○
井上(普)
委員 私は、
日本の
教科書問題が
外交問題に発展したことははなはだ遺憾に存じておるのであります。
〔
委員長退席、中川(秀)
委員長代理着席〕
当然歴史の事実というものは事実として客観的に子供に教える、学生に教える、そしてそのことによって真実を教えることによってこそ次の世代の諸君が反省もするし、また
日本の方針も決めていくのだ、こう考えておるのであります。
しかしながら、この
日本の
教科書の
検定制度が始まりまして以来、私も
昭和三十二年の中学校、高等学校の歴史あるいは社会の本を読んでまいりました。そのときにはいかにも日中
戦争は侵略
戦争であるということを明記しておるのでございますけれども、ここ二十二、三年の間に
検定制度のもとにだんだんとそれが変わってまいりまして、進出であるとか侵攻であるとかいうような言葉に変えられたことは、もう私が申し上げるまでもございません。しかし、このことで
外交問題に発展いたしまして、その解決が
外交ルートによって解決されておる、しかもそれも正誤表でなされておるというまことに政治的な
決着を見ておりますことは、はなはだ私といたしましては残念なのであります。
しかし、この問題につきまして先般箕輪郵政
大臣は、八月の二十八日でございましたが、自民党の政経文化パーティーにおきましていろいろと御
発言になっておられるのであります。
新聞の報ずるところでございますが、「だれが
中国に教えたのか。教えた人間が
日本にはおるのだ。国を売る、国を裏切るような人が、この
日本人社会の中におる。すでに今年の三月、北京にそのことが知らされていたことを私は
外務省から聞いた。」と言われております。「怪しいのはだれか。確証がないから言わないが、想像に任せる。」こういうことをあなたはおっしゃいましたと
新聞は伝えております。あるいはまた他の
新聞によりますと、売国奴がおると言って暗に一部野党を指しておるんだとも報じておるのであります。したがいまして、はなはだ迷惑をわれわれは受けると同時に、この郵政
大臣のお考え方に対しまして私どもは絶対に納得ができない、こういう考え方に立ちまして、先般も
内閣総理大臣に対しましてわが党といたしましては箕輪郵政
大臣並びに松野国土庁長官に対しまして罷免要求をいたしたのであります。
そこで、まず第一番に郵政
大臣にお尋ねするのでございますが、一体あなたはどのような御
発言をなさったのか、お互い政治家でございます、証拠があるとか証拠がないとかいうような問題で逃げることはまことに政治家としてはひきょうだと思いますので、あなたは一体どのようなことを御
発言になりましたか、この点をまず第一番にお伺いすると同時に、第二の問題といたしましては、
教科書改ざんに関する
中国及び韓国の批判を
内政干渉と受け取ることは私どもは納得できない。
第二に、過去の
日本の侵略
戦争あるいは植民地支配に対しまして反省が全くない。もうすでにポツダム宣言三十六条でございましたかは、日中
戦争並びに韓国支配に対しましては侵略支配である、植民地支配である、侵略
戦争であるということを、われわれが無条件に甘受いたしましたポツダム宣言の中には掲げておるのであります。でございますから、この問題を侵略
戦争と規定することを否定することは、これは私は許されない事柄であると思うのであります。この点についての御反省をいかにお考えになっておられるかお伺いいたしたい。といいますのは、過去の
日本の侵略
戦争や植民地支配に対しまして謝りやあるいは反省のような御
発言、
新聞報道によりますと、われわれが
判断いたしますと、反省の
認識がない、逆に美化しておるように思われてならないのであります。
第三には、単なる異なる考え方を持っておる者を売国奴であるとか、あるいはまた国を売る者であるとかと言って一方的に切り捨てる考え方、これはファシズムに通ずる道である。民主主義の世の中におきましては当然にあらゆる議論、
意見というものがあって、そこで論議を展開することによって民主主義というのは発展するものだと私は思います。一方的にこれを売国奴呼ばわりするということはファシズムに通ずる道であると私は思う。
したがって、この以上四点につきましてあなたの御所見をお伺いいたしたいのであります。