○市川説明員 お答え申し上げます。
まず、わが国の備蓄の目標のことでございますが、先生御
承知のとおり、一次エネルギー供給の大宗を輸入原油に依存をいたしておりますわが国といたしましては、原油供給不足の事態が生じた場合の影響は欧米諸国を上回るものがあると
考えられておるわけでございます。また、石油消費大国といたしましては、国際的な責務を果たすためにも、最低限欧米先進諸国平均程度の備蓄水準を達成することが不可欠であると
考えているわけでございます。このために、石油備蓄法に基づきます九十日備蓄と、これに上乗せをいたしまして石油公団が実施をいたします三千万キロリットルを目標として行うこととなっている国家備蓄の二本立てで実施をいたしてきておるわけでございます。
御
質問の、最近のエネルギー情勢との関係で石油備蓄目標をどう
考えるかという点でございますが、御指摘のとおり、先進消費国の最近の景気の低迷の問題、省エネルギー化の進展等の問題がございまして、国際的な石油需給は当面緩和
状況にあるわけでございます。わが国におきましても、最近の
経済の伸び悩みの問題、それから原油価格の大幅上昇が契機となった需給
状況の
変化などが見られているわけでございますが、このような
変化に
対応して今後エネルギー需給がどうなっていくかという問題につきましては、現在、長期エネルギー需給の暫定見通しの改定期になっておるものでございますから、これにつきましては、現在の段階では具体的内容は固まっておらないわけでございます。しかしながら、今後とも一次エネルギーの中に占める石油の
位置づけというものは
基本的に何ら変わるものではないだろう。それから一方、わが国の石油輸入の大宗を依存する中東
地域の情勢というのは予断を全く許さないものがあるわけでございますから、石油輸入の安定確保はなお危機を内包していると言わざるを得ないわけでございます。
なお、この三千万キロリットルの目標につきまして、最近の需給の数字等に照らして申し上げますと、五十六年の石油内需量、これは石油価格高騰とか、
先ほど申しましたような事情で相当に落ち込んでいるわけでございますが、
昭和五十六年の特殊な
時点を前提といたしましても内需量の四十九日分相当となっておるわけでございまして、これに民間の九十日を足しますと約百三十九日分でございます。
一方、五十三年以降の西欧諸国の備蓄水準は、イラン政変とかイラン・イラク戦争の経験もございまして、備蓄積み増しのペースをますます高めておるわけでございまして、五十七年一月現在IEA加盟国平均で百六十九日の備蓄水準にまで達しているわけでございます。わが国の脆弱な石油供給構造を
考えますと、せめて西欧諸国並みの備蓄水準を達成することが必要であるということがございますので、民間九十日備蓄を今後とも維持するとともに、少なくとも三千万キロリットルの国家備蓄の実施が不可欠である、この事情については
変化がないのではないかというふうに
考えている次第でございます。
次に、
志布志湾の石油基地
建設計画について通産省としてどのように
考えているかという御指摘でございますが、これにつきましては、
志布志プロジェクトを
国家石油備蓄基地の候補地点として
鹿児島県から御提起をいただきまして、昨年の二月に立地可能性
調査を石油公団が実施いたしまして、昨年の九月、技術的
経済的に立地可能であるという結論を得たわけでございます。このプロジェクトにつきましては、いま御議論をいただいておりますように、
自然公園法との
調整問題等がございまして、FSの結果を受けまして、昨年秋以来
鹿児島県が
環境庁との間で
協議を進めてこられたわけでございます。先ごろ
鹿児島県より
環境庁に対しまして御提示のありましたいわゆる
代案につきましては、今後、国家備蓄事業の実施主体でございます石油公団におきまして内容の詳細な
検討を進めることといたしておるわけでございます。
いずれにしましても、
鹿児島県の行います
環境アセスメントを含めまして、
鹿児島県と
環境庁との最終的な御
調整の結果、それから
鹿児島県の行います地元
調整の結果などを待ちまして、具体的立地の可能性を
検討することとなろうかと思います。