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大出委員 もうちょっと突っ込んで聞きたいのですが、課税最低限を見ますと、これは福田
内閣のときの大蔵大臣坊秀男さんのとき、これは私も質問しておりますが、このときに課税最低限が決められまして、標準世帯で二百一万五千円ということになった。以来今日までそのまま。これはいつかと言えば五十二年です。五十二年に二百一万五千円という標準世帯の課税最低限を決めた、こういうわけです。それっきりになっているというわけです。
ところが、課税最低限というのは、しからばいかなるものか。これは聞いた方がいいと思うのですが、
総理、いまお答えをせっかくいただいたので、課税最低限とはどういうものだと御
理解でございましょう。いいですよ、
総理でなくても。――私から言いましょう。これは、ここにひとつ誤解があってはいかぬから申し上げるのですが、
昭和四十年十二月に、「
昭和四十一年度の税制改正に関する答申及びその審議の内容と経過の説明」という税制
調査会の答申が出ておる。つまり、これは非常に詳しく課税最低限についての歴史的経過を述べて、今日あるべき課税最低限あるいは将来あるべき課税最低限とはどういうものかというのを明らかにして答申にしている。
ここで、一百先に申し上げますが、課税最低限は最低生活費ではない、こう言っている。要するに、生活費に税金はかけられぬという原則がございます。各国ともそうです。だから、生活費には税金をかけられないのだから、課税最低限は四人世帯なら二百一万五千円、年収二百一万五千円までは税金がかからない、こうとりがちなんです。最低生活費だととりがちだが、そうじゃないと明確に言っている。標準生計費を指すのだと言っている。過去の歴史をここで述べている暇はありませんが、ずっとひもときまして、大変に低かった時代があったのだけれども、そうじゃないんだ、国際的に見ても。
そこで、課税最低限は最低生活費ではなく、標準的な生計費に見合った水準に定める。これはあなた方がよく引用する、都合が悪いとすぐここへ逃げたがる税制
調査会の答申なんですよ。そうでしょう。今日しからば標準的な生活が成り立つ課税最低限か。税金のかからぬ限度、年収ここまでの方々が標準的生活ができる人か。標準的生活ができない人も税金をたくさん取られているという、ここに課税最低限据え置きの、かくて所得税の自然増収がべらぼうにふえる原因がある。実質増税の原因がある。
そこで申し上げますが、独身の方の課税最低限は八十三万一千円でございます。ところで、これは八十三万一千円じゃわからない。月給にすれば幾らだ。通常、十六カ月計算いたします。十二カ月プラス手当四カ月。そうすると、八十三万一千円という独身者の課税最低限、税金のかからぬ限度の月給をもらっている方は幾らかというと五万一千円。一カ月五万一千円以上もらった人はみんな税金がかかっちゃうのです。私の娘が三月に大学を出て勤めましたけれども、十一万もらってくるのです。五万一千円の方に税金がかかっているんですよ。こういうばかな課税最低限はないでしょう、標準生計費だと言っているのに。
夫婦二人は一体課税最低限は幾らか、五十二年に決めた。百十三万六千円。これは月給に直して、十六カ月計算で計算をすると七万一千円です。これは御夫婦だ。ここに御夫婦共かせぎの人もあれば、一人で働いている人もいるのです。これが七万一千円。私はいま自分の娘のことを言いましたが、七万一千円が課税最低限です。夫婦、子供一人、百五十六万九千円、月給にすると九万八千円。九万八千円で子供さん一人ですよ。これじゃほとんど生活できないです、いまの世の中に。アパートを借りて、家賃を考えてごらんなさい。夫婦、子供二人、二百一万五千円。これが標準的世帯の課税最低限。二百一万五千円で一体十六カ月計算なら月給は幾らになるか、十二万五千円です。大学を出た娘と幾らも変わらない。これが課税最低限で、標準的生活は断じてできない。
総理、いつまで一体ほっぽっておかれるのですか。しかとこれはお答えいただきたい。できる限り速やかに検討し、できる限り速やかに前向きで対処したいぐらいのことは言ってくれませんか。
日本全国のまじめに働いている勤労者の皆さんに対する国税庁の
調査、そういう見方率ございますと、よけいなことは言わないでしょう、大蔵大臣が。いろいろなことが出てくるから言えないのだ。そうでしょう。これは現実なんだから。四年もほっぽっておくんだから。
お答えにならぬから、もう
一つ聞きますよ。それじゃ一体、ことしの五十六年度
予算に占める所得税の、申告と源泉と両方ございますが、所得税の自然増収は一体どのくらい見積もっておいでになるのですか。――後でちゃんと追認してくださいよ、皆さんが物を言わないと記録に残らぬから。私ここに資料を持っていますが、私も
予算委員の一人だから、
予算委員会に皆さんが出したのだから、出しておいてお答えにならぬということはないでしょう。
「
昭和五十六年度租税及印紙収入
予算額 (単位億円)」こうなっておりまして、二兆七千六百九十億、二兆七千億という自然増収、つまり実質増税、自然増税を麗々と
予算の積算に組んで出してくるという政府。いま私の申し上げたような、独身者八十三万一千円が課税最低限だから、月給にすれば五万一千円でしょう。夫婦百十三万六千円が課税最低限で、月給なら七万一千円でしょう、二人で。夫婦に子供さん一人、百五十六万九千円で、月給九万八千円でしょう。御夫婦に子供さん二人の四人の標準世帯で二脚一万五千円、月給十二万五千円でしょう。だから、これ以上の人は全部取られてしまう。そうでしょう。だから、何と二兆七千六百九十億円も、麗々と
予算委員会に出すに当たって「五十六年度租税及印紙収入
予算額」と言って、これだけ実質増税でいただきますよ、こう書いてある。そんなばかなことはないでしょう、いかがですか。
だから、先ほど来河本さんが言うように、消費性向に来ないで貯蓄の方に行っちゃって、三、四、五とやっと個人消費が黒字になったからと思っていたら、六月でまたマイナスであり、七月またマイナスだということになってしまう。国税庁が民間の企業実態
調査をやれば、まさにサラリーマンの受難だという世の中が出てきてしまう。だから、
総理府が統計
調査をとろうとすれば、中流意識にかげりどころではない、中流意識がなくなっていくという方向に進んでいくのです。明らかに間違いですよ。
河本さんにもう一遍承りたいのだが、五百万になんなんとする公労協あるいは国家公務員、地方公務員、ここに私、数字を持っている。中曽根さんがきょう午前中、特殊法人等でお答えになっていましたが、これはダブっているところがございますからダブリを取りますと、国家公務員が特別職を除きまして百十九万、地方公務員が三百三十四万、公団、公社等特殊法人で七十九万、これは専売、国鉄、電電、公庫、二銀行含めまして。四百四十七万に七十一万を足すと五百万を超える、これだけの方々なんですよ。
だから、もう一遍承りたいが、国内の景気動向、を非常に心配しておられる河本さん、私はぜひ閣内で、制度が存在をするんだから、そしてサラリーマンがこの状態なんだからということで、実施の方向に御努力を願いたいと思うのですが、ひとつ御意見をここで、国内景気を御心配の、個人消費支出を御心配の
経済企画庁長官に承っておきたいのです。いかがでございましょう。