○筧
説明員 現在も判例及び学説に混乱が見られるというところは、御
指摘のとおりであると思います。ただ、現在までのところ、私どもの取り
扱い、あるいは先例の指導的な立場を果たしておりますところが、先生も御承知のとおりの最高裁判所が出しました
昭和四十五年七月十五日の判決でございまして、この判決は、先生がただいま問題にされました
一つでございますところの
供託官の
処分というものをどういう形で争わせるのかということについて、それまでの判例、学説の
一つの問題点に対する解決を与えた判決でございます。これは、当該
行政処分で争わせるのか、それとも民事
訴訟のような形で争わせるのかという問題につきましては、これはたしか、具体的には
供託官のなしました取り戻し
請求権の
却下処分というものを争った事件でございましたけれども、最高裁判所は、一応これを
供託官の
処分ととらえまして、
行政事件訴訟法で争わせるという立場をとったわけでございます。
そういう
意味で、ただいま私どもの
局長が
説明いたしましたように、
訴訟の争い方という点から考えますと、これは
公法上の
関係、すなわち
行政事件訴訟法の
対象となる
処分、こういうふうにとらえたということでございますので、これは広く還付
請求権、取り戻し
請求権の問題のみでなく、御
指摘の不受理
処分というところまで及ぼして、同様に
処分としてとらえ、それを
行政事件訴訟法の
対象にするのではないかと私どもは考えている次第でございます。
ただ、そのように申しましても、この
供託金の取り戻しないしは還付にかかわります
請求権が、それでは私法上の
請求権と一切かかわりのないものかといいますと、そうでもないということはこの判決の
趣旨の中にも見られるわけでございまして、たとえば時効
期間につきましては、
公法上の債権でございましたら会計法の適用を受けて五年の消滅時効に係るのが原則でございますけれども、この最高裁判所の判決は、私法上の
請求権と同様に、十年の時効であるということを申しておりますので、そのような
請求権というものが私法上の
請求権とほぼ同様な
性質を持つということも含めて考えているのではないかと私どもは考えておるわけでございまして、いわばそういう
処分かどうか、
訴訟の
対象かどうかという点では
公法上の
関係を持ちながら、その
請求権的なものの
性質が問われれば、それはむしろ私法上の
請求権に近いもの、こういうようなやや複雑な構成をとったものであるというように
理解しておる次第でございます。