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楢崎委員 私はいわゆる除草剤と猛毒性のあるダイオキシンとの
関係を中心にして、具体的には三井東圧が
開発生産をいたしております商品名MO、主成分はCNPでありますが、この除草剤を中心にして政府の見解と
措置を求めたいと思います。
まず私は、私がこれを取り上げる背景になった点について若干
説明をし、以下質問をいたしたいと思います。
いま福岡県久留米市荒木町にあります三井東圧系の農薬製剤工場で、これは三西化学というのですが、PCPあるいはBHCあるいは問題の二・四・五丁、そういう有機塩素系の農薬、そのほかにこれもまた問題の有機燐系、カーバメート系など多くの農薬を製造してきておるわけでありますけれども、発足当時は三光化学と言っておりましたが、
昭和三十五年三西化学操業開始当時から非常な被害が周辺住民に出ている。そのために
昭和四十八年の十二月二十一日に被害住民が福岡地裁に損害賠償と操業停止を求める民事訴訟を起こして現在公判が進行中であります。
このCNPというのは御承知のとおり主成分は二・四・六トリクロロフェノール―四二トロフェニルエーテル、これはこれまた製造中止になりましたPCPにかわる急性毒性の低い除草剤としてNIPやX52などとともに登場していったものでありまして、六五年に登録されて、現在、七九年の統計ですが、除草剤全体の二三%、約三万四千トン、CNPの原体は三千八百トン、これが生産されて、いまや除草剤の主役になっておる。したがって、このMOを私は取り上げておるわけであります。
このMOの中のCNPの含有率は、粒状で九%、乳剤で二〇%。これの登録業者はいま、三井東圧化学、サンケイ化学、北海三共、三共、八洲化学、
昭和電工、三笠化学などそういった八社が登録業者になっております。現物はこれです。これは三キログラム入りのもので、七百円ぐらいです。
それから、いま消費者運動が起こっておる。市民運動も起こっております。このMOの追放の運動が起こっております。多分ここに来られておる
関係官庁あるいはそれぞれの自治体、企業、メーカー、それから、それらの労働組合等々にその追放の働きかけが行われておる。それが現在の
状態であります。
このいわゆる除草剤とダイオキシンの
関係でありますけれども、ダイオキシンといっても化学式のC、つまり塩素の位置によりましていろいろ種類がある。大体七十五種類ぐらいあって、そのうち致死毒性があると言われておるのは約十種類ぐらいであります。一番猛毒性のあるのは、例のベトナム戦争で使われた二・三・七・八TCDDです。
まず、これが史上問題になり出したのは、一九五七年の秋にアメリカの東部と中西部で数百万羽の若鶏が変死をした。よく調べてみると、これが六塩化ジベンゾダイオキシン、HCDDであった。先ほど言った二・三・七・八TCDDはもっと毒性がひどいわけでありますけれども、このHCDDでも、そのまま人間に当てはめてみますと
計算上は一グラムで二万人を殺せる
計算になる。後で私は青酸カリとの比較をしてわかりやすく
説明してみたいと思いますけれどもね。サリドマイドの数百倍という強力な催奇形性作用を持っておる。次にこのダイオキシンが問題になったのが、先ほど申し上げたベトナム戦争における例の枯れ葉剤、二・四Dあるいは二・四・五丁です。このベトナム戦争で、これは人体実験されたことになっている。大変な人体の被害が現在も続いておる。もちろん、植物に対する被害もそうです。
いま、ベトナム戦争に参加したアメリカの兵士が、死亡したりあるいは奇形児が生まれたりしてアメリカで裁判を起こしております。この訴訟とは別にアメリカの
環境保護庁、EPAが、一九七九年三月から、この二・四・五丁の緊急禁止を通告いたしております。このメーカーでありますダウケミカルがこの規制解除を求める裁判を起こしたけれども、結局、一九七九年四月に下った裁判の判断では、EPAの見解が支持された。また、米軍の方で、例の有名な石井部隊の資料を引き継いだのがアメリカの生物化学兵器研究所のフォートデトリック、ここで六八年一月に初めて枯れ葉剤の二・四・五丁の中に強い催奇性があらわれて、問題の最猛毒の二・三・七・八TCDDが検出をされた。そのために米軍も、一九七〇年一月にこの枯れ葉剤の
使用を一時中止し、最終的には七一年六月に中止をすることになった。
三番目の
報告としましては、例の有名な、一九七六年七月十日正午に起こりました北イタリー、ミラノに近いセベソのイクサメ農薬工場の爆発事故であります。これも二・四・五丁をつくっておった工場でありますが、爆発事故を起こした。このイクサメの爆発事故は広島と同じだ。それほどの被害を与えている。
第四番目の
報告は、東京都立衛生研究所の検出したダイオキシンであります。これは、いま言いましたCNP、NIPあるいはX52を素材にして都衛研が分析をやったわけでありますけれども、これをやったのは都立衛生研究所の生活科学部の副参事であります山岸達典博士を中心とする七人であります。そして実際にこの分析に当たっては、何が出てくるかわからない、もし最猛毒の二・三・七・八が出てきたら一この二・三・七・八TCDDというのは、実験のワークでは放射能を扱うのと同じ取り扱いをするのですね。生命の危険に対して責任が負えないということで、二人の研究員を特別に特攻隊のように募って研究された。そこで、幸いなことには、いまのところ二・三・七・八はMOからは出てこなかったけれども、一・三・六・八TCDDが出てきた。この山岸博士は、七七年にマハゼの肝臓に九一・四PPmのCNPが蓄積していることを突きとめられたわけです。そして七九年秋に、この山岸チームが、いま言った農薬、CNP、NIPあるいはX52の三種の農薬から二年間の歳月を要してPCDD、ポリ塩化ジベンゾダイオキシンあるいはPCDF、ポリ塩化ジベンゾフランを検出したわけですね。特にCNPは約二〇OPPmのPCDD等を含んでおった。一・三・六・八TCDD、検出されたこのダイオキシンは、最高約一五〇PPm、次いで五塩化の約三〇PPm、これが検出をされております。
続いて八〇年六月に、栃木県小山市の思川、利根川上流ですが、ここでオイカワ、私どものくにではハヤと言っております淡水魚を採取しました。そのすり身二百四十グラムから、米の残留農薬
基準、これは〇・〇一PPmですけれども、これの百二十倍に当たる一・二PPmのCNP、それから〇・二PPbの一・三・六・八TCDDを検出しております。それから東京湾のスズキ、アサリ、こういった魚介類もすでに〇・一PPmのCNPが蓄積されておる。
環境庁の告示はさっき言ったとおりでありますが、非常に高い濃度が蓄積されておる。特に問題なのは水系に対する汚染が非常にひどい。これは結局は飲料水の汚染につながる。
一九七九年の都衛研の年報によりますと、七七年三月から九月にかけての
調査ではすでに東京都の浄水場の水道原水それから水道水それから都衛研の研究所の蛇口水から最高〇・〇六PPbのCNPが検出されております。
山岸博士は、理由はわかっておるけれども
日本では発表できなかった。それでわざわざイギリスの化学専門誌である「ケモスフェアー」の去年の十月号に「市販ジフェニル・エーテル系製剤及び散布
地域で採取した淡水魚中のポリ塩化ジベンゾ―パラ―ダイオキシンとジベンゾフランについて」こういう題で発表をして、それが逆に
日本の方にわかってきたから問題になった。こういう背景を基礎にして質問に入りたいと思うわけであります。
きょうは
関係審議会の明日山
会長さんに
参考人として来ていただいております。大変御苦労さまであります。まず明日山
参考人にお伺いをしますけれども、除草剤というのはハービサイドの訳だと思いますが、これをなぜ除草剤と訳するのでしょうか。