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1982-07-30 第96回国会 衆議院 外務委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年七月三十日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 愛知 和男君 理事 奥田 敬和君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    北村 義和君       鯨岡 兵輔君    小坂善太郎君       竹内 黎一君    浜田卓二郎君       山下 元利君    井上 普方君       小林  進君    林  保夫君       寺前  巖君    東中 光雄君       伊藤 公介君  出席国務大臣         外務大臣臨時代         理       宮澤 喜一君  出席政府委員         外務政務次官  辻  英雄君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省経済局次         長       妹尾 正毅君         外務省条約局長 栗山 尚一君         外務省情報文化         局長      橋本  恕君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局教科書検         定課長     藤村 和男君         外務委員会調査         室長      伊藤 政雄君     ————————————— 委員の異動 七月三十日  辞任         補欠選任   野間 友一君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     野間 友一君     ————————————— 七月十四日  日韓首脳会談中止等に関する請願外二件(高  沢寅男紹介)(第四三〇一号)  婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す  る条約早期批准等に関する請願木間章君紹  介)(第四三〇二号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四三六九号)  世界連邦実現等に関する請願野口幸一君紹  介)(第四三六八号)  同(宇野宗佑紹介)(第四三七九号)  同(玉城栄一紹介)(第四三八〇号)  同(西田八郎紹介)(第四三八一号)  同(前田正男紹介)(第四三九四号)  同(春田重昭紹介)(第四四一八号) 同月二十一日  世界連邦実現等に関する請願川本敏美君紹  介)(第四四六六号)  同(水田稔紹介)(第四五一二号)  同(正示啓次郎紹介)(第四五五二号) 同月二十九日  世界連邦実現等に関する請願早川崇君紹  介)(第四六七五号)  同(後藤茂紹介)(第四七〇〇号)  同(沖本泰幸紹介)(第四七一〇号)  同(大島弘紹介)(第四七三三号)  同(坂井弘一紹介)(第四七三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  3. 土井たか子

    土井委員 今回、教科書記述において事実を歪曲した部分に関する中国側から日本政府に対する申し入れがあったわけでございますが、日中共同声明第六項の中で、「主権及び領土保全相互尊重相互不可侵内政に対する相互不干渉、」ということをはっきり述べられております。また、御案内のとおり日中平和友好条約の第一条の一項でも、「相互不可侵内政に対する相互不干渉、」ということが明記されているわけであります。私は、今回のような中国側からの申し入れはこの共同声明第六項のただいま申し上げた部分、さらに条約一条一項に言うところの内政不干渉中身には反しないというふうに考えております。さて、条約局長お見えですから、この点に対してどういうふうに解釈なすっていらっしゃいますか。まずこれをお尋ねをしたいと思うのですが、どうでしょう。
  4. 栗山尚一

    栗山政府委員 お答え申し上げます。  日中共同声明、それから日中間平和友好条約で言っておりますところの内政に対する相互不干渉、これは国際法で言うところのお互いの内政事項に対する不干渉という意味と私は理解しておりますが、そういう意味におきまして、国際法上の干渉というのは、ある種の武力その他強制力をもって一国が自国自由裁量で決定し得る事項に対して圧力を加えて自国の意向に相手国を従わせようという行為内政干渉あるいは国内問題に対する干渉ということで国際法的には認識されておるものであろう。日中共同声明あるいは日中平和友好条約に言っておりますところの内政不干渉というのは、そのようなものに対する禁止というふうに理解しております。
  5. 土井たか子

    土井委員 そうすると条約局長、さらにお尋ねをいたしますけれども、今回のような場合は内政干渉には当たらない、このように解釈してよろしいですね。
  6. 栗山尚一

    栗山政府委員 国際法で言うところの内政不干渉という問題ではなかろうと存じます。
  7. 土井たか子

    土井委員 国際法上に言うところの内政不干渉ということですが、再度お尋ねをいたしますけれども、今回の事例は日中平和友好条約の一条一項、それに先立つ共同声明の第六項に言うところの内政不干渉という、この項目には反しないというふうに理解してよろしゅうございますね。
  8. 栗山尚一

    栗山政府委員 多少言葉が足らなかったかと思いますが、法的に申し上げて、いま私が御説明いたしましたような意味内政干渉に当たるという性格のものではなかろうというふうに考える次第でございます。
  9. 土井たか子

    土井委員 そうすると、これを称して内政干渉というふうには言えないということであります。まずこのことをはっきり確認したいと思うのです。  それから、すでに二十八日の午後四時過ぎに渡辺公使中国側に対して、中国側がさきに日本政府に対して申し入れられたことに対する回答であるのか説明であるのか、この辺はよくわかりませんけれども、日本側の意思を伝達されたということになっておりますが、そういう前後の事情からするとこれはやはり外交問題であるというふうに考えなければならないと思いますが、この点はどのように考えられますか。
  10. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 本来、それぞれの国におきまして国民をどのように教育するかという問題、特に今回のように教科書問題という具体的な問題になりますと、これはできることならば国と国との政治問題あるいは外交問題にしたくないということが私どもの本当の気持ちでございます。しかしながら、先生指摘のとおりに、外交チャンネルを通じてすでに話し合いが始まったという意味におきましてはすでに外交問題になっている、こういうふうに理解すべきかと存じます。
  11. 土井たか子

    土井委員 そこで宮澤さん、いま答弁を受けたとおりなんです。内政干渉ではない、そうして外交問題になっている、こういうことからいたしますと、先日三閣僚のこれは内政干渉にわたる問題だという発言がございましたけれども、前後の事情をよくおわかりになっていらっしゃらないのではないかと思うのです。そこで、三閣僚のそういう認識不足と申しますか誤解をはっきり訂正させる、これは大変大事だと思いますが、どのようにお取り計らいなさいますか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 別段厳密な意味内政干渉ということを言われたのではないだろうと思います。
  13. 土井たか子

    土井委員 厳密な意味であるか厳密な意味でないか、いずれにしろこれは閣僚発言として意味は重いのですよ。閣僚発言というのは、しかも閣議における発言であったという意味において、内外ともにこれを政治発言というふうに受けとめております。これ自身もただいま外交チャンネルに乗って問題になりつつあるのです。現になっているのです。いかがお取り計らいなさいますか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 正式に言われたわけでもなく、厳密な意味で言われたのでもないというふうに私は考えています。
  15. 土井たか子

    土井委員 幾ら宮澤大臣がそういうふうな御答弁をされようとも公式の場所ですでに出てしまっている問題であり、外交ルートを通じてこのことが問題にされてしまっているのですよ。なるべくさわりたくない、これについては鎮静化したいというお気持ちはよくわかりますけれども、そうはいかないのです。もう出てしまっている、また発言されてしまった問題であります。はっきり訂正をすべきじゃないですか。いかがです。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 何か公式の場で閣僚が正式に発言をしたというふうにお考えのようでございますけれども、そういうものではございません。
  17. 土井たか子

    土井委員 それでは以後、閣議という場所は公的な場所でないというふうに理解をさせていただきます、そういう発言ならば。後々これは政治問題として必ず大きくなるということを一つ予告して、先に進みます。  日中共同声明の中で、その前文の個所を見ますと、「日本側は、過去において日本国戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」とございます。ここにある「深く反省」というのは、だれに対しての反省なんでございますか。中国人民に対する反省なんじゃないですか。いかがです。
  18. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 日本の国が犯した行為につきましてその行為を深く反省する、そういうふうに考えております。
  19. 土井たか子

    土井委員 それはどういう行為を指して問題にされているのですか。行為にもいろいろございます。
  20. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 戦争を通じまして中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深くこれを反省するのでございますから、当然のことながら戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたということを反省する、こういうことと考えます。
  21. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、二十八日の日の渡辺公使日本政府の見解と称して中国側に言われた中身に、「過去に日本国戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する旨明らかにされており、」その次です、「この認識には今もいささかの変化もない。」とございますが、「この認識」という「この」は何を指して問題にされているのでございますか。
  22. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 過去において日本国戦争を通じて云々、深く反省するというこの共同声明に明記されました認識はいまもいささかも変化はない、こういう意味でございます。
  23. 土井たか子

    土井委員 そうすると、具体的に申しましょう、具体的に。その中身は、「この認識」は日本軍国主義中国に対する侵略を指して問題にしている、こう理解されますが、そのとおりでございますね、橋本局長
  24. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、共同声明前文にある「深く反省する。」というこの明確なる表現、このことについての認識である、この認識についてはいささかも変わりはない、こういうことでございます。
  25. 土井たか子

    土井委員 橋本局長日中国交回復のためにどれほど努力をされたかということを、私も及ばずながら存じ上げている一人でございます。心血を注いでこのことのために命がけでやられたと申し上げて過言では絶対ない。私は、後世このことに対する橋本局長努力たるや銘記すべきであるというふうに思っている一人なんです。そういうことからいたしますと、具体的に、いまのような玉虫色めいたことを言わず——深く反省をしたという上に立って国交回復というものは始まったんじゃないですか。条約もその上に立って締結されたんじゃないですか。ただいまの日中友好関係というのはその上にしっかり成り立つのじゃないですか。それを考えますと、この中身について私がお尋ねをしているところを避けて通ろうとなさらないで、ひとつ深刻に、真剣に受けとめていただいて、明確な御答弁こそ今日ただいまこのときに非常に大事だと私は思いますよ。だからもう一度お尋ねをいたします。具体的に「この認識」ということは日本軍国主義中国侵略を指す、このように考えてよろしゅうございますね。
  26. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 過去において日本国戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えた、このことについて当時の田中角榮総理大臣日本国民すべてを代表いたしましてその戦争責任を痛感し、深く反省するということを共同声明に明記されたわけでございまして、これは普通の共同声明と重さが違いまして、私の記憶に誤りがなければ、双方総理大臣が国を代表して調印したのみならず、たしか私の記憶では、その後国会におきまして御承認、御了承をいただいた、かように解釈しております。したがいまして、この表現はいささかの誤解も与えない明確なる表現である、このように考えております。
  27. 土井たか子

    土井委員 共同声明に対するコメントを幾らされても、そういう段階ではないということが局長にはよくおわかりだろうと思うのです。いまどういうことが問題にされているか、共同声明というものは遵守いたします、大切に考えますと言って済む問題じゃないのです。何をやりつつあるか、それを尊重するがために日本としては何をやっているかということが問われているのじゃないですか。  したがって、もう一たびお伺いしますよ。いま中国側に対して甚大な損害を与えたということが問題だったとおっしゃいましたが、その甚大な損害というのは、日本軍国主義侵略をしたから甚大な損害が出たのじゃないですか。日本軍国主義による中国に対する侵略を「この認識」という「この」は指しているというふうに理解して間違いじゃないですね。いかがですか。
  28. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 戦前、非常に長い期間にわたりまして日本国中国並び中国国民に対しまして不幸な戦争の結果、非常に御迷惑、大変な御迷惑をかけました。現に日本軍との交戦あるいは日本軍行動による結果といたしまして生命を失った数百万の家族、親きょうだい、親戚縁者が存在しているという事実、それから、かつて日本行動によりまして中国において多大の財産が失われたというこの事実、これは歴史となるにはまだまだ生々しいことでございまして、その当事者がまだ現存しているというこの事実は私は真剣に受けとめなければならない。したがいまして、中国側申し入れの根拠にはこの事実があり、また、そこでそういう冷厳な事実を真剣に受けとめて日中共同声明の、先ほど何度も申し述べました前文があり、かつ、日本政府は今日なおいささかも揺るぎなくこの考え方認識を持ち続ける、こういうことを言っている次第でございます。
  29. 土井たか子

    土井委員 認識はわかるのです。では、その認識に基づいて具体的にこれをどうお考えになっていらっしゃるかを聞きましょう。よろしゅうございますか。  日本は華北に対して侵略をした、そして中国に対する全面侵略をやった、これは過去の歴史の事実として歴然たる事実だということが言えると思います。さらに南京を占領した際、日本の軍隊は中国軍民多数を殺害、暴行、略奪、放火を行って、いわゆる南京大虐殺として国際的な非難を浴びたわけでありますが、中国人犠牲者数は約二十万人に上るとも言われている。これは目を覆わんばかりの大変な残虐行為であります。南京を占領した日本軍は多くの非戦闘員を虐殺して国際的な非難を受けた、こういう事実に対しては、局長、否定はなさいませんね。それはそのとおりだというふうに受けとめていらっしゃるでしょう。どうですか。
  30. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたようなお考え中国の中にはもちろん世界的にも存在するという事実は謙虚に受けとめたい、こういうふうに考えております。
  31. 土井たか子

    土井委員 中国側にあるとかそういう問題じゃなくて、事実は事実なんです。日本側が犯した過去の侵略行為として、事実は事実としてある。この事実をお認めになりますね。中国側認識を問うているのじゃありません。どうですか、局長
  32. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 日中国交正常化の際に、万人が承知しております共同声明がつくられたわけでございます。これは現在読みますと一片の紙でございますが、しかしながら、ここに至るこの共同声明一言一言が本当に数十年、数百年の歴史の重みに支えられておりまして、これは単に自民党政府の大変な努力というだけではございませんで、全日本的あるいは全中国人の血と涙の結晶かと私は心得ております。したがいまして、いま先生が御指摘のような歴史的事実、歴史といいましても先ほど申し述べましたとおりにまだまだ生々しい今日なおつながりを持つ過去の事実でございまして、この痛ましい事実をどう評価するかということも再三再四問題になったわけでございますが、私の理解が正しければ、と申しますよりは私お手伝いした人間の一員として申し述べますと、過去のことを幾ら言い合っていてもしようがないから、現在以降将来の日中両国民友好協力、ここに重点を置こうということで両首脳が完全に意見が一致してこの共同声明が生まれた。しかしながら、では過去は完全に不問に付していいかということにはならないということで、非常に苦しい折衝の結果、共同声明前文に言うところの戦争責任の問題をこの表現において、日本側は率直に反省し、またその反省した後に、いまちょっと文章を忘れましたが、中国側もこの日本側考え方を評価するという趣旨文章を、中国側満足感、了解するという趣旨のことを入れまして、そこででき上がったのがこの共同声明である、かように考えております。
  33. 土井たか子

    土井委員 事実を事実として直視するところから過去についての反省というのは出てくるし、将来再びこういうことを犯してはならないという認識、そういう決意というのが出てくる、そういうことであると思うのです。局長、それは首を振っていらっしゃいますからそのとおりにお認めになっていらっしゃると思うし、私がいま申し上げたことは事実は事実としてそのとおりだということもお認めになっていらっしゃると思うのです。  さらにお尋ねを進めますけれども、一九六五年、つまり昭和四十年二月十七日、金浦空港におけるステートメント、二月二十日日韓共同声明、この中身を見ますと、ここで韓国側は、両国民間に不幸な関係があったために生まれた対日感情について説明をして、それを受けて当時の椎名外相李外務部長官発言に留意し、このような過去の関係は遺憾であって、深く反省していると述べられておりますが、ここに言う過去の関係というのは何を指すのですか、お伺いをいたします。
  34. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 日本朝鮮半島との関係におきまして大変不幸な事態があったというこの過去、主としてそれが日本側責任にあるという意味において、その過去の関係は遺憾であって深く反省している、こういうふうに述べたというぐあいに理解いたしております。
  35. 土井たか子

    土井委員 それは朝鮮半島に対する三十六年に及ぶ植民地支配を指して問題にしているわけでございますか。どうでございますか。
  36. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 この共同声明をさらっと読みますと、いま土井先生指摘のような明確な指摘はございませんが、実態に即して考えますと、ただいま先生指摘のようなふうに私も理解したいと思います。
  37. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、これは朝鮮半島朝鮮民族人民に対して遺憾の意を表して深く反省をしたということに相なると思いますが、いかがでございますか。
  38. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 私は歴史家ではございませんが、私の記憶では、日本との不幸な関係がありましたときの朝鮮半島は、現在のように明確に北と南に分かれているというような状況ではございませんので、全体的、一般的なこの朝鮮半島に住む人々、こういうことであったかと理解しております。
  39. 土井たか子

    土井委員 そうすると、この日韓共同声明朝鮮民族に対して日本政府反省をしたということに、いまの御答弁からすると明確に相なり得ると思うのです。  そこでお尋ねをいたしますが、三・一独立運動、これはまさか暴動などとお考えになっていらっしゃらないと思うのです。これは明確に独立運動があったということを受けとめて考えていらっしゃると思います。  もう一点、これは具体的に聞きますよ。抽象論言ったってしようがないのです。一九三九年から四五年に、少なくとも六十万人以上の朝鮮人強制連行された。約五万人の中国人強制連行された。この事実も、これはまあ逃げも隠れもできない事実だと思うのですが、これもやはり事実としてもちろん認識なさっていらっしゃいますね。いかがでございますか。
  40. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 御指摘のとおりに、戦時中朝鮮半島から、また中国大陸から当時はいわゆる労務者という形で日本本邦に連れてこられたという事実は確かにございます。そのことを強制連行というか、あるいは徴用令による日本への渡航というか、法律的なことは私は詳しくは存じませんが、少なくとも、この方々が喜んで日本に来たのではないということは、私は間違いなく言えることではなかろうか、かように考えております。
  41. 土井たか子

    土井委員 そこでいろいろきょうお尋ねをさらにしたいとは思いますけれども、一点、この点はどうお考えになりますか。  いまきょうは局長お尋ねをすると、いろいろ具体的な事実に対しては否定なさらない。もちろん、事実は事実として認めないと、事実を事実としてこれは認識するということの上に立たないと、反省のしようもないのです。共同声明の中にうたい込んであるのですね。戦争に対して、日本は過去の犯したことについて深く反省をするということから出発しているわけですから、したがってその事実を事実として認識するということについては、やはり次の世代を担う国民に対しても、そのことに対して事実を事実としてしっかり知るということを保証しなければならない。これは非常に大切なことだと私は思いますけれども、どのように橋本局長はお考えになりますか。
  42. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 日中関係正常化の際、具体的には共同声明という形で出たわけでございます。それから日韓については、私は必ずしも当事者でございませんので詳しく存じませんが、いずれの場合におきましても、過去において日本国が行った行為に対して重大な責任と深い反省というのはもちろん当然のことでございますが、問題は、過去は決して忘れられませんけれども、現在及び将来の日本国民中国国民関係、それから日本国民韓国人々との、あるいは朝鮮半島人々でもよろしゅうございますが、やはり現在及び将来、友好かつ協力親善関係に持っていくことに全精力を注ぐ。ただ、そうは言いましても過去は無視できないので、過去の反省の上に立って、決定的に重大な現在及び将来の両国あるいは両国国民友好親善関係をいかにして打ち立てるかという前向きの姿勢双方政府責任者が合意に達していると言ったのが、先ほど来問題になっております日中共同声明であり、また椎名外務大臣と当時の韓国外務大臣との共同コミュニケだった、かように記憶しております。
  43. 土井たか子

    土井委員 局長、そうおっしゃればおっしゃるほど、現在、将来にわたって前向きで友好関係をつくっていくためにも歴史は非常に意味があり大切なんです。そのために歴史を事実ありのまま、そのまま認識するということが大変大切なんです。したがって、歴史をゆがめるわけにはいかないのです、現在、将来にわたって友好関係を大切に前向きに考えれば考えるほど。そうじゃありませんか。歴史をそのまま事実を事実として認識するということをしないでおいてどうして前向きが出てきましょう。この点は非常に大切ですよ。そういうことから考えますと、きょう局長がいろいろ御答弁になったことについて、私がこういう事実について事実としてありましたねと言ったら、非常に遠慮なさりながら、気持ちを使って、なるべくそれに対しては具体的にはっきり答えないという答弁をされつつ、しかしそれでも事実は事実として認識されていることは答弁の中でよくわかるのです。それからいたしますと、これはいかがです。文部省姿勢外務省は大分違うのですね。昨日、在日中国大使館王公使に対して文部省説明をされましたけれども、その説明というのは、検定制度説明すれば事足れりという姿勢なんです。そんなこっちゃないのです。問われているのはいまの日本政府姿勢ですよ。いま日本政府が何をやろうとしているかという問題だろうと私は思っています。そうじゃありませんか。そういうことを考えてまいりますと、根本的にいま日本姿勢が問われているときに、外務省文部省のその問題に対する認識というものが、事実を事実として把握することでなければ、日中共同声明日韓間のあの共同声明の中にも——日本としてはしっかり責任を持った姿勢でないということから考えていって、何らかの対応を文部省に対して外務省としてはなさらなければうそだと私は思います。いままで文部省に対して外務省からなさった例があるでしょう。
  44. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、「日本国戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」というこの認識は、十年前ではない現在もあるいは今後も、一外務省とか文部省ということではなくて日本政府全体の姿勢であるということは、文部省当局におかれましても十分理解しているところであると確信しておりますし、またこの問題をめぐりまして、こういういま申し上げましたような考え方文部省当局とは何度も外務省との間で協議、話し合いが行われたというふうに了解しております。
  45. 土井たか子

    土井委員 局長いろいろおっしゃるけれども、あと一問で私は小林議員にかわりたいと思うのですが、これは局長、いま非常に大事なときですから率直にお考えをいただいて御答弁をいただかなければならないと思いますよ。よろしゅうございますか。いままでのようなことではだめです。  いままで行ってきたいろいろな残虐行為侵略行為戦争行為というものは、日本は事実を事実として見るときに初めて反省ができる。戦争というのは侵略なんですよ。そうでしょう。そうすると渡辺公使は、学校教育においてもこの認識が正しく反映されるべきだと考えていると明言されているのです。外務省文部省に対してそのようにひとつはっきりさせていただきたい、これを申し上げたいと思いますが、どうですか。そうでなければ中国にうそをついたことになりますよ。
  46. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 外務省認識文部省に率直に申し伝えます。
  47. 土井たか子

    土井委員 終わります。
  48. 中山正暉

    中山委員長 小林進君。
  49. 小林進

    ○小林(進)委員 官房長官、外務大臣兼任だそうですが、私はこの問題について政府は三つの重大な錯誤を犯していると思うのです。  一つは、このいわゆる侵略論争の問題は、いま国際問題ですよ。対中国政府だけじゃない、台湾政府も厳しく反論している。あるいはこれは韓国ではなくて北朝鮮、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国、香港、シンガポール、タイ、いまこの波はだんだん大きくなっている。世界的な規模に広がっているのですよ。これを政府は一体どんなぐあいに考えているのか。この認識が一つ大変な間違いです。  それから第二番目の間違いは、これを文部官僚に任しておるということだな。文部官僚は全部うそを言っているのです。全部うそだ。教育をつかさどる文部官僚が事ごとにうそを言っている。これはうそを言っていることは事実で、たとえば侵略には評価が要るとか、何だね、これ、三百代言。侵略という言葉に評価が要るというなら進出にも評価が要るだろう。こういう愚にもつかぬことを言う。あるいは何か他国の中国への進出に対しては侵略という言葉を使っていないから、それと均衡を保つ。何を言っているの、これ。あるいはまた、特に一番ひどいのは、これは民間の記述者と本屋がやっている仕事で文部省関係していないとか、実に言語道断なうそを言っているが、こういうような多数を持っている自民党でも通らない理屈を対外的に外交ルートに乗せて、外国までもこんなうそで固めようとする姿勢政府が黙認しているという、これは第二番目の大変な間違いだ。  それから第三番目は、特に私は官房長官に言っておきたいのです。いま日本では珍しい重大な政治問題になっているということなんだよ。重大なる政治問題、しかも国際的な世論を全部調べてみると、これくらい国際的に、タカ派というかハト派というか、国際的にタカ派、ハト派はないけれども、左派的、右派的、社会主義的、資本主義的国家全部をひっくるめて日本に対して一切攻撃の矢がいま向いている。日本はこの問題に関する限り国際的には孤立している。その問題に対する認識が一つない。これは重大な政治問題ですよ。いまの政府はこの三つの問題に対する認識が足りないのですよ。  私は実は最近中国から帰ったばかりで、政治家小林進、実にひしひしと心に打つものがあった。私は帰ってきたら鈴木総理に会って話をしようと思った。ところが米価闘争だとかがたがたとして、ついにそのチャンスを失った。私は本当に残念にたえない。  いま一つ残念にたえないのは、いまの官房長官が、まあわれわれの尊敬する保利茂さんでも官房長官だったら、あるいは、どうか知らぬが伊東正義君でも官房長官ならば、まだこの問題は瞬時を入れず軍配を入れて解決するだろうという予感が私はひしひしとするんだよ。残念ながら宮澤君、君なんだ。君の本質は何といっても官僚なんだよ。しかも頭脳のいい官僚なんだ。これが始末に負えない。白を黒とも言いくるめ、黒を白とも言いくるめて、事態だけ巧みに糊塗しようという、それが官僚の本質なんだ。  それで僕は言いたいんだが、いまこの三つの重大錯誤があるが、もう君の手練手管じゃ問題はおさまらぬということだ。で、見通しを申し上げると、この問題はこのままずるずるいきますと火は消えませんよ。君らは鎮静するなんて考えておるが、冗談じゃない。一日延びれば延びるだけ火は大きくなってくる。たどり着くところは、ことしの九月鈴木さんは中国へ行かない、宮澤君も行けない。  きのうなんか参議院を傍聴したが、さすがにおじ、おいだわい、小川文部大臣、宮澤官房長官あうんの呼吸をそろえて、へでもない答弁を繰り返している。よく呼吸が合うなと思ったわ。この日本の国会で文部大臣と宮澤官房長官がおじ、おいでいるなんということも、これは日本歴史の上でいま大変不幸に遭遇している。大変不幸だ。  そこで僕は言うが、このままではだめですよ。九月には鈴木さん行かれませんよ。宮澤君なんか、きのうあたり中国から招待状が来たなんと言って喜んで飛び上がっているけれども、そんな甘い事態じゃない。これを私は一つ申し上げておいて、時間がないから、どうですか、私の認識に対してあなた反論があるんなら反論を言ってください。政府はいま三つの重大な間違いをしているという私の認識に、あるなら反論してください。
  50. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 第一の問題につきましては、先ほど政府委員から日中共同声明日韓コミュニケについて説明を申し上げたとおりでございまして、ああいう共同声明が出るに至りました両国間の真剣な討議の結果としてあのような文言になりましたことは先ほど御説明申し上げましたとおりでありまして、この点は今日わが国の政府はいささかも認識をそれから変えたといったようなことはございません。二つの共同声明にはっきりあらわれておるとおりであると思います。  それから第二点は、文部省と教科書検定との関係でございますが、これは私、所管大臣でございませんので、非常に厳密に、正確には申し上げられませんが、文部省が改善意見を出すあるいは修正意見を出すという程度において教料書がつくられる過程で関与はいたしておりますけれども、基本的にこれは民間の創意によってつくられている教科書である、いわゆる戦前のような国定といったような関与を国がいたしておるのではないということは申し上げて間違いないと思います。  それから第三の問題でございますが、中国韓国のみならず東南アジアの国々について御言及になりましたが、あれだけ長い大きな不幸な戦争がございました。それについてわが国の側が、わが国の国民考えている見方と被害を受けた国の人々考えておる見方とはおのずから考え方に違いがあるだろうということ、これは想像にかたくございません。したがって、そういう意味で、そういう国々、そういう国民から寄せられる批判についてはわれわれは謙虚に聞かなければならない、こういうふうに考えております。  最後に、現在の問題は非常に重大な問題であるから、厳粛な態度で対処をしなければならないという御指摘に対しましては十分留意をさしていただきます。
  51. 小林進

    ○小林(進)委員 時間がないそうでありますから、もうすぐやめますが、委員長の御理解を賜りましてもう少し……。  何といっても今度のポイントは、長期の解決と短期の解決がありますが、長期の問題は、時間がありませんからやめておきましょう、いま当面する問題はあなたの答弁ではおさまらない。いま当面する問題は、この改訂は、「侵略」を「侵入」「進出」にした改訂は政府によって、政府の意思によってなされた。最終的には政府によってなされた。これは内外を問わず、国内でも全部と言っていい見方だ。ただ自民党の一部、ほんの自民党の一部、文部省の官僚の一部だ。内外を通じ全部が政府の意思によって改訂がなされた、政府によってなされた。これは明確に取り消さなければだめです。  それから第二番目、検定の段階において「侵略」をどういう意味で変えたかというこの説明国民にも世界的にもだれにもわからない。その理屈が牽強付会で、そんな理屈で関係する国々を納得さし得るなどという小ざかしい知恵はやめなければならないということなんだ。そんなことは全然話にならぬ。  だから、いま当面する問題は、一点はこの「侵略」を改めるかどうかの問題だ。きのうはこれに対して何です、あれは。文部官僚の何とかという局長は、改める気はないと言ったな。これを改めるということは改善意見に反するからやらないと言った。いみじくも語っている。文部省の意見は明らかだ。改訂することも改訂させないことも文部省の意向次第ですということを彼は語るに落ちて、きのうちゃんと参議院で答弁しているじゃないですか。文部省が全部やったということを語っている。  宮澤さん、時間がないから言うんだ。本当にこの重大な時局をおさめるというならば、この「侵略」を、もとに改める気があるかないか。これ一点です。問題はこれだけなんです。それを文部官僚は全般の流れとしては何にも変わっていない、こういうばかな子供だましの詭弁がありますか。われわれは全体の流れなんか議論しているんじゃないんだ。この「侵略」という言葉ですよ。問題はこの点に集約されているんだ、いま当面する問題は。この「侵略」をどう扱うか、これだけ答えてください。これを改めなければ問題は解決いたしません。ことしの九月に総理大臣が行くこともやめるという腹で取っかかりなさい。国際世論を全部敵にしてもこの問題を保持するというその信念でやりなさい。しかし、そこまでいかないならば、これを改訂する以外に解決の道はない、これを私は明確に言いますから返事をしてください。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 教科書がつくられます過程において政府がどのような対応で、どの程度に関与をしておるかということにつきましては、先ほどお答えを申し上げたところでございます。  次に、いま書かれておることを改めるかどうかということについてでございますが、これは私、所管でございませんので、所管の大臣の御方針に従うべきだと考えております。  最後に、しかし、これは非常に重大な問題であるから、よくよく慎重に厳粛に対処せよと言われることにつきましては、十分にそのようにさしていただきます。
  53. 小林進

    ○小林(進)委員 委員長のお情けで、この質問で終わりということでございますから、これで終わりますが、文部官僚で、隣国からの批判に謙虚に耳を傾ける、こういうことを言う人がいるが、これは抽象論ですよ。その隣国に耳を傾けるということは具体的には何だということに対しては、隣国の台湾も、香港も、シンガポールも、韓国も、全部いまの改訂を、文部官僚の意思に基づくこの言葉を改めることなんだ、行動で示しなさいと言っているんだ。抽象的な謙虚に耳を傾けるなんというのは一千万遍、百万遍でも聞きたくない。行動で示せ、その行動は「侵略」という二字を、直しなさい、もとに戻しなさいというところに結論が来ているのであります。これを行動で示すか否かが問題でありまするが、いまも土井さんが言っている。かつて文部省の台湾に対する中華民国という言葉を内閣は改めさしたという例はあるということで、何も文部省に官房長官がそういうことに引ぎずられていく必要はない。あなたは内閣の大番頭だ。鈴木内閣の運命をしょっているんだ。まさに問題は鈴木内閣の運命にかかっているんですよ。この運命をしょっているあなたがそういう答弁ではだめです。謙虚に素直に物を聞くという言葉は、相手の言い分にも従うということも含まれていなければいけない。改訂されますか。前例もあります。いま一回、改訂されますか。この一点です。この一点が決まらなければ問題は解決いたしません。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点につきましては所管大臣であります文部大臣の御方針に従いたいと考えております。
  55. 小林進

    ○小林(進)委員 まことに不満であります。けれども、時間が来ましたから私はやめます。
  56. 中山正暉

    中山委員長 愛知和男君。
  57. 愛知和男

    ○愛知委員 宮澤長官、外務大臣の代理としてせっかく御出席でございますから、長官に二、三お伺いいたしたいと思います。  今回の教科書検定問題は、もう先ほど外務省からの御答弁の中にもございましたが、私もこういった問題が外交上の問題になる、外交案件として問題になるということについては非常に残念であります。そもそも外交案件というのは、二国間あるいは多国間で交渉なり何なりをして物事を決め上げていくものだと思うのでありますが、この教科書をどうするかなどは国と国との間で協議をして決めるという問題では性格上ないわけで、その国がそもそもみずから決める問題でありますから、そういう点から言いますと、この問題が外交上の問題になったということについては非常に残念であります。たまたま中国韓国と二国間でこの問題が出ておりますが、韓国の対応はこれを正式の外交ルートの話ではなくて、いろいろな形で韓国国民気持ちといったようなものを日本に知らしめるという方法をとっているわけでありますが、どういうわけか中国との関係においては正式な外交ルートに乗った話になってしまって、非常に残念に思うわけでございます。  そこで、どうしてそういうことになってしまったかということについて、これは外務省としてもよく中国事情、いろいろな点を分析する必要があると思いますが、それはそれとして、このことによってせっかく十年続いてきた日中友好関係にひびが入ってしまったというような指摘も中にはあるように感じますが、その点について政府の今後の対応をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  58. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 日中間の長い歴史におきまして不幸な時代が非常に長く続いたわけでございますが、まさに愛知先生指摘のとおりに、共同声明以後のこの十年間、平和でしかも友好協力関係ということで、歴史的にもまれに見る良好な状態が続いたと思います。確かに今度の問題は私はそれなりに重大に受けとめておりますが、しかしながら、これまで日中間におきまして非常に多くのとても苦しい解決困難な問題を多くの人々の誠心誠意の努力によって解決し得たという意味におきまして、この問題も誠心誠意努力を続けることによって解決することが決して不可能ではない、かように考えております。
  59. 愛知和男

    ○愛知委員 昨日中国の公使と文部省との話し合いといいますか、文部省がいろいろ説明をしたわけですが、それに対して中国の公使が今回のこの説明をいろいろ聞いた上で、なお今回の教科書検定の問題は日中共同声明あるいは日中平和友好条約の基本精神に反すると思うというようなことを述べておられますが、この日中共同声明あるいは平和友好条約に対する政府の現在の認識を改めてこの機会にお伺いをしておきたいと思います。
  60. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 私の理解を率直に申し上げますが、現在なお日本政府日中共同声明、それから日中平和友好条約の根本精神に関する認識理解におきましてはいささかも変更はない、こういうふうに考えております。
  61. 愛知和男

    ○愛知委員 この教科書問題、これからどのように発展をしていきますか、非常に心配する一人でありますが、いずれにいたしましても、この教科書問題で日中あるいは日韓双方がお互いに国民的な感情をぶつけ合うというのでは、これはお互いの両国間の友好関係にひびが入ってしまうわけでありますので、お互いに国民感情をぶつけ合うというのではなくて、何かもっと建設的なアイデアがないだろうか、たとえばお互いに双方の学者あるいは学識経験者、いろいろな人たちが自由な立場で忌憚のない意見交換を行う場などをつくるとか、かねてからそういった面の交流がまだまだ十分ではないということを指摘されておりましたけれども、こういうようなことが起きますとことさらそのことを感ずるわけでありますが、今後のそういった面での努力、方針等、政府の対応をお示しいただきたいと思います。
  62. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 この問題はまさに先生指摘のとおり、双方国民感情に直接響いてくる問題でございますので、扱い方いかんによっては大変厄介な問題になりかねないというふうに心配をしております。したがいまして、できるだけ冷静かつ客観的に相互の友好的な話し合いによって解決するという方針につきましては、愛知先生指摘のとおりでございます。そのための具体的な方法といたしまして、日本側相手国側との専門家の話し合いということによって解決を図っていくということも確かに一つの重要な手段であると存じますので、主務官庁でございます文部省とも十分協議の上、具体策について検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  63. 愛知和男

    ○愛知委員 最後に長官に御所見をお伺いしたいと思います。  今回のこの教科書問題、先ほどから私も指摘をしておりますが、このことによってお互いの友好関係が傷つくようになってはいけない、このように思います。したがって、政府といたしましても慎重なおかつ適切な処置を講じていかれるようにお願いしたいわけですが、いずれにいたしましても、先ほど同僚委員からの御質疑にもございましたが、この教科書問題というのは外交交渉で決めるものではないわけでありますから、したがって、この問題について先ほど小林委員からはこの内容を変えなければだめなんだというお話がございましたが、私は、内容を変えるか変えないかというのは日本国民が決めることなのであって、外国から言われてどうこうという性格のものではないと思うのです。したがって、その辺のことをきちっと踏まえて対処していただきたいと思いますが、その点につきまして長官の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題を解決してまいります基本的な原則と申しますか、これはやはり日中共同声明の原点に返るということであろうと思います。ここに述べられておりますわが国の責任を痛感し、深く反省しておるということは今日もいささかも変わっていないわけでございますので、そのわが国の態度を誠実に説明いたしますとともに、なお教科書の問題そのものはある意味ではわが国の行政の問題でございますから、それがいかなる仕組みによってなされているかといったようなことについても先方がよく理解をされるように、誠意を持って説明をしてまいりたいと考えております。
  65. 愛知和男

    ○愛知委員 終わります。
  66. 中山正暉

  67. 玉城栄一

    玉城委員 官房長官御出席でございますので、政府のお考えをただしたいと思うのです。  いま大きな外交的な問題になっておりますこの教科書の問題についてなんですが、現実にこのような大きな外交問題に発展しているわけです。先ほども御指摘がございましたけれども、これは非常に根が深いだけに鎮静化——むしろ拡大、先ほど外務省の方からの御答弁もございましたけれども、扱い方いかんによっては非常に心配があるということを率直におっしゃっておられるわけですね。現実にそういう外交的な問題として大きな問題になっているわけです。私、政府とされて外交的配慮が余りにも足りなさ過ぎる、それだけではなくて、むしろ政府自体の基本的な姿勢と申しますか、本質的なところに大きな問題がある、そのように感じております。したがいまして、そういう立場から、ちょっと具体的な問題について長官のお考えを伺っておきたいわけであります。  去った第二次大戦、太平洋戦争の末期、沖縄戦が約三カ月近くにわたって行われました。御存じのとおりであります。あの沖縄戦は私、非常に特徴的なものが三点あると思うわけです。一つは、あの小さな島々で住民は逃げることができない。その住民を巻き込んだ形で、日米両軍入り乱れて地上戦が、悲惨な戦闘が行われた。したがって、その中で日本軍によって住民が殺害されたということもありますし、また住民みずから集団自決をしたという事例もございますし、また長官も御存じのとおり、あのひめゆり部隊だとか、鉄血勤皇隊だとか、少年少女を戦闘員として駆り出していったという悲惨な事例があるわけですね。  そこで、沖縄戦の特徴として、いま申し上げましたけれども、日本軍によって住民が殺害されたということについて長官はお聞きになっていらっしゃるかどうか、その点お伺いいたします。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういうことを何度か耳にいたしておりますけれども、確認はいたしておりません。
  69. 玉城栄一

    玉城委員 確認と言いますと、そういう事実はなかった、あるいはあったかもしれない。長官とされてはそういうことはなかったと否定される、断定される、このように受け取ってよろしいわけですか。
  70. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのようなことをしばしば耳にいたしておりますけれども、確かめるすべがないという意味でございます。
  71. 玉城栄一

    玉城委員 そういう日本軍によって住民が殺害されたという事例はたくさんございます、私ここに持っておりますが。沖縄県が復帰しましたとき総理府総務長官をしておられた山中総務長官自身がこの国会の場でちゃんとそのことを確認しておられるわけです。これは会議録もございます。いかがですか。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私自身はそういうことを確かめるすべを持っていないという意味でございます。
  73. 玉城栄一

    玉城委員 長官個人として、あるいは政府としてはですか。どちらですか。個人としては確認できないが、政府としてはそういう事実もあったということですか。その辺はどちらでしょうか。
  74. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 調べましてお答え申し上げます。
  75. 玉城栄一

    玉城委員 じゃ申し上げますが、山中長官が確認されたことの一つとしましていわゆる久米島事件というのがございます。その久米島事件というのは、米軍が久米島に上陸をして、その翌年に日本軍が当時久米島の郵便局の電信係をしていた住民の方を銃殺した。この具体的な事例をずっと申し上げます。ここにたくさんありますが、そういういろいろな事件がございます。そういうことについて山中長官も確認をされ、そして関係する遺族の方々に援護法に関係して見舞い金をすでに二十人の方に支給をしておられるわけですね。どうでしょうか。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私つまびらかにいたしませんので、よく調べましてからお答えいたします。何分にも自分の所管でございませんものですから、調査いたしまして申し上げます。
  77. 玉城栄一

    玉城委員 このことは長官、一応そういう事実が、具体的にどうのこうのということじゃありませんよ、私先ほど冒頭に申し上げましたとおり、いわゆる沖縄戦というものが、住民を巻き込んでそういう悲惨な戦闘が展開された。したがって旧日本軍によって、住民を巻き込んでおるわけですから、そういう殺害されたという事実は否定はされないわけですね。いかがですか。もし否定されるならどういう根拠でそういうことがなかったとおっしゃるのか、その辺をお伺いいたします。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどから何度も申し上げておりますとおり、否定をするというようなことを申し上げているのではございませんで、そういうことはしばしば耳にしておりますけれども、私は具体的に確認はしておらない、こう申し上げておるだけでございます。
  79. 玉城栄一

    玉城委員 このことを私いましつこく申し上げましたのは、沖縄戦というものが非常に悲惨な戦闘が展開されたがゆえに、このことは政府としても真摯に、きちっとその認識を持っていただきたいということなんです。  今回の教科書の問題についてなんですが、高校の日本史の沖縄戦に関する部分で、ちょっとその部分を申し上げますと、最初は、「一九四五年四月に米軍は沖縄本島に上陸した。六月まで続いた戦闘で、戦闘員約十万人・民間人約二十万人が死んだ。鉄血勤皇隊・ひめゆり部隊などに編成された少年少女も犠牲になった。」次の部分ですね。「また戦闘のじゃまになるとの理由で、約八百人の沖縄県民が、日本軍の手で殺害された。」これは最初検定の段階でこういうことはだめだということで、二回目はその部分について、「また混乱を極めた戦場では、友軍による犠牲者も少なくなかった。」という表現。こんなものもだめだ。それで三回目、「沖縄県史には友軍によって殺害された県民の体験がある。」そういう記述。これもだめだということで、結局そういう部分は全面削除されているわけですね。長官いかがでしょうか、そういうことについて。
  80. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私、所管でございませんので、事実関係もわかりませんし、お答えが十分にできません。
  81. 玉城栄一

    玉城委員 長官は先ほどから、そういう沖縄戦における、日本軍によってみずからの国民が殺害されたということについて、自分ははっきりわからないということのようですが、私は非常にたくさんこういう事例を持っております。また、こういう陣中日誌というのもございまして、この中にも当時の関係者の日誌もずっとございます。それは、私自身、出身が沖縄ですから、よく関係者からの証言も聞いておりますし、実情もよく聞いております。あったことは事実ですね。ですから、そういうことについて、教科書にそういう歴史的な事実として記述をするということについて、今回いろいろ聞きますと、そういう部分は全面削除されているということについて、これはとんでもないことだ、こんなことは許しがたい、このように思っておるわけですね。当然そういうことは、これは私もこういうことを言いたくありませんし、触れたくない問題です。しかし、そういうことがあったということを踏まえて、それがちゃんと教科書の中に記述しようということであるわけですから、それを認めた上で、やはり正しい平和教育というものがなされていくべきではないか、このように思うわけですが、長官いかがですか、私の考えについて。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 十分事情がわかりませんので、明確にお答えが申し上げかねます。
  83. 玉城栄一

    玉城委員 それでは、このことについて、私、長官にこの機会に何回も申し上げておきますが、これは大変僣越な話ですが、戦争というような非常に異常なときに、みずからの軍隊がみずからの国民を殺害するという、そういう異常なことができ上がってくるわけですね。これは、先ほど申し上げました一つの例はスパイ容疑だということですね。そういう異常なことが戦争の中で行われる。そういうことはもう二度とあってはならないし、これは貴重なといいますか、深刻な反省としてやはり教科書の中にきちっと記述されるべきである。それを常に踏まえながら平和国家としての道を歩むべきである、このように思うのですが、長官いかがですか。
  84. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私、教科書についての所官大臣でございませんので、政府としてお答えを申し上げることはいたしかねますけれども、御指摘の点はよく私にはわかります。
  85. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、長官、わかりますということをおっしゃられましたので、きょうは文部省関係された方がいらっしゃっていると思いますので、ちょっとお伺いしておきたいわけですが、いま申し上げております沖縄戦に関するいわゆる軍による住民殺害ということについて、さっきちょっと申し上げましたけれども、文部省としては、どういういきさつでこういうふうになったのか、御説明いただきたいわけです。
  86. 藤村和男

    ○藤村説明員 沖縄に関するいま御指摘のありました日本軍による住民殺害の件でございますが、先生おっしゃいましたような記述の部分がございましたので、私どもが著者に対してつけました意見は、一つは、「戦闘のじゃまになるとの理由で、約八百人」こうなっているわけでございますので、この中にある数字がまず一つはっきりしたものと言えるかどうか、この数字をどこからとったというようなやりとりがございまして、これは「太平洋戦争史」という本の中からとってきているということがわかったわけですが、これのもとをさかのぼっていきますと、沖縄県史の中に記載されているいろんな事例などからいろいろ推定をしてつくった数字ではないかと思われる話があったわけですけれども、沖縄県史の中には八百人という数字が出てこないわけでございます。それで、この数字の根拠として何かもっとはっきりするデータがあれば示してほしいというやりとりがございまして、そうしましたら、はっきりした根拠資料が出てこないということもありまして、著者の側でその数字の部分を削ったといういきさつがございます。  それからもう一つは、「戦闘のじゃまになるとの理由で、」と書いてありまして、そういったものが一部において行われたことも事実だろうと思いますが、しかし、そういった大ぜいの方の数字をその言葉だけで包括して表現するのはいかがなものか。集団自決があったとかというようなことも沖縄県史の中に出てくるわけでございますけれども、もしそれが集団自決のことであればそういった記述をきちんとするべきではないか。「戦闘のじゃまになるとの理由で、」と申しますと、邪魔になるからということでそういった人たちを一斉に殺したという印象を与えるわけでございまして、そういういきさつがはっきりするようにもう少し事実関係をはっきり押さえた上で書くようにというやりとりがございまして、その結果、でき上がりましたような教科書の表現になったということでございます。
  87. 玉城栄一

    玉城委員 ですから、おっしゃったようなことで、その八百人という数字の正確さ云々ということから、二回目のときには、「また混乱を極めた戦場では、友軍による犠牲者も少なくなかった。」という表現で出した。どうしてまたこれもだめだと言ったのですか。  その次、もう一回、時間もありませんから申し上げておきますよ。「沖縄県史には友軍によって殺害された県民の体験がある。」表現が非常にやわらかくなってきている。それも全部削除されていますね。皆さん、文部省の方としては、ああいう沖縄戦においてそういう事実はなかったというふうに思いますか。どうですか、その辺。
  88. 藤村和男

    ○藤村説明員 検定に当たりまして、当初、調査官の方から申し上げました意見につきましては正確な記録等がございますが、その後、内閲後の段階になりますと、いろいろ口頭でのやりとりになりますので、実は記録が残っていないわけでございます。恐らくそういうやりとりがあったのではなかろうかというふうに推定されますけれども、結果としてあのような表現になったということでございますし、それから私ども沖縄県史を否定しているわけでもございません。そういった事実があったということは、一部においてあったということは事実だと思いますけれども、それが全体としてどういうような形で、しかも何人ぐらいの人がどういう状況でということについて、特に八百人という数字などにつきましては、どうもはっきりした根拠と言えるに足るだけのものが著者側から出てこなかったということでそういう結果になったわけでございまして、これは今後の学問の研究の進展にまつべきものであるというふうに考えております。
  89. 玉城栄一

    玉城委員 時間が参りましたので、最後にまた長官、よろしいですか。いまも文部省の方は、沖縄戦によってそういう事実があったということは認める。あったと思うということを認めていますね。事実あったわけですから、そのことは長官もはっきり認めていただきたい。  最後に、私申し上げますが、そういうことを今回の検定に当たって全面削除されたということは、私たちの立場からしますと、そういう歴史的な厳然たる事実そのものを、いろいろな数字とか、これは修正しても、それを全面削除ですからね。そこで問題は、まさに歴史からこういうことを——よくわかります。そういうことをいまさら触れたくないし、言いたくはありません。そういうことをしたくはない気持ちはわかりますけれども、きちっとやはり事実は事実として認めながら、その上に立って、やはり二度とそういうことがあってはならないという反省の貴重な教訓とすべきだと思うのですね。いま申し上げましたように、文部省は、事実そういうことがあったと。いま教科書について、私は載せるべきであると。重ねて最後に長官のお考えを伺いたいと思います。
  90. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま文部省の担当者の御説明を聞いておりますと、事実がなかったと言っておるわけではないし、それから、そういういわば思い出は事実であるけれども、載せるなと言ったわけでもありませんで、記載する以上正確に根拠のあることを記載すべきである、こう申し上げておるのだと思いますので、それはそれで私はよろしいと思います。
  91. 玉城栄一

    玉城委員 あと一分ありますので……。  正確にということは、さっきの数字の八百人についてはそれは当時の状況、正確な数字の把握に多少の困難性はわかります。その後二回目、三回目はその数字ではなくて、「友軍による犠牲も少なくなかった。」とかこういう表現に改まってきているわけです。これも削除されています。またもう一つもあります。全面削除ということについて、さっき沖縄戦の特徴を申し上げました。これはまさに沖縄戦そのものを否定していく、そういうことにつながりかねないということでわれわれ地元沖縄県民としても大ショックなのです。いまの政府は一体何を考えているのだ、県民に対して長官、大変申しわけないのですが、最後もう一回納得できるようにおっしゃっていただきたいと思います。
  92. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 好ましいとか好ましくないとかということで検定を行うべきものではないと思います。正確に事実を記載するということが基本的な態度でなければならないと思います。
  93. 中山正暉

    中山委員長 渡辺朗君。
  94. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 このたびの教科書問題、これにつきまして北京の日本大使館はわが国政府の訓令に基づいて説明をし、その中で中国政府申し入れに関しては謙虚に受けとめるというふうに述べておられると聞いております。この謙虚に受けとめるということは一体何を意味しているのかお聞かせいただきたい。特に、中国政府側の意見というものを聞いてそれに基づいて行動するということなのか、単に耳を傾ける意味での謙虚さなのか、ここの点をしかとお聞きしておきたいと思います。
  95. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 先生指摘のとおりに、北京におきまして渡辺公使が先方のアジア局長申し入れに対しまして、中国側申し入れの次第を謙虚に受けとめる、こういう回答をいたしております。この謙虚という意味でございますが、相手の申し入れを真剣に受けとめて、なおざりには聞かない、こういう趣旨だったと存じます。
  96. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私は漢和辞典の解釈を聞いているのではなくて、わが国の基本的な姿勢そのものをお聞きしているわけでございます。  お聞きいたしますけれども、たとえば中国政府のこのたびの申し入れは抗議でございますか、日本に対する抗議でしょうか。
  97. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 この問題につきましての中国側の公式の私ども日本政府に対する表現、言葉の選び方は非常に慎重な配慮の跡がうかがわれます。  そこで、私どもの了解では、いわゆる抗議ではなくて強い関心、意図表明である、そういうふうにこちらも受け取るように先方もそういう趣旨発言している、こういうふうに理解いたしております。
  98. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 大変慎重に言葉を選びながら御発言をしていらっしゃいます。その苦悩、苦衷のほどはよくわかります。しかしながら、この際問題は、表現の方法やらいわゆる日本政府の常套手段である玉虫型で今度の問題は処理すべきではない。  そこで、もう一度お聞きいたします。これはわが国に対する内政干渉ではないとはっきりと考えておられるわけでございますね。
  99. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 ある国がその国の子弟をどのように教育するか、現在問題になっておりますのは具体的には教科書の問題でございますが、どのように子弟を教育していくかということはその国自身の問題であると考えております。しかしながら、その国と直接かかわりのある問題につきまして明らかな事実の誤認あるいは重大な認識の相違がありますときに、当該国がその国に対しまして強い関心の表明、意図表明をすることは当然である、かように考えております。
  100. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 当然であるとおっしゃった。私がお聞きしておるのは、内政干渉とは考えておられませんねということを確認しております。その点はいかがでございますか。
  101. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 私は法律の専門家ではございませんので、内政干渉という言葉がもし法律上の用語でありましたならば、どういうふうに解釈するかについては必ずしも自信がございませんが、内政干渉であるとかないとかいう以前の非常に広い国民的重大関心の表明を率直に申し入れてきた、かように受けとめております。
  102. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうしますと、私は新聞で拝見したのですが、たとえば与党の文教委員の方々の中であったやに報道されておりますこれは内政干渉であるというようなこと、これは間違いだと外務省はお考えでございますね。
  103. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 中国国民の重大な関心事項中国政府日本政府に率直に伝えてまいった、かように受けとめております。
  104. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それでは、内政干渉ではないが、これは正当な申し入れである。そうすると、これを謙虚に受けとめるということになりますと、これは具体的に行動しなければいけない、日本側が本当に受けとめなければいけない。受けとめるというのは聞きおくだけではない。問題点は具体的だ。つまり「侵略」という言葉が「進攻」あるいは「進出」というふうに書き改められているという事態にどのように対応していくのか、直していくのか。中国政府側の方は、歴史的記述の改ざんについてと言っております。それでは、これは改ざんであるのか改ざんでないとお考えなのか、ここら辺をはっきりさせていただきたい。
  105. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 中国側申し入れを虚心にかつ真剣に受けとめておりますがゆえに、主務官庁でございます文部省と連日のように協議をいたしているところでございます。
  106. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そこで官房長官、これはやはり官房長官が全部総括し、そして処理していかれる役目でございますが、協議されて、これが日がたつにつれて亀裂が大きくなり、また誤解も大きくなる。もうここら辺で協議は終えて結論をお出しになる、その段階だと思います。官房長官、ぜひ結論のところをお聞かせいただきたいと思います。
  107. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大切な問題でございますから、数日で結論を出さなければならないと私は思っておりません。十分両省で協議をしてもらいたいと考えております。
  108. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それではさらにお聞きいたしますけれども、いかがでございますか、中国政府側の方から公式にこのような申し入れが参っております。これは正式なものだと思います。公式、非公式であれ、ほかにはどこの国から来ておりますか、お聞かせいただきたい。
  109. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 政府政府との話し合いが行われるということが公式であるというふうに観念いたしますれば、現在のところ中国だけでございますが、その他の諸国、たとえば韓国でございますとかシンガポールでございますとかあるいは台湾でございますとかあるいはタイ、こういった諸国におきまして新聞報道その他民間の団体におきまして、この教科書問題を取り上げているというふうに理解しております。
  110. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうしますと、これは中国日本だけの問題ではない、他にもたくさん問題がいま飛び火しつつある、これはまさに重大な段階だと思います。これは早く解決しなければいけない重大な問題です。それについて、どのような方法でこの問題を解決していこうとしておられるのか、今度は解決の方法の枠組みを聞かせていただきたいと私は思うのです。  たとえば、外交ルートを通じて解決していこうとしておられるのか、あるいは外交以外の、さまざまな方法があるでございましょうけれども、そういうふうなものを通じてやっていこうとしておられるのか、あるいはこれは日本独自でやるべき問題なので、外国がどのように言おうと関知しないという態度で臨まれていかれるのか、一体どのような方法でこれからこの問題に対する対応をしていかれようとしておられるのか、その姿勢を聞かせてください。
  111. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 この問題は、それぞれの国の国民感情に密接につながりかねない大変重大かつ微妙な問題であるという認識を持っております。したがいまして、中国もそうでございますし、韓国もシンガポールその他の諸国もそうでございますが、かつて不幸な時代があったにもかかわりませず、いろいろな大ぜいの人々の血のにじむような御努力の結果、基本的には今日見る友好親善協力関係というものがございます。この関係に悪い影響を与えないようにという強い配慮、それから他面いろいろの悪影響が及ぶ場合の憂慮というものを強く感じております。  そこで、どのように解決すれば一番妥当であるかということにつきまして、外務省はもちろんのこと、関係の各省とも十分相談をして、大事に至らないように全力を尽くして努力したい、かように考えております。
  112. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 さらに、私は解決策という問題についてもうちょっとお聞きしたいのです。  端的に聞きます。たとえば今度の教科書問題につきましても、自主的に訂正していきます、外国から言われたからするのじゃない、われわれの方で自主的に訂正していきますよという姿勢をこれから実行しようとしておられるのか、するべきだと考えられるのか、あるいは全体の文脈を見てもらえばわかるじゃないか、従来と変わっていないではないか、だからよく説明するのだ、誠意を持って説明をすればわかってもらえるという姿勢でいかれるのか、いまの「侵略」「進出」の問題を具体的な例としてお考えの際に、方針を聞かせてください。
  113. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 この問題はきわめて重大問題でございますので、先ほど官房長官、宮澤外務大臣臨時代理が御指摘のとおりに、きょう、あすということで解決を図ることは困難であろうと存じますので、いつまでもほうっておけない、できるだけ早期の解決を図るべきであるという気持ちは重々ございますが、できるだけ慎重にかつ問題を起こさないように、外務省はもちろんのこと、主務官庁である文部省を初め関係各省の皆様方の御意見も十分伺った上で、適切な対処を心がけたい、こういうふうに考えております。
  114. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 さらに私はお尋ねしたいと思います。  朝鮮民族民族運動のはしりであった三・一万歳事件、たとえばそれが「暴動」というふうに書きかえられている。それは全部の教科書でないかもわからない。しかし一部にそういうことがあって、それが指摘されている。たとえば、そういうものを書きかえさしたと認定し、あるいは誤解を生み出したもとは検定制度であります。その検定制度については今後見直しをしていかないというふうにお考えでございますか。ですから、検定は見直ししないで外国に理解を求めていくという姿勢でいまおられるのでございますか、検定制度そのものも見直しをやっていくんだというふうにお考えでございますか、聞かしていただきたい。
  115. 藤村和男

    ○藤村説明員 検定制度につきましては、基本的には今後とも維持されるべきものであるというふうに考えております。  なお、現在中央教育審議会におきまして教科書のあり方を御審議いただいておりますので、それらの結論も待ちまして文部省としては必要な措置をとってまいりたい、かように考えております。
  116. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 これは七月の二十三日内閣総理大臣鈴木善幸という名前で参議院議長徳永さんあての、参議院議員喜屋武さんが出された質問に対する答弁書であります。その中でこう言っていますね。「客観的かつ公正な資料に基づいた記述を行うよう求めているところである。」これが教科書の検定である。「その記述が、客観的かつ公正なものとなり、かつ、適切な教育的配慮が施されたものとなるよう求めているところであり、このことによつて我が国と他国との友好関係が損なわれることはないと考えている。」  官房長官、いかがでございますか。そのような方針をお出しになっておられて検定を進めていかれ、その結果がよその国とただいま友好関係が損なわれつつある、そういう状態に来ているではございませんか。この事態をどのように御認識しておられますか。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる客観的で公正な記述とわれわれが考えておるところのもの、それについて、この場合、長い間の不幸な戦争でございますから、相手方という言葉を使わしていただきますが、その相手方から見れば、そのような叙述は必ずしも客観的、公正でないというふうに見られることがあるかもしれませんので、したがって、そういう場合には先方の言われることも謙虚に耳を傾けてよく客観性、公正性というものを追求していく、こういうことが大事だということと思います。
  118. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 官房長官、実は私は中国で育ちまして、そして子供のときから中国人あるいは他民族の人たちと一緒に過ごしました。それだけに何かわかるのですけれども、たとえばこちらの善意というものも、これは加害者の論理で物をしゃべっている。被害者の論理、被害者の感情というものを絶対忘れてはならない。私は、客観的でありあるいは教育的であるということの中身は、常にその違いというものを認識しながら記述され、あるいは文章がつくられていく、そういうものでなければ本当の国際的配慮というものはないことだし、これから日本が国際的に活動していく上に当たっても大変な配慮を欠いた行動になるのではなかろうか、そういうことの事例がただいまここに露呈されたんだというふうに思います。その点、いま日本の国際的力あるいは発言権というものが大変大きくなっている、それだけに昔と違っていまもう微妙な行動、微妙な発言すら慎重にしなければならぬだろう。ましてや他国民国民感情というものを逆なでするようなことがあってはならぬと私は強く思います。その点、官房長官、もう一言御決意のほど、今後の対処の方針についてお答えをいただきたいと思います。
  119. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実はそのことをまさしく日中共同声明でわれわれとしては述べたつもりでございまして、そうしてそこに述べられておりますわれわれの考えというものは今日も決して変わっていないということをこのたびも説明をいたしておるところでございます。  先ほどから御指摘になりましたこちら側の体験、物の見方、先方の体験、物の見方、両方を考えながら、やはり客観的に公正な記述というものをしていかなければならない、この点はもう御指摘のとおりと思います。
  120. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 さて、この問題についてはひとつ今後とも最大の努力を払っていただきたい、解決のために努力をしていただきたいと思います。と同時に、わが国民に対して、やはり事実は事実、真実を覆い隠すような何か小手先のことはしない方がよろしい。特に、いま国際社会の中に乗り出している日本でありますから、外交姿勢、対外姿勢というのは非常に重要だ。これについて一点だけお尋ねをしたいことがあります。  それは、先般、ことしの五月のことでありましたけれども、ブロック通商代表の書簡、それの添付書類、市場開放問題についての見解が述べられております。この問題は日本農業新聞その他の新聞や雑誌にも報道されました。どうもその報道を見ますると、ブロック通商代表が日本に対してあてたものではなくて、日本の官庁の方でつくったものがブロックさんの名前でよこされている。こんなことがあっていいのだろうか。もし事実としたら、これは大変なことだと思います。七月十三日には、衆議院の農林水産委員会委員の方からこの問題についての問いがありましたけれども、これについては何も答えがございません。真実は一体何なのか、真実はどういうものであったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  121. 妹尾正毅

    ○妹尾(正)政府委員 お答えいたします。  ただいま渡辺委員指摘のとおり、五月、ちょうどパリでOECD閣僚理事会が開催されたときでございます。ブロックUSTR代表から書簡が届けられたというのは御指摘のとおりでございます。  その内容は、当時わが国で検討しておりました対外経済対策のいわゆる第二弾に関連しまして、ブロック通商代表の考え方日本側に内々に伝えてきたものということでございますが、ただいま御質問ないし御指摘のありましたようなこと、具体的な内容の問題につきましては、日米間の外交交渉の経緯にかかわるものでございますし、また先方の立場もございますので、せっかくの渡辺委員の御質問でございますが、私どもといたしましてはこういう場でこれ以上具体的なことを申し上げることは、残念でございますが差し控えさせていただきたいと存じます。
  122. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 これはますます大変でございます。もし真実であれば、まことに重大だ。これはよその国の政府に名をかりて自分の国を動かそうとする、これは国家主権をみずから侵す暴挙だということでございます。それが発表できないというのは一体どういうわけでございましょうか。官房長官どのようにお考えでございますか。
  123. 妹尾正毅

    ○妹尾(正)政府委員 お答え申し上げます。  この問題は、そもそも日米間の経済貿易摩擦あるいはヨーロッパの問題等ございまして、そういうことも踏まえながら第二弾を決めていったわけでございまして、その過程においてアメリカとかヨーロッパから、これは向こうが大変関心を持って問題にしておるわけでございまして、意見を言うということはいろいろあるわけでございます。この一年間何回もいろいろな場を通じて先方から意見の表明があったわけでございまして、そういうものも全部踏まえまして、政府は全く自主的な立場から判断を下し、第一弾もそうでございますが、第二弾を固めていったわけでございますので、その点は何ら恥じるところはないと考えておりますので、その点はぜひ御了承いただきたいと思います。
  124. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それではいままで報道されたものというのは、これは全くのうそだということになりますね。これは通産省がつくったものである、私はまさかそんなことはないだろうと思っていたんだけれども、あなたがいまそうおっしゃいましたので、いままでの報道は全部うそである、自主的に物事が決められていったんであって、よそから何らの指図を受けたこともなければ、そのような工作が行われたこともないというふうに理解してよろしいですね。
  125. 妹尾正毅

    ○妹尾(正)政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、いろいろなところから意見の表明はございました、希望の表明はございましたけれども、指図を受けてやったということは絶対ございません。  それから通産省云々という点でございますが、これは私どもの方ではその辺は存じないわけでございまして、通産省の方ではそういうことはないと言っておられるというふうに聞いております。
  126. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それでは最後に要望しておきます。  国民は、いまのようないろいろ報道されたのを見まして、一体真実は何なんだろうか、日本はどういうような対外姿勢あるいは外国との関係を進めていっているんだろうかということで、非常な不信感を持っている。それはやはり明らかにするのがこの場でなければならぬと思います。したがいまして、近い将来において真実を明らかにしていただきたい。これを要望させていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  127. 中山正暉

    中山委員長 寺前巖君。
  128. 寺前巖

    寺前委員 さっきから過去の太平洋戦争などについてどういう認識を持っておられるんだろうかということについてずっと聞かしていただいておったわけですが、まず大臣にお聞きをしたいと思うのです。  侵略戦争ということが盛んに言われたわけですが、侵略というのと進出というのは同意語であるという御認識なんでしょうか、違うという認識なんでしょうか。大臣、いかがですか。
  129. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おのおの定義を与えられておりませんので、したがって何ともお答えができません。
  130. 寺前巖

    寺前委員 一番の問題になっているのは、その点じゃないんですか。同意義だったら問題にならない話だと思うのです。同じじゃないから問題になっていると思うのですが、日本政府としては一体この問題をどう認識をしているのか。私は大事な問題だと思いますよ。いかがなんでしょう。
  131. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 法律的におのおのの言葉は定義を与えられておりませんから、政府としての見解と言われましてもそれはお答えのしようがございません。
  132. 寺前巖

    寺前委員 これは大変なことですね。認識としてどういうふうに受けとめるのかということをはっきりしないでおいて、これは対応策が出ないんじゃないですか。中国朝鮮、東南アジアに対して過去に日本が進出していった、日本侵略していった、こういう戦争についてですが、それでは大臣は侵略という理解なのか進出という理解なのか、不正義なものなのか正義のものなのか、この戦争の性格についてどのように認識をしておられますか。
  133. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国が行いましたいわゆる第二次大戦の際の戦争、これが侵略であるかどうかということはこの国会を通じまして過去幾たびも御質疑を政府は受けております。それに対しまして、政府はこのようなことは二度と繰り返すべきことではないというふうに考えておりますが、これを侵略戦争と呼ぶか否かについては後世歴史家の判断にまつべきものと考える、常にそういうふうにお答えをいたしております。
  134. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、今回中国なりあるいは他の国々で批判が起こっていますが、たとえば中国政府が提起しているのを見ますと、「「華北侵略」を「華北進出」に変え、「中国に対する全面侵略」を「中国に対する全面進攻」に変え、あげくには「南京大虐殺の起因を中国軍の激しい抵抗によって日本軍は非常に大きな損害を受け、憤激した日本軍は多くの中国国民を殺害した」となってきている」というふうな指摘をやっているわけですけれども、この「華北侵略」とか「中国に対する全面侵略」、こういう表現が誤りだから訂正をしなければならなかったのかどうか、その点はどういう見解に文部省は立つのですか。
  135. 藤村和男

    ○藤村説明員 ことしの春終了しました教科書の検定で、日本史、世界史の中で調べてみますと、原稿が「華北侵略」あるいは「全面的侵略」となっておって、それに意見をつけて「華北進出」「全面的進出」というふうに改められた事例は見当たらないわけでございます。
  136. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、これらの国々が問題にしている事実はない、そういうふうに言い切れるのですか。
  137. 藤村和男

    ○藤村説明員 歴史的な事実もございますし、問題にされているということは承知いたしております。
  138. 寺前巖

    寺前委員 問題にされているということを知っていながら問題にすることはないというふうに言い切れるのですか。
  139. 藤村和男

    ○藤村説明員 私どもとしては御意見には謙虚に耳を傾けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  140. 寺前巖

    寺前委員 「侵略」を「進出」に、検定の過程を通じて結果としてそういうふうに変わってきているという事実があるから問題になっているわけでしょう。そうすると、私は見解を聞きたいのです。「華北侵略」という言葉あるいは「中国に対する全面侵略」という言葉、これは検定の方針として、こういう表現というのはよい表現ではない、誤った表現だという見解でもって文部省は対応しておられるのかどうか、誤りだと言われるのですか。
  141. 藤村和男

    ○藤村説明員 私どもはこの侵略という言葉につきまして意見を付しましたのは、たとえば十九世紀の列強のアジア進出というような表現がございまして、その後の日中戦争のところで侵略という言葉などが書かれた場合に、表記としましてこれらを統一されてはいかがですかという改善意見を付したところでございます。
  142. 寺前巖

    寺前委員 それでは、その「華北侵略」あるいは「中国に対する全面侵略」という表現は誤りなのか誤りでないのか、そこはどうなんです。
  143. 藤村和男

    ○藤村説明員 そういう表現の仕方もあるというふうに考えております。
  144. 寺前巖

    寺前委員 中国はもちろんのこと、近隣のアジア各地の国々の教科書を見ますと、韓国では国定教科書の中に「二十世紀初め日帝の武力を先頭に立たせた全面的な侵略」こういうふうに位置づけています。フィリピンの高等学校の教科書では「征服」「侵略」「進出計画」といった言葉で日本中国での行動指摘しています。あるいはインドネシアの国史教科書を見ると、日本の占領時代には国民がひどい目に遭ったことが書かれている。あるいはシンガポールを見ても「侵占」という、「侵略占領」という言葉が頻繁に使われてきている。あるいはオーストラリアの教科書を見ても「侵略」「侵入」という言葉が使われている。いずれも日本があの太平洋戦争で各地を回った対象国の教科書というのは侵略という表現でもって受けとめておるというのが客観的な事実じゃありませんか。こういう客観的にアジアの各地の諸君たちがとっているときに、日本の国内で「侵略」という表現が「進出」という表現に変わってくると、これはアジアの各国の諸君たちが日本の対応策が変わってきたのじゃないだろうか。特に日本の場合には、国定教科書ではないといっても国が検定という形でもって深く検閲に近い状態に変わってきているということを憂慮する諸君たちは、日本政府方針として疑問を持つという結果になってくるのではないでしょうか。侵略戦争への深い反省があってこそ、初めてアジア諸国との間に平和友好関係が生まれるものだと思うのです。だから、教科書問題というのは外交問題として重要な位置を持ってきたのだ、私はそういうふうに理解をするものであります。とするならば、私は、中国やあるいは韓国やその他の国々がこの教科書問題で、「侵略」という部分を「進出」に変えてきている、その他の記述も全面的にずっと変えてきたことに対して、日本政府としてこれは正さなければならない問題としての認識に立つことが重要だと思うのですが、大臣いかがですか。
  145. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 戦争でございますので、こちら側の見方、考え方それからそれをそこからいわば被害を受けたと申しますか、相手方と申させていただきますが、の受け取り方、考え方、これはおのずから違う場合は十分に考えられるわけでございますので、したがって客観的、公平な表示をいたします場合に向こう側の考え方にも耳を傾ける必要がある、こういうことだと思うのでございます。
  146. 寺前巖

    寺前委員 これが果たして向こう側の考え方というふうにだけ言い切れるものだろうか。  それじゃ私は聞きましょう。国際連合憲章です。この国際連合憲章は、日本は批准するに当たって何か留保事項をつけたのでしょうか。
  147. 栗山尚一

    栗山政府委員 留保いたしておりません。
  148. 寺前巖

    寺前委員 国際連合憲章の五十三条第一項はこういうふうに書かれております。「安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的取極又は地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第百七条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。」このように五十三条の一項は、「この敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極」あるいは「この敵国による新たな侵略を防止」云々と書かれておりますけれども、「この敵国」というのは、日本はその中に入るのでしょうか入らないのでしょうか。
  149. 栗山尚一

    栗山政府委員 国連憲章が起草されました時点におきまして、五十三条に言っております敵国というものは日本を含んだものでございます。
  150. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、そこに「侵略政策の再現」と書かれている以上は、敵国は侵略政策をとっていたということが前提になっているのではないでしょうか。
  151. 栗山尚一

    栗山政府委員 国連憲章が起草されました時点におきまして起草の主体となりました連合国が、当時の敵国でありましたわが国を含みます敵国の政策を侵略政策ということで厳しく評価しておったということはそのとおりであろうと思います。
  152. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、日本の国は侵略政策をやっていたんだ。これに日本は留保することなく参加をしていった。とすると、当時わが国は侵略という立場をとっていたんだということを世界各国に明らかにしておったのじゃないでしょうか。今日、国連は百五十七カ国ですか、世界の多くの国々の前に日本はそういう態度をとっていたわけです。日本がこういう規定のもとに参加しておったということが——それじゃ日本としてこの規定は誤りだというふうに言い切れるのですか。
  153. 栗山尚一

    栗山政府委員 五十三条を含めまして国連憲章の中におきます旧敵国条項というものはわが国が国連に加盟いたしました以後におきましてはわが国に適用がないというふうな解釈は政府が従来からとっておることでございます。  ただいまの委員の御指摘はそのような問題とはまたちょっと次元の異なる問題だと思いますが、先ほど私が申し上げましたように、国連憲章を起草いたしました連合国というものがわが国が戦争中にとりました政策を侵略政策であるというふうに厳しく評価いたしましたことはこれは厳然たる事実でございまして、わが国が国連に加盟するに際しましてもそのような国際的な評価というものは厳然として存在するというふうに認識しておったであろうというふうに考える次第でございます。
  154. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、この条項はいまも生きているのですか。
  155. 栗山尚一

    栗山政府委員 旧敵国条項というものが国連憲章の実体的な規定としてわが国に適用があるかという御質問であれば、そのような適用はないという立場は従来から政府が申し上げておるところでございます。
  156. 寺前巖

    寺前委員 その条項は生きているのか。日本政府がどう解釈しようと、国連憲章としてのこの条項は生きているのか、それとも敵国条項から日本が外されているのか、国際的に認定されたのか、そこはどうなんです。
  157. 栗山尚一

    栗山政府委員 先ほど私が申し上げましたとおりに、五十三条が実体的な規定としてわが国に適用があるかといえば、それはないというのがわが国の立場でございます。  ただ、「侵略政策」云々という規定上の表現は一つの歴史的な評価についての事実でございまして、先ほどからの繰り返しになりますが、連合国がそのようにわが国の戦争中の政策というものを評価しておった、これは今日も歴史的な事実として残っておるということだろうと存じます。
  158. 寺前巖

    寺前委員 私の質問に答えていないのです。現実に敵国条項から日本が外されているのか、国際的に確認されたのか、私は、端的にそれだけ聞いているのです。
  159. 栗山尚一

    栗山政府委員 お答え申し上げます。  五十三条一項の規定は、先生先ほどお読み上げになりましたとおりに、旧敵国に対する連合国の措置は、五十三条で申しますところの安保理事会の許可がなければ加盟国は強制行動をとれないということの例外的な規定として設けられておるものでございますけれども、この規定そのものにつきましては、国連加盟国でありますわが国に対しても当然憲章の趣旨からいって適用がないであろうというのがわが国が従来から公式にとっておる立場でございます。
  160. 寺前巖

    寺前委員 何度聞いてもお答えにならないということは、答えることが不都合だからでしょう。敵国条項から日本を外してくれということは国際的に確認がされていないということじゃありませんか。ここで、日本がみずから国連に入っていくときに、ちゃんと敵国として侵略政策をとった国だという位置づけがされている。したがって、日本の国がそのことの反省の上に立ったときに初めて諸外国との間に平和友好関係が確立されるのでしょう。とすると、これは教科書の中においてもその精神が生かされていかなければいけない、ここになると思うのです。ところが、日本政府自身が侵略戦争として位置づけるのかと言えば、はっきり物を言わない、それならばこの教育が進んでいかないということは当然であります。私が大臣に先ほどから何回聞いてもはっきりしないのは、「侵略」と「進出」とは違うのだ、国連においても「侵略」として位置づけられて、その反省の上に立ってわれわれはやっていくのだということを言い切られないところに国際的な疑惑を生んでいく最大の原因がある。私は、日本政府としてそこを正す必要があると思います。  お約束の時間が来ましたので、私は、最後に一言だけ聞いておきたいと思うわけです。  それは、中国に対して日本政府が検定問題に対する回答を二十八日午後四時におやりになっています。その内容を読ましていただきますと、「学校教育においても、かかる認識が正しく反映されるべきは当然と考えているが、中国政府申し入れに関してはこれを謙虚に受け止めたい」。「当然と考えているが、」という「が、」が何でつくのだろう。当然だったら当然と言い切ったらいいじゃないですか。なぜ「が、」が入るのか。これについての見解を聞かしていただきたい。  それからもう一つは、謙虚に受けとめたいというのだったら、中国側申し入れというのは、歴史的教訓をいつまでも銘記させて中日両国人民の世々代の友好に役立つと考える、文部省の検定の教科書の誤りを訂正をするよう希望するのだ、謙虚に聞くというのだったならば、そのことをやらなければいけないのじゃないでしょうか。この二点について私ははっきりとお答えをいただきたいと思うのです。
  161. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 御指摘のとおりでございまして、二十八日の日に渡辺公使から、学校教育においてもかかる認識が正しく反映されるべきは当然であると考えるということを言っております。それから同じく中国政府申し入れに関しましては、これを謙虚に受けとめたい、この二つのことを言っております。この間に「が、」をどうして入れたかということでございますが、これはそれほど重大なことではございませんで、先ほど申しました二点を明確に中国側日本政府の意思としてお伝えした、御回答申し上げた、こういうことでございます。
  162. 寺前巖

    寺前委員 謙虚に受けとめた結果が内容についてこういうことになってきた。政府の主導型によってなされたわけでしょう、検定を通じて変わってきたのだから。そうすると、政府責任が問われるのは国際的に当然じゃありませんか。そうすると、そういう検定のあり方そのものにおいて、これは国際関係においてそれこそ検討を要する事項じゃないでしょうか。最後に大臣に重ねてこの点をお聞きしたいと思うのです。
  163. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点につきましては、文部大臣の御判断に従いたいと考えています。
  164. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  165. 中山正暉

  166. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 私は、先ごろわが党の田川代表と二度目の公式の訪韓をいたしました。  かつて日本総理大臣でありました伊藤博文公が現地で暗殺をされた。これは日本で言えば日本の総理を暗殺をした犯人でありますが、しかし韓国に参りますと、犯人の安重根の記念館がございまして、その中には自国の観光といいますか、訪ねる人たちも列をなしているような状況でございます。そしてその中には、建国の父、韓国独立の父、こういう形で記念館にいろんな資料が展示をされておりました。所を変えれば、あるいはそれぞれの国の立場によって歴史に対する認識というものがこれほど違っているのかということを、私ども若い政治家の一人として、大変痛切に感じたわけでございます。  今回問題になっております日本のこのたびの戦争というものに対する認識、これをどういう形で後世のわれわれが認識をするかという、字句でいえば進出、侵略というたった一つの言葉でありますけれども、その言葉の持つ意味あるいは歴史的な重さというものがこんなに重要なものかということを改めてわれわれいま認識をしているわけでございます。  そこで、昨日の参議院における集中審議の状況は私ども新聞紙上で伺いました。文部大臣としての考え方というものはその紙上にはあらわれているわけでありますが、きょうは官房長官にぜひ伺いたいと思っております。  大変初歩的な質問で恐縮でありますが、背景を一番端的に表現をしている侵略と進出、この言葉の認識、そして日本戦争をどう評価するかという問題でありますが、いまさら私が辞書を申し上げるまでもなく、「進出」というところを見ますと、一行「進み出ること。」こう書いてあるわけですね。日本の角川書店の権威ある辞書であります。それから「侵略」というところには「領土などを攻めて奪うこと。」こう書いてあるわけであります。これは言葉にすればそれだけのことでありますけれども、要は戦争をどう評価し、歴史的にどうとらえるかということの重大な意味を持っていると思いますが、この表現を官房長官として、また日本の政治家として、日本人として、進出あるいは侵略、どちらが適当だとお考えになられるのか、まずお考えを伺いたいと思います。
  167. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 あらかじめ申し上げますが、政府としてそういう言葉について定義をしたことはございませんので、政府の見解を申し上げることはできません。  個人としてどう思うかということでございますれば、それは日本語の持つ響きといたしまして、侵略という言葉は何か力によってあるいは領土的意図を持って相手の意思に反して行為を行うというそういう響きを持っておる。進出という言葉は、使う場所にもよりましょうが、そういう意味ではニュートラルと申しますか中立と申しますか、そういう響きがより多いと思います。これは私個人の語感を申し上げておるわけでございます。
  168. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 そうすると、この場での表現は大臣は進出の方が適当だ、こういう御意見でございますか。進出という言葉が日本戦争表現する言葉として適当であるかどうか、大臣は進出の方がいい、こういうお考えなんでしょうか。
  169. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、この場合と言われますけれども、非常に長いたくさんの歴史的な事実を一括してお尋ねになりますと、どの言葉が適当だと言えと言われましてもちょっと申し上げかねるように思います。
  170. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 具体的には中国への日本のやってきた事実については進出が適当であるのか侵略が適当だとお考えなのかという具体的なことでお聞きをしておるわけです。
  171. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは先ほども他の委員お尋ねにお答えを申し上げたところでございますが、わが国の過去の戦争侵略であったかどうかというお尋ねはしばしば国会においてなされておりますけれども、政府としてそれは決して繰り返されてはならないことであるというふうに考えておりますが、これを侵略と定義するかどうかについては後世の歴史家の判断にまつべきものと思う、こういうふうにお答えを申し上げております。
  172. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 教科書は来年出る教科書なんですね。それをどう評価するかは後世の歴史家にゆだねることはいいと思いますが、政府として教科書に進出とするのがいいのか侵略とするのがいいのか、それとももっとほかの言葉を探すのが適当であるのか、それは大臣いま答えられることで、いまどう対処するかということが子供たちのあすの教育につながるのですから、その評価をどうするかということは、歴史家歴史家として評価をすればいいんで、政治家として、また政府としては、言葉が適当であるかどうか、言葉自身の問題ではなくて、その中にはいろいろな歴史的な重みがあるわけですから、どういう表現がいいかどうかということを具体的な実例で伺いたいのです。
  173. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 教科書は本来国がつくるものではございませんので、政府がどう思うかということをまず申し上げる立場にはないと思いますが、次に修正意見ないし改善意見を出すべきか出すべきでないかということになりますれば、これは文部当局なり文部大臣にお尋ねをいただきたいと思います。
  174. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 私は、日本の教育というものが外国によって左右されるべきものではないという認識は私も持っているのです。しかし、外交問題になって、しかもこの問題は、中国の新聞に大虐殺の歴史的な写真が改めて載ったり、日本の領事館や大使館に投石があったり、韓国中国の市民感情の中にも非常に大きな波紋をいま呼んでいるわけでございまして、外交上でも問題になってきているわけです。そういうお立場で、こういう表現が一体適当であるのかどうなのか、これは私ども外務委員会の、いま臨時大臣ですけれども、外務大臣としてもこれはどういう考え方で臨むべきかという考え方がやはりあると思うのです。そういうお立場でもう一度お答えをいただきたいと思います。
  175. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点はしばしば申し上げておりますとおり、日中共同声明に述べられておりますところのわれわれの責任を感じ、反省をしているということは、いまも全く変わっていないということ、そのことは教科書がつくられる上においてもそのように反映されていなければならない、いるものと考えるということ、それから、しかしながらこれについての相手方の、この場合中国でございますが、意見については謙虚に耳を傾ける、こういうことが外交の態度になっておると思います。
  176. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 昨日、中国の公使に実情を御説明をされて、しかし新聞紙上で伺いますと、納得できない、非常に強いこういうお話が載っているわけであります。文部大臣は昨日の集中審議の中で、できるだけ文部大臣や総理が訪中前にこの問題は解決します、こういう答弁をいたしておりますが、昨日の説明では納得できない、非常に強い抗議があったというふうに伺っておりますが、中国韓国に対して、さらにこういう問題が大きくなっていくということに対して、政府としては具体的にはどういう方法で対処されるのか、ひとつ具体的な対策をどんなふうに考えておられるのか、伺いたいと思います。
  177. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 先生御案内のとおり、現在の日中関係、それから日韓関係もそうでございますが、幸いなことに多くの人々努力の結果、非常に重層的、多層的と申しますか、多方面において友好親善協力関係があらわれております。したがいまして、その中におきまして起こった今回の問題でございますが、このことは先ほど来宮澤外務大臣臨時代理を初め政府側がしばしば御答弁申し上げておりますとおりに、問題の重大性を十分認識をしております。そこで今後この問題を、この問題あるがゆえに日中関係あるいは日韓関係の本体を大きく揺るがすような結果にならないように何とか誠心誠意努力を続けてまいりたいというのが私どもの考えでございます。
  178. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、最後に、先ほどからも御議論がありましたが、これを修正をしていくという考えがあるのかどうなのか。昨日のいろいろな議論の中にも、教科書は印刷する段階までかなり進んでいて、もう来年の教科書には間に合わないというようなお話もあったように伺っておりますが、それは今後、来年あるいはその次の年なり、修正をしていくという余地があるのかどうなのか、それだけ伺って質問を終わりたいと思います。
  179. 藤村和男

    ○藤村説明員 ことし検定を終了いたしました教科書について、文部省として何かするということについては考えておりません。
  180. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 その後、来年以後はどうなんですか。来年出る教科書はない。その後はどうなんですか。一切ないのですか。改めるという考え方は全くないのですか。
  181. 藤村和男

    ○藤村説明員 教科書の検定というのは、新規本が出てまいりまして検定を終えますと、それが学校で採択をされるわけですが、三年たちますと改訂検定というのがございます。これはあくまでも一般論として申し上げますと、改訂の機会が執筆者なり出版社側に与えられるわけでございまして、そこで、時代も進展するということもございますし、それから国語の作品一つをとりましても、いい作品が出てきたということもございまして、そういった作品を入れるために改訂をするということは認められている制度ですが、基本的な検定の方針につきましてこれを変えるということは考えておりません。
  182. 中山正暉

    中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十七分散会