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1982-04-13 第96回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十三日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 越智 伊平君    理事 加藤 六月君 理事 三枝 三郎君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 草野  威君 理事 中村 正雄君      小此木彦三郎君    久間 章生君       小山 長規君    古賀  誠君       関谷 勝嗣君    近岡理一郎君       浜野  剛君    林  大幹君       古屋  亨君    三塚  博君       山村新治郎君    井岡 大治君       小林 恒人君    沢田  広君       竹内  猛君    浅井 美幸君       小渕 正義君    辻  第一君       四ツ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 小坂徳三郎君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      工藤 敦夫君         大蔵省主税局長 福田 幸弘君         運輸大臣官房長 角田 達郎君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  八木 俊道君         法務省民事局第         四課長     筧  康生君         大蔵省主税局税         制第二課長   新藤 恒男君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     西中真二郎君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     古賀  誠君   伊賀 定盛君     沢田  広君   小林 恒人君     竹内  猛君 同日  辞任         補欠選任   古賀  誠君     阿部 文男君   沢田  広君     伊賀 定盛君   竹内  猛君     小林 恒人君     ————————————— 四月十二日  車検期間延長反対に関する請願外一件(正示啓  次郎君紹介)(第一九四六号)  脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願  (石橋政嗣君紹介)(第二〇二八号)  地方公共交通の確保に関する請願加藤六月君  紹介)(第二〇五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第七三号)      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浅井美幸君。
  3. 浅井美幸

    浅井委員 道路運送車両法改正につきましての関連で質問したいと思います。  まず最初に、主税局長の方にお伺いしたいわけですけれども、今回の改正によりまして新車車検が二年から三年に延びます。その場合に、自動車重量税がそれに伴って変わるわけでございますけれども、もしこの法律が通れば、どのぐらいの負担がふえることになりますか、御答弁をお願いします。
  4. 福田幸弘

    福田(幸)政府委員 お答えを申し上げます。  税の方の関係は、来年度税制改正ということでお取り上げになることかと思います。ただ、考えられる方向は、いま新車の場合、自家用乗用車の場合二年というのが三年ということでございましたら、二年というのを三年に応じた税率に直る。いままで二年であったのが三年になれば、一年単位で見たものの三倍ということで、金額で申しますと、千六百ccの自動車で見ますと、二万五千二百円というのが二年という場合の税負担であろうかと思いますが、これが三年になりますと一年分ふえるということで、三万七千八百円ということで一万二千六百円の増になります。  ちなみに、千六百ccの新車の場合の車両価格が百十万、こう考えますと、諸税等で十五万でございますので百二十五万かかっております。十四万九千円ぐらいが諸税でございますが、その中で先ほど申しました二万五千二百円、百二十五万のうち二万五千二百円が新車のときに重量税でかかっておるわけです。この二万五千二百円が二年分でございますから、三年分となれば先ほど申しましたように一万二千六百円ふえて三万七千八百円になるというのが一応の計算であります。
  5. 浅井美幸

    浅井委員 今回の車検延長ということにつきましては、臨調等の答申があって、国民負担の軽減ということが一つの大きな主題になっていました。しかし、いま御説明のように、自動車重量税が一万二千六百円ふえてくるということでありますけれども、大体税金というのは単年度制度といいますか、所得税にしろ法人税にしろ、そういう先取りをしよう——いま二年分納めるのも大変だという感じがあるのに、さらに一年延びて三年分も先取りをするという、こういう自動車重量税について、主税局では、これを単年度ごとに徴収をするといいますか、重量税を取るという方式に変えることはできないでしょうか。
  6. 福田幸弘

    福田(幸)政府委員 先ほど申し上げましたように、一時的にふえますけれども、これは二年間というのが三年間、しかも営業用ではなくて自家用新車でございます。それが車検期間が三年になるということでございますので、一時的にふえますけれども、その車検期間を通じた税額は変わらないわけでございまして、実質的な税負担の増加ではない、こう考えるわけであります。  次に、単年度の取り方でどうかという御質問でございますが、これはこの税の性格、特殊な内容を持っておりまして、御承知のとおりに四十六年度改正で設けられたものでございますが、その際の趣旨説明がございます。それによりますと、御高承のとおりでございまして、社会的費用自動車がもたらしておるという点に着目しながら、一方において、これは非常にわかりづらい御説明を申し上げて失礼したと思うのですが、権利設定税である、こう言っておりますのは、登録免許税と似たところがございまして、これは当時四十六年五月十八日の細見政府委員が申し上げた最初のところの説明で、「自動車車検を受けまたは届け出を行なうことによって走行可能になるという法的地位あるいは利益を受けることに着目して課税される一種の権利創設税であり、従来、各種の権利の得喪、移転等に際して課税が行なわれている登録免許税と類似しているものであると考えている。」これは非常に官僚的なわかりにくい説明であろうと思います。  ここでちょっと時間をいただければ、かみ砕いて御説明申し上げたいと思うのですが、これは車検一体になっておるというところが、この税の非常な特色であろうと思います。車検一体でございますので、車検有効期間と符合する形をとっております。検査自動車というのは課税物件でございますし、さらに自動車検査証交付を受ける者に対して、これが納税義務者として扱われるということで、また納付手続のところで印紙納付するという仕組みをとっておることは御存じのとおりでございます。自動車検査証交付を受けるときまでに、その税額に相当する金額自動車重量税印紙納付書に張りつけて運輸大臣提出するという仕組みをとっていますのは、車検一体になった徴税仕組みになっておるということでございます。  運輸大臣は、自動車検査証交付を行うときには税額納付の事実を確認しなければならないというので、税務署が原則タッチいたしませんで、不足税額があるときに、これを運輸大臣から、要するにこれは陸運事務所ですが、税務署長に通知した際に、税務署長がそういう例外的な場合に徴収するというのが法の十二条から十四条にございます。そういうふうに税務署が表に出なくて、検査の際に印紙の形で納付する。したがって、機械というか、メカ的な検査は当然そこでやられますが、その際に法律的な印紙を張ることによって、その間走行する権利というのは非常にかた苦しいのですが、その際、印紙納付の形で税金の方をいただくという形になっておるわけであります。そういうことで、車検一体であるということで印紙納付ということがこの税の特色で、しかも行政機構税務署というより陸運事務所系統で、車検一体で働いておるということであります。そういうことでございますので、単年度的な税金性格にはなじまない本来の性格を持っています。自動車税地方税でございますが、これは固定資産税的な保有税でございます。したがって、保有税でございますと、単年度的な、期間経過的な保有課税という考えになじむのですが、この場合は車検一体であるということから、単年度的な課税とは違った特殊な仕組みをとっておるということを御理解願いたい、こう思います。
  7. 浅井美幸

    浅井委員 いま税の仕組みで御説明ございましたけれども、御答弁の中で、ユーザー新車を買ったときに実質的な税負担増ではないという御答弁があったのですが、すでに一万二千六百円というのは税の負担増になるわけです。二年分が三年分になるわけでございますし、またこれ以外に、たとえば千六百ccクラスの新しい車を買った場合に、十一万五千円の物品税価格の中に含まれてこれを納めておりますし、さらにまた自動車取得税取得価格の五%ということで五万一千八百五十円、車を特定して申し上げてもあれなんですけれども、ブルーバードという百三万七千円の車を買うのに、いま重量税以外にも、これだけの物品税取得税を払っておるわけですね。さらに、この自動車重量税、これはいま、普通の税ではない、印紙をもって納付しておるから普通の税制とはなじまないというようなお考えだったのですけれども、なぜ単年度ごとにできないのか。検査についてもまた、中間の車検といいますか、あるいは整備というか、これをいままで義務づけて、六カ月だとか十二カ月だとか二十四カ月に分けてやっていますから、その都度、もし必要であるならば単年度納付というのは私は技術的には可能だと思いますけれども、その点どうでしょうか。
  8. 福田幸弘

    福田(幸)政府委員 お答えいたします。  先ほどは税の性格から来まして、また徴税機構の問題、それから納付印紙によるやり方ということから御説明しましたとおりに、これを単年度にいたしますとすれば、税務署がこれを別に課税していくという全然別個の新税に近い性格にし直す必要があります。しかし、行政改革等の問題がございます際に、徴税機構をこのために別にするということの実益がどうかという問題については否定的に考えざるを得ない、こう思います。  単年度主義というのは、先ほど申します自動車税のような保有税の場合には考えられますが、これは地方税でやっておるわけでありまして、国税の場合は、車検一体自動車重量税印紙納付ということをやって、税務署が原則タッチいたしていない仕組みでございますので、単年度課税のために別の行政機構として税務署が人員をふやしたり、また、そのためにいろいろな台帳を設けたり、さらに陸運事務所も、その単年度のためにいろいろな協力をしてもらうということは、これは徴税機構複雑化、二重化になろうかと思います。また、いろいろな面で、いまは的確な課税が行われていますが、単年度ということになれば課税漏れ徴税漏れという問題も考えられるわけでございまして、そういうことで税の性格及び徴税機構複雑化というのが、いまの時点でどうかということであろうと思います。  さっき申しました点、不十分な御説明かとも思いますが、税額がふえますのは一%程度ですが、これは二年が三年になるということでございますし、その間、期間を通じて見ればこれは負担の増ではないわけでございます。また、これが新車に限られた車検期間延長でございますので、営業用車は一年ごとですからこれは問題ないわけで、新車自家用で買って最初の三年間でという際には、普通その間フルに使われるというのが前提にあれば、この二年が三年ということは、車検合理化ということはございましても、税負担が実質的にふえるということではないと思うわけであります。  また、外国との比較で見ましても、車体課税燃料課税を見ましても、日本はこれはアメリカを除けば低い方でございまして、物品税自動車取得税等いろいろございますけれども、合わせてみれば、これは千六百ccですけれども、車体課税では七万七千円ぐらいの年間の税負担です。イギリスは十万というようなことになっていますし、フランスも十万、西ドイツは五万ぐらいですが、しかし燃料課税の方での税額考えてみますと、これはちなみに申し上げて時間をつぶして申しわけないのですが、日本の場合約十四万二千円ぐらいでございまして、これはイギリスの十九万八千とか、西ドイツがほぼ日本と同じ十三万、フランスが二十万というようなことで、自動車税負担を求めるのにどうしたらいいかということも今後総合的に考えたい、こう思っておるわけであります。
  9. 浅井美幸

    浅井委員 いろいろ御説明あるわけでございますけれども、二年が三年になったのだから実質的な税負担増ではないという考え方と、出ていくお金が現実に一時的にふえるということについては、私はやはり国民負担増というこの感覚はぬぐえないものがあると思います。  本来、自動車重量税創設した目的一体何なのか。いわゆる道路財源として、現在の建設省が自動車重量税を握って、道路をつくったりあるいはまた交通安全のための施設をつくったり、あるいはまた公害防止のための施設をつくるということの一つ目的を持った税ということで、これはつくられたわけです。ところが、いまこの車検制度が改定になって、世論として出てきておる一つの大きな国民ユーザーの不安は、自動車重量税というのは、本来その税金を払って車が走る権利を買うことになる。しかし二年間走れるということであるのだから、もし、じゃ一年で廃車をしたならば、あとの残りの部分については返してもらいたい。これから三年にもなったならば、いままでの二年でもその意見が強いのに、三年に期間延長された場合には、もしその車が壊れたり、いろいろなことになって廃車した場合、先に払ったこの印紙税は返してもらえないという不満があるわけです。そこに不平等、不公平が生まれているからこそ、単年度制度にしたらどうかというのが私の強い主張なんです。この自動車重量税というものについて創設をした本来の趣旨から考えてみても、たとえば、その期間が二年のうち一年残れば、あるいは三年のうち二年残れば、一年残ればという、半年もしくは一年で区切って税を還付すべきが至極当然ではないかというふうに私は考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
  10. 福田幸弘

    福田(幸)政府委員 お答え申し上げます。  再三申し上げていますように税の性格が、車検一体になって、メカニックの検査と同時に法律的にもその間の走行の権利創設するということでございますし、登録免許税的な性格があるということでございますと、登録免許をいたしまして、その方が仕事をやめたりしても返すことはないというふうな、もともとそういう性格のものであるということと、また手数料とかいろいろな修理代とか整備費用とかいうものもございますけれども、これは車検の際にかかりますけれども、途中でどうなったからといって返すわけではない。車と一体になって最初からあるわけですから、そういうふうなメカニズムの検査の方の費用と同じ性格税金の方もお考え願ったら、こう思うわけです。  ただ、その辺、いろいろ特殊な税だものですから、なかなか説明について不十分な点があったかと思うのですけれども、いずれにしましても、先ほどから繰り返しますが、単年度にするということの行政上のダブる機構を持つこと、これが国民にとってやはり負担になる。そういうことから来る負担をまた税金で埋めなければいけませんので、そういうことを全体見れば、いまのやり方の方がやはりいいのじゃないか。  しかも今回の改正は、伺うところ新車でございまして、しかも自家用車でございますので、私も車を持っておりますけれども、それによって何かここで還付をと、こう心配する気は出てこない。しかし、非常にこの声があるということは、一体どこに原因があるかということに私も非常に理解に苦しむのでございますが、営業用車でございましたら相当扱っておられますから廃車の問題が出る。しかし、これは一年でございます。あと、三年間で一万二千六百円というのが、車体価格百二十五万のところで三年間ということで実質変わらないわけでございますので、まあ車検は厳格にやられれば三年間普通走れます。そういうことで、この実態、どこでどういうふうに問題ができておるかについて非常に理解に苦しむわけでございますが、問題は、やはりそういう問題を税の仕組みまで見直すということが適当であるかどうか。税というのは、それに伴う税務機構と、またそれに伴う実益があるかどうかでございますので、その辺は理屈の問題もございますけれども、実際にどういう負担がどこに生じておるかという点については、もっとその辺を実態調べませんと、それについての取り扱いに苦しむわけで、税の仕組みまで変えて単年度にして、しかもこの還付必要性、特に新車に限られた今回の措置、しかも自家用車という際に、どれだけの必要性がここに新たに生じたかという問題であろうかと思うのです。  軽自動車にも経験があります。これは保有課税でございますが、地方自治体でやっております。これは廃車の場合に、自動車税保有税ですから、月割り課税還付というのがあるわけです。  これは保有税ですから、それが考えられるのです。それで、軽自動車も同様の保有課税考えられておったのですが、五十六年度改正で、課税事務簡素合理化を図るということから、月割り課税が廃止になりまして、廃車しても還付をしないということになったのを地方税は経験しておるわけでありまして、こういう還付事務に伴う事務量実益ということが、やはりこういう際の一つの参考になろうと思うのです。  自動車損害賠償保険の場合は、これは危険期間に対応する保険でございますので、廃車した場合には保険会社負担が消えますので、その分は保険料を返す、これはまた当然です。  そういうことで、車検有効期間が残っていましても、譲渡する際には必ずしも廃車する必要はないわけでして、廃車するという際、交通事故等でしたら、これは民事上の損害の問題で処理ができる。したがいまして、この問題は、二年が三年になったからといって、今回のような新車、しかも自家用車であれば、性質が変わる問題でもございませんし、また、どういう形で実害が生じておるか、それに対応するについても、徴税の問題を考えれば、いまの仕組み運輸行政に御協力願ういまの形が、国民から見ても、税負担全体から見れば合理的な仕組みであろうと思うのです。  いずれにしましても、この税率調整、二年が三年ということは実質的な税負担増ではないというのは、二年が三年間使えるという有効期間の問題ですから、これは御理解願えると思います。  それから、これは問題がそれますけれども、この自動車重量税問題は、来年度改正問題になりましたら、営業用自家用車の問題として、われわれは取り組みたいと思うのです。営自の区分としまして、四十九年度租税特別措置法自家用車は二倍に伸ばしました。しかし営業用車は据え置いたのです、私、二課長のときだったのですが。さらに五十一年度に、自家用車を二五%上げたのですが、営業用車は一二・五%にとどめられた。したがって現在、営業用車自家用車の半分程度税負担になっています。  本来、この重量税というのは、そういう営自の格差を設けてはいけないのが税の性格からくる考え方です。これは、ドイツの税制から考えられたもので、アウトバーンを走る車に負担を求めて、国鉄その他の大量輸送機構に移そうという問題から発想が一部きたわけです。いずれにしましても、この問題は営自の問題、それから一般財源問題がございます。これは、法律的には一般財源です。四分の三は国に入りまして、四分の一は地方に行きます。地方特定財源ですが、四分の三は法律一般財源になっています。しかし、実態上八割が道路関係に使われるということが財源難の折から適当かという問題については、基本的な検討を要する、こう思っております。したがいまして、この問題は総合的な見地で来年度改正では取り組みたい、こう思っているわけであります。
  11. 浅井美幸

    浅井委員 どう改正をなさるのかよくわかりませんけれども、いま主税局長答弁を聞いておりますと、自家用自動車だからこの負担は問題ではないのだ、そういう考え方がありますけれども、自家用自動車の方が営業用より圧倒的に車両台数が多いということをあなたは御存じなんでしょうか。自分も車を持っているオーナードライバーだから、こういうのは問題ではありませんという考え方ですけれども、一般の庶民には、税金がふえるということについてやはり強い抵抗がございます。そしてまた、使わなかったら返してもらいたいというのは、国民の素朴な要求なんです。  それとともに、もう一点主税局長に伺っておきますけれども、同じ大蔵省銀行局でやっているのですが、自動車賠償責任保険というのは倍率を一・四倍、重量税の場合は一・五倍、先ほどのあなたの報告では一・五倍そのまま。自賠責保険の場合はなぜ一・四倍になっているかと言えば、三年間先取りということで、それに対する銀行利子分を含めて、これを少しユーザー還付するという立場から一・四倍という数字がはじき出されてきているのです。あなた方の場合はもう血も涙もない、こういう制度があるのですからというわけで、一・五倍そのままぽんと国民のふところから取り上げるのは平気だという感じで、容赦なく取り上げるという姿勢があらわれているように思いますが、この点についてはどうでしょうか。
  12. 福田幸弘

    福田(幸)政府委員 いまの保険料関係仕組みが違うと思うのです。利息計算とか運用の問題とか、いろいろ入っておると思うのですが、また、もともと期間計算になじむものであるわけです。それで、繰り返しますが、そういう保険関係のものと違って——保険関係ですから、途中でそれが必要なくなれば還付になるという期間的な感じが非常に強い。この際の重量税は、これは割り切りの問題ですが、車検の際にいただくということで、車検的な機械検査と同時に、法律的な権限というか、印紙でそれが保証されるということですから、その辺は税の問題とすれば、二年が三年になったからといって金利計算までやるということではなくて、やはり一年単位考えられている税率を、二年が普通ですが三年にして、その間、税率調整をすることが、負担の公平としてはそこまでであろう。それをまた利息計算ということまでは、さきの保険料との比較では申し上げられないと思います。
  13. 浅井美幸

    浅井委員 その辺の考え方が私とあなたと全然違うのですけれどもね。銀行預金をすれば利子がつくのですよ。所得税だとか法人税だとか事業税なんというのは、その事業を行った後においての所得に対しての課税なんです。いまあなたは、車検の際に同時にそれを徴収する制度だと言いましたが、自賠責保険料車検と同じときに徴収しませんか。
  14. 福田幸弘

    福田(幸)政府委員 お答えになるかどうかと思いますが、自賠償関係は、銀行局のいろいろな利息計算、また運用の問題から定められておる、わりにコマーシャルベースの話、税金もそれでという御意見もわかりますが、現在決められています自家用車の例をとりますと、一年等というのは、普通の場合、十年以上使った車の場合は車検が一年になっていくわけですが、この場合、〇・五トンごとに六千三百円、こうなっていて、二年のものがここで一万二千六百円と現在なっておりますけれども、この一年、二年というふうな車検期間が違うからといって、そこに利息感じは入っておりません。これは、車検自体が何年ごとにやる、こう決まっておれば、あとは一年単位の何倍というのが、税の立場としては、それが率の決め方としては適当であろうということでございます。
  15. 浅井美幸

    浅井委員 確かに余りすっきりしたお答えではなかったように思うのです。私は、これは余り繰り返していてもあれでございますので、運輸大臣にこの問題についてのお答えをいただきたいわけですけれども、印紙を張って運輸大臣提出するということなんですけれども、運輸大臣は、この印紙納付を二年ごとだとか三年ごとではなくて、単年度ごとに張りつける制度にしちゃいけないかどうか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  16. 飯島篤

    ○飯島政府委員 納付の確認は陸運事務所の窓口でいたしておるわけであります。したがいまして、車検の時期にはユーザーなり整備業者がかわって陸事で手続をするということになりますが、これを単年度にいたしますと、その都度それだけのために陸運事務所へ来るということになって、ユーザー等の手数もかかることでありましょうし、私どもの窓口の要員の組織整備が要るということになるわけでございます。
  17. 浅井美幸

    浅井委員 そのために陸運事務所というのはあるようなものなんですから、陸運事務所でしっかり働いてもらえば、国民の方の要望にこたえられるのじゃないかと私は思います。  私が大蔵省に強く要望しておきたいのは、税の仕組みだとか税の性格とかいろいろとありますけれども、国民の皆さん方が税が納められやすいように持っていく、これも一つ行政改革ではなかろうかと思うのです。今回、車検制度改正ということに当たって、いろいろなことが出てきておりますけれども、ユーザー本位ではなくて、全部行政主導型の改革案になってきているわけですよ。もっとユーザーの立場に立った、より国民的な措置を、税の徴収においても私はやってもらいたいと思います。  したがいまして、これから来年、税制調査会でこれを検討するということでありますけれども、どうかもう一度、単年度制ということについて検討してもらいたいし、また還付制度というものもぜひともやってもらいたいと思うのです。全員が還付を求めるわけではありません。事情によって廃車をしなければならないとき、あるいは使わなくなってそれを廃車する場合、いろいろな場合があると思いますけれども、やはり税の公平という立場から、私はそのような制度はきちんと確立をしていただきたい、このように思うわけでございますし、また、三年間になった場合、三年の先取りという形になるこの制度についても、いわゆる車検制度の改定に伴い三年間の納付先取りということについても、あわせて御検討いただきたいことを強く要望して、大蔵省関係については質問を終わりたいと思います。  では、運輸省関係に移りたいと思います。  まず、この間参考人等のいろいろな意見を聞きましたけれども、定期点検、整備というのは、ユーザーの自主性の育成から促進すべきだ、このように言われておりました。定期点検、整備というのは、車両の安全性確保、公害の防止等から予防整備目的であり、ユーザーが保守管理に参加し、自主性を持って対応すべきものである。だから、ユーザーが車両の異常を感知し、速やかに定期点検、整備依頼の行動を自主的に起こすことが重要であって、このことは運輸技術審議会の答申にも述べられているとおりだ。今回の定期点検の指示等罰則条項というものは、こうした方向に逆行するものだ、このように言われておりますけれども、これについてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  18. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生御指摘のとおり、定期点検の実施は、基本的にはユーザーの自主性、意識の高揚ということが最も大事なことでございます。特に定期点検制度が、保安基準不適合の車を未然に排除するという安全あるいは路上故障あるいは公害を防止するという上で、予防措置として非常に重要な役割りを果たしておることは言うまでもございません。  ただ、さきの運輸技術審議会の答申におきましても、定期点検制度必要性と相まって、その実施率の向上について強く指摘を受けているところでございます。今回の法案におきまして、ユーザーの自己責任に基づいて定期点検は行われるべきであるという基本はできる限り尊重いたしました。したがいまして、定期点検義務違反あるいは定期点検記録簿の備えつけ等につきましては、直接罰則をつけることは避けておるのでございます。ただ、運輸技術審議会でも指摘されております励行策の一つとして、街頭検査、私どもの陸運事務所の職員が出て街頭で検査をする場合に、行政指導をいたしますが、これを実効あらしめるため最低限必要な制度として、陸運事務所の職員によります点検の指示及びこれに対する報告義務の規定を設け、報告義務違反に秩序罰を科し得ることとしたものでございます。したがいまして、本来ユーザーが定期にやるべき定期点検を、街頭検査のときに実情を拝見いたしまして改めて一定の指示をする。その指示に従って点検を行い、必要な整備をし、報告をする。大抵の場合は、そこでユーザーの御協力が得られるというふうに考えられますので、過料の手続まで至ることはきわめて少ないのではないかというふうに考えております。ただ、ユーザーの自己責任に基づくものであるという基本的な立場に立ちまして、定期点検の履行の確保をねらうということが本来の目的でございますので、その点を十分考えながら運用をしてまいりたいというふうに考えております。
  19. 浅井美幸

    浅井委員 街頭点検というのですか、春、夏、秋、冬四回、二百七十人程度が三時間程度街頭点検をして、常時携帯しておった定期点検簿を見せてもらう。全国で検査員が千人ちょっとオーバーいるのか知りませんけれども、これで果たして正確なユーザーの街頭点検ができるのですか。どういう検査やり方をしようとしているのですか。こんな不公平な、一部の限られた人間だけとってきて、どうのこうのとやるわけですか。
  20. 飯島篤

    ○飯島政府委員 定期点検の励行につきましては、何といいましても、ユーザーに点検、整備についての認識を深めていただき、自主的に実施していただくということが最も基本でございます。そのためにユーザーが参加をするという考え方を、運輸技術審議会の答申でははっきりと打ち出しておるわけでございます。  一つは、六カ月点検につきまして項目の大幅な簡素化とともに、日常点検の一種として、技術的な知識がある方であれば、みずからでも実施し得るものにする。国がメーカーとともにユーザーに対して手引きの作成をし公表をする。それから必要な情報を関係者ができるだけユーザーに提供する。まずそれが基本にありまして、私どもがいままでやっております街頭検査の際に行政指導をいたしますが、その行政指導を実効あるものにしたいということが今回の指示制度目的でございます。これは決して取り締まりとか過料を取るということが最終の目的ではございません。あくまでも定期点検の励行を、その機会に行政指導させていただくということでございますので、確かに人員の制約等があって、機会は少ないかもしれませんが、それはそれなりに一つの役割りを果たし得るものだというふうに考えております。
  21. 浅井美幸

    浅井委員 機会が少ないというのは、四千万台の車を対象にして、大体どのくらい調べるのかといま聞いているのですよ。あなた、言いわけばかりしているのです、さっきから。私は、どのようにいま街頭点検をするのかと聞いているのです。
  22. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  街頭検査で実際チェックいたしますのは、路端に車を誘導いたしまして、そこで主として点検ハンマー等をもって整備の状態をチェックするわけでございますが、これは保安基準に違反しているかどうかという、従来やっておりましたチェックでございます。今回の定期点検の普及励行策といたしまして、いろいろな手だてを考えておりますが、その街頭検査の際に、定期点検記録簿の備えつけ状態がどうだ、あるいはその定期点検記録簿の記載内容、一定の期間ごとに所定の点検をしているかどうかということを記載することにしておりますが、その記載状況等をその街頭検査のときにチェックをいたしまして、その結果を見まして、必要な措置が出れば、その車に対して指示をする、こういう形になろうかと思います。
  23. 浅井美幸

    浅井委員 そんなこと聞いてない。私が聞いているのは、何人でこれを調べるのかということを聞いているのですよ、何台調べるのかと。年間当たり、春夏秋冬に何人で何回やるかということを聞いているのです。
  24. 飯島篤

    ○飯島政府委員 五十五年度の街頭検査の出動人員につきまして、私ども陸運事務所検査関係の職員が指導した延べ人員は二千五百二十二人でございます。街頭検査の際検査いたしました対象車両数は九万三千四百八十台でございます。
  25. 浅井美幸

    浅井委員 二千五百二十二人というのは何回出動したのですか。九万三千四百八十台というのはどんな検査なんですか。これからやろうと、いまさっき御説明があったような検査をしたのですか。
  26. 宇野則義

    ○宇野政府委員 全国各地で、陸運事務所から検査の担当職員が街頭に出てチェックをいたしますが、その延べ人員が二千五百人余りでございます。  それからチェックの内容につきましては、路上で行います関係で、先ほど申し上げましたようにハンマーを主体として、一部排ガス等のチェックにつきましてはポータブルの排ガステスターを持っていきまして、車の整備状況をチェックするわけでございます。五十五年度に実施いたしました対象車両が九万三千台ほどでございますけれども、そのうちの約二〇%が、陸運事務所検査官の手によって整備不良であるという指摘を受けておるわけでございます。
  27. 浅井美幸

    浅井委員 まず九万三千四百八十台、もう少しふやして十万台としても、四千万台車両があったとすれば、それの四百分の一なんですよ。いいですか、四百分の一で、たまたまそれにつかまった者はこれは不都合なことであって、それを逃げられた者は何もということで、不公平が出てきませんかと私は言っているわけです。街頭検査、街頭検査なんて、街頭検査がいかにも何というか、過料を取るためにやらなければしようがないということでつけている検査でしょうけれども、そういうやり方をして罰金を取ろうという考え方はよくないですよと言っているわけです。もっとユーザーの自主的な判断といいますか、車に乗る者が、安全ということから、車の安全を確保するために整備をするということの方が重点じゃなかろうか、こういうふうに私は考えるわけなんですよ。そこで、そういうこそくなやり方で、検査をするのもきちんとした公平が図られない。この辺で、私はその街頭検査には一つの問題点があると思います。  それから大臣、いまメーカーの車の保証書というものがございまして、この車は走行距離が五万キロまでは絶対に安全でございますと、新車を登録した日から二カ年間としますと特別保証、対象の期間内での走行距離が五万キロまでは特別保証ということで、大体事故は起こしません、故障はございませんというのが保証書の中で出ておるのです。これは今度三年になります。そうするとやはり、これまた安全だと、いわゆるメーカーのつけている保証と同じような意味になりませんか、どうでしょうか。
  28. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  現在各メーカーが、新車を販売した際に、購入者、ユーザーとの間で売買契約をした際に保証書を出しております。ただいま先生御指摘のような形で出ておりますが、その二年間、五万キロといったような特別保証につきましては、それぞれどの部分を保証するかという部位が明確になっておると思います。したがいまして、それ以外の部位については、非常に傷むところがあるので、それらはまた別途手直しをしていただきますということになろうかと思います。  そこで、今回の法律改正の中で、新車について三年に延長が可能であるという結論に法改正の案がなっておるわけでございますけれども、私ども今後メーカーを指導するに当たりまして、できるだけ品質のいい車をユーザーに提供するようにということで、車全体あるいはそれぞれの部品についても、できるだけ寿命の延長の努力をしていただきたいということで現在指導をしておる最中でございまして、個々の部品についてすぐ一律に、車検期間が一年延びたからといって、個々の部品の寿命がすべて一年延びるということにはならないというふうに考えております。
  29. 浅井美幸

    浅井委員 いま六カ月、十二カ月だとか、いろいろありまして、二年間で車検をしろということでありますけれども、最近、大都市におきましては車通勤というのは非常に不可能になってきております。ですから日曜ドライバーといいますか、一週間に一遍あるいはまた二週間に一遍車を出してきて運転をするということでありますから、走行距離につきましても、五十五年度で大体平均一万六百キロと言われているのです。そうすると、走行距離五万キロの五分の一なんですよ。そういう一万キロ走って、まあ平均ですから五千キロやら三千キロやら、もっと少ない走行距離の車がございます。それでも二年たったなら検査だ。古い車では新車の場合とは違いますから、古い車の場合は一年ごとだ。こういう期間といいますか、年限で検査制度を設けているのとともに、走行距離によって、走行距離制を車検の中に取り入れるということの方が非常に合理的な考え方ではないかと私は思いますけれども、この辺はどうでしょうか。
  30. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  この検査の問題を運輸技術審議会の場で検討するに当たりまして、ただいま先生から御指摘のように、自動車の傷みぐあいは走行キロによって違うのだから走行キロを加味することはできないかということで議論がございました。     〔委員長退席、三枝委員長代理着席〕 結論といたしましては、自動車の傷みぐあいというものは、走行キロ、車が走ることによって傷む部位と、それから走らなくても時間が経過することによる傷み、この二つがございます。そういう車の構造を考え、かつ車の管理の仕方の中で、走行距離管理の方がいいのか、それとも期間ベースの管理の方がいいのか、こういうことも議論になりまして、結論といたしましては、期間ベースで管理をする方がベターであるという結論になったわけでございます。  それから検査期間につきましては、行政的な事務手続として、一定期間ごと検査をし、検査をした結果、合格ということになりますと検査証有効期間というものを与えることになるわけでございまして、そういう検査期間の与え方ということから考えますと、やはり期間ベースの方がいいということでございまして、いま世界各国で自動車検査を実施いたしておりますが、特に検査期間につきましては、世界すべての国が期間ベースで有効期間を出しておる現状でございます。
  31. 浅井美幸

    浅井委員 ただ、いま諸外国の例も出てまいりましたけれども、車検制度のある諸外国の中でも共通にある特徴というのは、日本車検制度のように車検と分解整備一体として行う検査ではなくて、単に検査だけが独立しているという、安易なやり方というか簡単なやり方、そういうものが数多くとられていることも、あなたも御承知だろうと思います。  新聞の報道の中でも出ておりますけれども、日本車検はなぜこんなにめんどうなのか。あるアメリカ人が日本に滞在しておって、アメリカの車検制度日本車検制度では大きく違う、費用も違う。こんなに日本の国は世界有数の技術を持っておる、技術を誇る車でありながら、なぜこういうふうな車検が行われるのかと言って不思議がっている。あるいはまた、こわがっている。非常に費用がかかる。  ですから、いま大体年数制度といいますか期間制度といいますか、それによって諸外国の検査も行われておりますということでありましたけれども、この日本車検制度は諸外国に比べて非常に厳しい、あるいはまためんどう。場合によっては、整備をしてもらって車検をしてもらったらよけい調子が悪くなった、ぐあいの悪くない部品まで取りかえられたというユーザーのいろいろな苦情があります。整備する前の方が調子がよかった、こういう声すらもある。それがなぜ期間だけで、そういうふうに厳しい検査日本制度は行うのか疑問だというふうにも言われております。この点はどうでしょうか。
  32. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  まず外国の実態から再度御説明を申し上げたいと思います。  ただいま先生、事例として述べられましたアメリカの事例でございますが、アメリカは現在、連邦政府としては検査を実施いたしておりません。それで、各州ごとに実施をいたしております。(浅井委員「わかっている」と呼ぶ)先生御承知のとおりでございます。  そこでいま、話を二つに分けて考えなくてはいかぬのではないかと考えます。と申しますのは、一つ検査そのものでございます。これは先ほど申し上げましたように、諸外国とも検査期間ベースで実施をいたしております。検査期間につきましても、すでに先生御承知だと思いますが、ここで再度申し上げますと、ヨーロッパの例でございますが、スウェーデン、西ドイツ、この二つの国は現在新車が二年でございます。それからイギリス、オーストリア、スイス、こういう国は新車が三年でございます。ヨーロッパの特徴といたしましては、二回目以降の車検期間が短縮されるケースが非常に多うございまして、先ほど例示をいたしましたスウェーデンが二年から一年に短縮されます。それから西ドイツは二年から二年でございますが、イギリスは三年から次回以降は一挙に一年に短縮されております。それからオーストリアは三年から二年、スイスは三年、三年、こういう形で実施されておりまして、検査の内容につきましてもほぼ日本と同じでございます。  それから、車検に際しての整備の問題でございます。現在日本におきます制度といたしましては、定期点検のピッチと車検のピッチが一年刻みで合いますので、検査の直前に定期点検の期間が回ってまいりまして、事前に整備をして車を持っていくというのが通例になっておるわけでございます。外国等におきましても、特に検査の前の整備というものは明確化されておりませんけれども、私どもいろいろな調査をいたしますと、実態的にはやはり検査を受ける前に車を整備して、検査が一度で受かるようにということをやっているユーザーの方もかなり多いというふうに聞いておるわけでございます。  定期点検の問題につきましては、現在日本ユーザーに義務化をしておるわけでございますが、この大きな違いは、一つに欧米諸国と日本との自動車社会の発展の過程の違いがあろうかと考えておるわけでございまして、長い歴史をかけて車社会になった国と、非常に狭い可住地面積の中で密度的に数多くの車が保有されるに至った急激な発展過程にある現在の日本とで、かなりユーザーのモラルといいますか、車に対する認識も変わってきております。そういう点から考えますと、現在の定期点検というものをいま少しユーザーの方々に指導啓蒙していく必要があるのではないかということで、現在の制度考えておる次第でございます。
  33. 浅井美幸

    浅井委員 フランス、オランダ、モロッコ、これは一般自家用乗用車検査の対象になっておりませんね。だから自動車検査制度のあり方というのは、その国によっていろいろ違うわけですが、日本の場合、検査に先立って必ず分解整備を行い、特定部位については故障の有無に関係なく耐久寿命を予測して交換、その上で検査を受ける。いまあなたが諸外国の例をいろいろ出してこられましたけれども、非常に簡便な三分半とか四分半でぱっぱとできる検査日本の場合は部品の交換から分解まで全部やりますから日にちがかかる、費用もかかる。やり方というのはいろんな国において全部やり方が違うし、制度も違う。車検という名前は同じでも中身は全然違うということも、よく皆様方も研究をしてもらいたいと思いますよ。  ですから、法律で強制し、その結果相当の費用を個人に負担させることとなるものについては、多数の個人が集まっての生活共同体としての社会であるだけに、費用対効果の考え方が強く支配する、こういうふうに外国の場合ではいろんな意味で費用のことについてもみんなで、生活共同体としての社会という意味から費用対効果の考え方、これを非常に重く見ている、こういうことも考えて、あくまでも検査というものについてはユーザーの自発的な、法律またいわゆる官僚主導主義ではなくて、ユーザーの意識の高揚というものが徹底して行われなければならぬと私は思います。  そこで、話は一転しますけれども、定期点検というのが起こってきた背景というのは、昭和二十六年ごろでした。その二十六年ごろの車といまの車とでは、性能やあるいは安全性、そういうものについて格段の相違があるわけですけれども、この定期点検というものについて、これからもこの定期点検というのをあくまでも重要視しなければならぬのか、その点を重ねてお聞きしておきたいと思います。     〔三枝委員長代理退席、委員長着席〕
  34. 飯島篤

    ○飯島政府委員 「最近における自動車技術の進歩、使用形態の変化等に対応した自動車検査整備のあり方」につきまして、昨年の二月運輸技術審議会に諮問いたしました結果、先生よく御案内のとおりの運輸技術審議会の答申が出たわけでございます。  審議会におきましては、安全の確保、公害の防止、省エネルギーというものを前提としながら、国民負担の軽減にも配慮しつつ専門的、技術的に検討が行われた結果、結論が出されたものでございます。  その中におきまして、たとえば検査有効期間延長についても、マイカーについて新車新規検査検査証有効期間について延長は可能であるけれども、ユーザー自動車の保守管理についての責任意識の高揚、定期点検、整備の実施率の向上等を図る必要がある。また、定期点検につきましては、定期点検の励行を図る必要があるということで指摘を受けているところでございます。  今後の問題といたしまして、自動車技術がいまよりもまた格段に進歩し、車社会の一つの道徳律というものがまた変わってまいりますれば、その時点で見直しが行われるということも考えられますが、当面は、この答申を尊重して対応してまいりたいと考えております。
  35. 浅井美幸

    浅井委員 現在、定期点検の項目は四十六で、車検は百十九、これは簡素化を図るというように言われていますけれども、どのように簡素化されるのか。  先ほど来例が出ておりますけれども、諸外国では、車検にあっても主に機能検査による整備チェックを実施されている。わが国のように分解整備を義務づけている国はあるのかどうか。諸外国の車検は主に機能検査のみである。ユーザー自身が気軽に検査場に持ち込んで検査を受けるのが通例だ。日本の場合は、大幅な改修というか整備というか、そのために整備工場に一任せざるを得ない。そういう制度のために、ユーザーは、自分の大切な車だけれども、これはもう工場に任す以外にないのだということで、われわれはメカに弱いから、そういうものをやることはできないという考え方が初めからある。だから機械に弱いことは、ボンネットもあけたこともないというユーザーが多い。そういう弊害も出てきているわけですね。  諸外国の機能検査という整備チェックと、日本の分解整備と、なぜこんな大がかりな分解整備をやらなきゃならないのか。簡素化、簡素化と言いながら、どれだけ簡素化されたのか、その点伺いたいと思います。
  36. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  ただいま先生お尋ねの中で車検というお言葉がございますが、先生ちょっと誤解をされておる点があるのではないかということで正確に申し上げたいと思いますが、定期点検というのが一つございます。これは御承知のようにマイカーについて言いますと、現在でも六カ月点検、十二カ月点検、二十四カ月点検、こういうものがあるわけでございます。それからもう一つ、定期点検とは全く別に、国の行います自動車検査というものがございます。そこで、一般に誤解を招く点があるのは、二十四カ月点検を俗称車検整備と言うております。その関係で、それが車検ということと同一視されるケースが間々あるわけでございますが、法律上の性格は全く別のものでございます。  そこで、実態を御説明申し上げますが、国が行います自動車検査、これはただいま先生が御指摘されましたような項目ではございませんで、御指摘いただきました項目数は定期点検の項目数でございます。私が先ほどお答え申し上げましたように、国の行う自動車検査、これは世界的に横並びを見ましても、日本検査項目というのは大体ヨーロッパと同等の検査項目になっております。  そこで今度の定期点検の問題でございますが、定期点検の項目の簡素化につきましては、運輸技術審議会の答申の中でも触れられておりますように、物差しといたしましては、信頼性、耐久性が向上したようなもの、それから構造上機能低下が少ないもの、あるいは日常の使用状況から判断できるもの、それから仕業点検、今回の法律改正では運行前点検という名称になっておりますが、この運行前点検にゆだねてもよいもの、こういう項目を物差しにいたしまして、現在ございます現行の点検項目を洗い直しておる最中でございます。  現在の六カ月点検は項目数にいたしまして四十六項目ございますが、恐らく見直した結果これが半分ないしは半分以下ぐらいになるんではないかというふうに推定をいたしております。十二カ月点検が八十七項目ございます。それから二十四カ月点検が百十九項目ございますが、この十二カ月点検、二十四カ月点検については若干の簡素化が可能であろうというふうに考えておる次第でございます。  もう一つ、先生から御指摘ございました車検整備、俗称でございますが、車検整備のときに、いたずらに分解をし、整備をして部品を取りかえるという御指摘があったわけでございますが、この車検整備というのは、正確に言いますと二十四カ月点検ということになるわけでございまして、これは点検項目の内容から、どうしても車の傷みぐあいを装置を取り外して中を調べないとわからない、こういう部位がございまして、これが俗に分解整備と言われておるわけでございます。  今後私ども、この運輸技術審議会の答申の趣旨に沿いまして、点検項目の簡素化、合理化、見直しをやりますと同時に、メーカーに対しまして部品等の寿命の延長方の努力についても強く要請をしておるところでございますし、また一方、整備工場に対しましても過剰整備の廃止といいますか、過剰整備をしないように、あるいは逆に手抜き整備をしないようにということで、これは運輸技術審議会の中間答申の中で強く指摘をされておることでございますが、現在この指導をやっておる最中でございまして、ユーザーから信頼される整備工場になるようにということで、いろいろな手だてを考えておる最中でございます。  諸外国の定期点検につきましては、国の制度として定期点検制度を設けている国は、私どもの調査の中にはございません。ただ、外国のユーザーは、メーカーの推奨いたしますところのいわば定期点検の項目をユーザーがみずから実施する、こういう形になっております。ただ、いろいろな制度とのリンクがあるようでございまして、これはなかなかわかりにくいのですけれども、保険等とリンクしているという国もあるようでございます。
  37. 浅井美幸

    浅井委員 いずれにしろ日本の場合だけが、検査に先立って必ず分解整備を行い、特定部位については故障の有無に関係なく耐久寿命を予測して交換し、その上で検査を受けることが原則となっている。このやり方は、走行三万キロ程度ごとに主要装置を分解整備しなければならぬ、そうしなければ車が動かないという昔の名残がそのまま残っているので、技術が向上した今日では不合理なのだ、かつ、むだなのだ、こういうふうに言われています。ですから、その辺のことも少し真剣にお考えいただきたいと思います。  それから、民間車検におけるユーザーの不信という問題。車検や定期検査実態は、本来の目的からやらなければならないのですけれども、安全の確保といいますか、整備というか、そういう本来の目的がありながら過剰整備や手抜きや、いいかげんな検査先ほども少し御答弁がありましたけれども、不当な料金で目に余ることが多いのだというユーザーの批判があります。車は、いまや車社会と言われるほど非常に必需品となっている今日、使用者構造の変化といいますか、金持ちだけが乗っているわけではありませんので、自動車に必要な経費を、限られた個人の生活費の中から賄わなければなりませんし、経費の増減というのは直接庶民の生活を非常に左右し、圧迫をするものなんです。臨調の答申に「国民負担の軽減」という言葉があるのですけれども、この辺についてお聞きしておきたいと思います。  特に整備料金についてユーザーの不信感も強いわけですから、これらをなくするのには統一した整備料金の設定が必要ではないかという意見もあるのですが、これは公取委員会から独禁法に触れるということで、これを認めなかったというふうに聞いておりますが、料金の明朗化といいますか、これもまた車検整備へのユーザーからの信頼感を非常に生じさせることになるわけですけれども、整備料金の明朗化ということについて標準の整備作業点数表、こういうものをつくろうという考え方はあるかどうか。また、それがあるならば、いつからそういうものをやられるか、お答えいただきたいと思います。また、もしその点検整備後故障が起こった場合は、無償でそれを整備する制度を実施する考えがあるかどうか、この点もあわせてお答えいただきたいと思います。
  38. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生御指摘のとおり、整備の適正化、それの内容としては、作業内容の適正化と料金についての明朗化というのですか、この二つあると思いますが、いずれも運輸技術審議会の中間答申で強く指摘を受けたところでございます。  今度の一部改正案におきましては、整備事業関係につきまして、自動車整備の適正な実施等を図るために遵守事項を運輸省令で定めることといたしております。その中で、手抜き整備とか過剰整備、あるいは不正改造の禁止、それからやりました整備作業の内容のユーザーへの説明、それから料金の問題については基本料金表の掲示等々のことを定めることといたしております。  それで料金の問題でございますが、確かに御指摘のとおり、整備事業者の一部とはいいましても、整備作業の問題あるいは特に料金の問題について、ユーザーの不満、不信を招いており、これがひいては業界全体へのユーザーの信頼を損ねておるという実情があることは否めません。したがいまして、中間答申で指摘を受けておりますように、まず整備内容及び整備料金についてユーザーに対して十分な説明をする必要があると思います。それから次に、標準作業点数表というものをつくるということで、この料金表を使いまして各工場がレーバーレートを算出し、それを掛け合わせて料金を算定するということによって適正化を図る。それから基本料金表を店頭に掲示する。さらに関係団体が料金について実態調査をいたしまして、その結果を公表するというようなことで、料金の適正化、明朗化について対応させてまいりたいと考えております。  いま、業界団体で鋭意作業を進めております点数表につきましては、従来は時間表というものがございまして、これをもとにいたしまして技術料的なものを勘案しつつ点数表に直していくということで、日整連で目下鋭意作業を進めているところであります。  なお、料金につきまして標準的なものができないかということは、ユーザー側からの御要望もあり、また関係団体からも強い要望がないわけではございませんが、何しろ整備作業は千差万別でございまして、なかなかこれを標準料金というようなところまで持っていくことが制度的に可能かどうか、妥当かどうかという問題も一方にはございます。それで公正取引委員会と、さらにこれ以外に何かいい方法がないかということで、いろいろ協議をいたしております。たとえば不当景品類及び不当表示防止法という法律がありますが、これに基づきまして整備業界について公正競争規約をつくり、公正取引協議会というものをこれに基づいてつくりまして、ガイドブックをつくるということ、それを公表するというようなことが考えられないかということも公正取引委員会と相談をしておるところでございます。ただ、役務に関してこのようなものが運用された例がございませんので、まだ最終的な結論には至っていないという状況でございます。
  39. 浅井美幸

    浅井委員 次に、民間車検制度について伺いたいのですが、「自動車検査業務について、民間能力の活用を図り、引き続き指定自動車整備工場における指定整備率を引き上げる。」こういう指摘が出ておるのですけれども、これについてどのように、いま運輸省では考えられているでしょうか。
  40. 飯島篤

    ○飯島政府委員 民間車検の拡大、正確に言いますと指定整備の拡大という問題でございますが、従来から民間能力の活用ということで鋭意業界を指導してきておりまして、年々いわゆる指定整備率というものは拡大してきております。ただ、最近になりまして都市部におきましては建築基準法による立地規制とか騒音、振動、水質汚濁等の公害規制あるいは地価の高騰というような問題がございまして、施設、設備の拡充がなかなかむずかしくなってきております。それから資金力が弱いというような面もございます。私どもとしては、こういった問題点を克服しながら引き続きその拡大に努力をしてまいりたいと考えております。具体的には、地域ごと実態をよくつかみまして、きめの細かい指導をしていく必要があると考えております。  第一に、現在近促法に基づきまして構造改善事業を推進しておりますが、これに基づきまして企業集約化を進めまして、認証工場の指定工場化を図っていきたい。  それからもう一つは、既指定工場につきましても、構造改善事業を推進いたしまして経営改善をし、あるいはこれについても集約化を進めまして、能率のいい工場にしていくということが必要かと考えております。  ただ、今回の制度改正で、あるいは最近の自動車の技術の進歩によりまして整備事業が停滞あるいは低下する傾向にございますので、関係者の自助努力とともに相当強い指導をしていく必要があるのではないかと考えております。
  41. 浅井美幸

    浅井委員 車検制度の抜本的な見直しとともに、整備士の資質の向上というのは非常に問題になってきているのです。いま民間車検という問題について、私はこれから国の検査というものはやめたらいいかと思うのですよ、行革の時代なんですから。全国の陸運事務所検査官が千五十八人で全車検の四〇・八%を点検している。検査官が点検する所要時間は一台当たり五分から六分、そのような車検体制なんですから、もう少し整備士や工場、こういうところに明確な地位と責任を与えて、民間に移行してはどうかと思います。現在指定工場は一万七千工場指定されておって、国の車検業務をもうすでに代行しています。全車両の六〇%が指定工場で車検を受けているわけですから、この辺のことについて、これから民間に移行するという考え方、これを閣議決定でも言われているのですから、速やかにしてもらいたいと思います。いつごろまでにこの民間移行ができるのか。  また、検討課題になっている一級整備士、これを速やかに実施して一級整備士の資格を与える、これも必要ではなかろうかと思いますし、また一級整備士がいるような工場、これは国の車検業務を代行させることができますし、国の車検業務というのはなくして民間に全部移すわけですから、そういう資格と責任ある車検、こういうものを実施させるためにも必要な一級整備士ではなかろうかと思いますし、また国の車検をやめれば行政簡素化、これが行われると思いますけれども、この二つの点についていかがでしょうか。
  42. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  まず整備士の問題でございますが、先生御指摘のように、整備士の技術の向上ということは私どもも痛感しておるところでございます。先ほど来議論が出ておりますように、自動車整備の質の問題がございまして、現在私どもも整備士の技術向上を図るべく業界団体を通じまして、あるいは直接的に指導しておる最中でございます。  従来から自動車整備士、技能者というものをどういうふうに養成し、育成していくかということで、制度も幾つか考えてきておりますが、先生御承知のように、まず整備士の技能検定試験というものを実施いたしまして、一定レベルの技能を保持させるというのがございます。それから自動車整備技術講習所とか、あるいは自動車整備学校等の養成施設を大臣が指定することによりまして、学卒あるいは工場に入っています経験者の技術講習を行いつつ、国家検定であります整備士の資格を取らせる努力をしておるわけでございます。  そのほかにいま問題になっておりますのは、新しく整備士をつくるということだけではなくて、現在整備士の資格を持っております工場の要員の質の向上ということが当然考えていかなければならない問題だと思います。その点を踏まえまして、各地方整備業界の団体がございますが、自動車整備振興会が中心になりまして、その時期その時期あるいは新しい自動車の技術が極端に変わったような場合に、それらの技術についての講習会だとか研修会をやっております。一番いい例が排ガス整備技術の教育ということで、こういう研修会、講習会等をやっております。  さらに私ども、これから本格的に力を入れて進めなければならないと思っておりますのは整備要員の生涯教育の問題でございます。その関係から、すでに五十四年からスタートしております構造改善事業の中で、人材養成を主要な柱の一つとして挙げておりまして、教育カリキュラムをつくりつつ各地区に教育センターを設置して、いま言いました生涯教育を目指しての要員の訓練を進めることにいたしております。すでに幾つかの実績が出ております。この教育センターについて申し上げますならば、全国ですでに二十一カ所、県単位で教育センター等ができておるわけでございます。こういう形で現在の工場におきますところの整備士あるいはメカニックの養成をやっておるわけでございます。  先ほど先生、現在一級整備士が制度としてありながら機能していないではないかという御指摘がございました。実は私ども、この一級整備士を現在の時点でどういうふうに考えていくか、と申しますのは、車の技術の進歩あるいは先ほど来話になっております使用形態の変化等で、車の状態がかなりこれまでと変わっておりますし、整備工場の置かれる位置づけというものも変わりつつございます。そういう中にありまして、一級整備士というものをどういうふうにいまの時点で位置づけるべきかということを改めて考え直す必要があると思いますので、今後十分検討すべきものだというふうに考えております。  それから、民間車検への拡大移行の問題でございますが、現在民間の指定工場が約六割の検査を実施いたしておりますことは先生御承知のとおりでございますが、これの対象になっております工場が一万七千、約一万八千近くになりますが一万七千工場が、民間車検と言われます指定整備工場になって検査の実務を実施しておるわけですが、実は整備工場の業界全体をながめますと、指定工場にまだなっておりません工場が全国で約六万工場あるわけでございます。これらの非常に零細な工場でございますが、設備等あるいは先ほど答弁がありましたように施設関係、要員の関係で指定工場になり得ない整備工場がございます。こういうところで整備をした車は、どうしても陸運事務所に車を持ち込んで検査を受けるということから、現在四割の検査を国が実施しておりますが、この六万工場を対象にして実施をしているところでございます。したがいまして、民間車検の指定整備率の拡大ということを現在やっておるわけでございますが、一応の目標といたしまして、大体指定整備率にいたしまして七〇%程度を目標にして今後作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  43. 浅井美幸

    浅井委員 もう時間が来ましたので、もう少し簡単に本当は答弁してもらいたかったのですけれども、要するに民間車検も本気になってやらなければできない問題なので、もう少し民間の車検について、本当に民間の能力の活用ということについて本気になって取り組んでもらいたいと思います。  それから、一級整備士の問題について、まだ明確に決まっていないというのですけれども、整備工場の中には部品交換によって整備するという極論があるわけです。むずかしい点検、整備をするよりも、部品を交換した方が簡単だというような考え方に支配されているということを聞くわけですけれども、これはそういうことでは整備士は困るのであって、整備士の技術向上を図るためにも一級整備士というのをもう少し、私は速やかにこの制度を活用してもらいたいと思います。最近の車は非常に技術水準が高くなってきておりますし、電子装置つきの自動車、こういうものが出てきて複雑なメカになってきています。エンジンも、エンジン系統ブラックボックス化というものになってきていますので、いままでの整備の技術ではまだない新しい技術が要求されているわけですから、それらに対する速やかな対応はしっかりやっていただきたいと思います。  いよいよ最後になりましたので、いままで運輸大臣ずいぶんお暇だったでしょうから御答弁をお願いしたいのですけれども、今回の改正国民負担の軽減ということは余り見られないというのが第一の特徴ではないかと思うのです。行政の簡素化と言いますけれども、事務量の増加というのが見受けられるのではないかと私は思います。ユーザー負担軽減、これは全くない。新車が年間約二百五十万台、これは三年間になりますけれども、従来の古い車の方は従来どおり二年間で、新車は十六分の一しか、このいわゆる改正によって恩恵を受けない。また、さらには罰則規定の新設に伴い、定期点検の報告義務規定の違反に対する過料の措置、これはユーザーの精神的な負担の増大と行政事務の煩わしさを増加させるもので、私は臨調の答申の趣旨に反していると思うのです。この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  44. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  ただいままで委員から、種々の面から見ての今回の車両法改正についての御意見を承りました。いずれも伺うておりますと、きわめて適切な御意見だったと思うのであります。  特に、この過料制度等についての御意見も十分拝聴いたしたわけでありますが、一言だけ申し上げたいことは、やはりいまの車社会、こうした中において自動車に乗っている人、これは便利でこの上なく快適であろうと思うのでありますが、道を歩く者あるいはその近所に住んでいる者、特に東京なんかで申しますならば環八とか環七、この交差点の状態というものは、私はやはりこの点検、整備というものが技術的に見ても相当厳格になされなければならないという実感を持ちます。私は、特に公害問題について今日のいろいろな規則がきわめて強いものであるということ、これはいろいろな面から過剰であると言う人もおりますが、近所に住む住民から見るならば当然のことではないかと思うのでございますが、今回の車検の問題に絡んで技術審議会においての議論は、もっぱらそこに集中していったわけでございます。そうした意味から申しますと、きわめて技術的に見て、現状においては、さらになお相当のチェックをする必要があるというのが、技術的な面から見ての結論だったと思うのでございます。そうしたことを実施するためにも現状程度のことは最低限必要だというような結論になって、今回の提案になっておるわけでございます。  もちろん、この過料制度というものは、見方によれば大変に何か罰則的な意味というふうにとられがちでございますが、言葉が大変にまずいのでございますが、たとえば転居届とかあるいは出生届、婚姻届等もやはり同じように過料がついておるのであります。しかし、この過料が別段にそのようなきわめて強制的な意味を持っておるとは、だれもいま実感として感じていないのではないかと思うのでございます。要するに車を動かし、これを利用している人々が、社会的に見ての、社会に対して一つの安全で、しかも公害に対しても十分な配慮をするというその面、これは私は車社会においては当然の一つのモラルではないかと思うのでございまして、そうしたものを自発的に大いにやってほしいという、そうした意味での届け出制であるわけでございますが、その辺のところ、十分ひとつ御理解を賜りたいというふうに思います。  また、いままで午前中にわたっての委員からお示しをいただきましたいろいろな具体的な問題につきまして、この法の運用の中で運輸省といたしましても十分御意見を尊重し、そして全般として日本の社会そのものが、車社会の中においても、よりよい状態がもたらされるように努力をいたしたい、そのような気持ちでおることを申し上げて、御答弁にかえます。
  45. 浅井美幸

    浅井委員 過料の問題について、行政上の秩序罰云々についての意見というものを、私、また法概念の上からいろいろと詳しく大臣とやりたかったわけでありますけれども、いずれにせよ、こういう検査をやらないから罰則規定というか過料を付するなんという制度は諸外国には見られない制度でありまして、公害問題というようにいま大臣おっしゃいましたけれども、公害問題というのは、メーカーは今日の社会情勢というものを非常に敏感に感じ取っておりますから、車の起こすところの公害を防止する装置というものは非常に厳しくつくられていると私は思うわけです。もしその公害がどんどん出るような車であるならば、それは道交法の第百十九条においても三月以下の懲役または三万円以下の罰金、こういうものでちゃんと処することはできるんですから、私は何もここで過料の制度を改めて設ける必要はないのではないかと思います。ですから、その辺はこの案の中でどうか修正をしていただいて、ユーザー国民の皆さん方から不安が起こらないようなそういう改正にしていただいて、車社会の秩序の維持のために前進するような法であっていただきたい、こういうように要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  46. 越智伊平

    越智委員長 暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  47. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小渕正義君。
  48. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 この道路運送車両法の一部改正につきましては、もうほとんど改正の内容のポイントについてははっきりしていますので、かなり重複することがあろうかと思いますが、あと二、三点、もう少し見解等を承りたいと思います。  まず、先ほどからきょうの午前中の質疑をお聞きしておったわけでありますが、大臣の方で最後に午前中の最終を締めくくられた答弁の中で、今日のようなこういった車社会の中では、今回のこのような規制的な措置はやむを得ぬのである、必要最小限のものであるということで述べておられたわけであります。  私、大臣の御見解はそれなりに理解はいたしますが、あと一つ、しからば、車社会の中でのこういった規制措置はある程度必要だということについては理解するにいたしましても、第二臨調からは、今回の改正法案につきましては答申の趣旨に反するという、実は異例の声明まで出されているわけであります。大臣のあのような見解をお聞きいたしますと、何か臨調の異例の声明がお門違いといいますか、筋違いのような形で、またとれるわけであります。したがいまして、大臣はあの臨調の異例とも言うべき声明についてはどのようにお考えなのか。実は午前中の大臣の所見をお聞きしながら、もう一度そこらあたりについての御見解をはっきりただしておきたいということになったわけでございますので、臨調のああいった批判といいますか、声明をどのように受けとめられておるのか、まずその点をお聞きしたいと思います。
  49. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 われわれは、臨調からああした文書というか、記者会見で発表されたことはちょっと意外なんでございます。今回の改正法そのものは、われわれは臨調の主張を十分に受け入れて作成したつもりでございます。しかし、いずれにいたしましても国会の御審議によって結論が出されるのではないかというふうにも思っておるところであります。
  50. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 臨調のああいった声明といいますか、見方というものは当を得てない。この改正案の内容からいくならば、本当に理解していただくならば、あのような声明は出さなくて済んだろうというふうに御理解されているかどうか。その点いかがですか。
  51. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 この場で、臨調のあの見解に対して私が意見を申し上げることはいささか不適当だと思うのでございまして、国会の審議の場でございますので、国会における御発言に対しては私らは責任を持っていきたいというふうに思います。
  52. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 あと一つお尋ねいたしますが、今回の改正法案は、御承知のように臨調はああいった異例の声明を出す。マスコミその他からはこぞって臨調のような立場から厳しい批判が加えられておる。また実際にユーザーの立場からこれを見た場合でも、罰則導入という、従来より規制の強化ということでは余り歓迎されるようなものでもない。また整備業界にとりましても、必ずしも今回の改正案を大いに歓迎すべきというような内容のものでない。どちらを見ても、この法案は歓迎されないような感じがするわけであります。本当に今回のこの改正案は、果たして国民のどこの層が歓迎し喜んでおるのかということについて疑念なしとしません。大臣は、今回の改正法案については、本当に国民が喜んで受け入れるというような法案と御理解されているかどうか。私、この法案が出されてからの国民世論その他いろいろな関係する業界等のそれぞれの御意見等を承りましても、それぞれの角度からみんな問題を感じている、こういった法案は珍しいのじゃないかという気もするわけでありますが、そういった点についての大臣の御見解を承りたいと思います。
  53. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 委員のこの法案に対する御見解につきましても十分伺っておるつもりでございますが、他の委員の皆様方からも、いろいろな角度から、この法案に対する御批判をいただいていることはよく承知いたしております。ただ、車検の期限の延長ということが単にユーザー面だけからの要望として提案された場合に、やはり現在の車社会においての自動車の持つ公害の面あるいはまた安全の面というものは、これまたゆるがせにできない。車検延長ということを単なるユーザーサイドだけからの問題として提起された場合に、われわれといたしましては、どうしても公害対策や安全の問題についても十分に行政府として対応していかなければならない。したがいまして、きわめて技術的な問題に入らざるを得ないのであります。そうした技術的な問題につきましては、技術審議会において過去一年にわたる議論を終え、また種々の実験研究をしてもらった結論として、今回のような措置が最適である、ただ、新車についてだけは二年を三年にするというようなことに相なったと思うのであります。  それから、もう一つは過料の問題でございますが、やはり自主的なユーザーの点検というものを推進してもらわなければ、膨大な数に上った日本の車社会でございますから、これを役所が一々手を入れてやることはとうてい不可能に近いことでございます。しかし、さればといってこうした車社会の住民との関係の中で一つの秩序を得ようとするならば、やはり自主的な行動をとっていただくしかない。その自主的な点検、整備をしていただくために、先ほど来申し上げておる秩序罰としての過料という制度をつくらざるを得なかったということも御理解をいただきたいと思っておるところでございます。
  54. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 自主的なユーザーの立場をより強化されるという角度から、秩序罰としての罰則はやむを得なかったということでございますが、このたびの改正法案の最大のポイントは過料の罰則規定の導入だろうと思うわけでありまして、この問題をめぐりまして、今日行政改革が叫ばれておる中で、逆に行政がまた過剰に介入してきたんじゃないか、こういうような角度からいろいろ指摘されているのじゃないかと思うわけであります。  そういう点で考えてみますならば、午前中の議論の中にもありましたが、実際問題としてこの法を運用される場合に、現在三千五百万台とも言われている車の中から、年間せいぜいがんばってみても九万台ぐらいしか自動車検査官における点検といったことができないような実態にある。倍率幾らですか。大体〇・四%ぐらいしか点検しようとしても対象として把握できない。数字的に見ますならば、そういったわずかな車にしか及ばない。まさにそういう意味では、こういった整備の点検を可能ならしめるためには、対象の車のわずか〇・四%程度しか捕捉できないような状況での法の運用というものが果たしていいのかどうか。少なくとも法はすべての人に公平でなければならぬという立場から考えますならば、何といいますか、宝くじまではいかなくても、たまたまそういった街頭における点検の対象に遭遇したのが運が悪かったというような運営にしかならぬような状況で、しかも、そういう中で罰則規定を導入しているということが果たして正常な法の運営だろうか、われわれこういうように考えるわけであります。少なくとも法を制定して実施するからには、最大限の確率をどこに置くかは別にいたしましても、わずか〇・四%程度しか対象として把握できないような状態で、そういった法をつくっていくということが果たしていいのかどうか。この点、私は法を実際に運営する行政の立場から、そういう角度から見ても問題があるのではないか、非常にそういう気がしてならぬわけであります。  たとえが少しあれになりますけれども、戦時中から戦後、食糧統制の中で、みんな配給米だけでは生きていけなかった。やみ米を買ってみんな飢えをしのいでおった。しかし、たまたまやみ米の摘発で取り締まりに遭った人たちだけが悪かったというようなことも過去にありますけれども、私は、少なくともああいうふうな性格の法の運用というものは極力避けなければいかぬと思います。そういうことを考えますならば、今回の十万円の秩序罰としての罰則規定を導入したのが、そういうものと性格が非常に似ているのじゃないかと思いますし、そういう形でいきますならば、法の公平という立場から見て、余りにも不公平にならざるを得ぬのじゃないか。たまたま街頭でそういった対象になったのが運が悪いというようなやり方、明らかにだれが見てもそうならざるを得ないような法の運用というのが果たして正しいのかどうか、この点に対しての大臣の御見解を承りたいと思います。
  55. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いま委員の仰せられましたように〇・四%程度の数から申しますと、これは本当にやってもやらなくても同じじゃないかというような数字だと思うのでありますが、先ほど来申し上げているように、車社会の一種の秩序を維持するという意味において、ユーザー自身も定期点検なりあるいは検査というものを厳重にやってもらって、そして公害対策であり、また安全対策というものに自主的に協力してほしいということが趣旨であるわけでございます。  また、その中で〇・四%程度のものがたまたまつかまった、こういうようなお話でございますが、つかまったときに求められるものは、あなたの帳簿を見せてください。そしてそれが六カ月あるいはそのものがなされていない場合には、ぜひこれを検査して点検をしてください。点検をしたならば、そのことを陸運局に報告をしてくださいということなんでありまして、たまたま〇・四の中で何%の方がさらにそういう事態になるかどうかわかりませんけれども、〇・四%の人を全部過料十万円にするという問題じゃないということを御理解いただきたい。同時にまた、その報告さえもしなかったという方に対して秩序罰として十万円ということが記載されておるのでございまして、自主的に、自発的にユーザーの方々が、自分の持っている車あるいは自分が運転している車そのものの持つ大きな社会的な影響というものを考えていただくならば、恐らくこんなような過料なんということを待たないで、自主的に十分検査、点検をしていただけるものだと私は思うのでございます。先ほど来申し上げたように転居届と同じようなものでございます、というのは、その〇・四%の方々に対して、ただたまたまぶつかったから過料が十万円だということではないということを御理解賜りたいと思っておるわけです。
  56. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いま言われていることは十分理解しておるわけでありますが、自主点検を実行するために、より効果を上がらしめるために、結果的にこういう過料十万という罰則規定を入れる、そこのところは、そういう発想自体に対して国民の皆様方が大きな反発といいますか、非常に不快感を持っておられるのじゃないかと私は思うのであります。  この種問題というものが、特に先ほどからいろいろ言われておりますように、ユーザーがこういう車社会の中でみずからの責任において、いかに整備、点検していくかということで、ユーザーの自覚を促していくということをどのような方向でやっていくか。これはいろいろやり方もありましょうけれども、そういうものをいろいろ取り決めて、結果としてそれを守らぬ場合には罰則だということで過料というような発想が果たしていいのか。いま大臣が御指摘されたように、ほんのわずかなことになりかねないわけでありますから、実際の運用の中で過料の対象になるような人たちというのはほんのわずかであると思います。しかし、問題は、そういうふうに行政が何かを決めて、それを守らぬ者は罰だという形のような、いまの社会からちょっと逆行するごとき発想自体に、国民の皆様方が非常に不快感を持って今回のこの法案改正を見ておられるのじゃないか、かように私は思うわけであります。したがいまして、そういう意味でこの罰則規定をあえて導入するということについて、どうしても理解がいかないわけでありますが、それは一応さておくといたしまして、具体的な運用の中で御質問いたします。  街頭補導によりまして、点検、整備の記録をまず指摘され、結果的には十五日以内の報告義務を負わせられるわけでありますが、その報告を怠った場合に十万円以下の過料に処すということになっておるわけであります。では、報告を怠った場合に十万円以下ということは、ゼロから十万円まであるわけでありますけれども、その内容はどのような形で罰則の過料を適用していくのか。一回の報告を怠った場合に、それが書類で裁判所の方かどこかへ行って、そこで自動的にこれの場合には幾らというふうな罰則の罰金が決められるのでしょうけれども、そこらあたりの運用は実際にどのようにお考えになっておられるのか。ただ十万円だけ決めまして、あとはわかりません、それは裁判所の判断でございますということだけでは、この法案審議の中では通用しないと私は思います。したがって、陸運局として十万円の罰則を導入するということを考えられた以上、こういう場合には十万円ぐらいだろう、こういう場合には幾らだろうと、何らかのそういうものがなければいかぬのじゃないかと思いますが、そういう具体的な運用についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  57. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先ほどから大臣が、この規定の趣旨について詳しくお述べになっていただいておるとおりでありますが、点検の指示をして、それについて必要な点検及び整備をしていただく、その旨を記録簿に記載して十五日以内に報告をしていただくということでございますが、実際の運用に当たりましては、報告がない場合にすぐにその手続をとるというようなことではなくて、恐らく現場の実務としては、定期点検を励行していただくという本来の趣旨から、指示に従った点検をしていただくということが最終目的でありますので、再三にわたって督促をするということにまずなると思います。それから、どうしても報告もしていただけないという場合に、手続としては地方裁判所に通知をするということになるわけでございますが、裁判所の方で、これは刑罰でございませんので、非訟事件手続法に基づいて手続が行われるわけでございます。それから後の問題は、個別具体的にどう判断するかということになるわけですが、これは裁判所の判断にまたざるを得ない。まだ新しくできたばかりの規定でございますので、私どもの方としても具体的に、こういうケースはこうなるだろうということはちょっと申し上げられない立場でございます。
  58. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 報告を義務づけて報告を求め、十五日以内に報告がなかった場合には再度また報告を求めるような手続がしかれているわけですが、一応そういう通知を出す。再三ということですから二回か三回か、再三にわたって通告をして報告を求めても、なおそれに応じなかった場合に初めて所定の手続をとって書類を裁判所の方に回す、こういうことですね。だから、少なくとも二回か三回はそういったことで、陸運事務所としては本人に対して、手紙か電話か知りませんが、そういう手数をかけるということになるわけですね。  一応それはさておきまして、そういたしますと、そういった陸運事務所から再三再四にわたり報告を求めているのに応じなかった者に限って書類が裁判所の方に行ったとした場合に——裁判所の方、おられますか。一応きょう、その内容について判断の基準はどこに置くか、運輸省で答弁できなければ、裁判所の関係の方にぜひ来ておってほしいということを言っておったのですがね。来ていませんか。
  59. 越智伊平

    越智委員長 法務省、来ているんじゃないですか。
  60. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 じゃ、普通どうなんですか。いまのような手続を経て書類がそちらの方に行った場合、悪質だと見てこれは十万円というふうにするのか、初回だから五万円にするのか、三万円にするのか、そこらあたりの考え方はどのようになっていますか。
  61. 筧康生

    ○筧説明員 先ほど運輸省の方からお答えになったことと一部重複するわけでございますけれども、過料に関する裁判というのは非訟事件手続法という法律によって処理されるということになっておりまして、その手続というのは裁判所が職権でやるということになっておるわけでございますが、職権でやるといいましても、その過料に該当するべき事実があるかないかというようなことを裁判所がみずから探知するというようなことは、これはほとんど不可能なことでございます。したがって、過料の事実があるかないかということについての最も大きな関心を持っておりますところの、その行政秩序というものを監督しておるところの当該行政庁が裁判所の方に連絡をして手続を開始するということになるわけでございます。  その後の裁判所手続というのは、これはその裁判を行いますところの個々的な裁判官の判断にもっぱらゆだねられているということになっておるわけでございまして、特にこういう新しい類型の秩序罰については、一つ一つの事件を通じて裁判所が徐々に基準というものを形成していくという、その過程を待たないと、この構成要件についてはこの事実が重要である、あるいはこの事実は大して重要でないということを申し上げるというのはできないということになるわけでございます。  ただ、一般的なこととしてお聞きいただきたいと思いますけれども、過料の額を決める際には、やはり同じような過料の対象としております中にも事柄の重大なものと重大でないものがある。あるいはまた、その過料によって秩序を維持しようとするものでございますけれども、その違反しておる回数が多い者もあるし少ない者もあるというようなことなど、幾つかの事情を総合して決定するということになるというように考えております。
  62. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 これからの問題ですから、そういった一般的なことだけしか言えないかと思いますが、要するに、これはまた裁判所の個々の判断ですべてがやられるということになってはいけないので、当然これが決定すれば、実際にいよいよ運用する場合における何かそういう基準的なものを統一的にまとめられてやるというふうなことになるのじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
  63. 筧康生

    ○筧説明員 これも裁判所の問題でございまして、実は法務省がお答えするのにはふさわしくないことでございますけれども、参考までにということでお聞きいただきたいと思いますが、この過料の裁判、これは一つの裁判でございまして、その裁判をする上には裁判官の独立というのが基本的に認められ、その制度のもとにおいて行われるということでございますので、裁判をする際に、もちろんそれはいまでございましたら十万円という法律の枠内でございますけれども、その枠内で裁判についての基準を設けるということ、これは裁判官の独立ということに対する一つの侵害行為というように位置づけられることでございまして、そういうことをすることはできないというように考えております。
  64. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それではちょっとお尋ねしますが、報告義務違反、三回にわたって催促通告をしたけれども守られなかったので、そういった手続がとられた。そういった場合、同じケースの中でもA地区では罰金二万円で済んだ、B地区では罰金五万円だった。要するに、個々の裁判官の判断によって、そういうことが起こり得る可能性が十分あるということですね。そういうふうに理解していいですか。
  65. 筧康生

    ○筧説明員 裁判というのは、これは個々的な裁判官が判断する事柄でございますので、その裁判官の判断を通じての個々的な判断が出るということは、ある程度やむを得ないことでございますけれども、ただ、その裁判に対しましては当事者、それからこの非訟事件手続法の手続に関しましては検察官も意見を述べることができることになっておりますが、それらの当事者及び検察官は、この裁判がおかしいと思う場合には即時抗告の手続ができることになっておりまして、その裁判に対して、さらにこの上の判断を受けるという機会があるわけでございます。したがって、幾つかの裁判というのはさらにこの上級の判断を受けるという事柄を通じまして、判断のばらばらさといいますか、不統一さというものは統一されていく、そういう仕組みになっておるということでございます。
  66. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。  要するに、制度的なことの一般論を言われたわけでありますが、国民の皆様方から見ますならば、これからの問題ですけれども、そういう意味では、この問題についてはまたきわめて不安定な要素がはらまれている、そういうふうに理解せざるを得ないと思いますので、その点はこれ以上質問いたしましても、そういう一般論以外は出ないと思いますので一応私なりにいま問題点として理解いたしまして、終わります。  次に、今度具体的なことでもう少しお尋ねいたしますが、前回もちょっとお尋ねしたのですけれども、実施時期については公布の日から一年以内のあれだということを言われておりましたが、大体のめどをどこに置いておられるか、その点はいかがでしょうか。     〔委員長退席、楢橋委員長代理着席〕
  67. 飯島篤

    ○飯島政府委員 この法律の実施時期につきましては、事項によって異なっております。回送運行の許可とか手引きの作成、不正事件に関する規定等は公布の日からでございますが、自家用乗用車車検証の有効期間延長、これにつきましては公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日というふうに規定されておるわけです。目途といたしましては、五十八年四月以降のできる限り早い時期ということを考えております。  ただ、この制度改正の実施に当たりましては、メーカーの点検制度の見直し。それから、陸運事務所において現在コンピューターを使って業務を処理しておりますので、このプログラムの改正が要る。重量税法律改正自賠責保険につきまして大蔵大臣が自賠責審議会にかけて保険料率の改正の決定をするというようなこと等がございますので、それらを総合的に勘案した上で最終的には決めるということになるわけでございます。
  68. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 車検期間延長の実施の問題を特にお尋ねしたいわけでありますが、明年の四月以降になるということでございますが、前回の御答弁の中でも、それ以後の決められた日からの登録された車を対象にする、こういうふうにお話があったと思います。ただ、その点について、同じ型の車を買いまして、片一方では車検が二年で現行どおり、また片一方では適用されて新車車検三年、そういう形で、一つ区切って発足すると、どうしてもそういう問題が出がちであります。そういう点からいきますならば、実施する場合に、ある程度幅のある期間を設けて、その期間内に新しく登録されてきた車は対象に入れるとかいうような経過措置的なものが必要ではないのか。ただ実施時期で、たとえば六月一日なら六月一日以降の新車は全車対象で三年になる。六月一日以前に買うと、同じタイプの新車であってもそれは車検二年だということでは、法の運用としてちょっと芸がなさ過ぎるという感じが私はするのでありますが、そこらあたりに対して、ユーザーの立場、国民の皆さん方のあれを考えて、ある一定の余裕といいますか、幅を設ける中で実施をしていくというか、そういう経過措置的な考え方はどうなのかということについてお尋ねします。
  69. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生が冒頭に御指摘になりましたように、この適用につきましては、検査証有効期間延長の問題でございますが、法の施行日以降に新車新規検査を受けたものから適用するということにいたしております。  大体、この有効期間というものは、自動車の保安基準の適合性を確認する検査の時点で一台ごとに設定するものでございます。したがいまして、一たん設定されました検査証有効期間を、当該自動車の保安基準の適合性を確認することなく延長することは、法制度として不適当であるという考え方でございまして、これは、過去におきまして車検期間を変更したことがございますが、そのときにも同様な取り扱いになっております。  先生のお話のように、ある一定時期に施行して、それから前の一定の期間内の新車新規検査を受けたものに適用するというようなことにいたしますと、一体どこまでさかのぼっていくのかという判断が非常にむずかしくなるわけでございます。また、こういった制度の変更に伴いましで、いろいろな面に影響があらわれてくるわけであります。整備事業に対する影響、それへの対応策、あるいは重量税自賠責保険等も絡んでおりますので、やり方によっては相当な混乱が発生するおそれがあると考えております。
  70. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 片一方を生かせば片一方に問題があるということは非常にむずかしい問題かもしれませんが、それにしても、いま言われたようなことだけでは、まさに余りにも画一的といいますか、いま少し知恵を働かせてもいいのじゃないか。何かお役所的な発想だけで、こちこちの中で何でも考えようという形になりかねないわけでありますが、その点は後ほど意見として申し上げておきたいと思います。  次に、あと一点。  この前の参考人の中に石油スタンド業界の代表の方がおられまして、その方の業界要望の中では、点検、整備について、六カ月点検については運輸省の指導をいただきながら体制を整備して、そのために点検実施率の向上にずっと寄与してきたはずだ、そういう点が意見として述べられておりまして、自分たちとしても、十二カ月点検も行えるだけのものが設備の面でも能力的な面でも十分あるのだ、だからそれをやりたいというようなことを言われたのでありますが、いまの十二カ月点検の中には何か分解なんかの作業が入っておる関係から、そのままではむずかしいということになっているようでありますが、そういった点検、整備実施率を高めていくという意味では、私は、そういうところを対象にして、もっとやれるということが、利用者の立場から見るならば、きわめて好ましいことではないかという気もするのですけれども、やはり行政としては、それなりの何か問題点があるだろうと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  71. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  現在、ガソリンスタンドの中で特定給油所という名前をつけたところが六カ月点検を実施いたしておるわけでございます。今回の法律改正で、定期点検の簡素化を図るということで現在作業をしておるわけでございますが、その影響を受けて、特定給油所の団体あるいは給油所の方々が非常に心配をされておるわけでございます。しかしながら、運輸技術審議会の答申にもありますように、簡素化はするけれども、定期点検の実施そのものは、従来にも増して重要性、必要性があるという指摘がございますので、ただいま御議論になっておりますような新しい定期点検の励行策を考えておるわけでございます。そういう意味からいたしますと、定期点検の簡素化の反面、定期点検の励行率の向上ということも当然一つ考えられますし、それをねらいとしておるわけでございます。そういうことからすると、その影響というのは相殺される面があるのではないかということが一つでございます。  それからもう一つは、先日の参考人の意見陳述の中で、十二カ月点検をやらしていただきたい、そのためには整備士等の資格もあり、あるいは設備もあるというお話でございましたけれども、現在十二カ月点検の項目をずっとつぶさに見てみますと、一つは、あらかじめ点検する個所として決められた項目の中に、重要部位でありますブレーキ関係の装置を取り外して整備をするという項目があるわけでございまして、この重要部位の装置を取り外して整備をするということにつきましては、かなり専門的な技術を要する項目でございます。車にとりましても致命的な装置でございます。そういうところから、こういう重要な部位を取り外して整備するということを分解整備ということで定義づけまして、これは一定の資格を有した者でなければ、この部位に当たってはならないということになっております。この一定の資格を有した者というのは、属人的な、個人的な資格ではございませんで、事業者の資格を限定しておるわけでございます。これが御承知のように現在の認証工場でございます。  現在、幾つかの地方でガソリンスタンドが認証工場を兼業しているところはございますが、この認証工場というものを兼業する分には、これは制度として何もおかしくないわけでございますけれども、いまガソリンスタンドにございますサービスステーションというのは認証工場の形をとっておりません。設備等につきましても、それに相応する機械設備を私どもも要求しておりませんし、ガソリンスタンドはサービス部門として、ああいうチューンナップステーションを持っておるわけでございます。そういう面からいたしますと、現在のガソリンスタンドの特定給油所では十二カ月点検を措置するということは無理な面があろうかと思います。  なお、いま言いました一カ所、ブレーキ装置の取り外し整備、分解整備は、あらかじめ決められた場所でございますけれども、十二カ月点検ということを実際に行いますと、それ以外に、車の使われ方によりましてかなり傷んでおる部分が出てまいります。決められた部分ではないのですけれども、傷んでおる部分をチェックをして整備しようとすると、どうしてもやはりその装置を取り外して、また整備をしなければならないという作業が、個々の車については出てくる可能性がございます。そうなりますと、その部位が、ただいま申し上げましたように分解整備という定義に該当する部位であれば、なおさら、これまた一般の方にはできないということから、十二カ月点検あるいは二十四カ月点検については、専門技術的な有資格者のいる認証工場でやっていただくというのが現在の考え方でございます。
  72. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。  それでは、大蔵省の方はおられますね。——重量税の問題は、それぞれ質疑を交わされる人が必ず取り上げられて、問題点も指摘され、言われておるわけでありますので、もう多くを申し上げることもないとは思いますけれども、この法改正によって、せっかくの改正であれば、この際こういった重量税のあり方についてもひとつ改正してもらいたいというユーザーの期待があるわけです。     〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕 午前中の質疑の中でも、なかなか困難だということで、この重量税の現在の一括方式を単年度払い方式にすることについて、かなりいろいろな問題があるということを言われておりましたが、それは一応さておいたといたしまして、分割払いということについてはどのようにお考えなのか。現在重量税車検のときに一括納入するようになっていますが、単年ごとに分割払い、それを何年で、一年ごとにするのか半年ごとにするのか、それはいろいろありましょうけれども、そういった税金というのを一遍に取らなくて分割で納める、この点についてはいかがでしょうか。
  73. 新藤恒男

    ○新藤説明員 自動車重量税の問題につきましては、性格等につきまして先般来御説明申し上げているわけでございますけれども、いまの徴収の仕組み車検と非常に密接に結びついておる。車検を受けます際に税率に応じまして税金を納めていただくという仕組みになっておりまして、このやり方自体は、いろいろな意味で合理的な措置として考えられているわけでございます。  一つは、納税義務者にとりましても、一々税務署の方に足をお運びいただかなくても、車検の際に印紙で納めていただいて、陸運事務所の方で御確認をいただければ、それで徴税が終わるということになっておるわけでございます。一方、税務当局の立場で執行上の問題で申しますと、非常に多数の件数あるこの車検、それに伴います重量税納付という問題が、印紙という形での納付とともに陸運局での確認で済んでしまって、徴税機構の面でも大変効率的に行われておるという状況にございまして、納税義務者並びに税務機構といたしましても最も合理的な制度であるというふうに仕組まれているわけでございます。  この納付の仕方につきまして、現在のところでは、ほとんど完全に徴収漏れなく納付をいただいておるという形になっておるわけでございますけれども、これが分割納付とか、あるいは車検を離れて納付という形になりますと、現実問題といたしましては、そのための、たとえば車ごとの台帳を設けなければいけない、その納付につきまして徴収とか管理につきましての手続を別途行わなければならないということで、相当膨大な数での職員の増加、それからさらには車検との関連がございますから、陸運事務所からの御協力とその面での人員の増加というふうなことがございまして、種々考えますと、この問題につきましては手続的な問題といたしましてきわめて問題があり、いまの全体の簡素化を図っていかなければならないという行政機構の中で、こういう形でのやり方——それから徴収漏れが仮にふえてまいりますと、その面では、着実と申しますか納期にきちっと納めていただいている納税義務者と、お納めいただけない方との間の不公平の問題も出てくるということで、いろいろな問題がございまして、いまおっしゃいましたような分割の納付ということにつきましては、いまの重量税についてはとり得ないところではないかというふうに考えておる次第でございます。
  74. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いまの大蔵省の取る立場から見れば、こんなに便利な、安易に、しかも一括ぼっこり確実に入ってくるというようなやり方、こういう徴税の方法というのはほかにありませんから、いまの現実から見ると何か変えることをやることは手数がかかる、やれどうだということになるだろうと思うわけですよ。これはもう当然そういうことだと思う。しかし、いまやっていること自体が大体徴税の方向としてはおかしいのじゃないですか。そういうふうに、まず考え方を変えてもらわぬといかぬのじゃないですかね。それは現実にいまやっていることから見れば、何か変えようとしたら、いまのように一括で手数もかからずに、しかも確実に入るような方式ですから、もういまから何か変えるということ自体が、それはいろいろあるでしょうけれども、しかし、いろいろほかの納税という立場から見ましたらば、ちょっとこんな納税の仕方は、これだけ異常じゃないかと私は思うわけですよ。そういう意味で、ユーザーの人たちが何か分割払いでもできないかとか、いろいろ強い期待があるのも実はそこにあるわけでありまして、だから振り込みの納税通知書を出して、本人の状況に応じて、ある一定の期間の中で納めていくというような方式を、私はもう少し納税する側にも立って考えるべきだと思うのですよ。  そういう点でいまお尋ねしたわけでありますが、ただ、いまから変えること自体がこういうふぐあいがあるということで、新しい仕事が増加するとかそういうこと等については、確かに現状よりは何らかの形における変わり方はしますけれども、そこはしかし頭をもう少し働かせれば、必ずしもすぐ人間がたくさん要るようになるとかなんとかということにはならぬのじゃないかと私は思いますし、まず納税する人たちの側に立った要望というものに、大蔵省というのは十分耳をかす謙虚な姿勢があっていいのじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  75. 新藤恒男

    ○新藤説明員 先ほども御説明申し上げましたけれども、納税者の立場で申しましても、車検を受ける際に印紙を貼付していただいて確認を受ければ納税手続が終わってしまうということで、その面での負担は、通常の申告納税制度とか賦課納税制度に比べますと大変軽いわけでございます。それから、分割ということになりますと、またそのたびに税務署の方に足を運んでいただくという問題もございまして、いまの制度の中で、十分納税義務者の便宜というものは考えられた仕組みであるというふうに考えております。
  76. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 納税するというと、すぐに税務署へ行かなければいかぬという考え方自体が、大体現実を知らないのじゃないですか。何も税務署に行かなくても納税の方法は幾らでもあるわけですから、すぐそういうふうに物事を結びつけるところに、やはり問題があるんじゃないかと思うわけです。  それから、いまの方法が、納税者は皆さん一番理解されてよくやっておられると言いますけれども、いまはそういうふうに義務づけられて、車検のときそういうふうになっているから、みんな仕方なしにと言えばちょっと語弊がありますが、やむを得ずそういうことになっておって、そのために車検のお金をローンで借りたり、いろいろやっておるわけですから、そこらあたりは間違わないように、もう少し物事というものを見ていただいて、ひとつ納税者の立場というものをもっと十分配慮するような方向で、こういった納税業務というものを見直していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、最後になりましたけれども、先ほどからも触れておりましたが、今回の法案の一番ポイントは、いろいろなとり方はありましょうけれども、やはりいまのこういう近代社会の中で、できる限り行政は簡素化していって、それぞれの国民の皆様方の自主的な努力の中でやっていこうというのが時代の流れですから、そういう点で新しく、せっかくある程度ユーザーの期待にもこたえるような一部車検制度改正でありますが、残念ながら、こういった罰則規定を導入することによって、結果的には、そういったユーザーの期待も裏切るし、行政が過剰に介入してくるような印象を受けているわけでありますので、そういう点では、ひとつこの過料の十万円の罰則の規定だけはぜひ修正して、法というものを運用していただかないことには、実際の運用の中におきましても先ほどお尋ねいたしましたようないろいろな問題点がございますので、その点十分考慮していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  77. 越智伊平

  78. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 車社会と言われている中で、経済社会活動や国民生活全般にわたって車が非常に大きな影響を持っております。それだけに車が走る凶器となり、また公害をまき散らす凶器というふうな厳しい批判も受けておりますので、国民の安全、生命と健康を守るという観点あるいは公害を防止するという観点から、車検の持つ役割りについて、国が実施する車検目的とは一体何なのか。私は、今回の法改正に当たりまして、まず車検というものの原点に立ち返って、原点である車検制度が本当にいまの国民の要望にこたえるようなものになっているのかどうか、まず、その辺から政府のお考えをただしたい、このように思います。車検目的とは一体何でしょうか、お答え願いたいと思います。
  79. 飯島篤

    ○飯島政府委員 自動車というものは、本来は使用者において、その安全性の確保、公害防止を図るべきものでございます。しかしながら自動車は、その使用が国民の身体、生命の安全、社会活動の基礎となる交通の流れ、沿道住民等の健康及び生活環境と密接な関係を有するものであるという点にかんがみまして、まず国で保安上の技術基準を設定いたしまして、これに適合しない自動車を運行の用に供してはならないということにいたしておるわけでございます。そして自動車の使用者につきましては、この基準に適合させるため所要の点検、整備義務を課し、安全性の確保及び公害防止を図っているところでございます。一方、国におきましては、このような使用者の基本的な義務を前提といたしまして、それを一定期間ごとに、義務が履行されているかどうかということを検査を実施して確認をするということにいたしておるわけでございます。
  80. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いま答えもいただきましたし、また、この法律目的のところにも、車の「安全性の確保及び整備についての技術の向上を図り」というふうにはっきりと述べているわけですけれども、先ほど局長の御答弁の中にも、国が決める保安基準という言葉が出てまいりました。この保安基準に適合しなければ、この車は道路を走ってはならない、こういうふうになっているわけですから、道路を運行してもよい車というのは、車検で国の決めた保安基準に合致した車、すなわち道路運送車両法第一条の目的にある安全を確保し、今度の新しい法案で出てまいりますけれども、公害を防止するという上からも、自動車として機能する上にどうしても適合しなければならない国で決めた基準、これが保安基準、こういうふうに解釈をしてよろしいのですか。どうですか、局長。
  81. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたように、保安基準の目的につきましては、自動車道路上を運行する要件として満たさねばならない技術上の安全の基準でございまして、従来まで安全の確保ということが表へ出ておりましたけれども、御承知のように現在の時代では、公害の防止を図るためという目的もつけ加わっておるわけでございまして、したがいまして、この一番基本になります安全基準、保安基準に適合しなければ運行してはならないし、また、適合させるように維持するということが法律の中でうたわれておるわけでございます。
  82. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、国が実施される車検では、その保安基準に合致しているか、あるいは合致していないか、これを判断するに足りる検査が現実に行われているのかどうか、こういう点でお聞きをしたいと思いますが、車検時、すなわち二十四カ月点検での点検項目は現在何項目ありますか。
  83. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま先生の御質問にございました車検時の項目という中で、二十四カ月点検というお言葉があったかと思いますが、二十四カ月点検は、これは定期点検の中の一つの種類でございまして、二十四カ月点検は現在の基準では百十九項目ございます。そのほかに国の行います検査は、やはり同じように規則で検査の基準を定めておりまして、その規則の中の別表にあるわけでございますが、その項目に従って検査をする、こういうことになっております。
  84. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは、その百十九項目全部チェックができておりますでしょうか。
  85. 宇野則義

    ○宇野政府委員 先生いま御指摘の百十九項目というのは、繰り返しになりますが、定期点検の項目でございまして、これは整備工場の方で実施する場合の点検項目でございます。運輸省、国が陸運事務所検査場で行います検査、これは百十九項目ではございませんで、約九十項目だったかと思いますけれども、そういう項目でございます。
  86. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 では重ねて、その九十項目全部点検できておりますか。
  87. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま約九十項目と申し上げましたが、車によって、車種によって若干装置等の違いがございますけれども、これらの項目、先ほど申し上げましたが、規則で定められております項目につきまして、陸運事務所車検場で、一つはテストハンマー等を用いて行う外観からの検査、それからブレーキテスターとかヘッドライトテスターといった検査用機器を用いて行う機能を中心とした検査を実施しておるわけでございますが、最近になりまして、効率的にこの検査を行うために自動方式の検査機器等の導入を図って、その効率化に努めておるところでございます。
  88. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 局長、基準を決めているその項目を、何項目か車種によって違うとおっしゃいましたけれども、それじゃ決めている基準を全部チェックできているのかどうかというふうに私がお尋ねをしているにもかかわらず、そういうふうなことについてはきっちりとお答えがございませんでした。  私は、この法案を審査するに当たりまして、二、三カ所の陸運事務所に参りまして車検場を調査してまいりました。果たして点検項目がちゃんと点検できているのかどうかということで調査してまいりました。省令で自動車点検基準というのを決めていますけれども、それに従いまして本当にできているのかどうかというのを私は一遍見せていただいたわけです。  この点検、整備項目は、かじ取り装置とか制動装置とか走行装置あるいは緩衝装置、動力伝達装置、電気装置などいろいろな項目があります。たとえばハンドルでは、遊び、緩み及びがた、操作ぐあいを点検することになっているわけです。しかし、こういうものは車検場で検査官が車に乗り込まなければできない検査ですけれども、これはやられておりません。ブレーキペダルの遊び及び踏み込んだときの床板とのすき間、こういうものもやられておりません。ブレーキの効きぐあい、こういうものも現実にはやられていないわけです。あるいは制動装置の中でも、ブレーキレバーのラチェット部の摩耗及び損傷、あるいは同じく制動装置のブレーキドラム及びブレーキシューのところ、こういう部分につきましては分解をしなければ見られない。このような項目も入っておりますけれども、そういうものはすべて点検ができていません。また、後写鏡の写影の状態とか、車枠及び車体のドアロックの機能、緩み及び損傷、こういうようなものも検査官が中に乗り込まなければ、そこまで見られないわけです。こういうふうに見てみますと、私が二、三カ所の車検場で見てまいりましたところでは、約六割ぐらいしかチェックができていないというのが現状なんです。また、現実に車検をやっている車検場の労働者の皆さん方も、現在の状況では六割ぐらいしかチェックができていないというふうに言っております。  局長、陸事の車検場で、一体一台の車に何分ぐらいの時間をかけて検査しているか御存じですか。
  89. 宇野則義

    ○宇野政府委員 先生御指摘のいまの検査項目につきまして、再度御説明を申し上げます。  いま先生ごらんになっておられます資料は、定期点検の項目ではなかろうかと思います。先ほどから私が答弁しております検査の内容と申しますのは、道路運送車両法施行規則の別表第二というところに、その検査やり方が載っておるわけでございまして、先ほどもちょっと御説明申し上げましたけれども、先生御承知のように陸運事務所検査では、車の装置を取り外して中を調べるということは従来からやっておりませんし、現在もやるつもりはございません。したがいまして、先ほど申し上げましたように外観検査か、もしくはテスターを使った機能検査かをやっておるわけでございます。その点をちょっと申し上げておきたいわけでございます。  さらに、いまの検査の所要時分につきましてお答え申し上げたいと思います。  検査の所要時分につきましては、陸運事務所のその日その日と申しますか、シーズンと申しますか、検査のその日によって入ってくる台数の違うケースがございます。それによっても多少違いますけれども、検査コースの中で、入口から出口まで検査機械をシリーズに並べて順番に検査をいたしております。まず最初に、検査のコースと言っておりますが、建屋の中に入る前から検査の一部が実施されまして、ボンネットをあけて車のエンジンの状態を見る、あるいは車台番号を確認する、あるいは周りの灯火関係の破損状況等を目視でチェックをするということから始まりまして、建屋の中の機械を順番に通ってまいります。そういうシリーズにずっとつながっております関係で、車が流れ作業で出てくるピッチは非常に短うございますが、一台の車が建屋の入口の前から検査が始まった時点から出るまでを、およそのところで申し上げますと、十数分かかっているというふうに考えております。
  90. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それは局長、十数分かかっているなんて言ったら、みんな笑いますよ。いま日本車検は五分車検と言って、有名なんですよ。  私は、実際に何カ所かの車検場で、本当に一台何分ぐらいで車検が行われるかというのを、まさかストップウォッチは持っておりませんけれども、自分の時計ではかってきたわけです。非常に簡単といいますか、早いといいますか、いわば家庭電気製品をつくっている工場、ああいうふうなベルトコンベヤーに乗せて、車検場の車検官のぎりぎりのところで車を見させている、こういう感じ車検が行われているわけなんです。  先ほど点検項目をおっしゃいましたけれども、やはりお答えありませんでしたね、何割をやっているかというのは。六割ぐらいしか点検ができていないのだというのは、現実に車検場で働いている労働者の方々がみずから、こういう車検では困るのだということをたくさんの人が証言をしている。そういう中で、いわば簡略車検といいますか、手抜き車検が国の車検場で行われているということなんです。  そうしますと、最初に確認をしましたように、運輸省令で決めた保安基準に合致した車でなければ道路上の運行の用に供してはならない、こういうふうに国の法律で決めておきながら、国がやっている車検そのものがきわめて手抜きであり、簡略であり、六割ぐらいしかチェックをしていない。こういうふうなことで、幾ら国が法の上で安全の確保だとか、あるいは公害を規制するなどと言ったところで、それはまさに絵にかいたもちに等しい。こういうふうなところ辺に車検の大きな問題点があるのではないかと私は指摘をしておきたいと思います。  次に、高速道路が非常に発達をしました。車の高速道路の走行に係る安全性の追求は一段と重要になってきているわけですが、高速走行時の安全性のチェックが、現行保安基準の対象とはされておりませんね。これは、交通安全基本法に基づく昭和五十六年三月三十一日の交通安全基本計画の「4 車両の安全性の確保」のアという項目の中に「運輸技術審議会より答申された第二次自動車安全基準強化目標に基づき、高速化対策」等に重点を置いて道路運送車両の保安基準を改正し、安全基準を拡充強化する、こういうことが述べられています。ところで、高速化対策等に重点を置いた保安基準と、それに伴う検査項目の見直しを現在行っているのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  91. 宇野則義

    ○宇野政府委員 二点についてお答えいたします。  一つは、保安基準の内容にそういう高速化対策を織り込む作業をしているかどうか、こういう御指摘だと思います。  その点につきましては、御承知のように同じく運輸審議会でございますが、五十五年の十月に安全の長期計画につきましての答申をいただいております。その中に、最近の車の使われ方の変化に対応できるように、大きな柱が三つございます。一つは高速化対策、一つは火災防止対策、それから一つはトラックの安全対策、こういう大きな三つの柱のもとに安全の長期計画が出されております。その中の高速化対策につきましては、前照灯の性能向上だとかタイヤの品質基準等々につきまして指摘を受けておるわけでございますが、この安全基準の拡充強化につきましては、現在作業を進めておる段階でございます。  それから次に、検査の方の問題でございますけれども、高速走行に対応した検査項目の見直しということにつきましては、いま申し上げました安全の基準との関連もあるわけでございますけれども、今回の運輸技術審議会の答申の中でも、検査項目の見直しというのが行われておるわけでございます。一つは、特に高速で関係いたしますのは、ブレーキテスターによる検査あるいはスピードメーターテスターによるスピードメーターのテスト、こういうものが検討の対象になっておるわけでございますけれども、ブレーキテスターにつきましては、運輸技術審議会の答申の結論といたしましては、現在新車の段階でそういう高速性能というものを十分チェックをしておけば、使用過程車については現在のブレーキテスターで検査を行うことによってほぼ目的は達せられておるので、特に新しいシステムを導入する必要はないというふうに言っております。  それから、スピードメーターテスターにつきましては、幾つかのチェックをしておるわけでございますけれども、現在毎時四十キロメートルの一点チェックで実施をしておるわけでございますけれども、スピードメーターの性能等から見ますと、この現在のチェックで十分ではないか。検査の際に、検査場の周囲等の環境だとかあるいは騒音、排ガス等の環境問題を考慮すると、現在のスピードメーターの四十キロのチェックでいいのではないか、こういうふうになっております。ただ、これから考える必要があるという指摘を受けております中に、やはり高速で走りますといろんな車の振動等が出てまいりますので、そういうための車の性能維持をどういうふうに考えるべきか検討したらどうか、こういうことは指摘を受けておりますので、私どもはそれに従って検討を進めたいと思っております。
  92. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、いまの御答弁の中で、高速で走っていると車の振動等でいろいろと影響が出てくるかもわからないので、それの対策をということは、具体的に、走行する車の安全性の限界に非常に大きな影響を及ぼしているいわゆるショックアブソーバー、この辺のところにテスターを導入するというふうなことを検討しておられるのでしょうか。現在ヨーロッパのいろんな国でショックアブソーバーテスターの導入を検討し、あるいはまた、もうすでに導入をしている国もあるように私は聞いているわけですけれども、その辺の御検討をしていらっしゃる、こういうふうに解釈をしてよろしいのでしょうか。また別のことを考えていらっしゃるのですか、いかがですか。
  93. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま先生から御指摘がありました自動車のショックアブソーバーの性能等につきまして、やはり高速性能に関係が出てまいります。そういう関係で、この運輸技術審議会の答申の中にも触れられておるわけでございますけれども、下回り検査の充実強化を図るということのために、先生いま御指摘の車両振動装置といったようなものの導入を実は検討を始めております。  御承知のように、ヨーロッパの幾つかの国におきまして、そういう装置を使って車のチェックをしているところもございます。したがいまして、諸外国で使用しているそのような機器に関する資料の収集だとか、あるいはスペック、仕様をどういうふうにしたらいいかという検討を行っておるわけでございまして、早い時期にその仕様を定めて、その上で、その仕様に従った機器の開発というものを待ちまして、導入する方向で検討してまいりたいというふうに考えております。
  94. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 確かに高速道路で走行する場合は、車検場でテストをしているときと違う状況が起こってくると思いますので、高速道路での事故というのは非常な大事故につながります。いまいろいろと御検討していただいているようですけれども、ぜひとも積極的に高速化対策を御検討し、また、早く実施をしていただくように、強く要望しておきたいと思います。  次に、車の部分品の問題について、視点を変えて質問をしてみたいと思うのですけれども、一台の車に部品が一万からあるというふうにも言われております。それだけに車の部分品がいわゆる新しい部品、改良したといいますかあるいは改善したといいますか、そういうふうな部品が市場に相当出回っているようでございますけれども、それらの商品が果たして国の決めている保安基準に、車につけた場合に適合するのかどうか。危険ではないのか。耐久性度はどうなのか。こういうふうな問題につきまして、国の車検場で働いている検査官の人たちも、新しい部品の出回りが余りにも多いために、これが果たしてこの車にいいのか、安全の点からいいのかというふうなことがわからない、こういうふうな苦情もたくさん聞いております。とりわけ交換部品の場合など、製造年月日がわからないというふうなこともあって非常に困る。検査官みずからがスーパーだとかパーツ屋さんを回って歩いて、いまどんな部品が出回っているのか調査をし勉強しているけれども、しかし商品に対する情報がほとんど皆無のために、その辺で非常に判断に困ることがある、こういうふうな訴えを聞いているわけですけれども、そうした部品の情報、こういうものに対しまして、運輸省としては、安全性の面、保安基準の面から、ぜひとも部品情報ということでメーカーに働きかけ、関係する機関にそういうものを積極的に流していただくような手だてを講じていただきたい、こう思うのですが、そういうことに対して何か現在考えを持っていらっしゃるのか、また現行どういうふうにしていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  95. 宇野則義

    ○宇野政府委員 先生御承知のように、自動車の構成部品というのは数万点から成っておりますが、ただいま御指摘の部品は、後からいろんな形でつけ加える、あるいは取りかえる、こういった部品のことを御指摘なさっておられることと理解をいたしておるわけでございますが、自動車の部品、装置につきましては、保安基準で技術的な基準を決めておるわけでございますが、同じ部品あるいは同じ用品であっても、それをどういう車に使うかということによって、車全体の安全性あるいは耐久性、公害防止の性能等が変化をしてまいります。したがいまして、個々の部品、用品について、直接基準を決めるということは非常にむずかしい点があろうかと思います。したがって、私どもといたしましては、その部品あるいは用品が自動車に装着された場合の安全性あるいは信頼性等についての検査を的確に行う必要があるというふうに考えております。このために現在、重要な保安部品につきましては型式認定の制度を設けて、その運用によりまして一層安全性の増したもの、あるいは品質的に均一性のあるもの等をつくらせて、検査の的確な実施と、もう一つは消費者の利便を図っているところでございます。  今後とも、この制度を活用してまいるつもりでございますが、先生いま御指摘のように、陸運事務所車検場におきます検査官の問題につきましては、そういうことが出てくるケースがあります。したがいまして、新しいケースの場合には私どもも情報を仕入れまして、それをどういうふうに判断し、どういうふうに処理するかをまた回答すると同時に、全国的に、いろいろなそういう問題が出てくる可能性のあるものについては、全国に情報を流すなり何なりということで、検査時に検査官が的確な判断ができるように、必要に応じて通達等を出して徹底をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  96. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 ぜひ、そのような手だてをとっていただきますようにお願いしたいと思います。  いま検査官の話が出てきましたので、次に検査官の問題についてお聞きをしたいと思います。  車検場のコースの最終にピットというのがありますので、そこに入って、検査官が実際に下回りの検査をどのようにしておられるのか、私は見せていただきました。これも時間をはかってみますと、わずか四十五秒から五十五秒ぐらいの間で、これはちょっと個人差がありますけれども、本当に素早くハンマーでかじ取り装置あるいは緩衝装置、制動装置、動力伝達装置等をたたかれるわけですね。そして亀裂が入っていないか、ガタがいっていないか、それからオイル等のにおいもかぐというふうなことで、ここで私が感心をして聞きましたのは、まさにここの検査官は五感を働かせてやっている、こういうふうにおっしゃっていました。味を見るということはないとおっしゃっていましたけれども、とにかく人間の持っている感覚全部使ってやっている、六感まで働かしています、こういうふうなお話でしたが、私は、これは相当疲労してくると五感、六感だけではなくてヤマカンまで働くのじゃないだろうかというふうに心配をするほどの作業のやりぶりだったわけです。  それで私は、この検査官の養成とか研修は一体どうなっているのか、これは非常に気になったわけです。といいますのは、こういうふうなハンマーでたたいて五感を働かせてやる検査というものは一体どこで身につけてくるのか、これがまず気になったわけです。それで聞いてみますと、大体五時前に検査に来る車が全部帰ってしまった後で、いわゆる熟練した先輩の方々が新しく入ってこられた方に、職員の車を使って実地に教えている。徒弟制度みたいなものですというふうにおっしゃっていました。こういうお話があったわけですけれども、私は先ほどから言いますように、安全だとか公害の規制ということが非常に重要になってまいりますと、国の行う車検で、それにタッチする検査官の持っている能力、こういうものは非常に重要になってくるわけです。  CITAでも、この検査官の問題については、「その効率は大部分検査従事者の熟練度と一貫したかつ連続的な教育によるものである」こういうふうに言っております。それでは、わが国の現行の検査官の研修の実態というものは一体どうなっているのでしょうか。私が聞いたところによりますと、研修に行ったとおっしゃる方もあります。研修など一遍も行ったことがないとおっしゃる検査官もいらっしゃるわけです。その辺は一体どうなっていますか。現状についてお答え願いたいと思います。
  97. 飯島篤

    ○飯島政府委員 自動車検査官に対する研修につきましては、自動車の技術が向上いたしますと構造、装置が複雑になります。使用形態の変化によって、また車種の多様化がもたらされている。特に最近の安全、公害関係の規制の強化に伴って、新しい装置がいろいろ出てまいっております。したがいまして、検査官の研修は非常に大事なことであるというふうに、当然のことながら私どもも認識をいたしておるわけでありまして、また、受検に来られる方等に対しましても、検査結果等について適切な、また理論的な説明が必要とされるわけであります。これはユーザーサービスの観点からも必要と考えられます。  現在、新規の採用者、それから初級の検査官、上級の検査官に大別いたしまして研修を実施いたしておりますが、新規の採用の検査要員につきましては、法令、車両構造の基礎的なものを中心に実施いたしております。安全、公害にかかわる基本的な構造、装置につきましては実習訓練に重点を置いております。次に、初級検査官に対する研修でございますが、自動車の新しい機構、新しい装置を中心とした構造に関するものと、行政官としての心構えを重点に置いた研修を実施いたしております。上級の検査官に対する研修は、職場の責任者としての職務を全うする上で必要な事項を中心に研修を実施いたしております。これらの研修は、本省及び陸運局で、一定の期間をかけまして実施しているものでございます。  このほか、先ほど先生御指摘のように、現場におきましても、それぞれの陸運事務所の体制に合致した研修を実施いたしておるところでございます。今後とも、この問題についてはさらに充実を図ってまいりたいと考えております。
  98. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 いまおっしゃっていただきましたけれども、「一定の期間」だけではわかりませんね。新規採用者は一体どこで何日間ぐらいやっているのか。初級検査官はどこで何日間やっているのか。上級検査官はどこで何日間やっているのか。それをお答え願いたいと思います。
  99. 宇野則義

    ○宇野政府委員 五十六年度の実績についてお答え申し上げます。  本省で実施しております陸運事務所の新規採用者の研修は、五十六年度実績といたしましては二週間実施をいたしております。それからそのほかに初級検査官、これは陸運事務所検査官として新任をされた者を全員対象といたしまして、これは三日間ほどでございます。それから上級検査官、これは管理職になった者を対象に、これも全員でございますが、三日間実施いたしております。以上が本省の実績でございます。  そのほかに陸運局でやはりそれぞれの陸運局で若干日数等が違いますけれども、いま申し上げましたような大体のランク分けで、それぞれの実情に応じた形で研修を実施しておる実情でございます。
  100. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 五十六年度実績で新規採用者が研修を受けられましたところは、千葉中央技術開発センターというふうになっておりますね、そうじゃないですか。これは一体どこの機関なんですか。国の、いわゆる運輸省の技術センターなんですか、どうですか。
  101. 宇野則義

    ○宇野政府委員 国の機関ではございません。
  102. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 どこのですかと聞いたら、国ではなしにどこそこの、と言ってほしいのですけれどもね。
  103. 宇野則義

    ○宇野政府委員 たしか五十六年度は千葉県自動車技術専門学校というところで実施をいたしております。
  104. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 そういたしますと、国が責任を持って特定のセンターをつくって、そこでこうした検査官を集めて研修をするようなセンターは、いまはあるのですか、ないのですか。
  105. 宇野則義

    ○宇野政府委員 現在は、国の研修センターという検査専門のセンターは持っておりません。
  106. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 これはおつくりになる予定があるかのように聞いておりますけれども、現在検討しておられるのか、いかがですか。
  107. 飯島篤

    ○飯島政府委員 この問題につきましては、実は二年間にわたりまして、国の研修センターが欲しいということで予算要求をいたしたわけでございますが、残念ながら財政当局の認めるところとならなかったわけでございます。  ただ、先ほどから国の検査官の研修のお話をいただいておるわけでありますが、御案内のように車検につきましては、指定整備制度で民間車検、これが相当なウエートを占めておるわけでございまして、あわせて指定整備工場の自動車検査員の研修体制も確立する必要があるのではないかということで、両方を含めまして今後こういう研修がどうあるべきかということにつきまして、今年度若干の調査費といいますか、研究費といいますか、そういうものを認めていただいておりますので、今後のあるべき姿について、そこでいろいろ検討いたしたいというふうに考えております。
  108. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 それでは新規採用者が研修を受けられて、そうして初級検査官に任官されるまでというのは、早い方で大体七年か八年、十年くらいかかってやっと初級検査官におなりになるというふうに聞いているのです。そういたしますと、新規採用をされましてから、ここでは二週間、これもぜひもっと長くしてほしいということを後で御要望したいと思うのですけれども、ここで新規採用の研修をお受けになってから、短くて七年か八年、長ければ十年くらいたってからやっと研修をなさる。さっき、日進月歩のとおっしゃいましたが、車の性能もどんどん変わってくる。そういうふうな中で七年も八年も何にも研修しないで、初級検査官になってからたった三日間やるというふうな、こんな研修のあり方でいいものでしょうか。これはやはり連続して——初級検査官におなりにならなくても、いわゆる検査要員の間でもほとんど検査官と変わりのない仕事をしているのが現状でしょう。そういうふうな中で十年間近く研修もさせないでほってある。もちろんそれは陸運事務所でやらしておりますと言えばそれまでですけれども、国が責任を持ってできないというふうな状況は一体どういうことなんでしょうか。この辺は改善をされる見込みはありませんか。  それから、新規採用者の二週間というのは余りにも短いと思うのです。これは現場の皆さん方が、二週間というのは短過ぎる、もっと長くしてほしいというふうな御要望がたくさん出ております。この点についていかがですか。
  109. 宇野則義

    ○宇野政府委員 私どもの国の検査の担当者の研修につきましては、先生の御指摘を待つまでもなく、私ども自身も何とか充実してまいりたいというふうに、これまで努力をしてきたつもりでございます。  新規採用者のお話が出ましたけれども、新規採用者について過去の経緯を申し上げますならば、五十一年までは実は五日間の研修しか実施をしておりませんでした。それを五十二年から十二日間ということで一応研修期間を長くしまして、内容的にも充実してまいったわけでございまして、私どももこれですべていいんだというふうには考えておりません。ただ、私どもの方の予算等の関係もございますし、また陸運事務所の仕事の関係もございます、そういうものを勘案しながら今後私どもも努力してまいりたいと思いますし、本省で研修をする部分と陸運局で研修をする部分、あるいは陸運事務所の現地で研修をする部分と幾つかのやり方があろうかと思いますが、そういうものを組み合わせつつ、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  110. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 最後に、大臣に二点にわたって御質問をしたいと思います。  一つは、いまの検査官の養成の機関の問題ですけれども、ここ二年ばかり、国の養成機関がぜひ欲しいということで運輸省当局もいろいろと御努力をされたようですけれども、いまのいわゆる行政改革の中で予算の面が非常に厳しいということで、これが立ち消えになってきているというふうに聞いております。民間車検の問題が出まして、民間車検の中の検査に当たられる方の資格あるいは養成ということも、数がふえればふえるほどこれは非常に重要になってまいります。そういうふうな中で、新しく八王子に支所をつくって、そこに余分の土地があって、そこにセンターをつくってというふうな具体的な話まで行きながら、それがもう立ち消えになっていると私も聞いているわけです。場所はどこにしろ、ぜひともこういうふうな重要な段階で、確かに行政改革でお金のむだ遣いはいけませんけれども、必要なところには金をかける、これが車の安全、公害規制につながる非常に重要なポイントであるという観点から、この点は見直しをしようというお話が先ほど局長の方からございましたけれども、ぜひとも大臣から、積極的にこの方面を進めていただくようにお願いをしたいのですが、大臣のお考えをお伺いしたいのがまず一点でございます。  それから、車検が現在どのように行われているのかという問題点で、たとえば検査官の研修も非常に不足をしている。あるいは検査官の人員配置も、先ほど行政改革等の問題で定員を余りふやせない。こういうふうな中で、日本車検は五分間車検、せっかく保安基準というものを決めておきながら、それに適合した検査が果たしてちゃんと行われているのかどうか、まさに疑わしい状況にあるというふうに言わざるを得ないと思うのです。先ほどから大臣も、同僚議員の御質問に対して何度も御答弁になっておりますけれども、車の使用者が点検、整備を行うということはみずからの命を守ることであり、また周囲の方々の安全あるいは公害規制を守るという上では責任があるのはこれは当然だ。自主的にやっていくのはこれは当然だ、こういうふうに私、思うわけですけれども、しかし、一方、こういうふうに法律車検のあり方を決めている以上、あるいは保安基準に適合しない車は走ってはならないということまで決めている以上、国の責任というのは非常に大きいというふうに私は思うわけです。一方は使用者に責任を押しつけて、今度のように口では自主性、自主性と言いながら、またいろいろな段階は設けているとは言いながら、過料制度を押しつけてくる。そして、一方では国の責任の方があるようなないような、そういうふうなことではこの法律というのは非常に矛盾に満ちていると思うのです。  前回、わが党の辻議員が質問をいたしましたけれども、昭和四十七年の国会で、この問題について国が幾つか答弁をしておられます。その中でも、あくまでも車の使用者の自己責任というのを非常に強く押し出しておられる。それを押し出しておきながら片一方で過料制度を今度設けてくる、きわめて矛盾に満ちています。私は、こういうふうな考え方は法のたてまえからいってもどうしてもおかしい、納得ができません。何度も大臣には御答弁をいただいておりますけれども、ぜひとも国もちゃんと責任を持つ。車に乗られる使用者の方も、みずからの命を守るという観点で点検、整備について自主的に責任を持つ。そういうふうなたてまえからまいりますと、過料の押しつけというのは本当に納得ができません。これはぜひとも撤回をしていただきたい、こう思うわけでございますが、この二点にわたりまして大臣の御答弁をお聞きしたいと思います。
  111. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 最初の御意見でございますが、検査官の制度のもっと深度化を図る。そのための教育訓練あるいはまたそうした教育をする場、そうしたものについて十分配慮しなければいけないのではないかという御意見に対しましては、私は全く賛成でございます。ただ、予算要求がなかなか認められなかったということが、今日までやや外部から見て不徹底であるということになったと思いますが、幸いにして五十七年度においては一応調査費が認められるようになりましたので、積極的に、こうした検査官の質の向上ということ、そして同時にまた、国としての検査事務の適正化ということに努力をしてまいりたいと思います。  それから、第二点の問題でございますが、先ほど来御答弁申し上げておることの繰り返しは省きまして、十分に委員の御意見を拝聴いたしておきます。
  112. 四ツ谷光子

    ○四ツ谷委員 はっきり答弁をしていただかなかったのは大変残念でございますけれども、私はこの際、国が法律を決めたのだから、決めた法律に従って国はきちんとした責任を持って、車の安全あるいは公害の規制、こういうふうなものに対して使用者にだけ責任を押しつけるというふうなやり方をぜひともやめていただきたいということを最後につけ加えまして、私の質問を終わらせていただきます。
  113. 越智伊平

    越智委員長 福岡義登君。
  114. 福岡義登

    ○福岡委員 私の質問は、いま審議中の道路運送車両法に直接は関係ないのでありますが、緊急を要する問題と判断をいたしまして、お許しをいただいて大臣に御所見をお伺いすると同時に、要請をしたいと思います。  御承知のように、きょう十三日の午前中、交通ストが予定されておったわけで、しかし幸いに関係労使の良識によりまして事なきを得たわけでありまして、関係労使の良識に敬意を表したいと思うのであります。同時にまた、そういう環境づくりに御努力をされました小坂運輸大臣並びに運輸省関係者の御労苦に対しましても敬意を表したいと思うのであります。  そこで、問題は、今次春闘の第二の山ともいうべき公労協関係に問題が移ってきておるわけであります。御承知のように、公労協の中には国鉄関係五労組の関係があるわけです。何とか円満に解決をしてもらいたいものだと思いますのは、ただ単に私ひとりではないと思うのであります。ところが、現状は、まだ当事者間の交渉におきまして交渉が進展をしない。しかもその原因は、政府がそれぞれの三公社五現業に対しまして有額回答すらも差しとめをしておる、こういうように報道されておるわけであります。事態の円満解決を図ろうとすれば、やはり経営者の方も誠意を示してもらわなければならない。組合の方も良識ある判断をしていかなければならぬということになると思うのでありますが、この時期に及んでなお有額回答も示されない。円満解決を図ろうといたしましても、その糸口がないわけでありまして、その点善処していただきたいと思うのでありますが、運輸大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  115. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 本日の私鉄並びに国鉄のストが中止になりまして、きわめて平穏な事態に復元いたしましたことは、ただいま委員から、われわれの苦労ということのおねぎらいの言葉をいただきましたが、大変にありがたいことでございますが、同時にまた私たちからも、委員を初め御関係の皆様方がこの問題の解決のために本当にいろいろな面で御努力をいただきましたことに対し、深く感謝を申し上げていることを、まず最初に申し上げたいと思います。  ただいま、今回の春闘の回答につきまして御意見を賜ったわけでございますが、本日の午後六時過ぎから給与関係閣僚会議を開きまして、その席上におきまして、いかに対応するかということについて関係閣僚間の意見調整が行われるわけでございます。われわれといたしましても十分現状の事態に立ちまして問題の円満な解決のために努力をいたしたい、そのように考えているところであります。
  116. 福岡義登

    ○福岡委員 そこのところをもうちょっと突っ込んでお伺いしたいのでありますが、六時過ぎから関係閣僚会議が持たれる、対処の方向を決めるというお話でありますが、運輸大臣といたしまして、どういうお考えで具体的に事態解決の方策を考えておられるのか。  私の方から具体的にお尋ねをしたいと思うのですが、一つは、きょうの閣僚会議で有額回答が示される、こういう方向に行くのか、行かしていただきたいと思うのでありますが。  第二の点は、国鉄に対して格差回答をする、あるいは同額回答をする、いろいろ議論されておるのでありますが、いろいろ理由は申し上げませんけれども、同額回答が示されることが非常に大切である。これが第二であります。  時間がありませんから、ついでにもうちょっと先へ進みましてお伺いしたい第三の点でありますが、諸般の情勢を総合的に判断をしてみますと、当事者間ですべてを解決するということは非常に困難であるように思います。もちろん労使双方が団体交渉において問題の解決を図ることが望ましいのでありますけれども、諸般の情勢を総合的に判断をしてみますと、なかなかそう簡単にいく情勢でないように思います。そこで第三者機関である公労委の活用といいましょうか、公労委の御労苦に期待をしなければならぬ面が非常に大きいわけであります。したがって、第三の御質問かたがたお願いというのは、この公労委を十分活用していただくような方向に努力をしていただきたい。間違っても公労委の自主的な活動に政府の手によって何らかの圧力を加えたり、あるいは制約を加えるようなことのないようにお願いしたいのでありますが、時間の関係で、ずばり三点について具体的な御所見をお尋ねしたいと思います。
  117. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 委員も御承知のとおり、現在の国鉄の状態というものは、その経営内容もさることでございますが、同時に、職場規律の崩壊した現状はまことにゆゆしいことだと思うのであります。こうした崩壊した職場規律をもとに戻すということの、ある意味においてはきわめて重要な一つの転機が、今回の給与改定において迎えられているというふうに認識をいたしております。こうした現状の打開のためには、乏しい体験でございますけれども、いかに経営者だけががんばりましても、あるいはいかに労働組合だけががんばりましても、この両者の合意と腹を割った話し合いと協力体制がなければ、本来再建はできないものだというふうに私は思っておるものでございまして、先ほど委員の御提案の第三者調停ということは確かに一つの知恵であると思います。しかし、その前に労使双方において、この現状の改善ということと国民が国鉄に対していま要求している大きな改革ということについて、できるだけ腹を打ち割って話してもらいたい。私はそのことを最も期待をしておるのでございますが、何とぞ委員の方におかれましても、こういう御答弁を申し上げるのは失礼かもしれません、私は先ほど高木総裁にはその旨を申しました。どうか労働組合の側に対しましても、あなた方のサイドからもぜひ、こうしたことを十分にお話をいただけることが、今後の国鉄の再建には非常に大事な一つのきっかけになるのではないか、私はそのような期待を持っておりますことを、まず申し上げたいと思います。  それから、有額回答あるいは格差ない回答というようなものを努力せよというお話でございますが、私は一義的に、現在の職場規律の崩壊したものを直すということがきわめて重要であるという観点に立って、それならばどうしたらいいのかというようなことにつきまして十分考え、そしてまた閣僚会議においても、その点を主張いたしたいと思っておりまして、いまここで具体的に明快なお答えを申し上げることはできませんので、お許しをいただきたいと思っております。
  118. 福岡義登

    ○福岡委員 非常に慎重な中にも一つの方向づけを持たせた御回答であるように受け取ったのでありますが、きょうここでは、これ以上はお尋ねをしませんけれども、重ねて問題の解決のために最善の御努力をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  なお、大臣御指摘の、国鉄の労使が腹を割って話し合って再建に向かって真剣に取り組んでいくという点につきましては、及ばずながら私どもといたしましても、できるだけの努力をするということをお約束をしたいと思います。  以上で終わります。
  119. 越智伊平

    越智委員長 竹内猛君。
  120. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、道路運送車両法の一部を改正する法律案に関連をして、若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず第一の問題は、臨時行政調査会は、去る二月十日に行政改革に関する第二次答申を行いました。この中で、自動車の定期点検、整備及び検査について、国民負担の軽減の見地から三項目にわたる処置を講ずるように述べておりますが、この答申は、中曽根行政管理庁長官の言う行政事務の簡素化、国民負担の軽減に資するものであるかどうかという点について、これは行政管理庁の方からお答えをいただきたい。
  121. 八木俊道

    ○八木説明員 委員御指摘の今回の道路運送車両法でございますが、これにつきましては、おっしゃられましたとおり、行政改革の一環という側面ももちろんございます。と同時に、この問題はもともと五十五年の十二月に政府部内におきまして、行政事務の簡素化ということの一環から、専門技術的な検討によって取り組んでまいる、こういう方針が決められていたところでございまして、以後、運輸省当局におかれまして、運輸技術審議会に諮問されまして検討の結果、立案をされたものというふうに承知いたしている次第でございます。  この点につきましては、昨年十月及び本年一月の運輸技術審議会並びに本年二月の臨時行政調査会、この二つの機関の答申というものがあるわけでございますが、私どもといたしましては、この法案の範囲につきましては専門技術的な事項を多々含んでおりまして広範にわたっておりますが、臨時行政調査会の第二次答申の指摘の最大のポイントであります、新車初回六カ月点検の廃止並びに新車新規検査有効期間の二年から三年への延長、この答申の最大の問題点につきましては、この法案に盛り込まれているというふうに理解をいたしておりまして、臨調の第二次答申の趣旨には基本的に沿うものであると考えております。
  122. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いまお答えがありましたけれども、臨調の答申は去る一月二十八日の運輸技術審議会の答申を踏襲したものであり、今回の車検制度の見直しが行政改革の一環として行われている以上、臨調は自動車の定期点検、整備及び検査について、その検討を運輸技術審議会に任せないで、なぜ臨調主導で専門的、技術的見地から検討をしなかったか。そして、どうしてそこで結論を出さなかったか。なぜ任せたのか、この点について。
  123. 八木俊道

    ○八木説明員 申し上げましたとおり、五十五年十二月の政府の閣議決定は、専門的、技術的な見地からの検討を予定いたしておりまして、その過程で、そうした閣議決定を受けまして運輸技術審議会における御検討があったわけでございますが、一方、行政改革の一環として臨調における審議もまたあったわけでございまして、最終的には現下の自動車行政の要請、すなわち安全面、公害面といった行政需要並びにユーザーのサイドからの国民負担の軽減、こういった二つの点を踏まえまして、責任ある運輸省当局におかれまして立案をされた案であると承知いたしております。政府といたしましては、その御検討の結果を受けまして法案として閣議決定をいたした次第でございまして、二つの機関の御指摘の線に基本的には沿ったものではないかと考えております。
  124. 竹内猛

    竹内(猛)委員 元来、車検制度の見直しに反対をする運輸省の自動車局が事務局になって、運輸技術審議会のいろいろな制度の問題を取り扱って検討した。だから、そのことが問題なんです。当然、自動車局の主導によるところの結論というのはわかっているんでしょう。後で質問するが、矛盾をするような答えが出てしまっていると思うのですね。だから、おかしいでしょう。ちぐはぐですよ。どうしてそうなったか、よくわかりやすく説明してもらいたい。
  125. 八木俊道

    ○八木説明員 運輸省から御答弁申し上げるのが適当かもしれませんけれども、お尋ねでございますので再度申し上げますと、この問題の性質と申しますのは、ユーザーサイドのいわば国民負担の軽減という面と、自動車行政と申しますか、自動車に関する公害面あるいは安全面その他の専門技術的な行政上の要請と二つの側面を持っているかと考えております。そうした点を踏まえまして、政府部内におきまして二つの機関の意見を踏まえまして責任ある運輸省当局で立案された一つの御判断でありまして、これを政府として閣議決定をいたしておるわけでございますけれども、こうした二つの若干趣旨の違う要請をどう調整して一つ法律案にまとめるかということにつきましては、所管の運輸省当局におかれまして大変な御苦労のあったところではないかと思っておりまして、今回の法案は、国民負担の軽減といったサイドから見ても、これは相当な前進であると考えております。
  126. 竹内猛

    竹内(猛)委員 運輸技術審議会の答申は専門的、技術的見地からなされたということだけれども、五十六年七月の臨調第一次答申のころには、すでに車検期間を三年にすることは臨調の大勢だと言われており、新聞にもそんなことがしばしば発表されていた。運輸技術審議会はそのために結局つじつまを合わしただけの話だ、こういうことなんですね。それはどうですか。
  127. 飯島篤

    ○飯島政府委員 臨時行政調査会、またその中の部会あるいは分科会等において、車検期間をすべて三年という話は一度も聞いたことがございません。私どもとしては、いま行政管理庁から説明があった経緯を経まして、運輸技術審議会で専門的、技術的な観点から審議をしていただき、結論をいただいたものでございます。
  128. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ちょっと通産省にお伺いしますが、日本の車は外国にも出しているでしょう。何で二年や三年でそんなに検査をしなければならないのか。外国の車検制度からいえば、そうしなくてもいいようになっている。それは国が違えば違うということだけれども、りっぱな車をつくって、国内でも使っているし外国にも出しているはずだ。車の質という問題についてはどうですか。
  129. 西中真二郎

    ○西中説明員 ただいま先生から御指摘ございましたように、日本の車は外国にもたくさん輸出されておりまして、現在総生産の五四%程度に当たります約六百万台が輸出されておるわけでございます。そういう観点から申しますと、日本自動車は品質、性能等、あるいは価格も含めまして国際的に高く評価されているということは言えようかと思います。
  130. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういういい車を、今度は国内では、ずいぶん危険だというふうな扱いをして、過料なども取るということはよくないでしょう。つまり、自分の車は危ないものには乗らないですね。自分の車は自分で始末をするし、自分の命は自分が大事にする、こういうことでいかなくちゃならないのに、あえて過料を取ることを出したというのはおかしい、そう思いませんか。
  131. 飯島篤

    ○飯島政府委員 日本自動車の性能は非常によくなった。特に五十三年の排ガス規制を満たす車については、その時点から格段に技術が進歩したと言われているのは事実でございます。しかしながら、先般の参考人で、メーカーも言っておりましたが、やはり車は使用が進み、あるいは経年で劣化をするものでございまして、安全の確保あるいは公害防止の観点から、また自動車の機能を十分に維持するという観点からも、定期点検の重要性は運輸技術審議会で指摘しているとおりでございます。  それで、定期点検、整備の重要性にかんがみまして、今回の制度改正に際しまして、運輸技術審議会の答申において強く指摘されているところを受けまして、また一方で、定期点検、整備ユーザーの自己責任に基づくものであるという基本をできる限り尊重し、本法案においてもユーザー参加の思想をいろいろ取り入れておるわけでございますが、定期点検義務違反そのものについては、直接罰則を設けるというようなことはしておらないのでございます。ただ、私ども陸運事務所の職員が街頭検査に出ました場合に、点検の実施に係る行政指導を実効あらしめるための最低限必要な制度として、点検の指示並びに報告義務というものを設けたところでございます。当然のことながら秩序罰たる過料というものは、指示した点検を実施し報告をしていただければ科されるわけではございません。通常の場合、ユーザーの御協力が得られるものと考えられており、きわめて少ないケースについて過料という問題が起きると考えられますが、あくまでもこの制度は、自主的な定期点検の実施の確保を図るのがねらいでございまして、運用に当たりましても、特にマイカーにつきましてはこの点に十分留意してまいりたいと考えております。
  132. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いろいろ御説明があったわけですけれども、運輸技術審議会においても一年の歳月をかけて検討し、答申になったわけですが、この間に車検制度の見直しについては、それぞれの利害関係を持つ各界の代表によって構成をされておるわけだから、意見の対立があったと思うのですね。その意見の対立というもの、賛否両論あったものをどうしてまとめられたか。多数決によったのか、それとも最大公約数によったのか、その辺はどうですか。いまは少し先の方の話が出たけれども、もう少しさかのぼって、委員会の内容についてちょっとお伺いしたい。
  133. 飯島篤

    ○飯島政府委員 運輸技術審議会の審議に当たりましては、問題の性質にかんがみまして自由に御討議をいただくということで、だれがいつ何を言ったかということは御披露しないというお約束で御討議を願った次第でございますが、そうはいいましても、この自動車部会のメンバーをごらんいただければわかるように、いろいろな立場の人に参加をしていただきました。したがいまして、いろいろな角度から討議、検討が行われ、確かに中間におきましては相当の激論が行われたのでございますが、最終的には答申の内容は全会一致でまとまったものでございます。     〔委員長退席、三枝委員長代理着席〕
  134. 竹内猛

    竹内(猛)委員 全会一致といいますけれども、運輸技術審議会におけるところの審議の経過の中からは、それぞれ委員が言いたいことを述べた、これは当然ですね。ところが、一たん技術審議会で一本にまとまった答申をした以上、たとえその内容に若干の不満があったとしても、各地で反対の運動をしたり、まして政党や政府に働きかけをして答申の内容の手直しを図るようなことは、政府関係審議会のメンバーのあり方としては好ましくないと思うのですね。その点について運輸大臣、どうですか。
  135. 飯島篤

    ○飯島政府委員 まず、経緯を御説明いたします。  御指摘の特別委員は、恐らく日整連の専務理事で運技審で議論をした一員であるのに、それを離れていろいろなことを言っているということなのかもしれませんが、この方は実は自動車部会の学識経験者として前から入っていただいておりまして、この運技審議会で特別委員になっていただく事情は、そういう学識経験者として討議に参加していただいたので、確かにその立場を離れまして、一つの団体のポストについている御身分として、それぞれの組織の立場でいろいろ行動される点はあるかもしれませんが、それはそれとして、やむを得ないのではないかというように考えます。
  136. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま委員が仰せられましたようなことは全くないと私は信じております。
  137. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それじゃ運輸省は、今回の運輸技術審議会あるいは臨時行政調査会の答申に沿って道路運送車両法改正案を提出したが、臨時行政調査会並びに運輸技術審議会の検査整備制度のあり方の検討に当たっての基本的姿勢は、国民負担の軽減と、自動車の保守管理責任の主体はユーザーであるということであった。この改正案はその答申の趣旨を反映していると思うかどうか。その点について聞きたい。
  138. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先ほどもその点については御答弁申し上げたとおりでありまして、今回の運輸技術審議会におきましては、ユーザーの定期点検、整備についての認識の高揚なり、理解を深めていただくことなりが非常に必要であるということで、たとえば手引きの作成、あるいは六カ月点検について項目の大幅な簡素化を図り、技術的な知識を有するユーザーの方であれば、みずからでも実施し得るものにする、あるいは関係者がユーザーに対していろいろな情報を提供するというようなこと等を通じまして、ユーザーの自主性、自発的な意識の高揚というものを促進する方向づけをいたしており、また、この法案におきましてもその精神を取り入れておるわけでございます。  しかしながら、ユーザーの自己責任に基づくものであるという基本はできるだけ尊重をいたします。したがいまして、先ほど申し上げましたように、定期点検義務違反あるいは記録簿の備えつけ義務違反等には罰則はつけておらないのでございます。ただ、そうはいいましても、私どもの職員が街頭検査の際に、そのユーザーの自己責任に基づいて実施されるべきものである点検義務を履行していないというケースが、記録簿を拝見して見つかった場合に行政指導をすることについて、これを実効あらしめる必要があると考え、最低ぎりぎりの制度として点検の指示及び報告義務の規定を設けたのでございます。  繰り返しますが、こういった点検の指示あるいは報告についてユーザーの協力をいただければ、当然のことながら過料という問題にはならないわけでございまして、報告をしていただけないというような場合も、何回か督促をいたしまして、なおかつ、さらに報告の履行がないという場合に手続違反ということで過料ということになるわけでありまして、そういうケースはきわめて少ないものと考えております。
  139. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それじゃこの法案を提出するという運びになった段階で、臨時行政調査会はなぜこれに対して、はなはだ遺憾であるという声明を出したのか。遺憾であるという声明が出ているでしょう。もし言われるように、これは完全に臨時行政調査会の趣旨に沿っているものであるならば、遺憾であるという声明が出るはずがない。おかしいじゃないですか。
  140. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 今回の法案の改正につきまして、臨調からそうした遺憾であるという話があったという新聞は拝読しておるのでございますが、われわれは、別に臨調側が遺憾の意を表するほどの内容のものは一つもない、十分の話し合いの上になされておるというふうに考えておるところでございます。
  141. 竹内猛

    竹内(猛)委員 遺憾であるという声明が出たのは事実でしょう。加藤さんも知っているでしょう。あなたの名前はしばしば新聞に、運輸族の実力者ということで出ているから、結構な話だと思う。  臨調の委員はそこに来ていますか。臨調どうです、声明書を出したでしょう。
  142. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 この場には臨調の方は来ていらっしゃらないようでございますが、遺憾であるということについて、何が遺憾であったのかということについては、われわれに直接お話がないので、いまここで私が判断を示すことができません。
  143. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そのことは、多分こういうことじゃないですか。特に過料制度の導入というのは両答申の趣旨に逆行するものであるが、運輸省はなぜ、現行法にも規定はなく、答申にももちろん盛られていない罰則を唐突に設定したのか。たとえば罰則を新設するとしても、国民に義務違反としての罰を科する場合、審議会への諮問、公聴会の開催等によって広く国民意見を聴取した後に行うのが民主的な国家としての手続じゃないのか、こう考えるわけですけれども、唐突にこれが入ったというところに遺憾だということになるわけだ。それを遺憾だと言う。それで理解ができますね。(「知っておったら聞くなよ」と呼ぶ者あり)それは質問だから聞かなければいかぬ。どうです。
  144. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 先ほど来御説明をし、言っておりますとおり、この過料というのは、やはり一義的にユーザーが公害問題とかあるいは安全問題について、自分の車を十分自分で点検をして、そして水準を保っていくということが本来のあれでございますが、なかなか、実際は六割程度の方しか今日まで点検をしておらないのが実情でございます。われわれといたしましては、やはりユーザーの便宜ということをもちろん十分配慮しておりますけれども、しかし一方においては、運輸省としては、この車社会の中における車の持つ公害あるいは危険性等々いろいろなものがあるのでございまして、こうしたことについて、どうしてもユーザー側において定期点検あるいは整備ということにみずから行動してもらいたいというのが本旨でございます。  私らはそうした意味において、もちろんわずかな人数で街頭でチェックをいたすこともありますが、そうしたときに、点検簿の中に記載されていないときには注意をして、ひとつ受けてくださいということを言って、そして十五日以内にチェックをしてもらったことを報告さえしていただければ、それで万事済むのでございます。この過料というのは、言うなれば転居届や出生届あるいは婚姻届と同じように、いわゆる秩序罰としての過料でございます。ただ、十万円というのが非常に高いという感じがあると思うのでありますが、これは法務省が今回の法改正に際して過料は十万円にするということで、他の一般の過料もすべて新しい法律は十万円になっていると思います。そんなことでありまして、必ずしも、ユーザーの方々が何か街頭でひっかけられて、すぐそれで十万円の過料を取られるのだというふうに言っておられることは大変に本旨と違うのでございまして、委員におかれましても、ぜひそうした意味の過料であるということを御理解賜りたいと思っております。
  145. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それは秩序罰である、それで精神的なものであるというお話ですけれども、それならば運輸省の検査体制をお聞きしますが、一体何人の検査員が運輸省にいらっしゃるのか。ちょっとそれをお聞きします。
  146. 飯島篤

    ○飯島政府委員 陸運事務所検査関係に従事しておりますのは千五十八人でございます。
  147. 竹内猛

    竹内(猛)委員 全国の市町村を見ても三千四百近く市町村がある。それに千五十八人ぐらいの検査員が朝晩寝ずにやったところで、一町村一人にならない、〇・五にもならないのですよ。それで四千万台の車、それに毎年二百万人ぐらいが新しく免許証を取る。そして五百万台ぐらいの車が国内で使われる。四千五百万の免許証を持った者がいる、ドライバーがいるということになると、この四千万の車の車検というものを、少なくともこの趣旨に沿う形で検査をするということになれば、これはいまの千五十八人ではどうしても間に合うはずがないでしょう。
  148. 飯島篤

    ○飯島政府委員 おっしゃるように、四千万台の車を相手に街頭検査をしまくって云々というのではございませんで、基本的には、定期点検の励行はあくまでもユーザーの方々の意識の高揚にまつところが大きいわけでございます。したがいまして、ユーザー参加という新しい考え方も運輸技術審議会の答申では出していただいておりますし、それを受けて、法案におきましてもいろいろな工夫をいたしておるわけであります。基本的には、そういったユーザーの方々の定期点検、整備への認識を深めていただくということに期待しているのでありまして、私どもが現在やっている街頭検査の際に、実効ある行政指導もあわせ行いたいというだけのことでございます。
  149. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、最近タクシーに乗ったり、いろいろの車の人たちと相談をするのですが、この十万円という過料は、いまの大勢ということからいうと評判が悪いね。新聞の論調もどうもよろしくない、唐突だということですね。もう少しやりようがあるのじゃないか。  運輸技術審議会の答申は、自動車の保守管理責任の主体がユーザーであるとの認識を徹底させ、また自動車の点検、整備についてのユーザーの知識、関心の高揚を図るとしているが、過料制度の導入を図る前に、まずこのソフトの面をもっと講ずるべきじゃなかったか。こういう面をまず講じて、それでもなおかつだめであるならば、そのときにそれをやるという段階をとるべきじゃないか、公聴会を開けなかったわけですからね。今度は法案が出たのだから、もう少し何とかやらなければ、これはどだい物理的に無理でしょう。どうですか。
  150. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 委員のただいまのいろいろな御発言は、まことに常識的なことでございまして、伺っておってもよくわかるのでございます。しかし、われわれといたしまして、こうした秩序罰としての過料というものをなぜ掲げなければならないのかという理由につきましては、やはり現在のユーザーの方々が必ずしも点検、整備を積極的にみずからやらないという現実があるからでございます。こうしたことと、技術的な専門分野から見た技術審議会の答申との間の妥協としまして、われわれとしては、こうしたいわゆる秩序罰としての過料、しかも、それは報告義務の終わった人に対しては何ら適用されない、そのような形のものを考えたわけでございまして、その点は重ねて御理解を賜りたいと思っておる次第でございます。
  151. 竹内猛

    竹内(猛)委員 罰則によるところの心理的強制によってユーザーに定期点検の励行を行わすとするならば、やはり先ほどから言うように、ソフト面の対策によって定期点検の実施率のアップを図るということは意味を失う。罰則をやるのならば、やはりこの罰則を徹底をして——千五十八名というようなことで年間に十万台だと言われている。四千万の車の中で十万しか点検できない。しかも、つかまった者はあいつは運が悪いんだ、その程度のことでは、これはどうにもこうにもならないですよ。そういう空気がぐうっと流れたらどうしますか。これは大変じゃないですか。
  152. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 したがいまして、私ら運輸省といたしましては、今回の問題につきましては国会における御議論を十分踏まえて対処をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  153. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この罰則の導入に当たっては、法の公平な運用という観点からその実効を図る必要があるが、運輸省の体制についても、あるいはその他のことについても、やはり公平ということでいかなければ、つかまった者は運が悪いんだ、逃げたやつはあれは運がいいんだなんて、そんなことになったら、これは新しい法律の内容が死んでしまう。だから、もう少しこの辺は配慮し、考慮し、再検討するという考え方はないかどうか。この辺どうですか。
  154. 飯島篤

    ○飯島政府委員 この制度は、あくまでも自主的な定期点検の実施の確保を図るのがねらいでございます。したがいまして、運用に当たって国会のいろいろな御議論を念頭に置いて十分考えてまいりたいと思います。
  155. 竹内猛

    竹内(猛)委員 まあ、えらいがんばるけれども、これはがんばり通せないでしょう。どうしてもすぐぼろが出ますよ。だから、余りがんばらない方がいいですね。(加藤(六)委員「もともとぼろがないんだから出やせぬよ」と呼ぶ)いや、後ろから追いかけていって過料というのをくっつけたんだもの。金については国民は非常に敏感なんだからね。あなた方、タクシーの運転手に聞いてごらんなさいよ。まあタクシーは対象にならないけれども、一般の人に聞いたら、何をやるんだと、これはもう物すごく評判が悪い。     〔三枝委員長代理退席、委員長着席〕 僕はここへ来る前に、僕の仲間の、ある雑誌の編集長に会ったら、日本でも評判が悪いけれども外国でも評判が悪いと言う。内外ともに評判が悪いんだから、そういうものだったら撤回をしてやり直すべきですよ。  そこで、加藤さん——いや、新聞に名前が出ているんだ。自民党の中で百九十何人かの議員連盟が集まって、圧力をかけたということが書いてある。(加藤(六)委員「二百十何名だよ、百何名じゃないよ」と呼ぶ)百九十二名と書いてあったよ。これは事実ですか。
  156. 飯島篤

    ○飯島政府委員 この制度の制定について、議員連盟の方から特段の圧力は決してありませんでした。
  157. 竹内猛

    竹内(猛)委員 五十六年十二月に自動車整備議員連盟というものができたと書いてある。そして、これが各選挙区ごとに懇談会をやったという。それで五十七万人ぐらいの整備の人がいる。ユーザーが四千万を超している。そういう中で一つの圧力を加えたのじゃないか。そういうことになったらこれは大変でしょう。そして、将来の運営は基金をつくってやるという。こういうことになったらなお大変だ。だから、そんなような考え方があるのですか。
  158. 飯島篤

    ○飯島政府委員 制度改正によりまして、中小零細企業が圧倒的に多い整備事業に与える影響は決して少ないものではない。運輸技術審議会におきましても、その答申で、業界の自助努力を前提に国において適切な配慮が必要であるというふうに述べられております。いま中小企業に対しまして、こういった場合に既存の法律がいろいろございます。それと現在、業界自身で近促法に基づく構造改善事業を推進しておりまして、企業集約あるいは地域集約というようなことを進めておるわけでございます。こういった自助努力を前提として、たとえば影響が出てまいったときに、事業転換法を適用するとか、あるいは具体的な雇用問題が起きたときに雇用保険法を適用するとかいうことについては、政府部内で話が相当煮詰まっております。  また、六十年に影響が最も大きく出てくるわけでありますが、何回も申し上げますが、中小零細企業でございますので担保力がないということで一定の波動がありますので、需要が下に落ちた時期において運転資金の融資を受けやすくするような措置、あるいは構造改善事業で設備集約、近代化等を進める場合の設備資金の融資の円滑化というようなことが大事なことになってくるのではないかと考えられます。これについて一つ考え方として、一定の基金を設ける、これは不況が起きたり特定の打撃を受けた業界において、過去に幾つもの業種においてしばしばとられている発想方法でありますが、そういった基金の構想について、来年度以降検討する必要があるのではないかと現時点では考えております。
  159. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私も、整備工場がつぶれていいというようなことを言っているわけじゃない。けれども問題は、自動車が生産をされる。その生産された自動車が安全で、しかも公害のない形で使われることがやはり非常に望ましい。外国にも売っているわけだから、当然外国に対しても車そのものについては責任を持っているはずですから、同じように国内においても取り扱いは違ってはいけないと思うのです。外国には、日本のようなそういう厳しい検査制度が、あるところもあるけれども、ないところが多いと聞いています。  そこで問題は、怪しい、危ない車、機械に自分の体と命を預ける者はいないと思うのですね。だから、あくまでもドライバー、つまりユーザーの良心あるいは自分の命と体を守るという気持ちを育てていく、このことが非常に大事だと私は基本的に考えるわけです。そして、その中で整備工場なり、そういうものが成り立つような努力をする。その整備工場やそういうもののために自動車があるわけじゃなくて、自動車というものが今日の車社会の中で持っている意義というものが優先をして、それにたえ得るような形で、それぞれの機関が配置をされていく、これが正しいとわれわれは思うけれども、大臣、そういう考え方はどうですか。
  160. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 われわれは、やはり現在のユーザーの方たちが快適であるということを望むものであります。しかし、自動車が走り回るということは、特に今日の日本道路事情や都市の状態から見ますと、それ自体が一つの大きな公害源であるし、また同時に、それは危険な要素を多分に持っておるものでありますから、ユーザーの方々が自分自身の安全を守るためということと同時に、やはり社会的に見ても自動車が、自分はいい気持ちで乗っておっても、そうした排ガスや危険というものに対しても、みずからこれに対応して十分な検査、点検をやりながら、こうした公害やあるいはまた危険というものから、できるだけ車というものをいい状態に置いておくということも、私は大きな義務ではないかと思うのでございます。  そうしたような観点から、運輸技術審議会におきましては、特にこの公害の問題で、現在の日本の非常に厳しいいろいろな法制のもとにおいても、やはり点検を確実にやるということ、しかも、それをできるだけユーザー自身がモラルとして遂行するということを望んでおるわけでありますが、先ほども申し上げましたとおり、この定期点検その他、四割くらいの方がやらないという状態が現状であります。したがいまして、今回の法改正を機会にいたしまして、できる限りユーザーみずからが点検、整備をやってもらうということをぜひ促進しなければならないというような観点から、委員からごらんになれば大変不適当であるかもしれませんが、やはり秩序罰としての過料というものを置いて、その範囲内においてのユーザーの方々の積極的な点検、整備をみずから進めていただく、そのような体制を今日準備しておくことは、過渡期的な問題としても必要ではないか。将来これが一〇〇%ユーザーの方々が点検、整備を、少なくとも現在の六〇%程度以上にどんどんと進んでいく状態になれば、当然私はこの秩序罰というものは要らないものであるというふうにも考えているところであります。
  161. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう沢田委員が見えましたからお渡ししますが、私は最後に、当初申し上げたように、この臨調のねらいであった負担の軽減という問題ですね、それから事務の簡素化、この二つからいってみて、十万円という過料が秩序罰という形で唐突に加わったということは、審議の過程が全く不明であり、それから、いまのお話を聞いてみても、やはりつけ加えたという感じが強い。どうしてもこの問題は理解ができません。  そしてまた、四千万台という車に対して千五十八名という検査員の体制でこれを公平にやるということは、きわめてむずかしいことだと思うのです。結果的には、いろいろ新たな問題が出てくる可能性が十分にある。だから、この点については理解ができないということをつけ加えて、これは私の意見として申し上げて、終わりたいと思います。
  162. 越智伊平

    越智委員長 沢田広君。
  163. 沢田広

    沢田委員 では、いま当たらなかった通産省へ最初からお伺いしておきます。  先般、私が車の耐用年数といいますか、寿命というものについてお伺いいたしましたときには、約十年くらいは大丈夫である、こういう回答がありましたが、この委員会の場においても同じように答弁が行われるのかどうか。その点だけ、まず最初に確認をしておきたいと思います。
  164. 西中真二郎

    ○西中説明員 先般交通特で御質問ございまして、そのとき、私の記憶では、平均的には八年ぐらい使われているのじゃないかというふうに御答弁申し上げたのじゃないかというふうな記憶がございます。
  165. 沢田広

    沢田委員 八年とあなたが——記憶の問題ですから、これは速記録を見れば間違いないことですが、八年にしても十年にしても、とにかく八年から十年の間の寿命はあり得る、こういうことを言われたわけです。  そこで、今度自動車の保証期間というものがあります。これは品物でも工事でも時計でもそうですが、あらゆる物品についてその品質に対して保証をする、それは売る者と買う者との信頼関係、こういうことになるわけでありますが、この保証期間も従前どおりで余り変わっていないのであります。当初のような自動車の状況から比べて、非常に精度もよくなったし、当然保証期間延長されてしかるべきではないのか、こういうふうに考えるわけでありますが、保証期間延長したりすること等については御検討をいただいているのかどうか。その点お伺いをしておきたいと思います。
  166. 西中真二郎

    ○西中説明員 現在、自動車の保証につきましては、車種によって多少の違いはございますけれども、典型的な乗用車の場合でございますと、一般的な保証は新車を登録しました日から一年間、ただし、その期間内でも走行距離が二万キロを超えているときには無料保証とは一応別だということになっております。  それから、エンジン等の特別の機構につきましては二年間、ただし五万キロ以内というふうな保証に現在なっておるのが一般的でございます。  従来の変化を振り返ってみますと、昭和二十年代、三十年代は、これは三カ月ぐらいの保証期間だったようでございます。それが三十八年に一年というふうに延長いたしまして、それから四十二年になりまして先ほど申し上げました特別保証というので二年という部品が追加になったというふうなのが、いままでの経緯でございます。  その保証の考え方でございますけれども、当然民法上の瑕疵担保責任というふうなものもいろいろあろうかと思うわけでございますけれども、その辺の立証のわずらわしさということもございますので、いわば一律に割り切ってこういう無料保証の制度ができておるわけでございますが、これは保証期間が過ぎましたら無料保証しないということでは必ずしもございませんで、保証期間経過後に発生したふぐあいでございましても、それがメーカー側の責任による、供給者側の責任に起因する場合には、責任の度合いに応じて適正な費用負担で修理します。したがいまして、無料になることもあり得るということでございまして、そういったふうな意味で申し上げますと、二年を超えた場合には一切無料ということはあり得ないということではないわけでございまして、そういったふうな意味、あるいはまたほかのいろいろな家庭用品その他の品質保証の期間等との関係から申しまして、現在特に自動車が短過ぎるというふうなことで見直しの検討をされているということはございません。
  167. 沢田広

    沢田委員 三十八年から一部分はそのまま推移されてきているわけで、言うならば約二十年たっているわけですね。この二十年の日進月歩の技術の発展、発達というものは目覚ましいものがある。今日、自動車ラッシュを起こして貿易摩擦を起こしているぐらいでありますから、三十八年当時の車から見れば、精度からいっても二倍、三倍の精度を持っているというふうにも思えるのですね。それを、上がっている精度に対して保証期間が全然延びない。これはいわゆる第三者に対抗できる要件としての保証期間、アフターサービスとしての保証期間としては、おのずから性格が違うわけですね。ですから、いまの答弁の中で、三十八年に決めて、一部四十二年であるけれども、三十八年に決めたものが今日そのままでいいということは少なくともないのじゃないか。やはり部分的に改善される分は当然あってしかるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  168. 西中真二郎

    ○西中説明員 使用しまして三年あるいは二年以上というふうな長い期間がたちました場合に、車の使い方等によっても相当の違いが出てくるというふうなことはあろうかと思いますので、相当長期にわたって一律無料保証という考え方をとるということは、技術的にかなりむずかしい点があるのではないかという気もいたすわけでございますけれども、いまの先生の御指摘のございました問題意識というものは、私どもも常に持ちながら仕事に当たってまいりたいというふうに考えております。
  169. 沢田広

    沢田委員 非常に前向きで御回答いただきました。確かに三十八年からそのまま今日まで置いておいていいということにはならない。しかも道路の舗装面積といいますか、舗装状況というものは全然違った。当時は車がパンクする率も非常に高い。しかし、いまは都内なんかはもうほとんど皆無と言ってもいいくらいというような状況ですから、そういうふうな意味においての車の中の振動も違ってくるし、ガソリンの使用量も違ってくるし、また、ぶれも違ってくるし、という意味において非常に精度は上がってきたのだろうと思うのです。  そこで御検討いただくことにして、保証期間がある。その間に点検というものが、今度は提案されているようなものがあるわけですね。その場合の責任、これは自動車局長にお伺いしますが、一応の保証期間がある。この保証期間内における点検義務というのは、保証期間を保証している売り手の責任ということにならなければならなくなると思うのですが、その点はいまの場合、たとえば保証期間中だと仮定した場合は、どういう解釈をするつもりですか。
  170. 飯島篤

    ○飯島政府委員 車が使用過程に入ってからの定期点検の義務というか、保守管理の義務は、一次的にはユーザーが持っているのは当然のことでございます。ただ、それが設計とか構造の面でメーカーの責任になる部分も、もちろん一方であるかと思います。  それで、定期点検につきましては、運輸技術審議会におきまして、六カ月点検の初回についてはメーカーが、なじみぐあいが悪いということからふぐあいが生ずるというような面でサービスで実施をしているというのと、初回の六カ月点検とがある程度重複しているというところに着目いたしまして、自家用乗用車について、六カ月の新車初回の点検をユーザーに義務づけることを廃止したわけでございます。
  171. 沢田広

    沢田委員 そうすると、いわゆる売り手の保証期間中に含まれている分については、いわゆる保有管理者、正常な管理者の義務というのが普通法律用語でありますが、正常な管理者の義務以外の車両の不備あるいは出来方の悪さ、こういうものによって起きた場合には、科料とか過料、いずれにしてもそういうものを徴収されることは、当事者としては、理論的なものとしては免責されるというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  172. 飯島篤

    ○飯島政府委員 ユーザーが、定められたとおりの定期点検を実施しておれば何ら問題はないわけでありまして、科料、過料というお話ですが、過料の話であれば、これは陸運事務所の職員が街頭検査の際に、定期点検を実施していないということが記録簿その他でわかったときに、点検の指示をいたします。この指示をしたところに従って必要な点検、整備をし、それを記録簿に記載し、かつ十五日以内に報告をする。その報告をしなかった場合に初めて過料という話が出てくるわけでありまして、ユーザーが定期点検を実施しておれば、全く問題がないわけでございます。
  173. 沢田広

    沢田委員 質問はまだそこまでいっていなかったのでありますが、私の言うのは、まず保証期間中における問題ですね。科料であろうと過料であろうと、あるいは整備不良車であろうと事故が起きようと、とにかく運転した人にミスはなかった、車両の整備状況が悪くて事故が起きたというような場合については、保証期間中は運転者はもちろん保護される。免責である。当然それはいわゆる売り手側の品物が悪かった、こういうことによって起きた、法律上そうなんじゃないですか。いかがですか。あとの部分はまた後で聞きます。
  174. 飯島篤

    ○飯島政府委員 車の安全性に関連しましては、いろいろな立場で関係者がおるわけでございます。まず一般的には、自分のものであれば保守管理責任はユーザーにある。それからメーカーは、車をつくって供給するという責務を持っておりますから、構造、装置に設計上または生産上の欠陥があった場合は、いわゆるリコール制度というものがしかれておるわけでございます。それで、いまの保証期間といいましても、車全体についてメーカーが保証しているのではなくて、部位を限って、こういうものはこれだけの期間保証するという仕組みになっていると承知しております。
  175. 沢田広

    沢田委員 こういうものは、ああいうものはという表現は、今後間違いを起こしやすいので、私はわざわざ分けて言っておるわけです。運転者の原因に帰すべきものは除きまして、車両の整備状況あるいは不良、そういうことによって、構造上のものによって発生した保証期間中の問題は、当然それは保証期間ですから修理だけではなくて、同時に第三者に対抗できる条件としてのいわゆる免責処分、免責の規定にも該当するのではないのか。そういうことは、車の構造上の欠損で生じた事故については、保証期間中少なくとも売り手側の責任ではないのか。運転者のミスとは私は言っていない。時間がないのですから、それだけ、イエスかノーかだけで言ってください。法律論的にそうなるんじゃないですか、こういうことを言っているわけです。
  176. 宇野則義

    ○宇野政府委員 短くてというお言葉でございますが、先生のおっしゃっているのは、保証期間中にユーザーの責任でなくていろいろなトラブルを起こした場合ということで御質問をいただいていると思いますが、その新車保証の中身に、たしか適正な整備といいますか、現在ですと法律的に定期点検のピッチが決められておりますし、またメーカーからユーザーに指示をした走行キロピッチの点検があると思いますが、そういうものを適正に実施しているという条件が入っているのではないかというふうに感じます。したがいまして、保証の中身といたしましては、そういう条件を満足していたかどうかをチェックしてみなければいけないのではないかというふうに感じます。
  177. 沢田広

    沢田委員 若干すれ違いで、私は何もひっかけようとして質問しているわけではない。純粋な法解釈を一応そこではっきりさせようということで述べているのであって、いわゆる保証期間とは何ぞや。  ちょっと、その次にいきます。では、定期点検をやった保証期間はどれぐらいあるのですか、ないのですか。
  178. 宇野則義

    ○宇野政府委員 定期点検につきましては、現在保証期間というものは明確にはございません。ただ、運輸技術審議会の中間答申におきまして指摘事項が一つございます。それは何かといいますと、整備工場の整備の質を確保する、あるいは技術を維持し、ユーザーに迷惑をかけないような整備をすべきである、こういう趣旨のもとに、これから整備保証というものを考えていくべきである、こういう指摘を受けておるわけでございます。したがいまして、業界の方におきましても、いかにこの整備保証を充実していくかということを現在検討している段階でございます。
  179. 沢田広

    沢田委員 十万円の科料まで取られようというこの騒ぎ、普通の人ならば一カ月の給料分をぶったくっちゃおうというのでしょう。とにかく大変なことで、強盗よりひどいと思うのであります。法律で取るのですから、これは強盗よりひどい。強盗は罪になるけれども、これは罪にならない。だから、とにかくそういうことまでやろうとしているこの点検に、全然保証期間がゼロ。それはすべきだ。将来の問題でしょう。だから、もしこれを出すのだったら、やはり保証期間というものを義務づけなければおかしいのじゃないですか。一方では、事によれば十万円の損害を受けるかもしれないのですから、それだけの危険を冒しているという状況の中において、片一方は全然いわゆる点検に対して担保を出さない。翌日悪くなっても責任を負わない。こんな不都合な点検で十万円もの科料に連動するという発想は少しおかしいのではないですか。それならば、ある一定期間の保証を担保として与えてやるのは、点検の内容として当然の必要な条件ではないですか。いかがですか。
  180. 飯島篤

    ○飯島政府委員 整備事業者がユーザーと一定の契約を結んで所要の定期点検をし、整備をした。しかも整備事業者がその契約に基づいて点検、整備をした個所について、その一定の期間内にふぐあいが発生した。それによって、たとえば何らかの事故が起きたというような場合に、個々具体的に相当因果関係を見た上で、責任がある場合とない場合があるかと思われます。いまの整備保証の問題においては、運輸技術審議会がそういったケースについてはっきり、一定期間は自分が整備した個所についてふぐあいが発生した場合は無償で整備を行うという制度、これを業界全体として考えなさいという御指摘でありまして、現在鋭意関係業界で今後のあり方を詰めているところでございます。
  181. 沢田広

    沢田委員 いまの話は、定期点検で業界では整備するということを言っているのかどうかわかりませんけれども、定期点検がもし義務づけられるとするならば、当然定期点検に対する担保として、その保証期間は必要なのではないのかというのが私の質問なんで、研究中ですとか研究中でないとかということを聞いているのではなくて、当然一定の商取引をやるわけです。ところが、今度は定期点検になれば法律上の義務を履行するわけですから、法律上の義務を履行していくのに、何らかの金を払ったのに、全然それに担保がないというのはおかしいではないですかというのが私の質問の趣旨ですよ。それは業界で任意事項ではないでしょう、法律事項でしょう。任意で担保を提供するというのだったら商取引ですよ。商取引なら民事契約ですよ。だから民事契約でいくならば、これは法律で義務づけるべきものではないのですね。だから、法律でもし義務づけると仮定をすれば、それは法律上やはり担保を提供するというのが、法体系として当然なことではないですか。いかがですか。
  182. 飯島篤

    ○飯島政府委員 定期点検そのものはあくまでもユーザーの義務でございます。ただ、実態として、今度は六カ月点検については、技術的な知識をお持ちの方であれば、みずからでも実施し得るものにしていこうという考え方が出ておりますが、そういった場合以外に、自分がやらずに整備事業者に定期点検ないしは整備を依頼するというケースが多いのが実態でございます。それはあくまでも、ユーザーが自分の義務を履行するために整備事業者と契約をして義務を履行するという関係になるわけで、ユーザー整備業者との関係はあくまでも契約に基づく責任関係であると考えられます。
  183. 沢田広

    沢田委員 法律では決めてあるけれども、本人がやってもいいことになっているのだから、それはあくまでも民事契約である。もし契約によって委託をする場合は民事契約である、こういうことでいいですね。——立ってくるのはあれですから、首を縦に振っているから、そのとおりだとして進めます。  戻りますけれども、ほかの省に来ていただいておりますから、関係のところの問題を概括的なことを聞いてから聞こうと思ったのですが、今度の過料というのは車が悪いから取るんですか。通告を受けたけれども無視したから取るんですか。あるいは報告をしなかったから取るんですか。あるいはその他のものなのか。そのうちのどれが科料の対象となるんですか。
  184. 飯島篤

    ○飯島政府委員 まず定期点検義務がユーザーにありますが、定期点検義務違反そのものには何ら罰則はついておりません。  その次に、定期点検記録簿に記載をする、あるいは車に備えつけをする、こういった義務にも何ら罰則はついておりません。ただ、街頭検査等の際に陸運事務所の職員が定期点検記録簿を拝見をして、定められたとおり定期点検を実施していないことがわかったときに、陸事の職員が点検の指示をいたします。その指示を受けましたユーザーが、それに従って必要な点検、整備をし、記録簿に記載をし、十五日以内に報告をするということになるわけです。点検の指示違反そのものにも罰則はございません。最終の報告をしなかった場合に過料という問題が出てくるわけでございます。
  185. 沢田広

    沢田委員 じゃ、こういうことはどうですか。私はとても忙しくて、外国旅行にも行ってます、あるいは内国旅行で出張いたします。車はいまのところ点検はできませんので、この旨御報告をいたします。こういうことで報告をすれば、報告義務は履行したことになるわけですから、点検それ自体は違反にならないし、指示にも違反にならないし、報告の義務は果たすということになれば、過料は徴収されない、こういうふうに法律論的にはなると思いますが、いかがですか。
  186. 飯島篤

    ○飯島政府委員 そのとおりでございます。
  187. 沢田広

    沢田委員 そうすれば、その理由までは恐らく問いただすことはないのだろうと思いますから、病気があった、腹が痛かった、足が痛かったというような理由で、結果的にはその期間中できなかったということになると、それで一応免罪になる、行政罰は受けない。  そこで、行政罰の時効、それから遡及の期間、これについてお伺いしますが、この過料はいつになったら時効となるのか。それからどこまで遡及されるのか。その二つ、お答えいただきたいと思う。
  188. 飯島篤

    ○飯島政府委員 申しわけありませんが、即答できないので、また後刻、勉強してお答えしたいと思います。
  189. 筧康生

    ○筧説明員 これも私ども直接の所掌ではございませんけれども、一応法律問題で、非訟事件手続法という法律は私ども法務省の所管でございますので、その関係につきましてお答え申し上げておきます。  ただいま時効があるかどうかという問題は、これは若干争いはあるようでございますけれども、幾つかの裁判所の裁判例が出ております。たとえば、その例を申し上げますと、東京高等裁判所の昭和五十一年八月三日の判決など幾つかの高裁の判例がございまして、いずれも非訟事件手続法の適用のあります過料については時効の制度の適用がないというごとになっております。(沢田委員「遡及は」と呼ぶ)それは法律が施行された後の行為に適用があるというのが、これは特に法律に規定を置かない限り大原則でございます。
  190. 沢田広

    沢田委員 そうだと思います。ですから、遡及はない。時効も結果的には、その瞬間をもって切れるということだと思うのですね。たとえば、これは判例にもありますね、違反証を交付しなかったことによって裁判の判決で負けている。いわゆる通告の義務があるから、通告の書を渡していかない限り、そのことは当然有効にはならない。報告書が出るということになりますから、当然それは科料の対象にはならない。  そこで次に聞くのですが、しなかった場合、科料はどういう形で相手に通達されるのですか。
  191. 飯島篤

    ○飯島政府委員 恐縮ですが、科料ではなくて過料でございます。科料は刑罰でございます。(沢田委員「そうです、訂正しておきます」と呼ぶ)  過料を科すべき事由があるという場合に、まず地方裁判所に通知をするわけでございます。これから後の手続は私どもが説明する立場にないわけでございますが、一定の手続を経て過料の決定が裁判所でなされますと、決定は本人へ通知がなされることによって効力が生ずるようでございます。この決定があった場合には、裁判所から検察庁に通知があって、本人に納入告知書が送付されるという手続であると承知しております。
  192. 沢田広

    沢田委員 報告の確認はだれがやるわけですか。
  193. 飯島篤

    ○飯島政府委員 点検指示制度に基づく報告であれば、その確認は陸運事務所の職員がするわけであります。
  194. 沢田広

    沢田委員 それだけの裁判所に行くような問題で、相手がどこの人だか——どこというのは、すぐそばの人であるか九州の人であるか北海道の人か。たとえば東京で、そこから郵送した。相当、四日間でもかかった。その場合は報告は発送主義ですか、到着主義ですか、どちらです。
  195. 飯島篤

    ○飯島政府委員 これも即答できませんので、後刻勉強してお知らせしたいと思います。
  196. 沢田広

    沢田委員 それこそ加藤さんや三塚さん、大先輩がそばについていて法律を提案して、発送主義か到着主義かもわからぬで提案するという不見識は、これはどうも官僚としてよろしくないですな。とにかく国民負担をかけるということなんでありますから、少なくとも法律的な解釈ぐらいはきちんとして提案をするべきだと思います。一歩譲りまして時間を与えますが、これはやはり国民権利義務に関することですから、ひとつ後で明確にお答えをいただきたいと思います。  次に、内閣法制局においでをいただいておるわけですが、いまの街頭検査というものを主体に置いて考えていくとするならば、何も点検の時期は決めないで、新車であろうと古いものであろうと何であろうと同じように平等に、ネズミ捕りと一名言われておりますが、そのネズミ捕りと同じようにあらゆる車が平等に点検を受ける、こういう制度にして、いまの制度を生かしていくという道の方が合理的なんじゃないのかというふうにも考えるのですが、そういう点はいかがですか。
  197. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 ただいまの先生の御指摘、私、はっきり受けとめられなかったのでございますが、今回の法案におきます第五十三条の二の点検指示は「陸運局長は、自動車について、点検が行われていないことが判明したときは、」ということで要件が書いてございまして、そういうときに指示することができるということになっております。
  198. 沢田広

    沢田委員 だから、その点検の記録がないかどうかの判断をするのは、点検簿を見ればわかるのだが、車を見て判断するのですか、ちょっとその点、確認しておきましょう。この確認は記録簿を主体とするのですか。それは記録簿じゃなくて車を見て判断するのですか。どちらなんですか。
  199. 飯島篤

    ○飯島政府委員 記録簿で確認をするわけです。
  200. 沢田広

    沢田委員 では、実際に車が悪くてもそれは構わないんだ。問題は、点検簿に記入してあるかどうかで判断する、こういうことですね。だとすれば、なおさら容易になると思うのでありますが、これは質問もされたと思いますから重複する点がありますが、私の質問はまた違っていきます。  タクシーとかバスがなぜ除かれているのですか。除いてないのなら除いてないとお答えいただきたい。
  201. 飯島篤

    ○飯島政府委員 除いておりません。
  202. 沢田広

    沢田委員 これも後で間違ったということにならないようにしていただきたいのですが、私の調査した結果では、タクシー、バスは一応除いているという報告を受けているわけです。それで、その理由は何だと聞いたら、ちゃんと整備士がいるからそれでいいんだというふうに、私の方には答弁が返ってきているのであります。あなたの答弁が正しいなら、それはそれで結構です。バス、ハイタクは街頭検査の対象となっていないという報告になっていますが、あなたはなっているということでありますから、それはその点を確認しておきます。  それから、一番最初の問題で、これは警察の方へお伺いするのですが、またもとへ戻りますが、果たしてこういう制度が必要なのかどうかということでお伺いしますけれども、いわゆる街頭検査によって発生するもの、いまの話ではこの表もむだになってしまうので、記録簿を見て判断するということですから、実態と合っているか合っていないかということは全然わからないのですね。私の方のこの資料から判断しますと、主要のかじ取り、走行ではタイヤ、それから制動ではブレーキ、これは文字どおりそのとおりですね。それから灯火、これが一番多いのであって、そのほかのものについては、不良車両数の五十五年度ですが一万九千四百三十一台という台数からいきますと、比率としてはほとんどない。だから、いまの、街頭検査が単に記録簿だけでやって、実際のタイヤのミリ、摩耗率、あるいはブレーキの、制動の強さ、あるいは球切れというものを見ないとすれば、これはやってもやらなくても同じことになるのじゃないのかという気がいたしますが、その点はいかがですか。
  203. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  街頭検査等で車をチェックした際に、定期点検を実施しているか否かにつきましては、定期点検記録簿を主体にチェックをするわけでございます。  ただいま先生御指摘のように、そのときにタイヤがまる坊主であったというようなケースがあったといたしますと、それは定期点検不履行か、あるいは定期点検を実施していたかということとは別に、タイヤがまる坊主であるということ自体、保安基準の違反だということで、整備不良車としての取り扱いができることになるわけでございます。
  204. 沢田広

    沢田委員 その法律はわかっているのです。ただ、私の言う十万円の過料との連動において、いわゆる記録簿にさえなければ、もうそれで発動するというのには、十万円は高過ぎるという気がしますね。ちょっと記録簿を見せてください。記録簿を見て、なかった。それじゃ点検しなさい。これだけでは少し安直過ぎるのではないのか。運輸省の頭のいい官僚の皆さんがつくった法律にしては、ちょっとお粗末だと思うのですね。だったら、記録簿だけじゃなくて、街頭検査で一応こういう結果が出ているのですから、私は街頭検査を妥当視するものではありませんけれども、タイヤについて七千四百件、ブレーキは百三十八件、灯火は七千五百件、原動機関係では四千二百件、こういうふうに出ているわけでありますから、それらを参考にしてもしこの法律をつくったのだとすれば、一当然そういう措置が必要ではなかったのか。記録簿だけで十万円というのは、それはちょっと整合性を欠くのじゃなかろうか、こういうふうに思いますが、その点いかがですか。     〔委員長退席、三枝委員長代理着席〕
  205. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先ほど整備部長からお答えしたところと同じになりますが、この点検等の指示は、あくまでも保安基準に適合しない車を未然に排除するという定期点検、整備制度の励行を図るためのものでございます。先生が御指摘の、保安基準に適合しない、または適合しないおそれがある車を街頭検査のときに発見した場合は、整備命令というものを発することになるわけでございます。
  206. 沢田広

    沢田委員 それじゃ時間の関係で、次に行きます。  一般的には、今度の三年に延長しました——自動車局長、この整備振興会の堀山さんはあなたの大先輩ですね。この日整連の役員名簿から拝見いたしますと堀山さんは専務理事でありますが、四十何年ですかのころですから、もう二十年近く専務理事をやっておられるベテランの方ですね。あなたの大先輩ということになります。その日整連の運動方針で、業務報告の中にも、車検延長は反対するというふうに書かれて運動されたようであります。  そこで三年になるのは困る。それで、いま五〇%ぐらいしか点検していないものを何とか一〇〇%にして、商売繁盛のために寄与してやろう、こういうふうに自動車局の皆さん方が大変頭を悩まして、知恵をしぼってつくった法案だ。涙のこもる法案なのだと伝え聞いているわけなのでありますが、涙がこもるかどうかは別問題として、そういう考え方だと解釈してよろしゅうございますか。
  207. 飯島篤

    ○飯島政府委員 定期点検の励行を図るということは、整備事業の売上増という問題とは直接かかわりのない話でありまして、この制度改正に伴いまして、運輸技術審議会で前から、新車新規検査有効期間延長に当たって「ユーザー自動車の保守管理についての責任意識の昂揚、定期点検・整備の実施率の向上等を図る必要がある。」という指摘を受け、また「定期点検の励行策」として、その一つに「街頭検査の強化等の検討が必要である。」という指摘があったわけでございます。安全を確保し、公害を防止するために定期点検の果たす役割りというものの重要性にかんがみまして、街頭検査に際しまして実効ある行政指導をしたいということで、この制度考えたものでございます。
  208. 沢田広

    沢田委員 そうすると、表向きか裏向きかわかりませんけれども、車検延長とは当面関係のない取り扱いをしたのだ、こういうふうに解釈してよろしいですね。
  209. 飯島篤

    ○飯島政府委員 検査有効期間延長について、運輸技術審議会はいまのような指摘をしている。それだけでなくて、安全の確保、公害の防止を図っていく上で「点検・整備制度検査制度は、いわば車の両輪となって機能することにより所期の目的が達成される」ということ、それから制度改正によって定期点検の重要性はむしろ高まるという認識が、この答申の中にはっきり出てきております。それを受けまして、励行策の一手段として点検指示制度を導入したということでございます。
  210. 沢田広

    沢田委員 この問題は、ほかの方も質問されたと思いますので余りこだわりませんが、それでは臨調の答申とこの技術審議会の答申と、どちらの趣旨、精神を受けて提案しているのですか。いま、あなた方は、技術審議会ばかりを言っておりましたが、臨調の方も一つの哲学を持って提言しているのですね。自動車のあるべきものは、これからはこうでなければならぬという一つの哲学を持って提案をされているわけです。技術審議会は技術審議会として、自動車のいろいろな全体を考えているわけですね。関連していないのかと言えば、関連しているとも言えるし、その中身のあれは別として、車検延長について、これが伴ってきたのだ、こういうことになるわけですね。そう理解してよろしいですか。
  211. 飯島篤

    ○飯島政府委員 この法律案は、運輸技術審議会の答申及び臨時行政調査会の答申を受けまして、そこで指摘された事項はほとんど盛り込んでいると考えております。ただ、この点検指示制度と報告義務違反についての過料について、臨時行政調査会から意見が出されたのは承知いたしておりますが、私どもといたしましては、運輸技術審議会の答申が出ました段階で、臨時行政調査会にその内容を詳しく御説明し、定期点検の励行の重要性が高まりました、励行策を講ずる必要があるという説明も行ってきているところでございます。したがいまして、御意見の表明があったのは事実でございますが、基本的な問題については、両答申を受けて立案したものと認識をいたしておるわけでございます。
  212. 沢田広

    沢田委員 答弁にはなってないですけれども、法務省と内閣法制局の両方に、おいでになっていただいておりますので、先ほどの問題を確認していきたいと思っておりますが、これは法制上そうなるのかということなんであります。街頭の検査がある。ただ、法律は一人歩きをしますからね。いま、この答弁が裁判所で有効になるかと言えば、ならない。裁判所に行けば裁判所の解釈というものがつくられるわけですから、その意味において法務省と内閣法制局にお伺いをするわけであります。  結局、街頭検査の場合である。そして記録簿を見まして、点検が行われていない場合に指示をします。指示をして十五日なら十五日以内に、したかしなかったかの報告をします。その報告がなかった場合に、これは到着か発送かもまだ未定でありますが、なかったと確認をしたときに、裁判所に十万円の過料の徴収依頼が行きます。こういうことになっておりますが、その点は法制上そういうことで、——報告が来なかったという事実確認が過料の徴収の原因となる、こういうことになりますが、これは法制局と法務省の両方、それぞれこれでよろしいのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  213. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  大体先生のおっしゃるとおりだと思いますが、この街頭検査云々という点は、法文上は、自動車についてそういうことが判明した場合ということになっておりますので、あるいは実行上はそういうことなのかとも思いますが、法文上は必ずしも街頭検査というふうには書いてございません。
  214. 筧康生

    ○筧説明員 ただいま法制局の方から答弁されたとおりであります。
  215. 沢田広

    沢田委員 そうすると、先ほどの解釈も、これは自動車局を相手にしないで、あなたの方との問題ですが、結果的には報告は、できなかったという報告も報告である。多忙でできなかった、病気でできなかった、あるいは出張でできなかったという報告も報告である。それも報告をしたうちに入るから、報告をしなかった者だけが過料を納めるのであって、その期間に何らかの報告をすれば、それによって過料は納めないで済む、この解釈はいかがですか。
  216. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘の点につきまして、今回、罰則のところで書いてございます過料については「第五十三条の二第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」ということで、そういう意味で、先生のおっしゃいました、報告ができなかったという、そのできなかったという点は、ちょっと私、それはどういうふうなことで——結果として「報告をせず、又は虚偽の報告をした者」これが構成要件と考えられるわけでございます。
  217. 沢田広

    沢田委員 私は、報告をしなかったと言うのじゃなくて、多忙のためにできませんでしたという報告をします。出張のためにできませんでしたという報告をします。報告はするわけです。それで過料は徴収はされない。それが虚偽でなければ、それはそれで報告は完了した。こういう解釈は成立すると思うが、いかがですかと、こういうことです。
  218. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、報告をしなかったというときには明らかにございます。ただ、むしろ点検、整備それ自身の話で、しなかった、できなかった、こういうことでございましたら、そこはこの構成要件の「報告をせず」あるいは「虚偽の報告をした」というところには当たらないだろうと思います。
  219. 沢田広

    沢田委員 そうすると、結果的には、このやりとりの中から解説本もこれからたくさん出て、それでいくだろうと思うのですね。そうすると、そのときには直ちに、はがきに印刷でもしておいて、まあ印刷までしなくてもいいが、コピーにとって、これが虚偽であれば別ですが、腹痛を起こすかどうか、これは内部だからわからぬですから、腹痛のため点検ができませんでしたので右御報告をいたします、ということをこの期間中行っておけば、過料はもう全然徴収は不可能である、こういうことになるわけですね。何も極端な例だけを私は挙げようと思っておりませんが、そういうことになる。  それから最後に、私の質問時間が少なくなっていますから、到達主義なんですか、発送主義なんですか。その点は調べた結果を報告してください。それから、電話ではどうなんですか、電報はどうなんですか。それも答えてください。
  220. 飯島篤

    ○飯島政府委員 報告については到達主義がとられるようでございます。それから、報告は定期点検記録簿の写しを添えて報告をするということになりますので、電話ではだめということになります。
  221. 沢田広

    沢田委員 それは、いまの答弁とはまた違ってきているようですね。だから報告の中には、そういう報告もあるだろうし、違う報告もあるということでしたから、その点は要すれば報告をするということだ。  到達主義ということは、もう一回確認しますと、相手の発送の遅延、郵便局の遅延、そういうものにかかわらず、陸運局の決められた日付までに到達しなかった場合は、この過料の原因発生の要因となる、こういうふうに解釈してよろしいですか。そうすると、たとえば善意に、発送は間に合う期間に出してあったけれども郵便局の手違いで到着しなかったという場合も、本人の過料の徴収の原因になる、こういうことですか。     〔三枝委員長代理退席、委員長着席〕
  222. 飯島篤

    ○飯島政府委員 形式的にはそういうことになるわけでありますが、実際にそういう場合にどういう取り扱いになるかということは、裁判所の判断の問題になるかと思います。
  223. 沢田広

    沢田委員 裁判所と言うけれども、これは法律をいまつくっているわけですから、やはり原則的な立法の解釈というものだけはきちんとしておかなければならぬのであって、法律さえつくっておけば後は裁判所が何とかするだろうというのは、子供を産んで、育てるのはだれかが育てるだろう、こういう論理になるのであって、それはまかり通るわけではないのだろうと思うのであります。この点は若干私は疑問であります。  そこで、検査自動車というのが自動車重量税法の中に書いてあります。この検査自動車という意味は、重量税を納める対価として——対価と言うと語弊がありますね、検査自動車に対して重量税がかかりますということですね、法律用語をそのまま並べれば。その検査自動車というものはどういう意味を持っているとお考えですか。
  224. 宇野則義

    ○宇野政府委員 重量税法に記載されております検査自動車という言葉は、道路運送車両法に記載されております検査対象自動車ということでございます。
  225. 沢田広

    沢田委員 だから、その検査自動車とは何ぞやということをいま聞いているわけです。重量税を納めるときには、検査自動車について重量税を納めるとなっていますね。そのとおりでしょう。まず、イエスかノーか言ってください。
  226. 宇野則義

    ○宇野政府委員 自動車重量税法の第二条の定義に検査自動車というのがございまして、「道路運送車両法第六十条第一項、第六十二条第二項の規定による自動車検査証交付又は返付を受ける自動車をいう。」ということになっています。
  227. 沢田広

    沢田委員 そこで、それは分解それから整備その他すべての要件を満たしているものをもって検査自動車と称していますね、そうですね。そういう自動車について重量税を賦課するのですということですから、逆に言うと、重量税を納めれば自動車そのものは——整備、点検、分解、そういうものの検査規定を十分に満足しているものについて重量税を納める、こういうことになるわけですが、その点はいかがですか。
  228. 宇野則義

    ○宇野政府委員 大変申しわけありませんが、先生のいまおっしゃっている意味がちょっと理解できかねますので……。
  229. 沢田広

    沢田委員 だから、検査自動車の中身を言っているわけです。重量税の賦課をいたします検査自動車というものの中身は何ですかとさっき聞いたわけです。それには検査をすでに完了——検査というか、すべてそういうものが整備をされているものを検査自動車というと、そう書いてあるでしょう。
  230. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ここで定義づけておりますのは、新規検査、継続検査、臨時検査、分解整備検査、構造等変更検査ということで、これらは道路運送車両法によります検査の種類でございます。この検査に合格した、保安基準に適合したときに検査証交付を受けるということになっております。
  231. 沢田広

    沢田委員 そのとおり。だから、それで重量税が賦課されるのであるから、もし三年なり二年なりの重量税を納めるということは、当然その検査の対価として納めるのであって、その期間中に二重に賦課されるという、憲法で保障された二重賦課ということはあり得ないと私は解釈をする。ですから、本来ならば、この検査自動車によって重量税を納めれば、これが今度三年になれば三年分を納めれば、三年間二重に本人が名目のいかんを問わず賦課を受けるということはあり得ない、こういうことになるんだと思うのであります。ですから、そういう意味において、この点はまだ、この検査自動車重量税との関係からいっても、これらの徴収とかあるいは過料を取るとかということについては若干勉強不足ということになるのじゃないかと思います。このままで法律が施行されることはきわめて危険である、解釈上の問題にいろいろぶつかることが多いというふうに思います。  私、もう時間がありませんから、もう一つ、最後でありますが、整備振興会を法律上決めなければならない理由は何なんですか。それのプラスの面とマイナスの面。法律で決めなければどういうマイナスがあるのですか。それから法律でつくることによってどういうプラスがあるのですか。これは、いわゆるタイムトンネルじゃないが、昭和二十年代、三十年代の自動車の業界というものを念頭に置いてつくられた法律だと思うのですね。ですから、いまの時代にこんな形のままで法律で規定するというのは屋上屋じゃないか。これは勝手につくったっていいのじゃないのですか。何も法律でつくれということの必要性はないのじゃないかというふうな気がいたしますが、その見解だけ承っておきたいと思います。
  232. 飯島篤

    ○飯島政府委員 自動車整備振興会は、民法第三十四条による公益法人でございます。昭和二十六年の法制定当時から「自動車整備に関する設備の改善及び技術の向上」を目的とする団体として、同法により法的根拠が与えられたものでございます。  その趣旨は、自動車の安全性を確保する等のために適正な整備の励行が必要である自動車整備事業に対する監督及び指導育成の措置と相まちまして、自動車整備に関する設備の改善及び技術の向上を目的とする団体に対しまして、その使命達成を促進する道を講ずるということから法的根拠を与えることにいたしたものでございます。
  233. 沢田広

    沢田委員 残念でありますが、あなたの頭はまさにタイムトンネルで、昭和二十年代の車両の時代において考えておられるのであって、今日的段階においては、もう法律でわざわざこういうことを記載しなくとも、自主的な運動としてそれぞれがやっていける条件というものを担っていると思うので、やはりもう少し、こういう法律を提案するときには、タイムトンネルの中におぼれることなく、新しい日本の車両というのは世界を駆け回っているのですから、もっと世界的な視野に立って、こういう育成をしなくとも自立できる体制ができているということを念頭に置いて、配慮していただきたいと思います。  大臣、以上いろいろ申し上げましたが、感想だけひとつお聞かせをいただいて、いま言った整備振興会を含め、それからこの過料も含めて、非常にまだ不整備な状況がある、こういうことで、春闘その他で大変お骨折りをいただいて、大臣に感謝申し上げるのですが、御苦労はいただいたことでありますけれども、やはり車検車検、別問題でありますので、一応その点をお聞かせいただいて、お疲れだと思いますけれども、御回答いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  234. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま委員から大変適切な御意見を承りました。われわれといたしまして、この法律が皆様方の御審議を経て御可決いただくならば、その運営におきましては、ただいま御指摘の諸点につきましての問題を十二分に踏まえて、遺漏なき運営を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  235. 沢田広

    沢田委員 終わります。
  236. 越智伊平

    越智委員長 三塚博君。
  237. 三塚博

    ○三塚委員 それじゃ、最後に問題点を二点ほど明確にしていただきたいというふうに思います。  各委員の質疑の中で、街頭検査の問題でありますが、どなたかの質問に対しまして、一万六千名程度の街頭検査の出動人員を予定いたしておりますと、こういうふうに言われたのでありますが、私ども法案審議の際に、与党という立場の中で十回近い議論をいたしましたときに説明を受けましたのは、本改正案に基づく街頭調査は春、夏、秋、冬四回、それも陸運事務所が動員できるぎりぎりのところというところで、陸運事務所はたしか五十二か幾つあったと思うのですが、三名ないし五名が精いっぱいであります、こういう話を聞いておるわけでございます。そういたしますと、延べ千名前後の人員によりまして行われるというふうに理解をいたしておったのでありますが、この数字の差はどういうところから来ておるのかという点であります。  思うに、街頭検査というものは、軽自動車協会でありますとか事故対センターでありますとか道路公団もやっております。それからタイヤ協会も、摩耗の問題を、世界の願い交通安全という意味で、これも参加をいたしております。安全協会も津々浦々にございまして、人命尊重という観点からボランティア活動をやらさしていただいております。また、消防署もこういうことでやられておるわけでありまして、言うなれば、安全運転を心がけ、きっちりとしてちょうだいよと、こういうことでやられておるのが小一万あったように私は記憶をいたします。さらに警察も、言うなれば安全運転という観点でこの安全週間に参加をされておりますのが五千人程度あったのではないかというふうに思うております。警察は、この際は反則切符を切るというネズミ捕りの週間ではない週間で、言うなれば安全運転をしてほしいということで出動をしておるというふうに考えておるわけでありますが、私の数字に間違いがあるのかどうか、まずこの点からお聞きをいたします。
  238. 飯島篤

    ○飯島政府委員 まず、こういう街頭検査に出動するケースでございますが、いま御指摘のとおり、春、夏、秋の交通安全運動及び年末年始の総点検の際がほとんどでございます。それから、全国の陸運事務所検査要員は、千五十八人おります。それから、陸運事務所は五十三カ所、支所は二十六カ所ということでございまして、一事務所、場合によってはその支所からも出る場合がありますが、三ないし五名がチームをつくって出るということでございまして、出動回数は八百四十四回、検査関係の延べ出動人員は二千五百二十二人でございます。前回整備部長お答えいたしました出動延べ人員計一万六千六百十一人というのは、このほかに陸事の輸送関係の職員が、また別の用務を持って出ております。それが九百九十六人います。警察関係が五千人ほど、それから軽自動車検査協会、事故対センター、道路公団、タイヤ協会、交通安全協会、消防署等が延べ八千人を若干上回っております。その合計の数字を申し上げた次第でございます。
  239. 三塚博

    ○三塚委員 そこで本論に入らさしていただきますが、本法が改正をされたといたしまして、点検整備簿をドライバーの皆さんが持つということに相なります。その時点以降、整備、点検が明確に行われておるかどうかという街頭チェックには、どのような人員出動を予定いたしておるのか。また、春、夏、秋、冬四回だというふうに思うのでありますが、その数字を明確にお答えください。
  240. 飯島篤

    ○飯島政府委員 点検の指示をいたしますのは、最終的には検査官の職務になります。全国で千五十八人と申し上げましたが、正規の検査官はそのうちの約半数でございます。それで、これを頭にして、あと補助者が出るということで、現在程度の街頭検査を一応予定いたしております。
  241. 三塚博

    ○三塚委員 そういたしますと、専門官は目視して整備——これは車体を見るわけでありませんで、点検整備簿を見るわけでありますが、補助員を入れて千五十八人程度が本法の改正後に街頭チェックに出動する、こう理解してよろしいですね。
  242. 飯島篤

    ○飯島政府委員 補助員としては、検査要員以外に整備事業の監督をしておる要員がございます。それが補助員として出るケースもあるかと思います。検査要員につきましては、御案内のように本来の検査という業務を持っておりますので、場合によって補助員はそういう形になるということでございます。
  243. 三塚博

    ○三塚委員 そういたしますと、千人足らずの方で街頭調査、チェックをやるわけですね。ここで問題になりますのが、一年間に千人程度、そうしますとわが宮城県では、五十県で割りましてもこのうち二十人、一年間に二十人ということですと春、夏、秋、冬で五人ということであります。五人でどれだけの自動車がチェックできるのかということは、ここが大変論議の存するところであります。  よって、私どもは、この問題についてこの際明確にさせていただきたいと思うのでありますが、五人や六人で一回出動いたしまして、大量の自動車点検ができるはずの相談ではありません。これは自家用に乗っておられる皆さんを対象にしますれば一番多いわけでありますから、これは大変であります。沢田さん、自分が言いっ放しで帰ってしまったのでありますが、聞いてもらいたかったのでありますが、沢田さんが言うようにその他の車両、タクシーとかバスをとめてどうこうするというのも大変な問題であります。よって、不正改造暴走族とダンプの問題が、人命尊重という観点から重大な社会問題を起こしているのでありますから、不正改造暴走族とダンプに限ってこれを行わざるを得ない数字ではないかと思うのでありますが、法律的に言いますと、そういうことになるのではないでしょうか、いかがですか。
  244. 飯島篤

    ○飯島政府委員 街頭検査に際しましては、保安基準に適合していない車あるいは適合しないおそれのある車、いわゆる整備不良車両の発見というのがまず第一になると思います。それから、この法律案にあります定期点検の励行を図るための行政指導ということになりますが、おのずから限界がございますので、対象は重点をしぼって実施せざるを得ないというふうに考えております。御案内のとおり、この制度の対象はすべての車種を含んでおりますので、その点をお考えいただければ、私どもが重点をしぼらざるを得ないだろうということはおわかりいただけるかと思います。
  245. 三塚博

    ○三塚委員 そうならざるを得ないと思います。専門的な業務に携わっております陸運事務所の諸君が街頭に出ましても、専門家ではございませんから、そういうことであるということになりますと、大方自家用の諸君がこのことに該当しないということは明快になってきたところであります。  そこで、過料の問題を申し上げたいと思います。  過料は、先ほど十万円、十万円と言っておるのでありますが、明快に百十二条には「十万円以下の過料に処する。」となっております。本件も、与党という立場でありますから、一万円、二万円、五万円という議論が大変出たことも事実であります。と申しますのは、義務者であるドライバーの方は、点検を明確にしてまいりますことが自己の生命にも関係してまいります。公害防止という国民の願いにも関係してまいります。さらには安全性という、まことに他人の生命を尊重する自動車を持つ者の義務にも合致してまいるわけであります。そういう点から考えてまいりまして、これを訓示精神規定ということで、自己の生命、他人の生命を尊重する、さらに安全、公害という観点からこのことをしてまいりますことが、立法の趣旨からいってきわめて正しい、こういう議論をさせていただいてきたところでございまして、これが十万円に相なりましたのは、法務省が年度がわりから過料は大体一律に十万円にしたい、こういうことで、当然政府でありますから、こういう法的な問題については法務省との連絡調整が行われるわけでございますが、そのようなことを聞いたのでありますけれども、原案はたしか五万円前後のように記憶をいたしております。その点、明快にお答えをください。
  246. 飯島篤

    ○飯島政府委員 この点検指示制度は、街頭検査等に際しての行政指導を実効あらしめるものにしたいということから起案いたしたものでございまして、過料の額につきましては、政府として、法律が新しくできる場合あるいは罰則について改正が行われる場合には、時代の変化に対応いたしまして物価等をにらみながら改定をするということが、事務次官会議におきまして法務省から意見が披露され、それで考え方が統一されているということで、私ども、この額の決定につきましては、刑罰を含めまして過料につきましても、すべて法務省に御相談をして決めているところでございます。
  247. 三塚博

    ○三塚委員 そのとおりであろうというふうに思います。  そこで、この過料が十万円以下でありますから、これは裁判官の判定によるわけでありまして、以下ということは、一万円もありますし三万円もありますし五万円もあります。最も悪質な者が十万円、これは常識上こう考えられる点でございます。量刑でございますから判定はそちらでありますので、自動車局長はなかなか答弁のしにくい、先ほどもそういうことであったと思うのでございますが、この点はそういうふうになると思うのであります。  報告を義務化、ない場合には十五日で直ちに自動車局の方で裁判所の方に書類を申請いたしまして、こうであります、と言うのでしょうか。それとも、あなたのところは十五日たってもまだ点検の報告がございませんけれどもいかが相なりました、という催促を行われるものでありましょうか。  私の見解は、こういう場合にはそういう催促をすることが正しいというふうに思います。特に定期点検の場合、チェックをするのは自分であります。これは第三者機関でやるべきだという意見もあったのでありますが、あなたは点検しておりませんねと言われますと、それを十五日以内にやるのでありますが、チェックをいたしまして、これで大丈夫だということに相なりますと、チェックをいたしましたといって写しを出せばそれでオーケー。ですから、ここにちょっと問題があるのです。問題がありますけれども、善意なユーザーのそういう義務という点に最大の信頼源を持つということで、さようにされたと聞いておるのでありますが、前段の、十五日に報告が来ませんところで直ちに裁判所にそれをやられるのかどうか。催告が行われてしかるべきだというのが私の見解でありますが、いかがでしょうか。
  248. 飯島篤

    ○飯島政府委員 そこへいきます前に、この点検の指示を、そういう定期点検を励行していないということが判明した場合に、すべての場合にすぐ出すかどうかという問題がまずあるわけです。これについても、車種によりましては自主的に定期点検が行われるべきであるという基本を頭に置きまして、運用に慎重を期したいと考えておりますし、また、指示が出されてから十五日以内に報告がなかったという場合につきましても、いま先生御指摘のとおり、督促をいたしまして、どうしても出していただけないという場合に初めて裁判所へ通告という手続に運用をいたしたいというふうに考えております。
  249. 三塚博

    ○三塚委員 大変明快になりました。  先般参考人においでいただきまして議論をいたしましたのも、実は自動車を持つ人が最小限、自分の車を点検してまいりますことは最大の義務であります。このことは、自己の生命、そして相手方の生命を尊重するという民主主義社会の基本的理念でなければなりません。こういう形で精神訓示規定を置き、それを進めることは、本来理想的な民主社会からいいますとかけ離れておるのでありますが、残念ながら現実はなかなか、JAFの代表の方が言われましたとおり、メカに弱い、またいろいろとドライバーの方々があなた任せという、自動車は乗って乗りっ放し、こういう感じのところにJAFの運動精神とはなかなか一致しない、そういう問題点があったことを指摘さしていただいたところであります。こういう点で、ただいま自動車局長から、督促をしながらやられる、こういうことでございますので、その点は了解いたしました。  最後に一点、これで適用をされる、年間どれくらいを想定されておるのか。ネズミ捕りと言われるところは、最初はこれと同じことであったわけでございますが、反則金財源が足らないとき、一生懸命隠れてつかまえて財源を取るという嘆かわしい現況に相なりましたことは、交通事故による死者が多いということのうらはらな関係で、これもやむを得ないのかなというふうに思うわけでございますが、なかなか年四回、千人足らずの方によりまして、一県二十人程度一年間、さらにそういうことで運動を展開される中で適用されるケースというものは、私の推測、またいままでの体験からいいますと、ほとんどまれであろう。言うなれば不正改造、何回言ってもあの連中は聞かぬわけでありますから、ばんばかばんばか鳴らして、えらい音で走り回る。またダンプも、これは煙をまいて走る。これも大変なことであります。こういうところに焦点を合わさしていただきますならば、大変この法律の精神というものは明確に生きてまいりますし、そのことは国民の信頼と期待にこたえられるものである、こういうふうに思うわけであります。  以上について、その適用される件数が、なかなかむずかしくて、これは何とも言いがたいところであろうと思うのでありますけれども、その辺ひとつ御答弁をいただければ……。まあ、いまのところ、ほとんど皆無かもしれませんし、一生懸命やってみます、こういうことかもしれませんが、最後にひとつ御見解を。
  250. 飯島篤

    ○飯島政府委員 五十五年度の街頭検査でチェックをいたしました車両数は約九万三千五百両ぐらいでございます。  先ほど申し上げましたように、現在はむしろ整備不良車両についての取り締まりというものを実施いたしておりますが、整備不良率が二一%ぐらいございまして、整備命令を出しているわけでございます。ただ、整備命令のケースにつきましても、使用停止という措置ができるわけでございますが、通常の場合、整備命令を発しますれば、きちっと整備をしていただける、要するにユーザーが協力していただくということでございまして、実は使用停止まで至ったケースはほとんどございません。  点検の指示制度を今度運用いたしましても、もちろん対象は重点的にせざるを得ないことと思いますが、指示を出すほかに、たとえば勧告とか本当の意味の指導にとどめるというケースもあるでしょう。それから、点検指示を出した場合でも、まずユーザーが指示に従って所要の点検をし、報告をしていただけるものと考えられますので、過料の手続まで至るというケースはほとんどまれではないかというふうに考えております。
  251. 三塚博

    ○三塚委員 これで終わりますが、各野党の委員各位もうなずいて聞いておられましたので、大方御理解を得たものと思います。  それでは、終わらしていただきます。
  252. 越智伊平

    越智委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明十四日午後四時理事会、午後四時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十五分散会