運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1982-08-05 第96回国会 衆議院 科学技術委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    七月八日  近藤鉄雄委員長辞任につき、その補欠として  森美秀君が議院において、委員長に選任された。 ————————————————————— 昭和五十七年八月五日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 森  美秀君   理事 岸田 文武君 理事 小宮山重四郎君    理事 保利 耕輔君 理事 与謝野 馨君    理事 小林 恒人君 理事 関  晴正君    理事 草川 昭三君 理事 和田 一仁君       近藤 鉄雄君    中村喜四郎君       平沼 赳夫君    武部  文君       八木  昇君    山本 幸一君       斎藤  実君    吉田 之久君       山原健二郎君    田川 誠一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 一郎君  出席政府委員         科学審議官   石渡 鷹雄君         科学技術庁長官         官房長     安田 佳三君         科学技術庁計画         局長      下邨 昭三君         科学技術庁研究         調整局長    加藤 泰丸君         科学技術庁原子         力局長     高岡 敬展君         科学技術庁原子         力安全局長   赤羽 信久君  委員外出席者         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     渡辺 光夫君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高沢 信行君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      赤澤 壽男君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      鈴木 正明君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業         団理事長)   井上啓次郎君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業         団専務理事)  倉本 昌昭君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   金子 岩三君     足立 篤郎君   中村喜四郎君     金丸  信君   平沼 赳夫君     國場 幸昌君 同日  辞任         補欠選任   足立 篤郎君     金子 岩三君   金丸  信君     中村喜四郎君   國場 幸昌君     平沼 赳夫君 七月七日  辞任         補欠選任   齋藤 邦吉君     森  美秀君 八月五日  辞任         補欠選任   中村喜四郎君     保岡 興治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 森美秀

    森委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  去る七月八日の本会議で、当科学技術委員会委員長に選任されました森美秀でございます。  申し上げるまでもなく、二十一世紀に向かってのわが国科学技術振興にとって、本委員会の使命はまことに重大であります。つきましては、練達堪能な理事並びに委員の皆様の御援助と御協力を得まして、当委員会の公正かつ円満な運営に努めたいと存じます。  どうぞよろしくお願い申し上げます。      ————◇—————
  3. 森美秀

    森委員長 科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、参考人として、日本原子力船研究開発事業団理事長井上啓次郎君、専務理事倉本昌昭君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森美秀

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう戻しました。     —————————————
  5. 森美秀

    森委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  6. 関晴正

    関委員 久しい間委員会がありませんでしたので、いろいろと問題が山積しているわけでありますが、きょうはわずか一時間という時間の範囲内での質問でありますから、簡潔に受け答えをして進めることができれば、こう思っております。  まず冒頭、わが科学技術庁長官と言っていいと思うのですが、同時に中川国務大臣でもあるわけなんで、国務大臣である中川一郎氏が閣議の中で発言している教科書の問題について、どうも腑に落ちないものがあるわけなんです。これが日本大臣かなと思うほどなんであります。そのうちに総理大臣にもなるのだと言われている大臣であるだけに、お尋ねをしておきたい。  それは、かつての日中戦争というものは、あれはわが国の大きな侵略戦争であったということはひとしく認めておるところだ、こう思っているわけです。それだけに、教科書内容においても、この問題についてはわが国侵略ということを鮮明にしておったわけです。このことはこれから変わるはずのものでもないし、また変えてよいものでもないと思っているわけなんですが、単なる検定制度の問題だということで片づけるわけにはいかない問題であります。日本が隣国に対して侵略をした、この侵略行為というものを腹の底から自己批判をして、反省に立ちまして日本国憲法が生まれたものだと私は思っております。  それだけに、いま鈴木総理もこのことについて何かきちんとした返事が明確に出せないでおるように見えるのでありますけれども、そういうことであってはならない、こう思います。そういうことで、あの日中戦争というものを中川大臣日本侵略の歴史の悪しき一ページだ、こう思っているのかいないのか、この点だけひとつ所信を明らかにしていただければと思います。
  7. 中川一郎

    中川国務大臣 わが国中国の間に不幸な関係があり、大変御迷惑をおかけしたということは明らかでございます。ただ、表現の仕方をどうするかこうするかについては、専門家が専門的に詰めることであって、私どもが、表現をこれが正しい、これが正しくないと言う立場にはございません。専門家判断にまつところでございます。
  8. 関晴正

    関委員 そういうお言葉返事をもらいますと、どうしてももう一つ聞きたくなるわけです。侵略という言葉進出という言葉は同じものだと長官考えておられますか。お任せするとかそちらの問題だと言っておるのですが、私は、侵略という問題と進出という問題は同じ定義だとは思っておりません。そういう意味において、長官はそちらにお任せだという考えでおられるとするならば、私は、長官の信念あるいは認識というものは全くわからなくなってしまうわけなんです。同じものだと思っておるのですか。それともやはりこれは侵略行為であったから反省しているんだ、そういうことは二度としてはならぬから子々孫々に伝えていかなければならないんだ、こういう日本国民の平和に対する不動の決意、それが表現としてあらわれてきたし、行動として今日の日本の理念にあるものだと私は思っているのです。あいまいにしてはならない、こう思いますので、重ねてひとつ長官の——特に閣議における発言がいろいろ新聞に出ているわけです。  ほかの人の発言ならそんなに新聞も書かぬでしょうが、やがて総理大臣にもなるんだなと思われればこそお書きになっているんじゃないだろうかと思うだけに、あなたの未来にもかかわることですから、やはり侵略したんだから再びしないんだ、私はそう思っている、これで結構です。そうでない、あれは侵略でないと否定するなら、それなりのお考えをまた出していただければと思います。重ねてもう一度お尋ねいたします。
  9. 中川一郎

    中川国務大臣 日中共同声明にあるように、御迷惑をおかけした事実については率直に認めなければならないし、そういった姿勢で今後もやっていかなければならないことは事実ですが、その日本のやった事実が侵略であるのか進出であるのか、表現がどちらが正しいか、歴史的事実について議論があるところであって、まさにこれが国民的ないま注目の的にあるわけですけれども、そういった議論をしているさなかに私がどちらであると判定を下す立場にはありません。ただ、中国に御迷惑をかけたという事実については、謙虚に心の中に秘めておかなければならない基本的に大事なことだと思っております。
  10. 関晴正

    関委員 これ以上これに時間をかけることも適当ではありませんが、ただしかし、わが国国務大臣ともあろう人が、侵略であるのか進出であるのかわからぬようなかっこうで政治に携わっていることについては、はなはだ心もとないものだ、こう思っておりますので、しっかりとした考えに立って、そして改めるべきものは改めるんだ、改めさせるんだ、こういうことでやっていただくことを希望しておきます。  私のきょうの質問の主たるものは原子力船むつ」の問題でございます。  いつの間にやら原子力船むつ」が入港届を出した。六月三十日付で入港届を出して、そして九月四日には大湊港に入るんだ、こういうようなことが伝えられておりますが、入港届は、どなたがどなたにいつ何の理由で何の事情で出されたのか、お答えいただきます。
  11. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 原子力船むつ」の入港届は、六月三十日付で日本原子力船研究開発事業団理事長井上啓次郎から科学技術庁長官中川一郎あて提出されております。  この出す根拠といたしましては、原子炉等規制法規定によりまして、原子力船事業者は、原子力船を本邦の港に立ち入らせようとするときは、あらかじめ主務大臣届け出なければならない。この趣旨は、当該港への原子力船の立ち入りに際する安全性確認するために、港湾等その環境の評価を行い、これは法律規定によりますが、必要があれば所要の措置を命ずることができるわけでございまして、その準備のために届け出が必要であるということでございます。
  12. 関晴正

    関委員 原子炉規制法によりますと、この提出先運輸大臣、こうなっていると思うのですけれども運輸大臣に出さないで科学技術庁長官に出されたのは何に基づくのです。
  13. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 運輸大臣提出いたしますのは実用化されました原子力船についてでございます。それで括弧書きがございまして、「実用舶用原子炉以外の原子炉を設置した船舶にあっては、内閣総理大臣」ということになっております。この場合、内閣総理大臣から権限を譲られました科学技術庁長官ということでございます。
  14. 関晴正

    関委員 ただいまの第三十六条の二によりますと運輸大臣届けなければならない、しかし、実用舶用原子炉以外の原子炉を設置した船舶にあっては内閣総理大臣届け出なければならない。こちらの方に忠実にやろうとするならば内閣総理大臣に出すべきものじゃないですか。どうしてそれが内閣総理大臣に出さないで科学技術庁長官に出すのです。
  15. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 原子炉等規制法第七十四条の二にございまして、「この法律規定する内閣総理大臣権限は、科学技術庁長官委任することができる。」それで、次に委任できないものがありますが、それには指定されておりませんので、この三十六条は委任できるわけでございまして、委任手続がとられております。
  16. 関晴正

    関委員 私の言いたいことば、科学技術庁長官といい、原子力事業団といい、同じうちの中ですね。少なくとも、明確に表に出すべき文書ということになると、内閣総理大臣あて文書なんです。文書あて先内閣総理大臣として出されましたか、科学技術庁長官として出されましたか。どちらです。
  17. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 入港届科学技術庁長官中川一郎殿となっております。
  18. 関晴正

    関委員 私はけさ、きのう要請したところの文書を持ってこい、入港届文書写しを持ってこい、持ってこないのですね。どうして文書写し提出できないのです。何の理由で、そういうような文書提出を求めているのに、写しを私どものところに持ってくることができないのです。これからでも持ってくるというのなら持ってきてください。持ってこれないというなら、これない理由を言ってください。何です、一体。これは秘密文書ですか。
  19. 倉本昌昭

    倉本参考人 これは一般論といたしまして、こういった規制上の手続として申請または届け出をいたしました内容を、生のままで公表するということは適当でないと私も考えております。
  20. 関晴正

    関委員 大臣お答えいただきます。  大臣にあてた文書写しを要求して、大臣、これは出せないのですか。出していいでしょう。
  21. 高岡敬展

    高岡政府委員 役所の文書と申しますのは、これは申し上げるまでもないことでございますが、性格的に、そのまま公表するという性格のものではございません。本件につきましても、新聞その他一般の方に対しましても入港届そのものは公表いたしておらないわけでございます。  ただいま国会の席で資料の提出要求がございました、そう理解いたしますけれども、検討させていただきますが、いま直ちにお渡しできるということをお約束いたしかねます。
  22. 関晴正

    関委員 これは一体何です。こんなこと何なんです。私はきょうなぜこの問題を取り上げたかというと、あなた方は私ども青森県に、また県の漁連に、あるいはまた当該市長むつ市長に、単なる事務手続だからというて、この届けを出すことを了承してくれ、了承しませんでしたよ。了承しない。了承しないという言葉は使わないけれども、少なくともその行為については関知しない。これはおそろいで関知しないですよ。関知されないような入港届というのは有効ですか。  しかも、入港するのに当たっては条件があったでしょう。五者共同声明の中にきちんと、関根の浜に建設見通し確認、この上に立って大湊に入ることならば、これはまあいたし方のないことでもありましょう。その確認もなされないまま、その確認においてきちんとしておらない段階において入港届を出す、一体どういうことなんです。これが信頼される原子力行政になるのですか。原子力行政不信また不信不信行為の連続でしょう。  せめてこの後中川大臣だけは、信頼のあることをしてくれるであろう、こういうことで、大臣は何度あの浜に来たかわからない、来なくてもいいようなときまで来て、そうしてひざを折って言っておる。北海道で訓練されただけあって場なれたものでしたよ。だがしかし、関根の浜の確認ということはされていませんよ。建設確認見通しを終えて初めて入港届というものが出されるべき筋のものではないでしょうか。片一方が何にも了解もしない、関知もしない、一方的な入港届、しかも単なる事務的なものだからというてだまして、表現は悪いかもしれませんけれども、単なる事務的なものだから御了解くださいといって、そこにおる理事長だって石渡君だって何度迫ったかわからないことですよ。だが、むなしく帰らなければならなかったでしょう。  それでいて、七月一日あたりの話になるのかなと思ったのに、六月三十日になって、佐世保市長がきょうでなければだめだと言うたら、佐世保市長の言うとおりにならなければならないというので六月三十日にして、青森県の日程の七月一日を急遽一日繰り上げて会議だけは持った。でもこの会議は実りのある会議にはならなかった。単なる事務手続だから認めてくれとか、単なる事務だから了承してくれというのは、単なる事務手続届けとあと何の届けとあるのです。届け二色あるのですか、三色あるのですか。この間の真意をひとつ教えてください。
  23. 高岡敬展

    高岡政府委員 入港届につきましては、去る六月の三十日に提出されたわけでございますが、この提出に当たりましては事前に地元の三者、つまり県御当局、むつ市長それから青森県の県漁連の三団体のトップの間で会談が持たれまして、次の二点が了解されたわけでございます。  第一点は、この入港届というのば事務的な手続であるということで、入港届を出したからといって地元側としては大湊港に対する「むつ」の入港を認めたものではない、そういうことについては地元は関与しないという立場確認されたわけでございます。  でございますが、いまお話がございましたように、入港届といいますのは、法令定めによりまして入港前六十日までに提出をしなければいけないという事情がございます。それから、すでに御承知のことでございますが、佐世保港の出港期限というのが八月の末でございます。そういう非常に苦しい状況につきまして、るる私どもそれから事業団の方から地元に御説明を申し上げたわけでございますが、私ども苦衷といいますか、それと私ども地元説明、御納得いただく上での努力に対する誠意というものもお認めをいただきまして、一応の理解をしていただいたわけでございます。そういう理解のもとにこの入港届提出をされたという経緯でございます。
  24. 関晴正

    関委員 私は、そういうような経緯で出したということについては知っておる。知っておるのだけれども、少なくとも単なる事務的な入港届だから了承してくれ、こう言うのでしょう。単なる事務的な入港届のほかにどんな入港届があるのかと聞いている。事務届にはそんなに種類があるのですか。二色も三色も種類があるのですか。一色しかないでしょう。どうです。二色も三色もあるのですか。単なる事務届というのと単なるでない事務届とあるのですか。そこだけ答えてください。あるのかないのか。
  25. 高岡敬展

    高岡政府委員 入港届と申しますのは、先ほども申し上げましたように、法令定めによります行為でございますから、二通り三通りあるわけはないわけでございます。ただ、その性格につきまして、地元三者と私ども理解を共通にする必要があるということで、先ほど申し上げましたような、地元としては基本的には単なる事務手続了解する、ただし科技庁、事業団の苦しい立場、それから地元説得に対する努力というものは十分理解した上で入港届を認める、こういう理解が成り立ったわけでございます。
  26. 関晴正

    関委員 ただいまの局長答弁は間違っています。完全な間違いです。了解をして入港届が出されたということについては、あなたの方の判断は間違っていませんか。異口同音に関知しないと言っているのです。どうして関知しない入港届了解された入港届になるのですか。関知しないということイコール了解ですか。そんな国語はないでしょう、局長。あなたはいま了解されたと言いましたよ。了解されたればこそ出したんだろうというのが私の認識なんです、了解されないものを出すはずがないと思ったから。しかし、了解されていません。了解されていないのだが、単なる事務手続だから出すのだ、こう言っているのです。どうなんです。了解されたと思って出したのですか。了解されないけれども、単なる事務手続だから出したのですか。どっちですか。
  27. 高岡敬展

    高岡政府委員 先ほどのお答えの繰り返しになりますけれども、基本的な性格としては単なる事務手続であって、了解とおっしゃるのが、地元側大湊港への「むつ」の入港を認めるか認めないかということでありますならば、その点は了解をされておらないということでございます。
  28. 関晴正

    関委員 わかりました。明確になりました。  地元の諸君は了解しておらないのだが、がむしゃらにとにかくやらなければならないという長官侵略主義であるとは思われませんけれども、それに当たらずといえども遠からずの方の構えが、はしなくもここにあらわれておった、こう言っていいだろうと私は思うのです。オーケーと言って入るならいいですよ。関知しないと言うのです。関知しないと言うのに、入り込むというのですから、正常な姿じゃないじゃないですか。こういう入港届は無効になりませんか。長官どうです。これは無効じゃありませんか。
  29. 中川一郎

    中川国務大臣 せっかく関委員の御指摘ではありますけれども侵略的でも何でもないのです。単なる事務的という意味は——大事なのは入港そのものなんです。入港を認めるか認めないかというところにポイントがあって、言ってみれば、単なるという言葉は、入港届準備のための手続である、準備することぐらいについてだめというわけでもない、いいというわけでもない、関知しません、こういう了解、関知しないという了解をとったわけです。問題は、これから無理して、地元が納得しないのに強引に入れたら侵略的と言われますが、そういうことも含めて四者の間でよく話して、円満に入港という事実をやるための手続であって、決して無理はいたしておりません。あくまでも誠意誠意、話し合いと話し合い、五者間で話し合ってやりますので、どうかひとつ私たちの誠意苦衷というものも察していただき、ぜひとも御協力願いたいと存じます。
  30. 関晴正

    関委員 明らかになったことは、準備届であるということであります。入港届準備届けをした。これはただいまの長官の御答弁で明確になりましたから、入港届準備届とは違いますから、したがって、二カ月以内に届け出なければならない正式の入港届というものはこの後出されるものじゃないだろうか。また、そうすべきものじゃないだろうか。現在までは準備をしている、これは準備届だ。また、長官のいまの言葉はそれが自然だと思うのです。私は、少なくとも佐世保に対しては、そういう準備をして示さなければ、佐世保の市の議会も市長ももう出ていけ、たったいまのうち出ていけ、こうなってしまうでしょうから、示してくれ。向こうはそれでいいでしょう、いいと言うのだから。  そこで、私はさっきにまた戻りますけれども、先ほどの文書というのは、準備文書であったから内輪において出されて、総理大臣あて文書にしなかったのだということで、だんだん理解が進むわけなんですが、この点についてお答えの方準備できましたか。なぜ総理大臣あてにしなかったか。そして総理大臣あてにすべきものだということにおいて、改めて出すべきものではないのか。この点についてひとつお答えしてください。
  31. 中川一郎

    中川国務大臣 準備手続と本手続があろうはずがないのです。手続そのものを二カ月前にやりなさい、届け出しなさいというのには、入港に当たってすぐやるということはよくない、二カ月前に手続をしておきなさいよ、そのもの全体を準備という範疇に入れられるんじゃないかという判断からやったのであって、準備届と本届けとがあろうはずがありません。
  32. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、規制法の第七十四条の二におきまして、この法律全体に書いてあります内閣総理大臣権限のうちの多くの条項につきましては、これは明記してございますが、科学技術庁長官権限委任することができるという条項がございまして、安全規制関係しますこの条文に定められた手続は、現在すべて科学技術庁長官あてに行われております。ですから、科学技術庁長官あてという提出の仕方が正しいのでございまして、内閣総理大臣あて提出というのは、この条項が適用された後はあり得ないわけでございます。
  33. 関晴正

    関委員 あて先は、法に基づいて総理大臣とある。そして次の規定委任大臣というものがあるから、委任事項についてはその方だ、こういう見解に立っておられるようですけれども、それはやはり内部規定だ。表に言うておるところの法律ではちゃんと総理大臣とあるのだから、表の名前は総理大臣にすべきものだと思う。出す先は、委任を受けている方に出しても差し支えないだろうけれども、あくまでも責任者総理大臣だ。その点については意見として申し上げておきます。  そこで、その届けばいまどこにあるのですか。総理大臣委任を受けている科学技術庁長官のところに届けがあるのですか。そしてその届け運輸省の方に回っているのですか、回しているのですか。その関係はどうなっています。運輸省の方からおいでになっている方があればお答えをいただきます。そしてその届けというものを今日どう扱っておられますか。
  34. 赤羽信久

    赤羽(信)政府委員 届け出を受理いたしまして、現在科学技術庁が届け出を受けた状態にあります。具体的には、規制当局としての原子力安全局がお預かりしております。  運輸省に対しましては写しを渡してございますが、法律規定によります安全のための措置を連絡するという手続はまだ行っておりません。科学技術庁におきましては、法律定められました事項についての検討を行ったわけでございますが、冷態停止ということもございまして、特に問題はないと考えております。
  35. 関晴正

    関委員 そうすると、その文書について受け取っておる運輸省関係者の方がおいでになっているとすれば、その文書を預ったままですか、その文書を受けてどう処置しているのですか。担当者は来てませんか。——五分で来るそうですから、その答弁だけ残しておきましょう。  残しておくのですけれども、先ほど長官も答えたんだが、二カ月後に大湊港に入港する届けなんです。しかも明確に九月四日と示しているわけですよ。相手の方は関知しないという状況ですよ。その入港届については関知しない。言うなれば、世間的に言えば認知されない入港届みたいなものですよ。相手が何と言おうとかんと言おうと、九月四日に入るのですか。この点、どうなんです。入りたいというのは願望ですか。どっちですか。
  36. 高岡敬展

    高岡政府委員 入港に当たりましては、五者共同声明の中に明記してございますように、新定係港につきます建設見通しを五者の間で確認するということが条件になっております。でございますから、それを確認した上で入港をお認めいただく、こういうことでございます。でございますから、今後地元側の三者との間でその点についての協議を進める、いま進行中である、こういうことでございます。
  37. 関晴正

    関委員 不確かな条件のもとにあるのにもかかわらず、入港届を単なる事務などと言って出しておる。私はこの姿勢こそ間違いだと思うのです。イエスもノーも与えることができないという相手側の事情にあるのにもかかわらず、一方的に入港届を出して、そしてこの入港届というのは準備のような入港届であったかと思うと、法律に基づく正式の入港届であるようにも言っているし、これほど政治的な届けばない、これほど青森県民を愚弄しておる届けばないと私は思うのです。  相手方がオーケーと言わない。それなのに九月四日に入る。先ほど長官了解のないものには入るわけにはいかないのだ、こう言っている。侵略はしないのだ、こう言っている。その点はわかった。しかし、いつでも入りたい場合は入れるというような条件下においてこそ、初めて入港届というものは意義を持つのじゃないですか。そうでなければ、この入港届は威圧ですよ。入港届に従って事を運べという、これは一種の国の命令的なものですよ。そういう性質を帯びてくるでしょう。何がこれは単なる事務なものですか。これほど権力的な届けばない、私はそう思うのです。  日本の行政の中で、相手方が関知しないのに強引に事を運びますという行政はどこの場所で認められますか。よっぽど青森県民がおとなしくて、静かで従順で、権力に弱いから、こんなこともされるのでしょう。九人の国会議員のうち八人まで自民党だから、社会党の関晴正ぐらいくそ食らえ、こう思っているのでしょう。これはおごりの政治でしょう。よその県でこんなことをやられて、よその県の諸君は黙っておられるでしょうか。ローカル線が、大畑線まで廃止になれば困るから、何か中川長官の力で廃止されないように頼むなんて、とんでもないところまで青森県は頼みに行っているんですからね。よしよしとあなた方は胸を張って、幾らか電話をかけたり走ったりしてくれているでしょう。  私は、単なる事務手続だということで住民をだましておるこのやり方、これほどの不信行為はないと思っている。相手方がオーケーしたら、その時点で初めて適切な時期に入り込むようにするのが順序じゃありませんか。人の頭の上にこぶしをかざして、九月四日までに入るからちゃんとやれ、こう言わんばかりの姿勢というのは、これは原子力行政というものですか。中川行政の最たるものですか。それよりも、いつでもおいでくださいという条件をつくった上で手続をするというのが筋じゃないでしょうか。  そういうことで、そういう人の頭の上にこぶしをかざして、九月四日までに入るから仕度しろ、こら、なんというやり方で臨むというということは正しくない。もっと素直にオーケーできる状況をつくった上で入港届を出すべきものだ、改めて出すべきものだ。いま出されているものは私は無効のものだ、こう思っているのだ。  そういう点について、長官考えるところがありませんか。何せあなたは、六十日という法律定められている日にちがある。佐世保市長には、、出ていかなければならない約束をしちゃった。こっちの方がいまさら言うことを聞かなくなるというと困っちゃう。しかし、それはしょせんあなたの責任においてやった仕事から生じたことであって、むつ市長青森県側には何の責任もないことなんです。そう思いませんか。改めて直すならばいまですよ。どうぞ。
  38. 中川一郎

    中川国務大臣 青森県民を愚弄したとかいろんな御意見がありましたが、全くそう思っておりません。青森県を代表する行政の責任者は、県民の総意に基づいた、総意といいますか、正当に選ばれた知事さんをもって青森県の代表と見ております。したがって、青森県の代表である知事さんとはいろいろと話をし合って、関知しないという名のもとの了承をいただいて、納得をいただいて、まことに紳士的に話し合いを進めておるのであります。  私が、関委員が社会党であり、一人だから青森県をばかにした、とんでもないことであって、関委員青森県の選んだ国会の代表であって、青森県の代表とは思っておりません。その辺の認識のところは、国民的にひとつ国会議員であるということで御審議をいただきたいと思うのでございます。県民の代表で関先生と話しておりません。権威ある国会の代表だと思って話していますから、県民代表だというようなことでなくて、県民代表は知事に任せるという姿勢でやっていただきたいと思います。  したがって、県民の代表である知事さんと合意の上に、関知しないという合意の上に出しておりますから、改めて出す必要は毛頭ありません。
  39. 関晴正

    関委員 関知しないという了承、聞いたことありませんね。どうもあなたの国語の理解と私どもの国語の理解が大分違うようだ。ここで国語論をやる気はありませんけれども、少なくとも青森県の知事も関知しないと言う。青森県民が関知しないと言ったことと同じなんですよ。  なお、あなたはまた私に、県選出だけれどもあなたは国会議員だからそう扱っているのであって、ばかにしていないというお話ですが、そのとおりにしていただきたいと思うのです。しかし、これもばかにしているとは思わないけれども、あなたは特別、自民党の青森県選出の国会議員にだけ御説明していますね。尊重しているならば私にも説明していいのじゃありませんか。まあこれはその辺にしておきます。  海上保安庁がおいでになっているようですから、海上保安庁の方に聞きたいのですが、二カ月前の入港届というものが出されて、あなたの方ではこの受けた入港届というものをどう処理する、またどう当たっておられますか。この点だけお答えください。
  40. 鈴木正明

    鈴木説明員 いまお尋ねの「むつ」の入港届でございますが、釈迦に説法でございますけれども、炉規制法に基づきまして入港届科学技術庁長官に出る、これが正式でございまして、その入港届が出たということを科学技術庁長官から運輸大臣あてに通知が参っております。あとは、海上保安庁長官に対しては、こういうふうに入港届が出たという写しが事実上来ている、こういう状態でございます。  それで、炉規制法で与えられました海上保安庁の役割りは、科学技術庁の方で災害を防止するための措置が必要であるかどうか、こういう判断をされて、その措置が必要であった場合に、こういう措置をとってほしいという通知が来て、その通知を実施するという役割りでございます。それで私の方は、入港届が出たということを事実上知っている、そういう状態でございます。
  41. 関晴正

    関委員 もう一つ。地元青森県側はこの届けを関知しないと言っている。関知しないということは、この入港届は了承されていないということになると思うのです。その点は、海上保安庁としては関知しない入港届をどう扱うのです。——海上保安庁に聞いているのですよ。あなたに聞いているんじゃない。
  42. 高岡敬展

    高岡政府委員 海上保安庁の方から御答弁があろうかと思いますが、その前に、多少誤解されている面があると思いますので、御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたように、地元三者は関知しない、こういう表現をされておるわけで、了解されておるわけでございますが、その意味は、この入港届を六月三十日という時点で政府に事業団から提出をされたということですね。そのことが即六十日後に大湊港に入港することを地元三者が認めたということではない、こういうことでございます。  でございますが、六月三十日の時点で入港届を出さざるを得ないという立場事情というものについては、地元三者、むつ市長を含めまして十分御理解をいただいて、地元の頭越しに一方的にこういった手続を政府、事業団が進めたということではないという御理解は、地元三者いただいておるというふうに理解をしております。
  43. 関晴正

    関委員 その論を繰り返したくないのですがね。佐世保市長には、出港の時期はいつかということを明確にしてあげなければならなかったからこそ、二カ月前には、ここを出て青森に行きますよというあかしを出さなければならぬ。ですから本当は、了解をもらったならば出そうと考えていたのでしょうが、なかなか了解を得られそうもない。そうして一日ずれる七月一日では、了解を得たとしてもぐあいが悪い。そういうことで、前の日の六月三十日に了解をもらえないながらも、とにかく話をしたよというさまをつくるためにおやりになったわけです。アリバイ成立といいましょうかね、悪く言えば。何もやらなければぐあいが悪いから、何かやっておけということでしょう。そういうことでやった。  向こうはいいですよ、それで。わかりました。しかし、青森側は、よって九月一日に入港しますとか九月四日に入港しますと言われても、わかりましたとは言っていないのですよ、あなた。両方満足をすることであるならば、出ていってよろしい、来てよろしいというならば、私は入港届というものにも権威があると思う。半分しか認められていない。出ていく方は喜んで、これはいい入港届ですねと言っていますが、おいでになる方の青森側は、わしは知らぬよと言っているのだ。関知しない。中川大臣は関知しないという了解をもらったというの、だから、とにかく困った了解をしているなと私は思います。大変むちゃだと思います。  そこで、これはあなたが事業団理事長なんです。あなたは何度も青森に来たでしょう。何とか了解してくれ、了解してくれと何度も市長に頼んだでしょう。市長はわかりましたと言わないでしょう。なぜ市長がわかりましたと言わないのにもかかわらず、入港届をあなた無理に出すのです。何でわかりましたと言わないむつ市長に過酷な条件を与えるような、一種の重荷ですよ、頭がすらっといきませんよ。  中川長官は、青森県民を愚弄するんじゃなくて大事にしているんだ、こう言っているけれども、そうは思っていませんよ。向こうは九月四日に入りてくるんだなと思っているのです。よくないな、よくないなと言っても、来るんだな、来るんだなと思っているのです。二つの分別が頭の中に作用しているのです。ということは市長をいじめていることですよ。苦しめていることですよ。どうしてそんなことをあなた方はするのです。待ってもらったらいいのじゃないですか。何で早まるのです。単なる事務的だからなんと言うが、単なる事務的だなんということにごまかしがあるじゃありませんか。  あなたの了解がなきゃやれないのですよ、だから了解してくれませんかと言ったらいいでしょう。市長は言うたでしょう、私の了解がなければ入れないのですかと。あなた方の方で、そんなこともないと言ったのでしょう。そんなこともないなら、何も行かなくてもいいでしょう。そういうやり方が不信行為だというのです。しかも、漁連も関知しない、県も関知しない、市も関知しない、関知しなくてもわれは行くというのでしょう。これで信頼がわきますか。不信が重なることがあっても信頼が重なることにならないじゃないですか、あなた。理事長としてどう思っています。
  44. 井上啓次郎

    ○井上参考人 ただいま御指摘の点につきましては、先ほどからたびたび出ておりますが、この入港届を出すときには三者の地元のトップ会談が行われました。私も陪席さしていただきましたが、そのときに地元立場というものは明快に出されておりまして、先ほどからお話があったように、三者とも関知はしないが、科学技術庁、事業団努力はよくわかる、頭越しでないから提出することは差し支えないという御理解でございまして、これは私の承知する限り、むつ市長にもその点は十分御理解を得たと私は考えております。
  45. 関晴正

    関委員 あなた方は、入港届を出して、その入港届に従って九月四日に入港するんだ。この九月四日は動かしませんか。どうです。
  46. 井上啓次郎

    ○井上参考人 九月四日というのは予定でございまして、船でございますのでいろいろ天候のぐあいもございます。あるいは整備の関係もございます。そういうことを全部含めまして、四日には入港できるということを予定しておるだけでございまして、これは現実には変更できるものと承知しております。
  47. 関晴正

    関委員 何の事情によって変更できますか。
  48. 井上啓次郎

    ○井上参考人 一番われわれが懸念しているのは天候でございます。御案内のように原子力船は現在冷態状態でございまして、実際動くのは補助エンジンで動くわけでございます。せいぜい十ノットぐらいでございまして、そういうふうな意味では、安全を期するためには天候を十分考えないといけないと私は常々思っております。船長にもその点は十分伝えてございますが、九月の初めというのは天候の悪くなる時期でもありますので、その点は十分心得ておりますが、変更というのはそういうふうな点を十分踏まえてということでございます。
  49. 関晴正

    関委員 天候のいかんによっては早まることもあるのですか。
  50. 井上啓次郎

    ○井上参考人 いまのところ、天候のぐあいがよければ四日に入港したいという希望を持っております。
  51. 関晴正

    関委員 私は大変残念だと思うのです。私は、少なくとも了解されていない限りは入港はできないものだと思っているのです。あなたは、天候さえよければ入港できるのだ、こう思っているわけですね。しかし、これは地元了解しないことには、幾ら天候がいいったって入れないのじゃないですか。どうです。
  52. 井上啓次郎

    ○井上参考人 御指摘のとおりでございまして、去年の五月、五者会談の共同声明にもありますように、入港は、関根浜母港建設見通し確認あるいは入港、停泊の条件の整備ということが前提でございまして、現在それに向かって事業団は全力を注いでおります。これは一つ言えば、漁業補償の交渉が始まったとか、あるいは用地買収の説明を行ったとか、あるいは漁業振興策の調査を行っておるとか、そういう積み重ねをいま最善の努力を払ってやっております。  なお、入港条件につきましても、地元の御意見が大事でございますので、よく御相談を申し上げて、御理解の上に入港条件を確定したい、こう考えておりまして、現在、われわれとしましては、科学技術庁の御指導のもとに十分努力をしているつもりでございますので、御了承願いたいと思います。
  53. 関晴正

    関委員 入港に当たっての条件はいつ妥結しそうです。いっそのことについての話し合いが完了しそうですか。
  54. 井上啓次郎

    ○井上参考人 これはいまお話し合いの最中でございまして、いま予定をいつだということはちょっと申しかねる次第でございまして、この点は御了解願いたいと思います。しかし、なるべく早く私はそういう詰めをさしていただきたいと希望しております。
  55. 関晴正

    関委員 その詰めに当たっての条件をあなたの方でお出しになって、そしてその条件が整わなければ、事と次第によっては四日の入港はむずかしくなる、こういうことも出てきますね。どうです。
  56. 井上啓次郎

    ○井上参考人 理論的にはそういうことはあり得ると思いますが、私は、いままでの折衝の過程を見まして、そういうことがないように、十分御理解が得られるように、これは地元の条件もありますし、あるいは私たちの話も聞いていただけるという状況のものでございますから、そういうふうな意味では、不可能だというふうには理解しておりません。
  57. 関晴正

    関委員 駆動試験の問題ですけれども、一つ一つの個々の駆動試験は佐世保でやった。グループの駆動試験はどこでおやりになるのです。それをやらないで青森に入っては困ると言っているのです。どこかでやってから青森に入るのですか、やらないで入るのですか。青森でやるのですか。どこでいつやる考えです。そのことだけ答えてください。時間がありませんから、長々でなく答えてください。
  58. 井上啓次郎

    ○井上参考人 佐世保で行いました駆動試験は、一本一本をチェックしましてその性能の確認をしたわけでございます。いまお話しのグループ試験というのは出力上昇試験の一環でございまして、その点はまだどこでやるということは決まっておりませんが、われわれとしましては、そういうふうな機能試験あるいは出力上昇試験というのは、ぜひ今後のお話し合いの上で御了解を得てやりたいという希望を持っております。
  59. 関晴正

    関委員 どこでやりたいと希望しています。端的に答えてください。どこでやりたいのです。
  60. 倉本昌昭

    倉本参考人 この制御棒の駆動試験でございますが、佐世保で一本ずつやりました結果、非常に順調に行われまして、駆動機構につきましては十二体全部健全性が確認されております。したがいまして、今度グループ試験につきましては、この一本一本が健全でございますので、グループ試験も問題なくやれるものというぐあいに私ども考えております。このグループでの試験につきましては、これは臨界あるいは出力上昇試験の前段階でその準備のためにそういったグループでのテストと申しますか、そういうようなことをやるわけでございまして、これは、ただいま理事長の申しましたように、出力上昇試験の一環ということになりますので、そういった臨界、出力上昇試験等をどこで実施するか、これについてはまだ決まっておりませんが、それらが決まった時点で、それを実施する前段の準備と申しますか、その準備段階に入った時点で、それを行うことについての場所が決まったところでやるということになります。
  61. 関晴正

    関委員 だから、どこでやりたいと考えているかと聞いているのです。お答えください。考えていないのですか。
  62. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在の時点で、どこでということにつきましてはまだ何ら決めておりません。
  63. 関晴正

    関委員 まだまだこの問題について聞きたいことがあるのですが、どうしてもあと時間がないものですから、二つ別なものに移ります。  一つは、新聞をにぎわした「むつ」融資という問題です。「むつ」融資ということで余裕金を中小企業対策に向けた、これは、事業団法からいけば三十一条、それから日本原子力研究所法からいけば三十三条、それから動燃事業団法からいけば三十六条、ここでは明確に余裕金の運用についての規定がございます。団の運営に当たっての金以外に余裕金を他に回してはならない、こうあります。明らかに、「むつ」融資というものはこの法律に違反する行為をおとりになったのではないかという点が一つ。  もう一つは、佐世保市に対しては魚価安定基金対策ということで二十億の金を出しております。青森県には三億の金でありました。何も炉を動かすこともしないところの佐世保については二十億を出しております。出航する時点においては二十億の金も吸い上げるようになっておりますか、それともこれはおみやげとして置いてくることになっていますか。この点にだけお答えをしぼっていただきたいと思います。
  64. 高岡敬展

    高岡政府委員 二億円の佐世保を本拠といたします親和銀行に対する融資でございますが、ただいま御指摘がありましたような動燃事業団法でありますとか、原子力研究所法でありますとか、原子力船研究開発事業団法、こういった法令規定に違反する資金の運用は一切やっておらないわけでございまして、こういった事業団あるいは特殊法人というものが各種の事業を運営しておりますけれども、その事業運営に当たりまして、年度途中で余裕金といいますか業務運営上の資金の余裕が出る、そういったものは資金運用の効率化を図るために銀行に預金をするという行為が認められておるわけでございます。そういった合法的な、認められた行為として親和銀行に対する二億円の預金が行われたということでございます。  もう一点の、長崎におきます「むつ」の風評によります魚価低落対策としての二十億円の措置でございますが、これにつきましては、事柄の性格その他申し上げませんけれども、いずれにいたしましても、地元の御了解を得た上で措置をするということになっております。「むつ」によります風評による魚価低落というのが完全になくなったかどうか、そういった状況になった時点で地元の御了解を得て措置をする、こういうことでございます。
  65. 関晴正

    関委員 済みません、時間過ぎて。  法律には、余裕金の運用についてきちんと、どの事業体においても示されていますよ。原子力船研究開発事業団法の第三十一条には、「事業団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。」ところがあなた方は、それぞれ他の方からは八千五百万ずつ、この事業団からは三千万円、合わせて二億という金を指定する銀行に貯金させて、その運用を図って中小企業対策の借入資金に回すように指導したでしょう。組んでやったでしょう、だれが命令かけたかわからぬけれども。これは明らかにこの条項に違反することです。余裕金を銀行に貯金するのは任務上あたりまえですよ。しかし、目的を持って他の銀行に預金するようになると、この法の定めるところの余裕金の運用に抵触するじゃありませんか。  それをあなたは、いま抵触しないと言っておりますけれども、それはまた後日論ずることにします。少なくとも、公の席上で取り上げている以上は、余裕金は運用してはならない、いずれも示されている法律にあなた方は違反しているじゃないか。だれがそれを指示し、だれが預金したかはいずれまた聞きます。  その次、二十億の金を相手が了解すればもらう、相手が了解しなければそのままに置いてくる、こういうやり方だと、何のために金を出したのか。目的どおりに金が使われない。出したものは取ることができない。こういうことになってしまうでしょう。この点についても私は、中川長官があれはおみやげとして置いてくるようにしたのかどうか、いやいや、これは船とともについているものなんだから、船がそちらにいけばそれはそちらに参ります、こういう金になるものなのかどうか。この点だけをきちんとお答えいただいておかないと、私は後々のためにもならないと思う。長官にひとつこの点について、二十億はおみやげに置いてくるつもりなのか、それとも引き揚げてくるつもりなのか、相手の了解があればもらってくる、了解がなければ置いてくる、こんなことになっているのかどうか、これをお答え願います。私の質問はこれで終わりますから。
  66. 中川一郎

    中川国務大臣 おみやげに置いてくるということではありません。が、何分にも御協力をいただいておりますし、風評による魚価低落が一まだ現在船がある段階ですから、いまの段階でこれをどうするこうするということを言うのは、むしろ誠意ある長崎漁連の皆さんに対して失礼でございます。誠意には誠意をもって、理にかなったことで今後処していきたいと思っております。
  67. 森美秀

    森委員長 斎藤実君。
  68. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、エネルギー問題について御質問をいたしたいと思います。  エネルギーにつきましては、国際情勢はきわめて厳しい状況にあるわけでございまして、石油にかわるエネルギーの供給拡大については、わが国のエネルギー供給、経済の安定上欠くべからざる要件でございます。特に原子力は、現在大量なエネルギーを最も経済的、安定的に供給をいたしておりまして、その手段としての原子力開発を促進するについては緊急を要すると考えるわけでございます。  そこで、まず原子力開発の開発計画について伺いたいと思います。  政府はこの四月、総合エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通し中間報告を受けまして、昭和六十五年度の原子力発電容量を四千六百万キロワットとする石油代替エネルギーの供給目標をことしの四月二十三日に閣議決定をしております。  現在、わが国の原子力発電は、運転中、建設中、準備中を合わせて約三千三百万キロワットでございまして、目標達成のためには、昭和六十五年度までの八年間に新たに千三百万キロワットの原子力発電所を完成しなければならないことになるわけでございまして、この目標達成はきわめてむずかしいのではないかと私は思うのですね。仮にこれを毎年平準化してみますと、一基百万キロワットの原子力発電所を今後八年間にわたって毎年下五基以上つくり上げていく勘定になるわけでございまして、いままでの原子力発電の準備中あるいは工事中、運転中の経緯を見まして、きわめて困難ではないかと思うのですね、この三千三百万キロワット達成については。  政府が石油代替エネルギーの大きな柱の一つとして考えている原子力発電の開発目標にそごを来すようなことがあれば、供給目標全体に重大な影響を及ぼすことになりかねないと思うのですね。特に見通しでございますから、政府は、一たん目標設定をしても下方修正をするということがたびたびございました。政府は、昭和六十五年度四千六百万キロワットという原子力発電開発目標の達成の可能性についてどう考えておられるのか。果たしてこのとおり実現できるのかどうか。また、この達成のためにはどういう具体的な手だてを持っておられるのか。まず最初にお伺いしたいと思います。
  69. 高沢信行

    ○高沢説明員 現在の原子力発電施設につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、運転中のものが二十四基、それから建設中のものが十一基、それから建設準備中のもの六基、合わせまして四十一基、三千二百八十八万キロワットとなっています。昭和六十五年度の原子力発電の供給目標でございます四千六百万キロワットに達するためには、この後千三百万キロワットの新たな原子力発電施設の開発が必要でございますが、これまでまだこの千三百万キロワットにつきましては電調審を通過してないわけでございますけれども、今後の許された期間の中で、官民の最大限の努力によりまして、できるだけ早期の電調審通過を目指して努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。  これまでも、原子力立地の円滑な推進のために、当省といたしましては、その安全性の確保に万全を期すとともに、その地方に対します広報活動、それから電源三法の活用、そういったPA対策を行ってきているわけでございますが、今後とも、こういった施策の拡充によりまして、この目標達成に努力をしてまいりたいと考えております。この目標自体決してなまやさしい目標値ではございませんけれども、官民あわせてその最大限の努力によって、何とか目標に向けて努力をしていきたい、そういうところでございます。
  70. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いま答弁がありましたように、原発に対するPRあるいは電源三法の適用、私は、これだけではなかなかむずかしいのではないかと思うのですね。  それで、いままでの原発の計画から準備工事あるいは運転までに至る経緯を調べてみますと、最大のネックは立地問題なんですね。この問題をどう具体的に地域の住民の納得を得て目標達成するかということは、避けて通れないのです。この立地問題というものはおろそかにはできないことですね。  それで、計画を始めてから電調審を通るまで、長いところは十年、早いところで七、八年ですね。それから電調審を通って運転開始まで、長いところは十年、早いところで五、六年というんですね。並べてみて、計画を立ててから十四、五年という長い年月がたっておるわけです、後で触れますけれども。  そこで、原子力発電を目標として開発をしていくためには、立地地域の人々の原子力に対する合意、これが最大の要件になるわけでございまして、現在原子力立地がきわめて困難な状態にあるのは、一つは原子力の安全性に問題があるということ、一つは原子力発電所の立地と地域社会の将来の結びつきがきわめて明確でないということなんですね。  安全問題はきわめて重要な問題でございますので、時間が限られておりますから、また別の機会にただしたいと思うのですが、原子力発電所を立地した場合、立地地域や周辺地域に電源立地促進対策交付金、原子力発電施設等周辺地域交付金、電力移出県等交付金等が交付されているわけでございますが、現在地域住民が望んでいることは、これらの交付金の使途が公共施設を中心に回っているわけでございまして、たとえば道路とか港湾とか、あるいは教育、社会施設というように限られておるわけですね。本来、地域の産業振興に結びついて有効に活用されることがきわめて大事だと思うわけでございます。また、この対象とする地域が立地当該市町村と隣接市町村に限定されているわけでございまして、広域的に何ら恩恵が与えられていない。したがって、この交付金について、地域につながらない現状をもっと改善する必要があるのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  71. 渡辺光夫

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  原子力発電所の立地に当たりまして、それが国のエネルギー政策の観点からきわめて重要なことであるということで、いろいろ地元の方々の御理解と御協力をお願いするわけでございますが、地元の側から見ますと、発電所の建設に当たって、地元の長期的な経済の発展でございますとか、産業の振興、ひいては住民福祉の向上につながるようなものにしてほしい、こういう御要望がきわめて強いわけでございます。政府といたしましても、ただいま先生のお話のございました電源三法を中心といたします各般の施策を講じてきておるわけでございますが、ただいまも先生からいろいろ御指摘ございましたように、現在の制度は地元の地域振興を図る上でいろいろ問題があるのではないかという御指摘は、私どもも承知しているわけでございます。  したがいまして、この電源三法の運用に当たりましては、できるだけ地元の皆様方の長期的な自立的発展に役立つような使い方ができるようにということで努力をしてきておるわけでございますが、五十七年度につきましても、特に最近は、産業の振興を図れるような使い道にしてほしいという要望を踏まえまして、新しく使用範囲を拡大するというような措置を講じておるわけでございます。今後とも、そういう意味での施策は努力してまいりたいと思います。  また、単に発電所所在の市町村とかあるいはその周辺だけというのでは、地元の一体的な地域振興には不十分ではないかという御指摘もございますので、そういう点も踏まえまして、特に電力を大規模に発生するような府県の場合につきまして、県が広域的な観点から産業振興の措置をとれるような新しい制度も五十六年度から実施いたしておるわけでございます。今後とも、こういった措置の運用につきましては、地元の要望を十分踏まえまして、きめ細かな拡充を図ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  72. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 渡辺さん、この立地の段階で通産省と電力会社だけでおやりになっているわけですね。実際、地元としてみれば漁業補償問題等もありますね。だから、農林水産省と行政の整合性の上でがっちり組まないとなかなかむずかしいのじゃないかと思うのです。だから、通産省ベースだけではなかなか対応できないだろうと思う。  たとえば電源三法の一部を農林水産省などに総合調整指導の形でつけかえてやれば、実質地域の産業に喜ばれるような施策が講ぜられるのではないか。これは私の意見でございますが、電源三法にこだわらないでやはり地域産業振興、もちろん安全性が基本になりますけれども、地域住民が、なるほどそれでは原発ができてその地域の振興になるのだという形を示さなければ、いつでもがたがた問題が起きて長引くのではないか、それがひいては計画の達成がおくれるもとになるのではないかという立場で私は申し上げているわけです。  そこで、いま渡辺さんから電源三法による交付制度の話がありましたが、これは原子力発電所の建設が正式に決まった、あるいは工事が着工されて初めて交付されるものなのですね。こうした交付金制度一つ見ても、立地初期段階における国、政府の対応が全くないと言っても過言ではないのですね。先ほどあなたも答弁されたように、何らかの地域振興対策をこれからとらなければならぬという答弁がありましたが、ぜひそれはやっていただきたい。地元にしてみれば、原発を受け入れた場合に地域社会がどう変わるのか、特に漁業、地場産業などがどうなるかということですね。あなたは十分承知だろうと思うのですが、この立地の初期段階において、地域社会が適切な判断を下せるに足る要件を整えるべきだというのが私の考え方なのです。そこで、立地初期における政府の今後の地域、自治体、住民に対する対応を具体的に答弁いただきたい。
  73. 渡辺光夫

    ○渡辺説明員 先生お話のございました第一点の関係各省等の問題がございますが、実は私ども、電源三法によります事業につきまして一応窓口としてのお世話をいたしておるわけでございますが、事業の内容そのもの関係各省に関連の深いものもきわめて多いわけでございます。  したがいまして、事業の実施に当たりまして、各地域ごとに整備計画というものを県が中心になっておつくりいただくわけでございますが、この整備計画の作成に当たりましては、関係各省が全部内容について十分お話を伺う、こういう態勢で進んでおるわけでございます。また、その計画を実施いたします個々の事業の内容につきましても、関係各省にも十分御相談しながらやっていく、こういう態勢を進めておりますので、政府内部の連絡は十分にやっておるつもりでございますが、御指摘の点を踏まえまして、今後ともそういう点を十分配慮してまいりたいと思います。  それからもう一つの、立地初期段階からの扱いの問題でございますが、確かに、現在の三法の交付金が現実に交付されますのは発電所の着工が始まってからということになっております。したがいまして、その前の段階でお金が出ないという問題はあるわけでございますが、先生御指摘のように、地元振興というのは実はもっと早い段階から、その地域がどういう発展が考えられるかということで始まるわけでございますから、そのためのいろいろな施策を考えております。  たとえば地域振興に当たって都道府県が地域振興の計画をつくりたいというような場合には、それに対する一部の費用の援助も申し上げておりますし、さらに、政府あるいは関係機関の持っておりますいろいろな地域振興に関連します情報の提供でございますとか指導、そういうことにもお手伝いさせていただいているわけでございます。そのほか、必要な場合には地域振興関係の専門の民間機関にお願いいたしまして、地域振興のビジョンをつくっていただく、そのビジョンをつくるに当たっては、地元の関連の方々にも御参加いただいていろいろな御議論をいただく、そういうようなことも用意しているわけでございます。  ただ、こういう計画というのは、その実施に当たってまたいろいろな問題が出てくるわけでございますから、単に計画をつくるだけではなくて、その計画達成のためのいろいろな努力関係者の間で行われていく必要があるわけでございます。私どもも、先ほど来申しておりますように、電源三法はもちろんでございますが、その他の点につきましても、その計画の円滑な実施ができるように今後ともいろいろな努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  74. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、立地初期段階では、国、政府が地域の将来について基本的な計画なり、県なり市町村と相談をして何らかの資金なりバックアップ、計画に参加をさせてその中でこれを進めないとなかなか計画は達成されないだろうと思うのです。それがないから自治体が前面に出ざるを得ない。権限は何もないということですね。地域住民と自治体とのいろいろなトラブル、不安、あるいは地域住民と電力会社、通産省という形になってしまう。  そういうことでございまして、地域が求める開発計画を具体化するために、通産省が十分リーダーシップをとって、その地域振興のために原発計画を十分組み入れていただきたいということを要望申し上げておきたいのでございます。  そこで、長官に伺いますが、わが国科学技術は欧米先進諸国からの技術導入、改良等を通じて発展をしてきました。今後は総合的、長期的視点に立って自主的、創造的な研究開発を中心として科学技術の研究を充実することがきわめて重要であるということは大臣も所信の中で述べられておる。そこで、臨調の基本答申では、科学技術に関して、科学技術会議による企画調整機能の強化、官民分担の考え方等、評価できる面も多いと私は思っているのですが、中川長官、この基本答申をどういうふうに受けとめておられるのか、まず伺いたいと思います。
  75. 中川一郎

    中川国務大臣 今回の臨調の基本答申の中では、科学技術行政に関しては積極的な方向を打ち出されているものと理解しております。科学技術振興は重要課題である、こういう認識の上に立ったものと存じます。したがいまして、科学技術に関連する答申で示された事項につきましては、今後、行政の実態も十分に踏まえまして検討を進め、順次具体化を進めていきたい、こう思っております。
  76. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 原子力発電に関連をいたしまして、軽水炉による原子力発電でございますが、この軽水炉の熱利用について政府は検討を進めているのかどうか、伺いたいと思います。  軽水炉の熱利用についてはわが国が経験したことのない新たな分野だと私は考えるわけでございますが、軽水炉の熱利用につきましては、原子力発電の立地とあわせて、原子炉の熱を有効に利用することは、産業の誘致あるいは育成を行うことによりまして地域の振興地元の雇用の増大に貢献することになると私は思うのです。わが国のエネルギー政策上、この軽水炉の熱利用について、制度的に適切な位置づけが必要ではないかと私は思うのですが、どうお考えになっておりますか。
  77. 高岡敬展

    高岡政府委員 いま御指摘ございましたように、軽水炉、つまり発電用の原子炉といたしまして非常に広く利用されておるのでございますが、これを発電以外、つまりいまおっしゃいます熱利用という面で活用してはどうかという御提言でございます。  この点につきましては、最近、原子力委員会で新しい研究開発利用の長期計画をまとめたわけでございますが、その作業の段階でも、一つの重要な事項として専門家に御参加いただきまして審議がされたわけでございます。発電以外にも、軽水炉の熱を化学工業でありますとかパルプ工業でありますとか、ただいま御指摘ありましたような民生、国民生活の面にも利用するということで活用する道があるのではないかということでございます。すでにいろいろな研究開発も進んでおりますし、利用系と言いますが、原子炉の熱を利用する側での研究開発ということも進んでおります。  ただ、発電の場合と違いまして、むずかしいのが経済性でございます。熱利用の場合の規模といたしましては、発電炉が、たとえば一番最近のもので百万キロでありますとかあるいは百三十万キロでありますとかと非常に大きな規模で実用化されておるわけでございますが、熱利用という観点から利用する場合には、それほど大きな炉にならない。そのために経済性が劣るということで、経済性の確認が必要でございます。  もう一つ非常に重要な点は、国民生活の場あるいは産業活動の場に原子炉といった原子力の熱発生のプラントを立地するということでございますから、そういうことについて一般の方の理解を得るということがかなり重要な問題でありますし、容易でないという点がございます。この問題につきましても鋭意取り組むべきだという考えで対処しておるわけでございます。
  78. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 中川長官にお尋ねをいたしますが、先ほど私が、閣議決定をした六十五年度までに四千六百万キロワットにする原発の目標ということで質問いたしましたが、現在三千三百万キロワットですね。あと千三百万キロワットをどうするかということなのですが、通産省でもなかなか厳しいという御答弁がございました。これは先ほど質疑の中で私が申し上げましたように、ネックはやはり立地問題なのですね。  そこで、総合的な地域住民の合意なりあるいは振興なり考えないと、これは目標達成にならぬだろうという指摘を先ほどもしたわけですが、改めて長官ひとつ、国と地域との間の総合性のある合理的な行政システムというものをつくって進めなければ、立地から電調審まで十年も七年も八年もかかるということがいつまでも続くだろう、そうすればまた計画が実現できないのではないか、こう私は心配するのですが、この問題について御答弁をいただきたいと思います。
  79. 中川一郎

    中川国務大臣 原子力発電の平和利用、昭和六十五年までに四千六百万キロワットを目標にしておりますが、なかなか立地の問題でむずかしいのではないかという議論が一方に現実としてございます。われわれもその点心配しておるところでございます。  そこで、これを達成するのに何がネックかというと、御指摘のとおり立地問題である。ところが、立地問題に二つありまして、一つは、安全性から立地について御協力が得られない。これも非常に頭の痛い問題でございまして、われわれとしては安全ということについて理解が得られるように最善の努力、PRもいたしておりますが、最大の御理解を得られる理由は、現実の原子力発電所が安全な運転をしておる、ここにあるのだろう。一時期敦賀の原電においてああいう事故もありまして不信を与えたことは本当に遺憾だと思いますが、最近、あの事故もそれほど大きなものではなかったということの理解もだんだんと得られておりますが、こういった点について最善の努力をさらに一層やっていきたい。  もう一つ、立地については、地域の振興がどうなるか、こういうことの意見がいろいろございます。われわれも、共存共栄という考え方から、原子力発電に御協力いただくと同時に、地域がまた潤いのあるものになっていく、地域が振興される、こういうことが必要であろう。いままで電源三法を中心にしてそれぞれやってきましたが、いろいろ御指摘もございます。今後またいろいろ工夫をして、実情に合うようにしてまいりたい。  実はこの問題は、御承知のとおり通産省が主務官庁でございます。私たちは試験炉、実験炉等々研究開発についても関係がございますので、通産省とも寄り寄り相談をしながら、最終的には四千六百万キロワットが実現できるように最善の努力をしていきたい、こう思っております。
  80. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、またお尋ねをいたしますが、臨調の基本答申で「国土に係る行政体制の在り方等」中でも「企画調整機構の統合」について、国土庁、北海道開発庁、沖繩開発庁を統合するということになっておりますが、大臣は北海道出身の代議士で、昭和二十五年に北海道開発法ができまして、開発庁が発足して三十年になるわけですね。この三十年の短い間で、北海道は類例のない総合開発の成果を上げてきたと私は思うのですね。開発計画あるいは開発予算、産業振興、三位一体となって効果的に機能を果たしてきたと思います。  ですから、この北海道が百年ちょっと過ぎましたけれども、本当に発展性のある国土というものは長期的に見なければなりませんので、そういった意味で、北海道開発庁が北海道の開発に果たしてきた役割りはきわめて大きいと私は思うのですね。ぜひ存続すべきだというふうに考えるのですが、長官の御所見を伺いたいと思います。
  81. 中川一郎

    中川国務大臣 この問題について、科学技術庁長官として意見を言う立場にはございません。ただ、せっかくの御指摘でございますから……。  臨調答申においても、北海道開発の重要性は否定しておらないようでありますし、また、予算の別途計上あるいは補助率の特例等も存続していいという趣旨のことが書いてございます。ただ、似通った役所である国土庁と沖繩開発庁と北海道開発庁を合併することが望ましいのではないか、そうあるべきではないか、こういう趣旨だと思います。  そこで、私は疑問を持つのは、せっかく北海道開発が重要であるとするならば、合併するメリットがあるのかね、合併することによって、たとえば財政上非常にうまみが出てくるとか、仕事の能率が上がってくるとかいうようなことがあれば、これも北海道開発の上で前向きに対応していいと思うのでありますが、いまよく研究しておりませんが、合理化することによって、第二臨調が掲げた国家行政機構の大改革になるだけのメリットが一体あるのかどうかという点については今後議論をしてみたいな、こう思っているわけでございます。
  82. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 以上で私の質問を終わります。
  83. 森美秀

    森委員長 和田一仁君。
  84. 和田一仁

    ○和田(一)委員 さきの当委員会でも私御質問したDNAの組みかえにつきまして、きょうもまたお尋ねをしたいと思います。  この七月二十九日に、科学技術会議ライフサイエンス部会から、組みかえDNAのガイドラインの改定についての発表がございまして、さきに出されておりました学術審議会の建議とあわせて、この八月の末にはこれが通告をされて実施される、こういうふうに伺っておりますので、これについて若干お尋ねをしたいと思うわけでございます。     〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕  これは今度も大変大幅な改定になるのではないか、こういうふうに思います。このガイドラインが決められたのが五十四年の八月二十七日、それから五十五年の四月と五十五年の十一月、さらには五十六年の四月と何回か改定がされてきたわけでございますけれども、今回のは、そういった改定の過去のあり方から見ても大変大幅な緩和になっているような気がいたしました。わずか三年の間に大変大きく緩和されてまいりましたが、この今回のこういったガイドラインの見直し、改定案につきまして、これは所管の大臣として、この大幅緩和を含めて基本的にどのようにお考えになっておるか、御見解をまずお伺いしたいと思います。
  85. 中川一郎

    中川国務大臣 組みかえDNA研究が、医学あるいは微生物工業等応用を考えるときに、人類福祉の上に非常に重要な研究であるということは御指摘のとおりでございます。組みかえDNA実験指針は、組みかえDNA研究の安全を確保するために必要な条件を示したものでございますが、各般の研究から得られた新たな知見、実験指針に係る世界の動向、また、わが国において実際に研究に携わる方々の考え等を踏まえ、科学技術会議ライフサイエンス部会において同指針の見直しについて調査、審議を行い、今般その取りまとめが行われたところでございます。今後これに沿いまして同指針の改定を行い、この分野の研究の一層円滑な推進に努めてまいりたいと思っております。
  86. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これは確かに、二十一世紀に向かっての大変期待されている新しい産業分野、その技術開発につながる基礎的な研究だ、こういうふうに考えております。ただ、この新しい技術開発が急速に発展してまいったわけですけれども、まだ歴史的にも大変浅い経験しか持っておりません。先ほど申し上げましたように、当初五十四年八月につくられたガイドライン、その当時の文章を見ますと、この分野についての未知の部分が非常に多かった、遺伝子実験には非常に未知の要素が多くて、不測の危険な事態の発生を防止することがきわめて重要である、こういうふうにきちっと指摘をしておったわけです。それだけ未知の部分があったにもかかわらず、わずかの間にそういったものがどんどん解明をされて、安全であるという知見が非常にふえた。したがって、そういった知見に基づいて今回の大幅な緩和がなされるんだ、こういうふうに私は理解いたしております。  それならば、私がぜひひとつお伺いしておきたいと思うことは、今度の改定に至るまでで結構でございますけれども、こういった緩和をしてもいいんだという結論に至るまでの過程で、一体どういう論議がされてきたのか。こういった大幅緩和ですから、世界各国の趨勢と同じように、恐らくわが国においてもこれは緩和すべきであるという意見が趨勢として強かった、そういう結論が出たわけですが、しかし、そういった論議をしている中で、慎重論であるとかあるいは極端に言えば反対論、そういったような論議があったのかないのか、そういう点について、この中身を知ることができるのかどうか、一度お伺いしたいと思います。     〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 この組みかえDNAの実験というのは非常に重要な、先の見通しの明るい研究だということでございましたが、安全の問題ということについても十分配慮して検討していかなければならないということで、昭和五十四年に組みかえDNA実験指針というものが決められたわけでございます。その安全確保に関します基本的な要件をここに書いたものでございます。  この組みかえDNAの実験につきましては、その後世界各国でいろいろな研究が進められておりまして、数多くの知見が得られております。また経験が得られておりまして、それに基づきまして科学的な評価をされたということでございます。当初想定されていました潜在的な危険性が顕在化するというような可能性はきわめて小さいということが明らかになってまいりました。  ヨーロッパやアメリカにおきましては順次指針が緩和されてきておりまして、わが国におきましても、現行の指針が実情に即さないのではないかというようなことが言われておりまして、そういう要望がございますので、昨年の四月に、文部省におきまして学術審議会で組みかえDNA部会の下にその検討小委員会を設置いたしまして、この指針をどういうふうに改定したらいいかというようなことについて検討が始められたわけでございまして、ことしの一月にその中間取りまとめが公表されました。  私どもといたしましては、科学技術会議のライフサイエンス部会におきましてそれを検討するわけでございますが、その下に組みかえDNA技術分科会というものを設けてございまして、ライフサイエンス部会とその技術分科会と両方で、わが国全体の組みかえDNAの研究推進という見地から、学術審議会の小委員会の中間取りまとめ、あるいは各界から寄せられました意見、産業界もございますし、各省からもございます、そういうような意見を十分考慮いたしまして、最近得られました知見と経験に基づきまして検討を重ねまして、今回の改定案を取りまとめられたわけでございます。七月二十九日の部会で結論が出されております。  その審議の過程の議論といたしましては、いろいろな意見が出ているわけでございますが、たとえば遺伝子を提供することができる微生物、これはわれわれの言葉で言いますとDNA供与体と申しておりますが、そういうものの範囲をどこまで認め得るのか得ないのか、そういうところをどこに線を引くかということが一番問題であったわけでございます。また、遺伝子を移しかえてもらう方のものでございます、これはわれわれの言葉で言いますと宿主と言っておりますが、その宿主といたしましてどういう新しいものを追加し得るのかという検討がございました。  その中で一番浮かび上がってきましたのが、動植物の培養細胞を用いる実験というのが果たして安全にやれるかどうかということでございます。その辺の実験施設の安全の水準をどういうふうに、どのレベルにすればいいのかというような議論、それからさらには組みかえDNA実験の安全確保の基本といたしまして、その実験に用います微生物の一般的な取り扱い手法と申しますか、そういうものを規定する必要があるのではないかというようなことで検討をされたということでございます。  そういう検討の結果、現在の指針では、宿主といたしましては大腸菌、酵母菌、枯草菌という三種の菌の中で、その中でも特定株について宿主—ベクター系として認められているわけでございますが、それぞれのどこからDNAを持ってくるかということで、物理的な封じ込めの基準というものが違っております。P4からP1までございましたけれども、それを全面的に見直しまして安全性を検討した結果、二段階ないし一段階施設基準を下げても十分安全性が保てるというような結論が出たわけでございます。  それから、DNAを取り出すことができます微生物とかウイルスの種類につきましても、先ほどのような議論の末大幅な追加になっております。また、宿主−ベクター系として新たに動植物の培養細胞というものを使うことができるようにいたしております。それから、その他実験従事者に対しましても標準取り扱い手法というものをどういうふうなものでやりなさいとか、あるいはみずから自己健康管理というものを義務づけるとかというような点について追加をしたというのが今回の改定でございます。
  88. 和田一仁

    ○和田(一)委員 前回から今回の緩和の間にあっての議論というのは、いまお伺いしたように大変専門的な技術的なものであったと思うのですが、私が伺いたいのは、五十四年に最初にこういったガイドラインが決められて、そしてDNAの組みかえというものはこういう方法でやらないといかぬという非常に強い規制がかけられた。そういった時代からそんなに経ずして今日非常に大幅に緩和をされてきた。このすべての期間にわたって、専門家意見だげでなく、この中には人文科学のような、そういった分子生物学の専門家以外の方の意見も当然入っていなければならない、こういうふうに思うわけです。  というのは、最初にアシロマで議論されたように大変未知の分野があったころには、この技術が進めば大変なバイオハザードがあるのではないかという不安を一般に皆に与えてしまっているのです。それを、そうではないのだという知見がまだ十分国民には行き渡っておりません。いまだにバイオハザードの危険性というものがあるのではないか、こういうような理解を相当持っておると思うのですね。  そういうことを考えますと、そういった不安を取り除くことと、それからいま一つ、一般の人はそういう新しい、まさに人間の尊厳に触れてくるような、生命の一番神秘な部分に科学のメスが入る、こういうことから、これを非常に倫理的な面でも考えているというわけでございますから、そういった論議がこのガイドラインを決めたり緩めたりする全過程の中で一体あったのかどうか。いまこの段階に来ますと、専門家だけが集まって話すときには恐らくこんな初歩的な議論は全然出てこないのじゃないかという気がするのです。  がしかし、いまの御説明によりますと、ライフサイエンス部会さらにその下でDNAの技術分科会、こういう二重の委員会で審議されているということでございますから、このライフサイエンス部会にはそういった専門外の方もいらっしゃる、こう思います。そういう方々が、いま一般の国民や素人がまだ依然として持っておるような不安に対して、一体そういう不安を取り除くような議論をしていただいておったかどうか、慎重論というか反対論というか、そういった論議があって、それがきちっと消化されて緩和されるという結論に達したかどうか、その辺が実は伺いたかったわけでございます。
  89. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 ライフサイエンス部会におきましては、委員といたしまして二十数名の方に参加していただいておりますけれども、その中にはいわゆる社会科学者といいますか、そういうような方それから産業界の経営者というような方、そういう方も入っておられまして、いわゆる組みかえDNA実験につきましては専門外の方にも参加していただいております。今回の改定につきましても、ライフサイエンス部会でも数回議論がなされております。  組みかえDNAについての倫理問題といいますか、そういう問題につきましても、以前からライフサイエンス部会におきまして議論がなされておりまして、ライフサイエンスの基本的な推進方向を提言いたしましたライフサイエンス推進の意見というのが出されておりますけれども、その中におきましても、人間、社会へのインパクトとかあるいは宗教上の問題とか、そういうようなことにつきましても、この研究の結果が人間や社会に及ぼす影響につきまして十分配慮する必要があるというふうに述べておりますし、また、部分的な成果を直ちに人間に適用するということなどにつきましては、きわめて慎重を要する問題であるということも指摘されているところでございます。
  90. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、そういう点で専門の人を交えて、あるいはそうでない方々の素朴な不安や疑問を十分論議していただいた上でこういう緩和が進んできた、こういうふうに考えてはおりますけれども、なお、そういう点についての論議の要約でも結構ですが、そういったものをわれわれにも聞かせていただけると大変ありがたい、こんなふうにも思っております。  いま御説明の中で、私もこれを拝見しておりましていままでとちょっと規制の仕方が違ってきたのじゃないかなと思っております。いまおっしゃいました三つ、大腸菌とか酵母菌とか枯草菌とか、こういった宿主に加えて今度は動植物培養細胞もP1レベルでよろしい、こういうふうに変わってまいりましたけれども、いまの御説明によりますと、その論議の中でこれが入ったようでございますが、いままではどうして入らなかったのでしょうか。今度入れたのは何かそういった需要が新しく出てきたというようなことですか。
  91. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 動植物の培養細胞が自然界に出たら非常に弱いものであるということで、その菌自体に安全性があるということは当初からわかっておったわけでございますが、それを使ってどういう運びでベクターを使えるのか、その辺のところの知見がございませんでした。いろいろの実験を重ねた結果そういう適当なベクターが見つかった、それを使って実験することができるようになったということで、それなら、菌としてはもともと安全なものであるので、その指針の中で基準の中に入れていこうというふうに考えられたものでございます。
  92. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これは培養細胞ですから培養液から出ればすぐだめになってしまうのばよくわかるわけですが、動物と植物とくくってありますけれども、動物の中には人間の細胞も入るわけですが、何かそういったものを宿主として使う実験をやりたいというような強い、新しい要望が実験者の中に出てきたわけなんでしょうか。
  93. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 具体的な、こういう実験をしたいという要望がいま出されているわけではございません。
  94. 和田一仁

    ○和田(一)委員 こういう規制の仕方ですから、B1あるいはB2、こういったレベルでさらに新しく加わってくるものが非常にふえてくる。いまはほとんど三つが中心でやっておる。大腸菌、枯草菌、酵母菌、こういったものが中心のようですが、それ以外に、聞くところによると、先ほどもちょっと触れられておったのですが、放線菌とかあるいはコウジカビ、こういうものが新しく加えられるのも近いのではないか、こういうふうにも聞いております。  私は、こういうふうにどんどん加えられて新しい技術開発が進むことは大変結構だと思うのですが、同時に、この改定の中でまだ残されておるのが、大量培養についての規制がそのまま残っておる。二十リットルという規制がいまあるわけですが、こういった科学技術会議が決めるガイドライン、そしてその緩和というのはむしろ一般の企業サイドに非常に関係が深いと思うのです。企業サイドでは、この大量実験の二十リットルという規制が非常に大きくこれからの企業化に問題になる点ではないかと思うのですが、この二十リットル規制をどうするかという検討をされておるかどうかをちょっと伺いたいと思います。
  95. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 実験の結果を企業化する場合には大量培養というものをやっていかなければいかぬわけでございますが、そういうために指針の緩和と申しますか、いま先生おっしゃいましたように二十リットル以下ということで基準を定めておりますけれども、それ以上のものについても早く指針を示してほしいという要望があることは事実でございます。  ライフサイエンス部会におきましても、その要望も踏まえまして大量培養実験のワーキンググループをつくりまして必要な指針の改定作業に入っているところでございます。ただ、これをやります場合に、現在改定案が出ておりますけれども、それと並行してやらなければいけないということもございまして、それと連動する必要がございますので審議が若干おくれておりますが、今後精力的にこの指針の改定につきまして検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
  96. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間がございませんのでもう一点伺いますが、今度の改定案によりますと、大分緩和されましたが、なお個別に承認を必要とする実験の組み合わせも多々あるわけでございます。この個別の審査というもの、これはいまでも行われておると思うのですが、いままでにこういったものが一体どれくらいあったのか、そしてこれはどういうふうに審査し認可をするというか実験の許可が出ていたのか。これからはこの個別審査、個別の承認がふえていく傾向にあるのか、逆に減っていく傾向にあるのか。その辺も含めて個別審査の実績をちょっとお伺いしたいと思います。
  97. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 当庁にこれまで提出されました個別審査件数は約八十件ございます。  年度別に申し上げますと、五十五年度に五件ございました。五十六年度が二十九件ございました。五十七年度に入りまして、現在までで四十八件ございます。非常に大幅にふえてきております。  今回の指針の改定によりまして若干減る部分もございますけれども、しかし、新たに研究の要望が出てくるものもあろうかと思います。したがいまして、まだ当分増加するのではないかというふうに考えております。
  98. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、この分野は何をやっているかということだけでも中身がわかってしまうような技術の分野だと思うのですが、しかし個別審査を含めて、一体日本全体でこのDNAの組みかえについてどのようなものがどこで行われているか、そういうような情報を知りたいという場合には、科学技術庁として何か情報公開についての目安のようなものはお考えでしょうか。それともいまとうていそういうものは出せないというふうにお考えになっているか。これは何と何を組み合わせてやるということだけでも、あるいは専門家には、あそこの研究所は何を研究しているかということがすぐ筒抜けになる分野かもしれませんけれども、これだけの個別審査があるということになると、技術開発、研究の促進の上からも、やはりお互いに知り合うということも非常に大事ではないか。  二重に投資をして、二重に三重に同じような労力を使うということよりも、やはりあそこがあれだけやっているならこの分野についてはあそこにやらせようとか、そういうような非常に効率的な研究の開発、日本は五年もおくれているというふうに言われているのですから、そういう意味でも情報のお互いの交換がある程度必要じゃないか、こう思いますけれども、その辺についてのお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
  99. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 審査結果の公表というのはなかなかむずかしい問題でございます。国民の理解を得るというためには非常に重要なことと考えておりますが、一方では、先生御指摘のように、研究者の研究の独創性あるいは企業活動を阻害するというような問題につながるようなものもございます。われわれといたしましては、そういうことを阻害しないように、支障のない範囲でできるだけ公開をしてまいりたいと考えておりますが、その辺の兼ね合いについて私どもも十分検討していかなければならない問題と考えております。
  100. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私、前回の質問のときに、やはり緩和の方向の中でぜひ考えてほしいのは、ビールスであるとかあるいは病源体であるとか、こういうものを扱うような場合に、ほかの国のようなきちっとした規定が欲しいということを申し上げましたら、実は内部規定でやっているというお話でございましたが、今回のこの改定案を見ますと、病原微生物学実験室で一般に用いられる標準的な実験法を基本とすることを要請した、こういうことがきちっと明文化されておるようでございまして、その具体的なものとしては、東京大学の医科学研究所の細菌学実習提要とかあるいは予研の内規である病原体等安全管理規程というようなものを参考としなさい、こういうふうにはっきり出ておるのですが、この点はやはりきちっとこういう指導をしていただきたい。  こういった細菌だとか病原体だとかあるいはウイルスとかいうものを扱っている人たちだけがこの遺伝子工学の研究者ではないと私は思うのですね。全然違う分野の人もこの技術開発の中には入っているというふうに伺っておるだけに、こういった実験方法は、いままでそういったものを扱いなれている人たちがマニュアルとして持っていたそういうものがきちっと徹底されていかなければならない、こう思いますが、その点をひとつ御要望申し上げ、さらにその点についてはこうしますというお考えがあれば伺わせていただいて、質問を終わらせていただきます。
  101. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 私どもが指針をつくりましても、それを守っていただかなくてはどうしようもないことでございますので、守っていただくために私どもとしても十分指導してまいりたいというふうに考えます。
  102. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ありがとうございました。
  103. 森美秀

  104. 山原健二郎

    ○山原委員 三つばかり質問を用意していますが、最初に、閣僚であり国務大臣である中川長官関係をしておる問題について、真偽のほどを伺っておきたいと思います。  それは、今回の教科書問題をめぐりまして、七月二十七日の閣議長官発言されたことが出ておるわけでございますが、当時は中国政府の抗議が公式に来ておる段階、さらに韓国からの批判が多数新聞等に出ておる状態でございました。現在は韓国からも政府からの公式の申し入れがあっていることは御承知のとおりであります。この七月二十七日の閣議におきまして長官は、「教科書内容の問題について、外国からいちいち干渉されるなど重大な問題ではないか」という発言をしたと言われております。これは新聞報道でございますから正確でなければお許しをいただきたいと思いますが、こういう意味の御発言をなさったのではないかということで、現在三人の閣僚名指しの批判が外国において行われております。それは松野、箕輪、そして中川大臣のことだと思いますが、まず最初に、今回の近隣諸国からの抗議に対しまして、長官はこれを内政干渉と思っておられるかどうか、伺っておきたいのであります。
  105. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘の閣議の朝、新聞を読みましたところ、外交ルートを通じて教科書の問題について申し入れがあったというのを読みましたので、世界各国を見渡して、教科書内容等について外国から申し入れがあるという例がなかったものですから、重大なことではないか、どういうことでありますかということでお尋ねしただけであって、私は内政干渉であるとか遺憾とか言った覚えはございません。新聞に載っておるとおりであります。  それから、外国で批判をしたと言っているのですが、批判でなくて、注目に値する、こういうことでありまして、すりかえられて言われることは私としてはいかがかと思っておるわけでございます。
  106. 山原健二郎

    ○山原委員 注目に値するという表現も、この両国の国家間の関係ですからかなりセーブした表現になっておると思いますが、とにかく注目を浴びておることは間違いないと思います。  もう一つの問題は、先ほど関議員がかつての十五年戦争侵略というふうに認めないのかと言われたのに対しまして、迷惑をかけたことは事実だが、侵略であるかないかということについては議論のあるところというふうに言われておるわけです。改めてお伺いをしますけれども、あの日中戦争、太平洋戦争というものは日本侵略ではなかったかと思うのですが、この点については再度御意見を伺っておきたいのです。
  107. 中川一郎

    中川国務大臣 日中共同声明にありますように、日本中国が不幸な関係にあった、しかも日本が大変に迷惑をかけた、こういうことについてははっきりしておるわけでございますが、その行為そのもの侵略であったのか進出であったのか、いろいろと議論があっていま問題になっておるところでありまして、私がどちらであると言う立場にはない。いろいろと議論をした結果どういうことになるのか注目をしてまいりたいと思いますが、私がこちらが正しい、こちらが正しくないと言う立場にはございません。
  108. 山原健二郎

    ○山原委員 そこは実は文部大臣もそういう少しあいまいな答弁をされているのですが、国語辞典によりますと、「侵略」というのは「他国の支配下の土地等を、侵入して奪い取ること。」とありまして、これはほとんどの国語辞典がそう書いてあります。それから「進出」というのは「(勢力を張ったり新方面を開いたりするため)進み出ること。」となっておりまして、日本の国語辞典のほぼ一致した見解は、侵略進出とは明確に区別をいたしております。  同時に、いま長官侵略という言葉については議論のあるところだとおっしゃいましたが、これは日本政府の認めておることなのです。三つ例を挙げますと、一つは極東裁判における判廷の中で侵略戦争規定をしておりますが、それは裁判という問題ですからのけまして、もう一つは、国連憲章におきまして侵略政策をとった国としてわが国規定をされておりまして、日本政府はこれを認めております。それから第二十九回の国連総会で採択されました侵略の定義、これが出ておりますが、あの十五年戦争というものを、国際的にはわが国侵略戦争であったことが歴史的評価として明確に定義をされているのですね。そして日本政府もこれを認めまして調印をいたしておりますから、国外では日本政府はあの戦争侵略であったと認め、そして国内においては侵略でなかったかのごとき表現をしておるというところに非常に大きな問題があるわけでして、この点では、国際的に見まして一定の信頼を失う可能性も持っておる状態でございます。  したがって、私は、あの戦争日本政府みずからが調印した国際的な協定から見ましても侵略ということをしっかりと認めて、そして今回、教科書において進出などという言葉を使ったことに対してはむしろ誤りを明確にする必要があるのではないかというふうに思っております。  その点についてもう一度伺いますけれども中川長官としては、いかにも内政干渉であるかのごとき発言をしたことについて前言を撤回されまして、そして日本政府の閣僚の一員として、あの十五年戦争侵略であったということを明確にしていくことが今日の事態を解決する一つの要因ではなかろうかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  109. 中川一郎

    中川国務大臣 この問題について山原委員お答えする立場には私はございません。また、閣議等で私が考えておることの意見等については私の個人の立場であって、内政干渉などというすりかえた表現で言われても私は困ります。せっかくではありますが、あなたとここで議論する立場にはございません。
  110. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、したがって日本政府が公式に認めておるものを出して、きょう初めてこれを出したのです。第二十九回の国連総会における侵略の定義というのは、きょう初めて私がここへ出しておるわけですね。だから、そういう立場からするならば、閣僚の一員でございますから、そういう立場に立たれるのが当然ではないかということを指摘しておきたいと思います。  また、外国の教科書についてわが国が注文をしたことはあります、いままでの経験からいいまして。全くないというものではありません。それからまた、科学技術そのものが、一昨年の中学校の社会科、公民的分野の教科書におきまして、正誤訂正という形で、途中から科学技術庁が原発の記述を変更させた事実もあるのです。  そういう点から考えまして、本当に迷惑をかけた、二千数百万の近隣諸国の人たちが死ぬるという惨劇を起こした加害国家としての閣僚が、被害国家から出てきたところのこれらの批判や抗議に対して、率直にこれを受けとめて、こちらの態度を少なくとも誠実な態度に変えていくことは、これは非常に必要ではないかと思いますけれども、残念ながら、そこまでの回答を得られないわけでして、きょうは時間がありませんから、これでおきたいと思います。  次に、実は私の県の窪川町の、原子力発電所の問題につきましての住民投票がこの町の条例で決定をいたしました。一昨年の十月二十一日の科学技術委員会におきまして、私がこの問題について質問をしましたところ、中川長官がこういうふうに答えております。「住民投票等も、スムーズな形でやれるようなことが慣行としてでき、あるいは指導によってできれば結構だと思っており、努力したいと思います。」こういうふうに答弁されておりまして、かなり積極的な意欲を示されたように私は記憶をしております。最近、この住民投票について中川長官は一定の批判的なお考えを持っておるかのように新聞紙上で伺ったのでありますが、それはそういうことで理解してよろしいでしょうか。
  111. 中川一郎

    中川国務大臣 私は批判的なことを言ったつもりはございません。御承知のように、わが国は間接民主主義を基本としての政治体制になっております。その場合、住民の意思は公選された議員による議会が決定し、地方自治体の長が責任を持ってこれを執行するのが原則である、これはあくまでも原則でございます。  窪川町の今回の住民投票条例につきましては、リコールを受けた町長が選挙の公約としてこれを掲げ、実施することになったという窪川町固有の特殊な状況のもとに成立したものでありまして、私から批判をすべきものではございません。
  112. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、通産省においでいただいておりますが、これは昨年の二月に、私は予算委員会の第一分科会でこの電力会社の住民のいわゆる招待旅行につきまして質問をいたしております。それに対して通産省の方では、常識的な社会通念を超えたものについては指導する必要があるというふうにお答えになっております。  ところがその後、私が質問したときよりもさらに激しい招待旅行が展開をされておりまして、特に住民投票が町の条例で決定をされましたその後におきましても、一週間に二回、一回はバス一台で三十人ないし四十人、大体一人当たりにしまして七万円から八万円のお金が要るわけですが、一台にしまして恐らく二百万円は要るだろうと言われておりますが、それが週に二回でございますから、これは週に四百万円となりましょう。単純計算をしますと、月に千六百万円、年間にいたしますと優に二億円を突破する、こういう金額が使われているのではないか。  そしてその行き先はほとんど玄海原発でございますが、その帰りのバスで四国電力の職員が、一人一人に対して原発は安全か否かということの感想をみんなの前で述べさす、安全と思うという返事がなければ、一人一人にまたそれなりのてこ入れをするというふうなことが行われているわけでございます。玄海へ参りまして、泊まるところは嬉野温泉あるいは佐賀温泉というようなところでございまして、一泊一万円はかかる、こういう状態ですね。  私は、住民投票というのは、いま長官も言われましたように、町長の選挙の公約でもありますし、また、町議会の決定でございますから、その投票が行われる場合には、少なくとも公職選挙法に準じた程度の、選挙違反のないような静ひつな投票が行われるのが当然だと思いますけれども、こういう事態になってきますと、これは全くお金の力で投票を集約していくということになりかねません。そういうことは電気料金にも関係をしてくるわけでございますから、そういった点については、余り無謀なことについては当然指導すべきじゃないかというふうに思いますが、通産省としてはどうお考えになっているのですか。
  113. 高沢信行

    ○高沢説明員 窪川町の本件についての詳細はまだ十分には把握しておりませんが、一般的に申し上げまして、原子力発電の立地につきまして地元の方々の理解を増進するという観点から、見学会等を催すことは有意義なことではないかと考えているわけでございます。  ただ、具体的なやり方につきましては、社会通念上妥当と考えられる範囲で行うべきだと考えておりまして、今回の四国電力の件につきましても、もし社会通念上妥当な範囲を逸脱するような行為があれば、そういうことのないように指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、私どもが承知しているところでは、具体的な見学の場所の大宗は伊方の原発、それから一部玄海の発電所へ行っている、そういうように承知をしております。
  114. 山原健二郎

    ○山原委員 住民投票という大事なことを決定をして、住民の意思を反映するという非常に重要な段階を迎えつつあるわけでございまして、そういうときに、当の設置者が余りにいろいろなことをやるということは、私は本当にこれは正しくない、また、人心を荒廃さすものだと思いますよ。政府の方では原子力開発ということを非常に大事に思っておるのだけれども、実際は人々の気持ちもすさんでしまうようなことをさすようなことがあっては、これは取り返しのつかない損失を逆に与えるわけであります。そういう意味では、通産省におかれましても調査をしていただきまして、いまおっしゃったように常識を逸脱するものについては、私はやはり適切な指導をしていただきたいと思いますが、その調査の件よろしいでしょうか。
  115. 高沢信行

    ○高沢説明員 実情を調査いたしまして、行き過ぎがある場合には指導をしてまいりたいと考えております。
  116. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、「むつ」の問題について、先ほど関議員の方から非常に詳しく、また切実な気持ちを込めての質問がございましたが、私は一つだけ、先ほど出ておりました制御棒を抜く駆動試験が行われたわけで、先ほどの答弁によりますと、一本一本抜いて十二本、それは健全であった、引き続いてグループ試験、さらには出力試験をやるというお話がございました。  ところで、今回七月の十二日に佐世保で制御棒を動かす駆動装置の封印を解いておるわけでございますが、この制御棒の封印ですね、これは昭和四十九年に放射線漏れを起こして大湊に帰港する過程で、漁民などが安全性確認できなければ帰港させないということで、漁民側の推薦をする調査団が編成をされまして「むつ」に乗り込みまして、船が汚染されていないかを調査し、その際安全性確認をしたわけですが、そのときに原子炉を動かさないという確認意味で、原子炉の制御棒駆動装置に電源が入らぬようにかぎをしました。そのかぎを金庫にしまいました。そして漁民と専門家十二名がこのかぎに対して署名をいたしまして封印をしたわけであります。それでやっと了解がつきまして、「むつ」は漂流から大湊へ帰るということになったわけですね。  この封印の問題は、そういう意味ではむつの漁民を初めとして青森県民の非常に重要な封印であったわけですが、今回、七月十二日にこの封印が解かれまして、電源を入れて動かしたという事実があるわけですが、このことについて、この十二名の封印をいたしました、サインをした人たちに対して了解を求めてやられたのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  117. 倉本昌昭

    倉本参考人 ただいまお話のございました「むつ」の制御棒の駆動装置の電源等のかぎでございますが、これにつきましては、先生御指摘のとおり、四十九年の九月に放射線漏れを起こしました後、これは四十九年の十月九日でございましたが、とりあえずその現場を一応そのまま凍結するという意味で、漁業関係者及びその推薦する学識経験者等お立ち会いのもとでその二つのかぎを船長室の金庫に入れまして、その金庫を封印されたわけでございます。その後は、青森の方での四者協定が十月十四日に調印されまして、「むつ」は大湊に係留をされておったわけでございます。  その後、五十三年になりまして、佐世保へ修理のため回航をいたすことになりまして、その時点で長崎県及び地元関係者の方々との五者協定、修理につきましての五者協定を締結いたしたわけでございます。それで、その五者協定に基づきまして、回航に先立って五十三年の十月六日にかぎを長崎県側にお預けをするということになりまして、長崎県側から代表の方々がお見えになられ、この長崎県側の代表者の方々及び青森県の側で県、市、漁連関係者もお立ち会いいただきまして、この金庫の封印を解きまして、その時点でこのかぎを箱の中におさめて、今度は長崎県側にこれをお渡しいたしたわけでございます。したがいまして、この金庫の封印を解くに当たっては、事業団としては十分な手続を踏んだ上でこの金庫のかぎを解いておるわけでございます。
  118. 山原健二郎

    ○山原委員 これはその当時封印にサインをしました服部学教授の発言でありますが、今回核燃料を入れたままで制御棒試験を行ったが、これは原子炉の運転である、母港でもない佐世保港で立会人の何の了解もなく電気を入れ、核封印を解き、運転したのは問題ではないかということを言っておられまして、封印をした御当人、しかもこれは物理学者でございますが、その方たちに対しては了解を得ていない。  私は何でこんなことを言っているかといいますと、この問題は、確かに長崎に移ったことはよく知っておりますけれども、しかし、こういう漁民側の意向に基づいてこの封印がなされて初めて「むつ」が漂流から解かれた、そういう緊迫した情勢の中で行われたものについては、これを解く場合には少なくともその関係者の方たちに対して了解を得られる、そういう工作の一つ一つ、そういうものがないからいつまでたっても「むつ」の問題は、先ほど話が出ておりましたように、住民を何となく無視して、そして強圧的に行っている、こういう感じを持たすわけですから、そういう点では、これはもう事業団としては初心に返った誠実な、緻密なあらゆる手を一つ一つ打っていくということをすべきではないかということで申し上げたのでございますが、その点については今後非常に態度を明確にしてやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  119. 井上啓次郎

    ○井上参考人 お話しのとおり、地元及び関係者に対して御理解を求めて、その上に立って仕事を進めていくというのは事業団の役目でございます。したがいまして、いま先生が御指摘のような努力は今後も続けていきたいと考えております。
  120. 山原健二郎

    ○山原委員 最後の一問ですが、宇宙開発に関しまして自民党の宇宙開発特別委員会が六月にこういう提言を政府に対して出されたことが新聞に報道されております。衛星の防衛上の利用を盛り込んだ今後の宇宙開発のあり方について政府に対する提言をまとめまして提出をされたようでありますが、これは一斉に新聞に報道されておりまして、この提言に対しまして中川科学技術庁長官はどういうふうに受けとめておられるでしょうか。
  121. 中川一郎

    中川国務大臣 わが国の宇宙開発は、御承知のとおり、国会の決議及び宇宙開発事業団法に沿いまして、平和目的に徹して進めておるところでございます。  自由民主党の宇宙特別委員会の提言は政治レベルでの検討課題として示されたものであると理解はいたしておりますが、政府としては、国会決議あるいは法に従って平和利用目的に徹していくつもりでございます。
  122. 山原健二郎

    ○山原委員 長官も当時の新聞に談話として出されておりますが、今後の政治レベルでの検討課題であるということでございますから、いまお話しになりましたように、検討課題というのは、今後防衛に利用することもあり得るという意味での政治課題ではないと思いますが、そういうふうに受け取ってよろしいですね。
  123. 中川一郎

    中川国務大臣 各党はそれぞれ政策を掲げておるわけですから、政治段階で党あるいは国会等で議論される議題であって、政府としては先ほど言った平和利用に徹してやっていきたい、こう思っております。
  124. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題につきましてはもう申し上げる必要もなく、これは最初事業団法ができましたときの第一条には、御承知のように、平和利用に限るということは明記されていなかったのですが、それが四十四年五月の九日でございましたか、全会一致で、わが国における宇宙開発は憲法の趣旨にのっとり、非核、非軍事を趣旨として、平和の目的に限ると明確に国会の決議として出ておりますので、長官の御答弁はそれと合致するものだというふうに受け取りたいと思います。したがって、衛星を防衛、軍事に利用するなどということは絶対にあり得ないというのがわが国の国会の決議でもあるということを申し上げたいと思います。  そこで、三月の二十三日に私は、アメリカの地球探査衛星ランドサットについて質問をしたのでございますが、宇宙開発事業団がこのランドサットのデータを防衛庁の求めに応じて提供しているということを指摘いたしました。  それに対して科学技術庁は、広く公共機関に提供しているので、第一条の平和利用に限る、それから国会決議には反しないという答弁をされたのでありますけれども、その質問の中で、宗谷海峡、千島列島の写真データなどが提供されておるということも明らかになりました。防衛庁の海上幕僚監部の五十四年七月二十三日の計画書を見ますと、オホーツク海の海氷状況を把握し、艦船の航行の安全に利用するというふうに出ておるわけでございますが、もっぱら軍事をつかさどる防衛庁に対してデータを提供するということは、これは明らかにこの平和利用に限るという事業団法の第一条の目的に照らして違反をするのではないかと思うのでございますが、改めてお伺いをしておきたいのであります。
  125. 加藤泰丸

    ○加藤(泰)政府委員 お答え申し上げます。  このアメリカのランドサット衛星のデータにつきましては、公共機関その他試験研究機関等含めまして、われわれは広く提供をしているものでございまして、それは将来わが国が独自で地球観測衛星を開発し、打ち上げ、そのデータを利用するという場合に、必要な技術的な資料をあらかじめ取得をする、あるいはまた幅広くそういったデータを利用していただくようにそういった需要を涵養するといった目的を持ってやっているものでございまして、この前も御答弁申し上げましたように、一般に幅広く提供をしているものでございまして、その中の一つに防衛庁が入っているということでございます。その防衛庁の御利用なさっているデータというものは、宇宙開発事業団が今後地球観測衛星を開発するときに必要な技術データというかっこうでその提供をいただいておりますものですから、特に防衛庁がそういったようなかっこうで利用しているということをもって、これは事業団法の平和目的に反するといった行為を行っているというぐあいに解釈はいたしておりません。
  126. 山原健二郎

    ○山原委員 したがって、そういう解釈でございますと、今後も続けるということになると思いますね。これはまた日を改めてこの問題で申し上げたいと思います。  これは六月二十一日の朝日新聞の記事でございますが、自民党特別委員会の提言をめぐってという文章が出ています。これによりますと、「自衛隊にとって最も気になるのは極東ソ連軍の動向なのだが、ソ連太平洋艦隊の潜水艦が出入りするウラジオストクなどへ自衛隊機は近づけない。米国の判断で、その偵察衛星のデータ提供を受けているのが現状だ。そうしたところから自衛隊の空幕、海幕幹部には、衛星構想に期待する声があり、「もう検討していい時期だ」といった議論が半ば公然とされている。」というふうに出ておるわけでございまして、宗谷海峡、千島列島のデータというのは、防衛庁にとりましてものどから手が出るほど欲しいものであるというわけですね。それに対して事業団はかなりすんなりと情報を提供しておるということは、これは今後やはり問題になると思います。  最後に、最近レーガン大統領がスペースシャトルが帰還をしました際に、宇宙の軍事利用政策を公然と打ち出したということがかなり大きな問題として注目を集めておりますが、また、それに対してソ連側も受けて立つということを発表いたしておりまして、いわゆる軍拡の悪循環が宇宙にまで拡大、エスカレートし始めておるという重大な事態なんですね。そのときに、日本政府はこの悪循環を断ち切るという立場で、その先頭に立ってこういう危険な道行きを阻止するのが、私は、宇宙開発をつかさどる日本政府の科学技術庁としての任務ではないかと思いますが、最後に、この点長官の御意見を承りまして、私の質問を終わります。
  127. 中川一郎

    中川国務大臣 そういう高度の問題については、総理大臣がやられると思います。私は、担当大臣として、宇宙開発は平和利用でやっていくということでやっていきたいと思っております。
  128. 森美秀

    森委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十四分散会