○関
委員 これ以上断層の話をし続けることは無理のようでございますので、次回にこの続きをまたしたいと思います。
そこで、残っている時間、七分ばかりありますから
お尋ねしたいのですが、関根の浜の漁民は言うなれば専業漁民、反対だと言うのです。漁協の組合長というのは船一そうも網一カ統もあるわけじゃないのが組合長です。魚をとって生きているところの漁民は、ここに
原子力船の母港が来ることは絶対反対だ、こう言っています。
五者
協定を打ち出した昨年の四月二十三日、その十日ほど前にまた長官がおいでになりました。私も、長官が下北においでになることを車の上から歓迎をして、もてなしをするまでには至らなかったけれ
どもお迎えをしたつもりです。そうしてあなたはいろいろと折衝され、そして漁民の心のわかる長官として評価もされ、そして大湊の方から関根の浜というところに決断をして今日進んでいるわけです。
ところが漁民たちは、あの五者
協定に当たって時の市長である河野君から一言の御相談もなかった。
倉本専務理事は今回関根の浜を訪ねてびっくりされたことだと思う。まさか市長が漁民と話し合いもしないであんなことをするとはだれでも思われないでしょう。ただし漁民は、何でもいいから
調査だけさせてくれというのだから、国の言うことでもあるし、それによってお金も入ってくるならばまあいいだろう、
調査即賛成ではありませんよということを念を押すだけ押して、これだって二十八人のうち十一対十七、際どいところです。初めは十四対十四ぐらいだったんだが、だんだん風化した者が出てそういうことになった。
ところが今回、漁業を専業とする人たちは、むつの市長のところに鉢巻き姿で行って、こんな粗末な
調査でわれわれの海をとっちゃならない、われわれの海を奪われては困る、疑問の多い
調査でいいかげんにされては困る、
調査のやり直しをしろ、こういう申し入れを六日にされております。
ところが驚くことに、翌日の七日、
原子力船事業団の方が、むつ市のむつ観光ホテルというホテルに漁協の役員一同をお招きして、ねんごろにおもてなしをされました。一体これは何です。世に言う買収供応のたぐいになるのじゃありませんか。長官、そんなことまでしてしゃにむに持っていこうなんということはおよしになった方がいいでしょう。漁民も喜んでいいと言うならばいいけれ
ども、そんなに漁民が反対だと言うのに無理して行くことも、これは考え直さなければならない。
ましてや、この
委員会で活断層をめぐってこのくらい
科学的に、論理的に、そうして民主的に論議をされて、お答えのできないまま、神様は東北電力株式会社でございますというような姿で表を歩いたってだれも本にはしませんよ。
そういう
意味で、単に漁協が多数決で、言うなれば権利が欲しくて、大体三百万円ぐらいはもらえそうだからみんな賛成してくれと言って回っているそうですが、一年のうち十日かそこら昆布をとる
程度のところで組合員になっている諸君たちは、お金が幾らかでも入ってくるならいいと思って賛成に回るでしょう。しかし、海を自分の生きる根拠地としておる漁民の方々は、とても御免だ、こう言っています。そうしてさきの市長が何にもおれたちに相談もしないでこんなことをして、雲の上でどんなことが行われているのか、海の底にいるわれわれはちっともわからぬと言うのです。
そういう状態にあるわけですから、佐世保から八月の末に出港していくためには六月の末に、二カ月前にどこかを決めなければならぬのだからというのだけが先に頭にあって、あわてふためいて事を進めるようなことはよして、この際かけるべき時間はかけたらいいでしょう。また、不適当だということになったならば速やかに
方向転換したらいいでしょう。
伝えられるところによれば、お隣の岩手県でも欲しいと言うし、
日本海側の方の福井県でもまた欲しいと言うておられる方もあるやに報道されております。何も私はそっちへ行けばいいと言うのじゃありませんよ。しかし、いやだと言っている漁民の抵抗、これによって生活がどうなるかということについて何らの保証もないままで心配しておる諸君、御免だと言っているのです。
また、むつ市長は何も賛成していませんよ。むつの市長は反対とは言わないけれ
ども、また賛成とも言っておりません。むつの市長が賛成するからとか、おいでくださいとかというので行くならば、これはわかりますよ。私は北村知事に土曜日に会いました。知事は言いました。何せ三者そろわぬものだから困ったもんだ、関君、何とかむつの市長に余り縛りをかけぬようにしてくれぬか、こういう
お話だった。いや冗談じゃない、むつの市長がわれわれに縛りをかけているようなもので、わしが縛りをかけるなんということはちっともない。あの方は県
会議員時代から
科学的な県
会議員としてりっぱな方でしたし、いまは
科学的な市長としてりっぱな方であることは天下に知られておる。それだけに、この問題で軽率によろしゅうございますなんということは言える方じゃないと思う。
そうしてあなた方が、自然的条件が悪いのにもかかわらず、社会的条件がいいからここに持っていきたいというて事を進めたことの誤りがいまここに出ているわけです。自然的条件の悪いのは承知の上、そして社会的条件も変わった。情勢が変わったら変わったなりのことをしなければ、またむだ遣いが続けられるのです。行革のときになおむだ遣いを続けるようなことは本当によした方がいい。
そういうようなことを思いつつ、私はいま申し上げた点についてひとつ意のあるところを聞いておきたいし、いやしくも漁民を供応をもって賛成に回らせるような行いをするなんということはとんでもない。そういう点についても、それがあたりまえだというのかどうか、あわせてお答えいただきます。