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中村説明員 十九日に、
事故発生以来十日たったということもございまして、また今回の
事故に対します国民的な関心の深さということも考えまして、小坂
運輸大臣に、そのときまでにわかりました事実を御
報告申し上げたわけでございます。
その事実につきまして、概要を御
報告申し上げます。
まず、二月八日、
事故前日の
飛行の際に異常な
飛行が行われたということが、フライトデータレコーダーの粗い解析によってわかっております。
事故機は、
事故前日に、
事故当時の
乗組員、同じ
機長、副操縦士及び
航空機関士により、東京から
福岡へ運航されております。この
飛行機が
羽田を離陸いたしまして約四分後くらいに、通常ならばきわめてスムーズな上昇旋回を行うべきところ、十秒間に千百フィートという通常の下降の倍以上のスピードで急激な降下を行って、直ちに上昇に転じたという事実が明らかになっております。この当時、気流の乱れがあったということはないようでございまして、このような
飛行はパイロットの何らかの操作によるものというふうに考えております。ただし、パイロットのうちのどちらの方が、どんなときにどういう操作を行ったかということにつきましては、これからの
調査を待って明らかにしていきたい、こういうことでございます。
それから、
事故当日の
飛行でございますが、フライトデータレコーダーの記録によりますと、最後の約五秒間にかなり急速な降下をしながらも、
飛行機は降下をしますと普通はスピードが上がるものでございますが、このケースの場合には、対気速度が減少するという
飛行経過をたどった形跡が強いということがわかっております。こうした
飛行経過を現出せしめるためには一体どんな条件が必要なのか。たとえば操縦桿を押したのかどうか、あるいは逆噴射をしたのかどうか、あるいはこの双方の操作をしたのか否かといったようなことも含めまして、今後
調査を進めていくことによって明らかにしてまいりたい、かように考えているということを御
報告申し上げました。
それから
ボイスレコーダーの記録、これは最後の三十分間ほどしか記録されておりませんが、そのうちでも最後の二秒ないし三秒につきまして粗い解析が終わったところでございまして、その結果は、対地接近警報装置の人工音声によります警告でございますグライドスロープという言葉が入っておりますが、これを二度繰り返す二度目の最後の方に、キャプテンやめてくださいというのが重なって続きまして、その直後にががーという短い衝撃音で終わっておるということが明らかになっております。
エンジン音の変化については、なお現在
調査中でございます。
それから
機体、エンジンにつきましては、実はけさ、右主翼が台船の上に乗ったのではないかと思っておりまして、格納庫へ収納するのは、今夜、
羽田の
C滑走路が閉鎖された以降運び込むというような
状態でございまして、
機体、エンジンについてはほとんど
調査が進んでおりませんが、
現場におきます外観上の
調査の結果をもとにいたしまして、主要なものについての
報告をいたしております。
幾つか例として申し上げますと、たとえば出力を調整いたしますスロットルレバーというのは、ナンバーワン、ナンバーツー、それからナンバースリーの三つのエンジンにつきましてはフルフォワード、推力がいっぱいに出ている
状態、そういう
状態の位置に置いてございましたし、ナンバーフォーエンジンはアイドル、地上をのろのろ滑走するときに使われる推力の位置にあったというようなこともわかっておりますが、これらの位置、
状態等につきましては、
救出活動等によりまして相当動かされているのではないかという公算が大きいというふうに私
どもは見ております。
そのほか、エンジンにつきましては、真ん中のナンバーツーとナンバースリーのエンジンにつきましては、通常、着陸滑走中に逆噴射をいたしますと示すであろうような外観であったということがわかっております。
そのほか、整備記録によりますと、この
飛行機は有効な耐空証明を有しており、かつ所定の整備
点検が行われていたということも明らかでございます。
それから、
医学に関する情報でございますが、亡くなられた方の検案によりますと、前後の方向の減速衝撃というのは比較的小さかったのではなかろうかというふうに考えられております。
機長を含みます
乗組員の
健康状態につきましては現在
調査中であって、
事故との
関連はいまのところ明らかではございません。
それから、あの
飛行機の着陸を助ける装置でございます計器着陸装置その他につきましては、
事故後に行われました
飛行検査の結果、特に問題ないということが確認されている、こういうことでございます。
こういうことを
大臣に御
報告申し上げまして、今後の
調査の方向としましては、もっともっと広い分野にわたります事実を集めまして、一切の予断を入れず、その上に立って真の
事故原因をきわめたいと考えております、こういうことを御
報告申し上げたところでございます。