○辻(第)
委員 どのように
答弁をされようとも、
本質は
使用者の
自主性を侵す問題であり、このような問題、
事柄の
性質上、
罰則はなじまないというふうに
考えます。この点については、私
ども、この
罰則というものは撤回をされたいと強く要望するものであります。
次に、確かにいまの
時点、
自動車の安全の
確保、また
公害の
防止という
観点は非常に重要な課題であるということもよくわかります。私も、命や健康を守ることを仕事にしてきたという点からも、本当によくわかるわけであります。そして、現状を見てみましても、
昭和五十四年で
検査対象車両の死亡、
重傷事故は、
車両に原因した
事故件数が年々減っておるようでありますが、まだ年間四百九十六件もあるということ、その割合は一・三%ということでありまして、これはこの数字に出てこないものもまだたくさんあるわけでありますから、大変なことだ。また、
陸運事務所が
街頭で
検査をされるその
検査結果でも、
検査が行われた全
自動車のうちの約二〇%が
保安基準に不適合だ、こういうことを見てみましても、安全の
確保の問題、またもう
一つの
公害の
防止の問題は、本当に重要な
観点だと思うわけであります。
しかし、そうは言っても、
定期点検の問題について
罰則を
適用するというのはどうしても私は納得できない、なじまない問題ではないかとさらに
指摘をしたいというふうに思うわけであります。そういうような
罰則で強要するよりも、事の
本質というのは、まず
ユーザーがこの問題を
十分自覚をして、そして自主的に
点検し
整備をしていく、良好な
整備の
状態で車に乗るということ、これが一番大切な問題ではなかろうか。そうするためには、
ユーザーやあるいは
整備業者が車を
点検、
整備しやすい
条件をつくっていく、そういう自主的な
努力を促すための
措置というものがもっともっと重要ではないかというふうに思います。先ほど来
お答えになっておりました
手引書の問題だとか、あるいは
検査項目の
簡素化の問題、あるいは
記録簿の
整備の問題などいろいろおっしゃいましたけれ
ども、さらにさらにその点について十分な
対応をとっていただきたい、こういうふうに思います。
それから、そういう
観点でいきますと、
交換部品をもっと
改善をする、あるいは
整備保証制度というものをもっと充実させていく、あるいは
整備業者の側で言えば、適切な
料金だとか、それから
ユーザーが
点検を受けるときに、あるいは
整備を受けるときに大体どれぐらいかかるのかということがわかりやすいようにやっていく、そういうことも本当に必要だろうというふうに思うのであります。私も大方十数年、車に乗っているわけでありますけれ
ども、
点検、
整備が本当に必要だということの
啓蒙と申しましょうか、そういうものが非常に不足しているのではないかと私は
考えます。
このごろ
自動車の性能も確かによくなってまいりました。
耐久性もよくなって故障が減ってきたということで、われわれもついつい、いまそういう
整備不良の
事故というのはそんなに起こらないものだ、
自動車というのは比較的安全なものだというふうに、知らず知らずの間に思い込んでいるという側面があります。
一方では、
街頭を走っておりまして、
酔っぱらい運転、
酒飲み運転の問題だとか
スピード違反の問題、こういうものは
街頭にでもいっぱいあって、ああこれは注意しなければいかぬなということが絶えず目につくわけでありますが、
整備不良の問題についてはおおよそ目につかないですね。いわゆるそういう点での
啓蒙と申しましょうか、
指導というのは嫌な
言葉ですけれ
ども、そういうものがこれまで余りやられてこなかったということは私は否定できない事実だというふうに思うわけであります。
ですから、私は、先ほどいろいろ申し上げましたけれ
ども、
ユーザーや
整備業者あるいは
メーカーもいろいろなデータを公開するとか、
交換部品の
改善とか
耐久性のあるものにするとか、
メーカーもさらにみずからの
責任を全うするということも必要だというふうに思います。こういうことをもっともっと十分にやっていただく、そのことが本当に十分な
点検、
整備がされて安全な運行ができる一番の
保証であるというふうに思うわけであります。
今回の
改正案については、
罰則というようなことが、しかも突如として出てきた。私は、あれは三月だったと思いますが、
運輸省からレクをお聞きしたときにはこの
罰則の話が出てなかったような気がするのですが、突如として出てきたというようなこともあるわけであります。こういういろいろな点で納得できない。もっとそれぞれが力を合わせて、車を
点検、
整備しやすい
条件をつくる、そういう
自主的努力を促す、ぜひそういうような
措置を強力にとっていただきたいと強く要望するわけであります。
その点についての御見解を承りたいと思います。