○真野
政府委員 ただいま
藤田先生から御指摘の二点でございますが、六十年度までの間において七十万トン
体制に移行する過程の
対策いかんという問題でございます。
現在、御承知のように、アルミ産業の不況はるる伝えられておりますけれ
ども、基本的に産構審の答申のバックにございます考え方、これは私
どもに共通しておる点でございますが、一つは、現在アルミ産業の対応しておる問題は、単なる景気循環的な問題ではなくて基本的な構造問題を含んでおるという認識でございます。すなわち、第二次
石油危機を契機とする
エネルギー価格の高騰、それから世界的に、
日本だけではなくてアメリカにおけるアルミ需要の著しい停滞という需要面における異常な
事態、この二つが影響しておる点でございます。
それから、第二の
観点は、アルミ産業は今後いかに位置づけらるべきか、やや中長期を見通した見方でございます。これについては基本的に、
日本のアルミ産業だけではなくて世界のアルミ産業なりアルミの需給、その中において
日本のアルミ産業はいかなる存立基盤を与えらるべきかという二つの
観点から、六十年度を目標とするいまの対応策の考え方を詰めてまいったわけであります。
御指摘のように、
昭和六十年度におきましては、私
どもの産構審の答申としていただいたものについては、七十万トン
体制ということをうたっております。御指摘のように、現在百十万トンの能力を持っておりますが、これを四十万トン縮小するという考え方でございます。その背景には、やや中長期の世界のアルミ産業の
状況を踏まえており、私
どもの
観点からは、現在の
日本のアルミ製錬業は、国内の製錬業だけではなくて
海外において開発、輸入であるとか安定的な長期契約等をいたしておりまして、六十年度に至る過程においてこういう
海外からの安定的な地金輸入というものが
日本全体の産業のアルミの供給の主要な源になってくる、そのちょうど過程にある
段階で、その過程において、先ほど申し上げた
エネルギー危機による
エネルギーコストの上昇あるいは世界的な需要停滞、異常と思われるほどの需要の減退というショックを受けているわけでございます。そういう意味で、私
どもが六十年度という比較的中期の目標を置きましたのは、六十年度前後においてこういうような異常
事態、需要面における異常な要因というものはある
程度解消するであろうということと、その過程において
日本のアルミの供給というのはかなり
海外依存を深めてまいる、
計画的にふえてまいる、こういう
状況が背景にございますので、それを踏まえて、六十年度における自立可能な基盤をつくる、こういう考え方に立っておるわけであります。
そこで、具体的な対応策につきましては、産構審の答申を受けまして、私
ども関係
政府部内において現在
検討中のものを踏まえまして、どういう方向かということを申し上げますと、第一に、基本的には七十万トンの
生産能力の維持ということが六十年度において自立可能となるようなことを目標にする。そのために必要な措置としては、基本的には先ほど申し上げました開発、輸入でありますとか、長期安定的な輸入、こういうものを
日本のアルミの供給のために
確保していくということを頭に置きながら、しからば現在のそういう開発、輸入とか長計を推進しておりますアルミ製錬業が現在の苦境をどこまで解消し得るか、これについては、私
どもを含めまして、基本的には従来の企業努力では克服し得なかったような第二次
石油危機の影響を受けておるわけでありますから、関係方面を含めて、あらゆる分野での協力ということを第二のポイントにしてまいりたいと思います。
そういう意味で、具体的には大きく申し上げまして二つないし三つのポイントがあると思いますが、一つは、現在のアルミ製錬業の主要なコストであります電力費、電力コストを軽減するために中期及び短期のいろいろな対応策、現在までのところ、いままでのアルミの共同火力につきまして、現在の料金体系のもとにおいて可能な限りの協力によって一定限度の引き下げを実現してまいりました。
さらに、中期的には電力源の
石炭転換、いわゆる重油共同火力というものの重油依存度を減すという方向を促進するということが一つでございます。
もう一つは、先ほど前提として申し上げましたように、中期的には
日本のアルミの供給というのは
海外依存というのが不可避の方向でございますので、そういうような長期安定的な輸入を促進すること。及び、現在そういうような安定的な輸入をいたしておりますのはアルミ製錬業が
中心でございますから、そのコスト引き下げにも資するという意味におきまして、現在のアルミの輸入関税についてこれを軽減するということについての関税
対策、これがもう一つの方向でございます。
さらに加うるに、先ほど申し上げましたような開発、輸入の促進でありますとか、現在異常な
事態に置かれております
日本及びアメリカのアルミの需要の停滞、それを反映しての輸入面でのいろいろな動きがあります。そういう意味での輸入動向の迅速な把握も図らなければならないかと思っております。
やや長期的な
観点から申し上げますと、新しいアルミ製錬技術の開発ということで、短期、中期、長期を含めた方向での対応策が必要かと思います。
以上が大体基本的な方向として申し上げられます。