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小渡委員 次に、私は
沖縄本島の全
市町村を復帰十年でございますから一つの区切りとしまして訪問をいたしまして、
市町村が抱えている政治上の未解決の課題でどうしても早期に解決してほしいというようなものを、いろいろ勉強する
機会を得ました。たくさんあるわけです。ところが、限られた時間では全部ここで解明し尽くすわけはございません。そこで、北部、中部、南部と分けまして、その代表的なものを一つずつ出してみたいと思っております。はからずも、その全案件につきまして、すべて
米軍が
沖縄に駐留をしていることと
関係があるのでございます。だから、私は、いかに
沖縄のいわゆる政治上、行政上、経済上の問題が、
米軍の基地の存在ということと強いかかわりと関連を持っているかということがわかったわけでございます。
そのうちの一点としまして、まず那覇空港から問題提起をしてみたいと思います。
那覇空港は、
県内外の空路の拠点空港として重要な役割りを果たしていることは、もう先刻
皆さん御
承知のことだと思います。同空港が運輸省が管理している民間空港であるということ、そして、自衛隊と現在共同使用をしている空港であるということでございます。この自衛隊使用につきましては、
昭和四十六年六月二十九日の第十三回日米安全保障協議
委員会で自衛隊の配備が決定をしたわけでございます。さらに、その使用につきましては、四十七年の十一月七日、運輸省の航空
局長と防衛
局長との間で那覇飛行場の使用等に関する協定が結ばれることになって、共同使用になったわけでございます。おわかりだと思います。
そこで、時間の
関係がありますから、ポイントだけを申してまいります。名古屋空港と那覇空港とを比較してみました。どうしてかといいますと、運輸省管理であるからであります。運航
状況を見ますと、名古屋空港の場合、これは五十三年度現在でございますけれ
ども、民間機が二万四千二百二十五機、それから自衛隊が九千二百十七機で、合計三万三千四百四十二機となっております。那覇空港はどうだろうかということでございますが、民間機が三万二千百五十九機、自衛隊機が一万四千七十三機、合計四万六千二百三十二機に及んでおります。密度は那覇空港の方が名古屋空港よりは濃いことがわかろうかと思います。
そこで、基地
面積の対比というのは、全国と
沖縄というのはいつも言われていることでございますから、これは繰り返し言う必要もないと思いますけれ
ども、全国の五二・八九%、これが
沖縄に集約されている、こういうことでございます。
今度は基地対策経費の推移を見てみました。基地対策経費というのは、おおよそ分けて五つぐらいあると思います。その一つは、基地周辺整備等に関する諸施設に投ずる資金です。それから、提供施設の整備資金です。補償経費の充実資金でございます。基地従業員対策資金であります。提供施設の移設の資金でございます。これを合計したのを、今度は四十九年−五十四年、ずっと五年間見てみましたが、全国対比三九・三二%なんです。五二・八九%が全国対比の
沖縄にある基地の
面積でございますから、それと比較して基地対策経費というのは三九・三二%であるということですよ。これは密度とか兵員の数だとかいろいろなことがあるのでしょうけれ
ども、三九・三二%というのはどうも納得がいかない、こういう感じでございます。
自衛隊といたしましても、本土におきましては
沖縄とは違いまして、
沖縄はその基地周辺整備資金等のいま言う基地対策経費は、その恩恵を受けるのはまだ十年足らずでございます。本土とは全く異なった情勢にあるのでございますけれ
ども、なお全国対比三九・三二%という
状況であるということをまず認識しなければいけないのじゃないか、これでは足らないのじゃないかということが指摘されようかと思います。
そこで、那覇空港でございますけれ
ども、これはいま運輸省が管理しているために運輸省の公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止に関する
法律の適用を受けて、学校等公共的な施設の防音工事だとか、
住宅防音工事とか、あるいは共同利用施設の助成とか、騒音以外の障害による施策、障害防止工事の助成とか、いろいろそういうことがあるわけですね。ところが、運輸省所管の先ほど申し上げたこの
法律では、学校等公共的施設の防音工事、たとえばそのうちの助産所、救護院あるいは看護婦養成所、精薄厚生施設、保健所、母子健康センターあるいは養護施設、こういうのは
対象外とされているのですよ。それが
対象外になっていないのは、防衛施設庁の所管をしている
法律で、防衛施設周辺の生活環境の整備に関する
法律では、全部民生安定のために防音工事の
対象になっているにもかかわらず、運輸省の方ではこれは
対象外になっているわけだ。この辺に問題が出てくるのですよ。
それはさらに、
住宅の防音工事にいたしましても、現在、那覇空港周辺の
市町村でございますが、たとえば豊見城村の場合は、運輸省の障害防止に関する
法律の適用を受けまして、防音工事の場合でも、一室百六十万円のうち百三十五万円を超えるものについては二分の一が地方負担になっているわけです。それから二室三百万円のうち二百五十五万円を超えるものについては二分の一は地方の負担になっているわけです。ところが、防衛施設庁の場合は一室百六十万円、これは全額です。二室三百万円、これも全額である。こういうふうにバランスがとれてないのだな。それでえらい迷惑をしているのは豊見城村なんですよ。こういう
状況があるのです。
それから、共同利用施設の助成につきましても、防衛施設庁側としましては、その周辺整備に関する
法律で特別養護老人ホームや無線設備あるいは消防施設、公園、緑地、屎尿処理、ごみ処理など、そういう施設についても補助の
対象になっている。ところが、運輸省の場合はこれは
対象外である、こういう事実がある。
それから四番目は、騒音以外の障害に関する施策でございますが、これも障害防止工事の助成でございます。その中で、農業、林業、漁業施設、道路、河川、海岸、水道、下水道、鉄道、こういうのは運輸省の場合は
対象外になっております。
それから次は、特定防衛施設周辺整備調整交付金でございますが、これが防衛庁の場合は交付金が出るわけでございますけれ
ども、運輸省独自の場合にはそんなものは
対象にならないのです。それはもちろん
対象にならぬでしょうけれ
ども、共同使用の場合には、基地施設の場合はその分は交付がされております。それから、農業障害補償については、防衛施設庁所管の場合は補償がありますけれ
ども、運輸省の場合は制度はあるけれ
ども実質的には補償はされておりません。NHKの受信料等についても同じです。こんなような
状況が実はあるわけですね。
それで、那覇空港が今度は欠陥空港として滑走路を三百メートル延長するということになりました。そのときに、豊見城村としては、公聴会を運輸省が開いたわけですが、その公聴会の席上で強烈な反対意見も出ましたが、村当局としてはそのときに豊見城村長の代理として助役宜保光一氏が
出席をいたしまして、公述をいたしております。そのときの公述の内容ですが、大まかな点を申しますと、本土類似空港の実態調査を自分たちは行った。二番目は、本土の場合、運輸省と防衛庁、それから地元の県知事、
関係市町村、そういうところがそれぞれ協定書を締結している。三番目は、両省間で手厚く地域の環境整備に積極的に当たっている。それから四番目は、那覇空港は復帰時における運輸省と防衛庁の関連協定については、県や
市町村は実はそのときは不参加であったという
経緯がございます。そうして五番目は、那覇空港は国の直接防衛の
責任の前進基地である、及びその施設規模からいたしましても、これは運輸省所管というばかりではなくて、さらに特定防衛施設区域である、その関連
市町村であるという
考え方に立つならば、特定防衛施設であるということを指定しなければならない、このような公述をいたしているわけでございます。
この辺までの
経緯をおわかりでございますか。それをまず運輸省、運輸省が来ていなければ、開発庁、それから防衛施設庁に、それぞれお尋ねをしたいと思います。