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西村政府委員 今回の
法律改正で、代理店につきましては二以上の所属
旅行業者を決めてはならないという規定が入りました。と同時に、この反面、財産的基礎につきましては国はチェックをしないということを決めたわけでございます。
それで、こういった代理店に関する
改正によって代理店の系列化が進むかどうかという点でございますが、今日
旅行業代理店につきましては、もちろん代理店をさせるためには代理店
契約があるわけでございますが、代理店
契約では例外なく他の
事業者の代理店となってはならないということが定められております。したがいまして、今回の
法律改正は、そのような代理店
契約の考えておりますたてまえを公法上も書いたということでありまして、代理店と所属
旅行業者との関係を
実態的には変えるものでも何でもございません。したがいまして、今回のことによりまして特に系列化が進むというような問題は生じないというふうに考えております。
それから、
約款の主な記載事項でございます。
今回、標準
約款として
主催旅行につきましても
手配旅行につきましても、それぞれ
約款の中にいろいろな問題を書いていかなければならないわけでございますが、主な点について申し上げますと、まず
主催旅行でございますが、
旅行契約の成立の点で、従来
旅行契約が一体いつ成立するか必ずしもはっきりしていなかったわけでございますが、今回の
約款では、具体的に
旅行申込書と申込金が出されたとき、この
時点で成立する、そして、とかく従来問題のありました電話による申し込みというものは、電話による順位保全のための申し込みというふうに理解しまして、これは予約という
性質だというように
約款では書いていくつもりでございます。
それから、いわゆる
旅行代金でございます。
これは、
主催旅行につきましては定額だということを明示する。そして、先ほどちょっと申し上げましたように、この
旅行価格、
旅行代金の変更というのはこういった場合にだけ許されるということで、これまでは
事情変更で随時
旅行業者は一方的に変えられるような形であったものを改めていくように考えております。
それから、旅程の変更でございます。
従来ですと、
旅行業者側の都合で旅程を変える余地もあるかのような表現があったわけですが、今回の
改正をする場合には、
旅行業者側の管理外の事由が生じた場合にだけ旅程の変更ができるということにして、その場合には今度、一々
旅行者の承諾という形ではなくて、
旅行業者側が
団体を取りまとめるという点から、
旅行業者側の責任で旅程の変更をするというようなことを決めます。そして、旅程の変更をした場合の
旅行代金の精算の方式につきましても、はっきりと規定するということにしたいと考えております。
それから、
主催旅行につきましては、今回の
法律改正でも
旅程管理の責任がうたわれたわけでございますので、
旅程管理について具体的にどういうことかということを書く必要があるわけで、これが先ほどの、
一つは旅程の変更あるいは代替
手配をやるということを、はっきりとその権能を書くということになるわけでございます。
〔楢橋
委員長代理退席、
委員長着席〕
そして、どのような場合に
添乗員をつけてこのような管理をするかということをまた明示をすることになろうかと思います。
それから、
旅行の解除でございます。
これは従来まで、最低催行人員という
一定の
団体の
規模まで達しないときは解除するということが決まっていたわけですが、これの
実施期日、解除をするかどうかを決める期日を一体いつにするかということを非常に明確に決めなければいけないということ、そして解除が、
旅行業者側の都合で解除することがないように、解除できる事由を制限しまして、天災地変とかそういったことに限るような趣旨を明確にしたいということでございます。
それから、これは
旅程管理業務の
一つのあらわれでございますが、
団体の秩序を乱すような勝手な
旅行者が出た場合には、今度
旅行業者側が、そのような
旅行者を
団体から排除することができるという権能を具体的に書きまして、今度は逆に
旅行者側がそのことに対して異議が言えないような、
旅行者側として当然守るべき道筋というものを明らかにしていきたいというように考えております。
そのほか、
一定の
事情ができたために
旅行の継続ができない
事態になった場合の、両当事者側からする将来に向かっての
旅行契約の解約の権能を示すということ。
そして一番大きい問題が、
旅行業者が
一定の補償責任を持つということでございます。
これは、
交通機関あるいは
宿泊機関の
原因で
事故が生じた場合に、
旅行者に生命、身体、財産の損害が生じた場合に、
旅行業者も自分の責任で
手配をしたということとの関連で、
一定の額の損害を補償するということを
一つの
制度にしようということでございますので、これを標準
約款には取り入れていくということが必要であろうかと考えております。これは、
約款上は具体的に額を明示していくことになろうかと思います。
そのほか、包括
手配旅行につきましても、
旅行契約の成立の時期、これは
旅行引受書の交付の時期というようなことを書く、あるいは
旅行価格につきましては、定額でやる場合、あるいは精算でやる場合等、どういう場合に
旅行者側の
申し出で、どういう方式でやるかということを決めること。
それから、旅程等の変更についての変更権が、両当事者いずれの側もあるということ等を決めて書いていきたいということでございます。
全般を通じまして、従来問題が不明確であった点を明確にする。それから
手配旅行、
主催旅行、それぞれの
旅行契約の本質に従った責任を明確に書いていく。あいまいな点をなるべく残さないようにしていごうというのが今回の標準
約款作成に当たります
運輸省側の考え方でございます。