○
梶原清君 ありがとうございました。
次は
車検制度の問題でございますが、この問題につきましては、
運輸大臣の
諮問機関でございます
運輸技術審議会において鋭意
検討を進められておるということは承知をいたしておるところでございますが、何といいましても
車検期間の問題はきわめて重要で、その
影響するところも広範であるわけでございます。今日までは
事故防止、
公害防止という強い全
国民的な
要請を背景にいたしまして
規制強化を進めてまいった、こういうことになっておるわけでございます。
その際、
制度を一つ改善するにしても改正するにしましても、十分な
検討期間を置いて進められてきたということは事実だと思うわけでございますが、特に私が強く強調いたしたいと思いますのは、
交通事故にいたしましても
交通違反にいたしましても、当事者はこれをなるべく
表面に出したくない、隠したいというのが人情の常でございます。したがいまして、
統計数字というのは
実態をそのままあらわすものではなくて、
実態よりも過小にあらわれてきておるということは否めないところだと思います。
高速道路等で車両が故障いたしまして大勢の人に迷惑をかける、そのときに謝る人はだれもいないわけでございます。しかしながら、今度問題になっておりますように、お金がかかり過ぎるとか手数がかかり過ぎるとか、こういう苦情だけは
表面に非常に大きく出てくるというのが、これはこの世の常でございます。
そこでお願いをいたしたいと思っておりますのは、
運輸技術審議会で
議論をし
審議を進められます場合に、単に
表面にあらわれた
数字だけでなくて、実際に実物を見、目で確かめ、そして足でこの
実態をつかんでいただいた上での結論を出していただきたい、私はこのように強く希望するわけでございます。
委員さんは全部その道の
権威者でございますでしょうけれ
ども、念が上にもそうした
実態をつかんだ上で、
実態を把握した上での十分な
審議、
検討を進めていただきたいということを強く希望するわけでございます。
例が悪いかとは思いますけれ
ども、
日本の国は
海岸線が非常に長うございます。
海岸近くにある
自動車というのは
潮風の
影響を受けて傷みが早いわけでございます。仮にそれが二年が三年になりました場合に、もちろん
定期点検整備制度というのがございます。しかしながらその
実施率は五〇%前後だと思います。義務づけられておるけれ
ども罰則がないために一〇〇%の
実施というのが行われていない
現状でございます。そうするならば、
定期点検整備をしないで三年間
海岸近くにある
潮風の
影響を受ける、そういう
状態にある
自動車が正常な
状態で三年、この
車検の
期間までもつかどうか、こういうことを具体的に
検討をしていただかなければならないのではないだろうか、このように思うわけでございます。
この問題につきまして
答弁をいただくということはちょっとむずかしかろうと思うわけでございますが、特に私がこの席で強調をいたしておきたいと思いますのは、
新聞報道で伝えられておりますように、
車検期間が二年から三年に
延長いたしたと仮にいたしましょう。その場合に、全国に七万八千の
中小零細の
整備工場があるわけでございます。二年が三年になりました場合に、恐らく三〇%以上の
工場が
仕事がなくなって、いわゆる
整備作業量が少なくなって
転廃業を余儀なくされるということはこれは火を見るよりも明らかである。
国の方針によって、
法律改正によってそういう
措置を講ずるということになりますと、
仕事が減り
転廃業をさせられるところの町の
整備工場、油にまみれて
経営者自身が
努力をしておるところの
整備工場が
転廃業を余儀なくされるということは私はゆゆしい問題である。必ずやいままで投下したところの資本といいましょうか建物とか
設備、それから器具、工具というものを買い上げてくれという
要請が出てくるのは当然でございます。私は当然の
要請だと思うわけでございます。
政府がこれをどのように受けとめるかどうかはわかりませんけれ
ども、また受けとめられるかどうかはわかりませんけれ
ども、
整備工場の皆さんとしては当然の
要請だと思います。もしもこれを不問に付していくということになればまさに
切り捨て御免だと思います。
そこで、仮に
設備を買い上げるといたします場合に、私が計算しますと四千億から五千億になると思います。少なく見積もってそのくらいになると思います。これを出さなければいけないということになりますならば、何のための
行財政改革であるかということが言えるんではないか。必要でない
国民負担というものを課するわけにはいきません。やはり
国民負担は軽減しなければいけませんけれ
ども、この
法律改正によって、二年を三年にすることによって
仕事がなくなり、
転廃業を余儀なくされる。
労働者も相当失業することになると思いますが、この問題をやはり避けて通るわけにはいかないだろう、こういうのが私の切実な訴えでございます。
原因者である以上、その
原因をつくった国が何とか
措置を講じなければいけないだろう、これが当然だと思うわけでございます。
そこで、特に私が心配をいたしておりますのは、
仕事量、いわゆる
整備作業量が減って、そして非常に
過当競争になる。その場合に一番心配されますのは、大福帳的に
経営をやっております
整備士の数が二人とか三人というような、だんなさんと
家族ぐるみでやっておるような
町工場は、これはどうしても生きていかなければいけませんので、それで
手抜き整備をやってでも何とか生きつないでいこうと、こういうことになると思います。一番の
影響があらわれてきますのは、
政府当局がいままで力を入れてやってこられました既成
整備工場、いわゆる民間
車検、それから構造改善事業によって進めてまいった協業化をした
工場、これが一番先に
転廃業を余儀なくされてくる、非常に苦しい
状態に置かれて倒産になり解散の
状況に追い込まれていくんではないか。そうするならば、現在の
整備行政といいましょうか
自動車行政の根幹が揺らいでくる。安全というものは一体どうなるんだろうか、安全がそれで保たれるんだろうかという強い心配をいたすわけでございます。
この問題につきまして現在
運輸技術審議会で鋭意
検討中でございます。私は
政府当局から明確な御
答弁をいただくということは非常に困難だと思います。しかし、私が申しておりますことが、切実なこの訴えというものが決して間違いでないと私は確信をしておるわけでございます。
整備と検査というものが一体になって初めて安全というものが保たれると、適正
整備、適正料金が
実施できるような
環境づくりをしてやらないことには、絶対にその安全というものが確保できないということを強く確信をするものでございまして、この点につきまして若干感想でもお述べいただけますならば御
答弁をいただきたいと思います。