○深田
政府委員 日米間では、通商関係につきましてこの二、三年いろいろな案件が出てまいったわけでございますが、当面問題になっております
日本の市場開放という見地からもいろいろな措置がとられてまいりました。
特に昨年の十一月三十日以降、
総理の御指示もありましていろいろな措置をとってまいったわけでございますが、これらの
日本側の措置がとられるのと並行いたしまして
アメリカ側との意見の交換の場も何回かあったわけでございます。
最近におきましては、三月の九日、十日に
日米貿易小
委員会が開かれまして、その際、農産物等残存輸入制限品目の問題につきまして作業グループを設置するということに合意を見たわけでございます。
また、牛肉、柑橘につきましては十月中のしかるべき時期に一九八四年四月一日以降の対応についての協議をするということを約束いたしたことは
先生御
承知のとおりでございます。その後、今月十二日と十三日に約束に基づきまして、残存輸入制限品目、特に二十七品目ございますけれども、そのうちの農林水産関係の二十二品目を中心に意見交換をするということで、ワシントンで作業グループの協議が行われました。農水省の佐野経済
局長、私どものところの遠藤参事官等が参加したわけでございます。この際、
アメリカ側はこれらの品目については基本的には完全自由化を求めるんだという姿勢をとりまして、この残存輸入制限のガットとの整合性、ガット条項というものがどういうふうに
認められるべきであるか、あるいは
認められないかということにしぼって議論をしたわけでございます。その際の議論は、したがいまして完全自由化か、しからずんばガットでの協議かというような展開であったわけでございます。
ところが十六日になりまして、
アメリカ側からは、それはそれとして、と申しますのは、たてまえはたてまえとしてということであろうかと思いますが、具体的に
日本側が現在五月のしかるべき時期に考えよう、措置をとろうと言っております市場開放計画の中に、やはり農林水産関係も含めてもらうことが望ましいという示唆を行ってまいっておりまして、その際、具体的にこれこれについては関税を引き下げてほしい、あるいはこれこれについては枠を拡大してほしい、あるいはライセンスの手続を改善してほしいというようなことを言ってまいりました。十二日に協議の主力が行われたわけでございます。十三日は品目論等でございましたので、十二日の協議の後、十六日にこのような発展がありましたものでございますから、
日本側としましては、ちょっとこの
アメリカの主張に、一体どこに真意があるのかということを若干戸惑っておるのが現状でございまして、実のところきょうの午後、東京の大使館の公使が私のところにその間の事情を
説明に来ることになっております。その辺をよく確かめた上で次の対応を考えたいと思っておりますが、この残存輸入制限品目の問題は市場開放を考えるに当たっての非常に大きな項目でございます。そのほかにもいろいろな御存じの規格、基準の問題でございますとか、
特定の問題、たばこの問題、ソーダ灰の問題等々いろいろございますけれども、非常に大きな項目でございますので、これについてどういう措置をとるかということをいま関係省とも鋭意協議を申し上げている、こういう状況でございます。