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安井委員 さらにこのことは、その施設ができてからの問題も
一つありますけれ
ども、もしあそこに大規模工事が始まるとすれば、その工事中に起きる
環境破壊というようなものが非常に大きな問題になってくるおそれがあります。さっきサロベツ川の改修の
お話も出ましたけれ
ども、天塩川が、いまの川ではのみ切れないものですから、あれをもう一度こちら側にカットして流し込むという、そういう
計画を北海道も北海道
開発庁も立てたことがあります。それも全然消えたわけではないのですけれ
ども、しかしそれに対しては、沿岸の漁民から大変な
反対が出るわけですね。つまり天塩川というのは
日本で一番長い川であります。大水のたびに泥水が流れていく。ところが、それがこちらの方に、現在はそうですが、もう
一つ切りかえをすると、その泥水はストレートに向かい側の利尻島それから礼文島の漁業に影響が出てくるということで、利、礼両島の漁業協同組合や何かの
反対で、結局この仕事はストップしている、進んでいないという状況があります。
あるいはまた工事中に膨大な施設をそこに置く、もし、つくるとすれば。あそこは、現地を見てもおわかりになりますけれ
ども、それは大変な基礎工事をやらなければならない。〇・五ミリの誤差も許されないというそういう施設のためには、金もかかるし、大変なことなんですよ。掘り下げなければいけない。地下水を掘っていくというようなことになれば、これはそこら辺の自然
環境に対する大きな影響が出てきて、とりわけ、すぐ隣り合っている国立公園、これは湿原が売り物なんですから、そういうところへの影響も出てこないとも限らないと思います。つまりできた工事よりも、初め、それをつくる段階の、工事中の
環境破壊、それの方が大きいことになりはしないかという心配があるわけです。恐らく漁業にはもう大変な影響があると思いますから、それらの漁民の意思というものを十分に聞いた上でなければ、これはやみくもにかかるというふうなことにはならぬのではなかろうかと思います。
特に、いまの浜里地区というのは、幌延町の一部であることは間違いありませんけれ
ども、幌延の町よりも隣の天塩町に近いわけですから。幌延町には、沿岸は、先ほどの
お話のように漁港ができるというようなことにとても適したところではありません。だから漁港もない。したがって、数人の漁民はいるのですけれ
ども、それは天塩町漁業協同組合の組合員で、そちらの方にみんな参加しているわけです。船は天塩町に揚がっているわけですね。ですから、そういうようなことから、お隣の天塩町の漁業協同組合、それからあべこべの方には豊富町の漁業協同組合もありますが、そちらへの影響というような形で問題が出てこないとも限らないのではなかろうかと思う。
それから、酪農地帯なわけです。酪農が生命なわけですから、
大臣は、そこから放射能は漏れっこないということをたびたび言われるし、
科学技術庁も通産省もそう言われるわけでありますけれ
ども、やはり風評とか、そういうようなものの心配があるわけです。先ほどの小林
委員の
質問に出た共和原発の場合に、いまリコール運動が農民から出されているのは、その地域の蔬菜類が、原発ができたというその風評だけで値段が下がったり売れなくなったりするのではないか、そのことが直接の動機のリコールなんです。ですから、そういうような
意味で、
日本じゅうよりも
世界じゅうの嫌われ者がそこに来るということで、やはり大事な食品ですから、そういうようなことでの問題が起きやしないか。特に幌延町には雪印乳業の大きな工場があります。北海道の北部に雪印の工場はたくさんあったのですけれ
ども、全部閉鎖して、旭川から北にはもう幌延たった
一つになったわけですね。膨大な量の牛乳がそこに集まって加工品に変わっている。
ですから、
大臣が抱きつくぐらいだからそのことによって影響があるわけないじゃないか、こう言われたって、どこからも一番嫌われる者が幌延町にできて、その幌延町の雪印の製品です、まさかそういう宣伝はしないと思いますけれ
ども、これは競争相手もあるわけですから、そういうような中で心配が出てきやしないか。ですから、過疎を脱却するためということでのこの主張でありますけれ
ども、ほかの過疎地には何もないのですよ。本当にないのだけれ
ども、あの町には雪印のでっかい工場があるわけですね。それまでがそういうふうな状況にさらされたら大変だ。さらされないかもしれませんよ。これはいま私が心配として言うだけなんですけれ
どもね。そういうようなことも心配になりはしないか。
私がいままで申し上げたのは、つまり工事中におけるいろいろな
環境破壊に対する心配、それからもう
一つは、風評被害とでもいいますか、そういうような幅の広い側面から問題を
考えていかなければ、これは大変なことになるのではないか、そういう思いでありますが、これはだれに答えていただけましょうか、
大臣だね、それから通産省もお願いします。