○四ツ谷委員 特に私が注目したいのは、その九隻のうちで実験をした船、これは
調査員がお乗りになるのですから、実験の密度が濃いわけです’が、実験をした船四隻がコンテナ船ですね。実験できなかった船五隻のうち
タンカーは三隻で、これは全部狭水道での実験ができてない、こういうことですね。
私が前から、その十四隻の各船の実験についてレポートを全部出してくださいと言ったら、出してくださらない。先ほど
局長は、時間をかけて懇切丁寧に狭水道の実験をやりましたと——非常に危険な
タンカーは狭水道の実験をしてないじゃありませんか。
それから「各船報告の例」、これは
局長の手元にあると思うからお読みいただいたらいいと思うのですけれ
ども、I丸という船では、「船橋
当直については、大洋航海の
当直のみであったが、
船長および航海士のバックアップ体制もあり問題なく消化されている。」結局、船橋
当直については
タンカーにおいては大洋航海の
当直のみだ、こういうふうなことで、いわば
局長がおっしゃったことは、そんなに時間をかけて危険である狭水道の実験が十分に行われていなかった、九隻のうち
タンカーについては一〇〇%行われていなかったということが言えるわけですね。私は、別に
タンカーの狭水道での運航士による実験をやらなかったということを指摘しているわけではないのです。それは、
タンカーなどがもしここで
事故を起こせば大変なことになるので、実験をしようにもできなかった、そういうことをあらわしているのではないかと思います。先ほど
局長は、ずいぶんいろいろな実験をして
近代化委員会がもうお認めになったからゴーでいけ、こうおっしゃいますけれ
ども、とてもこれでは安心して——われわれ国会としては、このようなあやふやな実験の結果をたくさん残しながら、今回の
法改正をゴーと言うわけにはいかぬとはっきり指摘ができるじゃありませんか。
船舶職員法第一条の目的には、
船舶職員を乗り組ませ、船の航行の安全を図る、これを第一義の目的にしている。ところが、
近代化という名前をかりて、十分な実験もできていないという
状況で、私の方に十四隻のレポートを出してくださいと言っても出してくださらない。いまの船橋
当直の実験につきましても、もう四、五日も前から報告をしてくれと言っているのに、これが届いたのは
質問をする一時間ほど前ですよ。一体どういうことなのですか。これでは私たちは安心して、今度の
法改正で
近代化制度に踏み切ろうとしている運輸省の試みに対して、うんとは言えませんね。
もう
一つ指摘をしますと、先ほどの配乗定員が政令で変更される問題ですけれ
ども、いまこういうのを聞かせていただきますと、
近代化船の実験で確認されたものはほんの第一段階です。これから何遍も何遍も変わっていくというんでしょう。五十四年からされた実験のうちで、ごく一部分だけがいま出てきた。しかも、それもこの
近代化委員会がお出しになった「仮設的
船員像にもとづくA段階実験の評価」を見ますと、これもいろいろな問題が指摘されている。特に、見直しというのが幾つもあります。たとえば大洋航行中の一名体制、ワッチオフィサーによる
当直制、航行の安全上最も重要な狭水道や
船舶のふくそうする海域での船橋
当直には不安が残されておったり、もっと実験や
訓練が必要、こういうふうに指摘されているわけです。
また、先ほど伺いますと、運航士が配乗表の
船舶職員の欄にある三等航海士や二等航海士のところに入れかわる。
船舶職員として職務につくことができるようになる。そのようなことが全面的にできるように実験が進んでいるのか、検討ができているのか。これでは、一〇〇%とまで言いませんけれ
ども、今後変更される政令はほとんど白紙委任に等しいではありませんか。いまわかっていることしかわかっていない。それも、検討しなければいけないとか、見直ししなければいけないというふうなことがある。ところが、それについても、こういうふうに見直したとか、こういうふうに検討したというようなことが、一向に国会にも示されない。先ほど私が配乗表で、こういうふうに変わることがあり得るのかと聞いたら、まだそこまでは検討していないので今度の政令にはそこまではのっかっていません、それでは国会の審議の場では一体何をさせようというのですか。何もなしで、あとは全部私らに任せてくれ、白紙委任でやってくださいというわけですか。いかがですか。