○草川
委員 防衛庁が該当しないと認定されても受ける方は、内容の催涙ガスが目的なのでプラスチックの破片を肉体に突き刺さるようなのが目的でないと言っても、結果としてはそうなるわけでありますから、その判断をだれがするのですかということを私は先ほど来から言っておるわけでございまして、これはいまの
答弁では私納得できません。それは決まることは決まりましても、これを無視しで進むことが私
どもにとっては非常にこわいわけであります。それを、きょうはちょっと時間がございませんし本
会議もあるようでございますからこの程度で終わりますけれ
ども、これはいま少し真剣に考えていただかないと、せっかくの三
条約の問題については有名無実になってしまいますし、何回か申し上げますように、これはいいだろう、これはいいだろうと
一つの省庁がいくということについては疑問がある。このことだけを申し上げまして、あとの時間は、やはり同じように善意で
日本が経済
協力をしたのだけれ
ども、
相手の国の
一つの内部紛争の非常に露骨な戦闘行為に使われているという事例を具体的に上げて問題提起をしてみたいと思うわけであります。いまの
議論の延長線だと言っていただいても過言ではないわけであります。
具体的な国はフィリピンであります。フィリピンは
わが国とは非常に重要な
関係にある国でありますし、フィリピンの沖を通りましてシーレーンがあるわけであります。あるいはルソン島の方には有名なスビック軍港もありまして、
アメリカの第七艦隊の基地になっておるわけでありますし、また
日本もここに百十一億の円借款で大型の造船所をつくっておるわけであります。
私は、この問題については過去の
予算委員会でもかねがね問題提起を行ってきておるわけでございまして、このフィリピンという国に
日本はあらゆる経済援助をやっておるわけでございますけれ
ども、フィリピンでは、ミンダナオ島におきましてイスラム・グループが中央
政府に対して公然と反
政府運動をやっておることは皆さん御存じのとおりだと思います。いわゆるモロ民族解放戦線あるいはバングサモロ解放機構、いろいろな行動部隊があるわけでございますが、これは単なるゲリラではなくて、イスラムの国々の認知を受けておる
組織であります。ですから、私は単純な反
政府運動のゲリラ
組織と認定をして問題提起をしておるわけではございません。事実この反
政府運動に手を焼きまして、御存じのとおりイメルダ大統領夫人が一九七六年にリビアのトリポリで
協定を結んでおりまして、過去十二年の間にこのモロ民族解放戦線の
組織によって
政府軍が約二万人ほど兵力を失っておるということを、和平とは言いませんけれ
ども、この会談の中で言明をしておるぐらいに大きな
組織でございます。
たまたまことしの一月に、これは国会でも問題になっておるわけでございますけれ
ども、フィリピンの沖合いに
日本の「へっぐ号」というのが立ち寄りまして相当攻撃をされたことがございます。それで、フィリピン
政府が攻撃をしたのか、あるいはモロ民族解放戦線の連中がやったのかということが一時話題になりましたので、私
どももそれなりに興味がございまして調査をしたわけでございますが、たまたまそのときにモロ民族解放戦線の副議長のディマス・ベンダトゥーという方から、われわれモロ民族解放戦線はバングサモロ解放機構と共同声明を出したい、この一月十五日にフィリピン空軍によって攻撃された「へっぐ号」についてはわれわれは全く関知しない、しかし一言言いたいことがあるという電報が参りました。そしてこの電報で、われわれモロ戦線は何ら関与していない、しかしそのことよりも、
日本政府はフィリピン
政府に対するあらゆる経済援助を中止をしてもらいたい、
日本からマルコスに贈られたスピードボート、高速船はモロ人民の弾圧に非常に使われて、われわれとしては憤りを持つという言い方をしてきたわけであります。
そこで、私はこの問題について大変興味がございましたのでさらにその後のフォローアップをしたわけでございますけれ
ども、その際、これも同じようにモロ民族解放戦線とバングサモロ解放機構の共同声明ということで、四月の十七日付で、ドクター・マカパントン・アッバスという方の名前で「
日本政府に訴える」という手紙が来たわけであります。私は個人的にこういう手紙をもらいましても困るので、きょうこの
委員会でわざわざ時間を割いてこれを読ませていただいて、
日本政府にその対応を求めたいわけでございます。ちょっと長くなりますけれ
ども読みますから、素直に聞いていただきたいと思うのです。
日本政府に訴える
モロ民族解放戦線、バングサモロ解放機構共同声明
ドクター・マカパントン・アッバス
去る一月十五日にフィリッピン空軍によって攻撃された
日本船に関して、前回TELEXにて送った内容を再度確認する。
フィリッピン
政府は、その船が武器等を積んでいたと言ってその行為を正当化しようとしているが、我々モロ民族解放戦線は一切関与していない。
日本政府、
日本企業は、フィリッピン
政府とはきわめて親密な
関係にある。
たとえば川崎製鉄は、我々のホームランドであるミンダナオ島に工場を建設し、環境を汚染している。
日本政府よりフィリッピン
政府に送られたスピードボートは軍用船に転用され、その船二十五隻はモロ湾スル海にて我々に多大な損害を与えている。
日本政府は、経済援助という
観点にたてば、マルコス
政府の最大の後援者である。
腐敗したマルコスに対し、
日本政府は援助を再考してほしい。
マルコス
政府はすぐ終るであろう。なぜなら、マルコスは重病なのである。
又、我々モロ民族解放戦線は独裁者に対し、我々自身の為ばかりではなく、フィリッピンに自由を回復する為にも斗っている。
我々は、ベニグノ・アキノ元上院議員の指導の元に
国民統一戦線を結成した。故えに我々は、共通の計画をもって、共通の敵、独裁者マルコスに反対する。
フィリッピン南部の問題を解決する
唯一の方法は、フィリッピン
政府が我々に受け入れられる、かつ、尊敬される
政府でなければならない。その様な
政府は正義のある正しい
政府で、効率的で、アキノ氏のような人物の指導によらねばならない。彼は自由の為に約八年間獄中で斗った
経験を持ち、彼はモロ人民の斗争を歴史的にも
理解しており、フィリッピン
政府の主権のもとに我々に完全自治を与えると約束してくれた。我々の自治を確立するために続けて斗う。
我々はトリポリ
協定の実現の為に斗う。トリポリ
協定は我々の基本的権利をもりこんだもので、我々の斗争を
国際的に
承認されたものである。
日本政府もトリポリ
協定を支持してほしい。
我々の地域が平和であるという事は、フィリッピンの平和というより、東南アジアの平和にも通じるはずである。
最後に
日本政府に要望したい。
上記表明した事にそって、マルコス
政府への援助を直ちに中止してほしい。もし我々の要請が受け入れられないならば、我々の地域に居る
日本人と
日本企業に対し行動を起す。この時は交渉もなく、妥協もありえない。なぜならば、
アメリカと
日本の二大国はモロ人民を抑圧するだけでなく、フィリッピン人民全体を抑圧している責任があり、攻撃する事は我々自身を守る事でもあり、又、世界に訴える
唯一の方法であるからだ。
こういうきわめて重要な声明が出てきたわけであります。
私といたしましても、私個人の責任上これをどのように処理するか問題がございますから、あらかじめ通産省の方々、運輸省の方々あるいは外務省の経済
協力の方々に、この問題について
日本からどのようなスピードボートがどのような形でフィリピンに輸出をされ、あるいは経済援助をされ、あるいはどのような商品借款という形で出ておるのか、細かい調査を約一カ月近くやってきたわけでございますが、明確ではございません。
そこで、改めて、ないならない、あるならある、あるいは疑いがあるならあるでそれなりの対応をとることが必要だと思うので、この際、外務省あるいは通産省、運輸省、それぞれの
立場から御
答弁を要求するわけであります。