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花岡参考人 ただいま御
指名いただきました
カーバイド工業会の
会長の
花岡でございます。
本日、
電力多消費
産業の
一つである
カーバイド工業会を
参考人として御招集をいただきまして、まずお礼を申し上げます。
カーバイドの
産業につきましてこれから御説明申し上げたいと思いますが、ただいま皆様のところに差し上げているところのこの表の紙がございます。この表の紙で御説明を申し上げてまいりたいと思うのでありますが、表の左側の第一と書いてあるところ、「カーバイド
生産推移と
電力単価の推移並びに製造原価比率」というところをごらんになっていただきたいと思います。
その一番左側に「製造原価比率」というのが出ておりますが、五十五年度におきまして
電力費はちょうど五〇%になっております。その他の
原料が三七%、さらに一二%の諸経費を加えまして一〇〇%になりますが、
電力費で五〇%まで上がってきておるということで、この
工業が非常にいじめられておるという
状態にあるのでございます。
次に、この三角の印になっておりますのはカーバイドの
生産状態でありまして、
昭和二十年十四万トンでありましたものが漸次上がりまして、これは肥料にも使い
塩ビその他にも使いしまして、百八十三万トンまでにも伸びてきたのでありましたのですが、その後
エチレンの入荷また
石油化学の増産によりまして、
昭和五十年には五十六万トンまで
低下したという
状態でございまして、現在は五十四、五万トンという
数字を続けておるのであります。
反面におきまして、
電力料金が四十八年ころの二円九十銭ぐらいから急に上がりまして、現在ではキロワット
アワー当たり十四円ということになって、まさに製造が減退した、そういうことで、全く逆転の
状態になっているということでございます。
次に、カーバイドの
製品の収益性について申し上げたいと思いますが、
カーバイド工業はまだ利益がある
産業であるのじゃないかというふうな御見解のところもあったかに伺いまするが、ここに出ておりますように、市販のカーバイド、これはちょうど真ん中に
平均総原価と書いてありますのは十二万五千円という
意味でございます。それに対しまして、
平均の売り値、メーカーの手取りというのは十一万五千円と、ここで約一万円の損失をこうむっておるという
状態であります。片方、
輸入品の
価格は、特に中国と台湾が主体でありますが、その
平均が十万五千円
程度でありますので、
平均の
国内の総原価十二万五千円と比べますと約二万円の差が出ておるというふうに、
カーバイド工業全体が
不況の
状況に追い込まれておるということであります。
次に、石灰窒素でありますが、カーバイドに窒素ガスを吸収させまして石灰窒素をつくります。これは窒素を持っておることと、特に農薬効果がある特殊の肥料でありますが、総原価は十万六千円かかるのでありまするが、売価の方は、全農との話し合いでことし九万二千円であります。したがいまして、そこに一万四千円からの損失が出ておるという
状況でありまして、カーバイド
産業、それから誘導されておるところの総
製品というものがいずれもよろしくないという
状況でございます。
この紙の半面を見ていただきたいと思いますが、それではその原因はどこにあるかという点を申し上げますと、まず
電力単価の
比較でございます。
日本は十四円、台湾は九円、中国は七円十五銭ぐらいの料金でありまして、台湾と中国との
平均をとりますと約八円となります。十四円と八円の差は六円でありまして、これはカーバイドにしまして約二万円の差額になっておるということで、いかにも近隣国に比べまして
日本の
電力料金が高いということがこういう結果になっておるわけであります。
また、その下でありますが、4の「カーバイド
需要量と
輸入実績並びに今後の予想」というところをごらん願いたいと思うのであります。カーバイドとしましては、
需要量として五十七、八万トンというふうな
状況にあったものが、現在五十五万トン前後に落ちておるという
状態であるということと、その下の溶解アセチレン用
需要量というものが漸次減少の
状況にあります。反面におきまして、溶解アセチレンは中国、台湾等から
輸入がありまして、現在二万トンから二万七、八千トン、まあ時によって変わってまいりますけれ
ども、中国は百四十二万トンからの
需要に対する供給力がある国であります。これがいま
日本に向かって猛烈にカーバイドの出荷を求めておるというので、恐らくこのままの
状態でまいりますと、
昭和六十年には十万トンを超すのではなかろうかというふうな
状況になるというのが私
どもの見ておるところでございます。
そこで、「
カーバイド工業の要望事項」というものを、ただいまの紙のほかにもう一枚これに付随してつけ加えさせていただいております。この小さい方の紙でごらん願いたいと思うのでありますが、私
どもが
お願いしておりますのは、製造原価に占めるところの
電力費は先ほ
ども申したとおり五〇%でありますが、その電気料金をぜひ引き下げていただきたいということであります。
具体策としましては、現行の
需給調整契約制度というものの見直しを
お願いいたしたい。現在の昼夜間の料金格差の拡大、夜間時間の増大、随時調整割引の拡大とかいうことによりまして、現在
電力の中の質の悪い分野について特別の差額のある
電力料金をいただいておりまするが、要するに、質が悪いからそれだけ
値段を下げてやろうということでやっていただいておるのでございます。
この
程度では、先ほ
ども申しました
原料代の五〇%は
電力代で占められるという
状態にありまして、それではとても
カーバイド工業は成り立たないという
状態にありますので、ここで第二
需給調整契約制度というようなものを新たに追加と申しますか、
新設と申しますか、
お願いをしたいということであります。
その
意味は、
カーバイド工業のように夜間の
操業率が非常に高く、昼間の
操業を落として質の悪い
電力を使用している
電力多消費
産業が消滅し、そして昼間を主体として自由に使用しているところの普通の業務用、一般用の
電力、動力のみとなりますと、昼夜連続して運転しているところの流れ込み式の水力や原子力の運転等は制約されることが考えられるわけでございます。
ここで右側に変な図面をかいてありますが、これは左の三分の一が夜でありまして、真ん中の三分の二が昼間であります。右の三分の一が夜だ、こうお考え願っていただきまして、これは
一つの例でございますが、要するに電気というものは昼間一番多く使われるのでございます。ところが、夜間になりますと電気はぐっと使用が減るのでありまして、私
どもは、その電気の多く使われる昼間の時期にはうんと減らす、そして夜、一般が休んでおるときに残っておるところの電気を主体にしまして使う。一番下に形の上で斜めに線を引いてかいてありますが、要するに、ここで流れ込み式の水力というものを利用しましてカーバイドをつくっておるということを示したのであります。
カーバイド工業は、大正の初期から、当時の大部分の
電力供給源であった流れ込み式の水力の余剰分を利用して、あるいは主になりあるいは従になりしまして、電気事業と共存共栄という形で推進してきたというのが歴史的の経緯であったのでございます。
以上一、二の理由によりまして、
カーバイド工業の使用する
電力というのは、流れ込み式の水力の
コストを主体とする安い料金を適用していただきたいのであります。たとえば、
昭和四十九年に廃止された期間常時
電力、調整
電力などの復活とか、そういうことによりまして、本当にカーバイドに使われておる電気というのは質が悪い、しかし
値段が安い、そういうことによって成り立ってきたところの事業であるのだという点をもう一度再認識いたしていただきまして、品質と
価格、こういう点について共通しまして、これを
電力会社にも有利でありカーバイド
会社にも有利になるという形をとっていただきたいと思うのでありまして、結果におきましては一般の
電力に対しましてプラスになってもマイナスにならないという形になるのではなかろうかと考えておるのであります。
さらに、県営水力より
電力会社送
電線の託送等によりまして特定の供給を
お願いできれば幸いと考えておるのであります。
はなはだ申し上げ方が下手でありましたが、かつては永井龍太郎先生の大演説もありましたし、ごく最近は通産省の方々の御説明等によりまして、
電力、
世界の鉄あるいは自動車の
需給等につきまして、天谷さん等の御尽力、ああいうようなことで
世界の平和が保たれてきたのでありますが、
日本の
カーバイド工業におきましても、
国会の皆様方並びに
政府のお力によって御配慮を願いたいと思うのであります。
以上でございます。