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草川委員 では、三番目の問題に移ります。
実は、臨調でもずいぶん医療費の問題が具体的に話題になっております。同時に、医療費の中に占める薬の値段、薬価についてもかなり厳しい議論が行われておるわけでございます。その点について、私は私なりに大変苦労をして集めてまいりました
資料をもとに
厚生省の考え方をお伺いをしたいと思うわけです。
実は、薬といいましても奥行きが非常に深いわけでございますが、私どもは、薬の値段と現実に取引されておる値段の間に非常に乖離があるので、この薬価差益というものをどう見るのか、あるいは薬価というのを早く下げたらどうだろうということを何回か問題提起をしておったわけでございますが、ことしの六月から三年四カ月ぶりに薬の値段、薬価というのが下がりました。これは
平均の引き下げ幅は一八・六%です。医療費のベースでは六・一%下がったわけでありますけれども、どうしたことか、薬価は下がったんだけれども、現実に取引をしている薬の値段が上がってきたのです。ちょっと信じられぬ話でしょう。薬価は大幅に一八%下がった。そしたら、取引する価格も下がるのが普通でしょう。ところが、これはどんどん上がってきたのです。
これはいかなることかというのを、私は東京の
神田の現金問屋をずっと統計で調べました。あるいは大阪の道修町というのですか、大阪の現金問屋の方も探し、あるいはこれはすでに毎回私取り上げて怒られるわけですけれども大阪府保険医協同組合、間違いのないように申し上げますけれども、大阪府保険医協同組合の方々が、このような値段だったらお世話をしますよという、こういう表もございますが、これを全部突き合わせてまいりましたのが私がいま皆さんのお手元に配りました価格表で、ことしの一月から十月までの価格を調べてまいりました。このような価格表というのは、私、
日本でも初めてだと思いますけれども、これは皆さん自身が調べられてもきわめて信頼性の高いものであります。メーカーからも全部これは突き合わせをした値段であります。
この左の品名は最もポピュラーな、毎日どこかの診療所、病院で使われておる薬であります。薬というのは一錠、たとえば一番上にありますアルダクトンA錠なんというのは、二十五ミリで一錠七十七円二十銭の薬価が右の方へ行きまして六十三円三十銭に下がりました。これは
厚生省が決めたわけですね、下げてくれたわけです。ところが、実際の取引する値段は当時三千T、一つの単位です。一袋三千という箱があるのですけれども、これがことしの一月には十万五千円だったのです。当時の薬価は二十三万一千六百円だったのですが、実際は十万五千円で取引されておったのです。これが一月、二月、三月、四月、五月と大体十万五千円でいって、ことし薬価が下がったわけですね。
厚生省は、六月一日からこうしなさいと言って下げた。そうしたら十万六千円、十一万四千円、十二万三千円、十二万五千円、十二万五千円と上がってきたのです。一九%上がってきたのです。これはおかしいでしょう。同じようにずっといきましょう。真ん中辺でサワシリンカプセル、藤沢薬品ですが、これも五百Pという一つの箱で、一月には二万三千円しておったのです。当時薬価では十一万五千円、一錠では二百三十円。これがことしの五月、二万三千円でずっと移行しておったのです、多少、五百円上がったり下がったりがありますが。薬価が下げられたら、七月には三万九千円、四万円、四万円、四万三千円。一番安いときと高いところを比較をいたしますと何と八六%というような上がり幅になってくるわけです。
こういうように、全部言えば切りがないわけでございますけれども、一体なぜ薬というものが、
厚生省が薬価を下げておるにもかかわらず実質的に上がっていくのか。だから愛知県医師会の調査によりますと、一般診療所では一割以上診療収入が下がってきたというのです。医療費が上がったのですよ。医療費が上がったのだけれどもお医者さんの収入は減ってきたわけです。大病院でも四%から六%、いわゆる総売り上げというのですか、診療報酬が下がってきた。だからいま病院は困ってしまっているわけですよ。看護婦さんの給料も上げなければいかぬ、ところがこういうふうに下がってきた、一体だれがこういうことをするのか、これは
厚生省が行政指導をして薬価を
引き上げておるのではないかといって、実は京都の方のお医者さんだとか、あるいは
日本病院会——
日本病院会というのは会員千八百人、千八百の病院、内藤景岳さんが会長ですけれども、この方は
公正取引委員会に、
厚生省が何かおかしなことをやっておるのじゃないかといって、いまいろいろな陳情というのですか、いろいろなことをやっておみえになっておるわけでございます。
一体
厚生省は、この薬の価格についてどのような指導をなされたのか。何か聞くところによると、
厚生省はことしの六月一日の薬価基準の全面改正に対して、医薬品の公正な競争に基づく適正な価格による納入等について業界を指導する趣旨の通知を出したと私どもは聞いております。現実に、これは五月三十日ですが、第二十八号
厚生省薬務局
経済課長名で通知を出しておりますけれども、これがかえって逆用されておるのではないか、こう思うのですが、その点の指導はどうされたのかお伺いします。