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寺前委員 先ほどから、昨年に続く
冷害に加えて、春先の低温なり風水害で、
東北なり
北海道なりの稲作にとどまらず、小麦や豆類なりあるいは果実などの被害が広範に及んできている、
事態は非常に深刻だ。このような異常気象が頻発していくということになってきたら、わが国の食糧事情そのものにも重大な
影響を与えることになるじゃないか。そういうことから、来年の転作の条件の
緩和という問題が、当該する町村なりあるいは農協などから要望として強く求められてきているところでありますが、米作減反のこの際に本格的な見直しをやって、排水改良など土地条件の改善なり、耐寒品種と技術の開発なり、適地適産の
促進なり、日本の食糧供給体制の問題全面にわたっても
検討しなければならない
段階に今日来ているんじゃないだろうかというふうに、私は二年続きのこの
冷害問題を見ながらつくづく感ずるものです。
そこで、先ほどから
大臣は、町村会なりあるいは農協などの御要望について前向きでぜひ
検討していきたいという御答弁がありました。私は同じ角度からの問題を避けまして、他の面からこの問題について二、三聞きたいというふうに思うわけです。
それは、ことしの食管法の
改正が問題になりましたときに、附帯決議でも、「備蓄については、将来にわたる
国民食糧の安定供給に不安なからしめるよう現行方式の見直しを行うとともに適正数量を確保すること。」という附帯決議を当
委員会としても上げているところであります。備蓄問題というのは、そういう意味では非常に重要だ、適正な数量を確保するということが重要だ。先ほど
食糧庁長官は、六十万トンございますから御安心くださいとおっしゃられたわけです。数字そのものはそうだろうと思いますが、しかし、私はそれだけでは気になると言わざるを得ないと思うのです。
たとえば、ここに当
農林水産委員会会議録の昭和五十年十一月六日の当時の大河原
食糧庁長官の発言を持ってきております。これを見ますと、こういうことが書いてあります。「内外の食糧
需給その他から見まして、
計画的に二百万トンまで在庫造成をいたしたいということで
検討」している、そういう
方針でわれわれはやっているのだということが書いてあるのです。そして、その二百万トンという数字はどういう意味を持っているのか、その後に意味についての解説が載っております。これを見ますと、食管の比較的楽な
需給操作を二カ月分と考えると、百万トンあると大体やっていけるのだということが
一つと、それからもう
一つは、四十年代の最大の不作の年、四十六年の
作況指数を見ると九三だ、減収量が八十万トン減というような数字が出ている。「最近十年で経験いたしました不作が二年連続続いても十分ゆとりが持てる」ということを考えると、二百万トンという数字をそこから考えざるを得ないんですという
方針を当時の
食糧庁長官は当
委員会で発言をやっております。
私、ことしの食管の審議をするに当たって、いろんな分野にわたってお話を聞きました。おたくの方の、ことしの三月
段階ですが、国会に法案を出すに当たっていろいろな準備をされた。その中の
参考の資料として私ここにいま食糧庁の資料を持っていますけれども、これを見ますと、こういうことが書いてあります。「新備蓄案の仕組みの概要」ということで、 備蓄水準
これまでに発生した国内産米の不作事例(頻度とその
程度)と備蓄米の回転のための売却用途等を勘案して、仮りに
作況指数九〇
程度の不作が二年連続しても対応し得るものとして、備蓄目標水準を二百万トン
程度とし、その内容は、一年古米百二十万トン、二年古米五十万トン、三年古米三十五万トン
程度とする。
音符という形で備蓄水準の案を
参考として
検討されたということを私聞きました。そして備蓄米の回転のやり方としては、
備蓄米は原則として全量低温保管することとし、
通常年においては、次により操作するものとする。
ア、一年古米 百二十万トンのうち七十万トンを主食用に売却する。
イ、二年古米 五十万トンのうち十五万トンを業務用に売却する。
ウ、三年古米 三十五万トンは工業用
需要に充当する。
以上のとおり、毎年百二十万トンを売却し、
新たに一年古米百二十万トンを補充することに
より備蓄米の回転を図る。こういうような内容で備蓄米の
検討をやっているということを
参考の話として聞かせていただきました。お持ちでなかったらお渡ししてもいいですよ。おたくの方のあれですから。お渡ししましょうか、念のために。——いいですか。
そうすると、当
委員会において提起されました、二百万トンという考えておられる備蓄のあり方の問題といい、それから食管の審議の過程でおっしゃいました二百万トンを目途としての備蓄の水準を考えるという問題は、これはやはりわざわざ解説があったように、意図を持って提起された内容でありますから、それから比べると、六十万トンで御安心くださいと言えた柄じゃないんじゃないでしょうかということを私は思うのです。そういうふうに位置づけて考えてみると、五十八米穀年度、来年の秋の問題ですね、五十八米穀年度の場合を、備蓄
状況を考えてみると、先ほどのお話では、こういう考え方の中に割り当ててみると、一年古米は六十万トンというかっこうになります。二年古米はゼロになります。三年古米もゼロです。要するに、こういうふうに「新備蓄案の仕組み」ということで
検討された内容というのは、すでに二年連続の今日のこの
事態の中から考えても、これはやり得ないやり方にもうすでに到達しているのではないか。こういうことを考えてみたときに、食糧の備蓄という考え方から見ても来年度の強制的な減反、二期転作ですか、二期転作のあり方において、六十万トンしか備蓄ができないという
状況から考えてみたら、二百万トンを直ちに二年連続で、来年の作況はどうなるかという問題は別としても、平年作と考えたって、ともかく二百万トンを準備するということになったら、
緩和策というのは去年
程度ではだめじゃないか。否、そんな二百万トンと言わなくても、操作上二カ月分の備蓄、すなわち百万トンぐらいは要るんだということを答弁でおっしゃっておった。その百万トンを準備しようと思ったら、それは去年四万六千ヘクタールの
緩和をやっているけれども、これでは二十二万トンしか備蓄にならないことになりますから、そうすると、六十万トン来年度持ち越し備蓄ということが、先ほどの数字から聞いておりますと、百万トン備蓄ということになると、すなわちざっと倍の九万ヘクタールの減反をやらなかったならば、もう一年続くか知らないところの
冷害に対する対応策にならないんじゃないだろうか。これは、私は、ここの
委員会なり、おたくの方が
参考のためとして計算された資料に基づいて
検討すると、私は、そちらの分野から考えても、来年の減反の政策というのは、この前の
緩和どころではなくして、いまからやる減反ですね、減反ではなくして、倍くらいのことまで計算に入れた
緩和を見ておく必要があるのではないか。こういう数字になるんじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。