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1981-10-21 第95回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十月二十一日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 羽田  孜君    理事 福島 譲二君 理事 新盛 辰雄君    理事 松沢 俊昭君 理事 武田 一夫君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    木村 守男君       北口  博君    北村 義和君       近藤 元次君    佐藤  隆君       田名部匡省君    高橋 辰夫君       塚原 俊平君    保利 耕輔君       三池  信君    串原 義直君       島田 琢郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    安井 吉典君       吉浦 忠治君    近藤  豊君       寺前  巖君    野間 友一君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         外務省経済局次         長       妹尾 正毅君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省食品         流通局長    渡邉 文雄君         食糧庁長官   渡邊 五郎君         林野庁長官   秋山 智英君  委員外出席者         環境庁大気保全         局特殊公害課長 土屋  昇君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 寺松  尚君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 藤井 正美君         農林水産大臣官         房審議官    船曳 哲郎君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   福渡  靖君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   田名部匡省君     塚原 俊平君 同日  辞任        補欠選任   塚原 俊平君     田名部匡省君     ――――――――――――― 十月二十日  農家養鶏育成等に関する請願狩野明男君紹  介)(第九号)  同(渡辺栄一紹介)(第二四号)  米穀政策確立に関する請願狩野明男君紹  介)  (第二三号)  食糧基本政策確立に関する請願外一件(串原  義直紹介)(第五三号)  農業者年金制度改善に関する請願粟山明君  紹介)(第九六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十日  マツクイムシ防除対策拡充強化に関する陳情  書外一件  (第六一号)  農業基本政策及び米穀政策確立等に関する陳  情書外十六件  (第六二号)  北洋漁業安定確保等に関する陳情書  (第六三号)  大規模林業圏開発事業推進に関する陳情書  (第六四号)  農業振興対策拡充強化等に関する陳情書  (第六五号)  水田利用再編対策等に関する陳情書  (第六六号)  農業対策推進等に関する陳情書  (第六七号)  農地転用適正化に関する陳情書  (第六八号)  ビール大麦振興対策に関する陳情書  (第六九号)  国有林野事業拡充強化に関する陳情書  (第七〇  号)  公有林野取得事業に対する融資制度等の創設に  関する陳情書外一件  (第七一号)  農林漁業対策拡充推進に関する陳情書  (第七二号)  食糧政策確立等に関する陳情書  (第七三号)  食糧管理制度及び米麦価算式改悪反対に関す  る陳情書外一件  (第七四号)  山口県沖合における韓国漁船操業規制に関す  る陳情書外一件  (第七五  号)  食糧管理制度拡充に関する陳情書外九十一  件  (第七六号)  林業振興に関する陳情書  (第七七号)  大規模林業圏開発事業推進に関する陳情書  (第七八号)  林業施策推進に関する陳情書外三件  (第八  〇号)  農業生産基盤及び農村環境整備促進に関する  陳情書(第八一  号)  飼料米生産体制の充実に関する陳情書外二件  (  第八二号)  畜産酪農経営安定強化等に関する陳情書  (  第八三号)  農畜産物自給力向上に関する陳情書  (第八四号)  直方営林署の存続に関する陳情書  (第八五号)  霜害等による被害農家救済に関する陳情書  (第八六号)  異常寒波による農作物被害救済に関する陳情書  外二件(  第八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(チチュウカイミ  バエ防疫問題及び昭和五十六年産とうきびの  最低生産者価格問題等)  昭和五十六年産とうきびの最低生産者価格等  に関する件      ――――◇―――――
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
  3. 田中恒利

    田中(恒)委員 きょうはチチュウカイミバエの問題を中心に御質問させていただきますが、先立ちまして、過般の委員会でも大臣に御要請をいたしておりましたブロック米長官来日に伴います日米農産物定期協議様子につきまして、この際、重ねて御報告お知らせをいただきたいと思います。
  4. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 今回の会合におきましては、主として穀物等について意見や情報の交換が行われたという報告を受けております。  穀物につきましては、米国側から、明年も日本輸入需要を満たすことを確保すべく緊密に協力するという表明があったわけでございます。なお、米国側から、備蓄積み増しも含めて穀物輸出増大要請してきたわけでありますけれども、私の方から、日本側からは、現在の穀物需給状況及び厳しい財政状況のもとではせっかくのアメリカ側要請ではあるけれども、応ずることは非常に困難であるという旨を説明しておきました。  また牛肉柑橘の問題は議題ではありませんでしたけれども会合の終わりに米側から、一九八二年度末に予定されている協議時期の繰り上げ及びその協議の目的を完全自由化とすることを希望するという発言がありましたが、日本側からは、さき東京ラウンドでの日米合意は尊重されるべきであるということを強く話をいたしまして、しかも、その時点でも自由化に応じ得る状況ではないということを説明いたしたところであります。  さらに、私とブロック長官との会談の概要について申し上げますならば、十月十四日ブロック長官との会談におきましては、日米農産物貿易関係、両国の農業実情などについての意見交換を行った次第であります。そのときブロック長官からは、特に備蓄積み増しを含む穀物輸入拡大を図ってほしいという要請が強くなされました。さらに、チチュウカイミバエの問題についても発言がありました。  これに対しまして私の方から、穀物輸入をさらにふやすことは現在の需給状況及び財政状況のもとでは応じがたい、困難であるという旨の話をし、チチュウカイミバエの問題については、とにかく完全撲滅を一日も早く実現してもろうことが先決であるということを強く話をいたしておきました。  なお、この牛肉柑橘については、ブロック長官から、さき東京ラウンドでの合意はよく知っているが、これについてさらに話し合う機会を得られるものと理解しているとの発言があっただけで、それ以上のやりとりはございませんでした。私の方では議題にもする考えもなかったわけでありますので、聞き流しということにいたした次第でございます。
  5. 田中恒利

    田中(恒)委員 新聞の報道等を見る限りにおいては、今回の交渉を通して日本側は、外務大臣農林大臣は、一貫していわゆるわが国食糧自給拡大政策路線を貫かれている、こういう評価がなされておるし、私どもも一定の評価をいたしております。ただ、アメリカ側の主張の中には、たとえば日本の小麦の売り渡し価格を上げないでほしいとか、あるいは備蓄政策を、この時期に買えば大変安いから日本に有利であるとか、内政干渉的な発言が非常にあった、こういうことについての意見も強く出されておりまして、関係者の間では、やはりアメリカは相当強腰で八三年交渉に臨んでくるという印象を非常に強くしておると思います。  そういう意味で私は、この八三年の日米農産物交渉の開始時期を農林大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、あるいはこの交渉に臨むに当たって、わが国政府鈴木内閣がやはり閣内一致態勢をとってもらいたい。農林大臣はすぱっとした線を貫かれると思いますが、通産外務、それぞれの関係各省の間には、これまでの経過から見ると、必ずしも足並み一致が見られない線があります。私たちは、国会で決議をした食糧自給向上基本政策に狂いのないような立場で予想される日米間の農産物交渉に臨んでいただきたい、こういう要望を強く持っておるわけでありますが、これにつきましての大臣の御見解を承りたいと思います。
  6. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 柑橘類につきましては、東京ラウンドでもう日米間で合意をいたしておりまして、再折衝の時期も、期限の切れる前年というふうにいたしてあるわけでございますから、早くて来年の暮れ、私は再来年の春でもよろしいのではないかという考えを持っております。ブロック長官にも、率直に私の方からそういう事態を話しておきました。御指摘のように、アメリカは未曽有の豊作であるということで、これの売り先を見つけないと、シカゴの相場がもしも下がったりすると、アメリカ政府財政負担というもの、不足払い制度をとっておりますから財政負担が相当心配されておるということも、やはりアメリカとしての非常な苦労かな、はっきりそういうことは言いませんでしたけれども、そんなそぶりが見えたところでございますから、アメリカがそういう困難な情勢にあればあるほど日本に対して相当強くぶつかってくるなという感じを、話をいたしているうちに感じられたわけでございます。  したがいまして、私の方から、日本食糧需給実情等を詳細に話をいたしまして、古米の問題等情勢からして、もうこれ以上輸入することはまことに困難であるということをきちんと申しておきました。しかし、アメリカとしては、一遍断られても二遍言う、二遍断られれば三遍言うというような態勢で出てきはせぬか、その際に、日本側足並みが乱れないようにということで、外務大臣、それから田中通産大臣にもその辺の事情をよく申し上げて、乱れのないようにという配慮は私も十分いたしているつもりでございます。したがいまして、今後アメリカとは、そういう意味におきましてもやはり常に接触をして、そして常にこちらの態勢、こちらの気持ち、こちらの構え、決心というものを相手に十分知らしておく、そしてすきを与えない、こういうことがこれから日米間の食糧問題についての対策を進める上においての必要な姿勢ではないか、私はこんなふうに考えておる次第でございます。
  7. 田中恒利

    田中(恒)委員 食糧の国際的な協力関係の問題をめぐってもう一問御質問しておきますが、オーストラリアニクソン第一次産業相が過般来日をされまして、日豪間の貿易関係について大臣とお会いになっていらっしゃいますが、その際にオレンジの、いまチチュウカイミバエ発生地帯としてオーストラリアオレンジ輸入がとまっておるわけですが、これについて解禁要請されたという報道がなされておるわけでありますが、この会議の御様子についてもあわせてお知らせをいただきたいと思います。
  8. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御承知のように、オーストラリアチチュウカイミバエ及びクインスランドミバエ生息いたしておりますために、同国からのオレンジも含む生果実輸入植物防疫法禁止をいたしておるところでございます。しかし、オレンジにつきましては、ニクソン大臣から、EDBによるチチュウカイミバエ等消毒技術確立されておるので、アメリカにも許しているのだからうちの方にも許してくれてもいいじゃないかという話はございました。しかし、すぐにオーケーというわけにはまいりませんよ、いろいろな手続がありまして、その手続を全部満たさなければ、新規の輸入解禁でありますオーストラリアにとりましては——初めてなんだから、アメリカとはちょっと違いますよということを私から話しておきましたし、EDBの問題、特に安全性の問題についても現に日本の埠頭、港においてすら問題になっておるということもございますので、これらのEDB安全性の問題の推移をも見きわめる必要があると考えておりますので、それらの点が明らかになった上においてオーストラリアの問題は新たに考え、対処していかなければならぬな、こんなふうに考えております。
  9. 田中恒利

    田中(恒)委員 この問題は後でまた重ねてお尋ねをいたしますが、去年の六月以降、チチュウカイミバエという、世界の病害虫の中である意味では元祖と言われておりますものがアメリカカリフォルニア州で発生をいたしまして、特にわが国農産物防疫をめぐって国際的にも大変大きな問題になっております。このチチュウカイミバエにつきまして、カリフォルニア州七郡特別検疫地域が設定されておりますが、この特別地域面積はいまどれほどになっておりますか。
  10. 小島和義

    小島政府委員 ただいま現在のカリフォルニア州の中の検疫規制地域面積でございますが、七郡合計いたしまして約一万平方キロメーター、こういうふうになっております。
  11. 田中恒利

    田中(恒)委員 一万平方キロメーターですか。それは間違いありませんか。
  12. 小島和義

    小島政府委員 やや詳しく申し上げますならば、七郡の中で現に虫が発見されておりますところ、これはまさに点として発見されるわけでありますから、面積というのはなかなかむずかしゅうございますが、その発見されております場所を結んだ広がり、これをアメリカの方ではコアエリアと呼んでいるわけでございますが、それは大体百四十平方キロぐらいであろう。その発生しておりますところを中心にいたしまして航空薬剤を散布している区域がございます。これが大体三千平方キロメーターでございます。その三千平方キロメーターのさらに外側に果物移動を制限しております検疫規制区域というのを設定いたしておるわけでございまして、その面積が一万平方キロメーターカリフォルニア州全体の面積が約四十万平方キロメーターでございますから、大体それの四十分の一、まあこんな状況であるわけでございます。
  13. 田中恒利

    田中(恒)委員 それは、いまの果実野菜の焼却や移動禁止しておるという地域ですね。やはり私どもがいろいろ聞いておる範囲では約十一万六千ヘクタール程度がその発生地域と常識的に理解をしておる、こういうふうに言われておるわけです。この辺はおたくのあれとちょっと違いますが、問題は、この状態がこれからどういうふうになるというふうに農林水産省は見られているのか。もうすでに実質三回現地調査をせられておるわけですが、私ども非常に心配をしてこれまで見続けてきたわけですが、どうも農林水産省見解は、そのうち何とかなるだろう、一口に言うたらこんな考えが貫かれておったように思えてしようがないんです。そういう意味で、一体、これからどういう推移を予想しておるのかお尋ねをしておきたいと思うのです。
  14. 小島和義

    小島政府委員 このカリフォルニア州におきますミバエ発生状況郡別にトレースをしてまいりますと、昨年の六月に最初に発見されましたのがサンタクララ郡というところでございまして、そのあと引き続きましてサンマテオ郡、それからアラメダ郡、これは昨年じゅうに見つかったところでございまして、いずれもサンフランシスコの周辺住宅区域、こういうことでございました。その後、一進一退があったわけでございますが、本年の八月に至りましてこの三郡に隣接をいたしておりますサンタクルツ郡、さらには八月の十三日に至りましてやや飛び火をいたしましてスタニスラウス郡、引き続きまして下旬に至りましてサンベニート郡、八月の二十五日に至りましてかなり離れましたロサンゼルスの周辺に出た、こういう経緯でございまして、この八月の時点で見る限りは発生地域拡大の傾向にある、こういうふうに判断をいたしたわけでございます。そういう判断に基づき、特に商業生産区域でありますところのスタニスラウス郡への飛び火ということをきっかけといたしまして、八月十五日におきましてアメリカ側加州全体の果物について消毒措置を実施するよう要望をいたしたわけでございます。  その後の経過でございますが、アメリカにおきましてもこの八月前後から本格的な防除作戦を展開してまいっておりまして、これまでに再三の調査団によって判明しておるところでは、九月現在までに使いました防除経費が五千五百万ドル、日本円にいたしますと百二十七億円という金をすでに投じて防除をいたしておるわけでございます。防除の態様といたしましても、商業的生産地域におきましてはDC4という四発の飛行機の四機ないし五機の編隊によるじゅうたん爆撃的な農薬散布をやっておりますし、住宅区域におきましてもヘリコプターを使って防除をやっておる、こういう状況にございまして、その効果というのは逐次あらわれてきておるのではないかというふうに見ておるわけでございます。  現に、この虫の発見状況を月を追うて調べてまいりますと、八月よりは九月、九月よりは十月、十月はまだ先週末現在でございますが、月を追って発見頭数は減っておりますし、発見されております郡の数も八月では七郡ございましたが、九月で五郡、十月現在、ただいま現在で二郡しか発見を見てないということがございますので、逐次下火になりつつあるのではないかと見ております。  もちろん、これがまだ完全撲滅状態になっておるというふうに判断しておるわけではございませんで、決して油断をしておるわけではございませんが、そういう状況から見ましてかなり防除効果があらわれつつある、こういう状況ではないかと見ておるわけでございます。
  15. 田中恒利

    田中(恒)委員 チチュウカイミバエ生息状況から言うと、これはいま冬に入りかけるわけですが、この時期は御承知のようなことでこれは表に出にくい、だんだん土地の中に入っていくということでありますから表に出ないのがあたりまえであります。しかし現実には、この間も十月十二日ですか、ロスの郊外に新しくミバエ発生してきたというような報道も聞かされておるわけでありますが、確かにアメリカが、いまおっしゃったように相当な金と人間と、ありとあらゆる体制をとってやっておるということは承知しておりますが、なかなか一匹、二匹のハエを全滅させるということについては、現状段階では非常にむずかしいのじゃないかという説が出てき始めておりますし、アメリカにはすでにもうこのミバエは定着をしてきた。去年の六月発見されましたが、恐らくこの虫はその前年から入ってきておるはずなんですから、延べにするともう足かけ三年目ぐらいに入る、少なくとも実質二年間は生息をしている。その間に相当やったけれども、まだとどまらないというのが現状であります。  このミバエという虫の持っておる繁殖率とか、果実野菜に対する腐敗力、そんなものを考えると、これは一匹、二匹、五匹が大切なんで、私は、なかなかそんなに簡単なものじゃないと思いますが、何となく一生懸命向こうはやっておるから大丈夫ではなかろうか、こういう考えをいつもとっていらっしゃるところに、私がこれから申し上げるいろいろな施策問題点が出てきておるような気がしてなりません。小島さんはチチュウカイミバエを一匹も日本に入らせないと言明せられました。せられましたが、それをやるためには、ざっくばらんに言えば、もうそういうものが入る可能性を持っておる果物輸入禁止をしていく。いまアメリカで起きて大変なことになっているわけですから、これはオーストラリアだってニュージーランドだってメキシコだって、各国がこれについて非常に大きな関心を持っているのですから、禁止をして、事態状況を見て、完全に終わった、もう撲滅ができたという段階になればまた再開するということも考えられるでしょう。いまの時期はやはり禁止をするということが、一匹も入れないというのが最良、最大のやり方だと思うのですが、それをやられてない。そのやられていない理由というのは一体何なのか、このことをちょっとお聞かせいただきたい。
  16. 小島和義

    小島政府委員 ある虫の撲滅されていく過程というのは、だんだん密度が低下してまいりまして次第次第に絶滅に至る、こういうプロセスをたどるわけでございます。現にわが国におきましても、奄美群島まで北上してまいりましたミカンコミバエを数年間の努力によりまして完全に駆逐した、こういう前例もあるわけでございます。  アメリカ合衆国の場合で申しますと、一九二九年以降過去六回にわたりましてこの虫の侵入を受けております。そのうち四回はフロリダ州、一回はテキサス州、一回は一九七五年カリフォルニア州でございます。そのいずれにつきましても大変な防除作戦の結果、これを絶滅したという実績を持っているわけでございます。また、現在その虫の現に出ておりますところ、発見されておりますところは、先ほど申し上げましたように加州全体の面積の中でもきわめて一部の区域である。しかも、それに対してわが国では考えられないほどの資金、人員を投じまして撲滅作戦を現に展開しておる、こういう実情にございますので、直ちにその加州全域またはアメリカ本土全域にわたりまして輸入禁止にする、こういう段階ではないのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  国際的に申しますと、たとえばわが国におきましても、先ほどお話し申し上げましたように、かつては奄美沖繩、これはいまでもおりますが、ミカンコミバエがおる。それから、ウリミバエ沖繩奄美についている。しかし、わが国本土奄美沖繩との間に物資の輸送を制限し、懸命な防除作戦を展開しているということは世界各国認めておりますので、日本周辺の諸国及びアメリカ合衆国におきましても、日本全体がミカンコミバエなりウリミバエ汚染地域だということで植物検疫上の扱いをいたしておるわけではない。こういう扱いもございますので、直ちに全土を禁止するというのはいかがかと思っておるわけでございます。
  17. 田中恒利

    田中(恒)委員 局長、いまおっしゃったように前にアメリカへ何回か入っておりますね。しかも、その撲滅の期間はこんなに長くかかっておりませんよ。長くかかってないはずです。今度は相当長いですよ。それから、それを撲滅しているからそれでやれるだろう、こういう認識アメリカ当局にも非常に強いようです。それがまた日本にも、いままで六回も七回もやっておるのだから今度も大丈夫だ、こういう認識は私どもは非常に不安である。それから、きわめて一部だと言われるわけだけれども、しかしそんな理屈を言っておったら、たとえばオーストラリアはどうですか。あのオーストラリア大陸、あれだけだだっ広いところの、これまたきわめて一部の点のようなところでも、ミバエ発生しているからということで全体をだめだと言っているわけでしょう。だから、私はそういう理屈で言われたのでは困る。  それから、植防法というものがあって、植防法の第七条には「何人も、左に掲げる物を輸入してはならない。」こういうことになっておるでしょう。その中の第一の害虫はチチュウカイミバエであるということで、第七条の第一項に基づいて付表でチチュウカイミバエが載せられて、そしてあれは何国ありますか、恐らく三十六地域ぐらいが指定されている、国単位がほとんどでありますけれども。そういう形になっておるし、植物防疫法というものは、こういう事態が起きたときにはやはりそれぞれの関係国の間で一時禁止をして安全にして、拡大をさせない、そういうことが基本になって国際的につくられておるし、国際条約もそういう観点で、輸入国が禁止をするということを認める、こういう条項も中に入っておるわけでありますから、基本的には植防法の運用は、こういう事態になった場合にはやはり入れないという処置をするのが正しいと思う。このことをはっきりしていないと——私は、実はこの植物防疫法が国会で成立するときにどういう議論をしたかということを議事録を探してみましたけれども、残念ながら、余り細かい議論はほとんどなされてないのです。私は、それがされておったら、この法律のそういう問題についての議論はなされたと思いますが、ほとんどされておりません。おりませんだけに、この植防法の基本になるべきものは、こういう危険な害虫が起きて非常に心配だという状況が国際的に出てくる段階では、やはりやめる、入れさせない、こういう処置について植防法の中にもあるわけですから、公聴会をやって、付表に入れて、直ればまたもとへ戻せばいいわけですから、そういう処置をするのが一番正しいと思うんですよ。それがやれないというところに、やはり相手がアメリカだからやれないのじゃないか、私たちはこういう心配すら起きるわけなんですよ。どうもその辺をできないで——そうしたら聞きますけれども植防法に基づいて輸入禁止をする場合は、どういう場合にするのですか。いまはできないと言うのですけれども、どういう場合になったらやるのですか。
  18. 小島和義

    小島政府委員 これは一口に申し上げれば、その虫がその国に定着をした、完全に居座った、こういう状態判断すべきものと思います。したがいまして、その要素といたしましては、現に発生している面積状況でありますとか、それが拡大の方向をたどっておるかどうか、それから絶滅すべく努力が払われておるかどうか、そういった諸事情を総合的に勘案いたしまして判断すべきもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
  19. 田中恒利

    田中(恒)委員 そういたしますと、もし仮にいわゆる来年のミバエが躍り出てくる時期、これは春先でありますが、このころまでアメリカカリフォルニアでもしこの事態が続いたならば、これは定着とみなしますか。恐らくこれはまる三年、カリフォルニアのいま特別検疫をやっておるところは、やはりミバエが根絶できない、こういう状態が続いておるわけですが、そういう場合にはやはり禁止という処置をとらざるを得ないというふうに理解してよろしいですか。
  20. 小島和義

    小島政府委員 先ほど申し上げましたように、単に期間の長さというだけで判断すべきものではなくて、広がりでございますとか、絶滅のためにいかような努力が払われているかということを総合的に判断すべきものと思うわけでございます。  これは日本側の方の例でございますが、先ほど申し上げましたように、日本国内にもウリミバエのようなものが、地域沖繩奄美というように限られた地域でございますが、いるわけでございます。それに対しまして日本周辺の諸国、たとえば韓国とか台湾とかというところが、日本全体をウリミバエ汚染地域なりということで扱っているかというと必ずしもそうではございません。アメリカ合衆国またしかりでございまして、日本奄美沖繩ウリミバエを絶滅すべく大変な努力をしておる、それから本土との間にも物資交流について厳重な制限をしておる、こういうことをよく認識してもらっておりますので、日本の一部にウリミバエはいるけれども日本全域がウリミバエ汚染地域だということには扱っておらないわけでございますから、同様の意味において、単に期間の長さというだけではなくて、広がり状況撲滅のための努力、そういったことを総合的に判断すべきもの、こういうふうに考えております。
  21. 田中恒利

    田中(恒)委員 沖繩の問題をいつも出されますけれども沖繩は島でありますから、アメリカがこの植防法でハワイを生息地と指定しておりますね。これはアメリカの一州でありますけれどもアメリカ全土は外している。これと同じ理屈ですよ。しかも沖繩ミカンコミバエは台湾からずっと入ってきて大分北上しましたけれども、いま逆に押し返しておる。こういう状況がはっきりしておるわけですね。このカリフォルニアチチュウカイミバエは、カリフォルニアのロサンゼルスとサンタクララ地区に起きてからぐっと拡大してきておるわけです。しかもその地域も、地域の広がりとおっしゃるけれどもチチュウカイミバエカリフォルニアの全州に広がるとか、そんなことになったら大変ですよ。そんなときまで待つなんていったら大変なことです。いまカリフォルニア州の七郡がすでに特別地域として、州政府があれほど厳しい処置をしておるという状態ですよ。そういうことですから、期間が三年続こうが四年続こうが、広がりがどうであるとか何がどうであるとか、そんなことであれしてはいけないので、私どもは常識的に、これは三年も虫が続いてとまらないということになれば、これはやはり発生地域という認定をして、植物防疫法に基づく処置をしないと、これは局長さん、あとあとこういう問題はいろいろな形を残しますよ。だからやはり植物防疫法のたてまえというものの基本を貫いてもらわなければ困る、そういうように思います。  日本に対して、いろいろ植物防疫法上諸外国がどうと言われますけれども、私はこの間申し上げて、大臣も心配していただいておるようですが、たとえば日本のミカンがアメリカへ輸出をされておるものがあります。私の県にも一カ所ある。前はたくさんあった。しかし、いま一カ所であります。たしか静岡も一カ所であります。これは私の記憶では、グレープフルーツの自由化のときに、グレープフルーツを日本に持ってこいと言うけれども日本のミカンは全然アメリカは買ってくれない、おかしいじゃないかということからいろいろな話が出てきて、やっとアメリカが五州に限って日本のミカンを買うということを言いました。しかし、いまわれわれはたしかアメリカから四十万トン近い柑橘を買っておるはずです。われわれが出しておるのは数百トンにしか足りません。ところが、この日本の輸出ミカンのアメリカの植物防疫の取り扱いというのは一体どういう状態になっておるか。ミカンをつくる果樹園の周辺半径四百メートルは温州以外は全然つくらせませんね。いまわれわれは中晩柑への転換を言っておるわけですけれども、それはできないのです。温州ミカン以外は許さない。こういう輸出ミカンの果樹園の周辺に対して、作付に対して非常に激しい規制がある。それから、アメリカの防疫官がミカンを出すために六、七回から八回ぐらい来ますよ。そうして消毒のときから、採取のときから、荷づくりのときから日本両防疫官が立会をして大変やかましい。しかも、極端に言えばそのアメリカの防疫官の経費は全部日本持ちであります。あるいはアメリカの農薬を使わなければいけないとか、ともかく大変やかましくて、これじゃ農作業はできないということで、最初二十何カ所あったところが、だんだんやめてしまって、いま二カ所になっている。このままいけばこれもなくなりますよ。実質的に禁止したようなものと同じですよ。そういう処置をアメリカ側ではとっておるのですよ。いわゆる日本の潰瘍病がある、こういう前提のもとにとっておるわけであります。ところがアメリカチチュウカイミバエができて、これは潰瘍どころの騒ぎじゃないでしょう、チチュウカイミバエの持っておる国際的影響力というものは。そうしてあれだけ問題になっておるのに、なお日本の植物防疫官は向こうで立会するわけでもないし、向こうの政府が証明した証明書を持ってくれば通常の検査で通します、こういうやり方をとっておるのでしょう。これはどう考えたって国民的に納得されませんよ。大臣どう思いますか。
  22. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そのような気持ちを持って私はブロック長官撲滅することが先決要件であるということをきつく申し上げておいたのも、もし撲滅できなければということになりますと、またこっちもこっちとして考えていかなければならぬ、こういうふうになるのが順序だと思うのです。もうしばらくの間、アメリカが全力を挙げて撲滅する、こう農務長官も言っておるわけでありますから、こちらもその推移を見守って、あといつまでたっても撲滅できないというようなときになれば、これはまた考え直さなければいかぬ、こういうことを思っておるわけであります。
  23. 田中恒利

    田中(恒)委員 さっきのオーストラリアの問題ですけれども、私も実は国会の調査団等の一員としてオーストラリアへ参りました。そうしてこちらへおいでになったニクソンさんともお会いをいたしました。向こうの関係者と会いました。農林省の方からも、行くときに、オーストラリアとの貿易の問題ではオレンジ輸入解禁が迫られている。これに対してのわが方の主張は、EDB薫蒸というものがやはり問題になっておるので、しばらく時間をかしてほしい、こういうレクチャーを受けていったわけでありますが、行ってそういう感じを強く持って帰りました。帰りましたら途端にアメリカチチュウカイミバエの問題です。行ったときにすでにオーストラリアは、日本アメリカチチュウカイミバエ発生に対する防疫上の取り扱いはどうなるか、このことに対して非常に大きな関心を持っておった。ニュージーランドも持っておりました。そういう国際的な環境の中で、これは大変なことだなと思って帰ってきたら、EDB薫蒸で向こうが薫蒸したものは認める、こういうことになったわけですね。そうなりますと、いまチチュウカイミバエ発生しておる国でも、EDB薫蒸をやっている国はほとんどその方式でやってくれよと言って、これはどんどん出てきますよ。そういう反響もあるのです。むしろ私どもはこういうときにはきちんととめるという形を一時、一時と私はあえて申し上げますが、本当は全面禁止したいという気持ちが強いですけれども、一時やはり決めて、そこでおさまったらまた再開いたしましょう、こういうことが最も妥当だと思うのです。ところがそれがなかなかやれないということで、いまおっしゃられたような意見を出されるわけですけれども、それがどうも納得できません。カリフォルニアチチュウカイミバエ発生したことに伴って、これはわが国だけではなくて、アメリカ国内で問題になっておるわけですが、特にテキサス、フロリダなど南部五州は州で特別検疫の制度をとっておるということでありますが、このそれぞれ南部の五州がとっておる特別検疫制度の内容を農林省は御承知でございましょうか。わかっておったら知らしてください。
  24. 小島和義

    小島政府委員 南部の五州、これはフロリダ、アラバマ、サウスカロライナ、ジョージア、テキサスの五州でございますが、本年の八月カリフォルニア州におきますチチュウカイミバエ発生地域拡大傾向に対処いたしまして、未発生地域の生果実につきましても植物検疫証明書を添付させるということ等を含めまして、州の境において州独自の検疫措置をやろうということを言い出したわけでございます。それに対してカリフォルニア州がこれを違法であるということで連邦の最高裁に提訴をし、結果的には五州の方が勝った、こういうことになっております。  ただ、現在やられております措置は、具体的には、連邦の規則で取り締まられておりますもの、これは、合衆国の中では規制区域内の生果物は消毒をしなければ外に出せないということになっているわけでありますが、そういうものが未消毒のまま自分の州に持ち込まれないかどうか、それを点検する程度のものというふうに伝えられております。それ以上の詳細はつまびらかではございません。
  25. 田中恒利

    田中(恒)委員 私どもの聞く範囲では、特別検疫制度には、持ってくることについての制限あるいは禁止、こういう内容も含まれておる。それだけにカリフォルニア州がこんなことをされてはたまったものではないということで最高裁に提訴をして、ここで審理がなされたけれどもアメリカ全土にこれを波及させないためにはやむを得ないという判決が過般出された、こういうことであって、アメリカの国内ですら相当激しい検疫というものが行われておるわけですね。わが国は、向こうが消毒をしたら、向こうの政府の証明で、通常の検疫でこれを受け入れる、こういうことになっているのです。こういう八月二十六日の合意事項ですね。これも少し甘いのじゃないか、こんな気がしてなりません。  私どもは昨日参りました。入ってきた例のチチュウカイミバエの第一線の検疫を見させていただきましたが、全体の二%抽出ですね。二%ですから、百箱来たら二箱見るだけです。これは、その程度のもので、あれだけ大量のものが入ってくるのに検疫で阻止できるなどとはとうてい考えられません。やはりアメリカ側がきちんとした消毒なりチチュウカイミバエを出さないという——これはアメリカは意識的にはみんなそうでしょう。だけれども、そういうものをわが国がきちんと確認をしないと、こっちの水際の検疫だけでは大したことにはならぬなという印象を非常に強く持って帰ったところでありますが、このEDB薫蒸というものが実はいま非常に問題になっております。  このEDB薫蒸というものが認められた、合意をせられた理由は何か。このEDB薫蒸をやることについては、日米の専門家会議で話し合われたわけですが、これはどちらから提案が出てなされたのか、このことをひとつお尋ねします。
  26. 小島和義

    小島政府委員 お答え申し上げます前にひとつ事実関係をつまびらかにしておきます。  ただいまカリフォルニア州産の果物で消毒を義務づけておる、消毒した上でなければ日本に持ち込ませない、この扱いは、現に規制区域になっておらないところ、虫の発見されていないところを消毒しろ、こういうことを言っておるわけでありまして、合衆国の中における取り扱いは、規制区域内は消毒をしなければ持ち出せない、それ以外の地域は自由に持ち出せるというものでございます。先ほどお答えいたしました他州の証明書をつけろ、こういうことを要求しましたのも、検疫規制区域外のものについても証明書をつけてくれ、こういうことを要求したわけでございまして、わが国は、その未発生地域検疫規制地域外のものについて念のために消毒をして日本に持ってくるように、こういうことでありますから合衆国内の扱いよりは一段と厳しい。規制地域内のものは、昨年十月以降わが国に対する輸出を完全にとめておるわけでございます。  そういうことを前提といたしまして、アメリカ側としましても当初は検疫規制区域外のものは、現に虫がいないわけでありますから消毒をする必要がないのではないか、こういうことを言うておったわけでありますが、わが国としては、それはいつ何どき出るかもしらぬ、灰色の地域でありますからそこも消毒をするようにということで押し切ったわけでございます。したがって、その消毒方法については当方が提示する立場にはないわけでありまして、アメリカ側が、こういう方法ならば虫は完全に死ぬということを科学的データをもとにして提示した、わが方がそれを認めた、こういう前後関係になるわけでございます。
  27. 田中恒利

    田中(恒)委員 国際植物防疫条約ですか、これを見ると、今度のような場合は、日本側アメリカに対してこういう消毒方法をしてくれ、こういうふうに提示をしていく、これがたてまえのように私はあの条約を読むわけですが、そういう処置はされなかったわけですか。
  28. 小島和義

    小島政府委員 これは禁止地域について解禁する場合も同様でございますが、どういう方法をとれば完全に虫が死ぬかという挙証責任みたいなものはその輸出をする方の側にある、わが方はそれを審査して、認めるかどうかということになるわけでございますから、日本側がこういう方法と言う立場にはないわけでございます。
  29. 田中恒利

    田中(恒)委員 いやしかし、それは、万一入ってきた場合には日本側が大被害を受けるわけですから、その国が、こういう形のものでなければいけませんよ、こういうことを言うのは当然でしょう。そういう立場が国際条約にはやはり示されておるのじゃないですか。消毒は、あちらからしてもこちらからしてもいいわけですけれども、基本的にはこちら側からこういう形のものでなければいけませんよと言うべきなのが、今回の場合は、アメリカ側からEDB薫蒸ということで、しかも細かいいろいろな処理基準があるのだと思いますがそういうものは公表されておりませんが、そういったようなものを提示をされて、こちらの方は、正直言ってチチュウカイミバエの経験もないという理由ですが、しかしさっきの局長の話を聞いたら、沖繩中心に相当強力にわれわれもやっておるのだから、日本だってこの問題について相当な技術者や学者はたくさんおるわけです。そういう人々の意見を聞いて、こういう形のものであってほしいというものをしなければいけなかったのじゃないですか。
  30. 小島和義

    小島政府委員 これは相手方の方でどういう消毒を実施するかということの選択権があるわけでございまして、わが方は、それで虫が完全に死ぬかどうかということをチェックするという立場なわけでございます。  したがいまして、今回の柑橘類につきましても、アメリカ側が主張しました消毒方法はEDB薫蒸または冷却処理、そのいずれかということで、EDB薫蒸だけの方法ということになったわけではございません。その二つの方法のいずれをとるかということについてはアメリカ側の選択でございまして、わが方はそのいずれの方法でも結構であるということを認めたということになっておるわけでございます。
  31. 田中恒利

    田中(恒)委員 私の理解が間違っておったらあれですが、国際植物防疫条約第六条「輸入に関する要求」というのがありまして、「締約政府は、その領域に植物の病害虫が侵入することを防止する目的をもつて、植物及び植物生産物の搬入を律する完全な権限を有する。」これは「輸入に関する要求」であります。こちら側でしょう。「植物及び植物生産物の搬入を律する完全な権限を有する。」こういうふうに書いております。そしてこの一項の(b)には「特定の植物若しくは植物生産物又は植物若しくは植物生産物の特定の積荷の輸入禁止すること。」こういうこともきちんと書いておるのですね。これはこちらから輸入について要求をするという権利を明らかにしておるのじゃないですか。
  32. 小島和義

    小島政府委員 この国際植物防疫条約の第六条の規定は、この条約加盟国の政府がこの目的を達成するためにどういうことができるかという、やれることの範囲を示したものというふうに考えておるわけでございます。でありますから、たとえばこの中に、特定の植物について輸入をとめるという権限もうたわれておりまして、現にわが国植物防疫法の施行規則によってかなりな果物その他の植物について禁止地域あるいは禁止果物を決めておりますのもこの権限によって行われておるわけでございます。そのほか、禁止に至りませんもろもろの制限なり要求なりができるというのが(a)項の規定であろうと思いますし、それから港において、着いた荷物を検査あるいは抑留するということも現にやっておるわけでございます。でありますから、今回の場合アメリカ側に対して消毒して持ってこい、こういう要求をいたしておるわけでありますが、その方法については相手方が証明する立場にある、こういうことを申し上げているわけであります。
  33. 田中恒利

    田中(恒)委員 ちょっとまだ納得いきませんが、これは後でなおお互いに少し勉強させてもらいたいと思います。  そこで、EDB薫蒸をどういうふうにやっていくのかということについてアメリカ側から資料が出されて、その薫蒸の基準について内容がわかっておると思いますが、それは私は承知をしておりませんが、お示しをいただけますか。
  34. 小島和義

    小島政府委員 EDB薫蒸のやり方でありますが、まずこれは一定の建物あるいは入れ物の中において薫蒸するわけでありますから、その中に入れます物の比率は七〇%まで、それ以上物を詰めてはいかぬ。それから消毒自体のやり方につきましては、オレンジ、レモンにつきましては、容積一立方メートル当たり薬剤を十四グラム使いまして、十五・五度以上の温度で二時間薫蒸する。それからグレープフルーツにつきましては、同じく一立方米当たり十六グラム、同じ気温で二時間半の薫蒸をする、こういう扱いにしたわけでございます。
  35. 田中恒利

    田中(恒)委員 それはわかっているのです。そのやり方はわかっているのですが、EDB薫蒸の細かいデータがあるはずですよね。どういう薬をどういうふうに配合してどれだけの時間というような。そういうものはまだお示しになっていないのですよね。しかし、いまこのEDB薫蒸をめぐってすでに発がん性の問題、不妊性の問題、それから特にいま私たちが心配をしておるのは、EDBの薬と、薬が出てくる周期なりあるいは果実の中に残留した、幾らか残っても、それとその他の、これは特に何か酒中毒ですね、これを防止する薬との結合がなされた場合にはアメリカでは大変大きな発がん性を、九〇%と言われておりますが、そういうものを発揮するというような問題等がいま非常に大きな社会的な問題になっておるわけなんです。そういう意味で、EDB薫蒸の薫蒸の細かい材料というか要素というか、そういうものについての検討はなされておるはずです。二時間やるとか、どの施設に入れるとか、何%どうとか、こういうことはもう大体皆承知をしておるのですよ。そういうものをお示しをいただきたい、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  36. 小島和義

    小島政府委員 これはほかの国との輸入解禁の場合も同様でございますけれども、私どもがチェックをいたしますのは、その方法で虫が完全に死ぬかどうかということを責任を持ってチェックいたしておるわけであります。現地におきますその薫蒸の実施が、その国の安全衛生法規なりあるいはその植物に在する残留の基準なりというものに合致して行わなければいかぬということは、その国の法律の効果といたしまして当然でございますから、植物検疫の方の世界でそのことをあえてチェックをするということはやっておらぬわけでございます。
  37. 田中恒利

    田中(恒)委員 農林水産委員会がそのことがはっきりしないということならこれは別途にやらなければいけませんが、私は、そういう虫を殺すということだけのことが権限で、あとはあれだというのは、ちょっと今度の場合なかなか国民の皆さんの了解得られないと思いますよ。     〔委員長退席、福島委員長代理着席〕 これは人体に不安があるのではないかという心配がいま新しく出てきて、大変な問題になっておるわけですが、この問題の出発は農林省の日米専門家会議での話し合いで出ておるわけですから、そのことだけで、虫が死にますからあとのことはというわけにはいかぬと思う。だからこれはここで議論してもはっきりしないということでしたら、それは国会にもそれぞれ必要な関連委員会がありますから、これは厚生省を中心のものになるでしょうけれども、その分野でいろいろこれから検討していただかなければいけないと思いますが、私はしかしそのことだけで——私は、この資料をあなたのところ、どうもはっきりせられてないんで、これ出されるべきだと思っておりますが、いまおっしゃられたようなことで済むものじゃないということだけ申し上げておきたいと思います。  そこで、横浜と東京と神戸で十月八日にEDB薫蒸に基づく第一船が入りまして、その荷揚げをめぐって御承知のような状態が起きておりますが、この荷揚げはされたんですが、コンテナの開閉がしばらくなされなくてそのまま放置をされて、やっとこの間一応の話が整ったということでいま検疫がなされておるわけですが、この話が整った内容を、農林省も立会をしておられたはずでありますから、この機会に御報告をしていただきたいと思います。
  38. 小島和義

    小島政府委員 先ほどのお答えの補足でございますけれども、いまのEDB薫蒸の安全性の問題につきまして、昨年の十二月にアメリカのEPAが発がん性の疑いがあるという提案をしたということは私どもも存じております。ただ、その後同じEPAが、これは果物の薫蒸に使いました場合には、一定の期間たてば人体に影響がないんだという発表をしておるということも承知をいたしておりまして、少なくともその日米間の専門家合意の際において、この消毒方法を採用した場合に、特に国内及び国際的な関係において大きな問題になるというふうな状態にはなかったということでございます。  しかし、その後、アメリカ側で船積みをめぐりまして、港湾荷役の方で労務者の健康問題というふうな問題提起がございまして、わが国でも同様の問題が到着した港で持ち上がったわけでございます。やはり着いた荷物の安全性が確認されるまでは荷役をしない、こういうことでございまして、荷役が行われなければ私どもの方の検査もできないわけでございます。港湾の労働組合の方と船主、荷主あるいは労働安全衛生協会というふうなところが相談をいたしまして、現在カリフォルニア州の労働安全衛生委員会が採択をしております残留基準、これが〇・一三ppm、こういう基準でございますが、その基準を一応仮の基準といたしまして、それ以下のものについては安全である、こういうことで、もちろん、これは関係官庁の確認によってそういうことにするわけでありますが、そういうものは扱おうというふうに決まったと承知をいたしております。それに基づきまして、横浜港では十月十六日に、東京港では昨日、植物検疫の方が終了いたしたわけでございます。
  39. 田中恒利

    田中(恒)委員 厚生省にお尋ねいたしますが、この〇・一三ppm以下であれば構わない、こういうふうに話し合いがなされたということであります。これは厚生省の管轄ですが、この〇・一三ppmというものの根拠は一体どういうことか。
  40. 藤井正美

    ○藤井説明員 発がん性物質について人為的な暴露はゼロでなければならないというような考え方が相当長い習慣としてあったわけでございますけれども、この問題につきましては、発がん性物質でも強度をもってながめるべきである、必ずしもゼロでなくてもいいんだというような学界での論議が非常に盛んになってきております。したがいまして、アメリカのFDA当局におきましても、発がん性物質即行政的にこれを禁止するということはここ二年来ない、非常に時間をかけてこれを検討しているというような状況が続いております。しかし、私どもといたしましてはこれを行政的にながめる場合、純学問的な場合にはいま申し上げたとおりでございますけれども、行政的にながめる場合には、可能な限りこの暴露を排除するというような基本姿勢は現在も続けているわけでございます。  そこで、先生お尋ねの〇・一三ppmの根拠でございますが、この数字は空気中のEDBの濃度でございます。私どもが担当いたしておりますのはこの作業環境の濃度ではなくて、柑橘EDBがどれぐらい入っているかということを念頭にしているわけでございますが、この柑橘EDBが痕跡以下になってほしいという基本姿勢は当然私ども現在続けております。こういった観点から、先ほど小島局長からお話がございましたが、この物質は非常に気散性が強い物質でございます。この観点におきまして、一般の購入者に渡るときに痕跡以下になってくれるという濃度を適切に決めたわけでございます。この観点でWHOでは〇・五ppmというような数字を提案いたしておりますが、これになれば痕跡以下になるという根拠がこの資料を調べてみた限りではわれわれわからなかったわけでございます。また現実にこの分析法の問題等を含めて実験室でこの実験をやることも可能でございますけれども、現実のこの送られてくる果物について、それをながめるという必要が出てくるわけでございます。したがって、どうしても船が到着するということを待たなければ科学的なデータというものをわれわれ得られないという点がございます。そういった観点から、非常に非科学的ではございますが、暫定的に労働環境の〇・一三ppmを柑橘に適用させていただいたという次第でございます。
  41. 田中恒利

    田中(恒)委員 いまのお話では、日本ではまだこのEDB薫蒸に基づく、特に国民の生命に関する基準を幾らにしたらいいのかということははっきりしてない、こういうように理解していいのですか。
  42. 藤井正美

    ○藤井説明員 現在の〇・一三ppm、私ども考えております暫定基準は、あくまで暫定的なものでございます。しかし、現在、国立衛生試験所を中心といたしまして、この数字以上あるいは以下、こういう段階で購入者に渡るときにはもうEDBはないんだというような数字がいずれ出てまいります。研究中でございますので近々に出てまいります。その段階で明確な数字というものを決めたいと思っております。ただ、現在の〇・一三というのは、非常に厳しい数字で設定いたしております。そういった関係から、国民の安全性というものにはわれわれは十分な責任を持っていると考えております。
  43. 田中恒利

    田中(恒)委員 そうしたら厚生省、農林省も一緒に答弁していただきたいが、この〇・一三PPmというのは、いま日本に入っておる輸入物の果物の中に含まれておる許容基準である、こういうふうに理解をし、それ以上は一切出さない、こういうことですね。
  44. 寺松尚

    寺松説明員 輸入食品の監視を担当しております食品衛生課長でございますが、いま先生御指摘の〇・一三、一応それを下回るものにつきまして通関を認めておる、こういうことでございまして、それ以上のものはいわゆる輸入はされておりません。
  45. 田中恒利

    田中(恒)委員 このEDB薫蒸に基づく果物は全体として量はどれだけありますか。
  46. 寺松尚

    寺松説明員 お答え申し上げます。  輸入食品という立場から申し上げますと、私ども承知しておりますのは一応グレープフルーツ、レモン、オレンジ、それにこれは国にもよるわけでございますが、そういうものと、それからマンゴウでございますとかパパイヤというふうなものを私ども承知いたしております。量は、私どもが直接的には担当しておりませんので、輸入の量につきましては現在ちょっと手元に持っておりませんが、御必要でありますれば後ほど御提出申し上げたいと存じます。
  47. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは農林省が発表しておりますね。大体十万トンと言っておりますから、この十万トンの果実に対して〇・一三ppm以下のものでなければいけないという処置がこれからなされるわけですね。  同時に、この間の横浜の出来事の中でコンテナを開閉する際に出てくるいわゆるガス、これの検査もそれぞれのコンテナごとに行われるわけですか。
  48. 福渡靖

    ○福渡説明員 お答えをいたします。  コンテナをあけるための一つの条件として、EDBの空気中の濃度を測定するということは、荷主あるいは港運業者と関係労働組合との間の話し合いで取り決めることになっております。それで、横浜の場合とそれから東京の場合、これにつきましては現在入荷をしているコンテナすべてについてその検査をするという申し合わせになっているように聞いております。
  49. 田中恒利

    田中(恒)委員 農林省はこの約束の中に、検疫の方法については輸入業者、これによく周知徹底をして、それからアメリカにオーケーを出す、こういうことになっておりますね。この検疫というものの中には、いま報告のありましたガスが出てくる、それに作業をしていく。アメリカではそのガスを吸うということをめぐってEDB薫蒸の非常に大きな問題が出ておるわけですね。そのことも含めておったわけですか。そのことは検疫でありますから別です、こういうことであったわけですか。
  50. 小島和義

    小島政府委員 先ほども申し上げましたように、八月の日米の専門家の合意がなされました時点におきましては、アメリカ合衆国の中においてももちろんそうでございますし、わが国の国内でもそうでございます。それから、海外からわが国に持ち込まれておりますいろいろな果物、こういうものをめぐりまして、その荷扱い並びにその果物における残留性ということが非常に問題になっておるという時期ではなかったわけでございます。したがいまして、あの当時、輸入検疫についての周知徹底ということは、日本アメリカに対して出した要求を充足しないで入ってきたものがもしあれば、それは全量検査ないしはこれに準ずる厳しい検査をする、そうでないものについては、つまり定められた消毒をちゃんとやってきたというものについてはこういう検査をする、それから密閉状態で入ってきたものについてはこういう検査をするということを関係者によく周知徹底させる、こういうことの意味である合意項目が出されておるわけでございます。
  51. 田中恒利

    田中(恒)委員 そうすると、さっき私が質問したコンテナを開閉する際にEDB薫蒸に基づくガスが出てくる、そのことについては当然荷主に連絡をしておったのですか。
  52. 小島和義

    小島政府委員 これはわが方から荷主にそういうことを連絡するまでもなく、果物EDB薫蒸したものであるということは荷主自身が一番よく知っているわけでございまして、今回の扱いにつきましては、港湾の実際に働いている人たちと荷主、その他の方々との新しい取り決めによってこういうガスを測定するということになったわけでございまして、これまで入ってまいりましたEDB薫蒸のものについて、一々そういう扱いをいたしておりませんものでしたから、八月のときの合意時点においてはそういうことは念頭になかったわけでございます。
  53. 田中恒利

    田中(恒)委員 これがやはり問題なんですよね。この問題が起きて大分ごたごたしたわけですけれども、そんなことを荷主も知らない。EDBで薫蒸したものが、あけたときばっとガスが出てこれは大変なことだということを荷主も知らない。労働省は、それは荷主とその荷役をする労働者の間の関係でございますと言うし、厚生省は、これは一体どの程度の基準にしたらいいのかということもわからない。こういう状態の中でEDB薫蒸というものをあなた方はお認めになって、実は実施してそのことが原因で混乱しておる。いまなお続いておる。どこがこの問題についての一定の責任をとっていく窓口になっていくのかということで、実は非常に混乱しておるわけですよ。これはしかし私は、いままで植物防疫の問題でサクランボの問題もありましたが、相当各省との話し合いが進んで、こういうことでいきますよ、厚生省は、EDBでいけば基準を一体どのくらいにしたらいいのか、こういう話がなされておってやられてきたということだと思うのですよ。ところが今度の場合はどうしたことか、ともかく突っ走り過ぎて、各省間のそういうものがほとんどなされてないわけでしょう。私も実は労働省や厚生省に何遍も電話したけれども、どうもはっきりわからない。そこのところにも、この混乱を起こして今日なお荷がほどけなくて、きのうも行きましたが、もう腐りかけておるわけですよ。ああいう状態が起きておるわけですよ。これは、農林省は一番この問題については事起こしと言うたらあれだけれども、農林省から火が出ておるわけですから、きちっと各省間まとめて、そして関係の荷主なりあるいはその作業に従事して、場合によれば一番被害を受ける可能性のある労働者なり労働組合なりときちんと全体として話をするような体制をとってもらわなければいかぬと思いますが、どうですか。そのことをやらないと、まだ混乱は続きますよ、荷はどんどん入ってくるわけですから。どうです。
  54. 小島和義

    小島政府委員 たびたびお答え申し上げておりますように、八月合意時点におきましては、新しい薫蒸剤を使うわけではございませんし、これまでも平穏無事に入っておった薬剤でございましたから、特にそういう問題意識はなかったというのが実は真相でございます。ただ、これだけ騒ぎになっておるわけでございますから、私どもも関係官庁の御意見に従いまして事態が円満に収拾されるように期待もいたしておりますし、また御協力も申し上げるつもりでございます。
  55. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは期待したりあれするということではだめなんで、やはり早急に——場合によれば、これは港湾の関係で運輸省も関係するのです。港湾当局の関係があるはずです。だから、運輸省も含めて関係各省の間と関係団体の間で、私は、輸入禁止しろと言っておるわけですけれども、約束して入ってくるわけですから、入ってきたものがああいう状態で放置されて、まだ先どうなるかわからぬ、こういうことのないように早急に対策会議を関係団体を含めて持っていただきたい、こういうように思います。これは農林大臣、どうですか。
  56. 小島和義

    小島政府委員 対策会議と銘打った会議をやっておるわけではございませんが、関係官庁常時連絡をとりながらこの問題の事態収拾に努力をいたしておるわけでございます。
  57. 田中恒利

    田中(恒)委員 なお、私は、厚生省にもっといろいろお尋ねをしたいのですが、農林省もそうですが、〇・一三ppm、これはカリフォルニアの緊急基準である、こういうふうに言われておるわけです。それを日本に持ってきて、当面、臨時的にということですが、私ども承知しておる範囲では、カリフォルニアはことしの八月に〇・〇一五という非常に厳しいものをカリフォルニアの安全衛生の局あるいは基準委員会が採択をして出した。ところが、それを最終的には、アメリカの認可をするようなところでしょう、そこでこれは緊急性がないとか、あるいは農業や工業がこれには対応できないとか、あるいはそれほど小さな数値でなくてもよろしい、こういうことで却下をしておる経過があります。そのときには〇・〇一五ppm。これは、当時カリフォルニアは、このEDB薫蒸というものをチチュウカイミバエの関係で相当広範にやらなければいけない、だからそれに伴う作業が非常にたくさんになるから吸収が非常に多くなるという心配でこういう低いものを出したのでしょうが、却下をしております。それを受けて、これは一九七七年と言われておりますから、いまから四年前に検討せられたものを〇・一三ppmとして出して、そうしてこれでいこうということになったと聞いております。しかし、これは最終的にはまだ決まってないと私どもは聞いておる。その基準をめぐってのいろいろな細目について最終的には決まってない。手続機関でこういうことで臨時的にやっていこうということになっておるようでして、私は、カリフォルニア自体はこれでびしっと決まったというふうにも理解しておりませんが、いずれにせよそういう経過で、まだアメリカでもこれはいろいろ問題になっておるようであります。  まして日本の場合はほとんどEDB薫蒸に基づく発がん性の問題から人体に与える影響などについてきちんとしたものがないわけわけでありまして、そういう面では、これから私ども国会の舞台の中でさらに詰めたいと思いますが、厚生省としてはそれらも十分調査をせられまして、私も専門家ではありませんけれども、いろいろな資料を集めて調べさせてもらっておるが、やはり持ち込まれているEDBの薬の問題は、がんの問題なり妊娠の問題なり男子の睾丸の精子の発生率の問題などで非常に影響が出てくるという動物試験はたくさん出ておる。そういう意味で、非常にこれは慎重に取り扱っていただきたい、こういうふうに御要望しておきたいと思います。  そこで、もう一つだけちょっとお聞きしますが、このチチュウカイミバエ発生の原因は、アメリカでは旅行者が持ってきたのではないかという説が一番多いわけですね。これは日本では、この間参りますと、アメリカへ行かれる人は果物を持って帰らぬようにしてくださいという、こういうビラを配っておるようですけれども、これは持ってくるものがある意味では一番こわいかもしれないですよ。これはもう全面禁止するということはできぬのですか、最小限この程度のことは。
  58. 小島和義

    小島政府委員 確かに、いわゆる果物の形で輸入されますものは、私どもの方の検疫陣も万全の体制をしいているわけでございますが、旅客が持ち込むものというのは大変危ないものであるという認識を持っておるわけでございます。  先般、植物防疫課長がアメリカへ参りましたときも、特に旅客のみやげ物について調査をいたしてまいったわけでございますが、九月の時点におきましては、それまで空港内などで売っておりましたみやげ物用のオレンジなどにつきましてもすっかり影をひそめておりまして、アメリカ側でも未消毒のものは出さないという方針が徹底しているようでございます。ただ、それは正規の携帯荷物でございますけれども、さらに恐ろしいのは、ポケットの中に食べ残しを一つ二つ持ってくる、こういうふうなケースがあるわけでございまして、植物検疫も身体検査まで実施しているわけではございませんから、本人が隠して持ってくる気になればそういう警戒網が突破されるという心配があるわけでございまして、そこまでまいりますとやはり一般市民の御協力というものがどうしても必要であると思っております。これは制度的に禁止していようがいまいが隠して持ってくるということはあり得るわけでございますが、最近、新聞、報道機関の大変な御協力によりまして、アメリカチチュウカイミバエ問題というのがかなり一般市民の層にも知れ渡りまして、市民の御協力も得られておるように見受けております。そんなことで、そういう手荷物等を媒介として入ってくるという道につきましても、かなり体制は強化されているものと私ども考えておるわけでございます。
  59. 田中恒利

    田中(恒)委員 私はもう一問サトウキビでお聞きいたしますが、その前にちょっとこのチチュウカイミバエの問題で大臣にひとつ。  きょうわずかな時間でしたがチチュウカイミバエをめぐる問題について若干私の意見を申し上げたわけですが、当面、いま入っておる果物が現実にだんだん腐敗をし、商品価値が落ちております。これからさらに二十四日にはまたごぼっと来るということになっておりますね。そういう状態でありますだけに、いま問題になっておりますこの荷役の問題を中心とした問題の解決について、政府は、特に農林省はこの問題についての出発官庁でありますから、責任を持って処理しなければいけないと思います。そういう意味では、ひとつ大臣の方から各省間のこのことに対応する体制等についてきちんとしたまとめをしていただきたい、こういうふうに思いますので、その点についての大臣の御所見を重ねてお聞かせをいただきたい。  それから、このEDB薫蒸の問題については、いろいろ申し上げましたように、非常にこれは心配であるという国民の声が高まってきております。農林省にも恐らく消費者団体から相次いで、やめてくれ、厚生省にも言ってきておるはずであります。アメリカ自体でも、サンフランシスコの大手スーパーがEDB薫蒸の果物を買わない、こういうことをやっておるスーパーが二社いま出てきております。これはアメリカでもそうなんでありまして、非常にこの不安が高まっております。生産者団体はもちろん全面禁止をすでにもう大分前から皆さんにおつなぎしておるはずであります。こういう状況でありますだけに、私は、重ねて輸入禁止の問題について大臣の御所見を承って、チチュウカイミバエについての御質問をおかせていただきたいと思うのです。
  60. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 チチュウカイミバエ日本に入ってくるなんということの絶対にないようにという立場でアメリカとも折衝をし、厳重なる異例の消毒による輸入、しかも最近起こってまいりました残留消毒薬の健康に及ぼす問題等も新たな問題として大きくなってきておるわけでございまして、これはやはり厚生省の専門的立場からその解明を一日も早くやっていただくということが必要であり、しかもこのような政府の立場、チチュウカイミバエに対する対策等を十分業界の方にも緊密に連絡をさせまして、港湾荷役等においていざこざの起こらぬような処置、要するに輸入してこなければそういう問題は起きないわけでありますから、これは、業界が自分たちの商売上、港湾に長く放置されると、全量検疫というようなことになりますと十日かかるか二十日かかるかあるいは一カ月以上かかるかもしれない、そういう事態になった際に、輸入業者の方においてそういうことを知りながらも持ってくるというようなことのないように、おのずからそういう点は慎重に対処いたしておるようでございます。  したがいまして、業界にばかり任せておくわけにもまいりませんが、政府といたしましてもわが省が中心になりまして、この輸入果物に対する消毒の問題はチチュウカイミバエと同時に新たに惹起した問題でありまするので、これが対策の万全の処置が講ぜられるような方途を見つけるということが大変大事だと思いますので、責任を持って対処したい、こう思います。
  61. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでは最後に、今月末にサトウキビの価格の決定が行われるのでありますが、過般、てん菜、大豆、バレイショ、畑作三品の価格が決められまして、非常に不鮮明なところが多いわけです。二・六%の基準価格の引き上げが行われましたが、今月末に行われるサトウキビの価格決定についての農林省のお考えをこの際お聞きをいたします。  主産地である沖繩は、御承知のように復帰後十年たちましたけれども、なお本土との格差は非常に大きい。行革という問題のかぶさりがことしのこの畑作三品の価格の中に大きく影を落としておると私は思います。そのことで沖繩のいわゆる主要作物であるサトウキビについてまた大きな壁が出ないように、二・六%の引き上げというものをそのままさっとやっていくことのないように、きちんとした、パリティの上昇に見合う処置をとっていただくように、特に御要望というか要請をいたしておきます。農林水産省のこの問題についての考え方をこの際お述べをいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  62. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 ただいま先生御指摘のように、サトウキビは鹿児島県の南西諸島、さらには沖繩県の農業におきます最大の基幹作物でございまして、従来から生産対策、価格対策、各般の施策を講じてまいったわけでございます。  今回、今年産のサトウキビにつきましての価格決定をできれば十月三十日にいたしたいということで、現在検討を開始したところでございます。御承知のように糖価安定法の規定に基づきまして、パリティ指数を基準といたし、物価その他の経済事情等を勘案いたしまして定めることとしているわけでございますが、今年産のサトウキビにつきましても、この法律の趣旨を十分踏まえまして、さらに他の畑作物の価格決定との関係あるいは現下の大変厳しい財政事情等をも総合的に判断いたしました上で、ぜひ適正に決定する方向でできる限りの努力をしてみたいというふうに考えております。
  63. 福島譲二

    ○福島委員長代理 竹内猛君。
  64. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、畜産振興と公害防止について、現地の実情に沿いながら若干の質問をしたいと思います。  いま畜産振興の問題は、悪臭公害あるいはその他ふん尿の処理等の問題をめぐって相当各地で問題になっておりますけれども、その代表的なものと言われるように茨城県は全国で日本一の畜産の県でありまして、約七十万頭の豚がおります。その豚が霞ケ浦を中心としてこの周辺に最も多いわけでありますが、最近、工業も全国で十一位という形でありまして、勤労者が非常に住んでおりまして混住状況があります。そういう中で、いま土浦を中心として幾つかの地域畜産の公害、悪臭追放の運動が起こっております。これについて事実に沿って問題をただしていきたいと思います。  まず、関係省として、土浦市の右籾一区、四区、五区等における農業法人土浦養豚を中心とする悪臭の問題についてどのように把握をされておるか、そのことからお尋ねします。
  65. 船曳哲郎

    船曳説明員 ただいまお話のございました土浦養豚組合の現状につきましては、私どもといたしましては、豚舎及び素掘り池からの悪臭、ハエ、蚊が発生いたしておりまして、近隣の住民の方々から地元の市長さんなり知事さんに対しまして悪臭公害の排除対策について陳情が出されておる旨、県からの報告によって承知いたしております。
  66. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その後、農業法人土浦養豚の経営者はその土地の実力者であるために、住民が物を言うのを非常に遠慮している。その近くには小学校、幼稚園、保育所もあります。そして最近は、県営住宅から市営住宅、それから労働者の勤住協がつくった団地があります。そういうところに豚で二千五百頭、養鶏で二千羽と言われるように、非常に大量の生産をしているわけです。そこから出るところのふん尿というものは大変な量でありまして、九月に入り、地元の有志がいろいろな困難を乗り越えて、二名が代表いたして右籾地域悪臭公害対策実行委員会というものをつくって署名運動に入り、その結果、いろいろな妨害があったけれども百二十六世帯、四百十四名が署名をした。そして九月に開かれた土浦の市議会にこれを嘆願書として提案をした。ところが、現在、営農しているところが科学博覧会のために道路がつくりかえられるということで、あるところに移転をしようという形で整地をした場所が土浦の右籾一区というところでありますが、そこの所有者が反対をしている。そこで今度は反対の請願が出た。市議会では嘆願書と請願書を両方取り上げておりますが、いずれにしてもこれは継続審議にしようという形になっている。こういうことを知っているかどうか。
  67. 船曳哲郎

    船曳説明員 私どもといたしましても、先生ただいま御指摘のように地元で養豚経営をめぐる公害問題が発生をしておりまして、いろいろ地元でも問題となうており、県及び国が十分連絡をとって対処していかなければならない事態になっている、このように考えております。そして、茨城県といたしましてはかねてから畜産経営環境保全総合対策指導事業を実施いたしまして、総合的な指導体制を整備いたしますとともに、畜産経営に対する具体的な指導を実施してきたわけでございます。その過程におきまして、いま御指摘のような問題があるということがわかりましたので、私どもの方とも連絡をとり、五十六年度におきまして国の補助事業なり県単の補助事業として取り上げてぜひとも解決してまいりたい、このような段階で鋭意県と連絡をとっていま努力している最中でございます。
  68. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで私は、いまお話があるような結果がわかったわけでありますが、九月の十二日に現地を調査してみますと、山林地帯でありますけれども一万平方メートル以上の巨大なふん尿のため池があります。これがすでに十年もそういう状態にあるわけであります。そのため池と先ほどの頭羽数というものに対して、県の方では九千百五十万円でこれを処理しよう、五十六年度のうちにやろうという。そううち三千万を地元負担、そして六千百五十万の中で国が三分の一、県が三分の一、地元負担という形で処理をしようというわけですが、地元の移転する場所で反対をする。金は内示をした。一体その金額で本当に住民が納得できるように、経営も続けられるし公害も抑えられる、こういう目的が達せられるかどうかという点について中身を尋ねてみると答えがありません。それができるかどうか。この点は、国としてもこれに対して国費を出すわけですから、これにどうお答えができるか、まず最初に答えていただきたいと思います。
  69. 船曳哲郎

    船曳説明員 ただいまお話がございましたように、移転予定地の周辺の住民の方から反対がございますために、現在県と市が中心となりまして周辺住民の方々の御理解が得られるよう精いっぱい調整が進められていると私どもは聞いておるところでございます。そして私どもの立場でございますが、茨城県の御要望に基づきまして畜産複合地域環境対策事業につきましてすでに補助金の内示を行ったところでございまして、県は現在この内示に基づきまして国に対して交付申請書を提出するための作業を進めておる段階でございます。私どもといたしましては、地元でせっかく県及び市が中心となって努力をしておるさなかであり、この御関係の方々の理解と協力を求めるべく精いっぱいの御努力をお願いすることによって本年度中の事業実施は可能である、ぜひまた公害問題を解決するためにやってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  70. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その九千百五十万円の金でいまの問題が解決できるという保証がありますか。
  71. 船曳哲郎

    船曳説明員 いまの金額の内訳は、国の補助事業の六千百五十万と県単の補助事業の三千万からなるわけでございますが、私どもといたしますれば、地元の御要望を踏まえて必要な施設は計画している、そしてこの計画を着実に実行することにより当面のその問題の解決ができるのじゃないか。もちろん施設を整備した後の施設の運営といった点につきましては、今後とも十分指導を加えていく必要がある、このように考えております。
  72. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 県の環境局長は九月十四日に現地調査をして、二十九日に二項目、八点にわたるところの防止対策の措置を指示しました。また同日、市に対して、関係者にいろいろ要請をしたわけでありますが、現状段階では、現地はこの問題が発覚した当時とほとんど同じような状態になっている。何もしていない。そういう状態です。無視をしている、こういう状態なんです。騒げば騒ぐほど国から金をくれるからいい、こういうような話で、問題が放置をされている。したがって、住民は県の環境局長の指示に対してもあるいは市の指導に対しても従っていないという状態であるわけですが、こういうときに一体どういうことができるのか、これはどうですか。
  73. 船曳哲郎

    船曳説明員 とるべき措置といたしましては、緊急の対策と今後の施設整備を中心とした恒久的な対策と両方あろうかと存じます。しかし、いずれにしてもこれらの対策を進めてまいります場合には、地域住民の方々との調和を図るということが肝要でございまして、養豚経営の方々と地域住民の方々相互の理解と認識を深める話し合いを積極的に進めてまいる必要があろうか、このように考えております。そしてこのような考え方から、私どもとすれば県を通じて強力に指導してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  74. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはぜひやってもらわないと困るわけです。特に国から金が出るわけですから、言ってみればほうっておけば住民が騒ぐ、騒げばまた国が金を出してくれる、こういう考え方を地元が持っているようなことでは非常にまずい。  そこで、なおもう一点問題を提起すると、土浦市の五十五年十一月一日に発行した「市民べんり帳」というものがあります。その七十二ページには「公害をなくし安全で住みよい暮らしをしよう」という項目の中の「家畜の飼育にも管理規制が」というところで、霞ケ浦周辺における養豚経営は約三十四万頭で、その排せつ物は人間の約七・五倍であるから二百五十五万人に匹敵する汚水が流されていると言われている、こういう問題についてふん尿処理等についてのいろいろな方法が出されており、その中で特にふん尿及びこの汚水をためた場合には密閉処置、ふたをしろ、こういう指導が書かれている。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕 にもかかわらず、現実に十年間くらいこの処置がとられていない。市みずからがこの指示をしておきながら、従っていない者を放任している、こういう状態のときに、国としてそういうようないわば悪質な者に対して補助金を出すということ自体がどうなのかということについて、もう一度尋ねます。
  75. 船曳哲郎

    船曳説明員 補助金を国として出しまして、国の施策推進していくということによりまして畜産経営の振興ということももちろん図られるわけでございますが、他面、その周辺の環境保全という目的も達せられるわけでございます。そこで私どもといたしましては、その地域の環境の保全を図りながら畜産振興をしていくということが今後の重要な課題でございますので、ぜひとも、私ども想定しております事業を円滑に推進して畜産経営の振興を図るとともに、地域の環境問題の改善も強力に進めてまいりたい、このように考えて目下努力しておる段階でございます。
  76. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、こういう問題に関しては、市の指示にも従わない、県の指導にも従わないという問題については、金を出すのを一時保留して、そして強い勧告をしなければだめだと思うんだけれども、どうだ。そういう指導しかないじゃないか。
  77. 船曳哲郎

    船曳説明員 もちろん私どもは、内示はいたしておりますけれども、これから地元において反対の方々との話し合いも進め、そして着実にこの事業を実施していくべく努力はなされており、その努力を踏まえて申請書が上がってくるわけでございます。したがいまして、私どもとすれば、この事業の事務的な処理に当たりましては、もちろんそのような事態を踏まえて精いっぱい地元に対して指導した上、私どもの補助事業の事務処理も進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  78. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 このふん尿のため池というのは三つあって、三つの総面積が一万平方メートルほどある。簡単なものではない。だから、それから出るにおいといい、蚊といい、ハエといい、それは相当なものです。だから騒いでいる。それをいままでボスが抑えてきた。だから、そういうものに対してこれをいま食いとめるということについては、一定の制裁措置を加えない限りそれはやめないと思う。そのぐらいのことをしなければだめだと思う。もう一遍現地調査をするか、県が指導するか。いずれにしても、この一カ月半を見ていると経営者に何ら反省の色がない。その間に、特に九月の半ばにおいては、その人がやっているところの店から出した弁当で中毒にかかったということで、そっちは一時営業停止されたけれども、豚の方については依然として継続しているということだから、これは全国にもそういう例が幾つかあるし、その地域だけじゃないから、これからも行政指導に対する強い姿勢を持ってもらわなければ困る。これはどうですか。
  79. 船曳哲郎

    船曳説明員 十分現地の実態を把握し、強力な指導をした上で、いま考えております事業が円滑に実施されていくよう措置してまいりたいと考えております。
  80. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、営業をやめろと言っているわけじゃない。養鶏も養豚も振興しながら、同時に公害を抑えて、そして生活環境というものをつくっていけということを言っているわけですね。  そこで、同じ土浦市の中にもう一つの誇るべきものがある。というのは、今度は、同じ豚を飼っていても、栃木県の鹿沼からおがくずを運んできて、これをふん尿とまぜて脱臭装置をやり、さらにそれを肥料にして出していく、こういう経営をしている養豚家がいます。  そこで問題は、いまおがくずが大変足りなくなってきたというわけで、岩手県の宮古から船で運んで鹿島に揚げて、鹿島から自動車で運ばなければならない。あるいは北海道はどうだろう、こういうぐあいにおがくずがいま問題になっている。静岡県の掛川あるいは袋井、こういうところでやっている例がありますから、これは私も大変いいことだと思いますが、現在一体この林業関係の中で、おがくずの位置というものはどれくらいか。年間五百万立方メートルと聞いているけれども、それの今後の見通し、現在の使用状況、こういうものについて説明をしていただきたい。
  81. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 お答えします。  おがくずにつきましては、先生御承知のとおり製材等の木材加工の過程で出てくるものでございまして、私どもの方の委託調査で調べたところによりますと、五十四年には、製材工場が全国で約二万二千五百ございますが、生産されると申しますか発生するおがくずが約五百十万立方メートルでございます。  そこで、私どもといたしましては従来から資源の有効利用ということを指導してまいりまして、いま御指摘の家畜の敷料のほかに、オガライトをつくるとか、さらにキノコの栽培とか、各種方面に余すところなく使っております。したがいまして、現在、その中で家畜敷料に使われる部分は約三分の一ぐらいを占めておるわけでございます。  今後の見通しでございますが、このところ木材の需要が若干減ってまいりまして、そんな関係もございましておがくずの今後の伸びもそう大きくないと思っておりますが、逆に需要の方はこれから大分出てまいるというふうな見通しでございます。  以上でございます。
  82. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、畜産の関係とこの林業の関係で結合をして、これを鋭意脱臭に取り上げるという意思は畜産の方はないだろうか。
  83. 船曳哲郎

    船曳説明員 ただいまお話ございましたように、私ども関係の牛とか豚とかの経営におきましては、おがくずをふん尿処理のための敷料として利用しておりまして、このおがくずなどは水分を吸収して乾燥を促進して、悪臭の発生を抑制するため、ふん尿処理という観点からは有効な資材となっておるわけでございます。  ところで、おがくずにつきましては、いまお話のございましたように入手困難となっている面がございます。そこで、私どもといたしましては発酵処理によりまして、堆肥となった製品を乾燥促進剤として再利用するということも考えておりますが、それとあわせまして、若干のコスト高といったことにはなるかもしれませんけれども、おがくずの生産地帯からの輸送などといったことも考えなければならないんじゃないかと考えております。これらにつきましては、必要に応じまして関係方面とも連絡をとりまして指導をしてまいりたい、このように考えております。
  84. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、特にいま二つのお話をしましたが、後で話をしたように土浦の中でも脱臭装置をちゃんとして、そしてそれが今度は別に肥料として使っていくという形で、豚の肉の値段には加わらないけれども、それが肥料として加わっていくということになるから、何としてでも林野庁と畜産局との間で交流をして、おがくずの活用について、一定の量の確保ということについてはぜひ相談をしてもらいたい、こういうことを要請をしておきたいと思います。  もう一つは、稲わらの問題ですけれども、いま稲わらを台湾及び韓国から輸入しているわけですが、どれくらいの量をどれくらいの値段で輸入しているかということをまずお尋ねします。
  85. 小島和義

    小島政府委員 これは関税分類上、穀物のわら及びからという分類で整理されておりますので、その中からわらだけを取り出すというのはなかなかむずかしいのでございますが、この中にはそばがらなども含まれておるものですから、そういうものを除いて推定いたしますと、年間大体三万トンぐらいではないか、こういうふうに見ております。金目にいたしますと、約十二億円でございます。
  86. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 国内を見ると、これは手間の関係かもしれませんが、ほとんどわらは切って踏み込んでしまうか、あるいは焼いてしまう。ぬかでもそうですけれども、もみがらですね、もみがらもそうしている。これを活用する。これはもとは家畜に踏ませて堆肥として使って地力をよくする、こういうことで、地力をよくするためには何としても堆肥が必要だということでやってきたけれども、それがそうしていない。むしろ一方においては、米の減反をしながらわらを買うということは、これはどういうことかということで、情けない話だ。確かに畳の台にするようなものについてはそれぞれいろいろな問題があるのかもしれませんが、一般にわらを買ってくるというようなことは一体どういうことか。これはどうしても買わなきゃいけないんですか。
  87. 小島和義

    小島政府委員 お話ございましたように、現在輸入されておりますものは、ほとんどが畳の材料として入れているものというふうに見られておりまして、わが国の稲の品種改良というのが非常に進みましたこともございまして、わらの部分は極力少なくしまして、穂の部分を大きくする、こういうことをやってまいったわけでございます。そんなことも影響しているんじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、国内の生産量が、これは五十四年の推定で千二百六十万トンぐらいの生産量がございます。でありますから、これを有効に利用するというのがやはり本旨であろう、かように考えております。
  88. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 値段の問題もともかくとして、現に牛を飼っている酪農家が外国のわらを使わなければやっていけない、こういうことを言って非常に嘆いている筋がある。もうきょうはそのことについて触れませんが、わらの活用について、ひとつさらに検討をしてもらいたいということを要請をします。  続いて、問題がもう一つ出ている。それは、いまの右籾というのは土浦の西部でありましたが、今度は同じ土浦市の東部の方に、十月八日の新聞によって明らかになったわけですが、五万羽養鶏というものが暴力的に出現をした。つまり、同意書をとるときにうそを言っている。ともかく同意書をとればいいということでうそを言って同意書をとった。その同意書に基づいて、建築許可が出ないのにすでにもう建物を建てて、いま途中で中止になっておりますが、二万一千五百二十六平米に六棟、六千九百八十八平方メートルの鶏舎を建てている。この事実について調べてもらうことを要請しましたが、お調べになりましたか。
  89. 船曳哲郎

    船曳説明員 御指摘の事実につきましては、私どもの方で県庁の方に照会をいたしまして報告を得てございます。
  90. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 どういうふうに報告していますか。
  91. 船曳哲郎

    船曳説明員 申し上げます。  新治郡の新治村で地元の方が、養豚場跡地約二ヘクタールでございますが、ここに五万羽規模の養鶏場を建設しようとしておるわけでございますが、地元の周辺の方々から悪臭の公害源であるということで強い反対を受けておるということでございます。そして、建築の関係につきましては、県の方では、建築確認を受けないで不法着工をいたしましたために、先月末に工事停止命令を出して、現在基礎工事が終わった段階で工事がストップしておるというふうに聞いております。
  92. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで問題は、四十九年以来生産調整を進めてきた。そしてやみ養鶏というものをともかく国内から一掃しようではないかということで、本委員会でもしばしば決議もしてきたし、それぞれが努力をしてきた。そうして五十六年の九月二十一日、つい最近鶏卵の計画生産ということで三局長の通達が出された。そういう中では、生産調整については一千羽以上からもうそれぞれ需給調整協議会等の議を経てという形になっている。そういう手続もしないで、いきなり五万羽というような養鶏を埼玉県の者が茨城県に入り込んできてやっている。こんなことを黙って見ていたら、これはもうどこでもそれをやりますよ。ただ単に建築基準法違反なんてそんなものじゃない。これについてどうですか。
  93. 船曳哲郎

    船曳説明員 お話のとおり、現在鶏卵につきましては計画生産を強力に推進しようとしておるところでございまして、茨城県におきましても、この事件については、いま申し上げました計画生産の趣旨に反するものでないかというふうに考えて、目下養鶏場の建設の停止方を強力に指導している、このように私ども理解しておるところでございます。  そして、私どもといたしましても、いまお話しございましたように、従来からの計画生産の進め方の見直しを行いまして、そして通達も出し、関係者一体となって計画生産に取り組もうとしておるさなかでございますので、十分指導してまいりたいと考えております。
  94. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この際、フラワー養鶏、五大産業というものについて、その背景と性格を説明をしてもらいたい。
  95. 船曳哲郎

    船曳説明員 五大産業につきましては、私どもの方で関係県を通じて調査いたしましたが、その結果によりますと、埼玉県の鴻巣市に住所を有する株式会社でございまして、ひなと飼料の供給とか採卵鶏の飼養を業務としておりまして、直営の養鶏場のほかに系列養鶏場も複数有しておる、このように聞いております。  それからフラワー産業の方につきましては、イセの販売会社、このように理解いたしております。
  96. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで埼玉県の資本が、しかもイセというようにもう札つきのやみ養鶏屋がまた茨城県にあらわれた。そしていろいろな協議会とか手続も経ないで、そしてそこで地元の住民にうそを言って署名をとった。いま住民は、同意書に対する取り消しを内容証明で送っております。特に養鶏場の入り口のところの所有者、これもだまされたといってそれを送っておりますけれども、そういうふうにやっているときに、ただ単にこれは建築基準法、つまり一級建築士が設計をしないで二級建築士が設計したからいかぬということでいまとめてあるけれども、そうではなくて、基本的にこれは誤りである。つまり埼玉県において五万羽の養鶏が減って茨城県で五万羽ふえるというなら話はまだわからないことはない。そういう話でもしてあれば別だけれども、これは一切国の世話にはなりません、国の厄介にはならぬと言っているんだ。制度もお世話になりませんし、何も世話にならない。自分のことは自分でやるという、そういうことを許していたら、これは三局長の通達などというものはそんなものはへのかっぱですね。全然相手にされない。権威は何にもなくなってしまう。だから、これはとにかく抑えて、絶対許しちゃならない。どうです。
  97. 船曳哲郎

    船曳説明員 いま地元でこの養鶏場を建設されようとしておる方と五大産業とフラワー産業の相互の関係につきましては、私ども目下調査中でございますが、必ずしも明確でない点がございます。  しかし、それはそれといたしまして、鶏卵につきましては今後大幅な需要の伸びが期待されない一方、その生産は容易に拡大できるという性質を持っておるものでありますから、供給過剰から価格の暴落、ひいては経営とか供給の不安定化を招くおそれがございますので、需要動向に即した供給の安定を図るということが肝要だと考えております。このためには生産者みずからが鶏卵の需給動向に即した計画的な生産を行うことが必要不可欠であると考えまして、私どもといたしましては、鶏卵需給調整協議会を通ずるなどいたしまして、生産者に対して計画生産への協力を今後精いっぱい指導してまいることとしておるわけでございます。  このようなときにおきまして、この計画生産に協力しない者については補助事業とか制度融資の対象にしないほか、卵価安定基金及び配合飼料の価格安定基金からも排除することといたしておりますが、いまお話のございましたように、このような措置をもってしてもなお協力しない者に対しましては、率直に申し上げまして制度的に対応するということは困難でございますけれども、私どもといたしましては、都道府県を通じまして、その者に対し個別に鶏卵の需給をめぐる事情を十分説明をして、計画生産への理解と協力を求めて、あくまで説得に努めていく考えでございます。
  98. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題については、地元の人の名前を使ってあたかも地元の者が経営をするような形で後ろにそういう埼玉の企業がいる。その企業というのは札つきの企業です。すでに牛久にも北浦というところにも五万、四万九千というようなそういう養鶏場をやみでつくった。これがまたやっているわけですから、非常に罪が重いわけです。茨城県は御承知のとおりにやみ養鶏の産地と言われるほど多い。またこれがやられる。しかも、それは先ほどの養豚が高台であったと同じようにこれもまた高台でありますから、その新治村というところの周辺の人々がまず反対、それから土浦の今泉という部落、小山崎という部落、粟野という部落の三部落も猛反対をしている。反対をしても、国や県の指導が甘ければこの会社は強引にやることは間違いない。だから、どうしてもこれは許してはならないわけですから、県の土木の方にも話はしてはありますけれども、ともかくこれは執行はできないようにひとつぜひとめてもらいたいということを要請をしたい。  最後に環境庁ですけれども、いま言った二つの問題、これについて環境庁としてどの程度の規制ができるのかできないのか、環境庁に最後にお答えを願いたい。
  99. 土屋昇

    ○土屋説明員 環境行政としての悪臭防止につきましては悪臭防止法によってなされているところでありますが、悪臭物質については法律、政令でまず決まっております。次いで規制地域及び規制基準につきましては、都道府県知事が諸般の状況を考慮して定めることとなっております。  問題の地域にありましては、現在、規制地域にはなっていないと聞いております。しかしながら、大変な苦情も発生しているということでありますから、環境庁といたしましては早急に茨城県とも相談し、規制地域として検討する必要があるか否かについて適切な指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
  100. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これで終わりますが、環境庁に要請しますけれども、この問題は、これから畜産振興もしなければならない、また、公害も防止をしなければならない、この二つを成り立たせていきたいというのが私の最初からの考え方なんです。そのときに、方法によればさっきの豚のようにちゃんと悪臭が防止できる。それから、土浦の市内でも、霞ケ浦養鶏というのは市内でちゃんと鶏を飼っていて何の苦情もない。努力をすればできる。そういう努力をしないで利益だけを追求するから問題が起こる。  そこで、この際、一つの庁ですから、環境庁の力をもっと強くするためには、やはり住民自体から問題を提起をされた場合にいち早くこれに対応する。市町村というのはえてしてどうしようもない。たとえば、新治村の開発課長などは法に触れなければ何をしてもいい、こう言っている。法に触れなかったら何をしてもいいといったらこれは大変な話だ。こんなことを言うような市町村の理事者あるいは課長、こういうところからこの問題について何らの提案があるはずがない。迷惑をするのはこの課長じゃない、住民なんだから、その住民の立場をちゃんと理解をしそれを吸い上げるように。住民が無理を言っているならそれについてはそれなりに判断をする場所もあるけれども、三つの大きな町内会が反対をするあるいは四百人もの人間が反対をするということは尋常なことじゃないわけですから、これに対しては環境庁としてはもう少し環境庁の存在を明確にするようにひとつ努力をしてもらいたいということを要請をします。  終わります。
  101. 田邉國男

    田邉委員長 この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  102. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近藤豊君。
  103. 近藤豊

    近藤(豊)委員 チチュウカイミバエ発生が伝えられて、そして一時中断された加州産の柑橘類の輸入が、EDBを使用した薫蒸、それから密閉して汚染地域を通過すべしというわが方の要求が入れられて再開されたわけですが、現在、横浜の本牧埠頭には船から陸揚げされたコンテナが開梱されないまま放置されております。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕 これは非常にいろいろな問題に関連してくるわけですけれども、まずチチュウカイミバエが恐ろしい害虫であるということから、これが本邦に入り込むようなことがあったら大変なことになる。きわめて多数の農家がチチュウカイミバエに寄生され得る果実を生産しているわけですから、大変なことだと思うのです。現在行われておりますEDBを使った薫蒸、つまり米国で薫蒸して持ってくる果実についての薫蒸が、十五・五度Cで一立方メートル当たり十四グラムのEDBを使って二時間行うということですが、この薫蒸措置をとればその卵から成虫すべてが完全に死滅する、こう確認をされているのか。また農林水産省としては、この薫蒸措置でチチュウカイミバエ輸入果物について入ってこない、現在の米国の薫蒸の経験、薫蒸の施設等を勘案して、そう言い切れるかどうか、この点をまず農林省にお伺いいたしたい。
  104. 小島和義

    小島政府委員 果物に付着いたしておりますチチュウカイミバエの卵あるいは幼虫がこの消毒方法により完全に死滅するということは、米側のデータを検証した結果そのとおりであると思っております。  また、わが国は、すでにアメリカ以外の国からもこの農薬を使いまして薫蒸したものを輸入いたしておるわけでございますが、それを解禁するに当たりましての実験データからも推しまして、アメリカ側のデータの信憑性を確かめておるわけでございます。
  105. 近藤豊

    近藤(豊)委員 そうしますと、このミバエの防遇のために農水省が八月十七日付で在京アメリカ大使館の農務参事官あてに要請書を出しておられる。この要請書に対して、先方がその要請内容を着実に実行してくれさえすれば、今回のミバエ発生状況がいま以上にどんどん広がるとか大変な拡散状況になるというようなことがない限り、、バエは絶対に入ってこない、こう考えていいわけですね。
  106. 小島和義

    小島政府委員 私どももそのように確信いたしております。
  107. 近藤豊

    近藤(豊)委員 この問題が起きましてから、やはり日米間の経済貿易上のインバランスが非常に大きいこと、それから去年からことしにかけて自動車問題で騒いだわけですけれどもアメリカ側には日本の貿易上のいろいろなNTBについてはどうしても不満があります。  そこで、これは大臣にお伺いしたいのですけれども、今回のミバエの問題は植物防疫上の問題としてこれは処理をしていく、それが仮にもアメリカ側からNTBとして、あるいはアメリカ産の柑橘類を抑える口実として使われているというような疑いを持たれないように、これは全く植物防疫上の問題として処理するんだということだと私は信じますけれども、この点を確認をしていただきたいと思います。
  108. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 当然、チチュウカイミバエの問題につきましては、植物防疫法に照らしていろいろな措置を講じておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  109. 近藤豊

    近藤(豊)委員 そこで、今度はこのチチュウカイミバエの薫蒸に使われるEDBの有害性、あるいはこれは発がん物質であるというような話が伝わって、またカリフォルニアで港湾労務者が荷役を一時拒否をした、ストライキをしたというようなことから、日本でもこの荷役がいま拒否をされておるわけです。こういうことが起きたのはカリフォルニア州のOSHA、労働安全保障機関というのですか、これがきわめて厳し過ぎると思われるEDBの安全基準を定めたことに原因があると思うのですけれども、これはほかの州、たとえばフロリダ州とかテキサス州とかほかにも柑橘類あるいはパパイヤその他いろいろなチチュウカイミバエの宿主になると思われる作物の生産地域があるわけですけれども、そういう地域での扱い方は〇・一三ppmというような厳しい基準ではなくて、もっと緩やかなものだと思われるのです。そういうところとカリフォルニアが来られた場合に、なぜカリフォルニアで突然このように厳しい基準を定めるに至ったのか、そこに何らか政治的な背景があるか、あるいはまた、現在、前の知事のブラウンさんが政治的には立場がきわめて悪くなっているということですけれどもカリフォルニア州のOSHAが厳しい基準を定めたがゆえに業者が大変迷惑をする、グローワーだけではなくて販売業者まで大変な目に遭いかけている。だからもう採算がとれなくて売れないというような事態になっております。この辺のことを外務省はどの程度掌握しておられるのか。これは日米関係に非常に影響のある問題なので、アメリカの中での日本に波及してきている〇・一三ppmというような基準が決められた背景だとか、そのことによる後の影響だとかという点はかなり参考にすべきだと思うのですけれども、この点は外務省はいかがですか。
  110. 妹尾正毅

    ○妹尾(正)政府委員 お答えいたします。  カリフォルニア州のEDBの基準の問題につきましては、私ども承知しております限りでは、カリフォルニア州というのは環境問題について非常に厳しい考え方がとられている州でございまして、そういうところから、こういうほかの州に比べて厳しい基準が採用されるに至ったということであるというふうに承知しております。  なお、ただいま先生御指摘のとおり、フロリダの柑橘とかハワイのパパイヤ等もEDB薫蒸して日本輸入しているわけでございますが、これは従来からそういう方式が採用されておりまして、私どものところに対しましても政府レベルで何ら具体的な動きというものはございません。
  111. 近藤豊

    近藤(豊)委員 いまの話にも出てきましたが、〇・一三ppmを定めたカリルォルニア州はアメリカの中でも恐らく例外的に最も厳しい基準をとっている州だと私も思います。それからなお、ハワイは日本へ大量のパパイヤを輸出をしているわけですけれども、ハワイの州知事等は、OSHAが定めた〇・一三ppmは厳し過ぎるし、そのことによっての甚大な国際的影響、それからハワイ州等関係果実の生産州に大きな損害を与えている、これは不当な決定であったということでその損害賠償を求める動きすら示しておられます。  このことに関連して厚生省に質問いたしますけれども、厚生省はとりあえずの経過措置として〇・一三ppmをEDBの残存基準として定められた。ところがカリフォルニア州の〇・一三PPmはもともと大気中の残存濃度だと思うのです。大気中の残存濃度を日本の場合はむしろ果物に直接付着をしている残存濃度として非常に厳しく、カリフォルニアよりももっと厳しく暫定的な措置を決めておられると思うのですけれども、何ゆえにさように厳しい措置をする必要があるのか、厚生省がこの暫定措置を決めた根拠をひとつ御説明いただきたい。
  112. 藤井正美

    ○藤井説明員 仰せのとおり〇・一三ppmは労働環境の数字でございます。これとたまたま数字が一緒になったというような表現もできるわけでございますけれども、私ども柑橘についてどの程度の許容基準にするかという問題、当面の措置として考えなくてはならなかったわけでございます。そこで、現存する資料を当たったわけでございますけれども、WHOが〇・五ppmに決めております。しかし、この資料を当たってみましたところ、私ども考える、目的といたします痕跡程度以下にしたい、購入者に渡るときにはEDBの存在は痕跡以下にしたいというような当面の考え方に立ちますと、〇・五ppmについて十分な資料が得られなかったわけでございます。そういった関係から、労働環境の数字ではございますが、〇・一三ppmという数字でとりあえず考えることにいたした次第でございます。
  113. 近藤豊

    近藤(豊)委員 これはあくまでも暫定的に定めた基準だということですね。  そうしますと、いま課長の説明にもあったとおりWHO、FAOいずれも〇・五と〇・一という基準を定めておる。それから、八月二十一日にはアメリカのEPAの次長が記者会見をして、現在の取り扱い状況ではその果実を食べた人たちの健康にとって有害であるとは思われないという趣旨の声明をしていると思います。それからさらにそのときに、これはその人が言っていることですけれども、「ミバエのためにEDB処理した果実を今後一年間食べたとしても、危険性はなく、たとえば一生のうち、七十本のたばこを吸った程度のもの」だ、こういう言い方をしておるのですね。この一生に七十本というのは、われわれ一カ月に七十本ぐらいすぐ吸うわけです。つまり、全くいまおっしゃった痕跡程度の、この程度のことなら関係ないと言っているのに等しいと思うのです。  したがって、一つの質問は、このEPAの次長がそういう表現をして言ったことに対して、厚生省はどういうふうに受けとめておられるのか。つまり、アメリカ側ではこのことをもって、どうも日本はまた新しいNTBを持ち出したという疑いを持って見ている面があるのです。日米関係はいま非常に大事なときですから、曲がりなりにもそんな、新しいNTBを日本が持ち出したというふうなことがあってはならないので、いま農林大臣が確認されたとおり、われわれはこれは植物防疫上の問題として取り扱う。そうすると、先ほどのやり方で薫蒸すれば植物防疫上は危険がないということであれば、後は、今度は厚生省の責任問題になるわけです。そこで、日米関係を損なうか損なわないか大事な問題ですが、いまEPA次長の言ったことは正確ではないと思っておられるのか、それとも、これはおおむね正確だけれども、まだ自信がないのか、この点ひとつ答弁してください。
  114. 藤井正美

    ○藤井説明員 基準値を一般的に決めます場合に、これが非常に厳し過ぎるかあるいは甘いかという観点はいろいろな角度から評価ができるかと思います。ただ、本件EDBにつきましては発がん性物質だという疑いが持たれているわけでございます。  そこで、この発がん性物質につきましては、従来の考え方は、それがわかったときから人為的な暴露を避ける、ゼロにするというのが従来からの考え方でございます。現在、学問的にはそういう考え方、発がん性の強度というものを考えながら、やはりリスクとベネフィットとを考えていくべきではないかというような見方がアメリカではやや強まってきております。  ただ、わが国におきましては、従来から、動物で発がん性物質というような形が出た場合には、可能な限りこれを配慮するという考え方をいたしております。幸いにいたしまして、EDBは非常に揮発性であるという観点から、ある程度の許容基準を設けてもいいのではないかという観点から考察を加えていったわけでございます。もとより先生御指摘のようにこれは当面の措置でございまして、データを蓄積いたしまして、痕跡程度以下になるような許容される数字というものを科学的に明らかにしたいというふうに思っております。  また、NTBの問題につきましては、この貿易の技術的障害に関する協定の二条の二に、関連する国際規格がある場合には、それに準拠するんだということが明記されております。しかしながら、ただし緊急を要する場合、あるいは人の健康または安全の保護に関する場合には必ずしもこの限りではないというような文章が同項にございます。こういった観点から、現在のEDBのとりあえずの措置というのは、必ずしもNTBに直接触れるものではないのではないかというふうに解釈いたしております。
  115. 近藤豊

    近藤(豊)委員 まさしくいま課長の最後の答弁の部分の、国際基準があればそれに準拠する、しかし非常に危険ということが懸念される場合には、それは例外的に定めてもいいんだということはよく承知しているのですが、日本の港湾労働組合、本牧にコンテナが揚がって、そのコンテナをいま荷役することを拒否している港湾労働組合が言っていることは、花田兼夫という委員長が統一見解として言い出していることは、ガスの安全確認がない限り、開梱などの作業には従事しないのだということが一つと、それから発がん性の安全宣言がない限り、貨物のヤード内からの搬出を認めない、これは厚生省的な見地から見たら、非常に不正確な言い方だろうと思うのです。  まず第一に、コンテナで入ってくるものを現在密封したまま置いてあるわけですから、チチュウカイミバエの方はもう全然心配がない状態であるのに、まだ密閉した状態でコンテナが来ているわけですね。それがいまおっしゃったように揮発性のある物質であれば、当然通気をすればこれは急速に下がるはずなんですけれども、急速に下がるような措置をした上でテストをされているかどうかが一つ。  もう一つ、組合の人たちが心配している、それにさわったら、作業したら自分たちはがんになるかもしれないという心配だと思うのですけれども、作業はフォークリフトを使って恐らくやっているはずですし、それから、あるいは手袋も使っているでしょうし、労働者がこのコンテナをあけたり運んだりする、あるいは果物を出したりするその過程の作業状況からして、厚生省としては発がん性物質に触れてがんになる可能性があると見られるのか、あるいはその点は可能性がない、大体常識的に考えて私はそういう可能性はないと思うのですけれども、これは厚生省、どう思われますか。
  116. 寺松尚

    寺松説明員 いま先生の御質問でございますが、実は労働者の問題でございますので労働省の所管かと存じますが、私ども実際問題としまして、柑橘類の中に含まれておりますEDB、こういう問題につきましては、先ほどから食品化学課長が申し上げましたように、〇・一三を下回るようなものにつきましては、私どものいろいろなデータを考察しましたのですが、消費者が食するそういう時点では恐らくもう痕跡以下、ほとんど検出ができないというふうな状況ではないかと推察しておるわけでございます。したがいまして、安全だというふうに解釈しております。  なお、東京都とそれから兵庫県におきまして、ハワイ産のパパイヤ等をちょっと市場におきまして調査をしたことがございました。いま口頭でもって報告をいただいておりますが、やはりNDと申しまして、検出することができないというふうなデータをいただいております。したがいまして、私ども、現在市場にございますのは安全だというふうに確信いたしております。
  117. 近藤豊

    近藤(豊)委員 いまの答弁まだ不十分でして、これはあくまでも仮定の話としてで構わないのですけれども、あなた方専門家が考えられて、コンテナをフォークリフトなどを使って運び、あるいは戸を開いてそれを外に出すという作業をするときに直接手に触れるわけでもないと思うし、またその空気を吸うにしても、それは通気が始まればほとんど蒸発してなくなるわけですから、大気中のEDBの残存は〇・一三ppm以下になるはずなんで、その場合、そういう仮定のもとに考えたら、これは発がんの可能性があるかどうか、そこのところを専門家としてどう考えられますかということをお聞きしているのです。
  118. 藤井正美

    ○藤井説明員 動物実験で発がん性が証明されたものが人間にとって同じように発がん性物質であるかどうかという観点につきましては、従来の歴史的な発展の経過から申しあげますと、いずれも相関があるという形で推移いたしてきております。  しかしながら、ここ五年来、発がん性物質の動物実験が非常に高度に進歩いたしました。特に動物が、二十五代から三十代同じ系統で繁殖させるという純系動物を使うようになってから、いろいろな物質の発がん実験が成功するようになってきております。したがって、そのような動物を使った場合に、果たして人との関係で外挿できるかどうかというのが動物発がん学者らの大きな問題として現在取り上げられているわけでございます。したがって、先生御指摘のようにEDBが果たしてさわっただけでがんが起こるのかということに対して、私、正確にお答えするわけにはいかないというのが実情でございますが、純学問的な問題だろうと思います。ただ、そのような疑いがある物質について、私ども厚生省といたしましては、とにかくできるだけこれを排除したいという気持ちには変わりはございません。
  119. 近藤豊

    近藤(豊)委員 アメリカの連邦FDAはこれを一〇ppmまでは果実中の安全許容度としているわけですね。それに対してわが方は、もうほとんど百倍の安全許容度ということで〇・一三を暫定的に決められた。この暫定を確定的な基準にするまでにはあとどういう条件を厚生省としては詰める必要があるわけですか。いかなる条件をこれから詰めれば、いまの〇・一三ppmというのは暫定的に基準として決めたけれども、これを今度確定的に幾つを基準としたらいい、あるいはこの〇・一三をアメリカ並みに〇・五に上げ得るためにはどのようなことが確認されたら厚生省としては作業が完結するのですか。
  120. 藤井正美

    ○藤井説明員 〇・一三ppmにつきましては、作業環境における空気中の濃度と、私どもが暫定的に採用いたしております食品たる柑橘類の中での濃度と二つの場面があるかと思いますが、労働環境につきましては私どもは直接の担当ではございませんので、柑橘の〇・一三ppmについてお答えさせていただきたいと思います。  先ほど、あくまでこれは当面の措置である、とりあえずの措置であるというふうにお答えさせていただいたわけでございますが、現在、実際に入ってくるアメリカからの柑橘が時間ごとにどれくらいの減少を示していくかというデータを国立衛生試験所でとっている最中でございます。  また、一方におきまして、このエチレン・ダイブロマイドが湿気がある状態、また他の物質がある状態ではエチレン・グリコールと臭素イオンに非常に速やかに分解するという性格を持っております。したがいまして、よしんば柑橘に最低少量のEDBがあったといたしましても、これがそしゃくにより胃袋に到着するまでににすべて分解してしまうかどうか、こういう実験を神戸学院大学の方に現在委託研究を行っております。これらの結果をあわせまして、とりあえずの暫定措置というような数字の見直しを図りたいというふうに考えております。
  121. 近藤豊

    近藤(豊)委員 現在柑橘類は現地で薫蒸されて、そして汚染地域を通過するときは密封されて港へ運び込まれてそのまま船に積まれてくるわけですけれども、ハワイでのパパイヤの場合にはEDBを使って薫蒸をして、その箱を今度薫蒸したときに使っていない全く新しい段ボールに詰めかえて持ってきているはずなんです。おたくの方でも確認されているでしょうけれども、その場合のEDBの残存濃度はきわめて少ない。それから同時に、今回は加州関係の柑橘類のEDB薫蒸は全く新しい人たちがやっていることだと思います。そうしますと、経験がないから当然このEDBが残存しやすいような、より残存するような形で作業が行われているのじゃないかと思うのです。そうしますと、日米関係のことを考えるまでもなく、われわれの健康のためにも厚生省としては少しそういう点を農林省の植物防疫の方と協力して、現地へ調査団でも出されて、そしてそのEDBが早く蒸発するように、何らかの指導あるいは向こう側との相談をされることが、これは事態を解決するために非常に早道だという気がしますけれども、その用意はございませんか。
  122. 寺松尚

    寺松説明員 いま先生からお話がございましたハワイ産のパパイヤと、それからカリフォルニア州から参ります柑橘類の場合に、確かに薫蒸等の条件が非常に違います。したがいまして、パパイヤにつきましてはかなり早く落ちるようでございまして、私どもの国立衛試におきます実験の結果によりますと、大体薫蒸から五日目ないし八日目だともうほとんど私どものいま暫定的に定めております〇・一三というのを軽くクリアをしておるような状況でございます。しかしながら、グレープフルーツ等の柑橘類につきましては、いま先生御指摘のような箱に入れた上で薫蒸するように聞いております。したがいまして、その辺いろいろと工夫するところはあろうかと存じます。したがいまして、農林省ともいろいろ相談をしながら、最もスムーズに通関できるようにといいますか、私どもの定めました仮の数字でございますが、それをクリアするような何かいいそういう保存方法あるいは薫蒸方法等もまた工夫してみるべきではないかとは思っております。  それから、なお現地へ行ってどうのというお話がございましたが、この辺も少しデータ等も重ねた上で必要なら考えたいと存じますが、いまのところまだその考え方が固まっておるわけではございません。しかし、御指摘のようなことも踏まえまして考えてまいりたいと存じます。
  123. 近藤豊

    近藤(豊)委員 外務省にひとつここで伺いたいのですけれども、いまのように非常にテクニカルな問題があって、そうして加州産の柑橘類のせっかく日本輸入再開されたものが、陸揚げされても市場に持ち出せないという状況にありますね。これは、アメリカ側にとっては非常に大きな懸念をしていることだろうと思うのです。いまこの事態が、八日に船が入っているわけですからかなり長引いてきているわけですが、その間にアメリカ側の業者とかあるいは現地の団体等から何らかの懸念が表明されているような経緯はありますかどうか。
  124. 妹尾正毅

    ○妹尾(正)政府委員 そのような事実は承知しておりません。
  125. 近藤豊

    近藤(豊)委員 そうしますと、このEDBの問題は、まだアメリカ側で火がついていないとすれば当分時間的余裕があるわけですから、ひとつ厚生省の方と農林省の方で十分打ち合わせをしながら、安全基準の確認を急いでいただきたいと思います。  そこで、もう一つ大切なことは、やはり柑橘類だけではなくてほかの果物もたくさん影響するわけですから、その辺は差があるんだということも、厚生省は求められれば関係者には積極的にアドバイスをしてあげていただきたい。特に労働組合の人たちが心配していることを、仮に労働省等のあっせんあるいは労働団体等からの照会がある場合には、その辺はひとつはっきりとしたデータで確言できることをアドバイスをしてやっていただきたいと思います。  さて、次に農林大臣にお伺いいたしますけれども、この間ブロック代表が訪日して、そして一連の協議があって苦労をされたと思います。その中で、農産物の買い増しをしてくれという一つの方法として、アメリカ側から、アメリカ日本が農産物を、特に穀物を買って、そしてアメリカ備蓄をするということを考えてもらえないかという要請があったと承知しているのですけれども、この点、実は油の場合も同じだと私は思いますが、穀物の場合もわが方の自給率がなかなか上がらない、上がらないどころか下がっております。そうした意味で、将来の米ソ関係などを考えますと、日本に対して、数年前の大豆事件みたいに日本に来るえさ用の穀物がありませんよと言われるような事態も起こりかねないわけです。また、日本はどんどん穀物の供給源を多元化する努力はするのでしょうけれども、これはなかなか一朝一夕に多元化できない。そうした意味で、アメリカ側に、ある時期、このような豊作の時期には協力をし、また非常に凶作になったような場合にも日本側が困らないだけのバッファーストックも抱えておく。もちろん品質が下がるというような問題点はありましょうが、最近は炭酸ガスを封入したりして品質が悪化することを避ける方法も技術的にかなり開発されておりますし、アメリカでの備蓄ということについては、日本になければ何となく心配なんだという考えは捨てて、少し合理的に、現在の交通手段の発達等を勘案して前向きに検討を始められたらいかがかと思うのですが、この点についての御所見はいかがでありますか。
  126. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 確かにブロック農務長官から備蓄積み増しという話があり、いろいろ私の方から申し上げたのに対して——私の方からは、実はとにかく余裕がないほどいっぱい持っているんですという話をいたしましたところ、それではアメリカの国内で備蓄したらどうかというような話もあったわけでございます。  御承知のとおりこれまでもそういう提言がいろいろあって、農林水産省としては一九七七年に調査団を派遣いたしまして、アメリカにおけるえさ関係の穀物備蓄可能性を検討した経緯があるわけでございます。その結果、米国内で備蓄を実施することとした場合には長期的な港湾ストの場合等問題が多々あり、経費等も相当かかるということでもあり、またサイロ等を建設もせなければいかぬという問題等も出てくるということで、いまの財政難の折から急速に実施をするということはきわめて困難である、こういうふうな結論を出しておるわけでございます。いずれにいたしましても、できることであれば安全保障の立場からも国内で備蓄をしていく方が好ましいというわけで、今日までは国内重点的にやってきていることは御承知のとおりでございます。  また、外国産食糧の購入のための資金導入を要するときは食管会計において食糧証券を発行いたしており、資金調達面での問題はないというふうに考えられるわけでありますが、穀物の品質面から見ましても、まあ低温貯蔵ができれば一番いいわけでありますけれども、全部低温貯蔵の処置をとるということにつきましてもなかなか容易ではない。次善の策として常温貯蔵が可能な炭酸ガス封入法などが検討されておるわけでありますけれども、ある程度の効果が認められておりますが、さらに包装材、サイロの材質、構造等の品質に及ぼす影響などを検討する必要があるということで、いろいろの問題を含んでおるということでありますために、アメリカ国内において備蓄をやるというようなことはいまのところとても考えられる問題ではない、こういうふうに農務長官には申し上げてきたところでございます。
  127. 近藤豊

    近藤(豊)委員 この穀物の在外での備蓄の問題は、今度別の機会に改めて質問いたします。  きょうの肝心のこのチチュウカイミバエの問題は大臣からもぜひ確認をしておいていただきたいのですけれども、実は、われわれは日本柑橘生産を守ろうという立場にはあります。しかしその日本柑橘類が、農家が困っているから、大変な状況だからアメリカ側にひとつ自粛をしてほしい、あるいは制限を認めてくれと言う場合には、正々堂々と、アメリカ側が自動車交渉において行ったようにわれわれも日本側の事情を十分前へ出して説明をして、そして正門から入っていってアメリカ側輸入規制に同意することを要求するという方法をとるべきであって、EDBの問題を絡めて、これを柑橘類の輸入を抑制する口実として使ったりはしない、そしてこれが日本の新たなNTBだとして日本の国際的声価を低めるというようなことにはしないんだという点について、農林大臣はそういうお考えだと私は思いますけれども、この点御確認をいただきたいと思います。
  128. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 チチュウカイミバエの問題が起きましたときから実は私は事務当局に対して、これは植物防疫法の技術的な問題である、もうだれが見てもはっきりしていることなんだ、したがって、ミバエが認められる限りこれは容易ならざる問題であるということで、アメリカからも五人の専門家が飛んで来たわけでありますけれども、これは政治的な問題であるとか、そういう考えは全く入れるべきではないし、技術的な問題として話し合って結論を出すように、こういうふうに指示をいたした経緯もございまして、これはあくまでも技術的な問題として処理をしてまいる。そこにおのずから両者の合意点というものを見出すことができ、そしてその際いかなる処置をとるにいたしましても、納得ずくでやっていくことができるものと確信をいたしております。
  129. 近藤豊

    近藤(豊)委員 終わります。
  130. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 武田一夫君。
  131. 武田一夫

    ○武田委員 私は、まずいま問題になっておりますチチュウカイミバエの問題につきまして一点お尋ねをいたしたい、こう思います。  この問題につきましていろいろと論議がなされましたけれども、当面、とにかく国内の関係者の不安を払拭するという最大の努力をしていただいて、やはり安心してそうしたものを国民が食べられるというような状況をつくらなければならないと思うわけであります。     〔菊池委員長代理退席、委員長着席〕 いろいろお話を聞いておりますと、今回は当面その心配はないというような話でありますが、私は、まず今後こういう事態が再発したときの対応というものをこの際きちっとしておかなくてはいかぬのではないかというように思うわけでありますが、その対応につきまして、今後、こういうことが万々が一再度起こった場合にいかような対応をなさるかという問題、そして不幸にしてそうしたものが国内で被害を生じさせたような場合の対応策もここでひとつはっきりさせていただきたい。たとえば、輸入禁止とかあるいはまた厳重な検査等というのは、たとえいかなる相手国の強い力に遭おうとも断固としてそういうものははねのけて、国内の植物の保護のために農林省としてもやはり最大の努力をするという一つのものがなければならぬと私は思うわけでありますが、この点につきましてひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  132. 小島和義

    小島政府委員 今回のように未発生国において、新しく危険な病害虫が発生するというふうな事態が重ねて起こらないように、こういうことでございますが、私どももそういう事態がたびたび起こるということははなはだ好ましくないと考えておるわけでございます。ただ、こういうふうなわが国と物資の交流の非常に多い国において未発生の害虫が発見された、こういうことを通じまして一つの新しい経験を積んだわけでございますから、仮に将来、似たような事態が起こりました場合にも、今回の経験を踏まえまして、適時適切な措置を講じてまいるつもりでございます。  それから、お話がございましたように万々が一国内に入ったらどうかということはなかなか想像したくない事態でございますが、そういうふうなことも心配をいたしまして、国内の主要な果実の集まりますような市場、海空港などの場所、それから果物の生産地点などに侵入警戒用のトラップをすでに設置をいたしておりまして、万が一入った場合の早期発見という体制もとっておるわけでございます。  それから、国内の法制といたしましては、外国から新しい病害虫が入ってまいりました場合に緊急防除という制度がございまして、それに要する費用は全額国費をもって支弁をする、こういうふうな制度もございますので、仮に万々が一そういう事態がございますれば、そういう防除体制を発動してまいるつもりでございます。
  133. 武田一夫

    ○武田委員 その問題については、まず、最大の努力を払って対応していただきたいということをお願いしまして、次に、サトウキビの問題に触れさせていただきたいと思うのであります。  五十六年産のサトウキビの最低生産者価格の問題につきまして、間もなく決定があるわけであります。この間はその他の三品の価格の決定がございまして、五十六年度の畑作物につきましては農家手取り価格が二・六%の引き上げというようなことになったわけであります。これは昨年に続きまして農業パリティ指数を割り込むという結果になったわけでありますが、今後サトウキビにおいてどういうふうな方向性でくるのかということが非常な関心事の一つでございます。政府としてはサトウキビも大体こういう方向でいくというようなことを聞いているのですが、その辺はいかがでありますか。もしそうだとすると、価格的には大体どのくらいのものがはじき出されるのか教えていただきたい、こういうふうに思うのです。
  134. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 今年産のサトウキビの価格につきましては、十月三十日を目途に決定いたしたいと考えておりますが、申すまでもなく、糖安法の規定に基づきまして、基本的な考え方といたしましてはパリティ指数を基準とし、物価その他の経済事情を参酌するというもとで、特に他の畑作物の価格とのバランスとか最近におきます厳しい財政事情等につきましても配慮しながらこれを決めていきたいと考えておるわけでございます。  まだ検討の緒についたばかりでございまして、資料の突き合わせ、地元の細かい様子等のヒヤリングの段階でございまして、財政当局との折衝はこれからでございますが、そういう段階でございますので、どういう数字になりますか、具体的なことにつきましては御容赦をいただきたいと思います。
  135. 武田一夫

    ○武田委員 今回と横並びということは大体二万一千七百円くらいになるのじゃないかというような計算もされるのですが、沖繩や鹿児島あるいは南西諸島の基幹作物という非常に重要な地位もこれあり、農家の皆さん方には非常に大事な問題でございまして、常日ごろ言われている農家の所得あるいは再生産の問題に見合うだけのものはぜひということで、要請を見ますと最低でもトン当たり約二万八千円くらいは必要であるということで、いまの経済のいろいろな事情を参酌してということになりますと、私もこれは理解するにしても、この地域毎年のように、ことしも御承知のとおり潮風害あるいは干害の影響を受けて減産であるというようなことも考えあわせた上で、こうした農家の皆さん方の要求に沿うような対応をしてほしいと思うわけであります。  生産費などを見てみましても、大体昨年の、五十四年産の計数で見ましても二万四千円くらい考えられるわけでありますから、物価の高騰等そうした影響を考えると、農家の皆さん方は恐らく財政事情等々も考えて最低ぎりぎりの要請をしているのじゃないかと思うわけでありますが、その農家の期待に沿う方向での対応をお願いしたいと思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  136. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 サトウキビは御指摘のように鹿児島県、南西諸島及び沖繩県における基幹作目でありまして、地域経済においてきわめて重要な役割りを果たしていることは十分承知をいたしているところでございます。  サトウキビの最低生産者価格につきましては、糖価安定法に基づきまして、農業パリティ指数を基準として物価その他の経済事情をしんしゃくして定めることに法律で決められておるわけでございます。したがいまして、五十六年産につきましても法律の趣旨を十分踏まえながら、他の畑作物の価格決定とのバランスあるいは現下の厳しい財政事情などを十分総合的に判断をして適正に決定してまいりたい、こう考えております。  また、台風等がまだまだ心配されるわけでありますので、それらの面も考慮しなければいかぬということで、てん菜糖などの価格決定の時期よりもおくらせておるというような処置もとっておることは武田委員承知のとおりでございます。
  137. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつ十分な御配慮の上対応していただきたいということをお願い申し上げまして、最後にもう一点御質問いたします。  このサトウキビの生産振興、これは今後また一層力を入れていかなくてはいけない。最近、土地の集約化等も非常に進み、また、専業の皆さん方も一生懸命努力をなさっておるということは数字でもあらわれておるわけでありますが、そのための生産基盤、いわゆる土地基盤整備の促進強化という問題、それから特に、いま申し上げました干ばつ、潮風害の防止対策拡充、この問題がことに必要な問題ではないか、こういうふうに思うわけであります。  九月の中旬でしたか、総理も奄美大島の方に渡りまして実態をよく調査されまして、対応をしなくてはいけないということを話されていることもございまして、政府としてもこれに相当真剣に取り組んでいこうという態度が見られるわけでありますが、この対応策、今後の方向をひとつお聞かせ願いたい。  あわせて、こういう灌漑排水施設あるいは圃場整備あるいはまた農道等の基盤整備の促進をするとともに、地域の特殊事情にかんがみ、これまで沖繩振興法による財政特例措置が行われてきたわけでありますが、来年の三月に切れる、これは延長するということで、さらに生産振興あるいは産業の振興のためにこの措置が働き、効果あるようにしてほしいという要望も強いわけであります。この点もあわせてひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  138. 森実孝郎

    森実政府委員 幾つかの点について御指摘があったわけでございます。  私ども奄美大島、奄美群島、それから沖繩の土地改良事業の成果はまだ十分なところまで来ていない、今後大いに促進を図る必要があると思っております。そのような意味で、ゼロシーリングという厳しい状況のもとでございますが、畑灌、耕地整備、農道等を中心にいたしまして、他の地域に比べてかなり大きな形で予算要求をしているわけでございまして、確保には努めたいと思っております。  地域特例の問題でございますが、御案内のように、奄美は今回の特例法に入っておりまして、沖繩は来年の三月に失効するということで入っておりません。今回の特例法では、特に沖繩等ではウエートの高い団体営の事業、つまり市町村営、土地改良区営の事業は除外されておりますし、また、国営事業につきましても有効な財源手当て、地方財政措置が講ぜられることになっておりますので、不安はないものと思っております。  なお沖繩の問題につきましては、来年の三月に法律が失効することになっております。われわれといたしましては、まだ沖繩のこの特別措置法は果たすべき役割りが大いに残りているという認識を持っておりまして、政府部内でもいま検討中でございますが、農林水産省といたしましても、大臣の御意向も受けまして、極力その延長の方向でこれから努力してまいりたいと思っております。
  139. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつよろしくお願い申し上げます。  地域農業というものを総合的に推進するためには、そうしたあらゆる角度から生産振興のための努力をするということ、これは政府に課せられた課題でもございますし、地域の皆さん方はそれに沿って一生懸命努力をしているわけでございますので、サトウキビが非常に営農関係が厳しいという事情もこれございますので、どうか政府の最大限の対応をしていただきまして、生産者が安心して一層この生産に取り組めるような対応をお願いしまして、時間が五分早まりましたけれども、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  140. 田邉國男

    田邉委員長 寺前巖君。
  141. 寺前巖

    ○寺前委員 チチュウカイミバエの問題がずいぶん問題になっておりますが、私も聞かしていただきたいと思います。  まず最初に、アメリカカリフォルニア州におけるところの発生状況について、撲滅の方向に向かっているのか、どういう状況にあるのか、繰り返しになるかもしれませんが、お聞きをしたいと思います。
  142. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まず、私からブロック農務長官に対しまして、チチュウカイミバエの話が出た際に、とにかく、撲滅をしてもらわなければ問題は根本的には解決できないわけだから、一日も早く撲滅してほしい、こういう要請に対しまして、アメリカの合衆国政府としても最大限の努力をして撲滅を図りつつあるということであり、こちらの外遊先からも国務省に電話を入れてその点は特に督励をしておる、全力を挙げているということを理解してほしい、だんだんとおさまりつつあるのだ、こういう話がございました。  しかし、詳しい数字的データについては、事務当局から報告いたさせます。
  143. 小島和義

    小島政府委員 いま大臣から申し上げましたことを、若干数字にわたりまして御報告申し上げます。  カリフォルニア州におきまして、このチチュウカイミバエ発見が見られました郡が全部で七郡ございまして、その全部または一部の区域にわたりまして、現在、検疫規制地域ということで指定がなされております。その中で、三つの郡は昨年じゅうに発見されたもの、残りの四つはことしの八月に至りまして発見されたものでございまして、この八月時点が虫の発見頭数も一番多かったようでございます。  その後、九月、十月と月を追いまして、発見されております虫の数も減ってまいりましたし、郡の数で申しますと、八月は七郡でこの虫が発見されたわけでございますが、九月に至りまして五郡、それから十月十七日現在では二郡において発見されているだけということで、残りの五郡では今月に入りましてから全然発見が見られない。それから、新しい検疫規制地域拡大というふうな現象もございませんので、米側におきます防除努力が漸次効果を発揮しつつあるもの、こういうふうに見ておるわけでございます。
  144. 寺前巖

    ○寺前委員 昨年の十月九日に農水省が、チチュウカイミバエ発生状況の問題について、定着していないという判断に基づいて、輸入禁止をしないという方針をとったということが当時新聞に載りました。  ところが、ことしになってから、さらに広がったというただいまの報告があったとおり、発生状況というのは大きくなっていったというのが現実だと思うのです。大体いまごろになってくると発生状況が少なくなっていって、年を越してしまうとまたこれと同じ事態になっていくのじゃないだろうか、多くの人はそういうふうに見ています。日園連の皆さんなり、あるいは地方議会で決議を、何とか輸入禁止をしてくれという形で提起をしておられる人たちと会いますと、やはりみんな余りにも判断が早過ぎるのではないか、全体として言うならば、むしろチチュウカイミバエがあのカリフォルニア州には定着しつつあるというふうに見るべきではないか、撲滅効果というのは生まれてきているという判断が甘過ぎるという批判が非常に強いです。あの沖繩奄美ウリミバエ発生した。撲滅が明らかになるまでに何年かかったでしょう。
  145. 小島和義

    小島政府委員 沖繩ウリミバエは台湾あたりから年を追うて北上してきたものでございまして、農林水産省が本格的にその撲滅作戦に乗り出しましたのは近々数年のことでございます。  特に、その実験的な事例といたしまして、比較的小さな島であります久米島におきまして不妊虫の放飼という形によりまして撲滅作戦を開始いたしましてから、全島ことごとく撲滅までに二、三年の期間を要しております。
  146. 寺前巖

    ○寺前委員 小さい島の撲滅作戦でも二、三年かかっている。これだけの地域において広範にわたって、いまの話では七郡ですか、広がってきている事態、去年に比べて広がっているという事態が起こっていながら、数カ月にしてこれが撲滅の方向の活動として見るというやり方というのは、私はやはり早計だと言わなければならないと思うのです。関係者の間で大臣が首をかけてでもとおっしゃったその気持ちから見ても、私は、この結論というのは非常に早まっているというふうに言いたいと思うのです。  そこで、時間の都合がありますから次に聞きますが、日米間の交渉の中で、この取り扱いについて低温処理またはEDB薫蒸をやって、そしてその結果に基づいて受け入れるという方向をお出しになっておるようです。EDB薫蒸がきわめて効果があるものだ、一匹なりとも絶対に入れないという保証が日本の検査機関の中で明らかにされたのでしょうか。明らかにされたならば、そのデータをお示しいただきたいと思うのです。
  147. 小島和義

    小島政府委員 これは御承知のように、チチュウカイミバエに限らずこの種のミバエ類につきまして、EDB薫蒸が非常に有効であるということはすでにわかっておることでございまして、国内におきましても沖繩奄美からのある種の野菜果物移動につきましては、この薫蒸を実施しておるわけでございます。  ただ、今回の日米間の合意によりまして、どういう消毒方法を有効とするかということにつきましては、挙証責任は原因国であるところのアメリカ側にある、わが方はそれを受け取って審査をしてこれを認めたという経過でございますので、今回の合意につきましてはアメリカ側のデータがもとになっておるわけでございます。  データをどこまで公開できるかという問題でございますが、この種の殺虫試験のデータというのは、やはり実験者その者にとりましては一つの学問的な業績ということでございますから、そのデータそのものを発表するということは、これまでもいたしておらないわけでございます。ただ、どういう実験の概要であるかというふうなこと、データの概要につきましては、御必要がございますれば、提供するにやぶさかでございません。
  148. 寺前巖

    ○寺前委員 輸入判断をする権利は日本の側にあります。これは国際的に見てもそういうことになります。その日本の側でみずからが、この方法による場合にはこういうことになるという責任を持たないでおいて、相手側に挙証の責任があるということだけでは、責任ある政府の態度だとは言えないと思うのです。私はここに「植物防疫所調査研究報告」、これは農水省の横浜植物防疫所が植防憲法として出しておられる昭和五十三年八月の第十五号を持っております。この中に、いまのEDBの薫蒸による殺虫試験成績というのが出ています。一匹なりとも入らないという結果が、この数字を見た中では出てこない。たとえば、第三表というところを見ると、「二令」で生存虫数一というのが出ている。あるいは第四表の中では、卵で生存虫数二という数字が出てくる。これは一定の時間帯でどのようにやるのかというやり方との問題もあります。私は、向こうがこういうやり方をするのだという数字を出したら、それに基づくところの検査を日本でやってみて、果たしていいのか悪いのかという判断を下さなかったならば、それは日本政府として無責任だということになるのではないかと思うのですが、その点についてはこれからもう一度やるのですか、向こうのものをうのみのままでやるというのですか。
  149. 小島和義

    小島政府委員 これは禁止害虫の場合に一般的にそうでございますが、わが国においてはチチュウカイミバエというのは現在生息しておらないわけでございます。したがいまして、輸入解禁を求める場合において、その国がその国に現に発生しておる虫につきまして、またその国で日本に出したいと思っておる果実につきまして、いろいろその条件を設定してあれこれ実験をしてみる。もちろんその実験が一遍ですべて成功するというわけではございません。同じEDBを使いましても、その温度なり容積率なりによってうまくいかないという場合もあるわけでございますから、お目にとまりましたものもあるいはうまくいかなかった事例の一つかと存じます。ですから、アメリカ側で提供いたしましたデータの中で、この方法ならば一〇〇%退治できるというものをお示しいただきました上で、わが国がこれまでの知見をもとにしてチェックをして、その上で合意をした、こういうことでございます。
  150. 寺前巖

    ○寺前委員 チェックというのは、それは数字を見ただけの話であって、みずからテストをしたわけじゃないのでしょう。私はそこが問題だと言わなければならない。  それで、まずはデータをお出しいただきたいというのが一つと、もう一つは、この合意文書の二番の六項に「本合意の前提となっている状況に基本的変化があれば、必要な措置を講じる。」こう書かれています。「基本的変化」というのは何を指して言うのでしょうか。たとえば、現地において新しい発生が広がっているという事態を見詰めたならば、これは前提が減ってきているという前提でのお話だとするならば、これも変化の一つだというふうに見なければならぬことになるのですが、「基本的変化」というのは何を指しておっしゃっておるのでしょうか。
  151. 小島和義

    小島政府委員 これは、基本的状況は次のものであるということについて双方が議論をして、具体的な取り決めをいたしたわけではございませんで、まさにその文言どおりの約束をいたしておるわけでございます。  ただ、その解釈といたしましては、チチュウカイミバエ発生状況に際立った大きな変化があった場合、こういうふうな意味でございまして、それがいい方に変わった場合もございましょうし、悪い方に変わるという場合もあり得るわけで、それぞれの事態に応じて必要な措置をとるということだというふうに私どもは解しております。  現に、先ほど申し上げましたように、昨年八月までの時点、これはほとんどサンフランシスコ郊外の住宅地域のみに発見が見られたという時期でございましたが、八月になりまして商業的生産地域にも虫が発見された、また発見地域自体が拡大する傾向にあるという事態を踏まえまして、規制地域はそのときにおいてすでに輸入禁止になっておったわけでございますが、それ以外の地域、いわば白地の地域も、いまやすでに白地とは言えない、灰色である、いつなんどき発見されるかもしらぬという状態を踏まえまして、検疫規制地域外の果物においても消毒を要求する、こういうことになったわけでございますから、その意味でことしの八月というのは一つの状況変化があったということで、今回の合意になったわけでございます。したがいまして、今回の合意があった後において重ねてまた大きな状況変化があれば、この合意がそのままではなくて、さらに新しい措置を講ずることもあるのだ、こういう確認でございます。
  152. 寺前巖

    ○寺前委員 日本の温州ミカンは、アメリカに輸出しているのは、アメリカ日本オレンジを持ってくる量と比べるならば比較にならないほど少量です。ですけれども、温州ミカンを送るときには、立ち会いの検査官が向こうから来ていると思うのです。私は、短期間の間に輸入を、EDBの薫蒸という消毒方法を使うとするならばよろしいという態度をとるというふうにすると、百歩譲るとしても、せめて検査官を立ち会わすとか、あるいはまた、従来の検査、すなわち二%という検査方式ではなくして、もっと厳しい検査方法をとって検討されるならば、また話は別かしらないけれども、何でそういうことをおとりにならないんだろうか。立ち会いの検査官、あるいは検査の二%という条項を変える必要があるのではないか。いかがでしょう。
  153. 小島和義

    小島政府委員 すでに病害虫がその国に蔓延しております場合に、その地域における特定の植物を解禁する場合に、さまざまな消毒措置とあわせまして、輸入国側から検疫官を派遣して確認するということは国際的に認められておる措置でございまして、アメリカわが国から温州ミカンを輸入するに当たりまして、検疫官を派遣してよこしてこちらで確認をする。同様にわが国も、アメリカからのサクランボの解禁及びハワイのパパイヤの解禁に当たりましては、向こう側の消毒措置に対しまして、わが国からも植物防疫官を派遣いたしまして、現地確認の上輸出をさしておる、こういう状況でございますから、その点はいわば全く同じでございまして、アメリカであるからといって検疫官をわが国から派遣しないということではないわけでございます。  それから、今回のアメリカの消毒に対してなぜわが方が立ち会いを求めなかったかということでございますが、いままで行われております解禁措置は、現に虫がいるところ、果物に虫がついておる可能性の非常に高いところについて、いわば例外的に、解禁する際の条件としてやっておるわけでございます。今回のカリフォルニア州の消毒につきましては、すでに虫が発見されておりますところ及びその周辺地域を含めた検疫規制地域内のものは輸出を認めておりませんで、それ以外のいわば白地部分から輸出をするものについても、予防のため念のために消毒をしてくれ、こういうことにいたしておるわけでございますから、その意味で、わざわざ私どもの方から検疫官を派遣する必要はない、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
  154. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、繰り返しになりますが、実際上撲滅がされているという前提に立つことができないというのが現状だろう。そういう現状のもとにおいて輸入をしてくるんだから、本来ならば輸入禁止地域にすべきものなんだ。そういう地域のものをあえて入れるというんならば、特別な施策をとるべきだ。現にアメリカの中でも、五つの州で特別な規制をやったために、裁判問題になりました。だが、その裁判の結果は、特別なことをやってよろしいという結論が出ているではありませんか。アメリカの国内でもそういう態度をとっているものを、何で日本が特別な態度をとり得ないのか、私にはわからない。大臣いかがでしょうか。私は、そういう事態にならないために特別なことをやってしかるべきではないか。それは立ち会いの問題もあれば、それは検査のあり方は通常ではないというあり方があって当然だと思うんですが、大臣見解はいかがでしょう。
  155. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 したがいまして、チチュウカイミバエ発生するということで、こういうことでは、もうそのままの状態では輸入はできないということで、いろいろ厳しい制限を相手にまず要請をしたわけであります。したがいまして、アメリカの方も五人の専門家を日本に急遽派遣してよこしたわけであります。したがいまして、日本はとにかく納得のいくような消毒の方法をしない限りは、もうカリフォルニア産の柑橘類の輸入はなかなか受け入れませんよ。もしどうしても船積みするというようなことがあれば、全量検査もやりますよ、こういうことを強く主張をいたしまして、一匹たりとも入れてはならないという立場で、強く科学的な話し合いによって植物防疫法中心とした技術的な完全な対策によって輸入を認めていこう、こういう処置をとらしたわけであります。  それからもう一つ、私どもとしてはもう撲滅されたというような思いは全くいたしておらないわけであります。現在においても、やはりチチュウカイミバエが今月になっても見つかっておるわけでありますから、これはもう厳重なる対策を続ける、こういうことを言っておるわけでございまして、その結果、アメリカにおきましても消毒を相当厳しく行って船積みをしておる、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  156. 寺前巖

    ○寺前委員 ところが現実には、消毒をさせるんだと言うけれども、その立ち会いはない。現実的には向こうの資料を信用する、そして検査の方法は通常の検査では、私は特別なことをやったというふうに見られぬわけです。どうです、担当の局長、特別なことをやるんだったら、特別にやらにゃいかぬじゃないですか。いかがです。
  157. 小島和義

    小島政府委員 アメリカの中で南部五州が州独自の権限で特別なことをやっておるというお話でございますが、現時点におきまして南部五州がやっておりますことは、連邦政府の規制、すなわち検疫規制地域内の生果実については消毒をしなければ持ち出せない、そういうことになっているわけでございますが、そういうことが行われているかどうか、その州に入ってまいります場合にチェックする程度のことをやっているわけでございまして、カリフォルニア州産の果物でありましても、検疫規制地域内のものでないもの、いわゆる白地部分のものにつきましては何らの規制措置をしてないわけでございます。わが国はそれに比べますと一段厳しゅうございまして、検疫規制地域内のものは昨年十月以降輸入をとめておりますし、検疫規制地域外のものであっても、つまりアメリカ側の言うところのいわゆる白地地域内であっても予防のために薫蒸してくれ、こういうことをやっているわけでありますから、わが国のとっております措置というのは、その意味ではかなり厳しいものというふうに理解をいたしておるわけでございます。  加えまして、検疫規制地域外のものであり、かつ消毒をして持ってきたものについて、重ねてわが国内に持ち込む際において検査をいたしておるわけでありますから、もう三段構え、四段構えの措置をしておる、かように御理解いただければよろしいかと思います。
  158. 寺前巖

    ○寺前委員 時間の都合で次へ行きますが、EDBの問題について、昨年の暮れにアメリカの側では、どうもこれは発がん性の疑いが出てくる、一九八三年からは使わないようにした方がいいという趣旨の勧告が出ています。これは各団体などに検討をさせているようですが、発がん性の問題というのは国境はございません。ですから、このEDB薫蒸というのが日本で使われていないのか。もちろん、その消毒をやってきている品物自身にはそれは入っています。日本自身においてもそれが農薬として登録され、使われているはずです。とすると、この発がん性云々という問題提起に対して、日本では毒性検査が今日まであって、その結果としてこういう問題が研究されていたのか、全くこの分野については日本にはそういう研究はないというのか、現状はどういうことになっているでしょう。
  159. 小島和義

    小島政府委員 今日では、わが国の農薬取締法におきましては、農薬登録に当たりまして、その毒性の強弱及び残留性の問題等々につきまして審査の上、登録をいたしておりますので、その登録に該当しているものについては、一応安全なものということで登録をいたしているわけでございます。  アメリカにおきましてもその点の事実は全く同様でございまして、昨年の十二月にアメリカのEPAが発がん性などのおそれがあるということを発表いたしましたのは、アメリカの新しい治験に基づくものというふうに理解をいたしております。  最近のアメリカのEPAのやり方と申しますのは、そういう問題提起をいたしまして、そのことのもたらすところの弊害の大小、それから、そのことによってもたらされておりますところの効用と申しますか、そういうものの大小を比較検討いたしまして最終的に態度を決める。それが一応一九八三年というふうになっておるわけでございまして、昨年の十二月以降も、アメリカ国内においてももちろんでございますし、日本国内においてもそうでございますが、安全かつ平穏に使われてきた。したがって、その八月時点におきまして、このEDB薫蒸が今回のカリフォルニア州の消毒のものに限って特別に危険なものという問題意識は、その時点では私どもにはなかったわけでございます。
  160. 寺前巖

    ○寺前委員 いまの局長の答弁で、聞き損ないだったらあれですが、私はこの間うちから、日本状況がどうなっているのか調べてみたのです。  環境庁の残留基準値設定委員会というところがあります。農薬登録をするときに、このEDBについては、残留分析はしたけれども検出限界以下だったというので、毒性試験の必要なしという結論で、毒性検査はやっていないという話を聞きました。とするならば、日本でこれの毒性検査がやられていない。いまからやるといったって、この間、厚生省の担当者に聞きましたら、三年はかかりますよ、こう言う。というと、日本の国内ではこれについての分析がされていない以上は、外国から提起された問題について真剣に学ぶというのが今日の時点の特徴じゃないだろうか、あるべき姿じゃないだろうか。  とするならば、この発がん性の疑いとして提起されてきたこの研究データを早速もらって、そして日本においても毒性検査をみずからやりながら、一方でこれに対処するやり方を、やはり外国の処置を学んでやっていく対応があってしかるべきだ、そういう態度をとるべきだと思うのですが、大臣いかがでしょう。
  161. 小島和義

    小島政府委員 たびたび申し上げておりますが、その昨年の十二月のEPAの発表というのは、私ども承知いたしております。  しかし、そのことが直ちにこの農薬の使用を禁止するということをアメリカ国内で実施し、及び日本国内においても同様の判断のもとにおいてこれが使用禁止されるという事態には立ち至ってなかったわけでございます。そこへもちまして、アメリカにおきまして、この同じEPAがことしの八月時点におきまして、特に果物の薫蒸に使いました場合は、非常にこれは揮発性の強い物質でございますから、数日を経ずしてこの毒性というのは非常に薄くなって、人間の健康に余り害がない、同じようなことをEPAが言っているわけでございます。  ですから、その時点におきまして、今回の消毒のものに限って特に危険という問題意識は余りなかったわけでございますが、御存じのように、その後におきまして、アメリカ国内でも改めてこの薫蒸の安全性が問題になっております。わが国におきましても、それの波及的な影響で、同じような問題が起こっております。改めて問題意識が持ち上がりました以上は、関係官庁の御意見に従いまして円滑にこの問題が処理されるように私どもも臨んでおる、こういうことでございます。
  162. 寺前巖

    ○寺前委員 いろんなお話をされたんですが、私の聞きたかったのは、日本では毒性検査がなかったのでしょう、ない以上は日本自身もやる必要があると思いませんかということが一つ。それから、外国でそのデータが出てきた、出てきた結論に基づいて一定の方向が打ち出されている、とするならば、それを学んで日本でもやる必要がありますねと、それだけのことなんです。それ以上、何もこれがけしからぬからやめろとか、そんなことを私は提起しているんじゃないのです。率直に、毒性の検査があったのかなかったのか、なかったとすれば、やはり日本自身でもやる必要がある、しかし、それは時間がかかる、待っているわけにいかぬ、したがって、その限りにおいては外国の勧告を尊重したらどうですか、そうしたら、その勧告に基づいての処置になってくるけれども、それと、最大限カリフォルニアが一番厳しく処置をしておられるようですから、その一番厳しい処置をしているものを日本の中で学んだらどうですか、こういう提起です。別に異論がなかったら、結構ですと、それこそ一言で結構です。  それから、もう時間もあれですから、労働省にお伺いをしたいと思うのです。  日本でもこういうのを使っているわけです。向こうでは作業環境基準として〇・一三ppmという取り扱いをやっている、日本にはそういう基準はない、先ほどお話があったようです。そういう基準がなかったら、日本はやはりこの分野においても学んで、暫定の指導と言っておられましたけれども、指導を求めなんだら言わないという状況じゃなくして、基準がなかったならばその基準を、指導というのを求めに応ずるのじゃなくして、積極的に規制していく方向で打ち出していくことを検討すべきではないか、労働省にそれをお願いします。  厚生省には、これは残留品としてあのレモンの中に残っていることになりますから、したがって、いつまでも輸入をさせることを一定の水準以下のところで抑えるというだけではなくして、抜本的に違う農薬を使ってもらわなければ困るということになるんじゃないかと思いますが、この点はよく、時間もありますから厚生省はもう失礼しますけれども、農林省としても、この農薬の消毒の方法と違う新しい開発を緊急にやるべきだと思うけれども、その点について検討しておられるのかどうか、それだけお聞きして終わりたいと思うのです。
  163. 小島和義

    小島政府委員 かわるべき消毒方法が可能かどうかという問題は、輸出する側において検討すべき問題である、わが方が研究してアメリカに提供するという筋のものではないと思っております。  ただ、わが国におきましても沖繩奄美につきまして同様の農薬を使っておりますから、その意味では新しい消毒方法については絶えず研究をいたしておりまして、いいものができれば当然そういうものにかえていきたい、こう考えております。  それから、お話がございましたように、八月時点におきましてEPAの発表というものを私どもは一応信用いたしまして今回のような措置にいたしておるわけでございますが、基本的なデータにつきましてはさらによく勉強いたしまして、わが国においても行政の発展の上に役立たせるべきものと理解をいたしております。
  164. 福渡靖

    ○福渡説明員 お答えをいたします。  EDBについては、もう先生も御案内のとおり、わが国の労働安全衛生法に基づいた規制の対象とはなっておりません。今回この問題が生じたときに、私どもの方も、どういうものに準拠して判断をし、そして指導をすればいいかということについては、正直なことを言って、大変困ったわけでございます。そこで、横浜でこういう問題が起こったときには、暫定的にアメリカの方で勧告をされております〇・一三ppmを用いて作業環境の安全性を確認できないだろうかというような考え方で、荷主団体と関係労組の話し合いの場で労働省の方で提案をしたわけでございます。それに基づいて荷主団体と関係労組との間で一応の合意ができて、現在はそれに基づいて作業が進められている、このように承知をしております。
  165. 寺前巖

    ○寺前委員 お約束の時間が来ましたのでやめますが、労働省も、指導しているというだけではなくして、一歩進めて規制という問題を検討すべきではないかということを申し上げたいと思うのです。  なお、大臣は、一匹たりとも入れたら私の首だという問題として真剣にお取り組みになっておられることを最初にもおっしゃいました。私は非常に重要な態度だと思います。ただ、農民の方の感情から言えば、大臣は首か知らないけれども、わしらはそれでつぶされることになるんだからなあ、その被害というのはただでは済まないんだという感情を持っておりますから、そういう意味では、私は、一段と厳重に厳密な態度をもって臨んでいただくことを要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。      ————◇—————
  166. 田邉國男

    田邉委員長 この際、新盛辰雄君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提案による昭和五十六年産とうきびの最低生産者価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。新盛辰雄君。
  167. 新盛辰雄

    ○新盛委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提案にかかる昭和五十六年産とうきびの最低生産者価格等に関する件の決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  決議案の趣旨につきましては、委員各位の十分御承知のところと思いますので、案文の朗読をもってかえさせていただきます。     昭和五十六年産とうきびの最低生産者価格に関する件(案)   地域農業を総合的に推進する上において、沖繩県及び鹿児島県南西諸島における基幹作物であるさとうきびの重要性にかんがみ、政府は本年産とうきびの最低生産者価格等の決定等に当たっては、左記事項の実現に努めるべきである。       記  一 さとうきびの最低生産者価格については、最近における生産資材等の上昇を適正に勘案し、農家の所得と再生産の確保が十分図られる価格とするとともに、生産奨励金の運用に留意すること。    また、甘しや糖の事業団買入価格は、製造経費の上昇等を適正に反映し決定すること。  二 さとうきびの生産振興を図るため、土地基盤整備の促進強化をはじめ、干ばつ・潮風害防止対策拡充、優良種苗の開発普及、病害虫防除対策の充実及び機械化作業体系の確立等の実効ある生産対策を講じ、さとうきび作を基幹とした複合経営の推進に努めること。また、含みつ糖に対する助成に配意すること。  右決議する。  以上であります。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
  168. 田邉國男

    田邉委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  新盛辰雄君外五名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 田邉國男

    田邉委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議に関し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。亀岡農林水産大臣
  170. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいまの御決議につきましては、十分検討をいたしまして、適切に対処すべく努力いたす所存でございます。
  171. 田邉國男

    田邉委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る十一月十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十七分散会