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伊藤郁男君 それで、この国の出先機関、五十六年度ではこれらの出先機関に働く職員というのは、非現業が二十一万五千五百八十五人、現業部門で三十二万九千六百二十七人ですね。そうすると、国の公務員の百十数万のうち半分近くは出先機関で働いている、こういうことになるわけであります。
これらの職員の執務
態度、あるいはこれらの職員に対して
地方の公務員、そういうものがどのように一体見ておるのか、ここが問題だと思うわけであります。
中央の諸官庁のお役人さんたちの仕事ぶりを見ていますと、
国会が開かれますと夜も徹してやっておる、大変なものだなあ、こう感じておるわけでありますが、それでは一体これらの
地方の出先機関の国家公務員というものがどういう仕事ぶりをやっておるのか。実はこれらの国家公務員というのは、わりあいに住民だとか市民だとかそういうものの目に触れないわけですね、常時接触がありませんから。むしろ逆に、国の出先機関の職員というのは
地方の公務員と積極的な接触を常時保っていると、こういうことになるわけです。
そこで、これらの
地方公共団体の職員が出先機関の国家公務員に対してどのような見方をしておるか、こういうことなんですが、実はこれについて一つの調査があるわけであります。これは私も持っておりますが、「明日の都市」という、これは磯村という東洋大学の学長が監修をされまして、前後二十巻にわたりまして出したきわめて権威のあるものです。この中で、
地方公務員の、
地方公共団体の幹部職員約四百五十名に直接聞いて、言うならば現場の生の声をこれで集約をしている、現場からの告発だと言ってもいいものでありますけれ
ども、その中で、国の出先機関の職員に対してどのように評価をしておるか、これが出ているわけであります。
その中で、「いじわるがなくなった」とか「
態度がよい。応対もよい」「ある程度、住民と接触があるので本省より親近感がある」とか、あるいは「地域性を少し
考えるようになってきた」「一般的に一人一役で仕事に対しては精通している」、このようなよい評価を与えている部分もあるわけであります。
しかし、これは残念ながら、
地方公共団体の幹部職員四百五十名の中でわずか三、四人がそういう評価をしているだけでありまして、ほとんどはこういうように実は答えているわけであります。たとえば「職員の
態度、仕事の内容」というところについては、これはもういっぱいありますけれ
ども、主なところだけ抜いて申し上げますと、「
地方の出先機関に勤務を命ぜられた者は、月曜は出張、土曜は帰宅と生活優先の姿勢で、実働わずか四日で無駄が多い」、あるいは「人が多い。市町村に来る時、五、六人でぞろぞろやって来る」、こういうことですね。あるいは「少々無気力のようにも見受けられる」「勤務時間等まったくルーズ」である、「九時出勤、三時帰宅」「やる気なし、無駄が多い。書類が重複する」「非能率でいつも遊んでいる」なんという評価もあるわけであります。それからまだいっぱいあるんですが、「直接、住民と接していないので町村の苦労を本当にわかっていない」のではないか、
中央はエリートですから、理論というものは非常によく把握しているけれ
ども、「理論と実践との遊離」がある、「身近に感じないような気がする」「対市民意識をまったく感じていない」、こういうようなさまざまな
批判があり、かつ
これは通弊でありますが、「権力をのぞかせる」「いわゆる威張り型」だ、
態度が横柄だ、「官僚的」だ、しかし「補助金をもらうには、言うことを聞くより仕方がない」など、こういうあきらめの声もあるわけであります。
こういう国の出先機関に対する公務員の執務
態度、そういうことについて、行管庁として今度の行革に当たりまして、これらの問題についてどのように
考えられておりますか、御
見解をお伺いします。