきまして委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 琵琶湖総合開発計画改定に当たっては、水質の回復と保全、自然の生態系の復元と資源維持に十分の配慮をするとともに、調和のとれた生活環境整備、産業文化の創造に留意すること。  二 琵琶湖総合開発計画改定に当たっては、事前に環境に与える影響等を十分に調査し、関係住民の意向が反映されるよう努めるとともに、その事業の実施に当たっては、関係地方公共団体の財政負担の軽減を図るため、交付税、地方債等の財源措置について十分な配慮を行うこと。  三 異常渇水時及び洪水時における洗堰の操作については、滋賀県知事の意向を尊重しつつ関係府県知事との調整を図ること。  四 琵琶湖及びその流入河川水資源の確保と水質を保全するため、工業用水の循環利用等の促進、工場排水規制と有燐(りん)洗剤の使用規制、下水道整備促進等を図るとともに、湖沼の水質の保全に関する法的措置の強化に努めること。    右決議する。 以上であります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  359. 村田敬次郎

    村田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  360. 村田敬次郎

    村田委員長 起立総員。よって、大塚雄司君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、松野国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。松野国土庁長官
  361. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては終始熱心な御審議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して今後の運用に万全を期する所存でございます。  ここに、本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  362. 村田敬次郎

    村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  363. 村田敬次郎

    村田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  364. 村田敬次郎

    村田委員長 この際、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案起草の件並びに奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  両件につきましては、先般来理事会におきまして御協議が続けられておりましたが、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。  まず、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案の草案の内容につきまして、委員長より御説明申し上げます。  本法律案は、去る昭和二十七年四月議員立法として制定され、同三十一年三月、同三十六年五月、同四十一年六月、同四十六年四月及び同五十二年三月、期限延長のための一部改正が行われ、これにより特殊土壌地帯の治山、砂防、河川改修、道路防災、農地防災、土地改良などの対策事業が実施されてまいったのであります。  今日まで三十年間にわたるこれら対策事業により、同法の目的とする災害防除と農業振興の両面において顕著な進歩改善がなされたところであり、同法は、地域住民の福祉向上に多大の貢献をなし、深く感謝されているところでありますが、地域現状は必ずしも満足すべき状態にあるとは言えないのでありまして、現在なおたび重なる災害による厳しい環境と、農業生産力の低位性から脱却するに至らず、加えて近年の都市化進展開発の進行に伴い、特殊土壌に起因する災害が多発し、その態様も多様化しつつある状況にあります。  以上の観点から、この際、同法の一部を改正し、さらに昭和六十二年三月三十一日までの五カ年間有効期間を延長して、所期の目的の完全な達成を図りたいと存ずるものであります。  以上が、本法草案の趣旨の説明であります。     —————————————  特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  365. 村田敬次郎

    村田委員長 この際、本草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。松野国土庁長官
  366. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものであります。政府としては、特殊土壌地帯の現状にかんがみ、本法律案については特に異存はないところであります。  この法律案が御可決された暁には、その趣旨に沿い適正な運用に努め、特殊土壌地帯対策を一層推進してまいる所存であります。
  367. 村田敬次郎

    村田委員長 お諮りいたします。  お手元に配付してあります特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  368. 村田敬次郎

    村田委員長 起立総員。よって、さよう決しました。     —————————————
  369. 村田敬次郎

    村田委員長 次に、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の草案の内容につきまして、委員長より御説明申し上げます。  奄美群島につきましては、昭和二十八年十二月本土に復帰いたしまして以来、奄美群島復興特別措置法、同振興特別措置法及び同振興開発特別措置法のもとにおいて、それぞれ、奄美群島復興計画、同振興計画及び同振興開発計画に基づき諸般の事業が実施され、これにより同群島の基礎条件の改善と振興開発が図られてきたところであります。  しかしながら、同群島をめぐる自然的、社会的諸条件はなお依然として厳しく、本土と比較いたしますと、いまなおその後進性は除去されるに至っていないのであります。  特に、同群島は、本土から隔絶された外海離島であり、また、台風常襲地帯に属するという厳しい自然的条件下にあることにより、島民が、群島内諸島間並びに本土との交通のための基盤施設として、あるいは、漁業基地として、その整備を強く要望している港湾、漁港、なかんずく、その水域施設及び外郭施設の整備が著しくおくれているのが実情であります。  以上の事態に対処するため、この際、現行の奄美群島振興開発特別措置法において、昭和五十六年度までの間を十分の十の割合とされている港湾及び漁港の水域施設及び外郭施設の整備に対する国の負担割合の特例について、その有効期間を同法の有効期限である昭和五十八年度まで二カ年間延長することにより、これらの施設の整備を一層強力に推進する必要があるものと存ずるものであります。  以上が、本法草案の趣旨の説明であります。     —————————————  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  370. 村田敬次郎

    村田委員長 この際、本草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。松野国土庁長官
  371. 松野幸泰

    ○松野国務大臣 奄美群島の港湾、漁港の水域、外郭施設の整備についての委員長初め委員各位の御配慮に敬意を表します。  この法律案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えております。今後とも何分よろしくお願い申し上げます。
  372. 村田敬次郎

    村田委員長 お諮りいたします。  お手元に配付してあります奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  373. 村田敬次郎

    村田委員長 起立総員。よって、さよう決しました。  なお、ただいま決定いたしました両法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  374. 村田敬次郎

    村田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会