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福田(幸)
政府委員 最初は
租特の御質問でございますが、
租特の
整理合理化、これはいままで申し上げました
方針で厳しくやっていきたいということで、これにつきましては、
租特自体は
企業関係で約二千億の
減収になっておるのは御存じのとおりでございますが、その中で千二百億が一般の
企業に対する公害その他の
エネルギー等の
政策税制の
中身になっておりますし、八百億は
中小企業関係であることは御
承知のとおりでありますが、これは五十一年以来当
委員会で御審議を願った
整理合理化によって
相当手をつけておりまして、
対象に対して八五%のカバレージで
整理合理化をいたしておるわけでございます。
内容はいろいろございますが、八五%の
整理合理化割合ということになっております。現在その結果が二千億という
減収にとどまったわけでございますが、そういうことで法人の
税収全体に対しますこの
減収割合と申しますのは、五十
年度では五%であったわけです。それが現在五十六
年度は二%足らず、一・九%に落ちております。しかしながら、現在の
状況、
財政事情もさることながら、
税負担の公平に対する
国民の関心、これは
臨時行政調査会の
議論で見られますようにさらに高まっておりますので、御
指摘のような
租特についての
整理合理化は、従来以上に厳しく引き続きやりたいということであります。
引き続きやっておるということがわれわれの態度の前提になりますけれども、今回やります
整理合理化の
方針としまして、先般
政府の
税調で示しました
方針案と申しますのは、新設、拡充、これは原則的に行わない。それから既存のものにつきましては、
政策目的が薄れてしまったり、
政策効果が乏しいと認められるものにつきましては、
負担の公平を欠いておるという問題の
比較におきまして、これは個別に
検討して
廃止をするということで
廃止項目をできるだけ厳しく選別いたしたい、こう思っております。現在各省にこれを折衝中でございますが、それ以外、
期限の到来いたしますものが特に
対象になりますので、いまの
廃止にならないにいたしましても、
特別償却の率とかいうものにつきまして一率に
大幅削減をいたしたいということで、三割
カットという厳しい
姿勢で臨んでおるわけであります。それから、
期限の定めのないものにつきましても、やはりこれは放置することはできませんので一
率カットの
対象にする。それから、過去に
整理合理化をいたしましたものでも、
経過期間をつけておりますので、これにつきましてはその
期間の
廃止ないし短縮を行うということで、先ほど御
指摘の
価格変動準備金、これは
廃止になっておりますけれども、
経過期間がついておりますので、これを
期間を短縮するな
いし物によってはその中のある
グループについては
廃止をする。直ちにその
経過期間を取っ払うということも含めまして、現在
交渉をいたしておるわけでございます。
その次に、今度は
交際費課税の問題で、
交際費課税までが
特別措置の問題であろうかと思います。この
グループがありますが、まずいまの
特別措置、非常に狭い
意味の
特別措置、これはいまの
価格変動準備金を含むわけでありますが、これが現在すでに
整理合理化の
交渉を進めておる
グループであります。その次に
交際費課税、これは
特別措置でありますが、本来
経費のものを否認するという
意味の
特別措置の
対象であります。これにつきましては今後その
具体案を詰めたいと思っておりますけれども、従来から社用消費的な面がございまして、
金額的に見ましても大きな
金額がこの
交際費に支払われております。現在五十四
年度までの
数字で見ますと、二兆九千億という大きな
数字がこの
交際費で払われております。この
年度での会社の
支払い配当は二兆一千億でありますので、
企業活動としましても過大な
資金がこの
交際費で払われるというのが社会的なバランスとしてどうか。この
内容といたしましても、どうしても社用消費的な
支出態様になるというのが
社会的批判を受けるわけでありまして、そういうことで現在御
承知の
定額控除というのが
資本金一
千万で四百万の
定額、さらに三百万があって、五
千万を超えますと今度は二百万ということ、また
否認割合も九〇%までは引き上げられておりますけれども、いずれにしましても、この辺の
否認割合及び
定額控除につきましても、
交際費というものが社会的にどう受け取られているかという民間における
企業の
姿勢も
行革の
姿勢としては求めるべきであるという
感じもいたしますので、この辺の厳しい
見直しを図りたいということをわれわれとしては考えております。
その次の
グループが
貸し倒れ引当金及び
退職給与引当金の
グループであると思うのです。これは
引当金でございますので、
準備金等とは違いまして、本来
会計制度として
意味のあるものでありますから、この扱いはむしろ
繰り入れ率が正しいかという問題になっていくわけであります。
貸し倒れ引当金は
評価性の
引当金でございますし、
退職給与引当金は
債務性の
引当金で、それぞれ
意味はあるわけでありますが、実際の
貸し倒れの率に比べて
繰り入れ率がどういう現状にあるか。そこは
余り開きがございますと無税の
内部留保ということになってきますので、この辺の開き、特に
貸し倒れにつきましては、
実績基準というので、
実績が高い場合は
実績の高いものを選択する
制度がすでに導入されておりますので、その辺をにらみながらこの
貸し倒れ引当金の
合理化を進めるということを
検討を進めているわけです。それから
退職給与引当金も同じく
繰り入れ率の問題でございます。これは
債務の発生がございますけれども、常に
引当金が実際の取り崩し額に比べると大きな形で残っておるというのは、その間余裕がその
企業にあるということで
自己資金として運用されるわけでありますので、その辺、今後
年金制度にどう移行するかという問題もございますが、むしろ
内部留保的な形で
退職給与というものがいまのままで
合理的説明ができるかどうかいままでの
計算のやり方をもう一回見直す、そうして
説明のつく範囲でこの是正を図れるようにということで鋭意
検討を進めておるところであります。
その次の
グループといいますか
利子所得課税の問題、これはやはり
総合課税の問題からくるわけでございますが、五十五
年度の
改正で、五十九年以降
総合課税へ移行するということに
方針がすでに当
委員会の議を経て定まって、国会の議決を経ていますので、グリーンカードの
少額貯蓄等利用者カードを手段としましてそれの実現に向かうわけでございます。これは過般の政令、省令の公布によりまして
具体化を進めておるわけで、
郵便貯金を含む
非課税貯蓄の
限度管理を的確にやると同時に、
課税貯蓄につきましても、
利用者カード等によりまして
本人確認をするという形での
適正化を進めるということがこの
利子所得課税の解決の
方向であろうと思います。
それから
医師優遇税制でございますが、これは五十四
年度の
税制改正で抜本的な改善が三十年ぶりに行われたわけでございます。その
内容はその後そのままに据え置かれておりますので、実際上は相当厳しい
効果があらわれておるように思われるわけであります。具体的に申しますと、
社会保険診療報酬五
千万を超えますものの
割合、すなわち五
千万を超えますと当時
実績と見られた五二%という率が
適用になるわけでありますが、この五
千万超の五二%
適用を受ける人の
割合と申しますのが、五十年に
答申がありました当時の四十八年の
数字で申しますと、
開業医の数%であったのが増加しまして、現在五十四年で見ますと三分の一
程度がこの五二%の方の率の
適用を受けておるという厳しい
状況になっています。したがって、またいろいろな租税回避的な
動きがあるかと思います。それはそれで対応すべきでありますが、これ
自体厳しい形で
適用されておるということになります。また
青色申告を行っている
開業医のうち、
実績経費、
概算経費率でなくて
実額の
経費で
控除するという選択を行っている者は五十四年で四割台になっておりますので、こういう形で
適正化が行われておる、それから水準が据え置かれておるという問題が現在
医師優遇税制に対する回答及びその後の成果であろうと思いますので、やはり
地域医療に専念しておられる方に対する現在の配慮を織り込んだ
制度は当分やはり見守るのが良識的であり合理的であるという気がいたします。
印紙税の
見直しにつきましては、五十六年
改正で引き上げが行われておる、その結果もあって、いろんな
回避行為が行われているかどうか現在
実態調査を行っておりますので、それによりまして
印紙税の
中身をどういうふうに
合理化するかはその
実態調査の結果を待ってでなければならないという気がしますので、いま直ちにこの
印紙税の
見直しをどういう
方向でやるかということの
具体案はいまのところはございません。いずれにしましても、取引の
実態に即したものにすべきであろうということは常時考えておるわけであります。
あと広告税、
ギャンブル税、ちょっと時間を食いますけれども、最後の
グループが
ギャンブル税と
広告税でございまして、
ギャンブルに対する
課税につきましては、従来からこれは
税制調査会においても毎年
検討課題とされてきておるわけでございまして、これはさらに広い角度から勉強したいと思っておるわけであります。これは
払戻金に対する
課税、本来一時
所得で納税されるべきものをどういうふうにして処理するかということで、
払戻金に対してどういうふうな
課税方法でこれが解決し得るのかどうか、または売り上げに対して
一定率をかけるということも
一つの
方法でありますし、また、現在二五%とされておる中での納付金問題、いろんなアプローチがあろうかと思うのですが、
課税技術としての
検討をいたしておるわけであります。
それから
広告税の問題でございますが、これもやはり従来から
税調において
議論が行われております
項目でありますので
検討課題といたしておるわけでありまして、特に新しく取り上げたという問題ではございません。広告
課税についてはいろいろと
議論がございますが、
課税を行うべきであるとする意見と適当でないという意見と両論ございまして、これは引き続き
検討いたしておる段階であるということであります。
課税を行うべきであるとされておる論拠は、
交際費の
課税とのバランスという見方、それから過剰広告的な対策という見方、それから
課税を行うべきでないとする論拠としましては、広告費には社用消費的要素がない、
交際費と同一視するのはおかしいという
議論、それから過剰広告対策を税で取り上げるのは適当でないという言い方、さらに言論に対する干渉の問題等ございますので、いろんな角度から慎重に
検討しなければいけない、こう思っております。
以上でございます。