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説明員(
高木文雄君)
経営改善計画におきましても、貨物の
経営をどういうふうにするかということは非常に重要なウエートを占めております。
いろいろございますけれ
ども、最終的に
昭和六十年時点で貨物輸送のための、固有経費という言葉を使っておりますが、固有経費が貨物の
収入と見合うようにするということが
経営改善計画におきまして目標としておる点でございます。
固有経費と申しますのは、貨物の輸送のためにもろもろの経費がかかりますけれ
ども、車両や、一例を挙げますと路盤の保守というようなものに要します経費は、貨物用と旅客用と併用でございますので、こうしたものまで経費として見て、そして収支の均衡を図るというのは非常にむずかしいということから、そうした貨物、旅客供用部分につきましては別といたしまして、貨物輸送に直接必要な
運転のための人手であるとか、ヤードのための人手であるとか、あるいはまた、
運転の経費であるとかいうものを固有経費という概念でくくっておりますが、その固有経費が
収入と見合うようにするということを六十
年度の目標といたしております。
ところで、その場合の前提としては、六十
年度におきますところの貨物の輸送量というものは五十五
年度の
予算とほぼ見合ったもの、増もなく減もなしということを前提として事業量を考え、また
収入を考えてのことでございます。
ところが、いま御
指摘のように、五十五
年度は前年よりも一三%輸送量が減るという事態、これは思わざる事態でございました。こういう大きな落ち幅は思わざる事態でございましたが、こういう事態が起きた。さらに、引き続いて五十六
年度に入りましてからも、上半期の
状態では輸送量が一〇%ぐらいまた去年よりも減っておるということで、貨物につきましては四十五年以来お客さんが減る、輸送量が減るということで絶えず問題になっておるわけでございますが、それにも増した大幅の減少がここ二年ほどの間に起こっております。
そこで、当面これではぐあい悪いということで、何か改めていろいろ考えなきゃならぬということでございますが、なぜこのように急激に減少したのかということについては、いろいろありますけれ
ども、どうも必ずしもこれが平常な
状態ではないのではないか、一種の摩擦的な異例、特例的
状態ではないか、あるいは甘いかもしれませんけれ
ども、いまのところはそう考えております。
そこで、現時点では六十年までに実施を考えておりました縮減、たとえば輸送力をどの程度にするか、つまり一日何本走らすかといった問題、あるいは貨物を取り扱う駅数、またはヤードの数、所要の貨車の数等について、六十年までにはこのぐらい減らしますということが
計画上出ておるわけでございますが、それを現時点ではとりあえず六十年と言わずにもう少し繰り上げて実施をいたしたいということで、五十七
年度と五十九
年度と二回にわたりまして、六十
年度時点までにと考えておりましたのをなるべく繰り上げて実施をいたしたいというふうに考えております。
なお、その
状況によって恒久的な見通しをどこへ立てるかということでございますが、現時点においては六十
年度計画を変更するというところまではいっておりません。とりあえず、一遍縮んでまた伸びることあるべしということで、緊急的に五十七年、五十九年の縮減
計画を立ててこれに取り組もうと思っております。
なお、今後の問題といたしましては、海上輸送あるいは陸上輸送との競争
関係におきましてなかなかむずかしい
状態にございますので、輸送のやり方を少し変えようかと、主体を専用列車あるいは特別な貨物に特化した列車というようなものにより重点を置きまして、車扱い列車と申しますか、いろいろな貨物を積み合わせて、そして
一つ一つの駅に貨車を置いていくという輸送方は大変コストがかかりますので、こうした輸送方を少し変えようかということをいま考えてはおりますけれ
ども、これはまだ内部で作業中でございまして、国民の皆様の前にお示しするというところまでは来ていないというわけでございます。
先ほどお触れになりました臨調での私の説明は、いま申し上げたようなことを申し上げたわけでございまして、現時点において
経営改善計画を変更するとかあるいはそれをいゆわる見直しをするとかいうことは考えておりませんけれ
ども、
委員の方の御質問として、それではなかなか固有経費を前提としての収支均衡が達成不可能ではないかというお尋ねがございましたので、それに対しましては、将来の問題としてではありますけれ
ども、今日時点においてすでに、もしこのような貨物の減少傾向が摩擦的、一時的なものではなくて、やや恒久的なものとしてあらわれることもあり得べしという前提のもとにそういう作業の取り組みをいたしておりますというふうにお答えをいたしたわけでございまして、一部の
新聞では見直しを私がするというようにお答え申し上げたように伝えられておりますけれ
ども、そういうふうにはお答えしておるわけではないので、いまのところでは
経営改善計画のとおりやりたいと思いますけれ
ども、何分、お客様が予定外にどんどん減りますればやはりある種のさらに踏み込んだ取り組みが必要であろうかという勉強をしておりますという
意味でお答えをいたしたわけでございます。
今後とも何とか営業努力等によって戻したいと思いますけれ
ども、多分に日本の輸送
事情の変更というようなものが静々と進行しているようでございますので、これらを一層よく見きわめた上でそれに対応した取り組みをしなければならないこともあり得べしというふうに考えております。