○江島淳君 私は防衛に関しまして、
日本が西側自由主義諸国陣営の一員として応分の役割りを遂行することが必要であると、そういう立場から二、三いろいろ御
質問いたしたいと思うわけでございます。
私の率直な感じといたしましては、ただいまいろいろ
政府のとっておられる立場が、言うなれば少しなまぬるいんじゃないかと、果たしてこれでいいんだろうかということを非常に感じるわけでございます。こういう意味でやはり将来の
日本を思うと、世界戦略上の立場に立って、
日本の国がこれから生きていくために真剣に
考えていかなけりゃならぬじゃないかということを
考えておりますので、二、三その点について御
質問いたしたいと思うわけでございます。
きょうもテレビで言っておりましたけれ
ども、諸外国と
日本との貿易の摩擦がますます顕著になってきたと、そして、米国では自動車だけでなくて、さらに一般のものに関してもこの摩擦が広がらんとしておりますし、先日はECへ
日本の経済界のトップが行かれましたが、これに対しても大変風当たりが強かったということが報道されております。私が思いますのは、
日本は何といっても資源が少ないので、輸出があってこそ初めて経済が成り立つものだという感じがいたします。そのときに、ただいまのいろいろな世界の情報を見ますと、
日本は、防衛はすべてアメリカに頼り、世界の情報も余り知らなくて、ぬくぬくと他人が
日本を守ってくれるということに頼って裕福にやっていればいいわいと、そういうふうな態度でおるということで、非常にこうかつなる
日本だとか、あるいはきらわれ者の
日本と、そういう呼び方をされておるというのが実情じゃないかと思います。
こういうのを受けまして米国の議会においても、先日からいろいろ新聞にも出ておりますが、GNPの一%以上にしろとか、あるいは日米の安保改定を求める提案、これはすぐ撤回したということでございますが、あるいは安保税を払えとか、いろいろなことが議会でも起こっておるということでございます。そういうことがいまのいろいろな背景ではないかと思うわけでございますが、そういうことを受けまして私は外務
大臣に
お尋ねいたしたいと思うわけでございますけれ
ども、外務省でお出しになった外交青書と
防衛庁の方で出されました防衛白書とを読んでみますと、安全に対するトーンと申しますか、ニュアンスと申しますか、それが私は大分違っているんじゃないかという感じがするわけでございます。
まあ外交青書の方を見ますと、非常に等方位外交ということが強調されておりまして、そして何よりも必要なのは総合
安全保障であるというふうに強調されておるやに感じました。確かに等方位外交も必要でございます。しかし、私が思いますのは、対外経済協力で幾ら経済協力をしておっても、それと国を守るということは別なんじゃないかと。やはり国防というものは、
相手に
日本を
侵略するという意図を起こさせないだけの力を持ってこそ初めて国が守れるんじゃないかと。等方位外交によって平和が保たれるということは、まあ穏当ではありませんけれ
ども、メルヘン的な発想であって、神のような人がいればそれはそうかもしれませんけれ
ども、実情には合わないんじゃないかと思うわけでございます。
たとえば、等方位外交ということから申しますと、外交青書の中でも韓国と北朝鮮とのところを見ましたら、韓国とも当然友好
関係を増していくと、北朝鮮とも経済・文化をこれからまた増していくんだというふうなことが書いてございますけれ
ども、先日韓国に参りましたときに感じましたのは、残念ながら韓国と北朝鮮とは非常に対立
関係というか、そういうものが根強いものだということを感じたわけでございますが、こういうことからいきますと、
日本が
先ほど申しました西側陣営の一員であるということを踏んまえた場合には、余りそういうふうな八万美人的な外交というものものは、今度は西側陣営に対する信頼を失うんじゃないかという感じがするわけでございます。
これに対しまして、防衛白書を見ますと、当然ながら国防の必要ということを
相当にはっきりと位置づけておられるという感じがするわけでございます。そういうことで、私はやはり午前中の
堀江先生の
お話にもございましたけれ
ども、白書というものは、外交青書であれ防衛白書であれ、いまの鈴木内閣の一貫した
方針のもとに出されておるということでありますので、その二つのトーンが変わっているようじゃ困るんじゃないかという感じがするわけでございますが、それについての外務
大臣のお感じを伺いたいと思うんでございます。