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土井委員 それは実現を期すために努力をさらに積み重ねていただくことが必要だと思います。
さて、もう
一つあとに残された大きな問題を申し上げて私は
質問を終えたいと思うのですが、この
条約がつくられますいきさつの中には、昭和四十二年三月の英仏海峡において船長の不適切な判断が原因となってタンカー、トリー・キャニオン号の座礁事件が発生したということから事が始まったというのが外務省から出されております説明書の「背景」の中に書かれております。
いま私がここに持ってまいりましたのは人間環境問題研究会が編集をいたしました「海洋汚染の現代的諸問題」という特集の中で、環境庁の自然
保護局の方が講演をされている中身が掲載されているのです。その中でこういうことが述べられているのです。
便宜置籍船の問題があります。これは海洋汚染だけの問題ではないのですが、海洋汚染の観点からも非常に大きな問題だと思うのです。
去年の十一月にというのは七四年、これが出されましたのは一九七五年のことですが、
去年の一一月に東京湾でタンカーの衝突
事故がありましたが、第十雄洋丸という
日本船と衝突したパシフィックアレス号、これはリベリアの船籍ですが、実際には
日本の船で、便宜置籍船です。
ことしのというのは、これがまさに一九七五年ですね。
今年の四月にもマラッカ海峡で、
日本の土佐丸とカクタスクイーンというリベリア船籍の船が衝突しましたが、これも
日本の便宜置籍船でした。便宜置籍船の
事故が最近非常にふえているようです。一九七四年の
日本の近海の
事故の中でリベリア船籍の船が二六隻、パナマ船籍の船が二九隻にのぼっています。便宜置籍船は従来はアメリカやヨーロッパの国が多く利用し、
日本はあまり便宜置籍をやっていなかったのですが、数年前の
船員スト以来、非常に多くの
日本の船会社が便宜置籍をするようになったようです。
日本船の籍を変えてリベリアとかパナマにして、その
船舶を形式上所有するペーパーカンパニーと用船契約を結んで用船するのが普通のやり方のようです。その場合のメリットは、
船員として韓国人とか台湾人とか、資格のない非常に賃金の安い
船員を乗せられることです。そういう
船員は
訓練も受けていませんし、
事故を起こしやすくなるわけです。海洋汚染を防止するためにも、便宜置籍船をなんとかしてなくしていかなければならないと思うのです。
というところがきちっと書いてあるのです。
ここにまた、私は先週来持ち運んでまいりました海上保安庁の五十六年八月の「海上保安の現況」というのを見ましても、最近六年間の油による海洋汚染発生確認件数を国籍別に見ると、パナマが最も多い、次いでリベリア、韓国、ギリシャという順になっておりまして、この四カ国で全体の六一%を占めていると言われます。ちゃんと数字が出ているのです。この
条約を今回
日本が批准いたしましたら、便宜置籍船を具体的にどうなさろうというのですか。そうして、やはり事の発端は何といっても油の流出
事故によるところの海洋汚染の問題が非常に憂慮されて始まった問題でもございますから、海洋汚染防止
条約を一日も早く
締結をする。願わくば、本
条約審議と同時にこの海洋汚染防止
条約を審議するのが私は当然のやり方ではなかったかと思うわけでありますが、このことに対して、私は二点大きな問題を聞いておるのですよ。外務省としてのお答えをいただきたいと思うのです。いかがです。