○柳澤錬造君 最初に、
高木総裁がおいでになっておりますので、国鉄問題で
発言をしてまいります。
総裁にはいつも私は大変厳しいことをいままで言ってまいりました。去る十六日ですか、この前の私の
質問に端を発して幹部の処分を総裁がなされましたので、その点についてきょうは、むしろそこまでよく総裁がおやりになりましたということを心から敬意を表したいと思います。そういう意味で
質問はきょうはいたしませんで、むしろ
総理の方に若干お聞きをいただきたいと思うのです。私の国鉄に取り組む姿勢というものを申し上げまして、いろいろとこれから、ぜひともこの大変な国鉄の再建に
政府がもっと力を入れていただきたいなという気がするのです。
〔
委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
私は、昭和五十二年の国鉄運賃法定制緩和
法案のときなんですが、あのときにむしろ積極的にあの
法案には賛成の
立場をとったのです。一般の物価が自由に決められる中で、何で国鉄の運賃だけが
国会の議決を経なければ決まらないのか。ちょうどお巡りさんの手足を縛って、どろぼうをつかまえろと言うのと同じではないか、そういう
考え方に立って積極的に賛成もし、そうして本
会議でも
発言をしたのですが、今日のこのような国鉄にしてしまった
責任はだれなんだ。もちろんそれは国鉄当事者にも
責任があるけれ
ども、
政府にも
責任があることだし、この
国会にも
責任があるじゃないか。その
認識を持たなかったならばとても再建なんかできるものではない。これだけになってしまった国鉄の再建について、だれが答案を書いたって百点満点の答案なんか書けるはずはないじゃないか。五十点であろうが六十点であろうが、少しでも再建に向かっていいと思うならば、それで取り組んでやったらどうか生言ったわけです。
そのかわり国鉄の方も、いままでは手足が縛られて当事者能力はなかったのだからいろいろのことが言えたけれ
ども、もう今度はそういうことは言えないのです。やはり企業の経営に
責任を持ってもらわなければいけないし、それから
政府の方も、早く労働組合に労働基本権を持たせてやってください、労使が本当に正常な労使関係をつくってやっていくことが国鉄を再建する道ではないですかということを賛成討論の中でも申し上げたはずなのです。
しかし、その
法案が成立をして、ローカル線について私は
一つの提言もいたしました。そのほかいろいろの問題について、国鉄が再建のためによくなろうということについてのことも提案もしてまいりましたのですが、正直言いまして、私はそういうことを幾ら言っても、国鉄は馬耳東風で聞く耳持たないようなことをしておったのです。そして昨年、とうとうあの国鉄再建
法案になったのです。
実を言いますと、わが党の幹部からはこの再建
法案も賛成してやれというふうな指示もあったのです。しかし私は、断じてそれはできません、これは再建
法案でなくて国鉄をだめにする
法案なのです。なぜかと言うなら、いろいろありますけれ
ども、
総理、本当にお聞きをいただきたいのですが、あのローカル線、四千キロ全部外したって、そこで浮く赤字というものはたった一千億なのです。あの山陽本線がわずかに五百四十二キロしかないのです。あの山陽本線一本で出す赤字が九百億なのです。ということは、今日の国鉄の赤字というのは幹線なのです。ローカル線じゃないのですよ。幹線がそれだけの大きな赤字を出すということは労使関係に問題があるのですよと言って、いままでいろいろと、言うことを私は言ってきたわけです。
この間も申し上げました。あの処分の問題もそうなのです。
国民に向かってこれだけ処分すると発表して、実際に処分したのはわずか四六%しかしない。同じ三公社五現業の中でも、ほかではちゃんと一〇〇%やっているのです。一〇〇%きちんとやっているそこの経営者はどうなりますかということなのです。それで、国鉄の中でもあのとおり全国平均で四六%、それが東京の三局になれば、二千四十六名処分いたしますと言って実際にやったのは三百九十一名、たったの一九%しかしていない。東京三局の
管理局長はそれでいい顔ができるかわからぬけれ
ども、ほかで七〇%、八〇%、九〇%近く処分しているところがあるわけなのです。では、そこの
管理局長がどうなるのですかということから、この間もああいうふうなことも申し上げてきたわけです。
総理が本気になって——所管大臣、運輸大臣がいらっしゃるけれ
ども、今日の国鉄というものは、本当に運輸大臣一入の手に負えるわけではないのです。
行政改革といって、大蔵大臣もいつか宣言っておりましたとおり、年間一兆円の赤字を出すこの国鉄がもう少しうまくいったならと言うならば、そういうふうなお金の算段なんかもずいぶん変わってくると思うのです。どうかそういう点でもって、本気になってお
考えをいただきたい。
そして
高木総裁にも、自分の本当の身内の、そういうふうな幹部の処分をおやりになったということは大変な心痛でおやりになったと思うのですけれ
ども、その勇気ある決断というのですか、勇断をもってなさったこと、どうか、それでもって本気になって再建にお取り組みをいただきたいと思うのです。いいことをしていれば、やはりほめてやっていただきたいと思うのですよ。そのかわり悪いことをしたならばそれは処分するという、それがやはり私は国鉄の中に
一つの秩序が保たれていく道だと思うのです。ほとんどの人はみんなまじめに働くのですよ。そういうまじめに働こうとした人たちが一生懸命働けるようにしてあげていただきたいということが私の
お願いたし、それがまた幹部の人たちのおやりになる道だと思います。
そういうことを申し上げまして、きょうは総裁に本当にむしろお礼をという意味で申し上げたので、もしせっかくの機会で何か申したいことがあれば、それは私もお聞きをいたしますが。
それから
政府を代表して、私はこれはもう運輸大臣というよりも、
総理からも今後の国鉄をどうするかということについての御
見解をお聞きをしておきたいと思うのです。