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1981-10-20 第95回国会 衆議院 行財政改革に関する特別委員会地方行政委員会大蔵委員会文教委員会社会労働委員会農林水産委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十月二十日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員   行財政改革に関する特別委員会    委員長金丸  信君    理事 小渕 恵三君 理事 海部 俊樹君    理事 藤波 孝生君 理事 三塚  博君    理事 佐藤 敬治君 理事 山口 鶴男君    理事 正木 良明君 理事 大内 啓伍君       天野 光晴君   稻村左近四郎君       小里 貞利君    鹿野 道彦君       木野 晴夫君    齋藤 邦吉君       塩崎  潤君    塩谷 一夫君       澁谷 直藏君    竹下  登君       玉沢徳一郎君    中村喜四郎君       丹羽 雄哉君    橋本龍太郎君       松永  光君    三原 朝雄君       上原 康助君    沢田  広君       森井 忠良君    安井 吉典君       湯山  勇君    横山 利秋君       鈴切 康雄君   平石磨作太郎君       岡田 正勝君    米沢  隆君       寺前  巖君    正森 成二君       小杉  隆君    楢崎弥之助君   地方行政委員会    委員長 左藤  恵君    理事 石川 要三君 理事 工藤  巖君    理事 安田 貴六君 理事 佐藤 敬治君    理事 松本 幸男君 理事 大橋 敏雄君       池田 行彦君    片岡 清一君       久間 章生君    塩谷 一夫君       西岡 武夫君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    三谷 秀治君       田島  衛君   大蔵委員会    委員長代理理事 越智 伊平君    理事 大原 一三君 理事 伊藤  茂君    理事 沢田  広君       木村武千代君    中村正三郎君       平沼 赳夫君    柳沢 伯夫君       村山 喜一君    正森 成二君       小杉  隆君    楢崎弥之助君   文教委員会    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 谷川 和穗君 理事 三塚  博君    理事 森  喜朗君       狩野 明男君    久保田円次君       近藤 鉄雄君    西岡 武夫君       長谷川 峻君    船田  元君       宮下 創平君    湯山  勇君       三浦  隆君    栗田  翠君       山原健二郎君   社会労働委員会    委員長代理理事 戸井田三郎君   理事 森井 忠良君 理事 平石磨作太郎君    理事 米沢  隆君       木野 晴夫君    竹内 黎一君       長野 祐也君    丹羽 雄哉君       葉梨 信行君    浜田卓二郎君       船田  元君    牧野 隆守君       塩田  晋君    小沢 和秋君   農林水産委員会    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 新盤 辰雄君    理事 武田 一夫君       小里 貞利君    木村 守男君       北村 義和君    三池  信君       日野 市朗君    安井 吉典君       近藤  豊君    寺前  巖君   運輸委員会    委員長 小此木彦三郎君    理事 関谷 勝嗣君 理事 福岡 義登君       永田 亮一君    三塚  博君       山村新治郎君    関  晴正君   建設委員会    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 中村  靖君       鹿野 道彦君    金丸  信君       桜井  新君    田村 良平君       登坂重次郎君    中西 啓介君       堀之内久男君    村田敬次郎君       井上 普方君    横山 利秋君       林  保夫君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         法 務 大 臣 奥野 誠亮君         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君         文 部 大 臣 田中 龍夫君         厚 生 大 臣 村山 達雄君         農林水産大臣  亀岡 高夫君         運 輸 大 臣 塩川正十郎君         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     安孫子藤吉君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      中山 太郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      中曽根康弘君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 大村 襄治君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 一郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官)         (北海道開発庁         長官)     原 健三郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 水田  努君         総理府人事局長 山地  進君         総理府臨時行政         調査会事務局次         長       佐々木晴夫君         日本学術会議事         務局長     大濱 忠志君         公正取引委員会         事務局審査部長 伊従  寛君         警察庁長官官房         長       金澤 昭雄君         警察庁刑事局長 中平 和水君         行政管理政務次         官       堀内 光雄君         行政管理庁行政         管理局長    佐倉  尚君         防衛庁防衛局長 塩田  章君         防衛庁経理局長 矢崎 新二君         防衛庁装備局長 和田  裕君         防衛施設庁長官 吉野  実君         防衛施設庁総務         部長      森山  武君         経済企画庁調査         局長      田中誠一郎君         科学技術庁長官         官房長     宮本 二郎君         科学技術庁振興         局長      原田  稔君         国土庁土地局長 小笠原正男君         国土庁地方振興         局長      柴田 啓次君         法務省刑事局長 前田  宏君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省条約局長 栗山 尚一君         大蔵省主計局次         長       西垣  昭君         大蔵省主計局次         長       宍倉 宗夫君         大蔵省主税局長 福田 幸弘君         大蔵省理財局長 吉本  宏君         文部大臣官房長 鈴木  勲君         文部省初等中等         教育局長    三角 哲生君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省学術国際         局長      松浦泰次郎君         厚生省医務局長 田中 明夫君         厚生省保険局長 大和田 潔君         社会保険庁医療         保険部長    入江  慧君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産大臣官         房審議官    大坪 敏男君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         食糧庁長官   渡邊 五郎君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 吉田 公二君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君         自治大臣官房審         議官      小林 悦夫君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部長    大嶋  孝君         自治省財政局長 土屋 佳照君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         行財政改革に関         する特別委員会         調査室長    石川 健一君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君         社会労働委員会         調査室長    河村 次郎君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一  環としての国の補助金等縮減その他の臨時の  特例措置に関する法律案内閣提出第一号)      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより行財政改革に関する特別委員会地方行政委員会大蔵委員会文教委員会社会労働委員会農林水産委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  行政改革を推進するため当面講ずべき措置一環としての国の補助金等縮減その他の臨時特例措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  3. 沢田広

    沢田委員 最初に、委員長、きょうこの会議が大変おくれましたけれども、これは、当初与野党の会議で、仲裁裁定人勧の問題について首相が出発する前には善処をしていく、こういう前提で話が調っていた。それがなかなか結論が出ない、こういうことで遅延をしたのでありまして、これは委員長にも要請をしますが、政治生命をかけたこの行革委員会、そのいわゆる名委員長と言われております先生が、ひとつこの問題に対して全力を尽くして努力していただくよう強く求めるものでありますが、委員長からお答えをいただきたいと思います。
  4. 金丸信

    金丸委員長 ただいまの問題につきましては、私は行財政特別委員会委員長という立場で、ここの法律を上げれば私の立場は終わるわけでありますが、しかし、政治というものは、そればかりが政治でなくて、関連の問題もあることでありますから、関連問題等もいわゆる国民のためになることであるならばやらなければならぬというようにも考えておりますので、微力でありますが、皆様の御期待に沿うようにできるだけ努力したい、こう考えております。
  5. 沢田広

    沢田委員 科学技術庁長官お忙しいようでありますから最初にお伺いいたしますが、手当であるとか管理職手当、これはそれぞれルールがあるのであります。科学技術庁長官行革とは余り関係なく、この会議には出ておられなかったのでありますが、私の質問時間がきわめて限られておりますので、実はお伺いをしながら詰めていくことが正しいのでありますが、やや結論めいたことを申し上げながら御回答いただきたい、こういうふうに思うのです。  管理職手当というのは大体において二〇%なり二五%、これは公務員横並び数字です。ところが、特殊法人の中には、あなたが管理しておられる所管の中には管理職手当で二〇%に一九%を加えて三九%、あるいは二〇%に一二%を加えて三二%、こういうような上乗せをして出されている特殊法人もあるのでありますが、これは行管庁長官関連するのでありますけれども、いかがなものであろうかというふうな気が私はするわけであります。何も行管あり方が人の足を引っ張ることがすべてではないと思います。よきところを伸ばしていくということもこれは必要なんでありますから、おしなべてすべて人のいいところをけ飛ばして、それを全部足を引っ張り合うのがわれわれのまた審議の内容ではないと思いますけれども、特定のものについてそういう取り扱いがされていることは、やはり公正というものを一方には求められているわけでありますから、そういう意味においてはやはり望ましい状況とは思えないのでありますが、科学技術庁長官並びに行管庁長官から簡明にお答えをいただきたい。
  6. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先生の御質問お答え申し上げます。  当庁所管特殊法人管理職に対する期末手当の算定につきましては、月数が掛けられますいわゆる基準内給与、この中に役職手当として本俸掛ける二〇%を加算してございます。これは昭和三十一年にさかのぼるわけでございますが、日本原子力研究所が設立されるに当たりまして、科学技術研究開発につきましては特に優秀な研究者を確保する必要がある、こういう理由から、特別に措置いたしまして、以後理化学研究等、こういう同様の措置を講じまして現在に至っておる次第でございます。     〔金丸委員長退席三塚委員長代理着席
  7. 沢田広

    沢田委員 それにプラス一九%、プラス一二%というのがあるわけですね。それは表向きだけであって、実際にはさらに一九%と一二%を上乗せしているわけです。現在では、部長が二三%プラス一九%ですから四二%ですね。それから課長が二三%にプラス一二%ですから三五%ですね。そういうふうに出そうとしておられるのでしょう。それがいかがなものか、こういうことを言っておるわけですから。それはやられるのですか、それともやられないのか、不公正だと思っているのか、思っていないのか、その結論をひとつお願いします。
  8. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 先生のおっしゃいますとおり、この基準内手当のほかに一九%及び一二%の基準外役職手当というのがございます。これは昭和四十六年だったかと思いますが、公務員給与につきまして管理職手当というのが創設されました。その際に、いろいろそのバランスを勘案いたしまして、このほかに一九%、一二%の特別の加算手当がついた次第でございます。これにつきましては、その創設の理由等から考えまして、現在、当庁の特殊法人関係といたしまして、研究者を特に集めております特殊法人といたしまして、こういうことはそれ相応理由があるもの、このように私どもは感じておる次第でございます。
  9. 沢田広

    沢田委員 感じているだけでは因るのであって、たとえば国立研究所等においては、科学研究官が一種二五%、部長は二種一五%、課長室長主任研究官は四種で一二%ですね。そのほか他省の管轄している特殊法人においてもそういうものはないんですね。あなたのところだけがこういうふうに、幾ら医者だとかそういう人たちがたくさん——号俸給ももちろん警察官とか先生とか医療関係者は別表を使っているわけですから、そのときにおいてすでにもう考慮されているわけですね。ですから、その上に加えて他有とか他官とか公務員と破格な相違を来すということは望ましいことではないと私は考えますが、その結論についてお答えをいただきたい。事情を聞いているのじゃないのです。
  10. 宮本二郎

    宮本(二)政府委員 これは先生のおっしゃることもわかるのでございますが、昭和三十一年当時、科学技術庁として新しい、日本にない研究者を集めざるを得なかったわけでございます。こういう中で、そういう研究者を官界、民間、企業、各方面から集めまして、こういうそれまでにない研究者をこうやって集めてまいりました。そのときにこういうのができたわけでございます。それ相応事情があったかと感じておる次第でございます。
  11. 沢田広

    沢田委員 私はその経過を聞いているんじゃない。いわゆる行政改革をやっているこの段階においてのあり方として、そういうことが望ましいとは思えない。だから、正す方向で処理するのか、これを固定化するのか、その結論をお聞きしたい、こういうことです。
  12. 中川一郎

    中川国務大臣 いま官房長から答弁申し上げましたように、科学技術庁には産学民方面から優秀な研究者を集めておりまして、それなりの待遇をいたしませんと研究の目的が達成できないという過去のいきさつ、また過去だけじゃなくて現在においてもそういう状況でございますし、公務員とはまた、公務員公務員なりの年金等優遇措置もございますので、必ずしも公務員と右へならえしなければならないものではなくて、それなり俸給体系というものがあっていいんじゃないか。しかし、これは過ぎてはいけませんから、過ぎない範囲内のことは十分対応していかなければなりません。
  13. 沢田広

    沢田委員 いまここで減らすというようなことだとか減額だということは約束できないかもしれませんが、他の特殊法人との並び、あるいは特殊的な技能国立研究所もいま例に出したわけですが、国立研究所がじゃ普通かといえば、そうじゃないですね。やはり特殊の技能を要するのですから、そういうものとの横並びというものを十分検討をしながら対処をしてもらう、こういうことはよろしいですか。
  14. 中川一郎

    中川国務大臣 そういうこともにらみながら、しっかりした研究者にしっかり研究をしてもらう、こういうことも考えながらやっていきたいと思います。
  15. 沢田広

    沢田委員 長官、もう結構ですから、どうぞ……。  行管庁長官、いまの話を聞いていてどうですか。
  16. 佐倉尚

    佐倉政府委員 特殊法人給与等につきましては、各省庁がそれぞれ適切に管理しているというふうに考えておりますが、やはり横並びの問題その他につきましてはなお検討すべき点があるかと思いますので、行革本部等を通じましてさらに検討をしていきたいと考えております。
  17. 沢田広

    沢田委員 適切に管理されていれば、特殊法人がこれほど問題になっているわけはないのでありますから、適切に管理されてない、不適切に管理されているから今日問題になっていることをひとつ銘記をしていただいて、今後回答に当たっては、人の顔を逆なでするような答弁はしないで、十分にその点を留意していただきたいと思います。  長官にこれからお伺いしてまいりますが、いま行革をやって、国民は果たして昭和六十年なり六十二年なりどういう日本状態になり、国民生活はどうなるのであろうかということに非常に心配、不安を感じているということは、この前若干申し上げました。七カ年計画も非常に崩れてきている。若干暗中模索になっちゃった。私、あえて言うならば、いまのこの行革は心の込もった行革じゃない。徳川時代に首切り浅右衛門というのがいたけれども、何でも首を切って飯を食っていたということで、誠意がない。張り子のトラという言葉もありますけれども、今度の立法全体を見ますと、出してある法案中身、それからゼロシーリングの大体の映像、それから次の五十八年度への展望、五十九年度への展望、真っ暗やみですね。そして国民が、じゃ果たして次の自分の老後はどうなるんだろうか、あるいは子供たちの就職の場はどうなるんだろうか、あるいは生活の苦しい人はどうなるんだろうか、そういうものに対する指針といいますか、そういうものを与えるのにはきわめて——ただ減らすということだけに全力を注いでいるだけで、少しも希望が生まれてこない。この点は、今回の法案中身を通じて、大変失礼でありますが、きわめて心のない行革だ、誠意のない行革だ。切ろうとしているということは認めますよ。あるいは国債からほかの借金に切りかえようとしていることもわかりますよ。しかし、国民にただ赤字国債をなくすことだからこうだということだけでは、何かやはり政治としてむなしさを私は感ぜざるを得ない。そういう意味において、このナショナルミニマムへの展望ということに、これはしゃべると長くなってしまうのでありますが、やはり次の七カ年計画を修正するなり何かするなりして、来るべき六十年、六十一年にはこうなるんだ、福祉はこうなるんだ、あるいは緑はこうなるんだ、あるいは産業はこうなるんだということを、近く指針研究して発表なされる用意があるかどうか。これは経済企画庁長官は呼んでおりません。呼んでおりませんけれども、このナショナルミニマムという水準からいって、一応行管庁はどういう展望を腹の中に瞬いていまここに臨んでいるのか、これをお答えいただきたいと思います。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前にこの席でも申し上げましたが、行革につきましては理念と体系が必要である、そういう観点から、われわれもやはり七カ年計画あるいは日本日本的福祉社会というものに対する一つの展望期待は持っております。それをここでまた申し上げると時間を食いますから申し上げませんが、それはやはりはっきりしたものを持っております。しかし、それに到達するために現在われわれはここでいわば試練のときを経て、耐え忍ぶというこのいっときを経過しなければそれにたどり着くことすらできない、そういう状態でありまして、国民皆様にもそのためにこのいっとき試練と耐え忍ぶことをお願いしておるわけであります。  特に、最近の情勢を見ますと、ヨーロッパにおいて、スカンジナビアの諸国でも、あるいは英国ドイツにおいてすらも、いわゆるドイツ病とか英国病というものをここで断ち切らなければ、国民バラ色の次の時代を望むことができないというので、死にもの狂いで彼らは苦闘しておるわけであります。アメリカにおいてもレーガン大統領は苦闘しておるわけであります。日本が早目にこれに気がつきまして、一日も早くこの予防を行い、脱却しようとしておる、そういう一環として今度の法律はお願いしておるわけでございまして、したがいまして、この法律の性格は耐え忍ぶ方が中心でありまして、バラ色のものは法律の中にはそう多くないと思います。それはやむを得ないことなのでございます。そこで、その点はよく御理解をいただきまして、われわれは次へ進んでいきたいと思うのです。  よく税の問題が論議されますが、いままでもよく言われましたように、増税というものは財政肥大化と国費の乱費を招いているというのがいままでの通例でございます。われわれはいま行革に専念している段階であって、その行革を一生懸命やっているときに増税ということを考えることは邪道であって、増税ということは行革となじまない考えであると私は考えております。
  19. 沢田広

    沢田委員 私もいまの見識には敬意を表しながら、これから三年行革をやる限りは増税をしないように、そのお答えをひとつ尊重していきたいと思っております。  続いて、地方交付税配賦基準なんでありますが、地方交付税配賦基準はすでに決定されているわけでありますけれども、これはちょっと時間が忙しいのでありますが、一人当たりの都市公園を見ますると、多いところでは群馬、これは数字でいくと指数は二六〇、北海道、沖繩、山形、少ない方でいきますと、千葉、山口、広島、岡山、大阪、兵庫、京都、こういうのが一人当たりの都市公園で少ない。それから犯罪件数なんかでいきますと、これはまあ御承知のとおり、東京、北海道、大阪、福岡、香川、沖繩、兵庫、神奈川、少ないところで石川、岩手、宮城、福井、こういうような数字が出てきます。それから、下水道なんかで見ましても、これは二〇%以上にいっているところは、北海道、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、沖繩というところ。所得格差でいって、一人部屋に不足しているのが東京、神奈川、持ち家数でも不足しているのが東京、神奈川、大阪、福岡。こういうように富裕度、これはむずかしい算定ですが、富裕度でいって、少ないのが山形、秋田、沖繩、こういうふうに、そのほかにもたくさんありますが、ちょっとこれもついでですから言ってしまいますと、電灯なんかでいっても、これは鳥取の五・三に対して東京は一一九、格差が一一三ある。預貯金においても東京一一九に対して同じく鳥取は四・四。教育なんかもそうでありまして、教育、それから新聞、テレビ、電話、郵便、こういうようなものをこう指数を比較いたしましても、非常な、民力といいますか、というものの格差というものが顕在化しておるわけですね。  私は、地方交付税の算定の根拠が、いままでどおり道路の延長と面積、それから河川の延長と面積、あるいは人口、こういう旧態依然の状態で果たしていいのか。そうは思わない。やはり公園であるとか下水道であるとか、そういういわゆる社会資本、そういうものも地方交付税の算定の基準に入って、そしていわゆるナショナルミニマム展望していく、そういうものがないと、いま行管庁が言った言葉あるいは経済企画庁が考えていることと、地方交付税は一致してこない。  自治大臣にお伺いするわけですが、地方交付税のこの算定基準というものは、今日の日本の実態を構えて、あすのまた日本国民生活を抱えた自治体にしていくためへの指標として、配賦基準を考え直す時期に来ておるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  20. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いろいろな例を挙げて御説明があったわけでございますが、地方交付税算定に当たりましては、合理的でかつ妥当な水準の行政を各地方団体ができるように、その財源の付与を考えていくものでございますから、おっしゃいますように、実態に即したものでなければならないと思っております。そういった意味で、私どももいろいろ検討はしておるわけでございますが、率直に申し上げまして、この測定単位というものは非常に交信力があるものでもなければなりませんし、また、財政需要を的確に反映するものでもなければならない。そういったことで、どうしてもやはり人口というものが指定統計に基づいて出されており、かつ行政費目と相関度が非常に高いということで、これを中心にいたしております。  しかし、ただいまお示しのございましたように、いろいろと実態に即応させるために、たとえば公園につきましては、人口を測定単位にはしておりますけれども、公園面積を補正係数の基礎に置いておりまして、管理費等についても見ておるわけであります。下水道についても、人口集中地区、人口を用いておりますが、おっしゃいますように、排水人口等も用いて実態に即するような努力はいたしておるわけでございます。しかし、現実の世界では、おっしゃいますようないろいろな実態がございますので、私どもも今後とも地方団体の意見も十分聞きながら、実態に即した合理化という点について努力をしてまいりたいと存じます。
  21. 沢田広

    沢田委員 いわゆる基準財政需要額算定の基礎というものを、今日の国民のニーズにこたえて、そしてそれに対応していくという用意はある、こういうふうに考えてよろしいですか。
  22. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いろいろな測定単位を検討します中で、おっしゃいますような点も十分含んで検討いたしたいと思っております。
  23. 沢田広

    沢田委員 法制局長官に来ていただいておりますので、自賠償関係で若干お伺いしますが、これは前回ちょっと触れたことはあるのでありますが、国民が自賠償の保険を納めます。納めた中の四一%は再保険の方の会計に行きます。それで、自賠償関係では、国民は、自動車事故が起きれば二千万円の補償が行われます。行われて一年たつと時効になります。その時効になって、今度は再保険の方から運輸省でつくられた事故センターの方に金を出して、植物人間という、自動車事故によって発生した人だけを救済する。そういう事故センターに今度三十億近くお金を出す。これは完全に自賠償保険の財源から時効が成立した案件にもう一つ給付を行うことになるわけですね。だから、もし社会福祉としてやるとすれば、これは厚生省が管理して、全体の植物人間を管理するのが当然ではないか。その一部の人間、特定の自動車というものだけに起因するものをやる場合は、これは二重給付になるし、いわゆる復権になる。いわゆる一たん時効が成立した案件に再給付をするということと同じことになるのではないか。  これはきょうは結論が出ないかもわかりませんが、法律論としてきわめて問題があると私は思っておるわけです。その再保険の金を使わぬで、一般財源を使うならこれは別です。しかし、個人が納めた保険料の中から二重に給付をするという形態は、これは一言で言えば二重給付であるし、これは法制上整合性を欠くものである、こういうふうに考えるわけですが、当面の段階としては、大体いいのか悪いのかはっきりしていないようでありますけれども、御検討をいただいて、もっと整合性のあるものにしていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  24. 角田禮次郎

    ○角田(禮)政府委員 沢田委員の御主張についてはかねて私ども十分承知しております。沢田委員のようなお考えも理論としては一応理解できますが、さりとて現行法の仕組みが保険理論に非常に反するとか、あるいは法律的に非常に不合理なものであるというふうには私ども実は考えておりません。その意味では、私どもの基本的な立場としては、法律論というよりは政策論と申しますか、一つの政策選択の問題であるように考えております。  ただ、運輸省の方で十分御検討になった上で私どもの方に御相談があれば、無論、私どもとしても法律論の立場からさらに検討いたしたいというふうに考えております。
  25. 沢田広

    沢田委員 これは詰めたいのでありますが、きょうの段階では時間の関係で詰めができませんので、後で御検討いただいた結果で質問していきたいと思います。  次に、総務長官、きょうは大変忙しい中、朝からお呼び立ていたしておりますから、せっかくおいでいただいて恐縮なんでありますが、この前は同和対策特別措置法というものの延長の問題で部落解放同盟の意見だけを述べたのであります。これは自民党席からもいろいろ意見が出たことも承知をいたしております。しかし、社会の情勢上幾多の懸案の問題がまだ残っておる。そして、今日まだいろいろな差別も残っておる。その状況の中において、これを来年いっぱいで線を引いてしまうんだ。これは人情的な問題ばかりじゃなくて、いわば本質的な人間という問題にも関係してくると思うのですね。ですから、これは政争の具であったりなんかであるべきものでもないと思うのですね。人道上の問題だと思う。  そういう意味において、総務長官がどうこれから対応されるか、ひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  26. 中山太郎

    ○中山国務大臣 同和対策特別措置法が明年三月三十一日で一応法律効果を失う、こういうことで、昭和五十七年度以降の同和対策をどう行うかということにつきましては、政府としましても、同和対策協議会を開いていただいて、その御意見を聴取してまいるということで、去る八月でございましたか、中間答申をいただいたわけでございます。いわゆる部落解放問題あるいは人権の尊重の問題とか、いろいろな問題をまだ引き続きやる必要があるという中間答申をいただきました。そういうことで、八月二十八日の関係閣僚の協議を経まして、総理大臣の決定によって、五十七年度以降もこの同和対策の事業を一定期間効率的にこれを行う必要があるということに決定をしたわけでございます。  なお、法律制度につきましては、同和対策協議会からまだ御意見が出ておりません。この同和対策協議会の今後のいわゆる答申というものを伺った上で、政府といたしましては、五十七年度以降の法律制度の問題あるいはまた補助率の問題、いろいろすべてを勘案し、人権尊重の理想に向かって私どもとしては努力を続けてまいる必要があろう、こういうふうに考えております。
  27. 沢田広

    沢田委員 あと、人事院総裁にお忙しい中おいでいただいております。  これは五十五年の三月四日、人事院総裁にラスパイレス方式で質問をいたしました。そのときには、三三%の学歴を考慮に入れることは初任給で十分考えてあるのであるから、その後一生というか、勤めている間三三%をラスパイレス方式の中に算入することは、ただ別な方式が見当たらないのでそれは望ましいとは思ってないというか、これは速記録をお読みになっていただけば結構なんですが、読みませんけれども、そうお答えになられました。  私はあえて申し上げるのですが、二次方程式で勤続年数別、年齢別で出して、その上に一〇%なり一五%ぐらいの学歴加算を加えるということは、これは考えられることだと思うのですね。しかし、三三%で、同じウエートで三つを同じ標準に置いていくということは不適当だ、こういうふうに思います。ですから、三次方程式を使っていかれるにしても、学歴のウエートは少なくとも一〇%、一五%ぐらいに換算をするという必要性があるんだろうと思うのであります。ですから、二次方程式で出して学歴を次に加えるという方法もあると思うのですね、方法としては。その点は、きょうはもう時間がなくなりましたからお答えをいただきませんけれども、その方向で御検討いただけるかどうか、それだけひとつお考えをお聞かせください。
  28. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 前々からラスパイレスの方式については御意見も伺っております。  この間も申し上げましたように、私としてもこの方法、いまやっております方法がこれ以上のものはない完璧なものだという思い上がった気持ちは持っておりません。したがいまして、民間における給与決定の原則、要素にどういうものを取り入れていくかというような点についても、漸次変化が出てくることは当然考えられるわけであります。特に、高学歴化というようなことになりますと、その間において学歴をどういうふうに評価するかというような点で変わってくることは予想せられます。  したがいまして、そういう実態の変化、情勢の変化というようなものも十分にらみ合わせながら、この方式のやり方等については今後さらに検討を続けてまいりたい、かように考えます。
  29. 沢田広

    沢田委員 三Kの問題は、三つ触れようと思っていたわけなんであります。だけれども、時間が大分たっちゃいまして次の方へ譲らなくちゃなりませんので、国鉄においでいただいておりますから簡単にお伺いいたしますが、国鉄が一番やり玉に上がって、国鉄は能なしみたいに言われてきているわけであります。その点は私もきわめて遺憾。農林省も、これもそれほどの酷評はないのでありますけれども、国保の方はいいかげんだなんということで、これは酷評を受けているわけであります。  この三K、いずれにしても国の最大の課題であることは私たちも認めるわけであります。ですから、一生懸命総裁はやっているけれどもちっとも効果が上がらない。それではやはり国民期待に沿えない。構造的な欠損ということがよく言われておりました。たとえば政治路線なんというのもあります。あるいは急行を駅にとめちゃってみたりしているところもあります。あるいは新幹線で新しい駅をつくってみたりするところもあります。これも構造的欠損の一つだと思いますし、あるいは政治路線というような新線をつくってひいひい赤字であえいでいるという状況もあります。  それやこれやを考え合わせて、やはりもう少し経営者として姿勢を——総裁がどうというんじゃないんですが、まあ総裁がそうなんですね、結論は。とにかく経営者としてやはりその辺の区分をして言うべきことは言う。極端なことを言えば、朝も四時二十七分から発車することない、五時でいいんじゃないか、六時の新幹線に間に合うスタートでいいじゃないか、夜も十二時には車庫に入るぐらいでいいじゃないかというぐらいに私は思っております。十一時過ぎの電車に、十二時ぐらいになった電車にどういう人たちが乗っているか、その実態を調べてみたかどうか。考えてみれば、私鉄なんかもう九時ごろない。バスもない。そういう完全に空気を運んでいるような電車を動かしていて何の採算がとれるのか、こういう懸念もあります。  あるいはガード下やその他の占用物件の値上げも、この際は御用金調達じゃないけれども、御勘弁を願って上げてもらう、やはりそういうことも強く出てやる。ステーションビルなんかをつくっても国鉄には恩恵がない、もうけるのは会社ばかり、これでは済まない。やはりそういう積極的な姿勢を、構造的な欠損は政府においてある程度賄ってもらうと同時に、国鉄が十分そういう点についていわゆる勇断をふるってもらうということが当面必要だと考えておりますが、簡単にお答えをいただいて、あと福岡委員の方に譲っていきたいと思います。
  30. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまお示しのありましたダイヤの問題、それからいろいろ関連事業による収益の問題、いずれも金額的にはそう大きくないものでありましても、姿勢の問題としては非常に重要な問題だと考えております。時間の関係で一々は申し上げませんが、私どもとしては私どもなりに、少しずつではありますけれども、そういったことに取り組むことによって全体の経営収支を少しでもよくすることに努めておるつもりでございますが、なおいろいろ各方面からの御意見をちょうだいして取り組んでまいりたいと存じます。
  31. 沢田広

    沢田委員 運輸大臣、大蔵大臣、それから厚生大臣、残念ながらできませんが、またいずれ機会を改めて申し上げて、お答えをいただくことにいたしまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  32. 三塚博

    三塚委員長代理 これにて沢田君の質疑は終了いたしました。  福岡義登君。
  33. 福岡義登

    ○福岡委員 まず国鉄の総裁にお伺いしたいのでありますが、第二次臨時行政調査会第一次答申が出まして、その中で日本国有鉄道に関する部分がございます。「日本国有鉄道については、当面、経営改善計画の早期かつ着実な実施を図ることとし、」云々とある。  この五月に策定されました経営改善計画の推進ということでありますが、この答申を受けられまして以降、国鉄総裁としてはどのような取り組みをされておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  34. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいまお尋ねがございましたように、第一次の御答申では、私どもこの五月に運輸省から御承認をいただきました経営改善計画を確実にかつ早期に実施すべしということでございました。  現在、当面五十六年度中にいろいろ具体案を立てまして、五十七年度には、一例を要員について申しますと、一万二千人減らそう、これは経営改善計画に出ているとおりに実施いたしたいということで取り組みをいたしております。     〔三塚委員長代理退席、小此木委員長着     席〕  なお、臨時行政調査会とされましては、今後の御答申の際にもう一度国鉄問題をいろいろな角度から取り上げたいということで、現にもうすでに数回にわたりましてヒヤリングをする機会を与えられております。先般五十五年度の決算が公表されまして、そこでは大変成績が悪いということもございまして、臨時行政調査会の担当部会の皆様方としましては、なお一層深めた研究をしたいということで、御検討いただいているわけでございます。
  35. 福岡義登

    ○福岡委員 重ねてお伺いいたしますが、おっしゃいました意味それなりに理解できるのでありますが、経営改善計画の具体化ということになりますと当然労使間の話も必要になってくる。どの程度、どういうところまで具体化について取り組んでおられるのか、中身よりもその辺について経過をお聞かせいただきたいと思います。
  36. 高木文雄

    ○高木説明員 いわゆる三十五万人体制ということについて具体的にどういう方法で、どういうフィールドで現在よりも少ない人手で仕事をするというプランを当局側として考えているかということを示しまして、そして、これからそれぞれの問題について、特に五十六年度中に協議を調えまして、五十七年度の予算定員を少しでも減らそうということについての協議を始めております。  何分非常に大きな世帯でございますので、組合といたしましてもいろいろ問題はあるわけでございます。したがって、全体としてイエスとかノーとかいうことにはなっておりませんけれども、個々の問題についていろいろ協議をしようということで、いわばテーブルに着いていま議論を積み重ねている最中でございます。
  37. 福岡義登

    ○福岡委員 中曽根長官にお伺いいたしますが、お聞きのとおりであります。第一次答申に基づいて経営改善計画の促進を図っている、労使間でテーブルに着いて話も始まった、こういうことなんでありますが、問題は、第二次答申、いまいろいろ総裁のお話にもありましたように議論されておるようで、そこで長官にお尋ねをしたいのは、私どもの理解としては、国鉄の経営改善計画行革の先取りであるというように理解をしておった。したがって、第一次答申に書かれてあることは至極当然のことである、こういうように理解しておるのですが、行政改革のサイドから考えた国鉄の再建というのはこの経営改善計画を促進していけばそれでいい、もちろん部分的な手直しはあることは当然でありますが、基本方針としてはこの経営改善計画をもとにしてやっていくというように理解してよろしゅうございますか。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 当面やる仕事は、この間報告された経営改善計画を労使一体になってまず完成していただくことだろうと思います。しかし、国民の側から声を聞いてみますと、経営改善計画が達成されたときでも一兆円の赤字が毎年出て、しかも七、八千億円、約一兆円近いお金が国民の税金から補助金として、助成金として出される、つまり二兆円というものはまだ国鉄に金がかかる。これで果たして経営改善計画と言えるであろうかという素朴な疑問が国民の皆さんの間に非常に大きくあるということは事実でありまして、国鉄の労使の皆さん方、ともにこの国民の鋭い批判をお考えいただかなければならぬと思いますし、臨調の当局としてもそういう事態はやはり検討しなけりゃならぬ内容になっておるのではないかと思います。
  39. 福岡義登

    ○福岡委員 昨年の第九十三臨時国会で、御案内のように国鉄の再建法がいろいろ曲折はありましたが成立したわけであります。この基本になっておりますのは、昭和五十四年十二月の閣議了解に基づいて法案が作成され、経営改善計画が策定されておる。したがって、個々の分野にわたって修正される、いろいろ検討される、そういうことは当然あり得るといたしましても、ここ二、三年のうちにこの基本方針が変わるというのは考えられない、常識的でないと思うのでありますが、確かにいま長官がおっしゃいました国鉄にかかわる諸問題は多々ございます。われわれもそれを承知しておりますが、その解決の基本方針というものはこの経営改善計画である、あるいは国鉄再建法である、こういうように理解しておりまして、その中で対応策をいろいろ考えていくというのが当然だと思うのですが、重ねてその辺をお伺いいたします。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ローマは一日にして成らずでありまして、これだけの大きな重荷をしょっている国鉄を改革していくということは時日を要することであり、この間における労使の皆さんの御苦労はわれわれも十分想像できる、また同情できるところであります。ありますけれども、現在の国鉄の情勢を、じゃ国民の皆さんがどう見ているか、素朴に見ているかと見ますと、先ほど申し上げましたように、いま一生懸命やっている経常改善計画が仮にできたとしても、ともかくそのときでも赤字が一兆円で、そして国からの助成がまた一兆円近くかかる、三兆円も国民の負担がかかるような形になっておるというもので、果たしてこれが経営改善計画と言えるのだろうか、民間会社、私鉄やそのほかのことを見た場合に、こういうものが株主総会を通るものであろうかという批判が国民の間に厳然とあることは事実でありまして、国民の支持の上でできている民主主義政府としても、この国民の考え方については重大な考慮を払わなければならぬ事態である。しかし、とりあえずはいまやっておる経営改善計画を労使一体になって完了していただくことがまず第一段階であるだろう、そう思っております。  この間私、行管庁に命じまして、一体生産性という面で国鉄と私鉄というものはどの程度のものがあるのだろうか。もちろんいろいろハンディキャップがありますけれども、一番目につきやすい面で駅の場合でどうであろうかというのを実は調べさせてみました。そうしますと、たとえば駅を調べてみますと、国鉄中央線の豊田駅と京王帝都の京王八王子駅とを比べてみますと、大体同じくらいの規模の駅のようです。そこで職員数が何人ぐらいおるかと見ますと、豊田駅の場合は、乗降車人員を調べると二万四千八百三十八人です。京王帝都の場合を見ると二万八千五百二十三人で、約四千人近く京王の方が多い。にもかかわらず、駅の人員を調べると国鉄の方は二十九人で、京王帝都の方は十四人でやっておる。これにはいろいろな条件があります。ありますけれども、ちょっと見たところでこういう差があるわけです。  それから桜木町駅を見ますと、国鉄根岸線の桜木町駅と東京急行の桜木町駅を見ますと、人員を見ますと国鉄の桜木町駅の方は二万八千百四十人、ところが東京急行の方は三万六千八百八十一人、かなり乗降が多い。にもかかわらず、国鉄の方は人間が五十人、東急の方は二十一人でやっております。  それからさらに、幕張駅を調べてみますと、これは京成の稲毛駅とよく似ておる。それで乗降人員を見ますと、国鉄の方の幕張駅は一万三千三百十二人、この場合京成の方は五千九百五十二人です。しかし人員を見ますと、国鉄の方は二十二人で京成は十人という形です。  それから蒲田駅を見ますと、国鉄京浜東北線の蒲田駅と京浜蒲田駅を見ますと、これは国鉄の蒲田駅の方が乗降人員が非常に多く十万九千人です。京浜の方は二万二千人です。しかし人間を調べると、国鉄の方は九十三人に対して京浜は二十三人でやっております。約四分の一である。  これは人間だけで、ほかの点は、自動販売機とかいろいろな面もあるでしょうけれども、この数字を見ても国鉄と私鉄との間に人員の点あるいは生産性の点において相田な格差があるのではないか、そういうことが一見しただけでも言えるのでありまして、国民はこれを見ていると思うのであります。こういう点、われわれも大いに考えなければならぬと思っております。
  41. 福岡義登

    ○福岡委員 いろいろおっしゃいますけれども、経営改善計画は国鉄当局が勝手に定めたのじゃないのですよ。そうでしょう。法律に基づいて運輸大臣が承認をしている。運輸大臣が承認しているということは、閣議も無関係じゃない。おっしゃるような問題があるなら、経営改善計画をこの五月に策定するときに十分検討されればよかった。朝令暮改ということがあるけれども、五月に作成したこの経営改善計画が何カ月かたった今日十分でない——計画を立てるときに、六十年度の試算はこうなるということははっきりしているわけです。これが一年も二年も経過していて、それで間違っていた、手直しをしなければならぬというならまだ話がわかる。この経営改善計画が策定されたのは三カ月か四カ月前の話でしょう。それを何ですか、いまになってからこの経営改善計画は十分でない、国民の声はそうじゃないとおっしゃるけれども、それなら直接には運輸大臣ですけれども、政府全体としての責任は一体どうなる。  しかも総裁もおっしゃったように、この経営改善計画を推進しろ、そういう第一次答申に基づいて労使協議を始めているところに、またぞろ二、三カ月後に方向が変わったら、労使間の信頼問題もあるでしょう。できることができないものもあるでしょう。三十五万人体制と簡単に言いますけれども、七万四千人の合理化だ。東北・上越新幹線の要員を八千人加えれば、事実上現在の現場からは八万二千人減員していくわけですよ。五年間毎日四十五人の人を削減していかなければならぬわけです。大変な問題だと思うのだけれども、まあそれでも少ないという議論もある。  しかし、申し上げましたように一応この五月に運輸大臣が承認した経営改善計画でしょう。それを、だれかが勝手に決めたような長官の話では得心できないですよ。そんな権威のない運輸大臣であるのか、あるいはまた鈴木内閣はそういう見通しのない簡単な計画を承認するのか。重ねて長官、どこの駅は何ぼという中身を聞いているのじゃない。間違いのある再建計画を立てたのなら運輸大臣は責任をとるべきだろうし、鈴木内閣としても応分の責任をとるべきじゃないか。重ねて答弁ください。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いや、私がそういうことを言っているというのじゃなくてへ国民の中にはこういう声もあるからしっかりやってもらいたい、そういうことを申し上げているのです。
  43. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 国鉄経営再建計画を閣議に付しましたときにも、閣僚各位からいろんな意見が出ましたことは事実でございまして、その際議論になりましたことは、これは運輸省といたしましてそれらをすべて実現すべく、今後の課題として鋭意努力いたしておるところでございますが、先ほど中曽根長官もおっしゃっておりますように、とりあえず経営改善計画を完全に実施していく。けれども、それをやりましても昭和六十年で経営の基盤が確立するということでございまして、完全に国鉄がそれによって再建を果たしたということにはならない。けれども、それをやることによって町難への基盤ができるということは事実でございますので、それはわれわれ早急に経営改善計画の実施をいたしたい。いま行管庁長官の答弁にもございましたが、とりあえずこの経営改善計画をやることが国鉄再建への布石になってくる、これはわれわれは全力を挙げてやっていきたい、こう思うております。  同時に、百九年という長い歴史を持っておる国鉄でございますので、それには改善すべきところはたくさんございます。それらの改善は、今後経営改善計画を進めていくと同時に、並行してそれ以上に経営改善をし得られるものは直ちに実行していくべきではないか、こういう趣旨でわれわれは取り組んでおる次第であります。
  44. 福岡義登

    ○福岡委員 重ねてお伺いしますが、私が言葉足らずで質問をあるいは誤解されておるかもわかりませんが、お尋ねしている中心的な問題は何かといいますと、国鉄の再建、つまり国鉄の行政改革というのは、第一次答申より一足先にできた経営改善計画というものを中心に昭和六十年度をめどにやっていくんだ。その上に立ってさらに不十分な点がある。それでも二兆目近い赤字になる。だから、これで終わったということでなくて、その後もいろいろやらなくてはならぬ、そういうことならわかる。せっかくできた経営改善計画がこの第二次答申以降において基本方針が変わるというようなことでは、せっかく労使間で話し合いを始めておる、あるいは関係者がそれを見守っておる中で混乱が起きるのではないか、そういう意味のことを言ったのであります。ですから、いまの運輸大臣のような説明の筋であれば、当面というのは、昭和六十年をめどにした国鉄の改革というのは経営改善計画を基礎にしてやります、もちろん部分的な手直しはあってよろしい、基本方針は経営改善計画である、こう確認できるのならそれで言うことはないのです。いかがです。
  45. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私の考えも運輸大臣と同じ筋であります。
  46. 福岡義登

    ○福岡委員 それでは私の言うたことをそのまま確認できますね。昭和六十年をめどに経営改善計画が定められておるが、これを基礎としてやっていくんだ、こう確認してもいいですね。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 どうぞみっちりやってください、こういう意味です。
  48. 福岡義登

    ○福岡委員 そこで、いま長官からもあるいは運輸大臣からもお話がありました国鉄の経営改善の中身について少し詰めておきたいと思うのです。  五十五年度決算で合計一兆三百八十九億円の赤字が出ました。中身を見ますと、特定人件費が三千二百四十一億であります。特定人件費というのは、御案内のように要員構造のひずみに伴う異常増加分であり、退職金、年金である。地方交通線の赤字が二千六百五十五億であります。建設費その他に対する借入金の利子が二千七百億であります。合計いたしますと八千五百九十六億、一兆三百八十九億円の実に八二・七%なんです。これは国鉄でどうすることもできない、いわゆる構造欠損なんです。あと残りましたものが一七・三%ですか、これは当面経営努力をしなければならぬ、数字的にはそういうものだと思うのであります。  国鉄がどうも能力がない、あるいは労使間がうまくいっていない、あるいはまた職員が働かない、職場規律が乱れている、だから一兆三百八十九億円の赤字が出るんだ、こういう理解では間違いだと思うのですね。確かに国鉄の中にいろいろ問題がある。これを改善していかなければならぬということは認めます。しかし、国鉄が今日一兆三百八十九億円の赤字を出した大半は構造的欠損である。ここのところを明確にしなければならぬ。いかがですか。
  49. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 確かに、例年赤字が累積してまいりますその要因の一つに構造的欠損があることは私たちも十分配慮いたしておるところでございます。でございますけれども、一兆三百八十億円でございますか、その構造的の中を見ました場合に、人件費等で約三千三百億円、これは特定なもので、まさに構造的なものと言える。そういたしますと、約七千億円ほどがいわば営業上から出てくるものでございますが、この営業上から出てくるものの中で、とりあえずわれわれは極端な構造的な赤字を持っておる特定地方交通線等を整理いたしまして、そして経営のベースに乗り得るもの、これを中心にした国鉄の再生を図りたい、こういうことが基本的な考えでございます。  なお、特定地方交通線の廃止につきましても、これは経営上大変な負担になっておることは事実でございます。それだけではなくして、国民経済のエネルギー政策全般から見まして、それは鉄道で運行するよりも他の交通機関による運行をした方が、エネルギー対策上、省エネルギーの観点から見てもなお合理的であるといういわば相乗的なものが加味されまして、特定地方交通線対策というものを決定した次第でございますので、その点もあわせて御理解いただきたいと思います。
  50. 福岡義登

    ○福岡委員 ちょっと話が横に入るのですが、国鉄はどうも働かない、職場規律が乱れているというようなことをいろいろ指摘されるのですが、高木総裁、「選択」という月刊誌があるのですが、これをお読みになったことがございますか。——その十月号に国鉄の問題がいろいろ書かれている、仕事をしないとかなんとか。これを材料にいたしまして、この委員会でどなたかが一、二回御質問されておるようでありますが、ここに書いてあるようなことが実際現在国鉄の中にあるのかどうか。それから、労使関係が最近どうもこじれて話し合いが前に進まない、あるいは経営改善計画の大きな障害になっておる、そういうような事実があるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  51. 高木文雄

    ○高木説明員 私ども職場の数が大変多いわけでございます。全国に及んでおりますし、それから職種その他もいろいろございます。その中には非常に残念ながら好ましくないと申しますか、常識から見てもう少しきちっとしたものでなければならないという職場がいろいろあります。それは私どもは私どもなりに立て直しに努めておるわけでございますが、そこのいま御指摘になりました刊行物に記載されている事実は、やや極端なケースだけが集められているということではございますけれども、しかしそういう現場がないわけではないのでございまして、これをぜひ早く直していかなければならないと思っております。  それから、労使交渉でございますけれども、いろいろ経緯はございます。その過程においてはいろいろな問題がございますが、現に五十五年度一年間で、お約束になっております一万一千人少ない人で仕事をしようということについて取り組みまして、いろいろ経過はございますけれども、結論的にはそれが実現できたわけでございまして、その意味においては労使全体として経営改善計画に取り組んでいこう、その取り組み方の過程にはいろいろ問題がございますけれども、真剣にそれに取り組んでいこうという空気は全般的には形成されつつあると考えております。  しかし、そうした問題につきましてもまだ一部の職場に問題があることは否定ができないわけでございまして、何とかしてそういうところが一カ所でも少なくなっていく、そして全体としての取り組みが進んでいくということにさらにさらに進んでいかねばならぬと考えております。
  52. 福岡義登

    ○福岡委員 労使関係に関する限り、本社、本部間あるいは各地方における対応の機関それぞれを見ておりますが、確かに一ころは例のマル生問題などがありまして、エキサイトしてこじれたことも承知いたしております。最近は本社、本部間の労使関係はうまくいっておる、特に障害はないといういまのお話のようでございますが、職場の規律にいたしましてもマル生の後、後遺症といたしましてわれわれが承知しておるトラブルの問題も幾つかありました。最近は、やはり正常化するように組合の内部の方でも努力しておりますし、私どもも機会のある限り関心を寄せておる次第です。  これは当然運輸大臣あるいは大蔵大臣、中曽根長官にも聞いていただきたいところなのでありますが、確かに労使間問題あるいは国鉄の経営者の責任の問題、いろいろございますけれども、先ほど五十五年度決算で申し上げましたように、国鉄の労使、国鉄の経営者だけではどうすることもできない問題がある。五十五年度決算、八二・七%は構造欠損である。ですから、その辺について政府の責任というものを明らかにしてもらわなきやならぬということが第一であります。それがないからこんなに大幅赤字が出てきたとも言えるわけです。  具体的に二、三の問題を指摘いたしますと、国鉄の利用率が非常に下がっている。これも五十五年度欠損の数字なんでありますが、旅客におきましては、昭和四十五年に千八百九十七億人キロ、全体の三二・三%も輸送量を持っておった。それが五十五年は千九百三十一億人キロになりまして全体の二四・七なんであります。貨物を見ますと、四十五年に六百二十四億トンキロ、全体の一七・八%輸送しておった。五十五年度決算で見ますと三百七十億トンキロ、全体の八・四%なんであります。なぜ国鉄の利用がこんなに下がったのか。いろいろ問題があると思うのですが、やはり国鉄離れで、お客や荷物が減ったというその理由を解明する必要があろうと思うのであります。  第一に、投資が非常におくれた。道路はどんどん整備される。ところが国鉄の在来線——自動車と競争関係にある中心的なものは在来線なんです。その在来線の投資がおくれたものですから自動車との競争に勝てない。これも一つの理由である。さらに国鉄の運賃を過度に引き上げた、それで国鉄離れが進んだということもあると思うのであります。  中曽根長官、ちょっとお伺いしてみますが、感じといたしまして国鉄の在来線の表定速度というのは一体何キロぐらいあるとお考えですか。表定速度というのは、始発駅から終着駅まで着く、地方交通線の場合は大体百キロ未満の線区がほとんどであります。感じで結構でございますから、いま国鉄の在来線は表定速度何キロぐらいだと感じられるでしょうか。ちょっと参考のためにお伺いしたい。——総裁はいいです、専門家だから。感じでいいのだから。——総裁に聞いているんじゃないんだ委員長。素人に聞いているんだ。
  53. 高木文雄

    ○高木説明員 地方交通線の表定速度、大体三十キロぐらいでございます。それから幹線の表定速度、特急とか急行とかいろいろありますので細かい数字はちょっとわかりませんが、大体六十キロぐらいと申し上げていいかと思います。
  54. 福岡義登

    ○福岡委員 地方交通線は大体三十キロ前後なんです。二十九キロのところもある。いろいろ調べてみました。山陽線とか東海道線を調べますと、普通列車が大体四十五、六キロ、快速で大体六十キロ前後です。この表定速度に比べて自動車のスピード——道路が改良された。時間がありませんから投資の中身は言いませんが、大体鉄道の在来線の整備の三倍ぐらい道路は整備されている。有料道路、新幹線は別ですよ、地方交通線と在来線。ですから、自動車と競争関係にある鉄道が負けたというのは、やはり在来線の整備強化がおくれている。複線電化も非常におくれておるわけですよ。複線化の方は全体の二六・五%しかない。電化もわずかに三九・五%しか電化されていない。設備投資が非常におくれている。これは大蔵大臣も十分聞いておいてもらいたい。あるいはさっき言いましたように、過度な運賃の値上げ、何回か運賃値上げをされましたが、そのたびに予定収入が入らない。運賃値上げをして増収を図るよりも、国鉄の利用を拡大することによって増収を図るというのが常道なんです。そういうことはやらないでおって運賃値上げをやって、結局お客、荷物を逃がしてしまう、そういうことが今日までせられてきた政策なんですね。これは運輸大臣の指導が悪い、あるいは歴代の内閣がそういう政策を持たなかった、これは大変問題なんであります。ですから、その辺から改善をしていただかなければならない。  第一私どもが常日ごろから言っておりますのは、国鉄の当事者能力というのは皆無に等しい。どうですか、一遍ここで思い切って、民営論とか分割論と言わずに、株式会社に準じて国鉄総裁に権限を委譲して、そうしてその総裁がやり切れなかったら総裁をかえればいいじゃないですか。いままでりっぱな総裁が何人も就任されました。ところが当事者能力を与えていないのだから、やろうとしてもできない。分割論や民営論を論ずる前に、もう少し当事者能力を持たしてみたらどうですか。これも行政改革の一つなんです。中曽根長官、どう思われますか。
  55. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 まず最初に御質問ございました構造的欠損に対する処置ということでございますが、現在の国鉄の状況を見ましたら借入金は十六兆円を超えておりますし、累積赤字は六兆円を超えておる状況でございまして、昨年の秋、いわゆる国鉄再建法を御決定いただきましたその法案に基づきまして、五兆五百億円の債務をたな上げするというようなことでございます。でございますから、政府としては国鉄にもう十分な財政的な処置というものをしてきた。ただ、その処置が後追いの処置であったということはわれわれも否めないと思うのでございます。しかしながら、この特定な政策的な配慮というものを初期においてやったけれども、結局数年たってまいりました今日としては、グローバルな国鉄の解決ということに私は考え方を変えざるを得ない。  それは何かといいましたら、いわば人件費増に伴うところの構造的な欠損というものに対しましては、なお財政的な援助というものは必要でございましょうが、しかし営業的な面におきますところの構造的欠損というものは、やはり国鉄自身の努力によってその方向を解決していかざるを得ない、こう思いまして、今日鉄道は鉄道としての特性に生きる政策を、いわば施設を充実していくという方向に現在進めておりまして、それは経営改善計画の中にもうたわれておるところでございます。  それから、客離れをしておるではないかということでございますが、これは確かにそういう事態が起こってきております。これはしかしながら、技術の革新がこういう事態をもたらしたのでございまして、いわば技術革新に伴う国民のニーズというものがそちらへ向いていった。遠距離はどうしても飛行機で、しかも飛行機は大量輸送の飛行機が開発されてきた。また近距離等につきましては、便利で快適な自動車というものをどうしても利用するようになってまいりました。  戦前、戦中、戦後におきまして鉄道が唯一の交通機関でありました場合に、これは独占体制として維持することができましたけれども、もう今日におきましてはそういう多様な交通機関の発達、しかもニーズがそちらに向いていくということになりました場合に、鉄道としてどういうふうに生きていくかということが問題でございます。したがって、われわれはこの経営改善計画の中で鉄道としての特性を生かすそういう役割りを積極的に分担していきたい、これによって国鉄再生への道をつかんでいきたい、こういうことで政策を立てておる次第であります。
  56. 福岡義登

    ○福岡委員 当事者能力……。
  57. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 当事者能力につきましては、これはむしろ国鉄自身というよりも国会そのものの問題になってくると私は思うのでございます。  よく民営論を言われるのでございますが、今日の、現在の状態における国鉄を民営に移管するとして、果たして民間でこれを引き受ける方法があるだろうか。そういたしますと、国家的財政から見ましても、これは大変な犠牲を払って民営に移していかなければならぬので、現在の時点に立って考えるならばこれはむずかしい。しかも分割をという話がございますが、これとてもいわば電気のようなものと違いまして人間がそれに乗って動く、こういう営業形態をとっておるものでございますから、分割も実はむずかしい。しからば、いま言われておる民営論というものの趣旨は何かといいましたら、現在の国鉄の親方日の丸的な経営の中に民営的要素を入れていけということがその趣旨だと私は思うのであります。  そういたしますと、民営的な経営と官営的なものとの違いは何かといいましたら、一つは労働組合のあり方が違ってくる。これは大変な問題になってくる。これはまさに国会の問題になってくると私は思うのでございます。それからもう一つは資金の問題でございますが、資金もやはり国家的な保証のもとでなければ資金の調達ができない。これを全く民営的な資金調達の方法に持っていくといたしましたならば、いわば国鉄の公共性というものは大幅に経済の合理性追求の方に主力が置かれてしまうと私は思うものでございまして、その辺の兼ね合いをどこでとるかということ、これはまさに政治の問題ではないかと思うておる次第であります。
  58. 福岡義登

    ○福岡委員 この点についてはなお議論があるのですが、時間がありませんので後日に譲りたいと思います。  最後に、大蔵大臣、運輸大臣、ある意味では行管庁長官にも関係するのでありますが、お尋ねしたいと思うのであります。といいますのは、今後新たに国鉄の赤字として予想されるものが幾つかございます。これの対策はどうされるのかということをお伺いしたいと思います。  二、三の例を申し上げますと、来年東北・上越新幹線が開通をいたします。大体二千億円ぐらいの赤字が想定される。国鉄再建の基盤ができる昭和六十年で大体三千億円ぐらいの赤字になる。青函トンネルが昭和六十年に完成する見込みであります。結論からいいますと、大体年間八百億円ぐらいの赤字が新たに出てくる。それから本四架橋。これは児島−坂出ルート、六十二年度完成、鉄道併用橋であります。これが大体青函トンネルの例にならして計算をいたしますと年間四百八十五億円の赤字が発生する。大鳴門橋に至りましては、十年あるいは二十年、いつ完成するかわかりませんが、新幹線と併用橋ということですでに百五十億が投入されている。この百五十億を十年、二十年寝かしておく。毎年利子を払わなければならない。百五十億の元金でありますが、この金だけでも利子を加えていきますと二百億、場合によっては三百億からの新たな赤字である。したがって、私どもの意見からすると、大鳴門橋は明石−鳴門間でありますが、これはもう橋だけにして、新幹線は必要ならばそのときにトンネルでも考えていったらどうかという気がいたしますが、ともかく新たな赤字として発生するものであります。  新線建設がいろいろ進められております。一部——一部といいますか大半はストップされておるのでありますが、大体四線は工事継続中であります。その中の鹿島線をとってみますと、大体工事費が四百二、三十億、これはAB線でありますから全額補助で建設費は問題ないといたしましても、営業係数を見ますと大体百五、六十、乗車密度が四千百人ぐらいじゃないか。これも新たに発生する赤字なんであります。さらに整備五線、今年度六十億か調査費がついておるのでありますが、来年度も同じぐらい調査費をつける。この整備五線をやるとすると大体七兆円ぐらいの事業費を必要とする。乗車密度をいろいろ考えてみますと、一日当たり二万人ぐらいだろうというのです。そうすると、これは大変な赤字であります。一兆円オーダーの赤字であります。この整備五線は遠い将来のことでありますから別としても、当面具体的に問題になりますのは東北・上越新幹線あるいは青函トンネルあるいは木四架橋、何千億円という新たな赤字が発生するのであります。これはこの運賃で埋め切れない。何らかの対策が必要である。さっき運輸大臣はローカル線をやめて合理化をしていきたい。これだけ反対を押し切ってやるこのローカル線四十線、三百二十キロ、幾ら金が浮くかといいますとわずかに百三十億。こんなことをしないでもう少しこういう基本的な対策を立てられたらどうですか。これは大変なことですよ。六十年まで経営改善計画でやっていく。運輸大臣がおっしゃったように、それでも二兆円近い赤字になる。中曽根さんもおっしゃった。新たにこういう赤字が発生するのですよ。どういう計算のもとにこれらの仕事を進められておるのか。この穴埋めを何でやろうとされておるのか。その辺を各大臣からお答えいただきたいと思います。
  59. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 問題は二つございまして、新線建設、特に大型プロジェクトと組み合わせておる建設等につきましては、これは既設のすでに工事に入っておりますものにつきましては、その工事計画に伴って鉄道の方も同時に進行していくと思いますが、新線の建設につきましては一応全部ストップしておるのであります。それはなぜかと旧しましたら、一つは財政的な裏づけがないということは当然でございますが、同時にそれぞれ地域、地方における交通のあり方、交通体系あり方というものをこの際真剣に考えてもらいたい。地域交通政策の樹立はただ単に運輸省だけの問題ではなくして、それぞれの地元におきます地方自治体等も関与して交通体系を考えてもらいたい。その一環として新線の必要があるとするならばやるが、ただしそのかわりに効率の悪い現在の地方線の廃止等、こういうものをかみ合わせてやはり考えていただかなければならぬということでございまして、これらにつきましては現在全国知事会を通じましてそれぞれの自治体と話し合いを真剣に始めておるところでございまして、まだ原則論の段階でございます。具体的な協議には入っておりませんけれども、われわれ運輸省といたしましては、そういう方針で臨んでいきたいと思うておるのであります。  それからなお、東北・上越の新幹線に伴うところの赤字処理についてでございますし、青函トンネルの問題でございますが、これらの大型プロジェクトはいわば国鉄にとりまして確かに将来に大きい希望を与えるものである。と同時に、当面におきましては償却等が過大な負担となってまいりまして、大きい赤字が出てくることは事実でございます。したがいまして、今回の経営改善計画で六十年までの収支を見通しました中におきましても、東北・上越は、これの償却負担等についてはわれわれ国鉄の側では引き受けられないということを、これは財政当局にも十分に説明いたしております。でございますから、この負担につきましては今後財政当局と話し合いをしていかなければならぬと思うております。  なお、それに伴うところの利用、活用につきましては、これは当然われわれ従来以上の努力をいたしまして、所期の計画よりより以上の成績を上げ得るよう、特に在来線との関係をさらに一層緊密にダイヤを組み合わせるとかいたしまして、利用度を高めていくという努力は当然いたさなければならないと思うております。
  60. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 福岡委員の論説はまことに重要な話でございまして、御承知のとおりこの行革国会で来年度の予算をつくるのに二兆七千億円の歳出の削減あるいは抑制をやろう、これだけの大議論をやっておるところでございます。ところが一方国鉄の方は、一年に二兆円ずつ赤字がふえていく。したがって、借金が五十五年では十四兆といったが、五十六年ではさらに一兆八千億ふえる。五十七年度の要求がさらに二兆円ふやしてくれ。六十年にはもう二十兆円くらいの借金にだんだんこのままでいったらなってしまう。これは大変な問題で、一体だれが払うのか、その利息はどうするんだ、これは重大問題で、国民全体が考えなければ、結局はツケは国民に回ってくる。それは結論はこのままでは税金に回るということですから、納税者はみんなで国鉄はいかにあるべきかを考えてもらわなければ解決がつかない。ただ、地域のために新しい新幹線や整備線を敷け、何を敷けと言われても、そこから何百億、何千億円という赤字が出てくる。それはもう増税しても払います、国家全体のためですからという決意があれば別だけれども、そうでなければ赤字だけふえてしまって、だれが払うんだと言ってなすり合いをしたって始まらない問題ではないか。だから、国鉄問題は過去の問題も、自動車や飛行機にお客をとられた、しかしそれについての人員の整理ができなかったというようなことを初め、いろいろ後手後手があったと私は思います。したがって、大変貴重な御意見でございますので、今後もう一遍抜本的に、真剣に考え直す必要があるんじゃないかというのが私の所感でございます。
  61. 福岡義登

    ○福岡委員 時間が来ましたので、残念なんですがこれで終わりますが、いまの大蔵大臣の答弁は答弁でない。目の前に大きな赤字が予想されている、そんなことは初めから、工事に着工するときからわかっているんだ。なぜわかっていることを対策を立てないままにやったかという責任を感じてもらいたいということが一つなんです。具体的に、供用を開始したときに出る赤字はどうするか。国鉄や運輸省は引き受けられぬとこう言っている。そういう仕事をなぜ始めたか。これはまた別の機会に議論したいと思うのですが、大変なことなんです。赤字たれ流しをやっているのは政府だと言われても仕方がないのです。まあ、この辺で打ち切ります。  自治大臣には足どめをしておったのですが、ローカル線その他の問題が出てきて、地方負担の問題があれば見解をお伺いしたいと思ってお願いしておったのですが、何にもなりませんで失礼いたしました。  以上で終わります。
  62. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長 これにて福岡君の質疑は終了いたしました。     〔小此木委員長退席、田邉委員長着席〕
  63. 田邉國男

    ○田邉委員長 武田一夫君。
  64. 武田一夫

    ○武田委員 私は、農業問題を中心に若干お尋ねいたしますが、大蔵大臣が何かいろいろと御用があるようでございますから、大蔵大臣に関係ある部分を先に、それに関連して各大臣、省庁のお答えをいただきたい、こういうふうに思います。  まず最初に、いま審議中の行革関連特例法案の一つでございます地域特例補助率の引き下げの件でありますが、この件につきまして、一つは一律削減するという問題、なぜ一律削減かということ、それから元利償還のための財源の半分は地方自治体が負担せよ、なぜ半分なのかという二点について、まずお答えをいただきたいと思います。
  65. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 地方によって差をつけるといいましても、かなり論争が出てしまってこれは非常にむずかしい。したがって、かさ上げ分の六分の一ということで一律ということにしたわけでございます。しかしながら、地方の状況によっては起債の許可その他、金があるから要らぬというところは別ですけれども、そういう措置は講じていこうということでございます。  それから、何で国と地方を折半にしたのかということにつきましては、これは国と地方と両方で等しく痛みを分け合うという気持ちで、等しくというところで半々ということにしたわけでございます。
  66. 武田一夫

    ○武田委員 政府が試算されました各地方自治体あるいは指定都市がどの程度の負担をするかというデータが出ました。これを見ますると、特に後進地域と言われる開発の非常におくれている地域、経済的に弱い地域、特に鹿児島が三十一億あるいは北海道は二十六億でしたか、さらに東北などは多くの県が十億以上、さらにまた九州地域でも宮崎、佐賀、熊本、大分というような地域がいわゆる開発の中における非常におくれた地域である。県民所得などを見ましてもこういうところは非常に低いわけでありまして、こういう地域にかなりの負担がかかってくるということは否めない事実でございます。  しかも、こういう地域におきましては農業を中心とする地方がかなり多いというような特殊事情、これがまた地方の経済というものにいろいろと影響をしている、こういうことを考えますと、痛みといってもその痛みの程度はかなりきついのではないか。そういう意味で現地の多くの皆さん方が、もっと個々の地域の実情に目配りをした対応をするのが本当の痛みを分け合うという精神にかなうのではないかと言うことは、私はうなずけるわけであります。こうした地域の実情によく目配りした対応というものがあってしかるべきではなかったかと私は思うのでありますが、その点をお考えになったものかどうか、もう一つお尋ねをしたい、こう思うわけです。
  67. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 いま御指摘のような、県ごとに何億というようなカットが行われることは事実でございますが、実は一般の地域よりもカットされた五倍の金額は五十七年度も補助金として上乗せにつくわけでございます。これを裏返しに申しますと、高度経済成長時代になってから、主としてそうですが、そういうような特殊な地域について一般の補助率よりもはるかに多くの補助金をかさ上げをして、超スピードでその解消を図るように努力をしてきたということでございます。しかしこういうような財政事情でございますので、その補助金の上乗せの部分についてその六分の一を三年間に限ってカットをさせていただくというだけのことでございまして、その五倍の金額のものは現在も三年間残っておるわけでございますから、したがって、かなりのものはまだ残っておるということも事実でございます。もともとなかったものをあるようにかさ上げしたのだということも事実でございますので、この三年の間別に資金の手当てはいたしますから、ひとつ御勘弁をいただけないかということで御提案を申し上げている次第でございます。
  68. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、その問題はそのくらいにさせていただきまして、これと関連しますが、別の角度からちょっとお尋ねいたします。  この特定地域に係る国の負担、補助等の特例措置によりまして、五十五年度予算案質ベースで試算しますと、年間で四百六十億国の経費を削減するというのでありますが、その中で農林水産省関係が百二十五億を占めるということが試算されているわけであります。  そこで、昨今非常に記録的な冷害の被害を受けている地域が東北、北海道、あるいはまた、台風などの影響によっての九州等々の被害があるわけでありますが、特に東北は今年度また間違いなく冷害というものが予想されているわけでありまして、この影響が非常に大きい。この影響というのは一年、二年でおさまるものではございませんが、こういうふうな問題を考えましたときに、いろいろとお尋ねをしたい点があるわけであります。  まず農林水産省としまして、本年のこの冷害の被害状況をどのように見通しをしているか、この点をおわかりであればお知らせを願いたい、こう思います。
  69. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 本年におきましてはいろんな災害が発生したわけでございまして、現在までのところによります主要な災害の発生状況を申し上げますと、昨年の十二月以降からの降雪、冷温によります果樹、野菜等の農作物に対する被害、五月下旬から六月上旬までの降霜、降ひょうによりまして野菜、果樹、桑等の農作物に発生いたしました被害、さらに六月下旬から七月中旬までの豪雨によりまして、農地、農業用施設等に発生いたしました被害、さらに八月上旬及び下旬の台風第十二号及び台風第十乳母によりまして発生いたしました水稲、麦等の農作物、さらには農地、農業用施設等に与えました災害等があるわけでございます。  なお、これらの被害のほか、ことしの春先からの低温、日照不足あるいは湿害等によりまして、これに加えます災害の発生も懸念されるわけでございますが、目下、この被害の状況につきましては、私どもの統計情報部におきまして被害額の推定を行っている段階でございます。
  70. 武田一夫

    ○武田委員 経済企画庁の方おいでになっていると思いますが、お尋ねしたいことが一点ございます。  こうした冷害等による被害というのは、農家の経営、生活だけでなく相当多く地域経済に影響を与えているというのが事実でございますが、昨年の冷害、これが地域経済にどのような影響をもたらしているか、その点具体的に、ひとつ簡潔に御説明をいただきたい、こういうふうに思います。
  71. 田中誠一郎

    田中(誠)政府委員 お答えいたします。  昨年の冷害が農業生産に非常に大きな影響を与えたことは御指摘のとおりでございます。しかも、農業資材価格が昨年かなりの上昇でございますし、その反面農産物価格が緩やかな上昇だということがございまして、農業所得は五十五年度で見ますとマイナス一一・二%と、かなりの減少でございます。その反面農業共済金の支払い等もございましたし、公共事業の重点的実施等がございまして、農外所得が比較的順調だということでございますので、ただいま申し上げました農業所得に対する影響はかなり緩和されてございます。  全国平均で見ますと、五十五年度の農家の可処分所得は三・八%の増加でございます。しかし、なお勤労者世帯が五十五年度六・六%の伸びでございますので、それを下側ったということでございます。特に農業生産のウエートの高い北海道、東北、四国、九州といったところが影響が大きかったかと思われます。こういった農業生産の低下、農業所得の低下の影響に加えまして、そういった地域はどちらかと申しますと素材型産業が立地しているという点もございまして、地域経済への影響はかなりのものであったというふうに思われます。  百貨店販売額で見ますと、北海道、東北等はいずれも全国平均を下回っておるわけでございまして、個人消費の回復がまだこの地域では目立って見られていないという状況にございます。他方、乗用重販売あるいは農機具の購入等々につきましても、これら地域につきましては落ち込みが見られるという状況にございまして、全体として農業生産の低下が地域経済に与えた影響というのはかなりのものであったのではないかというふうに判断されます。
  72. 武田一夫

    ○武田委員 いまるる具体的な事実を通して御説明いただいたとおり、相当深刻な影響が続くわけでありまして、これは一年限りでなく、二年、三年と、しかもその次またそういう状態に当面するということは、そうした地域経済というのは非常な苦労をしているということでございます。  そこで、私は、今回の行革推進のための公共事業の抑制ということ、これはやむを得ないとは考えるわけでございますけれども、この点によく配慮なされた対応というのがぜひ必要だということを御要望しながら質問するわけであります。特に、先ほど農外所得によってその目減り分を多少順調に生かせているという要因があるという話もございましたが、農業の基盤整備を含めました公共事業というものへの影響、これはそういう地域にとっては非常に貴重なものでございます。そういう意味で私は、そうした配慮の上での財源の配分というのが必要でないかということを、二、三の具体的な例を通して大臣にお聞きしたいわけであります。  それは、たとえば農業基盤整備というものを見てみますと、他の公共事業と異なりまして事業費に占める人件費というのが非常に高いということ、要するにそれによって働き場所を得ている農家の方々が非常に多いということ、そうした方々を雇う方々はまた中小零細企業の方々が非常に多いということ、雇用の促進、これが経済を潤わす一つの大きな力になっているという現実、それから発注先を見てみましても、いま中小零細企業が多いと言ったのは、これは数字でも明らかでありまして、建設省の計画局が発表しました「公共工事着工統計年度報」を見ましても、昭和五十四年度の場合、資本金一億円未満の企業への発注率というのは、たとえば下水道、公園の場合、これは三二・九%、それから港湾、空港等が三流・六%、道路が五三・五%です。そして、公共工事全体の平均でも四六・九%でありますが、農林水産関係は実に七四・二%という商い比率を占めているということを考えましたときに、やはりいかに農林水産関係の公共事業というのが地元の経済を支え、またそうした仕事、働き、こういう三つの問題に大きなかかわりがあるかということを御理解いただけるのじゃないか。こういうときに、そうした地域に対しては特にこうした一律の対応ではなくて、やはり私が最初にお願いいたしました、地方の実情というものに目配りした対応というものによって活力をそこに与えていく、こういうふうな対応が必要ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、いかがお考えでございますか。
  73. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 限りある財源を使って、しかもいろいろ景気等にも効果のあるようなこともあわせて考えるということになりますと、武田委員の御意見は一つのりっぱな意見であると私は考えております。これは各省庁間で今後どういうふうに取り扱っていくか、十分参考にさせていただきたいと存じます。
  74. 武田一夫

    ○武田委員 ぜひ格段の御配慮をいただきたい、こう思います。  そこで、次に補助金の問題をちょっとお尋ねいたしたい、こう思います。  これは、一昨年の予算委員会の一般質問のときに質問いたしまして、そのときにいろいろ答弁もございましたし、また、今年わが党の参議院議員の田代議員も御質問申し上げた問題でありますが、いわゆる割り高になっている事業単価の見直しの問題、大蔵大臣もかなり熱意を持って取り組んでいるようでありますが、いま補助金の見直しの中で事業単価の見直しという問題についてどのような作業を進めてきておるかという件でございます。また、農林水産省においては来年の予算の要求の中でどのようなところでそれを反映させているものか、そういう問題についてお答えをいただきたい、こういうふうに思います。大蔵大臣からひとつ。
  75. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 農業関係補助金につきましては、五十七年度の概算要求におきましても、臨調答申の精神を踏まえまして今後査定をしてまいりたいと考えております。  構造改善事業等の一般補助金四千三百三十七億円の一割削減ということもやっていただくつもりでございますし、地域の自主性を生かすための、むだな補助金は困りますから、自主性を生かして、統合メニュー化、こういうようなこともぜひお願いをしたいと考えております。過剰投資を防ぐためにいろいろな、ただ補助金がもらえるからちょっとむだでもつくっちゃおうかという考えは困るわけでございまして、国家全体とすれば過剰投資になるわけですから、そういうようなことにはならないように補助金を効率的に使っていく。それから、融資制度を徐々に広げて、それを活用していくということも一つのやり方ではないかと考えますが、専門省である農林省に、創意工夫でいろいろ研究をしてもらうつもりでございます。
  76. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御指摘の補助金についてでありますけれども、これは、土地条件、営農条件その他種々の条件によって、その地域地域、また土地土地のいろいろな事業単価というものが違ってくるわけでございます。それらを十分考慮いたしまして、できるだけ農家の負担が軽減されるように、しかも効率的に土地基盤が整備されるようにという配慮をもって補助金の単価等を決定いたしているところでございます。  したがいまして、やはり農家がみずからの融資によって事業をやるということは望ましいことではありますけれども、現実の問題として、融資で、しかも積極的に基盤整備をしていこう、圃場整備をしようあるいは用排水の施設をつくろう、さらには暗渠排水をやろう、客土をやろう、一人の人がやろうと言っても、融資では自分たちは模様を見たい、こういうことになって、全部が一致してまとまった土地改良をやるというようなことがなかなか困難である。そういう意味においてこの補助制度というものを始めて、みんなでとにかく公共的な土地条件をよくしていく仕事であるからということで、この三割補助あるいは四割補助、あるいはさらに大型に土地条件を整備していこうという国営事業、県営事業、もろもろの種類の事業をセットいたしまして、そしてその地域地域の農家の諸君の選択によって仕事をやってまいる、そういうことのために補助事業というものがあるわけでございますので、臨調の方から、圃場整備事業は個人の財産をふやすのだから云々というような批判もありましたけれども、そういう点は委員の皆さん方にも十分御説明を申し上げまして、そうして自力でできる、財力のついた地域で土地改良をやる場合には、制度としては三分五厘融資の非補助事業というものがあるわけでございますので、その制度を活用していただくということで、従来どおりの圃場整備事業を補助事業としてやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  77. 武田一夫

    ○武田委員 農林大臣からるる御説明がございましたが、補助と自己資金による事業経費の対比をよく例に出されるわけでありますが、要するに、補助事業による単価が自己資金の場合に比べてかなり高いといういろいろなケースがいろいろなところで言われておるわけであります。  われわれも、たとえば暗渠排水工事を調べて、五十二年、五十三年、五十五年の調査をちょっと申し上げますと、十アール当たり補助事業の場合は五万二千円くらいかかっているのが、自己資金の場合は三万二千円くらいでできているケース、約一・六倍の高いものが出ている。あるいはまた、六万円のものが三万六千円で自己資金の場合できる。あるいは、これは土地改良総合整備に関係する事業でありますが、約七万九千円が五万五千円と、大体一・四倍という、これは暗渠排水工事。中には、三十万円補助事業でかかっているのが十万円の自己資金で、いわゆる三分の一でやれるというようなケース。もうひどいものは、もみ乾燥調製施設装備費という一つの例がございますが、これなどは、補助事業でやりますと十五万円でありますが、自己資金だと一万四千円程度、十倍、十一倍くらいという、こういういろいろな具体的な事実が出ている。これは篤農家の皆さん方あるいはわれわれの調べでも、現地に行って聞いた問題でありますから、こうした割り高なものを一つ一つ点検しながら、効率的ということになれば、やはりもっときめ細かな対応、これが欠けているんじゃないか。予算のむだ遣いというのが言われるのはこういうところにもあるんだ。農家自身も、一生懸命農業をやっている方々は、われわれは心外だ、われわれは個人の努力でやるとこういうふうにできるんだけれども、結局、こういう補助金の中におけるいろいろな厳しい規制の中でやるとこんなに高くなってしまうんだ、われわれつくっている者自体も、これじゃまずいと思いながら、金がないからそれでやるんだ。こういうような農政あるいは補助金のあり方は、十分に検討しながら、予算の中できちっとそうした具体的な対応をするのが必要だ、こういうふうに私は思います。  そういう意味で、私は、今回第二臨調の答申の中でこの単価の件には一言も触れられていないということは、やはり大蔵省も、農林水産省としても、こうした説明を十分になされなかったものか、あるいは何か意図があったのか、ちょっとこの点だけ伺って、この問題はまた後日いろいろと論じたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  78. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 武田委員から指摘されましたいろいろのケース、そういうことも実在することは否定いたしません。  しかし私ども、たとえば圃場整備事業をやるあるいは用排水の事業をやるという場合には、まず土地改良組合というものをつくりまして、そうしてその土地改良組合の理事会でいろいろの計画を立て、その計画に基づいて、市町村並びに県当局の農業技術者あるいは改良普及員の意見等も十分しんしゃくしながら単価を決めていくわけでございます。そうして、とにかく全員の四分の三以上の協力を得なければその仕事はしていけないわけでありますので、それらの方々の全員の同意を得るというためには、やはり納得のいく単価というものを積算をしていかなければならないということになるわけであります。  したがいまして、そういう手続並びに査定を経て町村でやり、あるいは団体事業でありますれば、町村の技術者が査定をし、さらに県の段階で査定をし、さらに地方の農政局の専門家で査定をし、そうしてさらに本省でこれに最終的な結論を出す、こういう段階で厳しく予算執行をいたしておりますので、この点は——あるいは五反歩とかあるいは六反歩とか、そういう小面横を自分の力で区画整理をするあるいは暗渠排水をするというような場合には、これはもう労賃とかそういうものを計算してあるのかどうか、その辺のことも十分検討してみなければならない、こう思うわけでございますので、私どもとしては、適正に行われておる、したがって、あのやかましい臨調からも単価の問題については触れられていない、このように自信を一応持っておるわけでございます。
  79. 武田一夫

    ○武田委員 それではこの問題について、大蔵大臣、そして中曽根長官のこともいま出てきましたので、御両人からもひとつお伺いしたいと思います。
  80. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 一般論から言うと、補助金がついて、どうしても事業をしっかり、いいものをつくれということを言いますから、それで必要以上に単価が高くなるのじゃないかということは言われておるところでございます。  しかし、それをいま農林大臣が言うようにいろいろと工夫をして、そういうことのないように農林省は努力をしておる。部分的にはあるんですよ、武田委員の言うようなことがときどきあった。私も農林大臣のときに沖繩へ行ってみて、牛小屋を見たのだけれども、牛小屋の柱と堆肥場、肥やしを入れておく小屋がある、その小屋の柱が三十センチ角のコンクリートだった。こんなばかなことは私は考えられない。そうしたら沖繩は台風が吹くからということでした。ところが、その牛小屋の少し近くに丸太小屋の牛小屋が、ちゃんと二十年ぐらいのやつがあった。台風がやはり吹いているはずだ。そういうようなこともございまして、私は厳重に言いまして、こんなことは絶対ないとかなんとか言っておりましたが、かなりそういうようなことは注意をして直させておりますから、いまではかなり直っておるのではないか。しかし、さらに農林省と一緒になって目は光らせてまいりたいと思っております。
  81. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 農林大臣、大蔵大臣とともにむだのないように今後も努力したいと思いますが、補助金の中で、補助金をつけないと起債を認めない、地方との関係でよくそういうことがありまして、そのために無理して補助金をつける、そういう傾向もあるようにも思いまして、そういう点もひとつ検討する項目ではないかと思います。
  82. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろと伺いましたが、私は、補助金すべて悪いと言ってはおりません。ただ、いろいろと批判がある農林水産省、補助金をたくさん抱えておるだけに、そうしたいろいろな批判にきちっと対応できるものを持たなければ、いつまでたっても農家自体がこれで苦労するわけでございます。ですから、予算の効率的な使い方、これは国民にとっても必要、また農家も期待しておるわけでありますし、また単価の問題にしましても、農家の皆さん方がその見直しによって負担が軽減するような方向に持っていっていただければ非常にありがたいことである、これはあたりまえのことでございます。  こういうことで、やはり今後の作業の中でこうした問題は事実いろいろ出てきた、そういう具体的な例を、これはその一つだけの例ではないということで、ひとついろいろな地方等々における状況などもきちっと把握しながら対応していただきたい、こういうふうにお願いを申し上げまして、この問題は終わらせていただきます。  大蔵大臣、時間がなくなって申しわけないのですが、最後に大蔵大臣に関係がある年金の問題で取り急いで御質問いたします。  わが国の年金財政についての悩みは、説明するまでもなく、現在でも多かれ少なかれ各種年金制度共通の問題としてあるものがあります。それは財政難の問題、要するにそういう問題が特に農林年金の場合は今後非常に厳しいという問題を抱えておるわけであります。今回の行革法案による国からの負担金、補助金の削減という措置は、農林年金関係者にとって一層不安を大きいものにしているということは事実でございます。そこで、この農林年金の問題についてひとつお尋ねをしたいことがございます。  この農林年金は、昭和三十四年に厚生年金から分離独立したわけでありますけれども、この制度発足の経緯に伴う初期のいわゆる過去勤務債務、あるいは発足後の制度改善など、いろいろ経済変動から後発の過去勤務債務によって多くの不足財源が指摘されております。それで、その財政収支というのはきわめて厳しいということも言われておるわけでありますが、この農林年金の成熟は、ほかの年金に見られない非常なスピードが急速に出てまいりまして、その不足責任準備金というのは、これは昭和五十四年度末で一兆五千五百七十二億円ですか、こういうふうになった、こういうことであります。  そこで、ことし掛金を千分の百九でしたか、こういうふうに上乗せをして、そうした問題に対応しようとしているわけでありますが、前途が非常に厳しい。聞くところによりますと、昭和五十五年度末には不足責任準備金というのは二兆二千五百九十九億円に達して、昭和五十四年度のそれを大きく上回っているということでございますが、この農林年金の将来の収支を政府はどのように見通しているか、この問題をまずひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。  それから、その問題につきまして、答えによってもう一つ大蔵大臣にお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  83. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 武田委員御承知のように、農林年金は成熟率がまだ低いということでありまして、単年度の収支は、現在収入が支出をはるかに上回っておるということでございますが、御指摘のように、今後は成熟率が増大していくであろうということが推定されておるわけであります。現行の掛金率を据え置くといたしまして、昭和六十年度に単年度の給付支出額が掛金収入を上回り、七十一年度には年間の総支出額が総収入額を上回るということで、昭和八十一年度には固有資産がゼロになるというような事態をも推測できる次第でございます。したがいまして、これらの状態を十二分に見通しながら適切な運営を図っていかなければならない、こう考えておる次第でございます。
  84. 武田一夫

    ○武田委員 大臣から説明がありましたように、今後も収支の見通しが非常に厳しいわけであります。それだけに年金関係者というのは、今回のこの行革法案に伴う国からの補助減額については、やむを得ない措置だと理解をしているとは私は思うのでありますが、果たして国の財政状況いかんにかかわらず、金利も含めまして国がいつまでにどのような形でこれを補てんして、それを還元してくれるかという問題、これはことのほかに深刻な問題として受けとめているわけであります。  ここで、大蔵省としましては、その減額分の金利部分のめんどうを見る、こういうふうにおっしゃっておりますが、その場合の金利というのは、まず一つは単利計算でいくものか、複利計算でいくものか、これが一つ。  それから、一律の金利計算とするものか、あるいはまた個別の運用利回り等によるものだろうか。これは少なくとも私は、農林年金については、この農林年金の運用益というものがございますから、そうした分の利子を含めた返済というのが当然だ、こういうふうに思うわけでありますが、これは大蔵大臣としてのお考えをひとつお示しいただきたい、こういうふうに思います。
  85. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 細かい細則的なことをまだ決めているわけではございません。ただ六十年度以降、年金財政を損なわないようにしながら、また一方、国の財政事情等も勘案をしつつ、元利の返済をいたしますということだけが決まっておるわけでございます。当然、運用利回りにつきましてはまだ決まっておりませんが、いずれにしても農林年金のいままでやってきておる運用利回りを下回るというようなことはできないであろう、そう思っておるわけでございまして、それは運用利回りはその年々によって皆違いますから、その年々の他の年金の運用状況というようなものを見て、それに合うようにしてまいりたい、そう考えております。
  86. 武田一夫

    ○武田委員 まあ財政の云々ということがございますが、また一方では、給付に要する事業の財政の安定が損なわれないようにということもこれはあるわけでありますから、その点、やはり年金者にとっては重大な関心の一点でありますから、対応方をひとつよろしくお願いしたい。時間でございますから、これ以上の質問いたしませんが、よろしくお願いいたします。  それじゃ、大蔵大臣に関連質問終わりましたので、次に、まず最初に、食糧安全保障の問題について農林水産大臣にお伺いいたしますが、総合安全保障上この食糧安保というのは非常に重要な課題として、大臣も常日ごろこの問題には深く決意を固められておるわけでありますが、最近、何か伺いますと、第二臨調の調査会の中である委員から注文めいた言葉が出たのだということを聞いております。私もどういうことかわかりませんが、大臣といたしましては、食糧安保というものの重要性を考えて、今後この問題については、掲げた旗はいかなることがあろうともきちっと掲げていくのだという御決意ございますかどうか、その問題一点まずお尋ねをいたしておきたいと思います。
  87. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 昨年の四月の当院本会議において、食糧自給力強化の御決議をちょうだいしたわけでございます。これが何といってもわが国における食糧政策のやはり基本である、こう考えておりまして、やはり安全保障の上から言っても、食糧の自給力を強化するということは、欠くことのできない基本的な課題であるということでございまして、いままでたびたび申し上げてきておりますとおり、国内でできるものはできるだけ国内で生産をしていく。その際にも、いわゆる生産性の高い農業経営を展開して、そして自給力を強化する。同時に、安定的な輸入、これはもうどうしても国内で生産のできないえさ等の問題については安定的な輸入というものを確保して、そしてやってまいる。そういう意味において、食糧の安全保障政策を確立してまいりますために、強力なる農林水産行政の推進を図ってまいるという基本的な考え方は、変える意思は毛頭ございません。
  88. 武田一夫

    ○武田委員 今後いろいろと臨調の答申の進行に当たりまして何か出てくるという心配を私はしておるわけでありますが、いまの御決意をひとつ堅持していただきたい、こう思うわけであります。  ところで、今後の日本の農業、これは農政審の答申にございます「八〇年代の農政の基本方向」、この方向に向かって進まれるということを再々委員会等々ではお聞きしているわけでありますが、臨調の答申によりまして、こうした長期見通し等々に、あるいはまた、それに伴った各種長期計画ございますが、そういうものに変更や、あるいは中身の改廃、整理、いろいろな作業等が行われるのではないかという心配をされる方がおりますが、そうした基本方向というものに影響がないというようにお考えでございますか、それともあり得るとお考えでございましょうか。
  89. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 農業関係の長期計画、土地改良の十カ年計画、あるいは治山の計画等々、それらの計画のもとになっておりますところの需要と生産の長期見通しというものを閣議決定し、農政審議会の答申も昨年ちょうだいをいたして、そうして日本の進むべき農政の方向をきちっといたしておるわけであります。したがいまして、長期計画の基本構想というものは、その目的とするところを達成いたしたいために、今回の忍びがたき行政改革を、忍びがたきを忍んでこれを断行していく、やはりそういう明るい時代をつくり上げるために今回の苦しみを三年間やっていくのだということで、これをやり遂げれば、確立いたしております長期計画の目的を達成することができるのである、そういう気持ちでこの行革に臨んでおるわけでありまして、長期的に日本の農政の向かうべきところを変えるというようなことはいたすべきではない、こう考えております。
  90. 武田一夫

    ○武田委員 それでなくても長期計画はいろいろと、途中いろんな挫折がありながら遅々として進まないのもたくさんあるわけでありますから、その計画にのっとり、やはり整備発展の方向の努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  国土庁からおいでになっていると思いますが、これと関連しまして、私は、三全総に非常に関心を持っている一人でありますが、定住圏構想、これをずっと見てみますと、農村を中心とした構想というものが非常に濃厚だ。特に東北、北海道におきましては、食糧供給基地という大きな課題これあり、また人口が非常に少ない、しかも住む場所がたくさんあるというようなことで、この定住圏構想に非常に関心を持っているわけでありますが、臨調によっての何か農村環境整備の充実というものに水を差されるような提案がなされているわけでありますが、三全総の今後の計画に変更があるということは考えられるものか、あるいは考えられないものか、このままいままでどおりのベースでいくものか、この点ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  91. 原健三郎

    ○原国務大臣 お答え申し上げます。  いまおっしゃいましたいわゆるモデル定住圏構想でございますが、これは御承知のように国土庁としても目玉商品のようなもので、非常に地方振興、いわゆる大都市と地方とのバランスをとって、均衡ある発展を図るという手段でございます。  これについては、いろいろありますが、三全総の中においてもこれを決して否定しておりませんし、現時点におきましても、そのいわゆるモデル定住圏計画が進捗いたしておるところであります。  それで、いろいろありますが、第一に申し上げたい点は、市町村がその対象から外れておること、また事業の執行に支障を生ずることのないよう財政、金融上の措置が考えられておること等々によって、スムーズに進行すると思っております。さらに公共事業につきましても、その定住圏構想がうまくいきますように積極、優先的に措置するような配慮をしてまいっておるところであります。  それからもう一つ、最後に申し上げたい点は、国土庁において田園都市構想モデル事業というのを昭和五十六年度、本年度から実施いたしております。これもこういう中核的な仕事をやってこの定住圏を進めていくという意味で、モデル定住圏構想を直ちにどうしようという考えはありませんし、さらに、それを定着させていきたい、こういう考えでございます。
  92. 武田一夫

    ○武田委員 私は、長官が就任されて間もなくだったと思いますが、われわれに非常に勇気を与えるような発言をしていただきました。それは北海道、東北というのは経済指標も非常に低い。こういう格差の是正のためには、そういう地域はことに予算の面では傾斜配分等考えてそれを実施すべきであるということの御発言、いまだ耳に残っているわけでありますが、いまの決意とあわせまして、今後ひとつ、この定住圏構想がスムーズに展開実現の方向に行くようにお願いして、要望をしておきます。  最後に、時間が十分になりましたのでお尋ねをしておきますが、行管庁長官に一言ひとつ。  まず、行革の基本理念としまして、その一つの柱に、活力ある福祉社会の実現ということを掲げておるわけでありますが、この活力ある福祉社会の実現というこのこと、農業の場合、具体的なイメージというのは、いかなるものを描いておるものか、また、それに到達する手段としてはどのようなものをお考えになっておるのか、長官の御見解をひとつお聞かせ願えればと、こう思います。
  93. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、かねがね、農は国のもとだと思っておるのです。いかなる時代にあっても、やはり農は国のもとという考えは変更さるべきではない。ただ、国のもとというやり方につきまして、戦争前は軍国主義の関係で徴兵の基礎とか強い兵隊をつくるためとかという考えでやりましたが、そういう考え方でなくして、平和的な民主主義的な社会をつくっていく上について農業が果たしている役割りは、食糧の面でも、あるいはコミュニティーを維持していく面でも、あるいは精神的な強靱性という面でも非常に大事な要素をなしておって、これは単に物質的な考えだけではカバーできない大事なものがあると思っております。そういう配慮を持ちながらこの行革にも当たらなければならない、そう思っております。  ただ、最近の国際情勢の大きな変化等々もありまして、農業につきましても、よほど近代化をやり、そして、たくましい農業に変えていく必要があると思っております。畜産とか、あるいはいろいろな面で新しい企画が出まして、特に園芸とか、あるいはそのほかについて青年たちが勇んで新しいプロジェクトに取りかかってきて、農林省がこれを奨励してきておるということは非常に歓迎すべきことであります。ありますが、中には計画倒れに終わっているのもありますし、あるいは重複しているものもありますし、昔は農林省のなわ張りからいろいろ仕事をつくってきたという面もなきにしもあらずです。しかし、いまこういう事態を迎えまして、農林省も、補助金を千二百あったのを六百に統合するというような勇断をふるったこともおやりになっているのですから、農業の関係者もそれに合わせていただいて、そして新しい、たくましい、生産性の上がった、国際的にも対抗できる農業界あるいは農業というものをつくっていくために努力していただきたい。そういう方面については、政府もやはり関心を持って協力していくべきである、そういうふうに思っております。
  94. 武田一夫

    ○武田委員 御意見を伺っただけにしておいて、時間が来ましたので、最後に一つお尋ねいたします。  この臨調の第一次答申にこたえまして、農林水産省としましては、農業基盤整備事業、これは来年度予算編成に当たっては、新規事業は県の要望の半分に減らす、こういうことでございまして、事業量としますと例年の三分の二程度になってしまう、三分の一は削減されるというようなことを伺いました。  そこで、いわゆる農業の一番大事な基盤整備事業というものがこういうふうな方向でいくとすれば、今後、灌漑排水事業の面あるいは圃場整備の面で大きくこれはスローダウンするのじゃないかという心配。そういうことになりますと、水稲の生産性の向上あるいはまた転作の問題、特に二期対策、これから入る非常に重要な課題でありますが、こうした対応というものに大きく支障を来すのじゃないかという心配があるのであります。あるいはまた、計画の変更、二期が三期にずれて、三期がまた今度は四期にずれていくというような心配がないものかどうか、ひとつ農林大臣からその辺お答えいただきたい、こういうふうに思います。
  95. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 基盤整備は今後の日本の農業を発展せしめる基本的な事業でございまするから、これは五十七年度の概算要求におきましても、今年よりも要求額を多くいたしておるところでございます。九千億を超えた国家資金も基盤整備に投下していきたい、こういう気持ちを表明いたしまして、大蔵省に概算要求をいたしておるところでございます。そして、やはり新規をこの三年間は少しがまんしていただいて、取りかかった継続中の仕事をできるだけ早く効果あらしめるという方向に重点を置いてやってまいりたい、こういうことでそれぞれの公共事業の計画をさせていうところでございます。
  96. 武田一夫

    ○武田委員 継続のものを中心にあと少しがまんしてくれということですが、がまんができないところがかなりあるわけであります。それは、たとえば農業基盤整備専業の推移を面積ベースでその進捗状況を見てみますと、圃場整備、これは長期計画、四十八年から五十八年百二十万ヘクタールへそれが四十八年から五十六年の合計で五十三・四万、要するに五十三万四千ヘクタール、進捗率がわずか四四・五%、畑地総合整備については、六十万ヘクタールの計画についてわずかに八・二万ヘクタール、いわゆる八万二千ヘクタール、わずか一三・七%、それから農用地の造成においても、七十万ヘクタールの計画に対して二十八万一千ヘクタール、四〇%という状況であります。  先ほど私は、日本の食糧供給基地と言われる東北の話を出したのでありますが、この東北の例などを見ますと特にこれが悪い。最近でこそ急速に伸びていますが、ことし一月現在の整備済み圃場面積、一区画二十アール以上でございますが、秋田が四三%、山形四二、青森四〇、福島三七、岩手二四、宮城二二、特に岩手、宮城のおくれが目立って、東北平均ではまず三五%、全体が四四・五%に対してこういうふうにかなり悪い。これがスローダウンとなると、がまんするとなると、果たしてこういう地域で今後いわゆる生産性の向上の問題、転作の問題等々どうなるのだ。特に東北は御承知の湿田地帯が多いということ、しかも、いままではこういう進捗状況も、平場の条件のいいところでこういう状況であったということ、これからは条件の悪いところ、ここにその整備が進んでいくとなると、湿田地帯等々を含めたそういう基盤のよくないところ、しかも予算がこのような状況でいく、こうなると政府が考えているいわゆる転作の定着化、生産性の向上というのとは及びもつかない方向に行ってしまうのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、そうした杞憂の念はないものかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  97. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御指摘のように、この基盤整備に対しまして昭和二十一年から五十六年まで投下いたしました国費は約十三兆円でございます。さらに、直接基盤整備とは関係ございませんが、食管に繰り入れた金額が約十二兆円、こういうことに相なっておるわけでございます。これらの税金の繰り入れによりまして、また投下によりまして、日本の土地基盤の整備が四〇%台、圃場整備のごときは四〇%台まで進んだわけでございます。残されたところは、いままで投下した地帯よりも金のかかる地帯であることは御指摘のとおりでございますが、これらの基盤整備に国家投資をしてまいりますためには、これはやはり納税者の了解を得なければならない、協力を得なければならない。そのためには、こういう行政改革国民のほとんどが希望しておりますところの行政改革財政再建というような場合には、やはり一人でもよけいに身を屈する、そしてその後に初めて伸びんとする基盤ができてくる、こういう気持ちで、実は私どもは真剣になって国民の皆さん方から農林省よくやっておるなという実態を見てもらって、そして昭和六十年度以降ですか、新たな活力ができてきた国家財政の中で農業基盤の整備というような点も大きく前進させていくことができるように、何としても来年は土地改良十カ年計画をつくっていかなければなりません。この土地改良計画を進めるに当たりましても、武田委員御指摘のような点も十分取り入れていかなければならぬ、こう考えておりますので、その点やはり実績を上げるということでこの行政改革に協力をし、取り組んでおるところでございます。
  98. 武田一夫

    ○武田委員 もう一つ、お尋ねします。  先ほど畑地総合整備が一三・七%、非常におくれていることを指摘しましたが、いま田畑に自給承の非常に低い大豆や小麦あるいは飼料作物等々の転作を奨励しているわけです。非常に進んでいることも事実でありますが、やはり基盤整備がしっかりしていかないと増収、増反といういわゆる自給率の向上という問題にも水を差すわけでありますし、特に今回の予算の要求の中身をちょっと見てみますと、地域農業生産総合振興対策事業ですか、この中で麦・大豆等生産振興対策事業あるいは特産畑作物総合振興対策事業あるいはまた転作促進特別対策事業、いずれもいろいろと御苦労なさったのでしょうが、削減しているという事実ですね。農家の方々は来年度の二期の目標を提示されまして、一生懸命努力してすでに一〇五%を超していると伺っているわけでありますが、そういう努力にこうした対応というのが果たしてきちっと呼応していくものかどうか、私はどうも心配でならぬのでありますが、こういう点については、どういうふうにお考えでこのような方向で予算の要求がされているかということもあわせてお尋ねをしておきたいと思います。  やはり安心して、生産調整、減反に協力した皆さん方が、対応してくれる政府の姿勢というものに多く期待しているわけでありまして、二期対策というのは、この三年間が一番大切なときではないか。これがちょっとへまやりますと、いずれまた大変な非難を国民の多くから浴びることは間違いない。納税者の理解を得なければならない。これは大事な税金で賄われているだけに失敗のない二期対策に持っていっていただきたいということを思い、あわせて大臣の答弁をいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  99. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御指摘の二期対策が非常に重要であるということは、武田委員のおっしゃるとおりであると私も考えております。したがいまして、農林水産省といたしましても、この二期対策については、ことのほかその手法に努力を傾けておるところであります。何といっても食べてもらえるもの、足りないものからまずつくっていこう、こういうことであります。しかも、それが生産性の高い、定着の可能性の強いものをつくっていこうという指導のもとにやっておるわけでございます。いままでは千二百種類の補助金があったわけでありますが、これを一つ一つ農政局を通じ、そして本省の査定をすると、非常に事務的な繁雑さがあったわけであります。これをまとめて、その地域地域においてどれとどれとどれが自分たちは必要であるというものを含めて、一つの申請書にまとめて持ってくる。そして関係者がみんなで寄って査定をしていくということによってスピードも速めることができるし、また集団的な総合的なりっぱな指導もしていける、こういうことで千二百種類の補助金を六百、半分にまとめた、こういうことでございまして、この三年間の第二期生産調整と申しますか、水田利用再編対策というものの重要さを十分かみしめて、農家からの信用を失することのないような結果をあらわしていきたい。それがためには基盤整備と同時に品種の改良、新しい品種の造成ということに対しましても全力を挙げてつくり出す努力もいたしておることを申し添えてお答えといたします。
  100. 武田一夫

    ○武田委員 終わります。
  101. 田邉國男

    ○田邉委員長 これにて武田君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、休憩いたします。     午後一時六分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  102. 海部俊樹

    ○海部委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林保夫君。
  103. 林保夫

    ○林(保)委員 御苦労さまでございます。  総理がおられないので実は残念ではございますけれども、審議促進もしなければ行革の趣旨に沿わないと思います。そういった意味で、時間は短うございますけれども、率直にひとつお答えいただきたいと思います。  大臣は、私どもよりずっと御先輩な議員経歴を持っておられますが、いま国民の関心、実際に実地に歩いてみますと、いろいろな面で行革がこんな少なくていいのだろうか、と同時に、これで本当にきっちり期待に沿えるようにいけるのだろうか、こういう声がまさに津々浦々に充満している、こう申し上げてもいいかと思います。  私は、建設関係の御質問を申し上げるのでございますが、前提として、どうしても二つ三つお聞きしておかなければならぬことがございます。つきましては、大蔵大臣にひとつお答えいただきたいのでございますが、私もこの委員会をたびたび傍聴させてもらい、また議事録も調べてみました。その中でどうしてもやはり、臨調の皆さん方が期待しておられる、特に土光会長はそのことを厳しく言っているわけですが、減税に持っていくんだという大きな課題を土光さん、強調しておられます。それにもかかわらず、大臣の御答弁、いろいろお立場はありましょうけれども、なおやはり、衣の下からよろいではございませんが、増税があるんではないだろうかという、国民の目から見るとすっきりしないものが残っておりまして、きょう、ここに新聞の切り抜きも持ってきておりますけれども、「臨調が政府・自民に反発「増税志向やめよ」 首相に翻意強く促す」、こういったものまで今日出ておるような状況でございます。大臣は、その点について、これから増税をやらぬのだ、こういう御決意を答弁として御期待して御質問いたしたいと思います。お願いいたします。
  104. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私どもは、五十六年度予算に当たりまして、一兆四千億円弱の増税と、それから八千数百億円の歳出切り込みまたは繰り延べ、抑え込み、こういうようなものの併用によって予算を組みました。しかし、五十七年度に当たっては、二回続いて増税はできないというような総理の御方針もありまして、要するに歳出カットで財政再建をやろう、五十七年度予算は歳出をカットして、二兆七千億円の要調整額をそれによってやっていこう。(林(保)委員「二兆幾らですか」と呼ぶ)二兆七千七百億円の要調整額を増税によらないで、いわゆる歳出の抑え込みでやっていきたい、こういうことでございます。したがって、臨調答申による削減額が九千億円、それから臨調答申による公共画業の、要するに伸びるべきものを抑えるのだというものが八千五百億円、ゼロシーリングでいま言った以外のものを各省庁が自主的に削減してきたものが約六千億円、これが表に出ているわけです。  さらに問題は、来年度、五十七年度の中期展望の中には、ある程度人件費の上界というのは見込んでございますから、そこの部分を結局どこで抑え込んでいくか。仮に来年、五・二三%というようなあれで給与がことしよりもふえるとすれば、四千億円からのものがまだ残っておる。したがって、それを認めるとすれば、ゼロシーリングの中でさらに四千数百億円を削らなければならぬという問題が一つ、まだ残っております。これは人勧の扱いの問題と絡んでくる問題でございます。増税は、来年は考えておりません。
  105. 林保夫

    ○林(保)委員 皆さんお聞きのように、来年は増税はやらぬ、こういうことでございます。  それで、二兆七千億円の問題はちょっと後に譲りまして、行管庁長官に承りたいのでございますが、大変御努力の結果、今日こういう状態でやっておりますが、さて、この後をどうするのだ、このことが非常に大事な問題になろうかと思います。  基本答申、来年の夏ということでスケジュール表もちょうだいしておりますが、その間に、たとえば来年の三月ごろさらに中間答申が出るのかどうか。さらには、最後の再来年の三月までの間にどういうものを持ち出すか。今日まで、五十日国会で審議を通じまして、私どもも強く大臣にこれからの問題を追及したつもりでございます。そういった観点に立って、実はここにもまた新聞記事があるのでございますが、「中間答申出すか、出さぬか あせり隠せぬ臨調委員」、こういうことで、総理がきょうおられなくなった。その前にどういうスケジュールを立てられるか、このことに対しての関心が非常にあったと思うのです。それがどうやら、このあれによると、ないままで出られて、これから通常国会になりまして、予算審議の最中に余りがたがたするものは出さぬ方がいいんだという空気すらも一部から出ておるやの報告が実はここに出ておるのです。担当大臣として、どのようにこれからの臨調の答申を期待し、そしてまた行革に取り組まれますか、この点をひとつ承りたいと思います。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 さきに申し上げましたように、七月十日の第一次答申をいただいて、いま法案の御審議をお願いし、そのほかにおきましても、公務員あるいは地方公務員あるいは給与問題あるいは特殊法人の役員の削減等、いま審議あるいは遂行中でございます。  それで、来年の初夏のころに第二次答申を期待しておりますが、この第二次答申がいわば行革の脊梁山脈に当たるだろうと思います。ここで行革の基本的な体系、理念、あるいは中央省庁の統廃合問題、あるいは国と地方との領域の分担の見直し、あるいは官業と民業との分界点、あるいは公務員制度、あるいは三公社五現業等特殊法人、あるいは情報公開とか、そのほかいろいろな問題がいまありますが、その主要なものについて御答申を願ったらどうかと思っておりまして、これが大作業であります。そして五十八年の三月に臨調は終期を迎えますが、そこで、その後の取り扱うべき問題についていろいろ御審議願い、御答申を願う、そういう段取りでおりますが、随時答申をお願いするということもしております。  私としましては、でき得べくんば、国民皆様方が利便を受け、歓迎するというものは一日も早くやった方がいい、間に合えばできるだけ早く、どしどしやっていきたい、そう思っておりまして、来年度、五十七年度に実行すべきものを、できたら許認可でも間に合えばやりたい。主として許認可が一番早いと思いますが、許認可で国民の皆さんが歓迎するような、何点になりますか、できるだけしぼり上げてもらって、有効適切なものを取り上げてもらって、できましたら、来年度の政府の仕事も予算編成と同町にそういう方向を明示して、法案作成とかあるいは行政の実施とか、いろいろそういう準備をやってもらうことにしてみたい、これは私の個人的希望でございますが、そう思っております。
  107. 林保夫

    ○林(保)委員 重ねまして承りたいのでございますが、この部会の役割り、そのほかのものからこういうものをやりたいああいうものをやりたいという点がいろいろと出ております。  まず一点は、各省庁組織の見直しというのが出ております。それから、官業と民業の役割り分担、三公社五現業その他政府直営事業の経営形態のあり方及び事業の合理化、それから特殊法人の問題もございます。それを二番目といたしまして、それから、いまおっしゃったような許認可あるいは行政指導の問題についての合理化というのもございますが、この三つの点につきまして、官は大体いつの節でこの辺を期待しておられるか、伺っておきたいと思います。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま申し上げましたように、なたを要するようなものは来年の初夏ごろ答申をいただく。しかし、その前におきましても、間に合うものはその前の答申を期待している。それは何であるかといえば、許認可、報告、届け出、検査、検定、こういうもので、国民が著しく不便を感じていて、早くこれを処理しろ、そういうような御希望のものがあるとすればそれに取っかかって、そして五十七年度中にそれが有効に完結し得るように、でき得べくんば方向を決めていきたいと私は思っております。
  109. 林保夫

    ○林(保)委員 くどいようでございますが、そういたしますと、五十七年度中にも総仕上げを全部してしまうのだ、このように理解してよろしゅうございましょうか。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは、許認可あるいは報告、検査、検定、届け出、そういうものの一部で、間に合ったものについて早く断行したい、そういう意味であります。
  111. 林保夫

    ○林(保)委員 答申の最後の期日を、この日程表によりますと再来年の三月としておりますが、それでは、そこで最終的に答申だけは出てしまう、それから政府がどう対応するかはまた別だ、こういうことでございましょうか。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、来年の初夏あるいは五十八年三月に答申をいただきますが、これは非常に大がかりの内容になるだろうと思うのです。それを実行するについて、それは一年や二年でできるものとは限りません。恐らく内閣の数も幾つか要るのじゃないか、重さから見ましてそれぐらいのものではないか。したがって、そういう答申が出ました場合に、それをどういう順序で、どういう段取りで、どういうふうにやっていくかという政治的プログラムが必要になるだろうと思います。国民の皆さんも臨調の皆さんも、そういう答申が出てきた場合に、政府はどういう段取りでそれを処理するか見守るだろうと思いますから、政府の方としても、それに対応すべき中長期の計画を策定して、計画的にそれを断行し処理していくというそういうプログラムとスケジュール、シナリオを国民の皆さんにお見せすることが必要になるのではないかと思いますし、また、それを遂行していくために、臨調がその後どういう形態をとるか知りませんが、監視したりあるいは推進したりするために何らかの措置が必要であるかどうかという点も、臨調の討議さるべきアイテムになるであろうと思います。
  113. 林保夫

    ○林(保)委員 いまおっしゃった中長期の政府としてのプログラムといいますかスケジュール、これは大臣、いつごろおつくりになるおつもりでございましょうか。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは、代は見てのお帰りで、物が出てこなければ計画はできません。
  115. 林保夫

    ○林(保)委員 そこで、問題なのは、先ほど大蔵大臣がおっしゃいましたように、来年は増税しない、こういうことでございますが、いろいろな新聞報道そのほかから見まして、どうも、来年はやらぬけれどもその後は雲行きが怪しい、ひょっとしたらどしゃ降りになりはせぬだろうかという国民的な危惧が大変高まっております。  先に、長官、どうでございましょうか、長官のいまの腹づもりで、臨調といろいろやられておるあれからいたしまして、来年は増税なしといたしましても、再来年そのほかについてぜひ増税なしでやりたい、やるんだ、こういう御決意を聞かしていただくわけにはいかぬものでございましょうか。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前にも申し上げましたように、増税というものは、われわれの経験から見ても学者の説から見ましても、財政肥大化と乱費を招きやすいものでありまして、これは厳に戒めなければならぬところであります。  元来、行革ということと増税とは相入れない、相なじまない性格でありまして、行革を一生懸命やっているときに片一方で増税を考えるということは、邪道であると思っています。増税というものがもし万一将来必要であるという場合には、行革をやっている精神にかんがみて、もう絶体絶命のときでなければ増税なんということを考えてはならぬ、政治家としてそう思っております。
  117. 林保夫

    ○林(保)委員 大変理のあるお話でございまして、やはりそうなければならぬと思いますが、先ほど大蔵大臣がお話しになりました二兆七千七百億円、実はここに、一月三十日の閣議でございましたか、私も予算委員をやっておりますときにこれをちょうだいいたしまして、大臣、その後の資料というのは何も出てないのでございますか。この「財政の中期展望」、あるいは短期、あるいは長期の展望につきましての、二兆七千億円そのものの、ここに書かれております要調整額ですね、いろいろと議論を聞いておりますと、税収の見込みが変わってきたとかいろいろ客観条件も変わってきておりますが、その後のこの種の展望に類する試算は出しておられないのでございましょうか。
  118. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 出しておりません。
  119. 林保夫

    ○林(保)委員 行革国会をやる以上は、やはり財政の問題が出てまいりますので、出してほしかったとは思いますが、出てない、そういうことでございますと、やはりこの二兆七千七百億が基礎になると思います。  いろいろな御議論を通じて、大臣も先ほどお答えになっておられましたが、もう一度、確認のために要約させていただきます。  ゼロシーリングによる各省の削減額は六千億円、これでよろしゅうございますか。それから、臨調答申による公共投資削減額、八千五百億だったと思いましたが……。それから、公共投資を除く一括法案などの削減額九千億円でございますか。それでよろしゅうございましょうか。
  120. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 そのとおりでございます。
  121. 林保夫

    ○林(保)委員 そういたしますと、その数字が二兆三千五百億になって、差額が四千億程度になると思います。これについてはどのような胸算用を大臣しておられますか。
  122. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 それは、この概算要求には、明年度は人件費のアップなしという要求になっているわけです。しかしながら、中期展望の方は毎年度の伸び率を採用しておりますから、ある程度の人件費の伸びというものを含んでいるわけです。ですから、概算要求は人件費アップゼロで来ておりますから、その差額がそこへ出ている。仮に人事院勧告というものが採用されると仮定をした場合には、概算要求は四千億円ふえるわけですね。ところが、ふえればゼロシーリングは破れてしまいますから、それはゼロシーリングのいまの概算要求の中で、どこかの経費と入れかえにならなければならない。それでなければゼロシーリングにおさまらぬわけですから、四千億円ふえたのでは。ですから、いま出ている概算要求のどこかの経費をさらに落として、人件費と詰めかえるということをしてもらわなければならないという作業が残っております。
  123. 林保夫

    ○林(保)委員 すると、四千億円あるとかなりいけるなという実感でございますが、今度、これから五十七年度予算の編成に当たりまして、大変厳しいゼロシーリングというのが出ている一方で、昨日でございましたか、鈴木総理も入られまして第五回の総合安全保障関係閣僚会議が開かれて、この中で、予算で特別扱いをする五項目というのを決めておられるようでございます。それは、経済協力、エネルギー、科学技術、防衛、食糧だ、こういうことでございますが、これにつきまして大蔵大臣は、前から聖域扱いはないのだ、こういうことを主張し続けておられましたけれども、どの範囲でどのように扱われるつもりであるか、まず承りたいと思います。
  124. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 いま資料を取り寄せておりますが、ただいまお話があったように、外国との条約に基づく歳出化分のものとかこういうもの、「昭和五十七年度概算要求額については、上記の方針に従い、各所管につき、昭和五十六年度予算額に人件費に係る義務的経費の増及び各種年金についての前年度制度改正の平年度化増を加算した金額の範囲内にとどめる」「また、政府開発援助に必要な経費、石油税財源の「石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計」へ繰入れに必要な経費及び国際条約の実施に伴い必要とされる既国庫債務負担行為等の昭和五十七年度歳出化に係る経費についても、極力、上記金額の限度内で要求するよう努めるものとするが、これにより難い部分を生じた場合には、一部限度を超えて要求することもやむを得ない」ということを決めたわけであります。
  125. 林保夫

    ○林(保)委員 そのことの結果といたしまして、これまた大臣の腹づもりなんでございますが、どのような数字が出てくるのでございましょうか、ひょっとすると頭の痛い数字になるのではないかと思うのですが……。
  126. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 事務当局から説明をさせます。
  127. 西垣昭

    ○西垣政府委員 シーリング、つまり要求額の別枠の内訳でございますが、経済協力、ODAの関係が四百五十三億、それからエネルギー対策として石炭石油特別会計に繰り入れられますものが七百七十億、国際条約に基づきます国庫債務負担行為等、これが防衛と科学技術がございますが、合わせまして千五百三十三億、それから年金、恩給等の平年度化分が二千四百十五億、人件費が千九十八億ということでございます。
  128. 林保夫

    ○林(保)委員 これらは、来年度想定される予算規模に対して何%ぐらいに当たるものでございますか。
  129. 西垣昭

    ○西垣政府委員 今年度予算が約四十六兆八千億でございますから、それに対する六千二百六十八億ということでございまして、一・四、五%でございます。
  130. 林保夫

    ○林(保)委員 もう少し詰めたいのでございますが、時間がございませんので次に移らしていただきます。  先ほど大蔵大臣からもお話しになり、私も確認いたしました八千五百億円という公共事業費の削減でございますが、これについて、これはたしかまだ臨調の審議華やかなりしころに、建設省が出されましたゼロシーリングでいった場合の影響の試算がございます。それにつきまして、ポイントはもうすでに質問も出ておりましたけれども、GNPの〇・九%マイナスをかぶるのだということなどを含めまして、大変深刻な影響が出るということに建設省は見ておりましたが、このお考えに建設大臣、いまもお変わりないでございましょうか。変わった点があれば、どういう点があるか、お答えいただきたいと思います。
  131. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  ゼロシーリングによる公共事業に対する影響については、当然多少にかかわらずあるわけでございますが、私たちといたしましては、その影響を受けないように予算執行の面について十分な配慮を持って有効適切に執行して、御迷惑のかからないようにやるという考え方のもとで対処してまいる所存でございます。
  132. 林保夫

    ○林(保)委員 影響がないと言いましても、やはり前年度と同じ、五十六年度と五十七年度が同じといたしましても、物価上昇や賃金の上がりそのほかから見まして、同じ金額であれば、常識的であればやはり落ち込むのは間然だと思います。ここに私、資料を持っておりますが、ここでは、〇・九%という落ち込みははっきりと建設省の資料として挙がっておりますが、いまどのようにお考えですか。その点をひとつ実務的に、科学的にお答えいただきたい、このように期待して御質問しているわけです。
  133. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  数字的にはそのようなことに相なろうかと思いますが、それらの分のカバーとして、地方単独事業あるいはその他の予算組みでカバーすることによって、一応予算あるいは事業面については何とかいけるのではなかろうかというよりも、そのような心組みで対処するという考え方でいまおるわけでございます。
  134. 林保夫

    ○林(保)委員 そのようにできればいいのですけれども、数字と事業というものはなかなか、事実を反映いたしますので、私はむずかしいのじゃないかと思います。  また後の議論に譲りまして、それより先に、これは大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、これも大臣ごらんになったと思うのですが、新聞ではっきりと書いてあるわけです。「来年度の公共事業費 大蔵省 道路・大規模計画削る 四、五%減額の方針」こういうようなのが報道されておりますが、事実でしょうか、どうでしょうか。
  135. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 実は私もそれを見てびっくりしたのですが、私も実は知らない記事であります。
  136. 林保夫

    ○林(保)委員 本当に大臣、そうなんでございましょうか。あるいは大蔵省の事務当局内部でこういうことを考えている人があったのじゃないでしょうかね。実は私も新聞記者を三十年やっておりましたので、なかなかこういう報道を大新聞がトップに近いような形で掲げて出すということは、これはないのです。まあ大臣のお知りにならない範囲であったのじゃないだろうかという疑いがするのでございますが、事務当局、いかがですか。
  137. 西垣昭

    ○西垣政府委員 現在のような厳しい財政状況でございますので、公共事業につきましても抑制的にならざるを得ないとは存じますけれども、ああいった方針を決定したという事実はございません。いずれにいたしましても、五十七年度予算編成までの間に十分検討いたしまして、結論を出すべき問題でございます。
  138. 林保夫

    ○林(保)委員 そうすると、いま大臣と事務当局の御答弁を二つ合わせますと、こんなことはあり得ない、絶対削らぬ、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  139. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 目下のところはゼロシーリングということでございます。
  140. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣ちょっと、目下のところということだと、やはりまたこれは切り込む余地を持っておられる。その辺が、先ほどもきつくお尋ね申し上げましたように、臨調の委員の皆さん方が、大臣の御答弁はすっきりしておりますけれども、雰囲気からしてどうも増税にいくのじゃないかという疑いを持つ。また、先ほども申し上げましたように、GNPに〇・九%も響くだろう、私は、今度の公共事業に対するゼロシーリングはそれだけじゃ済まぬと思います。ただ、誤解せずに聞いていただきたいのは、私ども、ふやせふやせと言っておるのじゃないのです。削るべきものを削って、国の基本にかかわる問題についてはむしろやれというような主張も私は持ってもおります。大事なものはちゃんとやってもらいたい。  こういう視点から申しますと、これはやはり大臣、もうそろそろ来年のことは、お役所はそうでないかもしれませんけれども、みんな事業計画を立ててどうやろうかということで懸命にいまやっている最中でございます。その辺で私、御決定のないままかもしれませんけれども、まだ予算編成しておられませんので、あえて大臣の御決意だけでも聞いておきたい。本当に大変心配しております。ゼロシーリングだけでも心配しているのに、さらにまたどうも大蔵省は四、五%切り込むらしいと、すぐに私のところへ言うてまいりました。その辺はいかがでございましょうか。
  141. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは現在は、御承知の概算の要求でございますから、実は予算の規模それ自体が決定していないわけですね。なぜかと申しますと、歳入の見通しがわからぬわけです。来年の経済見通しがわかっていませんから、一応この中期展望というのは、いままでの惰性でくればこうなるという姿でございますからね。それを今回は抑え込んで、それでゼロシーリングにするということでいまやっておるわけでございますが、果たしてこっちのにらんだとおりの税収があのとおり入ってくるかどうか、あるいはそれ以上くるかどうか、これが実はいまではわからないわけです。毎年十二月になってから来年度の経済見通しをやるのですが、それでもちょいちょい違うわけでございますから、なるべくその時期に近い方がいい。そこで、それがわからないと予算の規模がわからないわけです。したがって、断定的に概算要求どおり認めるとか、あるいはそれをどれぐらい減らすかとか、税収がうんと入りそうだからそれ以上にもう少しふやすとかということは実は今後の問題でございますということを申し上げているのでありまして、仮にゼロシーリングでいくということになったとしても、人件費をどうするのかという大問題がございまして、人事院勧告というものの扱いが、歳入の見通しがわからぬために、私としては返事ができないでいるわけです。幾らにするにせよ、これが決まらぬと来年の予算に——ゼロだというのだったら来年の予算は組めますけれども、何%もふやすというのでしたらば、やはりそのふえた分だけは事前にわかるわけですから、当年度のアップ分じゃありませんで、前年にアップされたものですから、四月一日から乗っけなければならぬ。そうすると、収入がふえない限りは、予定どおり借金は減らすのですから、どこかの経費はその分だけ減らさなければならぬわけです。私が断定的なことを正確に現在は申し上げられないと言うのは、そういういろいろ複雑なまだ未解決の問題が残っておりますということを申し上げているわけでございます。
  142. 林保夫

    ○林(保)委員 まあ正確に言いますと、私は大臣のおっしゃられるとおりだと思います。また、さらに正確に言いますと、五十八年は一年たってみないとわからない、こういうことにもなると思います。そこで政府は、やはり政治の指導性で、このくらいはいきたい、これはやりたい——この中期展望でもいいのです。固定部分はこれなんだ、可変の部分があるんだ、あるいはA案、B案出されてもいいと思います。私は、この行革国会に一つの見通しが欲しかったと思うのです。  それで、これを基礎にいたしましてもなおあえて承りたいのでございますが、大臣のいまの御感覚で五十七年度の税収、いま税収を問題にされたからあえて聞くのでございますが、これは三十六兆九千九百億ですか、この中期展望に出ております。それを、この間からの御答弁そのほかを聞いてみますと、これは五十七年度ですね。名目で一一・七、弾性値一・二ということでいけるのじゃないだろうかというようなお話もこの席であったやに議事録でも見ました。大臣のお考えは、それで今日まあ大体いけるんだ、ひょっとすると十二月にならぬとわからぬのだというようなことも言われるかもしれませんけれども、どんな腹づもりでございましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  143. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 いまのところは経済見通しができておりませんから、一応これを目安にしておるわけでございます。十二月になってから一遍洗い直し、経企庁が経済見通しを立てますからそれによって税収等は割り出す、例年そうやっておるわけでございます。
  144. 林保夫

    ○林(保)委員 それを期待いたしまして、次へ移りたいと思います。  今度の行革関連特例法案で、私ども建設の関係から申し上げますと、特定地域にかかわる国の負担、補助金の特例に関する金融財政措置をもっともっと明確にしていただきたいというのが一つの点でございます。  それからもう一つは、住宅金融公庫の貸付金利をぜひひとつ据え置いていただきたい、このような希望を強く持っておりますが、重ねまして、前にも質問が出ておりましたので恐縮ですけれども、住宅金融公庫の貸付金利のいわゆる弾力化という言葉が出ていたと思います。しかも、それに社会的経済的でしたか、経済的社会的でしたか、それから財政事情という三つのファクターで何か決めるように出ておりました。  建設大臣、これはもういままでの議論を通じまして、現在の金利水準を固定していただけると理解してよろしゅうございましょうか。
  145. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  いわく言いがたしで、私の立場からですと大変明確にできないわけでございますが、ともあれ弾力化という問題と臨調の答申、それからもろもろの案件を持ちながら、政令を決める段階において先生の御指摘のような形を踏まえて、十分財政当局と詰めながら検討させていただきたい、このように考えるところでございます。
  146. 林保夫

    ○林(保)委員 そういたしますと、いわく言いがたしたけれども、私どもの方の主張を聞き入れていただく、このように理解していいような御答弁に聞きましたが、大蔵大臣、この点いかがでございましょうか。ぜひひとつ据え置きでお願いしたい。
  147. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 具体的な政令をつくるそのときに、社会的経済的必要性と財政負担の調和を十分配慮をして決めてまいるつもりでございます。
  148. 林保夫

    ○林(保)委員 それからもう一点大蔵大臣に聞いておきたいのですが、これはまた三年過ぎたらどういうことになるのでございましょうか。もとのもくあみということでございましょうか、それとも三年過ぎたらもうこれは弾力化も何もなくて、固定するというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  149. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは時限立法でございますから、法律どおりになる、もとへ戻ると思っております。
  150. 林保夫

    ○林(保)委員 そういたしますと、もう変わらぬでずっと同じだ、五・五でいけるんだ、こういうことでございますね。
  151. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 目下そういうことでございます。
  152. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございました。  続きまして、こういういろいろな情勢から、ひとつまず建設大臣にお聞きしたいのでございますが、いろいろな仕事を公共事業として建設省は持っております。お聞きしたいのは、五カ年計画ということでいろいろございますけれども、今度のゼロシーリングの予算、まだ決まってないようでございますけれども、決まりましてどういう影響が出るかについて、大臣の御見解を承りたいと思います。
  153. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 五カ年計画は、下水道、住宅、海岸、冷水はまた来年から始まるわけでございますが、公園、五本あったかと思いますが、まだ計画の当初年の半ば、六カ月というような、まだ当初でございますので、五カ年計画についての問題についでは、これから計画計画としてそれに沿ってやるように努力をするということでございます。いままでの状況ですと多少懸念される向きもあろうと思いますが、まあ五カ年計画の中でございますので、そうした推移を見ながら、計画達成するように努力する所存でございます。
  154. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣の御決意はそれなりで結構だと思いますが、いま、この道路整備事業一つとりましても、途中からこうなりますと予定が狂いますね、いろいろと。伸び率がもうすでになくなっているわけですから。治水五カ年計画にしましても、下水道整備事業にいたしましても、都市公園等整備五カ年計画にしましても、また第四期の住宅建設五カ年計画にいたしましても、全部もろにかぶってくる。きやせぬだろうかというのじゃなくて、かぶってくると思うわけです。これらをこのままではやはり済まされないと思います、今度の臨時国会が終わり、通常国会では。まさに私どもはこれからこの問題を勉強もし、また一緒に考えながら、どのような国づくりをやるかということもやっていかなければならぬ立場にあろうかと思いますが、大臣はどのような時期からこの問題を見直しされながら、実地に会いながら、しかもなお国民の要請にこたえられるようにおやりになるか、その辺のところをもう一度ひとつ承っておきたいと思います。
  155. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  五カ年計画でございますので、当初年において相当の影響が考えられますが、計画計画として実行しなければなりませんし、その関係の影響については、経企庁あるいは財政当局等とよく相談いたしまして、一応その都度微調整といいますか、フォローアップしながら、今後の中長期の問題と合わせてやるというようなことになっておりますので、年度年度においてよく経済バックグラウンドあるいは財政バック等々を勘案しながら検討をしつつ、五カ年計画は五カ年計画として遂行し得るような対応をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  156. 林保夫

    ○林(保)委員 早目の対応をぜひその辺はしていただかなければならぬと思いますが、時間もございませんので、次に移りたいと思います。  これまた新聞で恐縮でございますけれども、先般「公正取引委員会の立ち入り検査で、静岡県内の四つの地区建設業団体が官公庁発注工事入札をめぐって常習的な談合をしていた実態がさきに、明らかになったが、これとは別に、中央の大手建設会社の支店、営業所を中心に」木曜会をつくって、これまた同じようなことをやっておったということも報道されております。  これにつきまして、警察、公取の方、事務的で結構ですが、どういう実態になっておるか、御報告いただきたいと思います。
  157. 伊従寛

    伊従政府委員 お答えいたします。  本年九月二十八日、二十九日の両日、官公庁の発注に係る建築土木工事の入札について、あらかじめ受注予定者の決定をし、これを会員に実施させている疑いで、静岡建設業協会、清水建設業協会、沼津建設業協会ら五団体とこれらの会員三十三社の、合計三十八カ所に立入検査を行って、現在審査中でございます。関係法条は、独占禁止法第八条第一項第一号でございます。
  158. 林保夫

    ○林(保)委員 この問題をお聞きいたしますのも、国民の税金でいろいろな事業をやるのですから、それなりの効率を上げていかなければならぬ、質の問題で質問しているわけでございますが、そういう視点に立ちましてひとつお答えをいただきたいのでございますが、従来この種の談合について、公取あるいは警察そのほかで問題になった事例がございますでしょうかどうでしょうか。
  159. 伊従寛

    伊従政府委員 昭和五十二年以降の最近の五年間で、入札談合事件は合計しまして二十件ございます。そのうち十件が公共事業関係の入札談合でございます。ただ、建設業協会の事件は、先ほど御紹介しました静岡県の入札談合事件が初めてでございます。
  160. 林保夫

    ○林(保)委員 その事件につきまして資料を要求してよろしゅうございますか。後で、名前だけで結構ですから、日付と、どういうことであったかということを、簡単で、ひとつお願いしたいと思います。委員長お願いいたします。  先へ進みたいと思いますが、公共事業の問題は、幾らこれを厳正にやってもやり過ぎることはないし、また、これこそまさに公正にやらなければならぬということでございますが、建設省関係の公共事業で、現在どのような発注及び入札方式をとっておられますか。ちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
  161. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 建設省関係の公共事業につきましては、原則といたしまして指名競争入札で行っております。ただし、道路の維持修繕工事等小規模のものにつきましては、随意契約によって行う場合がございます。  なお、直轄事業で申しますと、昨年度の例でございますが、全体で一万九千三百六十三件ぐらいございまして、そのうち指名で行っておるものが一万五千九百六十六件、随契が三千三百九十七件、約二割が随契ということになっておりまして、その他は指名でございます。金額で申しますと大体一割が随契という形になっております。
  162. 林保夫

    ○林(保)委員 今回の事件といいますか、談合の問題に関しまして、建設大臣が、何か談合はやむを得ないというような御発言をされたのでございますか。その辺について大臣のお考えをこの機会にはっきりと聞かしていただきたいと思います。
  163. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  談合はいけません。従来から厳しくこの点につきましては指導いたしておるところでございます。ただ、先ほど公共事業につきまして御理解ある御質問がございましたけれども、あのとき公共事業はこういうような状況であるということ、東北あるいは四国、九州のように非常に零細企業の方々が困っておるというような状況から、談合の起こり得るバックについて一般的な話をしたわけで、それが誤解を受けたような結果になる可能性がありましたので、こういうときでございましたので取り消したわけでございます。  従来から公共事業、これはもう申し上げるまでもなく国民のとうとい税金で事業をするわけでございますので、日ごろから厳しく指導いたし、いやしくも法令違反等があった場合は、いままでもそうでありますが、厳罰主義で臨むというような考え方に変わりはないところでございます。
  164. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣は直ちに新聞で撤回されたということでございますからこれ以上聞きませんけれども、大臣は先ほど、談合などはやらないようにということでございますか。厳重に監督指導されておったということでございますが、それに関する建設業界に対する建設省あるいは政府、さらにはどこでも結構でございますが、通達があったら見せていただきたいと思います。読み上げるだけで結構です。     〔海部委員長代理退席、小渕(恵)委員長     代理着席〕
  165. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  談合等につきましては、特に申すまでもなく、これはもう出然行ってはならないことでございますので、関係法令に従って、関係法令に抵触しないように実施するようにという指導は行っておりますが、特にこういった問題は当然のことといたしまして特段の通達等は出しておりません。
  166. 林保夫

    ○林(保)委員 建設省のそれは私はちょっとおかしいと思うのです。これはもう氷山の一角だというのが新聞報道にもございますし、それからわれわれの社会人の常識でもございますし、専門業者の間でもそういう問題がずいぶん、過去何十回となく提起されておると思います。  それについて、刑法にこうあるから、あるいは公取初め立ち入ったからいいのだということでは、私は公共事業を扱う責任を持っておる建設省の務めは務まらぬのじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  167. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  これはもう厳然と法令で禁止されたことでございますので、このことにつきましては、常識的な問題でございますのであえて通達等でやる必要もなし、そういうような結果から具体的な通達をしておらなかったということであろうかと思います。  事案については、一応口頭で、こういう例があったので注意するようにというようなことは過去何回もやっておるようでございますが、今度の場合は特に皆さん方の御注目を受け、大変遺憾な仕儀になるわけでございます。公取の結果によって法令違反というものが現実ありますれば、そうした措置もとるべき事件ではなかろうか、このように考えまして、御指摘の向きにつきましては、関係者にもよく連絡をとりながら処理をさせていただきたいと思います。
  168. 林保夫

    ○林(保)委員 公取さんは今度の事件を扱われましてどういう御印象を持っておられますか。行政的に何ら手を打たなくていいというものじゃないと私は思いますけれども、御見解を承りたいと思います。
  169. 伊従寛

    伊従政府委員 お答えいたします。  現在、静岡県の建設業協会の問題につきましては審査中でございますので、事実が明らかになった時点でないと何も言うことはできませんが、ほかの件について言いますと、談合入札がございまして、審査をいたしまして、独占禁止法に違反するという場合には、これは談合入札の場合には、その後で課徴金を徴収することにしております。現在までの官公庁の談合入札につきまして課徴金を取りましたのは約十三億円弱に上っております。
  170. 林保夫

    ○林(保)委員 建設大臣は、先ほどいろいろ連絡をとって指導をやると言われましたけれども、これに関して何か通達か、はっきり出されるような御意思はございませんでしょうか。
  171. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  現在調査中でございますので、はっきりと法令違反ということが明確になりましたら当然審決を受けるわけで、そうした状況を踏まえて、今後こういう問題については再度起こらないように、もし必要——まあその時点では必要があろうか患いますが、通達等にかえて連絡するということも一つの手段であろうかと思いますが、検討させていただきます。
  172. 林保夫

    ○林(保)委員 では、大臣にひとつしっかりそういうことを文書なり何なりで通達をするように御期待申し上げたいと思います。  きょうはもう一つ、いわゆる建設業界で、公共事業を非常に質の高いものにしていかなければならぬ、金を投じただけのりっぱな小学校ができ、あるいは道路ができ、あるいは河川の改修もできるようにしなければならないのに、どうも多重下請があって途中で抜けているのではないかという疑いが、これは国民立場からいたしますと抜け切れてないという問題がございます。時間がございませんので、これらは建設委員会においてまた改めてひとつじっくりと勉強させていただきたいと思いますが、どうかひとつその辺を配慮いたしまして、行管庁長官、こういう問題もいろいろあるのでございますが、臨調その他でこれからどういうふうに取り細まれますか。まさにその体質を改善して、国民期待にこたえるような公共事業を遂行していくという視点で、ひとつ中曽根長官にこれからのお考え、御方針を承っておきたいと思います。
  173. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 談合は絶対いけません。
  174. 林保夫

    ○林(保)委員 多重下請はいかがでしょうか。元請があって、その下に子、孫、ひこ孫ですか、あるいはその下にツル、カメ、ドンガメくらいまでいま多重下請になっているということも言われております。この辺をきっちりやるということが、まさに経費の効率的な使用、それは言うまでもございませんが、ひとつそういう点も含めてこれからも検討していただきたい。
  175. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 下請関係というものはやはり日本にある一つの独特のやり方で、これは存在を認めざるを得ないと思います。ただその間に、契約上公正取引委員会から指弾されるようなことがあったり、あるいは事実上力を用いて下請の方が劣勢な立場に立つようなことがあったり、あるいは責任関係が不明確であったり、そういうようなことがあってはならないと思います。こいねがわくは、大企業の方で下請をさらに近代化し、そして力をつける方向に積極的に協力してやるのが望ましいと思います。
  176. 林保夫

    ○林(保)委員 確かに下請は日本の特質、またいい面もあってのものではございますけれども、これは民間資金による民間企業の多重下請と違うという点ですね。この点だけは当然お考えいただきたいと思います。国家資金を使っての事業をやる場合には、この点はひとつはっきりさせていただいて、本当にこれからの国民期待に沿うような学校が建ち、沿うような橋ができ、沿うような道路ができるようにひとつぜひやっていただきたいことを、もう言うまでもありませんが御要望申し上げておきたいと思います。  それでは、実はこれから土地税綱の問題、いろいろあったのでございますが、いろいろとお聞かせいただきましたので、最後に一つ、これから行革時代におけるという問題、長いトンネルかもしれません。しかし、その間において何でもかんでも切れということではなくて、社会資本の充実については、私なりに諸外国を見、そしてまた地方の格差があるだけに、これはやはり大蔵大臣にも建設大臣にも考えていただかなければならぬと思います。  大蔵大臣、その点で社会資本の充実をどのように位置づけられますか。さっきも御質問申し上げましたように、五項目の中には残念ながらこれは入っておりません。それでことしはやむを得ないかもしれません。しかしなお、どういうお考えでこれからいわゆる地方に対し、そしてまた福祉、環境に対してやっていかれるかということもこれが基本になると思いますので、一言その点を承っておきたいと思います。
  177. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 社会資本の充実は重要なことでございまして、われわれとしても予算の許す限り均衡のとれた社会資本の充実に今後も努力をするつもりでございます。
  178. 林保夫

    ○林(保)委員 建設大臣に最後にお願いしたいのでございますが、大蔵大臣も社会資本の充実についてはちゃんと考える、こういうことでございました。建設大臣は、ひとつ談合やむを得ないというようなことは言われないと同時に、先ほどのお話のような線に沿って、多重下請の問題も含めてきっちりとやる、この御決意を最後に承って、私は質問を終わりたいと思います。
  179. 斉藤滋与史

    ○斉藤国務大臣 お答えいたします。  公共事業につきまして御理解ある御質疑をいただきましてありがとうございました。御案内のように、日本の社会資本、下水道であれ、道路であれ、公園であれ、住宅であれ、ほとんどこれはいわゆる欧米先進国から全く劣っておるところでございます。したがいまして、こういう行財政の厳しい折ではありますけれども、計画に沿って、財政当局の御理解をいただきながら、諸先生方の御指導を仰ぎながら、計画目的達成のために努力いたしたい、このように考えているところでございます。ありがとうございました。
  180. 林保夫

    ○林(保)委員 終わります。ありがとうございました。
  181. 小渕恵三

    ○小渕(恵)委員長代理 これにて林君の質疑は終了いたしました。  山原健二郎君。
  182. 山原健二郎

    ○山原委員 総務長官おいででございますか。
  183. 小渕恵三

    ○小渕(恵)委員長代理 ちょっと待ってください。いますぐ来ます。——入りました。
  184. 山原健二郎

    ○山原委員 総務長官、人事院勧告と仲裁裁定について、最初に総務長官の決意を一言伺いたいのです。  人事院勧告の実施は財源不足でやれないなどと言われておりますが、それはまさにつくられた財源不足であると私は思っております。仲裁裁定も人事院勧告もいずれも労働基本権の代償であり、政府みずからも、ILOにおきましても国際的にも主張してきたところであります。人事院勧告対象者の非現業一般職はいまだに団体交渉権を剥奪されたままであります。仲裁裁定と人事院勧告による給与改定は値切ることなく速やかに実施すべきでありますが、給与担当大臣としての総務長官の決意を最初に伺いたいのであります。
  185. 中山太郎

    ○中山国務大臣 お答えを申し上げます。  人事院勧告に対する総務長官の考え方、決意というものに対するお尋ねでございますが、給与担当の大臣といたしましては、この八月二十五日の行財政改革に関する当面の方針という閣議決定、あるいはまた財政事情、あるいはまたこの十年間の安定した労使関係を維持していくという一つの基盤に立ちまして、この十年間日本の安定した労使関係というものが社会の発展に大きな貢献をしてきたという現実も踏まえまして、誠意を持って今後とも給与関係閣僚会議で努力してまいりたい、このように考えております。
  186. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題は時間をとる余裕はありませんが、とにかくいま誠意を持って善処していくというお話でございますけれども、速やかに実施をしていくという決意を持って臨んでいただきたいと思います。  次に、いわゆる四十人学級問題について、最初に大蔵大臣、いままでのこの委員会の答弁の中でも、計画最終年度の六十六年度という目標は変えないと御答弁をなさっておられますが、これは間違いございませんか。
  187. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 間違いございません。
  188. 山原健二郎

    ○山原委員 文部大臣、その点はいかがでしょうか。
  189. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま大蔵大臣から申し上げたとおりでございます。
  190. 山原健二郎

    ○山原委員 それで、最終年度を六十六年と言っているわけでございますが、いままで過去二年間にわたりまして論議をしましたこの問題についての最終年度というのは、確かに中学校は六十六年度、すなわち十二年間で解決をするということでありました。しかし、それには前提があります。と申しますのは、昭和五十五年度から開始をしまして、五十五、五十六、五十七年、この三年間は財政事情を考慮するということで、いわゆる生徒減と校舎を建てる必要のないところだけをやる、しかし、五十八年度からは生徒減が出てくるので、五十八年度から全面的にいわゆる学年進行方式でやる。すなわち、五十八年が小学校一年生、五十八、五十九、六十、六十一、六十二、六十三年で小学校は完了をする、そして六十四年、六十五年、六十六年で中学校が完了する、これが計画目標であったわけでありますが、この六十六年度の計画目標は変えないということは、小学校は六十三年で完了するという意味であるかどうか、明らかにしていただきたいのであります。
  191. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、昭和六十六年度までにすべての小中学校で四十人学級を実現するということについては何ら変更はございません。
  192. 山原健二郎

    ○山原委員 小学校は六十三年で完了するというのがいままでの計画目標であったではありませんか。そして、全国の父母やあるいは教師を含めましてそのことに期待をかけてきたことは間違いありません。これが、では三年間延びるわけですね。いまの文部大臣の御答弁では三年延期をする、小学校に関しては三年延期をするということになりますと、これは重大な問題であります。
  193. 三角哲生

    ○三角政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、六十六年度までには当初の計画規模を達成しよう、こういうことでございまして、三年延びるかどうかにつきましては、これは今後の問題でございます。まあ最もすんなりいけば、財政再建期間終了の翌年である六十年度から何らかの措置を講ずる、こういうことになるわけでございますが、それにいたしましても、これは今後の課題でございます。
  194. 山原健二郎

    ○山原委員 あれだけこの国会におきまして、実に二年間にわたって、しかも五十四年度から実施しなければならないのを、五十四年度はついに五カ年計画を立てることができない、国会の議決は、この五年間に次の五カ年計画について決定をしなさいということを決定をしているわけでありますけれども、それができないで五十四年度はあっさりいわばサボってしまって、文部省は全国にわたって調査をしますということで、一年空白を置いて、五十五年度から始まったわけです。そして文部省自体が九年間でやる、すなわち小学校六年間、一年、二年、三年、四年、五年、六年とやって、あと七年、八年、九年でやるという案を文部省は最初持っておられた。ところが、財政事情関係で十二年にしたわけですが、小学校は六十三年に終わるというのが、これは計画なんです。いまの文部大臣の御答弁によりまして、また初中局長の御答弁によりまして、結局これは三年間延期をするという可能性を持ったということが明らかになったわけでありますが、これは国民に対する大きなペテンではないでしょうか。私は六十六年の計画を変更しないというから、小学校を含めていままでの計画どおりやると思っておりましたが、中学校はそれでいいでしょう、あなた方の計画から言うならば。小学校は少なくとも三年間延期をしたということは、これは一千百万の小学校の子供たちに対する大変な問題だというふうに考えますが、この点はもう一回文部大臣のお考えを伺っておきたいのであります。
  195. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 私がお答え申し上げたのは、御案内のとおり六十六年をもって小中学校の計画を完了するということでございます。先生のいまお話しの小学校自体の計画内容等々につきまして、ただいま政府委員からお答えを申し上げたとおりに、その間のいろいろな環境の変化というものも含めまして、当初の計画どおりにできるだけいたしたいということにつきましては変わりはございませんが、今回のこの特例措置といったようなもので、いろいろなそこにはひずみと申しますか、余裕が出てくることも当然であろうと思います。  なお、詳細のことにつきましては担当の政府委員からお答えいたします。
  196. 山原健二郎

    ○山原委員 担当の政府委員の答弁要りません。明らかに文部省は計画を修正したと言わざるを得ません。  これは国民にとっては重大な問題なのですね。私は、実は去年の一月からことしの七月までに起こりました校内暴力問題を調査してみました。そうしますと、大都市圏の場合でありますけれども、中学校の場合ですが、何と八割以上が学級生徒数四十一人以上のところで学校内暴力問題が起こっております、本年七月までの間でありますけれども。そしてこれは東京二十一校、大阪十三校、神奈川十校、兵庫四校、愛知三校にわたって調査をしたわけでありますけれども、五十一校でございますが、四十一人以上の学校が四十二校、八二・四%、あとの九校は三十六人から四十人学級でありまして、三十五人学級には校内暴力は起こっておらないという事実が明らかになってまいりました。こういったことを考えましても、四十人学級を実現するということは父母の願いであり、今日の校内暴力あるいは非行問題あるいは落ちこぼれと言われるような問題を解決するためにはどうしても必要だ、ということであれだけの国民運動が起こりまして、そして五年間でやるべきである、六年間でやるべきである、文部省は九年間でやると言っておったのを十二年間に延ばした。そしてその中の前提には、小学校は九年間でやる、その決着をつけるのは昭和六十三年であるというのが、いまの御答弁で三年間延期をする可能性を持ってきたということは、明らかに文部省が今日まで言ってきたことの計画の修正であるということを言わざるを得ません。これは国民的批判を受けるに違いありません。このことをいま警告をいたしておきたいと思います。  次に、主任手当の問題と四十人学級問題について、この委員会でもしばしば討議をされました。主任手当はすでに昭和五十二年に開始をされましてから三百八十一億円費やされております。しかし、多くの教師たちによってこれは拒否され、それは教師たちの自主性によって別の方向に、たとえば生徒の教育のために使われるなどということが起こっているわけでありますが、この主任手当の問題については手をつけないのですね。一方、これだけの国民的要求のあるところの四十人学級については手をつけて、これから三年間ストップするということが出てきたわけでありますが、このような政策の選択というのはどんな基準で行われているのでありますか、中曽根行管庁長官に伺いたいのであります。
  197. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 主任制度の問題は、主任制度というものが、校長を中心といたしました全教職員が一致して協力して実現する学校の運営の体制でございます。いわゆる主任手当というものは、教務主任等々の主任が、学校において各種の教育活動をいたすにつきましての連絡調整上、指導、助言に当たりますものでありまして、非常に重要なものと考えておりますので、われわれといたしましては、この制度を堅持してまいりたい、かように考えております。
  198. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、主任手当の問題も政府の政策だとこの間大蔵大臣は言われました。四十人学級問題も政府の政策なんですよね、法律によって決めているんですから。それを行管は、今度の行政改革は等しく痛みを分けると言っているわけでしょう。その痛みを分けるというときに、こっちの方については、しかも先生方の批判もある、金額だって巨額だ、今後十年間に何百億になるわけですね。これには一切手もつけない、しかし四十人学級について手をつける、こういうことをどういう選択基準によって行われるのか。言うならば政府の好ききらいによってやるというのだったら、これは行政改革じゃないですよ。しかも口では痛みを平等に分けると言う。こういう点から考えましてどうしても納得がいかない。この点は簡明に中曽根長官から伺いたい。
  199. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点が自民党あるいは自民党からできている政府と、山原さんの方の政党との見解の相違があるのではないかと思います。端的に申し上げれば、入れる学校、入れる生徒の数の方を重視するか、あるいは先生の方あるいは学校の管理面の方に重点を置くか、そういう選択の場合に、自民党並びにその政府は学校の先生の部分をより重視していく。しかし、生徒あるいはその生徒の数という問題も決して無視しているのではないので、既定計画どおり実行はいたします、十二年のうちにそれは実行いたします、そういう大枠は崩さないで、その中でそういう選択をした、こういうことではないかと思います。
  200. 山原健二郎

    ○山原委員 いや、納得しませんね。痛みを平等に分けるなんということを言うのはやめたらいいんですよね。この間も湯山さんの質問に対して、五十七億円が別途に使用されておるというお話が主任手当の問題では出ましたけれども、来年度打ち切る四十人学級の経費というのはほかのものも含めまして五十六億円ですね。そんなことを考えますと、明らかに行政改革というのは政治的意図によってつまみ分けをする、食い分けをする。だから平等だなんということを言ってほしくないんですよ。そういう点がどうしても今度の行政改革の中で明らかにならないわけでございまして、私は、国民の皆さんはこれでは納得しないと思います。  ところが、こういうやり方によりまして、たとえば一例だけ挙げますけれども、静岡県の伊東市です。伊東市は五十五年度に三校、四十人学級に一年生から踏み込んでいきました。それから去年五十六年度に三校、五校が四十人学級にいま進んでいっております。ところが来年度、五十七年度に大池小学校というのが条件を備えるのです。ところがその大池小学校には今度の措置によりまして四十人学級は適用されません。そうしますと、大池小学校が四十人学級になりますのは五年先なんです。五年間、同一行政区において、同一自治体においての差別が出てくる。地方自治法十条二項、どうですか自治大臣、これは許されることですか。
  201. 安孫子藤吉

    ○安孫子国務大臣 等しいような役務を受けるという規定でございますけれども、しかし実際問題といたしまして、学校の場合なんかはいろいろ差があるわけです。それで、こういうような問題、しかも定数の問題は基本的に変えたのじゃないのでありまして、実現の期間が若干延びるというようなことでございまするので、十条二項の違反にはならない、十条二項の運用におきまして許容される範囲のものであると私どもは解釈いたしております。
  202. 山原健二郎

    ○山原委員 私も教育に携わっていますけれども、これは本当に異例ずくめですね。この間、自然増に対して五百人減、これも初めてのことです。そんなことは戦前、戦争の苛烈なときにあっただけで、戦後ないのです。今度のように一つの自治体の中で四十人学級にいくところと五年間も待たされるところが出てくるなんということは、地方自治法違反だとは自治大臣はおっしゃらなかったけれども、教育の面から見るならば、こんなこと明らかに異例中の異例です。こういう矛盾が出てくるわけですね。だから、今度のこの問題については本当に慎重に対処していかなければならないということを申し上げておきたいと思うのです。どうしても納得いきません。しかも憲法は教育の機会均等、こういうことを言っているのですね。これは憲法の規定からいっても抵触するということすら言える事態が生まれてまいりました。これはいかにも残念なことであるということを指摘をいたしておきたいのであります。  次に、委員長、ちょっとお許しをいただきまして、文部大臣に一つの写真を見せたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  203. 小渕恵三

    ○小渕(恵)委員長代理 結構です。
  204. 山原健二郎

    ○山原委員 文部大臣、ごらんになって、あの写真、どんな感想を持ちますか。
  205. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま拝見いたしましたお写真は、イチョウの木か桜の木か存じませんが、木の下で女同士の若い方が手を取り合って歩いていらっしゃる、そういうまことになごやかな写真であります。
  206. 山原健二郎

    ○山原委員 文部大臣、レスビアンという言葉を知っておりますか。
  207. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 よく雑誌などで使われておる言葉でございますが、余り私は興味はございませんので……。
  208. 山原健二郎

    ○山原委員 私も知らなかったのですが、中曽根行管庁長官、レスビアンの語源はどこか御存じでしょうか。
  209. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 不敏にしてよく知りません。
  210. 山原健二郎

    ○山原委員 私も勉強したのですが、これは何か同性愛の女のことだそうです。ギリシャの官能的な性格の住民の島レスボスから来たのがレスビアンという言葉であるということ、これは辞書を引きましてわかりましたが、この写真に対して、教科書検定官はこういうふうな判定を下しております。女の子が三人手を組み合っているのは不自然でレスビアンのようだ、訂正するという検定がなされまして、その写真が変わりましたのがこれなんです。これは男の生徒と女の生徒が林に向かって駆け足をしておるという写真でありますけれども、この写真の評価を私は申し上げているわけではありませんが、文部大臣、いまだれが見てもなごやかな風景だと言いましたね。でも、それがなごやかであるとかなんとかということは別にして、これまで恣意的な主観的な検定が行われておるという事実なのです。  それで、私ども長期にわたって調査をしました。去年から自民党の諸君や筑波大学グループあるいは財界からの教科書に対する批判が出ております。その批判が来年度から使われますところの高等学校の「現代社会」の教科書にどのように反映をしておるかということを調べました。これは教科書会社七社、七冊にわたって調査をしたわけでありますが、膨大なものでありますから、皆さんにお配りしましたのは、その中の要約をお配りしたわけでございます。  たとえば財界の方が社会保障につきまして、今後の福祉の推進のためには高負担が必要であることを明記しているのは三社しかないと批判をいたしておりますが、それに対して二宮書店の場合は、ヨーロッパに比べ社会保障費が低いことについてこう書いております。「高福祉を得るためには高負担に耐えなければならない」という一文を検定後に挿入する。というふうに次々と変わるわけですね。  たとえばロッキード問題は姿を消しております。また、原発の記述は変えられております。あるいは韓国の問題について言いますならば、金芝河の写真はだめだ、金大中ならばよしというふうな検定がなされまして、金芝河の写真が消えまして金大中の写真が入るという状態が出ておるわけです。  各社にわたりまして、たとえば一冊の本で、もう六二%とか七七%の記述が削除され、全面変更されるというような事態が起こっているわけであります。これは本当に異常なことであります。  検定基準があるわけですね。そして、いままでの杉本判決でも高津判決でも畔上判決にしましても、検定官の恣意は許されない、独断主義に陥ってはならないということが判例の中でも明確に出ておるわけでございますが、こういう点から考えまして、今日行われておる検定がまさに検閲の方向に進みっつあるのではないかという心配をいたしておるのでありますが、文部大臣はこれについてどうお考えになりますか。
  211. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 ただいま御指摘の教科書の検定の問題でございますが、教科書の記述があくまでも客観的かつ公正なものとなりまして、かつ適切な教育的配慮が施されたものとなりますように努力をいたしておる次第でございます。文部省におきましては、学習指導要領、検出基準に照らしまして、あくまでも中正な立場から、教育的に適切な教科書が生まれますよう、検定に最善の努力を尽くしておるような次第でございます。
  212. 山原健二郎

    ○山原委員 杉本判決にもありますように、いま文部大臣おっしゃったように、実際厳正な立場をとるということ、いやしくも恣意が動いてはいけない、杉本判決に至っては誤記、誤植の措置に限るとまで言われておるわけでありまして、今日まで出ました裁判の判定を見ましても、恣意を許されない、これはもう明らかなことでございまして、この点では、検定の過程を公開するというような措置が講ぜられなければならないと思っております。  ちなみに私は、今回図書館に参りまして、西ドイツ、アメリカ、イギリスの教科書、高等学校の教科書を見てきました。実に自由なんですね。たとえば西ドイツの場合ですが、原爆の問題については広島の項を一項起こしまして、キノコ雲の大きな写真を載せ、広島の焼け野が原を載せ、また広島で被爆した人の写真が次々と出てくるわけであります。またアメリカにしましてもかなり自由でありまして、高等学校教科書の中にウォーターゲート事件が一冊まるまる出ているのです。  こういうふうに、教科書につきまして私は検定そのものが違憲行為だと思っておりますけれども、検定制度を行うならば、ちゃんとした検定基準があります。それは憲法と教育基本法に基づく検定基準に基づいて厳正に行われるべきであるということを改めて強く要求をいたしておきます。  次に、教科書をめぐる疑惑の問題について質問をいたします。  これは教科書協会が、業績に応じまして金を拠出しまして蓬庵会にお金を納めたということがあるわけですね。これは五十一年から教科書協会が十七社からお金を集めたという事実があります。それから蓬庵会が領収書を出した事実があります。これはさきの正森質問で明らかになってきたわけであります。ところが、蓬庵会は一銭も受け取っていないという蓬庵会側からの監査の結果が公式に発表されておるわけであります。一方、稲垣教科書協会の会長は、政治家にお金を配ったということを言っているわけですね。真偽のほどはともかくといたしましても、名前の挙がった国会議員もおるわけでございますが、いまだに新聞が訂正されたという事実を私は知りません。そうしますと、国民はまさに奇怪な事件としてこれに対して疑惑を持つのは当然でして、その疑惑はいまだに消えていないというのが実情ではないでしょうか。お金を集めた、持っていった、領収書は出たが金が入ってない、どこかでこの金が消えたのか、こういう疑惑が出てくるわけでございますが、この点につきまして法務当局並びに警察庁はどのような見解を持っておるか、また、これに対してどういう対策、対応をせられようとしておるか、伺っておきたいのであります。
  213. 中平和水

    ○中平政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、この種の問題につきまして一応の関心を持ちまして、必要な情報なり資料の収集に当たっておる状況でございます。しかしながら、きのう申し上げましたように、具体的な容疑をもって犯罪の捜査を開始しておるという報告は受けておりません。そういう状況でございます。
  214. 山原健二郎

    ○山原委員 大阪タクシー汚職の場合を見ましても、国会議員の職務権限というのは非常に広く解釈をされておるわけですね。それから、最高裁の三十三年判例を見ましても、非常に広範な解釈をいたしております。その点については、ともかく判例をここで読み上げていろいろすることよりも、政治姿勢の問題として、疑惑に対しては国民に答えるということが私は必要だろうと思うのでありますけれども、法務大臣はこの点についてどうお考えになりますか。
  215. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 嫌疑があると考えれば、捜査当局は当然捜査すると考えます。しかし、捜査しているしていない、その問題はまた人権に絡む問題でございますので、慎重でなければならないと思います。  政治家に対する献金の問題は、いつかこの席でもお答えさせていただきましたけれども、私は、政治家に対する政治資金の寄付ではないか、それは政治資金規正法の規制において届け出等の義務が課されている性格の問題であって、それを国民が見て国民なりの判断をするんだということであって、犯罪とは無縁のものではないだろうか、こう考えておるわけでございます。そういう意味で、これを犯罪ときめつけることはいかがかと思いますし、また、捜査当局は嫌疑があると考えます場合には当然捜査しているものでございますので、その点もそういう御理解をいただきたい。いま国家公安委員会の刑事局長は、いまは嫌疑があるとは考えていない、こういうことでございました。わが国の捜査当局は十分私は信頼にたえるものだ、こう考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  216. 山原健二郎

    ○山原委員 私は判例を読み上げてもいいのですけれども、たとえば職務権限と利益の問題ということを考えますと、しかも教育行政にまつわる問題であるとするならば、これは当然国民の疑惑を晴らしていく、そんなことはないんだと。私は事実があるなんと言っているのではありません。しかし、そういうことについても否定もしなければ、一切口をつぐんでしまって、国民に対してそんなことは明確にないのだと答えることもなければ、新聞の記事に対する訂正もないということで、そのまま済まされるものなのかという疑問を私自身は持っております。そういう点では当然明確にすべきではないかと思うのです。  さらに、これはもう率直に名前を出してあれですけれども、文部事務次官の問題ですね。これは昨年の十一月二十七日に千葉県の真名カントリークラブのゴルフ権を入手されたわけでありますが、この点についてはこの間の正森質問に対しまして官房長お答えになりましたように、文部事務次官はあっさり非常に正直に数字を出しておられます。それは三百八十万で買われたわけですね。三面三十万がいわゆる会員権証でありまして、そして入会金が五十万。  私はこのカントリークラブへ参りまして、私自身が聞いたわけでございますが、このクラブの会員権はことしの五月に八百万円になっております。そして、ことしの十一月には一千万円になるという上昇株のカントリークラブでありますが、これは数字がはっきりしておるわけでございますから、事務次官がお買いになったときは六百万円という数字もこの間明らかになりました。六百万円ということは、入会金を入れまして六百五十万でございます。そうしますと、頭から二百七十万という差が出てくるわけですね。私は、これは正常な購入の仕方ではないのではないかという疑問を持っておるわけであります。  それが一年たつと一千万にはね上がるということになりますと、手放すのはいつでも手放していいのだそうでございますが、それは庶民にとっては産をなすほどの利益が保証されたということになるわけでございまして、どうもこの点は納得がいきません。そこで、私は他のゴルフ場に対していろいろ調べてみましたが、そういう会員権の相場というものからいって、安くサービスする場合もあるのだそうです。しかし、百万を超すなどというサービスをすることはあり得ませんというのが大方のゴルフ場の見解でございまして、この点はどうなっているのかということを考えているわけです。  さらに、このカントリークラブの創設当初から実力を持っておられる稲垣前教科書協会会長、この方は光村図書の現社長でもございますけれども、この真名カントリークラブのすぐ横にふる里村というのがありまして、広大な敷地のところに光村山荘というのがつくられております。しょうしゃな建物でありますけれども、この一つを見ましても、稲垣さんがこのカントリークラブにおける大きな実権を持っておることは明らかでございます。  片や事務次官は、文部大臣を助けまして省務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する任務を国家行政組織法第十七条の二によって任務づけられております。したがって、文部事務次官は、言うならば教科書検定についても、あるいは教科書行政そのものについても最高の責任者というべきでありまして、その意味では両者の間に職務関係が出てくると思うわけであります。その者から利益を得る、それはその者から直接受けたのではないとおっしゃるかもしれませんけれども、明らかに両者は前々からの、事前の知人でもあります。  そういう点から考えまして、この事実を考えましたときに、これは当然調査に値するものではないのか、調べる対象になるのではないかということも考えるわけでございますけれども、この点について法務省の刑事局長の見解を伺いたいのであります。
  217. 鈴木勲

    ○鈴木(勲)政府委員 山原先生のお話の中に幾つか問題点がございましたので、私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、私は榊委員の御質問に対しまして、諸澤事務次官は通常のルールに従って正当に入手したものであるということをお答えしたわけでございますが、それは次のような事実があるからでございます。     〔小渕(恵)委員長代理退席、藤波委員長     代理着席〕  次官が取得いたしました会員権は六百万円ではございませんで、三百八十万の提示をしたとおり、その額で自分のお金で買ったものでございます。  なお、これを山原先生は時価で売却できるのではないかというふうに、差額のことをおっしゃいましたけれども、やはり額面どおりの取引しかないということでございますので、その辺の御疑念があろうかと思います。  それからもう一つ、真名ゴルフクラブの会員権の市場価格でございますけれども、これは最近のゴルフ雑誌を見ますと、十一月四日付の週刊「アサヒゴルフ」というものによりますと、三百八十万円というふうに出ております。したがいまして、当時の市場価格も恐らくその辺のものではなかったかというふうに考えるわけでございまして、私どもは、次官がゴルフ場の方から三百八十万という提示があった際に、次官自身におきましても、そんなに安い買い物をしたものではないという認識があったというふうに伺っているわけでございます。  それからもう一つ、その稲垣常務理事との関係でございますが、これは先生御承知のように、実際の真名ゴルフクラブの経営者は日本土地改良株式会社でございまして、川戸社長が経営者である。稲垣常務理事はそのゴルフ場の経営者ではございませんで、ゴルフクラブのゴルフ会員の利益を代表する常務理事ということでございまして、この売買に当たって何らかの権限を有するという立場にはなかったというふうに承っておりますので、私どもは次官が正常のルールで正当に取得したものというふうに考えて、そのことを申し上げたわけでございます。     〔藤波委員長代理退席、金丸委員長着席〕
  218. 山原健二郎

    ○山原委員 それはあなたは知らないからですよ。会員権には相場というものがあるんですね。それから、それによって募集もします。その雑誌は私は見ておりませんけれども、現地へ行って私は調べております。また、いまあなたはいろいろおっしゃるけれども、あなた自身が正森質問に対する答弁の中で六百万という数字を出しておられるわけでございますから、しかも、それを六百万としなければ営業上差し支えがあるとか、名誉棄損、傷つけるとかいうようなことを答弁の中でおっしゃっているわけですから、これはちょっといまの御説明をまるのみにするわけにはまいりません。  そして同時に、これは文部大臣に伺いたいのですが、文部大臣もまた、正常な売買であると言っておるわけですね。しかし、これは諸澤さん自身が、新聞で見ますと、李下に冠を正さずという言葉から言うならばという言葉を言っておられますように、決して御本人自身も、全く正常な、非の打ちどころのないものではなかったという気持ちを持っておられるのではないかと思います。  もともと一千六百万の子供たちの教育の問題に携わる、その行政の最高責任者でございますから、言うならば一点非の打ちどころがあってはならぬわけです。しかも、この方は道徳問題なんということを、今度も大阪へ行って盛んに教科書批判をやっているわけですね。文部大臣は、教科書はりっぱなものでありますが、よりりっぱなものにしたいと、この席でも御答弁を何回もされておる。あなたの一番大事な文部事務次官が、教科書に対してあちらこちらで批判をしている。この間は、この諸澤さんは協和協会の会員でございますが、協和協会の提言の中には、文部省の検定は驚くべきものだということを提言いたしております。その会員であります。言うならば面従腹背ということまで考えられる。  そこまであなた方が弁解するならば、こういうことまで言いたくないけれども言ったわけでありますが、本当にその点では、もともと李下に足を踏み込んではいかぬ教育行政官が、李下に冠を正すどころか、踏み込んではならぬところに踏み込んでいるわけですから、これは好ましくないことであることは間違いないと思います。その点について、こんなことがあっても、ああそういうことはあたりまえのことだと文部大臣はお考えになるのか。少なくとも教育行政の最高責任者として好ましくないのだということをお考えになっておるのか、一言明らかにしていただきたいのであります。
  219. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 文部次官が正当な売買によりましてゴルフ場の権利を取得いたしまして、そうしてゴルフをいたしましたということにつきまして、私は、これに対して何らとがめるべきものじゃない、なかんずく、最近のようにスポーツ振興ということから申しましても、一般庶民的なゴルフのプレーをいたしますことは、ちっともこれを非難すべきものではない、また、次官のいろいろな言動につきましても、私は深く信頼いたしておりまして、断じて御指摘のような疑念を持つべきものではないことを、私からあえて申し上げておきます。
  220. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、国民政治倫理感覚というのはそんなものじゃないと思うのですよ。また、スポーツなどとこの場所でおっしゃるのもこれは不見識でして、三百八十万でお買いになったということを内心じくじたるものがあることは、新聞報道を見ても明らかでしょう。それから、私は実際の相場から言っているわけです。現地へ行って副支配人に聞いているわけです。そうしますと、やはり姿勢を正すのだったら、御本人が三百八十万、買い取った金額でこれは返して、ゴルフを楽しみたければもっと別の楽しみ方もあるでしょう。そういう姿勢の正し方というのは幾らでもあるはずです。それをもう必死になって陳弁これ努めて、また擁護これ努めるというようなことでは、私は文教行政は実を結ばないと思います。その点ではこの方は不適格、そういうふうに思わざるを得ません。このことをはっきりと申し上げておきたいと思います。  最後に、産学協同問題でありますが、今回、文部省の学術国際局に、研究助成課の中に研究協力室を新設をすることになっております。これは産学官の協力推進の充実強化ということをうたっているわけであります。いわゆる産学協同ですね。いままで文部省が、これに対しては初めての足の踏み込みだと思います。戦後、戦前の大学の自治や学問の自由が踏みにじられた反省に基づきまして、産学協同については大変な批判もあります。また、学術会議もしばしばこれに対して自主、民主、公開の原則、そして学問の自由を守る立場から政府に対して勧告をいたしておりますが、五十一年六月三日には三木総理大臣に対する学術会議の勧告もあるわけでございます。  これは総理府総務長官にお伺いしますが、この勧告権に対して当然政府は努力すべき任務を持っておりますが、これは尊重され、努力をされるお考えを持っておるかということが第一点でございます。  次に、この内容は、学術審議会が中間報告をしておりますものを受けとめたものと考えられますが、その中には「委託研究で生じた国有特許の実施を委託企業に優先的に採択させ、一定条件の下での独占的利用も認める」という中間報告がなされておるのでございますけれども、これは大変重大な問題でして、企業が金を出す、大学が研究をする、その成果が上がり、発明が出てくる、それは一定の条件をつけて企業が独占をするということになりますと、まさに戦前の姿でございまして、大学が企業の下請機関化する可能性がないとは言えません。この点については厳重な警戒をすべきであると思うのでございますが、この点について文部大臣はどうお考えになってこのような方針を出されたか、お伺いをいたしたいのであります。
  221. 田中龍夫

    田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  資源の不足いたしておりまする日本といたしまして、国家の将来を考えますれば、科学技術の振興という問題は非常に重大な問題でございます。ことに、わが国の独自の基礎研究を踏まえました科学技術研究開発につきまして、その必要性が指摘されております。  ただいまお話しのような問題でございますが、学術審議会におきましても、学術研究に対します社会的な要請への対応につきましては検討を進めておる次第でございます。  文部省といたしましては、研究協力室の設置を企画いたしまして、大学におきまする社会的連携、協力の増加に対しましてこれに対処しようといたしておりますが、大学が企業からの研究を受託いたしまする場合におきましては、大学の自主的な判断で行い、かつ、大学の教育研究に支障のない場合においてのみ研究を受託するということにされておりまして、御心配のような、企業に大学が独占されるといったようなことは絶対に起こり得ないと考えておりまするし、また、学術会議が産学協同に対しまして、大学の自主性、研究成果の公開等に十分に配慮すべきことは指摘いたしておりますが、医学協同を否定いたしました勧告はいたしておりませんのでございます。
  222. 中山太郎

    ○中山国務大臣 お尋ねの日本学術会議からの政府に対する勧告は、科学技術会議、これは日本学術会議の会長も議員をしているわけでございますが、そこで諮られ、そうして処置をされておる、このようなことでございます。
  223. 金丸信

    金丸委員長 山原君、時間が来ておりますから。
  224. 山原健二郎

    ○山原委員 一言、最後に。ちょっと最初おくれましたので。  総務長官、勧告権は当然学術会議の性格として持っておりますし、内閣はそれに対して、それを尊重し、それに努力するという任務を持っておりますが、そのことはおわかりですね。
  225. 中山太郎

    ○中山国務大臣 日本学術会議に関する関係法案の内容については熟知をいたしております。
  226. 金丸信

    金丸委員長 これにて山原君の質疑は終了いたしました。  楢崎弥之助君。  防衛庁の矢崎経理局長から、まず昨日の関係お答えをいたします。
  227. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 昨日の本委員会におきます楢崎委員の御質問に対する防衛庁の答弁に不正確な点がございましたので、おわびして訂正させていただきます。  五十七年度のシーリングの特例として認められております人件費にかかわる義務的経費の増三百三十四億円の中には、御指摘の防衛二法の改正を伴う増員経費十四億円が含まれております。五十七年度の概算要求のシーリングの設定に当たりましては、すでに成立しております五十六年度予算を前提として義務的人件費を見込んだものでござい厳して、防衛庁におきましても、五十六年度の増員の平年度化の増につきましては、他省庁と同様に義務的人件費として扱っておる次第でございます。  以上でございます。
  228. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は短い時間なんですよ。一分でも血の出るような質問時間だ。私がきのう三百三十四億円に五十六年度の防衛二法関係の一部が入っていると言った。経理局長もそれをそのとおりだと言ったでしょう。ところが、あなたがわざわざ買って出て、そういうことはない、五十五年度で通った分だ。しようがないから経理局長がまた出てきて、うそとわかりながらあなたに合わせた。何が不正確です。間違っておるのでしょう。間違っておるのだ、あなたは。だから、あなたは知らぬことは言わぬ方がいいのだ、これのときに。いまの時間、委員長、もう全くむだなんですね。  そこで、先ほど民社党の林委員の質問の中で、五十七年度予算概算要求の例外事項、いわゆるゼロシーリングの例外、これで大蔵当局がお答えになりました。ゼロシーリングの例外、つまり六月五日閣議了解によるゼロシーリングの例外は、防衛庁関係費では人件費の義務的経費増三百三十四億円、それから既国庫債務負担行為等の歳出化防衛関係費は千四百六十八億円、合計千八百二億円がゼロシーリングの例外として一応了解されておる。間違いないですね。これはさっき答弁になうたとおりだ。
  229. 西垣昭

    ○西垣政府委員 間違いございません。
  230. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、昨日私は、防衛関係国庫債務負担行為及び継続費、すなわち、後年度負担分のうち、昭和五十六年度で完了するものの金額は幾らになるかという質問をしました。保留になっておりましたが、金額は出ましたか。私は、政府が出しております財政法第二十八条による五十五年度及び五十六年度予算参考書類を基礎にして、一千五十三億円とはじきました。どうですか。
  231. 西垣昭

    ○西垣政府委員 お答え申し上げます。  いま御質問がございました既国庫債務負担行為等に係る歳出化でございまして、五十六年度が最終年度となりますものは三千四百四十一億円でございます。
  232. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと局長、この中に出てきていますか、それは。
  233. 西垣昭

    ○西垣政府委員 楢崎先生は二十八条関係資料でお拾いになったと思うのですが、その中の国庫債務負担行為の額につきましては、五十六年度以降分ということで、五十六年度か五十七年度かはっきりしないようなものも含まれておりますので、お拾いになるとすれば正確にお拾いになることはむずかしかったのではなかろうか、こういうふうに思います。
  234. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は正確にしたつもりですけれども、まだ見逃している点があるかもしれません。むしろ三千億円の方がいいのだ、私にとっては質問しやすい。  つまり、大蔵大臣、五十六年度の防衛関係費二兆四千億円ですね。ことし、そのうち要らなくなる分が三千億円というのです。そうすると、さっきお答えのとおり、ゼロシーリングで例外として認めた千八百億円はその三千億円の穴の中にかぼっと埋まって余りある。だから、全くゼロシーリングになるのだ、私の言い方からすれば。そうでしょう。この三千億円、何で埋めたのですか。あなた方は五十六年度の二兆四千億円に例外として認められた千八百億円を加えて、五十七年度概算要求は総計二兆五千八百億円として要求している。したがって、逆算すれば昨年度の二兆四千億円に対して七・五%増だとアメリカに行って言いふらしておる。インチキじゃないですか。三千億円、何で埋めたのですか。例外は一千八百億円だけでしょう。私、よくわからない、頭が悪いかもしれませんがね。
  235. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 これは計数の問題でございますから、事務当局から説明させます。
  236. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の、五十六年度が最終年度になります歳出した額は三千四百四十一億円ということで、これは五十七年度には当然減という性格になるものでございますけれども、実はこのほかに、五十六年度の歳出化につきましては、中間年度でございます、つまり五十七年度以降にも引き続いていくというような分二千八百億円が入っておるようなことになっておりまして、私どもがこういった当然増減を計算するときには、この中間年度分も合わせまして、合計六千二百四十六億円というものが一たん当然減ということになります。  他方、五十七年度につきましては、歳出化の予定額が七千五十二億円あるということで、これを当然増というふうに見るわけでございます。したがいまして、全体としていいますと、歳出化はその差額の八百六億円が歳出化の増加になる、こういう仕組みになっておるわけでございます。  それで、千八百億円の中の国際条約に伴う関係の分でございますが、これは昨日来お話がございますように、国際条約の実施に伴い必要とされる既国庫債務負担行為等の五十七年度の歳出化に係る分、これに着目いたしまして、そういった特殊な性格のものについて集計をいたしまして、千四百六十八億円というものを算定をしておる、特殊の性格のものをその中から抜き出しておる、こういうことでございます。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなたは大蔵省ですか、防衛庁ですか。——防衛庁。防衛庁はわかりました。  大蔵省に聞きたい。大蔵大臣、聞かれていましたか、いまの答弁を。だから私は念を押した、この六・五閣議了解で例外として認めておるものは千八百二億円だと。ところが去年の二兆四千億の予算のうち、ことしは三千億穴があく。だから、もう一遍言いますよ。千八百億円例外を認めたって、ことし二兆四千億以上にはならない。ところがその三千億を何で埋めたかと言ったら、いまの説明があったのです。いまの埋めた分は、この六月五日閣議了解の中のどの分に当たるのですか。それがいわゆる「これにより難い部分を生じた場合」、これに当たるのですか、三千億を埋めた分は。
  238. 西垣昭

    ○西垣政府委員 御説明申し上げます。  いま経理局長の方から御答弁したとおりの数字関係でございます。千八百二億というのは、閣議了解に即して申し上げますと、「昭和五十六年度予算額に人件費に係る義務的経費の増」ということで、五十六年度予算額に加算した金額の範囲内ということでございまして、あくまで二兆四千億に加算するものということで、ここに定められているわけでございます。そこで、人件費に係る義務的経費の分が三百三十四億円。それからまた書きの後で、「国際条約の実施に伴い必要とされる既国庫債務負担行為等」ということで千四百六十八億、合わせまして千八百二億になるわけでございます。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、さっき答弁したじゃないですか、そんなことは。だからそれは、合わせて千八百億円が例外の分だと。そうでしょう。  私が聞いているのはそうじゃない。そのほかに去年の二兆四千億のあれに加算する分と言うけれども、五十七年度ではその二兆四千億のうちすでに三千億は要らない。私はそれを言っているのです。だから、その分を埋めたのは何かと言ったら、さっき、これは五十六年度一月現在ということで、この前の国会の予算委員会に出したおたくの資料でしょう。資料の中から、五十七年度に出す予定額の後年度負担分が七千五十二億、五十六年度に決めた後年度負担分が六千二百四十六億、だからその差約八百億、これが入っていますと言うのでしょう。わかりましたよ、それは。つまり、いままでの分を入れた。そのほかに、結局五十七年度に新規に決めた後年度負担分のうち、五十七年度の頭金四百三十八億、それが入っているという話です。だから、それが例外になりますかと言っているのですよ。何で勝手にそんなことを、三千億穴があいた分にそういう金額の穴埋めをするかと言っているのです。もしそういう金額の穴埋めをするならば、この六月五日の閣議了解のどの部分に当たってそんな勝手なことをしたのかと私は聞いているのです。ひょっとしたら、さっき言ったとおり、「これにより難い部分を生じた場合」という文章が一行入っている。これに当たるのかと聞いている、さっきから。  これは、もう一遍言いますよ。例外をいま言われたでしょう、一番最初。まず例外がこう決められて、そしてそのほかに、例外中の例外が、このいま私が読んだ、「これにより難い部分を生じた場合」、それに当たるのですか。
  240. 金丸信

    金丸委員長 西垣主計局次長。——簡潔に言ってくれ、時間がないですから。
  241. 西垣昭

    ○西垣政府委員 誤解を避けたいと思うのですが、そのゼロシーリングといいますものの中でも、減るものもあればふえるものもある。一般の省庁につきましては、ゼロシーリングの中で減るものがありましても、それは削らないで、ゼロシーリングの中でふえるものを要求していただく、こういう仕組みになっております。  防衛庁の場合には、原則としては、その上に何が乗っかるかということで、さっきくどいように重複したわけでございますが、閣議了解の文を読み上げて、例外分がこれだけ追加されましたということを申し上げた次第でございます。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)
  242. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私の後ろの席からそうだそうだと言っているけれども、いいですか、後年度負担分というのは防衛庁関係が大部分だ。そして若干、わずかばかり科学技術庁関係が入っているだけ。勉強しておってください、要らぬことを言わぬで。  だから、私は言っているのですよ。これは、つまり三千億というのは要らないのだから、もう済んでいるのだから、後年度負担分払ったのだから。私は時間がないから論争はしない。ここに大きなからくりがある。だから恐らく私が言っているとおりじゃないか。なぜ首ひねるのですか。  この三千億の穴を埋めたのは、一部は五十七年度、新規にやった分の、その四百三十八億という頭金を入れているんじゃないか。それと、さっき読んだ、この前の通常国会に出された、予算委員会に出されたこの資料による八百億のいままでの分を入れているんじゃないか、こう言っているのだ、私は。それが何でこの閣議了解の、「これにより難い部分」に当たるのかと言っている。だれが勝手にそういうことを決めたかと言っている。どこで決めたか。大蔵大臣もこれは知らない。だから、ここにからくりがあると私は言っているのだ。いいですか。  今度仰々しく行革の一括法案で出されたけれども、総額は二千四百八十二億減をねらっている。厚生年金関係とその他の年金関係が千九百億ですから、それを引いてみると五百八十二億ですね。結局五百八十三億の金の削減を大仰に特別委員会を開いてやっているんだ。五百八十二億ぐらいだったら、いま言った防衛予算のからくりを正しさえすればこういうことは要らないんだ。五百八十二億はすぐ出てくる。そうでしょう、三千億の穴があるんだから。私はそれを言っている。そして、いいですか、六月五日の閣議了解の中に、一項の一番最後に、大蔵大臣、何と書いてありますか。「概算要求の積算は適正に行うこととし、上記の趣旨を逸脱することのないよう厳に留意するものとする。」全くこれに反するじゃありませんか、勝手に積算して、穴を勝手に埋めて。だから、私これは承服できない。  そこで、大蔵大臣にお願いしたいのは、あなたは昨日、五十六年度分の二兆四千億も十分見直すんだとおっしゃいました。だから、私はひとつこの辺は十分目を配っていただきたい。そうしないと、幾ら閣議了解を仰々しく決めても何にもならない。  さらに、私は五十七年度概算要求のうち、新規のもので見直してもらいたいものがあります。以下それを列挙したいと思う。  防衛庁からいただいた「昭和五十七年度概算要求の大要」、これを基準にして見ますと、まず五十七年度以降が非常に急激に膨張するんです。これはおわかりのとおりだ。アメリカから要請されているんでしょう。その原因をいろいろこの五十七年度予算から探ってみました。特徴的なものだけをここに挙げてみました。大蔵大臣、聞いておってください。  まず第一番は、さっき言いましたとおり、例外分の千八百二億円のうちに、わずかではあるけれども、未成立の五十六年度防衛二法増員分の十四億が入っている。これは一千名の増員です。だから、十四億ですから、一人に直せば一年間百四十万円でしょう。どうせこれは半年ぐらいの予算だから、月給にすれば二十万円とちょっとでしょう。大体そういう予算だと思いますよ。これはまだ通っていない。  それから二番目に、五十七年度の後年度負担分が対前年比二・三倍になっているんですよ。そしてその後年度負担分の総額一兆六千三百七十六億円のうち五十七年度に予算化したのは、たったのそのうちの二・六%の四百三十八億円。全部が後になっている。二兆二千六百億という金が後回し、ツケになっている。これは五年間で払わなければいかぬ。国債と一緒ですよ。  それから三番目に、これは三ページにありますけれども、航空機購入、これが対前年度比七・六倍ですよ、皆さん。この内容は、主として大きなものはF15四十三機、これはわざわざアメリカからの要請があって、五十九年度に発注する予定分の十一機までも来年度含めてしまった。そのために四千五百七億円になっている。それからP3Cです。十七機。これも五十九年度発注分の五機を急遽入れたからこんなことになる。その金額が千八百八十三億、合計六千四百億円。そのうち来年度、五十七年度に予算化する頭金は、わずかそのうちの五十五億円ですよ。全部後回しなんだ。  四番目に、これも三ページにあるけれども、弾薬購入、対前年比が八二・四%の増。  それから次に、これは五ページにあるけれども、陸上自衛隊の装備充実、甲類です。十七品目挙げてある。総額五百二十五億円。そのうちに五十七年度で予算化した頭金はわずかの二億。わずかの二億ですよ。そしてそれも二百三ミリ自走りゅう弾砲の分だけ。あとの十六品目は全部ゼロになっているでしょう、これを見て。五十七年度は全部ゼロですよ。こんなむちゃな話がありますか、あなた。何のために五十七年度にわざわざこういうものを計上して契約するのですか。そして七四式戦車八十両、これが二百七十六億円。それから七五式百五十五ミリ自走りゅう弾砲四十門、これが百九億。これらの予算はこれでは全部ゼロですよ。五十七年度はゼロなんです。全部後年度のツケですよ、あなた。これもひどいじゃないかと思うのですよ。そして陸上自衛隊の分の航空機、対戦車ヘリのAH1S二十二機、四百二十五億円、これも五十七年度予算化したのはたったの七億円。大部分の四百十八億円は全部後回しだ。それで、この対戦車ヘリは、五十四年の七月に防衛庁発表の「中期業務見積りについて」、この資料によりますと、こう書いてある。「既整備二機の運用研究の成果をみて、今後の整備方針を決定する。」「今後」というのは、これは五六中業のことです。だから、五六中業で採用予定のものを今度先取りしたのです。これは四次防計画のとき、覚えているでしょう。四十七年度に四次防の先取りをして国会が半月近くとまった。こういう重要な先取りまでも今度やっている。  私は、この夏に内閣委員会から北海道に調査に行きました。第二師団と第七師団を見てきた。いま申し上げたような戦車とか百五十五ミリとか、こういうもの、それから対戦車ヘリもそうですよ。北海道へ置くのでしょう。それで一体五十七年度に、特に陸上の場合です、これほどの装備を大量に調達しなければならないほどの急迫した脅威が果たしていま北海道にあるんでしょうか。それで私は、もう少し鈴木内閣の具体的な防衛構想を明らかにしてもらいたい。これはよくわかっているのです。アメリカ側からの要請で、シーレーンを守ってくれ、だから海と空をひとつ充実してくれ、継戦能力も高めてくれ、抗堪性も高めてくれ、これはよくわかる。しかし、これほどのあれを無理して大量調達しなければならない差し迫った脅威が北海道にあるんでしょうか。もし、海空の方が、いま言ったように、非常に充実しているから、陸の方もちっとメンツがあろうからというような単純なことでこれを考えてもらっておったんでは、私は財政再建にとって大変だと思いますよ。  私は、お願いしたいのは、われわれだってあなた方の説得力があればわれわれも了解しますよ。ところが、具体的な防衛構想がないから言っている。つまり中期業務計画というのは防衛庁内部の資料なんです。しかも、これは兵器の買い物計画なんです。防衛構想と離れていたずらに兵器の買い物だけする。そういうことでいいんでしょうかということを、私はいまは新自連の立場でやっているけれども、新自運としてもこういうことははっきりさせてもらいたいからです。納得する理由があれば、私ども耳をかすにやぶさかじゃありません。だから私は、こういう点も、大蔵大臣、見直していただくときに十分ここらも目を通してもらいたい。そして恐らくことしの暮れに国防会議があると思います。そこでも、中曽根長官お疲れのようですけれども、十分この辺も目を配っていただきたい、これをお願いをいたしておきたいと思うわけです。  それで、さっきの五十六年度の二兆四千億の方の見直しも、さっき言ったとおり大穴があいています。この辺を埋めたやつが果たして正しいのかどうか、この閣議決定から言って。これも見直していただきたい。  そこで私は、最後でありますけれども、五一防衛大綱ですね、これで一つのめどとして、防衛費というものはGNPの一%以内だと決められた。これは次の五六中業でも守り通しますか。
  243. 大村襄治

    ○大村国務大臣 現在五六中業の作業を開始したばかりでございまして、内容もまだこれからでございます。固まっておりません。また、今後のGNPの見通しも固まっておらないわけでございますが、私ども五十一年の秋の閣議決定、対GNP一%をめどとして超えないようにして防衛力の整備を進める、こういう閣議決定の方針を現在変える考えはございません。
  244. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が聞いているのは、五六中業、つまり昭和六十二年までですね、この間も守り通す、こういうことですかと聞いているのです。
  245. 大村襄治

    ○大村国務大臣 先ほど申し上げましたように、五六中業は五十八年から六十二年の期間で、いま作業を始めたばかりです。内容がどうなるのか、また対GNPがその期間どうなるのか、両方見て判断しなければいけないと思いますので、その点についての見通しをいま申し上げるわけにはいかないと思います。
  246. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっとおかしいですね。では五六中業の間、いま言われたようなGNPその他の要素いかんでは超えることもあるかもしれない、こういうことですか。
  247. 大村襄治

    ○大村国務大臣 先の見通しについては、いま申し上げましたような理由で申し上げにくいわけでございます。
  248. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 申し上げにくいというのが正直なんですね。なぜか。私はここでお手元へお配りしている資料を見ていただきたいのですけれども、この昭和六十二年まで、つまり五六中業の期間の防衛関係費の将来の推計をしてみたのです。もちろんいまおっしゃったようないろいろな不確定要素があるのは承知の上です。それから前提も仮説です、これは。たとえば防衛費が七・五%ずつ今後平均して上がる。それからGNPは暫定試算のとおりずっと八%に見ています。それからベースアップは、「財政の中期展望」が五%と見ているから五%にしています。これで一応やってみました。そうしたら、私の試算では、五六中業の最終年度にGNP一%を超えるのです。超えるのですよ。  そこでもう一つ、これには書いていないが、別の試算方法がある。簡単です、これは。いいですか、聞いておいてくださいよ。さっき言った五十八年度から、いいですか、五十七年度に決めた分ですね、後年度負担。これを五年間で財政法で返さなければいかぬ。そうですね。これが二兆二千六百億ある。これを五で割ってみましょうか、平均化して。五で割ったら四千五百億になる。五十七年度は人件費を入れたら、あなた方の予算プラス人件費で、これは合っていると思うのですね。二兆六千二百六十一億になる。これは合っていると思う。いいですか。この二兆六千二百六十一億に、いまの後年度負担分四千五百億円、平年化して、これをずっと積算していってごらんなさい。五十八年度にすでにGNPの一%を超すのです。もう五六中業の初年度で超してしまいますよ、別のいま言ったような計算の仕方をすれば。素人でも非常にわかりやすい。それで、いずれにしても五六中業では、いまのような後年度負担分をぱっぱっぱっぱっツケを回しておれば、これは当然GNPの一%超しますよ。総理はGNP一%以内というのはずっと守る、そうおっしゃいましたが、そうならないんだな、二兆二千六百億のツケを認めれば。大蔵大臣、これを認めたらGNP一%超しますよ。  だから、もし私のこの試算に異議があるなら、異議があるならば大蔵大臣、あるいは防衛庁長官、異議があるならば——委員長、この特別委員会はどうせ最後は総括があるでしょう。その総括の前までに、私のこの試算に異議があるならば、政府としての試算を出してください。政府としての試算を出してください。
  249. 大村襄治

    ○大村国務大臣 繰り返し申し上げますが、今後の見通しにつきましては、防衛関係費の規模がどうなるか、対GNPがどうなるかということの相関関係がございますので、先生の御試算は御試算として拝見をいたしましたが、これがそのまま実現するかどうかということにつきましては、いまのところはっきりしたことは申し上げにくい、さように思うわけでございます。  しからば、この委員会の終わるまでに、異議があれば政府の試算を出せ、こうおっしゃるわけでございますが、ちょっとそれまでに関連の見通しを固めてお出しするということは時間的に無理ではないか、また、防衛庁だけでできる問題でもございませんので、その点はひとつ御勘弁願いたいと思うわけです。
  250. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これで時間が来ましたから最後にいたします。  もう一度お願いをしたいのですけれども、大蔵大臣、大蔵省はいろいろな仮定のもとに前提をつけて「財政の中期展望」なんかつくっていらっしゃるのだから、これは重要なところですから。こんなに防衛費が急激に膨張する、一体どうなるのだろうか、これから先は。国民の皆さんも不安であろうと思うのです。われわれも不安です。一体どうなるのだろう。だから、やりにくいのは私も承知の上です。さまざまの仮定、仮説の前提でもいいから、それをつけて、大蔵省と相談の上、私がつくったような試算を、推定試算をぜひつくっていただきたい。委員長の方でよろしくお取り計らいのほどをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  251. 金丸信

    金丸委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本連合審査会は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十分散会