○英
説明員 小林先生の御
質問、二点というふうに伺っておりますが、最初の、現在、在レバノンの
大使館はどういうふうになっているかということであったかと思いますが、ちょうど今度の
イスラエルの攻撃が始まった前後に
ベイルートを
中心に四十名の邦人がおったわけでございますが、累次避難を勧告するということで、安全な地帯に移動いたしました。それに当たりましては、
大使館の大使が使っております防弾車を使いまして、何回もピストン輸送をして、安全なところにお送りしたわけです。それを見定めた上で、ただ報道関係者の方は、こういう
事態でございますので、現地で取材を続けられたいという御希望が三人ほどございました、それからレバノン人と結婚しておられる
日本婦人がお二人、この五人の方はそういう理由で残留されるということを確認いたしまして、十二日に、
ベイルートの北約二十キロの港町でございますが、ジュニエというところのホテルに移りまして、そこで執務を行っております。ただ、テレックス、電話等非常に連絡が悪いものですから、必ずしも
大使館と同様の連絡がとれないのが非常に遺憾でございますけれ
ども、
現状では仕方がないと思っておりますが、
活動は続けております。あえて申し上げますれば、かなり生命の危険があった中を、大使以下館員四名でございますけれ
ども、大変よくやってくれたと思っております。
第二の御
質問は、今度の
イスラエルのレバノン爆撃について
日本政府はどういう
立場をとったか、どういうことをしたかという御
質問であったかと思いますけれ
ども、御案内のように、三日から爆撃が始まったわけでございますけれ
ども、六日に陸上侵攻が行われたわけでございますが、五日の段階で
国連の
安全保障理事会の会合が開かれまして、
日本が、単独提案でございますけれ
ども、停戦の提案をいたしまして、満場一致で可決されております。
それから六日に、
事態がさらに悪化しているということで、日曜日ではございましたけれ
ども、在京の関係国の大使、
イスラエルの大使、シリアの大使、レバノンの大使、それからPLOの代表を順次招致いたしまして、それぞれ
内容は若干違うわけでございますけれ
ども、
イスラエルには強く遺憾の意を表し、撤退を求める、それから自制を求める。シリア、レバノンにも自制を求める。それからレバノンの大使には同情の意を表すという措置をとりました。
その日の夕方に
外務大臣の臨時代理でいらっしゃる
宮澤官房長官から「
イスラエルのレバノン爆撃について」というかなり長文の談話を公式に発表いたしました。ちょっと長文でございますが、申し上げます。
一、本月四日及び五日の両日、
イスラエルはレバノンの各地に対し、大規模な爆撃及び砲撃を加えたが、かかる攻撃は、六日に至っても停止されていない。我が国は、
イスラエルのこれまでの攻撃の結果、パレスチナ人を含むレバノン住民に多数の死傷者が出たことを深く遺憾とし、
イスラエルが今回かかる重大な結果を生じる行動をとったことを非難するとともに、この種の攻撃は、レバノンの主権・領土保全及び
政治的独立に対する重大な侵害であり、直ちに停止されるべきであるとの
立場を表明する。
二、この
イスラエルの攻撃及びこれに対する反撃の結果、レバノンにおいては昨年七月関係当事者の努力により成立した停戦合意は今や崩壊の危険にさらされ、レバノン情勢は極度に緊張している。我が国は、今後レバノン国内乃至レバノン・
イスラエル国境をめぐる各種の軍事行動が中東全体の平和を脅かす重大な武力紛争に拡大する危険を深く憂慮するものである。従って我が国は、六月五日我が国の提出した
決議案が
安全保障理事会の全会一致をもって
決議五〇八として採択されたことを評価するとともに、すべての関係当事者が、同
決議の要請に従い、即時軍事
活動を停止するよう強く求めるものである。また、我が国は、今後ともこれら関係当事者が最高度の自制を行うよう重ねて強く要請する。
三、我が国は、かかる
イスラエルの行為により、中東和平問題の平和的解決へ至るべき第一歩としてのシナイ半島完全返還の意義が損われ、中東和平問題をめぐる雰囲気が更に悪化することを懸念する。
四、また、我が国は去る六月三日の在英
イスラエル大使に対する襲撃のごときテロ行為は、いかなる理由をもつてしても容認できないものと考えており、かかる行為を厳しく非難する。
イスラエルがかかる行為への報復を理由としてレバノンに大規模の攻撃を加えることは正当化されるものではないが、我が国としては、今後、いずれの場所を問わず、この種のテロ行為、特に外交使節に対する攻撃は、
国際平和に対する挑戦であり根絶される必要があるとの我が国の
立場をこの際改めて
宣言する。
それで、六日に今度アイルランドが提案いたしまして、
安全保障理事会で、停戦それから
イスラエル軍の即時無条件撤退を要請する
決議、
決議五〇九が成立しております。しかし、それにもかかわらず、六日には地上軍の侵攻が行われたわけでございます。
そこで、八日の火曜日でございますけれ
ども、須之部外務次官が在京の
イスラエル大使を招致いたしまして、この
二つの
決議に違反していることに対して強い遺憾の意を表し、直ちにその
決議が守られるべきであるという強い
日本政府の
立場を伝えるとともに、このような行動が継続される場合には、
日本としては
イスラエルに対する従来どおり同様の
政策を維持することが困難になるということを恐れるものであるという懸念を伝達いたしました。これは、
政府として
イスラエルに対する強い警告を発した、そういうことでございます。
大体以上がこの事件に関しまして
政府としてとった措置でございます。