○小林(進)
委員 官房長官、外務大臣兼任だそうですが、私はこの問題について
政府は三つの重大な錯誤を犯していると思うのです。
一つは、このいわゆる
侵略論争の問題は、いま国際問題ですよ。対
中国政府だけじゃない、台湾
政府も厳しく反論している。あるいはこれは
韓国ではなくて北
朝鮮、いわゆる
朝鮮民主主義
人民共和国、香港、シンガポール、タイ、いまこの波はだんだん大きくなっている。世界的な規模に広がっているのですよ。これを
政府は一体どんなぐあいに
考えているのか。この
認識が一つ大変な間違いです。
それから第二番目の間違いは、これを文部官僚に任しておるということだな。文部官僚は全部うそを言っているのです。全部うそだ。教育をつかさどる文部官僚が事ごとにうそを言っている。これはうそを言っていることは事実で、たとえば
侵略には評価が要るとか、何だね、これ、三百代言。
侵略という言葉に評価が要るというなら進出にも評価が要るだろう。こういう愚にもつかぬことを言う。あるいは何か他国の
中国への進出に対しては
侵略という言葉を使っていないから、それと均衡を保つ。何を言っているの、これ。あるいはまた、特に一番ひどいのは、これは民間の記述者と本屋がやっている仕事で
文部省は
関係していないとか、実に言語道断なうそを言っているが、こういうような多数を持っている自民党でも通らない理屈を対外的に
外交ルートに乗せて、外国までもこんなうそで固めようとする
姿勢を
政府が黙認しているという、これは第二番目の大変な間違いだ。
それから第三番目は、特に私は官房長官に言っておきたいのです。いま
日本では珍しい重大な政治問題になっているということなんだよ。重大なる政治問題、しかも国際的な世論を全部調べてみると、これくらい国際的に、タカ派というかハト派というか、国際的にタカ派、ハト派はないけれども、左派的、右派的、社会主義的、資本主義的国家全部をひっくるめて
日本に対して一切攻撃の矢がいま向いている。
日本はこの問題に関する限り国際的には孤立している。その問題に対する
認識が一つない。これは重大な政治問題ですよ。いまの
政府はこの三つの問題に対する
認識が足りないのですよ。
私は実は最近
中国から帰ったばかりで、政治家小林進、実にひしひしと心に打つものがあった。私は帰ってきたら鈴木総理に会って話をしようと思った。ところが米価闘争だとかがたがたとして、ついにそのチャンスを失った。私は本当に残念にたえない。
いま一つ残念にたえないのは、いまの官房長官が、まあわれわれの尊敬する保利茂さんでも官房長官だったら、あるいは、どうか知らぬが伊東正義君でも官房長官ならば、まだこの問題は瞬時を入れず軍配を入れて解決するだろうという予感が私はひしひしとするんだよ。残念ながら
宮澤君、君なんだ。君の本質は何といっても官僚なんだよ。しかも頭脳のいい官僚なんだ。これが始末に負えない。白を黒とも言いくるめ、黒を白とも言いくるめて、事態だけ巧みに糊塗しようという、それが官僚の本質なんだ。
それで僕は言いたいんだが、いまこの三つの重大錯誤があるが、もう君の手練手管じゃ問題はおさまらぬということだ。で、見通しを申し上げると、この問題はこのままずるずるいきますと火は消えませんよ。君らは鎮静するなんて
考えておるが、冗談じゃない。一日延びれば延びるだけ火は大きくなってくる。たどり着くところは、ことしの九月鈴木さんは
中国へ行かない、
宮澤君も行けない。
きのうなんか参議院を傍聴したが、さすがにおじ、おいだわい、小川文部大臣、
宮澤官房長官あうんの呼吸をそろえて、へでもない
答弁を繰り返している。よく呼吸が合うなと思ったわ。この
日本の国会で文部大臣と
宮澤官房長官がおじ、おいでいるなんということも、これは
日本の
歴史の上でいま大変不幸に遭遇している。大変不幸だ。
そこで僕は言うが、このままではだめですよ。九月には鈴木さん行かれませんよ。
宮澤君なんか、きのうあたり
中国から招待状が来たなんと言って喜んで飛び上がっているけれども、そんな甘い事態じゃない。これを私は一つ申し上げておいて、時間がないから、どうですか、私の
認識に対してあなた反論があるんなら反論を言ってください。
政府はいま三つの重大な間違いをしているという私の
認識に、あるなら反論してください。