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1981-11-05 第95回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月五日(木曜日)    午前十時五分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月二十九日     辞任         補欠選任      山田  譲君     鈴木 和美君  十月三十日     辞任         補欠選任      高木 正明君     林  寛子君  十月三十一日     辞任         補欠選任      林  寛子君     高木 正明君  十一月四日     辞任         補欠選任      鈴木 和美君     山田  譲君      中野 鉄造君     黒柳  明君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         坂元 親男君     理 事                 北  修二君                 鈴木 正一君                 宮田  輝君                 川村 清一君                 中野  明君     委 員                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 熊谷  弘君                 藏内 修治君                 古賀雷四郎君                 下条進一郎君                 田原 武雄君                 高木 正明君                 中村 禎二君                 三浦 八水君                 坂倉 藤吾君                 村沢  牧君                 山田  譲君                 鶴岡  洋君                 下田 京子君                 田渕 哲也君    国務大臣        農林水産大臣   亀岡 高夫君    政府委員        農林水産大臣官        房長       角道 謙一君        農林水産省経済        局長       佐野 宏哉君        農林水産省構造        改善局長     森実 孝郎君        農林水産省農蚕        園芸局長     小島 和義君        農林水産技術会        議事務局長    川嶋 良一君        食糧庁長官    渡邊 五郎君        水産庁長官    松浦  昭君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察官   塚原 喜朗君        国土庁土地局土        地政策課長    木内 啓介君        海上保安庁警備        救難部警備第一        課長       田辺 淳也君        建設省計画局宅        地企画室長    黒川  弘君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (市街化区域内の農地等に関する件)  (消費者米価及び政府所有米保管管理状況等  に関する件)  (チチュウカイミバエの防疫問題等に関する件  )     ―――――――――――――
  2. 坂元親男

    委員長坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨四日、中野鉄造君が委員辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 坂元親男

    委員長坂元親男君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 きょうは問題としては二点、先に宅地並み課税の問題について国土建設、農水、それぞれに見解をただしていきたいと思います。  最近の新聞によりますと、建設省国土庁が深刻な宅地供給不足を打開をするために土地称制全面見直し作業を行って五十七年度改正案の骨格が固まった、こういうふうに報じられておるわけであります。同時に、市街化区域内農地宅地並み課税、これについても検討が行われておる、こういうふうに言われております。  そこで、まず国土庁それから建設省、これは農水省に先に見解を尋ねていきますと答弁がしにくかろう、こう思いますので、先に国土建設関係のところに質問をいたしたいと思いますが、いいですね。  宅地並み課税検討作業のいわゆる進行経過、まずこれを説明をいただきたいと、こういうふうに思うんです。
  5. 木内啓介

    説明員木内啓介君) お答え申し上げます。  現在、三大都市圏一定市街化区域農地について行われておりますいわゆる宅地並み課税昭和五十七年度以降の取り扱いにつきましては、御承知のように、地方税法の附則十八条で三年おきに検討するということになっておりますので、五十七年度目当てに現在検討中であるわけでございます。  それで、検討方向でございますけれども、これにつきましては政府税調答申がございまして、昭和五十五年度の税制改正に向けます答申といたしまして、「長期にわたり営農継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、新たにC農地課税適正化措置対象に加えるとともに現在課税適正化措置が講じられているA農地及びB農地に対する課税強化するため、十分な検討を行うべきである。」という答申がございます。この趣旨を踏まえまして、現在関係各省と協議しつつさらに具体的な検討を急いでいるところでございます。
  6. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 建設省は、第四次住宅五カ年計画が五十六年――六十年にかけて七百七十万戸ですかの予定で発足をしているわけですが、これとの絡みはこの市街化区域内農地の問題についてどうなっておるのか、その辺をひとつ説明してくれませんか。
  7. 黒川弘

    説明員黒川弘君) 住宅建設五カ年計画が本年決定されましたけれども、それに伴いまして五カ年間に必要とする建てかえ以外の住宅建設戸数をペースにしまして、五カ年間に新たに供給する必要がある宅地としまして全国で六万二千五百ヘクタールという見通しを立てまして、それに向かって各種の総合的な施策を展開したい、こういう考え方でおります。
  8. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 この三大都市圏にですね、いわゆる都市計画区域内の農地、これはどれだけあるんですか、七万三千ヘクタールというふうにも聞いておるわけですが。
  9. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 三大都市圏市街化区域内の農地面積は八万六千百二十三ヘクタールでございます。
  10. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 今回の検討の中に、宅地並み課税強化に当たって、いわゆる従来のC農地、これへの拡大の方向というのはどうなっているんでしょうか。
  11. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 先ほども若干触れましたように、政府税調の五十五年度の税制改正にかかわる答申の線にございますように、A、B農地からさらにC農地に拡大すべく検討を行っている段階でございます。
  12. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そういたしますと、市街化区域内農地の中にはいわゆる生産緑地法に基づく承認を受けた農地、それから先般成立をいたしましたいわゆる農住組合法に基づく営農団地、この二つが当然含まれてまいりますが、現行生産緑地法における承認農地面積あるいは農住組合法によって大体どの程度になるのか、それを含めて一つ見通し、これが立てられていると思うんですね。したがってその問題と、それから宅地並み課税はそういう法律的に承認をされ、あるいは保障をされているという農地に関しても宅地並み課税が行われるのかどうか、それは除外をされるのか、その辺ひとつ明らかにしてくれませんか。
  13. 黒川弘

    説明員黒川弘君) 生産緑地につきましては、現在、第一種生産緑地が三百二十九ヘクタール、それから第二種生産緑地が百九十三ヘクタールございますけれども、これにつきましては現在A、B農地、これは特定都市の中でございますが、で行われておりますいわゆる宅地並み課税におきましても対象から除外されております。五十七年度以降の検討に当たりましても、長期にわたります営農継続する意思のある方に対しては特別の配慮を行うという政府税制調査会答申を踏まえて検討しているところでございますので、生産緑地につきましても、事柄の性質上、対象を外す。ことが妥当ではないかという考え方で、そういう方向検討しております。
  14. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 農住組合の行う営農地区でございますけれども、現在、農住組合法を五月に施行しましていろいろ準備期間で、各方面でやっておりますけれども、正式な形ではまだ組合ができておりません。そういうことで将来のことになるわけでございますし、片や宅地並み課税についても現在いろいろと具体的な方向検討しているわけでございますので、まだはっきりどうなるということを断言できませんけれども、基本的な考え方は、すでに申しておりますように、営農継続する者については十分な配慮をするという方針でございますから、何らかの形でこの農住組合営農地区に対しても配慮ができるようにいたしたいと、そういうふうな方向検討してみたいと考えておるところでございます。
  15. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大切なところですから確認をしておきますが、現在この生産緑地あるいはこれから手続がとられるいわゆる農住組合、これらについては宅地並み課税について検討はしておるけれどもそれはむしろ外すべきが当然である、こういう立場検討しているということで受けとめていいわけですね。
  16. 黒川弘

    説明員黒川弘君) 生産緑地についてはさようでございます。
  17. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 宅地並み課税の仕組みが具体的にどうなるかと関連しますのでちょっといまのところ断言できませんけれども方向としてはそういう方向検討いたしたいと考えております。
  18. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 まあ、説明の点以外には答弁求めても出ないと思いますからそれ以上追及をいたしませんが、ぜひその方針国土庁としてもきちっと守ってやってもらいたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  そこで、問題なのは生産緑地法あるいは農住組合法のこの枠外に置かれる具体的な営農実態ですね。これは前に私自身農住組合法案審議の際にも申し上げましたが、農協の調査、その当時の調査からいきましても、いわゆる市街化区域内農家のうちの四五・五%に当たる者が将来営農意思表明をしている、こういう実態が明らかになっているわけですけれども、そういたしますと、たとえば農住組合の場合にいたしましても、持ち寄る土地のいわゆる一ヘクタールという足切りの問題がございまして、それ以下のところの将来継続営農意思のあるところだとか、幾つか今日の都計法から枠外に外すべき課題のものについての実態と漏れるところが出てくるわけですね。そこの問題を一体どういうふうにこの宅地並み課税の場合にお考えになるのか。この辺は国土建設、それぞれはどう受けとめられておるのか。ここのところをひとつお伺いします。
  19. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 長期営農希望者につきましては、たとえば徴収猶予というふうな方策で営農継続を図られるような措置検討したいと考えております。
  20. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そうしますと、将来にわたって営農意思表明する機会というのは、それぞれの現に営農を行っておる一人一人からそのことの確認行為が行われるというふうに理解していいわけですか。
  21. 木内啓介

    説明員木内啓介君) まだ詰めは十分でございませんけれども先生の御指摘のような方向検討がなされております。
  22. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 そういたしますと、従来から問題になっておりましたのは、いわゆる土地値上がり待ちと思われるような、営農しているのかしていないのか、見てみると何かつくっておるけれどもこれはどうもまじめにやっているわけじゃない、こういったところが、言うならば社会的に土地不足をしているのにこれはどうなのかという立場で逆に都市農業に対する物の見方をゆがめてしまっている向きが幾つかあるわけですね。それらと、具体的に営農意思表明とのかかわりというものはどういう形で詰めようとされておるのですか。
  23. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 市街化区域内におきまして、まあ表現は悪いんですけれども、いわゆるべた一面に市街化区域内の農地をつぶしてしまうというふうな、そういうことを考えているわけではなくて、市街化区域内におきましてもある程度計画的にあるいはまたある程度長期に安定的に農業継続したいという方々につきましてはそれを可能にするような方向検討したらどうかということがわれわれの検討の主眼でございまして、その確かめ方はあくまでも主観的には農業経営者意思によって決めていただくと。ただし、単なる意思が余りにも主観に偏ってはいけませんので、たとえば農地課税審議会等の客観的な機関がそれをオーソライズするというふうな形でできたものにつきましては一定期間徴収猶予――たとえばの話でございますけれども一定期間徴収猶予という形で猶予しておきまして、それで一定期間が終了と同時に免除というふうな方向を考えたらどうかというふうなのが検討の粗筋でございます。
  24. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 大変むずかしい作業を行うことになりそうなんですがね、いまの話ですと。まだ検討中のことですから、そうするという話ではなかろうと思いますがね。  そうしますと、私がいままで論議を――きょうじゃありません。いままでを通じて論議をしてまいりました形の中では、むしろ市街化区域における土地有効利用という立場からいって、むしろ市街化区域線引き内に農地があることの方がむしろ問題だという意識から、いまの御答弁聞いてますと、市街化区域内の農地もあっていいんだ、それはそれぞれの土地所有者農地所有者の強い意思、しかも営農していくというその意思が尊重されるんだ、こういうふうに従来の姿勢から見ると変化をしたように私としては受けとめられるんですが、大変結構だと思うんですが、そういうふうに受けとめていいんでしょうかね。
  25. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 農住組合法を御審議いただいたときの議論にもございましたように、農住組合も、御承知のように一定期間営農を秩序正しくやっていただくというふうな者には、片や営農を認めて、片一方では宅地も供給していただくという両立方針を打ち出しております。ただ、市街化区域は御承知のようにおおむね十年には市街化すべきという制約がございます。そういうことでございますので、長期的と申しましても、未来永劫かどうかという話ということでなくて、当面の間、十年ぐらいの間というふうなことで営農をしていただくということも認めていると申しますか、そういうことを考えながら制度を考えているというのが現状でございます。
  26. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 一応十年を区切りにしていることは私も承知をしているわけでありまして、そういたしますと、先ほど言いましたように、本来は宅地並み課税を課すべきだと。しかし営農意思があって、その辺があいまい、あいまいというとおかしいんでしょうけれども、暫定的に税の徴収猶予をする、猶予をして評価をするという段階で、その評価の仕方というのは大変むずかしくなりますね。そうなりませんか。具体的にその間の土地利用のいわゆる農地としての成績が上がっているかどうかということが、これが徴収するか免除をするかの分かれ道になるわけでしょう。そうしますと、その辺の判断というものは、これはこの宅地並み課税にきわめて意欲的になられた国土庁が責任を持ってその辺をやろうとされるのか、その辺は一体どういうことになるんでしょうか。
  27. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 先生に突っ込んだ質問をされたわけでございますけれども、その点いろいろ含めましていま検討中でございますので、よろしくお願いします。
  28. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 ちょっと質問を変えていきますがね。  そこで、じゃ市街化区域内の農地以外の未利用土地、これはきわめて問題になるところですね。この市街化区域内の農地以外の未利用土地、たとえば企業が持っている、あるいは地方自治体が持っている、場合によっては個人が持っている、こういうようなところはいわゆる全国規模でどの程度あるのか。それから首都圏あるいは近畿圏中部圏、大体三大都市圏が一番の宅地難という立場に追い込まれておりますから、それらに分割をしてみて一体どういうことになっているのか、その辺は実態はいかがですか。
  29. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 国土庁調査によりますと、資本金一億円以上の企業昭和五十五年度三月末現在の土地所有状況についてでございますけれども全国ベース販売用土地が約九万六千ヘクタールほどございます。そしてこのうち三大都市圏には約二万五千ヘクタールほどございます。さらにそのうち三大都市圏市街化区域内農地としましては市街化区域内には七千二百ヘクタールございます。それで、その七千二百ヘクタールに関してでございますけれども、そのうち企業がすでに工事等に着手しているものが約六一%ございまして、未着手の状態にあるものが残りの三九%の二千八百ヘクタールほどになっております。それからまた国公有地等につきましては、私どもの手元にそういう調査ございませんけれども、一般に一定行政目的を達成するために取得保有されているものでございますし、宅地供給源としましては量的にはそう多くは期待できないところであると思われますけれども、その活用を図るということは重要なことだと存じます。で、この活用等につきましては、さきの七月の二十八日に住宅宅地関係閣僚連絡会議の結論にもございますように「国等の所有する土地の処分に当たっては、良好な住環境の整備等に資するため、極力、公用・公共用の用途にあてるよう配慮する。」というふうなことがうたわれております。そういうふうなことでこの処置は重要なことだとは考えておるわけでございます。
  30. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いまお答えになりましたように農地以外の未利用土地ですね。これは立地条件その他いろいろ問題点はあるんでしょうが、少なくともここを有効に活用するというのは、大規模のところはほとんど終わっちゃっている、小規模のところが残っている、それらを集めてきていま言われたような数字になっていたりいろいろするんでしょうけれども、中にはまだまだぱっと見てわかる、十分に住宅建設の可能なところが放置をされている。こういうところもあるわけでして、それらの対策をやはりきちっとしてもらうことがまずこれは第一だろうと思うんですよね。次の段階になってきますと、どうしても農地に目をつけられるということはこれはわかる。  そこで、先ほどの問題に返ることになると思うんですが、営農長期にわたって行っていく意思を持っておる者、それからそうでなくて宅地並み課税をかけることによって、具体的に農地を放棄しまして、いわゆる宅地化の可能といいますか、そういうふうに進んでいくであろうと思われる、この辺の推計はどういうふうになりますか。
  31. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 先生の御質問は、宅地並み課税の実施によりまして具体的にどのくらいの農地宅地化される予定かという御質問ではないかと思われますのですけれども、具体的に申しますと、宅地並み課税だけを総合的な宅地化対策の中から引き出しまして、その効果を数量的に把握するということは非常にむずかしいことだと思いますし、現実には他の施策等総合的になされてより効果を発揮する施策だと私たちは考えおるわけでございます。  ただ、税調審議あるいは学者諸先生意見としましても、大方の御意見と申しますのは固定資産税等のいわゆる保有課税強化というふうなのは宅地流動化土地流動化、すなわち農地から宅地への流動化を促進する傾向にかなり強い効果を有するというふうに言われておるところでございますので、私どもとしてはそういう方向で強い効果があることを期待しているわけでございます。
  32. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 新聞によりますと、片方では固定資産税全面見直しをやって、いわゆる「あめとむち」と、こういう表現を使われていますね。いわゆる「むち」の方が宅地並み課税なんですよね。そうしますと、これは前の審議の際にも申し上げましたが、結果的に宅地並み課税をかけて、いまの農業の形態から言っていわゆる山村の農業と、それから都市農業との質、基盤の問題いろいろありますけれども、結果的には営農が採算が合わない、こういうことがこれは農水省自体答弁をされているところなんですね。そういたしますと、先ほど言いましたように、生産緑地法による承認のところ、あるいは農住組合を結成してそこで営農しているところ、そこでいわゆる税金の特例措置が行われないものは、結果的には宅地並み課税をかけることによって農業自体は消滅をしてしまう、消滅させるのが市街化区域線引きなんだと言ってしまえばそれまでなんですが、そこのところはどうもすっきりしないんですね。したがって、なぜいまの段階で「むち」を使わなければならぬのかどうなのか、ここにきわめて疑問を持たざるを得ない。したがって、その辺の整理をぜひこれしてもらいたいなと思っているんです。  そこでこれは、これから農水省の方にも質問を移していきますが、その前に、御承知のように、昨年の四月に衆参で「食糧自給力強化に関する決議」を行っています。この決議はきわめて今日の状況の中で、国の政策としても基本的な問題だということになって、そしてこれはいわゆる食糧、特に基本食糧、それから生鮮野菜、こうしたものも含めての私は包括的な一つの期待というものがここに表現をされたというふうに理解をするわけですね。そういう意味からいきますと、いわゆる都市農業といいますか、もう少しずばり言って市街化区域内農業についての国全体としての見直し作業というものがこの評価の、あるいは位置づけの整理というものが行われなければならぬだろうというふうに思うんです。そういう意味合いでこの宅地を求めるということは、これもまた必要なことではありますけれども、その辺の調和というものを国土庁なり建設省なりは一体どういうふうに理解をして協議に当たっておられるのか、ここの基本姿勢ですね、これは大変むずかしいことだと思うんですが、皆さんの理解をひとつお聞きをしておきたい。
  33. 木内啓介

    説明員木内啓介君) 先ほども御説明申し上げましたように、国土庁といたしましては、まあ市街化区域内の農業を追放すると、当面追放するというような考え方ではなくて、また市街化区域内の農業も、たとえば野菜とか花卉等生産あるいは生鮮食料供給等相当役割りを果たしているというふうな現状を踏まえた上で、必ずしもこれを即座に追放するなんという考え方ではなくて、全く何といいますか、まともにと申しますか、本気で当分の間営農したいという方につきましては、その営農をするような方向農住組合法なりあるいは宅地並み課税というふうなものを制度化していきたいというふうに考えているわけでございますけれども片方やはり宅地供給が非常に不足して、現在の地価の高騰というふうなことの主要な要因はむしろ投機的な取引という形よりは実需の不均衡による値上がりという傾向がまだ続いているように考えられますので、そちらの方も重要だということで、両者を見合ったバランスの上にそういう点を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  34. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 いまの御答弁ですと、この場では何かわかったような気持ちにもなるんですがね、しかし、具体的にはその問題の解決にならないと思いますね。いわゆる都市計画自体の中に具体的に都市農業というものを一体どういうふうに組み入れていくのか、ここまで考え方が進んでいきませんと、私はきっちりした基盤をもって整理をしていくということにならないだろうと、こう思うんです。住宅も必要だ、農業も必要だということだけでは私はどうにもならぬ話じゃないかと。とりわけこの都市計画に伴っていわゆる市街化区域内の線引きをするということは、先はどちらっと出ましたように、明らかにどんどんとそこでは農地をもっと有効に利用のできる方向に変えていこうということが具体的に働いているわけですね。だから、これは言葉をかえて言えば、市街化の区域の線引きをした中においては、農業は締め出してしまおうということが原則としては法のたてまえから言ってあるわけですね。だから、これを私はやっぱり見直しをしていくということがなければ、都市農業に対する評価がきちっとしたことにならない、位置づけにならない、こういうふうに考えるわけなんですよ。そこのところまでぜひ前進をさしてやっぱり検討をいただきたいなあ、こういうふうにこれは申し上げておきます。  で、いま言いましたことを、これは大臣ね、農水大臣としてどういうふうに御理解をされるのか、いわゆる宅地並み課税あるいは都市農業に対する基本的な考え方は一体どういうふうにお持ちなのか。幸いといいますか、きょう偶然にも日本農業新聞で「都市農業立派に役割」、「農水省が第二臨調に資料提出」、この資料の中からもですね、都市農業に対する評価というのはきちっとすべきであるという立場の掲載がされています。これらを踏まえて農水省、特に大臣としての政治的基本的見解、これをひとつお聞きをしたい。
  35. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 宅地並み課税は、市街化地域については十年間の間に市街化としての態様を造成をしていくということを前提として市街化区域から宅地並み課税を取っていこうということで、そうすれば、まあ農家も青い税金を取られるんではということで、そこをあけてほかに移るんじゃないかというようなことでこの立法がなされたと承知しております。ところが、その結果は惨たんたるもので、まあ農家はむしろそういうふうに高い税金で出ていけというんなら、絶対出ていかぬ、宅地も出さぬ、こういうような空気になりまして、いずこの市町村においても一遍取っては返したような形にしておさめてきた。そういうことで、これも宅地並み課税についてはどうするかということでいろいろと検討をした結果、五十七年から具体策をさらに考えよう、こういうことに相なっておるわけであります。したがいまして、農林水産省の立場からすれば、もう農業あるいは漁業といいますか、養魚なんかやっている諸君もおるわけですが、そういう農業でしか生活のできない人たち、これはいるわけでありますね。これらの方々が農地がなければもう農業やれない、そういう立場を考えますと、やはり農業で家族を養い自分の一家を支えていくというそういう意思のある方、また現にそれを続けておる方、その方に高い宅地並み課税をかけるぞ、こう言ってみても、その土地は市街化地域の中にあっても生産性から言えば普通の農業振興地域の農地と同じなわけでありますから、やはりそれは宅地並み課税のような税をかけるというようなことは避けるべきである、こういうのが私ども見解でありまして、そうかといって、それじゃ片方の十年間というその制約をほっておいて都市農業を考えていいのかという問題が確かにこれは現在ぶつかってくるわけであります。これらの問題をどう解決したらいいかということはいまいろいろと検討をいたしておるところでございます。
  36. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 一部答弁をいただきましたが、基本的にいわゆる都市農業をどういうふうに位置づけをするか、ここのところの答弁がないんです。
  37. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) そこは気持ちだけ申し上げたわけでありますけれども、やはり私も都市農業実態はある程度見てみました。そうしますと、あるものによっては一割、あるものによっては二割くらい東京の都市圏内の生鮮食料品の供給地になっておるということはこれはもう確かでございまして、しかもその都市農業のために特別の品種改良がなされておる。たとえて言えば、白菜にしてもキャベツにいたしましても、いままではどちらかと言うと大きくてかたいもの、そういう種類が、品種が喜ばれたわけでありますけれども、いま核家族になりましてからその大きいものは割りますと鮮度が下がるということで、小さいキャベツとか白菜とかその他の蔬菜類、やはり核家族用の野菜というものが都市農業という中から出てきておるということ、これは私は非常に都市農業を端的にあらわした一つの例であろうと思うんです。  そういう立場からいたしますと、やはり生鮮食料品の供給地としての必要性と農業しかやれないという農家の立場とマッチして、これはやはり相当長く続いていくものであろうという感じも持つわけであります。  そこで、先ほど申し上げたその十年間の片方の制限、都市計画市街化地域内のいろいろな整備をするというその条件との間の矛盾をどう解決したらいいかということに私はぶつかってくるだろう、こう思うんです。
  38. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 矛盾は確かに整理をしなきゃならぬわけですね。しかし、その前に私はやっぱり農水大臣の立場からいきますと、たとえば農林水産省にかかわる幾つかの農業にかかわるいわゆる政策的な援助の仕方、これらも具体的には都市農業と同時にいわゆる農振地域における農業振興との制度の中にやはり問題点があるわけですね。問題点というよりも差があるわけです。そういうような状況というのは一体どこからくるのかといえば、原則としては市街化区域内の農地というものはこれはなるべく早く宅地化をしていこうということが働いているから結果的にはそうなっている。私はここのところを基本的に解決をしなければいかぬのじゃないんだろうか。しかも、今日の状況から見れば、この都市農業というものをもう少しきちっと位置づけをし、整理をしていく立場というものが積極的に展開をされなければいかぬのではないだろうか。いまの大臣の答弁からいきますと、あくまでも農家の生計維持のために農業しかやるほかはない、したがってそれを社会的に市街化区域内であっても認めていくのだという受け太刀になっているように思えてならぬのです、いまの御答弁では。私はそれをさらに一歩進めて、都市農業というものの位置づけを積極的に農水省が打ち出して、そして関係の省庁との調整を図っていくという姿勢を貫いていってもらいたい、こういうふうに思うんですが、その辺はいかがなものでしょうかね。
  39. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 確かに坂倉委員の御指摘の考え方、私はあろうかと思います。法律の改正まで考えなければならない点があるのじゃないかという感じもいたすわけでございます。したがいまして、そういう点については農水省としてもやはり都市計画の関係法との関連もございまして、農水省だけでどうこうしたいというわけにもまいりませんので、いま検討を進めさしておるところでございます。
  40. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 それじゃ検討をしておるということでありますから、期待を持っておきます。一般的に検討というと、検討はしたけれども結果は出てこないのが通例でありまして、それでは困るのでありまして、検討するためにはいい結論を求めるために検討をしていただく、こういう前提をきちっと踏まえて御検討いただきたい、こう思います。  次に、いまたとえばNHKの放映等もございまして、いわゆる宍道湖の流れのあの中海干拓、それから有明湾のいわゆる諌早干拓、いわゆる長崎県の南部絵合開発計画、これがいろいろと問題を醸しておるわけであります。このそれぞれのやっぱり経過あるいは現状が違うわけですが、この両者私は共通して思えることは、たとえば昭和二十四、五年あたりの一つ調査がきっかけになって、ちょうど昭和三十年代あたりにその干拓への方向というものが打ち出されてきて、そして三十四、五年あたりから具体的にその問題の計画が始まって、当時はやっぱり米の生産を大いに高めていこうということでありますから、もともと水田を切り開こうという立場から干拓の問題が出てきた、あるいは農業用水関係についての確保をどうするかというふうな問題が出てきたということなんですが、その後いわゆる米の需給関係が変化をしてまいりまして、結果的に水田としての干拓目的というものは明らかにこれが野菜作付になったりあるいは畜産団地になったりというふうに用途変えをしていく、そういう途中の経過というものが踏まえられてきているわけなんですね。そういたしますと、今日、まあ確かに狭い国土でありますからなるべくその国土を広げて、しかもそこを有効に使っていこう、こういう意図はわからぬではないわけですが、そのために、きわめて人間が人間らしく生活をしていくために必要な自然景観だとか環境が大変そのことによって大きく影響されるのも事実でありまして、したがって計画と当初目的というものが、たとえば利用目的を明確にしてやっていこうということになれば、それが大きく変化をする段階では、その計画の明らかな見直しその他が行われていかなければいかぬのじゃないんだろうか、こういうふうに思うんですね。しかも今月、特に世界的な規模の中で、いわゆる環境をなるべくそのまま残していこうやと、汚さないでいこうやという、こういう気持ちが大きく働いておるときに、果たしてそのまま一たん立てた計画だからということで進めていくことがいいのかどうか、ここにきわめて大きな問題点があるというふうに私は思うんです。  そういう意味から、この中海干拓あるいは長崎の南部総合開発というものはもう一遍きちっとした整理をする必要があるんじゃないのか。とりわけ長崎の南部総合開発計画については有明湾沿岸の五県の共同の意思もまだ決まってないし、この国会での審議の経過からいきますと、大分前の段階ですけれども、わが党の小柳議員が質問をいたしまして、その当時いまの鈴木総理が農水大臣であったわけですが、現地の方の意見調整が完了しない限りこれには着工しないという答弁もされているわけでありまして、そういう意味からいくとまだまだ慎重に事を運ばなきゃならぬ、こういうふうに基本的に考えるんですが、したがって中海干拓あるいは長崎南部総合開発計画、この経過と、それから現状どういうふうに考えておるのか、それについてのひとつ答弁をいただきたいということと、それから私は環境保全の立場から、本年この島根、鳥取をずっと見せていただきました。その際に、ハクチョウの問題が大きく提起をされまして、これについては環境庁の長官からも農水大臣に対して一定の進言が行われた。これに対して農水大臣の方も、そのことについては調査結果等を踏まえて配慮をしていく旨お答えになっておるというふうには聞いておるんですが、その辺のところをひとつ整理をして説明をいただきたい。
  41. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 御指摘がございました中海干拓といわゆる南総開発、それぞれ現在進行段階を全く異にしておりますので分けて御説明さしていただきたいと思います。  私ども、もちろん基本的には干拓事業は国土の造成であり、また一方においては狭隘な経営面積の拡大に連なるものとして評価していかなければなりませんが、他方現在の米の需給状況等を頭に置きまして、その営農のあり方等については十分念頭に置かなければならないし、また同時に環境保全等との関係は十分調整して事を進めなければならないという認識を持っております。  中海につきましては、御案内のようにすでに営農計画見直し作業に入っておりますし、また周辺の環境に対する影響につきましても、学識経験者で構成する委員会を設けまして、中海、宍道湖の水質、生態系の影響調査を行ってきております。いままでの報告では、干拓、淡水化、さらに汚濁の排除機能、これは潮だまりをつくったり、除塩ポンプをつくるということでございますが、こういったことで湖水の流れがよくなるとか、湖底まで酸素が届くということでプラスの面も評価されております。しかし、やはり他の条件が同じであるとすれば淡水化が水質の汚濁をもたらしやすいということも、御指摘のように私はまた否定できないところだろうと思います。基本は、干拓が行われる行われないに関係なく、下水道の整備がどの程度この地域で進むかということにかかわる問題でございますが、私どもやはりこの水質の問題には神経質に取り組んでいく必要があると思っております。その意味で、先般も環境庁長官からも今国会で御答弁がございましたが、この問題につきましては、県、環境庁と十分調整をとりながら、やはり水質の調査、必要な対策ということにこれからも配慮してまいりたいと思っております。  なお、ハクチョウの保護の問題について具体的に御指摘があったわけでございます。私ども、これ実は沿革をたどりますと、ハクチョウが中海に去来するようになりましたのはそう古い時期ではございませんが、実はたまたま干拓工事の造成中から飛来してきたというおかしな経過があるわけでございますが、現にあるこのハクチョウの保護という問題については地元からも強い要望があり、また本来そういったものを行政もこれからは十分考えていかなければならないという原点に立っております。そういう意味で、実は関係県、鳥取県、島根県において環境庁の委託で基礎調査が実施されております。  問題は、これから具体的な事業の過程でどう進めていくかという問題でございます。彦名地区約三十ヘクタールについて、現在ハクチョウの飛来している数が多いわけでございまして、これをまず当面は保護水域として、工事の過程において極力残していきたいと思っております。最終段階においてどうするかという問題については、いわゆるハクチョウの去来いたします保護区域をどういうふうに設定するかということは、これから地元県でございます鳥取県、環境庁と十分相談いたしまして、どういう内容のものをどういう負担でやっていくかということを幅広く検討させていただきたいと思っております。  次に、南総の問題についてお答え申し上げます。  南総はまだ実は事業に着手していない段階でございます。すでに新聞、テレビ等にも出ておりますので、国会ではまだ申し上げておりませんが、私ども来年の事業化の予算を組むに当たっては二つの前提があるということをはっきり申し上げております。一つは、いわゆる漁業補償についてしっかりしためどをつけていく、補償取り決めを結ぶことである。それからもう一つは、実は南総干拓については、関係県と九州農政局で構成いたします五者委員会を設けておりまして、この五者委員会に大幅な縮小案を現在提示しております。問題は、この縮小案について関係県の同意が得られるかどうかということ。これが私ども事業化についての二つの前提であるということを申し上げているわけでございます。  漁業補償の問題については、懸案の二漁協が片づいたようで、全体としてはかなり進捗を見ておりますが、まだ最後のゴールまでは来ておりません。それから五者委員会での縮小案の検討は現在進捗途上でございまして、一方においては、すでに話し合いのついた地区では漁業者も含めて事業の促進方の要望がございますが、やはりこういう二つの条件は十分見きわめていかなければならないと思っております。  なお、環境評価の問題については、実はこれは長崎南部総合開発にかかわる環境影響評価委員会という学識経験者で構成いたします委員会をつくりまして、環境評価書を取りまとめた経過がございます。これにつきましては、五十四年四月に取りまとめられたものを基礎として長崎県が県として公示いたしまして、すでに公告、縦覧、説明会を実施して同意を得られた経過がございます。  私ども、その意味においては一応の環境評価についての実質的段取りは進めているということは事実でございますが、なお今後仮に事業化するとすれば、公有水面の埋め立ての免許という問題があって、それに環境評価書をつけ、これについて当然利害関係者の意見聴取あるいは関係市町村長の意見聴取を行うわけでございますから、こういったことも十分見守っていかなければならないし、またその上に立って事業化を図るとしても図っていかなければならないだろうと思っているわけでございます。  内容につきましては、漁業の影響については、諌早湾につきましては漁業生産はこれは当然消滅するということになるわけでございますが、有明海全体については、締め切り堤防付近の一部を除いては、それほど大きな影響はないという報告、評価を受けているわけでございます。  水質につきましては、淡水湖の水質につきましては、結局諌早湾流域の将来の発展ということを考慮して予測をしなければならないわけでございまして、やはり適正な貯水管理の問題と、関係法規の遵守ということが問題だろうと思います。十分慎重に取り組ましていただきたいと思っております。
  42. 坂倉藤吾

    坂倉藤吾君 きょうはあと時間がございませんので、少しやりとりをしなきゃならぬ課題があるわけです。あるわけですが、それはやめます。  ただ申し上げておきたいことは、いまもこの諌早の問題で、十二の漁協の漁業権消滅の同意が、協議が調ったと、したがって、沿岸の十二ある漁協は全部それで完了したと、こういうことなんですが、最近、御案内のように、私どもが自然を大切にしようという立場の中で、たとえば海岸に立ち入る権利、海のものが、それはただ単にそこで生活をしておった漁業者の同意だけでいいのかどうかということが、一つきわめて大きな問題になりつつあるわけですね。これは当然の話だと思うんです。その海に釣りに行って楽しんでおった人もある、あるいは景色をながめて心をいやしておった人もある。幾つかの課題があるわけでありまして、漁協の問題が整理ができたから、それで進むんだということだけではないはずですね。したがって、そうしたところを踏まえて、やはり全体がそれをやることの方がいいんだという同意というものが前提にならなけりゃならぬだろうと思うんです。そういたしますと、いま言いました五者の会議はきわめて重要な意味を持ってくるであろうし、同時に地元の人たちの、地元というものの意識を漁業者だけに置くのではなくって、その他の問題も含めて、これはやはり整理をし直してみる必要があるだろうし、それから中海にいたしましても、大根島を前面にして全部干拓をすることが、しかも、あの地域は前回の説明でいきますと、おおむね畜産団地、畜産入植ということがですね、これが一番中心に構えられている。あそこまで海岸線をずっと埋め立ててしまうことが、果たして国民全体のプラスになるのかどうなのか。これは目的との兼ね合いの問題でございますから、そういう意味では、まだまだもう一遍、長い歴史を持っておるだけに、私は整理をし直してみる必要があるんじゃないだろうかという気がするわけであります。  きょうのところはそれだけ申し上げておきまして、またの機会にいたしたいと、こういうふうに思います。
  43. 中野明

    中野明君 きょうは三点だけにしぼってお尋ねをしたいと思います。  まず一つは、食管会計に関係して、消費者米価のことでお尋ねします。それからもう一つは、政府米の管理の状態。それから瀬戸内海の密漁の問題も、ちょっとその後の経過をお尋ねしたいと思います。最後に、農業技術の技術者の海外援助のことについて、要望を含めて質問してみたいと思います。  まず、大臣に最初に認識をお尋ねするんですが、いままあ行革で、財政再建ということで三K赤字、これは非常に大きな問題になってるわけですが、私は、同じ三K赤字といっても、一律に考える性質のものではない、中身は違うと、このように思っておりますが、いわゆる国鉄とかあるいは健康保険と食管とは基本的に認識を別にしなきゃならぬと思っておりますが、まず大臣の食管赤字に対する認識をお尋ねしておきます。
  44. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 一億一千万国民に安定的に食糧を供給をするという、それがために安定的に生産をし、安定的に輸入を図るということでありまして、特にそういう仕組みの中で食糧管理制度の果たしておる役割りはまことに重大なものを持っておると思います。したがいまして、この食管会計は、まあ赤字を出さずに運営ができれば一番いいわけでありますけれども、御承知のような過去のいろいろの経緯を経て今日のような赤字になっておることは、もう御承知のとおりであります。したがいまして、行管から指摘されるまでもなく、生産者にとっても消費者にとっても主食の支えとでも申しますか、この食管制度があるためにいま主食の心配はしなくてもよろしいという、そういう事情からいたしまして、この法律をきちんとしてまいりますためには、やはり食管会計というものがいつもやはり活力に満ちたといいますか、ほかの農林水産行政に余り影響を与えないような立場で運営されていくことが私は非常にこれは大事ではないかなという感じがいたします。したがいまして、やはり生産者から高く買って消費者に安く売るという、現在そこから出てくる赤字ですね、まあこれはできるだけ穴埋めをせよと、こういうふうに臨調からも第一次答申で指摘を受けてるわけですが、まあそれと、それからいろいろ生産調整でありますとか、食管会計の中でいろいろ仕事をやっておるわけであります。それらの仕事も、やはり需給のバランスをとれるようにしていくことによって、その出費を縮小していくことができると。その分をむしろ一般農政にもっと積極的に使っていくような方向に持っていくためにも、食管の健全、合理化を図っていくということに大いに努力をしなきゃいかぬなと、こういう考え方を持っておるところでございます。
  45. 中野明

    中野明君 赤字を出さないにこしたことはないことは私もわかりますが、国鉄とかあるいは健保の赤字と同列に扱われることは私は間違いだと。やはりこれは国の国策として、いわゆる国民の食糧を安定的に供給するという立場からいけば、やはりこの食管の赤字というのはある程度保険料と、こういう考え方も持てるし、その点はひとつ――赤字をふやせというんじゃありません。けれども、確固たるそういう姿勢ですべてに当たっていただきたい、私はこれが基本だろうと思います。そうかといって、赤字をべらぼうに野放しでふやしてよろしいということはございません、これは当然でございます。  そこで、ことしはまあ二年続き、特に東北、北海道は大変気の毒な状態なんですが、当初予定しておられたよりはやはり政府買い入れが圧縮というのか、少なくなる、そういうことで、ことしに限って言えばどうなんでしょう、逆ざやはどの程度、あるいは逆ざやがないと見ておられるんですか。三十万トンぐらい不足なんでしょう。ですから、不作であるということは予定しておったよりも政府買い入れが少なくなる、そういうことなんですか。その辺、逆ざやはどの程度になるんですか。
  46. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。  昨年、非常な不作でございましたが、幸いかなりの持ち越しがございまして、本年の十月末で約九十万トン程度の持ち越し数量になろうかと思います。最近の作況からいたしますと、恐らく来年の十月末の持ち越し量は六十万トン程度になろうかと思いますが、通常の操作であれば私ども問題がないように考えております。ただいま御指摘になりました逆ざや、それによります政府の買い入れ重なり、いま検討いたしております出回り量がどの程度になるかというようなことは検討中で、確たる数字を申し上げられませんが、一方で逆ざやの問題というのは、現在売買価格の逆ざや率は御承知のように生産者米価が〇・五%先般上がりましたので、八・三%になっておるわけでございます。過去に比べますとかなり下がってはおりますが、なお売買に伴います逆ざやが八・三%ある。これらの縮小の課題は、私どもとして今後の課題として抱えておるわけでございます。
  47. 中野明

    中野明君 そこで、この消費者米価が、臨調がそういうことを言っているということで消費者米価を上げなきゃならぬじゃないかというようなお考えが出てきているように私も仄聞しているんですけれども、しかしまあ三年連続で上がっているお米が余っているという一般国民の認識、その上に、昨日も議論いたしましたが、実質所得は目減りしている、ことしは増税をしている、公共料金は上がる、こういう情勢の中で消費者米価を上げることによって、いま一生懸命米の消費拡大をやっているときに、かえって消費者の反発を受けて、米離れをまた促進するんじゃないかという心配も私しております。この点、消費者米価の決定はこれからなるんでしょうが、ことしはこういう情勢のときですから、消費者米価を抑えると、こういう方針で臨まれるのか、その辺は大臣、どうとったらよろしいですか。
  48. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 消費者米価につきましては具体的に実はまだ何も決めておりません。ただ、先ほど来お話しのとおり、両米価の間には現在なお相当な売買逆ざやが存在をしておるということ、食管の大幅な財政負担の要因をなしておるということ、そういう事情がありますので、今後米の需給、物価及び家計の動向、その改定が生産、流通、消費など各般の面に及ぼす影響、さらに財政事情などに十分配慮をいたしまして、総合的に判断していきたいと、こう考えております。特に、ことしは四月に消費者米価を上げておりますので、一年に二回もというのはどうも私としてはぴんとこないというような気もいたしまして、これは慎重に対処せにゃいかぬなと、こう思って、実は大蔵方面からか、いろいろ新聞なんかでも出るたびに、そういうことを言ってもらっちゃはなはだ迷惑だと、こういうことで、まず食管会計の中の合理化、近代化を徹底しようということで、食糧庁を督励をしておると、こういうのが現状でございます。
  49. 中野明

    中野明君 この国民感情というのを非常に政治をやっておる者は敏感に感じ取らなければ、一時的に財政のつじつまを合わせるためにやったことが逆効果になるという場合は間々あるわけです。その辺で、ぜひこれは、臨調がいかにどう言おうと、臨調は臨調としての考えで言っているんでしょうけれども、行政改革なり財政再建をやっていくのは政府でございますから、その点はひとつ、よく国民の感情と、そして状況を見きわめた上で決定をしていただきたい。これを強く要望しておきます。  それから、行管庁が政府所有米の保管管理の地方の監察をして、実態が非常に結果がよろしくない、まことにずさんだと。新聞報道なんかは特にオーバーなんでしょうけれども、ネズミがうようよというようなことで、ああいう報道がなされると、やはりこれまた食管に対する国民の不信ということにも通じてくるわけです。状況はどうだったんですか。行管の方、ちょっと説明してくれますか。
  50. 塚原喜朗

    説明員(塚原喜朗君) 御説明申し上げます。  行政管理庁では栃木行政監察局ほか十行政監察局が本年の四月から五月にかけまして各食糧事務所管内の政府指定倉庫業者における政府所有米の管理状況調査いたしました。その結果、政府指定倉庫業者における政府所有米の保管管理に必ずしも十分でないという点が見られましたので、本年の十月五日、農林水産省に改善意見を通知したわけでございます。  その概要を申し上げますと、第一は、倉庫業者が政府所有米の保管管理基準を励行し日常の保管管理を徹底するように、系列業者団体を通じて農林水産省が倉庫業者を指導する。同時に、過剰米の処分を一層促進すること。それが第一でございます。  第二は、地域の倉庫事情等にも十分配慮しながら、指定基準に適合しなくなった本指定倉庫を逐次整理する。さらに臨時指定倉庫における保管期間の短縮化に努めること。  それから第三は、低温保管米の売却に際しましては、低温保管の効果が失なわれないうちに消費者に渡りますように農林水産省が定めております所定期間内における処理を励行すること。この三点でございます。
  51. 中野明

    中野明君 食糧庁はそれに対してどういう対策といいますか、それで現状はどう認識をされておりますか。
  52. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 米穀の保管管理につきましては、御存じのとおり、食糧庁と指定業者との間におきまして毎年寄託契約を結びまして、食糧庁が定めます要綱なり、この寄託契約に基づきます善管注意義務を果たすよう、業者に命じておるわけでございます。残念ながら、ただいまのような御指摘がございまして、実情自体からまず申し上げますと、現状におきまして御承知のような六百五十万トンにも及びます過剰米在庫というような事態がございまして、従来の本指定倉庫に比べ必ずしも十分とは思えませんが、非常緊急の際ということで多数の臨時指定倉庫も動員したというような実情もございます。それから、そうした事情から高はいと言われます積み過ぎ、非常に天井近くまで積んでおるのを高はいと申しておりますが、こうしたもの、あるいは通路の保管が十分でないというような点があったことが中心だと思われますが、一部ネズミの対策についての防除措置、これは現にネズミが御指摘のようにうようよしていたというようなことではございませんで、これを防除する措置がとられてなかったというようなこと、あるいは火災予防施設等について不十分な点があった、こうした点が事実あったと思います。  この点は私どもとしては非常に遺憾に存じております。十月五日そういうふうな御指摘に基づきまして、長官名をもちまして十月十二日に通達をいたしまして、私どもとしましては幸い過剰米の処理もかなり進展してまいってきておりますので、臨時指定倉庫なりの使用を極力少なくするように、減じてまいると同時に、ただいまお話し申しましたような高はいとかあるいは通路の保管等を改める、防鼠、防火対策など日常の保管管理につきましても万全を期するように食糧事務所なりに命じまして、食糧事務所ではこれに基づきまして内部監査をさらに厳重に措置する、かつ系列の業者団体を通じまして指定倉庫業者を厳正に指導するように命じたところでございます。また、御指摘にありました低温米の操作につきましても極力所定の期間内に受け渡しが行われるよう食糧事務所や販売業者を指導する通達をいたしまして、趣旨の徹底を図るように措置したところでございます。
  53. 中野明

    中野明君 大切なお米なんでぜひ管理はちゃんとしていただきたいと思います。  それからもう一点は、この食管法が改正されて守れる食管にするということで、来年の一月から新食管法が施行されるわけですが、そのために不正規流通といいますか、やみ米業者、これに対する実態調査を図っておられるんですが、せっかく法律ができたわけですから、やはり守れる食管法ということで、これは正規の業者が困らないような、そういう処置をとられることが私は大事だろうと思います。そういうことでいま調べておられるというようなんですが、状況はどんなことなんですか。大体把握できたんでしょうか。
  54. 渡邊五郎

    政府委員(渡邊五郎君) 御指摘のように、改正食管法が守られる食管法にいたすためには、やはり何といいましても御指摘のようなやみ米の追放、いわゆるやみ米と言われております、私どもは不正規流通米、これを防止するということが先決でございます。  そこで、先般各都道府県知事及び食糧事務所長に対しまして通達をいたしまして、調査を行いかつ措置する方向で現在進めておるわけでございます。  その内容なり方法を多少説明させていただきますと、まず大きな点では、第一は販売段階でございまして、卸、小売の段階でございますが、この点につきましては都道府県と食糧事務所が一致協力いたしまして、まず第一は無登録の販売業者、これにつきましてはおおむね十一月中を目途にいまリストアップを各食糧事務所なりが中心になりましていたしております。販売の事実が確認されたものには即時中止を命ずるというふうにいたしております。その後の状況調査いたしまして、警告書の交付なりその他の手段によりまして即時中止を命ずることにいたしておりますが、これらの措置にもかかわらずなお継続しているような場合には、私どもから公表するなり、特に悪質なものに対しては警察への告発をするということで、警察庁とも連携して対策をとることにいたしております。  以上が無登録販売業者でございますが、一方、非常に残念なことでございますが、登録販売業者に関しましてもこの不正規流通にかかわっている面があるわけでございまして、いやしくも正規業者たるものがこうしたことに関与することのないよう、私どもとしては自粛を求めておりますが、業務監査を実施いたしましてこれらの指導をいたしたい。来年の三月までに卸売全国約三百三十ぐらいは全部、小売は六万四千件ぐらいにも及ぶかと思いますが、この一割程度を目途に業務監査をいたしまして、不適正な行為があった場合には厳重注意なり責任者の処分の勧告、必要あれば来年実施されます登録の取り消し等の措置も考慮して対策を講ずる、このようにいたしております。  以上が販売段階でございますが、集荷段階につきましても、食糧事務所が中心になりまして販売段階とほぼ同様の措置を講じておりまして、この点はかなり厳正に守られてきているかと思います。また、関係団体も決意を新たにして協力する旨の申し合わせをいたしまして、全国段階、各都道府県段階でこうした申し合わせが行われてきております。  こうしたことを契機に、法の施行を契機に、従来のような惰性を廃して関係者が一体となって取り組むように私ども指導をしてまいるつもりでございます。
  55. 中野明

    中野明君 いまいろいろ御説明がありましたが、せっかく法律を改正したわけですので、ぜひそれなりの対応をお願いしたい、こう思っております。  以上で食糧庁関係は終わります。  次に、いわゆる密漁の問題なんですが、先日も関係の漁民の人たちがもう悲壮な思いで陳情に来たわけなんですが、水産庁長官もおいでいただいておりますが、瀬戸内海のいわゆる今治の沖、来島海域方面、これはここだけじゃありません、九州方面にも東北方面にも密漁の問題は全国至るところでありますが、きょうはこの点にしぼってお尋ねをいたしますが、非常に燧灘の水域は一本釣りの瀬戸内海では残されたただ一つの漁場だろうかというぐらいいいところなんですが、特にこの来島海峡というのはこれまた交通の非常に激しい難所とも言われているんですが、そういうところまで出没して、私理解ができないのは、同じ漁業協同組合が一団になってやるという、その辺の指導もきちっとしていただきたいし、取り締まりも非常に地元ではもう少し厳しくやってくれということなんです。せっかく県なり国なりが金を出して、そして稚魚を放流している、それを食べられないものまで根こそぎさらっていく。もう地元の人たちは頭にきているわけでして、特に密漁する人は無線のりっぱなものを持ちまして、逆に監視している方を監視している。ですから、もう監視している監視船が家へ帰って職員が食事を済ましておふろへ入ったと、おふろの電気がついたら、それいまからとりに行けというようなことで、逆になっているということで、地元も本当に困っておるんですが、海上保安庁と水産庁両方に、その後どういう手を打っていただいたか、御報告をいただきたいと思います。
  56. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) お答えいたします。  先生御指摘のように、瀬戸内海の伯方島周辺の水域におきまして、小型の機船底びき網漁業でいわゆるホゴけた網、別名そろばんこぎと申しますけれども、これを使用いたしまして、水深五メーターから二十五メーターぐらいの岩礁地帯におきまして、カサゴとかメバルのような高級のいそ魚を中心にしました操業を行う者がございまして、現在推定十二、三隻程度ではないかと思いますが、きわめて違法な操業をやっておる実態がございます。そのために、これら高級のいそ魚を対象といたしますところの一本釣りの漁業者とか、あるいははえなわの漁業者とか、あるいは建て網の漁業者のいわゆる沿岸漁民の操業が非常に大きな被害をこうむってきたということは事実でございます。このために、昭和五十五年の三月には愛媛県の漁業調整規則の一部改正が行われまして、ホゴけた網の漁具によります操業の禁止が明確化されましたわけでございますが、先生の御指摘のように非常に巧妙な形で違反操業をやっておりましてなかなか取り締まりがむずかしかったわけでございます。で、水産庁の瀬戸内の漁業調整事務所所属の取り締まり船二隻をこの海域に重点的に配置いたしまして、さらに航空機等による取り締まりも並行して行うとともに、随時関係県の取り締まり船ともども海空一体の合同取り締まりを実施してこの違反を取り締まってまいりましたが、何分にもこの違反操業の場所が潮流が速く、かつ異常に複雑な岩礁地帯である、さらに非常に巧妙な違反操業であるということからその取り締まりに非常に困難があったわけでございます。  そこで、ただいま先生もおっしゃいましたように、私のところに九月の二十四日に漁民の方々おいでになりまして、この無法とも言えるような非常な違反操業、これにつきましてぜひ取り締まってほしいということでその根絶を期してほしいという御陳情がございました。私も、実は豊漁祭がありました後で愛媛県に足を延ばしまして瀬戸内の漁業調整事務所長に強く指示いたしますと同時に、愛媛県の農林水産部長とも打ち合わせをいたしまして、ぜひこれは根絶するようにしっかりと取り締まってほしいということを申してまいりました。その後愛媛県とも相談をいたしまして、現在次のような対処方針でやっておる次第でございます。  一つは、港内または港の周辺で漁船に禁止漁具を保有している場合には、これを押収しまして組合長に渡し、組合長から保管書をとるということが第一の措置でございます。第二の措置は、漁場に放置してある禁止漁具につきましては被疑者不詳事件として県がこれを領置してしまうということでございます。第三は、漁場におきまして禁止漁具を積載している場合には立入検査して撤去するように警告しまして、再度積載した場合には検挙するということでございます。  また、このような悪質な漁船につきましては、毎日港で同船の動向を常に確認するということもやっております。それからまた、愛媛県もその所属の取り締まり船二隻を当該海域に重点的に配備いたしまして、特に従来から違反の多かった土曜、日曜の夜でございますが、この晩には張りついて取り締まりをやるということで実は監視体制を強化しておる次第でございます。  このようなことで愛媛県の方もかなりきつい体制をとっておりますし、また海上保安部の方にもお願いをいたしまして水産庁、保安部、それに愛媛県と三者一体で取り締まりに当たりまして今後ともこのような違反の漁業につきましてはその根絶を期したいということで努力してまいりたいというふうに考えております。
  57. 田辺淳也

    説明員(田辺淳也君) 最近における密漁につきましては、高速船を使用したり夜陰に乗じて巧妙かつ計画的に敢行するなどきわめて悪質の傾向にあります。それがために漁業紛争の惹起、水産資源の枯渇に加えて地元漁民の生活権の侵害となることもあり、私どもといたしましても漁業協同組合を通じての法令の励行指導や漁船の立入検査を通じての防犯指導を徹底しております。また、県などの漁業監視船とも連携して保安海域における巡視船艇、航空機による哨戒、積極的な情報収集による取り締まりを行っているのが現状でございます。特に来島海峡及びその周辺海域におきましては、大そうの巡視船艇により取り締まりに当たっており、常時一隻が二十四時間航路警戒にあわせて密漁船の監視取り締まりを行っております。また、地元漁業者等から密漁の通報があった場合は、昼夜を問わずその都度即応している状況でございます。  今後とも巡視船艇、航空機による取り締まりと密漁船の情報収集に努めまして、これまでと同様に取り締まりを強化してまいる、こういう方針で臨んでまいりたいと思っております。  以上です。
  58. 中野明

    中野明君 大変御苦労な作業でございますが、これはやはり無法を許すということは認められません。せっかくの努力を今後ともよろしくお願いしたいと思います。  では時間もございませんので、最後に大臣に私の要望を踏まえて意見を申し述べたいと思いますが、総理がいわゆる南北サミットに行かれまして、開発途上国に対する農業の技術援助ということも強くおっしゃっているわけですが、この技術援助につきましていままでの例を見ますと、フィリピン方面に派遣された青年協力隊、こういう人たちの失敗の例が多いわけです。せっかく総理がそういうことをおっしゃった以上は、やはり国内の準備体制をちゃんとしないと、――一例を挙げますと、牧草地造成のためにフィリピンに派遣された人たちが、温帯の牧草をまいて失敗をしている。牧草の栽培の技術とか知識は持っているのですが、種類の選択を誤った。あるいは、トウモロコシの栽培における病虫害の発生を防除しようとして防除方法の研究不十分のために被害がかえってよけい大きくなった。そういうことで、いろいろ私聞くところによりますと、受け入れ側が非常にそんなのだったら来てくれても迷惑だというようなこと。あるいはどう言ったらよろしいでしょうか、日本と全然違うわけですので、――私が沖縄の行政視察に行ったときに、西表島に琉球大学の農学部の附属の熱帯農学研究施設というのがあるわけです。ここはなかなか一生懸命やっているわけですが、そういうところで実地に、やはりここは研修生も受け入れて九州の各大学からかなり有為な青年がそこで研修もしているようですけれども、ところがそういう方面に対して非常に文部省が一切、どういうのですか、予算を切って切って始末が悪いらしいです。それで現地の方でも本当に技術協力をして相手に喜ばれる協力をしなきゃならぬ。それにはやはりそういう亜熱帯、日本ではもう一番亜熱帯の最南端といいますか、そういうところにある、立地場所が非常によろしいと私も思います、そこで実際に実習してその人が行くということが最も効果的だと。これはもう非常に熱心にやっておられるのですが、気の毒に予算を削られて削られてもう困っておられました。  そういうことでございますので、総理があそこまで世界に向かって宣言をしておられる以上は、やはりそれにこたえるような国内の体制というものを整えて、そして行ったら喜ばれるそういう技術者を送らなきゃいかぬ、こう思いますので、農林大臣ぜひ文部省とも連携をとっていただいて、そして総理の約束にこたえられるようなそういう体制を整えていただきたい。いずれこれは私機会を改めまして、この問題については時間をいただいてゆっくりやりたいと思っておりますが、きょうは時間の関係で要望にとどめておきますが、大臣御所見をお聞きして終わりたいと思います。
  59. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) まことにおっしゃるとおりでございまして、総理のお伴をしてASEANを私も回ってまいりましたし、また中国にも行きビルマにも行って、実際を見、また向こうに派遣をされておる技術者の諸君とも数十人会ってきております。  確かに御指摘のように失敗の例もやはりこれはもうございます。特に病虫害というのが非常に大きな問題である。もうちょっとやそっとでいもちが出て、それを日本のように集団的にずっとやる体制がなかなかでき上がっておらないというような面で、確かにうまくいかなかった例等も大分聞いてきております。しかし、向こう側のそれぞれの関係者の話も聞いたわけでありますけれども、それでもやはり技術は欲しい、協力してほしいと、こういう切なる願いがあるわけでございます。確かに日本の場合は米づくりについてはある程度の技術は高いものを持っておると思いますけれども、そのほかの車づくりとか牧草づくりとかそういう面については、むしろ日本はいつも申し上げておりますようにもっともっと勉強せにゃいかぬという感じもいたしますので、御趣旨を十分に体しまして、とにかく農林水産省自身が技術を重要視するというみずからの体質を確立をしていこうということで、私も就任以来いろいろな面で当委員会の御協力もちょうだいをいたしまして確立をしていきたいと、こう思っておりますので、その面よろしくお願いをしたいと。ありがとうございました。
  60. 下田京子

    ○下田京子君 最初に水稲共済の問題でお尋ねしたいんですが、去る十月の二十九日私当委員会で質問いたしまして、水稲共済に当たっては、乾燥調製が進むにつれましてその被害が非常に深刻になっているということから。局長の方から追加評価や再評価あるいはきめ細かい指導等を進めていきますという御答弁をいただきました。ところが、その後現地からいろんな形での問い合わせが出てまいりまして、また十一月四日付で農業新聞にも出ておりますけれども農業共済の特例が現地に届かないと、こういうふうに出ておりまして、農家に非常に焦りも見られる。一方でいろいろ苦労されて政府としても指導なされているというふうには承っているんですが、その辺具体的に現地にどのような形でいま御指導されているのか、端的にお答えいただきたいと思います。
  61. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) まず、被害申告の期日の問題と圃場乾燥中のものの取り扱いにつきましてはすでに十月の二十一日に関係団体に指示をいたしてございます。  それから、乾燥調製施設への出荷の資料によりまして損害評価を行うという問題につきましては、これはいろいろ実務的な問題がございますので、昨日ときょう関係県の実務者レベルの会合を持ちまして、地域の実態を踏まえて、具体的にいかなる方途によって統一的かつ適切な措置をできるか、細部の検討を打ち合わせ中でございます。
  62. 下田京子

    ○下田京子君 どうか、具体的な状況をつかみませんとなかなか大変な部分もあると思うんですけれども、この大変な中で共済金が一つの大きな頼りであるということは大臣も御承知だと思いますので、事務当局等にも事情をつかみつつ今後とも現地の具体的な要望にお答えいただけるきめ細かい御指導を大臣からもひとつお願いしたいと思います。
  63. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) その点は、東北農政局に参りましたときもその共済関係については、特に去年の全面的に、じわっと参りました冷害と違って台風であり、しかもその後の低温、冷温の連続、こういうことで非常に個人差並びに小地域の差、小地域の中においての差が出てくるんじゃないか。したがって、その損害評価については非常に農家の何というか、自分のところが一番やっぱり被害を強く受けたという意識を持ちやすいわけでありますが、やっぱり評価を受けるときは自分のところが一番損害が少ないように評価されたんではないかというような不満が起きかねない、だからそういうことのないようによく組合の損害評価員の諸君を通じて本当にその被害の現実を厳正につかまえて、農家の納得のいくような被害高の把握に努めるようにと、こういうふうにやかましく言ってきておるところでございまして、ただいま局長から申し上げたとおり、通達も出してやっております。
  64. 下田京子

    ○下田京子君 農家の納得いくような評価方向で指導されているということなので、ぜひ再度要望しておきます。  次に、チチュウカイミバエの防疫問題についてお尋ねしますが、チチュウカイミバエの生息状況というのは、冬に向かえば表に出てこない。で、また春先になると出てくるということなんですけれども、実際に昨年六月以降アメリカにカリフォルニア州を中心に大発生して、ことしも大問題になりました。  そこで、まず第一にお尋ねしたい点は、このチチュウカイミバエが具体的には日本の場合にどういうふうな植物に影響を与えるというふうに思われているのか。
  65. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これはミカンを初めとするほとんどの果物及び果実的な野菜、果菜類に寄生をする、そういうものというふうに判断をいたしております。
  66. 下田京子

    ○下田京子君 もうちょっと具体的にお話ししていただけませんか。  アメリカの何か記録によりますと、確認されているところだけでも四十五科、そして百四十三種、六品種というふうなことも承っております。いま大きく言われましたが、たとえばリンゴ、サクランボ、ナシ、桃、ブドウ等々、主なもので結構ですが、どういうものが予想されますか。
  67. 小島和義

    政府委員(小島和義君) いま言われました果物はほとんどみんな喫食物でございますし、そのほかにトマトでございますとか、あるいはインゲンのようなものでございますとか、数え上げれば切りがないほどたくさんあるわけでございます。
  68. 下田京子

    ○下田京子君 本当に大変ですね、そうしますと、これがもし一匹たりとも入ってきますと。衆議院でも大分議論になっておりましたのは承知しているんですが、ことしの九月時点で日本円にしまして約百二十七億円も投じて防除をされたというふうなことも言われておりますけれども、政府としては、いろんな委員の指摘によりまして、どうだ禁止したらいいんではないかということについて、一つは、来年も発生したからという期間の長さだけで見るんじゃなくって、広がり状況であるとか、撲滅のための努力だとか、そういう総合的な角度から考えていきたいんだと、こういう話を、まとめると言われているように思うんですね。一方大臣は、一匹たりとも入れないという強い覚悟で臨まれていることも承知しております。ただしかし、そういう立場からいけば、これはやはり輸入禁止という措置をきちんととってしかるべきではないだろうかと私は思うわけなんです。この点は国内法では、植物防疫法にも認められておりますし、これは法律的にはただ輸入の禁止としてしか述べてないんですけれども、農林水産省の法規解説全集の中でどういうふうに書いてあるか見てみましたら、こう述べてあるんですね。「植物の輸入に際しては、一般に植物検疫が行われ、有害動植物がある場合には、消毒、廃棄等の措置を講じ、有害動植物の侵入を防止している。しかし、わが国に植物を輸出する諸国には、まだわが国に発生していないかまたは限られた一部の地域にしか発生していない危険な病害虫が多数存在している。そのような国から輸出される寄生植物には、このような危険な病害虫が附着しているおそれが大きいにもかかわらず、輸入に際しての検査では、その検出が極めて難しく、また適切な消毒方法が確立されていないものが多い。このような場合、輸入禁止措置をとる以外その侵入を防止する方法がないのである。」、こう明確に述べているんですね。で、この精神は、一方で国際植物防疫条約にも輸入国に与えられた権限として保障されているわけです。私は、この精神からいけば、大臣がもしその撲滅ができなければということになればこっちもこっちとして考えなければならないと、こういうことを言っているんですが、問題は逆で、いままだ撲滅されてませんから、まず輸入禁止の措置をとると言って、撲滅したということが事実に判明された上でまた新たな対応をするという、こういう措置こそが必要ではないかと私は思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  69. 小島和義

    政府委員(小島和義君) これは、そのいまの植物防疫法上の輸入禁止の措置というのは、その虫がその地域に恒常的に生息をしているという状態になりました場合には、おっしゃるように輸入禁止の措置をとるべきものというふうに考えております。で、現在のアメリカの状況は、まあ確かにそのカリフォルニア州の七つの部にわたって発見を見ておるわけでありますが、その発生面積というのは、カリフォルニア州全体が四十万平方キロメートルの広さを持っておりますが、そのうちの百四十平方キロ程度で、その周辺部を含めまして約一万平方キロメートルにわたりまして検疫規制区域というのを設定しておるわけでございます。その検疫規制区域内の生産物につきましては、これは昨年以降すでに輸入をとめておりまして、その果物が国内に持ち込まれる可能性はないわけでございます。ただいまアメリカと取り決めをいたしまして向こう側に消毒をさしておりますものは、まだ虫が発見されてない地域、まあそういう地域につきましても安全であるという絶対的な保証はないと。したがって、それらの地域の生産物についても消毒した上で国内に持ってくるようにと、こういうことにいたしておるわけでございます。しかもそれを国内に着きました時点においてさらに検査をいたしまして、安全と認めたものを入れておるわけでございますから、二段、三段に厳重な防衛措置をとっていると、こういうことでございます。
  70. 下田京子

    ○下田京子君 二段、三段、衆議院では三段、四段にという話でしたが、入ってきましたら終わりだと。ですから私が言ったような対応をすべきだということを再度主張しておきます。  それから時間がないので簡単にお願いしたいんですが、次に、このチチュウカイミバエの防除に使われておりますいわゆるEDB――エチレンディブロマイドというものについての毒性試験の問題なんですが、アメリカで検査をした結果、これは発がん性物質を含むものだということが言われております。この事に当たりまして、日本の場合には厚生省が一応アメリカの許容基準を使って、準用して、まあ厚生省の場合には柑橘類等その残留が〇・一三ppm以下というふうなことで決められておるようですし、それからまた労働省の方でも労働環境の問題として、荷主団体と関係労組の間に入って一応これもまた〇・一三ppmというものを基準に設定して準用しているんだと、こういう話は伺っているんですが、環境庁の担当課の方にお聞きしましたところが、実際にこういったものについては毒性試験をしなければならない。で、急性、亜急性の面ではEDBについてはやっているけれども、日本で現実にこれはもう使われているものですよね。ところが一方では、慢性のものと発がん性部分についてはやられてないと。これはもう当然やられてしかるべきじゃないかと、こういう話なんですね。これは担当が農水省の方ですから当然やってしかるべきだと思うわけなので、ぜひ早急におやりいただきたい、検討いただきたいと思うわけですが。
  71. 小島和義

    政府委員(小島和義君) このEDBをわが国におきまして登録し、その後において何遍か登録更新をいたしておるわけでありますが、その際において慢性毒性試験をやっていなかったと申しますのは、この物質がきわめて揮発性の高いものである。したがって、一般的には残留度が非常に低いというふうなことから、その慢性毒性というものについては余り考慮をする必要がないのではないか。加えて、その当時は世界各国ともアメリカを含めましてこの物質の慢性的な毒性というものについて問題にしてなかった背景があるわけでございます。この問題について初めてその危険を唱えましたのがアメリカ側のEPAが昨年の十二月に出したのが初めてでございます。これは慢性毒性をテストするにいたしましても、残留の許容量がどれぐらいであるか、つまりその食品にとっての残留の許される限度が幾らであるかということ、さらには環境庁の残留性農薬の登録保留基準と、そういったものが決められまして、その上で私どもの方でこの農薬の登録を続けるか続けないかということが判断されるわけでございますので、関係官庁とも十分相談をいたしました上で対処方を決定したいと、かように考えております。
  72. 下田京子

    ○下田京子君 もう一点だけにします。  いまのことで揮発性だということでいままではやってこなかった。でも今後は関係省庁と検討して対応したいと、つまり慢性毒性も発がん性の部分についてもこれはやるという点で検討するというふうに受けとめてよろしいですね。イエスかどうかだけ。
  73. 小島和義

    政府委員(小島和義君) まだイエスとまで断定するところまでは私も確信を持っておりませんで、今後十分検討いたしたいと思います。
  74. 下田京子

    ○下田京子君 もう時間がないと本当に忙しくて、御答弁もよく十分にしていただけないで悪いと思うんですが、イエスとははっきり言えないけれどもそういう方向で考えているというふうに受けとめさせていただきます。  次に移りますが、宅地並み課税の問題です。大臣、先ほど他の委員にも御答弁がございましたが、いま国土庁建設省検討されている内容というのは要約すれば四つ。一つは三大都市圏C農地にまで宅地並み課税を拡大するんだ。しかし、その中で一定期間農業を続けたいという気持ちのある者については徴収猶予の制度を考えたいんだ。同時に三つ目には、一定期間と言えばおよそ十年程度なんだ。四つ目に言えば、一定期間中しかし営農を途中でやめた等々というふうなことになれば、その徴収猶予というものをまたさかのぼっていただくことになるかもしれない。この話は詰まるところは五十五年ですね、政府、税調答申した中身でありますでしょうし、それから大臣自身も入られているあの七月二十八日、住宅宅地の関係閣僚連絡会議確認された方向でないかと思うんですね。この線でいきますと、やはり住宅宅地サイドからの既定の路線でどんどん進められていってしまうというふうに、こう心配するわけで、これはやっぱり問題ではないかと思うんです。そういう点から大臣にお聞きしたい点は、今度ことしの五月ですか、これはごらんになったかと思うんですけれども全国農業会議所が特定市街化区域内の農業に関する市長さんの意向を調査しましたね。その結果、回答された中で百八十一の回答中宅地並み課税賛成なんだと言われたのがわずか六市長で三・三%という実態なんですね。こういう状態を考えたときに当然やっぱり農業を守るという、それからその責任大臣としてどうあるべきかということで対応すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。これは大臣にお答えください。時間で済みません。
  75. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど申し上げましたように、長期にわたり農業をやろうという人からは宅地並み課税は取ってもらいたくないと、農林水産大臣立場としてはそれが基本でございます。したがって、そのような方向に大体まとまっていくのではないか、まとめていかにゃいかぬと、こういう考え方でございます。
  76. 下田京子

    ○下田京子君 農業を守るという立場から考えていくという御答弁をいただきました。これはもう再度申し上げたいのは、大臣、より積極的な立場から考えていただきたいという点でお話し申し上げたいんですが、これも御承知だと思いますが、東京都の場合には宅地並み課税撤廃の百万人署名がやられましたし、神奈川、大阪、京都、全国各地でやられております。これは千葉県の農協の青年部、婦人部が船橋市で一般消費者に向けてアンケート調査した結果が出ているんですが、三十代、四十代のお母さんたち中心にやりまして、千八十人の方々が回答されました。その中で都市近郊農業が必要なんだと答えた人が九八%なんですね。で、必要だという理由のまず第一が、災害の緊急避難場所として必要。第二が、新鮮な食糧生産地として必要だと。三つ目には、緑との調和を図るために必要なんだと。こういうふうに答えられているんです。ですから、大臣が農業を守るという点で大事だとおっしゃいましたが、農業を守るということのみならず、総合的に都市農業が果たす役割りということを大きく踏まえまして、今後の農業のある都市づくりというふうな方向にも向けまして、その中で農業を守ると、こういうお立場でぜひ対応していただきたい、こう思うわけなんですけれども、重ねて御決意をお聞かせください。
  77. 亀岡高夫

    ○国務大臣(亀岡高夫君) もう御指摘のような、市街化地域の中にある農地といえどもいろいろの役割りを果たしておると、こういうことでございまして、最近都市農業という、世論と申しますか、それが国会の中にも研究会ができたり議員連盟ができたりしておるようでございまして、やはりそういう情勢というものを正しく見きわめまして、都市農業というものに対する特別の考え方というものを打ち出していかなければならぬのかどうかということを現在検討中でございます。
  78. 下田京子

    ○下田京子君 もう一問お願いします。  最後に、一般農地固定資産税評価がえの問題なんですけれども、これは来年一月から実施される評価がえ、御承知のとおりですが、九月に自治省が発表されましたその数字によりますと、全国平均で田畑が約一一%ぐらい上がるというふうな状態ですね。これは御承知だと思いますけれども、いま本当に生産物の価格、米価初め抑制されております。また、昨年もおととしも引き続いて農業所得は低迷している。いや、むしろ引き下がっている。また、問題になっております引き続く災害、冷害、こういう状態でございますので、こういう点から考えますと、税金というのは本来やっぱり担税能力というものをよく考えて、収入のないところから取るというのは間違いだと思いますよね。そういう点を考慮しまして、ぜひこの一般農地の固定資産の評価がえ、むしろ据え置くべきだというふうな立場から臨まれるかどうか。これは宅地並み課税の問題も同様に、勤労者の宅地についても同じだと思うんで、大企業が持っている土地や大変な利益を上げているところと一緒にするというのも問題がある。そういう考え方から、この一般農地固定資産税評価がえに当たって、現在の農業事情をかんがみて対応されるようにお願いしたいわけですが、いかがですか。
  79. 森実孝郎

    政府委員森実孝郎君) 御指摘のように、評価がえが行われますと一反歩で大体平均して水田の場合は八十円か九十円ぐらい、畑の場合は三十円か四十円ぐらい値上がりするという計数には実はなるんです。税負担のバランス論という議論が有力にあることは事実ですが、御指摘のように農業所得の停滞という実態がありますので、急激な負担増を避ける方向で私ども状況の許す限り主張してまいりたいと思っております。
  80. 坂元親男

    委員長坂元親男君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四分休憩      ―――――・―――――    午後零時十五分開会
  81. 坂元親男

    委員長坂元親男君) 農林水産委員会を再開いたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後零時十六分散会      ―――――・―――――