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1981-10-23 第95回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十月二十三日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君    理事 安田 貴六君 理事 松本 幸男君    理事 大橋 敏雄君 理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    片岡 清一君       久間 章生君    久野 忠治君       塩谷 一夫君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    小川 省吾君       加藤 万吉君    細谷 治嘉君       石田幸四郎君    部谷 孝之君       岩佐 恵美君    田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安孫子藤吉君  出席政府委員         人事院事務総局         管理局長    加藤 圭朗君         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 永光 洋一君         自治大臣官房審         議官      小林 悦夫君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部長    大嶋  孝君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         総理府人事局参         事官      熊澤 二郎君         経済企画庁調整         局財政金融課長 宮島 壯太君         国土庁土地局土         地政策課長   木内 啓介君         大蔵省主計局主         計企画官    田波 耕治君         大蔵省主計局主         計官      篠沢 恭助君         大蔵省主税局税         制第三課長   真鍋 光広君         大蔵省銀行局         貯蓄奨励官  上川名清次郎君         文部省初等中等         教育局幼稚園教         育課長     内田 弘保君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 横尾 和子君         厚生省保険局国         民健康保険課長 萩原  昇君         社会保険庁年金         保険部国民年金         課長      阿藤 正男君         農林水産大臣官         房参事官    中川聡七郎君         農林水産省経済         局統計情報部農         林統計課長   中島 千景君         食糧庁業務部需         給課長     武田  昭君         運輸省港湾局建         設課長     藤井 宏知君         建設省計画局宅         地企画室長   黒川  弘君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ――――――――――――― 十月二十日  農地固定資産税据え置き等に関する請願(古  屋亨紹介)(第二号)  同(中西啓介紹介)(第一一号)  同(武藤嘉文紹介)(第一二号)  同(渡辺栄一紹介)(第一三号)  同外一件(奥野誠亮紹介)(第二五号)  同(金子一平紹介)(第二六号)  同(平沼赳夫紹介)(第七五号)  同(松野幸泰紹介)(第七六号)  同(加藤六月紹介)(第一一四号)  身体障害者及び戦傷病者に対する自動車税等の  免除基準改正に関する請願久野忠治紹介)  (第三八号)  小規模住宅用地固定資産税都市計画税の税  額凍結に関する請願岩佐恵美紹介)(第一  一二号)  農地固定資産税据え置きに関する請願(佐野  嘉吉君紹介)(第一一三号) 同月二十二日  農地に対する固定資産税据え置きに関する請願  (福島譲二紹介)(第一八六号)  名古屋市営交通事業経営危機打開等に関する  請願外二件(井岡大治紹介)(第一八七号)  同外二件(伊賀定盛紹介)(第一八八号)  同(石田幸四郎紹介)(第一八九号)  同外二件(小川省吾紹介)(第一九〇号)  同外二件(加藤万吉紹介)(第一九一号)  同外二件(小林恒人紹介)(第一九二号)  同(佐藤観樹紹介)(第一九三号)  同外二件(佐藤敬治紹介)(第一九四号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一九五号)  同外二件(福岡義登紹介)(第一九六号)  同外二件(細谷治嘉紹介)(第一九七号)  同外一件(横山利秋紹介)(第一九八号)  同外二件(松本幸男紹介)(第二四一号)  農地固定資産税据え置きに関する請願(足立  篤郎君紹介)(第一九九号)  同(栗原祐幸紹介)(第二〇〇号)  同(大石千八紹介)(第二四〇号)  小規模住宅用地固定資産税都市計画税の税  額凍結に関する請願三谷秀治紹介)(第二  六五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十日  地方財政制度改革等に関する陳情書  (第一二号)  地方財政確立強化等に関する陳情書外一件  (第一三号)  地方税法等改正時期に関する陳情書  (第一四号)  警察官の増員に関する陳情書  (第一五号)  社会保険関係職員身分移管に関する陳情書  (第一六号)  市街化区域内農地に対する宅地並み課税撤廃等  に関する陳情書外二件  (第一七号)  農地固定資産税等に関する陳情書外五件  (第一八号)  道路交通法改正に関する陳情書  (第一九号)  交通安全対策特別交付金交付基準改善に関す  る陳情書  (第二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
  3. 石川要三

    石川委員 若干これから質問をさせていただきますが、今回のこの一般質問は、特にいま行革臨時国会の最中でありますので、極力それに関連するような角度から質問をしてみたい、こういうふうに思っております。  最初に、市街化区域内のいわゆる農地課税、俗に宅地並み課税問題、こういうふうなことで言われておりますが、この問題について、これは直接に行革とはあるいは関係があるかどうかということもあろうかと思いますが、しかし十年たった今日の新しい時代の中でこの問題に触れてみたい、こういうふうに思うわけであります。  この宅地並み課税は、もう十年私どもがいろいろと議論を重ねてまいりまして、いよいよ五十七年度に長期的な一つの施策としてこれが決定を見る重大なときにいま差しかかっているわけであります。その十年という時間の流れの中から、私は、この問題にはかなりやはり流動的な、しかも見直すような考えも必要ではないか、こういうふうに思っております。  そこで、この宅地並み課税は、税金としては当然地方自治体に入る地方税でありますから、極端に言えばそれを徴収するのは自治大臣と、こういう関係もあるわけでありまして、特に大臣からの御見解を承りたいわけであります。  新都市計画法が誕生して、線引きというものが引かれました。そこで、市街化区域内は、あの当時の発想といたしましては、やがて将来においては農地というものは自然になくなっていく、なくならせるような考え方、こういうことに立脚してあると思います。したがって、そのためには市街化区域内の農地、特にA、B、Cと分かれておりますが、この農地宅地に等しい課税をしてそして宅地を造成していこう、農業をなくしていこう、こういう一つ発想に立っていると思っております。確かにあの当時は、高度経済成長の中でいわゆる市街化促進、そしてそのための宅地供給ということは大きな政治の課題ではあったと思います。しかし、今日十年間たってみると、果たしてそのままの考え方が正しいかどうかということを私どもはここで考え直す必要があるのではないか。  そこで、市街化区域内の農地というものはこれからどうあるべきか、市街化区域内に当初発想したような、農地はだんだん宅地化にするのが正しいという考え方が当時あったわけですが、果たしてその考え方は依然としてこれからも継続されるべきか、あるいはそうじゃないんだ、むしろ市街化が非常に促進して、特に三大都市圏の中では非常に大きな都市問題も起こっておる。それからまた、最近は災害考えると予想以上の大きな災害というものを招来するだろう、そういうことを考えた場合に、少しでも空間というものは必要である、こういうことが市民の中にもかなり定着していると思うのです。  こういうような十年たった今日、当時の市街化区域内の農地というものをやがてはなくしていく方がいいんだという考え方が果たして正しいかどうかということに私は大きな疑問を持つ。むしろ私は、逆に市街化区域内でも農地というものは確保していくべきだ、都市農業というものを拡充していくべきだ、そして生鮮食料品供給基地として、また一朝何か災害があったときには、大きな災害避難地として市民のためにこれを活用させる、こういうことが必要でもあるし、そういうことと同時にまた、前首相が提唱いたしました田園都市というものは、まさにそういうような必要性を認めて、一つの大きなビジョン町づくりビジョン哲学というものを私は証明されていると思いますが、果たして今日の時点に立って、自治大臣は、そういう問題についてどのような所見をお持ちになっているかをひとつ聞かしていただきたい。
  4. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 お話の点につきましては、私も大体そういう考え方をいたしているものでございます。ただこの問題については、御承知のとおりに税調からの答申がございまして、これをひとつC農地まで含めてこれから適正な運用をしろ、ただし農地については、長く農業を継続する意思のある者についてはこれは別に考えるべきじゃないかというのが答申趣旨でございます。その趣旨に沿いまして、関係省庁におきましてもただいまいろいろ検討をいたし、最終的には自治省の話といたしまして結論つけにゃならぬ性質のものでございます。  おっしゃるとおりに、従来は、農地を全部つぶして宅地化すればそれでいいという考え方が強かったと思いますけれども、振り返ってみますと、都市に対するところの安定した農産物の供給観点から、あるいはまたお話のように、災害時における空地の保有というような問題は、都市安全性から申しましてきわめて重要な問題だと思います。したがって、この宅地並み課税の問題につきましても、そういう点を十分に考慮すべきだろう。ただし、思惑を持ってただ農地保有しているというのはこれは避けてもらわにゃいかぬので、永続して農業を営もうという考え方をしている以上は、この点については配慮をいたすべきだろう、そういう考え方をいたしておるのでございます。  いずれにいたしましても、本年度中にこの問題の決着をつけにやならぬわけでございまするから、御趣旨の点、私も十分理解をし、また同感の意を表しているのでございまするので、この点については、結論を出す際に十分にそういう趣旨が実現するように努力をいたしたいと思っております。
  5. 石川要三

    石川委員 大臣考え方につきましては、私の考え方と同じような御所見でございますので、私も大変意を強うしているわけであります。  そこで、いま大臣の答弁の中に、思惑を持って農地としての用にも供していない人がいたずらに将来の値上がりなどを考えている、要するに不心得者については排除すべきだ、これは全く当然であります。こういうような一部の不心得者について、やはりここでこれを政策の中でどうテクニックとしてやっていくかということは当然必要でありますが、そういうことはさておいて、それ以外の一般的な理論としての問題としてお伺いしたいのです。  いま、私が考えていることと大体同じような考え方大臣もお持ちになっていらっしゃるようでありますが、ところで、いま国土建設、特にこの両省の考え方がだんだんまとまってきつつあります。恐らくこの臨時国会が終了すると、直ちに一つ政府案としてこれが発表になると思いますが、その過程の中でいろいろと私どもが耳にしておりますところによりますと、大体大ざっぱに言って、この一つ哲学といいますか発想は、市街化区域内の農地というものは、これはつぶしていくんだというのがまず前提なんですね。よさせていくんだ、これがまず根底にあると思うのです。  私は、これは間違いであると思う。ですから、そういう根底に立っておりますから、したがって十年というか、あるいは何年か知りませんが、十年ぐらいのスパンで区切って、その中で本当に農業をやりたい方はやってもよろしい、しかしもし途中で農業をやめるときには、その十年の間の一番スタートラインに戻って課税していこう、こういうような発想になりつつあるようであります。そのほか免責規定だとか、いろいろなことが細かくあるようですが、大きく分ければそういうことだ。  そうなりますと、依然として私は哲学は同じだと思うのです。市街化区域内の農地はやめた方がいいんだ、むしろ罪悪論といいますか、ですから十年たっておまえはそんなにやりたければやってもいいよ、そのかわり途中でよすときにはもとへ返って税金を払いなさいよ、こういうことは少し言い方を悪くすれば罪悪論であって、執行猶予制みたいな、一生懸命まじめにやれば何とかしてやろうというような、そういう発想ではないかと私は思うのです。私は、根本的に間違っていると思う。  そこで、大臣がもし私と同じようなお考えに立つならば、そういう発想を私は変えるべきではないかと思う。十年ということのサイドを設けていいか悪いかはさておきまして、とにかく市街化区域の中で、これから災害の上からいってもむしろこれは補助金を出しても守ってやるべきだというような時代になってきたのですから、そういうようなみなし課税で、しかも猶予だなんという発想を変えるべきだ、こういうふうに私は思うのです。  同じ結論はいま大臣にも聞いたように、空間というものは大切なものです、それから生鮮食料供給源としても大切なんです、これは同じなんです。しかし、方法論としたら、発想論としたら違う。これから聞くのですから違うかどうかわかりませんが、私と同じかどうかということを再度お尋ねしたい。
  6. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 市街化区域における農地のあり方についての基本的な考え方の問題だと思うのですが、やはり都市がだんだんと拡大をしていく。その中において農地がどういう姿であるべきかという問題については、私は石川先生と同じような考え方をしておるわけでございますが、しからばこの問題が発生した原因を考えますと、都市の膨張に伴いまして農地につきましてもいろいろな思惑が絡み、それから値上がり関係転売売却を予定して余り利用しない、そうした事象もあったわけでございまするから、そういう事態に着目いたしまして、都市政策観点からこの問題が発生したと思っております。  しかし、その実施の結果は必ずしも思うようにはいかない。また、都市内における農地のあるべき姿という問題も、大体考え方が一致する方向に来ておると私は思っておるわけでございます。基本的な対応の仕方は違うかもしれませんけれども、やはり農地都市の中に必要なんだ、また災害関係からいってもこれは必要なものなんだということが、だんだんと考え方の上では成長しておるような感じも私はいたします。したがいまして、その辺の調整をどうするかという問題がこれからの問題でございます。  お話のように、そういうものを策定する際に基本的な考え方に立って、さかのぼって増徴するというようなことのないようにすべきであろうというのが御所見だと思います。この辺については、これからひとつ関係省庁とも論議を重ねまして結論を出したい、こういうふうに思っておるところでございます。考え方につきましては、そういう石川さんのおっしゃるような考え方を私も持っておるわけでございます。
  7. 石川要三

    石川委員 確かに、土地の値段の問題などでとかく農地が実際に農地として供されていない。将来の値上がりだけを考えて、そして精農じゃない、惰農で形だけはどうにかやっているというような、こういうけしからぬ者もおることは事実でありますが、それはそれとして私はチェックの機関はできると思うのですね、人間の知恵をしてするならば。  だから、それが十分にできるという前提に立って私はお尋ねするのですが、いまの大臣お話は大体わかったような気もするし、わからないような気もするのです。と申しますのは、罪悪論はいけないんだ、そこなんですね。確かに空間の必要、供給地としての必要は認める、そこまではよくわかるのですが、それじゃ積極的に守るような立場考え方に立つのか、やはりいま国土建設考えているような、やがてはなくなっていく方がいいんだ、なくしたいんだ、だけれども猶予をしてやるという考えとはかなり違うと思うのです、思想として。  ですから、どちらに立つかということをもう一つ明瞭に歯切れよくお聞かせいただければありがたい。そしてさらに願わくは、今後の調整があるようでございますから、そういう発想のもとに立っていただいてこの問題の解決に当たっていただきたい、このように思うわけでございますが、いかがでございましょう。
  8. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 その点は端的に申しますと、農業者におきましても従来必ずしも、本当に農業を継続する意思市街化区域内における農業をやっておったかというと、そうじゃない者だってあるわけですね、現実的には。したがって、そこはすっかり割り切るわけにはいかぬ、そういう状況であったと思うのです。確かに、宅地並み課税をしなくてはならぬという、農地保有者にとりましてつかれる点はあったと私は思うのです。そういう点から考えると、宅地並み課税というものも、これは一つ政策として成り立ったものだと思っております。  ところが、十年余たちますと、その辺の事実上の選別がずいぶんと農地についてはできてきたんじゃないかという感じがいたします。本当に農業をその場所において継続しようとして努力をしておる者もはっきりしてきましたし、それから思惑でもって転売売却利益を獲得しようという者もだんだんと整理をされてきておる。それがこの十年の経過の中において事態がはっきりしてきつつある、こう思っております。  したがいまして、そういう現実の姿に立って結論を出すといたしますれば、やはり将来において市街化区域内においても農地存在理由がある、防災の関係からも必要であるという考え方に立ってその問題を処理するということが正しいだろう、私はこう思っておるわけでございます。したがいまして、石川さんのおっしゃるような立場に立ちまして私もこの問題については対処していきたい、こういう考え方をいたしておるのでございます。
  9. 石川要三

    石川委員 大臣のお考えは私と同じような考えに立っているというのですから、やはり罪悪論ではなくてこれをむしろ拡充していく、都市農業を守っていくんだ、空間を守っていくんだという哲学に立たれるというふうに理解をいたします。ただ、この問題、どうしても悪者がいつでも陰にありますから、世論の問題も出てくるし、いろいろな問題がある。これは断固としてやっていくべきですね、そうしないと不公平になりますから。これは、いろいろな方法論は必ずできるわけでありますので、そういうことばかりにとらわれて本末を転倒しないように、強く御期待を申し上げます。  次に、いま行革の真っ最中でありますが、国民のこの行革というものに対する非常に素朴な考え方は、私どもよく拝聴しております。簡単に言うと、少し荒っぽいかもしれませんが、お役人天国をなくしてくれとか、特に天下りはけしからぬとか、給料も少し高過ぎるんじゃないかとか、それからもっと効率的な行政をつくってもらいたい、いろいろとそれがあると思うのですね。そのとおりだと思うのですね。それが私は行革の根本にあると思うのです。今日法案を出されておりまして、いろいろと議論されておりますが、まあこれなんかはまだまだ序の口でありまして、行革という嵐が非常に強い風だとするならば、今日議論しているのは春のそよ風ぐらいじゃないかと思いますが、そのそよ風でさえもがあがあ言っているのですから、これはもう大変だと思うのです。  そこで、よく言われている中で、この公務員給与あるいはは退職手当、こういったようなものが国民の中でいろいろと大きく非難されておるわけです。私は、地方行政委員会の中で地方公務員給与退職手当のことにつきましても若干触れたいと思いますが、自治省としては、今後地方公務員給与というものが適正であるべく努力をする、その方法論として住民にこの内容を知らして、そして適正を期していきたい、こういう方法をいろいろと御検討されているようですが、その内容等につきまして具体的にどういうふうなことを考えていらっしゃるのか、そこいらをひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  10. 大嶋孝

    大嶋政府委員 地方公共団体職員給与住民への公表内容でございますけれども、私どもとしては、この目的そのものが、住民が自分の団体職員給与はどういう水準にあるかということをよく御理解いただき、その中でどうあるべきかという議論が行われることを期待して公表しておるものでございまして、そういう意味合いにおきましては、職員の年齢に応じた給与あるいはそれに対する国の給与はどういう状態になっておるかとか、あるいは人件費なり職員給与費状況はどうなっておるか、それから期末・勤勉手当なりあるいは等級別職員の構成がどうなっておるかということを見まして、それを住民自身給与と比較していただき、あるいは国の給与と比較し、あるいはその他適当な地域内の団体と比較をすることによって、実態がよくわかるというようなことを考えておるわけでございます。
  11. 石川要三

    石川委員 結論的には、そういうものと比較してよくわかるようにするんだというのはあたりまえのことだと思うのですが、それじゃ市民としてわかるようにするという方法論を、絵にかいてやるのか数字でやるのか、あるいは何が放送してやるのか、そういったようなことを聞きたいのです。
  12. 大嶋孝

    大嶋政府委員 私の方でこの前事務次官通達で出しましたのは、一応表をつくって出したわけでございますが、それにつきましては、それをグラフにしたりあるいはいろいろ工夫をしていただくということを考えております。それから公表方法につきましては、広報紙なりあるいはチラシなり多くの住民が容易に手に入る、容易に見ることができるというようなことでやっていただく、こういうことを考えておるわけでございます。
  13. 石川要三

    石川委員 ところで、地方公務員給与というものは、条例に定めて決定されるものであろうと思います。したがって、自治省がこうしなさい、これ以上はいけませんというようなことは言えないわけでありますから、そういうふうなことになろうと思いますが、そこでよく言われる一つの物差し、ラスパイレス指数というものがあります。これは完璧かどうか知りませんけれども、私は一つのめどではなかろうかと思います。  こういうラスパイレスの中で、非常に、三二%も上回っているところもあるそうでありますが、平均して七%、国よりは高いと言われています。このように三割も超えるような、給料が高いという自治体、これには何らかの理由があると思うのですね。ただ漫然と高いのじゃなくて、そういうのは、いいとか悪いとかは抜きにして、客観的に何が理由なのか。そしてまた、そういうものに対しては、自治省として法の中でどういうふうに行政指導ができるのか、それでどんなことをやっているのか。同じく退職手当についても月数のはるかに高いものがありますから、そこらの一番高いものはどういう理由でそうなったのか、そしてまたラスパイレスとの関係は、やはり給与が高いところがそうなるのか、そこいらの客観的なことをちょっとお知らせいただきたい。
  14. 大嶋孝

    大嶋政府委員 給与が高いというその理由は何かということでございますが、一つは、高度経済成長期に優秀な人材をとるということで必然的に高くなったということもあろうと思います。しかしながら、現在なお二割も三割も高いということは、やはり適当な状況ではないと思います。もちろん、各地方団体それぞれ努力をされておりまして、近年逐次低下する傾向にはございますけれども、依然として御指摘のような状態がある。そこの理由といたしましては、一つは、国家公務員に比べまして初任給そのものが高いということが考えられます。それから運用による昇給の短縮なりあるいは職務に対応しない等級への昇格、いわゆるわたりでございます。それから給料表そのものが国よりも有利になっておるというなことが、結局給料を高くしておるということになろうと思います。  退職手当でございますけれども、これは私の方が調査いたしましたのが五十三年でございますが、勤続三十年で勧奨退職によりまして退職をするといった場合に、その支給率が国家公務員退職手当を上回っておる団体、これが二百四十八団体ございます。このようなことで、退職手当がなぜ高くなるのかといいますと、まず、支給率あるいは最高限度額が国の基準を超えておる。そのほか、勤続加算なりあるいは役職加算といったような国と違う算定が行われておる。その他、勤続期間の計算なり退職時の特別昇給といったものが国より有利な措置になっておるというようなことが、今度は退職手当を高くしておるという理由であろうと思います。  それで、私どもとしては、給与そのものは本来国の職員給与を基準として定めていかなきゃならない問題でございます。基本的には、各地方団体におきます自律的な機能の発揮によりまして改善されることを期待しておるわけでございますけれども、この前の八月二十五日に閣議決定をなされました「行財政改革に関する当面の基本方針」にのっとりまして地方公共団体に対して強く指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。  それから、給与が高いところが退職手当も高いのではないかという御質問でございますが、これは必ずしも連動しておるとは言えないんじゃないかと思っております。
  15. 石川要三

    石川委員 ラスパイレスで一番高いところが三二%とかなんとかということを聞いておりますが、平均で七%高くても三十何%というと、一番高いところはかなり高いですね。差が大きいわけです。こういう大きい差があるところは、ただ、いまそこでお話をしたようないろいろな、初任給の額が違うとか計算が別だと、計算が別だから高くなるのはあたりまえで、そういうことじゃなくて、何か市民が聞いて、なるほどうちの市は三二%高いというのはこういう理由かという、さっきの住民にわかるように知らせると同じようにもっとわかりよく——いまの御説明ではきわめて抽象論的なお答えで、私が聞きたいのは、なぜそういうふうに三十何%も高くなるのか、三十何%高くなるということは何かこうだという、首をうなずける、そういう理由があるんじゃないか。退職手当もしかりで、そういうことを聞きたいのです。そういうふうに説明をお願いしたいというのが一点。  それからもう一つは、きのうの新聞あたりにも、何か天下りの役人さんが空港ビルで年俸七千万も取っていると、けしからぬことが出ておったわけですが、常識から見てこれはもう本当に想像に余りあるものです。これは全くけしからぬですが、こういうこともやはり、わかるからそこでいろいろと調べるのじゃなくて、大臣はきのう答弁していましたが、もっと積極的にやってもらわないと国民は納得できないと私は思うのですね。こういう給与なんというのは、保守だとか革新だとかいう問題を離れて、いま行革の中の一番大きな国民の関心事です。ですから、そういう意味ではやはり積極的にやるべきではないかと思います。地方公務員でもやはり国のお役人と同じように、あれほどのばかげたことはないと思いますが、あのような天下りの類似の機関やそういうような給与をもらっているようなところがあるのかないのか、そういうことを調べたことがありますかどうか。
  16. 大嶋孝

    大嶋政府委員 一番ラスパイレスで高いところは大阪の泉大津、一二八・九というのが実態でございます。この前、御案内のとおり、大阪に対しましては知事さんあてに、大阪府下の各市の給与の適正化について特に御指導をお願いしたいということを言ったわけでございます。  先ほど申し上げましたように、高い理由は何かというと、一つはよその団体とのバランスを見ながら、どこかが高くなるとまたそっちも高くなっていくというような傾向はあるように思われます。そこで私どもといたしましては、要するに国よりも高い給与を払いましても財政措置は一切——財政措置といいますか、要するに地方財政計画上その余分な給与費というものは見ていないわけでございまして、そういたしますとこれは当然租税の負担によって給与が支払われるというようなことになるわけでございます。そういう認識を強く住民の方に持っていただかなければならないと思います。私どもとしても、そういう方向で指導してまいりたいと思っておるところでございます。  それから、地方団体職員がやめて天下りでほかのところへ行って非常に高い給与を取っておる実態があるかということでございますが、特に調査したことはございませんけれども、地方団体職員がやめまして係累の団体へ行くといった場合には、そのような高い給与を支払っておるというようなところはないと私は思っております。
  17. 石川要三

    石川委員 次に、補助金関係について若干お尋ねをしたいと思います。  大蔵省は、零細補助金の整理統合ということにはもう数年前からいろいろと努力をされており、それなりの成果は上がっていると思いますが、私どもから見ると必ずしも十分な成果をなしていないような感じもするわけです。それと同時に、片一方はそういう整理統合しながらも、また何か要請されて小さい細々したいろいろな補助金制度が誕生しつつあるというような、非常に整合性を欠いている面があるのではないかと推察されるわけでありまして、私が見てこれはと思うような点も若干ございますので、具体的なことについてお尋ねをしたいと思います。  地域米消費拡大総合対策費補助金というのがあります。これは字で書いておわかりのとおり、米をうんと食え、消費を拡大させるための対策費の補助金であります。私がかつて市長をしておりましたところの例をとりますと、五十六年度で六十万円ばかり補助金が来ております。これは東京の近郊都市、そのほかの市町村にも五、六十万円のお金が来ていると思います。いろいろと市長会などの意見を聞きますと、こういう補助金をもらっても、実際問題としてどうやって消費を拡大していいのか、方法論がなかなか困るというのです。金をくれることはありがたいのだけれども、もらってもその使いようの内容が非常に困る。この内容をどうやって使ったかと聞いてみると、大したことになってないのですね。私は、こういうことで行政効果が上がるのかどうかということを疑問に思うのですが、食糧庁の関係の方、ひとつその点の行政効果がどういうふうに上がるのか、お尋ねしたいと思います。
  18. 武田昭

    ○武田説明員 食糧庁でございます。  先生御指摘のように、現在私どもお米の消費拡大を一生懸命進めていこうということで、その一環といたしまして地域米消費拡大総合対策というのを実施させていただいております。これはお話にもございましたように、各地域で住民に密着した、じみちで多角的な地域に応じた取り組みをしていただこうということでございます。確かに、物をつくるとかそういう事業と違いまして、速効性を期待するのもなかなかむずかしいところがございます。それからまた具体的な取り組みに当たりまして、先生おっしゃいますように、さて何をやったらいいかということでお悩みの向きも、それはなくはないかと存じます。ただ、おかげさまで各市町村なかなか熱心にやっていただいております。そういう中で、具体的にどういうことをやったらいいかということでお迷いになる向きもあろうかと思いますけれども、そのような場合につきましては、県といろいろ御相談をいただくなり、それからまた各地方の事例などにつきまして、そういうことも含めて私の方でも必要に応じて対応させていただいて、御相談に乗っていただいて、みんなで力を合わせて進めていくべきものではないか、かように存じております。
  19. 石川要三

    石川委員 こういう行政効果というのはなかなかはかれないから、一概にこれを云々することもむずかしいかもしれませんが、これは常識的に考えて五十万か六十万ぐらいのお金をもらってこれをやってくださいという政策は、零細の補助金を、これこそ補助金の整理統合の対象にすべきじゃないかと私は思うのであります。もしやるなら、米をうんと食ってくださいということでするなら、たとえば学童の給食、これをできるだけ切りかえてお米を食べてもらう、こういう方法が私は一番必要なことではないかと思うのです。これはほっておきますと、いまの子供というのは、しまいには食生活の上では日本人だか何だかわからなくなってしまうような食生活習慣というものがこれから身につくのじゃないか。だから、もっとたくさんお米を食べてもらうような子供の教育、それをやった方がいいのです。  ところが、いまあれは大体給食センターというのができ上がっておりますが、これはもうほとんど米食の施設はないのです。やりたくても、かまを買ったり何かすると大変なお金がかかるというので、自治体では苦慮しているようです。ですから、そういうところに補助金をやれば、結果的にこの給食センターを米食型にして、そうして将来子供が米になじむ、こういうことになるのじゃないかと思うのです。こういうウサギのふんみたいな、ぽちぽち全国にばらまかないでもっと——そうなりますとおたくの所管じゃないかもしれませんが、税金ですからどこが使ってもいいのですから、もっとそういう大局的な観点に立って、どうして米を消費拡大をさせるか、そうしてお米を食べる習慣を身につけさせるか、こういう政策に真剣に取り組むべきではないか、こういうことで、その点についてはどう思いますか。
  20. 武田昭

    ○武田説明員 私ども、一方で先ほど来お話のございますような地域に応じたじみちな活動というものも必要であると思いますけれども、同時に、ただいま先生御指摘の点、全くそのとおりでございまして、学校給食、次代を背負っていく子供たちにいまから日本型の食生活というものを忘れないようにしていくということは、きわめて大事なことだと思っております。したがいまして、学校給食につきましては文部省とも十分相談をしながら、いままでも力を入れてきたつもりでございます。値引き売却でありますとか相当のお金も使いまして、それから、御指摘の施設についても助成措置などもいたしまして努力をしてきたわけでございますけれども、先生おっしゃいますとおり、学校給食の問題などにつきましては今後とも一層力を入れていかなければならない問題である、引き続き努力をさせていただきたいと思っております。
  21. 石川要三

    石川委員 きょうは、それ以上の答弁は無理だと思います。一応私の提言につきましても、十分に御検討をいただきたいと思います。  次に、これは後で聞いたのですが、補助金という名前はついておりますけれども補助金整理の角度からの質問に的確でないようですが、しかし、一般の自治体ではあくまでも税金補助金として流れてきているのだという感覚でおりますので、あえて取り上げたわけです。適正でないかもしれませんけれども、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。  と申しますのは、貯蓄奨励事業費補助金というのが各自治体に来ているようであります。これは五十五年度は五万円来ておりましたが、本年度は十万円になったそうであります。五万とか十万、これは、一月のお金ならまだしも、一年間でこれだけのお金をくれたって使いようがないと言うのですね。そして、これもやはりどういうことをやったかということを報告しなければならないと思いますが、本当に頭が痛いそうであります。どうやっているかということは各市町村ばらばらであると思いますが、これだけの金額で、これでやることを存続しておいていいものかどうか。  これは、最初は大蔵省から市町村に流れたと思うのですね。いまは貯蓄増強中央委員会というものから行っていますから、お金が税金から離れて、日銀のお金が出ているというのですから、税金かどうかということになるとちょっと疑問がありますけれども、名前は補助金になっている、こういうふうに聞いております。こういうお金が市町村に出されているのですけれども、五万や十万もらってもどうにもしようがないのじゃないかと思うのです。  幸いなるかな、わが国は、国民が貯蓄というものについては非常に努力をしておりましていいのですけれども、本当に貯蓄を奨励するというのなら、グリーンカードの点なんかを少し考えた方がよほどいいのじゃないかと思うのですね。あれをやるとがたっと貯蓄が下がりますよ、はっきり言いまして。片っ方は五万や十万をくれておいて、グリーンカードをやってがたっと落ちたら何にもならないのじゃないかと思います。何でこんなばからしいことをやるのか、そのばからしさについてひとつ御説明を願いたい。
  22. 上川名清次郎

    ○上川名説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のございました貯蓄奨励費補助金と申しますのは、先生のお話にございましたように、民間団体でございます財蓄増強中央委員会というところがございまして、そこから、自分の予算の中から出ております地方庁助成費ということを意味しているのだろうと思います。したがいまして、この地方庁助成費といいますものは国の財政負担ではございませんで、支出につきましても当局が特に関与をしているところではございません。しかしながら、政府といたしまして、私ども大蔵省銀行局の中に貯蓄奨励官というポストがございますので、そういった観点からちょっと御回答申し上げたいと思うのでございます。  先生も御承知のとおり、貯蓄といいますのは、個人生活の安定と向上というふうなこと、さらには日本経済全体の健全な運営の見地から、非常に大切だと思っております。おかげさまで、ことしの六月、三百十六兆円という非常に大きな個人貯蓄の残高になっておりまして、これがいろいろな意味で日本の安定成長を支えておる財源になっておることは確かだと思います。したがいまして、こういった育成ということが必要になってくるわけでございますけれども、地元と密着した貯蓄活動といいますのは、どうしても、都道府県といいますかあるいは市町村といいますか、そういった末端の行政機構を通じましてやっていただくことが一番よろしいわけでございます。  そこで、貯蓄増強中央委員会におきましても、地方交付税交付金とともに、これも先生のおっしゃるようにスズメの涙みたいな金額ではございますけれども、御承知のとおり貯蓄といいますのは、小さな芽を大きく育てていくというふうな目的がございます。まあ、ささやかな金額ではございますが、これを地方公共団体が少しでも有効に、適切に活用していただきまして、そしてその貯蓄の心を育てていただくということに使われるならば、われわれとしては非常に幸甚だと思っておりますので、そんなふうな角度から、私ども、直接チェックはしておりませんけれども、そんな感じで見ているわけでございます。
  23. 石川要三

    石川委員 これは大変高邁な御説明を聞いたのですけれども、どうも納得できない点があります。  小さい芽を大きく育てるとか、なかなかいいことを言われましたけれども、日本のことわざにはいろいろなのがありまして、貧乏人の銭失いとかなんとかいうのがありますが、こんな少額の、五万や十万のお金を市役所や何かにくれたって、市役所の方も困るのですよ。これでは育つような芽にならないですよ。それはいま直接の交付金でやっていない形らしいのですけれども発想は一番先は大蔵省にあったし、政策はおたくの方から出たと思うのですよ。それが変形していまのような形になっていると思うのです。だけれども、さすがにこれは大蔵省も、こんな形をいつまでもやっていたんじゃとてもたえ切れないというのでおっ放してしまって、向こうの方でやっているんじゃないかなと勘ぐらざるを得ないのです。  いずれにしましても、それは質問をさらに重ねても仕方がありませんが、私は、こういうこともちりも積もれば山となるので、余り少額のものをこういうふうにやっても何らの行政効果も期待されないし、どうかな、こういうふうに思いますので、これは意見の交換ということだけで結構であります。  次には、行政の簡素化、こういったようなこともいま行革の大きな問題点でありますが、ここで一、二お尋ねをしたいと思うわけであります。  一つには、これまたちょっとややこしいことでありますが、国民年金というものは、市民が加入して市役所にお金を払うわけですね。そうすると受けた市役所は、印紙を購入しまして、それを貼付して、そして社会保険事務所の方に提出をしているのが現状であります。  この作業を絵図で見ますと、市民が加入手続をして、市役所まで行ってお金を払う、これはいいのですが、市役所はその書類とお金を直ちに持っていかないですね、これは法律的な問題があると思うのですが。そこで、印紙を買いに、これは市によっても違うでしょうけれども、大体年間二十回、私の地元の市では社会保険事務所に行くわけです、一々電車賃を使って。そしてそれを張って、今度はまたその保険事務所に月に一遍は行かなくてはなりませんから、十二回ばかり行きますね。そうしますと、年間三十何回か電車賃を使って一々行かなきゃならない。  私は、これをもう少し何とか簡素化できるのではないかと思うのです。確かに、国民年金法第九十二条の中に、印紙をもって云々ということを書いてありますから、法律的な問題があると思いますが、法律は変えればいいのですから、人間がつくったのですから。だから、そういうことで、このやり方というものについては、私はもっと変えてやるべきだと思いますが、これができないものかどうか。  これは、全国の収入役会とかいろいろなところで、再三にわたってこの問題は要望していると思います。また、私ももう二年ぐらい前に、本席でもってこの点については質問したことがあると思いますが、当時は何か検討するということですが、どの程度検討されたか、そこいらもひとつお聞かせをいただきたい。
  24. 阿藤正男

    ○阿藤説明員 お答えを申し上げます。  国民年金の保険料の納付方式につきましては、御指摘のような問題がございます。したがいまして、さきにも申し上げましたとおり、御質問趣旨を踏まえまして、改善すべくいま鋭意検討を進めておるというところでございます。  ただ、御承知のように、この問題につきましては、もちろん関係法令の改正もございます。それから、現在は印紙売りさばき手数料というかっこうで手数料を払っておりますが、印紙の介在をなくいたしますと、それにかわるべき経費面の問題あるいはその徴収方法の問題等がございまして、いろいろ検討すべき事項が多岐にわたっておりますので、なお検討は今日に至っておりますけれども、できるだけ早い機会に成案を得まして関係省庁と協議をいたしまして、ぜひ早期にその改善方を実現いたしたい、努力してまいりたいと考えております。
  25. 石川要三

    石川委員 検討されているということでございますが、私も五十四年に質問していると思いますが、検討されているならどの程度まで検討されたかを——ただ検討されています、近いうちに何とかしますということじゃ、やはり繰り返しになってしまうと思うのです。ですから、本当にやる気があるなら、これくらいまで研究したんだけれども、この先でだめだったとか、どうしてもこれが壁にぶつかって、この壁が厚くて破れませんとか、何かもう少し具体的にそこいらの点もひとつお話を聞きたいと私は思うのです。  これは全国の収入役とかいろいろなそういったところから、長いこと検討されているのですよ。私が国会議員になる以前から、いろいろな機会に、これだけは何とかできないものかという強い要望もあるし、陳情もあったと思うのです。だけれども、依然としてそれがやはり法令の問題でだめだということになってきているらしいですね。だけれども、いまの行革というのは、そういったようなことをできるだけ積極的にやるのが行革であって、できない、できないと言っていたんじゃ、何にもできないと私は思うのです。  特に、印紙をわざわざ買いに行って、そして張ってまた持っていくというのは、どうしても法律が直ちに改正できないのなら、印紙を収入役のところに預けておいたっていいじゃないですか、市役所に。それだけだって、買いに行く手間はなくなりますね。そういったようなことが中間的な方法論としてとれないものか。悪いけれども、検討していると言うだけで、実際に果たして本当に検討してくださったかどうか、どの程度まで検討したのか、どこが隘路なのか、そこをひとつはっきりと御説明願いたいと思う。  それからもう一つ、手数料云々ということを言われましたが、実費を計算したら、果たしてその手数料が多いか少ないかということになると、ちょっと疑問だと思うのですね。実際にいま言ったように、二十回も買いに行ったり納めに行ったりなんかするようなこと、それから、それにかかりっきりの職員人件費などを細かく計算すると、果たしてそれが適正なものかどうかということもあるのです。ですから、あなたのいまのお話では、そういった手数料も含まれて云々なんということが、何か今日まで変えられない理由の中に含まれているような印象をいささか与えられましたので、あえてその点を申し上げたわけです。
  26. 阿藤正男

    ○阿藤説明員 実は、先ほど先生がおっしゃいましたように、各市町村もこの印紙制度の廃止については強く要望いたしております。毎年、全国の国民年金に関する都市協議会というのがございまして、私も毎回出席いたしておりますが、要望がございまして、こちらも、はっきりとこの点については改善をする方向で検討いたしたいと答弁をいたしております。  ちょっと中身にわたりますが、まだ内部的に先ほど申し上げたとおりに検討を進めておる段階でございますから、具体的にどうこうということは申し上げられませんけれども結論は別といたしまして、過程として申し上げますと、現在は、市町村に直接国庫金として保険料を納付していただくことができないような関係法令になっておりますけれども、それを改める際に、たとえば農地関係農地対価等徴収令というのがございますが、そういう方法でやれないものか。直接会計法の改正でなくて、農地関係なら農地関係で、いま申し上げた農地対価等徴収令等のそういった政令等を設けましてやっている例がございますが、そういった方法でやれないものかとか、先ほど申し上げた手数料の関係については、今度は印紙制度を廃止いたしますと、印紙売りさばきの手数料がなくなるわけであります。これはやはり、市町村に現年度分の保険料の収納は委託しなければならないだろうと、まあ当然でありますが、考えておりますが、その場合に、印紙の売りさばきがなくなりますから、その手数料にかえましてどういう経費を出すか、どういうような形でその手数料にかわるべきものを見ていくか。たとえば委託費とかいろいろございます、交付金もございますが、そこらあたりも、どういう形で出したのが一番実態に即するか、そういったこと等がありまして、いま申し上げた、そういう農地関係等とかあるいは委託費、あるいは交付金かというような点をいろいろいま検討いたしておる、具体的にそういう検討も進めておるということでございます。
  27. 石川要三

    石川委員 努力してください。  それから、時間の関係上、もうあと二、三分でありますから……。  やはり行政簡素というような立場から見て、これから新しい時代の中で、幼稚園、保育園というものが非常に乱立しまして、いまの時点では母親、親の立場からすれば、もう極端に言えば、うちの子はどこか近所に預けたい、幼稚園があれば幼稚園、保育園があれば保育園、別に、保育園があっても幼稚園へ行きたいからさらに遠くの方とかということは、比較的なくなりつつある傾向にあると思うのです、完全だとは思いませんが。どこでもいいから早く子供を預けたいという願望が非常に強いし、それからまた、そういう集団生活の中で、他人には迷惑をかけない、自分のことは自分でできる、うそは言わないというような基礎的な、人間としてのいろいろな教育を身につけてもらいたいというのが親の願望だと思うのです。  そういう中で、幼稚園、保育園というものも非常に数がふえて、特に保育園が非常にふえてきたということから矛盾が非常にあるのです。ですから、もうそろそろ幼保一元化を積極的にやるべきだ。ところが、幼保一元化というのは、法律がスタートが違いますし、なかなかむずかしい点があって壁が厚いわけですが、これはぜひひとつ、今後はいままで以上にスピード化して、幼保一元化に文部省もそれから厚生省も、縦割りの行政のそういったようなものを超越してこの問題には真剣に取り組んでいただきたいと思います。  特に、幼稚園、保育園もともでありますが、公立と私立の間で、子供が今度は数が少なくなるときになりますと、お互いに非常に食いっこするわけですね。そこで私立が圧迫されている。時間の関係とか年数の関係とか、いろんなそういった点で幼稚園も困っている、保育園も困っているような点がございますので、そういったようなことの是正をひとつ十分にやっていただきたい。それは一元化とは直接関係ありませんが、その過程としてそういう問題が起こっておりますので、そこいらについて、あと一分しかなくなりましたから、きわめて簡単に考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 内田弘保

    ○内田説明員 実はこの問題につきましては、五十二年に発足しました幼稚園及び保育所に関する懇談会の先生方に検討していただいたわけでございますが、六月に出ました結論では、この幼稚園、保育所ともそれぞれ機能、目的が違うので、現在は簡単に一元化できるような現状にないというような御報告が出たわけでございます。私どもとしましては、当面この趣旨を尊重いたしまして、そこの報告の中に盛られていますたとえば幼稚園の未設置市町村の解消とかあるいは少ない地域にもう少し増設するとか、あるいは私立幼稚園の園児の経費が非常にかかっているのでこれについて国及び地方公共団体がもう少し援助すべきであるというようなことについて、現在の財政状況下でございますが、できるだけ努力してまいりたいと思っております。  確かに、お話がありました問題につきまして非常に大きい問題、いろいろな問題が絡んでおりますが、私ども文部省としましては、とにかく幼児教育が重要であり、教育普及の機会均等が大切であるという観点から、できるだけ希望する幼児全体に幼稚園教育を普及してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  29. 横尾和子

    ○横尾説明員 幼保一元化の問題で関係学識者が一番悩みますのは、役所の机の上の整理で一元化をしてしまって子供の方は大迷惑という形が残ったのでは、これは何にもならないわけでございます。特に、保育所でただいま生活している子供の必要とするものというのは多様でございますし、また、相当の力を差し伸べなければいけないようなものがございます。子供の生活にとって何が必要かということを踏まえました上で、この問題、研究させていただきたいというふうに思っております。
  30. 石川要三

    石川委員 時間が参りましたから、私はここで質問を終わりますが、さらに最後に、大臣に心から要望申し上げたいことがございます。  それは、この数年、特に公共事業の抑制などをやっておるわけです。そうしますと、そのかわりに地方自治体では単独債の問題が出てくるわけですが、片っ方の国の方は公共投資を抑える。その一つの補完的に地方単独事業というものを拡大すべきである。その場合には、起債との関係もありますが、どうしても財源的な問題があるし、地方財政計画そのものに問題があるならば、起債の率を変えても私は拡大をしていくべきではないかと思います。そこいらは答弁は要りませんが、御検討の上ひとつ十分に御配慮いただければありがたい。  最後に、これからの十二月の問題として例の国保の問題があります。これは大臣の答弁をしばしば私聞いておりますから、本当に大臣のお考えはそのとおりであります。行革は全面的に賛成でありますが、行革といっても本当に行革に値するかどうかということに疑問がありますので、こういったような点については、自治大臣としての立場上大いにひとつ努力をされて、所信のような方法でお力をこれからも発揮していただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わらしていただきたいと思います。
  31. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 一言だけお答え申し上げておきます。  単独事業の件につきましては、私も最大限の努力をいたし、地方の実情に即しまして単独事業を増加するように心がけてまいります。  起債の問題もそういう方針で処置をいたしますから、各自治体においてもこの点についてひとつ配慮してもらいたい、こう思っております。  それからもう一つ国民健康保険の問題についてはしばしば申し上げておりますが、これは単なる財源のツケ回しというようなことではいけないということが結論でございまして、これは私としてはこれから努力をしてまいります。  それから先ほど補助金の問題、いろいろ聞いておりましたが、これは現在中央官庁というのは御承知のとおりみんな縦割りですね。それを辛うじて総合行政をやっているのが市長さんやら町長さんです。それは非常に苦労が多いのです。むだもわかるのです。だから、中央官庁におきましても一つ一つの項目をとればみんなごもっともなことではありますけれども、それが末端におきまして総合的にできるような補助条件なりそういうものをもっともっと緩和して、地方の自治体に対してこれが自由に使えるような、機動的に使えるような仕組みをやはり考えるべきだろう。零細なものは整理をするということのほかに、そういうことを痛感いたしております。全くこの点は同感でございます。
  32. 石川要三

    石川委員 どうもありがとうございました。
  33. 左藤恵

  34. 松本幸男

    松本(幸)委員 いま天下の御政道の中で最大の政治課題とされておりますのが、ほかならない行財政改革の問題でありますけれども、この行財政改革の問題というのは、累積した膨大な赤字をこれから政府支出の削減によって解消していこう、そして財政を再建しよう、こういうところに主たるねらいがあるのだと思います。そういう財政再建のために政府支出を削減していく、こういう現況のもとで、今日の日本の経済状況あるいは景気の見通し、こういったものについてどのようにとらえられているか、まずひとつ経済企画庁の方からお答えをいただきたいと思います。
  35. 宮島壯太

    ○宮島説明員 お答え申し上げます。  現在の景気の動きでございますが、わが国経済は現在緩やかな回復過程にあるものと考えられますが、その内容を見ますと、国内民間需要の回復の足取りは緩慢でありまして、景気の動向には業種別、地域別、規模別に跛行性が見られております。このような経済情勢にかんがみまして、去る十月二日、経済対策閣僚会議におきまして、「当面の経済運営と経済見通し暫定試算」を決定し、本年度下期の経済運営の基本方向を決めたところでございます。こうした経済運営の基本方向のもとにおいて、わが国経済は経済の各方面における跛行性を是正し、内外需の均衡ある発展を期することができる、このように考えております。
  36. 松本幸男

    松本(幸)委員 緩やかな回復の過程にあるけれども、なおかつ地域あるいは業種、規模等によってなかなか不況がまだ払拭されない、そのために経済対策閣僚会議で当面の経済対策について決定をした、こういうお話でございますけれども、端的に言って十月二日に決定をしたこの経済対策閣僚会議の経済対策、景気対策というものを拝見いたしまして、確かにおっしゃるような地域あるいは業種、規模、こういったところに景気のばらつきがあるということもわかるのでありますけれども、今日の不況の最大のものは、何といっても住宅産業といいましょうか住宅関連の業種、これは地域を問わずあるいは規模を問わず、全般的に全国的な不況の最たるものではないか、こういうように考えるわけでありますが、そのことについてはほとんど言及されてない。果たして、これでいわゆる景気対策と言えるのかどうかと思うわけでありますが、そのことに関しましてひとつ御意見をいただきたいと思います。
  37. 宮島壯太

    ○宮島説明員 お答えを申し上げます。  先生御指摘の五十六年十月二日に経済対策閣僚会議で決定されました「当面の経済運営と経済見通し暫定試算」によりますと、「経済運営の基本方向」という中の二といたしまして「均衡ある内需の回復」という項目がございます。その中の五番目に「住宅建設については、本年七月に取りまとめられた住宅・宅地関係閣僚連絡会議の意見を踏まえて、第四期住宅建設五箇年計画の的確な実施に努める。なお、住宅金融公庫の昭和五十六年度貸付枠の完全消化に努める。」という項目を設けておりまして、政府としても住宅建設の景気に対する重要性というものを認識して、ここに掲げた次第でございます。
  38. 松本幸男

    松本(幸)委員 これからの経済見通しあるいは景気の動向に対して緩やかながら回復の過程に入ってきたというようなことで、やや楽観的な見方をされているという感じがするわけでありますけれども、いま政府がやろうとしている政府支出を削減する行政改革、これが今後三年間にわたって実行されていった場合に、日本の経済あるいは景気といったものはよくなるのか、あるいは悪くなるのか、ほとんど変わりがないということなのか、その辺の見通しにつきましてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  39. 宮島壯太

    ○宮島説明員 お答えを申し上げます。  松本先生御指摘の行財政改革あるいは財政再建が景気にどういうような影響を与えるかということでございますが、この行財政改革の景気全般に及ぼす効果につきましては、来年度予算がどの程度の規模になるのか、あるいはその内容がどういうようになるのか、まだ確定してございません。そういう段階におきましては、ここで先生に具体的に申し上げることができないわけでございますけれども、一般論として考えてみますと、歳出の規模の圧縮というのは公共部門による需要の抑制となります。  しかし、その反面、公共部門の縮小によりまして民間部門の活力が高められるという効果も、あわせ考える必要があると思います。つまり、公共部門の圧縮によりまして、それを圧縮しなければ増発をせざるを得なかったかもしれない国債、あるいはこれは国民の選択でございますが、国債も出せない、歳出も切れない、そうすると国民に税を負担していただかなくちゃいけない、それが公共部門の圧縮によりまして避けられるわけでございますから、そういったことによりまして民間部門の活力を高めるというメリット、あるいはもう一つ考えられますことは、財政の対応力が歳出規模の圧縮によりまして回復する、こういうメリットも考えられます。  いずれにいたしましても、先生も御承知のように、行財政改革というのはぜひとも実現すべき重要な課題でございますので、経済企画庁といたしましては、民間活力を重視した経済運営を通じましてこの行財政改革が円滑に実施されるよう努めてまいりたい、このように考えております。
  40. 松本幸男

    松本(幸)委員 いまの御説明によりますと、行財政改革によって政府支出を削減する、しかしその分だけ民間の活力が強まっていくというような御説明でございますけれども、五十四年、一昨年でありますか、いわゆる大企業、大法人の設備投資が行われて、その翌年つまり五十五年度においてはそれが今度は中少企業に及んでいく、こういう見通しを立てていたわけでありますけれども、一昨年の大企業、大法人等の設備投資はかなり順調に伸びましたものの、その後に続くべき中小企業分野における設備投資は一向にふるわない、これが見通しと大きく食い違った点でありまして、この傾向というのはことしも続いているわけであります。ことしもまだ、いわゆる中小企業分野における設備投資というものはなかなか行われていない、こういう状況にあるわけでありまして、果たしていまのような説明が説明のとおりにいくかどうかというようなことについては、大変危惧を持つわけであります。  私は、日本経済全体の体質というのは、いわゆる財政主導型といいますか、特に景気については政府支出、いわゆる官公需に依存をしてきた部面というものが非常に大きいんじゃないかというように思うわけであります。それがつまりは、八十二兆円もの膨大な国債残高を生み出した原因にもなっているわけであります。そのために国の財政が破綻といいましょうか、深刻な危機を招いてしまった、そういう原因になったわけでありますけれども、このように膨大な国債を発行して景気対策を講じたけれども、一部の大企業、大資本は別といたしまして全般的に景気の方はなかなかよくならない、しかし膨大な借金だけは残ってしまった、こういうことだろうと思うわけであります。  そういった景気の動向を判断する一つの材料として、五十六年度における法人税収あるいは地方税を含めまして法人税を中心とした税収の実績あるいは見通し、こういったものがどうなっているのか。先日も、都道府県の法人事業税税収等が六年ぶりにいま非常に減ってしまったというようなことが新聞でも報道されておりますけれども、景気の動向を占う一つの手段として法人税収の実績あるいは見通し、こういったことにつきましてひとつ御説明いただきたいと思います。
  41. 関根則之

    ○関根政府委員 地方税について先に申し上げますが、八月末の都道府県の税収のまとめができておりまして、それによりますと、御指摘のとおり法人関係税の税収の入り方が悪うございます。特に法人事業税が計画に対しまして落ち込んでおりまして、地方財政計画で見込みました額を確保いたしますためには、対前年度比で一七・七%ほど伸びなければいけないわけでございますが、八月末では前年同期に対しまして九・四%しか伸びておりません。したがって、数字の上では八・四%の対計画減というようなことになっております。ほかの税目といたしましては、自動車取得税等がちょっと落ち込んでおりますが、これはそれほど税額においても大きな問題ではございませんので、大きな問題にはならないだろうと思います。  今後の状況等につきましては、まだ年度半ばでございますし、ウエートの高い九月の決算法人の決算状況を見た上でないと、これの申告が十一月末になりますので、その後でないと何とも申し上げかねるという状況でございます。
  42. 真鍋光広

    ○真鍋説明員 国税の収入の方も、五十六年度分につきましては八月末まで計数が出ております。  法人税収につきましては、ただいま地方税から御説明ございましたが、国税の方もやや低調でございます。八月末まででございますから、全体で見ましてもまだまだ二割強、三割弱というところまでしか進捗しておりませんから今後を占うわけにはまいりませんが、法人税につきましては進捗割合は、昨年度に比べまして約四ポイントばかり低い状況にあるということでございます。  ただ、今後の話は、先ほど申しましたようにまだ進捗状況が低いわけですから、どうなるかについてはいまの段階で占うことはできないかと思います。
  43. 松本幸男

    松本(幸)委員 いずれにしても、上期における法人税収の実績は、前年対比大変不調である、こういうお話でありまして、言うところの緩やかな回復過程に入った経済というものを税収の面では少なくとも反映していない、不景気は依然として続いている、こういう状況にあるのではないかというように思われるわけであります。  そこで、行財政改革の関連におきまして、特に私が申し上げたいことの真意は、これから政府支出の削減を伴う行財政の改革を断行していったときに、経済にはずぶの素人でありますから、言うならば素人の勘のようなものでありますけれども、恐らく先ほど申し上げたように、あるいは官公需に依存をした日本経済の体質からいって、政府支出が公共事業を含めてこれから削減される方向に行くとすれば、景気はもっともっと深刻に落ち込んでいくのではないか。そうなりますと、もちろん特例公債のような赤字公債をなくしていかなければならないということは、これは私も決して否定はいたしませんし、それは当然のことなんでありますけれども、これから五十七年度予算が編成される、公共事業等もゼロベース、あるいは各種の補助金、負担金も削減されるということになりますと、ただでさえ低迷を続けている今日の日本の経済というものは、もっともっと不況になってしまって、結果的には法人税収が下期もあるいは来年も落ち込んでしまう。  そうすると、財政収入というものが減っていくので、さらにもっと政府支出の削減をやらなければならないというようなことになって、いわば悪循環のような形になって、言うならば縮小再生産とでもいいましょうか、だんだんじり貧に、しりすぼみになってしまって、政府支出を削減する、景気がなかなかよくならない、法人税収も伸びない、したがって財源不足になる。そうすると、もっと支出を減らさなくちゃならない、こういった方向に行ってしまって、行財政改革が木を見て森を見ないといいましょうか、あるいは角をためて牛を殺すということになりましょうか、活力ある福祉社会というものを大きな目標として掲げているこの行財政改革が、結果的には事志と違って、全く活力ある福祉社会というものとは裏目に出てしまうのではないかという懸念があるわけでありますが、そういう点についてはどういうお考えを持っておられますか。
  44. 宮島壯太

    ○宮島説明員 お答え申し上げます。  来年度の経済がどういうような姿になるかについては、いろいろな計数等から年末に来年度の経済見通しをつくることになっておりますので、現時点において確たることは申し上げられませんけれども、先生御指摘の政府支出が伸びない、そのことによって全体の国民総生産の伸びが大分落ちるのではないか、こういう点でございますけれども、確かに五十七年度は、恐らく国民総生産の構成要素となっております公的需要はそんなに伸びを期待できないのではないかと思っております。しかしながら、過去におきましても、大体五%弱かあるいはそれを超える実質成長をしております年度を見ましても、公的需要が寄与していないときには民間の設備投資であるとか消費であるとか、そういったいわゆる民間需要に支えられましてほどほどの実質成長率を達成しているということから考えますと、来年度におきましても、先生御指摘のように、公的需要に期待できない経済であるからこそ、なおさら民間の活力を重視した経済運営というのがますます重要になってくるというように考えております。
  45. 松本幸男

    松本(幸)委員 この問題だけで論争しているわけにはまいりませんので、私の心配していることは今後の実績によって証明されていくと思いますから、これ以上のことは余り申し上げませんけれども、外需に依存をして、外需を中心として日本経済というものがいまどうやらこうやら保たれている。ところが、これからは内需というものをもっと喚起していかなくちゃいけないという方向だろうと思うのですが、その際に政府支出が削減されるということになると、いわゆる内需の喚起というものと政府支出の削減というものは、これまた矛盾することになるのじゃないかというような感じもするわけでありますが、これはいま申し上げたように、これから先、来年、再来年になってみれば事実が証明いたしますから、そのことについてはこれ以上論争はいたしません。  それからもう一つ、景気対策の一環として、やはり十月二日の経済対策閣僚会議で決められました公共事業の早期発注あるいはまた地方の単独事業についても、これは上半期に集中して前倒しで契約を出していくという方針が決められたようでありますけれども、これで果たして景気対策になるのかどうか、これまた疑問とせざるを得ません。  と申しますのは、限られた当初予算だけの分で上半期に契約を早期に発注して仕事をやるということになりますと、下世話な言い方になりますけれども、余り景気が悪いのでちょっと一杯ひっかけて少しいいきげんになった、調子よくなった。ところが、後さめてみたら、前以上にしょんぼりしてしまうということになりかねない。従来の公共事業等に対する早期発注の場合は、追加補正の予算を組んで、たとえば一〇〇という予算があったときに、上半期に七〇出してしまった、あとは三〇きり残らないので下半期で三〇やるのだということでは、これはいま言った一杯ひっかけた話と同じようなことになってしまうので、当然のことながら七〇%の上半期の事業をこなしたら、あとさらにそれに追加して、下期においても上期と同じように七〇をやるということでなければ、これはとても景気の浮揚とか刺激にはならないというように考えるわけでありますけれども、今日の財政事情のもとでは、とうてい中央地方ともに補正予算を組むというようなことは不可能な事態にあるというように判断をするわけであります。  そうなりますと、この公共事業の早期発注の景気に与える影響あるいは刺激、こういったものの効果というものがきわめて薄いものになってしまうのじゃないかという懸念があるわけでございますが、それらのことについてはどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  46. 宮島壯太

    ○宮島説明員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃいました公共事業の促進の問題でございますが、この公共事業の執行の促進につきましては、去る五十六年三月十七日の経済対策閣僚会議で決められまして、上半期の契約率の目標を七〇・五%ということに決め、前倒し契約を図ったところでございます。全体の量が変わらないのに前倒しと言っても量が同じではないかという御指摘だと思いますけれども、やはり公共事業を前倒しにし、年度全体で仮に同じ公共事業の量であっても、前倒しをした方がその年度全体で見て景気を支える効果は大きいものとその点では考えられます。  またもう一点の先生の御指摘の、先に前倒ししたら残りが少なくなるではないかという点でございますが、こういった財政状況でございますので、公共事業の追加というわけにはまいらないわけでございますが、今回の十月二日の対策におきましては、この公共事業等につきまして下期においても円滑な執行を図るということで、その年度内実施を目標とするということで経済運営を考えております。こういうことによりまして、年度内の最終的な契約率も例年に比べ高くなるものと考えられまして、その結果、今年度の景気に対する影響というのは従来よりも年度内実施を目標とすることによって好影響があるもの、このように考えております。
  47. 松本幸男

    松本(幸)委員 いまの御説明ではちょっと納得いたしかねますけれども、大体公共事業を受注する業者の側においても、これはもう本当ならば年間コンスタントに発注をしてもらった方がいい。上半期にうんと仕事をしてしまって、下半期はまるで暇で手をつるしているという状態は決して好ましいことではない。と同時に、先ほど申し上げたような追加補正をしてさらにそれに追い打ちというか、かけるということであれば別でありますが、この点につきましても、やはりここで論争をするよりも結果を見る方がはっきりすると思いますから、これもこの辺で終わりたいと思います。  次に、まことに単純、素朴な質問でありますけれども、今回の行財政改革というのは、一応今国会に提案されている法案では五十七年から五十九年までの向こう三カ年間、こういうことになっておりまして、この三カ年間の間に五十六年度発行の五兆四千億円ほどの特例公債を、単純に三カ年で割れば一兆八千億程度になるわけでありますが、それを減らしていく、こういう方向のようでありますけれども、八十二兆円という膨大な国債は必ずしも特例公債だけではないはずであります。いわゆる建設国債も含まれているわけでありますが、特例公債は一応三カ年間で解消するとしても、建設国債については引き続き発行が行われていくというように理解をしてよろしいのかどうか、お伺いします。
  48. 田波耕治

    ○田波説明員 今後の建設国債の発行についての考え方でございますが、いま先生御指摘のように、特例公債から五十九年度までに脱却をするというのが当面の財政再建の目標になっているわけでございます。そこで、建設国債についてどう考えるかということでございますけれども建設国債といえども国債であることには変わりはございません。したがいまして、今後の財政需要であるとかあるいは経済情勢に的確に対処するための手段という意味から考えますと、建設国債といえどもそういう国債に大きく依存した財政というのは、やはり不健全ではないだろうかというふうに考えられるわけでございます。  さらに、建設国債といいましても、たとえば先ほど少しお話が出ていたと思いますが、民間資金を圧迫するという問題であるとか、あるいは国債費がふえてしまって財政そのものを圧迫するという問題は同じ問題をはらんでおるわけでございますので、財政当局といたしましては、できるだけ建設国債を含めて発行量を抑制していきたいという考えでございます。この点につきましては、過去に財政制度審議会から考え方が示されておりまして、財政制度審議会では、長期的には公債依存度そのものを一けたに抑えていくべきであるというような提言がなされておるということを付言さしていただきたいと思います。
  49. 松本幸男

    松本(幸)委員 一けたといっても大変幅が広いわけでありますけれども、特例公債さえなくなれば、建設国債をそのまま発行を継続しても大体一けたにはなることになるんじゃないか。一けたというのはどういうことであるか、ちょっとわからなかったのでありますけれども、先日いただきました資料で、昭和四十年度以降発行されてきた建設国債、五十年度以降の特例公債、これを合計いたしますと八十三兆四千七百九十二億円ほどになるわけであります。これを建設国債と特例公債に分けますと、建設国債が四十九兆四千百三十六億円、特例公債が三十三兆八千六百四十六億円、こういうことになっております。  これは、その後の償還額を引かない単純累計でありますけれども、この特例公債は別として、四十年度以降発行されてきた四十九兆四千百三十六億円の建設国債というのは主としてどういうところに使われていったのか、そのことについてなかなか説明がむずかしいというお話でありますが、いわゆる特例公債のように財源不足を補てんするということで調達した公債資金というものは、これは一般的に建設国債とは分離された形で一般財源に入って、特に重点的には教育や医療や福祉の部面に使われたんだ、所管としては厚生省あるいは文部省の所管、こういうことになると思いますけれども、その部分はこれから三年でなくなってしまう、なくしていく。  残るのは建設国債。いまの御説明で、建設国債といえども赤字なんだから、借金なんだから、これはなくしていく方向で考えるべきだというお話があったわけでありますが、これをしも、やはり先ほどの景気対策の関連で、この建設国債のほとんどの部分がいわゆる公共事業投資に振り向けられているわけでありますから、建設国債の発行を漸次削減をしていくということになると、ゼロベース以下にもっと公共事業を縮小していかなければならないということにつながっていくと思う。だから、建設国債の発行は続けなさい、やりなさいということじゃないのですけれども、そういう関係にありますので、いま申し上げたように、いままでの発行された建設国債というものがどういう方向に使われていったのか、あるいはこれからも具体的な計画はないと思いますけれども発行が続けられていくのかどうかということについて、再度お伺いしたいと思います。
  50. 田波耕治

    ○田波説明員 これまで発行されました建設国債がどういうところに使われたかというお話でございますけれども、いま先生御指摘の四十九兆という数字をあいにくちょっと手元に持ち合わせておりませんので、必要があれば後で御説明いたします。  先生御高承のように建設国債は、いまおっしゃられた公共事業費あるいは施設費、そのほかに出資金、貸付金に充てられるという目的を持って財政法で発行が認められているものでございます。たとえば、五十六年度予算で建設国債の発行額が六兆七千八百五十億円予定されておりますけれども、そのうち公共事業費等に向けられたものが六兆千三百七十三億でございますから、ほとんどがいわゆる公共事業関係費に向けられておるというふうにお考えいただいていいと思います。出資金に充てられているのが五千七百億程度でございます。貸付金が千百億ぐらいでございます。
  51. 松本幸男

    松本(幸)委員 時間が余りありませんので、この問題もこの辺で打ち切りたいと思います。  次に、今回の行財政改革がいわゆる増税なしの財政再建あるいは五十七年度予算編成というようなことが言われております。行革特別委員会の中での論議では、何となく五十七年度については増税なしだということがはっきりいたしましたけれども、それ以降の分についてはどうも怪しくなって、果たして五十八年度以降も増税なしということで財政再建が行われるのかどうか。何か話が少しおかしくなっているようでありますけれども、この増税なしの財政再建ということは、国税、地方税を通じて増税なしの財政再建あるいは五十七年度予算編成、こういうことなのか。これは国税だけであって、地方税の方はまた別なのだというようなお考えなのか。その辺ひとつお考えを伺いたいと思います。
  52. 関根則之

    ○関根政府委員 臨調の答申におきましては「増税なき財政再建の推進」という項目の中で「新規増税を行わず、特例公債の発行を減額することを基本方針」として、今後の五十七年度予算の編成に当たりなさい、こういう趣旨答申がなされております。したがって、ここの場所だけを取り上げてみますと、特に主として国の予算編成に関連して国税の問題に言及しているというふうに考え理解すべきものというふうに思いますけれども、基本的な考え方そのものは、地方税につきましても国税と同様な考え方で対処すべきものであるというふうに私どもとしては受けとめておるような次第でございます。
  53. 松本幸男

    松本(幸)委員 この際、大臣にお尋ねいたしますけれども、いま申し上げました増税なしの財政再建が、「行革は国も地方も待ったなし」というような標語があるわけですけれども行革については国も地方もやっていくのだという基本的な考え方の上に立っているわけです。したがって、増税なしの財政再建ということであれば、地方を含んだ行財政再建ということでありますから、これは当然に国税だけに限って増税はしないんだ、地方税の方は知らないよ、増税があるかもしれないということでは、これまたきわめて片手落ちというか、おかしな行財政再建ということになると思いますので、五十七年度については地方税についても増税はしないという考え方なのかどうか、ひとつ大臣の方から御所見を伺いたいと思います。
  54. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 基本的には国と同様に地方におきましても増税はしない、しかし、既定税制のもとにおいての増収は別ですよ、新しい課税をするというようなことは避ける、こういうことでございます。
  55. 松本幸男

    松本(幸)委員 現在の税目の中での増税はあり得るというようなニュアンスでありますけれども、新しい税目を起こしての、たとえば国の場合の一般消費税といいますか、そういったたぐいの全く新しい税目を起こしての増税はないんだ、地方税においても現行の税目の中では増税もあり得るというようなニュアンスの答弁でありますが、そういうことでありますか。
  56. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 増収の場合もあり得る、こういうことでございます、いまの税制のもとにおいて。
  57. 松本幸男

    松本(幸)委員 私は、強い願望として、国が増税をしないということであれば地方もまた増税をすべきでない。国だけは増税しないで地方は増税しても構わない——論理的には地方に負担転嫁をしようとしている行財政改革ですから、地方は大変な負担増になりますので、それの財源として地方税については幾らかふやしてもいいというようなことにも理屈の上ではなるかもしれませんけれども、行財政改革が国も地方も同時に行われる、しかもそこに大目標として増税しないんだということが掲げられているとすれば、地方税の方は増税するんだということでは国民を愚弄するというか瞞着するというか、そういうことにもなりかねないと思いますので、この点は、少なくとも地方負担が増加をすることは目に見えてはおりますけれども地方税においても国民が負担をする場合は、国税であれ地方税であれ自分のふところが負担することになるわけでありますから、それはしないようにぜひひとつがんばっていただきたいと思います。
  58. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 新たなる増税はしない、これは国と同一方針でいくつもりでございます。
  59. 松本幸男

    松本(幸)委員 地方税も増税をしない、こういうように大臣が確約されたというように理解をいたします。ただし、いま予定されているC農地の宇地並み課税等は別だということを大臣はおっしゃりたかったのかもしれませんけれども、全体としては増税しない、こういうように解釈します。
  60. 関根則之

    ○関根政府委員 基本的には五十七年度の予算編成に関連して新規増税をしていかない、大臣はこういう基本方針を御答弁いただいたわけでございますが、同じ臨調の答申におきましても、不公平税制の是正というような観点から租税特別措置につきましての見直しをしろということも論及されておりますし、政府におきましてもこの辺、力を入れてやっていきたいということを考えております。そういう結果によりましては、摩擦的に多少の税収の増減というものが出てくる可能性はございますし、ただいま御指摘をいただきましたような宅地並み課税の実施をどういう形で進めていくか、まだ決まってはおりませんけれども、それの結論の仕方によっては、税額そのものに多少の変動が生じてくることはあり得るものというふうに考えておる次第でございます。
  61. 松本幸男

    松本(幸)委員 大分時間も迫ってまいりましたから、よけいなことを言わずに単刀直入に御質問してまいりたいと思います。  次に、臨調と地方制度調査会との関係につきましてお尋ねをしたいと思います。  一九八〇年代がいわゆる地方の時代だということをお亡くなりになった大平総理が提唱されて、これを鈴木内閣においても継承されておるということでありますけれども、それは今日でも変わりはないというように理解をしてよろしゅうございますか。
  62. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 さように御理解願って結構でございます。
  63. 松本幸男

    松本(幸)委員 そういう前提に立ちまして、地方の時代というのは具体的にどういうことなのかということもお尋ねしたいわけでありますけれども、時間も余りありませんので先へ進みます。  そういった地方の時代だと言われている中で、いままさに行財政の改革が行われようとしておる。それで第二臨調が第一次答申を出して、来年は本格的な答申が行われる、こういう方向になっているわけでありますけれども、この臨調答申に基づく今回の一括法案あるいはこれから出されるであろう本格的な答申、これを屋望してまいりますと、地方の時代というものとはいささか方向が違ったものが出てきそうな懸念がするわけです。  たとえば、具体的にも地方公務員の定年制の導入については、法律をもって地方に強制をしていくということがいま参議院で法案審議が行われておりますし、地方公務員給与の抑制であるとかあるいは定員の削減についても中央が地方に対して強く求めていく。それから老人保健法が制定されますと、これも後ほどまたお尋ねをいたしますが、地方団体が単独事業でやっている七十歳以下の無料化についての制度はやめさせるようにしていくとか、あるいは法律に基づいて本来国が負担すべきいろいろな医療、年金等の費用についても地方に負担を肩がわりさせようとか、さらにまた地方制度調査会の答申によって手がけてきたところの監査制度の充実強化を目指す法律改正についても、これはいろいろな反対があって提案されようとしていない。  こういうようなことを見てまいりますと、いわゆる臨調が何か今日天の声といいますか、あるいは臨調の答申をにしきの御旗のようにして、その方は忠実に、着実に実施をしていくという方向がとられておりますけれども、他方において地方制度調査会が行った十八次にわたる答申についてはほとんど実施に移されていない。地方制度調査会みずからがそのことについて、たびたび答申の中で遺憾の意を表明しているような状態です。  地方制度調査会の場合は、どうやら地方自治の本旨に基づいて、地方の自主性あるいは主体性というものを尊重しながら、地方の事務事業の改善合理化であるとか地方財源の充実であるとかあるいは権限の移譲であるとか、こういったものを目指した答申が行われているわけでありますけれども、臨調答申が目指すいわゆる臨調路線というのは、こういったおよそ地方の時代とは逆行するような、単にいま例示をしたようなことを地方に押しつけていく。言うならば、仕事はそのまま、権限は移譲しない、お金もやりません、こういう式の何かもっと強力な中央集権に逆戻りするような方向が臨調路線ではないかというように私は考えるわけです。  そうなった場合に、これも十分満足すべきものではありませんけれども、せっかく地方団体側に立って行われている地方制度調査会の答申と臨調が行う答申とで相反するような方向として物が出てきた場合に、大臣としては臨調答申に唯々諾々として従う、地方制度調査会の答申については無視していくというような考え方なのか、どちらを尊重して対処をしようとするのか、その辺をひとつお聞かせをいただきたい。
  64. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 臨調の関係においては、御承知のとおりに行政管理庁との間に調整の覚書もあるわけでございます。臨調も、地方自治の本旨に従って国との関係においての問題を処理するというたてまえになっておるわけであります。今後いろいろな事態の推移もあろうと思います。それからまた、今回の答申は五十七年度の予算編成に関しての問題だけ答申をしたわけでありまして、これから本格的な地方と中央との関係あるいは事務の配分の問題、財源の配分の問題等々について答申が行われるわけでありますが、この点については地方制度調査会の意見をも十分に組み入れてもらわなければならぬ。それで、覚書のほかにその観点から地方制度調査会の会長も臨調の委員になっておる。こういうことで、その間の調整をとるたてまえになっておるわけでございます。  お尋ねの点は、今後地方自治の本旨に反するような答申が行われた場合におまえはどうするのかということでございますが、やはり地方自治の本旨を堅持するというたてまえでもって対応していくつもりです。
  65. 松本幸男

    松本(幸)委員 ますます時間が少なくなってまいりましたので、この問題につきましてもこれで打ち切らしていただきます。  もう一つは、五十七年度地方財政計画策定の方針についてお尋ねしたいと思ったわけでありますが、時間がございませんので要望だけにとどめておきたいと思います。  今回の臨調答申によって一括法案で出されもののほかに、いわゆるペンディングとなって暦年の五十六年末、予算編成時までに結論を出すといった問題で地方にかかわりのある問題が幾つかあるわけでありますが、そういう点から地方団体においては来年度の予算編成については全く手がつかない。これは中央待ちであって、そういった問題がどういうふうになるのかさっぱりわからないから、経常経費は別として、政策的なものについてはもう全くお手上げの状態で予算編成できない。こういう状況でありますので、この点については十分地方の実情というものを配慮しながら、それらのことをぎりぎりのところまで延ばしていくというようなことではなくて、たとえば国保の負担を都道府県にさせるというようなことについて、早く結論を出せという意味ではありませんけれども、やらなくしていただければ結構なんでありますが、その点について十分御配意いただきたいというふうに思います。  続いて、地方公務員給与改定のことにつきましてお尋ねをしたいと思いますけれども、前国会から継続案件となっております三公社五現業の仲裁裁定の実施につきましては、どうやら目鼻がついたといいますか、見通しが立ってきたようであります。三公社五現業の仲裁裁定の実施が行われれば、当然人事院勧告に基づく国家公務員給与の改定も行われる。三公社五現業だけが給与改定されて、国家公務員についてはそのまま据え置きというようなことはよもやあり得まいということになるわけでありますが、何か多少政争の具に供せられているような感じもありまして、なかなか結論が出されない。また一方では、税収が不足というようなことで補正の財源がなかなか見つからないというようなこともあるようでありますけれども、いずれはこれは実施をされていくということになりますと、その後に地方公務員給与改定というものが控えているわけであります。  まず、地方公務員給与改定について、都道府県あるいは政令都市等の勧告の状況はどうなっているのかということと、その勧告に基づいて給与改定を実施する場合の財源措置、国家公務員地方公務員も五十六年度はそれぞれ一%の先組みがしてあるわけでありますけれども、そういったものを含めまして勧告の状況と実施に当たっての財源措置につきまして、ひとつお話をいただきたいと思います。
  66. 大嶋孝

    大嶋政府委員 人事委員会の勧告の状況がどうかということでございますが、現在私の手元に参っておりますところによりますと、この九月九日に横浜市ほか二市が勧告を行いましたのを皮切りにいたしまして、現在までのところではすべての指定都市とそれから二十数都県において勧告が出されております。勧告の率は、国が五・二三%でありましたが、おしなべて若干それを下回るような率の勧告がなされておるという実情でございます。
  67. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 給与改定がどういうふうに行われるか、今後の国家公務員についての状況等を待ちたいと思っておりますが、いま御指摘のございましたように、仮に人事院勧告どおり五・二三%上げたといたしますと、四千九百億円ぐらいの財源が必要となってまいります。一%、九百三十億円だけ先組みをしてございますから、三千九百七十億円というものが必要になってくるわけでございます。そこらの点については、いろいろ勧告はあるようでございますけれども、国家公務員に準じてどのような方針が出されるか、そこらを見た上で私の方としては適切な対処をしたいと思っております。
  68. 松本幸男

    松本(幸)委員 その点につきましてもなおお尋ねしたいこともありますけれども、時間が参りましたので最後に、老人保健法に関連いたしまして二点ほどお尋ねをしておきたいと思います。  一つは、老人保健法が仮に成立をいたしますと来年の十月から施行されることになるわけでありますが、この老人保健法の負担区分等につきましては御案内のとおりであります。この中で今度は、被用者保険あるいは国保から老人医療というものは切り離されて老人保健法の適用を受けることになるわけでありますけれども、たとえば、被用者保険に加入をしていて六十歳で定年になった、そして今度国保に加入したといったような場合、法律による負担区分を見ますと、もとの保険者は七〇%の医療費の負担をすることになっております。もとの保険者というのは、定年以前に在職をした保険なのか、あるいは定年以後に、六十歳定年になって七十歳まで加入をした国民健康保険がもとの保険者ということになるのか、その辺のところをひとつお伺いをしておきたい。  もう一つは、これは法律そのものにはまだ出ておりませんけれども、臨調答申の中に含まれております、先ほどもちょっと申し上げましたが、各地方団体が行っております単独事業としての七十歳以下の無料化制度、これについては臨調答申では、そういうことはやめさせるべきだ、廃止をすべきだ、こういうことを言っているわけであります。この法律が施行された後に、実施をしている地方単独事業としての七十歳以下の医療費の無料化制度について、自治省としてはこれをやめさせるという考え方なのかどうなのか。  以上、二点お尋ねしたいと思います。
  69. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 前段の、今回の老人保健法が成立した場合の負担の関係につきましてお答えを申し上げます。  今回の老人保健法によりますと、七十歳以上の老人につきましては、従来の保険から切り離して新しい老人保健制度をつくるということでございます。その必要な医療費の中の三割部分は公費、残り七割が各保険者、つまり政管健保、組合健保あるいは公務員の共済、国保等を含めた各保険者がそれぞれ拠出をする、こういうことになるわけであります。いまお尋ねのように、六十歳定年、六十歳で現役を退きまして、従来組合健保に加入しておった人が職がなくなりましたので国保に加入する、その方はあくまでも国保の所属でございます。したがって、従来そういうケースが非常に多いために、国保の財政が大変苦労をしておったということでございます。  しかし、今回の老人保健法によりますと、各保険者の間の負担の仕方は、一部はその保険ごとの医療費の額でいく、その他の部分につきましては全体の加入者の割合、老人もその他の者も一切含めた加入者の各保険ごとの割合。この割合をどの程度で、たとえば半分くらいを医療費でいく、残り半分はその加入者の数の割合でいくというようなぐあいにするのかどうか。これは政令で決められることになっておりますが、いずれにいたしましても医療費だけで拠出金を案分いたしますと、国保にとっては、御承知のように老人医療費が非常に多うございますから大変不利になるわけでございますが、加入者で案分をいたしますと、国民健康保険の場合には、それに比べるとはるかに負担が少なくなる。この間の割り振りの関係をどうするかということが、実は大変大きなこれからの問題になろうかと思います。  そういう観点でございますので、いまお示しになりましたようなケースにつきましても、その方が病気になられて、そしてその医療費を負担する場合の負担は、三割は公費、それから残りの部分については、いま申し上げました各保険者ごとの拠出金でプールしたもので出す、こういうことになるわけでございますので、国民健康保険そのものがストレートに負担をするということになるわけではございません。全体のプールとして負担をするということでございます。
  70. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 後段についてお答え申し上げます。  老人医療の無料化は、各地方公共団体が自主的な判断によって現在行っておるところでございます。このような単独事業につきましては、その必要性行政効果、将来にわたる財政負担、また国の制度の動向等、こういうものを勘案いたしまして慎重に判断すべきものと考えております。  自治省といたしましては、個々の行政分野について個別に指導することは考えておりませんけれども、本年度の次官通達におきましても、「事務事業の選択にあたっては、行政が真に責任を持つべき分野を的確に見極め、地域の実情に即して十分その緊急度を検討し、更に将来の財政負担についても考慮して、財源の重点的配分に徹すること。」こういう指導を行っているところでございまして、今後もこういう方針でいきたいと考えております。
  71. 松本幸男

    松本(幸)委員 時間が参りましたので、最後に、大臣に一言お尋ねしておきたいと思います。  保健法自身は社労の方で本格的な審議が行われると思いますので、自治省にかかわるのは、実施をされた後に地方団体が行っておる七十歳以下の無料化制度についてどうするかという問題だと思います。  現在、地方団体が行っておりますこういった無料化制度の年齢を引き下げる措置について、大臣としては、結構な事業であるというように考えておられるのか、まことに苦々しい、余り好ましくないことだというように考えておられるのか、その辺ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  72. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 これは、私は結構なことだとは考えておりません。しかし、それはいかぬことだとも言えない。要するにこの判断というものは、自治体の責任者がその問題についての将来の財政負担でありますとか、その団体のいろいろな政策の選択の問題でございますとか、そういうようなことをひとつ十分に考慮して、慎重に判断すべきものである。さらに現下の諸情勢から見ますと、今後における地方財政状況というものも決して楽観を許さない問題もある。そういう点をも十分考慮して慎重に判断をして、責任者の責任においてこの問題は処理すべきであろう、こういうふうに考えておるところです。
  73. 松本幸男

    松本(幸)委員 大臣から好ましいことであるという答弁があるものと期待をしていたのでありますけれども、何か好ましくもない、あるいはそうかといって好ましいとも言えないという答弁で、さらにこの取り扱いについては地方団体が自主的に責任を持って判断すべきものであるというお答えがあったわけでありまして、それで結構でありますけれども、要するに臨調の答申があっても、そのことの事業を継続実施するかしないかということは、これはあくまでも、政府が関与して強制的にやめさせるという性格のものではなくて、地方の自主的な判断そのものにお任せするという大臣のお考えであるということを確認いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  74. 左藤恵

    左藤委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時六分開議
  75. 左藤恵

    左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川省吾君。
  76. 小川省吾

    小川(省)委員 人事院においでをいただいておりますので、まず人事院からお伺いをしてまいりたいと思っております。  仲裁裁定の完全実施の方向を決めた政府が、よもや勧告を値切ることはないだろうと思っておりますけれども、もし勧告を値切るようなことがあるとするならば、人事院としてはどういたしますか。
  77. 長橋進

    ○長橋政府委員 かねがね申し上げておるところでございますけれども、勧告と完全実施につきましては、人事院としましては勧告制度の趣旨、それから長年果たしてきました役割り、そういういろいろな事情を考慮いたしまして、完全実施を念願しておるところでございます。  いまお尋ねは、値切られた場合にどうするかということでございますけれども、現在政府におかれましては大変苦しい財政事情にございますけれども、誠意を持ってせっかく検討されているというようなことでございますので、私どもとしましては、完全実施の線に沿って取り扱われますように衷心から念願しているということでございます。
  78. 小川省吾

    小川(省)委員 人事院が労働基本権の代償措置として設置された以上、当然勧告は尊重されなければならないわけであります。いま政府は、税収の見通し云々ということで逡巡をしておるわけでありますが、人事院は、ただ拱手傍観をしているばかりではなく、することがあるんではないかというふうに思っていますが、いま何をやっていますか。
  79. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答え申し上げます。  人事院勧告の完全実施につきましては、関係者の方々の大変な御努力によりまして今日までいろいろ積み上げられてきたところでございまして、これは例年のことでございますけれども、人事院も給与勧告に際しましては、冒頭で速やかな実施をお願いするということを明記しているところでございます。ことしの場合にはいろいろな事情を考慮いたしまして、特に報告文の中で勧告制度の意義あるいは役割り等について強調したところでございますし、さらには勧告に当たりまして、総裁が衆参両院の議長、それから総理大臣関係大臣にお会いいたしまして、るるお願いしたところでございます。なお、その後におきましても、機会あるごとに大方の理解を得るためにいろいろ努力しておるということでございます。
  80. 小川省吾

    小川(省)委員 機会あるごとに努力をしておるということであります。結構なんでありますが、ぜひひとつ念を押して、早期に完全実施ができるように促進方をお願いをいたしたいと思っております。  例年、閣議決定は、何かいろいろなそのときの政治情勢に絡んで異常におくれがちなんでありますけれども、例年の決定は大体どのようになっておりますか。
  81. 熊澤二郎

    ○熊澤説明員 前年の五十五年の例でございますと、十月の二十八日に給与関係閣僚会議において人事院勧告の取り扱いについて決定いたしております。その前の五十四年は十一月の二十二日でございます。年によってばらつきがございますが、一年、二年前の例を申し上げますと、そのような状況になっております。
  82. 小川省吾

    小川(省)委員 いまお答えがありましたように、異常におくれるのですよね。私は、当然その年にやらなければならない勧告なんでありますから、ぜひひとつ早急に実施でき得るように、今後は御配慮をお願いをしたいということを強く要請をしておきたいというふうに思っています。  そして、もう一つ人事院に伺うのでありますが、現在政府筋の方では、人事院の勧告等について、人事院の勧告の見直しをするとかあるいは人事院そのものについて見直しをしたいというのかわかりませんけれども、そんなうわさが実は聞かれるわけでありますが、この点はどんなふうになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  83. 加藤圭朗

    加藤(圭)政府委員 お答え申します。  人事院といたしまして、人事院勧告制度そのものにつきましての検討を行うというようなお話は、直接的にはお聞きしておりません。ただ、新聞報道あるいは国会の委員会の審議等におきましていろいろな御意見が出ておるということにつきましては、十分な関心を持ってお聞きをしておるということでございます。
  84. 小川省吾

    小川(省)委員 労働基本権の代償措置でありますから、労働基本権が完全に回復をされるまでの間は、人事院の存在価値というものは厳として重要なのでありますから、ぜひひとつそういう意味で、人事院の機能を十分に果たしていただきたい、このように要請をいたしておきたいと思います。  総理府の熊澤参事官にお伺いをいたしますが、私が国会の休みのとき、土、日等に郷里に帰りまして、よく公務員の諸君と話し合いを持つわけであります。勧告の行方がわからないので、仕事をやるにも張り合いがなくなってきたというふうな話を聞くわけであります。私は、公務員の諸君の士気の低下の方をむしろ恐ろしいと思っておるわけであります。この辺ですっきり、人事院勧告完全実施の方向を決定してもよいのではないかというふうに思っています。税収の見通し云々とか言っておりますけれども、大体おかしいと思うのです。例年勧告は出るわけでありますし、予想されているはずでございます。真の原因は何なのか、やはり公務員二法と行政改革法案の参議院の通過というものをながめて、現在完全実施の方向が決定をできないでいるのかどうなのか、その辺のところはどうなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  85. 熊澤二郎

    ○熊澤説明員 人事院勧告を早期に実施せよという御趣旨のお尋ねかと思いますけれども、初めに、政府のこれまでの検討の状況を申し上げますと、八月の七日に人事院から給与改善の勧告を受けまして、同日、給与関係閣僚会議を開催いたしまして、種々の角度から議論をいたしました。その後八月の二十五日に、行財政改革に関する当面の基本方針という閣議決定がございまして、その後九月の十八日には、第二回の給与関係閣僚会議におきまして議論したわけでございますけれども、御案内のように、結論を得ずに今日に至っておるわけでございます。  現在の人事院勧告の取り扱いについての政府の考え方は、これは何回も本会議あるいは各委員会におきまして関係閣僚から答弁申し上げているところでございますが、八月の二十五日の閣議決定、行財政改革に関する当面の基本方針を踏まえつつ、これまで維持されてきた良好な労使関係、現下の厳しい財政事情等、諸般の事情を総合的に勘案して慎重に判断する必要があるので、引き続き給与関係閣僚会議において検討を行うこととする、こういう方針でございまして、いまのところ、いつ結論が出るかについては見通しはついておりません。
  86. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ、早急に結論が出るよう、事務当局でも給与関係閣僚会議を督励して、やっていただきたいというふうに思っています。  さて、私は行革特別委員会でも宅地並み課税の問題を質問いたしたわけなんでありますが、再びこの問題について取り上げたいというふうに思っています。  国土庁の木内土地政策課長においでをいただいておるわけでありますが、現行の宅地並み課税の実態といいますか実情がどうなっているのか、御存じですか。
  87. 木内啓介

    ○木内説明員 お答え申し上げます。  三大都市圏の特定市におきまして現在宅地並み課税が行われておるわけでございますけれども、三大都市圏の特定市の数は百八十五市ございます。このうち、減額にかかわる条例が制定されておる都市が百七十五市ございます。それから、一方、三大都市圏の特定市町村の市街化区域内農地の面積を申しますと、八万六千百二十三ヘクタールございます。その中で、宅地並み課税を現在行っておりますところの特定市のAB農地の面積は一万二百三ヘクタールございます。そういう現況でございます。
  88. 小川省吾

    小川(省)委員 御存じなわけですね。宅地並み課税というのは、あれほど精緻をきわめている地方税法の中で、これほどしり抜けの有名無実の条項というのはございません。私は、この条項こそ税法の中から削除すべきものだというふうに思っています。当然廃止をしてしかるべきものだというふうに思っておるわけであります。国土庁が宅地並み課税云々というのは、円満な宅地供給にあるわけですね。ですから、仮にA、B、C農地が放出されるようなことがあるとしても、とても一般サラリーマンなどに手の出るような地価ではないと思うのであります。国土庁、おわかりだと思うのでありますが、宅地供給の道は別にあるのではないかというふうに思っていますが、どうお考えですか。
  89. 木内啓介

    ○木内説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、宅地供給につきましてはいろいろな施策を総合的に講ずる必要があろうかと考えているわけでございます。そういう意味から主要なものを申し上げますと、まず住宅・都市整備公団等公的機関が行う宅地開発の促進、それから民間のデベロッパーに対する宅地開発に関する政策金融等の拡充、それから住宅宅地関連公共公益施設整備の促進、それから土地区画整理事業とかあるいは農住組合制度の活用等によりまして、農地所有者が中心となって行う市街化区域内農地宅地化の促進、それからまた都市計画法の線引きについての見直し、それから遊休土地とか工場跡地等の活用あるいは都市再開発の促進、それからそのほかの問題としまして税制の活用、その一環としまして市街化区域内農地に係る固定資産税課税の適正化を考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  90. 小川省吾

    小川(省)委員 木内課長さん、あなたは土地つきの自宅をお持ちですか。
  91. 木内啓介

    ○木内説明員 非常に私ごとで申しわけございませんけれども、御質問でございますので……。自宅でございますけれども、父の自宅に居候みたいな形で住んでおります。
  92. 小川省吾

    小川(省)委員 どうも失礼な質問をして申しわけありませんでした。仮にAB農地が放出をされるとして、あなたの現在の給与でその農地を取得できるような価格だというふうに思っていますか。
  93. 木内啓介

    ○木内説明員 なかなか大変なことだと思います。
  94. 小川省吾

    小川(省)委員 そうだと思うのですよね。大体、宅地並み課税が課されているような土地が仮に放出されるようなことがあっても、とても一般の公務員や勤労者が手に入れられるような価格ではないだろうと思うのですね。ですから、私はこんな方法が決していい方法だとは思っていないわけです。  税務局長、私は先ほど、税法の中の最もずさんな項目だと思っていると言いましたけれども地方税法の中でこの宅地並み課税の条項のようなずさんな項目がほかにありますか。
  95. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘いただきましたように必ずしもずさんであるというふうには、私ども考えていないわけでございます。ただ、宅地並み課税そのものは一つ政策税制であるというふうに考えておる次第でございまして、宅地供給を促進するという観点から、税サイドにおいて税の論理を著しくゆがめない範囲内におきましてできるだけの協力をしていく、こういった立場から設けられている税制であるというふうに考えておる次第でございます。
  96. 小川省吾

    小川(省)委員 政策税制だというふうに言われますが、関根さんが土地をお持ちかどうか知りませんが、関根さんの給与だって恐らくAB農地を取得できないだろうと思うのですよ、悪いことでもしなければ。ですから、税法の中でこんなしり抜けになっている条項はないと私は思うのですね。だからそういう意味では、この条項こそ税法の中から削除をしてしかるべきものだというふうに思っておるわけであります。  昭和四十年代に各企業が争って土地の取得をやりました。全国では約四十一万ヘクタールというふうに言われておるようであります。この土地には現在、特別土地保有税が課されておるわけであります。保有については百分の一・四、取得については百分の三であります。いま取得はほとんど行われていないでしょうから問題ではないわけでありますが、百分の一・四という額は企業が土地保有し続け得る程度の額であろうと思うのであります。  これを若干引き上げて、企業が土地を放出するような方法をとっていくべきだというふうに思うのであります。そのことによってのみ、宅地供給は初めて可能であるというふうに思っています。また、一般サラリーマンが手を出し得るような価格であろうというふうに思います。これで線引きの見直しをやればよいわけであります。土地保有税を若干引き上げて、企業が土地を放出するようにすべきではないかというふうに私は常々考えておるわけでありますが、国土庁はいかがですか。土地譲渡税の方ばかり目がいっているようでありますが、私のこの提言についていかがお考えですか。
  97. 木内啓介

    ○木内説明員 お答え申し上げます。  先生のお示しのように、特別土地保有税の課税対象としまして四十一万ヘクタールくらいあるようでございますけれども、その土地の面積も市街化区域内ということになりますと、四万ヘクタールくらいになるのではないかと考えられます。また、そのうち三大都市圏にどのくらいあるかというのは、私のところで資料がちょっとございませんので、私のところの手持ちの資料ではなはだ恐縮でございますけれども国土庁としまして、一億円以上の企業の昭和五十五年度三月末の三大都市圏におきます販売用土地の所有状況を調べたのがございます。それによりますと、全体で約二万五千ヘクタール持っておるわけであります。それを市街化区域内と調整区域に分けますと、市街化区域内が二九%、それから市街化調整区域内に四八%、残りがその他の区域というふうなことになっておりまして、市街化区域内には七千二百ヘクタールの土地保有しているということになります。  それで、その七千二百ヘクタールでございますけれども、その六一%に当たります土地につきましては、すでに企業が工事に着手していますかあるいは工事を一部終えているというふうなことでございまして、未着手の状態で持っている土地は二千八百ヘクタールというふうなことでわりあい少なくなってしまうわけでございます。  御承知のように調整区域における土地というのは、なかなか開発がむずかしい条件等がございます。そういうことになりますと、先生御指摘の形でプッシュしようという土地は比較的面積が少ないのではないかと考えるわけでございます。それとまた、特別土地保有税によるプッシュも、現在の特別土地保有税の税率からしますと相当の額になっておりますので、これをさらに引き上げるということはちょっと適切じゃないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  98. 小川省吾

    小川(省)委員 いま御説明がございましたように、特別土地保有税が課されておる土地というのは調整区域が多いはずでありますが、決して市街地から遠いところばかりではございません。そういう意味では、関根税務局長、自治省として検討をしてみる気はありませんか。  それとあと一つ伺いたいのは、宅地並み課税の問題になると国土庁と建設省がしゃしゃり出て、何か自治省はその後をついているというふうな印象を強く受けるのですが、その辺のところはいかがですか。
  99. 関根則之

    ○関根政府委員 現在の特別土地保有税の保有に対する税率は取得価格の一・四%でございますから、表面税率だけを見ますと、通常の固定資産税と同じ税率だということも言えるのですけれども、固定資産につきましては評価水準というのがわりかし低くなっておりますので、住宅なんかの場合には、特にそれに課税標準額の減額措置等が絡んでおりますから大分大きな差があるわけです。所有者にとって、相当重い負担になっていることは間違いないだろうと思います。これをさらに引き上げるということになりますと、政策税制とはいえ一つ地方税制体系の中の税でございますので、税というものを余りにも負担が過重になるような税率で設定するということは、税そのものの自殺行為になるおそれもあるわけでございます。やはり税は、仮に政策税制とはいいましても、税の論理の中でやっていかなければならぬ、そういう性格のものではないかという感じがしているわけでございます。  それから、宅地並み課税等につきまして、国土庁、建設省がイニシアチブをとって、自治省はそれについていくというようなお話でございますが、私ども、決して後からのこのことついていくというような態度をとっているわけではございません。やはり、私どもの所管している税法の中の一つの税制であるわけでございますので、真っ正面からこれに取り組んでいるつもりでございます。研究も続けているわけでございますが、何しろ基本的な性格が政策税制でございますので、まず政策官庁の方から、政策的にどうあるべきかという方向といいますか考え方が出まして、それを受けて税制としてどう判断するかという段取りになるのが通常のやり方でございます。そういう通常の考え方に従って、現在、まだ正式には実は五十七年度税制改正に当たっての国土庁、建設省の考え方というものは聞いてはおりません。ただ、内々いろいろな話は承っておりますが、今後正式に国土建設政策担当官庁としての考え方が固まった段階で私どもとしてはそれを受け、かつわれわれが日ごろから検討を続けてきた問題と組み合わせをいたしまして、また、税制調査会等の御意見も承った上で最終的な結論を出していきたい、こういうことを考えておる次第でございます。
  100. 小川省吾

    小川(省)委員 都市に緑というふうなことで、市街化区域内の農地は十二分にその役割りを果たしておるわけでありますから、営農を希望する人たちについては適用の除外をする、こういう方向で結論を出していただきたいというふうに思っています。そしてまた、私が提言をしたような方向も含めてぜひ検討をいただきたい、このことを要請いたしておきたいと思います。  私の郷里に実はOという町があります。県内では比較的大きな町で、その町長も県の町村会の役員をやってきた方であります。その町では合理化がかなり進んでおりまして、ごみの収集や処理やあるいは老人ホームや給食センター等も民間委託をいたしておるわけであります。また、近々保育所を民間委託しようとするような話も聞いておるわけであります。  そこで、伺いたいのでありますが、一口に民間委託と言っても、何から何まで民間委託ということが許されてよいはずのものではありません。民間委託をしてよい業務、民間委託をするになじむ業務、民間委託をしてはならないような業務、いろいろあると思うのでありますが、自治省の自治体業務の民間委託についての基本的な考え方がどうなのか、伺いたいと思います。
  101. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 民間委託の問題につきましては、当委員会でも何度となく御質問がございました。その都度私の方から申し上げておりますことは、地方公共団体自身が必ずしも自分で実施する必要がないと思われる事業が公共団体の中にはございます。そういうものにつきましては、むしろ民間委託を進んでやるということの方が望ましいと思っております。もちろん、それは公共団体の中の問題でありますから、公共団体が自主的に判断をしていただきたいものだと思っております。  ただ、どういうものでも民間委託をすれば済むというものではございませんで、やはり、本来公共団体が行うということが前提になっておった仕事でありますから、住民に対する行政サービスも考え、あるいはそういうものに関する住民側の反応もございましょうから、そういうものも十分配慮しながら、民間委託を進めていくということを公共団体がお考えになるべきことだというふうに思っております。
  102. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省が本来やるべき業務のうち、民間委託になじむ仕事というか民間委託を許される業務はどのような業務であるのか、伺いたいと思うのであります。また、民間委託をしてほしくないと思うような業務は何なのか、お伺いをいたしたいと思います。
  103. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 一般的に外部委託をしております趨勢をながめてみますと、内部管理の事務の中では、たとえば計算の事務でありますとかあるいは清掃事務でありますとか、そういう問題が非常に外部委託になじんでいるようであります。さらには公共施設の中におきましても、国民宿舎のような委託でありますとか、あるいは老人センターでありますとか老人憩の家でありますとか、そういうものがこの数字の中ではわりあいに公共団体自身が民間委託をしたいということの中で望まれている部分であろうと思っております。私たちも、この程度のことはやはり民間委託をしてもいいのではないかと思っております。  ただ何もかも、先ほど申し上げましたように民間委託に親しむというものではありませんで、行政処分をしなければならぬ事務でありますとか、本来の行政に係る部分があるわけでありますから、そういうものはもともと民間委託ができないという仕事が当然行政事務の中に存在しているわけであります。ですから、その辺は公共団体自身がよくおわかりになっているわけでありまして、先ほどから申し上げておりますように、そういう事務を委託します場合に、公共団体がよく住民というものを考えて、行政サービスの維持ということをよく考えながら、やはり全体的に物を考えていくということをして委託をしていくべきだと考えております。
  104. 小川省吾

    小川(省)委員 民間委託が進んでいくと、これは本来の行政事務さえ、あるいは民間委託に出しかねないような状況も生まれるおそれなしとしないのであります。そういう意味ではひとつ十分に配慮をされて、ぜひその方面のチェックは怠りなくやってほしい、このことを要請いたしておきたいというふうに思っています。  仮に、ある町村が民間委託をする際、ある会社の定款の中にその業務の内容が入っていないような場合、その会社が町村の業務の民間委託を受けた、こういうふうな場合には当然違法になると私は思うのでありますが、そういうところに委託に出せるわけですか。
  105. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、公共団体が民間に事務を委託するというときに、やはり本来公共団体が行うべき事務のうちでも民間委託に親しむから出すということになるわけでありますから、その委託先をどうするかということは、私は公共団体にとって大変重要なことだと思いますし、委託先といいますかそういう選定をされる業者というものは、少なくともどういう事業をやっているかということについて公共団体が十分に調べる必要もありましょうし、それはやはり委託をする場合の重要な要素であるというふうに思っております。ですから、そういう関係の中で当然委託先が選ばれるべきでありますから、契約自身に違法性というのは、事業にないからやれるかやれないかという問題は、個々の事業自体を見てみなければ何とも申し上げられませんけれども、一般的には、委託先というものは、委託するに当たって住民との関係が十分配慮されなければいかぬわけですから、選定に当たってその点は十分に配慮していかれるべきものだと思っております。
  106. 小川省吾

    小川(省)委員 委託先を慎重に検討して委託に出すという御答弁はよくわかります。しかし、仮に委託を受けた会社が別の業務をやっておって、その会社の定款の中に、たとえば給食なら給食の業務というものが入っていないような場合には、私は当然、慎重に検討すれば委託に出せないはずだというふうに思っていますが、そのとおりの解釈でよろしゅうございますか。
  107. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 具体的に給食の問題をどうするかということになりますと、栄養士の問題でありますとか調理員の問題でありますとかいろいろな問題が当然委託の内容に出てくるわけであります。そういう人がいないのに委託をするなどということは公共団体にあり得ないことでありますし、契約をするといっても、契約の履行に大変問題が残ることになるだろうと思います。そういう点を公共団体は十分に把握をしてやらなければいかぬということでございまして、いま先生がおっしゃったようにその辺は十分考えるという以上に、契約を結ぶときに十分に慎重な配慮をされなければならぬ部分であるというふうに考えております。
  108. 小川省吾

    小川(省)委員 もう少し的確にお答えをいただきたいのですがね。仮に定款にない会社に委託を出したような場合に、その契約を結んだ町村の責任というのはどうなりますか。
  109. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 そういう契約が果たして履行できるかどうかという問題が、先ほども申し上げましたように大変あると思います。ですから、およそそういうところで契約を結ぶことはないのだと私は思っておりますから、そういう契約は結ばれないであろうという考え方で先ほどから申し上げているわけであります。定款にないかあるかという議論もまたいろいろありましょうし、初めからそういう事業内容にないものを公共団体が、自分たちがやるべき仕事あるいは行政サービスの低下を招かないようにやらなければならぬのに、そういう事業はやれないということを承知の上でやるなどということはとても考えられないことだと思っております。ですから、そういう点は先ほど申し上げましたように慎重に配慮してほしいと思いますし、もしそのことによって損害が起きる、あるいは住民に迷惑をかけるということになった場合に、やはり町としての責任は非常に重大であるというふうに考えております。
  110. 小川省吾

    小川(省)委員 まあいいでしょう。また後ほど論議をしたいと思います。  次に、十月十三日の事務次官通達給与公表に関連をして、お伺いをいたしたいと思っています。  自治省給与の公開、公表ということについて本来どう考えているかということでありますが、職員給与の問題というのは茶飲み話程度にはときには出ることもありますが、住民がそう大きな関心を持っている問題ではありません。これは、この間特別委員会自治大臣が答弁をしたとおりで、住民が深く関心を持っている事項ではないと思うのであります。これを一律に公開しようというような考え方がどうも納得できません。それほど住民におもねる必要はないのではないかというふうに思いますが、公表に踏み切られた本当の原因は何ですか。
  111. 大嶋孝

    大嶋政府委員 公表に踏み切りました原因と申しますか趣旨といたしましては、地方公務員給与につきまして、公表を通じることによって住民の真摯な関心を期待いたしておるわけでございます。さらに、各地方公共団体の議会においていままで以上により充実した審議が進められるということによりまして、公務員給与住民のより一層の納得と支持が得られるようにするということを期待して公表に踏み切ったわけでございます。
  112. 小川省吾

    小川(省)委員 いまいみじくも答弁の一部の中にあったわけでありますが、議会に対する公表、これで十分だというふうに私は思っているのですが、本来地方議員というのはその地域の住民の代表であります。いま各自治体は、予算を議会で審議をしていただく際に必ず給与費明細書を付して審議をいたしておるわけでありますね。必要あらば給与費明細書をさらに詳細にといいますか、この間出した通達の中に載っているあの表のような状態をつけて議会に出すということにすれば、それで公表のいわゆる原理原則というのは十二分であろうというふうに私は思っております。なぜこういう方法をとりもしないで一般に公開するというような方法を先にとったのか。なぜ議会の給与費明細書の詳細な説明を付すという考え方を先にとることをせずに、一律に公表というような考え方をとったのか、その辺はどうなのか、お伺いいたします。
  113. 大嶋孝

    大嶋政府委員 御指摘のように、現在におきましても議会に給与費明細書というものを出しております。そこで、各議会においてそれを十分審識されてないとは申しませんけれども住民の全体的に関心を集めておる地方公務員給与の問題でございます。したがいましてその実態というものは、やはり住民に本当の意味において理解をされるということが必要であろうと思うわけでございます。そういうことによりまして、先ほど申し上げましたように、地方公共団体の議会におきましていままで以上の充実した審議を期待いたしておるわけでございます。
  114. 小川省吾

    小川(省)委員 もしも御答弁のようであるならば、この通達は都道府県の議会にお示しして、こういうようなものを議会に出しなさいということであって、住民公表しなくも済む問題だと私は思うのです。地域の住民が県の関係で何かわからないことがある。県の職員の給料の状態はどうなんですかということになれば、必ず県会議員さんのところに伺うわけでありますから、県会議員さんが議会から渡された資料を持ってこれる。こういうふうなんだよと言えば、当然公表趣旨は達せられるというふうに思っております。  そういう意味で、こういうように公表をすることが呼び起こすところのいろいろな弊害を考えた場合に、基本的にはこの通達は撤回をしていただきたいと私は考えておるわけでありますが、もしこのような方法をとったならば、自治体の中には首長の選挙で熾烈な争いを演じた地域もあるわけでございまして、反首長派の攻撃の政争の具にも供されかねないような状況があることを恐れるわけであります。この通達はぜひ撤回をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  115. 大嶋孝

    大嶋政府委員 私どもが期待しておりますのは、まじめな意味におきます住民理解と支持ということでございます。小川先生から撤回しろとおっしゃられましても、はい、さよういたしますというふうにはまいらないことは御了承いただきたいと思います。
  116. 小川省吾

    小川(省)委員 撤回しろと言っても、はい、結構でございますという返事を聞けるとは思っておりませんが、派生する問題を恐れるわけでございまして、趣旨が達せられればいいわけなんですから、議会への詳細な給与費明細書をもってこれにかえるという方法をぜひとつていただいて、このような問題を起こすおそれのある問題についてはぜひ十分な配慮をお願いいたしたい、こう思っておるわけであります。  さて、国民健康保険の四〇%のうち五%を都道府県に持たせるという問題でありますが、まだ結論が出ていないということであります。これについての結論をいつまでに——予算編成期ということでございますが、大体年末くらいまでには結論が出てくるというふうに理解をしてよろしいのですか、大臣
  117. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 大体お話のとおりに、年末までには結論を出さざるを得ない問題です。
  118. 小川省吾

    小川(省)委員 本来、国民健康保険は市町村の業務であります。これを、都道府県は比較的財政が楽なようであるから都道府県に持たせるということでは筋が通らないと思います。都道府県も決して財政が楽ではなく、首長や議会が配慮しながら適切な財政運営を行っておって、若干黒字を出すような方向で全体を運営しておる、こういうのが実態でありますから、決して財政が楽なわけではありません。その意味で、五%を持たせるという筋の異なったような方向を出してもらっては、都道府県にとっては大変なことであります。これはあくまでも国が持っていくというふうな方向で自治大臣としてはがんばっていただいて、結論を導き出すようにお骨折りを願いたいと思っておりますが、いかがですか。
  119. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 全くそのとおりに考えまして努力をいたします。
  120. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひお願いをいたします。  全人連というものがあります。恐らく全国人事委員会連合会というような略なのでありましょうが、この全人連の会議に公務員部長が出席をされて、五・二三%よりラスパイレスが高い自治体は本年度の給与改定を見合わせるような話をされたといううわさがありますけれども、これは事実ですか。
  121. 大嶋孝

    大嶋政府委員 地方公務員給与につきましては、高度成長期におきまして優秀な人材を確保するという理由もあったかと思いますけれども給与水準が高くなっております。その後地方団体がそれぞれ努力をされまして、その是正が行われてきたわけでございますけれども、現在なお給与水準が国家公務員のそれを相当上回っておる団体もかなりあるわけでございます。そこで給与適正化につきましては、私ども常日ごろからその指導を行ってきているところでございます。  御指摘の人事委員会会議等がございまして、現在すでに国の水準を五・二三%以上上回っている団体にありましては、今回の改定を見送ったといたしましても、なお国の水準よりも高いということになるわけでございます。給与の適正化といいますのは、人事院勧告がありましてもその改定を見送るというくらいの勇断をもって給与の適正化に進んでいただきたい、それぐらいの勇断がなければできないのではないかという趣旨で申し上げた事実がございます。
  122. 小川省吾

    小川(省)委員 大体、ラスという当てになるようなならぬような数字でありますけれどもラスパイレスが一〇六とか一〇七というのは、これは通常なあたりまえのことなのだというふうに言われておるわけでありますが、公務員部長、どうなのですか。
  123. 大嶋孝

    大嶋政府委員 ラスパレイス指数の問題、いろいろ御議論があることは私も承知をいたしております。しかし、これは人事院が民間給与と国家公務員給与を比較するというような場合にも使っておるものでございまして、私はこのラスパイレス指数が当てにならないとは考えていないところでございます。
  124. 小川省吾

    小川(省)委員 ラスが高い自治体というのは、状況がどうなっているのかお伺いをいたしたいわけなのですが、これらの高い自治体に対して、本年度の給与改定の指導についてはどうされようとしておるのか。基本的なところはどういうことなのですか、ラスが高いというところ。高いというのは、ラスパイレスの指数が幾つくらい以上が高いというふうに見ておられるのか、そして高いところの団体というものは幾つくらいあるのか、お伺いいたします。
  125. 大嶋孝

    大嶋政府委員 私どもが、ラスパイレスが高いといいますか、きわめて高いという意味で公表しておりますのは、ラスが一二〇以上の団体公表しておるところでございます。それに該当いたしますものといたしましては、五十二団体ほどあるわけでございます。  指導の面におきまして、ではどれ以上を高いと判断をして指導をするのか、それが幾つくらいあるのかという御質問かと思いますけれども自治省といたしまして、先ほど申し上げましたように、従来から給与制度の運用の適正化というものを指導してきたわけでございます。この前の八月二十五日に閣議決定をされました「行財政改革に関する当面の基本方針」というものにのっとりまして、給与水準が著しく高い団体あるいは退職手当が国の支給基準を上回る団体等に対しまして、その運用等の状況につきまして報告を求め、その団体みずからが計画的に適正化を図るよう、個別的に指導をしようというふうに考えております。  お尋ねの対象団体の範囲を初めといたしまして、その具体的な方法につきましては現在検討中でございますけれども、基本的には各地方自治体の自律的な機能によりまして給与の適正化が図られていくというのが、最も望ましいことだと私は考えております。
  126. 小川省吾

    小川(省)委員 また最近、給与の高いところについては報復措置といいますか、所要の財政措置をとるんだというような話を聞いておるわけでありますが、所要の財政措置というのはどのような方法でいつとろうとしておられるのか、伺います。
  127. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 給与水準の著しく高い団体についてはいろいろと批判もございますし、臨調からの答申もあるわけでございます。しかし私どもとしては、基本的にはそれぞれの地方団体がみずから適正化について努力をされるべきであると考えておるわけでございます。しかしこういった状況でございますので、私どもとしても給与水準の著しく高い団体については、計画的に是正措置を講ぜられるように指導もいたしまして、みずから適正化に努められることを期待をしておるわけでございまして、場合によっては個別に指導するということも考えておるわけでございます。そういった形でいろいろそれぞれの団体努力をされる、その経過を見ながら私どもとしては財政上の措置を講ずることも考えていきたいと思っております。  ただこれについては、具体的にはいろいろと研究すべき問題がまだ多うございますので、どういうふうにするというところまでまだ詰めてはおりません。目下、いろいろと検討しておるところでございます。
  128. 小川省吾

    小川(省)委員 給与の適正化の指導は結構なんでありますが、不当な介入ととられるような措置はひとつぜひ見合わせるようにしてもらいたい、こうお願いをいたしておきます。  それから、本年の七月二日に大阪府知事に出した通達の問題なんですけれども、この通達の趣旨に沿って市長会が申し合わせをされたと聞いております。これは、給与の高さの問題ではなくして期末・勤勉手当の問題であったと思うのでありますが、申し合わせの内容自治省は報告を受けておると思うのですが、どういう報告があったのですか。
  129. 大嶋孝

    大嶋政府委員 大阪府知事あてに、給与の適正化につきまして要請をいたしたわけでございます。その際、その結果について御報告を願いたいというふうに申しておったわけでございます。  御指摘のように大阪の市長会におきましては、期末・勤勉手当なりあるいは給与の適正化なりいろいろなことで申し合わせをされておるようでございます。私は、報告をしてくださいと大阪府知事あてに申し上げましたのは、その結果について報告をいただきたいということでございます。現在申し合わせの段階で、それが実行されなければ意味がないわけでございまして、実行されたその結果を報告願いたいということでございますので、申し合わせの内容等につきましての正式の報告は受けておりません。
  130. 小川省吾

    小川(省)委員 なるほど、まだ結果の報告は受けていないわけですね。しかし市長会は、この通達の趣旨を尊重するといいますか、沿ってやるというようなことを言っておるようであります。そういうぐあいに、自治省の通達、指導というのは十分に通るところがあるわけでありますから、自治省が本当にこれは過ぎているというふうに思ったのはぜひ適切な指導もあるいはやってもらいたい、このようにも思うわけでありますが、この通達を見て感ずるのでありますが、やはり明らかに介入だろうというふうに思うのですね。今後も相変わらず介入はやっていくつもりなんだろうと思いますが、介入ととられないような方法をとっていただいて、介入と明らかにわかるような措置はぜひひとつおとりにならぬようにお願いをしておきたいと思っております。  いろいろ述べてまいったわけでありますが、厳しい情勢だけに、今後とも引き続いて地方へのきめの細かい強い指導が行われていくものと思います。しかし、角をためて牛を殺すということわざがありますように、不当な介入になって自治の本旨を踏みたがえるようなことになっては何にもならないわけであります。伸び伸びとした中で困難な情勢を乗り越えていけるような自治体を育成をしていくために心を用いて、健全な、正常な自治体をつくっていくように十二分にぜひ御配慮をいただきたいというふうに思っておるわけでありますけれども大臣、このことについて一言いかがでございますか。
  131. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 お話のございましたような趣旨を体しまして、これからいろいろと施策を講じていくつもりです。
  132. 小川省吾

    小川(省)委員 若干時間があるようでありますが、最終的な終わりに協力する意味で、私の質問を以上で終わります。
  133. 左藤恵

    左藤委員長 大橋敏雄君。
  134. 大橋敏雄

    ○大橋委員 行政改革というものは天の声と言われてみたり、まさに国民的な最重要政治課題である、こう私も認識しておりますし、鈴木総理大臣が政治生命をかけてこれを実行するんだ、こう言われていることも私は不思議ではないと思うのですね。だが、今回、臨調の第一次答申に基づいて出てまいりました行革関連法案の内容というものは非常に評判がよろしくないですね。特に教育、福祉の後退ではないかとか、あるいは帳じり合わせだ、要するに五十七年度の予算編成に対する数字のつじつま合わせではないか、こういうふうに言われているわけですが、とにかく行革特別委員会で今日までずっと審議が行われてきた、そしてその問題点が浮き彫りにされてきたわけでございまして、与野党間でその問題点の修正を含む対応策がいま協議をされていることと私は考えております。  そこで、評判の悪い帳じり合わせだとか財政のつじつま合わせだとか言われている、その批判の最も典型的なものは何だ、これは先ほどもちょっと議題となっておりました、国保における国庫負担の一部を都道府県に肩がわりをさせるということにあるんではないかと思うのですね。行革の特別委員会で、連合審査の中でもこれは問題になっておりましたけれども、厚生大臣の意見と自治大臣の意見が一致しておりませんですね。そういうことから、私もこの問題を掘り下げてお尋ねしたいと思うのです。  それだけに、この問題は重大であると認識しているからでありますが、国は市町村のいわゆる国保に対して療養給付費負担金とし、国保法の七十条に基づいてその四〇%並びに同法の七十二条で調整交付金としてさらに五%を交付することになっているわけでございます。厚生省は、療養給付費負担の四〇%のうち五%を都道府県に肩がわりさせようという考えで五十七年度概算要求をなさっておりますが、これはいかなる理由によるものなのか、何を根拠にこういうことをしたのか、まず厚生省にお答えを願いたいと思います。
  135. 萩原昇

    ○萩原説明員 国民健康保険制度の国庫補助の規定については、先生のお述べになったとおりでございます。  臨調の答申の指摘するところは、現在の国、地方公共団体関係について、現行の負担がそのままでいいという意味ではございませんで、新たな目で見直して都道府県に新たに負担をしていただこう、こういう趣旨であろうかというふうに理解しております。そのゆえんは、国民健康保険が、社会保険ではございますけれども住民の地域連帯の精神に基づく地域保険であるという考え方に立ちまして、市町村が保険者ではございますけれども、より広域の地方公共団体である都道府県に地域保険としての立場からの責任と権限を持っていただきたい。現在もすでに他の社会保険と異なりまして、都道府県につきましては市町村という保険者に対する補助を行うことができるという規定もございますし、医療費についての監査権限もお持ちなわけでございます。という意味で、新たな目で見直して、その立場から都道府県にも御負担をいただきたい、こう御提案を申し上げておるわけでございます。  臨調答申におきましてもこの点については両論あるわけでございますが、年末までに結論を得るということで、われわれとしては、臨調答申の線に沿った概算要求をしておるというふうに考えておるところでございます。
  136. 大橋敏雄

    ○大橋委員 要するに、今度の臨調第一次答申意思に沿ってこのような措置をとった。すでに概算要求しているのは、年末に結論を出すわけなんだけれども、厚生省としてはもう決定した立場で概算要求しているんだということになるわけですね。そこはそうですね。
  137. 萩原昇

    ○萩原説明員 八月末に概算要求を財政当局にお出しするという意味では、厚生省としては五十七年度予算案をこのようなかっこうで決めていただきたいという立場でお出しをしておるわけでございます。
  138. 大橋敏雄

    ○大橋委員 この答申内容そのものにも私は疑問が多少あるんですけれども、いずれにしましても厚生省としてはこの臨調の答申を尊重していくんだ、これはここだけ尊重して、ほかはしないというのじゃないでしょうね。答申を尊重するという精神ならば、この答申の線に沿ってすべてが図られていかなければいかぬということですね。  それから、厚生省が仮に結論を出したとしても、一番その影響をこうむるのは地方自治体、都道府県でしょう。ということは、自治大臣の納得が得られない限りは、これは本当に結論に至らぬですよ。私はそう思うのですよね。もし自治大臣が最後まで、そんなのは無理だ、だめだと突っ張ったらどうするのですか。
  139. 萩原昇

    ○萩原説明員 今後、年末までに結論を得るということは、その間の調整を図った上でということでございますので、調整を両省の間で図ってまいるということになろうかと思います。
  140. 大橋敏雄

    ○大橋委員 先ほどの質問に対して自治大臣から、絶対に自治体の立場に立って闘います、こういう趣旨の答弁がありましたよ。これは厳しいですよ。  答申を尊重なさっているというのなら一つ疑問がある。これは余り好ましいことじゃないのだけれども、同じ答申の「医療保険」の項の2の中に「医療保険に対する事務費国庫負担の保険料財源への切換えを図る。」というのがありますね。要するに、事務費はいままで国庫負担で見ておりましたけれども、今度は保険料から賄うようにしてください、こういうことですね。これもそのとおりの概算要求しましたか。
  141. 萩原昇

    ○萩原説明員 概算要求におきまして、事務費国庫負担につきましては従来の考え方を踏襲いたしまして、十割の国庫負担ということで要求をしております。臨調の今回の答申においては確かに事務費国庫負担を保険料負担に切りかえるべきである、こういう御趣旨でございますが、臨調がいわば増税なき行政改革ということを言っておりますゆえんを考えますれば、事務費国庫負担の保険料への切りかえというのは直ちに被保険者の保険料負担の増大を招くわけでございますので、この点について税からの保険料への負担の切りかえであっても、同じく負担増であるという考え方をわれわれとしては持っておるわけでございます。
  142. 大橋敏雄

    ○大橋委員 あなたのお話を聞いていると、それこそつじつまが合わなくなってくるのですけれども、一方は、答申を尊重して、まだ話がつかないにもかかわらず五%の肩がわりを都道府県に押しつけた、こういうことですね。一方は、まあ都道府県を守る立場からはいいことではありますけれども、しかし、総理大臣はこのところ、きわめて重視しております、尊重いたしております、こういう言い方をしておりますよ。総理大臣は、答申のいまの保険料財源への切りかえに対して賛成の意思を示していますよ。  ちょっと大蔵省の方にお聞きしたいのですが、この点、厚生省がいま従来どおりの要求をしているのですけれども、まさかこれを削るようなことはないでしょうね。
  143. 篠沢恭助

    ○篠沢説明員 お答えいたします。  臨調答申を尊重しながら予算編成を進めていくということでございます。ただいまの社会保険の事務費の負担の問題につきましては、厚生省から特に、これの保険料切りかえというような形でございましょうか、あるいは国庫負担を切るという要求は出てきていないわけでございますが、私どもといたしましては、この問題も今後の予算編成の中で一つの重要な検討課題になるのではなかろうかという気持ちは持っております。ただ、現在の予算編成の進捗の過程の中で、まだ具体的な検討には入っておらぬわけでございますけれども、さような考え方を持っております。
  144. 大橋敏雄

    ○大橋委員 これも地方自治体に対しては、きわめて影響が大きい問題でございます。これも後で自治大臣のお気持ちを聞いておきたいのですけれども、その前に、先ほどの国保における国庫負担の一部都道府県肩がわりに対する大蔵省の御見解を伺っておきたいと思います。
  145. 篠沢恭助

    ○篠沢説明員 国保の問題につきましては臨調答申におきまして、私から申し上げるまでもないと思いますけれども、国保につきましては地域保険としての性格を有している、あるいは法律上都道府県がその運営について一つの指導の責任というものを持っておる、医療費の監査権限を有しておる、そういうようなことで、医療費の適正化を図るという項目におきまして、そういう考え方のもとにおきまして地方負担の導入を図ることが考えられるというふうに、考え方自体を述べておられるわけでございます。私どもといたしましては、そのお考え一つのお考えだろう、そしてまた、そのお考えのもとに厚生省からすでに要求が出てきているということを踏まえまして、検討しなければならないと考えております。  ただ、臨調答申自身も、先生つとに御承知のとおり申しております。財政問題は地方の財政問題にかかわるので、これは政府部内において本年末までに慎重に検討しろというふうに言っておりますので、その点は重大な指摘であると思っております。その点を踏まえまして、これから政府部内においていろいろと検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
  146. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまの御見解をちょっとまとめてみると、一つは、国民健康保険というのは社会保険の一部である、しかし、市町村を単位とするものであって、その給付費の一部負担は論理的には筋が通るのだよ、こういうことですね。もう一つは、都道府県は国保運営について市町村を指導監査する義務を負っているわけだから、財政的にも一定の負担を行うことが適当なのだ、そうですね。三つ目は、都道府県が財政的に一定の分担をすれば、医療機関に対するより効果的な指導監督が期待されて、医療費の適正化に一層の成果を上げることができるのだ、そういうことで答申の中の「医療費の適正化」という項の中でこれが位置づけられているのだ、こういうふうにいま理解したわけでございます。  給付費の地方一部負担は論理的には筋が通るという言い方をなさいますけれども、私はこれは間違いだと思うのですね。なぜならば、地方財政法があるわけですが、地方財政法第二条の二にはこういう規定があるのです。「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」こう第二条の二項で明確に示しているわけですね。また国民健康保険を含めまして、いまわが国の社会保険というものは、制度上保険料と国庫負担によって運営されているわけでございまして、地方負担の考えはありませんね。だから私はこれは不合理だ、こう思うのです。  また、先ほど私が申し上げました指導監督の義務がある云々、あるいはそうした都道府県に分担させることによって、より適切な指導監督が期待されるのだ、こういうこと自体私はもう本当に筋違いだと思うのですね。医療問題、医療費の改善というものは、そういう姿でとらえてはならぬと思う。根本的な対策があるはずだ。だから、これは単なる財政のつじつま合わせのための地方への転嫁である、私はこう思うのです。  そこで、転嫁だということについてどうですか。大蔵省、厚生省、簡単で結構ですが、転嫁と言われてもやむを得ないという立場をとりますか。
  147. 萩原昇

    ○萩原説明員 地方財政法の二条及び具体的な規定でございます十一条の二でございますか、ここにおいて現在の条項から照らしますれば、われわれがいま御提案申し上げている国民健康保険の療養給付費補助金について都道府県に負担していただくということは、明らかに現在予定している秩序とは異なるものでございます。新たな考え方のもとに新たな負担をお願いするということになるわけでございますので、地方財政法の各条項とはやはり具体的な調整を必要とするというふうに考えるわけでございます。
  148. 篠沢恭助

    ○篠沢説明員 臨調答申は、今回の問題につきまして考え方を含めて答申を書いておられるというふうに私どもは思うわけでございます。単なる地方への肩がわりをさせればいいという考え方で臨調が答申をされたとは、もちろん考えていないわけでございます。
  149. 大橋敏雄

    ○大橋委員 単なる考えによる転嫁じゃないと言うが、やはり転嫁は転嫁ですね。  そこで、自治大臣にお尋ねしますけれども、十九日の行革特別委員会の連合審査の中でもこの問題が出ておりましたね。そのときに大臣は、これは地方財政法上にも大変な問題があるんだというような趣旨の御答弁をなさっているわけでございますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  150. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 これは地方財政法の本旨から申しまして、適切なものじゃない、違反の疑いがある。具体的に申しますと、地方財政法の改正をしなければ、この案はのみ込めるものじゃない、そういう見解です。
  151. 大橋敏雄

    ○大橋委員 これは大変な問題なんだが、その地方財政法の、いま言った第二条二項ないしは第十条それから第十一条の二、これに照らせば完全に誤った考え方ですよね。いま逆に厚生省や大蔵省の考え方を通そうとすれば、地方財政法を大幅に改正しなければならぬ大きな問題である。ということは、地財法の根幹にかかわる問題だと私は思うわけですね。財政局長、これはそんなに簡単に変えていいところですか。
  152. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 基本的に、国と地方との間の財政秩序というものは従来から決まっておるわけでございまして、いろいろな意見が出ておりますが、臨調の答申も、ごらんいただきますように、都道府県に負担をさせるということも考えられるが、この問題は財政上の問題もあるから年末までに詰めるということで、結論は出ていないわけでございます。これからの詰めになりますから、私どもとしても結論的なことは申しませんが、意見としては、いまおっしゃいましたような意味において、きわめて重大な問題を含んでおりますので、反対の意思を表明しておるわけでございます。
  153. 大橋敏雄

    ○大橋委員 これは年末まで詰まらぬですぞ、厚生省。これは詰まってもらっては困るところなんですよ。われわれ地方行政を担当しておる立場からは、こんな安易な考えでつじつまを合わされては困る。第一に、第十条にはたくさん列挙されているわけでございますが、とにかく「国が進んで経費を負担する必要がある」と、国庫負担ですね。「国が進んで経費を負担する必要がある」ということの列挙がずっとなされている中に、八の三のところに「国民健康保険の事務の執行並びに療養の給付及び療養費の支給に要する経費」というのが明確にうたわれているわけですよ。  そして、十一条の二には「地方公共団体が負担すべき部分は、地方交付税法の定めるところにより地方公共団体に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる財政需要額に算入するものとする。」この下が大事ですよ。「ただし、第十条第八号の三」「に掲げる経費については、この限りでない。」ということは、原則的に地方は負担しなくてもいいんですよと規定しているわけでございますから、これは問題です。  そこで、現在の国民健康保険の運営の中身を見ていきますと、大まかに言えば、国庫負担分が百分の四十五、自巳負担分が百分の三十、そしていわゆる保険料とか保険税ですね、これが百分の二十五。これで賄われておりまして、地方には負担は明確にかかっていないということですよ。だから、先ほど自治大臣もおっしゃったように、こうした五%の都道府県負担というものは地方財政法の趣旨に反するものだ、これは重大なものだということになるわけです。あなたは大臣じゃないから、これはきょうは結論は出ないからこれ以上追及しませんけれども、これは年末までに相当大きな政治課題になることはもう間違いございません。  そこで、もう一つ何かおっしゃいましたですね。たしか、都道府県も国民健康保険事業に要する費用に対して補助金を交付したり、または貸付金を貸し付けることができるのだという答弁がありましたですね。これも健康保険法の第七十五条のことだと私は思うのですけれども、じゃ、そういう七十五条の立場で、たとえば、昭和五十五年度における国民健康保険事業の歳入決算に見るそうした都道府県支出金というものは幾らになっておるのか。  もう時間がございませんから私の方から申し上げますと、五百五十三億円です。このうち東京都の特別区に対する支出金は四百十一億円ですよ。都道府県が支出している全部のお金が五百五十三億円ですよ。その中の四百十一億円は東京都が特別区に出しているのだ。東京都はまあ裕福ですからこういうことができるのだろうと思いますが、結局それを差し引きますと、あと百四十二億円ですよ。この百四十二億円を調べてみましたら、大阪が二十億、愛知が十九億、そのほかは小さい内容であったわけでございますが、そういうことでしょう。これを根拠に都道府県が負担してもいいんだなんということに理解されれば、大変なことだと私は思うのですよ。どうでしょう。
  154. 萩原昇

    ○萩原説明員 現在の国保法のこの規定をもとに療養給付費補助金の都道府県へのお願いをしておるというわけではございませんで、都道府県が補助することができるという規定が存在しますように、国民健康保険が他の被用者保険とは異なる地域保険としての性格を持っておる、その具体的ないわば例示といいますか、それがそこにあるということでございまして、こういう措置を行うにつきましては、先生御指摘のような地方財政法そのものの新たな秩序に伴う調整、及び国民健康保険法におきましても現在の規定から新たな秩序への規定の変更というものを当然必要とするというふうに考えるわけでございます。
  155. 大橋敏雄

    ○大橋委員 実は第二臨調、これはもともとございます地方制度調査会のいわば子供みたいなものですよね。その親である地方制度調査会が七月三十一日の総会で、今回の臨調答申に盛り込まれております、ただいまの国保の給付費の一部都道府県肩がわりなどに対する意見書をまとめて総理大臣に手渡しております。それは簡単に言えば、十分な検討をせずに行うべきではない、まずこれが一つ。それから、単なる国から地方への負担転嫁は、行政改革の理念に合致せず、地方財政の健全性を妨げるものだ、このようにえらい厳しい内容で批判をし、その意見書を手渡しているわけですよ。地方制度調査会、その大もとですよ。そこから——もともとこの地方制度調査会というものは、国と地方の事務の配分の問題だとかに取り組んできて、内容はよくわかっているわけですね、すでに国に行革のバイブルだと言われるほどの内容を示しているわけですから。そこが、第二臨調の今回の答申は軽率じゃないかというような趣旨で指摘しているわけです。  厚生省にもう一つ聞きます。たしか昭和四十五年か四十六年のころ、いまの考えと同じような方針を大蔵省が考え出したことがありますね。つまり一部負担を都道府県にやろうというとき、その動きに対してはもちろん政府・自民党の部会の中も猛反対でして、それに厚生省も歩調を合わして反対で闘ったじゃないですか。そうして、そのときは大蔵省の考えをつぶしたじゃないですか。今回えらい変身したのですね。厚生省、これはどういうことですか。これはやはりゼロシーリングの大蔵省の指摘、指導に対して、目をつぶってやむを得ぬ、こういうことでやったのですか。
  156. 萩原昇

    ○萩原説明員 昭和四十六年度予算の編成に際しまして、やはり現在のと同じような考え方でございますけれども、療養給付費補助金の一部を都道府県に持っていただくという御提案があったわけでございます。その当時とどういうふうに違うかということでございますが、当時は医療保険制度につきまして非常に、いわば混乱といいますか、激動の時期でございまして、いわゆる抜本改正というものが要求をされていた時期でございました。したがってそういう事情、医療保険制度全体のあり方というものについての検討をやっている最中に、単なる財政制度、財政負担という問題で、国保の療養給付費補助金について国の負担を都道府県に一部振りかえるということには反対であるというふうに申し上げたわけでございます。  現在では、国民健康保険制度も昭和三十六年の発足以後二十年を経過しておりまして、地域保険として定着したものになっておる。こういう新たな情勢のもとで、いま考え直してみて都道府県にも負担をお願いをする、こういう考え方でございます。
  157. 大橋敏雄

    ○大橋委員 とにかく厚生省は、臨調答申を尊重したという言い方と大蔵省の見解にも合わせ、われわれもその考え方は間違いないというような方針をとっているからには、かなり強硬な姿で臨んでくると思うわけですが、先ほど自治大臣もおっしゃったように、もしこれが実施されるということになれば当然地方財政法の大幅な改正もやむを得ない、こういうことになっていくわけですね。私は、これはやはり重大問題だと思いますので、それこそ大臣の慎重な対応をお願いしたい。  もう一つ自治大臣にも厚生省にも大蔵省にも決意を聞いておきたいのですけれども、たとえばこの地方一部負担をめぐって、これからいろいろ問題が起こってくるでしょう。そうして、何かの姿に落ちつくわけでございますけれども、いずれにしましても、地域の住民やあるいは被保険者へのしわ寄せ、負担増というような形で決着をつけられないように、これだけはもう絶対守ってほしいと思うのですけれども、これはいかがでしょうか。まず自治大臣から。
  158. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 しばしば申し上げておりまするように、この問題はきわめて重要な問題でございます。したがって、従来の自治省考え方というものはあるわけでございまするから、そしてまた今回の答申の背景をなす問題もいろいろと私も承知をいたしております。結論は、国民健康保険の健全なる発展のためにも従来の制度を維持すべきものである、地方に単なる負担の転嫁をすべきではない、こういう立場において今後私としては処置をいたしたい、こう思っております。
  159. 萩原昇

    ○萩原説明員 被保険者の負担になる、保険料の値上げにつながるというかっこうでの結論というのは避けたいというのが、われわれ厚生省、制度を預かる立場からの考え方でございます。
  160. 大橋敏雄

    ○大橋委員 ちょっともう一回。避けたいんじゃなくて、そういうことには絶対させませんと。ほかに工夫をすれば、何か案は出てくると思いますよ。いずれにしても、この五%のやりとりをめぐって、そのしりぬぐいで被保険者や地域住民に負担させないようにしますと言ってくださいよ。
  161. 萩原昇

    ○萩原説明員 被保険者の負担増につながるような制度改正はしないという考え方で、今後の折衝を行ってまいりたいと思います。
  162. 大橋敏雄

    ○大橋委員 大蔵省も、その決意だけ聞いておきます。
  163. 篠沢恭助

    ○篠沢説明員 現在の厳しい情勢のもとで、とにかくこういう御要求がすでに出てきておるということでございます。その具体的なやり方等につきましても、また、そういう方向にいけるのかどうかということにつきましても、これからの折衝事項でございますので、私どもとしましては、まず厚生、自治両省間でもいろいろお話し合いがあると思います、また私どももいろいろ参加すると思います、そういうことの中で検討させていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  164. 大橋敏雄

    ○大橋委員 確かに大蔵省というのは、あくまでも計算だけの考え方ですね。まあやむを得ないでしょう。  それでは、いまの問題は以上でけりをつけます。あと時間いっぱい、地方ローカル線の問題について話を進めていきますから、よろしくお願いします。  まず、運輸省の赤字ローカル線廃止決定に伴いまして、第一次四十線を廃止する。その四十線のうちに福岡県内には六線、そのほとんどが実は筑豊地帯にあるわけですが、ここに筑豊関係自治体が四市十六町あるのですけれども、もしこれが実施されたらばまさに死活問題というほどに真剣に深刻に受けとめております。  この筑豊地帯というのは、申し上げるまでもなく石炭から石油へのエネルギーの大転換政策によって全部閉山してしまったのです。炭鉱鉱害は残り、失業者は続発する、大変疲弊してしまったわけでございますが、それでも地域住民は生きていかなければなりませんし、何としても再建しなければならぬということで、石炭関係六法を頼りに今日までその再建に、地域振興にがんばってきたわけです。  おかげさまで、今回も期限切れになるところを延長していただくことになったわけでございますが、そういう産炭地域振興にいま物すごい意欲と最後の力を振りしぼっていこうというときに、一方で水をかけるようなローカル線廃止決定がなされたわけです。  しかし、この筑豊産炭地域を取り巻く六つの線は、ちょっとした再建の計画を立てれば物すごいメリットが出てくる、こういうことになっております。たとえば、室木線と宮田線というのがあるのですけれども、この間わずか二キロメートルを短絡すれば、北部筑豊地区と北九州市を結ぶいわめる環状線ができ上がるのです。わずか二キロなんですよ。それに要する費用は六十億と見込んでおります。  二つ目は、油須原線の開通問題があるわけでございます。これは、漆生というところから油須原の間のことを言うのですけれども、これもわずかな距離です。もうすでに工事がなされていたわけでございますが、中断しているのですよ。これを完成させれば、今度は筑豊全体と北九州の広域環状線ができ上がるのです。この予算は、先ほどのは六十億と言いましたけれども、こっちの方は三十億でできますよ。  もう一つ、三つ目は、桂川と臼井との短絡問題があるのです。これもわずか三キロメートルです。これができますと、先ほど申し上げました油須原線の開通と合わせて、今度は福岡市からずっと福岡県を横断する鉄道ができ上がるということになるわけです。これも三キロですが、予算的には五十億が見込まれているわけでございます。合わせますと百四十億円になるわけですけれども、これが実現すれば、産炭地域の浮揚はもちろんのこと、福岡県の産業経済あるいは民生安定等の大変な発展につながることは間違いございません。この百四十億というのは大変な金額のように聞こえますけれども、実はこれはわずかだなという実態が間もなくわかります。  自治大臣、こうした筑豊地帯の関係四市十六町の死活問題になっている自治体の真剣な要求を深く御理解いただきまして、そうした自治体を守る立場から廃止反対、現地の再建計画賛成、こういう立場でぜひとも大臣も闘ってもらいたいのですが、まず決意を聞いておきましょう。
  165. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 この問題は私から言うまでもございませんが、運輸省としばしば折衝をし、そして最後的にはこの辺でもって妥結せざるを得ないということで、自治省としても同意をした路線でございます。しかし結論は、これを地元の協議会において十分に論議を尽くして、そして地元の一応の了解も得て進めるというたてまえになっております。この辺がただいま進行中であります。若干停滞をしておるようでございますけれども、進行するたてまえになっておるわけでございます。  その過程におきまして、いまお話しのようないろいろな問題が、地元としても論議をされるだろうと存じます。これに運輸当局がどういうふうに対応するかという問題もあるわけでございます。そういう段階におきまして、地元の今後の発展のためにきわめて重要な問題でございまするので、そのときの状況に応じまして自治省としてもいろいろと話を進めていく必要があろうかと思っております。
  166. 大橋敏雄

    ○大橋委員 国鉄再建の立場からは、こうしたローカル線の赤字廃止線問題について、第一次の案にはやむを得ず賛成する立場をとったけれども、しかしこれからが協議だ、現実対応をしていきたい、こういう御答弁であったと思うわけでございますが、ただいま申し上げました筑豊の産炭地域の浮揚に際して、いまの鉄道の再建の——再生と言った方がいいかもしれませんね。再生の立場の予算額が百四十億円だと言ったわけでございますが、これはわずかな金だと言った理由をいまから私は申し上げたいと思うのです。  それで、国鉄関係の五十五年度の赤字の内訳を示していただきたい。  まず一つは、幹線系とローカル線系に分けて示してもらいたい。二つ目は、旅客部門と貨物部門に分けて、五十五年度で結構ですから示してください。
  167. 永光洋一

    ○永光政府委員 昭和五十五年度の国鉄の決算におきます純損失額は一兆八十四億円でございまして、このうち幹線系が六千八百四十三億円、地方交通線で二千九百二億円でございまして、残額が少しありますが、これは自動車関係でございます。幹線系、地方交通線関係は、五十五年度決算では一応そういうふうになっております。  いま旅客と貨物別というお話がございましたが、これは多少計算に手間取りまして大体年末にしか出ないものでございますから、五十四年の数字をちょっと申し上げますと、五十四年に貨物の全体の赤字が六千一億円、共通がございますので、共通経費を除きまして貨物プロパーで出ております赤字が千六百七十二億円、そして旅客と貨物全体では八千四百三十九億円の赤字が出ております。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕
  168. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いまの数字を聞きまして明らかになったことですけれども、要するに国鉄の五十五年度赤字の内容は全体で一兆円強でしたね。それを幹線系とローカル線系に分けるとほぼ七対三ですね。それから旅客部門と貨物部門もその割合でいくと、やはり貨物部門が七で旅客部門が三に当たります。貨物の赤字は大変なことですね。五十四年度で六千一億円です。私は、この解消こそが第一義ではないかと思うのですよ。  高木国鉄総裁はついこの前の十月十九日、臨調第四部会に呼ばれて国鉄再建についての説明を求められておりますけれども、その中で「経営改善計画 日本国有鉄道」これは昭和五十六年五月、ついこの前に運輸大臣の承認をとったばかりの経営改善計画案でございますけれども、貨物部門に至っては、これはもうだめです、狂いました、こんな内容で報告いたしておりますね。  さらにお尋ねしたいわけでございますが、東北・上越新幹線は五十七年六月までに開業と言われておりますけれども、これがいよいよ開業されると莫大な赤字が出るということが予測されておりますが、それは年間でいかほどか。あるいは青函トンネル、これはまだ新幹線よりはずっとおくれるわけではございますが、これもすでに予測されている年間の赤字はいかほどか、お尋ねしたいと思います。
  169. 永光洋一

    ○永光政府委員 御承知のように東北・上越新幹線につきましては、まだ全面開業の場合の運行ダイヤ等の細部が詰まっておりませんし、詳細な見込み額につきましては算出するのが少しむずかしい点がございますが、当面、来年の六月に東北新幹線の方は約十往復程度の暫定的な輸送を行い、十一月から東北の方が三十往復程度、それから新潟の上越の方が二十往復程度というようなスケジュールを目下つくりつつありまして、そういうことを前提に、一応概算でございますが試算をいたしますと、助成制度を入れまして、収入が千二百七十億ほどになりますのに、経費が約二千九百億、これは特に資本関係の利子とか償却とかいうのが出てまいります。年度途中でございますので、完全に一年間分の償却、利子が出ないのでございますが、したがいまして、差し引き千六百三十億円ほどのネットの赤字が出ます。平年度には、さらにそれよりも多少と申しますか、大きな赤字がしばらく続くと思われます。  青函トンネルにつきましては、これもまた現在、六十年度ごろの開業になると思いますが、旅客列車は通しますが、貨物につきましては、現在のところフレートライナーという貨物は通すにしても、一般貨車につきまして、安全性等の問題からさらに安全を確認しまして、全体的にトンネルの方に移行させる、こういう考え方でありますが、現在のところでは公団がつくっておりまして、それへの借料が大体七百億程度かかると思います。その借料を別にしまして、全体的に旅客、貨物がトンネルの方に移行したとしました場合の欠損額が、概算でございますが百億円ぐらいではないか、こういうふうに考えられます。
  170. 大橋敏雄

    ○大橋委員 あなたは肝心なところを抜かして説明していますよ。私は、事前に国鉄さんの方に問い合わせをしましたから、「東北・上越新幹線開業に伴う資本費関係負担といっているものの内容は、減価償却費、利子、鉄道建設公団借料及び助成金」、これは工事費補助金としてありますが、「であり、その六十年度における内訳は次のように見込んでいる。」減価償却費は千億円、利子は二千七百億円、鉄建公団借料は千億円、助成金の方は△が立って七百億円、差し引き四千億円の赤字が見込まれます、こういう報告が出ていますよ。それから青函トンネルの借損料、これは七百億円、いま営業損益は百億円でしょうけれども、合わせると八百億円。  とにかくいま、赤字線を廃止しよう、赤字線を廃止しようと言いながら、一方新線の方ではこんなに、それを開業すると年間四千億円も、あるいは八百億円も赤字が出るなんということになっているんですけれども、これはもうれっきとした試算でございますので、これは私は重大問題だと思うんですね。こういう計画をし、あるいは計画が途中で狂ったのかもしれませんけれども、結果的にこんな大赤字を出すような鉄道の開業に持ち込んだ責任は一体だれが負うんですかね。
  171. 永光洋一

    ○永光政府委員 東北・上越新幹線につきまして、先ほどのお話でございますが、私の答弁いたしましたのは開業の年のお話をいたしましたので、いま先生がおっしゃいました四千億というのは、資本関係の要するに平年度、いわゆる六十年度と申しますか、平年度の数字を挙げたものだと思います。  それから東北・上越というような、あるいは青函と申しますか、四十五年ごろの計画でスタートしたわけでございますが、その当時から比べまして、オイルショックあるいは地価の高騰というようなこともあり、あるいは、いわゆる航空網あるいは道路輸送の進展というような観点からの他の交通機関との競合というような面からいろいろな事情がございまして、確かに採算上非常に苦しいというプロジェクトではございますが、特に東北、上越につきましては、採算的にはいける下地のある路線でございまして、こういうものはやはり懐妊期間が非常に長いものでございますので、地域開発にいろいろな効果を波及させながら、長期的には採算がとれるというふうにわれわれは見通しておるわけでございます。
  172. 大橋敏雄

    ○大橋委員 長期的にはなんて気楽なことをおっしゃいますけれども自治大臣、お聞きのとおり、国鉄の現在の五十五年度の赤字が一兆円の中に、貨物部門が六千億占めているというんでしょう。——失礼しました。要するに、貨物の赤字が六千億である、と。東北・上越線の開業がなされると、毎年、現段階では四千億ぐらいの赤字が見込まれている。青函トンネルが開業されると毎年八百億、こういうでたらめな莫大な赤字がすでに予想されているわけですが、五十五年度のローカル線全体で出ている赤字はわずかに二千九百億です。そして、今度四十線を廃止しようという、それは幾らかと言えば百四十九億ですよ。一兆円に対しては一・五%ですね。ましてや、その四十線のうちの福岡県内の六線は二十億円、〇・二%なんですよ。もう手を打たねばならぬ問題はよそにたくさんあるわけですね。  先ほど申しましたように、筑豊の六線の再建計画というものは百四十億程度でできるということでございますから、何としてもこの筑豊の自治体関係者の要望を了解していただいて、国鉄側、運輸省の方もこの再建の方向をもう一度真剣に見ていただきたい。これに対する御決意を自治大臣それから運輸省に聞いて、質問を終わりたいと思います。
  173. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 特別地方線の問題につきましては、昨年末から本年初めにかけまして、運輸当局とずいぶんと論議を重ねたところでございます。その当時から国鉄の赤字全体の問題、ローカル線の赤字の問題、その均衡の問題、また再建のためになすべき方策の順序の問題等々について、運輸大臣とも十分論議を重ねてまいったところでございます。  結論的には、当初、もう少しよけいなローカル線の廃止を考えておったのでございまするが、いまの段階に最終的には落ちついたわけでございます。しかしながら、これも結論は、これからの地元との協議にまつという結果になるわけでございます。その当時、運輸大臣といたしましては、どうしてもこの問題に手をつけざるを得ないという問題は、国鉄の人員整理の問題、これにも絡むというような話が相当強調されたように私は記憶をいたしております。したがいまして、国鉄当局は、現在出ておりまする赤字の比較だけでなくて、別の問題をも考慮に入れてどうしてもやらざるを得ない、こういうような論調であったと記憶をいたしております。  それはそれといたしまして、そうした妥結をいたしまして今度は地元の折衝に移ってあるわけでございまするので、地元の、ただいまお話のございましたようないろいろな再建方策というものが具体的に生まれてくるわけでございまするので、この点については十分地元の意向をも消化をいたしまして、必要があれば運輸当局にも私の意見として申し入れたいと思っております。
  174. 永光洋一

    ○永光政府委員 地方交通線対策につきましては、これは国鉄の赤字対策あるいは企業的な面だけでなくて、やはり地方の交通体系上、地域の輸送需要に適合した交通は何がいいかという観点から進めるべきだということかと思います。それはいろいろ議論があると思いますが、われわれとしては、鉄道の特性と申しますのは、幹線なりそういう鉄道の機能が十分に発揮し得る点においては鉄道を延ばすべきであるし、ローカルにおいてバスなり道路なりに頼る方が国民経済的に効率的なものはそちらの方に漸次移行していくことが、国民経済的に見ても地域の交通のあり方から見てもよろしいのではないか、こう思うわけでございます。  福岡の場合、先生のおっしゃいますように、これは全国知事会からも、要するにその地域の交通体系をまず議論すべきではないかというような御意見がございまして、先ほど自治大臣がおっしゃいましたように、協議会の場でというようなお話がありましたが、協議会そのものは、鉄道輸送の代替の足の確保に関しての協議をする場ではございますけれども、これは知事会の方にもわれわれ、協議会の場でそういうものも論議し得る、論議があり得るだろうということを答えておりますので、そういう幅広い議論も協議会の場を通じてあるかと思います。
  175. 大橋敏雄

    ○大橋委員 終わります。
  176. 安田貴六

    ○安田委員長代理 部谷孝之君。
  177. 部谷孝之

    部谷委員 きょうは、久方ぶりの地方行政委員会一般質問でありますので、私は、常々わが党が主張をいたしております第二交付税の問題第二番目に、二十九日に予定されております年金福祉ストにかかわる問題最後に、北方領土三島六カ村の編入の問題、この三点にわたってお尋ねをしてまいりたいと思います。少し盛りだくさんに質問の用意をしましたので、あるいは全部いけるかどうか、しかし、ひとつ簡明直截に御答弁をいただきたい、このように思うわけであります。  まず、第二交付税の問題についてでございますが、御承知のようにわが党は、総理の所信表明に対する代表質問あるいは今国会において設置されました行財政改革特別委員会の質疑を通じまして、制度、機構の改革というものは、地方分権を志向しながら進めるべきであると主張してまいりました。そして、特に補助金の整理合理化、これは金額を削減するということではなくて、補助金制度全般の抜本的な改革を断行することでなければならない。  補助金制度には、御承知のようにいろいろと弊害が指摘されております。すなわち、各省庁の縦割り行政あるいはなわ張り意識によって、似たような補助金がそれぞれ何の脈絡もなく交付されまして、地方の自主性、計画性というものが大きく阻害されております。また、これに伴います膨大な事務手続あるいはまた陳情、折衝には多くのむだがあると指摘されておるわけでございます。  わが党が調べましたところでは、正規の手続以外の陳情に要する経費あるいは件数、そういうものは相当膨大な数字に上っております。最近調べました近畿地方のある市では、陳情だけのために、去年、予算編成のときに連絡員が四、五名常駐いたしております。そのほかに、延べ百六十二名という人たちが上京いたしております。また、大蔵省一省に昨年の十二月一日から二十七日の間に陳情に来た陳情件数は四百七十一件、人数にいたしますと四千九百九十一人という数に上っております。これは受付を通して陳情した数字であります。したがって、これらの人々以外に、国会議員が陳情団を連れて、受付を通さないで入った数がもっとたくさんあるわけです。補助金制度の抜本的な改革がいまこそ必要なときではないか、こういうふうに思うわけでありますが、まずその点についての御見解をいただきたいと思います。
  178. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 補助金は、一つ政策目標を達成するための手段として存在するわけでございますけれども、しかし、現状を見ますと、これには弊害が非常に多いということを私も痛感しておる一人でございます。したがいまして、この補助金制度につきましては基本的に見直して、そして体系を別に考えるべきじゃなかろうか、こう思っております。
  179. 部谷孝之

    部谷委員 そこで、そうした地方の自主性を生かしながら、また補助金交付に伴う膨大なそうしたむだと労力を省くために、わが党は、公共事業に対する国の補助負担金を一括して交付する第二交付税を導入すべきである、こういうことを主張しておるわけでございます。こうした私たちが主張いたしております第二交付税は、どうも皆さんの御理解をまだ十分いただいていないのではないかというふうな感じがいたしますので、その趣旨をちょっと申し上げてみたいと思います。  この第二交付税というものは、道路、河川、港湾、都市計画事業、こうしたいわゆる地財法第十条の二の各号に列挙されております事業に要する経費に対する国の支出、これを第二地方交付税として位置づけまして、公共事業等の財源として地方団体に一括交付し、地域の実情と実績に即した総合的、効果的な運用が図られるようにしようというものであります。つまり、各施設の整備順位や具体的な事業の選択等につきましては各地方団体の裁量に任せて、事業間の整合性を図るなど円滑な事業の執行を行い、また、財源を一括交付することによって財源の有効利用を図るとともに、事務手続の煩瑣さや事務費のむだを初め縦割り行政の弊害を除去し、行政の効率化を図ろうとするものであります。したがって、地方団体は、たとえば当該年度は道路整備事業に重点的に財源を充当して事業を執行し、翌年度は港湾整備事業に財源を充当して事業を執行するというふうに、地方団体の自主性による運用を行いながら経費の効率化を図られることになるわけであります。  ところが総理は、わが党のこうした提案に対しまして、趣旨理解できるが賛成しかねる、前の国会で大臣もそのように言われたわけでありますが、そういう答弁を繰り返してこられたのでございますが、改めてもう一度大臣にこの第二交付税の制度に対してどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  180. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 公共事業費について第二交付税として措置したらどうかという、まことに傾聴に値する御提案のあることは重々承知をいたしております。ただ、総理大臣も私もその際申し上げておりまするのは、公共事業の中につきましては河川、道路のように国全体として考えるべき計画もある、そういうものを地方の一般財源として付与して県だけの都合でやることもどうであろうか。国の基本的な政策というものがあるので、その点については国庫負担金制度の問題もあるし、直ちによろしゅうございますというわけにもいかぬという意味でお答えをしておるわけでございます。現在でも私は、そういうふうに考えております。  もう一度検討していただくべき問題点としましては、より現実的な問題といたしまして、公共事業費を全部一般財源化して第二交付税というふうなことにすることは、構想としてはわかりますけれども、現実的ではないという感じを私は持っております。  現実に考えますと、たとえば都道府県の道路整備について考えますれば、県外との関係、全体的な道路網の整備の問題のほかに、局部改良でございますとか舗装の整備でございますとか、そうしたその地方だけの部分の問題があるわけでございます。そうした問題をくくりまして、そしてこれが地方団体考え方に従って処置をするというようなことを考えることが一つの事務改善でもありまするし、地方の自主性というものを尊重するゆえんでもあるし、その辺については検討を加えてみる必要があるのじゃなかろうかというふうに私は考えております。
  181. 部谷孝之

    部谷委員 事業を自主的にやるということと国の計画、そうしたものに整合性を持たせるということは私は必ずしも矛盾をしない、こういうふうに考えます。先ほど申し上げました、わが党が検討いたしております案につきましても、これは事業ごとに地方は国の各種の長期的なたとえば五カ年計画、そういうものに従って、かつ全国的に統一をされた基準に基づいて投資計画を策定し、この計画期間中に国の目標とする水準になる、そういうことを前提としておるわけでありまして、国の計画と整合性は十分保てる、私はこういうふうに考えるわけであります。  私は、要はやる気だと思うわけでありまして、行革大綱に対する中道四党の共同要求、その中にも第二交付税的な制度の創設、こういうことを主張しておりますし、御承知のように、自民党の議員さんの中でも大変この構想に積極的な議員さんもおられます。また、最近自民党筋から私どもの党に対して、あの第二交付税の内容はどうなんだ、そういう強い関心を示され、そうした照会も実はたくさん来ておるわけでありまして、実際に補助金を握り権限を握っておる行政の側からは、なかなかこうした構想、発想は出にくいと思うわけでありますが、そうした地方分権を進めるためにも補助金制度の悪弊をなくするためにもぜひとも実現すべき制度である、自治省としてもこの問題について現実的な制度の模索を進めていくべきだ、このように思うのでございますが、重ねてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  182. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いろいろとお話を伺っておる問題でございます。御指摘のございましたように、財源の効率的な使用とかあるいは地方団体が自主的に選択して仕事ができるといった意味で示唆に富んだ御意見であるわけでございますが、たびたび申し上げておりますように、基本的にはやはり普通建設補助金全部となると三兆円を超えるようなきわめて大きなものでございます。そういったものをそういう形でまとめるとなりますと、基本的には国と地方との役割り分担のあり方にもつながることでございますし、大臣から申し上げましたように、道路、河川、港湾といったような整備について国政の目的に沿う施策を実現するという制度の本質から見てどうであろうかという問題もやはりあります。  さらに、第二交付税という場合にどういう形でどういうふうに配分するか、研究すればいろいろなむずかしい問題があるだろうと思っております。私ども御意見は承りましたが、なかなか、直ちにそれに取りかかるというよりは、まあなお慎重に検討したいという気の方が強いわけでございます。  ただ、おっしゃいますように、そういった形での総合メニュー化、通常の統合メニュー化をさらに越えて、たとえばアメリカのブロックグラントといったような保健衛生的なものをまとめるといったような形のものもありますが、各国のいろいろな制度もございます。いわゆる包括補助金的なものでございますが、そういったこと等も——私どもも、補助金にまつわるいろいろな問題というのを片づけていくためには、そういったことも含めて御趣旨にある基本的な考え方については理解もできます。そういったことについて、なお十分検討は進めてみたいと思っております。
  183. 部谷孝之

    部谷委員 地財法の第九条の精神というのは、地方の事務は地方でやるというのが原則でありまして、十条から十条の四までの方が実は例外規定なんです。したがって、十条の二というのは一応そういう形で特別の措置がされておるわけでありますから、私は、やはり地財法の基本的な精神に立つことが地方自治の本旨に立つことだというふうに考えるわけでありまして、そういう観点からいろいろお尋ねしたわけでありますので、さらに御検討をいただきたい、このように思います。  次に、今月の二十九日に、いわば行革国会の山場に公務員関係の労働者が年金福祉ストを予定しておる、こういうふうに報道されておりますが、大臣もちろん御承知だと思いますけれども、その概要は一体どういうふうになっておるのか、把握しておられればひとつお答え願います。
  184. 大嶋孝

    大嶋政府委員 二十九日に予定をされております概要でございますが、まず公務員共闘につきましては、行革法案に反対して一時間を機軸とする統一スト、自治労におきましては、行革公務員二法反対、人事院勧告完全実施を掲げまして二時間のスト、都市交につきましては、乗務員は始発から午前七時までのスト、非乗務員は始業時から一時間のスト、全水道は二時間のストをいずれも予定をしておるようでございます。
  185. 部谷孝之

    部谷委員 こうした二十九日に構えられるストライキというものがきわめて政治的な意図の強いストだ、こういうふうに考えられるわけでありますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  186. 大嶋孝

    大嶋政府委員 地方公務員は、目的のいかんにかかわらず争議行為等を行うことは法律によって禁止されているところでございまして、違法なストであることは言うまでもないことでございます。
  187. 部谷孝之

    部谷委員 お示しのように、地公法の三十七条、そして地方公営企業労働関係法の十一条、これらによって違法ストが禁止されておることは明らかなわけでありますが、今度の二十九日に予想されるストがそうした違法なストになりかねない、なりかねないというよりもむしろ違法ストである、こういうふうに断定すべきだと思うわけでありまして、自治省といたしましては当然これを抑止しなければならない、こういうふうに思うわけですが、これまでにこれらに対してどういう措置を講じてこられたか、また講じようとしておられるか、御答弁願います。
  188. 大嶋孝

    大嶋政府委員 本来、法秩序を守るべき立場にございます地方公務員が、法律の規定を無視いたしましてストライキを強行するということは、民主主義社会への重大な挑戦であろうというような認識の上に立ちまして、従来からこうした違法行為が計画されるたびに自粛を強く訴えるとともに、各地方公共団体の当局に対しましても、職員の服務規律の維持に万全を期するよう要請をしてきたところでございます。特に、万一違法行為が行われた場合におきましては、その責任の所在を明らかにいたしまして、厳正な措置をもってこれに臨むよう要請してきたところでございます。今後とも、こうした基本に立って対処してまいりたいと思います。  なお、十月二十日付をもちまして、行政局長名で各都道府県知事あて、地方公務員の争議行為等の防止についてという通知も出しておるところでございます。
  189. 部谷孝之

    部谷委員 調査したところによりますと、自治労が大体十五億円、日教組で百六十億円がそれぞれスト救援基金として予算化されておる、こういうふうに聞いておるのでありますが、このたび計画されておるストがどのような影響を持つか、そういうことを具体的に把握しておられるのかどうか。これは明らかに違法な行為であるわけでありまして、こうしたスト救済基金というものが予算化されておるということは、つまり処分を受けることを前提としてこうした予算化がされておる、こういうふうに考えざるを得ないのでありますが、このような地方公務員団体の姿勢につきましてどのようにお考えか、御答弁をいただきたいと思います。
  190. 大嶋孝

    大嶋政府委員 御指摘のように、公務員関係労働組合は、ストライキ等を行いまして賃金カットあるいは懲戒処分を受けた者に対して、その損失を補てんするための救援資金を積み立てておるというふうに聞いております。御指摘のように、このような資金は違法ストを前提とするものでございまして、率先して法令を守るあるいは住民全体の奉仕者として勤務すべき地方公務員職員団体の姿勢としてはきわめて遺憾である、かように考えております。
  191. 部谷孝之

    部谷委員 お示しのように、地方公務員や公営企業の労働者あるいは団体、そうしたものは争議行為をもちろん禁止されておりまして、ストに参加した者あるいはストライキをあおった者、そういう者に対しては当然処分の対象になるわけでありますが、こうした処分はどういうふうにおやりになるのか、それが一つ。  それから、先ほどもお話がありました地下鉄と公営交通労働者で組織をいたしております都市交通労組、これも十月二十日にこの年金福祉ストに参加することを決めましてストの準備指令に入ったわけでありますが、予定どおりに実施されますならば、先ほどお話がありましたような都市交通はストップをいたします。これによりまして利用客への影響は東京で約二十万人、全国で八十万人に及ぶというふうに予想されておるわけでありますが、このストによって起こった損害につきましては、ストを実施した労働組合に対して損害賠償を求めることが妥当である、こういうふうに思いますが、この点についてどのような御見解か、さらにそうした見解に基づいて地方に対してどのような指導をしておられるのか、スト問題についての最後のお尋ねをいたします。
  192. 大嶋孝

    大嶋政府委員 違法なストライキにつきましては、単にそれに当たりまして指導的な役割りを果たした者にとどまらず、単純に参加した者あるいはあおり行為を行った者に対しましても、懲戒処分の対象になることは当然でございます。また、公務員のストライキによりまして損害を受けた地方公共団体は、組合に対しましてその損害の賠償を請求することができるものでございます。自治省といたしましては、万一違法なストライキが行われました場合には、地方公共団体としてこれらの責任を明確にし、厳正な措置をもってこれに臨むことによりまして住民の信頼にこたえるということを期待しておるものでございます。
  193. 部谷孝之

    部谷委員 次いで、北方領土の三島六カ村の編入問題についてお尋ねをいたします。  戦後三十六年、日ソ共同宣言が署名されてからちょうど四半世紀、二十五年が経過をいたしました。しかし、日ソ間の最大の懸案事項である北方領土問題、これが解決をしていないわけでありますが、解決しない第一の理由は、領土問題は存在しないというソ連の頑強と申しましょうか頑迷な理不尽な態度、そういうところにあると思います。  二番目に、今日まで政府が、外交においてもまた内政上の対策においても必ずしも真剣に取り組んできていない、そういうことも私は理由に挙げることができると思います。すなわち、政府は、北方領土返還を実現するための施策を総合的に調査検討して立案し、強力に推進しなければならなかったにもかかわらず、歴代内閣の消極的な姿勢と事なかれ主義あるいは省庁あって国家なしと言われるなわ張り意識、そういうものによって今日まで何もされないで放置されてきた、こういうことになるわけであります。そこで、きょうは自治省に係る問題について、いささかの質問を試みたい、こういうふうに思います。  いわゆる北方四島につきましては、政府はわが国の固有の領土であるということで、ソ連に対して領土権を主張しております。そして、歯舞、色丹、泊、留夜別、紗那、留別、蘂取、この七つの村が四島にあったわけでありますが、これらの村の地方自治法上の法的な位置、地位、それは一体どのようになっておるのか、まずお尋ねいたします。
  194. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお示しの北方四島七カ村のうち色丹、国後、択捉の三島六村、色丹村、泊村、留夜別村、留別村、紗那村、蘂取村につきましては、御案内のとおり事実上ソ連に占拠されておるわけであります。そのためにその島に住む住民もございませんし、行政権も行使されないという状況にございます。しかし、これらは北海道に属してはおりまして、占拠後も政府としては廃村の手続をとっておりません。そのためにこれらの村は、形式的には存続をしておるというふうに考えております。  ただ、歯舞村につきましては、御案内のとおり昭和三十四年四月一日に根室と合併をいたしております。
  195. 部谷孝之

    部谷委員 そこで、自治省が発行しておられます「全国市町村要覧」あるいは「地方公共団体総覧」の中では、四島七カ村はどのように扱われておりますか。
  196. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお示しがございました「全国市町村要覧」あるいは「地方公共団体総覧」というのが発行されておりますが、実はこれらにつきましてはいずれも公共団体の概要と申しますか、公共団体における実態を表示しているものであります。たとえば、各市町村別の人口とか面積あるいはいつ合併したか、境界変更はどうなっておるか、あるいは役場がどこにあるのか、あるいは産業別の人口がどうなっておるのか、あるいはいまの市町村における市長さんはだれであるのかという実態を示しており、私たちの執務の参考の資料にいたしておるわけであります。  いまお示しがありました六カ村につきましてはソビエトに占拠されておりまして、行政の実態がないわけであります。そのためにこの中からは削除しておりました。しかし、昨年の十一月に国会で北方領土返還の全党一致の決議がございまして、そういうものに基づくあるいはその他の最近における北方領土のいろいろな問題がございますので、新たにこの総覧なり要覧の凡例のところに、これらの三島六村が存在をしておるということを明記いたしたわけでございます。
  197. 部谷孝之

    部谷委員 凡例のところへ明示され、そして地図のところに新しく括弧して村名が入れられたわけでありますが、「全国市町村要覧」では北海道の市町村の数は幾つになっておりますか。
  198. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 二百十二でございます。
  199. 部谷孝之

    部谷委員 その二百十二の中に六カ村は入っておりますか。
  200. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほど申し上げておりますとおり、市町村の実態がどうなっているかということを示す執務の参考資料でございますし、六村については現実に行政の実態がございませんので、その中には含めてございません。
  201. 部谷孝之

    部谷委員 この六カ村については、自治省地方自治法上存在するという見解をとっておられるわけでありますから、いわゆる本文の部分にも当然島名、村名、面積、こうしたものを記載すべきではないか。つまり、市町村の数は二百十八にすべきであると思うわけでございまして、そのことが、領土権を主張しておる以上は、たとえ事務的な資料であってもそうしたきちっとした記載が必要であると思うのですが、どうですか。
  202. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話しのようにこの六村についての取り扱いは、従前から、執務の資料としての行政の実態がないという関係上、実は省いてきておったわけであります。しかし、先ほどのようなお話あるいは国会のそういう決議等がございまして、この六村についても——もともと三島については表示してございましたが、その三島の中における村名というのも、新たに地図の中にも表示をしたわけであります。しかし、地図の中にだけ表示をするといいましても、その実態がどうかということがわかりませんし、実態と申しましても面積しかわからないという状況でございますが、面積だけでも表示しようじゃないかということで、お話しのような凡例の中に入れたわけであります。  ただ、中に入れないという理由は、実はこの中に書いてありますのは、先ほどもお話し申し上げたようにいろいろな過去の市町村の実態がわかるように、必要な部分だけの基礎的データがわかるように示したものでありまして、最終的にはそういうものを利用しながら、一カ町村当たりの平均人口がどのくらいか、あるいは面積が平均してどうなるのかとか、そこから出てくるいろいろなことを資料に使っているわけであります。そういう関係上、二百十二に同列に置くというのもいかがかということで実は外しておったわけでありますが、いろいろなことがございましたので凡例に入れたというのがいままでのいきさつでございます。
  203. 部谷孝之

    部谷委員 面積というのは、戦前からずっといろいろな資料があるわけですが、北海道の面積は全部で幾らになりますか。
  204. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 道の面積は、もともと私たちが面積とかなんかで使っております国土地理院で調べておる面積をそのまま使っておりますが、八万三千五百十六・三七平方キロであります。
  205. 部谷孝之

    部谷委員 総覧にそのように書いてありますね。  では、北海道の市町村の面積の合計は幾らになるでしょうか。
  206. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほど申し上げました中から三島を除いてございますので、七万八千六百二十二・四一平方キロということになっております。
  207. 部谷孝之

    部谷委員 そうですね。したがって、北海道の面積と北海道の市町村の面積を累積した数字との間には、四千八百九十四平米くらいの食い違いが出ておるわけでありまして、実態がわからないといったってこの面積ははっきりしておるわけですから、そういうものは当然挿入するというか記載さるべきであると考えるわけであります。  そういたしますと、今度、全国の都道府県の総面積と特別区を含む市町村の面積の累計と申しましょうか、それも当然違っておるわけですね。
  208. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 そのとおりでございます。
  209. 部谷孝之

    部谷委員 わが国の領土は、いずれかの市町村に属さなければならないということになっておるのですが、そのこととの食い違いはないのですか。
  210. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 一般的には全国の地方公共団体、まあ府県、市町村と類別されるわけでありますが、市町村というのは全部府県に属しているわけであります。そういうことからいいますと、府県の面積と市町村の面積とは本来一致すべきものであります。私は、日本の国全体の面積というのは、先ほど申し上げたように都道府県の面積が日本の面積であると思っておりますし、それは正しいことだと思っております。北方領土の返還に対しては、政府としても非常に政治的な課題だということで取り組んでいるわけでありますから、その面積自身の議論としては、いま申し上げましたようなものが基本にあるべきだと思っております。  ただ、先ほど申し上げておりますように、市町村要覧でありますとか公共団体総覧というのは執務の便宜上つくった資料でございまして、その中に入れるか入れないかというのは、執務の参考にするかしないかというだけの話でございましたためにいままで除いておったというのが実態でございます。ですから、そういういろいろな問題がございまして、むしろこの際は、そういう六村というのを表示しておくのがむしろ正しいのではないかということで、実は凡例のところに新たに入れました。そのために、それを合わせますと、全国の市町村と全国の都道府県の面積というのは、これで一致をするということになるわけであります。
  211. 部谷孝之

    部谷委員 事務的な書類といいましても政府の発行しておる文書でありますから、私は対外的には権威を持つ文書だろうと思います。したがって、たとえば交渉の相手方であるソ連が、日本みずからが認めていないじゃないかという、そういうふうな言いがかりをつけさせる一つの原因になるおそれがきわめて強い、こういうふうに私は思うわけでありますから、さらにまた御検討いただきまして、早急にひとつこれを訂正していただきたい、このように思います。  次に、交付税の問題でありますが、地方交付税は北海道分、さらにこの七カ村、そういうものに対する交付税の交付はどういうふうな予定になっておりますか、まずお尋ねします。
  212. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 四島関係のうちで根室市の旧歯舞村につきましては、その区域がもともと旧歯舞村という根室半島にあった本土部分と島嶼部分とございまして、昭和三十四年四月一日に歯舞村が地方自治法の定めるところによりまして根室市に合併された、半島部分に実態があった、その間で合併が行われたということになりましたので、もともと歯舞村の一部でございました歯舞諸島につきましても、その面積を根室市の面積に加えて普通交付税に算定をしておるという状況でございます。  一方、北方四島のうちの道の分でございますが、道につきましては、四島のうちの歯舞諸島については、ただいま申し上げましたように旧歯舞村が——旧と申しますか、歯舞村が昭和三十四年四月一日に根室市に合併されましたのを機会に、本来これは道に含まれていたものでございますから、当該面積を道分の面積に加えて交付税を算定する。歯舞諸島を除きます北方三島につきましては、四十四年度から建設国土地理院がこれらの地域を公表したということに伴いまして、これももともと道の面積に入っておったものでございますから、当該面積を道分の面積に加えて普通交付税に算入をしておるということでございます。
  213. 部谷孝之

    部谷委員 それで三島六カ村、これが市町村分が除外されておる理由はなぜなのか。いまお話がありましたように、三十四年に歯舞に対する普通交付税は交付された。さらに、四十四年から道分が交付されておるわけですが、なぜこの六カ村だけが残されたのか、ひとつ御説明願います。
  214. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 実態に応じて交付税は計算をするということにしておるわけでございますが、いま申し上げましたように、北方四島それ自体はもともと道分としては当然入っておったということでありますから、道として見るときは、面積さえ明らかになればそれは計算ができる。ところが、市町村という単位でとります場合は、旧歯舞村につきましては、根室市の横の半島部にあったために、それが実際合併をして、その島嶼分も一緒に入ったということでございますから、実態としてあった村と市の合併でございます。だから、それは実態としてとらえられた。ところが三島六カ村につきましては、それは独立の町村であったわけでありますから、そこにやろうとしても、現在計算して交付すべき実態がないわけでございますので、町村分についてのそういう取り扱いということは実態上やり得ないということでございます。しかし、道としては当然入っておったので計算をした、そういう形で取り扱っておるわけでございます。
  215. 部谷孝之

    部谷委員 現実に根室市の交付税の中に歯舞分が入っておる。類似の例といたしまして、竹島につきましては、これは島根県の五箇村、これに所属せしめて、これも交付税の対象になる。もう一つ尖閣列島もあるわけでありますが、そういうふうにそれぞれ行政権の及ばない、あるいはいわば実態のないところでも、それらの場所には実は交付されておるわけでありますが、私は、やはりそうした五箇村の竹島にいたしましても、また歯舞にいたしましても、交付するための一つの措置、そういうものがされておるから交付されておるのでありまして、したがって、この三島六カ村についてもそのような措置をとることによって交付の対象になるというふうに考えるのですが、どうでしょうか。
  216. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 歯舞諸島とか竹島の面積を根室市あるいは五箇村の面積に加えて普通交付税に算入しておるというのは、これはもうお示しのとおりでございます。これはこういった島嶼が、建設国土地理院の公表面積でも明らかに示されておりますように、もともとその当該市町村、現に実在しております当該市町村の区域の一部であるところからやっておるわけでございまして、北方三島については、道分は別といたしまして、かつては独立の町村、地方団体であったわけでございますが、現在いずれの市町村にも実態上属してないというわけでありますから、市町村分としては算入し、また算入しても交付すべきところもないわけでございます。  そこで、おっしゃいますように何らかの手続をすればできるのではないかということでございますけれども、いま申し上げた例は、もともと実態としてある、現実に存在する市町村の区域の一部でございます。これは仮に、何らかの仮定を置いてやらなければならぬことになるわけでありますが、北方三島を、たとえば道内の特定の市町村に編入するということにつきましては、これらの町村はかつては独立の地方公共団体であったという経緯があるわけでありますし、そして法的にそういう町村としての考え方も残っておるわけでありますし、地方行政の実態を伴わないままに、率直に申し上げて福岡県、千葉県の面積に相当するような広大な面積をその市町村に編入をするということにして、これを全地方団体の共有財源でございます交付税の配分の基礎として持ち込むということになれば、やはりそこらには問題があるように思われますので、普通交付税に算入することについては、私どもとしてはやはり慎重に考えなければならないというふうに考えております。
  217. 部谷孝之

    部谷委員 いま、かなり重大な御発言があったのですが、それに対する再質問は後に回しまして、北方領土周辺の各市町村は、北方領土からの多くの引き揚げ者を受け入れまして、乏しい財政の中から生活保護あるいは拿捕の見舞い金、こういうものを支給をしまして、さらに北方領土問題の啓蒙宣伝のために多額の出費を余儀なくされております。このことは、国会の委員会の報告の中にも指摘されておるわけであります。つまり、これらの市町村は、領土問題という本来国が行うべき仕事のために多額の出費を余儀なくされ、しかも、北方領土返還の運動をいまなお率先して続けておるわけでありまして、したがって、三島六カ村を暫定的に北方領土周辺の自治体の区域に編入をして、北方領土の返還前から普通交付税を交付するという、そのことがまた領土権を主張する上からも対外的にも非常に効果があり、当然のことである、こういうふうに思うわけですが、重ねてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  218. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 北方三島周辺の市町村に編入をいたしまして、その面積を周辺市町村の面積に加えて交付税の対象にするということについては、先ほどからるる申し上げておりますように、それぞれの北方三島の六カ村というのは独立の町村であったわけでありますから、直ちにその周辺の市町村に編入をしてということになりますと、いま申し上げたようないろいろな問題があるわけでございます。  そこで私どもとしては、慎重に取り扱わなければならぬと申し上げたわけでございますが、いまおっしゃいますように北方領土問題というのは、これはまさに国家的な問題であるわけでございます。北方領土対策とか周辺地域の振興に要する経費については、交付税でもいま一部は見ておるわけでございます。しかしながら、そういった国家的な課題について、いまお示しのような交付税で対処するということよりも、私は、国の責任による財政措置が基本とされるべきであって、これとあわせて地方財政においても所要の措置を検討すべきであり、またそれはやぶさかではないと思いますが、交付税のみに限定してやるというのは、いまおっしゃったまさに国家的課題という面から見てどうであろうかという感じを持っております。
  219. 部谷孝之

    部谷委員 自治省がとにかく三島編入問題に対して、消極的というよりも反対の御意向が強いように聞いておるわけでありますが、そうした反対される理由は、一つ行政権が及ばない、またそうした実態がない、そうした行政需要のない地域に交付税を交付することはいかがなものであるか、こういう問題が一つと、もう一つ、先ほどいみじくもお話がありましたように、地方公共団体の共有の一般財源である交付税で措置するということは、これは他の地方公共団体の納得が得られないだろう、あるいは交付税の配分上の公正を欠くというふうな御判断の中から、そうしたお考えが出ておると思うのです。  いみじくも先ほどそういう御発言もあったわけでありますが、私は、そうしたいわゆる地方団体の共通の財源を勝手にあの六カ村を外して配分してしまったというのが実態ではないかというふうに思うわけでありまして、そこに私は発想一つ違うのじゃないかという感じがいたします。もう一つは、それならばたとえば国が相当分の財源を交付税特会に繰り入れるというふうな、そうした別途の財源措置がとられるならばそれは認めよう、こういうことなんですか、お尋ねします。
  220. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 二点でございますが、前段については、これはいろいろ基本的にむずかしい問題があろうかと思っております。私どもは、その三島を編入するのをいかにも強く反対しておるという雪にお言いただくと大変——そういった趣旨ではないわけでございまして、三島について、これが本来固有の領土であるという意味において大変な関心を持っておるわけでございますけれども、私が申し上げたのは、交付税という立場においてどう扱うかという問題からいろいろむずかしい問題があって、そう簡単に編入していけばいいというものでもあるまいということで申し上げたわけでございます。  それともう一つは、全地方団体の共有財源である地方交付税を経理するために交付税特別会計というものが設けられておるわけでございまして、そこの特別会計に入ったいわば共通財源を配分をしておるわけでございますが、そういったものに、特定の地方団体だけに交付されてくるというような、明らかにそういう分別された財源を繰り入れるということになりますと、これまた法律上いろいろ問題がありますし、私どももそれが直ちに結構であると言うわけにはまいらぬという気がするのであります。  先ほども申し上げましたが、北方領土対策等に要する経費については、いまでも特別交付税等でもある程度見ておるわけでございますが、いまおっしゃいますように、国で別枠で財源措置を講ずるということであるならば、特に交付税特会を通ずる措置に限定して考える必要はないのではないかと考えられますし、国の責任において総合的な対策が北方領土対策主管省庁で検討さるべきであり、また、地方団体立場においても、全般的な考え方に立って協力することにはやぶさかでないのだという気持ちを持っておるわけでございます。
  221. 部谷孝之

    部谷委員 次に、六カ村の役場がない、そのことによって旧島民はいろいろな不利益をこうむっておるわけであります。歯舞群島の旧歯舞村は根室市に合併しておりますので、市役所で戸籍事務を取り扱うことができますし、歯舞諸島には戸籍数がまだ三十三残っておりますし、実際にはいないけれども、在籍者が六十三名、そうした戸籍をあっちに置いておる人があるわけでございます。しかし、六カ村についてはそうした措置が全くなされていない。そして転籍を希望する人についても、これが受理されていないというふうな実態にあります。  また、旧島民の不動産台帳、漁業権等の帳簿、そういうものは役場がないために今日まで千島歯舞諸島居住者連盟ですか、そうした引き揚げ者団体によって保全されておるわけであります。また、いま北対協が行っております旧島民に対する貸し付け、そういう貸し付けを受けます際の旧島民であったことの証明、こういうものも引き揚げ者団体が行っております。それから、学校の証明書というのは全く出されていない。こういうふうな問題がたくさんあるわけでありまして、こうした役所がないために旧島民が非常な不利益をこうむっている。こういう実態があるのですが、これはどのようにお考えでしょうか。
  222. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話がございました、いろいろな住民にかかわります事務があるわけであります。お示しのように、戸籍の事務に関しましては終戦時の混乱に散逸したということが大変多かったものですから、持ち帰ったものにつきましては釧路の法務局の根室の支局に保管をされておりまして、利害関係人の求めに応じて戸籍簿の記載内容の証明というものを行っておるというふうに聞いておりますし、旧島民につきましても、法務省は内地に転籍をするということを指導しておりますが、これが完全になされているかどうか、この辺は大変むずかしいところがあろうと思います。  小学校の在島証明の問題になりますと、もともとここに小学校があったわけでありますが、指導要録の保管期限が二十年であった、こういう形になっておりますが、その中でわかる者につきましては在籍なり卒業証明を行っているというふうに聞いております。非常にわからない引き揚げ者につきましても、当該学校の校長先生を探しまして証明をしているというのが現状であるというふうに聞いておりますが、こういう問題について直接道の教育委員会やあるいは市の市役所に来て証明をしてくれということを受け付けたことはないと現地では言っております。これは、一つの例として申し上げておくわけであります。  さらに、在島の証明の問題につきましては、実は、御案内のとおり、これは過去に旧北方協会でありますとかあるいは総理府あたり、北海道の中で実態調査を行ったことがございました。そこで、これに基づきまして元居住者の名簿というのをお話がありました千島連盟で保管をいたしております。そのことによって、融資を受けるときには理事長が証明を出すということにしているわけでありますが、全体的に見てどこかで統一的に行うべきではないかという御議論も、これはあろうと思います。しかも、公的な証明である以上は、それぞれの立場でそれぞれの人がなすべきだという議論ももちろんあると思いますから、そういう点につきましては今後よく道と話をしなければいかぬのではないかとは思っておりますが、この問題についてもなるべく速やかな解決方法を図っておくべきだったという反省は実はございます。
  223. 部谷孝之

    部谷委員 時間が参りましたので、最後に、ひとつ大臣にお尋ねしてまいりたいと思います。  北方領土問題に対するソ連の強い態度、こういうことから考えまして、問題の解決は腰を据えて息長くやっていくというわれわれの覚悟がやはり必要だろうと思います。すべてが不確実の時代と言われるように、目まぐるしく変転してまいります今日、われわれを取り巻く国際情勢というものも十年先、二十年先、どのようになるかわかりません。一つ例をとるならば、一枚岩と言われたような中ソがあのように対立し、十年前に想像されなかったような米中の接近が行われる、こういうふうに国際情勢の変転というのがあるわけでありますが、そういう変転の中で、ソ連をして、日本に領土を返さなければ日本との友好関係は推進しないのだ、こういうことを理解させるためにはどうすればいいかということが、われわれに課せられた課題だと思うわけであります。  それは、日本の国民が、北方領土に対する日本の国民意思が、どのように時間がたっていっても、あるいはどのような状況の変化があっても、ますます強固になっていくことはあっても弱くなることはないということをソ連に知らせていくことが、一番大事なことだろうと思うわけです。ユダヤ人は、みずからの祖国を失って二千年間、息の切れるようなそういう間を祖国をつくろうとしてがんばってきて、ようやくみずからの祖国を得たわけでありますけれども、そういう二千年という気の遠くなるような話でないにしても、何かのときにそういうきっかけ、そういう条件、そういうものが私は整うときがあると思うわけでございますが、そうしたときに国民意思というものが風化してしまっておったのではこれは交渉にはならない、こういうふうに思うわけであります。  同時にまた、御承知のいろんな日ソ親善協会の会員券の問題だとかレポ船の問題だとか、その他いろいろとわれわれが見まして、いわゆる北海道の返還運動つぶしを意図してソ連がやっておる、そういうふうな感じを強く受けるわけでありますが、本当に息の長い、しかも一枚岩でわれわれがんばっていかねばならないそういう問題に対しまして、内政上の問題にいたしましても私たちはまだまだ不備な点がある。先ほど、交付税だけの問題じゃない、もっと現地の振興の問題もあるじゃないかというお話がございました。当然それも入るのです。そういうものを含めて一つ一つ解決していくということが同時にまた、いま特にここ一両年返還運動が国内に非常に高まってきておるわけでありますから、そうした国民の願望にも実はこたえる道だ、こういうふうに思うわけであります。  そういうふうな観点からいたしましても、先ほどからるる申し述べてまいりましたいろんなそうした問題を解決するためにも、私は、やはりこの三島六カ村の編入、そういうことがぴしっときわめて明快に解決する一つ方法であるというふうに考えるわけでございますが、最後にひとつ大臣の御見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  224. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 北方領土の返還の問題はきわめて重要な問題でありまして、日本人がかつて経験しなかった問題だと思います。ソ連を相手に日本国民の一致した強固なる意思の表明というものが常時展開されることによって、ある時期を得たならば解決をし得るというような性質のものではなかろうかと思っております。そのために日本人の強固なる意思の表明というものが、あらゆる面において進行することがきわめて重要でございます。先ほどの要覧の問題等につきましても、この点につき欠くるところのあったことは私も認めざるを得ないのでありまして、かような小さい問題からすべてそうした体制に整備をする必要があるだろうと思います。  お尋ねの用件は北方四島の編入の問題でございますけれども、編入の問題となりますと、法制上のいろんな手続その他の問題がありまして、これは非常に異例なことに属するわけでございまするから、なかなか現行法上これをやることは困難であろうかと思いますが、いろいろ現地の実情を拝察をいたしますと、やはり合併すべきである町村、根室及びあの付近の町村におきまして、先ほどお話がございましたようなこのための運動あるいは引き揚げ者の旧町村に属する人々の生活あるいは産業上の問題について異常な出費を必要としておるというような実情、こういう面について交付税措置をもって講ずべきであるというような議論があるわけでございまするが、こうした北方領土に関する基本的な運動の展開あるいは異例なそうした引き揚げ者に対する措置、こういうものにつきましてはやはり国もそういう姿勢を示すことがきわめて重要であると考えております。  したがいまして、これは総理にも申し上げておるわけでございまするが、国としてもそういう一つのファンドをつくってみたらどうだろうか、それに呼応して地方財政の面においても考慮する余地はゼロとは申しませんが、しかし基本はそういう問題であろう、そういう点についての国の意思を具体的に示すことがきわめて重要じゃないか、こういうふうに考えておるので、そんな点で意見も申し上げておる、こういうような段階でございます。
  225. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。
  226. 安田貴六

    ○安田委員長代理 岩佐恵美君。
  227. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、きょうは最初に、すでに大臣には共産党議員団として宅地並み課税の撤廃を申し入れてありますけれども、この宅地並み課税の問題について質問をしたいと思います。  先ほどからいろいろ宅地並み課税が話題になっておるところでございますけれども、いま政府は、建設省、国土庁を中心に、市街化区域内農地に対する宅地並み課税をAB農地に対する減額特例措置の廃止と課税対象をC農地にまで拡大するという方向で検討を進めています。宅地並み課税はそれ自身、農民に対して農業収益をはるかに上回る税金をかけることによって、営農の断念と農地の手放しを迫る、そういう全く不当な措置であります。これをC農地にまで拡大するということは、ただでさえ厳しい条件のもとにある都市農業に対して決定的な打撃を与えるものとなります。  政府は、宅地並み課税を強化することによって、宅地供給量を増加をさせ、地価安定と住宅問題の解消に寄与できるというふうに言っています。きょうは私は、その辺が本当にそうなるかどうか、少し細かく見ていきたいというふうに思っています。  そこで、まず伺いたいと思いますけれども宅地の平均価格以上または五万円以上の農地をA農地といい、あるいは宅地の平均価格の二分の一以上、平均価格未満の農地をB農地といっていますけれども、一般的に言って、住宅がすぐ建てられる、すぐ近くまで道路とか下水道などが来ている農地を大体AB農地と言ってよいかどうか、その辺について伺いたいと思います。
  228. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘のような固定資産の土地の評価額によって、現在A、B、C農地のランクづけをやっておりますので、必ずしも都市施設の整備状況とぴったり連動するという形にはなっておりません。
  229. 岩佐恵美

    岩佐委員 しかし、一応AB農地というのはすぐ近くまで道路が来ているし、あるいは下水道などが整備をされている、あるいはC農地というのは、家を建てるには道路とか下水道建設とかかなりの公共投資をしないとすぐにできない、それをいうんだという分け方もあるのではないかというふうに思うわけですが、その点について伺っているわけです。
  230. 関根則之

    ○関根政府委員 そういう分け方もあろうとは思いますが、現在ではそういう分け方をしていないということでございます。
  231. 岩佐恵美

    岩佐委員 三大都市圏市街化区域内の農地は、先ほどAB農地を合わせて一万二百ヘクタール余りですか、あるということでしたが、C農地についてはどのぐらいあるのですか。
  232. 関根則之

    ○関根政府委員 C農地は、全国の大都市都市、町村、全部含めまして十九万六千九百三十四ヘクタールでございます。そのうち、現在宅地並み課税を実施しております三大都市圏内の特定の都市につきましては六万二千八百四ヘクタールでございます。     〔安田委員長代理退席、石川委員長代理     着席〕
  233. 岩佐恵美

    岩佐委員 いま一番話題になっているのは、いわゆるAB農地一万二百ヘクタール、これをすぐに吐き出させよう、そういうような考え方が非常に強いわけですけれども、この農地宅地として供給できるという条件をつくり出したとしても、宅地の価格が下がるかどうか、あるいは宅地不足が解消するかどうか、そういう問題があるわけですけれども、私は、その問題については大いに疑問がある、むしろ逆の現象さえ起こるのではないかというふうに思います。不動産業者に土地が渡ったとしても、業者がすぐに宅地として供給する、あるいはその上に家を建てて、普通の勤労者の手の届く価格で売り出す、そういうことがあり得ないのではないか。  先ほどから、その点がずいぶん議論をされてきているところでありますけれども、先ほどの議論の中でも出てきた調査でございますが、建設省が五十六年二月に「不動産業実態調査結果報告」というものを出しておられます。この調査は、宅地建物取引業の大臣免許を有する業者、信託銀行、宅地建物取引業の知事免許を有する業者、こうした業者四千業者を対象に調査を行って、二千百二十三の業者から回答を得て、その回答を集計したものであるわけですが、回答率は五三・一%となっています。  この報告によると、販売用の土地の購入実績、これは戦前からの分も合わせて全部で九万八千九百六十二ヘクタールあるわけですが、そのうち四十七年、八年、九年の三年間を見てみますと、この三年間だけで全体の販売用土地の五六・二%が買い占められている、そういう結果になっているわけですが、建設省にこの点について確認をしたいと思います。
  234. 黒川弘

    ○黒川説明員 御指摘のとおりでございます。
  235. 岩佐恵美

    岩佐委員 同じ報告書の中で、買った販売用の土地の五十四年から五十八年にかけての販売計画のまとめがあると思いますけれども、三大都市圏ではどのような販売計画になっているでしょうか。
  236. 黒川弘

    ○黒川説明員 五十四年度から五十八年度までの五カ年間に販売が予定されているものは、三大都市圏では約六千六百ヘクタールとなっております。
  237. 岩佐恵美

    岩佐委員 つまり、三大都市圏で言えば、販売計画は保有している一七・八二%にしか当たらないということが言えるわけであります。  この同じ資料の中で、販売用の土地で未使用、未着手の理由別面積がありますけれども、構成比率の一番高いものの理由は何かということをお答えいただきたいと思います。
  238. 黒川弘

    ○黒川説明員 その理由として挙げておられる第一番目のウエートの高いものは、現状のまま他に販売する目的なので使用、着手しないというものが二一・八%ございます。
  239. 岩佐恵美

    岩佐委員 つまり、値上がりを待って他に転売するというもの、それが一番多いということになっているわけです。  不動産業者が地価を引き上げる典型的なやり方について、田中啓一さんという方が「土地の経済学」という本を出しておられます。その中でも指摘をされているわけですけれども、まず第一に、小出しにするというやり方、即日完売されるように小区画ずつ売り出し、最高値につり上げ、それがまた次の売り出し区画の値を引き上げていくというもの。もちろん、これがやれるのは大きな不動産業者である。また、企業間の転売というやり方もあります。八王子市の宝生寺住宅の例では、A企業からB商社へ、さらにC建設を通して消費者に売り出されたときには、価格は数カ月のうちに二倍以上になったという例もあります。さらに、駅から遠い方から販売するというやり方もあります。このように、供給側によって一方的に地価が上げられているのが現状です。  さきに触れましたように、企業が保有する販売用土地九万九千ヘクタールのうち、昭和五十八年までに販売を予定しているのは結局二万ヘクタール弱ですから、約七〇%以上が販売予定のないままに値上がり待ちの状態ということになっているわけです。ですから、企業が販売用の広大な土地保有している現状に加えて、仮に農地宅地として供給されたとしても、企業の保有する土地を含めて地価を引き下げることには決してならないのではないか、そういうことがこの数字で言えると思います。  いまの状態では、土地がなくて地価が上がっているということではなくて、引き上げられる状態の中で上がっている、そういうことだと思います。ですから、優良な宅地が放出されれば、またそれは投機の対象になって企業の群がるところになるということで、土地値上がりがまたそれで促進をされるということが推測をされるわけです。この点について建設省の考えを伺いたいと思います。
  240. 黒川弘

    ○黒川説明員 お答え申し上げます。  先ほど御指摘の不動産業実態調査によりますと、企業保有の未着手、未使用の土地がございますが、その大半は市街化区域外に存在しております。市街化区域内にあるものは全体の八%程度、うち、宅地需給の逼迫している三大都市圏には全体の四%弱でございます。そういうことでございまして、現在の宅地需給の逼迫度合いをベースといたしました場合、やはり三大都市圏の中の市街化区域内の農地というものについて、さらにそれが出てくるような条件をつくる必要がある。  さらに、三大都市圏についてそのほかの面から見てみますと、市街化調整区域内にも保有地がございます。これらにつきましては、計画的な宅地開発に適しているものにつきましては、区画整理事業等の確実な実施を前提にいたしまして、市街化区域への編入や開発許可制度の運用により宅地化を図る必要があるというふうに考えております。  また、その場合、具体の状況いかんによりまして、公的開発主体によって開発が必要である、あるいは適当だと考えられるものにつきましては、今後とも公団等によるその取得を検討してまいりたいというふうに考えております。
  241. 岩佐恵美

    岩佐委員 三大都市圏市街化区域について、パーセントではなくて、実際の数字でちょっと言ってみてください。
  242. 黒川弘

    ○黒川説明員 三大都市圏の未着手土地の面積でございますが、これは販売用その他全体を含めた数字でございますが、三千六百十九ヘクタールということになっております。
  243. 岩佐恵美

    岩佐委員 この報告書では、販売用資産の土地としては九万八千九百六十二ヘクタール、こうなっていますけれども、この中にも事業用資産というのがあって、この事業用資産の中に販売用の土地が含まれている可能性というのがあると思います。たとえば、総合商社の三万四十六ヘクタール、不動産業者が一万二千八百五十五ヘクタール、これは業種から考えれば、事業用というよりもむしろ販売用に使われるという疑いが、疑いというか、そういう可能性があるというふうに思います。  それから、最近市街化調整区域内の開発許可、これは大都市圏で非常に進んでいるわけですけれども、近年、この面積が一万二千ヘクタールにも及んでいるというふうなことが言われているわけです。ですから、その販売できる数量が減ったということは、これからすぐには言えないというふうに思います。それから、先ほどのアンケート調査というのは回答率が五〇%台であるということを考えれば、実際にはもっと潜在的に保有をされている、そういうものがあるというふうに言えると思います。  次に私は、これは練馬の農協の方々がおつくりになった、区内にある十アール以上の空閑地の所有者を対象に調査をした表を紹介をしたいと思いますけれども、これは練馬農協の方々が足で歩いて調べられたものだということであります。これによりますと、農家が所有する土地は六十八カ所で、面積は九ヘクタール、区内の空閑地の全体のわずか六・六%、残りの九三・四%が農家以外の所有であることが明らかになっています。また、同じような資料で、小金井市の都市農政推進協議会、そういうところがおつくりになった資料ですけれども、これでも、小金井市には市内に未利用農地が十五万平米ほどあるけれども、所有者はすべて農家以外の人である、そういうことが明らかになっています。  ですから、本当に宅地がないのかどうか。建設省の資料によれば、土地はあるけれどもそれが安い宅地として国民供給されない、そういう点が類推をされますし、むしろ、企業が売り惜しみ、出し惜しみをすることによって、意図的な地価の引き上げをやっていることが明らかだというふうに思うわけです。こういうことに手を触れないで、農民が土地を手放さないというふうなことで宅地不足を農民のせいにするということは、本末転倒だというふうに思います。売り惜しみ、買い占め、こういうことをやめさせ、企業が保有している土地を放出させるべきだというふうに思いますけれども、この点について建設省の考えを伺いたいと思います。
  244. 黒川弘

    ○黒川説明員 お答えいたします。  先ほど、三大都市圏市街化区域内の未着手用地が三千六百十九という数字を申し上げましたが、これは、たとえばその前年度の調査でございますと、あるいはその前々年度の調査でございますと、六千四百五十六ヘクタールというような、倍ぐらいございました。それが今回の調査の時点では、三千六百ヘクタール程度に減ってきているという実態もございます。  なお、そういった農地の放出の問題でございますけれども、現在未着手あるいは未使用の土地の多くは昭和四十四年度以降に取得したものでございますために、現在は取引価格を課税標準とする特別土地保有税というのがかけられております。そういうことで、企業の方々も、売れるというものについては利用または売却したいというような意向が強いものというふうに聞いております。また、これらのうち一定規模以上のものにつきましては、これは、国土庁で所管されております国土利用計画法上遊休土地という制度がございます。それらにつきましても、今後とも国土庁とも相談の上適切な運用をお願いしてまいりたい、そのように考えております。
  245. 岩佐恵美

    岩佐委員 練馬や小金井の例のように、農地のうち遊んでいる土地のほとんどが、公的機関やあるいは国の公用地、あるいは不動産業者などの民間の所有であるわけです。それらの多くは農家から買った土地だから、だから農地と誤解をされている、そういう向きもあると思います。私は、こうした土地がかなりあるのではないかというふうに思っています。農地宅地に転用させなければならないほど本当に土地がないのかどうか、これは徹底的に調査をする必要があると思います。とりわけ、宅地の需要の多いと言われる三大都市圏だけでも、実態調査をこのような形で行うべきだというふうに思います。  そうしたことについて、先ほど大手企業が土地をかなり持っているのではないか、それを吐き出させることについて具体的な措置を講ずるべきではないかということ、これをいま建設省に伺ったのですけれども、その点について大臣に伺いたいのと、じゃ実際に本当に農家が持っているのかどうかという実態が調査されていない、このことについてぜひ調査をしてきちんとしていくべきじゃないか、その二点について伺いたいと思います。
  246. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 その内容について、実態の調査をすることは必要だろうと思います。また、企業あるいはその他の団体土地保有しておる、それを住宅の用途に供するような指導を行うということも、これもまた必要なことだろうと思います。
  247. 岩佐恵美

    岩佐委員 そうすると、大臣、こういう調査自治省でもってやっていただけるということで理解をしてよろしいわけですね。
  248. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 この辺のことになりますと、自治省というよりも建設省が調査するのが適当じゃないかと思います。
  249. 岩佐恵美

    岩佐委員 その点について、どこが調査をするのが適当かどうか、また内部でもって検討していただきたいと思うのですけれども、ただ建設省がそこまでやるのかどうかということについて、どうも私どもよくわかりませんので、実際は課税をする立場にある自治省がかなりやっていかなければならない性質でもあるんじゃないかと思うのです。どこがやるにしても、ぜひ大臣にこの点について調査を行うということについて積極的に提案を受けとめていただいて、そして提言をしていっていただきたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  250. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 内部のことでございますから、関係省庁とよく相談いたしまして、そういう方向に進めていきます。
  251. 岩佐恵美

    岩佐委員 自治省にさらに伺いたいと思いますけれども宅地課税の問題で、この間、各都道府県議会で請願が採択され、意見書として自治省の方に送付されてきていると思いますけれども、幾つの自治体から届いていますか、またその内容はどういうものでしょうか。
  252. 関根則之

    ○関根政府委員 現在までに十の都道府県と二百三十の市町村から意見書の提出がございました。合計二百四十団体ということでございます。  内容的には、宅地並み課税について、きわめて厳しい態度で宅地並み課税を排除すべきであるというような御意見から、考え方としては一応宅地並み課税前提とした上で営農継続の意思のある人に対する配慮を十分すべきである、こういった趣旨の意見書まで幅広く意見が提出されているところでございます。
  253. 岩佐恵美

    岩佐委員 これだけの請願が全国各地から寄せられているということでございますけれども、私は東京の請願内容をちょっと御紹介したいと思います。  意見書として東京都議会から出ているものですが、「このように農地課税を重くすることは、農業経営を一層困難にし、ひいては、都市農業の存続を危うくするものである。今日、都市農業は、野菜等生鮮食料品の安定供給のみならず、緑と空間など都市環境を保全することによって、都民が安心して暮らせる住みよい街づくりに不可欠なものとなっており、国、地方公共団体は積極的にその維持発展を図っていくべきである。よって、東京都議会は、政府に対し、都市農業を保全育成するため、市街化区域にあっても、現に農業の用に供し、農業を営もうとする農地については、宅地並み課税を撤廃し、農地課税とするよう強く要請する。」というふうな内容になっているわけです。こういう意見あるいは請願については、私は当然尊重されるべきだというふうに思っているわけです。  また、ことしの五月に全国農業会議所が特定市市長に対して行ったアンケートでも、特定市全体百八十五市のうち百八十一市の市長が回答を寄せておりますけれども、この中で非常にはっきりしていることは、宅地並み課税の実施と答えた市長さんがわずか三人しかいないということです。そして、無条件に農地課税とすることというふうに答えた人、あるいは審議会で認めるものを農地課税にと答えた人合わせて百四人、五七・四%にもなります。これに現行の減額制度の継続と答えた人が四十三人の二三・八%あって、特定市のほとんどの市長が宅地並み課税には反対、そういう意見を表明をしています。  あるいは、同じ農業会議所の調査ですけれども関係市長は市街化区域農業の役割り評価について、八七・八%の人が都市農業の役割りを積極的に評価をしているし、市街化区域内の農業の存続については、五二・五%の市長が都市計画の中に都市農業を位置づけるべきだ、そう考えていて、首都圏では六〇%以上の人がそう回答しているわけです。  私は、このような多くの地方自治体の意見あるいは議会の意見、これはもう十分尊重されていかなければならない、そう思うのですけれども大臣のお考えを伺いたいと思います。
  254. 関根則之

    ○関根政府委員 宅地並み課税の今後の持っていき方をどうするかということにつきましては、税制調査会なりあるいは各省庁と十分連絡をとってこれから決めていく問題ではございますけれども、五十四年十二月に出されました税制調査会の答申の中におきましても、営農を継続する意思のある者に対して十分配慮しながらそういう問題に対処していきなさい、こういうことが言われておるわけでございます。こういった趣旨に沿って、私どもは今後具体策を考えていくつもりでございますが、その際、御指摘の地方団体から寄せられました意見についても十分参酌をしていきたいというふうに考えております。
  255. 岩佐恵美

    岩佐委員 私、大臣に伺いたいのですが、先ほどの議論から、条件づきみたいな局長からの発言が何回かあるわけですけれども、その点全く白紙の状態で、やはり自治省として地方自治体なり地方議会あるいは住民の声をよく聞いて検討していく必要があるのではないかというふうに思うので、その点大臣のお考えを伺いたいと思います。
  256. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 いま自治省の方針といたしましては、局長から申し上げたとおりでございます。この問題については、農業団体あるいは都下の協同組合等からも責任者が来まして、いろいろと話を聞きました。私はその際に申し上げておいたことは、本気でやるのならそれは別だ、そうじゃないような姿であっては、この問題は農業者立場を擁護するわけにいかないので、そこは本気になってそういう問題は考えてくれ、こう言っておきました。
  257. 岩佐恵美

    岩佐委員 また別な観点から、防災という点でも農地の果たす役割り、これは大変大きいわけです。都の防災会議地震部会、五十六年三月の調査結果によれば、三多摩地区では人口の急増やオープンスペースの激減によって、関東大地震と同じ規模の地震が来た場合、市街地の二二%が焼け野原になると言われています。特に国立市などは、市街地の五〇・八%が焼失するだろうと指摘されています。こうした災害時の被害を少しでも少なくする、そういう上では農地は重要な役割りを果たしていると思います。世田谷区では、災害時には緊急避難場所として農地を提供するように、区と農民との間で契約が結ばれています。農地をつぶすということはこうした避難場所をなくす、そういうことでもあるわけです。こういう点で防災上非常に大きな役割りを果たし、またこれをつぶすことは問題があると思いますけれども、どうでしょうか。
  258. 木内啓介

    ○木内説明員 お答え申し上げます。  大都市地域におきまして安全な避難地、避難路等の整備を進め、都市の安全を確保するということは、非常に重要な課題だと心得ておるわけでございます。市街化区域内の農地につきましても、避難地として適切な位置にありまして、あるいは一定の規模を有するというようなものにつきましては、たとえば生産緑地制度というふうなものを活用しまして生産緑地に指定するとか、あるいは農地として永続性を確保できるような、先ほど大臣かもも御答弁ありましたように、ある程度長期的に本気で農業をやられるというふうなことで永続性を確保できるというふうな土地については、宅地並み課税を実施していく際にもこれを十分尊重して、そういうふうな方向で検討していかざるを得ないというふうに考えているわけでございます。  ただ、しかしながら一方で、現在全国で二十一万ヘクタール、東京圏におきましても約四万六千ヘクタールの市街化区域内農地が存在しております。他方、宅地供給不足でございますので、これがやはり有力な宅地供給源になっているということも否めない事実だと思うわけでございます。したがいまして、五十七年度以降の宅地並み課税につきましては、その辺を十分調整しながら考えていくということが必要ではないかと現在検討中でございます。
  259. 岩佐恵美

    岩佐委員 良好な都市環境を確保する上で、公園についても、これはなくてはならないものです。都市農業に、この公園のかわりの役割りも果たしてもらっているというのが現状ではないかと私は思います。一人当たりの公園面積は、欧米諸国に比べて日本はきわめて低い水準にあります。しかも、特に急激な人口増と土地事情の逼迫等を反映して、大都市部での整備が立ちおくれているというのが目立っています。一人当たりの公園面積は、東京は二・三五平米、ワシントンが四十五・七平米、西ベルリンは二十六・一平米、東京の緑地、農地約一万四千ヘクタールを公園面積に加えるとやっと欧米並みになる、そういう水準であるわけです。  それから農業の面にだけ限ってみても、都内の農業生産物で都内入荷量の上位を占める物に軟弱野菜、たとえばツマミナ、これは都内の供給量の一位です。総入荷量の八〇・三%、それからコマツナもやはり一位で七一・七%、タカナがこれも一位で六四・一%、ウド、カリフラワー、これも一位で六三・六%、一九・六%となっています。そのほかゴボウ、ワケギ、こうしたものが二位、あるいはシュンギクが四位、細かく言いますとこういうふうになっています。  また、都下の三十の農協が都内産キャベツの安定供給事業として都と契約を結んで、年間およそ二万トンのキャベツを出荷していますけれども、その都内に出回る割合は、季節別に言うと少し違いがありますが、三五%から多いときには五〇%ぐらいの供給量になっているわけです。これは大臣の山形県の消費量全部を賄うことができる、そういう量になっているわけです。私は消費者の立場からいっても、また主婦の立場からいっても、安くて新鮮な野菜を都民に供給する都市農政、都市農業をなくしてはならない、そういうふうに思うのです。  農水省に伺いたいと思いますけれども、東京都の農業従事者数、これはどのくらいになりますか。そして、全国の中では東京はどのくらいの位置になるか、ちょっと説明をしてください。
  260. 中島千景

    ○中島説明員 今回のセンサスの結果によりますと、農業従事者数は六万二千人でございます。全国では〇・五%に当たりまして、都道府県の中では最も少ないことになっております。
  261. 岩佐恵美

    岩佐委員 農業に励んでいることを示す一つの指標として、農業従事日数というものがあるかと思いますけれども、東京の場合はどのような状況になっていますか。
  262. 中島千景

    ○中島説明員 農業従事者の従事日数の分布でございますけれども、ちょっとくくって申し上げますと、五十九日以下が二万六千人で四二%でございます。それから六十日から百四十九日で一万七千人、二六%、百五十日以上で二万人でございまして、これが三二%を占めております。     〔石川委員長代理退席、工藤委員長代理     着席〕
  263. 岩佐恵美

    岩佐委員 東京の農業というのは、そういう意味では、百五十日以上も従事している農民が非常に多いということでは大変重要な役割りを果たしている、東京の農業がかなり活発だということが私は言えるのではないかというふうに思います。  こうした人が農地を遊ばせておくということはないと思います。一部には、確かに耕作されていない農地が存在することもあると思います。ただ、こういう農地については、一定の基準に基づいて非農地の認定を行った上で、その利用については自治体などの土地利用計画の方向に誘導すればよいわけだし、この場合税法上は非農地として、現況に即して固定資産税を課すことができるというふうに思うのですが、その点いかがでしょうか。
  264. 関根則之

    ○関根政府委員 耕作をせずに長い間すっぽらかしておって荒れ地のようなものになっている土地につきましては、これは現在でも雑種地として課税をしておるということでございます。私どもの固定資産の課税の実態といたしましては、現況によってあくまでも課税をいたしますので、名目、登記簿上の地目が単に田であり畑であるというだけで、実態がそういうふうになってない場合には、農地としての課税はしてないわけでございますし、これからもそういう形でやっていきたいと思っております。
  265. 岩佐恵美

    岩佐委員 つまり、耕作されていない農地についてはそのような措置ができるわけですね。しかし、実際に農業をやっている土地については、農地として課税をするべきであるというふうに私たちは思います。  それを宅地並みということでみなし課税がされた場合どうなるかというと、十アールの農地を基準にしますと、農林漁業都民連絡会の試算によれば、二十三区内では農業所得二十万円に対し税は二十六万七千四百円、三鷹市では十一万六千円に対し二十六万八千七百円、青梅市では九万三千円に対し十一万六千四百円、町田市では九万五千円に対し十一万八千九百円、こういうことで、いずれも税だけで農業所得を大幅に上回るということになってしまいます。ですから、東京の農業は、どこで何をつくっても、税金を上回る収入を得ることができない、そういうことになってしまうわけです。働いても税金が払えない。農民の生活をどう保障するのか、そういう問題になってくるわけです。  今度の宅地並み課税C農地への拡大とかその強化ということに対して、農民の方がこの間私のところにも陳情に来られて、自分は戦後一貫して農業ばかりをやってきた、腹の中にはもう自分は何にもないのだ、自分のおなかを割いてみれば涙でいっぱいなんだ、そういうことを言っておられました。私は、それが本当に農民の気持ちだというふうに思います。  先ほどから言われているように、本当に農業をやる気であるならば、そうならば考えるのだということを言われましたけれども、しかし、どんどん宅地化が進んでいって、そして周りがもう住宅に囲まれてしまって分断された中で農業をやっていく。しかも、いまみたいに、収入の道というのが必ずしも安定をしていない。そういう中で農業をやっていくには本当に強い意思がなければ、あるいは健康な人一倍頑強な——百五十日以上従事している人が全国平均でも三二%もいる、そういう東京での農業ですから、頑強な健康が保障されなければならない。そういう点では本当に過酷な状況の中でやっていかざるを得ない、そういうところに追い込まれていると私は思うのです。  ですから、国全体としては、都市農業については都市の消費者を守るという意味、あるいは緑地をふやしてバランスのとれた都市づくりをするという意味、あるいは防災という意味、そういう意味で本当に残していかなければならない、みんなが援助をしていかなければならない、それが実態なのではないかというふうに思います。別に遊ばせている土地については、十分現状のままでも課税をすることができるわけですから、そういう点ではもっともっと農業に対して理解を示していく必要があるというふうに思います。この点について、最初に農水省の考えを伺い、そして大臣の決意を伺いたいというふうに思います。
  266. 中川聡七郎

    ○中川説明員 都市近郊におきましては、立地条件を生かした野菜、花卉あるいは中小家畜を主体とした畜産などの生産が行われておりまして、新鮮な野菜の供給などに一定の役割りを果たしており、農業に意欲的に取り組んでいる農家も存在しているということであります。また、御指摘のように、都市環境の面でも都市に一定の緑地空間等の機能を果たしていることも言えると思います。  こうした実態にかんがみまして、無秩序なスプロール的な土地利用を防止し、優良農地を確保するため、計画的な土地利用の調整等にいままでも努力してきたところであります。  しかしながら、市街化区域というのは御存じのように、おおむね十年以内に市街化を図るべき性格の地域でございますから、当分の間経過的に農業が行われるとしても、長期的には住宅地等への転換が行われていくということはやむを得ないということでありまして、そういう意味におきまして、農地法におきましても、市街化区域内における農地転用については届け出制に変えているというふうな実態でございます。  こうしたことで、市街化区域におきましては、当分の間は農業経営が行われるということを考慮いたしまして、野菜価格安定対策その他必要な施策は講じておりますけれども、長期的に効用の及ぶような土地基盤整備事業等については、現在のところ実施していないという実情でございます。
  267. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 都会の中におきまする農地あるいは農業のあり方でございますけれども、完全に土地を利用するというたてまえから、十分考えるべき問題だと思います。  野菜の供給等々については、一番距離が近いわけですから一番いいわけでございます。ただ、現状を見ますと野菜なんかやっているのがありますけれども、穀作、穀物をちょぼちょぼっとつくっているというようなところだってたくさんあるわけですね。それからまた、この従事者でございますけれども、大体若い人はやらないですね。年をとった人がやっている。そして自分だけの代だ、こういうようなことで、一体後継者というものは本気でやることになるのかどうか。その辺を、これは農林省といいましても、農林省で基本的な方針を立てましても、具体化することは結局市町村でございますから、その辺で自分の町のあり方について農業というものをどういうふうに位置づけて、それを充実するためにはどういうふうにするのだというようなことを本気で考えてもらうということが、何よりも重要じゃないかと私は考えておるわけでございます。  農業を軽視しまして、すべて市街化するのだという方向は決して正しいものでもありませんが、それにこたえるためには、やはり具体的な計画を持って、そして、どうし合っていくのだということを地元地元でひとつしっかりしたものをつくってもらわないと、政策として取り上げにくいだろうと私は思うので、この点はやってくる皆さん方にも強く申し上げているところです。
  268. 岩佐恵美

    岩佐委員 宅地並み課税の問題については以上で終わりたいと思いますけれども、確かに、私は地方自治体が独自に自主的に町づくりをやっていく、その点についてそのとおりだというふうに思うのですけれども、ただ、いまの法律のもとでは、自治体が計画をつくったりということではなくて、やはり国が大きな枠を決めて、自治体はその流れの中でやろうとしてもなかなかできないというのが実態でありますから、その点はぜひ積極的に都市農業を残すという意味でこの後を奮闘していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  次に、固定資産税の評価がえ問題について伺いたいと思います。  去る二十八日、私は借地借家人組合の方々と一緒に自治省に要請したところでもありますけれども、住宅用地に課せられる固定資産税都市計画税、これは評価がえによって課税標準額が引き上げられ、大幅に増税をされようとしています。土地に係る固定資産税都市計画税の増税の影響は、単に住宅所有者の税負担の増加にはとどまらない。毎年の増税は地代だとかあるいは家賃の大幅な引き上げにつながって、宅地を持たない借地人や借家人に非常に大きな影響を与え、また深刻な影響も与えています。八月の交渉の席で固定資産税課長の湯浅さんが、全国的に平均してみれば、現在の小規模住宅用の宅地二百平米以下の固定資産税額は五十円程度であるというふうに説明されました。これは恐らく負担調整率を現行どおりと考え一・一とすれば、増税後でも五十五円でわずか五円のアップにすぎないから大したことはないということを言われたのだと思いますけれども、しかし全国平均で見るとそのようなことになるかもしれないけれども、三大都市圏などで見るとそうはならないのであります。  たとえば国土庁の地価公示によれば、東京の基準地で八王子市子安町三の六の十五番地というところがありますけれども、ここの評価額は前回の評価がえの年度、昭和五十四年度の公示価格が平米当たり十万四千円であるので、自治省の言われるとおり、この四割を評価額と考えて一千分の十四、この税率と小規模住宅としてさらに四分の一を掛けて計算をしてみますと、現在の税額は平米当たり百四十六円になります。ここの公示価格の三年間の上昇率というのは大変高くて一・五二倍であります。ですから、課税標準の上昇倍率もほぼ同じと見ると、負担調整率が一・二となります。増税後は百四十六円掛ける一・二で、百七十五円となります。つまり、アップ分は約三十円で全国平均の六倍にもなるわけです。このように、上昇率の激しい三大都市圏宅地について大したことはないという認識、これは大変問題だというふうに思います。  また、上げ幅を額の面で見ても、たとえば港区南青山四の七の十六の宅地は、五十三年度の公示価格が三十万円、五十六年度が四十二万五千円であるので、公示価格で十二万五千円の値上がりがあるけれども、これを固定資産税額で計算してみると、負担調整はあるけれども、二年目からは百七十五円もの増税になります。いま、東京の地代は平均で坪当たり二百円から三百円くらいと言われていて、このように税金が上がると一気に四百円から五百円台になるおそれがあります。つまり、六十坪、二百平米で二万四千円から三万円にも地代が上がることになります。  このような点から、税額が五十円程度だから増税による地代への影響は大したことはない、その認識をぜひこの場で改めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  269. 関根則之

    ○関根政府委員 湯浅課長が具体的にどういう表現を使ったのか、私、その場におりませんでしたので必ずしも明確にお答えができませんけれども、多分、意味合いといたしましては、現在の固定資産税の税率というのは、特に居住用の土地等につきましては課税標準額の特例等がございますので、まあまあ御負担を願い得る範囲内、そういう限界の中である、そういう趣旨を申し上げたのではないかと思います。  私ども税金をいただく側といたしまして、どんな安い税金でも払う身になってみれば大変なことだという意味で、税金が大したことないというような物の考え方はしていないわけでございますし、これからも、いただく税につきましては軽々しい気持ちでいただくようなことはしていかないつもりでございます。
  270. 岩佐恵美

    岩佐委員 大都市圏の場合には、やはりかなりの大幅なものであるということはお認めになりますね。
  271. 関根則之

    ○関根政府委員 よく実効税率という言葉が使われますけれども固定資産税は表面税率が一・四%でございますけれども、評価水準が大体三割ないし四割と言われております。仮に四割といたしまして、例の小規模住宅につきましては四分の一の特例がなされておりますので、本当の時価に対する税率というのは〇・一四%程度でございます。ということは、固定資産税につきましては、時価一千万の土地を持っておりましても一万四千円、二千万の土地を持っておりましても二万八千円程度、五千万の土地でも約七万、こういうことでございます。  そういうことでございますから、確かに大変であろうとは思いますけれども土地を持っている人と持ってない人、五千万もの大変な価値を持つ土地を持っている人と比較的安い土地しか持ってない人、そういう人との比較、均衡の問題を考えてみますと、それほど限度を超えるほどにひどい状態の重税ではないというふうに私どもは認識をいたしております。
  272. 岩佐恵美

    岩佐委員 私が伺っているのは、そういう払う人たちがどういう負担感を持っているかについて、自治省がそう大したことはないという認識であるという説明を聞いているのではなくて、全国平均から比べて三大都市圏の場合にはかなり高いでしょう、そういうことになりますねということを伺っているのです。
  273. 関根則之

    ○関根政府委員 首都圏の場合には、全国平均よりも高いと思います。
  274. 岩佐恵美

    岩佐委員 そこで、この高いものが、払う側になってみれば、土地を持っている人も、それから持っていなくても借家人の方々あるいは借地人の方々、こういう方々も、今度の固定資産税の評価がえについて非常に不安に思っているわけですね。これはもう大変自分たちの家計を圧迫するというふうにとらえているわけです。  この実態の上に、いつも地代の値上がり固定資産税の評価がえと同時に便乗的に行われる、こういうことがつきまとうわけであります。  先日、自治省に伺った際にも挙げた事例ですけれども、大手の不動産会社が便乗値上げを文書にして堂々と行っているのですね。これがそうです。日本不動産株式会社というところですけれども、ちゃんと個人あてに、五十六年八月二十五日に「固定資産税及び都市計画税は、昭和五十六年度も更に増徴される事に相成りました。」だから値上げをしたいということを言っているわけですね。それからもう一つ、日本交通株式会社、ここも「ここ数年来の諸物価の高騰に加えて固定資産税、公租公課の大幅な上昇等」というふうなことで、やはり固定資産税の引き上げを、まだ上がってもいないのにもうこういうふうにやっているという実態があるわけです。こういうことが起こらないように、上がったら大変な騒ぎになるわけですから、どういうふうな措置をされるのか、伺いたいと思います。
  275. 関根則之

    ○関根政府委員 固定資産税の評価がえをいたしまして税額が上がりました後、それに便乗するような形で家賃、地代等が上がりますことは、これはあってはならないことでございますので、私ども、いままでもさようでございますが、評価がえの後で都道府県に連絡をいたしまして、そういった便乗値上げ等が起こらないようによく監視、監督をずるようにお願いをしているところでございます。
  276. 岩佐恵美

    岩佐委員 いつも便乗値上げ防止の通達を出されるわけですけれども、この通達も出しっ放しで、後どうなったがという追跡調査が行われていないのが実態なわけですね。これでは実際には効果が上がらないわけで、やはり通達を出したら後どうなったかということを実際に調査をする、そういう必要もあると思うのですが、いかがでしょうか。
  277. 関根則之

    ○関根政府委員 都道府県並びにそれを通じまして市町村というのは、私どもと非常によく連携を強化してやってまいっている団体でございますので、私どもとしては、都道府県なり市町村なりが便乗値上げの防止のためにいろいろな施策をとってもらっていると考えておる次第でございます。  調査といいましても、具体的な調査方法等はなかなかむずかしい問題もあろうかと思いますが、私どもは、自分たちの出した通達についてそれがどういう形で実施をされているか、その辺についてはアフターケアをやっていきたいというふうに思っております。
  278. 岩佐恵美

    岩佐委員 便乗値上げをなくす方法一つとして、借地借家人が固定資産台帳を縦覧できるようにすること、これが非常に大きな効果を上げる大切なことだというふうに思います。十二年前に通達を出して、借地借家人は利害関係者ではないから縦覧は原則として禁止をする、そういうことを行っているようでありますけれども、十二年前の固定資産税の地代、家賃への影響と現在とを考えたら非常に、比較できないくらいになっているのではないかというふうに思います。現在の方が固定資産税の影響が大きく家賃や地代にはね返ってきているというのが実態であるわけです。  ですから、こういうような状況で、利害関係者でない借地借家人の方々がそういうことでこの台帳を縦覧できないということは、非常に問題だというふうに思います。便乗値上げをなくす、そういう意味からいっても、従来の解釈を撤回をして、そして利害関係人であるといういうことで縦覧できるようにするべきであると思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  279. 関根則之

    ○関根政府委員 利害関係人というお話がございましたが、法律では「関係者の縦覧に供しなければならない。」ということでございまして、広く多少の利害があればすべての関係者にというような意味ではございません。  一方、課税の事務を遂行する過程におきまして得られました秘密につきましては、御承知のとおり守秘義務というのが課せられているわけでございます。  そういう意味におきまして、通達というお話がございましたけれども、これは多分昭和四十四年の実例のことだと思いますけれども、その実例におきまして「「関係者」には、借地、借家人も含まれますか。」という質問に対しまして、「含まれない。」という解釈をいたしておるわけでございますが、これは法律の解釈として、やはり一つ課税上知り得た秘密を守るという法益があるわけでございますので、それを守っていくために必要な解釈ではなかろうか。この通達を変えるということは、ちょっとむずかしいというふうに考えております。
  280. 岩佐恵美

    岩佐委員 便乗値上げが行われて、そしてそれをやめさせる実効がない限り、ここのところは考え直していかなければならない、そういう重大な意味を持ったものだというふうに私は思うのです。ぜひ、この点については前向きに考えていただくよう要望したいと思いますけれども、その点もう一度お答えをいただきたいと思います。
  281. 関根則之

    ○関根政府委員 ただいま申し上げましたように守秘義務との関係で、これを直接縦覧に供するということはなかなかむずかしいとは思いますけれども、実際問題としては、個々の土地の評価がどの程度上がったかということは、その市町村の中の土地の平均的な上がり状況、そういうものがわかれば大体推定できるわけでございます。家屋についても同じようなことでございますので、町村なりあるいは地域ごとの固定資産税の評価の結果の上昇率等は、できるだけ住民によく知らせるように市町村を指導してまいりたいというふうに考えております。
  282. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  283. 工藤巖

    ○工藤委員長代理 次に、田島衞君。
  284. 田島衞

    ○田島委員 地方行政委員会における久方ぶりの質問の機会、しかもちょうど行革国会のさなかでの機会でありますから、地方自治としかも行政改革に関連した幾つかの問題を取り上げて、有意義な質問の時間を持ちたい、こう考えておったのですが、残念ながら答弁を求めたい相手がいない部分もありまして、多少割愛をいたしまして、できれば与えられた時間よりも早く、しかも内容を持たして終わりたいと思いますので、そのつもりでひとつ御答弁をいただきたいと思います。  政治の原点が地方自治にあるということは、私が言うまでもなくよく言われるところでありますけれども、そんな地方自治を預かる自治省としては、大変大きな責任と誇りあるお仕事を担当しておるわけでありますが、それだけに特に望みたいと思いますことは、地方自治の進展のために真剣にいろいろ問題と取り組んでいただきたい。その取り組んでいただきたいものの中で、きょう取り上げたいのは内と外と両面でありまして、内というのは、地方自治の中にある望ましからざる部分をどうやって一日も早くきれいなものにするかということ。  それからもう一つは、地方自治進展のため、その確立のためには、明らかに国が阻害しているのじゃないか、こういうことについては同じ国の省庁同士であっても、決然として自治省地方自治確立のためにがんばっていただかなければいかぬじゃないか、こういうことでその両面から幾つかの事例を挙げてお聞きをしたい、こういうふうに思うわけです。  まずその一つは、幾つも例があるのですけれども、時間の関係一つ取り上げてみたいと思いますことは、運輸省の中に地方港湾建設局というのがある。私ども考えて、いままでずっと地方自治にも関連し、国へ来てからも思うのですけれども、これなども明らかに二重行政です。果たしてそういう国の組織、機構が必要なのかどうかと大変疑問に思うし、むしろ地方自治を大変阻害しているのじゃないか、こう思うのです。  そこでその問題に関連して、まず港湾建設局の方から御答弁をいただきたいと思いますけれども、地方港湾建設局というものが必要なのだ、地方には地方港湾管理者というものがあるのだけれども、その管理者には任されない、どうしても国の地方港湾建設局が直接工事なり何なり仕事をやらなければならないのだという理由は一体どこにあるのか、端的に、余り時間を長くせずに短く、しかも要点をとらえてお答えをいただきたいと思います。
  285. 藤井宏知

    ○藤井説明員 港湾建設局の必要性についての御質問でございますが、御承知のとおり港湾とか航路、それから飛行場、こういったものにつきまして、国の直轄の土木工事というのを実施しているわけでございます。主力は港湾の建設工事でございますが、港湾の工事と申しますのは、大変複雑で厳しい自然条件の海というものを相手にしております。それで非常に特殊な分野でございまして、専門の技術とか長年の経験、それから特別の機材を必要とする事業でございます。また、港の性格によりまして、事業量に非常に大きな波動性があることがございます。  こういった点から、港湾管理者の技術力だけでは事業がスムーズに進まないということがございます。そこで港湾建設局は、長年港湾の建設というものを専門にやってきておりまして、非常に長い経験と、それから技術、機材というふうなものを持っておりますので、これを活用して港湾管理者と一緒になって港湾整備を進めまして、地域の発展に役立っているということでございます。
  286. 田島衞

    ○田島委員 いまの御説明というか答弁を聞いても、さっぱり理解はできない。一体地方港湾管理者に、いま言われるような点での資格、力がないのかどうか。本当にないと言えるのかどうか。たとえば、海の仕事だとか大変特殊な技術を必要とするというその技術だって、別に国でなければ持てない技術じゃないはずです。実際に工事を担当するのは、別に国の港湾局のお役人だけがやっているわけじゃないでしょう。発注してやらしているのでしょう。発注するだけだったら、港湾管理者がやろうと建設局がやろうとちっとも変わりないじゃないですか。  では聞くけれども、港湾業者というのはどんな業者があるのか、幾つか主な港湾事業者の名前を挙げてみてください。
  287. 藤井宏知

    ○藤井説明員 港湾の実際の事業の実施という点でございますと、これはいま先生御指摘のとおり、民間も相当な力をつけてきております。ただ、その前段の調査でございますとか設計、それから発注、施工管理、こういったことにつきまして大変な技術というものが必要になるわけでございます。そういうことで、港湾管理者の場合、やはり事業規模が比較的少ないということもありますし、港湾管理者側の職員というのは、比較的同じ場所で仕事をして経験する範囲が少な、さらに、一般の土木技術者と交流をするというふうな点で、なかなか十分な経験が積めないということがございまして、管理者にはまだ力のないところがございます。管理者によりましては、もちろん昔から港湾事業をやりまして、非常にりっぱな力を持っているというところもあるわけでございます。  お尋ねの港湾の建設業者ということになりますと、五洋建設でございますとか東洋建設というふうな港湾を主な事業としております建設会社がございます。
  288. 田島衞

    ○田島委員 いま再度お答え願っても、少なくとも田島衞を理解さして、なるほどなと思う答弁じゃない。ないですな。そんな答弁で私がわかると思いますか。余り甘く見ないでもらいたい。いまの言うようなことでは全然答弁にはならない。  それから、港湾業者の名前を聞いたんだけれども、別に港湾建設業者の名前を聞いたって大した役には立ちませんけれども、どのぐらい港湾建設についていろんなこと知っているかなと思って聞いてみた。そしたら二社ばかり挙げたけれども、港湾建設業者といったらもっと大手ばらばらありますよ。その名前だって満足に知らないで、地方港湾管理者が大変よく知らない、国でなきゃわかってないんだというような言い方をされると、まことに腹の中がおかしくなってくるのですけれども、地方港湾建設局の立場じゃなくて、本当に客観的に考えて、地方港湾管理者じゃできない仕事だと思えますか。立場を越えて勇気を持って——だからといって、すぐやめろと言いませんから。
  289. 藤井宏知

    ○藤井説明員 現在、港湾建設局が実施しております工事といいますのは、港湾工事の中でも特に非常にむずかしい第一線の、外海に面した防波堤でございますとか、非常に大型の水深の岸壁でございますとか、それもしかも地盤の非常に悪いというふうな、非常にむずかしい事業というものをやっておりまして、これはやはり港湾建設局の技術力、明治以来営々としてやってまいりました港湾の直轄の建設の蓄積しました技術力というものが必要だというふうに考えております。
  290. 田島衞

    ○田島委員 現在そこの立場におれば、地方港湾管理者に任しても何ら差し支えないものだと思いますと言ったら、それ見なさい、だからやめちまえということになるから、それはなかなか答弁するのにはきついだろうと思いますけれども行政改革というのは、自分のところの仕事を死にもの狂いで、それが必要であろうとあるまいとしがみついて守っていたのじゃできっこないし、鈴木総理大臣が幾ら政治生命をかけると息張ってみたって、その下にいる役人の皆さん方が勇気を持って、うちのところのこれはこうしてもいいと思いますよと言うぐらいにならなきゃできっこないじゃないですか。それじゃ鈴木さんかわいそうだね。  本当に国の行政だって地方の行政だってそうですけれども行政とは一体だれのためにある。政治もそうですけれども、決して行政に携わる役人のためにあるのじゃない。政治も政治家のためにあるのじゃない。国民のためにある。したがって、その国民のためにいいと思ったら、たまには自分の身を切って血を出すぐらいの勇気を持たなければしようがないじゃないですか。きょうは地行でのあれで、運輸委員会じゃないからそうしつこくは責めませんけれども、いまのようなお答えしていて、それで運輸省の幹部の答弁だなんて言ったら笑われますよ。  ついでにちょっと聞いてみますけれども、地方港湾建設局がやっている港湾の建設の主なところというのはどこどこです。東京はやってないでしょう。どことどこですか。横浜、神戸だと思うけれども、違いますか。
  291. 藤井宏知

    ○藤井説明員 全国で現在港湾工事をやっております工事事務所が四十四ございます。(田島委員「主なところ」と呼ぶ)大きいものといたしましては、八戸でございますとか、それから小名浜、横浜、名古屋、神戸、北九州、こんなところが主なものでございます。
  292. 田島衞

    ○田島委員 何も私の言ったのを一番最後に言わなくてもいいのに、そこら相当へそが曲がっているんだかなんだか知らぬけれども。私が横浜、神戸と言ったのはなぜかというと、神戸にしても横浜にしても日本の港湾としては大変に古い歴史を持ったところです。したがって、その古い歴史を持った港湾を抱えているところの地方公共団体、言うならば地方港湾管理者なんというのは、それ相応の経験も知識も技術についても自信は持っているはずです。必ずしも、国の地方港湾建設局の技術やら知識やら経験を待つ必要はないはずです。  問題はそこなんですよ。現に東京は違うでしょう。東京と横浜とどこが違う。東京と神戸とどこが違います。場所が違う、それは当然のことです。だけれども、その実態においてはほとんど違いはないじゃないですか。そこらのことについて、もう少し勇気ある今後の対処の仕方を求めます。勇気がなかったら、幾ら聞いたってしようがない。  ついでに聞きますけれども、外貿埠頭公団、これが地方移管になることがもうすでに決まって、五十六年度中にそれを完了することになっているんだけれども、一体その作業はどの辺のところまでいっておるか、具体的に。
  293. 藤井宏知

    ○藤井説明員 外貿埠頭公団の継承法人の件につきましては、私担当しておりませんものでちょっと御返事いたしかねます。
  294. 田島衞

    ○田島委員 担当者いないの。——いなければいいですよ。いない者に答えろと言ったって無理だから。じゃ、答弁者のいないところは私の方で撤回をします。話はわかるんだから……。  そこで、じゃ、いそうなところで改めてもう一つ聞きますけれども、港湾の経営計画、港湾計画といいますか、そういうものについて一体いまどんなような形の具体的な計画があるのか。先ほど来港湾建設については、その知識、経験、技術、大分並べられて大変自慢たらたら言われたようですけれども、それらを結集したところの現在の港湾計画というのはどんなものがあるのか。形にあるものがあるのか、ちゃんとプリントされたものがあるのか。あれば、そのプリントされたものを後で求めますけれども、あるのかないのか聞かせてください。
  295. 藤井宏知

    ○藤井説明員 港湾の経営計画というものは、明確なものは私どもとしては承知しておりませんが、管理者がそれぞれの経営につきましては、具体的な構想その他を持っておるということでございます。  港湾の計画につきましては、経営計画ではなくて港湾全体の将来の計画という点につきましては、重要港湾以上につきましてはおおむね十カ年というものを見通しました港湾計画というものがつくられております。さらに、それの実行のために港湾整備五カ年計画というのがございまして、事業の実施に当たっているわけでございます。
  296. 田島衞

    ○田島委員 港湾というのは、ただ何か港らしきものをそこへつくればそれでいいというものじゃない。その港湾がまことにみごとな運用をされて、経営をされて、確かにそういう港湾をつくってよかった、そういう港湾を整備してよかった、改善してよかったという結論が出て、初めていい仕事をしたということになるのですよ。そのつくった仏に魂を入れる計画は管理者に任せてあります、つくる工事の方だけ絶対放さぬで私の方でやっています、それ自体だっておかしくないですか。港湾の経営計画というものを考えずして、港湾計画ができるわけはないじゃないですか。ただ、かっこうだけそこへ何かつくればいいということですか。経営計画というものがあって初めて港湾計画ができる、違いますか。
  297. 藤井宏知

    ○藤井説明員 港湾計画につきましては、その地域の経済的な発展でございますとか、こういうことを一切考慮したものとして港湾計画をつくっておるわけでございます。それで港湾法のたてまえで、港湾管理者というのは地方公共団体がなるということになっておりまして、これはあくまでも港湾というのはそこの地方住民のためのものである、地方住民の利害と密接な関係があるという形で規定してございまして、それで港湾の管理者が港湾の長期的な計画、これをつくるということになっておるわけでございます。
  298. 田島衞

    ○田島委員 港湾法に言うところの、港湾局の業務規定第一条の「港湾計画を作成すること。」この港湾計画というのは、港湾建設計画ばかりを言うんじゃないでしょう、つくったらいいんじゃないんだから。港湾をつくった、その港湾をだれも何も使っていない、そのまま野ざらしになっていたのでは、港湾にはならぬ。また、そんな港湾をつくったら、何の計画だと言われる。やはり、その港湾がみごとな経営をされる見通しの上に立っての計画でなければ、港湾計画とは言えない。したがって港湾計画とは、ちゃんとその経営も含まれたものでなければいけない。  ただし、そのうちの経営の部分については、やるなと言ったって地方港湾管理者は、当然それはやりますよ。だから、地方港湾管理者が経営計画を持つのは当然。これは義務づけられているから持っているのではなくて、当然のこととして進んでやっておるわけです。だけれども、国の方だって港湾計画というのは、そこには経営計画が入ってなきゃうそです。経営の伴わない港湾の計画なんというのはあり得ない。だけれども、それ以上はもう聞きません。  そこで、聞いている方も余り聞き方が上手じゃないかもしれないし、その上、お答えする方は大変お上手なんでしょうけれども、いまお聞きのとおりの質疑応答の中で、私が言いたいのは、もしそれ、いまの答弁者がその職責になかったならば、もっと率直に言い得たことがあるだろう、私以上にわかっていて言い得たことがあるだろうと思うけれども、言えない。立場上やむを得ないなと同情はしますけれども、こういうことがたくさんあるんですよ。そのような問題について、やはり自治省としてみれば同じ国の役所仲間だからということではなくて、真剣にこういう問題を取り上げて、地方自治立場からすればそれはおかしいよ、田島さんの言うとおりじゃないかぐらいの覚悟を持ってやっていかなかったら、自治権の確立にはならないと思うのですけれども、どうですか大臣、そのようなお考えを持っていただけますか。  すぐ、こうしろああしろと言うわけではありません。そんなこと、できる相談じゃないから。だけれども、一例として挙げたわけですけれども大臣、聞いておられて、それは地方港湾建設局側の言い分の方がもっともだなと思って聞かれたかどうかはわかりません。それはどちらでも構いませんけれども、明らかに地方自治を阻害するというか、そこへ二重行政みたいにかぶさっておって、しかも大変なむだをして国費をむだに使っておる面がほかにもあるはずなんですけれども、それらの問題について、この問題ばかりではなしに積極的に取り上げ、検討して、地方自治のために御努力いただけるかどうか、その御決意のほどなどちょっと聞かしていただきたいと思います。
  299. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 自治体とそれから国の出先機関の関係というものは相当重複しているものがございまして、そこにむだもないわけではございません。したがいまして私どもは、国の出先機関については極力圧縮をすることが国家のためになるものだろう、こういう考え方をいたしております。それで、臨調におきましてもこの点は十分に審議をしてもらわねばいかぬ、こう考えているわけであります。  当面のところは、海運局はブロックの機関ではございますが、同じ都道府県の中にあるような国の出先機関というものは、これは即座にひとつ解消する方が望ましいじゃないか。それからまたブロックごとの機関にいたしましても、屋上屋を重ねるような面もないわけはございませんので、この点はひとつ十分メスを入れる必要があるのじゃなかろうかというような考え方自治省としてはしておるわけでございます。
  300. 田島衞

    ○田島委員 もう一つ、これは運輸省ばかりではありませんけれども、運輸省にはわりとそういう例が多いのですが、官僚さんの天下り。ほかの面でも取り上げられたようですけれども、天下りが絶対いかぬと言うほど私もかたくなに物は考えたくないと思いますけれども、往々にして天下る役人さんの給料というものは大変高給。そのために下られた方で、むしろ自主的に、もっとりっぱな、そんなに高い給料でなくて済む人がいるのにと言うにもかかわらず、そこへ、言うならば優先権のように天下ってくるために、大変迷惑をする場合が多い。こういうことについては、下らせる方の国の省庁もよほど考えなければいかぬことでもありますけれども、同時に地方公共団体あるいはその地方公共団体における公社公団等のめんどうを見る自治省立場としても、ある程度やはり抑えをしてやらなければいけないと思いますが、その点について大臣、いかがお考えか、伺います。
  301. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 都道府県、主として都道府県でございますが、これの公社あるいは事業団的なもの、これがずいぶんとふえておるわけでございます。これはできるだけ抑制をしなくちゃいかぬ、こういう指導方針でございます。
  302. 田島衞

    ○田島委員 今度は、地方自治体の中にある好ましからざる面について、一つ二つ取り上げてみたいと思いますけれども、まずその一つ。  新聞等でも大分書かれておりますが、横浜市のやみ退職金といいますか、これについては自治省側も好ましからざるものという見解をとっておるようでありますけれども、好ましからざるものという程度のものではないのじゃないか。これは横浜市だけに限ったことではありません。確かに、それはもう調べて本当に明るみに出したら、至るところにある例だと私は思います、経験上。だけれども、とりあえず、幸か不幸か横浜市が表へ出てきた。そして、私どもの新自由クラブの市会議員が決然として、与党であるにもかかわらずその問題に追及の矢を向けているのですけれども、この横浜市のやみ退職金を本当に単に好ましからざるものという見解を自治省はとられるのかどうなのか、まずそこから聞かしてもらいたいと思います。
  303. 大嶋孝

    大嶋政府委員 あのような形で出すべきものではないといっております。
  304. 田島衞

    ○田島委員 どのようにそのことについての指導をされますか、措置されますか。
  305. 大嶋孝

    大嶋政府委員 私ども、横浜市から実情を聞いていろいろとお話をしたわけでございますが、横浜市の方におきましても、是正をするという方向で検討に入っておるというような状態であると理解をいたしております
  306. 田島衞

    ○田島委員 横浜市の是正を待っているのか、自治省そのものがすでに具体的になった事実について適確な指導監督をするのか、どっちなんですか。
  307. 大嶋孝

    大嶋政府委員 私どもとしては、是正していただきたいということを言うわけでございまして、横浜市の方もそれを受けまして、是正をする方向で検討いたしますということになっております。基本的には、地方自治体がみずから姿勢を正すという意味におきまして、地方自治体の自律的な機能によりまして是正をしていただくということになると思います。私どもは、それに必要な助言、指導を行うということになるわけでございます。
  308. 田島衞

    ○田島委員 その是正とは、具体的な形を想定しての是正ですか、どういう形にしろ何らかの是正という抽象的な意味ですか、どちらですか。
  309. 大嶋孝

    大嶋政府委員 是正と申しますのは、ああいう形で出すということがなくなるということを想定をいたしております。
  310. 田島衞

    ○田島委員 なくなるということは、将来なくなるようにということですか、すでにあったその事実に対してどうしろということですか。
  311. 大嶋孝

    大嶋政府委員 私どもは、今後それがなくなれば、まあ仕方がないのではないかと思っております。過去のものを返せというようなことを言うことは、非常にむずかしいのではなかろうかと思っております。
  312. 田島衞

    ○田島委員 どんな間違った行政措置があっても、過去のことはやむを得ない、これから気をつけて直してくれればよろしいというのが基本的な考え方ですか、どうですか。
  313. 大嶋孝

    大嶋政府委員 これは事柄によるわけでございます。行政行為のいろいろな種類があるわけでございますが、それはもとにさかのぼって直せという場合ももちろんあるだろうと思いますし、将来に向かってそういうことはしないというような方向で是正をすることもあり得ると思います。
  314. 田島衞

    ○田島委員 民間で、何か間違いました、今回はいいよ、この次からやらなきゃいいよ、そういう例がありますか。
  315. 大嶋孝

    大嶋政府委員 いろいろな例、あるのかどうか、私つまびらかに存じておりません。
  316. 田島衞

    ○田島委員 一番大事な、主権者ともいうべき国民、一般民間でそのようななまぬるいやり方があるかないかわからぬで、公務員部長公務員については過ぎたことはやむを得ない、これから是正すればいいという答えはどこから出てくるのですか。根性据えて答弁しなさい。冗談じゃないですよ。
  317. 大嶋孝

    大嶋政府委員 これは給与の問題でございまして、過去に地方公務員給与についていろいろと問題点があるという指摘がなされておりますし、また、私どももそうだと思っております。それにつきましては、今後厳重に是正をしていくという方向で強く指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  318. 田島衞

    ○田島委員 大臣に伺いますけれども、いまの公務員部長の言うように、たとえどのようなことをやろうとも、過ぎたことはやむを得ない。たとえば今度のやみ退職金のようなことでも、それは過ぎたことはやむを得ないのだ、次からやらないようにしてもらえばいいのだ、それが自治省の方針なのかどうなのか、はっきり聞かしてください。
  319. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 これはケースによって違うと思いますが、いまの横浜市の場合においては、過去に遡及いたしましてその措置をするということがきわめて困難な事情にあるので、部長といたしましては、過去の点については余り触れないで、将来の確約をとりたい、こういう趣旨で申し上げたわけであります。  過去にさかのぼってどういう措置が講じ得るかどうかということにつきましては、横浜市におきまして十分に検討されるものだろうと思います。この点は具体的な事例に基づいて判断をせざるを得ない実情にあると思います。
  320. 田島衞

    ○田島委員 端的に言って、明らかに支出すべからざるものを支出したこと、そういう場合には、その欠陥はちゃんと補てんされなければならないはずです。これは地方財政法からいったって何からいったって、そういう規定ははっきりしているはずです。法令に基づかずして一銭一厘だって税金を使えるはずはない、しかも、少なくとも表へ出た問題については。そんななまやさしいことだったら、これはもうやみ退職金だろうとやみ給与だろうと、どんどんばりばりおやりなさいと言っているのと同じじゃないですか。だから出てくる。  出てくる根源は、確かに実際のその事務を取り扱った者も悪いだろう。こういうやり方でもらってはいけないと、それを拒否する勇気を持たなかった、受け取った者も悪いかもしれない。だけれども、最も悪いのはその上層部。これだけの問題について、できちゃったことはしようがない、これから改めてくれればよろしいなどというなまやさしい考え方をもって臨んでいる上層部そのものが、いまの一切のやみ給与だとかやみ手当をどんどん派生さしている元凶じゃないですか。いささかの責任感も感じない。よくもそれで公務員部長勤まるものだ。  私が注釈しなくたって、公務員部長は全部調べているのだと思いますけれども、横浜市が退職者に出したところのその金というのは、特別脱会記念品代として出している。これは福利厚生の趣旨をもってつくっているところの団体へ、公金を一時そこへ入れて、そこから出した。それは記念品代は悪くない。じゃ、記念品代一切出てないかというと、ちゃんと記念品代というのは別に出ている。別に出ているからこそ、特別とこうくっつけている。特別脱会記念品代。この実態は、言うなれば肩たたき代。これもわかる、私らは経験があるから。  だから、公務員の定年退職を待たずに、できるだけ途中で肩をたたいて少しよけいにやってやめてもらって、数を少なくしようということのためにやった理由はわかるけれども、だからといって、これが明らかに表へ出て、特別脱会記念品代として出したことも、そう出しておいて、しかもなおそれにちゃんと源泉徴収していることも——源泉徴収しているということは、給与として出したということでしょう。給与として出した以上は、ちゃんと何らかの条例に基づいた支給規定がなければならぬ。ちゃんと、こういうものとこういうものとこういうものについては支給できるという条例があるはずです。そこに載ってないで出したら条例違反じゃないですか。明らかに法に違反した支出じゃないですか。そういう場合の支出というのはどういうふうになるのですか、結果的には。しかも、その損害を受けたのは、形を変えれば横浜市民税金ですよ。  私が直接取り上げた問題じゃないから横っちょへそれることはしませんけれども、先ほど来別の議員さんが一生懸命固定資産税の評価がえの問題やら農地宅地並み課税の問題やらを取り上げておった。それなりの取り上げ方をしておりましたけれども、要すれば、財政が苦しいから、増税というはっきりとした形はとらずに、何とか税収をふやそうとしているだけのことじゃないですか、はっきり言えば。別にその納税者が、納める税金の反対給付を十分過ぎるほど受けている、だからもっと税金を納めてもいいよと納得したから納める税金じゃない。固定資産税の評価がえだって、あるいは農地宅地並み課税にしたってしかり。  税は反対給付を要求する。反対給付をちゃんと与えられて納得するような税金でなきゃ悪税だと言われている。決して重税じゃございませんと答弁した税務局長もいるけれども、それでいて、便乗値上げはけしからぬと言う。何のことはないです、行政だって一生懸命便乗値上げをやっているのじゃないですか。  横っちょへそれると私の方の本題がそれちゃうけれども、いずれにしたって、何にも知らない一般国民、都民、市民、そういう人たちは何とかかんとか理屈をつけられて税金を取りまくられている。善政とは、税金を取らずに一生懸命仕事をやってやることなんだ。ところが仕事の方は、財政が苦しいから、苦しいからといってろくな仕事をしないで、それでもって税金だけどんどん取りまくる。これは善政とは言わない、たとえ自民党がやろうとだれがやろうと。  その上にもってきて、もっと仕事のやり方を改善し、縮小し、二重を一重にすれば省けるのに、それもやろうとする勇気も持たない。何もかも、一体行政とはだれのためにやっているのだ、その行政に携わる役人たちの、自分の利益のためにやっているのかと言われてもしようがないようなやり方。公務員とは、悪いことをしようと何をしようと、悪いときには一生懸命それを守ってもらう、いいことをしたときだけ一生懸命ほめてもらう。ほう賞はあるけれども罰はないなんという、公務員とはそういうものだという定義をされてもやむを得ないじゃないですか。信賞必罰ということは、やはりそれなりの意味があるのです。  横浜のこのやみ退職金の問題についても、その中身については私の理解できるところもありますよ、いわゆる肩たたきの。だからといって、こういう方法でやるべきじゃない。やはりやり方が間違ったら、間違ったように是正させるべきでしょう。今後じゃない、このことそのものについてですよ。ただし、その是正の実際のやり方の中に、だれが考えたってそれ以上はさかのぼってやれと言っても無理ですよということは、それは横浜の市民だって理解するよ。だけれども、何にもやらぬで、きのうまでのことはいいよ、あしたから気をつけろで横浜市民が納得しますか。横浜市民ばかりじゃない、田島衞だって納得しない。その点、大臣どうでしょうか、もう少し田島衞も横浜市民も納得できるようなお話が出てきませんか。
  321. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 これは、横浜市長のもとにおいて十分処置をするいろいろの検討をしておるわけでございまして、ケースによりまして、過去にさかのぼることだって事例によりましてはあり得るだろうと思うのです。その辺の選択をどういうふうにするか、やはり現場の責任者において十分に検討してもらわなければならぬ、こういう立場で私どもは指導していきたいと思います。
  322. 田島衞

    ○田島委員 大臣もそう言われておることでありますし、私も、そう責めたりて仕方ないことかもしれませんけれども、いままさに行政改革に対する国民世論の期待というのは非常に大きい。何でそんなに大きいか。やはり税金を余りばりばり取らないで、それで何とか仕事だけは、税金を取らなくなったから仕事もやらないよというのではなくて、行政サービスはまあまあやってくれる、それで税金はそんなに上がらない、そんなあしたを一生懸命望んでいるから行政改革に対する熱意がある。別に、行政改革というのはおもしろそうだからやってみろというわけじゃない。  税金をよけいに取らぬで、しかも行政サービスを低下させないということを、あたりまえのことなんだけれどもこれを実現するためには、それは鈴木さん一人に政治生命をかけさせたって気の書だし、また、できることじゃない。(「新自由クラブのように、市会議員に大いにがんばってもらったらいいじゃないですか」と呼ぶ者あり)どうもありがとうございます。新自由クラブ、もちろん一生懸命がんばって、だから私もそれを取り上げてやっておるわけですけれども、もっとそれぞれの立場にある者が勇気を持つ。どんなに自分自身にとってそれがつらいことであろうとも、それが正義なら断固としてやる、そのぐらいの覚悟を持つこと、そのことが本当は行政改革の真髄じゃないか。それができなかったら、ただ鳴り物だけ、本当の行政改革はできないのじゃないかと思うのです。  そこで、いま挙げたのは一、二の例でありますけれども、市長だけがそうせいと言うわけじゃありませんけれども地方公務員の中に望ましからざる給与の実態がたくさんあります。小さなことだけれども、いろいろある。それがどれほどか、その地方公共団体住民に不信感を買っているかわからない。このこともまた地方自治としては、その生命、その進展できるかできないかをかける重要な問題だと御認識いただいて、せっかく厳格な立場で臨んでいただきたいと思います。  一方においては地方自治の進展のために、時と場合によれば国の他の省庁とも決定的な対決をしていただきたいし、一方においてはみずから抱えるところの地方自治そのものの中にある好ましからざる実態についても、どんどんメスを入れて改善をしていただきたいということを特に要望したいと思います。しつこいようですが、大臣の御意見のほどを伺わせてください。
  323. 安孫子藤吉

    安孫子国務大臣 その点は、全く私も同様に考えております。それで、地方団体が他に向かって正しいことを主張する場合に、みずからの身がきれいでなければそういう主張は通らないと私は思っておる。したがいまして、みずからを持するにもっと厳格でなくてはならぬ。給与の面においてもしかり、その他の面においてもいろいろあるだろうと思います。この点は相当強く自粛してもらわなければならぬ、こう考えております。それによってこそ、初めて外に向かって強いことを言い得るものだと私は思っております。
  324. 田島衞

    ○田島委員 あと、人事院勧告問題についても多少聞こうと思いましたが、自分で時間を少しでも短くすると言いましたし、行管庁長官がいないとやはりそれとの絡みもありますから、私の質疑、これで終わります。どうもありがとうございました。
  325. 工藤巖

    ○工藤委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十七分散会