○
小林(進)
委員 私は、今度の第二回の
国連の
軍縮総会には、第一回と違いまして、何か、いまのところはまだ明確ではありませんけれ
ども、イギリスのサッチャー首相も出るのではないか、あるいはミッテランはまだ明確じゃないそうでありますが、シュミットも出る、それからベルギーの首相、イタリーの首相等、まして
アメリカのレーガン大統領も、ここで格調の高い演説をやるために、いま心魂を傾けて演説の草稿を練りつつあるという。いま
米ソの核競争の
世界の世論を
アメリカに引きつけたいということで大変苦労しているという。これは華々しい舞台になると私は思いまするし、言うまでもなく、また人類を挙げて、この核の恐怖、生命の恐怖にさらされて、四年前の第一回の
軍縮の時代とは変わった空気がいま醸成されているのであります。非常にこれは重要視しなくちゃいけない。その中に
世界のただ
一つの
被爆国の
総理として御
出席になるのでありますから、
世界の注目も
総理に集まりましょうし、われわれもまたこの舞台に、レーガンやサッチャーやシュミットやミッテラン等と同一でない独特の、しかし人類の平和を願う、そういう崇高な哲学に基づく
鈴木総理の姿勢と演説を心から祈らざるを得ないわけであります。
僕はこの
立場から
お願いにかえて
質問するのでありますが、第一回目に、そのときは
総理おいでにならないで、園田
外務大臣が行かれた。ところが、これが評判いいのですよ。国内にも評判がよかったが、対外国にも評判よかった。私は、帰ってきて、
言葉をきわめて彼を称賛をいたしました。いいことはいいのですから、私は、
鈴木総理だって、時間があればほめることはいっぱいありますからほめたいのでありますが、あなたのルーツは社会党だから、実にわれわれが共鳴する点は非常に多いけれ
ども、時間がないからやっていられないけれ
ども、私は、いいことは、常に
総理のことを称揚賛嘆をしているところがあるのでありますが、その
意味におきまして、僕は園田さんを賛嘆をしたら、彼は言ったのです。
小林さん、これにはコツがあるのだ、おれは外務官僚が書いた原稿は、私は心骨を傾けて、手直しして、いわゆる私の信念をあの中に入れたのだ、あれは官僚の作文だけ書いたら大変なことになった、その手直しをしてみずから信ずる道を書いた、それが国内、国外にアピールしたんだと、やっぱり
外務大臣あるいは一国を担う者はこれでなくちゃいかぬと彼は言ったのでありますが、これをいま私は
総理に進呈したいのであります。
いま私が一番心配しているのは、二つの点がある。この
国連総会に臨まれて
総理は、第一番目には、この頑迷なる官僚が書いた文章を
国連の場でまたそのままお読みになるんじゃないか。これは重大な世紀の舞台を失うことになる。これはあっちゃいかぬ。時間がありませんけれ
ども、何しろ
日本の官僚ほどだめなものはない。外務官僚は特にだめですよ。門田君なんか、あの二十一日の、何ですか。あの
日ソの事務レベル
交渉の中で、
ソ連みずからが、いま
高沢君が言ったこの核の不
使用の問題も、
協定なら
ソ連は進んで応じますよという申し出があるにもかかわらず、彼は拒否している。これくらい頑迷なんですよ。しかも私は、いかに官僚というものが時勢の波を知らないかということを経験しているのです。かってケネディとニクソンと争ったときに、どっちが勝つかというので、私は
アメリカを一巡して官僚の情報を聞いて歩いたんです。これはワシントンはもちろん、ロサンゼルスからサンフランシスコへ行ったところでわずかですけれ
ども、皆ニクソンが勝つ、ケネディは勝たないと言う。これが官僚の情報だ。ふたをあけてみたら、ちゃんとケネディが勝っている。この前のときだってそうです。この前のときも、佐藤
総理も、最後は歯を食いしばっていられた。あの
中国と台湾との重要事項指定方式だ。あくまでも
国連における重要事項指定方式で台湾支持に回らして、最後は負けて恥をかいた。これが官僚情報なんです。今度また
アメリカへ行って、いま私は心配するのは、この官僚は何と言ったか。
アメリカの世論は圧倒的にレーガンの核拡大のこの均衡政策を支持してますと、これが
アメリカの世論ですと言った。
総理、これが誤る道なんですよ。いま
アメリカの世論は、挙げてこのレーガンの核均衡抑止政策、抑止政策に名をかりた核拡大政策にみんなふるえ上がっているんですよ。これをいま
日本の官僚はみんな間違って、
アメリカは圧倒的にレーガンの核政策を支持してますと言う。これに乗っちゃったなら間違うから、私はそこで官僚罵倒論をいま一席やったのは、これなんですよ。乗っちゃいけない。
いま
アメリカには、この核に対する三つの世論がありますね。第一番目は、何といってもケネディ。ケネディは何ですか。
米ソ両国の核を現状において凍結をしようじゃないかというのです。これがいま
アメリカの世論の中を占めているのです。これは大変な政策です。いま
一つは、マクナマラ元国防長官以下四高官が、これは核不
使用だ。先制不
使用をしつつ
アメリカはやらなければならない、これも
アメリカにおける圧倒的な世論ですよ。その世論を
——おればかり演説やっちゃまずいけれ
ども、いまあなたに
質問するために前ぶれを言っているんですよ。前ぶれを言っているんだけれ
ども、この世論に対して、核不
使用に対する
——これは
アメリカの世論なんだ。これはニューズウイーク誌の最近の世論
調査なのでありますけれ
ども、時間がありませんから失礼しますが、圧倒的に、いわゆる核戦争の脅威に対して不安を感じているというのが六八%。まず核
使用に基づく戦争の危険がないというのは二五%です。レーガンのこの核抑止拡張政策に不安を感じている者が六八%、不安を感ぜざる者が約三〇%。これは最近の
アメリカの世論の
調査です。なお、他の世論
調査では、八三%がレーガンの均衡核抑止政策に不安を感じているという
調査が出ている。ここへ乗り込んでいって、一体
鈴木総理がどんな主張をなさるのかということなんですよ。私は、ケネディ、ハットフィールド、この諸君の
核兵器の凍結運動の
アメリカの世論をひっくるめて
世界の世論、これを重要視してあなたの演説の骨子をつくっていただきたいというのが第一の
お願いです。いいですか。
そのときに、一体あなたは、先ほどから
抑止力、
抑止力とおっしゃるけれ
ども、そのレーガンの
抑止力の筆頭は、
アメリカの方は核において、
戦略核においても、限定核、いわゆるSS20においても
ソ連に負けていると言っているけれ
ども、ケネディ自体があるいはハットフィールド自体が、そんなことはない、核は断じて
アメリカは
ソ連に負けていないと言う。これに対して
アメリカの専門家はいまけんけんがくがくの議論であって、決して、レーガンが言っている、
アメリカが核では
ソ連に負けているなんということを肯定している、その世論は一致しておりません。それくらい核に対する両国の力の均衡なんというものはだれもわからない。そんなところへ
総理が乗っかって、レーガンに口調を合わせて、レーガンの後押しをし、追随をするような演説をもし間違ってニューヨークの
国連の舞台などでおやりになるならば、
日本国民は
世界の嘲笑を浴びなくてはいけない。これをひとつ御注意をいただきたいということです。決してレーガンなんかには追随しないぞ、われはわが道を行く、こういう毅然たる姿勢を
お願いいたしたいと私は思うのでございます。
アメリカで、
米ソの核戦力は均衡している、いやむしろまだ
アメリカが優位に立っているという
前提に立っている人の中には、ケネディだけじゃないのだ、ゲアリー・ハート上院議員、ウォールター・モンデール前副大統領あるいはジョン・グレン上院議員等、いずれも
アメリカを代表する人々、マクナマラな
どももちろんでありますが、こういう
人たちは全部まだ
アメリカの核の優位性を公然と論議をしておられるという実情であります。この中にはジャクソン、ウォーナーなどという、私も
アメリカに行って会ってきましたけれ
ども、こんな一部の人の……