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1982-04-26 第96回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二十六日(月曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 吉田 之久君    理事 上草 義輝君 理事 川田 正則君    理事 高橋 辰夫君 理事 上原 康助君    理事 吉浦 忠治君 理事 部谷 孝之君       臼井日出男君    越智 通雄君       中村正三郎君    伊藤  茂君       瀬長亀次郎君    菅  直人君  出席国務大臣         外 務 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         北方対策本部審         議官      橋本  豊君         外務大臣官房審         議官      藤井 宏昭君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省欧亜局長 加藤 吉弥君         外務省経済局次         長       妹尾 正毅君         外務省条約局長 栗山 尚一君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局小学校教         育課長     熱海 則夫君         文部省初等中等         教育局教科書検         定課長     藤村 和男君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     越智 通雄君 同日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     國場 幸昌君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 吉田之久

    吉田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
  3. 臼井日出男

    臼井委員 自由民主党の立場で、外務大臣の北方問題に関する所信に関連をいたしまして、幾つかの御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  実は、きょうの朝の新聞を拝見いたしますと、イギリスアルゼンチン両国フォークランド諸島の紛争、いよいよ実際に戦闘状態に入ったというふうなことも漏れ聞いているわけでございます。これも、もともとは両国間のその諸島に関する領有に端を発した問題でございます。この問題について、現在、外務省の方ではどのような姿勢をもって対処しようとしているのか、あるいは両国からどのようなアプローチがわが国に対してあるのか、この点について、担当官の方、お見えになっておりましたらお願いいたします。
  4. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 フォークランドの問題につきましては、報道によりますと、昨日、英国艦隊南ジョージア島に上陸をしたということでございます。現段階では詳細はまだ不明でございます。同時に、潜水艦に対する攻撃が行われ、若干の被害をアルゼンチン潜水艦に与えたということも報じられております。  本件の根本的な原因は、ただいま先生指摘のとおり、フォークランド諸島及び南ジョージア島、サンドイッチ島、こういうイギリス海外領土をめぐる領有権の問題でございます。非常に根の深い、古い時期からの問題でございますし、基本的にはイギリスアルゼンチンとの二国間の問題であり、二国間の話し合い解決すべきものである、第三国の立場にある日本としては、これに対して立ち入った見解を述べるべき立場にはない、かように考えております。ただ、一八三三年以来今日に至るまで、長い期間イギリスがこれらの島々を統治していたという事実はそれなりの重みを持って受けとめられるべきものと、かように考えております。
  5. 臼井日出男

    臼井委員 原則的には両国間の問題であるということで、公式な見解としては当然その程度のことだろうと思います。しかし、半面、わが国ソ連の問題に対する世界諸国の反応を見た場合に、この問題はあくまでもソ連日本両国間の問題であるということで、公式的な表明がなかなか得られないというのが現在の状態であるわけでございまして、こういう領土問題のむずかしさというのがよくわかるわけであります。この問題については、また後ほど時間があったらお伺いをしたいと思うわけでございます。  まず最初に、現在の日本安全保障ということを考えた場合には、米ソ間を中心とした東西両陣営の動きというものが日本に大きくかかわってくるわけでございます。最近の動きの中でも、ヨーロッパ諸国を席巻している反核運動とか、アメリカのSALTIIの拒否、あるいは中ソ関係の再修復の動き、そういうことが、日本中心とした極東情勢にも大変大きな影響を与えると考えているわけでございますけれども現状をどのように把握されておられるか、外務大臣の御見解をお示しいただきたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 最近のソ連軍事力増強あるいは第三世界への進出を背景とする国際関係基本的枠組み東西関係、これが不安定化しつつあるということを非常に遺憾に思うのであります。昨年のオタワ・サミットの西側首脳協議の結果を見ていただいてもおわかりのように、できるだけ低いレベル軍事力均衡とたゆまざる対話、そういうことによって非常に困難な国際情勢に対応していこう、そういう努力の中にあるにもかかわらず、現在のソ連動きによってそういう均衡が乱れるのではないか、そのために不安定化するのではないか。また、日本としての北方領土問題の関係考えましても、極東におけるSS20を初めとする軍事力増強、あるいは北方領土における軍事基地関係からいたしまして、いまのソ連動きというものについては非常に心配をしておるわけであります。
  7. 臼井日出男

    臼井委員 最近日本でも反核運動が盛んでございますけれども、私どもも原則的にはこの趣旨には賛成でございますが、私ども日本の安全ということを考えた場合には、こうした運動の中に、ソ連が私どもの周りに配置をしているSS20の撤去、そういったものも当然具体的な運動の中に入ってきてしかるべきだと考えているわけでございまして、こういう点については私どもも大いにこれから意を用いていかなければいけないと考えているのでございます。  昭和二十年に敗戦になりまして、三十六年を現在経過いたしているわけでございます。この間、小笠原、沖繩返還がございました。今日、日本にとって唯一残されました領土問題というのは、北方領土返還がまだ実現を見ていないということでございます。本年はサンフランシスコ条約が発効いたしましてからちょうど三十周年にも当たる記念すべき年でもございます。一九五六年に日ソ共同宣言が署名をなされてからもう二十五年を数えているのでございます。この間、北方領土周辺の海域では多くの私どもの国の漁船が拿捕されるという悲劇が続いているわけでございまして、終戦当時一万六千人にも及んでおりました北方領土四島の旧住民も、いつ達せられるかわからないような複局の願いを胸に秘めながら、北海道を中心とする異郷の地でもってだんだんと年をとってしまっているわけです。多くの方々が亡くなっていかれるという状況にあるのでございます。しかも、一九七八年の夏ごろからは、択捉国後両島においてソ連軍の新しい軍事力の配備、施設構築等が行われているというふうに聞いているわけでございます。択捉国後はもう日本領土じゃないのだ、日本人はあきらめろと言わんばかりの行為が行われているわけでございまして、私ども国民にとっても、ちょうど感情を逆なでされるような状況が現出をしているのでございます。  本年一月、モスクワでもって開催をされました第二回の事務レベル会議、報道されたところによりますと、この会議でも領土問題については依然として平行線だったというようなことを伺っているのでございます。私ども日本にとってはきわめて困難な局面に当たっているわけでございます。もちろんこの所信の中にも書いてございますけれども、改めてこの場で、こうした北方領土に関する問題について、わが国基本的な姿勢及び外務大臣決意についてお伺いいたしたいと思います。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 北方領土問題を解決して、平和条約を結んで両国の安定した関係をつくりたい、これは日本としての終始一貫した姿勢でございます。ただいまお話しのように、この線に沿ってのたゆまざる努力はいたしておるわけでございまして、一月の事務レベル協議の際にも、領土問題の解決あるいはそのためのグロムイコ外相訪日による日ソ外相会議をやりたいということも申しておるわけでございますが、今後におきましても粘り強くこの方針を貫徹してまいる考えでございます。
  9. 臼井日出男

    臼井委員 私ども国民北方領土問題に対する返還要求運動、これはどんなに強い障害があっても決して消えていくような種類のものであるとは思いませんし、また、時がたつとともにより強い国民の熱望となっていく運動だろう、またそうなくてはいけないというふうに私は考えているわけでございます。大臣におかれましても、この後、いまお話しございましたような、穏やかな中にもひとつ決意を秘めて交渉に当たっていただきたいというふうに考えておるわけでございます。  昭和五十六年という年は、北方領土問題を考えるときに、ある意味では画期的な年でございました。一八五五年二月七日の日露通条約調印の日にちなんで北方領土の日というものが定められた年でもございました。また、鈴木総理大臣が戦後総理大臣として初めて北方領土を視察をされました意義ある年でもございました。私ども国民北方領土への関心というものは、いやが上にも高まってきているというふうに私は感じております。  また、北方領土問題の解決平和条約締結、こういったものについての両国努力というものが引き続き行われているわけでございます。先ほどお話をいたしました一月二十一、二十二日、第二回日ソ事務レベル会議というものが催されました。どうなんでしょうか、そのときの話し合いの中でもって近々第三回目、これは東京でやるというふうに伺っておるわけでございますが、具体的にどのような日程ができたのかできないのか、その点をお伺いをいたしたいのと、それからポリャンスキー大使が帰国をされまして、新しい大使が決まったわけでございますけれども、この大使は赴任されておるのか、ちょっとその点も私、確認しておりませんが、この新しい大使のもとでもって日本ソ連との関係というものがどういうふうに進展していくのか、新しい大使との接触をしたのかどうか、そういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  10. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 日ソ事務レベル協議の次回の予定でございますが、ただいま臼井先生指摘のとおり、次回は東京でということ以外は何も決まっておりません。大体年に一回やっておるような感じでございますので、次回が東京で行われるといたしましても、来年以降のことというふうに考えております。  ただ、その際にも話を出したわけでございますが、懸案となっておりますグロムイコ外相訪日、今度は日本ソ連外務大臣が来られて、平和条約交渉を含め日ソ二国間及び国際情勢の諸問題について話し合うということになっておりますので、まず当面グロムイコ外相訪日実現させるために全力を注いでいきたいと思っております。  パブロフ大使につきましては、三月の中旬に日本に到着いたしまして、四月十三日に信任状捧呈しております。その信任状捧呈に先立ちまして、パブロフ大使櫻内外務大臣のところに表敬に参っております。ただ、信任状捧呈が済まない限り、正式の大使、正式の外交使節としては認めがたいということもございまして、四月十三日以前の接触は、すべて非公式あるいは外交慣例に基づくあいさつということにとどまっているわけでございます。  今後、同大使からもいろいろ要請が出てきておりますし、政府の要人との会談の希望もございますので、そういう機会をできるだけ活用して、新任ソ連大使との意見交換を進めていきたい、かように考えております。
  11. 臼井日出男

    臼井委員 第一回目の事務レベル会議から第二回目、これは一年以上、かなり長い期間たっているわけでございますし、また、次の事務レベル会議が一年後ともうすでにその日にちまで設定をされて、その期間まあ待つということだろうと思いますけれども、先般の日ソ円卓会議の席上では、両国代表の間でもって、領土問題についても比較的発展的な方向での意見調整が行われたというふうにも伺っているわけでございます。こういう交渉には、コンスタントに交渉するということも必要でございますけれども、やはり何かそういう時期を見て話を一気に詰めるようなことも必要だろうというふうに考えているわけでございます。  そこで、外務大臣にお伺いをしたいわけでございますけれども、こうした日ソ円卓会議等もあったわけでございますし、第二回の事務レベル会議が開かれて、新しい大使も来る、こうした時期に、私はぜひとも一度グロムイコ外務大臣を、前においでいただくことになっておって延びているわけでございますけれどもおいでをいただくことが必要だろうと思うのでございます。そうした中でもって、従来の平和条約に関する両国間の積み上げというものをもう一度基礎からやり返すというふうなことが必要だろうと思いますが、グロムイコ外相訪日について要請をするのかしないのか、またするとすればいつごろするのか、そういう点についてお伺いをしたいと思います。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 事務レベル会議の折に訪日要請して、それは指導部が検討するということでそのままになっております。ところが、三月十五日に魚本大使が帰国する際、同外相会談をしておりますが、最終決定は行われていないということをその折には言われておるわけでございます。昨年の九月、時の園田外務大臣グロムイコソ連外務大臣に直接事務レベル会議あるいは外相会議を持ちたいということを申してからの懸案でありますので、ぜひこれが実現のために努力をしてまいりたい。何といっても、そういう外相会議のような機会をとらえて領土問題を、繰り返しわが方の主張を言うことが必要ではないか。一連の会合でのソ連発言は、常に解決済みということを言っておりますが、日ソ国交回復あるいは一九七三年の田中・ブレジネフ会談の折の状況からいたしますと、ソ連がそういう突っ張り方をしておるわけにもいかないのじゃないかというふうに私は見ております。
  13. 臼井日出男

    臼井委員 ぜひとも早い機会両国間の平和条約締結への交渉というものが前向きに進むように、ひとつ御尽力をいただきたいというふうに思っているわけでございます。  北方領土問題を考える際に、いろいろな側面があると思うのです。その一番基本的で大切なのは、両国間の北方領土に対する基本的な考え方がどうかということだろうと思うのです。そういう意味におきますと、これが最大の問題であって一番のネックになっているわけでございます。日本は、この四島を固有領土であるというふうに主張しているわけでございますが、ソ連側は、もうこの問題については残っている問題はない、余分な領土はないんだというふうなことで、これが一番大きなネックになっているということは言うまでもないことでございます。  しかし、そのほかにどういう側面があるかというふうに考えますと、一つは、この問題を解決していくに際しての私ども日本人国民考え方、理解、そういったものの側面が一つあると思います。それと同時に、これは二国間の問題でございますけれどもサンフランシスコ条約という条約の中で日本が放棄をしたり、主張をしたりする、そういう領土問題の一部でございますので、やはり国際世論にどうやって訴えていくのかということもきわめて大切な側面だろうと思っております。  そこで、きょうは文部省の方においでいただいておりますが、私、文教委員会に入っておりますので、最近の教科書北方領土問題がどういうふうに取り上げられているのかというのが非常に関心がございましたので、ちょっと調べてみたのです。その中で私は特に問題だなと思うのは、小学校には幾つ北方領土の地図が載っておりますけれども、中学校、高校北方領土択捉国後、歯舞、色丹、この諸島について絵が載っているものはほとんどないのですね。一体これはこういうことでいいんだろうかというふうに思いますし、また、北方領土といいますと、北のきわめて寒い、木も生えてないような、きわめて小さな島のような感じ一般国民にとられているんじゃないだろうか、そういうことを考えますと、環境を訴えるということ、どういうところなのか、そういうこと、それから、現在の地理の中で、日本領土でありながら他国が占領しているきわめて特異な状況でありますので、こういうものを、これから大きくなっていく学生たちにしっかりと教えるというのも、私は日本政府としての責任じゃないだろうかというふうに考えているわけでございます。きょうはもう時間がございませんので、藤村課長さん、おいでになっていただいて、特に御意見は求めません、またゆっくりやらしていただきたいと思いますが、こうしたことの中でもって、教科書というのは、もちろん政府で発行しているものではございませんし、所轄は文部省でございますので、外務省としては、他の局のことであるから何とも言いがたいというふうなお考えもあろうかと思いますが、私は、外務大臣としては、国際世論に訴える意味においては、やはり日本の、自分たちの国の子供たちにどういうふうな教え方をされているのかというのは基本だろうと思いますので、こういう点について御感想あるいは御意見等ございましたら、お聞かせをいただきたいと思うわけでございます。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 北方領土が歴史的にも法的にもわが国固有領土であるということは明白であって、また私ども早期返還を求めるその陣頭に立っておるわけでありますが、恐らく、これは国民の総意であろう。そこで、臼井委員のおっしゃるように、小中高校生徒に対して、北方領土の問題に対しての正しい認識をしてもらうことを、これを教えていくということは絶対に必要なことでございまして、文部省の所管のことではございますが、文部省のみならず政府を挙げて、次の世代を担う小中高校生徒の諸君にも正しい認識を持ってもらうということに努力をしてまいりたいと思います。
  15. 臼井日出男

    臼井委員 どうもありがとうございました。ぜひとも教科書等のことについても、ひとつ担当の方を呼んでいただいてよくお話を聞いていただいて、文部省に対してもお口添えをいただければありがたいと思います。  私は、そうした日本のこの問題に対するしっかりとした国民的な姿勢があって、初めて国際世論に私たち北方領土四島に対する主張というものをはっきりと訴えていくことができると思っているのでございます。この問題につきましても、私は、やはり個々の国にそれぞれの公式的な見解を求めるというような具体的な方法をもってしなければ、大まかに各国に訴えるといいましてもなかなかできないだろうと思うわけでございます。時間がございませんので私の発言はこれで終わらしていただきますが、ぜひともこうした私ども日本国民の願望というものを国際世論にしっかりとお訴えいただくようなことも引き続きお願いをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。大変ありがとうございました。
  16. 吉田之久

  17. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 きょうは外務大臣の御出席をいただいておりますので、幾つ質問をさせていただきたいと思います。  先ほどの議論にもございましたが、国際的にも大変な、日本をめぐる重大な問題が山積をいたしているわけでありまして、そういう中で、櫻内外交といいますか、積極的な活動を期待しながら幾つ伺いたいと思います。  まず最初に、沖繩嘉手納空港騒音軽減措置について対米交渉を行うべきではないだろうか、ぜひやっていただきたいということであります。  当委員会で、間もなく五月十五日、復帰十年に関する関係法案審議を先般行いました。その中で取り上げた問題でございますが、調べてみましたら、アメリカ基地について、厚木横田については、昭和三十八年に日米合同委員会で合意をした協定がございます。十分守られていないので、私も厚木のコースの下におりますから、非常に残念なんですが、しかし、そういう協定すら嘉手納にはない。私は、厚木横田よりも嘉手納の方が運航している飛行機の数が非常に少ないとは思えないので、非常に理解できないことであります。復帰十年、そしてあれだけ大変な基地なのに、周辺関係住民皆さん厚木横田周辺住民皆さんより非常に差別された状態にあるということは非常に問題ではないだろうかというふうに思うわけであります。何か最近騒音についての集団的な訴訟も起きているというようなことでございまして、この問題についての取り扱い、現状とか、米軍側から自主的な規制についての書簡が来ている、その内容は云々とかいうことは当委員会審議のときにも伺いましたから、私は、今後の姿勢だけ実は伺いたいというふうに思うのでありますけれども厚木横田と同様の、また、できればそれ以上の協定日本側から積極的に合同委員会に持ち出して努力をする、そして沖繩の県民の皆さんの安全のために十分の努力をする、これは、いわゆる日米間イコールパートナーシップと言われている段階で当然のことではないだろうかと思うわけでございまして、最初にその方向づけか姿勢をお伺いしたいと思います。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 協定そのものがないということについては大変残念でございますが、日米合同委員会の中にございます航空機騒音対策分科委員会あるいは現地におきまして、機会あるごとに騒音対策米側に強く要請をしておるところでありまして、現実には、御承知のように、米軍エンジンテスト時間の規制飛行パターン調整夜間飛行の制限など、可能な範囲で騒音軽減措置を講じておると聞いております。また、わが国におきましても、騒音防止軽減についての対策として、嘉手納の飛行場における消音装置の設置、住宅防音工事を含む騒音防止事業あるいは民生安定事業などの諸施策を促進しておるわけでございまして、これらのことは今後も当然引き続き行っていきたい、また騒音対策については機会あるごとに米軍に訴えていく考えでございます。
  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 重ねて恐縮ですが、大臣、私がお伺いしたのは、現段階でいろいろの可能な努力をしていきたい、またしているというような御趣旨でございますが、すでに昭和三十八年に日米両国政府代表により調印された協定書があるわけです。それと同じ方向日本政府努力をするというのが、すでに復帰十年を経た沖繩県民への当然の努力方向ではないだろうかというわけであります。私のところでも沖繩でも、いろいろな事故が起きております。私のところで五年前に米軍ジェット機墜落事件子供が二人死んで、そのお母さんも先日亡くなって、私は、亡くなった土志田和枝さんの魂の記録とも言うべき本をぜひ出したいということでいまやっておるところでありますが、こんなことがあってはならぬという気持ちが私は非常にするわけでございます。ですから、本土にあるのと同じような協定をする努力をなさるべきじゃないかということをお伺いしたいのです。
  20. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 いま伊藤委員お尋ねの件は、昭和三十八年というのは恐らく厚木横田における協定をお指しになっているかと思います。  この嘉手納の場合については、まず地元の三者協議会というものがございます。しかし、そこで話した結果、日米間で合意したものもございますが、なかなか地元の御要望に沿えない点もあるわけでございます。そこで、沖繩県の知事を初め地元からの御要請もありまして、先ほど大臣から御答弁いたしましたように、日米合同委員会下部機構で取り上げてはどうかということで、実は施設庁と相談をしながら現在努力をしてきているところでございます。ただ、その地元の御要望の中には横田厚木規制を超えるものがございますので、なかなか簡単にはいかないというのが事実ではないかと思います。われわれもまた地元からたびたび御陳情を受けておりまして、私自身も米軍の参謀長その他といろいろ話をする機会がございます。今後もそういう機会をとらえて話はしていきたいと考えております。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 不満でありますが、さらに努力をお願いしたいと思います。  日ソ間のことにつきまして、幾つかお伺いいたします。  まず最初に、先ほど話題がございましたが、第三回日ソ円卓会議が四月二十日から二十二日、東京で開催され、終わったところであります。この会合には政治家もたくさん参加いたしましたし、また、石田さんや赤城さんを初め与党の議員の方も今度はたくさん御参加になっておられました。また、参加して論議を聞いておりましても、今日の日ソ間の状態を非常に心配して何とか改善をしなければならない、同時に日本側皆さんも、領土問題を初めとして良識ある日本国民の気持ちを代表して非常に率直な議論をなさっていたという感じがいたしております。  そこで二つお伺いしたいのですが、一つは、私の印象なんですが、第二回は出られませんでしたが、出席者に聞きますと、第一回、第二回と比べて今度第三回の会議の雰囲気の大きな特徴は、じっくり話し合うという姿勢ソ連の側にも非常に強く見られたというのが特徴であったと聞いております。言うならば、意見が対立をしても、むきになってハードな論争をするという態度ではなくて、相手の意見に耳を傾けるということが特徴ではなかっただろうかというふうに伺っております。そういうことを考えますと、やはり対話はむだではない、相互理解の努力、対話は非常に大切だ、そしてまた、外交は外務省政府だけではありませんから、国民外交の大切さを非常に感じたわけであります。幾つか報道でもごらんになっておられるのではないかと思いますが、第三回東京円卓会議外務大臣はどういう印象でおとらえになっていらっしゃるのかということが一つ。  もう一つは、その内容の問題でありまして、今回は時節柄当然のことかもしれませんが、軍縮、核兵器禁止等について非常に活発な論議がなされ、そのための分科会も持たれました。ソ連側で出されているブレジネフ演説などさまざまのソ連側の提案及び日本の非核三原則の立場というものをお互いに理解し合い、評価し合いながら政府レベルで核軍縮という方向話し合いがされることを強く願望するというふうに集約をされております。  私は、現下の国際的な中での最大の問題がこの核軍縮の問題であろうと思いますし、また、ことしの予算委員会ですか、わが党の同僚議員の質問に対して大臣がお答えになったところでは、日ソ関係についてのボールはどちらにあるか、ボールはソ連側の方にございますというわけでありますけれども、野球でもピッチャーとキャッチャーとお互いに気合いが合わなければボールは投げられないわけでありまして、何かそういう意味での  一歩進んだ努力が必要ではないかということを痛感するわけでございますが、いかがでございましょう。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 言うまでもなく、今回の会議が民間レベルで持たれたことでございまして、その内容について私がとやかく言うのもいかがかと思いますが、一般論として申し上げますならば、こういう機会に相互理解を増進すべく、言うべきことは言うという姿勢で大いに語り合っていただく、これは大変結構なことだと思うのであります。私は、円卓会議皆さん方から会見を求められておりますので、それはいつでもおいでいただきたい、特に先ほどのお話のように、私どもと同僚の国会議員の方も御参加でありますから、その御参加の皆さん方からお話もお聞きしたい、こう思っておるのであります。  ただ、こういう会合を持つということはそれなりの意味があると思うのでありますが、いまの日ソ間の現状というものは、残念ながらアフガニスタン問題、ポーランド問題以来の経緯もございまして、政府としては、それらの事態にかんがみてソ連側に自制を要望しておる、こういう段階でございますので、民間で行われるこういう会合につきまして腹蔵のない意見が行われておるということは、私としてはまた参考にしてまいりたいと思っております。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は第三回日ソ円卓会議、全部は出られませんでしたが、参加して議論を聞きながら、もっとお互いに接触を深めて、もう一歩積極的に両国関係を打開する、そういう必要性と可能性が少しずつ広がってきているという今日の状態ではないだろうかという感じがいたしました。大臣も御承知の外務省長老の西春彦さん、九十何歳かと思うのでございますが、この会議にもお見えになりまして、発言を伺っておりましたら、いまこそもっと積極的、そしてもっと率直に取り組むべきではないだろうか、歌に託して気持ちを申し上げたいということで「この国の指導者たち」この国というのはソ連のことです。「この国の指導者たちと四つに組みざっくばらんに話し合う日を」という歌を御披露になりまして、そういう外交長老の気持ちに私ども感銘を受けたわけでありますが、離れてにらみ合いっこしているというんじゃなくて、何かやはりこの難局をどう打開するのかということに櫻内外交の真価をぜひ示していただきたいという気持ちもするわけであります。  そういう意味からいいますと、何か新しい条件もあるような気がいたします。両国大使が着任をいたしまして、正式な活動を開始をするということになりました。高島新駐ソ大使も、報道を読みますと、いろいろと抱負を語っておられるようであります。これよりも悪くしてはならない、もっとよくしたいということを言われているようであります。また、ソ連の新しいパブロフ大使ソ連側の報道で読んでおりましたら、日ソ関係改善は可能であり達成できる、唯一の賢明な方法は対話の拡大であるということをパブロフ大使が言われておりました。私は日本の政治家の一人として、新しい大使がハードな対応ではなくて、いい意味での知日家になってもらいたいという気持ちで私どもも対応していきたいと思いますし、新しい大使日本の良識ある国民感情を理解されるように、ぜひ望んでいきたいと考えております。  そういうそれぞれ新しい大使が着任をしてということになりますと、それぞれ対話が大事であるということを言われているのでありますから、何か新しい努力を、特に外務大臣からは高島大使に対してとなりますか、努力方向があっていいのではないだろうかという気がいたします。たとえば日ソ外相会談への条件をどうつくっていくのかということについての、いきなり大きなことでなくても、さまざまな努力があってしかるべきであろう。そのためにたとえば事務レベル協議も、一年に一回というお話がございましたけれども、機に応じて年に二回でもあるいは三回でもいいから、とにかくさまざまな対話の努力をやる、そして日本立場はきちんと言う、そういうことが必要ではないだろうか。事務レベル協議もそう時間を置かないで再度積み上げていくということを考えてはどうだろうか。また、伺いますと、外務大臣ことしじゅうに行かれるかどうかはっきりは知りませんが、東欧の諸国などでも、たとえばユーゴとかルーマニアとか、ルーマニアなんかはチャウシェスクさんが来られて、日本からは大臣が一人も行ってないということでありまして、日本の外交からいっても、当然東欧の幾つかの国をことし訪問なさるということも必要なスケジュールではないだろうか。いろいろなそういう機会をとらえて何か対ソ関係を打開をする、そういう努力を追求あるいは探求をしていくということが必要ではないだろうかと思いますが、いかがでございましょう。
  24. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 日ソ間にはなかなかむずかしい問題、状況がある、しかし、そういう折でありますからなお対話が必要ではないかと言われる向きもございまして、それはそれなりに、私としても、まあ対話はやっていくべきではないか。現に米ソ間でも、あれだけ東西の対立の頂点にありながらも核軍縮について昨年の十一月から対話もしておるということでございますが、何分にも前提となる二国間の間では領土問題が未解決である、それから、国際的にはポーランド問題、アフガニスタン問題でソ連に自制を求めておる、そういう中での対話でございます。おのずからそこに、ある程度の抑制される面も当然出てくるわけでありますが、しかし、漁業交渉も先般円満に妥結を見ておりますし、事務レベル会議も持たれておりますし、外相会議については先方も最終的な結論を出したということではないのでありますから、適切な機会会談を持ち、諸懸案解決努力をする、そういうことについては外務大臣の職責上大いに努めてまいりたいと思っています。
  25. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ただいまの外務大臣お話を伺っておりましても、何か私は、一年前あるいは二年前といいますか、アフガンやその後ポーランドと問題が発生をした時点の緊張状態と、これから一体どうするのかということですね、やや雰囲気が変わってきているというのか、冷静に今後の展望をどう探究していくのかというふうな時期にいま入っているではないかというふうな気がいたします。たとえば、そういう中で、まあ基本認識となるんですが、いわゆるソ連脅威という言葉やキャンペーンがあるわけでありますが、そういう中での、いま今日時点での段階ということを冷静に考えるべきではないだろうかという認識の問題ですね、御見解伺いたいわけであります。  日ソ間には、領土問題初め大きな意見の隔たりがあります。しかし、最近の状況を見ますと、たとえばソ連労組大会でのブレジネフ演説とかあるいは同じくタシケント演説とか、それらを読みますと、何かこう信頼関係強化措置をとりたいとか、アジア情勢正常化にあるいはデタントの方向努力をしたい、そういう印象が強まっているというところであろうと思いますし、去る二月ですか、チーホノフ首相と朝日新聞の秦専務との会見、その秦さんの会見記を読みましても、デタントを切望しているということが非常に印象的であったということが述べられている。何か今日段階の一つの傾向というのか、新しい特徴ではないだろうか。  アフガンやポーランド問題にいたしましても、さらに重大な危機が広がっていくというよりも、何か解決への模索の段階にいま入っている。そういうことを日本も、スーパーパワーではありませんけれども、いまや日本の持つ国際的なウエートは非常に大きいわけですから、どういうふうに問題紛争解決努力をしていくのかということが問われている。そういう時代ではないだろうかという気がいたします。  与党議員のことを引用して大変恐縮でございますけれども世界」の五月号に、石田博英さん、私も個人的には尊敬している人でありますが、石田博英さんが論文を書かれておりまして「国際的責任を果す道」領土問題は最大の障害となっている、ソ連のかたくなな対応は遺憾である、深刻ではあるけれども、これを理由に敵対関係を続けることは全く不毛と言わなければならない、敵対的関係の中で領土問題の解決はあり得ないというふうな趣旨、そして軍縮や南北問題ということを述べられておりまして、その部分については共鳴をいたしました。  そういう、いわゆるソ連脅威論と言われるわけでありますが、いま今日の段階あるいはこれからの展望というのは違ってきているのではないだろうか、また、それに対応する姿勢を持つべきではないだろうかという御所見を伺いたいわけでありますし、私は、ぜひそういう意味での先見性を持っていただくようにお願いしたいと思います。  中ソ関係につきましても、円卓会議の議論を聞いておりましたら、ソ連の科学アカデミーの極東研究所の所長さんでしたか、中ソ問題についても対立の時代は終わった、いまはスモールディプロマシーであるけれども、やがてビッグディプロマシーになるであろうという発言をされておりまして、印象深く聞いたわけでありますが、そういう方向への努力を、申し上げましたような認識に基づいて行動される、これは対ソ認識の今日の段階での一つの問題点ではないだろうかと思うわけでありますが、外務大臣、いかがでございましょう。
  26. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 最近のソ連動きを見ますと、いわゆる平和攻勢的な要素が目立ってきておると思います。しかし、私どもが忘れてはいけないのは、デタントと言われておる間に一体ソ連はどういう現実的な行動をしたのか。その間に相当軍事力増強した、あるいは第三世界に進出した、そしてその盛り上がりの中にアフガニスタン問題、ポーランド問題が起きてきておる、こういうことでありますので、これらの点についてソ連が現在どのようにわれわれが求めた自制をされておるのかというようなことが、これからの二国間あるいは国際間における出発点ではないかと思うのであります。  そういうやさきにタシケントの演説などを聞くとか、あるいは米ソ間の双方における首脳会談の提唱、こういうことがございますし、また六月に第二回の特別軍縮総会がある、こういうことでありますから、それらの国際的な動きを見ながら、また日本としては、先ほど来申し上げるような現実的に互恵の立場で、必要なことについては日ソ間の交渉が持たれておるわけでありますが、われわれの基本的な問題についての姿勢、すなわち領土問題について、これらの問題についての何らかのソ連側動きがあれば、それはまた私どもとしても対話を大いにやろうということになりますが、どうも日ソ共同宣言、一九七三年の田中・ブレジネフ会談を頭に置いた場合に、ソ連側解決済みという姿勢は余りにもかたくなだ、こう思うのでありますが、しかしそういうようないろんな問題がありましても、機会を得て外相会議を持つ、それはもう結構なことだ、こう思っておるわけであります。
  27. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、大臣にもう一歩積極的な姿勢を実は要望したいわけでありまして、何か新しい兆しが、また新しい要素が出つつあるというのが、一年前、二年前とは違ったごく最近の状態ではないだろうかという気がするわけでありまして、そういう意味でいいますと、新しいボールを投げ合う——投げ合うといっても、とげのついたボールを投げるという意味ではなくて、ピッチャーとキャッチャーの関係ぐらいでやるような可能性というのもだんだん広げることができるんじゃないだろうか。それを、ボールはおまえの方が持っているんだからおまえの番だ、後はじっと見ている、あるいはにらめっこしているということでない注意深い対応が、いま日本に必要なところではないだろうか。それは私は、日本基本的な主張を将来実現するためにも、あるいはやはり主権の権威を持つためにもという意味で、実は申し上げているわけであります。  そういう中で、一つ具体的な問題でございますが、経済交流あるいは対ソ経済制裁措置という問題が続いているわけでありますが、私は、こういう問題についても、相手に信ということを言い、あるいは両国関係正常化の方への対話努力をしながら改善をしていくというのが、経済面で見てもあるいは日本の安全のためにも望ましいというふうに思うわけでありますが、最近の報道を見ますと、何か新たな、より強力に、しかもアメリカとともに日本が積極的な役割りを持ってというふうな意味で対ソ金融制裁、六月のベルサイユサミットの議題にもしたらどうかというふうな報道がなされております。  私は懸念いたしておるわけでありますが、先日アメリカのブッシュ副大統領が来られたときに、鈴木総理とお会いしたときにも、ブッシュ副大統領の方から、西側の足並みをそろえてサミットでも話し合おうというふうな趣旨の話があり、鈴木総理も西側の結束を十分配慮してもらいたいというふうな話があったというふうよことが報道されておりますし、また対ソ金融制裁を強化をして、新規の輸出信用の金融を全面的に考えていくというようなことも報道されております。いまの時期に一体そういう対応をなさるのかどうか。サミットには当然大臣も行かれるわけでありますし、その前にもいろんなそういう協議があるでございましょう。いかがでございましょう。
  28. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 対ソ金融措置の点についてお答えいたします。  昨年のオタワ首脳会談のときに、サミットでございますが、採択されたコミュニケの中にも、今後の東西経済関係を進めるに当たっては、安全保障上の考慮を踏まえてやっていこうという趣旨の一章がございます。こういう前回のサミットの結論を受けまして、来るべきベルサイユでのサミットにおいても、同じような話が恐らく出るのではないか、かように考えております。  現段階におきましては、具体的に対ソ金融をどういうふうに抑制するか、その方法、内容等についてはまだ検討はされておりません。恐らく関係諸国もいろいろな個人代表会議とかいろいろな準備会議を通じまして、お互いに何を考えているかというのを探り合っている段階ではないかと思っております。したがいまして、わが国といたしましても、オタワサミットの原則を受けて対ソ、対東欧との経済関係については安全保障上の考慮というものはもちろん踏まえて対処はいたしますが、具体的にこれをどうするかというような結論を得てはおりません。
  29. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間がありませんから、最後に日韓経済協力について、もう目の前、五月連休最終決着大詰めというふうな報道が毎日なされておりますので、大臣の所見を伺いたいと思いますが、報道では、五月の三、四、五あたりでも外務大臣、韓国を訪問をして決着をしたい。また週内にも事務次官を派遣をしてとか、あるいは首相特使の派遣もあるのではないかとかというふうな報道がなされております。私どもは、先般大蔵委員会でもずいぶんこの議論をいたしました。対外経済協力についての一定のルールがあるわけですから、私は非常に重大視をいたしているわけであります。  二つお伺いしたいのですが、一つ、大詰めの段階と言われているわけでありますが、この大詰めの段階のこの十日間か二週間か、言われているところではそういうスケジュールになりますが、その辺の手順を一体どういうふうにお考えになっているのか。大臣としては当面する最大の問題でございましょう。しかし、各新聞の社説にも報じられておりますが、何か国民の理解できないグレーかダーティーなやり方ではいけないのじゃないかということが一斉に各論説でも取り上げられております。大きな問題であるだけに、その手順を国民にわかるようにきちんとしていく。最終決着への大臣の気持ちを含めてその手順。  もう一つは、内容に関するわけでありますが、私はルール違反はあってはならぬと思うのです。韓国は、国際的にもこれは明瞭な問題としてLDCでもLLDCでもありません。りっぱな中進国に位置づけられているわけであります。外務省は商品借款の問題を大分言われているようでありますが、こんなことはあり得べき問題でもない。円借款の問題についても、現在のODA全体のウエートからして、こんな巨額なものがあってもいいものかどうか。金利の問題にしても、国際的にも大きな問題として非難をされるということになるのではないだろうか。またその背景には、軍事力増強へ直接か間接かの意味合いというものを持って要求をされているというのが、これは韓国政府筋の立場でもあろう、私はそう思います。  そういう大きな問題でございますので、国際的にも国内的にも、国際金融やあるいはODAの執行やそういうものについてのルールを破るような措置はすべきでないというふうに思うわけでありますが、最後に伺いたいと思います。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昨年来のこの経済協力要請の経緯をごらんいただきますとよく御理解できると思うのであります。韓国が本年からの新五カ年計画、その中の一部について日本の協力を求めて、十一プロジェクトについて検討してもらいたい、こういうことで実務者レベル会議も持ち、その結果、中間的な回答をいたしまして、そして基金で考えられるもの、あるいは輸銀で考えるもの、場合によっては一般市中銀行で考えるもの、そういう仕分けをしまして、また、商品借款については日本としては考えられない、こういう回答をして、そしてその回答に対しては、なお韓国としては、現在の当面する経済状況から商品借款をもう  一度考え直してもらえないか、また示した基金、輸銀の関係をできるだけソフトなものでお願いしたい、そういうことでずっと順序が積み上がってきておるわけであります。前田大使が帰られまして、その中間回答に対しての向こうの意見に対し、やはり商品借款はだめである、仮にソフトなと言ってもおおむね輸銀や基金を通じてこの範囲のことまでしか考えられないというふうにきておるわけでございまして、そういう点については、韓国側としてはなお希望を強くいろいろ言っておるようでございまして、きわめて近い機会に妥結を見るかどうかということはなかなか厳しい情勢にある次第でございます。  なお、日本の経済協力についての基本方針、そういうようなものを曲げることはなく、方針の中で積み上げ方式で考えていきたい、このように考えております。
  31. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。
  32. 吉田之久

    吉田委員長 吉浦忠治君。
  33. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先に私は緊急質問を申し上げます。  けさの新聞ですでに報道されておりますように、フォークランド紛争でイギリスアルゼンチン側に攻撃を行ったというふうに伝えられておりまして、これが大規模な軍事衝突あるいは戦争へと発展するのではないかと懸念されるわけでありますが、政府として、今回のイギリスの行動に対してどういうふうに見ておられるのか、第一点。フォークランド紛争の見通しをどういうふうにとらえていらっしゃるのか、これが第二点。三番目に、わが国政府として、この問題に対する対応はどのようにお考えなのかどうか。外務大臣見解をお伺いいたしたい。
  34. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 武力衝突を見るに至ったということについてはきわめて遺憾であり、残念に思っておるところでございます。現にヘイグ国務長官のあっせん工作が続けられておるさなかのことでございまして、イギリスあるいはアルゼンチン外務大臣もワシントンへ来ておられる、ヘイグ長官のあの精力的な往復もある、こういうことでありますから、本当にもう全面戦争辞せずということではなく、何らかの意図を持ってのイギリス軍の行動ではないか、こういうふうに、ある程度のそういう意味の期待感を持ちながら見ておるということでございます。したがって、このフォークランドの紛争につきましては何とか話し合いの余地があるものではないか。  そこで、わが国としては、四月三日に採択されました国連安全保障理事会の決議にのっとって、敵対行為の即時停止、それからアルゼンチン軍の即時撤退を改めて求めることにいたしております。両当事国が自制して武力衝突のこれ以上の拡大を防止するように、これはもう真剣に要請をするものであります。また同時に、外交的な努力、これはいま申し上げたようなヘイグ長官のあっせんというものがもう最終的で手を上げた、こういうことではないと思うのでありまして、これらの工作の成功することを念じ、関係国が事態の平和解決のための努力を継続するよう期待をしておるわけであります。
  35. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣、このフォークランド紛争の見通しからして、日本政府のとり方によっては両方とも、アルゼンチンにおいても友好国でありますし、イギリスにおいては自由主義諸国の中における日本の役割りというものもこれまた関係性があるわけでありますから、どうかこの点で誤りのないような処置をとっていただきたいわけでありますけれども、現時点において、こういうふうな紛争が拡大しそうなときの状態にどういうふうに対処しようとなさっておるのか、重ねてお願いいたします。
  36. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 両当事国がそれぞれの立場での主張があるわけでございますが、かかる事態になりまして国連の安全保障理事会が決議もいたした、こういうことでありますので、日本としては、国連の内外において紛争の拡大防止とその平和的解決のために努力を傾注する、これが当面の一番大事なことではないか。しかし、この国連の安全保障理事会のそういう動きの一つ前のところでいまヘイグ長官があっせん工作をしておるということでありますので、両当事国ともにこのあっせんに応ずるように私は期待をしておるわけであります。しかし、それもうまくないというときにおきましては、安全保障理事会で十分理事国の間の協議の上で両国に対しての措置を考えていくべきではないか、こう思います。
  37. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣、積極的な対応というものはなさる予定はないのですか。国連に任せるというような形じゃなくて、日本の経緯からしてこれに対する積極的な対応をひとつ示していただきたいと思うのです。いかがですか。
  38. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 基本的には両国の間でそれぞれの主張があって、それがこじれての紛争であり、また日本は、英国とはもとより、アルゼンチンとの間においても従来友好親善な関係を維持してきておるわけでありますから、日本がどちらかに偏しての言動もとりにくいところは明白でありますから、そういう点から国連安保理事会を重視することを申し上げておるわけであります。しかし、先般ブッシュ副大統領訪日の際に、両国に対する現在までのアメリカ努力を多とし、もう一つ平和的解決のための努力をしてもらいたいということを要請しておるところでございます。
  39. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 次に進みます。  北方領土返還でありますけれども日ソ共同宣言以来二十六年を経過しておりますが、それにもかかわらず、見通しというものは立っていないばかりか、その前途はきわめて暗いと言わなければいけないと思うのです。そこで、長い間の懸案であります北方領土返還問題の見通しについてどのようにお考えなのか、率直にお考えをお尋ねいたしたいと思います。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 日ソ共同宣言を行いました当時の経緯、それから田中・ブレジネフ会談で、未解決の問題について今後も継続して話し合おうといった経緯、そういうことからいたしますと、ソ連ソ連としての立場上、領土問題は解決済みということを言っておりますが、この明らかな事実に立脚する日本主張というものは、ソ連側がいろいろ申しておりましても非常に価値の高いものである。したがって、日ソ間の関係をどうするかというときには、あくまでもこの領土問題の解決というものがまず第一である、そして安定した日ソ間の関係を結んでいこうではないかということを繰り返し申しておるわけでございまして、この点については私は決して悲観しておるものではないわけであります。少なくとも共同宣言当時、歯舞、色丹は認めながらも日本側国後択捉の問題があって、領土問題未解決国交回復、共同宣言となった経緯、田中首相が乗り込んでの場合は、それでは未解決の問題を話し合おうということになっておるのでありますから、やはりここは日本としては一踏ん張りも二踏ん張りもして、領土問題が最優先するという姿勢でいくべきではないかと思います。
  41. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 政府北方領土の日を決めるなどして、国内世論というものの喚起に努められていることは私も認めますけれども、果たして国内の世論と、国際的ないわゆる日本北方領土に対する主張が理解を得ていないのではないかという疑問がわいてくるわけです。  たとえばサンフランシスコ平和条約締結国四十八カ国の地図を調べてみますと、先ほど国内の問題は同僚議員から質問がございましたが、締結国四十八カ国の地図を調べても、北方領土の取り扱いを見ると、歯舞、色丹、国後択捉の四島を日本領というふうに明記したものは一つもないのです。この事実についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず御説明をいただきたい。
  42. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 サンフランシスコ条約締結諸国の地図の扱いにつきまして、私どもで調査した結果は大体次のとおりでございます。北方領土日本領土としている国は、パナマ、ホンジュラス、パラグアイ、ボリビア、オランダ、豪州、イラン。第二に、北方領土を現在係争中のものとして地図に表記している国としては、カナダ、コスタリカ、ハイチ、オランダ、ノルウェー、イギリス、ニュージーランド、サウジアラビア、トルコ、こういう国がございます。  先生指摘のとおり、国際世論あるいは国際理解に訴えるという努力は、外務省といたしましてもかねてより鋭意これを進めているところでございまして、最近におきましても数回関係各国の当局に申し入れを行っております。その結果、幾つかの国においては、特に出版社の側から、日本立場を理解し、次回の出版のときにはそれを考慮して行うというような肯定的な回答を得ている国がございます。
  43. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私が指摘したいのは、アメリカ北方領土四島に対する——四島に限っていま私は質問をいたしておりますけれどもアメリカはきちっとソ連領、こういうふうにしているのです。米国製の地図を利用している中南米諸国も当然ソ連領というふうになっているわけです。歴史的に見ますと、アメリカは、日ソ国交回復交渉が行われました一九五六年、覚書を発表して、北海道の一部である歯舞、色丹とともに国後択捉両島は固有日本領土というふうに公式に認めた経緯があるのです。それなのにこの地図ではソ連領というふうに扱って、私は全くけしからぬと思うのだけれども、このアメリカの態度に対して、政府はどういうふうにお考えなのか。
  44. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 米国政府立場は、ただいま吉浦先生指摘のとおり、北方領土については完全にわが国立場を支持するという立場でございます。しかしながら、出版社の出している地図におきましては、これも御指摘のとおり、遺憾ながら北方四島をソ連領として表示しているものが多数ございます。わが方といたしましては、これら出版社に直接当たりましてその訂正方を申し入れております。現在までのところ、アメリカの出版社の中で、ジン・アンド・カンパニー、ハットン・ミフリン会社、アリン・アンド・べーコン社、こういう地図出版の大手の三社からは、日本立場を理解する、次の訂正のときには所要の修正を検討しようというふうな前向きの回答を得ている次第でございます。
  45. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 少なくとも、北方領土の問題に対する日本主張というものは、いま外務省から答弁のあるように、国際的な理解がきわめて低い。そこで、アメリカだけではなくて関係諸国に対してこの地図の訂正等を求めるべきじゃないかというふうに私は考えますけれども、いかがでございますか。
  46. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 国際的な理解増進という観点から行っておりますことは、まず第一に、国連の総会における演説でこの問題を取り上げて理解を求めるということをしております。同時に、北方領土問題に関する日本側の各種の文章、ドキュメントを外国語に訳しまして各国に広く伝播するという努力も行っております。  現在、ただいま先生の御質問にあります地図あるいは教科書につきましても、外交チャンネルを通じまして先方当局に数回にわたって注意を促し、その修正方を申し入れていること、先ほど私から御説明申し上げたとおりでございます。このように外務省としても鋭意間違った事実はこれを訂正し、正しい理解を得るように努力を進めている状況でございます。
  47. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 大臣にお尋ねいたしますけれども、特に六月にはベルサイユ・サミットも開かれることでありますので、先進国の首脳が一堂に会されるわけでありますから、できればそのような機会をとらえて、大臣も、お話を伺うとベルサイユ・サミットに同行なさるやに聞いておりますので、この北方領土問題に対しての日本主張に対する理解と支持を求めることが私は大事であると思うのです。その根回しと言うのは悪いけれども、表舞台じゃなくて、集まられた席で、いわゆる裏の舞台等で、外務大臣、こういう北方領土に対する理解をしていただくような根回しをぜひともやっていただきたいと思いますけれども大臣いかがでございますか。
  48. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ベルサイユ・サミットの取り運びにつきましては、準備会議が最終までに四回持たれるわけでございまして、その間に議題等が決まり、それに基づいての討議でございますので、せっかくのこのベルサイユ会議の折に、日本としての大きな懸案事項をどう考えていくか、そういうことにつきましては、ただいまの御高見のように、私も時間がある限り参加国の外相の方々との個別会談を持つことにいたしておりますので、そういう機会に積極的にこの北方領土問題について私の考えを訴えてまいりたいと思います。
  49. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 ぜひお願いしたいと思います。  次に、竹島問題で二、三ちょっとお尋ねをしたいのです。日本フォークランド島と言うと大げさでございますけれども、竹島も北方領土と同じ日本固有領土でありますのに、これは余り国民的課題として取り上げないわけなんですね。この竹島の韓国による不法占拠によって、政府は韓国政府に対してどのような申し入れを行ってこられたのか。一つは外交交渉の申し入れ、あるいは不法占拠に対する抗議等の申し入れ、あるいは不法占拠撤去の申し入れ等について、どのようになされて対処されてきたのか、お尋ねをいたしたい。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 詳細申し上げる時間的余裕がないように思いますので、取りまとめて申し上げますと、昭和二十七年から昭和五十七年四月現在、合計約六十回の抗議を申し入れております。最近の例としては、昭和五十三年九月に開催された第十回日韓定期閣僚会議において園田外務大臣より、昭和五十五年三月の全大統領就任式において伊東外務大臣より、また事務レベルでは、昭和五十六年十一月十九日に、また同年八月二十八日の海上保安庁による巡視結果に基づき口上書をもって抗議し、また昭和五十七年一月二十日にも事務レベルで口頭による抗議を行っておる次第でございます。
  51. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 竹島問題について消極的過ぎるのじゃないか、どうして遠慮なさるのか、日韓経済協力問題等と絡めて話してはまずいのかどうか、私はいろいろ疑問を感ずるわけですけれども、韓国による不法占拠が既成事実となって、時効取得の管理によって事実上韓国の領有というふうになるのじゃないかという心配をいたしますけれども、いかがお考えですか。
  52. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 お答え申し上げます。  まず、国際法の一般的な理論といたしまして、時効取得という概念が成立し得るかどうかということにつきましては、学説上も異論があるところでございますが、いずれにいたしましても、そういう時効取得というようなことが成り立たないようにするためにも、先ほど大臣から申し上げましたように、わが国といたしましては、韓国に対して、韓国の不法占拠に対して累次にわたり抗議をいたしておるところでございまして、こういう抗議が累次行われておる限りにおきまして、いかなる場合にも、いま先生指摘のような時効による領土の取得というものは成立しない、このように考えておる次第でございます。
  53. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうなりますと、竹島の領有権が確定するまで、少なくともこの竹島における韓国の公権力を撤去すべきじゃないか、こう思うのです。この点、どういうふうにお考えですか。
  54. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 先ほど大臣から御答弁ございましたように、わが国としては累次にわたり、あらゆる機会をとらえまして、韓国がこの日本固有領土である竹島を不法に占拠しておる、これを撤去するようにという申し入れ、抗議を行っておる次第でございます。
  55. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 その撤去申し入ればかり行っていたのでは、ちっともらちが明かないわけですから、私はちょっと提案をいたしますけれども、日韓両国の共同管理のもとに置くというような暫定措置の提案、こういうものは考慮なされたことはないのでございますか。要するに、竹島及びその周辺海域における経済活動も日韓が平等に行うべきという、こういう点で私はそういうふうな努力は払うべきだというふうに思うわけですけれども政府見解はどういうふうにお持ちですか。
  56. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 本件につきましては、一九六五年に結ばれました日本と韓国との間の紛争の解決に関する交換公文に従いまして粘り強く交渉している次第でございます。
  57. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 粘り強くと言ったって、ちっとも前進してないものを粘り強くそちらだけやっていたって、結果的にあらわれないものは、何もできていないということになるわけですね。  そうしますと、先ほど申し上げましたように、対韓経済協力ということについて、私は主客転倒の観があると思うのです。韓国が六十億ドルの経済協力を要求して譲らないならば、向こうがきちっとした経済要求をしてきているなら、日本も態度をはっきりすべきじゃないかと思うのです。日韓関係が好ましい状態に好転してもらわなければなりませんけれども、四十億ドルの日本案を提出して、あとは韓国の反応を見るべきというふうなこともありますが、また特使を派遣して了解を求めるというような考え方政府にあるようでございますけれども、こういう経済協力と竹島の問題というものを最終的にどういうふうにとらえていらっしゃるか、大臣の御見解をお尋ねして、終わりたいと思います。
  58. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先般来、よくこの点についての委員方の御意見が出ておりますが、領土問題は領土問題、経済協力は経済協力でないと、外交折衝の上で大変デリケートですね。何か領土問題の既成事実を認めて、だからこうだなんということになったらこれは大変なことでありますから、だから私は、あくまでも領土問題は領土問題、経済協力は経済協力、こういうことではっきり仕分けしてやっておる次第でございまして、仮に今度日韓外相会議でも持つ場合には、経済協力問題とは別途、この竹島問題については私の率直な意見、抗議をする考えでおります。
  59. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 ありがとうございました。終わります。
  60. 吉田之久

    吉田委員長 部谷孝之君。
  61. 部谷孝之

    部谷委員 北方問題に関する政府の施策について質問いたしたいと思います。  いま吉浦委員の御質問に対する御答弁で、外国の地図の中で北方領土わが国領土としておる国は七カ国、パナマ、ホンジュラス、ボリビア、オランダ、イラン、豪州、パラグアイ、こういうふうな御答弁がいまなされたわけでありますが、この北方領土というのは、四島を指しておるのかどうか。いかがですか。
  62. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 詳細申し上げますと、パナマ、ホンジュラスにつきましては、国後択捉日本領、歯舞、色丹については記載なし。それ以外の諸国、パラグアイ、ボリビア、オランダ、豪州、イランにつきましては、歯舞、色丹を日本領、国後択捉ソ連領と記載してございます。かように若干不正確な表示になっております。
  63. 部谷孝之

    部谷委員 先ほどの四島に限ってということを前提にした質問の中で、こういう答弁はきわめて不正確であります。正確な答弁を願いたいと思います。これはすでにいままでの答弁の中で一国もないということはわれわれは確認をしておるわけでありますから、権威ある委員会においては正確な答弁を願いたいと思います。  次に、外務大臣は二月二日の本委員会における所信表明におきまして「今回の事務レベル協議の際、わが方より平和条約交渉を行うため、グロムイコ大臣訪日する順番となっている旨述べたところ、グロムイコ大臣は検討を約しましたが、わが方としては、この訪日が早期に実現するよう期待するところであります。」と述べておられるわけでありますが、グロムイコ外相の来日による日ソ外相会談に関しまして、その後ソ連から回答があったのかどうかということが一点。それから、日ソ事務レベル協議の中で、北方領土返還に関しましてソ連側姿勢に従来にない何か新しいものを感じられたのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  64. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 グロムイコ外相訪日につきましては、その後新しい情報はございません。先般来お答え申し上げておりますように、魚本大使日本へ帰るに際しまして外務大臣と会われた折に、まだ最終結論に至っておらない、こういうことを言われたのが最も新しい情報でございます。  それから、事務レベル協議の折には、従来どおり、解決済みということを強調しておったことを聞いておりまして、別段その後変わったことは聞いておりません。
  65. 部谷孝之

    部谷委員 アメリカからの台湾への武器供与、この問題をめぐりまして米中関係が冷却をいたしておるわけでありますが、そういうときにブレジネフ書記長は、去る三月のタシケント演説の中で、中ソ関係の改善を提案いたしております。中国も、ブレジネフ演説の中ソ関係に関する談話に留意する、こういう声明を出してこれにこたえておるわけでありますが、今後中ソ関係は改善の方向に向かうと考えてよいのかどうか、大臣の御見解を承りたいと思います。
  66. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 タシケント演説が行われた後、中国としての正式な発言は、いまお触れになりました外交部のスポークスマンによるものだと思いますが、その中で、留意するのとともに、われわれは演説の中の中国に対する攻撃を断固拒否する、中ソ両国関係と国際義務の中でわれわれが重視しているのはソ連の実際行動である、こういうことを言っておるのです。そこで、符浩次宮が日本に来られましたときに、私お会いしました。そして符浩次官は、ソ連の実際行動を見守るということについては非常に強調しておったのと、それから、当時お話し合いの中から感ぜられましたことは、特段の変化があるとは認められない、私としてはそういう感触があった次第でございます。
  67. 部谷孝之

    部谷委員 また、ブレジネフ書記長はタシケント演説の中で、日本との善隣、互恵協力、相互信頼の堅固な関係を望んでおる、こういうふうに言っておるわけでありますが、日ソ共同宣言や田中  ブレジネフ会談の経緯から見ましても、領土問題が現に存することは議論の余地のないところであります。したがいまして、領土問題は存在しないという立場に立って日本との善隣関係あるいは相互信頼、そういうふうに言われましても、われわれとしてはこれはなかなか納得できないことであります。ブレジネフ書記長は、信頼強化措置については日ソ間で開始させることができる、こういうふうに言っておるわけでありますが、ソ連の対日関係が最低の段階で低迷いたしておりますのはもっぱらソ連の責任である、私はこういうふうに考えるわけであります。  日ソ関係の改善は、日ソ共同宣言あるいは田中・ブレジネフ共同声明に基づいた領土問題の協議を行って、北方領土から兵力を引き揚げればそれで済むことである、こういうふうに考えるわけであります。したがって、こうした機会に、北方領土におけるソ連軍事力の撤去あるいは極東におけるSS20の撤去について強く申し出るべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、御見解はいかがでしょうか。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 部谷委員の御提議は、タシケント演説後に改めて北方領土からの軍事施設の撤去、そういうようなことを言うべきではないか、こういう御意見であったかと思いますが、ブレジネフ演説の内容のようなことはすでに以前にも提起されておって、昨年の四月ですが、それらについて日本政府姿勢をはっきり申し上げておるわけであります。  お話のように、北方領土問題が未解決である、またそこにソ連が軍備増強をしておる、さらにはアフガニスタンへの軍事介入あるいはポーランドへの圧力、こういうような行動が信頼情勢を困難にしておるということはもう言うまでもないことでありますから、事務レベル協議の折にそういう点に触れておるわけでありますけれども、私としても、何か機会があればそういう点は強調してまいりたいと思います。
  69. 部谷孝之

    部谷委員 タシケント演説ですかを含めまして、ソ連の平和攻勢というものが最近進められておるわけでありますが、日ソ関係につきましても、ソ連は深刻な経済を建て直すために、わが国の経済協力に対する期待はきわめて大きいと推測されるわけであります。特にシベリアの開発に対する日本の経済協力を強く求めてくるのではないか、こういうことが考えられます。このたび開かれました日ソ円卓会議につきましても、第一回目ではせいぜい二、三十名の代表が送られてきた、来日されたわけでありますけれども、今回は百二十名という膨大な大集団を送ってきたということにもそうしたことが感じられるわけでありまして、このことは日本の経済協力への一つのアプローチではないか、こういうふうにも考えられるわけであります。このことは、領土問題は解決済みであると言って話し合いの土俵に上がってこないソ連話し合いの場に引き込んで、領土問題の解決の糸口がつかめる状況になりつつあるのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  70. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 シベリアの開発協力、これはソ連が大きな関心を寄せておりますとともに、また、わが国としても、やりようによっては大いに寄与するところがあると思うのであります。ただ、政府としては、従来、経済関係については互恵の堅持から進めていく、北洋漁業なんかはその例ですね。しかし無原則な政経分離はとらざるところである、これが終始一貫、しておる姿勢でございまして、やはり最大の懸案事項というものが、これが処理されるか、処理に向かうか、そういうような主張というものは常に念頭に置きながら、経済問題については互恵の立場から考えていこう、こういう次第でございます。
  71. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。
  72. 吉田之久

  73. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は、きょう限定核戦争の問題とACMIの問題について質問します。  限定核戦争構想の発表を転機として、日本を初めヨーロッパ、イギリスアメリカなど全世界を揺るがしている核廃絶運動の怒濤のようなうねり、これはまさに地底から噴き上げる、核兵器に死を、人間に生命の尊厳と平和を要求する全人類的な運動である。この運動は、民族の死滅にかかわる根源的な正義の運動であります。広島、長崎、ビキニと三たび原水爆の犠牲を強いられた日本政府外務大臣として、櫻内大臣のこの運動に対する評価並びに見解最初にお伺いします。
  74. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 日本があの悲惨な経験を持っておる被爆国としての立場からいたしまして、純粋に、この核というものを絶滅したい、それは日本国民のこぞっての気持ちであろうと思うのであります。  ただ、瀬長委員から感想を求められましたが、現実の姿は、それではその純粋な考えどおりにいけるかどうかというところに問題がかかっておると思うのでありまして、デタントと言いながら、核を中心とする軍事力を強化して、どちらかと言うと東西のバランスが崩れるのではないか、そのことによっていわゆる核の抑止力が失われるというような、そういう一面を見ながら考えていかなければならない問題ではないかと思います。
  75. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、もっと具体的に申し上げますが、次はロストウの議会証言について質問します。  櫻内外務大臣は三月三十一日の外務委員会で「限定核戦争にしても、それは本格的な核戦争になる可能性を持つのでありますから、そのような行為に出るとは私は思えない」と答弁されました。ところが、ロストウ米軍備翼軍縮局長官は、昨年六月二十二日の議会証言で、ペル議員の、限定核戦争はあり得るかとの質問に、私がここで言及しているのはその可能性が、非常に危険な考え方だが、それが考えられないことだとは思えないと述べ、さらに欧州や極東での限定核戦争の態勢づくりがすでに進んでいることを示唆しております。大臣、あなたは、限定核戦争という行為に出ると思えないと言ったが、レーガンの限定核戦争構想を代表するロストウ長官がはっきり言明している。これをどういうふうに弁護されるのか。弁護か何かわかりませんが、その御意見はどうか。  もう一つ、これは非常に重大な証言であります。これは核戦争の際どれだけ生き残れるかの質問、これに対するロストウの証言。それは核兵器による交戦の規模にかかわっている。日本は結局核攻撃を受けた後生き残っただけでなく、繁栄していると答え、広島、長崎への原爆投下を正当化し、限定された核戦争なら許されるとする露骨な暴言です。  大臣、一瞬にして数十万の市民の命を奪い、悲惨な地獄絵を生み出した広島、長崎への原爆投下は、人類史上類例のない残虐な殺戮行為であり、三十七年後の今日なお三十数万の被爆者を苦しめている広島、長崎を繰り返すな、これが日本国民の、全世界諸国人民の願いではないでしょうか。ロストウ証言は、広島、長崎の惨禍と日本国民に強いられた痛苦をあざ笑い、生命の尊厳と平和を切望する諸国民の心を冒涜する、まさに悪魔の言葉であると私は思います。  櫻内大臣はロストウ証言をどのように受けとめているのか。普通の日本人なら怒りに満ちて抗議しなければならない狂気の証言である。抗議するということが一番大事であると私は思いますが、大臣、この二つの問題について、一つは、あなたは、限定核戦争は全面核戦争になる、それがあるのでまさかこういったことはないという問題、これはあるとはっきり言っている。さらに広島、長崎の例をとらえて、限定核戦争があっても日本は生きておるじゃないか、それだけじゃなしに繁栄しているじゃないか、まさにこれは悪魔の言葉なんです。これに対してどういうお考えを持ち、そして、どのように抗議でもやられるつもりであるかどうか、大臣の御答弁をお願いします。
  76. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 核戦争に対する所見は、瀬長委員が御引用されたように、私は、限定核戦争ということはまた本格的な核戦争につながっていくものである、また、核戦争がいかに悲惨なものであるかということは強く認識しておるところでありまして、したがって、限定核戦争でも、そういうことはあり得ないということを言っておるわけであります。  ところが、ロストウ発言を引用されて私への御質問でありますが、これは多分米上院外交委員会のことを言われたのではないかと思うのですが、御指摘になっておるその報告書については、私は入手をしておりません。お話しのようなことが、どういう前後の文脈で言われておるのか、あるいは御指摘のとおりに言われたのか、そういうことをつまびらかにしないわけであります。  さらに、いまの日本は原爆投下後も生き残った云々ということにつきましては、残念ながら、もしそういうことが言われておるとすれば、まことに不用意な、不都合な発言だと思いますが、これも新聞の切り抜きだけが私の手元にあるので、これ以上のコメントを申し上げるわけにはいかない次第でございます。
  77. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 大臣、この問題はほとんどの新聞が取り上げて、アメリカ国内でも、これは日本国民に対するまさに狂気の証言だというふうに言っているのですね。このことは日本国民に対する侮辱だけの問題じゃないのです。いま言ったように、広島、長崎がどんなに耐えがたい痛苦を与えられたかということは、私が説明しないでも櫻内大臣がよく知っているわけなんです。しかも、このことをアメリカの議会の証言の中ではっきり言っておるのだな。核兵器を使う、核戦争が起こる、起こったってこれはいわゆる限定核戦争、戦域核戦争。これが起こってもアメリカ本国は攻撃を受けない、これが戦域でしょう。核戦争ですよ、限定核戦争ですよ。ですから、その証拠として、広島、長崎、日本は核攻撃を受けたが、なお生き残っておるし、むしろ繁栄しておるじゃないか。大臣、この証言が実際そう言われたかどうか、取り寄せて検討されて、もしそうであったとすればどういうことになるのか、もう一遍発言してください。
  78. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ロストウ発言で中距離核ミサイルの配備のことを言われておる点、それはよく言われる軍事力均衡というような意味合いで、現在のアジア情勢の中で、あるいはロストウさんがそういう考えを持って自分が検討しておると言ったのではないか、私はこう思うのでありますが、そのほかの点につきましては詳細存じ上げませんので、確かな記録でも拝見いたしましたら、その上で考えさせていただきたいと思います。
  79. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 このことは実に重大でありますので三たび申し上げますが、もしそういった証言をアメリカの議会内でやったとすれば、どうされますか、わかったら。
  80. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいま大臣から御答弁されたとおりでございまして、その証言それ自身が最近発表されたわけでございます。私たちとしては、まずその議事録を取り寄せて、それに基づいて態度を決定する。なぜならば、どういう文脈の中で言ったかということが重要でございます。そういうふうにいたしたいと思います。
  81. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは要望ですが、大臣、あなたはアメリカとはツーツーですから、あすでもできると思うのです。できるだけ早くこの証言を取り寄せられて見てもらって、国民に対する暴言——私、これはまさに悪魔の言葉だと思うのです。それについての見解を、今国会中に発表してほしいということを要望して、次に進みます。  大臣は、ソ連SS20戦域核兵器の極東アジア向け配備、こういったものが配備されておる現実がわかりましたら抗議されますか。
  82. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 極東地域におけるSS20配備につきましては、過般の一月二十日−二十二日に行われました第二回日ソ事務レベルの場におきましても、現在ジュネーブで行われている米ソ中距離核兵器削減交渉の一環として、ソ連全土からこのSS20の削減、撤廃を求めるということを先方に申し入れてございます。
  83. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 同じように、いわゆるトマホーク、核巡航ミサイル、これが第七艦隊にも、一九八四年六月ごろから配備されるということでありますが、この場合も抗議なさいますか。
  84. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 アメリカは、トマホークとも呼ばれておりますがクルージングミサイル、これは通常と核と両方ございますが、まず核については、いま瀬長委員が言われましたように、一九八四年以降順次配備していく、その中で一カ所、太平洋艦隊に配備することがあるという言葉があるのは確かでございます。しかし、われわれとしては、やはりアメリカの核の抑止力というものに依存しているわけでございまして、米ソの核戦略全般を考えながら、日本側の態度を決めていかなければならないと考えております。
  85. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ソ連には抗議するがアメリカには抗議しない。日米安保条約の問題があると思いますが、いずれにしても、日本国民を本当に危険な状態に陥れるかどうかという大きな問題なんだ。だからこの場合、私時間がありませんのでそれは詰めませんが、やはりSS20の場合でもトマホークの場合でも、同じ戦域核なんです。大体数百キロから数千キロの射程距離を持つ。しかも、これは戦略核じゃなく戦域核だということがはっきりしている。したがって、私が聞いているのは、そういう限定核戦争、この問題がひしひしと国民の胸の中に響き渡っている、こういった問題だからこれを聞くわけでありますが、私は、この問題についての非核三原則などということを言うのではなく、断固として日本国民の安全を守るために、このような戦域核の配備は断固として反対すべきであるという意見を申し上げて、次に進みます。  櫻内大臣は、沖繩返還協定のときの特別委員会委員長をやられた。五月十五日はその十年目を迎えます。その当時も沖繩県民は、核も基地もない平和で豊かな沖繩、これを望んでいました。ところが、現在の沖繩における米軍のいわゆる基地群、これはまさに核、非核両方の部隊が集結している、これが現実なんです。辺野古にはNOP部隊を置いている、これをすでに政府は認められた。さらに海兵隊、これは例の中性子爆弾、これが撃てる八インチ砲あるいは百五十五ミリ砲、これで武装している。ざらに嘉手納には、一八戦術戦闘航空団、F15。このF15は近くF15ストライクイーグルにかわり、これも核、非核両方装備する戦闘爆撃隊。こう見ますと、あの第七艦隊のホワイト・ビーチへの寄港もあわせて、沖繩の陸海空ともに限定核戦争の戦場になり得る、危険だと予想されます。  私は、限定核戦争というのはすでに大臣よくおわかりだと思いますが、これは何も現在のレーガン大統領が発明したものじゃないんですね。これはすでにニクソン時代にやられたもので、戦域核戦争とは、米国の軍隊またはその同盟国の軍隊によって戦域核兵器が使用されもしくは米国の軍隊またはその同盟国の軍隊に対して戦域核兵器が使用される戦争のことだが、それは米国に対する核攻撃を含まない。米国は聖域なんです。いわゆるアメリカの軍隊が海外に派遣される、その軍隊と同盟国の軍隊、この軍隊によって核攻撃を行うあるいは核攻撃を行われる、これが戦域核戦争、これが限定核戦争と名づけられておりますが、いわゆる核部隊あるいは核攻撃ができるような部隊、これがおるところは核攻撃するんですよ。敵はそこへ集中攻撃をする。第一目標優先度がある。これはアメリカの海兵隊の教範にも書かれておるし、当然われわれの普通の常識でもそうなる。核部隊がある、核兵器がある、核部隊を攻撃するわけだから、そこをたたくというのが軍事常識である。その場合に、沖繩は、復帰十年たってもなおいま申し上げましたように危険な米軍基地群がある。しかも嘉手納には第四〇〇弾薬整備中隊がある。これはアジア地域に弾薬を補給する任務を持っておる。この意味で、限定核戦争がおっ始まったら最後、一番真っ先にたたかれるのは沖繩だ、この不安に沖繩県民はいまなおおののいているというのが実情なんですね。  私が大臣にお聞きしたいのは、この面で本当に限定核戦争、これが、大臣の言うように全面核戦争になるからあり得ないというんじゃなしに、現実にやるということをレーガンも言っているしロストウ長官も言っている。こうなると、その危険性は非常に大きい。だから日本政府としては、こういうことのないように国際的なあらゆる手段を通じてこれに対して抗議し、あるいはこれが本当に核戦争の戦場にならないように配慮すべきであると思うのですが、大臣いかがでしょう。
  86. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 瀬長委員は、かねて私が限定核戦争は全面核戦争にもなるし、そういうことはないということはお認めいただいておるのですが、その先はどうもまずいんですね。私はもう一つよく言うのは、やはり核の抑止力、戦争をやるためでない、核による軍事力のバランス、そういうものが崩れてはいけないんだ、そこに抑止力があるんだ、こういうことを言っておるわけで、その辺はやはり考えて当たらなければならないと思うのですね。  それからもう一つ言っていることは、オタワ・サミットでもごらんのように、軍事力均衡ということは必要だが、それはぜひ最低レベルでいってもらいたい、その努力はしてもらいたい。さらに、そのためには対話はすべきである、こういうことで、それじゃその対話は行われておるかおらないか、こういうことになると、中距離核戦力の削減交渉、これは行われておるし、また今度START、これについても六月ごろには話し合おう、こういうことになっておるでしょう。  それにもう一つ、与野党挙げて、この軍縮特総へ向けてひとつ被爆国の日本はしっかりした主張をしよう、その実を上げよう、こういう努力をしておるんですから、瀬長委員のおっしゃる現実の沖繩の姿——私はよくわからないのですがね、両用の部隊がおるからそれで危険だというふうにとれるのですが、私はそれはちょっと考え過ぎではないかと思うのですけれども、そういうわけで瀬長委員のように、沖繩返還十年だ、沖繩がまた大変な問題を抱えておる、こういうような認識は私はないのであります。
  87. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 櫻内大臣はそういう答弁をしないと非常に矛盾が出るわけだから、レーガンさんの言うこととあなた方の言うことは矛盾がある。あなた方の方は、レーガンのいわゆる戦域核戦争、限定核戦争の弁護論に立っておる。この問題はもっと討論しなくては結論が出ませんが、時間が参りましたので、後に保留することにしまして先に移ります。  一つは、最初に申し上げました沖繩近海硫黄鳥島の海空域にアメリカのACMIを設置しようという問題なのです。私は、予算分科会でこの問題を運輸大臣質問いたしました。はっきり言えば二月二十七日の予算分科会です。そのときに小坂運輸大臣は、空の安全確保のためにアメリカに再考を促すことを明らかにした。そして、四月二十一日の運輸委員会で運輸大臣は、米軍が計画しているACMIは断ると断固として言明されました。これは、国民の安全を何よりも優先して守るという意味でまさに正論なのです。櫻内大臣は同日の外務委員会で、関係省庁と調整して善処すると答弁されました。この件について善処という問題、これは運輸大臣のように、何よりも国民の海空の安全を図ることを優先させる、こう私は理解しておりますが、そう理解してよろしいかどうか——これは局長出ないで、あなたのものは安保条約の解釈をする、これは解釈を聞いているのではないのです。  大臣関係省庁と相談、善処すると言われました。だからその意味で、私はいい方に理解しているのです。運輸大臣が言われたように、空の安全は安保条約よりも何よりも日本国民の安全——空は危険になるのです。自民党政府アメリカ基地の整理縮小、これでしょう。基地の整理縮小は陸だけではないのです。陸海空ですよ。日本国民が空もできるだけ広範に使って、自由に民間の飛行機が邪魔されることなく飛べるという状態が本当の姿なのです。ですから、運輸大臣が言われたように、空の安全を何よりも優先して、このACMIを設置させないように努力してもらいたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  88. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ここに一つ安保条約という関係があります、それから航空交通管制上の安全、もう一つは地元住民との関係、これらのことを総合すると、日米双方の納得のいくような調整を図りたい、こういうことです。
  89. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 日米両方の調整を図る場合に、日本国民の安全を優先するかどうかを私、聞いているのですよ。それを答えてください。
  90. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 日本国民の安全も当然考え調整をしたいということです。
  91. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 大臣、安保安保と余り言わぬでください。安保条約はもちろん日本国民の安全というたてまえでしょう。たてまえと本音は違うのですよ。具体的にこうなるとおかしいかっこうになる。運輸大臣は、あくまでもそういったアメリカの言い分は断る、これは正論ですよ。そういったような意味関係省庁との調整と言われたと思いますから、できるだけじゃありません、日本国民の安全だから絶対に安保条約よりも優先する、その姿勢をとってもらいたいことを最後に要望して、私の質問を終わります。
  92. 吉田之久

    吉田委員長 菅直人君。
  93. 菅直人

    ○菅委員 きょうはこの委員会櫻内外務大臣をお迎えして、特に大臣幾つかの点でお聞きしたいのですけれども、きょう朝以来何人かの委員の方から、イギリスアルゼンチンとの間で問題になっておりますフォークランド諸局の領土問題といいましょうか、もっと言えば武力衝突について幾つかの質問がなされておりましたけれども、私も、日本ソ連との間の北方領土の問題、さらには竹島や尖閣列島の問題などを考えるときに、いい意味でも悪い意味でも、こういったイギリスアルゼンチン領土紛争というものに一つの関心を持たざるを得ないわけであります。そういう点で、多少重なる部分もあるかと思いますけれども、今回のフォークランド諸島をめぐるイギリスアルゼンチンとの間の紛争について、外務省としては全体的にどういう見解をお持ちなのか。また、イギリスの方はEC諸国などに一種の支持を求めている、アルゼンチンは南米を含むいわゆる米州について協同歩調を求めている、そういう場合において、日本がどういった立場をとっていくのか。いわゆるEC諸国との協同歩調の立場をとるのか、もっと中立的な立場をとるのか、さらに別な立場をとるのかといった問題。また、きょう報道されておりますイギリスの武力行使、もちろんその前にはアルゼンチンの武力行使があったわけですけれども、そういうものについての見解。さらにきょうの朝の報道では、サウスジョージア島についての上陸作戦が敢行されたということですけれども、サウスジョージア島というのは、地図を見てみますと、いわゆるフォークランド諸島からいえばまだかなり距離があるところだという感じがするわけですけれども、今後の見通しといった点について御見解をお伺いしたいと思います。
  94. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 すでに国連安保理事会で決議が採択されております。武力行使したということをまず非難しておるわけでありますが、フォークランドの問題につきまして両当事国それぞれの主張はあると思いますが、武力行使ということについては日本もこれを遺憾とし、撤退を要求する、こういうことがまず第一であったわけであります。しかるに、今回イギリス米側の調停にもかかわらず実力行使に出た、こういうことはこれもまたきわめて遺憾なことでございまして、いずれにしても敵対行為が即時停止されることが必要ではないかと思うのであります。  現在あの精力的なヘイグ長官のあっせん、それからこれに応ずるイギリスにしてもアルゼンチンにしても、外務大臣がワシントンまで行かれるという動きのさなかの今度の英国側の対応措置となったわけでございますが、これらの当事国におきまして、あくまでも話し合いによる平和的解決を望むということが日本基本姿勢でございます。  以上でございます。
  95. 菅直人

    ○菅委員 見通しとして、これ以上戦闘が拡大するという見通しをお持ちなのか、まあこの程度で、サウスジョージアに関してだけで、あとは平和交渉に移るであろう、そういう見通しを持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  96. 加藤吉弥

    加藤(吉)政府委員 一番最近接到しております電報の一つに、アメリカからの見方でございますが、今回こういう武力衝突が生じたことは非常に重大視はしているけれども、今後ともアメリカとして調停、仲介の努力を続けるということを言っております。今後の見通しということはなかなか予断を許さない面もあろうかと思いますが、私どもとしましては、特に米国を中心とする仲介の努力が一刻も早く実を結ぶことを期待し、事態がその方向に動くことを切望している次第でございます。
  97. 菅直人

    ○菅委員 少しこの問題をさかのぼって考えてみますと、イギリスがたしか一八三一二年に、それまでスペインないしスペインから独立したアルゼンチン領有していたというこの地域を事実上武力で占領する。一八三三年ということを振り返ってみますと、まさに日本も明治維新の前で、ペリー来訪前後ということになると思います。そういう意味で、こういう歴史的な経緯を見ていると、やはり植民地時代のいろいろな領有関係が今日にまでかなり尾を引いている部分があると思うわけです。  そういう点で、それでは領土問題を考える上でどういう考え方が国際的に見て公正な立場に立ち得るのかということなんですけれども、一般的に言われていることは、そこにだれが住んでいるか、また、だれがそこを統治しているかというだれがという問題。もう一つは、その場所がどこにあるか。本国という言い方はいいかどうかわかりませんが、その国の主要部分があるところとどういう位置関係、距離関係にあるかという、そういったことが歴史的な経緯とあわさって考えられなければいけないと思うわけですけれども大臣として、こういった領土の問題を考える場合に、特に植民地時代からいろいろな経緯があって領有しているかなり地域的に離れた地域についての領土問題について、長期的にはどういうふうにあるべきと考えられているか。いまの短期的な紛争の問題だけではなくて、長い目で見たときに、それぞれがおさまるべき方向というのもあるのではないかという感じもするわけですけれども大臣はその点はどのようにお考えでしょうか。
  98. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お尋ねの点で私が頭にまいりますのは、北方領土のように全くの固有領土でだれの支配も受けたことのない領土、こういうことになりますれば、その領土主張というものはきわめて容易にできると思うのであります。フォークランドのように紛争をしておるこの領土の問題について、いままさに両国が戦火も交えんとする状況の中に、日本がこれについていろいろ所見を言うことはいかがかと思いますので、北方領土のような場合であるならばこれは明白であるというお答えでお許しをいただきたいと思います。
  99. 菅直人

    ○菅委員 確かにいま渦中ですから、個別問題についてはこれ以上は申し上げませんけれども領土問題を考えるときに、私たちの頭を整理する上でも、日本の態度を決める上でも、そういった歴史的な経緯と同時に、そういう地理関係をも含めて考えなければいけないのじゃないか。いま大臣もおっしゃいましたように、いま日本が抱えている北方領土、さらには竹島、尖閣列島の問題を含めて、そういう点ではいずれの例も特に日本から遠く離れたところの固有領土ということではなくて、歴史的にも非常に近い関係にずっとあったわけですから、もちろんこのフォークランドの問題と一律に扱えるということを私が申し上げたいわけではなくて、逆に言えば、北方領土の問題なんかは、そういった点からも日本領土であるということを主張すべきときの一つの根拠になるのではないかということも含めて一応申し添えておきたいと思います。  それからもう一点、最近、大臣アメリカを訪問されて、いろいろとアメリカの首脳の皆さんと会ってこられたわけでありますけれども、全体のアメリカ訪問の印象、特に今回の本題ではなかったと思いますが、アメリカがいまのソ連のいろいろな状態に対してどういう認識を持っているというふうに大臣は受け取られているか。つまりアメリカの対ソ認識が最近変化をしてきているのかどうか。これは日本の対ソ戦略にとっても対ソの外交にとっても大変重要な問題だと思いますので、その点についての認識をお聞きしたいと思います。
  100. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 米ソ間の問題でアメリカがいま一番関心のあるのは対ソ信用供与の問題である。一連の会合の中で、また、私が渡米直前に、ヨーロッパ各国をこの信用供与問題でアメリカ側の使者がずっと回っておったという事実もございます。これはアメリカとしては、アフガニスタン問題、ポーランド問題等にかんがみまして、ソ連についての戦力、大きな意味の戦力増強になることを何とか避けたい、そのためには信用供与の問題についての各国の同調を求めたい、こういうことでございます。  それから、現在米ソ間で核戦力の削減交渉が持たれておる。これについては米側においても非常に関心がございまして、その点についての説明があり、また、近くSTARTの交渉もしたい、こういうことでございまして、ソ連との対話はそういう面から行っていくという姿勢があった。この辺が私の滞米中に得た感触でございます。
  101. 菅直人

    ○菅委員 これはそれぞれ大変に大きな問題で、十分な時間があればもう少しお聞きしたい点もあります。特に核戦力の削減交渉という話が出ましたけれども、今回の、六月に予定されている国連特別総会でも核軍縮の問題が一番大きな議題になろうとしているわけです。  きょう朝以来の議論を聞いていて、最後に一つ、大臣にお尋ねといいましょうか要望を申し上げたいのですけれども、その核戦力の話が出てきますと、どうしても核抑止力またバランス・オブ・パワーといった議論にいやおうなく結びついてくる。私も、その核抑止力なりバランス・オブ・パワーという問題を取り外して国際政治というものがなかなか語り得ないということはわかるわけですけれども、同時に、そういう土俵の内側でのみ議論をしていて、果たしてこの地球の安全といいましょうか、地球の破滅を救うことができるかどうかという、究極兵器と言われるこの核兵器の持っている、いわゆる他の兵器と違う要素があろうと思うわけです。  そういう点で、政治の土俵だけではなくて、言ってみれば文明の土俵の中でこの核軍縮という問題を考えていく必要があるのじゃないか。そういう点では、最近原爆の記録映画も、広島市、長崎市、また、いろいろなボランティアのグループもつくっておりますけれども、たとえばいま軍縮の促進議員連盟などでも、ソ連でもこういう上映会をやろうじゃないかというような企画を一部の人がされているようであります。よくこういう運動が出ると、反米ではないんだとかいうことで何か総理がいろいろなことを言われたりしますけれども、まさに外務省においても、そういった広島、長崎の原爆の記録映画などをソ連などの中でも上映をするような、そういった意味での文化交流、また文明の問題としてソ連国民にも訴える努力をされたらいかがかと思いますけれども、そういった点についての努力について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  102. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 前段の方についてちょっと申し上げておきたいのでありますが、この核軍縮というときに、よく私どもは、実効ある措置、本当に核軍縮にいくにはどうしたらいいか、それにはまず第一には核実験の禁止である、核不拡散条約を普遍的にする、あるいは検証なり管理がちゃんとできるように、こういうことを申し上げておるのであって、ただ単に核の抑止力だけを言っておるのではないということを御了承おきいただきたいと思います。  また、菅委員の御提言である当時の原爆の実写をソ連にも見せて、その悲惨な状況をよく認識させたらという御趣旨お話でございますが、これは、それを政府がやり得るのであれば政府、あるいは民間団体でおやりいただいておりますが民間団体、こういう悲惨な状況世界のすべての人々が認識するということは、これは私も賛成でございます。
  103. 菅直人

    ○菅委員 それでは、大変にいい御答弁をいただきましたので、ぜひ御努力のほどをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  104. 吉田之久

    吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十五分散会