○楢崎委員 私の後ろの席からそうだそうだと言っているけれども、いいですか、後年度負担分というのは防衛庁
関係が大部分だ。そして若干、わずかばかり
科学技術庁関係が入っているだけ。勉強しておってください、要らぬことを言わぬで。
だから、私は言っているのですよ。これは、つまり三千億というのは要らないのだから、もう済んでいるのだから、後年度負担分払ったのだから。私は時間がないから論争はしない。ここに大きなからくりがある。だから恐らく私が言っているとおりじゃないか。なぜ首ひねるのですか。
この三千億の穴を埋めたのは、一部は五十七年度、新規にやった分の、その四百三十八億という頭金を入れているんじゃないか。それと、さっき読んだ、この前の通常国会に出された、予算
委員会に出されたこの資料による八百億のいままでの分を入れているんじゃないか、こう言っているのだ、私は。それが何でこの閣議了解の、「これにより難い部分」に当たるのかと言っている。だれが勝手にそういうことを決めたかと言っている。どこで決めたか。大蔵大臣もこれは知らない。だから、ここにからくりがあると私は言っているのだ。いいですか。
今度仰々しく
行革の一括
法案で出されたけれども、総額は二千四百八十二億減をねらっている。厚生年金
関係とその他の年金
関係が千九百億ですから、それを引いてみると五百八十二億ですね。結局五百八十三億の金の削減を大仰に
特別委員会を開いてやっているんだ。五百八十二億ぐらいだったら、いま言った防衛予算のからくりを正しさえすればこういうことは要らないんだ。五百八十二億はすぐ出てくる。そうでしょう、三千億の穴があるんだから。私はそれを言っている。そして、いいですか、六月五日の閣議了解の中に、一項の一番最後に、大蔵大臣、何と書いてありますか。「概算要求の積算は適正に行うこととし、上記の趣旨を逸脱することのないよう厳に留意するものとする。」全くこれに反するじゃありませんか、勝手に積算して、穴を勝手に埋めて。だから、私これは承服できない。
そこで、大蔵大臣にお願いしたいのは、あなたは昨日、五十六年度分の二兆四千億も十分見直すんだとおっしゃいました。だから、私はひとつこの辺は十分目を配っていただきたい。そうしないと、幾ら閣議了解を仰々しく決めても何にもならない。
さらに、私は五十七年度概算要求のうち、新規のもので見直してもらいたいものがあります。以下それを列挙したいと思う。
防衛庁からいただいた「
昭和五十七年度概算要求の大要」、これを基準にして見ますと、まず五十七年度以降が非常に急激に膨張するんです。これはおわかりのとおりだ。アメリカから要請されているんでしょう。その原因をいろいろこの五十七年度予算から探ってみました。特徴的なものだけをここに挙げてみました。大蔵大臣、聞いておってください。
まず第一番は、さっき言いましたとおり、例外分の千八百二億円のうちに、わずかではあるけれども、未成立の五十六年度防衛二法増員分の十四億が入っている。これは一千名の増員です。だから、十四億ですから、一人に直せば一年間百四十万円でしょう。どうせこれは半年ぐらいの予算だから、月給にすれば二十万円とちょっとでしょう。大体そういう予算だと思いますよ。これはまだ通っていない。
それから二番目に、五十七年度の後年度負担分が対前年比二・三倍になっているんですよ。そしてその後年度負担分の総額一兆六千三百七十六億円のうち五十七年度に予算化したのは、たったのそのうちの二・六%の四百三十八億円。全部が後になっている。二兆二千六百億という金が後回し、ツケになっている。これは五年間で払わなければいかぬ。
国債と一緒ですよ。
それから三番目に、これは三ページにありますけれども、航空機購入、これが対前年度比七・六倍ですよ、皆さん。この内容は、主として大きなものはF15四十三機、これはわざわざアメリカからの要請があって、五十九年度に発注する予定分の十一機までも来年度含めてしまった。そのために四千五百七億円になっている。それからP3Cです。十七機。これも五十九年度発注分の五機を急遽入れたからこんなことになる。その金額が千八百八十三億、合計六千四百億円。そのうち来年度、五十七年度に予算化する頭金は、わずかそのうちの五十五億円ですよ。全部後回しなんだ。
四番目に、これも三ページにあるけれども、弾薬購入、対前年比が八二・四%の増。
それから次に、これは五ページにあるけれども、陸上自衛隊の装備充実、甲類です。十七品目挙げてある。総額五百二十五億円。そのうちに五十七年度で予算化した頭金はわずかの二億。わずかの二億ですよ。そしてそれも二百三ミリ自走りゅう弾砲の分だけ。あとの十六品目は全部ゼロになっているでしょう、これを見て。五十七年度は全部ゼロですよ。こんなむちゃな話がありますか、あなた。何のために五十七年度にわざわざこういうものを計上して契約するのですか。そして七四式戦車八十両、これが二百七十六億円。それから七五式百五十五ミリ自走りゅう弾砲四十門、これが百九億。これらの予算はこれでは全部ゼロですよ。五十七年度はゼロなんです。全部後年度のツケですよ、あなた。これもひどいじゃないかと思うのですよ。そして陸上自衛隊の分の航空機、対戦車ヘリのAH1S二十二機、四百二十五億円、これも五十七年度予算化したのはたったの七億円。大部分の四百十八億円は全部後回しだ。それで、この対戦車ヘリは、五十四年の七月に防衛庁発表の「中期業務見積りについて」、この資料によりますと、こう書いてある。「既整備二機の運用
研究の成果をみて、今後の整備方針を決定する。」「今後」というのは、これは五六中業のことです。だから、五六中業で採用予定のものを今度先取りしたのです。これは四次防
計画のとき、覚えているでしょう。四十七年度に四次防の先取りをして国会が半月近くとまった。こういう重要な先取りまでも今度やっている。
私は、この夏に内閣
委員会から北海道に調査に行きました。第二師団と第七師団を見てきた。いま申し上げたような戦車とか百五十五ミリとか、こういうもの、それから対戦車ヘリもそうですよ。北海道へ置くのでしょう。それで一体五十七年度に、特に陸上の場合です、これほどの装備を大量に調達しなければならないほどの急迫した脅威が果たしていま北海道にあるんでしょうか。それで私は、もう少し鈴木内閣の具体的な防衛構想を明らかにしてもらいたい。これはよくわかっているのです。アメリカ側からの要請で、シーレーンを守ってくれ、だから海と空をひとつ充実してくれ、継戦能力も高めてくれ、抗堪性も高めてくれ、これはよくわかる。しかし、これほどのあれを無理して大量調達しなければならない差し迫った脅威が北海道にあるんでしょうか。もし、海空の方が、いま言ったように、非常に充実しているから、陸の方もちっとメンツがあろうからというような単純なことでこれを考えてもらっておったんでは、私は
財政再建にとって大変だと思いますよ。
私は、お願いしたいのは、われわれだってあなた方の説得力があればわれわれも了解しますよ。ところが、具体的な防衛構想がないから言っている。つまり中期業務
計画というのは防衛庁内部の資料なんです。しかも、これは兵器の買い物
計画なんです。防衛構想と離れていたずらに兵器の買い物だけする。そういうことでいいんでしょうかということを、私はいまは新自連の
立場でやっているけれども、新自運としてもこういうことははっきりさせてもらいたいからです。納得する
理由があれば、私ども耳をかすにやぶさかじゃありません。だから私は、こういう点も、大蔵大臣、見直していただくときに十分ここらも目を通してもらいたい。そして恐らくことしの暮れに国防
会議があると思います。そこでも、中曽根
長官お疲れのようですけれども、十分この辺も目を配っていただきたい、これをお願いをいたしておきたいと思うわけです。
それで、さっきの五十六年度の二兆四千億の方の見直しも、さっき言ったとおり大穴があいています。この辺を埋めたやつが果たして正しいのかどうか、この閣議決定から言って。これも見直していただきたい。
そこで私は、最後でありますけれども、五一防衛大綱ですね、これで一つのめどとして、防衛費というものはGNPの一%以内だと決められた。これは次の五六中業でも守り通しますか。