○石渡
政府委員 最終的な詰めを
原子力委員会ベースでまとめつつあるという
段階でございますので、若干不正確な点があることを御容赦願いたいわけでございますが、まずFBRにつきましては、先般、わが国としては原型炉の
建設についてきわめて最近
地元合意を得た、これから安全
委員会の安全審査を経、その上で
建設に取りかかっていく、それで、できれば昭和六十二年、あるいはスタートがおくれておりますので二、三年程度のおくれが出るかもしれません、
日本はそういうやっと原型炉に手がつくという
段階にあるということでございます。
一方、イギリスあたりでは原型炉はもう相当運転の経験を持っております。それから米国は、原型炉の
建設中に、前政権の
時代にストップがかかっているという状況にある。一方フランスだけが非常に先行しておりまして、実証炉を
建設している
段階にある、こういう状況でございます。そこで
日本に対しまして米国から、イギリス、
日本を含めた形で原型炉の次の実証炉の設計研究を一緒にやろうじゃないかという声が民間を通じ、あるいはやや非公式な形で
政府ベースからも伝えられてきておりまして、この辺、
日本はこれから原型炉をつくろうという
段階、しかし、次の
段階の実証炉の設計研究くらいはっき合えるのかなという
感じで、どう判断していくか、これから検討をいたしていきたいというふうに思っております。
米国からの働きかけと申しますか話は、まだ話だけの
段階でございまして、もう少し具体的に提案をしてくれないと、
日本としても検討のしようがないという状況でございまして、早ければ五月中にでも、米国案と申しますか
アメリカの考えている案を提示してくるのではないかというようなタイミングと考えております。これは内容を見ました上で、どの程度
日本として協力できるのか、あるいはしていった方がいいのかという判断をしなければなるまい、このように考えているわけでございます。
そういうことも含めまして、FBRの実用化時期を御
指摘のように二〇一〇年くらいというふうににらみますと、原型炉をやり、そして余り期間を置かずに実証炉を、実証炉は一基で済むのか二
段階くらいやってみなければならないのか、恐らく二
段階くらいやってみないと、とうてい実用炉の
段階にいかないのじゃないかというのが現在の技術的な判断でございまして、一方二〇一〇年くらいということを頭に置くと、それは相当詰まった形での開発計画が進められていかなければなるまい、こんなふうに、まだこれは高速増殖炉の分科会ベースでの報告の内容でございます。
後ほど申し上げます
核融合の計画等々、非常に金を食う話ばかりでございますので、その辺全部あわせてというわけにも、全体を見ます場合に、資金計画等も最終的には配慮に入れなければなりませんので、それぞれの分科会の希望どおりというわけにはいかないのだろうという気はいたしますけれ
ども、一応高速増殖炉についてはそういう形。それから国際協力ということもうまく織り込んで、できれば織り込んでいくことによって全体のスケジュールを早めたいものだ、このような基本的な考え方をしているわけでございます。
それから
核融合についてでございますが、確かに、いま現在おかげさまでJT60
建設の真っ最中でございまして、大体六割くらいでき上がってきているという
段階でございますが、これも六十年に臨界を目標といたしております。
そこで問題になりますのは、これはトカマク方式で進めているわけでございますけれ
ども、各大学、京都大学あるいは大阪大学あるいは名古屋大学、筑波大学等々で別の方式の
核融合の研究が進められております。
段階といたしましてはまだ基礎的な
段階でございますが、最終的に、現在時点での判断ではトカマク方式が一番実現性が高いと言われているわけでございますけれ
ども、ほかの方式もいまの
段階で切って捨てるわけにはいかない、相当将来性もありそうだという状況でございますので、むしろ私
どもの基本的な考え方といたしましては、JT60で臨界プラズマ条件はぜひ
実施をいたしたい、その時点でほかの方式、ステラレーターでありますとかレーザー法でありますとかいろいろございますから、それらの方式の開発の進みぐあいも見まして、その時点で、その後のわが国としての
核融合の焦点をできるものならばしぼりたい。またしぼりませんと、一つ一つがまた数千億あるいは一兆円に近いようなプロジェクトに次の
段階なっていくわけでございますので、その時点で慎重な配慮、選択を行わなければならないという時期がやってくるというふうに考えておるわけでございます。
現在、トカマク方式、
日本と大体肩を並べまして
アメリカ、ソ連、そして欧州連合、四つのプロジェクトが世界的に進められているわけでございまして、それぞれ特色はございますが、ねらっているところは同じという状況でございますので、しかしJT60の場合二千億円、その次の
段階をもし考えるとすれば五、六千億円のプロジェクトになるということでございまして、各国とも資金的になかなか単独ではしょい切れぬな
あという
感じが持たれておりまして、
核融合のプロジェクトにつきましても何とか国際協力、国際分担でやっていかないと、それぞれがつぶれてしまうかもしれぬ、俗な
言葉で申し上げますと金がもたなくなるという
心配もそれぞれの国が持っております。
そういう
意味での今後の国際分担といった話も内々始まっているということでございますので、JT60、トカマク方式で突っ走るとすればという
意見は当然
日本の
核融合研究者、現在JT60を中心にやっている研究者はそういう
意見が強いし、また、ほかの方式を研究しておられる学者の
方々は、いや、それよりもこちらの方が将来性があるかもしれぬという
意見をお持ちでございます。そういう
意味では、まだとても一本にしぼり切れる
段階にはないわけでございますので、その辺の状況を最終的な
報告書にどういうふうに表現されるのか、まだはっきりしない点が残っているわけでございます。
いずれにしろ、何らかの形で
日本も一翼を担って
核融合技術の開発に貢献するということは、先進国としての重要な使命であろうということは
感じているわけでございまして、現在時点では、とにかくJT60の完成を急ぎ、至急臨界に達したい。また、各大学での研究も、それぞれのお
立場で精力的にやっていただくという姿でここ数年は進めたい。ここまでははっきりしているわけでございますが、それから先につきましては、前向きではあるにしろ、どういう形でということについてはなかなかはっきり書き切れないのではないかというふうに考えているところでございます。
以上、御報告を申し上げます。