○小林(進)
委員 いみじくもいま法務大臣のおっしゃった答弁は、私の言わんとするところなのです。おっしゃったとおりです。
いま特別
委員会にかかっている三十六の
法律は、たしか九つの常任
委員会に付託せられて、そこで各
委員会、各専門がそれぞれの
委員会で血を吐く思いで審議を重ねてきた法案だ。それをたまたま国が財政で赤字を出して借金をしたから、そのために節約をするということで、その血を吐く思いで各
委員会が全部審議をし尽くしてきたその法案を、一括まとめて、もとの
委員会、常任
委員会に付託しないで全部特別
委員会に入れてしまった。新憲法下における国会というものの審議の中心は常任
委員会制度です。常任
委員会中心で動いているこの三十六年の、
日本の新憲法下における議会のあり方をこれは否定しちゃっている。否定と言っちゃいけないけれ
ども、その常任
委員会制度を制限しちゃって、そして特別
委員会に持っていって、全部それをぶち込んで安易な審議をやっているという、これは重大な間違いなのだ。
そんなことを与党を問わず野党を問わず、議員諸君がまた平気でそれに賛成しているというのだ。全く新憲法の趣旨、議会の本義さえも失っている。何といういまの議員諸君は勉強が足りないのだろうと思って、私は心から憤慨にたえなかったのでありまするが、いみじくもいま大臣が言われた。各もとの常任
委員会に全部付議して、常任
委員会でやるのが本当だとおっしゃった。そのとおりなのです。
その意味においては、この
供託法を法務
委員会に持ってきてやったのは正しい。他の三十六の法案もそれぞれの
委員会へ全部行って、そこできめ細かく審議する。たとえば年金法の、五%を積立金から三年間その金を借りるとか、あるいは国民健康保険法の五%、政府の四割の補助金の五%を今度は地方自治体に出してもらうように法改正するとかということになれば、それはやはり社会労働
委員会。あるいは、練って練って練り抜いて、十二年間で四十人学級をつくるという、やっとつくり上げて去年から実施されたそれを改正するというのなら、練り抜いた文教
委員会へ行ってそこでその問題を審議するというのは、われわれは国
会議員として立法府の正しいあり方を守るためには、そういうところに真剣な審議がいかなくちゃいけない。
それを、国が赤字になりましたからといって、いままで培ってきた常任
委員会制度を全部否定してしまって、がらがらっとそんな安易なところへそれを持っていった。それを黙って見ているなんということは、私は残念至極にたえないのでありますが、法務大臣がいまいみじくも私の言わんとするところを若干賛成していただきまして、それは各常任
委員会へ全部分割してやるべきが至当だとおっしゃった。ははあ、奥野さんもいいところがあるのだなと考えた次第でございますが、私は、この問題はこれでふたを閉ずるわけではない、行革へ行ってまたひとつこれをやりますから、これはその程度にいたしておきますが、いずれにいたしましても、
一つの法案は法務
委員会へ持ってきて、あとの法案は一括してまとめて特別
委員会に付議したというこの政府の姿勢、この閣議の決定は決して正しいことではございませんから……。
しかも、こんなことを議論し尽くさないでいると、三年か五年たって、また国が赤字になった、
国債を発行しました、財政が赤字になりましたからまたこれをやりましょうと言って、行政が失敗しては三年か五年か十年目には各常任
委員会の機能を停止しては、こんなことを繰り返されたら、これは知らず知らずのうちに立法府の権威を全く失うことだ。だからもう大変なことなんだ。だから、この問題は各
委員会で論じて、こういう特別
委員会などをとってこういう審議をすることは、これが何もかにも一回だ、もう二度とやらないという確約をとらなくちゃいけない。これは法務大臣が確約することではない、総理大臣から確約をとらなくちゃならぬ問題でありますから、私はいまでは腹はそう決めておりますが、その点はひとつ正しく御認識をいただきたいと思う。
用意した
質問がまだ半分くらいしか来ていないのでありますけれ
ども、いずれにしましても、ここには「
供託法の一部を改正する
法律案に関する意見書」というものが弁護士連合会から来ておりますが、この中には、やっぱり私が言っているように、これは不当利得だと言っておりますね。この不当利得の方は、時間がないからやめましょう。
最後の一問で、これだけは聞いておこう。
同じ
供託をしますが、その中で現金を
供託すると五十七年の四月から一銭にもならない。ところが、
国債やその他の
有価証券を
供託いたしますと、これは従来どおり、
国債には
国債の
利率で、
日本銀行に預けられようと国庫に入ろうと、ちゃんと
利息がついて回るのですね。そうすると、同じ
供託という
制度の中でも、
証券を預けた者はこの
法律改正に何にも影響を受けないで、依然として果実を自分のふところへ入れることができる、現金を預けた者だけが、このとおり
利息を切られて一銭にもならない。同じ
供託でも
有価証券と現金でこれだけの差別が生ずるということに、一体大臣は矛盾をお
感じにならないのかどうか。いかがでございましょう。