○
山崎昇君
関連して二、三点総理に申し上げておきたいと思うんですが、いま
野田委員から
退職手当の性格についての意見がありました。しかし、これはきのうの
議論の中で
最高裁の
判決、労働省の
労働基準法に対する
解釈、
人事院によります
解釈等々を参考にしまして私
どもが意見一致したと思っておりますのは、勤続報償的な性格もありますけれ
ども、
退職手当は労働に対する対価である、これは。
労働基準法第十一条に言う
賃金であるという点はほぼ明確になった点であります。そこで、この点から
関連をしまして、当然
団体交渉事項になるわけでありますから、今回のように
人事院の
調査だけで一方的に
法律を提案されるというやり方に対してはとうてい納得できない。したがって、今後再検討も結構でありますが、最終的にいまの制度では法定主義をとっておりますから
法律として確定しなきゃなりませんけれ
ども、それに至りますまでの間、十分
団体交渉事項としてこれは組合側と交渉して、そして意見が一致したもので提案をしてくる、そういうシステムというものをきちんとしてもらいたいというのが第一点です。
それから第二点は、これも私も
指摘した事項でありますが、今度の
改正案でまいりますというと、実は同一の人間がいまやめるのと来年の四片一日でやめるのとではかなりな差が出てまいりまして、八・三%の減額では終わりません。私は、これ
指摘したわけでありますが、来年の四月一日でやめたら同一人間は八・四%の減額になります。言うならば
民間水準を下回るんです。そして、百分の百十になる
昭和五十九年の一月一日になりますと一二・四%ぐらいの減額になります。明らかに
民間より相当低下するということは、もはやこれは予見をされている点でございまして、そういう
意味では今度のこの
法律の出し方というのはきわめて私
ども遺憾だという点を第二として
指摘をしておきたいと思うんです。
それから、第三点として
指摘をしておきたいと思いますのは、これも
人事院のある研究者の研究でもありますけれ
ども、一体
退職手当というのはどういうふうに使われているんだろうか、やめた
公務員というのはどういう暮らし向きをやっているんだろうかという一つの研究がありました。これも私はこの
委員会で
指摘をしたわけでありますが、政府の出しました実はモデル、三十五年勤続でこれは千八百三十七万円という数字が出されたんです。ところが、この研究者の研究によりますというと、どういうことに大体
退職手当が使われるかといえば、住居
関係が三〇・五%、貯金や生活費に充てるものが約四九%、その他多少の問題ございますが、それらを考えますというと、老後の退職後の生活の補給金としてこの
退職手当が使われる、これが大半なんですね。
そういう
意味で言うと、
退職手当を減額するということは老後の生活を保障するという一つの
退職手当の性格がぼけてくる、そういう点は明確に私はしておかなきゃならぬと思うんです。特に金額的に申せば、あの逓信
委員会等で郵便年金が
議論されたときに、一応のめどとして老夫婦二人の生活は十六万円程度と
答弁されています。また、
総理府の統計によりますというと、七十歳程度の老夫婦の生活が十七万円という。では、いま
公務員の
実態はどうなっているかというと、共済組合法でもらいます年金は、平均でありますけれ
ども、年額百五十六万、月額にして十三万程度にしかなりません。したがって、これは三十二年在職で平均年齢六十・一歳、言うならば、そういうことを考えますというとこれでは生活できませんから、当然
退職手当をそれに充当しなければならぬわけです。
また、私はこれもこの間申し上げましたけれ
ども、日本人事
行政研究所というのがありまして、ここでいま高齢者の再就職についていろいろ検討されています。これを見ますというと、大体厚生年金も含めまして二十万というのが相場だと言われております。そういう点を考えるというと、この
退職手当というものは減額すべき筋合いのものではない。
そういう点等々を私
ども具体的にいま
指摘したわけなんですが、どうかひとつ総理、そういういま
公務員の現況にある。ただ官民の格差是正だけで一方的に
労働者の
見解あるいは同意を得ないままに、法定主義だというんで
法律で
規制するというやり方は改めてもらいたい。この点だけは、私は繰り返しここで
質問した一人でありますけれ
ども、せっかく総理が御出席でありますから、五十七年は五年目でありまして、
人事院は
民間の
調査を行います。あるいはまた、六十年めどに再検討ということもございます。いずれにいたしましても、
退職手当の重要性というのは老後の
生活保障的性格を持っているわけでありますから、そういう点を十分ひとつ総理に私から申し上げておきますので、総理としても十分これは御検討願っておいていただきたい。これについて総理から決意を述べていただければ幸いだと思うんです。