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島田委員 私は、
北方領土の問題に関しましては、基本的には一日も早く
北方領土が
わが国に返ってくることを期待し、その熱意において他の方方といささかも劣るものではございません。それだけに、
北方問題をめぐります問題については深い憂慮を禁じ得ないのであります。しかも三十七年にわたりまして、引き揚げ者を中心に
北方地域の隣接町村は非常に苦労をされてまいりました。その御苦労に対して深く敬意を払うものであります。
たまたま鈴木内閣になりましてから、
総理みずから昨年、
北方領土にも訪問をされておりますが、私は、何といいましても
政府の立場においてやらなければならない点については、それを実行に移すという構えがいまほど強く望まれているときはない、こう思うのです。ですから、慰めみたいに行って激励したり、ただ視察をして帰ってくるというだけではもう済まない状態にあると私は思う。そういう中で
北方地域の
状況というものを、産業、
経済、文化の面にわたりまして、私どもはこの地域の問題に対して真剣に取り組まなければならないという点では、
政府とも比較して劣らないという気持ちを立法府におるわれわれとしても強く持っているわけです。したがいまして、今回、
北方地域の振興を中心にいたしました
法案が出されておりますことに対して、この際やはりこれが確実に法の目的を達成するということに目標と力点を置かなければならないと考えています。
そういう中で、自民党を初めとする公明、民社、新自連、各党四党にわたります共同提案に係ります
法案は、そういう
意味では
一つの目的としては、鈴木
総理があれだけのことを言ってきてもなかなか
政府はやらぬ、腰を上げようとせぬ、これに対して私
たちも同様の責任を持っているという立場から、責任を持った法律というものをつくっていく、その議員立法という理念と趣旨をしっかりわきまえておかなければならないのではないか、こういうふうに考えておる一人です。したがいまして、立法府のわれわれが議員立法で法律をつくるということは、
政府に対して
一定の義務と拘束力を持たせるというところにねらいを置いていかなければならぬわけです。
ところが、おつくりになりました
法案は、その法制作業においてかなり行
政府の意見が入ってくる。それは、ある
一定の意見を聞かなければいけないということはありますけれども、毅然たる議員立法としての趣旨と目的を果たしていくことにこの議員立法の趣旨があるということを損ねてはいかぬと思うのであります。そういう立場からいいますと、私は、この法律の持っております力というものはいささか弱められているような感じがしてならぬのであります。この点は私は大変遺憾に思っております。
それから、私どもは対置して法律を出しておりますが、午前中の
岡田質問にもございましたように、この法律を通して受ける
北方地域隣接町村の引き揚げ者あるいは町村居住者の皆さん方が、この趣旨に沿って十分の、法律に盛られている以上の目的を達成するということに今後われわれも力を入れていかなければならぬ、こう思っています。
そういう点でいいますと、お互いの法律を比校してどこが違うのかという点では、なかなか比較しづらいという意見もありますが、私は、自画自賛とやじが飛ぶかもしれませんが、私のつくりました法律の方がはるかに地元の皆さん方にもわかりやすいし、そして今後の行政運営に当たっても
政府はやりやすいはずだ、実はそう思っておるのであります。特に、この目的の中で、先ほども触れておられましたけれども、私は
一つの危倶を持ちます。
今日、
北方領土の返還というのは、なかなか口で言うほど言うべくして簡単なものではない、ますますその
状況は厳しくなっている。これは
一つには、必要以上な反ソキャンペーンをしいてみたりしている。返還運動に当たって一番大事なのは、けんか腰で取ることができるかどうか、いまの
国際情勢のもとにおいてさえも、それはなかなか困難でありますから、私どもはあくまでも
一定の情理を尽くし、円満にこの返還運動が実を結ぶように努力することが、今日
時点においてなお必要だと私は考えているのです。
そういう
意味で、目的の中で、
北方領土の早期返還を実現していくという
考え方が示されておりますけれども、諸問題の
解決がこの法律によって図られるというふうな単純なものではない、私はこう思っています。この法律の第一条を見ますと、あたかもこの法律ができると返還運動がいままで以上に
促進されて、その目的が早期に
解決できるようなニュアンスになっている。残念ながら私は公党の立場で、そんなに早期に、簡単に
北方領土が返ってくるという
状況にあるとは
認識できないのであります。その辺の
認識をどのようにお持ちになっているのか。この目的に沿ってこれから事業が進められていく過程で、つくられた法律の目的の
一つになっているだけに、これは大事な点ですから、この辺の見通しについて、ひとつ提案者の方からお考えがあれば示してもらいたい、こう思うのです。