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1981-11-11 第95回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月十一日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部未喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    川崎 二郎君       丹羽 雄哉君    吹田  愰君       福永 健司君    森山 欽司君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    野口 幸一君       米田 東吾君    鳥居 一雄君       木下敬之助君    藤原ひろ子君       村上  弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         大蔵省銀行局長 宮本 保孝君         郵政政務次官  渡辺 紘三君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政大臣官房経         理部長     奥山 雄材君         郵政省郵務局長 魚津 茂晴君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省電気通信         政策局長    守住 有信君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 奥田 量三君  委員外出席者         総理府臨時行政         調査会事務局総         務課長     重富吉之助君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   小川  晃君         日本電信電話公         社総務理事   西井  昭君         日本電信電話公         社総務理事   前田 光治君         日本電信電話公         社監査局長   森谷 昭夫君         日本電信電話公         社営業局長   信沢 健夫君         日本電信電話公         社施設局長   斎伯  哲君         日本電信電話公         社経理局長   菊地信一郎君         日本電信電話公         社保全局長   岩下  健君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君      ――――◇――――― 委員の異動 十一月十一日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     野口 幸一君 同日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     米田 東吾君      ――――◇――――― 十一月十日  郵便貯金現行制度存続に関する陳情書外八件  (第二二二  号)  郵便貯金業務拡大抑制等に関する陳情書外六  件  (第二二三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保等君。
  3. 久保等

    久保委員 私は、最初に、すでに実験サービスということで実施に移されております電子郵便の問題について、きょうは大臣初め郵務局長等中心にしてお尋ねしたいと思います。  郵政の、特に郵便事業にとってもちろん画期的な電子郵便制度が、実験サービスとはいいながら正式に発足したと思うのですが、そういう点では非常に画期的な新しい制度だと私は思います。しかし、これについて国会に対する対応の仕方あるいはまた法改正等の問題、そういった点を含めて、きょう初めて私この委員会で質問をいたすのですが、こういった問題については、本来、当然当委員会等事前説明なり、あるいはまた提案等がなされるべき性格のものじゃないかと思うのです。ところが、実験サービスとはいいながらすでに実施に移されておるのですが、こういった法律改正を要すると思われるような重要事項について当委員会に何らの説明もない、したがって、もちろん提案らしい提案も全然なされない、こういうことで事実上スタートしたことは、中身是非は別といたしましても、扱い方として実は私ども非常に不可解に思っておるわけです。しかも、個人的にと申しますか、私どもが個々に説明を伺ったのは、去る通常国会の終わった後に実はわれわれ郵政当局の方から説明をお伺いいたしました。なぜあの長い通常国会の中で、しかもまた、これは予算等にも関係しておる問題でありまして、すでに昭和五十五年度の予算の中にも計上せられておったようでありますし、本年の予算の中にもこの案件に関する所要経費予算として計上せられておる。金額はそう大して大きなものではありませんが、しかし、とにかくそういう状況の中にありながら、通常国会中にはついに正式に何らの報告も説明もない、こういう運びについては私は非常に不満なんです。  この電子郵便の問題について、いま申し上げた国会への対応の仕方あるいはまた法制度問題にも関連する重要な問題でありますだけに、私は国会軽視のそしりも免れないという感じがいたすのですが、その点お伺いしたいと同時に、電子郵便の現在実施されておりますことについての概要を、余り時間もありませんから、簡潔にひとつお答え願いたいと思うのです。
  4. 魚津茂晴

    魚津政府委員 お答え申し上げます。  事前国会に十分御説明をして御審議、御論議を賜らなかったという点の御指摘については、事後ではございますが、深く反省をしているところでございます。ただ、若干釈明をさせていただいて、それがまた電子郵便の私たちの物の考え方の御説明になろうかと思うわけでございます。  この電子郵便というものについての現在の郵便法の位置づけといたしましては、もちろん御論議はあるし、現に久保先生がいろいろと問題を指摘されているわけでございますが、私どもといたしましては、郵便物種類としては、第一種郵便物であって、特殊取り扱い一つの形態、ただ特殊取り扱いは、現在の郵便法の五十七条では電子郵便取り扱いというものが定められていないわけでございまして、省令特殊取り扱いを創設して、その創設された特殊取り扱いということで、現在の郵便法の中で十分そのサービスを開始することが可能であるというふうに判断をしたところでございまして、その辺の議論が基本的に問題の所在ということになろうかと思うわけでございます。ただ、そういった法律的に読める読めないということじゃなくて、郵便の中に新しいサービスを開始するというときには、事前に十分この国会で、もっと具体的に言って、当委員会議論をいただくということは当然今後やってまいりたい、またやっていかなければならぬというふうに考えているわけでございます。  それから現状でございますが、現在この電子郵便サービスをやっている局は、東京中央郵便局名古屋中央郵便局大阪中央郵便局で引き受けまして、サービスエリアといたしましては、そこで引き受けたものについて、東京都区内、名古屋市内大阪市内、それがサービスエリアになっているわけでございます。  以上、現況と先生の御指摘のあった点についてお答えをさせていただいたわけでございます。
  5. 久保等

    久保委員 いま法律的な根拠として郵便法の五十七条を持ち出して説明をせられておるのですが、「郵便物特殊取扱」という第五章の中に設けられた五十七条、しかもその五十七条の見出しには「特殊取扱種類及び料金」となっております。その「特殊取扱」というのは、五十七条にいろいろ「書留、速達、引受時刻証明配達証明内容証明代金引換特別送達年賀特別郵便」こういったようなものを羅列して「その他の郵便物特殊取扱実施する。」あくまでも、郵便物本体そのもの性格に新しい郵便物を追加したのじゃなくて、郵便物に対する扱い方法について、いわゆる特殊扱いを行うその中身はどういうものかということが、私は第五十七条の規定だと思うのです。これは、きわめて常識的に考えても、見出しに「特殊取扱種類及び料金」となっているので、特殊な郵便物扱いじゃなくて、あくまでも扱いについて特殊な取り扱いをする、それの種類料金というものが決定せられておると思うのです。  郵便法は、これは郵務局長にはもちろん釈迦に説法ですが、郵便物には通常郵便物小包郵便物、それで通常郵便物の中にも第一種、第二種、第三種、第四種と、明確にそういった種目を規定しているのですね。そういう後を受けて、いま言った「郵便物特殊取扱」という条章の中であくまでも「特殊取扱」と、取り扱いの問題なので、第五章は特殊郵便物条章ではないと私は思うのです。しかも、見出しにわざわざ「特殊取扱種類及び料金」、そういったものについては特殊取り扱いであるから、普通の料金では高過ぎたりいろいろするものですから、そこらの調整を行おうというのが第五十七条だと思うのです。そこへ持ってきて、その特殊取り扱いという中に実は電子郵便が含まれているのだ、含めるのだという解釈はまことに牽強付会な解釈だと私は思いますよ。郵便物というのは一体どういうものですか。
  6. 魚津茂晴

    魚津政府委員 現在の郵便法体系の中では、郵便という定義づけ、したがって郵便物というのが実定法上明らかにはされていないわけでございますが、私ども郵便物とは郵便システム利用して送達される信書その他の物件と理解をいたしております。したがいまして、今度開始をいたしました電子郵便の引き受けから配達送達過程の中では、文字どおり郵便システムが基幹になって行われているわけでございますので、電子郵便郵便であるというふうに理解をしているところでございます。  それから、前段の先生のいろいろの御意見についていま一度私ども述べさしていただきたいと思いますのは、電子郵便というのは、郵便物種類といたしましては通常郵便物の第一種に属する郵便物である、その第一種郵便物文字どおり特殊取り扱い扱いをしたそれを電子郵便、こういうふうに理解をしているわけでございます。  したがいまして、特殊取り扱い種類としては先ほど御説明をいたしました五十七条の中には明示はされていないわけでございますので、省令でもって新しい特殊取り扱いを創設をして電子郵便特殊取り扱いを開始した。また別の観点からいいまして、たとえば一枚のペーパーで電子郵便利用するという場合に五百円いただいているわけでございますが、五百円の内訳といたしましては、一種定形分としての六十円と特殊取り扱い料金として四百四十円ちょうだいをいたしまして、合計五百円、こういう料金体系にもなっているわけでございます。
  7. 久保等

    久保委員 非常にその説明は無理だと私は思うのです。従来の郵便物という概念は、少なくとも差出人の差し出した郵便物、これが受取人のところに送達をせられる、そういうのがいわゆる郵便システムだと私は思うのですね。いま局長郵便システムというよりも何か、その概念もこれまたはっきりしないのですけれども、そういう概念に当てはまるから郵便物なんだ、したがって、郵便システム利用して送る郵便物だからいいんじゃないかというような御説明なんだけれども、その郵便システムというのがまた怪しいと私は思うのです。  もう少し違った立場から申しますると、差し出した人間が差し出した郵便物相手方送達をする、そういう観念実施し得たのじゃないですか。従来の郵便物というのはそういう性格のものじゃないですか。少なくとも差し出した者の郵便相手方配達される、これが郵便システムじゃないのですか。     〔委員長退席畑委員長代理着席
  8. 魚津茂晴

    魚津政府委員 ことしの七月二十日から電子郵便サービスを開始したわけでございますが、七月二十日前までは、郵便物とは差し出されたそのもの送達するということで、従来から郵便一つ特性といたしまして、郵便というのは現物性であるということも私ども申し上げてきたところでございますが、私ども従来現物性現物性ということを不可欠の要件として申し上げているとすれば確かに問題が出ようかと思いますが、これは郵便物としてのあるいは郵便という概念の不可欠な要件というよりも、実際にある形を見ますと、一つ特性として、今日もなおそういうことが言えるかと思うのでありますが、現物性ということを言ったことでございまして、現物性というものが郵便としての法律上のあるいは制度上の必要不可欠な概念であるかどうかというような点になりますと、私ども先ほどから申し上げておるように、現在の郵便法の中でも電子郵便というものが郵便として位置づけし得るというふうに判断をしたわけでございます。  それから世界の大勢を見ますと、電子郵便という同じサービスでございますが、確かに電電の部門でやっておるサービスもございますが、今日UPUという場で郵便の問題として電子郵便というものをとらえて研究し実施しておるという情勢もあるわけでございます。
  9. 久保等

    久保委員 いま郵務局長郵便物に対する考え方が、七月二十日から実験サービスを始めたことによって何か概念が少し変わってきた、拡大したようないまの御説明なんですが、私は、もちろん時代の進展とともに観念なり概念というものが変化することもいいと思うのです。ただしかし、あくまでもそういう本質的な問題についての考え方を変えようとするならば、法律的にもきちっとしなければ、「特殊取扱」という中に本体の変わったものまでを含めて何か特殊取り扱い一種だという考え方では――特殊扱い普通扱いに対する特殊扱いだと思うのです。そういう特殊扱いの中に郵便物自体本体の変わったものを持ってきて、特殊扱いというところで処理できるのだという考え方、これはまさに本末転倒というか、郵便物本体そのものに対する解釈をそういう形で曲げていくということは非常に邪道だと思うのです。  そこで混乱が起きてくる問題は、いまちょっと郵務局長のお話がありましたが、電報との関係だと思うのです。あえて私は模写電信とまでは言いませんけれども電報電子郵便というものは本質的に一体どこに違いがありますか。
  10. 魚津茂晴

    魚津政府委員 電子郵便電気通信手段利用する等の点で模写電報電報と類似した面を有していることは事実でございます。しかしながら、たとえば電報については電話送達も行われており、記録文書送達電子郵便のように不可欠とはされてないなど、電子郵便とは同一視することはできないというふうに考えております。
  11. 久保等

    久保委員 それは非常にこじつけでして、明治初年から電報というものは御承知のように電気通信の大宗をなしておるし、最も先導的な役割りを果たしてきた。これは電気通信の中での先輩、後輩の関係というのは大先輩ですね。最近、利用が減ってきて、しかも電話が非常に普及してきたので電報なんてやめたらいいじゃないかという議論さえ出ておるのですが、しかしまた、利用数はきわめて少ないにしても、電報の社会的に負っております使命といいますか、性格が、仮に利用者が少数であっても廃止することはまずいんじゃないかというのが大方の考え方だと思うのです。  問題は、一体電報というものはもう当然夜中であろうと何であろうと配達をして各受取人のところに送達をする、これが電報の当然のあり方だし、配達という問題が非常に重要な部分を占めておるのです。たとえば非常に交通不便なところに、いまはさほどでもないかもしれぬが、とにかく山間僻地にでも電報というものは必ず配達しなければならぬ、これが原則なんですよ。また現にそれもやっているわけだし、それからまた、現に残しておかなければならぬという部面は、実はそういったところの電報についてはこれを廃止するわけにはいかぬ、これは現状だろうと思うのです。  ただ便宜的に、最近、電話でもって受取人にこういう電報が来ましたが配達してよろしゅうございますか、どうですかといってお伺いを立てているのは、同じような電報が、受取人にすれば、率直に言ってどっちかといえば多少迷惑だと思われるような電報が幾つも来る、そういうものを夜中の十二時過ぎてとんとんと戸をたたいてまで配達することは、受取人にも迷惑だし、事業を預かる電電公社立場から言えば、人手を要する問題ですし、これは採算的にはもちろん成り立っていません。そういう状況があるものだから、幸い電話があるところについては、ひとつ了承をいただいて配達事後にするか、あるいはもうそんなものを持ってこなくてもいいよと言われるなら配達しないか、しかし、確認をきちっとしてやっておるのが現状です。ただ、これはあくまでも例外であり、便宜的な措置なんですよ。だから、電報というものは当然受信人配達をするのが原則だし、またそういうものでなければならぬのです。  それを何か、むしろ便宜的に配達をやっているので――本来電報なんかの場合、一般の人が端末装置など持っているということはあり得ないことでして、一般の庶民の方々に必要な電報というものは、当然配達をするところに本当の電報有効性があり、また喜ばれているところだと私は思うのですね。しかし、それは逆に言えば、採算的には非常にむずかしいということになって、経営的には大変な問題になっておるように、電話の収入でもって電報の赤字を埋めているというような話が出て、経営上問題になっておるわけですが、原則としてはあくまでも配達をすることが本旨なのです。  そういう意味で、電報電子郵便というのは本質的にどこに違いがあるのか、いわゆる電磁的方法によってとにかく送達をする、送受をするという関係になっておる電報電子郵便との違いというのはどこにあるのでしょうか。
  12. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先ほどお答えさしていただいたことのほかに、私ども違いというものをいま少し加えさしていただきますと、経営主体がもちろん違うということが一つございます。電報日本電信電話公社電子郵便郵政省である、要するにシステムの、機関という意味での郵便システムに乗っているということが一つございます。  それから、情報特性と申しますか、そういう観点から申し上げてみますと、電報情報は主として文字だとか符号が用いられている。電子郵便文字のほかに図形などの画情報も送信できる。こういうように、より幅の広い情報という点が内容的にも違う点であろうかと思うわけでございます。  それから配達の問題でございますが、先ほど私が申し上げたように、電報というのは配達のほか電話による送達も可能でございますが、電子郵便郵便ベース人手による配達原則としている。  加えて配達サービスグレードの問題でございますが、電報は二十四時間配達でございますが、電子郵便は限定されているということで、本質的には電気通信手段を使っているという点について共通性は持っていることは事実でございますが、またそれなるがゆえに、世界電子郵便の取り組みの経営主体というのは、日本の場合で言いますとNTTの系列のところがやっていることは事実でございますが、一方郵便扱いとしてやっているという現状でございます。
  13. 久保等

    久保委員 郵政省がやっているから郵便なんだというような話は、それは全然答弁にはなっていないのですよ。それから、電報は要するに文字を送っているけれども画像みたいなのが送れないからというような話になりますと、私がさっきも申し上げた模写電信というもの、画像中心にして送るような模写電信というのは御承知のようにとうの昔からあるわけですからね。そういった点考えて、私はこれは本質的な説明には全然ならぬと思うのです。  だからそういったことについて、これは通信政策局の政策問題として、一段高い通信秩序確立を特に考えなければならぬ政策局長立場では一体こういう問題をどう考えるのか。私は、できることなら、郵便制度そのものが今日いろいろとむずかしい経営上の状態にあるのですから、新規的な事業を大いに開拓をしてやられることには大賛成だし、それはお互いに知恵をしぼらなければならぬと思っている問題なんですけれども、しかしさればといって、通信秩序そのもの混乱したり、それから利用者立場からいっても、片や電電公社がやっている、片や郵便局でやっている、それで似たようなものをやっているが、料金はこれまた区々ばらばらだというような問題になってくると、これは利用する国民立場からいっても私は非常に迷惑千万な話だと思うのです。  それで、どちらかというとお互いに競争し合う。電電公社は御承知のように電気通信省が変わって電電公社になったのですからね。だからそういったものが国民サービスを、多々ますます弁ずということで多ければ多いほどいいという面もありますけれども、しかし、特に本質的にどこが違うのかといって聞かれたら、いま言ったような御説明文字を送るのが電報で、画像が含まれるのが電子郵便だと言われる。それから配達問題は、これはさっきも申し上げたように答弁になっていません。これは電報配達をするのが原則なんです。最近便宜的に――これは便宜的にやっていることですからね。受信者の了解を得てただ便宜的にやっているというだけの話なんですよ。だからそういうところにはむしろ電報制度はなくても間に合うと私は思うのです。しかし、やはり電報を残さなければならぬ理由があるとするならば、電話も持っておらないような国民方々、こういったものに実は電報を残しておかなければならぬ理由がある、また現実があるものですから、一般にやめてしまったらどうだという議論もありますけれども、なかなか電報がやめられない問題が実はあると私は思うのです。これは採算的にいえば経費の方が料金よりも、まあ百倍以上になっておるのですからね。しかし、これは公共事業であるがゆえに電報は扱わざるを得ないという問題があるので、その点をとらえればこれは一目瞭然とわかりますように、電報というものは配達がむしろ中心といっていいくらい、そこにまたコストがかかっているのですから……。  そういう点考えますると、電子郵便というものは郵政省でやるから郵便なんだというような解釈では、これは子供だましみたいな話でして、とても理解ができないと思うのです。納得どころじゃなくて理解ができないのです。だから、やはりそこから明確にすべきだと思うのです。  もちろん郵政省電気通信関係の仕事をやっておられるのは、現行制度からいえば電電公社から委託を受けた場合、これは現実にやっておるわけですからね。だから委託をやるという考え方に立つのなら、これまた是非は別としても、法律上は堂々とそういう制度があるのですから……。  そういったような問題を出されて、五十七条の規定あたりを持ち出して法律的な根拠と言われると、これは全く常識的に考えたって、郵便特殊扱い特別扱いについて規定したものを持ってきて、何かそこから電子郵便もやれるのだということなら、これは何でもやれるのですよ。郵政省がやれば何でもやれるのだというようなことになったのでは、全く通信秩序確立を――有線電気通信法の第一条には電気通信秩序確立を図ることによって公共の福祉に貢献するという大原則があるのですよ。その通信秩序みずからを監督の衝にある郵政省郵政大臣が行うなんということは私は言語道断だと思うのですが、大臣、先ほど来私がお尋ねしていることで大臣は一体どう理解をされますか。これは非常に基本的な問題であるだけに、やはり明確にして取り組まなければ、何かますます混乱を引き起こすような結果になると思うのです。
  14. 山内一郎

    山内国務大臣 郵便物を何とかしてもっと早く送達できないかというような点から、送達手段を変えることによって、書いたそのものではございませんけれども、そっくりの内容のものを早く送るというところで電子郵便が生まれたということは御承知のとおりでございます。そこで、そのときいろいろ考えまして、これは郵便物であるか電報であるか、いずれにしてもそのものずばりという答えはなかったと思いますけれども、どちらかというと電報よりは郵便物に近いんじゃないか。そういうような点で、現行法でやるとすればこういうことでいくんじゃないかということを局長がいろいろ検討した結果を、私もそれでいきましょうということでいまのとおりになっているわけでございます。  ところが、いまいろいろお話を聞いて、従来と違うことは確かですね。これはもう従来の郵便物そのものずばりということとは違うということは確かでございます。だからもっと明確にすべきであるという御意見でございますので、いまは先ほど述べたとおりやっておりますけれども、その点については検討さしていただいて、もっと明確にする方法があるかどうかという点について調査をしたいと思っております。
  15. 久保等

    久保委員 大臣にお尋ねしてお答えがいただけるかどうかと思うのですが、一体、電報といま問題になっておる電子郵便と本質的にどこが違うかということになったら、違わないんじゃないですか。ちょっとそのことだけ、ひとつ簡単に。
  16. 山内一郎

    山内国務大臣 実態の違いは私はないと思います。ただ、配達手段方法というのが、郵便局でやっているか電報局でやっているかという違いはありますけれども内容の実態そのものについてはそんなに大差はない、こういうふうに考えております。
  17. 久保等

    久保委員 大臣、正直に変わらないという御答弁だから、むしろ大臣答弁がきわめて私の考える常識と一致する御答弁だと思うのです。しかし、それでは大臣というポストからいうと実は許されない。電気通信行政の問題についてどう考えるかといういろいろな問題が出てくると思うのです。しかし、そういったことをここで追及しようとは思いませんけれども、しかし、少なくとも非常に無理がある、このことだけは言えると思うのです。  いま配達云々という話は、さっきから口を酸っぱくして申し上げるように、電報が今日現存せざるを得ない理由があるとするならば、電話等がない山間僻地配達を要する部面が、電報がむしろ存在しなければならない意義のあるところだと私は思うのです。そういう点から言えば、配達云々の問題も、電報はむしろ配達をするところに意義があるという性格のものだと思うから、したがって、電子郵便との本質的な違いというものはない。これはもう厳然たる事実だと思うのです。解釈の仕方とかなんとかじゃなくて認識の問題だと思うのです。  それで、郵政省で出された印刷物で「電子郵便の実験についての考え方」ということで、私もちょっと拝見をしているのですが、最後の方に書いてあります「3 類似の電気通信サービスとの関係」というところは、さっき郵務局長が御説明、御答弁になったようなことを書いてあるのですけれども、これなどを見ると、何か電報の場合には、端末をお互いが持っていて通信するのが要するに電気通信なんだというようなことになっているんだけれども、これは電報性格なり電報の実態を見た場合にとんでもないんで、お互いに端末機を持っているんだったら、それこそ電報なんか要らないんですから、そういう点を考えると、電気通信サービスは、端末を有する者同士の通信が基本的な態様だというようなことを言っていますが、これは電報の場合には全く当てはまらない説明だと思うのです。  だが、いずれにしてもこういった事業を始めるのであれば、是非は別としても、少なくとも根本的に法律的な根拠を明確にするべきだと私は思うのです。郵便法そのものが御承知のようにとにかく一種、二種、三種、四種となっておる。第五種をつくるのなら五種をつくるで明確にすべきだと思うのですが、御説明を聞くと第一種郵便物なんだ。確かに第一種郵便物の第三号のところにその他に属せざるものみたいなものを規定してあるんですけれども、それならこの規定によればもう何でもやれるということですね。それでは法律で決めたといって実は法律で決めてないことになるわけですね。だから私は、現行制度の上からいって電子郵便郵政省が扱うことは無理だ、これはきわめて緩やかに申し上げて無理だという解釈。それからまたさっき申し上げたように、有線電気通信法その他を考えた場合には、監督の掌にある郵政大臣が少なくとも有線電気通信法の第一条に背反するような現象を引き起こす可能性が多分にあると思うのですね。本質的には変わらぬものを郵政省がやる、電電公社もやるというようなことは許されないと私は思うのです。  そこで、実験をいま始めているんですが、これは初年度で、実験というのは大体何年くらいかかってどういった実験サービスの予定、計画があるんですか、それをちょっとお伺いしたいと思うのです。
  18. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私ども、実験といたしましては、さしむき三年間、まずこの状態でサービスを拡大するということをやらせていただきたいと思っている次第でございます。その後、その三年間のいろいろのデータを踏まえて、本格実施ということにするのか、さらにその実験のサービスを継続してサービス地域を拡大する形にするか、これはまだ結論は私ども出しておりませんが、さしむき五十五年度の分、それからいま五十六年度の分について、実験の中身を変えていくかあるいはまた地域を拡大していくかということについて検討しているわけでございますが、これを早く結論を出しまして、さらに五十七年度におきましてもう一年続けまして、そこで一つの中間的な総括をするというふうに考えている次第でございます。
  19. 久保等

    久保委員 明年度予算案はすでにもう大蔵省にも出しておるわけですし、もちろんこれから詰めに入る段階だと思うのですが、五十七年度ではどういう計画になっていますか。
  20. 魚津茂晴

    魚津政府委員 五十七年度では京都、神戸、川崎をサービス地域として追加をする。その前段として五十六年度がございますが、予算の面におきましては札幌、福岡、横浜ということで、したがいまして、五十五年度は三局といいますか三都市、それから五十六年度はいま御説明しましたように三都市、そして五十七年度の予算要求といたしましては京都、神戸、川崎を追加する、こういう計画を持っておるところでございます。
  21. 久保等

    久保委員 余り時間がありませんから、もう少しいろいろお尋ねしたり、また私も申し上げたいこともあるんですが、いずれにしても、いまお話があった三カ年程度で実験サービスから本実施へということを考えておられるようですけれども実験サービスと本実施と一体どこに差異があるんだということになったら、これまたどうも、実験サービスの段階だ、やれ本実施サービスの段階だという言葉の使い分けはできるかもしらぬが、実態的には利用する国民立場から言えばちっとも変わりはないわけです。だから、いま言う法律的な問題についても制度的な問題についても、この種のことを始めようとするならば、やはりきちっとしてやるべきだと私は思うのですね。そういう点では、実験といっても、ただ機械の性能が一体どうなんだろうかこうなんだろうかということで実験をやられるのは普通あり得ることですが、しかし今度の場合はそんなものじゃないんで、機械その他は完璧なもので、何もいまさら実験も試験もないのです。だから、そういう点では二年も三年もかけて実験サービスなんかする必要もないと思うのです。  したがって、受ける国民立場から言えば、本実施と同じようなサービスを現に受けるわけだし、またそういう意味で、せっかくつくったのならば利用もしてもらわなければいかぬと思うのです。そういう点で、三カ年でどういう結論を持ってさらに本実施に臨もうとするのか知りませんが、私はいま言った法律制度の問題については早急に調査研究せられてきちんとしたものにすべきだ、そういうふうに考えます。これは通信政策局長の問題だろうと思いますが、そこのところをひとつ政策局長の方からお尋ねしたいと思うのです。
  22. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  いまの問題を公衆電気通信法、そういうサイドからまず物を見てみたわけでございます。御承知のとおり公衆法の五十五条の十三、特定通信回線の「他人使用」という項でございますけれども、現在の電子郵便というのは電電公社の特定通信回線の利用契約のもとに行われております。したがいまして、この五十五条の十三ということになるわけでございますが、これにはその十三の第二項に規定がございまして、いわゆる「他人使用」ということにつきましては厳しく制限をしておるという状況でございますが、その第二項の規定によりまして「郵政省令で定める場合」という例外がございます。その例外の中で、施行規則第四条の十二の二号になりますけれども、「公共の利益のため必要」という条項には該当する。しかし先生指摘のようないろいろな面で、郵便法上やはりそこに何らかの根拠が明確に要るのではないかというのが私どもの見解でございます。  いろいろ先生ともお話ししておりますけれども電気通信というサイドからわれわれは見ておりまして、これはいわば郵便も含めた通信全体の分野調整といいますか、先生おっしゃいましたような秩序というものにも関連する問題ではなかろうか。したがいまして、私どもとしましては通信全体のまあ根拠は持っておりませんが、郵務の方に対しまして、そういう点は郵便法根拠を明確にすべきではないかという意見を申し上げておるところでございます。
  23. 久保等

    久保委員 役所の形式主義から言うと、電気通信政策局長なんだから、事郵便という名前がついていればこれは郵便郵務局長の管轄だし、自分の管轄でないと言われるかもしらぬが、先ほど来私が申し上げるように実態的にはこれはもう電気通信の分野なんです。ただ郵便という名前をくっつけているからこれは郵便だろうなんというそんな扱いにならぬと私は思うのです。だから実態的に考えれば、これは明らかに電気通信政策局長、電気通信政策の問題として、他人事ではなくて自分本来の通信政策局長の問題として十分に検討されるべき問題だと私は思うのですよ。  公衆電気通信通信政策局長の所管、郵便法は他の部門だと言われても、中身が問題なんですから、中身を考えたら、郵便法と、いま言う電気通信関係の法、すべて総合的に考えた立場で法改正を考えなければならぬと私は思うのです。したがって、通信政策局長、少し遠慮せられたようないまの御発言ですけれども、私は実態的には電気通信政策局の問題だと実は思っているのです。そのことを特に要望しておきます。  と同時に、電電の方でも、前々から問題になっておったファクシミリの例の認可の問題、これも何か八月ぐらいから実施をされている段階だと思うのですが、あれはいつ認可をされたのですか。一言お答え願いたいと思います。
  24. 守住有信

    守住政府委員 お尋ねの点は、ファクシミリ網と申しますか、いわばファクシミリの専用網、それとミニファックスの認可と両面あったわけでございますが、記憶によりますけれども、八月二十一日に認可いたしまして九月十五日からサービスインをしたというふうに把握しております。
  25. 久保等

    久保委員 一言通信政策局長にも要望しておきたいと思うのですが、前々から「八〇年代の電気通信政策のあり方」ということで、例の電気通信政策懇談会というのを設けられていろいろと検討せられたようです。その結果として答申が八月二十四日に出されておりまして、その中にも取り上げて指摘されておるのですが、「政策の柔軟化」ということが言われております。要するに今日、技術の高度化に従って社会のニーズも非常に多種多様になってまいっておると思うのですが、そういった状況にかんがみて行政の機動性と弾力性を高める措置がとられるべきであるということが言われております。  私は、そういう意味では、確かにもう日々大変な技術的な進歩がこの電気通信関係には多いわけでありますが、そういう立場から、いま申し上げたように行政サイドでも機敏に対応していく必要があると思うのです。したがって、一つの具体的な問題が出た場合に二年も三年も、あるいはそこまでいかないにしても半年も一年も、結論が非常にむずかしいという問題はこれは慎重にやってもらわなければ困りますけれども、もう結論が初めからわかっているというような問題等についても非常に遅い、こういったことについては今後ぜひひとつもう少し格段の努力をしてもらいたいと思うのです。そういう点、一言申し上げておきます。  時間がありませんから最後に、せっかくおいで願っておりますから、電電公社の方にちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、電電公社で大きな当面の問題の一つに例の拡充法と言われる電話債券の問題、これも明五十七年度で期限切れになって、その後どうするかの問題が非常に大きな問題になっているのですが、これと同じように、時期を同じゅうして、これは全く異質の問題ですが、電話加入権の質権の問題がちょうどまた五十七年度限りで切れることになっておるのです。これも実は経過から言うと、最初スタートしたときには昭和三十三年に臨時措置法で五年間という予定でやった。ところがその後十年延ばし、またさらに二回目も十年延ばし、そして結局明五十七年度で満二十五カ年間実行したわけなんですが、最近私のところにもなおひとつ延長してもらいたいという要望がきておるのです。このことについて、どうしようとされておるのかお答えをいただきたいと思うのです。時間がありませんから後日適当な機会にやるとして、そのことだけひとつ簡単にお答え願いたいと思うのです。
  26. 信沢健夫

    ○信沢説明員 お答え申し上げます。  電話加入権質につきましては、先生いまお話しございましたように昭和三十三年に、公衆電気通信法では質権が設置できないことになっておるにもかかわらず、特例法として実施されたわけでございますが、その後大分社会情勢も変わってまいりまして、当時は大変に市価も高く財産価値が高かった電話加入権も、最近は需給が安定したことに伴いましてそれほど高い金額でなくなってまいりました。したがって、質権法の取り扱いにつきましても、拡充法が期限切れになるということやあるいは質権法設定当時の逼迫した情勢が変わってきたということもございますので、これを存続させる根拠は薄くなってきていると考えられます。しかし一方、質権の設定件数も現在でも毎年大体三十四、五万ぐらいずつあるという状態でございまして、質権設定されている件数も減らないという状況もございますので、こういう実情も考慮しながら、郵政省の御指導を得ながら慎重にこれから検討してまいりたいと思っております。
  27. 久保等

    久保委員 最後に、もうお答えいただかなくても結構なんですが、この質権の問題はいま御説明があったように、この法律を臨時措置法という形で制定をして以来、当時はいわばなかなか電話がつかない、したがって非常に担保価値もあったから、そういう要望にこたえてつくったのですが、しかし、公衆電気通信法の中では質権設定は禁止をされている、したがって臨時措置法という形でこういう特例的な形の措置をつくったのですが、しかも実施は当初五年の予定が二十五年という長きに及んで今日に至っておるのです。だから、当時の法律制定のいきさつなり事情からいくと、これはもう廃止をするのがむしろ成り行きとしては当然だと私は思うのです。ところが逆に、そういう経済情勢の変化あるいは電話を申し込めばすぐつく電話といった、情勢はすっかり変わっておるのですが、現実に質権設定は年々約三十万件以上の新規の質権設定が行われている。そして現実に存在する質権そのものが約七十七万と聞いております。そうすると、大変な利用者がいるわけです。そういう問題をどう考えていくか、どう対処したらいいか、これはいま十分に検討しようというお考えですが、一般国民立場から言えば、理屈はどうあれ、また経緯はどうあれ、とにかく効用があるのだ、このことによって非常に助かっているのだという状況現実にあるのですから、そこらを勘案して、私も、つくったときには五年もしたら廃止していいのじゃないかという話さえあったのを、二十五年もやってなお、今日むしろ年々歳々少しずつではありますがふえている傾向にあるということを考えますと、現状に対しての要望にこたえる方向で検討せざるを得ないのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、十分に御検討を願いたいと思います。それだけ要望を申し上げて私の質問を終わります。
  28. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 鈴木強君。
  29. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 若干関連してお尋ねをいたします。  その一つは、金融懇の答申に示されました金利の一元化の問題について大臣にお伺いいたします。  御承知のようにこの問題につきましては紆余曲折を経、今日に至っておるわけでございますが、閣議におけるいろいろの御検討の結果、一応の結論が出たわけでございます。  そこで大臣に確認しておきたいのは、金利一元化の問題については従来と変わりない、郵便貯金と民間銀行との金利の決定の仕方については現行どおりでいくのだ、こういうふうにはっきり確認しておいていいですね。
  30. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろ経緯、いきさつございましたけれども、結論においては、郵便貯金の金利は従来どおりの方法で決定をする、こういうことでございます。
  31. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは結果的に非常によかったと思います。大臣も大変御苦労されたと思いますが、私どもも党派を乗り越えてこの問題については取り組んでまいったつもりでございます。ただ、若干懸念があるのは、閣議の決定の経緯等にかんがみまして、今後金利が変更される場合にかなり政府側からいろいろな圧力がかかってくるのではないかという実は気がするわけです。そういうことがあってはいけないわけでございますが、ぜひこの点は、断固として従来堅持している立場をとっていただいて、庶民の郵便貯金の金利については郵政省郵政大臣が決めるのだ、この線をあくまでも貫いていただくように重ねて要望しておきます。  それから、時間がありませんから、いま五十七年度予算の折衝段階だと思います。そこで、大臣御就任以来大変熱心に取り組んでまいられております郵便貯金の限度額の引き上げの問題、三百万を五百万、あるいは一千万円のシルバー貯金の新設、それから郵便貯金の資金の運用の問題、こういった問題についてできるだけ預金者に有利な形にしていただきたいということで、大臣も就任直後あのような御発言があったと思いますし、私たちも双手を挙げて賛成してきたわけです。これが今日実現しておりませんが、五十七年度予算の要求段階でこの線は断固としていま実現のために努力している、こういうことでございましょうか。
  32. 山内一郎

    山内国務大臣 預け入れ限度額の引き上げの問題、三百万―五百万の問題、それから高齢化社会を迎えまして高齢者の方の貯金を優遇してあげたいというシルバー貯金の問題、この点についてはことしの予算も非常に努力をしたのでございますけれども、残念ながら実現しなかったのでございます。現在は、大蔵省に強く要求をしまして、いま折衝の真っ最中でございます。  もう一つ郵便貯金の自主管理の問題、これも長年の念願でございまして、地方の公共団体の要望とか、特に個人金融の問題がいま全般的に非常に欠けていると思うのです。そこで、お困りの方がたくさんおいでになりますので、郵政省がもっとそういう点に重点を置いて自主管理をしたい、これが目標でございます。さしあたりは、来年度は国債等について郵政省が購入できるようにというような点で強く折衝いたしている段階でございます。
  33. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 結構だと思います。資金運用の面については国債の取得ですね、これはわれわれの長い念願なんですが、いま要求段階で、額としてはどの程度を考えておられますか。
  34. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 現在五十七年度概算要求につきましては、いま大臣お答えいたしましたように大蔵省と折衝中でございますが、私どもがもくろんでおりますおおよその額といたしましては三兆五千億円ということでございます。
  35. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 その程度のものは最小限郵政省の自主管理ができるような道を開くのは当然ですよ。ですから、昨年来の経過もあるだけに、大臣以下一丸になって予算折衝を大蔵省に負けないようにがんばって実現してください。これは国民は心から双手を挙げて応援していますからがんばってください。  あとグリーンカード制度の問題、これは五十九年一月一日から実施されるのでありますが、同僚の阿部委員から質疑があるようですから、私は時間の関係でこれは阿部委員の方にお任せします。  次に電電公社にお伺いしたいのですが、電電公社におきましてはかねてから天変地変、地震、津波あるいは台風、そういったものが襲来した場合に、どんなことがあっても通信線を確保する。これはマイクロウェーブを含めまして放送の波をとめてはいけないのでありますから、そういう対策は十分につくられていると思いますが、特にきょう私がここでお尋ねしたいのは、御承知のように大規模地震対策特別措置法が五十二年につくられまして五十三年から施行されております。強化地域に指定された神奈川県の西部、静岡県ほとんど全部、山梨県ほとんど全部、愛知県ほとんど全部、それから岐阜県の一部と長野県の一部、この六県については、耐震のための防火施設あるいは小学校の木造を本建築に改築する、あるいはお年寄りの入っております老後施設、こういったものを鉄筋化していくというような施策をいまやっております。特にそれについては、補助金が三分の一が二分の一になるとかいうふうに高度の補助をしているわけですね。今度の行革でも当初これを切るという意見がありましたが、幸い市町村部分は全部残りました。県の部分が六分の一になったわけですが、そういうこともありまして、駿河湾地震は百年来の大地震だと言われているのですが、これが想定されるためにいま政府としては強化地域を指定しておるわけです。したがって、電電公社におきましても通信の確保については特別この強化地域については対策を講じておられると思いますが、その概略を最初にちょっと説明していただきたい。
  36. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 お答えいたします。  電電公社では国の災害対策基本法という御方針に基づきまして、先生おっしゃいましたように通信関係の防災対策を進めておるということでございまして、特に十勝沖地震が四十三年にございまして、それを契機に抜本的に取り組んでおるということでございますが、先生おっしゃいました東海地震につきましては、従来の災害対策では律し切れないという問題がございます。  三つほどあろうかと思います。一つは、地震発生のおそれがある場合には警戒宣言が出るということが一つの大きな特徴でございます。もう一つは、予想されます地震の規模が非常に大きくて、かつ広範囲だということ。それからもう一つは、この東海地域というところには電電公社の伝送路が東西にわたる大動脈が走っておるということでありまして、東海地域だけでなくて、ここがやられますと全国的なネットワークに大変な影響を及ぼすということがございまして、従来の地震対策に加えまして抜本的にいろいろ検討を進めまして結論を出したところでございます。  その主なものを申し上げますと、まず警戒宣言が出ますと、家族の安否を気遣われるとか、あるいは問い合わせの電話がたくさん出てまいりまして、現在の交換機、伝送路がまずパンクしてしまうのではないかということがございます。そのような場合でも、防災関係機関とか公共機関の通話はぜひとも確保しなければならぬということが一つ。  そのためには、一般のお客さんに多少御利用を制限させていただくということもございますが、その場合でも、青色とか黄色の公衆電話からは必ず通話ができるようにするということで進めております。そのほか、たとえば避難命令が出ることが予想されますが、そのような場合に、公社の職員が避難した場合でも別のところで通話が確保できるようなことも実は考えておるということでございます。そのほか、避難地における公衆電話もいろいろと設置方を進めておるということでございます。  これが警戒宣言が発令された場合の対策でございますが、そのほか抜本的に発災に備えた対策といたしましては、たとえば伝送路を二重化したり、それから、交換機がどこかやられてもほかの交換機で機能するようにするとか、そういう交換機の分散、あるいはポータブル型のいろいろな無線機、電源装置、このようなものも従来以上に強化配備しておるということを進めておるわけでございます。そのほか、津波被災とかに備えまして交換機のかさ上げとかいうものを実施しておる、こういうのが主な対策でございます。  そのほか、復旧態勢につきましても、当然エリアが広い範囲にわたって影響を受けますので、広域な応援復旧態勢を抜本的に見直ししておるということでございます。  大体五十七年度末にはこれらの計画の重要な部分についてはまず完了させるように計画をしておりますが、そのほか、県あるいは市町村などとの関連で一緒になってやらなければならぬものもたくさんございますので、そのようなものがちょっと残るかと思いますが、いずれにしましても、国の御方針が五十九年度には計画を完了しなさいということになっておりますので、その方針に従いまして、これを完了させるべくいま努力をしておるということでございます。  いずれにしましても、災害時におきます通信の確保につきまして、国民の皆様方の御期待に沿えるように努力を進めておるところでございます。
  37. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いま概略はわかりましたが、具体的に、たとえば長野県から山梨県、山梨県から静岡県、静岡県から愛知県、これは東海道のメインのルートがあると思いますが、たとえば愛知から岐阜に入りますね、そういったローカル的な線については、有線、無線を併用していかなる場合でも通信が途絶しない、それからマイクロ波も絶対途絶しない、テレビ放送はちゃんとやれるというような、細かいところまで手を配ってやっておられるのですか。
  38. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 今度の場合、震度六以上のエリアが半径二百キロという非常に大きな範囲だということでございます。実は震度六というのは、近来われわれの経験では余りございません。で、できるだけいろいろな実験もしまして、それに耐えられるような設計もするし、それから、あるいはそれがやられましてもほかのルートで、有線がやられたら無線で飛ばすとかいうようなことも検討いたしまして、通話の確保が図られるように検討しておるのでございますが、いかなる場合でも絶対にいまと同じような形で通話サービスが確保されるかということになりますと、その点につきましては、努力はしておりますがむずかしい面がやはり出てくるのではなかろうか。ただその場合でも、重要な通信を確保するということだけはどうしてもやっておくということと、それから、あるエリアがやられましても、それが外との通話が完全に途絶してしまうことはないようにするということで、無線機器を配備したりしておるわけでございます。通話の途絶は絶対しないということでいま進めております。
  39. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 細かいことですけれども、かつて伊勢湾台風のときに鍋田干拓というのがございました。電電公社の施設も電力室が地下にあったものですから、そこへ水が流れ込んでしまって、まずそこからまいってしまったという経験がありまして、自来、電力室は地下にはやらぬというような方針を、梶井総裁のころでしたか、打ち出したことがあるのです。東海地域になりますと津波の問題もあるでしょうしするので、停電した場合のディーゼルエンジン等を使っての発電装置といったものについて、いま言ったような点を考慮してちゃんとやっているかどうか、この点はどうですか。
  40. 菊地信一郎

    ○菊地説明員 お答え申し上げます。  今度の津波の予想なんですが、何か六メートルとか七メートルとかいう非常に高い津波が押し寄せてきたということでございまして、あの駿河湾沿岸でそういうことから対策をとらなければならぬ局が十数局ございます。そのような局につきましては、防潮板とか防潮堤あるいは防潮扉というようなものの据えつけを現在やっております。そのほか、ポータブル型の比較的容量の少ない交換機などにつきましては、十数局だと思っておりましたが、このかさ上げも同時にいま進めております。  大体そういうことで、水防関係につきましては相当のものが来ても、まずは一時的に心配のない態勢にしておきたいということでいま努力しているところでございます。
  41. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 なおひとつ万全な対策を立てて、こういう有事の際に電気通信事業の確保をして、国民に安心していただくような積極的な対策の推進をお願いします。  最後に、大臣にちょっとお願いしておきたいのです。  いま、各地方自治体で防災無線をやっておるわけでございます。周波数は郵政省の割り当てがなければできないわけですが、それぞれの県によりまして、一〇〇%やっているところも若干あるかもしれませんが、まだそこまでいってないのです。ですから、これは自治大臣等とも少し相談していただいて、できるだけ――特に六県の場合は自主防災無線、地方自治体が一生懸命やってくれております。しかし、これもその地域の予算等ありまして、なかなか思うように進んでないところもありますから、周波数はかなり確保されていると思いますから、ぜひそれを促進するように、閣議か何かのときにでもちょっと自治大臣とも相談をお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
  42. 山内一郎

    山内国務大臣 大分全国に普及をしてまいりまして、先般福井県が開局をして、たしか三十何番目とか言っておりましたけれども、これは非常に有効なものです。私も説明を聞いて、各地方の出先機関、消防庁、病院等に非常時に全部連絡がつく、そういうことで非常に重要であるということを一層認識をいたしましたので、いまの鈴木委員の御趣旨に沿って、自治大臣ともよく協議をしながら全国各県くまなくやりたい、こういうふうに考えております。
  43. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 どうもありがとうございました。
  44. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 阿部未喜男君。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣郵政省にとっては郵便事業中心にしていよいよこの年末始の繁忙と呼ばれる時期に入ってまいりましたが、従来労使間の紛争などによって年賀郵便が元日に届かないとか、いろいろ国民に御迷惑をおかけしてきた経緯があるわけですけれども、最近、郵政労使関係は非常に正常化してうまくいっておるというふうに承っております。まことに結構なことだと思いますが、いよいよ年末始の繁忙時期を前にして、労使関係の労働条件の話し合いとか、あるいは年末始繁忙の切り抜け、そういうものについてひとつ大臣の所信をお聞きしたいと思います。
  46. 山内一郎

    山内国務大臣 年末年始の業務運行の問題でございますけれども、年賀郵便も含めまして国民が非常に期待をいたしております。  そこで、年末の労使交渉の点でございますが、けさの三時に本省と本部において大体の話が妥結をいたしまして、これから地方へ流すわけですが、十一月末までには各地方で妥結を見るという予定でございます。したがって、年末年始の業務運行につきましては、組合の御協力も得ながら、国民の期待に沿いまして、大過なくというよりも円滑に実施をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  47. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大変結構なことでございますから、一層の努力をお願いしたいと思います。  次に、労働時間の関係についてお伺いしたいのですが、労働時間の短縮は世界の趨勢であるということを政府の方でもしばしばいままで答弁をされ、さらに努力をされておるように承っております。人事院でも国家公務員に対して四週五休制とするように勧告が行われております。もちろん郵政省の場合には、公労法適用の職場でございますから、労働時間の問題は本来労使の交渉によって決められるということも承知をしておりますけれども、しかし、一般公共企業体の職員と違って国家公務員という身分があるために、今日までともすれば労働時間の問題その他労働条件について制約を受けてきておるのも事実だと思います。したがって、この四週五休制の人事院の勧告に準じて郵政省としても取り扱いをしていただきたいと思うのですが、どういう状況になっておるか、簡単に御説明をいただきたい。
  48. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま御指摘の週休二日制の問題でございますが、民間等を通じまして一般的な社会的な趨勢であるという認識は私どもかねてより持っておりまして、もろもろの機械化あるいは合理化等を実施し、その中で逐次週休二日制、当面四週五休制でございますが、これの拡大を図ってまいります。しかしながら、人力依存度が非常に高い、いわゆる労働集約的な事業であるという状況から、一挙に全体的にこれを実施することは非常に困難でございまして、実は現在の時点で、大体職員全体の三分の一程度がこの対象となっているという状況でございます。加えまして、ただいま先生指摘のとおり、ことしの春から一般公務員について一斉に四週五休制が実施されるという状況になりまして、直接に一般公務員の規定を適用されるわけではございませんが、御指摘のように一般公務員のそういった動きというものも当然念頭に置かなければならないというふうに考えているところでございます。  つきましては、ただいま大臣が申しました本日未明妥結いたしました交渉の中でも、この問題についてできるだけ前進を図るという方向で話し合いを取りまとめましたし、今後ともさらに要員問題、財政問題、あるいは機械化、近代化の問題、またサービスの面での諸検討等をかみ合わせながら、できるだけこれを推進してまいりたいと考えているところでございます。
  49. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それに関連をしましてですが、政府は先般の国会で銀行法を改正をして週休二日制への道を開いてきたわけですけれども、その議論の中で特に問題になったのは、郵便局や農協などの金融機関がこれに同調するかどうか、これが非常に大きい問題、議論中心になったわけでございます。そこで、この銀行法の改正に当たっては、附帯決議を行いまして、郵便局や農協を含め必要な体制を整えるよう要請をしてまいったところでございますが、郵政当局としてはこの要請に対して、附帯決議に対して、どういうお取り組みをなさっておるか伺いたいと思います。
  50. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 金融機関の週休二日制を速やかに実施するために必要な体制を整える、それから利用者の御理解を得られるように努力するということにつきましての先生指摘の附帯決議につきまして、私どもも十分承知をいたしております。郵政省といたしましては、先ほど人事局長からもお答えいたしましたように、週休二日制ということが社会的趨勢であるということを十分認識をいたしておるわけでございまして、この認識の上に立ちまして、この附帯決議の御趣旨の点についても対処をしてまいる所存でございます。
  51. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵省お見えになっておりますか。――大蔵省の方では、この銀行法の改正に伴ういわゆる省令といいますか、これはいつごろ公布をされる予定でございますか。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 銀行法の施行が来年の四月一日でございますので、銀行法関連の政令は四月一日を予定いたしておるわけでございますけれども、いま先生指摘の週休二日制の政令をどう決めるかにつきましては、いま検討中でございますが、まあこれはまだ検討中でございますので何とも申し上げられないのでございますが、感じだけを申し上げますと、来年の四月一日の施行政令の中に、その土曜日を休みとするというふうな規定は、いまのところまだ書き込めないのではないかという気がいたします。ただ、民間金融機関といたしましては、長年の懸案でもございますし、あるいはいろいろ工夫をいたしまして部分的な週休二日というものを先行させることも必要じゃないかというふうな意見もあるのでございますが、私どもの政令の書き方といたしまして、部分的な書き方がむずかしいものでございますから、書くとすれば、土曜日を休みにしちゃいまして、開くところがあってもいいという、逆の姿になるのではないかと思っておりますが、全般的に土曜日を休みにしてしまうという政令を書くつもりはいまのところございません。
  53. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実はそれをお伺いしたがったのですけれども、いわゆる土曜閉店、官公庁の場合には閉庁といいますか、土曜閉店、閉庁、ここまでいかないと実際の週休二日はなかなかむずかしいのではないか。いまおっしゃったように、確かに銀行等の中で差し繰りながら週休二日制をとっておるところがあるのは承知しております。しかし、この前からの銀行法改正の中での週休二日の趣旨は、やはり土曜を休日に定めるということがその趣旨であったはずでございます。もちろん大蔵としても、省令を出してみて土曜を休日にするということをしてみても、銀行の方で受け入れる体制がなければ、これはまたなかなか、つくっただけで意味のない、いわゆる仏をつくって魂を入れない結果にもなるわけで、その辺実は銀行筋のお話を聞きますと、郵便局や農協がどうしてくれるんだろうかと、こういう意見もあるわけでございます。したがって私は、やはり一歩前進させるためには、はっきり土曜を休日と定めて、おっしゃるように、いろいろな四囲の環境から直ちに実行できないところもあろうかと思いますけれども、それを定めることによって前進をさせる、そういう姿勢が必要ではないのだろうか。その点をひとつ大蔵省にお伺いしたいのと、そういう場合に郵政省としてどういう対応ができるのか。いわゆる土曜閉店、閉庁という問題についてのお考えを両方からお伺いしたいと思いますが……。
  54. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 おっしゃるとおりでございます。土曜日を休日にいたしませんと実効が上がらないことは確かでございます。ただ、いまお話も出ておりましたが、規定をつくりましても、大部分のところが開いておるというのでは、規定自身が生きてこないという点もございます。  現在話が進んでおりますのは、都市銀行の一部等におきまして、都会の大きな店舗というのは全く土曜日はお客がないような状況もございます。一方では、郊外の小さな団地店舗等におきましては、住宅ローンの御相談とか、最近世の中が週休二日制が進んでおるものですから、金融機関に人が集まってきてしまうというような点もございまして、それでは金融機関ごとに、店舗ごとに休みを違えるというふうなこともあるのかなという研究をしているようでございます。制度といたしましては、やはりつくるなら政令で土曜日は全部休みということで、開くところがあってもいいじゃないかということなのでございますが、何度も繰り返しますが、一部しか休みのないところに全部網をかけて休みだという規定をつくるのは、なかなかつくりにくい状況にあるということなのでございます。
  55. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 私どもも、今回の銀行法の改正に伴いまして民間金融機関の中においても土曜日閉店についての週休二日制問題検討を開始しているということは、承知をいたしております。ただ、まだいまのお話のように、今後の見通しが必ずしも明らかでない。私どもといたしまして、この問題というのは社会経済全般に与える影響が大変大きいということでございますので、これからそういった面の推移も含めて対処したい。  郵便局といたしましては、窓口を閉めるにつきましては、先生も十分御承知のことでございますけれども、大小さまざまな郵便局が、しかも三事業一体として運営しているということでございまして、サービス面での影響ということはどうしても考えなければいけない。したがって国民のコンセンサスを得るということが必要でございまして、三事業それぞれの実情に応じまして、できるだけサービス水準を維持しながら実施できる方策を検討していきたいと考えているわけでございます。民間金融機関が土曜日の閉店をするということになりました場合には、いま申しました国民のコンセンサスを確保できるサービス水準ということを維持するための条件を整備しつつ、郵政省といたしましても、土曜日閉庁につきまして何らかの方法対応をしていきたいというふうに考えております。
  56. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実は私は、きょうの質問でこういう議論になるのを大変恐れておったのです。今日までの議論の経過は、大体土曜を閉店、閉庁するということを前提にしながら進めてきた議論であったはずです。そのための条件整備をどうするかということに大体議論は集約されておったはずですが、いま大蔵なり郵政省の御答弁を聞いていますと、いままでの議論よりもずいぶん後退をしてしまっておるように思われますが、そうお考えになりませんか。私はもっと前向きで、土曜閉店、閉庁のためにどう調整を図り、どう整備をしていくか、そういうふうな考え方に立っておったのですが、違いますか。
  57. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 確かに本問題は、もう五、六年前から大変な問題としてつながってきているわけでございますので、何とかして週休三日制の方へ早く持っていけるようにというようなことで考えておったわけでございます。  ただ、日本の社会の場合に、いま申し上げましたように、土曜日に金融機関を開いておくことのニーズというものが弱くならないで、かえって強まるような傾向もないわけではない。それから、中小企業者等においてもなかなか土曜日の休みが進展しないということで、中小企業の活動に非常に支障を来すのじゃないかというふうなことで、やはり私どもが金融機関の週休二日制に踏み切りますためには、もう少しサラリーマン、中小企業、国民一般に金融機関のサービスの低下といいますか、そういうものに対する受忍、そういうふうなムードが沸き起こってこないとなかなか踏み切れないのじゃないかなという気がいたしまして、私どもとしては、できるだけ何とかその中で、少しずつでも部分的にでも二日制に移行できないかどうか、その点をいま検討中でございますけれども、いま、そういうことが先生にとりましては後退じゃないかというふうな御指摘かと思いますが、私どものそういう気持ちでございますので、答弁になりますかどうか、お答えにかえさせていただきます。
  58. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 週休二日ということと土曜閉店、閉庁というものは似て非なるものがあるのですよ。週休二日で職員を交代で休ませるならば、それは企業の負担で利用者に迷惑をかけずにやれるわけです。ところが、いまおっしゃったように土曜閉店、閉庁にすれば、確かに利用者に大きい影響が出てくるわけなんですよ。しかし企業の負担は、人員を配置しなくていいわけですから、それで軽くなってくる。そういう似て非なるところがあるわけなんです。ですから、土曜閉店、閉庁か週休二日かということは、必ずしも一つ議論にはまとまらないわけなんです。  そこで問題は、週休二日を完全にやるためには土曜閉店、閉庁しかないではないかということに議論が煮詰まってきたはずだと私は思うのです。そういう概念で進めてきたはずなんですよ。それをいまになって土曜閉店すればいろいろ利用者に迷惑をかける。そのことは初めからわかっておるから、そのための環境整備をどうするか、たとえば閉店した場合に開店しておると同じようなサービスができるようないろいろな方法はないのか、それが環境整備ではないのですか。それをやらなくて、いまになって、やはり公衆に迷惑がかかるからと言っておったのでは、百年河清を待つということになるでしょう。やはり土曜閉店、閉庁だ、そのためになるべく利用者に不便をかけないような環境の整備をしていかなければならない。そうお考えになりませんか、どうですか。
  59. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、そのためにどうすればいいかを検討させております。
  60. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それなら非常に明解です。あとはどの程度テンポが早く行くかということだけでございますから、私は特に希望として、四月に政令を公布されるならば、その中でできるならば土曜閉店がうたわれるように、環境整備等急いで努力をしていただきたい。それから、おっしゃったように、いろいろな条件から、いわゆる地域的な関係もありましょうし、あるいは店舗の規模もありましょうし、環境の整備がどれだけできるかという問題もあると思いますから、必ずしも一斉に全部が休めないかもわからぬと思います。しかし土曜閉店、閉庁をやることが週休二日制への前進だ、そういうふうに割り切って、政令の公布をできるならば四月に一緒にやっていただくように一層の努力をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 先生の貴重な御意見として承っておきます。
  62. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あなた、にやっと笑ったが、やる気があるのだろうな。
  63. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 最初に御答弁を申し上げましたように、いまの段階ではなかなかむずかしいのではないか、こういうように思っておりますが、努力はいたします。
  64. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵省としては、監督官庁として金融機関にそういうふうに努力をして、土曜閉店の方向で進めていただくというふうに私は理解をいたしました。  そこで、それに対応してさっき貯金局長からもお話がありましたが、やはり民間の金融機関がひっかかるのは、郵便局と農協がどうだろうかということでございます。そこで、郵便局の場合にも大体同じような地域的ないろいろな条件がありましょうし、たとえば民間の金融機関が大都市をやるのか、それならば郵便局の貯金の窓口も大都市をやるとか、あるいは環境の整備をして、人がいなくても貯金の引き出しができるかとか、預金ができるかとか。そういうような環境の整備についても手順がありましょう。ですから、これもまた一斉にいけるとは私は思いませんけれども、何も、郵便局郵便貯金だけが先導的な役割りを果たすので、週休二日制は絶対に先導的な役割りを果たしてはいかぬということはどこにもないわけでございますから、郵便貯金が先導的な役割りを果たしておるように、週休二日制についても先導的な役割りを果たしてもらいたい。そのために考えられておるプランがあるのかないのか。たとえば、申し上げたように、小さい無集配局をやってみるとか、あるいは大都市の窓口をやってみるとか、そういうお考えがあるのかないのか、どうでしょうか。
  65. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵政省立場といたしまして、貯金のみならずほかの事業の問題もあることも事実でございますけれども、貯金に限定いたしました場合に、先ほど人事局長からもお答えいたしましたように、私どもといたしましては、一般公務員の四週五休というものとの絡みが一面でございます。同時に私ども先生おっしゃいますように先導的云々という意味での国民のための貯金サービスという立場もございますので、その点は民間金融機関も同じかと思いますけれども、私ども国民サービスという面を考えますと、やはり国民のコンセンサスがいかにして得られるかということをまず第一義に考えていかなければいけないと思います。  先生指摘の検討の体制につきましては、いろいろな、たとえば自動預払い機といったものの設備をどうするか、もちろんどういう手順で、あるいはどのような段階で実施をしていくか、その辺は、土曜閉庁ということは私どもにとりましては四週五休との関連においての問題でもございまして、これから鋭意検討をしてまいるつもりでございます。
  66. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは最後にその点でお願いしておきたいのは、郵便局がやる体制にないから民間の金融機関がやれないというような、足を引っ張り合うようなことだけはないように、いつでもできるような体制をつくっておいていただきたいということを要望しておきます。  続いてですが、大臣、先ほどもちょっと同僚の議員から出ておりましたが、郵便貯金の問題については、郵政審議会の答申あるいは金融懇の報告等をめぐっていろいろ意見があったのですけれども、政府・与党の間で政治的に決着がついた、そうわれわれも理解をしておりますし、大臣も先ほどそうお答えになったように思いますが、そう考えてようございますか。
  67. 山内一郎

    山内国務大臣 そのとおりでございます。
  68. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、一応決着が政府あるいは与党との間で図られたと思われておるこの問題について、最近大新聞に民間の金融機関がずっと名前を並べて意見広告などが出されておって、何かもう一度金融問題についての官業と民業との間での争いがぶり返されそうな雲行きがあるように思います。特にこれは民間の金融機関がいま新聞に意見広告を出しておるようですが、監督官庁の大蔵省としてはどうお考えになっていますか。
  69. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 民間金融機関といたしましては、かねがね郵貯について大きな関心を持っているわけでございます。それぞれ民間としての意見があるようでございまして、それぞれの立場で、みずからの責任でいろいろと意見を世の中に問うということにつきましては、私どもとしてはそれなりに首肯できるところではないか、こういうふうに思っております。
  70. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いずれ後でゆっくりそれをやりますが、十月二十九日の朝日新聞によりますと、民間の金融機関が自民党への政治献金を凍結し、郵便貯金制度を支持する自民党議員には政治資金を分配しないように要求しておる、明確にこう書いてありますが、私はこの政治献金の可否についてはきょうは論じません。ただこういう報道が事実とすれば、これは明らかに議員の自由な行動に制約を加えようとするものであり、また議員を金で動かすというふうな誤解を与える言語道断の要求であると思うのですが、これまた監督官庁である大蔵省として、民間の金融機関のこういう動きに対してどうお考えになりますか。
  71. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 新聞の事実は私は存じておりません。それからそのような話につきまして行政が云々すべきことではないのじゃないかというふうに思っております。
  72. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 行政が云々すべきことじゃないと言えば、民間の金融機関の動きについて行政指導であるとかいろいろなことをおやりになるのがおかしいのであって、監督官庁として、民間の金融機関の動きが国民のひんしゅくを買うようなものであるならば、当然それは監督官庁が注意をするなり行政指導するのが監督官庁というものの責任じゃないのですか。監督官庁がそんな指導はすべきものでないと言うならば、民間の金融機関が何をやってもいい。それではこれから金利の問題など、大蔵省が一切指導などをされる必要はないでしょう。局長、そんな不都合な話がありますか。
  73. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 私どもの監督というのが、銀行法に基づきます預金者保護とか信用秩序の維持とか、そういう目的に照らしました監督をやっているものでございますから、一般的な企業活動的な問題につきましては、私どもとしては法律の精神から言いましても、そこまで私どもが口を差しはさむ必要はないのではないかという基本的な考え方を持っております。
  74. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、民間の金融機関がどういうことをおやりになっても、法律関係のないことは一切われわれは監督の権限はない、知らないのだ、横を向いておればいい、そうお考えですか。民間の金融機関が国民のひんしゅくを買うような目に余る行為があったときには、監督官庁として適正な行政指導を行うべきだとお考えなんですか、どっちですか。
  75. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 預金者の保護と適正な資金配分及び信用秩序の維持という点について、私ども監督いたしているわけでございます。
  76. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまあなたいみじくもおっしゃった信用秩序の維持、これは信用秩序の維持と無関係でございましょうか。
  77. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 金融の問題としては、私は無関係だと思います。
  78. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 信用というものは、金を貸した、借りぬだけが信用でしょうか。信用という言葉は、国民概念としてもっと大きなものだと私は思いますよ。銀行が何をやっても構わない、国民からどういうひんしゅくを買っても構わないと言うならば、それはやはり信用の問題になるんじゃないですか。信用と信用秩序という点から考えて、監督官庁として当然いわゆる行政指導が行われる、われわれ国民としてはそう考えますが、いやそれは融資の関係であるとか、預金の関係であるとか、それだけのことであって、それ以外のことは関係ない、そういうことですか。
  79. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 特に私ども法律に基づいた監督権限を実は持っているわけでございまして、そういう意味におきましては、いま先生指摘の点について私どもがとやかく言える筋のものではないんじゃないかと私どもは思っております。
  80. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 銀行局長、私は法的にどうなっているかわかりませんが、しかし、大蔵省が民間の金融機関を指導監督する立場にあるんじゃないですか。その意味から言えば、これは行き過ぎであるとかいうようなことが行政指導としてできないのかどうか。あなたはこれはあたりまえだと思っておられるのか。それなら注意するしないは別にして、個人的な見解としてどう思いますか。
  81. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 私どもといたしましては、いま申し上げましたようなことで、銀行行政といたしまして銀行法に基づく監督指導をいたしているわけでございまして、いまの金融界のそういうお話、私よく存じませんけれども、いわゆる銀行法上の監督の範囲外の話ではないかというふうな気がいたしております。
  82. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 さっきあなたは信用秩序、そういうものを含めての監督だとおっしゃったでしょう。これは信用の問題ですよ。あなた銀行局長でありながら、朝日新聞のこういう大きな記事さえお読みになっていないのですか。それで銀行局長が勤まるのですか。いやしくも国民が信頼して読んでいるマスコミですよ。何かと言えばマスコミが、何かと言えば新聞がという、この朝日新聞のこういう大きな見出しの記事をお読みにならぬで銀行局長が勤まるのですか。ほかのことならともあれ、事民間の金融機関の、こういう大きな見出しで記事になっておることを読まないで済むのですか。あなたの部下はあなたにこれを見せないのですか。大蔵省とはそういうところですか。はっきりしてください。失敬きわまる。
  83. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 新聞は読んでおりますが、その事実に関しては確かめておりません。
  84. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あなたは大体非常に詭弁を弄しますね。先ほど新聞を見ていませんと言いましたよ。会議録がありますからね。新聞を見ておりませんとあなたはさっき言ったのですよ。あなたがいかに詭弁を弄するか、この国会答弁の中でも明らかじゃないですか。先ほどあなたは新聞を見ていませんと言いましたよ。あなたはいま新聞を読んだが内容は知りませんと変わってきましたね。新聞を読んだのですか、読まないのですか。読んだのなら読んでどうお考えになったのですか。
  85. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 先ほど申し上げましたのは、そういう事実を私存じませんと申したわけでございまして、新聞を読んだ、読まないについては言及いたしておりません。
  86. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 では会議録を後で調べていただきまして、もし新聞を読みません、見ておりませんと言っておったならば明らかにあなたの食言ですから、それだけはっきりおっしゃるなら、どういう処理をおとりになりますか。こっちは会議録があるのですから……。
  87. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 私は新聞は読みました。ただそういう事実があったかどうかについては確かめておりません。
  88. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 こういう答弁を官僚がするから、われわれは国会で幾ら審議しても意味がないのです。先ほど申し上げましたように、知りません、読んでおりません、こう言ったのです。いまそういう事実は知りません、こう言いましたでしょう。まさにこれは前言を翻しておるのですよ。不都合きわまりないですよ。しかし、申し上げたように、もしそれがあなたの食言であったならばどうなさいますか、それをぼくは聞いておるのです。
  89. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 そういうことではございません。訂正させていただきます。新聞は読みました。ただ、事実は確かめておりません。
  90. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 新聞をごらんになって銀行局長としてはどうお考えになりましたか。
  91. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 銀行局長といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、銀行行政の問題ではないのじゃないかというふうに考えております。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは銀行が何をやろうと関係はない、銀行の信用というのはそういうことは関係はないのだ、そういうふうに考えていいわけですね。たとえば銀行でいろいろなトラブルがあったら大蔵省が銀行局から民間の金融機関の監督に出て行かれますね、いろいろな問題について。しかしこういうことは一切関係がない、そうおっしゃるのですね。
  93. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 銀行法に基づかないたとえば法律違反なんかがございました場合には、これも実は昔私どもよく御指摘いただいたのでございますが、労働行政の方の監督に入ると思うのでございますけれども、よく過重労働などの点につきまして私ども指摘を受けたことがございます。この点につきましても、直接的には労働行政の問題であるということでございますが、そういうふうな法律違反のような問題につきましては全く関知しないというふうなわけにはいきませんけれども、基本的には銀行監督の問題ではないのじゃないかというふうな気がいたしております。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 役人の一番悪いところですが、政府というのは大体一体になって運営されるものじゃないのですか。いまの労働の問題でも、そういう問題が銀行に起これば、政府としては大蔵省、労働省が協議をしながら処理するとか、そういうシステムにはなっていなくて、大蔵省は大蔵省でやり、郵政省郵政省、労働省は労働省で、政府は全部ばらばらになっておやりになるわけですか。
  95. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 少なくとも銀行行政の範囲内ではないのじゃないかということを申し上げておるわけでございまして、政府としては別の労働行政に携わる役所でそういう問題は監督をいたすということではないかと思っております。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ですから、こういう国民のひんしゅくを買うような民間金融機関の行為があった場合には、政府として当然忠告すべきだ、その衝に当たるのがどこか、それは監督官庁だろう、私はこう申し上げている。どうですか。
  97. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 何度も申し上げて恐縮でございますけれども、私どもがいろいろと行政できますのは、銀行法の範囲内の問題であるということ、繰り返しになって恐縮でございますけれども、本件はやはり銀行行政上の問題ではないのじゃないかというふうに考えております。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 何でも口を出して何でも抑えつける大蔵省が、都合が悪いと逃げていく、こういうことでしょう。各省庁の予算編成などの話を聞いてみると、ずいぶんお強いようでございますけれども、都合が悪いときには私のところの所管じゃございませんと逃げていく、都合のいいときはこの予算はまかりならぬ、これは減らせと一々くちばしを入れていく、そういうことに大蔵省というところはなるわけでございますね。  それで、もう少し重ねて伺いますが、大体テレビのコマーシャルに出演する芸能人や有名人は相当高額の謝礼といいますか出演料をいただいておる、こう聞いておるのですけれども、しかし、だからと言ってでたらめを言うといけませんので、勝手な広告はできないことになっておるようでございますが、ましてや国の依頼を受けて臨調の委員などをおやりになっておるお方、特にそこで所管をする、たとえば官業と民業の役割り分担の確立と三公社五現業その他政府直営事業経営形態のあり方及び事業等の合理化、特殊法人等の経営形態のあり方及び事業等の合理化、そういうものを中心に意見の取りまとめをなさるような方々が、新聞の意見広告で一方にくみしたと受け取れる広告に、出演というのでしょうか、意見を出されるというのでしょうか、そういうことをされる。私は学者が意見をお持ちになることを決して否定はいたしません。ただ私が考えておるのは、いま申し上げたような臨調という大事な仕事を扱っておられる方々が、しかも特に意見の取りまとめなどをなさるような立場にあるお方が、意見広告の中で自説を公表するというようなことは、予断を持っておる、あるいは公平を欠くというきらいがあるのではないか、こういうふうに私は思うのですが、これは内閣の方から来てもらっておるはずですが、どなたでしょうか。
  99. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  先生御存じのとおり、臨調の専門委員は臨時行政調査会設置法の七条の三項で高度の学識経験をお持ちの方に御依頼するということになっておりまして、私どもは臨調の専門委員の方というのは、すべて高度の学識経験をお持ちだけではなくて人格的にも高潔な方にお願いしておるというふうに考えております。  それから、専門委員の中にはさまざまな意見をお持ちの方々がおられることは御承知のとおりでございます。先生指摘の新聞広告の件についてでございますが、加藤専門委員が郵貯問題等につきまして個人的見解を述べられたものであるというふうに私ども理解しておりまして、特に問題はないのではないかというふうに考えております。  ただ、先生指摘のとおり、臨調の専門委員というのは、国民の注視を集めております重要な作業を担当しておることでございますし、無用な誤解を招くような御発言については慎重でなければならぬのじゃないかというふうに考えておりますが、その点につきましては加藤先生は十分御承知であるというふうに私は考えております。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 本当はきょうこれであなたと議論しようと思ったのですけれども、時間がなくなりましたから余り言わぬことにいたします。しかし私は、学者の意見は意見として発表されるのは結構だと思います。ただ、そういう取りまとめるような立場においでになる方がああいう意見広告を出される、しかもその意見広告が、見方によっては一方に片寄っておる、一方にくみしておるというような意見広告を出されることは、立場立場だけに若干軽率であり、少し無神経じゃなかったかと、国民の側から見れば心配にもなりますので、ちょっと臨調の方に御忠告を申し上げておきたいと思ったのです。
  101. 重富吉之助

    ○重富説明員 先生のお言葉でございますが、私どもとしては加藤先生は一方の方にくみしておられるということはない、個人的な見解を述べられたにすぎないというふうに考えております。
  102. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 個人的な見解が片寄っておるのです。個人的な見解が、国民の側から見ると片方についておるわけですね。ですから、それは学者の意見としてお持ちになるのは結構です。しかし、そういう立場にあるお方が自分の見解を新聞の意見広告等で公表されますと、誤解を招くおそれがある。だから、軽率であるというそしりを免がれないのではないでしょうか、こう申し上げたのですよ。
  103. 重富吉之助

    ○重富説明員 先ほど申し上げましたとおり、私どもは個人的見解としては特に問題はないというふうに考えておりますが、臨調のいまの仕事というのは非常に国民が注視しておりますので、そのメンバーの方々は発言は特に御慎重にお願いしたい、本人も十分御承知であるというふうに理解しているということを申し上げたわけでございます。
  104. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 本人が十分にその点を理解しておると言うなら、新聞に意見広告を出した後で、これは軽率だったというふうに理解をされておるのか、十分理解の上に意見広告を出したのか、この辺はまたあなたのいまのお言葉が問題になるのですよ。
  105. 重富吉之助

    ○重富説明員 私どもは個人的な見解を申し述べられることは特に問題はないというふうに理解いたしております。
  106. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 おかしいじゃないか。個人的な見解を述ぶることは問題はないが、立場立場だから、国民注視の中にある臨調だから慎重にやってもらいたいと考えておる、さっきはこういう意味じゃなかったのですか。そして、そのことは加藤先生理解をされておる、こういう御答弁だったのでしょう。違うのですか。すぐ後ひっくり返っちゃうんだ。
  107. 重富吉之助

    ○重富説明員 先生のおっしゃるとおりでございますが、そのような点から見まして、特に問題はないというふうに理解しております。
  108. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は意見広告を出された後で、ああ、そういう点について加藤先生も考えておられた、しまったというような気持ちがおありだったんじゃないかと受け取ったからやめようかと思ったのです。しかし、そうじゃなくて、承知の上でやったんだということになりますと、どうも私はちょっと――それではいまから具体的に少しずつ申し上げます。この意見広告の内容について議論をすることがいまの問題を解明するゆえんでもあると思いますから、若干議論させてもらいます。  まず、「郵貯は庶民の味方、という印象が国民の中にあるようですが、これは大変誤った認識だ」というふうに述べておられます。この点についてわれわれは、郵貯というのは百年の歴史を持ち、国民経済を支えて、しかも庶民の味方としてやってきたんだ、そう理解をしておるのですが、取り扱ってきた郵政省としては、この意見についてどうお考えでございますか。
  109. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵便貯金は御承知のように長い歴史を持っております。国民の信頼のもとに全国あまねく利用されている、個人、家計の小口の貯蓄の集積である、こういう性格がございます。したがいまして、私ども預金者の利益を第一義ということで制度の改善、運営を行ってきたところでございます。意見広告の中にも、加藤先生御自身「郵便局なら下駄ばきで行ける」というふうなこともおっしゃられている部分があるわけでございますけれども、一面、御意見の中に、郵便貯金経営が赤字になると国民の税負担となってはね返るあるいは郵便貯金に資金が集まると民間資金が不足して国民が困るといったような御趣旨の点がございます。こういった誤解を招くというふうな問題につきましては、私どもといたしましては今後とも、加藤先生も含めまして、一般国民方々にも正しい理解を得ていただくべく努力をしてまいりたいと思っております。  なお、内容的には、私ども郵便貯金は収支相償のもとで経営をいたしておりまして、税金から補てんを受けるということはございません。仮に赤字になりました場合にも、これまでも郵貯特会の負担において借り入れを行って処理をしてまいっております。もちろん一般的には収支相償という原則がございますし、また、郵貯の資金が財投機関を通じて民間へ還流するというふうなことで、加藤先生が言われるようなことにはならないというのが私ども内容的な考え方でございます。
  110. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまお聞きになったと思いますが、銀行局長さん、「郵貯は庶民の味方、という印象が国民の中にあるようですが、これは大変誤った認識だ」こう述べておられますが、郵便貯金が庶民の味方であるということが誤った認識だというふうに大蔵省もお考えになりますか。
  111. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 郵便局は百年の歴史を持った国民の小口貯金を預かる機関といたしまして大変りっぱな機能を果たしてこられ、また現在も果たしておるわけでございます。
  112. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私が言っているのは、庶民の味方であるという認識が誤っておるというふうに大蔵省はお考えですかと、こう聞いておるんです。
  113. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 庶民のために十分機能しておられると思います。
  114. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、大蔵省や郵政省立場から見るとこの意見は間違った意見である、こういう結論になりますね。「庶民の味方、という印象が国民の中にあるようですが、これは大変誤った認識だ」と言っておる方が誤っておる、こういうことになりますね。またこれ一つ結論が出ました。  二点目に参りましょう。  次は、「郵貯が高い利息を支払えば、郵貯の特別会計が赤字になり、そのツケは国民の税金になってハネ返ってくる。」こうまた述べておられるのですが、郵貯特会は、その資金が全部自主運用ができなくて、いわゆる資金運用部に入って、それから財投となって国の資金として運用されておるわけでございます。したがって、この郵貯の金利は郵政審議会に諮って大臣がお決めになる、こうなっております。しかし、ちなみに郵貯の資金で国債を買い入れても郵貯特会は赤字にはならないとわれわれは計算をしております。郵便貯金のお金でいま発行しておる国債を買い入れて運用しても郵貯特会は赤字にはならない。そのことは、同じ国が借り入れるお金でありながら、国債の利息よりも郵便貯金の利息の方がはるかに安いということを意味しておると私は思うのですけれども、それにもかかわらず「そのツケは国民の税金になってハネ返ってくる。」というこの意見について、ちょっとお答えになりましたが、貯金局長、もう少し詳しく、これは国民の税金になるのかならぬのかお答えになってください。
  115. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいまの御質問は二点ございます。  一つは、国民の税金になってツケが回るかという点でございます。これは先ほどお答え申しましたように、郵便貯金特別会計の負担におきまして、仮に赤字が出ました場合にも、借り入れを行って処理をしております。もちろん郵便貯金特別会計自体は独立採算ということでございますので、常に収支相償ということ、コストということを十分念頭に置きながら運営をいたしております。  それから第二点目の国債を購入したらどうかという点でございますが、現在、資金運用部資金法によりまして資金運用部に預託を義務づけられておりますけれども、この預託利率と申しますものが、先生指摘のように国債の応募者利回り、つまり国の借金でございます国債の応募者利回りとの比較におきましても常に乖離がございます。その乖離の中身は、国債の方が利回りが高いということでございまして、私ども現在も運用を要求いたしております中の国債引き受けをいたしますと、当然に私どもの収支には改善の要素が出てくるということでございます。
  116. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまの郵政省貯金局長郵便貯金に対する見解について、大蔵省の方の御意見はいかがでございましょうか。
  117. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 私どもは郵貯特会の話は実はその内容がよくわからないのでございます。そこで、いろいろな預託金利の決まり方によっても違いましょうし、あるいはある時点におきます期間の構成によっても違いましょうし、いろいろな面がございます。郵貯特会について赤字がどうだこうだという点につきましては、少なくとも私どもはよく存じ上げないわけでございます。  ただ、このお話の中で指摘されておる点というのは、一般的に言いますと、定額郵便貯金の持つ商品性からいいまして、金利自体がやや高どまるんじゃないか、預けがえ等の点もございまして、その辺を指摘しているのかなという気がいたすのでございますが、その中に出ておりますこと自体、赤字がどうだということにつきましては、私どもとしてはよくわからない次第でございます。
  118. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私がことさら国債の利回りとそれから資金運用部の預託金の利回りとの比較をしてみせたのは、金利が高くないということをあなたに承知してもらいたいから引き合いに出したのであって、したがって、いま郵便貯金は、あなたのおっしゃるように定額貯金にしても決して高い利回りではないと思っておりますが、それにもかかわらず、貯金の利回りが高いから国民のツケになって税金になって返ってくる、その税金になって返ってくるというあたりが私はどうもわからない。国民はびくびくするだろうと思うのですけれども、そういうことはございましょうか。
  119. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 いま政府と民間との金融を全体として見ますと、郵便貯金で民間からお預かりしまして、そして運用の方が財投でもって運用している、中ではいろいろとありますけれども、そうしますと、入り口のところと出口との差のところで、こっちの入り口の方がコストが高まると、出口をたとえば政策的に金利を決めますと、その差額が大きくなるんじゃないかというふうなことで問題を指摘しているのかなという感じはいたすわけでございます。
  120. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その場合に、大蔵省は税金でお金を集めるわけでございますか。
  121. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 たとえば郵便貯金で集められたお金が住宅金融公庫から五分五厘で貸し出されるというふうな運用が行われておりますと、その差額は、単純なお話でございますけれども、税金で負担するということになるのではないかということでございます。
  122. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あなたは銀行局長でしょう。国が政策として融資するものと国民から預かる貯金の金利と同列に論ずる銀行局長というのは、ぼくは初めて見ましたよ。住宅金融公庫の融資なんかは国が政策としてお金を貸すんでしょう。そうでしょう。それをあなた、国民の皆さんからお預かりする郵便貯金の金利と同列で議論する銀行局長というのをぼくは初めて見ましたよ。さっきからどうもあなたかなり詭弁を弄すると思っておったけれども、そういうことでごまかすというなら不当なことで、それはみんなそうですよ。  それなら、国債の利子はどこから出るんですか。
  123. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 一般会計の負担でございます。
  124. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうでしょう。国債の利子は一般会計の負担でしょう。そして財投の利子は財投の方で運用することによって賄っていく。足らぬときは政府が出すわけでしょう。それは同じことじゃないですか。それは政府が政策として金を運用する上での問題であって、預かる場合における利回り、支払わなければならない利回りから言うならば、国債を買ってもなお余裕があるほど安い利子で庶民から預かっておるということは、これは認めるでしょう。
  125. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 郵便貯金の金利は、郵貯法にございますように、預金者の利益を考えながら、民間金融機関をも考慮しながらバランスをとって決められておるということでございます。
  126. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで法律には――あなたさっき法律と盛んに言ったでしょう。法律には郵便貯金の利子は郵政審議会に諮って郵政大臣が決めると書いてあるんですけれども、これはおたくの大蔵省の方に、郵便貯金の利子を決定するに当たって何かおやりになるという権限があるわけですか。
  127. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 ございません。
  128. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 さっきあなたは、民間の金融機関が政治献金の問題をいろいろ取り上げても、法律にないことだ、こうおっしゃっておりましたが、郵便貯金の金利決定の際にはずいぶんくちばしをお入れになっておるようでございますけれども、これからは法律にないことはひとつやらないようにしておいていただきたいと思います。  そこで、この点も大体結論が出ました。郵便貯金の利子を高く支払えば、国民のツケになって、税金になってはね返るというのは、これは間違いである、そういうことになりました。  その次にもう一つあるのです。「郵便貯金が肥大化すれば、国民経済が疲弊する。」こう述べておられますけれども、大体郵便貯金は今日まで財投の資金になって社会資本の充実などに大きい役割りを果たしてきておるし、今日日本経済の発展に貢献してきたことは、これはもう各界に異論がないところでございます。ところが、郵便貯金に金が集まると民間の資金が少なくなるから悪いと、こうおっしゃっておるのです。  そこで、いま銀行は、あなたのところが発行する国債を引き受けなければならぬので大変だと言っておるんですよ。だから、あの国債でもって銀行から吸い上げるお金を吸い上げずに、郵便貯金の集まったお金で国債をお買いになれば、銀行の方もお金が残るのです、国債で吸い上げられないから。だから民間の資金に少しも影響はなくなってくる。あなたのところが民間から国債で資金を吸い上げるから、銀行にお金がなくなるのです。民間にちゃんと残してやっておけばいい。そのためには国債を割り当てればいいのです。押しつければいいのです。そして足らない分を全部郵便貯金でもって国債を買わせればいい。こういうことになるのであって、したがって、郵便貯金に資金が集まっても、民間の資金が減って困るという理由は私は何ら成り立たないと思いますが、まず郵政省、この点はどうか。
  129. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 郵便貯金の資金は、御承知のように資金運用部を通じまして財投資金ということで、先ほど先生がお話しございましたように、国民の経済生活あるいは国としての経済基盤の整備、あらゆる面に活用されているということで、私ども大いに自負をいたしているところでございます。  なお、国債の利回りと預託利率の関係につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、私どもこれを直接に運用するということになりますれば、当然にわれわれの郵貯特別会計の収支はそれだけ改善されるというふうに考えております。
  130. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵省、どうですか。
  131. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 いまの御指摘の問題につきましては、やはりバランスある発展ということが必要じゃないかというような感じがいたしまして、余り官業の方に急にあるいは非常にバランスを失して資金が集まる点について、私ども問題としているわけでございまして、その点について、まあ余りにも太り過ぎる点についての問題ということのような自覚でございます。
  132. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから、太り過ぎた分は、銀行に割り当てる国債を貯金の方で引き受ければ、民間から資金を吸い上げなくて済む。それは民間の銀行の中ではアンバランスが出るでしょう。それは民間の銀行、金融機関の中で調整をとる、それがあなた方のお仕事でしょう。そうすると、民間の資金は吸い上げることにならないわけですから、集まり過ぎたと仮におっしゃるならば、それで集まり過ぎた分だけ国債を引き受ければ民間に資金は残るんじゃないですか。私は、これはきわめて妥当な一般的な考えだと思うが、どうでしょうか。
  133. 宮本保孝

    ○宮本(保)政府委員 いま御指摘のとおりでございます。したがいまして、資金運用部資金におきます国債の引き受けというものを年々大変ふやしてきているというふうな状況にございます。
  134. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで、これも間違いである。郵便貯金に金が集まり過ぎると国民経済が疲弊するなんてうそであって、運用の仕方ではりっぱにやっていける、これも郵政当局、大蔵当局の一致した意見でございます。  それからもう一つ聞いておきたいのですが、信金の協会長さんがこの広告の中で、郵便貯金というのはコストを考えずに経営している、こう言っているのです。われわれ、いやしくもここで郵便貯金議論する場合、郵便貯金のコストも考えずに議論した覚えはないのですけれども郵便貯金というのはコストを考えずに運営をしておったとすれば、われわれは大変だまされておったことになりますが、そういうことをやっておったのですか。
  135. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、郵便貯金特別会計は独立採算ということで、常に収支相償ということを原則にして運営をしてまいっております。決してコストということを無視した運営は行っておりません。
  136. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 われわれがここで聞いたところによりますと、コストは単純には比較できないけれども、民間の金融機関の預金コストよりも郵便貯金のコストが安いとわれわれは理解しているのですが、間違いありますか。
  137. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 その点につきましては、御指摘のように単純に比較するということにつきましては必ずしも容易でございませんけれども一般的に申しまして、郵便貯金と民間金融機関とを比較いたしまして、郵便貯金の方が全体の中での経費率は低い、支払い利子率は長期性の預金を持っているという意味で高い、こういう状況に相なっております。いずれにいたしましても、コストということはそういった両方を含めましてのコストという問題で、十分意識をして運営をいたしております。
  138. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、この広告もうそである。  最後に、委員長、時間を長引かせて申しわけありません。これで終わりますから……。  実は、少し詳しく聞きたかったのですけれども、グリーンカード制度実施がこの前決まったようでございます。法律によって郵便貯金は当然名寄せをしなければなりませんし、これはどんどん進めておると思うのですけれども、このグリーンカード制度実施後の郵便貯金の名寄せについて、どうやっていくのかということと、最近名寄せの結果がどんなふうになっておるのか、これをちょっと聞かせておいてもらいたいと思います。
  139. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 グリーンカード制度に関しましては、昨年の三月末に所得税法の改正ということで、私ども郵便貯金もこれに入るということに相なったわけでございます。それに関連いたします御指摘の名寄せの点につきましては、昨年の九月、それから昨年末と二度にわたりまして大蔵省と話をいたしまして、昨年末の段階で限度額管理の方法につきましては大蔵省、国税庁、これは国税庁においてコンピューター等の設置等について検討されているようでございますが、そういったあたりの模様等も十分われわれ聞かせていただきながら、そういった協力を前提に、昭和五十九年以降の郵便貯金の名寄せについてはグリーンカード番号により行うということで合意をいたしまして、完全に決着を見ているところでございます。  なお、名寄せそのものにつきましては、現在全国一本でやっておりまして、将来は先ほど申しましたコンピューター名寄せ、それからさらには五十九年以降グリーンカード番号によるということにいたしております。  なお、御指摘の最近の名寄せの状況でございますが、五十五年度の郵便貯金の限度額の超過の件数、金額を申しますと、件数が約四万九千件、金額で五百九十億円、こういうふうに相なっております。
  140. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大変時間をとらせましたが、理事会であらかじめ御了承をいただいておりますので、同僚の議員の質問をお許し願いたいと思います。終わります。
  141. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部未喜男君の質疑は終わりました。  野口幸一君。
  142. 野口幸一

    野口委員 お許しをいただきましたので、少しく観点を変えて御質問を申し上げます。  まず、年賀はがきの問題でございますが、去る十一月五日、明年の年賀はがきが発売されました。状況を聞きますと非常に売れ行きがいいようでありまして、当初の郵政省の思惑とは違ったうれしい誤算でございまして、御同慶の至りでございます。しかし、問題は、二十円が四十円に、二十一円が四十一円になったということでありまするから、いずれにいたしましても、国民サービスというものについては十分意を用いていただかなくてはならない、こう思うものでございます。  そこで、年賀はがきの取り扱いの期間について若干お尋ねいたしますが、従来、法律的に言えば十二月の十五日から二十八日までということになっておるわけでありますけれども、実際は年々歳々郵政省自身が「なるべく二十五日までに」「なるべく二十三日までに」あるいはまた「なるべく二十日までに」そういう言葉を使って早期差し出しを勧奨しておられることについても御存じのとおりであります。しかし、昨今はどうもこの周知のあり方がずいぶん威圧的になってまいりまして、「十二月十五日より二十日まで」と、何か五日間に限られているような周知がなされております。たとえば日逓の自動車の横に張ってありますところの周知のポスターあるいはかけ幕、横断幕、そんなものにも「なるべく」という言葉が全然消えてしまって、いつの間にか「十五日から二十日まで」たった五日間の間に差し出せという全く威圧的な宣伝方法だと思うのでありますが、これはあくまでも法律が二十八日ということになっておるならば、「なるべく」とか「できるだけ」とかいう言葉を外さないでほしい。それが国民に対するサービスであり、郵政省としての姿勢はそうでなければいけないと思うのですが、この点について郵務局長の御判断をいただきたい。
  143. 魚津茂晴

    魚津政府委員 先生のそのような御意見というのは私かねがね伺っているわけでございまして、それを真剣に受けとめていろいろ検討してまいったわけでございます。  それで、いまの議論をやるための事実関係をちょっと申し上げたいと思うのですが、十二月三十一日までに引き受ける物数のうち、十二月の二十日までにどの程度の年賀郵便が差し出されるかということでございますが、おおよそ四〇%弱でございます。それで十二月三十一日までの引き受けの中で、特別取り扱い期間中の二十八日までに差し出されるのは八五%程度と承知しているわけでございます。このようなことから、私ども年賀の業務運行をきちっとやって国民の信頼にこたえるための前提条件としては、いろいろございますが、そのうちお客様の御理解、御協力を賜りながらぜひ進めたいと思うのは、早期差し出しということでございます。早期差し出しということで、私ども十二月二十八日までを特別取り扱い期間として設けていることは重々承知しているわけでございますが、早期差し出しにぜひとも御協力を賜りたいということから、沿革的には先生のお話しのとおりでございまして、二十五日とか二十三日というような経過をたどりながら、今日は二十日ということにしていて、そして当初は「なるべく」ということが文言としてついていたことも事実でございますが、一つの宣伝といいますかアピールの仕方として、「なるべく」というのを落として御協力を賜りたい。しかしながら、「なるべく」というのを落としたということから、特別取り扱い期間の制度を無視して、あるいはそれを顧みないで、いわばおどしというようなかっこうでの働きかけと国民の皆様方としては必ずしも受けとめておられぬのじゃないか。沿革の中から「なるべく」というのを落としても、やはり出さない人は出さないということでございますね。二十日までにおおよそ四〇%程度というようなことから、早期差し出しが年賀の正常な運行のお客様サイドで御協力の賜れる一つの重要な側面ということで御理解を賜りまして、いまのPRをお許し願いたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  144. 野口幸一

    野口委員 いや、私はそれは逆だと思うのです。とにかくいままでの経過は局長おっしゃったとおりで間違いないのですけれども、少なくとも四〇%しか出さないからといって、それをいいことにしてというか、それは郵政省としてもよく承知してやっているのだから、「なるべく」というのは抜いて二十日までにというのを許してくれというのは、これは外から見れば取り扱い期間が十五日から二十日までになっちゃったと見ても間違いではない。国民がそういうように感じても間違いないと思うのですよ。局長どこの範囲でそういうことをお調べになったか知りませんが、昨年なんかは郵便局取り扱い期間が変わったのですかという問い合わせさえあったのですよ。だからあくまでも法律のたてまえとして十五日から二十八日ということがあるならば、それは一応置いておいて、やはり業務の運行上ということでなるべく早く出してほしい、早期差し出しを勧奨したいと言うならば、「なるべく」「できるだけ」という言葉を外すということは、郵政省の姿勢としてやはりやめてもらっては困る。それはあくまでも謙虚に、出してほしいと国民の皆さんにお願いするという立場、商売をしているのですから、そういうことを忘れて十五日から二十日までという言い方をするところの考えを改めてもらわなければいけないのじゃないか、そこが私は今後の郵政省のいわゆる国民に対するサービスのあり方というものの考えの基本にかかわる問題だと思うのです。確かにこれは、たとえ「なるべく」と書いたから遅くなって、書かなくなったから早くなるというものではないかもわかりません。しかし、それはあくまでも郵政省の姿勢として、なるべく早期にお出しください、また、ぼくは逆に、特別市内区域であるならば三十日なら三十日にお出しになっても間に合いますよということを本当ならば書いてほしいくらいに思っているのですよ。お忙しい方があっても、しかし自局配達区内の郵便物に限っては三十日の午前中にお出しになれば一日に間に合いますよ、そういう親切な方法をとってもらいたいぐらいに思っておるのに、逆に二十日までというふうに区切ってしまうというやり方をすることに私は問題があると思うのですが、その点お考えを改めて、ことしの周知には「なるべく」あるいはまた「できるだけ」という文字をぜひとも入れてください。お願いします。
  145. 魚津茂晴

    魚津政府委員 私どもの気持ちといたしましては、アピールの仕方としては「なるべく」ということは落として現在PRをしているわけでございますが、国民の皆様方に年末始の業務運行全体に協力を求めるという姿勢の中には、ぜひともとかなるべくとかできるだけという姿勢で、いろいろな機会に、いろいろな場でお話を申し上げて御協力を賜っているわけでございまして、そういったいわば謙虚といいますか、事業をやっている者の姿勢というものを十分踏まえながら、呼びかけるというPRの文言として「なるべく」というのを落とさせていただいているということでございます。  私ども一方、十二月の二十日まで出していただけなくてその後差し出されたものにつきましても、事実はかなり遅くまでお引き受けをしまして一月一日に配達しているという事実も、十分先生承知のことだと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。
  146. 野口幸一

    野口委員 時間のむだですから、こんなこといつまでも言いませんが、これは幾ら内部でそういう指導をしていても、外にある広告が「十五日から二十日まで」と書いてあったら、国民の目から見れば威圧的にこの期間が取り扱い期間でございますということを言っているのとちっとも変わらないのですよ。幾ら内部指導でそういうことをやっておっても、郵便局が姿勢を変えてサービスをしているよということにはならないじゃありませんか。むしろ取り扱い時間を長くしまして皆さん方のサービスに供しますという姿勢に変わったのなら、ああ変わったとお思いになるかもわからないけれども、短くして、そして「十五日から二十日まで」ということを看板に出しておいて、内面的に私どもは謙虚に、しかもお客様になるべくと考えていますなんて言ったって、それは通じませんよ。それは考え直していただかなければならぬと思います。ぜひともこれは御協議をいただきたい。あえて申し上げておきます。時間がありませんから繰り返しません。  そこで、二つ目の問題を申し上げます。  二つ目の問題は、新年の配達の問題ですが、これは実はきょう、時間があれば少しく議論をしたいと思いましたが、やめます。そして、一日に完全配達をするというふうに御努力なされているその残りの郵便物、その後到着した年賀はがきを一体どう取り扱うかということについて、私どもも少し考えを持っておるわけで、いずれの機会にかこの問題について御協議をしたいと思っておりますが、それはまた後に譲りたいと思います。もちろん今年度は間に合いませんからやりません。  そこで、時間がございませんが、別の問題をもう一点だけ申し上げます。  一つは、郵政省と組合との関係、先ほどもちょっと同僚議員の阿部先生がおっしゃいましたが、非常に関係がよくなりまして、最近の省の労務管理姿勢の問題についても御努力いただいていることについて、私はその労を多といたします。ただ私は、長年労使関係が険悪な関係でありましたがために、その間におけるところの慣行だとかいろいろな施策が、私どもの目から見ますとずいぶん停滞をしている、そういうような気がしてなりません。そこで、こういった好転を機会に省の方も改められて、人の管理といいますか、労務管理という問題の視点をいささか変えて、そして血の通った、思いやりのある労務管理といいますか、人事管理に改めていただきたい、こういうことを強く要望するものであります。  そこで、具体的な例を一つ二つ申し上げましてお考え直しをいただきたいと思うのであります。  一つは、ことしの正月ですが、非常に豪雪がございまして、私どもも豪雪地域でございます。そこで各局に見舞いに参りました。ところが、国鉄の方に参りましたときには、運輸大臣並びに当該の管理局長から、例年にない雪害で職員の皆さん御苦労さん、大変遅くまで仕事をしていただいてありがとう、鉄道を守るためにがんばってくれ、こういう掲示がなされておったわけでございます。ところが、郵政省の職場に参りましたら、これは大臣はおろか郵政局長もお出しになっておらない、そういうような問題がございます。いままで大臣とか郵政局長の訓示というものは、ストライキをするなとか、職場集会なんかやめろとか、そんなことしか出ません。職員をほめるとかあるいはまた奨励をする、そういうような大臣の通達とか訓示というようなものは余り職場に張り出されていない、こういう例もございます。だから、こういう問題については今後もあることだと思いますから、御答弁は要りませんが、ぜひとも改めてやっていただきたいな、こういうことを申し上げておきます。  三つ目には、これは私がさる結婚式場で見聞をいたしました事実でございますが、結婚をいたしました三百七例、そのうち郵政関係の職員が結婚をいたしましたのが十八例、電電関係が二十一例、その他が二百六十八例でございました。それで、それらの関係で上司の方々、それぞれの職員の上司の方々が結婚式に出席しておられる度合いを勘定いたしました。そうしますと、郵政関係十八件中三件、電電関係二十一件中十七件、その他の関係二百六十八件中二百四十件、それが全部上司の方が結婚式に参列でございます。なぜ郵政省の上司の方が結婚式に出ていないのか、いろいろなことを私どもも考えてみました。そこで見ますと、小さな局ならいざ知らず、大きな局になったら局長が、まずは一番初めに金の問題ですね、お祝いを出せないというわけです。そんなもの一人一人出していたらたまったものじゃない、おれのポケットマネーは全くパンクしてしまう、それで結婚式なんかとても呼んでもらえる立場にないというような問題点がございました。  いろいろ考えてみますと、今日、血の通った労務管理といいますか、冠婚葬祭に対する管理者のこのごろの姿勢あるいはまたそのあり方というのは具体的にそういう事例が示しているとおりで、非常に冷たいものがございます。たまたま私の県でありましたことですから、これは地方によって違うかもわかりませんし、あるいはまた、たまたま私の調査をした期間がこうだったのかもわかりませんけれども、余りにも差があり過ぎるということでございます。  そこで、そういうようなことを見ておりましたら、たまたまこの間私の同僚である者が死亡いたしました。これは関東電気通信局の関係でございますが、電電公社の職員で同僚でございまして、葬式に行きましたら、郵政関係の職員の皆さん方でなくて電電公社方々が多数御参列でございました。郵政省の職員がたまたまそれと前後いたしまして死にましたので、同じく葬式に参りましたら、これまた冷たい仕打ちでございました。  そういうことに対するよそのところの関係がどうなっているかということをお調べになっておられるかどうかわかりませんけれども、少なくとも今日、私どもが見る限りにおいてはそういう問題については非常に冷ややかであるということを言わざるを得ないと思います。この点についてもぜひともお改めをいただきたいということを――これは御答弁は要りません。絶対やりますということにならなければうそですから、絶対やっていただきたいと思うので、考え直していただきたいと思います。  最後に一つだけ申し上げますが、逓信記念日の問題でございます。  逓信記念日というのを創設されましてずいぶん長くなるわけでありまするけれども、前島密先生がいわゆる郵便事業を始められてということで始まりまするわが愛する郵政事業に対して、職員が事業の創始関係あるいは今日までの歴史関係に思いをいたし、そして事業に邁進しようという非常にいい試みだろうと思うのでありまして、こういうのを育てることについて決して私はやぶさかではないと思います。そしてまた、それをやらなければならぬと思っておりますが、いかなこと、やっておられることがみみっちいのであります。式典費と申しまして配算されておりますが、一人二十円、それから記念品として四十円、大臣、この二十円と四十円をどのようにお使いになりますか。お答えいただきます。
  147. 奥田量三

    ○奥田政府委員 まずレクリエーション経費関係についてお答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、逓信記念日の前後と申しますか、逓信記念日の当日ないしその後のある時期に、職場で職員全体で何かのレクリエーションをということでこれまで経費の配算をしてきたわけでございますが、その金額は一人当たり約百五十円ということになっております。決して多いとは申せません。御指摘のとおりきわめて少ない金額かと思いますが、それによりまして、大ぜいの職員がいる職場では、その金をまとめて、たとえば芸能を見るとか、小さい職場の場合は、グループで何か運動会をやるとか、ソフトボール大会をやるとか、いろいろ工夫してやってきているという実情でございます。これにつきましては、率直に申し上げまして、レクリエーション全体に関する予算というものが、公務員全般を通じて一つの規制があるということからなかなか前進を見ないのでございます。ただ、この百五十円を逓信記念日ということと切り離してということでは、現場における運用がかえってむずかしかろうというようなことから、今年度からこの経費はほかの一般のレクリエーション経費と一括して現場に渡しまして、その一般のレクリエーション経費と合わせてひとつ工夫をして、できるだけ有効な使い方をしてもらうようにということで、何がしかのそういった工夫はいたしたつもりでございます。  御指摘についてはごもっともでございまして、繰り返しになりますが、予算的な制約その他ではっきりした見通しは持っておりませんが、率直に言いまして、いろいろな工夫をしてレクリエーションの充実については今後とも考えてまいりたいと思っております。
  148. 野口幸一

    野口委員 大臣、最後にひとつ大臣のお口からはっきりとお答えをいただきたいと思うのです。  とにかくこの百五十円の経費を流しているうち、百十円はレクリエーション経費として使われていることは事実でございますが、あとの記念品四十円と式典費二十円というものは実際役に立たぬのですね。これは、今後本当に逓信記念日というものを職員にさらに周知徹底していくという趣旨から考えて、適当な金額とは思われません。今後お続けになるとするならば、大幅に改革をしていただかなければなりませんが、大臣、その辺についてどのようにお考えですか。
  149. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと非常に有益な御指摘をいただきまして、主として労使関係をもっと協調的なものにするためにはこういうことが抜けているじゃないか、たとえば豪雪のときに張り紙でも出して局員を激励するようにしたらどうかというような点、私、実は豪雪のときに郵便局にじかに激励に行ったことがございます。そういう点で局員がさらに一生懸命やるようにというようないい結果をもたらしたのでございますが、私がじかに全部行けるものではございません。今後はそういうような方法でも用いて、ひとつ職員に大いに働いてもらうようにしたいと思っております。  なお、慶弔、冠婚葬祭の問題、この点につきましても、さらに注意をしてやらさしていただきたいと思うわけでございます。  一番最後の問題、いろいろ予算の点もございます。したがってレクリエーションもそうでございますけれども、平生、一生懸命に自分の職務に励んでもらった人には、私びっくりしたのでございますが、全国的に表彰を大いにやっております。そういういい点はさらに続けさしていただいて、なお逓信記念日のような行事には、全職員にひとつ喜んでいただくようにさらに配慮をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  150. 野口幸一

    野口委員 時間がありませんから、また次の機会にいずれ詳しく申し上げたいと思いますが、私も長い間郵政職員として勤めた経験がございますが、その間に、たとえば職員に対する慰労というもの以外に、家族が非常に朝早く起きて弁当をつくる、あるいはまた夜遅く帰ってくるということで待っているというように、家族がいろいろ苦労していることに対して、省なりあるいは郵便局そのものがどのような形でその職員の家族に対して慰労の言葉を出しているかということを考えてみますと、かつてそのような経験を私自身は受けた覚えがないというほどのものでございます。  そういったこと全般から見まして、たとえばいまたまたま大臣がおっしゃいましたように、表彰制度の問題にしましても、永年勤続三十年というのは一般的にございますけれども、それ以外の場合は、一般職員としてはやはりなかなかそういう機会に恵まれるものではありませんし、全体を通じて職員と管理者とのいわゆる意思の疎通をもっと図って、先ほど申しましたように、血の通った温かい、しかも思いやりのある中身にしていかなければならない。いま郵政事業というのは、御案内のように人と人との和でつながっている事業でありまするから、そこにもつと重点的な施策というものを改めて考えていく時期が到来をしているのではないだろうかと思うのであります。改めて全体的な面を少し見直していただいて、金の面もそうでありますけれども、逓信記念日の問題にしましても、三十年来式典費がたった二十円ということがもうずっと続いているわけであります。四人か五人くらいの局では一体何をするのですか、その二十円で。五人分集めても百円じゃありませんか。この間も、式典費のうちのその二十円というのは何に使うのですかと聞いたら、式典をやるときの花代だとおっしゃったのですけれども、それじゃあなた、五人の局では百円で花を買えますか、花も買えないじゃないですかというような笑い話をしましたけれども、施策の発想の次元が少しく一もう少しくところか大分遅過ぎるといいますか何といいますか、適切な言葉がないのですけれども、本当に考え直す時期が少し遅いんじゃないかと思うのです。やはりもう少し早くそういうことに手を打ってもらいたいということを申し添えまして、時間がありませんので私の質問を終わります。
  151. 佐藤守良

    佐藤委員長 野口幸一君の質疑は終わりました。  午後一時五十分委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時七分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十一分開議
  152. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  153. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最初に、有線音楽放送に関して若干お伺いしておきます。  いままで本委員会でも何回も論議をしておりますけれども、不法行為の実態、どうつかんでおるか、まず郵政省に述べていただきたい。同時に電話線等にもいろいろと不法の線が張られておりますので、電電公社としてもどんなふうにつかんでおるか、両方からお答えをいただきたいと思います。
  154. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 たびたび御指摘もいただいたところでございますけれども、私どもといたしましては、有線音楽放送事業、何とか健全な発達を図りたいという立場から見まして、一部の業者が無許可道路占用あるいは無断電柱添架というような形でサービスを行いまして、これに対比しまして正規の手続を経た業者の方々との間にトラブルが絶えないという現状について大変遺憾だと考えております。  郵政省関係、私ども届け出を受けるということになっておるわけでございまして、四百九十八の届け出がございますけれども、無届け施設数が百七十四もあるという関係でございます。  道路占用電柱懸架の関係につきましては、私どももデータは一応持っておりますけれども、建設省の方、きょうお呼びでございますか――建設省の場合、おいででしたら大変失礼ですけれども、ちなみに不法占用の延長距離は一万三百六キロメートルにも及んでおる、こういうような実情にございます。  私ども郵政省といたしましては、私どもの所管の法令に基づきまして、できる限り何とか健全化を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  155. 斎伯哲

    斎伯説明員 電電公社に関連いたしまして、添架の関係につきまして現状をお話し申し上げますが、ただいま郵政省からもお話がございましたように、不法添架につきましては、かねてなるべく少なくするようにという御注意もいただいておりまして、鋭意現場方面に指導しているところでございます。残念ながら、最近かなりこの無断添架がふえてきておりまして、まことに残念なことでございますが、最近のデータと申しまして五十六年三月末の状況で申し上げますと、公社柱への有線音楽放送線の総添架本数は約五十五万本でございますが、そのうち無断添架本数は約四十七万六千本でございまして、九割近くになっている次第でございます。  この数字は年々増加しているわけでございまして、その理由といたしましては、私どもの推測するところによりますと、音楽放送業界がかなり熾烈なシェア争いなどをやっておられるようでもございまして、私どもといたしましても、現場で添架現場の捕捉などしたいとかなり努力しているところでございますが、その現場を押さえることは非常にむずかしいというようなこともございまして、以上のような結果になっている次第であります。
  156. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 御承知のとおりこの有線音楽放送に関しては、この実態はこの前からももう何回か論議しておるとおり、まじめにやっておるところが、正直者がばかをみるようなそういう事態になってはなりません。いま不法に、たとえばそういう一つの添架を撤去せよということで出たならば、それがもう今度はその晩のうちにこちら側に張りめぐらしてしまうというような、そういうやり方で違法の行為でやってきておるものがのさばっておる、こういった形は、これは解決していかなければなりません。  そこで、今回この有線音楽放送の無断電線張りに関して東京地裁で初めて有罪の判決が出ましたね。その状況がどうなっておるのか、なぜ有罪になったのか、その点もあわせて御答弁願いたいと思います。
  157. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  去る四月九日でございますが、道路占用許可を受けずに有線音楽放送を電柱に架設し、かつ道路管理者の撤去命令にも従わなかったということで、有線音楽放送事業者が罰金刑の判決を受けたというふうに伺っております。判決で、会社に対しまして罰金二十万円、辻という方に対しまして罰金二十四万円というような判決になっておりますが、いずれも道路法第三十二条違反、不法占用ということ及び同法の第七十一条違反、監督処分不履行という形で建設省が告発をした件でございます。  私どもといたしましては、これに関係しました業者がこの判決を厳粛に受けとめて、違法状態の解消に向かうように期待いたしたい、同時に道路法違反についてでございますけれども、建設省に対してもなお告発措置等お願いいたしまして、このほか電柱共架の関係でも関係機関がございますわけですけれども、そういうところからも緊密な連絡をとりまして、より効果的な対策を考えてまいりたいということで努力をなお続けてまいりたいということでございます。
  158. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省所管の中に、まじめにちゃんと郵政省の認可を受けて行ってきておるこういう事業者、たとえば社団法人の全国有線音楽放送協会、こういったものもございますし、そういう中で、たとえば東京においてだけでも、状況を調べてみましても、不法行為をしている業者、これは幾つもございますね。そういう中で、どのような実態になっておるのかその実態を郵政省としてはつかんでおりますか。つかんでおればその一部を紹介してください。
  159. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 正直に申しまして、非常に明確にはつかんでいないわけでございますけれども先生指摘のうち、東京及び大阪に本社のございます少し規模の大きい会社について申し上げますけれども、その会社は東京にあるわけでございますが、施設数八十六のうち届け出は一応八十五あるわけでございます。つまり無届けが一ということでございますが、八十五のうち拡張部分について無届けの部分がございます。それまで含めますと、その部分が十九です。私ども、届けに関連しまして届け出を受けるという形になっておるわけですが、大きく数えまして二十で、完全無届けが一、拡張部分無届けが十九という形になっております。  もう一つ大阪に多少規模の大きなものがございます。これにつきましては、施設数二十三のうち拡張部分について無届けが六、完全な無届けが六、つまり、拡張部分及び完全な無届けが二十三施設のうち十二、こういうふうな数字が出ておる次第でございます。
  160. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 不法の実態を一部紹介してもらいましたけれども、たとえば道路不法占用の状況だけでも、国の直轄管理の国道二千キロ、都道府県及び指定都市が管理している道路八千キロで合計一万キロ。道路占用料金として一メートル当たり八十一円を正規には払っております。そういうものを計算しますとこの道路だけで八億一千万円。その他県市区町村道の推定五万キロ、この道路占用料金約十五億円。それから、先ほど電柱の話がございましたが、電柱の無断添架の本数が電電公社に関して四十七万六千本、添架料金を一本につき九百円として合計四億二千八百四十万円。電力柱の九電力の会社合計無断添架本数は推定四十五万本以上、添架料金九億円以上。無断添架料金合計約十五億円。不法道路占用料と合計で一カ年三十数億円。こういう不法なものがのさばっている。こんなことをいつまでやっておるのかと、これは知れば知るほどおかしなことだなということになるわけです。  したがって、今後まじめにやっておる業者が損をしないように、たとえば一柱一条の原則に関しての陳情もございます。一柱一条の原則を外して二条、三条といったものを認めることになっていけば、これがかえって不法の業者を認めることになってしまいますよね。そういうことでいままでの損失の部分の責任、そういったものも含めて郵政省としてはどう対処するのか、今後本当に具体的にやっていくのか、この件に関してもう一度御答弁を願いたいと思います。
  161. 田中眞三郎

    ○田中(眞)政府委員 まず前段のお話でございますが、一柱一条というような考え方につきましては、御高承のとおり、関係者と話し合いましてそういう考え方でまいったわけでございますけれども、私ども本当に困りまして、場所によりましては必ずしも一柱一条でなくても、もっと自由競争というか、そういう世界も認めたらどうか、そういう観点からも電力会社あるいは電電等、電柱所有者に対しまして、この一柱一条の考え方でございますが、いままで一柱一条という考え方で来たわけですけれども、特段の障害が認められない場合には二条以上の添架についてのメリット、デメリットについても、この問題を解決する一助になるかどうかという観点から検討をお願いしておるわけでございます。ただいま御指摘のように、そうした考え方は、従来の適法な業者が公正に料金を払いまして公正な立場でやってきたことに対するものでは決してございませんで、自由競争できる環境のある場所もあるというようなことで、何とかいろいろな角度から検討したいというようなことにつきまして、金科玉条としないで、一柱一条が一柱二条になった場合にどういうことが考えられるか、こういうようなことで検討をお願いしている点の御指摘かと思います。  これは、従来の無許可の道路占用あるいは無断添架に対しまして、いわゆる追認をしようなどというとんでもない考え方ではもちろんないわけでございまして、そうした点につきましては、過去と申しますか、従来やってまいった不法行為でございますから、それに対する措置と考えられるものは当然その関係の機関においてとっていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  162. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ほかの問題もあるからこの問題はそうできませんが、とりあえず、まじめにやっておる業者が本当にちゃんと伸びていけるように、これはだれが考えても、違法でやっておるところはただでやっておるのですよ。ところがまじめにやっておる方は使用料を払ってやっていくのですから勝負にならない。そういった面をちゃんと守っていけるような対策をぜひお願いしたいと思いますが、次の問題に移ります。  電電公社にお伺いしますが、第二臨調の答申で、一部の報道等も含めて「民営化等を含め、経営形態について、今後抜本的な見直しを行う」こういったものがございました。これを受けて九月二十四日、臨調第四部会での検討がなされたというように聞いておりますけれども、公社として、民営化についてどのような角度でどういう態様を考えておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  163. 真藤恒

    ○真藤説明員 臨調からああいう第一次答申が出ましたので、私ども、積極的にこうありたいとか、反対だとか賛成であるとかいう立場におらないことはもちろんでございますけれども、臨調からいろいろな質問があればお答えする責任がございますので、臨調の判断の資料を提供する義務があるというたてまえで、目下あり得ると考えられるいろいろな企業形態の形を考えまして、それについての利害得失というものをいま勉強しております。現時点ではまだまとまっておりませんが、いずれ臨調の方から御催促があれば出さざるを得ないというふうに考えております。もちろんこの案が最適の案だという意味ではございませんで、現在の公社法の一部を修正するという考え方なり、いまの電力会社のような形を想定しての考え方であるなり、あるいはその中間を想定しての考え方なりという幾つかの案をまとめまして、それで臨調の資料として求められた場合に出せるようにしておこうということで、いま勉強しておるところでございます。まだその段階で、具体的にはそれ以上のことはまとまっておりません。
  164. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この前も問題になりました納付金の問題等につきましても、経営努力によって得た利益、そういうものを納付金等で国に足かせをはめられていく、こういう状況をどう考えておりますか。
  165. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  電電公社は、設立以来公共企業体としまして独立採算制をモットーとして進んでまいっておりまして、企業会計原則を適用して、できるだけ民営の長所を取り入れて運営していくという考え方で進んでまいってきております。また、資産の内容として、かなりの部分が加入者からの拠出による部分となっておりまして、そういう意味では私どもとして、国の財政再建のために協力するということでやむなく納付金も納めておりますが、片や加入者に対する還元も考えるということで、昨年十二月から夜間電話料金の割引、また今年八月から昼間の遠距離の割引、さらに日曜、祭日の割引ということで加入者還元の面も大いにやっております。また同時に、今後ますます厳しくなる中でこういった業績を上げていくためには、従業員に対する何らかの措置というものも考えていかなければならないのだろうと考えております。
  166. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 労働組合の全電通においてもこの合理化問題について検討をしております。一部の報道でも、その主な内容は、民間との競争システムを導入しつつ経営主体性を強めていくとか、電信電話などのネットワークは今後も公社が独占的に所有、運営するが、データ通信回線の利用は一部を除き大幅に自由化する、あるいは電話機など端末機器を民間に開放、公社と民間の競合分野とする、民間との競争で利益が上がれば、民間同様何らかの形で税金を払う、料金法定制を緩和する等の対応策を出しているようでございますけれども、これを公社としてどのように評価し、どのような点で労使協調で考えられていくのかお答え願いたいと思います。
  167. 小川晃

    ○小川説明員 先生指摘のとおり、全電通は先般十月二十六日の中央委員会におきまして、今後の電気通信事業のあり方につきまして広範な分野にわたりまして論議をいたしたようでございます。これにつきましては、全電通として、情報化時代を迎えまして利用者の要望が非常に多様化する、こういう社会的趨勢を真剣に受けとめた結果であろうというふうに私ども理解をいたしております。公社といたしましても、情報化時代を迎えまして、またわが国経済、社会の発展基盤として今後ますます重要な役割りを果たしていく電気通信事業を質的に大きく転換していかなければならないと考えておるわけでございまして、特に今後は高度情報通信システム、私どもはINSと呼んでおりますが、こういったものも大いに充実してまいらなければならないというような状況にございましていこの点に関します情勢認識につきましては私どもと大きな差異はないものと考えております。  今回の全電通の中央委員会で提起されている、いま先生述べられました問題点、これは今後の公社事業にかかわる重要な課題でございまして、組合として今後の事業運営に対する一つの基本的なスタンスを示したものであろうというふうに私ども考えております。  また、公社としましても、第二臨調の第一次答申、さらにはまた電気通信政策懇談会、こういったところでの提言、こういったものを十分踏まえまして、今後、サービス制度面を含む事業運営全般につきまして、新たな角度から幅広く勉強していきたいというふうに考えております。
  168. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 総裁にお伺いしますが、去る十月十六日、全電通との団体交渉で真藤総裁は、全電通の考え方はよくわかった、十一月をめどに電電公社としての改革案をまとめ、その線で臨調に働きかけていくという内容の話をされたという報道がございますけれども、十一月いっぱいで何らかのものが出るんですか。それとももういま十一月も中旬になっておりますが、もうすぐ何らかのものが出てくるのか。内容が固まっているか、またその方向といったものはどういうものか、ちょっとお聞かせください。
  169. 真藤恒

    ○真藤説明員 いま申し上げましたように、これはあくまでも御要求があれば出すものでございまして、私の方から能動的に出すという性質のものじゃないというふうに考えておりますが、この間の臨調のヒヤリングで御要求があったようでございます。しかし、十一月末をめどにはしておりますけれども、いまの進行状況ではちょっとおくれるというふうな感じがしております。もちろん臨調の方の御要求のタイミングにできるだけ合わせたいと思っております。  勉強の内容は、いま申しましたように三つの方向でまとめております。一番大事なことは、いかなる企業形態であろうと、いまの公衆電気通信法に規定されております公共性というものを完全に守りながら、一方、公社法に大前提として置かれている企業の独立採算の責任をとる、そして一番質のいい電気通信サービスを一番安い値段で供給するという責任を全うするのにはいかなる形が一番いいかということを主眼点に考えるべきものだというふうな角度で、いま勉強をまとめておるような次第でございます。
  170. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ちょっと具体的にお伺いしたいんでございますけれども、この臨時行政調査会第四部会ヒヤリング関係資料としてこの第四部会の第九回に配付資料としたものでございますけれども、その中で給与面に関してちょっとお伺いします。「給与面における公社制度の問題点」、こういう中で「特に、経営の改善、事業ならびに要員の合理化等経営の効率化のためには、給与面においていわゆる横並び的な取扱いを改め、公社が自主的に弾力的な措置が行いうるよう改善を図ることが当面の緊急課題と考えている。」この横並び的な取り扱いを改めるということは、三公社五現業の考え方というものとは別個に、公社が自主的なものを一体どんなふうに考えておるのか、どんな見解を出しておるのか、その意味をもうちょっとわかりやすく御説明願えればありがたいと思います。  そして、この問題に関して所管の郵政省としてはどう考えておるか、郵政省考え方、それからもう一点、合理化等を含めて大臣としての所感をお伺いしておきたいと思います。
  171. 真藤恒

    ○真藤説明員 いま申し上げましたような大前提に立って考えますと、経営の収支バランスというものをきちっととりながら、その時点時点で要求される公共性というものを満足さしていくということでございまして、その範囲内で動いていくということになりますが、世の中はすべての面でだんだんインフレ傾向で、要するにコストが上がってくる、一方、電話の需要の増加からくる収入増というものも幾らかふえつつはございますが、現状のままですと、コストのふえ方と収入のふえ方が約二%ぐらいのギャップがございます。一年間に七、八百億ぐらいの逆になっておりまして、このままでいきますとあと三、四年いたしますと赤字になるのがもう目に見えておる。これがならないようにするためにはそれなりの、現在の組織なり現在の人の数なり現在の仕事別の人数の割り当てなりというものを、新しい技術の要求する最低限度に合わせて減らしていくと同時に、新しい需要を喚起するようなものを導入していかなければならぬわけですが、そこらの辺が、結局何とかかんとか申しましても、現在の従業員の作業意欲と現在の従業員の作業のあり方をぐんぐん改良していかぬ限りにおいてはこの要求にたえることはできぬわけでございまして、そういうことが機動的にできて、活性のある組織の動きができるようにするためには、やはりそこらのところで、人件費の総額の範囲内において運用できるというふうにしていただく必要があるのじゃないかと、総裁としては考えております。  この前、予算委員会のときに――私ともの組織は、これはあくまでも事業組織でありまして行政組織ではございません。にもかかわらず、この人件費の予算執行の形は、基本給、基準外給与、基準外給与の中がさらに分かれまして超勤手当幾ら、出張旅費幾ら、何が幾らというふうに規定されておりまして、そしてそれが相互融通ができないという形になっておるのが実情でございます。もともと事業体におきましては、超過勤務なり出張というものは、これは決算してみてこれだけ使ったという形で出てくる性質のものでございまして、事業体において事業を始める前の予算決定のときにそういうものの枠がきちっと決まって、横の融通ができないというふうな制度でダイナミックな事業経営ができるはずのものではない、原則的におかしいというふうに、私は事業経営を長くやってきました経験から思っておりますが、さしあたりそこらの問題を何とか解決しなければならぬ。  ただ、ここで誤解をしていただかぬように申し上げておきますが、基準賃金というものは、民間といえどもかってにできるものではございません。そのときの社会状況によって、みんなのコンセンサスによって民間でも決まっております。ですから、基準賃金が決まっておるということはこれは当然でございますが、基準外賃金の、しかも細かな事実上の日々の運営に直結しておるような費用を細かく規定しながら、それが横の融通ができないというのは、行政官庁ならそれでいいかもしれませんけれども事業体でそういうことの考え方予算統制のあり方というものには、私は非常な疑問を持っております。  もちろん基準外賃金の総額というものを最も合理的に使って基準外賃金の総額がふえないようにしない限りにおいては、さっき申しました一番安い値段で一番いいサービスを提供するという原則にもとりますので、基準外賃金の総額を漸次落としていく方法として、基準外賃金の中をそのときの状況によってダイナミックに動かし得るようにしていただくということがさしあたりの問題ではないかという意味で、そういうことを書いてあるわけでございます。
  172. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の臨調でのヒアリングの資料としてのいろいろなものがあったと思いますが、その中での御指摘の給与関係につきましての大筋の総裁のお考え方はいまおっしゃったとおりでございますが、私もその席に列席いたしておりまして、専門委員や参与の先生方に、一体そういう場合に公社法の問題なのか、あるいは大蔵省が入りましたところの国の予算総則上の問題――いわば基準内外というのはかつては重要であったわけでございますが、いろいろな問題が既成事実として出ておりまして、それが昭和三十二年のときに公労委で問題になりまして、それを受けて大蔵省が基準内外の流用を禁止、ただし制度的には郵政大臣の承認、ただし大蔵大臣との協議が必要でございますが、それがあれば基準内外の流用はできる。そして基準外の中では、一応予算積算上は大蔵省との関係でいろいろな積算があると思いますけれども、公社の責任においてその執行ができる、こういう仕組みに現在なっております、その予算総則というのが問題なのか。あるいはまた、その執行の中での、予算の執行あるいは決算に対しての執行上の問題なのか。そこらの点を委員先生方としても十分ごらんになっていただきたい、こういう気持ちで私どもは申し上げましたが、いずれにいたしましても、やはり電電公社事業が、公衆電気通信事業は今後例のデータ通信の設備サービスというものが自由化の問題の中で競争分野には入っていきますでしょうけれども、それは現状ではわずか二・五%である、ほとんど全体がやはり独占性のもので公共性の非常に強いものである。そこらのところは十分踏まえながら、臨調としてもいろいろ御検討いただきたいということは、申し上げておいた次第でございます。
  173. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 合理化、効率化に対しての大臣の所感を最後にお伺いしたいと思います。
  174. 山内一郎

    山内国務大臣 電電公社は技術の開発に懸命に努力をされて、いま非常に成績のいい営業、企業努力をされているわけでございます。そこで、いろいろ総裁も言われましたように、もっとひとつ自由に自主性を持たせてもらえないか、こういうお話でございまして、その点は局長からお答えをしたとおりでございますけれども、いろいろな能率を高めるためには、さらに技術の開発も必要でありますけれども、合理化、能率化の促進ということはさらに重要かと思われるわけでございます。何といいましても、公共的な事業でありますけれども、独占的事業である。こういう点で普通の事業よりも一層ひとつ注意してやっていただきたいものである、こういうふうに考えております。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  176. 佐藤守良

    佐藤委員長 竹内勝彦君の質疑は終わりました。  村上弘君。
  177. 村上弘

    ○村上(弘)委員 近通局を中心としますいわゆる電電の不正経理問題についてお尋ねします。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕  不正や腐敗や汚職を一掃して、むだや浪費をなくするということが国民の要求する行政改革の原点でもあろうかと思うわけです。電電の不正経理問題もいわばその原点の大きな一つであったと思うのですが、政府も、臨調答申を受けてのいわゆる行革大綱で、一応は「綱紀の粛正と厳正化の徹底」ということをうたっています。近通局の不正経理事件につきましては、いま司直も手を伸ばして、目下裁判中で、きょうも第二グループの初公判が行われたようですが、公社当局も若干名を懲戒免などの処分もしております。しかし、こういうことは氷山の一角であって、全貌は必ずしも明らかでない。大事なことは、再発を防止する、その実効ある措置をとることにあると思うわけですが、そのためにも、この全貌を全面的に国民の前に明らかにすることが必要だと思うわけです。  しかし、公社当局の今日までの姿といいますものは、みずから明らかにするのではなくて、やはりもみ消したい、隠蔽したい、ばれたら手を打つ、こういう経過であると思うわけです。たとえば、去年の十二月十日に会計検査院が内閣に検査報告を提出したわけですが、その五日前に、その動きを察知して二百名余りの処分を発表する。当時郵政大臣は、会計検査院が正式な結果報告を出す前に処分をするとはどういうことかという趣旨のことを閣議の後の記者会見で言っておられますが、実際そういう感を深くするわけです。今回の場合でも、七月六日に六名が逮捕されて、七月の二十七日に起訴されたわけですが、まだ裁判がこれからというときに、十月八日には懲戒免という措置をとられる、こういうようなやり方ですね。ばれたらいち早く手を打って防波堤を築く。そして、特定の個人の責任に帰すようなやり方をとる。度しがたい体質だなという感を国民は持っております。マスコミもそういう報道をやっておるわけです。  ただ、私、一点の希望といいますか、それは、私ことしの二月二十六日と四月十六日に、この問題についての実態の解明、リアルな国民への報告を求めましたが、そのとき真藤新総裁は、この二回の質問を通じて、六月中には精査されるので、これを取りまとめた時点で質問があれば報告をする義務がありますという答弁をされたわけです。  繰り返しになるかもしれませんが、なぜこういうことを問うかと言えば、第一は、やはりリアルな実態の把握なしに的確な対策は立てられないからだ。第二は、みずから国民の前に明らかにするという姿勢なくして真の反省やそういう国民との信頼関係の樹立もあり得ないであろう。総裁も人心を一新したいと、郵政大臣もこのことについては強い決意を持ってこられたわけです。  しかし、今日まで何回かこの問題については国会でも取り上げてきておるわけですが、五十四年の二月に、これは大阪のある局、豊崎局のことでありますが、そこで、会計検査院の手が入らないうちに二重帳簿をつくって証拠隠滅をするという趣旨の、支出証拠書類等の取り扱いについてというマル秘文書が出たことについて問いただしてきたことから始まって、こういう問題から始まって、昨年の二月十六日には、近通監査部の指示メモ、会計検査院から聞かれたらこうしろというような指示メモの問題、さらには昨年六月の、大阪東地区管理部管内の部長、次長、庶務課長、労厚課長会議で、やはり約二十名が山中荘に四日間泊まり込んで、帳簿の改ざん、証拠書類づくりなどをやったというような問題だとか、ことしの四月十日に大阪リバーサイドホテルで、近通局監査部の招集のもとで、営業、施設などの係長が地検の事情聴取のための対策を立てただとか、その他たくさんありますね。こういう問題について、会計検査院の方では、たとえばそういう指示文書については押収したとかそういうものがあったということを認めていても、電通当局は、知らない、存じない、見ておらぬというような態度なんですね。やはりみずから事を明らかにするという態度ではない。できるだけ隠しておきたいというような態度に終始してきたように思うわけです。  幸いに、総裁がこの問題については、公の場において、答える義務があると言われたわけで、総裁も就任以来約一年近くなるわけですが、六月も経過しました。精査も終わった時期だと思うわけで、改めてお聞きしたいと思うわけですが、内容をお聞きする前に、この精査は終わったかどうか、業務執行改善委員会委員長でもありますので、最初に、この精査は終わったかどうかということをお聞きしておきたいと思います。
  178. 真藤恒

    ○真藤説明員 この問題につきましては、私、過去にいろいろないきさつがあること、大体聞いておりますが、現在、私が就任いたしまして、なぜこういうふうなことがこういうふうに大きなスケールで行われたかということを考えますと、事は簡単でございまして、さっき申しましたように、予算の執行のあり方が行政官庁並みの執行のあり方でやっておりますので、年に一回しか決算をやらない。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 それで事業体の運営ができるというのは私の常識外でございます。したがいまして、就任以来すぐ手をつけまして、四月から、まだ皆なれませんから未熟ではございますが、四月からは一般経費につきましては月次決算を始めております。そしてこの十月から、設備関係につきましても月次決算を始めております。月次決算というのは、一カ月の支出の内容を月末に締めて、それの内容のチェックと、本当にどういうふうに費用を使われたかということを反省しながらさらに次の一カ月に進むという、これは民間ではあたりまえのことでございますが、それを導入いたしまして現在進めております。したがいまして、この四月以降の、たとえば会議費とかあるいは出張旅費とかあるいはそういうふうなものがかなり変わった数字を出しつつございます。それで、業務改善の方でもその執行の指導監督というふうなことを進めておりまして、そういう面ではこの四月以降の実績はかなり変化を来しておるというふうに私は見ております。  そういうことでこの再発防止ということを進めておりますが、実はこの月次決算と申しますのは、ただそういう消極的な後ろ向きの金の使い方のチェックという意味だけではございませんで、月次決算をやることによって、経費の使い方の有効性、能率というものを反省しながら、経費の使い方をさらに有効に持っていくという、これは前向きの意味が非常に多いのでございます。したがって、さっき申しましたように、出張旅費とか要するに基準外賃金というものは、決算してみて、総体でこれだけ使ったな、しかしその内容については月次決算のチェックで自信がある、また、去年の使い方よりもことしの使い方がさらに進歩したなということで民間の企業は進んでおるわけでございまして、そのやり方を、公社が独立採算という責任を持っておる限りにおいては、いいものは導入すべき責任があるということで、強硬にそれをいま実施にかかっておりますが、これが本当に民間並みに上手に運営されるようになりますのは、多人数でやることでございますのでまだ長い時間はかかると思いますけれども、これは執拗にこのやり方を続けていくつもりでございます。さしあたり一番目につく、いま問題にしておられるような費目については、四月以降さま変わりに変わっておるということだけは御報告できる状態になっております。  ところで、こういうことを進めますのにつきましても、さっき申しました行政官庁並みの予算執行のあり方ということがますます邪魔になってくるわけでございまして、これをどういうふうにするか、これからの問題だというふうに心得ております。
  179. 村上弘

    ○村上(弘)委員 委員長、問いとは全く違うことを、熱意はわかるのですが、これからどうするか、どういうことをいまやっておるかということを総裁はいまお答えになったのですけれども、私は、精査は終わったのですかということを聞いているのですね。そのことはお答えになっていないし、それから、リアルな実態について質問があればお答えしますということに絡んで質問しているわけですから、こういう運営だったら私、本当に時間がすぐなくなってしまう。これは頭に入れておいてくださいね。それじゃ問いに答えてください。
  180. 真藤恒

    ○真藤説明員 この前の委員会で、リアルな問題は時が来れば、御要求があれば資料を提出しますということを覚えております。いま第一次の検察庁の調査が終わって、第一段の起訴ということで動いておりますが、いま第二段の調査がまだ進行中でございまして、検察庁の調査の進行中にちょっとぐあいが悪うございますし、また、私どもの知らないことがやはり検察庁の調査で次々出てきておるようでございますから、その辺のことも考え合わせまして、しばらくこの問題については時間をかしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
  181. 村上弘

    ○村上(弘)委員 そうすると、大分前回のお約束が違ってきたように思うのですが、あのときには、四月の質問に対しては当時の小澤総務理事が、業務執行推進委員会ですか、これの精査が六月中には終わる、その段階でお答えができる、それに対して真藤総裁も、ただいま小澤が言ったとおりだ、その時期にはお答えする、こう言われたのです。検察庁が手を入れて、今後裁判がある限りはそれこそ何年でも新しい事実がわかるでしょう。それはそれです。公社としてみずからこの十二億余の不正経理及びその使途の実情、特に業務上必要と認められない部分については、リアルに掌握しなくてはならぬことだろうと思うのですね。そういうことに関して問うてきたわけでしょう。そのことについて総裁は、質問すれば答える、しかもその委員会の責任者として、私は、国民の前にみずからそれを明らかにされたい、そのときにはお答えします、こういうことですから、この問題については、いま小川さんの方に答えるような指示をされたかもしれませんが、そうではなくて、まずは、あれから相当期間もたったわけですから、私は、この精査の全貌と言えばこれは膨大になると思うのですね、ですから、私はここで長々とやってもらうわけにもいきません。ですから、せめて総裁がこの全貌を精査された中で、ぜひこのことは国民の前に明らかにしなくてはならぬと思われることについて、その一端でもまずここでみずから述べていただきたい、こう思うわけです。
  182. 森谷昭夫

    ○森谷説明員 お答え申し上げます。  ただいま総裁からお答えしたとおりでございますが、私どもこの不祥事にかんがみまして、再発を防止するために全力を挙げて対処しているというところでございまして、そのために改善策を徹底する施策と、推進するためのどういう点を直せばいいか、どういう点を改めなくてはいけないかというようなことで調査を進めておるところでございます。  先生、従来からの経緯をおっしゃいまして、まことにそのとおりでございますが、点検の過程におきまして捜査当局の捜査という新しい事態が出てまいりまして、私どもも自主的にいろいろ調査をしておったわけでございますが、何せ反省をしておりますが、われわれの能力た申しますか、調べ方が適切じゃなかったのかもわかりませんが、いろいろと捜査当局の調べが進展するに従いまして、何か私ども調査のやり方をもうちょっと変えなくてはいけないんじゃないか、あるいはもう少し再調査する必要があるのじゃないかという点が反省させられまして、そこで、まことに申しわけありませんが、六月末というのがちょっと間に合わないと申しますか、そういう形になってしまったわけでございます。  それで、もちろんそういうことじゃあれなんでございますから、さらにわれわれ全力を挙げてこの内容調査をしていきたいと思いますが、それも、当然業務推進の改善に資するという立場からの調査ということで進めておるところでございます。  そこで、先生先ほどおっしゃいました点で若干お答え申し上げなくてはいけないところがあると思いますが、近畿通信局の監査部で指示メモを張り出したということをおっしゃっておられましたですけれども、これも私も非常に重大なことだと思いまして、早速近畿通信局の方に厳重に調査するようにということで調べましたのですが、どうも担当者の記憶によりますと、確かに何か壁に大きな紙を張って作業しておったように思いますけれども、その紙というものは会計検査を受けるための事前準備の資料をつくるための進行管理のためのチェックリストと申しますか、こういったものであったように記憶しているということでございます。事の性質がそういうものでございますから、当然このものは現存しておりません。破棄されておりますし、検査院の方にも御迷惑かけたなという感じもしておりまして、検査院の方にも問い合わせをしたわけでございますけれども、検査院の方でも、いやそういうものは一切持ってきておりませんし、壁に張ってあったというような記憶はありませんでした、こういうお話でございました。  それから、東地区管理部で山中荘で泊まり込みをして作業をしておったというのが、何か先生のおっしゃるには、もみ消しとか隠蔽につながるような印象をちょっと受けたわけでございますが、実はこれは、六月というのは先生ちょっと違うのでございますけれども、四月ごろ会計検査院が検査した結果、こういう資料をもっと詳しくつくり直してくれ、これじゃ不備だから、こんなものじゃだめだからつくり直してくれと言われた資料につきまして、これは非常に膨大なものでございましたので、大ぜいで泊まり込んで資料を作成した、これは四月の下旬というふうに記録してございますけれども、そういうことで、あくまでも会計検査院に提出する資料を作成する作業ということでございますので、その点つけ加えさせていただきます。
  183. 村上弘

    ○村上(弘)委員 全く驚くべき状態で、これが真藤新総裁のもとでの公社の姿なのかと私は改めて驚いているわけですが、いまの問題については、ちょっと部分的に半面認めた面もあるように思うのですが、しかし、それはそれとして究明します。  きょうの主題は、あくまでも二月と四月の私の質問に対して、総裁が、質問があればお答えします、六月になれば精査が終わるということでお約束になっていることですね。これはもう議事録にはっきり書いてあるのですから、記録されていることです。そういうことに対してそういうような態度をとられるというのは、無責任というか驚くべき態度だと思うのですが、検察庁がメスを入れて、裁判の過程その他でいろいろなことが新しくわかってくるであろうことは当然だと思うのですね。だから、そういう面についても新たな調査が必要になるという、それは当然のことでしょう。しかし、今日まですでに明らかになっておることについて、せめて総裁がこれは国民の前に明らかにしなければならぬことだ、その全貌の一端でも総裁みずから述べるという責任ある態度ぐらいとるべきじゃないのですか、どうです。
  184. 真藤恒

    ○真藤説明員 私が申し上げているのは、時間について御猶予をお願いしているのでございまして、そういうことをやらないとは言っておりません。
  185. 村上弘

    ○村上(弘)委員 ですから、再調査をしてもっとこれがリアルになり、全貌が一層深くつかまれることは結構です。今日の時点で総裁が掌握しておられる具体的な事実、その上に立っていろいろ対策をお立てになっておるんだと思うのですね。ですから、その前提になっておる実態についてその一端でもここで述べていただきたい、こう申しているのです。
  186. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  全体の詳細なる内容が暇がかかっておりますのは、ただいま総裁並びに監査局長から御答弁申し上げましたとおりでございますが、公社といたしましても、先国会で御答弁申し上げました趣旨に沿いまして、できる限りの調査をいたしましたわけでございます。先生のおっしゃいましたように、決してその間、もみ消すとか、そういうことで動き回ったということでないことだけはひとつ御理解をお願いをいたしたいと思います。  先回の中でいろいろ先生からの御質問もございまして、その中の一番の問題点といたしましては、検査院等から指摘をされましたいわゆる空出張、空会議といったようなものの中で、約三億七千万円程度というものにつきましては、これはいわゆる業務上必要の薄い方面に使われておる、こういうことでございまして、そういったものがどういうふうに使われておるのかという御質問かと思いますが、その金額につきましては、全体で約三億七千三百万円というものが指摘金額のうちで業務上の必要の薄い金額でございますが、この使途につきましては、会食の経費といたしまして約三億二千万円、それから慶弔費等の交際費として約八百万円、それから部内の親睦会とか運動会等への補助の経費として約二千万円、その他というものが約二千万円余り、大体こういう内訳でございます。  もう少し詳細に申し上げますと……。
  187. 村上弘

    ○村上(弘)委員 それはもういいです。よろしい。  総裁が、先ほど私が問うたことに対して答えてください。――どうぞ。
  188. 真藤恒

    ○真藤説明員 ちょっと質問を聞き漏らしました。
  189. 村上弘

    ○村上(弘)委員 今日の時点で総裁が掌握されておる実態について、その一端でも国民の前に明らかにしていただきたい。それはできるだけリアルに述べていただきたいということです。――いいですよ、総裁に聞いているのですから。あなた約束しておられるのだから。
  190. 真藤恒

    ○真藤説明員 まだ御満足のいくようなお答えは現時点ではできませんが、とにかくさっき申しましたように、経理の締めのやり方が非常にルーズであるために、一年間で一回決算するということから、少し経理手続のよくわかった者なら、いろいろな細工は当然できる方法もあれば時間的余裕もあるということから、金を使い出しておるわけでございますが、初めは恐らく必要があってやったことかと思います。しかし、それがだんだんたび重なりまして、たとえば業務上の必要で時間外にいろいろな打ち合わせをやらざるを得ないからやる、夕食を出す、そのうちに酒が入ってくる、するとやはり二次会になる、二次会の費用もやはり公社の費用でやっておるというふうなことがだんだん広くなりまして、結局行きつけの飲食店もできる、そうすると、そこでまたツケもできる、ツケができるから今度はツケ回しのやり方が、月次決算とかなんとかの厳重な会計の処置がないものですから、そこでだんだんふくれ上がってきて、料理屋との間に今度は長期の借り貸しができるというふうなことでますますふえていくということがありますが、私も若い時分、独身時代に田舎の工場におりましたけれども、飯食いに行こうということで行く、だんだんそれが癖になって、一週間のうち土曜と日曜ぐらいしか下宿屋の飯は食っていない、あとはみんなそこで飯食っている、そうすると、ツケが半年たまって、もらったボーナスはほとんどそれに払ってなお足らぬというふうなことがあったことですが、幸いその時代は自分の金で払っておりますので問題はないのですが、それがやはり自分の金では払えない額にだんだんなってくる。また、初めから払おうという気で行っていないということも言えるかと思うのですが、そういうことでだんだんルーズになって、あそこもあそこならこっちもこっちだというふうにだんだんその悪習が広がっていって、ああいう大きなスケールのことになった。それに対する経理の締め方、管理の仕方ということが、そういう状態にもかかわらず、年に一回の決算のあり方ということを漫然と続けているために、ますます横流しのように金を持っていかれたというようなことが歴然としているように私は思います。  先生のこの前おっしゃった御要求は、だれがどうやって、いつどうしたというふうにリアルに説明してくれという御要求のように私承っておりますので、それを申し上げるのにはしばらくお待ちくださいということでございますが、こういうふうな一般論といたしましては、私がいま申しましたような傾向でだらだらだらけていったというのが実際の話だというふうに私は受け取っております。
  191. 村上弘

    ○村上(弘)委員 問題を無限のかなたに押しやることになるような趣旨のお約束のように感ずるのですが、これは後で、いつどうするのかということも聞きますが、特に私この問題については、労務関係の接待、飲み食い、特に業務上不必要な支出が約一千万円ある、この点については特に、だれが、いつ、何のために、どこで、どのように使ったのかということを繰り返しお聞きをしておるわけです。こういう点について、これは何もいま裁判の係争中の問題でもないわけです。すでに精査は終わっておる問題です。概括的に、この四千万円の労務接待、その中での三千万円部分と一千万円部分の件数や人数はどの程度か、まずそれをお聞きしておきたいと思います。
  192. 森谷昭夫

    ○森谷説明員 会計検査院の決算検査報告で指摘されました中で、ちょっと表現としては適当かどうかしれませんが、労働組合の関係しておるものでございますが、四千万ということになっております。  これは会食等の経費でございますが、これは一般的には、組合の役員が交代しましたとき、これは年に一回交代するわけでございますけれども、それから公社の幹部も、大ぜいでございますから年に一回交代します。こういったときに儀礼的に行う会食というものがございますが、こういったものにつきましては社会的にも容認できる、認められる会食であるということで、これは検査院の方でも業務上の関係が濃いということでお認めいただいたわけでございますが、そういったものを含めまして三千万円というのが業務上の必要性を認められた。確かに金の支出の仕方は、これは労働組合に全く関係のないことでございますが、公社の方で裏金をつくって出したということはまことにけしからぬ話でございますが、用途としては、三千万円については社会的に容認されるという形のものでございます。これも先生、先ほど申しましたように私ども調査能力というものは万全でございませんので、国会において公式に申し上げるということはまことにあれでございますが、そういった現状における調査という形でお答えさせていただきますと、六百五十件でございます。  それから、四千万円のうちの残りの一千万円でございますが、これにつきましては、団体交渉とか打ち合わせが終わりまして、その後に懇談というような形で、やはり意思疎通を図るために懇談するというような形、これは一般的に認められないじゃないか、仕事の話をしながら深夜に及んだので会食するというのなら、これは世の中にも通るけれども、一たん団交が終わって、案件が終わった後でやるのはどうも業務上の必要が濃いとは言い切れないということで、そういったもの、あるいは行きます場所が高級な場所とか、そういったものを含めまして、これもおおよそでございますが、百五十件というふうに把握しております。  これはしかし、あくまでも先ほどから申し上げておりますように、途中における調査過程でございまして、私どもまだ調査を続けている段階でございますので、そういうことで御了承賜りたいと思います。
  193. 村上弘

    ○村上(弘)委員 労働組合の幹部と当局との飲み食いの問題というのを私が大変重視するのは、これはいわば個人責任にかかわる問題じゃなくて、それこそ公社対労働組合という関係で生まれておる問題ですね。いわゆる公社ぐるみにかかわる性格を持っておるということです。それから、前回も指摘しましたが、公社の高収益が内部にくる低賃金と外部に対する高料金ということから生まれておるという点からいっても、労働組合とのそういう飲み食いを通じての癒着というものが経営内部で労働者にどういう事態をつくり出してきたかということにもかかわる問題だし、もっと言うならば、これは近代的な経営における労使関係にかかわる問題、民主主義の基本的な問題にもかかわるわけですね。  総裁と現場管理機関長との座談会というのが電信電話経営月報の七月号に出ていますが、この中でも真藤総裁は、制限というものがないと世の中はめちゃくちゃになるという趣旨のことを述べていますね。そういう問題について、やはり物事には制限があってこそけじめがはっきりつく、それがなくなるとスポイルされるということを言っていますよ。私はこれは一つの見識だとも思うのですけれども、いまのような、今日までのような労使関係というものは、労と使のけじめは全くないような状況になっておる。そこから経営そのものが、あるいは労使関係そのものがスポイルされていってしまっておる。それは全体の体質にもなっていっておると思うのですね。  いまの報告でいきますと、四千万の使途の件数は六百五十件だと、こういうわけですね。そして業務外一千万が百五十件ということですから、業務上だと言われておる三千万は約五百件、それぞれ一回につき六万円から六万六千円程度ということになって、これは大変金額としては絶対に合うてないな、こんな少ないことはなかろうというように思うのですが、回数から言えば、二年間でこれだけの回数ということになりますと、ほとんど毎日飲み歩いておったということにもなるのですね。そういう状態について総裁はどう思っておるか。これがけじめのある労使関係だと思うかどうか。とう思いますか。――総裁ですよ。いいですよ、あなた、もう時間が余りないんだから。
  194. 佐藤守良

    佐藤委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  195. 佐藤守良

    佐藤委員長 速記を起こしてください。
  196. 森谷昭夫

    ○森谷説明員 ちょっと、恐れ入りますが、総裁の答弁の前に補足させていただきます。  件数、たとえば五百件、まことに多いようにお感じになるかもわかりませんが、近畿通信局の中には三十部近い部がございます。それでそれぞれ労働組合と対応して仕事の問題で話したり何かするわけでございますから、そういった人が年に二回顔合わせをするというだけでも、もう五十回を超えるというようなかっこうになるわけでございます。それから地区管理部が五つありまして、これも課がたくさんあります。地区管理部はそう各課ごとにやるということはございませんが、これもやはりやりますと、年にまず各管理部十回ぐらいずっとして五十件ぐらいあります。これを合わせますと百件でございまして、二年になりますと二百件。ですから、通常認められる顔合わせだけでも、組織が大きいものですから二百件になるというような形でございますので、その点ちょっと御理解賜りたいと思います。
  197. 真藤恒

    ○真藤説明員 私は、過去長い間民間におりましたが、民間の組合とのつきあいで酒席の座に出たことは一回もございません。これははっきり申し上げることができます。ただ年に一回だけ親善宴会のものをやるだけで、あとは私自身出たことはございません。ただし、昼間の会合なら数え切れぬほどやってまいりました。組合との関係というものは会社の構内あるいは会社の設備の中でやるのがたてまえであるべきものであって、料理屋でやるというのは、決してこれはやるべきものじゃないということを貫いてきております。  したがって、現在ここに参りましても、私就任以来その方針は強硬にやっておりまして、こういう原則を立てております。業務上必要な会合は、公社の設備の中あるいは公社の関係のある設備の中、そういうものがなければ公共機関の持っておる公共設備の中でやる限りにおいては、必要なものについては公社の費用でやってもよろしい。しかし、それ以外のところでやったのは、公社の費用でやることは認めない。ただ例外は、町の客先といろいろな打ち合わせなり懇親会をやるということはそうもまいらぬだろうから、それだけは認めるが、二次会は認めないということを厳重にルールをつくって出しております。  もちろん、このルールが私の就任以来ぴしっと実行されるかどうかということは、これは私の責任でございますけれども、そういうルールをつくって、その後実際、こういう方面に使う費用は、さっき申し上げましたようにさま変わりに変わっておるということだけははっきり申し上げておきます。
  198. 村上弘

    ○村上(弘)委員 大分飛ばさなくちゃなりませんけれども、いまの問題については、きょうリアルなお話がありませんが、将来必ず答えられるということですから、また別途お聞きしたいと思いますが、少なくともいま示されたデータのそれぞれの、公社側と組合側、いつ、どこで、何回という件数ですね、これをひとつ資料として出していただきたいと思うのです。これは郵政省だったら、組合幹部との接待状況というのは、五十四年度、五十五年度、七十四万五千円、中央本部委員長以下何名、全逓が一回、全郵政が一回というような表が出ています。それから、前はKDD関係では、贈り物の一覧表も、まあこれは個人名でなくてイニシアルではありますけれども、洋酒だとかワイシャツ布地だとか、かん詰めだとか、個数も資料として出しておりますが、せめてそういうような資料の提出をここで要望しておきたいのと、それからいま総裁が言われた、そういうことを厳密にするために、労務関係予算、これは郵政はそれなりにあるみたいですが、公社は予算費目がないのですね。庁費の中の非常にややこしい中に含まれておるようです。そういう点では、毎月の締めも大事でしょうが、予算そのもので労務関係費というものについてはっきりと計上するようなことが必要じゃないのか。この二点について、資料の問題と予算化の問題についてお答えをいただきたいと思います。
  199. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  最初の点につきましては、ただいま監査局長からお答え申し上げましたとおりでございまして、そういう点につきまして、後ほど資料を提出させていただきたいと思います。  それから、労務対策費関係経費というものを国家予算にきちんと計上したらどうか、こういう御趣旨かと思いますが、ただいま総裁から詳しくお話し申し上げましたとおり、内部的にそういうものをきちんと経理をして、そしてそれを単に予算だけではなくて、実際使いましたいわゆる決算管理というものを通じて内容を十分にやっていく、これが、この近畿を中心とします今回の問題に対しまして、公社として当然にやらなければならない問題だ、こういうふうに思っておりまして、そのように実行管理を四月以来、きちんといたしておるところでございます。
  200. 岩下健

    ○岩下説明員 ただいまの御質問のうちの、いわゆる労務対策関係についての経費予算と決算の扱いにつきまして、事務的にお答えをさせていただきます。  公社におきまして、いわゆる俗に労務対策費といった形の個別の予算あるいは決算の科目というものは、現在持っておらないわけでございます。と申しますのは、この種の経費は、営業部門あるいは保守部門といったところでのいわゆる作業部門におきます個々のアクションといいますか、施策というものと若干その性格を異にいたしまして、いわばそういったものに付帯して発生をするということがございますので、こういった個別施策あるいはアクションのための経費というものと同じような形で管理をするということになじまないのではないかという考え方から、いわゆる管理共通費的なものの経費としてこれを認識をするということで考えておるわけでございます。  いわゆる、俗に労務関係経費と言われる中にはいろいろございまして、先生ただいまおっしゃいましたような組合幹部との儀礼的な会食の経費もございますし、あるいは一般的な労務情勢把握のために必要な経費ですとか、あるいは組合のいわゆるスト対策に伴います宿泊のための、あるいは交通費のための経費の支出とか、こういったようなかなり広い範囲のものがございますが、これを俗に労務対策費という言葉で呼ぶ場合もございますけれども一つの予決算の科目としては、さっき申し上げたような理由で、やってはいないということでございます。  ただし、これが実際に使用されました段階では、たとえば労務情勢の把握に必要な経費につきましては、その資料の購入費とか印刷費とかいうもので決算をされますし、これがまた会食に使われますれば、会議費の形で決算をされるということになっておるわけでございます。  したがいまして、この種の経費のけじめをきちんとつけるということにつきましては、部内の者あるいは一般の対外的な会食費と全く同じように、実際の使用の態様の中で、責任ある機関長あるいはまたそれに参加する人間を含めまして、公私峻別の観念なり社会的な常識というものをよりどころにいたしまして、これの適正な使用を図る、こういうものが実態に合っているんだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  201. 村上弘

    ○村上(弘)委員 総裁、予算化措置について。
  202. 真藤恒

    ○真藤説明員 御質問は何でございますか。
  203. 村上弘

    ○村上(弘)委員 実際にどんぶり勘定になっているのですね。それでまた、営業上としても必要なものという範囲で厳格にやって、その費目がまたそれに合致するものであれば、それはそれとして執行されると思うのです。そこがはっきりしていない。したがって裏帳簿でいろいろな形で金をつくり出して、それが制限のない、スポイルされる形の実態を生み出しておる、こういう状況があると思うのですね。ですから、こういう経費についてはきちっと費目を立てて予算化すべきじゃないのかということについて、いや、いまのままで行けるのだ、こういうことですが、総裁は恐らく、それは実態をよく見ていないのじゃないかと思うので、それをよく見直して、予算化する、もっと公明正大な費目を立ててやるべきじゃないかということについての総裁の見解を聞いているわけです。
  204. 真藤恒

    ○真藤説明員 私は、いま経理局長が申しましたようなやり方でいいと思います。月次決算でチェックしていきまずから。予算があると、予算いっぱいは使おうという考えが出てまいります。ですから、これは長い間のあれで、事業組織としてはそういう考え方が一番いかぬ考えでございますが、それが長い間の習慣で、予算があれば使ってもよろしいという考えの方が強くありますので、逆に予算なしにして、毎月、毎月を攻めていく、一件、一件をきちっとチェックして金を出していくというやり方に方向を変えておる次第でございます。  予算というものは経営の一年間の大ざっぱな目標でございまして、問題は、事業組織では予算以下にいかに少なくて済むかということが企業の生き死にの問題でございまして、予算いっぱい使ってもいいというようなそういう企業では、決して能率のある動きはしておりません。ですから、必要なときに必要と認めたものは出すが、毎月、毎月それをみんなの前に出して、それが正しい出費であったかどうかということが明らかになりながら、次の月に入っていくというやり方を続けていきたいと思っております。
  205. 村上弘

    ○村上(弘)委員 若干延長しますが、あと一、二問ばかり……。  いまの問題については見解の違いもあろうかと思います。それで、その裏帳簿がなぜ出てきたかということについての実態の究明からまた違った検討が必要になろうと私は言っておきたいと思うのです。  そこで次の問題に入りたいのですが、私は、昨年の臨時国会郵便料金の値上げ自由化法案が審議された際に、職場の荒廃が相当ひどい、国民の信頼は必ずしもよくないということで、大阪の住之江局の問題を取り上げました。これはNHKで「ニュースワイド近畿」でも問題になったということを指摘しました。その後、住之江局は配達改善されているかどうか聞きたいわけですが、時間がないからあれですが、実態はそうなっていないということを申し上げたいわけです。  やや実情を言いますと、たとえば朝日新聞の後援した映画の試写会の招待券が、二枚当選したものが上映した三日から五日後に到着するというようなことだとか、それから請求書が届かないで支払いがおくれて商売上の信用問題になるとか、会合が終わった後で案内状が着くとか、こういうことが依然として起こっている。同じ区内で郵便を出して十日間もかかるというふうな状況があるんですね。繰り返しこの問題については解決を要望してきたわけですが、依然として解決をしていないわけです。  なぜこういうことが起こっておるのかという点ですが、これも問いを省略しまして、たとえば集配係には九十四名いますが、そのうち病気欠勤が十二、三人出る。ほかの局に比べて三倍から五倍あるんですね。いわゆる解放研の会員が一日平均三人勤務解除ということで仕事をしていない、こういう状態がある。非常にひどい状態が続いておるわけです。それで、この解放研に対する勤務解除の状況もどういう状況になっておるかということを答えてほしいのですが、事前にお聞きした数字でいきますと、ことしの一月から九月までの間に五百八十人、二千七百八時間、こういう勤務解除がやられておるんですね。昨年の同時期は五百九十六人、二千七百四十時間ですから、ほとんど変わっていないという状況であるわけです。月平均すると三百時間というふうな状況ですね。それから同和研修、御承知のようにこういう名目でやられておる研修が、この四月から九月までの半年間で延べ時間が二千四百六十三時間、延べ人員で千七百七十五人、これは一回平均にすると百時間ということになりますから、一日二十四時間ですから実態が合わぬわけで、こういう数字そのものが実情を反映していないということが言えるわけですが、要するに同和研修というのはもう連日のようにやられている。私どもこの間、中央郵便局調査に行ってみましたけれども、私らが行ったときにも調査がやられていました。ここに写真も持っていますが、これも省略しましょう。こういう状況がある。この住之江局のような状況は他の局にもあるということがますます明らかになってきているのです。  たとえば私、茨木市に住んでおりますが、茨木郵便局では、たとえば郵便配達のための順路の組み立てという作業がありますが、解放研の会員は、升が五段、下から上までありますが、その最初の一段しか持っていかないとか、あるいは五段のこまがある中で四こまぐらいしか持っていかないとか、こういうような状況ですね。アルバイトで来ている人たちは全部持って配って帰ってくるんですね。こういうふうな状態が依然としてあるわけです。要するに、勤務解除だとか研修会だとか糾弾会だとか物品供与だとかいうものは依然としてそう改まっていない。  特にきょう、私、この点だけは余りにもひどいからここでも申し上げ、その点に対する対応を聞きたいのですが、大阪中央郵便局にいる連合解放研の福原八郎会長ですね、この会長は第一集配課の郵便外務職で、配達の担務で、勤務は昼勤もしくは夜勤ということになっているのです。ところが、私がお会いした河合局長はこう言うんですね。私が着任してから勤務についたことは一度もない、こう言うんですね。次長の木村さんも、外務作業についたことはない、こう言っておるわけです。全く仕事していない。中郵はこの一年間に延べ五万人以上のアルバイトを雇用しているんですね。これは外務関係だけではもちろんありません。年末のこともあるでしょう。しかし、こういう状況にある中で、一方ではこういう事態があるわけですね。私、ここにその福原八郎氏の勤務表を持ってまいりましたけれども、この判こは全部押してあるのです。しかしこの福原八郎氏は、この自分の職場に一度も顔を出していないのです。一体これはだれが判を押しているのか、どういうことになっておるのかということを聞いたわけですが、これは本人が押さないで、課長代理が本人のところへ持っていって押してもらっているのだ、こういう状態なんですね。これは、それこそ勤務規律から言っても本当に驚くべき実態だと思うんですね。この実態がどうなっておるか、なぜそうなったのか、今後どうするのか、この点はやはりここでお聞きしておきたいと思うのです。
  206. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの大阪中央局の福原氏に対する出勤簿の状況でございますが、この点につきましては、つい最近までの状況は、本人が同和対策室等にいる場合は、第一集配課の勤務時間管理員等がそこに出勤簿を持参して押印させたというような状況もございました。しかし最近は、毎日出勤の都度、第一集配課の事務室において本人が押印をしているということでございまして、そういう点についての指導の徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、なお、勤務解除等の問題についていろいろ御指摘があったわけでございますが、また、個々の郵便局等における郵便の運行の状況等、これについてある意味での研修等が、あるいは勤務解除というものが多くて、そういうような状況になっているというような御発言もございましたけれども、私どもは、それ以外の状況等によるものが大きく影響しているというふうに考えておるわけでございますが、なお、同和問題の解決に当たりましては、同和問題に対する正しい理解と認識というのが最も重要でございまして、郵政省といたしましても、職員に対する教育啓蒙というものを中心にいたしまして施策を推進してきたところでございまして、この郵政省の同和対策の推進に当たりまして、部落活動の、解放の活動というものが同和問題の正しい理解と認識を深めるにふさわしいと認められる場合には、業務運行との調和というものを考慮しながら、必要に応じていろいろな対策、勤務解除の問題あるいは事務室等の使用を認めるというようなことを行わせることが私は必要であろうというふうに考えて、今日もそういう対策をしてきたわけでございますが、なお一層適切な運用について配慮してまいりたいというのが、今日の私どもの考えでございます。
  207. 村上弘

    ○村上(弘)委員 それじゃもう一問だけ。  差別があってはならぬということは当然のことですね。問題は、差別を利権の道具にしたり特権の道具にしてはならないということです。ことさらに差別事件をつくり上げるという疑いすらあります。落書きが一斉にあちらこちらに生まれたり、あるいは最近ではあて名に差別用語が書かれておるということで、それをてこにして新たな策動もするというような状況もあらわれています。いまだかってだれがそれをやったのかということが見つかったことがないというのはきわめて不思議な事態ですが、それは別といたしましても、この出勤簿それ自体でも、普通の場合は祝日勤務が一年に一回か二回しかないのですが、福原八郎氏の場合は五日間も祝日勤務をしているのですね。これは命じなければ祝日は勤務しないのですよ。命じておいて、しかも出てきて勤務解除するというような状態まで生まれておるのです。こういうことは正すということをここではっきりしておいてほしいし、私どもが現場を調査して、郵政局長にも言って、中郵の局長にも言って、判こは自分があるべき場所に出ていって押すようになったということは一歩の前進です。しかしながら、それは目下のところそこだけで、大阪の小包集中局の連合解放研の副会長の横田という人、同じく事務局次長の森岡という人、その他事務局員の山田という人、この人たちも判この固め押しをやっておる。毎日そこへ出て自分で判こを押していない。こういうような全く勤務規律上からは考えられないような事態が放置されておるということについては、もっと全面的な調査をすべきだろうと思うのです。  それで、最後にお聞きしたいのは、この前も郵政大臣には、こういう状態について近畿郵政局管内ではとりわけ深刻だ、実態を調査しなさい――こういう問題はやみからやみに置かれておるから解決されないということが多いのですね。明らかにされることが解決の半ばになるのです。ですから、実情を明らかにして、そして公にするということが非常に大事であろうと思うわけです。  最近は北九州市の土地転がし問題、これは解同や同和会なんかも関与しておりますが、件数で十三件、市の購入価格二十五億円、利ざや十六億円ですね。こういうような実態が国会の行特の委員会でも明らかにされて、これは正しますということになってきておりますが、これは自治体だけじゃなしに郵政関係、特に近畿関係では非常に深刻な事態が続いておる。第一線の管理者が一番えらい目をしているのです。それで郵政局だとか本省などは、実際にはそれこそ深刻な思いはしていないという状態にあると思うのです。  ですから、これらの本当にリアルな実態を、同特法の延長の期限が切れるという時期でもあるし、全面的な見直しをやる。地方財政の圧迫が非常に強いとか運営に問題があるとか、いろいろな苦情が出ておるとか、同和対策に対しては国民の批判的意見が出ておるというのが、同和対策協議会の中間答申にも出ておるのです。郵政省としては、この問題はとりわけ深刻になっておるわけですから、みずから実態を調査して、そして中間的な総括をすべきじゃないか。少なくとも同対協の中間答申と対応してどういう実態にあるか、どういうふうに見るべきか、今後どうするかということについて調査を要望したい、そしてまたそれの提出もお願いしたいということを問うて終わりたいと思います。
  208. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 同対法が施行されて十三年たったわけでございまして、先生いまお話しの中間答申というものも出て、私どももそういう点について重大な関心を持って、今後とも同和問題の正しい理解と認識を深め、一層の啓発、より効果のある適切な教育啓蒙施策というようなものに取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございますし、必要な調査等につきましては、それを私どもなりに十分参考にし、今後の施策に役立ててまいりたいと考えているところでございます。(村上(弘)委員調査についての大臣のお考え」と呼ぶ)
  209. 山内一郎

    山内国務大臣 いま官房長が答えたとおりでございますが、郵政省といたしましても、同和問題については非常に関心があり、重大な問題であると考えているわけでございます。したがって、それらの対策についても万全を期してやってまいりたいと考えております。(村上(弘)委員「実情の把握はどうですか」と呼ぶ)  実情の把握については、この前資料を予算委員会にも提出してございますし、村上委員にもたしか係員の方から資料の説明をやらさしてある、こういうふうに考えております。
  210. 佐藤守良

    佐藤委員長 村上弘君の質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十五分散会